JP2019006850A - 水系塗料組成物及び顔料ペースト - Google Patents
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Abstract
【課題】金属光沢感及び耐水性に優れた塗膜を形成することのできる水系塗料組成物を提供すること。【解決手段】アルミニウム顔料を含有する水系塗料組成物であって、前記アルミニウム顔料は、フッ素系化合物で表面処理され、平板状粒子であり、厚さ方向の平均厚さ(Z)が8nm以上100nm以下である、水系塗料組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、水系塗料組成物及び顔料ペーストに関する。
従来から、光沢感のある外観を呈する装飾品の製造方法として、金属めっきや、金属箔を用いた箔押し印刷、金属箔を用いた熱転写等が用いられてきた。しかし、これらの方法では、微細なパターンを形成することや、曲面部への適用が困難であるといった問題があった。
近年、塗装分野では、無公害化、作業環境改善のために、極力有機溶剤を使用しないハイソリッド型塗料や、溶媒として水を用いた水性塗料が多く用いられるようになってきている。加えて、水性塗料の技術的改良の進歩により、これまで溶剤型塗料でしか得られなかった高級感のある塗膜が、水性塗料でも実現可能になってきている。
例えば、金属粉末を含む塗料も広く検討されている。特にアルミニウムは、金属光沢が期待できることや、加工が容易であること、コスト的に有利であることなどの理由から、検討されてきている。アルミニウム粉を含む塗料は、塗工の作業性は良好であるものの、アルミニウムが本来有している金属光沢感、高級感を発揮させることが難しい場合がある。その原因の一つとして、アルミニウムが水と反応したり、酸化されることにより、例えば水酸化物や酸化物へと化学変化しやすく、金属光沢が損なわれることがあり、これを防ぐための検討が為されている(例えば、特許文献1、2参照)。
水系塗料においては、アルミニウム顔料の厚さを薄くして、平面的な大きさを大きくすれば、金属の総量に対する金属光沢面の割合を高めることができ、塗膜の金属光沢を高めやすい。さらに、顔料を平板状(鱗片状)とすれば、異方性が高まるとともに、顔料自体の重量が軽くなるので、いわゆるリーフィングの作用も利用することができる。ここで、リーフィングとは、鱗片状(平板状)の顔料の平面を塗布対象上に主に表面張力の作用によって平行又は略平行に表面付着させる作用をいい、これにより塗膜の金属光沢感がより優れたものとなる。したがって、リーフィングの作用を十分に得るためには、アルミニウム顔料の流動性が高いほうがよく、アルミニウム顔料が表面張力の影響によりすばやく流動するために、その厚さをより薄くすることが好ましいと考えられる。
しかしながら、アルミニウムの厚さを薄くしすぎると、金属全体に対する金属表面の割合を高めることになるので、表面から化学変化が進んだときに、金属の状態で残る部分が非常に薄くなる場合がある。そのため、アルミニウムの厚さを薄くするには、このような現象を抑制する対策が必要となる。特に、水系塗料の場合には、アルミニウム表面は、水酸化アルミニウムに変化しやすいという問題があり、耐水性を持たせないと、表面から化学変化により透明化が進み、金属光沢が消失することになる。また、アルミニウムと水との反応により、水素ガスが発生することもあり、安全上の課題もある。
このようなことから、従来は金属光沢を維持するために、アルミ表面に酸化シリコンなどの保護層を設ける対策をとったり、アルミニウムの厚さを一定以上厚くしたりするなどの対策がとられてきている。しかしながら、このような対策では、アルミニウム顔料粒子の重量が大きくなって、沈降速度が速くなり、アルミニウム分散体の安定性が損なわれる等の問題が生じていた。
本発明の幾つかの態様に係る目的の一つは、金属光沢感及び耐水性に優れた塗膜を形成することのできる水系塗料組成物及び顔料ペーストを提供することにある。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
本発明に係る水系塗料組成物の一態様は、
アルミニウム顔料を含有する水系塗料組成物であって、
前記アルミニウム顔料は、フッ素系化合物で表面処理され、平板状粒子であり、厚さ方向の平均厚さ(Z)が8nm以上100nm以下である。
アルミニウム顔料を含有する水系塗料組成物であって、
前記アルミニウム顔料は、フッ素系化合物で表面処理され、平板状粒子であり、厚さ方向の平均厚さ(Z)が8nm以上100nm以下である。
このような水系塗料組成物によれば、金属光沢感及び耐水性に優れた塗膜を容易に形成することができる。すなわち、当該水系塗料組成物に含有されるアルミニウム顔料が、フッ素系化合物で表面処理された結果、金属アルミニウムと水との接触や浸透などを低減できる結果、化学反応が抑制され、かつ、平板状の形状で平均厚さ(Z)が8nm以上100nm以下であるので、仮に表面が化学変化により透明化したとしても十分な金属光沢を維持することができるとともに、薄いことによるリーフィング効果を得やすく、金属光沢感の優れた塗膜を形成することができる。
本発明に係る水系塗料組成物において、
前記アルミニウム顔料の平均粒径(D)は、3μm以上20μm以下であってもよい。
前記アルミニウム顔料の平均粒径(D)は、3μm以上20μm以下であってもよい。
このような水系塗料組成物によれば、アルミニウム顔料が、平板状の粒子であって、その厚さ方向に投影した場合の面積が十分に大きい。そのため、さらに優れた金属光沢を有する塗膜を形成することができる。
本発明に係る水系塗料組成物において、
前記アルミニウム顔料の平均粒径(D)と平均厚さ(Z)との比(D/Z)は、10以上1500以下であってもよい。
前記アルミニウム顔料の平均粒径(D)と平均厚さ(Z)との比(D/Z)は、10以上1500以下であってもよい。
このような水系塗料組成物によれば、アルミニウム顔料の厚さと、厚さ方向に投影した場合の面積との比率がより良好であり、良好な金属光沢を呈する塗膜を得られるとともに、水系塗料組成物の状態で、アルミニウム顔料の沈降をさらに抑制することができる。
本発明に係る水系塗料組成物において、
前記アルミニウム顔料の含有量が、該水系塗料組成物全体に対して3質量%以上20質量%以下であってもよい。
前記アルミニウム顔料の含有量が、該水系塗料組成物全体に対して3質量%以上20質量%以下であってもよい。
このような水系塗料組成物によれば、さらに良好な金属光沢を呈する塗膜を形成することができる。
本発明に係る水系塗料組成物において、
樹脂エマルションをさらに含有してもよい。
樹脂エマルションをさらに含有してもよい。
このような水系塗料組成物によれば、例えば、形成される塗膜の密着性をさらに高めることができる。
本発明に係る水系塗料組成物において、
pHが6.5以上8.4以下であってもよい。
pHが6.5以上8.4以下であってもよい。
このような水系塗料組成物によれば、塗膜の金属光沢をさらに良好に維持することができる。
本発明に係る水系塗料組成物において、
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸化合物をさらに含んでもよい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸化合物をさらに含んでもよい。
このような水系塗料組成物によれば、安定な分散状態をより長期間にわたって得ることができる。
本発明に係る水系塗料組成物において、
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸化合物は、下記式で表される化合物又はその塩であってもよい、
RO[(CH2CH2O)n]mPO(OH)3−m
(式中、Rはアルキル基を示し、nは1以上の整数を示し、mは1以上3以下の整数を示す)
このような水系塗料組成物によれば、安定な分散状態をより長期間にわたって得ることができる。
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸化合物は、下記式で表される化合物又はその塩であってもよい、
RO[(CH2CH2O)n]mPO(OH)3−m
(式中、Rはアルキル基を示し、nは1以上の整数を示し、mは1以上3以下の整数を示す)
このような水系塗料組成物によれば、安定な分散状態をより長期間にわたって得ることができる。
本発明に係る水系塗料組成物において、
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸化合物の含有量は、該水系塗料組成物全体に対して1質量%以上5質量%以下であってもよい。
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸化合物の含有量は、該水系塗料組成物全体に対して1質量%以上5質量%以下であってもよい。
本発明に係る顔料ペーストの一態様は、
アルミニウム顔料を含有し、水系塗料組成物の調製に用いる顔料ペーストであって、
前記アルミニウム顔料は、フッ素系化合物で表面処理され、平板状粒子であり、厚さ方向の平均厚さ(Z)が8nm〜100nmである。
アルミニウム顔料を含有し、水系塗料組成物の調製に用いる顔料ペーストであって、
前記アルミニウム顔料は、フッ素系化合物で表面処理され、平板状粒子であり、厚さ方向の平均厚さ(Z)が8nm〜100nmである。
このような顔料ペーストによれば、金属光沢感及び耐水性に優れた塗膜を容易に形成することができる。すなわち、当該顔料ペーストに含有されるアルミニウム顔料が、フッ素系化合物で表面処理された結果、水との反応が抑制され、かつ、平板状の形状で平均厚さ(Z)が8nm以上100nm以下であるので、仮に表面が化学変化により透明化したとしても十分な金属光沢を維持することができるとともに、薄いことによりリーフィング効果を得やすく、金属光沢感の優れた塗膜を形成することができる。
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
本実施形態に係る水系塗料組成物及び顔料ペーストは、いずれもアルミニウム顔料を含有し、このようなアルミニウム顔料は、フッ素系化合物で表面処理され、平板状粒子であり、厚さ方向の平均厚さ(Z)が8nm以上100nm以下である。
以下、水系塗料組成物、顔料ペーストの順に説明する。
1.水系塗料組成物
本実施形態に係る水系塗料組成物は、水とアルミニウム顔料とを含む水系塗料組成物であって、アルミニウム顔料は、フッ素系化合物によって表面処理されたものであり、平板状粒子であり、厚さ方向の平均厚さ(Z)が8nm以上100nm以下である。
本実施形態に係る水系塗料組成物は、水とアルミニウム顔料とを含む水系塗料組成物であって、アルミニウム顔料は、フッ素系化合物によって表面処理されたものであり、平板状粒子であり、厚さ方向の平均厚さ(Z)が8nm以上100nm以下である。
1.1.アルミニウム顔料
本実施形態に係る水系塗料組成物に含まれるアルミニウム顔料は、アルミニウムを含む材料で構成された顔料粒子(以下、表面処理される前のアルミニウムを含む材料で構成された顔料粒子を「母粒子」ともいう。)がフッ素系化合物によって表面処理されたものである。すなわち、本実施形態に係る水系塗料組成物に含まれるアルミニウム顔料は、アルミニウムを含む材料で構成された顔料粒子(母粒子)の表面が、フッ素系化合物によって表面処理され、単層もしくは複数層で被覆された構造を有している。
本実施形態に係る水系塗料組成物に含まれるアルミニウム顔料は、アルミニウムを含む材料で構成された顔料粒子(以下、表面処理される前のアルミニウムを含む材料で構成された顔料粒子を「母粒子」ともいう。)がフッ素系化合物によって表面処理されたものである。すなわち、本実施形態に係る水系塗料組成物に含まれるアルミニウム顔料は、アルミニウムを含む材料で構成された顔料粒子(母粒子)の表面が、フッ素系化合物によって表面処理され、単層もしくは複数層で被覆された構造を有している。
1.1.1.母粒子
まず、アルミニウムを含む材料で構成された顔料粒子(母粒子)について説明する。母粒子は、少なくとも表面付近を含む領域がアルミニウムで構成されたものであればよく、全体がアルミニウムで構成されたものであってもよい。また、母粒子は、非金属材料で構成された基部と、該基部を被覆するアルミニウムで構成された被膜と、を有するものであってもよい。
まず、アルミニウムを含む材料で構成された顔料粒子(母粒子)について説明する。母粒子は、少なくとも表面付近を含む領域がアルミニウムで構成されたものであればよく、全体がアルミニウムで構成されたものであってもよい。また、母粒子は、非金属材料で構成された基部と、該基部を被覆するアルミニウムで構成された被膜と、を有するものであってもよい。
母粒子の少なくとも表面は、金属光沢性を確保する観点及びコストの観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成されることが好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金は、水中に分散させると、水との反応により水素ガスを発生すると共に、水酸化アルミニウム若しくはアルミナを形成して白色化又は透明化する場合がある。この反応が生じると、顔料の金属光沢性が損なわれてしまうという問題があった。これに対して、本実施形態では、フッ素系化合物を含有する単層もしくは複数層で被覆されたアルミニウム顔料を用いることで、アルミニウム顔料の耐水性が格段に向上するため、上記のような問題の発生を抑制することができる。
母粒子は、いかなる方法で製造されたものであってもよいが、例えばシート状基材の一方の面に蒸着法を用いてアルミニウムで形成された膜を形成し、その後シート状基材からアルミニウムで形成された膜を剥離及び粉砕することにより得られたものであることが好ましい。前記蒸着法に代えて、イオンプレーティング又はスパッタリング法を用いてもよい。この方法によれば、膜厚のバラツキが少なく、且つ表面の平坦性が高い鱗片状(平板状)の母粒子が得られるため、母粒子が本来有する金属光沢性等をより効果的に発現させやすく好適である。
シート状基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルムを用いることができる。また、シート状基材の成膜面には、あらかじめ剥離性を良くするためにシリコーンオイル等の離型剤を塗布しておいてもよく、剥離用樹脂層を形成しておいてもよい。剥離用樹脂層に用いられる樹脂としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、変性ナイロン樹脂等が挙げられる。剥離及び粉砕は、例えば、非水系媒体中において前記膜に超音波を照射したり、ホモジナイザー等で撹拌して外力を加えることにより行われる。
上記のような方法で、剥離及び粉砕を行う場合の非水系媒体としては、メタノール、エ
タノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼン等の炭化水素系化合物;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン等のエーテル系化合物;プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノン、アセトニトリル等の極性有機溶剤を好適に用いることができる。このような非水系媒体を用いることにより、母粒子の不本意な酸化等を防止しつつ、各粒子間での大きさ、形状、特性のばらつきを小さくすることができる。
タノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼン等の炭化水素系化合物;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン等のエーテル系化合物;プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノン、アセトニトリル等の極性有機溶剤を好適に用いることができる。このような非水系媒体を用いることにより、母粒子の不本意な酸化等を防止しつつ、各粒子間での大きさ、形状、特性のばらつきを小さくすることができる。
なお、母粒子の好ましい平均粒子径及び平均厚さは、後述するアルミニウム顔料の平均粒子径及び平均厚さとほぼ同様であるため、ここでの説明は省略する。
1.1.2.フッ素系化合物
次に、母粒子の表面処理に用いられるフッ素系化合物について説明する。上述したように、本実施形態に係る水系塗料組成物に含まれるアルミニウム顔料は、上記母粒子がフッ素系化合物によって表面処理されたものである。このようなフッ素系化合物としては、フッ素系ホスホン酸、フッ素系カルボン酸、フッ素系スルホン酸、及びこれらの塩等を好ましく用いることができる。これらのフッ素系化合物であれば、リン酸基、カルボキシ基、スルホン酸基等が、母粒子の表面に結合することにより被膜を形成することができるので、耐水性を向上させたアルミニウム顔料が得られる。これにより、アルミニウム顔料が水系媒体中における水と反応することを効果的に抑制でき、また水分散性にも優れた水系塗料組成物が得られる。これらの中でも、リン酸基が母粒子表面への結合能力に特に優れていることから、フッ素系ホスホン酸及びその塩がより好ましい。
次に、母粒子の表面処理に用いられるフッ素系化合物について説明する。上述したように、本実施形態に係る水系塗料組成物に含まれるアルミニウム顔料は、上記母粒子がフッ素系化合物によって表面処理されたものである。このようなフッ素系化合物としては、フッ素系ホスホン酸、フッ素系カルボン酸、フッ素系スルホン酸、及びこれらの塩等を好ましく用いることができる。これらのフッ素系化合物であれば、リン酸基、カルボキシ基、スルホン酸基等が、母粒子の表面に結合することにより被膜を形成することができるので、耐水性を向上させたアルミニウム顔料が得られる。これにより、アルミニウム顔料が水系媒体中における水と反応することを効果的に抑制でき、また水分散性にも優れた水系塗料組成物が得られる。これらの中でも、リン酸基が母粒子表面への結合能力に特に優れていることから、フッ素系ホスホン酸及びその塩がより好ましい。
フッ素系ホスホン酸及びその塩としては、下記一般式(1)で表される構造を有するものであることが好ましい。
上記フッ素系ホスホン酸としては、母粒子表面への吸着能と耐水性向上とのバランスに優れている観点から、下記一般式(2)で表される化合物であることが特に好ましい。
フッ素系カルボン酸及びその塩としては、下記一般式(3)で表される構造を有するものであることが好ましい。
なお、フッ素系化合物の分子量は、1000以下であることが好ましい。母粒子の表面に吸着させるフッ素系化合物が、例えば特開2003−213157号公報、特開2006−169393号公報、特開2009−215411号公報等に記載されているフッ素系重合体である場合、被膜が厚くなりすぎて金属光沢性が損なわれるだけでなく、被膜が形成されたアルミニウム顔料同士のインタラクションが強くなるため、水分散性が著しく低下する場合がある。そのため、母粒子の表面に形成される膜は、分子量1000以下のフッ素系化合物により形成された単分子膜とすることが好ましい。
このようなフッ素系化合物の具体例としては、FHP−2−OH(2−(パーフルオロヘキシル)エチルホスホン酸:NOK社製)、FBP−2−OH(2−(パーフルオロブチル)エチルホスホン酸:NOK社製)等が挙げられる。
1.1.3.平板状の形状及び平均厚さ
本実施形態の水系塗料組成物で使用するアルミニウム顔料は、平板状粒子であり、厚さ方向の平均厚さ(Z)が8nm以上100nm以下である。アルミニウム顔料の形状が平板状(鱗片状ともいう)である場合、光反射性が良好となるため、金属光沢性に優れた画像を得ることができる。
本実施形態の水系塗料組成物で使用するアルミニウム顔料は、平板状粒子であり、厚さ方向の平均厚さ(Z)が8nm以上100nm以下である。アルミニウム顔料の形状が平板状(鱗片状ともいう)である場合、光反射性が良好となるため、金属光沢性に優れた画像を得ることができる。
本明細書において、平板状(鱗片状)とは、平らな板状、湾曲板状等のように、所定の角度から観察した際(平面視した際)の面積が、当該観察方向と直交する角度から観察した際の面積よりも大きい形状のことをいい、特に、投影面積が最大となる方向から観察した際(平面視した際)の面積S1[μm2]と、当該観察方向と直交する方向のうち観察した際の面積が最大となる方向から観察した際の面積S0[μm2]に対する比率(S1/S0)が、好ましくは2以上であり、より好ましくは5以上であり、特に好ましくは8以上である。この値としては、例えば、任意の10個の粒子について観察を行い、これら
の粒子について算出される値の平均値を採用することができる。
の粒子について算出される値の平均値を採用することができる。
本実施形態に係る水系塗料組成物に含まれるアルミニウム顔料では、平均粒子径(平均粒径(D)ともいう)が1μm以上50μm以下であることでき、好ましくは2μm以上40μm以下、より好ましくは3μm以上20μm以下、さらに好ましくは5μm以上15μm以下である。
また、本実施形態に係る顔料分散液に含まれるアルミニウム顔料では、平均厚さ(Z)が8nm以上100nm以下であり、好ましくは9nm以上90nm以下、より好ましくは10nm以上80nm以下である。なお、測定は困難であるが、被膜の厚さは、特に限定されず、例えば0.5nm以上10nm以下程度と考えられる。
アルミニウム顔料の平均粒子径及び平均厚さが上記範囲にあることで、水系塗料組成物に適用した場合において、塗膜の平滑性に優れ、金属光沢性に優れた塗膜(画像)を形成することができる。また、生産性良く顔料分散液を製造できると共に、水系塗料組成物製造時におけるアルミニウム顔料の不本意な変形を防止することもできる。
この平均粒子径は、粒子像分析装置により得られるアルミニウム顔料の投影画像の面積から求めた円相当径の50%平均粒子径(R50)で表される。「円相当径」とは、粒子像分析装置を用いて得られる該アルミニウム顔料の投影画像の面積と同じ面積を持つ円と想定したときの当該円の直径である。例えば、アルミニウム顔料の投影画像が多角形である場合、その投影画像を円に変換して得られた当該円の直径を、そのアルミニウム顔料の円相当径という。
アルミニウム顔料の投影画像の面積及び円相当径は、粒子像分析装置を用いて測定することができる。このような粒子像分析装置としては、例えば、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100、FPIA−3000、FPIA−3000S(以上、シスメックス株式会社製)等が挙げられる。なお、円相当径の平均粒子径は、個数基準の粒子径である。また、FPIA−3000又は3000Sを用いる場合の測定方法としては、高倍率撮像ユニットを用い、HPF測定モードで測定する方法が一例として挙げられる。
また、平均厚さとは、透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてアルミニウム顔料の側面画像を撮影し、10個のアルミニウム顔料の厚さをそれぞれ求め、それらを平均したものである。透過型電子顕微鏡(TEM)としては、日本電子株式会社製の型式「JEM−2000EX」等が、走査型電子顕微鏡としては、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の型式「S−4700」等がそれぞれ挙げられる。
また、アルミニウム顔料の平均粒径(D)と平均厚さ(Z)との比(D/Z)は、好ましくは5以上3000以下、より好ましくは10以上1500以下、さらに好ましくは15以上1000以下、特に好ましくは50以上800以下である。このような範囲であれば、リーフィング効果が十分に得られ、良好な金属光沢を呈する塗膜を得られるとともに、水系塗料組成物の状態で、アルミニウム顔料の沈降をさらに抑制することができる。
1.1.4.アルミニウム顔料の物性
<XPS分析>
XPS(X−ray Photoelectoron Spectroscopy)分析によれば、アルミニウム顔料の極表面(数nm程度)の情報を得ることができる。XPS分析は、超高真空中で試料にX線を照射し、放出される光電子を検出する分析法である。放出される光電子は、対象となる原子の内殻電子に起因するものであり、そのエネルギーは元素ごとに定まることから、エネルギー値を知ることで定性分析を行うことができる
。
<XPS分析>
XPS(X−ray Photoelectoron Spectroscopy)分析によれば、アルミニウム顔料の極表面(数nm程度)の情報を得ることができる。XPS分析は、超高真空中で試料にX線を照射し、放出される光電子を検出する分析法である。放出される光電子は、対象となる原子の内殻電子に起因するものであり、そのエネルギーは元素ごとに定まることから、エネルギー値を知ることで定性分析を行うことができる
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本実施形態に係る水系塗料組成物に含まれるアルミニウム顔料は、XPS分析(試料表面への入射角が45°、検出角度が90°)を行った際に、フッ素元素の濃度が例えば21〜35atm%程度であってよい。このことは、アルミニウム顔料の極表面(数nm程度)に、フッ素系化合物が密に存在していることを示している。アルミニウム顔料のフッ素元素の濃度が上記範囲にあると、耐水性が格段に向上するため、優れた金属光沢性を有すると共に、水分散性がとりわけ良好な水系塗料組成物となる。アルミニウム顔料のフッ素元素の濃度が上記範囲未満の場合には、耐水性が不十分となるため、アルミニウム顔料と水とが反応して金属光沢性が失われるとともに、水分散性も悪化する場合がある。一方、アルミニウム顔料のフッ素元素の濃度が上記範囲を超えるようなアルミニウム顔料は、その製造に技術的困難性を伴う。
本実施形態に係る水系塗料組成物に含まれるアルミニウム顔料は、XPS分析(試料表面への入射角が45°、検出角度が90°)を行った際に、リン、硫黄又は窒素、若しくはこれらの元素の総和の濃度が、0.8atm%以上であることが好ましい。このことは、アルミニウム顔料の極表面(数nm程度)に、フッ素系ホスホン酸、フッ素系スルホン酸、及びこれらの塩等のフッ素系化合物が吸着して密に存在していることを示している。リン、硫黄又は窒素、若しくはこれらの元素の総和の濃度が0.8atm%以上である場合には、耐水性が格段に向上するため、優れた金属光沢性を有すると共に、水分散性がとりわけ良好な水系塗料組成物となる。
本実施形態に係る水系塗料組成物に含まれるアルミニウム顔料は、XPS分析(試料表面への入射角が45°、検出角度が90°)を行った際に、フッ素元素の濃度([F];atm%)と酸素元素の濃度([O];atm%)との比([F]/[O])が、0.7〜1.2であることが好ましい。酸素元素の濃度は、アルミニウム顔料に含まれるアルミニウムの水酸化物由来に依存する傾向があるため、このこともまた、アルミニウム顔料の極表面(数nm程度)に、フッ素系化合物が密に存在していることを示している。アルミニウム顔料の比([F]/[O])が上記範囲にあると、アルミニウム顔料表面におけるフッ素元素の濃度と酸素元素の濃度とのバランスが良好となり、耐水性が格段に向上するため、優れた金属光沢性を有すると共に、水分散性がとりわけ良好な水系塗料組成物となる。
分析にはX線光電子分光分析装置を用いることが可能で有り、市販の装置を用いることが出来る。市販の測定装置としては例えば、「複合電子分光装置」、サーモエレクトロン株式会社製が上げられる。
本実施形態に係る水系塗料組成物に含まれるアルミニウム顔料は、母粒子としてアルミニウム又はアルミニウム合金を用いた場合には、XPS分析(試料表面への入射角が45°、検出角度が90°)を行った際に、フッ素元素の濃度([F];atm%)とアルミニウム元素の濃度([Al];atm%)との比([F]/[Al])が、0.7〜1.2であることが好ましい。このこともまた、アルミニウム顔料の極表面(数nm程度)に、フッ素系化合物が密に存在していることを示している。比([F]/[Al])が上記範囲にあると、アルミニウム顔料表面におけるアルミニウム元素の濃度とフッ素元素の濃度とのバランスが良好となり、耐水性が格段に向上するため、優れた金属光沢性を有すると共に、水分散性がとりわけ良好な水系塗料組成物となる。
さらに、原子の置かれている環境(化学状態)によって電子状態が変わることからピーク位置がわずかにシフトすることを利用して、化学構造解析を行うことができる。具体的には、各化学状態に相当する成分を例えばフォークト関数で近似し、ピーク分割を行うこ
とによってそれぞれの成分の割合を算出することができる。
とによってそれぞれの成分の割合を算出することができる。
フッ素系ホスホン酸(塩)で表面処理したアルミニウム顔料の場合には、X線光電子分光スペクトルにおいて、フォークト関数で近似し、ピーク分割した際に、190eV以上192eV以下にピークを有してもよい。母粒子の表面にフッ素系ホスホン酸(塩)が結合することで、P(リン)のピークが190eV以上192eV以下の間にケミカルシフトする。190eV以上192eV以下にピークが存在することで、フッ素系ホスホン酸(塩)が母粒子の表面に確実に結合していることになる。これにより、アルミニウム顔料に耐水性が付与されて、優れた金属光沢性を有すると共に、水分散性がとりわけ良好な水系塗料組成物となる。
また、フッ素系化合物で表面処理したアルミニウム顔料の場合、X線光電子分光スペクトルにおいて、291eV及び293eVにピークを有する。291eVのピークは−CF2−に由来するピークであり、293eVのピークは−CF3に由来するピークであることから、291eV及び293eVにピークが認められる場合には、フッ素系化合物が母粒子の表面に結合していることがわかる。
1.1.5.アルミニウム顔料の含有量
本実施形態に係る水系塗料組成物におけるアルミニウム顔料の濃度(含有量)は、水系塗料組成物の全質量に対して、固形物量として、好ましくは1質量%以上40質量%以下、より好ましくは1質量%以上35質量%以下、さらに好ましくは1質量%以上30質量%以下である。このような含有量の範囲であれば、良好な金属光沢を呈する塗膜を形成することができる。
本実施形態に係る水系塗料組成物におけるアルミニウム顔料の濃度(含有量)は、水系塗料組成物の全質量に対して、固形物量として、好ましくは1質量%以上40質量%以下、より好ましくは1質量%以上35質量%以下、さらに好ましくは1質量%以上30質量%以下である。このような含有量の範囲であれば、良好な金属光沢を呈する塗膜を形成することができる。
1.2.水
本実施形態に係る水系塗料組成物は、水を含んでいる。水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加等によって滅菌した水を用いると、水系塗料組成物を長期保存する場合に細菌類や真菌類の発生を抑制することができる。
本実施形態に係る水系塗料組成物は、水を含んでいる。水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加等によって滅菌した水を用いると、水系塗料組成物を長期保存する場合に細菌類や真菌類の発生を抑制することができる。
水の含有量は、水系塗料組成物の総量に対して、30質量%以上、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは45質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%以上である。なお水系塗料組成物中の水というときには、例えば、原料として用いる顔料分散液、樹脂粒子分散液、添加する水を含むものとする。水の含有量が30質量%以上であることにより、水系塗料組成物を比較的低粘度とすることができる。また、水の含有量の上限は、水系塗料組成物の総量に対して、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは85質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以下である。なお、本明細書において「水系」という場合には、インクの全質量(100質量%)に対して、水を30質量%以上含有する組成物のことを指す。
1.3.その他の成分
本実施形態に係る水系塗料組成物は、樹脂類(樹脂エマルション)、界面活性剤、アルカンジオール、多価アルコール、pH調整剤等を必要に応じて添加することができる。
本実施形態に係る水系塗料組成物は、樹脂類(樹脂エマルション)、界面活性剤、アルカンジオール、多価アルコール、pH調整剤等を必要に応じて添加することができる。
1.3.1.樹脂類
樹脂類(樹脂エマルション)は、アルミニウム顔料を塗布対象に対して強固に定着させる機能を有する。樹脂類としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアノアクリレート、アクリルアミド、オレフィン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルエーテル
、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、塩化ビニリデンの単独重合体もしくは共重合体、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、天然樹脂等が挙げられる。なお、上記の共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。好適な樹脂エマルションの例としては、ポリゾールAP−7010、AP−7030(いずれも昭和電工株式会社製)などが挙げられる。
樹脂類(樹脂エマルション)は、アルミニウム顔料を塗布対象に対して強固に定着させる機能を有する。樹脂類としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアノアクリレート、アクリルアミド、オレフィン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルエーテル
、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、塩化ビニリデンの単独重合体もしくは共重合体、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、天然樹脂等が挙げられる。なお、上記の共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。好適な樹脂エマルションの例としては、ポリゾールAP−7010、AP−7030(いずれも昭和電工株式会社製)などが挙げられる。
1.3.2.界面活性剤
界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤又はポリシロキサン系界面活性剤を含有することが好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤及びポリシロキサン系界面活性剤は、塗布対象への濡れ性を高めたり浸透性を高めることができる。アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は、市販品を利用することもでき、例えば、オルフィンE1010、STG、Y(以上、日信化学工業株式会社製)、サーフィノール104、82、465、485、TG(以上、Air Products
and Chemicals Inc.製)が挙げられる。ポリシロキサン系界面活性剤としては、市販品を利用することができ、例えば、BYK−347、BYK−348(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。さらに、水系塗料組成物には、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などのその他の界面活性剤を添加することもできる。そのような界面活性剤としては、Disperbyk102(D102)(ビックケミー社製)、ディスパロンDA−325(楠本化成株式会社製)等が挙げられる。
界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤又はポリシロキサン系界面活性剤を含有することが好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤及びポリシロキサン系界面活性剤は、塗布対象への濡れ性を高めたり浸透性を高めることができる。アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は、市販品を利用することもでき、例えば、オルフィンE1010、STG、Y(以上、日信化学工業株式会社製)、サーフィノール104、82、465、485、TG(以上、Air Products
and Chemicals Inc.製)が挙げられる。ポリシロキサン系界面活性剤としては、市販品を利用することができ、例えば、BYK−347、BYK−348(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。さらに、水系塗料組成物には、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などのその他の界面活性剤を添加することもできる。そのような界面活性剤としては、Disperbyk102(D102)(ビックケミー社製)、ディスパロンDA−325(楠本化成株式会社製)等が挙げられる。
1.3.3.アルカンジオール
アルカンジオールは、塗布対象等の被記録面への濡れ性や浸透性を高めることができる。アルカンジオールとしては、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール等の炭素数が4以上8以下の1,2−アルカンジオールであることが好ましい。これらの中でも炭素数が6以上8以下の1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールは、塗布対象への浸透性が特に高いためより好ましい。
アルカンジオールは、塗布対象等の被記録面への濡れ性や浸透性を高めることができる。アルカンジオールとしては、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール等の炭素数が4以上8以下の1,2−アルカンジオールであることが好ましい。これらの中でも炭素数が6以上8以下の1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールは、塗布対象への浸透性が特に高いためより好ましい。
1.3.4.多価アルコール
多価アルコールは、例えば水系塗料組成物の乾燥を抑制し、長期間良好な粘度を保ち、良好な塗布性を維持するようにすることができる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
多価アルコールは、例えば水系塗料組成物の乾燥を抑制し、長期間良好な粘度を保ち、良好な塗布性を維持するようにすることができる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
1.3.5.pH調整剤
pH調整剤としては、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
1.3.6.その他
また、本実施形態に係る水系塗料組成物には、水溶性ロジン等の定着剤、安息香酸ナトリウム等の防黴剤・防腐剤、アロハネート類等の酸化防止剤・紫外線吸収剤、キレート剤
、酸素吸収剤等の添加剤を添加することができる。これらの添加剤は、1種単独で用いることもできるし、2種以上組み合わせて用いることもできる。
また、本実施形態に係る水系塗料組成物には、水溶性ロジン等の定着剤、安息香酸ナトリウム等の防黴剤・防腐剤、アロハネート類等の酸化防止剤・紫外線吸収剤、キレート剤
、酸素吸収剤等の添加剤を添加することができる。これらの添加剤は、1種単独で用いることもできるし、2種以上組み合わせて用いることもできる。
また、上述のフッ素系化合物で表面処理されたアルミニウム顔料をさらに被覆する目的で、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのエステル化合物を含有してもよい。ポリオキシエチレンアルキルエーテルのエステル化合物は、リン酸、カルボン酸、スルホン酸等とのエステルであり得る。なかでもポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸化合物(エステル)が好適であり、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸化合物としては、リン酸とポリオキシエチレンアルキルエーテルとが脱水縮合してなるエステルが挙げられる。より具体的には、下記式、
RO[(CH2CH2O)n]mPO(OH)3−m
(式中、Rはアルキル基を示し、nは1以上の整数を示し、mは1以上3以下の整数を示す)
で表される化合物を例示することができる。
RO[(CH2CH2O)n]mPO(OH)3−m
(式中、Rはアルキル基を示し、nは1以上の整数を示し、mは1以上3以下の整数を示す)
で表される化合物を例示することができる。
上記式の化合物は、リン酸部位の水素原子のうち、全部又は一部が有機基で置換された構造である。アルミニウム顔料の表面とポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸化合物とが反応すると、酸素原子を介してアルミニウムの表面とリン原子とが共有結合で結ばれる。その結果、アルミニウム顔料の表面にさらに強固な被膜を形成することができる。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸化合物とは、上記構造を有する化合物のみを含むものの他、その塩のみを含むもの、これらの双方を含むものを指す。このようなポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸化合物としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル又はその塩が挙げられる。
このようなポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸化合物としては、例えば、NIKKOL DDP−2、DDP−4、DDP−6、DDP−10、TLP−4、TCP−5、TDP−2、TDP−6、TDP−8、TDP−10(以上、日光ケミカルズ(株)製)、プライサーフ AL、A210D、A−208B、A219B(以上、第一工業製薬(株)製)、アデカコールCS−1361E(ADEKA社製)、フォスファノールRD−720、ML−200(東邦化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルの塩としては、例えば、NIKKOL DLP−10、DOP−8NV(以上、日光ケミカルズ(株)製)、プライサーフM−208F、M−208B(以上、第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
1.4.水系塗料組成物の物性
本実施形態に係る水系塗料組成物の20℃における粘度は、好ましくは10mPa・s以上500mPa・s以下であり、より好ましくは30mPa・s以上200mPa・s以下である。水系塗料組成物の20℃における粘度が前記範囲内にあると、塗布対象に塗布する際の伸びの良さと、垂れ難さとをバランスさせることができる。
本実施形態に係る水系塗料組成物の20℃における粘度は、好ましくは10mPa・s以上500mPa・s以下であり、より好ましくは30mPa・s以上200mPa・s以下である。水系塗料組成物の20℃における粘度が前記範囲内にあると、塗布対象に塗布する際の伸びの良さと、垂れ難さとをバランスさせることができる。
また、本実施形態に係る水系塗料組成物のpHは、5以上10以下が好ましく、6以上9.5以下がより好ましく、6.5以上8.4以下がさらに好ましく、6.7以上8.2以下が特に好ましい。pHがこの程度であれば、アルミニウム顔料の表面の化学変化を十分に抑制することができ、水系塗料組成物によって形成される塗膜の金属光沢をさらに良好に維持することができる。
1.5.水系塗料組成物の製造方法
本実施形態に係る水系塗料組成物は、例えば以下のようにして製造することができる。
本実施形態に係る水系塗料組成物は、例えば以下のようにして製造することができる。
まず、上述した母粒子を非水系媒体中に分散させた分散液を準備する。この分散液を必要に応じて同種又は異種の非水系媒体で希釈した後、母粒子の平均粒子径がおよそ20μm以下となるようにホモジナイザー等の攪拌機で撹拌して母粒子を粉砕処理する。粉砕処理の時間は、特に制限されないが、通常1〜24時間である。また、希釈に用いられる非水系媒体としては、上記で例示した剥離及び粉砕を行う場合の非水系媒体と同様の非水系媒体が挙げられる。
次いで、粉砕処理済みの母粒子が非水系媒体中に分散された分散液にフッ素系化合物を添加して、超音波を照射することにより母粒子の表面にフッ素系化合物の被膜を形成させる。このようにして、母粒子の表面がフッ素系化合物により処理されたアルミニウム顔料が得られる。フッ素系化合物の添加量は、母粒子100質量部に対して1〜70質量部、好ましくは5〜40質量部、より好ましくは15〜30質量部である。また、超音波照射して表面処理する際には加熱してもよい。加熱温度としては、40℃以上であることが好ましい。加熱処理することで、母粒子の表面とフッ素系化合物とが共有結合を形成し、結合力が強化されると考えられる。
母粒子のフッ素系化合物による表面処理は、母粒子の表面に直接処理するものであってもよいが、あらかじめ酸又は塩基を処理させた母粒子に対してフッ素系化合物による処理を行ってもよい。これにより、母粒子表面に、フッ素系化合物による化学的な修飾をより確実に行うことができ、上述したような本発明による効果をより効果的に発揮させることができる。また、フッ素系化合物による表面処理を行う前に母粒子となるべき粒子の表面に酸化被膜が形成されている場合であっても、該酸化被膜を除去することができ、酸化被膜が除去された状態でフッ素系化合物による表面処理を行うことができるため、製造されるアルミニウム顔料の金属光沢性を優れたものとすることができる。このような酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、ホウ酸、酢酸、炭酸、蟻酸、安息香酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、亜硫酸、次亜硫酸、亜硝酸、次亜硝酸、亜リン酸、次亜リン酸等のプロトン酸を用いることができる。一方、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等を用いることができる。
次いで、溶媒置換を行う。具体的には、アルミニウム顔料が非水系媒体中に分散された分散液を遠心分離して上澄み液を除去し、そこに水系媒体を適量加えて、超音波照射することにより水系媒体中にアルミニウム顔料を分散させる。このようにして、アルミニウム顔料が分散された水系塗料組成物が得られる。また、このようにして得られた水系塗料組成物をさらに加熱処理することも好ましい。母粒子の表面にイオン結合していたフッ素系化合物は、加熱することにより脱水して共有結合を形成するものと推定され、母粒子とフッ素系化合物とがより強固に結合することができ、上述したような本発明による効果をより効果的に発揮させることができる。加熱温度としては、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上である。加熱処理時間は、1日〜10日であることが好ましい。
上記水系媒体は、水を主成分とする媒体であればよく、有機溶剤、界面活性剤、第三級アミン、pH調整剤等をさらに添加してもよい。水系媒体中の水の含有割合は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、特に好ましくは45質量%以上である。
水系媒体に添加し得る有機溶剤としては、水との相溶性の観点から、極性有機溶剤であることが好ましい。このような極性有機溶剤としては、例えば、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、フッ化アルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等)、エーテル類(ジエチルエーテル、
ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、多価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等)、グリコールエーテル系溶剤(トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルキレングリコールモノエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのアルキレングリコールジエーテル等)等が挙げられる。水系媒体中の有機溶剤の含有割合は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは45〜55質量%以下である。有機溶剤の含有割合が上記範囲内であると、アルミニウム顔料の耐水性が向上するとともに、金属光沢性が良好となる場合がある。
ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、多価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等)、グリコールエーテル系溶剤(トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルキレングリコールモノエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのアルキレングリコールジエーテル等)等が挙げられる。水系媒体中の有機溶剤の含有割合は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは45〜55質量%以下である。有機溶剤の含有割合が上記範囲内であると、アルミニウム顔料の耐水性が向上するとともに、金属光沢性が良好となる場合がある。
水系媒体に添加し得る界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤及び/又はシリコン系界面活性剤であることが好ましい。水系媒体中の界面活性剤の含有割合は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは0.01〜2質量%以下、特に好ましくは0.1〜1質量%以下である。界面活性剤の含有割合が上記範囲内であると、アルミニウム顔料の耐水性がより向上する傾向がある。また、金属光沢画像を記録した際にスリップ剤としての機能が発現し、画像の耐擦性が向上する効果が得られる場合がある。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF−430、メガファックF−444、メガファックF−472SF、メガファックF−475、メガファックF−477、メガファックF−552、メガファックF−553、メガファックF−554、メガファックF−555、メガファックF−556、メガファックF−558、メガファックR−94、メガファックRS−75、メガファックRS−72−K(以上いずれも商品名、DIC株式会社製);EFTOP EF−351、EFTOP EF−352、EFTOP EF−601、EFTOP EF−801、EFTOP EF−802(以上いずれも商品名、三菱マテリアル株式会社製);フタージェント222F、フタージェント251、FTX−218(以上いずれも商品名、株式会社ネオス製);サーフロンSC−101、サーフロンKH−40(以上いずれも商品名、AGCセイミケミカル株式会社製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、BYK−300、BYK−306、BYK−310、BYK−320、BYK−330、BYK−344、BYK−346、BYK−UV3500、BYK−UV3570(以上いずれも商品名、ビックケミー・ジャパン(株式会社製);KP−341、KP−358、KP−368、KF−96−50CS、KF−50−100CS(以上いずれも商品名、信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。
水系媒体に添加し得る第三級アミンとしては、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリブタノールアミン、N,N−ジメチル−2−アミノエタノール、N,N−ジエチル−2−アミノエタノール等のヒドロキシルアミンが挙げられる。水系媒体に第三級アミンを添加することで、立体障害効果及びpH調整作用により、アルミニウム顔料の水分散性が向上する場合がある。
水系媒体に添加し得るpH調整剤としては、pHを4〜10の範囲に調整できる緩衝作用を有するものであることが好ましい。pHが4〜10の範囲では、アルミニウム顔料(特にアルミニウム及びアルミニウム合金)のゼータ電位が負となり、アルミニウム顔料同士の静電反発力によってアルミニウム顔料の水分散性が向上する。このような緩衝作用を有するpH調整剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、モルホリノエタンスルホン酸(MES)、カルバモイルメチルイミノビス酢酸(ADA)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)
(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、コラミン塩酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、アセトアミドグリシン、トリシン、グリシンアミド、ビシン等のグッドバッファー、リン酸緩衝液、トリス緩衝液などが挙げられる。
(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、コラミン塩酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、アセトアミドグリシン、トリシン、グリシンアミド、ビシン等のグッドバッファー、リン酸緩衝液、トリス緩衝液などが挙げられる。
2.顔料ペースト
本実施形態に係る顔料ペーストは、上述の水系塗料組成物と同様の成分を含有し、水、有機溶剤を含む何れかの溶媒の含有量が水系塗料組成物よりも小さいことを特徴とする。本実施形態に係る顔料ペーストは、アルミニウム顔料同士が凝集することが抑制され、保存安定性が良好となる。また、アルミニウム顔料の表面に結合しているフッ素系化合物中のフッ素の効果により、表面自由エネルギーを低くすることができるので、乾燥時にアルミニウム顔料がリーフィングしやすく、金属光沢性に優れた画像を形成することができる。
本実施形態に係る顔料ペーストは、上述の水系塗料組成物と同様の成分を含有し、水、有機溶剤を含む何れかの溶媒の含有量が水系塗料組成物よりも小さいことを特徴とする。本実施形態に係る顔料ペーストは、アルミニウム顔料同士が凝集することが抑制され、保存安定性が良好となる。また、アルミニウム顔料の表面に結合しているフッ素系化合物中のフッ素の効果により、表面自由エネルギーを低くすることができるので、乾燥時にアルミニウム顔料がリーフィングしやすく、金属光沢性に優れた画像を形成することができる。
本明細書において「ペースト」とは、液状媒体として水を50質量%以下、好ましくは30質量%以下含有する粘凋な液体のことをいう。水は、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水又は超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を紫外線照射又は過酸化水素添加などにより滅菌処理した水は、長期間に亘りカビやバクテリアの発生を抑制することができるので好ましい。
本実施形態に係る顔料ペーストにおけるアルミニウム顔料の濃度は、全質量に対して、固形分として好ましくは10質量%以上50質量%以下、より好ましくは10質量%以上45質量%以下、さらに好ましくは15質量%以上40質量%以下である。
3.実施例
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
3.1.水系塗料組成物の製造
3.1.1.実施例1
まず、表面が平滑なポリエチレンテレフタレート製のフィルム(表面粗さRaが0.02μm以下)を用意した。
3.1.1.実施例1
まず、表面が平滑なポリエチレンテレフタレート製のフィルム(表面粗さRaが0.02μm以下)を用意した。
次に、このフィルムの一方の面の全体にシリコーンオイルを塗布した。このシリコーンオイルを塗布した面側に、蒸着法を用いてアルミニウムで構成された膜(以下、単に「アルミニウム膜」ともいう。)を形成した。
次に、アルミニウム膜が形成されたフィルムを、ジエチレングリコールジエチルエーテル中に入れ、超音波を照射することにより、フィルムからアルミニウム膜を剥離・粉砕した。次に、これをホモジナイザーに投入し約8時間粉砕処理することにより、鱗片状のアルミニウム粒子(母粒子)の分散液を得た。この分散液中におけるアルミニウム粒子の濃度は10質量%であった。
次に、表1の上段に示すようなアルミニウム表面処理を行った。上記のようにして得られたアルミニウム粒子を含む分散液100質量部に対して、ジエチレングリコールジエチルエーテルを100質量部添加し、アルミニウム粒子の濃度を5質量%に調整後、アルミニウム粒子100質量部に対して2−(パーフルオロヘキシル)エチルホスホン酸(FHP−2−OH:NOK社製)を50質量部加え、液温55℃で、3時間超音波を照射しな
がら、アルミニウム粒子の表面処理を行った。その後、遠心分離機(10000rpm×30分)にて表面処理されたアルミニウム粒子を遠心沈降させ、その上澄み部分を廃棄し、水系媒体(オルフィンE1010(日信化学工業(株)製)1%、水29%質量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル70%、を混合したもの)を残留物と等質量加えて、さらに超音波を照射することにより表面処理されたアルミニウム粒子を再分散させて、ペーストを得た。
がら、アルミニウム粒子の表面処理を行った。その後、遠心分離機(10000rpm×30分)にて表面処理されたアルミニウム粒子を遠心沈降させ、その上澄み部分を廃棄し、水系媒体(オルフィンE1010(日信化学工業(株)製)1%、水29%質量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル70%、を混合したもの)を残留物と等質量加えて、さらに超音波を照射することにより表面処理されたアルミニウム粒子を再分散させて、ペーストを得た。
このペーストにおけるアルミニウム粒子の平均粒子径(D)(D50)は9μmであり、平均厚さ(Z)は20nmであった。
そして、表1の下段に示した組成となるように、ペースト(顔料固形分)、ポリゾールAP−7010N(樹脂エマルション:昭和電工株式会社製)、界面活性剤、有機溶剤(BDP及びBDのBDP/BD=8/7の混合溶剤)を混合し、さらに100質量%となるようにイオン交換水を加えて、混合撹拌して、各例の水系塗料組成物を得た。なお、BDP、BDは、それぞれ、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの略号である。
3.1.2.実施例2〜4、比較例1
2−(パーフルオロヘキシル)エチルホスホン酸の添加量を表1に記載の量とし、比較例1では、FHPを使用しなかった以外は、上記実施例1と同様にして表面処理されたアルミニウム粒子の水系塗料組成物を製造した。
2−(パーフルオロヘキシル)エチルホスホン酸の添加量を表1に記載の量とし、比較例1では、FHPを使用しなかった以外は、上記実施例1と同様にして表面処理されたアルミニウム粒子の水系塗料組成物を製造した。
3.1.3.実施例5、6
表面処理に用いたフッ素系化合物をFBP−2−OH(NOK社製:2−(パーフルオロブチル)エチルホスホン酸)に変更し、添加量を表1に記載の量とした以外は、上記実施例1と同様にして表面処理されたアルミニウム粒子の水系塗料組成物を製造した。
表面処理に用いたフッ素系化合物をFBP−2−OH(NOK社製:2−(パーフルオロブチル)エチルホスホン酸)に変更し、添加量を表1に記載の量とした以外は、上記実施例1と同様にして表面処理されたアルミニウム粒子の水系塗料組成物を製造した。
3.1.4.実施例7〜14、比較例2〜5
アルミニウム粒子の厚さを蒸着時間を変えて変更し、粒径を粉砕時間を変えて変更し、また、アルミニウムの量、表面処理剤の種類若しくは量、又は、界面活性剤の種類若しくは量を、表1に記載のように変更した以外は、上記実施例1と同様にして表面処理されたアルミニウム粒子の水系塗料組成物を製造した。なお表中、LAPは、ラウリルリン酸であり、フッ素系化合物ではない。
アルミニウム粒子の厚さを蒸着時間を変えて変更し、粒径を粉砕時間を変えて変更し、また、アルミニウムの量、表面処理剤の種類若しくは量、又は、界面活性剤の種類若しくは量を、表1に記載のように変更した以外は、上記実施例1と同様にして表面処理されたアルミニウム粒子の水系塗料組成物を製造した。なお表中、LAPは、ラウリルリン酸であり、フッ素系化合物ではない。
3.1.5.比較例6
アルミニウム粒子として、平板状でなく球状のものを使用した以外は、上記実施例1と同様にして表面処理されたアルミニウム粒子の水系塗料組成物を製造した。
アルミニウム粒子として、平板状でなく球状のものを使用した以外は、上記実施例1と同様にして表面処理されたアルミニウム粒子の水系塗料組成物を製造した。
3.2.評価試験
3.2.1.水素発生量の評価
各例の水系塗料組成物を、それぞれ密閉容器に入れ、35℃で10日間、経過した後に、容器中の水素ガスの濃度測定し、水素発生量(ml/g)を求めた。そして以下の基準で水素発生量を評価し、結果を表1に記載した。なお、許容範囲はA〜Cである。また、この評価は、顔料の耐水性の評価と考えることができる。
3.2.1.水素発生量の評価
各例の水系塗料組成物を、それぞれ密閉容器に入れ、35℃で10日間、経過した後に、容器中の水素ガスの濃度測定し、水素発生量(ml/g)を求めた。そして以下の基準で水素発生量を評価し、結果を表1に記載した。なお、許容範囲はA〜Cである。また、この評価は、顔料の耐水性の評価と考えることができる。
A:5(ml/g)以下
B:5(ml/g)を超え10(ml/g)以下
C:10(ml/g)を超え20(ml/g)以下
D:20(ml/g)を超え50(ml/g)以下
E:50(ml/g)超
B:5(ml/g)を超え10(ml/g)以下
C:10(ml/g)を超え20(ml/g)以下
D:20(ml/g)を超え50(ml/g)以下
E:50(ml/g)超
3.2.2.沈降性の評価
各例の水系塗料組成物を、マグネチックスターラーで300rpm30分撹拌し、室温で1日間放置した。その後目視にて沈降の有無を以下の基準で評価し、結果を表1に記載した。なお、許容範囲はA〜Cである。
各例の水系塗料組成物を、マグネチックスターラーで300rpm30分撹拌し、室温で1日間放置した。その後目視にて沈降の有無を以下の基準で評価し、結果を表1に記載した。なお、許容範囲はA〜Cである。
A:沈降なし
B:わずかに沈降
C:明らかな沈降
D:明確に分離
B:わずかに沈降
C:明らかな沈降
D:明確に分離
3.2.3.塗膜の光沢の評価
各例の水性塗料組成物を、それぞれ印画紙(「PM写真用紙(光沢)型番:KA450PSK」、セイコーエプソン株式会社製)に塗布して、室温で1日間乾燥させた。その後、光沢度計(MINOLTA MULTI GLOSS 268)を用い、煽り角度60°での塗膜の光沢度を測定した。評価基準は以下の通りであり、光沢評価試験の結果を表1に併せて示す。なお、許容範囲はA〜Cである。
各例の水性塗料組成物を、それぞれ印画紙(「PM写真用紙(光沢)型番:KA450PSK」、セイコーエプソン株式会社製)に塗布して、室温で1日間乾燥させた。その後、光沢度計(MINOLTA MULTI GLOSS 268)を用い、煽り角度60°での塗膜の光沢度を測定した。評価基準は以下の通りであり、光沢評価試験の結果を表1に併せて示す。なお、許容範囲はA〜Cである。
A:350以上で
B:300から350
C:250から300
D:200から250
E:200以下
B:300から350
C:250から300
D:200から250
E:200以下
3.2.4.塗膜の密着性の評価
各例の水系塗料組成物を、それぞれ3mlアプリケーターでコートボール紙上に塗布し、室温で24時間乾燥させた。この塗膜上に幅1cm、長さ1cmにわたってセロハンテープを貼り、手で勢いよくはがし、そのときの塗膜の状況で、塗膜の密着性を判断した。この試験を10回行って、密着性の評価基準を、以下の通りとした。結果を表1に併せて示す。なお、許容範囲はA〜Cである。
各例の水系塗料組成物を、それぞれ3mlアプリケーターでコートボール紙上に塗布し、室温で24時間乾燥させた。この塗膜上に幅1cm、長さ1cmにわたってセロハンテープを貼り、手で勢いよくはがし、そのときの塗膜の状況で、塗膜の密着性を判断した。この試験を10回行って、密着性の評価基準を、以下の通りとした。結果を表1に併せて示す。なお、許容範囲はA〜Cである。
A:10回すべてにおいて塗膜剥離見られず
B:10回のうち1回にわずかに剥離又は浮きが見られた
C:10回のうち2回で半分程度剥離又は浮きが見られた
D:10回のうち3回以上で剥離又は浮きが見られた
B:10回のうち1回にわずかに剥離又は浮きが見られた
C:10回のうち2回で半分程度剥離又は浮きが見られた
D:10回のうち3回以上で剥離又は浮きが見られた
3.3.評価結果
表1の評価結果をみると、フッ素系化合物で表面処理され、平板状粒子であり、厚さ方
向の平均厚さ(Z)が8nm以上100nm以下である、アルミニウム顔料を含む各実施例の水系塗料組成物は、いずれも水素の発生が少なく、貯蔵時の顔料の耐水性が良好であり、かつ、形成した塗膜の光沢が良好であった。
表1の評価結果をみると、フッ素系化合物で表面処理され、平板状粒子であり、厚さ方
向の平均厚さ(Z)が8nm以上100nm以下である、アルミニウム顔料を含む各実施例の水系塗料組成物は、いずれも水素の発生が少なく、貯蔵時の顔料の耐水性が良好であり、かつ、形成した塗膜の光沢が良好であった。
これに対して、表面処理をしていないアルミニウム顔料を使用した比較例1の塗料では、水素の発生が著しく、塗膜の光沢も非常に悪かった。また、アルミニウム顔料の厚さが5nmと薄い比較例2、4では、塗膜の光沢が不良であった。逆に、アルミニウム顔料の厚さが120nmと厚い比較例3でも、塗膜の光沢が不良であった。
さらに、表面処理をフッ素系化合物で行わなかった比較例5の塗料では、水素の発生が著しく、塗膜の光沢も非常に悪かった。また、平板状でなく球状のアルミニウム顔料を用いた比較例6では、塗膜の光沢が不良であった。
他方、実施例7、9、比較例3の結果から、沈降性の良否と、比(D/Z)、平均厚さ及び平均粒径の値と、の間に相関があり、特に比(D/Z)及び平均粒径に関しては好ましい範囲が存在することが分かった。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
Claims (10)
- アルミニウム顔料を含有する水系塗料組成物であって、
前記アルミニウム顔料は、フッ素系化合物で表面処理され、平板状粒子であり、厚さ方向の平均厚さ(Z)が8nm以上100nm以下である、水系塗料組成物。 - 前記アルミニウム顔料の平均粒径(D)は、3μm以上20μm以下である、請求項1に記載の水系塗料組成物。
- 前記アルミニウム顔料の平均粒径(D)と平均厚さ(Z)との比(D/Z)は、10以上1500以下である、請求項1又は請求項2に記載の水系塗料組成物。
- 前記アルミニウム顔料の含有量が、該水系塗料組成物全体に対して3質量%以上20質量%以下である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の水系塗料組成物。
- 樹脂エマルションをさらに含有する、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の水系塗料組成物。
- pHが6.5以上8.4以下である、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の水系塗料組成物。
- ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸化合物をさらに含む、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の水系塗料組成物。
- 前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸化合物は、下記式で表される化合物又はその塩である、請求項7に記載の水系塗料組成物。
RO[(CH2CH2O)n]mPO(OH)3−m
(式中、Rはアルキル基を示し、nは1以上の整数を示し、mは1以上3以下の整数を示す) - 前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸化合物の含有量は、該水系塗料組成物全体に対して1質量%以上5質量%以下である、請求項8に記載の水系塗料組成物。
- アルミニウム顔料を含有し、水系塗料組成物の調製に用いる顔料ペーストであって、
前記アルミニウム顔料は、フッ素系化合物で表面処理され、平板状粒子であり、厚さ方向の平均厚さ(Z)が8nm〜100nmである、顔料ペースト。
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