JP2019005283A - 二液蒸散装置 - Google Patents

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京子 福積
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Abstract

【課題】2層に分離した内容物を区画することなく同じ容器に充填することができ、かつ、それぞれを別々に取り込み、蒸散させることのできる、二液蒸散装置を提供する。
【解決手段】水層L1と油層L2とに上下に分離する内容物が充填された容器本体2と、容器本体2に取り付けられ、内容物を蒸散させるための蒸散部材3とを備え、蒸散部材3は、水層L1を取り込むための水層用通路と、吸油性材料を含み、油層L2を取り込むための油層用通路とが形成され、水層用通路から取り込まれた水層を蒸散させるための水層用蒸散部6と、油層用通路から取り込まれた油層を蒸散させるための油層用蒸散部7とを含む、二液蒸散装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、二液蒸散装置に関する。より詳細には、本発明は、水層および油層からなり2層に分離する内容物が区画されることなく同じ容器に充填されており、水層および油層を別々に蒸散させることのできる二液蒸散装置に関する。
従来、芳香剤や殺虫剤等を揮散させるための蒸散装置が知られている。特許文献1には、互いに溶け合わない2種類以上の液状基剤が封入された揮散体が開示されている。この揮散体は、振とうされることにより、分散した液剤が保持体に含有され、2種類以上の液剤が同時に揮散させる。
特開2001−120652号公報
特許文献1に記載の揮散体によれば、使用前に振とうにより混合し、混合された2種以上の液剤を揮散させる。そのため、時間が経過すると、液剤が再び分離するため、均一な組成の内容物が揮散されない。また、揮散体は、使用する前に振とうされる必要があり、手間がかかる。
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、2層に分離した内容物を区画することなく同じ容器に充填することができ、かつ、それぞれを別々に取り込み、蒸散させることのできる、二液蒸散装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明には、以下の構成が主に含まれる。
(1)水層と油層とに上下に分離する内容物が充填された容器本体と、前記容器本体に取り付けられ、前記内容物を蒸散させるための蒸散部材とを備え、前記蒸散部材は、前記水層を取り込むための水層用通路と、吸油性材料を含み、前記油層を取り込むための油層用通路とが形成され、かつ、前記水層用通路から取り込まれた前記水層を蒸散させるための水層用蒸散部と、前記油層用通路から取り込まれた前記油層を蒸散させるための油層用蒸散部とを含む、二液蒸散装置。
このような構成によれば、水層と油層とに分離する内容物が、区画されることなく容器本体に充填される。水層は、水層用通路を介して水層用蒸散部から蒸散され、油層は、油層用通路を介して油層用蒸散部から蒸散される。そのため、二液蒸散装置は、水層と油層とを、別々に取り込み、蒸散させることができる。
(2)前記油層用通路は、前記油層を内部に取り込むための複数の開口が周面に形成されたチューブ部材と、前記チューブ部材に収容された吸油性材料とを含む油層用通路部材に形成されている、(1)記載の二液蒸散装置。
このような構成によれば、油層は、複数の開口からチューブ部材の内部に取り込まれ、吸油性材料に吸収されることにより、油層用通路を通過し、油層用蒸散部から蒸散され得る。この際、水層は、吸油性材料に取り込まれることがない。そのため、水層と油層とは、別々に取り込まれ、それぞれ水層用蒸散部および油層用蒸散部から別々に蒸散される。
(3)前記油層用通路は、吸油性材料が略棒状に成形された油層用通路部材に形成されている、(1)記載の二液蒸散装置。
このような構成によれば、油層は、吸油性材料が略棒状に成形された油層用通路部材に形成された油層用通路を通過し、油層用蒸散部から蒸散され得る。この際、水層は、吸油性材料に取り込まれることがない。そのため、水層と油層とは、別々に取り込まれ、それぞれ水層用蒸散部および油層用蒸散部から別々に蒸散される。また、二液蒸散装置は、油層が吸収されて油層の液面が下がる場合であっても、油層が油層用通路部材のいずれの周面からも吸収され得る。そのため、たとえば油層用通路部材の周面に複数の開口が設けられていない場合であっても、液量の減った油層を適切に取り込むことができる。
(4)前記吸油性材料は、平均繊維径が10〜1000nmである合成樹脂ファイバーである、(2)または(3)記載の二液蒸散装置。
このような構成によれば、油層は、毛細管現象によって、油層用通路から取り込まれやすく、かつ、水層がより取り込まれにくい。
(5)前記蒸散部材は、前記水層用通路から取り込まれた前記水層が前記水層用蒸散部に供給され、かつ、前記油層用通路から取り込まれた前記油層が前記油層用蒸散部に供給されるように、前記水層用通路および前記油層用通路に対する前記水層用蒸散部および前記油層用蒸散部の相対位置を決定するための位置決め機構が形成されている、(1)〜(4)のいずれかに記載の二液蒸散装置。
このような構成によれば、位置決め機構により、水層用通路および油層用通路に対する水層用蒸散部および油層用蒸散部の相対位置が決定される。その結果、水層用通路から取り込まれた水層は、適切に水層用蒸散部から蒸散され、油層用通路から取り込まれた油層は、適切に油層用蒸散部から蒸散される。その結果、水層と油層とは、混ざり合うことがなく、互いの蒸散が阻害されない。
(6)前記油層用通路は、略円筒状の油層用通路部材に形成されており、前記水層用通路は、略棒状の水層用通路部材に形成されており、前記水層用通路部材は、前記油層用通路部材と略同軸上になるように、前記油層用通路部材に内挿されている、(1)〜(4)のいずれかに記載の二液蒸散装置。
このような構成によれば、水層用通路部材と油層用通路部材とは、同軸上に配置されている。そのため、水層用通路に対する水層用蒸散部の位置合わせ、および、油層用通路に対する油層用蒸散部の位置合わせが簡便となる。また、二液蒸散装置は、構造が簡略化されやすい。
(7)前記油層用通路部材のうち、前記内容物に浸漬される一端は、二液蒸散装置の載置される載置面に対して斜めに開口しており、前記水層用通路部材の一端は、前記油層用通路部材から突出している、(6)記載の二液蒸散装置。
このような構成によれば、二液蒸散装置は、内容物に浸漬される一端において、油層用通路部材が斜めに開口しており、かつ、水層用通路部材の一部が油層用通路部材から突出している。これにより、二液蒸散装置は、長期間使用されることにより油層の液面が下がった状態であっても、油層が油層用通路部材から取り込まれやすい。その結果、二液蒸散装置は、油層および水層を、均一な割合で蒸散させながら、使い切りやすい。
本発明によれば、2層に分離した内容物を区画することなく同じ容器に充填することができ、かつ、それぞれを別々に取り込み、蒸散させることのできる、二液蒸散装置を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態(第1の実施形態)の二液蒸散装置の模式的な断面図である。 図2は、本発明の一実施形態(第1の実施形態)の二液蒸散装置の部分的に拡大された模式的な断面図である。 図3は、水層用蒸散部、油層用蒸散部および平板部材を示す模式的な斜視図である。 図4は、本発明の一実施形態(第2の実施形態)の二液蒸散装置の模式的な断面図である。 図5は、水層用蒸散部、油層用蒸散部およびネジキャップを示す模式的な斜視図である。 図6は、本発明の一実施形態(第3の実施形態)の二液蒸散装置の模式的な断面図である。 図7は、本発明の一実施形態(第4の実施形態)の二液蒸散装置の模式的な断面図である。
[第1の実施形態]
本発明の一実施形態の二液蒸散装置について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態の二液蒸散装置1の模式的な断面図である。図2は、本実施形態の二液蒸散装置1の部分的に拡大された模式的な断面図である。図1および図2に示される二液蒸散装置1は、倒立状態で使用される二液蒸散装置であり、図1および図2では使用状態が示されている。本実施形態の二液蒸散装置1は、水層L1と油層L2とに上下に分離する内容物と、噴射剤とが充填された容器本体2と、容器本体2に取り付けられ、内容物を蒸散させるための蒸散部材3とを備える。以下、それぞれについて説明する。なお、本実施形態の説明において、倒立状態の二液蒸散装置を基準に、上下方向を定義する(矢印Aは上方向を示す)。
<容器本体2>
容器本体2は、内容物および噴射剤を充填するための耐圧容器であり、有底筒状の本体部21と、本体部21よりも小径であり本体部21の下端に一体的に設けられた筒状の首部22とを含む。首部22には開口が形成されている。開口は、内容物を充填する際の充填口であり、内容物の充填後に蒸散部材3のバルブ機構4により閉止される。本実施形態において、内容物および噴射剤は、図1に示されるように、上から噴射剤の気相L3、油層L2、水層L1の順に分離している。
容器本体2を構成する材料は、特に限定されない。容器本体2を構成する材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアセタール等の合成樹脂、ガラス、アルミニウムやブリキなどの金属が例示される。合成樹脂を用いる場合は、たとえば、日光による内容物の劣化を防止するために紫外線吸収剤が含有されてもよく、圧縮ガスの透過を防止するために容器本体2の外表面または内面に炭素やシリカなどが蒸着されてもよい。
水層L1および油層L2を構成するそれぞれの内容物は特に限定されない。
(水層L1を構成する内容物)
水層L1を構成する内容物は特に限定されない。一例を挙げると、水層L1を構成する内容物は、水性成分、水溶性有効成分等である。
水性成分は、精製水、イオン交換水等の水、エタノール、プロパノールなどの炭素数が2〜3個の1価アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリンなどの炭素数が2〜6個のポリオール、およびこれらの混合物等が例示される。なお、水層L1は、1価アルコールを多く含有することにより、蒸散速度が速められ得る。また、水層L1は、多価アルコールを多く含有することにより、蒸散速度が遅くなるよう調整され得る。
水性成分の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、水性成分は、内容物中、70質量%以上となるよう含有されることが好ましく、80質量%以上となるよう含有されることがより好ましい。また、水性成分は、内容物中、99.5質量%以下となるよう含有されることが好ましく、99質量%以下となるよう含有されることがより好ましい。水性成分の含有量が70質量%未満である場合、油層と混ざりやすくなる傾向がある。一方、水性成分の含有量が99質量%を超える場合、有効成分の含有量が少なくなり、所望の効果が得られにくくなる傾向がある。
水溶性有効成分は、水溶性香料、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、感光素、パラクロルメタクレゾールなどの殺菌消毒剤、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチルなどの消臭成分等が例示される。
水溶性有効成分の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、水溶性有効成分は、内容物中、0.5質量%以上となるよう含有されることが好ましく、1質量%以上となるよう含有されることがより好ましい。また、水溶性有効成分は、内容物中、30質量%以下となるよう含有されることが好ましく、20質量%以下となるよう含有されることがより好ましい。水溶性有効成分の含有量が0.5質量%未満である場合、所望の効果が得られにくくなる傾向がある。一方、水溶性有効成分の含有量が30質量%を超える場合、濃度が高くなりすぎ安定性が低下しやすくなるという傾向がある。
水層L1は、後述する水層用通路を介して、蒸散部材3の水層用蒸散部6に移行し、その後、蒸散する。
(油層L2を構成する内容物)
油層L2を構成する内容物は特に限定されない。一例を挙げると、油層L2を構成する内容物は、油性成分、油溶性有効成分等である。油性成分は、親水基(水酸基、カルボキシル基等)を含む親水性油分と、親水基を含まない親油性油分とが例示される。
親水性油分は、メドウフォーム油、オリーブ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヤシ油などの油脂、エイコセン酸、オレイン酸などの不飽和脂肪酸、オレイルアルコール、イソステアリルアルコールなどの高級アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソオクタン酸セチル(エチルヘキサン酸セチル)、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、ジ−2−エチルへキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジラウリン酸プロピレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ジラウリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸ジエチレングリコール、ジイソステアリン酸ジエチレングリコール、ジオレイン酸ジエチレングリコール、ジラウリン酸トリエチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコール、ジイソステアリン酸トリエチレングリコール、ジオレイン酸トリエチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、トリ2−エチルへキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、コハク酸ジエトキシエチル、リンゴ酸ジイソステアリルなどのエステル油、およびこれらの混合物等が例示される。
親油性油分は、(ジ)メチルポリシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル、ケロシン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、流動パラフィン、イソパラフィンなどの炭化水素、およびこれらの混合物等が例示される。親油性油分は、水層と混ざりにくいため、好適に用いられる。親油性油分は、油層L2の蒸散速度を調整しやすい点から、メチルポリシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなどの揮発性シリコーンオイルや、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン、流動パラフィン、イソパラフィンなどの揮発性炭化水素を含有することが好ましい。
油性成分の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、油性成分は、内容物中、70質量%以上となるよう含有されることが好ましく、80質量%以上となるよう含有されることがより好ましい。また、油性成分は、内容物中、99.5質量%以下となるよう含有されることが好ましく、99質量%以下となるよう含有されることがより好ましい。油性成分の含有量が70質量%未満である場合、水層と混ざりやすくなる傾向がある。一方、油性成分の含有量が99質量%を超える場合、有効成分の含有量が少なくなり、所望の効果が得られにくくなるという傾向がある。
油溶性有効成分は、油溶性香料、N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)、ハーブエキス、p−メンタン−3,8−ジオールなどの害虫忌避剤、フタルスリン、アレスリン、ペルメトリンテフルスリン、ベンフルスリンなどの殺虫成分、l−メントール、カンフルなどの清涼化剤、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸メチルなどの消臭成分等が例示される。
油溶性有効成分の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、油溶性有効成分は、内容物中、0.5質量%以上となるよう含有されることが好ましく、1質量%以上となるよう含有されることがより好ましい。また、油溶性有効成分は、内容物中、30質量%以下となるよう含有されることが好ましく、20質量%以下となるよう含有されることがより好ましい。油溶性有効成分の含有量が0.5質量%未満である場合、所望の効果が得られにくくなるという傾向がある。一方、油溶性有効成分の含有量が30質量%を超える場合、濃度が高くなりすぎ安定性が低下しやすくなるという傾向がある。
油層L2は、後述する油層用通路を介して、蒸散部材3の油層用蒸散部7に移行し、その後、蒸散する。
(噴射剤)
噴射剤は、容器本体2内において内容物を適宜加圧し、蒸散部材3に取り込ませるために充填される。噴射剤は特に限定されない。一例を挙げると、噴射剤は、炭酸ガス、チッ素ガス、圧縮空気、酸素ガスなどの圧縮ガスである。噴射剤は、圧縮ガス以外にも、液化ガスが含まれてもよい。液化ガスとしては、ブタン、プロパン、およびこれらの混合物などの液化石油ガス、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン、トランス−2,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エンなどのハイドロフルオロオレフィン、ジメチルエーテル、およびこれらの混合物等が例示される。
噴射剤として圧縮ガスが用いられる場合、圧縮ガスの充填量は特に限定されない。一例を挙げると、圧縮ガスの充填量は、内容物を充填した容器本体2の内圧が25℃において0.3〜1.0MPaとなる量である。圧縮ガスがこのような範囲となるよう充填されることにより、二液蒸散装置1は、水層L1および油層L2が適度に加圧され、それぞれ蒸散部材3に取り込まれ得る。
<蒸散部材3>
蒸散部材3は、水層L1および油層L2を別々に取り込み、蒸散させるための部材である。本実施形態の蒸散部材3は、水層L1を取り込むための水層用通路と、この水層用通路から取り込まれた水層L1を蒸散させるための水層用蒸散部6と、油層L2を取り込むための油層用通路と、この油層用通路から取り込まれた油層L2を蒸散させるための油層用蒸散部7を備えている。水層用通路は、水層用蒸散部6に水層の供給と停止を切り替えるバルブ機構4を備えている。油層用通路は、油層蒸散部7に油層の供給と停止を切り替えるバルブ機構4と、このバルブ機構に取り付けられる油層用通路部材5を備えている。また、蒸散部材3は、バルブ機構4から、それぞれ、水層L1と油層L2とを、水層用蒸散部6と油層用蒸散部7とに供給するための平板部材8と、水層用蒸散部6、油層用蒸散部7、およびバルブ機構4を覆う外側キャップ9とを主に含む。油層用通路部材5は、チューブ部材45と、チューブ部材45に収容された吸油性材料46とを含む。
(バルブ機構4)
バルブ機構4は、油層L2を取り込むための第1バルブ機構41と、水層L1を取り込むための第2バルブ機構42と、第1バルブ機構41および第2バルブ機構42が取り付けられるバルブ本体部43と、バルブ本体部43を容器本体2の開口に固着するためのカバーキャップ44とを主に備える。
・第1バルブ機構41
第1バルブ機構41は、容器本体2から油層L2を取り出すための機構である。第1バルブ機構41は、バルブ本体部43に保持されるハウジング41Hと、ハウジング41H内に上下動自在に収容されるステム41Sと、ステム41Sに形成されたステム孔41Pを開閉するためのステムラバー41Rと、ステム孔41Pがステムラバー41Rによってシールされるようにステム41Sを常時上向きに付勢する弾性部材41Eとを主に備える。
ハウジング41Hは、略円筒状であり、上端(底部)に油層L2をハウジング41H内に取り込むための取込口が形成されている。ハウジング41Hの上部には、上方に延設された円筒状のチューブ取付部41Aが形成されている。チューブ取付部41Aには、チューブ部材45が取り付けられる。
チューブ部材45は、比較的長尺の略円筒状部材である。チューブ部材45は、チューブ取付部41Aに挿し込まれる下端と、油層L2に浸漬され、油層L2を取り込むための開口が形成された上端とを有する。また、チューブ部材45は、油層L2を内部に取り込むための開口45pが周面に形成されている。開口45pの数は、複数であってもよい。本実施形態では、チューブ部材45の周面は、上下方向に複数の開口45pが形成されている。
チューブ部材45は、内部に吸油性材料46が収容されている。吸油性材料46は、チューブ部材45の上端の開口や、周面に形成された複数の開口45pから取り込まれた油層L2を毛細管現象によって吸収し、ハウジング41H内に送るための部材である。本実施形態において、複数の開口45pは、チューブ部材45の周面において、上下方向に偏在している。そのため、油層L2が吸収されて油層L2の液面が下がる場合であっても、油層L2は、チューブ部材45の周面に形成された開口45pのうち、より下方に形成された開口45pから、チューブ部材45の内部に取り込まれ、吸油性材料46によって吸収され得る。
吸油性材料46の種類は特に限定されない。吸油性材料46は、油層L2を吸収することができ、かつ、水層L1の吸収を妨げ得る材料であればよい。一例を挙げると、吸油性材料46は、合成樹脂ファイバー、セルロースファイバーなどの植物繊維ファイバーなどがあげられる。これらの中でも、吸油性材料46は、棒状など所望の形状に成形しやすい点から、合成樹脂ファイバーであることが好ましい。
合成樹脂ファイバーの種類は特に限定されない。一例を挙げると、合成樹脂ファイバーは、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンファイバー、ポリビニルアルコール樹脂ファイバー、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルファイバー、ポリアミド樹脂ファイバー等である。これらの中でも、水層を吸収しにくく、油層を選択的に吸収して蒸散部に供給できる点から、合成樹脂ファイバーはポリオレフィンファイバーであることが好ましい。
合成樹脂ファイバーの平均繊維径は特に限定されない。一例を挙げると、平均繊維径は、1nm以上であることが好ましく、2nm以上であることがより好ましい。また、平均繊維径は、1000nm以下であることが好ましく、800nm以下であることがより好ましい。平均繊維径が10nm未満である場合、合成樹脂ファイバーは、所定の形状に成形しにくい傾向がある。一方、平均繊維径が1000nmを超える場合、合成樹脂ファイバーは、吸油性が低下しやすい傾向がある。
第1バルブ機構41の説明に戻り、ステム41Sは、ハウジング41H内を上下方向に摺動する部材である。ステム41Sは、略棒状の部位であり、油層L2が通過するステム内通路41Paを有する。ステム41Sには、ハウジング41H内の空間とステム内通路41Paとを連通するステム孔41Pが形成されている。ステム孔41Pは、未使用状態では、ステムラバー41Rの内周面により閉止される。
ステムラバー41Rは、ステム孔41Pの周囲に取り付けられ、ハウジング41Hの内部空間と外部とを遮断するための部材である。また、ステムラバー41Rは、中心にステム41Sが挿通される挿通孔が形成された円盤状の部材である。ステムラバー41Rの内径は、ステム41Sのうちステム孔41Pが形成されている箇所の外径よりもわずかに小さく、未使用状態において、内周面をステム41Sの外周面と密着させて、ステム孔41Pを閉止する。一方、使用状態(図1に示される状態)では、ステム41Sが上方へ押し上げられることによってステムラバー41Rが上方へ撓む。これにより、ステム孔41Pは、ステムラバー41Rの内周面による閉止が解除され、開放される。油層L2は、開放されたステム孔41Pからステム内通路41Paに取り込まれる。ステム41Sの下端には、ステム内通路41Paの下端が開口している。また、ステム41Sの下端には、油層L2を油層用蒸散部7に送るための平板部材8が取り付けられている。ステム内通路41Paに取り込まれた油層L2は、平板部材8を通過し、油層用蒸散部7に取り込まれる。ステム41Sのうち、軸方向の略中央部分には、段部が形成されている。段部には、弾性部材41Eの下端が取り付けられる。
弾性部材41Eは、ステム41Sを下方へ常時付勢するために、ハウジング41H内に圧縮状態で保持される部材である。本実施形態において、弾性部材41Eは、スプリングであり、ステム41Sの段部に接続される下端と、ハウジング41Hの内面に接続される上端とを有する。
以上の第1バルブ機構41によれば、油層L2は、後述する噴射剤による加圧、吸油性材料による毛細管現象、および、自重によって、チューブ部材45、吸油性材料46、ハウジング41H、ステム41Sから主に構成される経路(油層用通路)を通り、油層用蒸散部7に送られる。
・第2バルブ機構42
第2バルブ機構42は、容器本体2に充填された水層L1を取り出すための機構である。第2バルブ機構42は、チューブ部材45および吸油性材料46に代えて、流量調整部材47が設けられている以外は、第1バルブ機構41と同様の構成である。そのため、第2バルブ機構42の構成のうち、第1バルブ機構41と同様の構成に関しては、同一の参照符号が付され、適宜説明が省略される。
流量調整部材47は、ハウジング41H内に取り込まれる水層L1の速度を調整するための、略円柱状の部材である。流量調整部材47は、ハウジング41Hの上部において、上方に延設された円筒状のチューブ取付部41Aに、チューブ部材45に代えて収容される。
流量調整部材47の形状、材質等は特に限定されない。一例を挙げると、流量調整部材47は、樹脂焼結体や、複数の針材を束ねた束状体、濾紙等であってもよい。樹脂焼結体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート、メチルメタアクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン等を金型内で加圧、賦形した後、融点以下あるいは部分溶解する温度で加熱することにより成形した網目構造の合成樹脂多孔質体が例示される。
水層L1は、流量調整部材47を通過することによって流量が適宜調整され、ハウジング41Hに取り込まれる。ステム41Sの下端には、ハウジング41Hに取り込まれた水層L1を水層用蒸散部6に送るための平板部材8が取り付けられている。水層L1は、使用状態において、油層L2と同様に、ステム内通路41Paに取り込まれ、次いで、平板部材8を通過し、水層用蒸散部6に取り込まれる。
以上の第2バルブ機構42によれば、水層L1は、後述する噴射剤による加圧、および、自重によって、流量調整部材47、ハウジング41H、ステム41Sから主に構成される経路(水層用通路)を通り、水層用蒸散部6に送られる。
・バルブ本体部43
バルブ本体部43は、容器本体2の開口を閉止するように取り付けられる略円柱状の部材である。バルブ本体部43には、第1バルブ機構41および第2バルブ機構42がそれぞれ嵌め込まれる。第1バルブ機構41および第2バルブ機構42は、バルブ本体部43に取り付けられ、適切に位置決めされる。バルブ本体部43の外周面には、周状のフランジ部43aが形成されている。フランジ部43aは、首部22の下面と、カバーキャップ44の縁部44aとによって挟持される。また、フランジ部43aよりも上方の外周面には、首部22の内面との間で半径方向に圧縮されるOリングを保持する環状溝が形成されている。
・カバーキャップ44
カバーキャップ44は、第1バルブ機構41、第2バルブ機構42およびバルブ本体部43を容器本体2の開口に固着するための部材である。カバーキャップ44は、略円盤状であり、外周縁において上方に延設された略円筒状の縁部44aを有する。カバーキャップ44の下面には、第1バルブ機構41および第2バルブ機構42のそれぞれのステム41Sが挿通される挿入孔が形成されている。カバーキャップ44は、下面で第1バルブ機構41および第2バルブ機構42を押圧し、第1バルブ機構41および第2バルブ機構42とバルブ本体部43との間をシールする。縁部44aの上端は、首部22の外周面に沿うよう湾曲形状に塑性変形されている。
(水層用蒸散部6)
水層用蒸散部6は、上記した水層用通路を介して容器本体2から取り込まれた水層L1を蒸散させるための部材である。図3は、水層用蒸散部6、油層用蒸散部7および平板部材8を示す模式的な斜視図である。水層用蒸散部6は、上面視が略半円状である板状の平面部61と、平面部61の上面に設けられた周縁部62とからなる。平面部61の外周側面は、上面視が円弧状となるよう湾曲した湾曲側面63と、湾曲していない平面状の非湾曲側面64とからなる。周縁部62の内周面は、平面部61の湾曲側面63と同様に湾曲した湾曲内周面65と、平面状の非湾曲内周面66とからなる。周縁部62の内周面は、このように湾曲内周面65と非湾曲内周面66とから構成されていることにより、平板部材8がほぼ隙間なく嵌め込まれ得る。なお、平板部材8と水層用蒸散部6および油層用蒸散部7との嵌合は、後述される。
水層用蒸散部6の材質は特に限定されない。一例を挙げると、水層用蒸散部6は、吸水性樹脂、不織布、紙等の成形体である。
吸水性樹脂は特に限定されない。一例を挙げると、吸水性樹脂は、ポリアクリル酸系塩(ポリアクリル酸系塩の架橋体を含む)、ポリアクリルアミド、澱粉−アクリロニトリルグラフト共重合物の加水分解物、カルボキシメチルセルロース架橋体、アクリル酸(塩)−ビニルアルコール共重合物、ポリオキシエチレン架橋体、ポリアルキレンオキシド単位を含む熱可塑性樹脂等である。
(油層用蒸散部7)
油層用蒸散部7は、上記した油層用通路を介して容器本体2から取り込まれた油層L2を毛細管現象によって一時的に保持し、次いで蒸散させるための部材である。油層用蒸散部7は、上面視が略半円状である板状の平面部71と、平面部71の上面に設けられた周縁部72とからなる。平面部71の外周側面は、上面視が円弧状となるよう湾曲した湾曲側面73と、湾曲していない平面状の非湾曲側面74とからなる。周縁部72の内周面は、平面部71の湾曲側面73と同様に湾曲した湾曲内周面75と、平面状の非湾曲内周面76とからなる。周縁部72の内周面は、このように湾曲内周面75と非湾曲内周面76とから構成されていることにより、平板部材8がほぼ隙間なく嵌め込まれ得る。
油層用蒸散部7の材質は特に限定されない。一例を挙げると、油層用蒸散部7は、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン等からなるファイバーの成形体である。油層用蒸散部7の材質は、上記した吸油性ファイバーと同じであってもよい。
(平板部材8)
平板部材8は、水層用通路から取り込まれる水層L1と、油層用通路から取り込まれる油層L2とを、それぞれ、水層用蒸散部6と、油層用蒸散部7とに供給するための部材である。また、平板部材8は、図3に示されるように、扁平な略円盤状の板状部81と、板状部81から上方に延設された2つの突起(水層用突起82および油層用突起83)とからなる。平板部材8は、隣り合うよう載置される水層用蒸散部6および油層用蒸散部7に嵌め込まれる部材である。
板状部81の外周面は、一部が厚み方向に切断された切断面81aが形成されている。この切断面81aは、後述する水層用通路および油層用通路に対する水層用蒸散部6および油層用蒸散部7の相対位置を決定するための位置決めに利用される。
水層用突起82は、板状部81から上方に延設された円筒状の部位である。水層用突起82は、第1バルブ機構41のステム41Sの下端が挿し込まれる。図2に示されるように、水層用突起82の内底面には、板状部81を厚み方向に貫通する水層用貫通孔82a(図2参照)が形成されている。一方、油層用突起83は、板状部81から上方に延設された円筒状の部位である。油層用突起83は、第2バルブ機構42のステム41Sの下端が挿し込まれる。油層用突起83の内底面には、板状部81を厚み方向に貫通する油層用貫通孔83a(図2参照)が形成されている。
平板部材8は、未使用状態において、ステム41Sに取り付けられていてもよく、取り外されていてもよい。
<水層用蒸散部6および油層用蒸散部7に対する平板部材8の嵌合について>
水層用蒸散部6と油層用蒸散部7とは、図3に示されるように、非湾曲側面64および非湾曲側面74が向かい合うよう配置される。これにより、水層用蒸散部6および油層用蒸散部7には、それぞれの周縁部62および周縁部72の内周面と、平面部61および平面部71の上面とによって区画された凹部Rが形成される。凹部Rには、板状部81が嵌め込まれる。この際、平板部材8は、凹部Rに対して、切断面81aが、非湾曲内周面66および非湾曲内周面76に近接するように嵌め込まれ得る。
言い換えると、本実施形態において、平板部材8の板状部81に切断面81aが形成されていることにより、水層用蒸散部6および油層用蒸散部7によって形成された凹部Rに対する平板部材8の嵌め込み方向が決定される。すなわち、本実施形態の二液蒸散装置1は、平板部材8の板状部81と、水層用蒸散部6と、油層用蒸散部7とからなる位置決め機構によって、水層用通路および油層用通路に対する水層用蒸散部6および油層用蒸散部7の相対位置(嵌め込み方向)が決定される。その結果、水層用通路から取り込まれた水層L1は、水層用突起82を介して適切に水層用蒸散部6に取り込まれ、その後蒸散する。また、油層用通路から取り込まれた油層L2は、油層用突起83を介して適切に油層用蒸散部7に取り込まれ、その後蒸散する。この際、水層L1と油層L2とは、混ざり合うことがない。
(外側キャップ9)
図1および図2を再び参照し、外側キャップ9は、水層用蒸散部6、油層用蒸散部7、および、バルブ機構4を覆う部材である。また、外側キャップ9は、二液蒸散装置1を倒立させ、かつ、使用状態で維持するために取り付けられる。
外側キャップ9には、水層用蒸散部6および油層用蒸散部7が、互いの平面部61および平面部71の非湾曲側面64および非湾曲側面74が向かい合うように収容される(図3参照)。外側キャップ9に収容された状態において、水層用蒸散部6と油層用蒸散部7とは、ほぼ隙間なく配置され得る。
外側キャップ9は、上方に開口の形成された有底円筒状の部材である。外側キャップ9の周面の上端は、縁部44aに係合するための係合部91が形成されている。係合部91が縁部44aと係合することにより、外側キャップ9は、容器本体2に取り付けられる。
外側キャップ9の周面には、切欠き(蒸散窓92)が形成されている。蒸散窓92は、水層用蒸散部6および油層用蒸散部7から蒸散した水層L1および油層L2を外部の空間に拡散させるための切欠きである。蒸散窓92からは、蒸散した水層L1および油層L2が、別々に蒸散し、空間中に拡散する。
<二液蒸散装置1の使用方法について>
本実施形態において、使用者は、外側キャップ9を容器本体2に取り付けることにより、二液蒸散装置1を、未使用状態から使用状態に切り替え、使用し始めることができる。以下、一例として、平板部材8がステム41Sに取り付けられた容器本体2に、外側キャップ9が取り付けられる場合について説明する。
まず、使用者は、正立状態の容器本体2に、外側キャップ9の開口を挿入させる。その後、容器本体2を倒立させ、テーブル等の載置面(図示せず)に載置する。この際、外側キャップ9の係合部91がフランジ部23に係合される前に、板状部81の下面と、水層用蒸散部6の平面部61の上面および油層用蒸散部7の平面部71の上面(すなわち、凹部Rの内底面)とが当接する。この状態から、さらに容器本体2が外側キャップ9側へ押し込まれると、外側キャップ9によって、平板部材8が押し上げられ、これによりステム41Sが上方に押し上げられ、ステムラバー41Rが上方へ撓む。また、係合部91は、縁部44aに係合される。その結果、容器本体2内と、外部とが連通し、水層L1および油層L2は、それぞれ、容器本体2内と外部との圧力差および自重に従って、ステムラバー41Rが撓むことにより開放されたステム孔41Pおよびステム内通路41Paを通過して、水層用蒸散部6および油層用蒸散部7に取り込まれる。その後、水層L1および油層L2は、蒸散窓92から別々に蒸散し、空間中に拡散する。なお、係合部91と縁部44aとは係合しているため、以後、油層L2および水層L1の取り込み状態(使用状態)が維持される。
以上、本実施形態の二液蒸散装置1によれば、水層L1と油層L2とに分離した内容物が、区画されることなく容器本体2に充填される。水層L1は、水層用通路を介して水層用蒸散部6から蒸散され、油層L2は、油層用通路を介して油層用蒸散部7から蒸散される。そのため、二液蒸散装置1は、水層L1と油層L2とを、別々に取り込み、蒸散させることができる。また、チューブ部材45の周面には、上下方向に複数の開口が形成されている。そのため、長期間使用されることにより油層L2の液面が下がった場合であっても、油層L2は、より下方に形成された開口から、チューブ部材45の内部に取り込まれ、吸油性材料46によって吸収され、適切に油層用蒸散部7に取り込まれ、蒸散し得る。さらに、本実施形態の二液蒸散装置1は、平板部材8の板状部81と、水層用蒸散部6と、油層用蒸散部7とからなる位置決め機構が設けられていることにより、水層用通路および油層用通路に対する水層用蒸散部6および油層用蒸散部7の相対位置が決定される。その結果、水層L1と油層L2とは、混ざり合うことなく、それぞれ適切に、水層用蒸散部6および油層用蒸散部7に取り込まれ、その後蒸散し得る。
[第2の実施形態]
本発明の一実施形態の二液蒸散装置について、図面を参照して詳細に説明する。図4は、本実施形態の二液蒸散装置1aの模式的な断面図である。図4に示される二液蒸散装置1aは、倒立状態で使用される二液蒸散装置であり、図4では使用状態が示されている。本実施形態の二液蒸散装置1aは、噴射剤が配合されていない点、および、蒸散部材3aの構成が異なる点において主に相違する以外は、第1の実施形態において上記した二液蒸散装置1(図1〜図2参照)と同様の構成である。そのため、重複する構成については、同一の参照符号が付され、説明が適宜省略される。なお、本実施形態の説明において、倒立状態の二液蒸散装置を基準に、上下方向を定義する(矢印Aは上方向を示す)。
<容器本体2>
容器本体2は、内容物を充填するための容器であり、有底筒状の本体部21と、本体部21よりも小径であり本体部21の下端に一体的に設けられた筒状の首部22とを含む。首部22には開口が形成されている。開口は、内容物を充填する際の充填口であり、内容物の充填後に蒸散部材3aの閉止部材31aにより閉止される。なお、本実施形態の二液蒸散装置1aは、噴射剤が充填されていない。そのため、容器本体2は、適度な強度を有していればよく、高度な耐圧性は要しない。
容器本体2の首部22の外周面には、ネジキャップ33aの大径部38a(図5参照)の内周面に形成されたネジ溝と螺合する螺旋溝が形成されている。
<蒸散部材3a>
蒸散部材3aは、水層L1および油層L2を別々に取り込み、蒸散させるための部材である。本実施形態の蒸散部材3aは、水層L1を取り込むための水層用通路の形成された閉止部材31aと、閉止部材31aに取り付けられ、油層用通路を構成する油層用チューブ部材32aと、水層用通路から取り込まれた水層L1を蒸散させるための水層用蒸散部6aと、油層用通路から取り込まれた油層L2を蒸散させるための油層用蒸散部7aと、水層用蒸散部6aおよび油層用蒸散部7aが嵌め込まれるネジキャップ33aと、水層用蒸散部6a、油層用蒸散部7a、およびネジキャップ33aを覆う外側キャップ9aとを主に含む。油層用チューブ部材32aは、吸油性材料からなる。
(閉止部材31a)
閉止部材31aは、略円筒状の部材であり、容器本体2の開口を閉止する。閉止部材31aの下端には、径方向の外側に延設されたフランジ部34aが設けられている。フランジ部34aは、首部22の下面と、ネジキャップ33aの平板部39aの上面とにより挟持される。これにより、閉止部材31aは、容器本体2の開口を適切に閉止するとともに、位置が固定される。
閉止部材31aの上面には、2箇所の凹部が形成されている。一方の凹部は、油層用チューブ部材32aの下端が挿し込まれる。他方の凹部は、流量調整部材47が収容される。それぞれの凹部の内底面には、閉止部材31aを上下方向に貫通する貫通孔(油層用貫通孔35aおよび水層用貫通孔36a)が形成されている。
水層L1は、流量調整部材47を通過することによって流量が適宜調整され、水層用蒸散部6aに取り込まれ得る。
以上の閉止部材31aによれば、水層L1は、自重により、流量調整部材47、閉止部材31aの水層用貫通孔36aから主に構成される経路(水層用通路)を通り、水層用蒸散部6aに送られる。
(油層用チューブ部材32a)
油層用チューブ部材32aは、第1の実施形態において上記した吸油性材料46(図1参照)が棒状に成形された部材である。本実施形態の油層用チューブ部材32aは、このように、油層用チューブ部材32aそのものが吸油性材料から構成されている。そのため、油層L2は、油層用チューブ部材32aそのものに吸収され、内部に取り込まれ得る。このような油層用チューブ部材32aを備えていることにより、本実施形態の二液蒸散装置1aは、油層L2が吸収されて油層L2の液面が下がる場合であっても、油層L2が油層用チューブ部材32aのいずれの周面からも吸収され得る。そのため、油層用チューブ部材32aの周面に複数の開口が設けられていない場合であっても、液量の減った油層L2を適切に取り込むことができる。
以上の閉止部材31aおよび油層用チューブ部材32aによれば、油層L2は、吸油性材料による毛細管現象、および、自重により、油層用チューブ部材32a、閉止部材31aの油層用貫通孔35aから主に構成される経路(油層用通路)を通り、油層用蒸散部7aに送られる。
(ネジキャップ33a)
図5は、水層用蒸散部6a、油層用蒸散部7aおよびネジキャップ33aを示す模式的な斜視図である。ネジキャップ33aは、水層用蒸散部6aおよび油層用蒸散部7aが取り付けられる比較的小径の小径部37aと、小径部37aよりも径の大きな大径部38aと、小径部37aと大径部38aとを接続する平板部39aとからなる。
大径部38aは、ネジキャップ33aを容器本体2に取り付けるための部位である。大径部38aは、略円筒状であり、内周面にネジ溝が形成されている。ネジキャップ33aは、大径部38aのネジ溝を、容器本体2の首部22の螺旋溝に螺合させることにより、容器本体2に取り付けられる。また、大径部38aの螺合により、平板部39aの上面は、首部22の下面とともに、閉止部材31aのフランジ部34aを挟持する(図4参照)。
小径部37aは、略円筒状の部位であり、水層用蒸散部6aと油層用蒸散部7aとが嵌め込まれる。小径部37aの内周面は、後述する水層用蒸散部6aの水層用突部65aおよび油層用蒸散部7aの油層用突部75aがほぼ隙間なく嵌め込まれるように、後述する水層用突部65aおよび油層用突部75aの外周面の形状に沿うよう加工されている。具体的には、小径部37aの内周面は、上面視が円弧状となるよう湾曲した湾曲内周面37pと、平面状の非湾曲内周面37qとからなる。
(水層用蒸散部6a)
水層用蒸散部6aは、上記した水層用通路を介して容器本体2から取り込まれた水層L1を蒸散させるための部材である。水層用蒸散部6aは、上面視が略半円状である板状の平面部61aと、平面部61aの上面に設けられた水層用突部65aとからなる。水層用突部65aは、上面視が略半円状であり、一部に上下方向に切断された切断面66aが形成されている。平面部61aの外周側面は、上面視が円弧状となるよう湾曲した湾曲側面63aと、湾曲していない平面状の非湾曲側面64aとからなる。水層用突部65aの外周面は、平面部61aの湾曲側面63aと同様に湾曲した湾曲外周面67aと、切断面66aと、平面状の非湾曲外周面68aとからなる。水層用突部65aの外周面は、このように湾曲外周面67aと切断面66aと非湾曲外周面68aとから構成されていることにより、後述する油層用突部75aと併せて、小径部37aにほぼ隙間なく嵌め込まれ得る。なお、水層用突部65aおよび油層用突部75aと、小径部37aとの嵌合は、後述される。
(油層用蒸散部7a)
油層用蒸散部7aは、上記した油層用通路を介して容器本体2から取り込まれた油層L2を蒸散させるための部材である。油層用蒸散部7aは、上面視が略半円状である板状の平面部71aと、平面部71aの上面に設けられた油層用突部75aとからなる。油層用突部75aは、上面視が略半円状であり、一部に上下方向に切断された切断面76aが形成されている。平面部71aの外周側面は、上面視が円弧状となるよう湾曲した湾曲側面73aと、湾曲していない平面状の非湾曲側面74aとからなる。油層用突部75aの外周面は、平面部71aの湾曲側面73aと同様に湾曲した湾曲外周面77aと、切断面76aと、平面状の非湾曲外周面78aとからなる。油層用突部75aの外周面は、このように湾曲外周面77aと切断面76aと非湾曲外周面78aとから構成されていることにより、水層用突部65aと併せて、小径部37aにほぼ隙間なく嵌め込まれ得る。
<水層用蒸散部6aおよび油層用蒸散部7aに対するネジキャップ33aの嵌合について>
水層用蒸散部6aと油層用蒸散部7aとは、図4および図5に示されるように、互いの非湾曲側面64aおよび非湾曲側面74aが向かい合うよう配置される。これにより、水層用突部65aおよび油層用突部75aが近接し、略円柱状(ただし、一部が上下方向に切断され、切断面66aおよび切断面76aが形成されている)となる。このように略円柱状となるよう配置された水層用突部65aおよび油層用突部75aは、小径部37aに嵌め込まれ得る。この際、水層用突部65aおよび油層用突部75aは、それぞれの切断面66aおよび切断面76aが、小径部37aの非湾曲内周面37qに近接するように嵌め込まれ得る。
言い換えると、本実施形態において、水層用突部65aおよび油層用突部75aにそれぞれ切断面66aおよび切断面76aが形成されていることにより、小径部37aに対する嵌め込み方向が決定される。すなわち、本実施形態の二液蒸散装置1aは、水層用突部65aと、油層用突部75aと、小径部37aとからなる位置決め機構によって、水層用通路および油層用通路に対する水層用蒸散部6aおよび油層用蒸散部7aの相対位置が決定される。その結果、水層用通路から取り込まれた水層L1は、水層用貫通孔36aを介して適切に水層用蒸散部6aに取り込まれ、その後蒸散する。また、油層用通路から取り込まれた油層L2は、油層用貫通孔35aを介して適切に油層用蒸散部7aに取り込まれ、その後蒸散する。この際、水層L1と油層L2とは、混ざり合うことがない。
(外側キャップ9a)
外側キャップ9aは、水層用蒸散部6a、油層用蒸散部7a、および、ネジキャップ33aを覆う部材である。また、外側キャップ9aは、二液蒸散装置1aを倒立状態で維持するために取り付けられる。
外側キャップ9aには、水層用蒸散部6aおよび油層用蒸散部7aの非湾曲側面64aおよび非湾曲側面74aが向かい合うように収容される。外側キャップ9aに収容された状態において、水層用蒸散部6aと油層用蒸散部7aとは、ほぼ隙間なく配置される。
外側キャップ9aは、上方に開口の形成された有底円筒状の部材である。水層用蒸散部6aおよび油層用蒸散部7aから蒸散した水層L1および油層L2は、別々に蒸散し、外側キャップ9aと容器本体2との隙間から空間に拡散する。
<二液蒸散装置1aの使用方法について>
本実施形態において、使用者は、外側キャップ9aを容器本体2に取り付けることにより、二液蒸散装置1aを、未使用状態から使用状態に切り替え、使用し始めることができる。以下、一例として、ネジキャップ33aが容器本体2に取り付けられている場合について説明する。
まず、使用者は、正立状態の容器本体2を、外側キャップ9aの開口に挿入する。その後、ネジキャップ33aを螺合し、容器本体2を倒立させ、テーブル等の載置面に載置する。これにより、図4に示されるように、油層L2が上層、水層L1が下層にそれぞれ移動する。その後、水層L1および油層L2は、それぞれ、自重により、水層用通路および油層用通路を通過し、水層用蒸散部6aおよび油層用蒸散部7aに取り込まれる。その後、水層L1および油層L2は、外側キャップ9aと容器本体2との隙間から別々に蒸散し、空間中に拡散する。
以上、本実施形態の二液蒸散装置1aは、油層用チューブ部材32aが吸油性材料の成形体である。そのため、二液蒸散装置1aは、油層L2が吸収されて油層L2の液面が下がる場合であっても、油層L2が油層用チューブ部材32aのいずれの周面からも吸収され得る。そのため、たとえば油層用チューブ部材32aの周面に複数の開口が設けられていない場合であっても、液量の減った油層L2を適切に取り込むことができる。また、本実施形態に二液蒸散装置1aは、噴射剤を必要としない。そのため、二液蒸散装置1aは、構造が簡略化されやすい。
[第3の実施形態]
本発明の一実施形態の二液蒸散装置について、図面を参照して詳細に説明する。図6は、本実施形態の二液蒸散装置1bの模式的な断面図である。図6に示される二液蒸散装置1bは、正立状態で使用される二液蒸散装置であり、図6では使用状態が示されている。本実施形態の二液蒸散装置1bは、噴射剤が配合されていない点、および、蒸散部材3bの構成が異なる点が主に相違する以外は、第1の実施形態において上記した二液蒸散装置1(図1〜図2参照)と同様の構成である。そのため、重複する構成については、同一の参照符号が付され、説明が適宜省略される。なお、本実施形態の説明において、正立状態の二液蒸散装置を基準に、上下方向を定義する(矢印Aは上方向を示す)。
<容器本体2>
容器本体2は、内容物を充填するための容器であり、有底筒状の本体部21と、本体部21よりも小径であり本体部21の上端に一体的に設けられた筒状の首部22とを含む。首部22には開口が形成されている。開口は、内容物を充填する際の充填口であり、内容物の充填後にハウジング51bおよびネジキャップ33bにより閉止される。
首部22の外周面には、ネジキャップ33bの大径部38bの内周面に形成されたネジ溝と螺合する螺旋溝が形成されている。
<蒸散部材3b>
蒸散部材3bは、水層L1および油層L2を別々に取り込み、蒸散させるための部材である。本実施形態の蒸散部材3bは、略円筒状の油層用通路部材5bと、略棒状の水層用通路部材6bとを主に含む。水層用通路部材6bは、油層用通路部材5bと略同軸上になるように、油層用通路部材5bに内挿されている。油層用通路部材5bには、油層L2が通過する油層用通路が形成されており、水層用通路部材6bには、水層L1が通過する水層用通路が形成されている。以下、それぞれについて説明する。
(油層用通路部材5b)
油層用通路部材5bは、略円筒状のハウジング51bと、上端部71bを除くほぼ全体がハウジング51b内に収容された油層用蒸散部7bとからなる。
・ハウジング51b
ハウジング51bは、比較的長尺の略円筒状部材である。ハウジング51bの上端には、径方向の外側に延設されたフランジ部52bが形成されている。フランジ部52bは、首部22の上面と、ネジキャップ33bの平板部39bの下面とにより挟持される。これにより、ハウジング51bは、容器本体2の開口を適切に閉止するとともに、位置が固定される。
ハウジング51bは、油層用蒸散部7bの上端部が露出する開口の形成された上端と、油層L2に浸漬され、油層L2を取り込むための開口が形成された下端とを有する。また、ハウジング51bは、油層L2を内部に取り込むための開口53bが周面に形成されている。開口53bの数は、複数であってもよい。本実施形態では、ハウジング51bの周面において、上下方向に複数の開口53bが偏在するよう形成されている。そのため、油層L2が吸収されて油層L2の液面が下がる場合であっても、油層L2は、チューブ部材の周面に形成された開口53bのうち、より下方に形成された開口53bから、ハウジング51bの内部に取り込まれ、油層用蒸散部7bによって吸収され得る。
・油層用蒸散部7b
油層用蒸散部7bは、ハウジング51b内に収容される略円筒状の部位である。油層用蒸散部7bは、成形された吸油性材料からなり、ハウジング51bから露出し、ハウジング51bの上面に載置される大径の上端部71bと、ハウジング51b内に収容された略円筒状の円筒部72bとからなる。油層用蒸散部7bは、ハウジング51bの開口53bを通過して内部に取り込まれた油層L2を吸収し、上端部71bから蒸散させる。
油層用蒸散部7bは、後述する水層用通路部材6bの水層用蒸散部61bが挿入される比較的大径の上部空間と、上部空間と連通し、水層用通路部材6bの棒状部62bが挿入される上下に伸びる小径の下部空間とが形成されている。油層用蒸散部7bの内周面には、上部空間と下部空間との連通部分に、段部73bが形成されている。
(水層用通路部材6b)
水層用通路部材6bは、略棒状の部材であり、油層用通路部材5bと略同軸上になるように、油層用通路部材5bに内挿されている。水層用通路部材6bは、大径の水層用蒸散部61bと、水層用蒸散部61bから下方に延設された小径の棒状部62bとからなる。水層用通路部材6bは、水層用蒸散部61bの下面を段部73bに当接させることにより、油層用蒸散部7b内に挿通された状態で位置決めされる。
(ネジキャップ33b)
ネジキャップ33bは、油層用蒸散部7bの大径部38bを覆う比較的小径の小径部37bと、小径部37bよりも径の大きな大径部38bと、小径部37bと大径部38bとを接続する平板部39bとからなる。
大径部38bは、ネジキャップ33bを容器本体2に取り付けるための部位である。大径部38bは、略円筒状であり、内周面にネジ溝が形成されている。ネジキャップ33bは、大径部38bのネジ溝を、首部22の螺旋溝に螺合させることにより、容器本体2に取り付けられる。また、大径部38bの螺合により、平板部39bの下面は、首部22の上面とともに、ハウジング51bのフランジ部52bを挟持する。
<二液蒸散装置1bの使用方法について>
本実施形態において、使用者は、ネジキャップ33bを容器本体2に取り付けることにより、二液蒸散装置1bを、未使用状態から使用状態に切り替え、使用し始めることができる。以下、一例として、ネジキャップ33bに油層用通路部材5bおよび水層用通路部材6bが取り付けられている場合について説明する。
まず、使用者は、正立状態の容器本体2の開口から、油層用通路部材5bおよび水層用通路部材6bの下端が内容物に浸漬されるように、ネジキャップ33bを取り付け、螺合する。油層L2は、複数の開口53bからハウジング51b内に取り込まれ、油層用蒸散部7bに吸収され、上端部71bから蒸散する。一方、水層L1は、ハウジング51bの下端の開口53bから露出した水層用通路部材6bの下端から取り込まれ、棒状部62bを通過し、水層用蒸散部61bから蒸散する。
以上、本実施形態の二液蒸散装置1bは、水層用通路部材6bと油層用通路部材5bとが同軸上に配置されている。そのため、二液蒸散装置1bは、たとえば水層用通路に対する水層用蒸散部61bの位置合わせ、および、油層用通路に対する油層用蒸散部7bの位置合わせが簡便となる。要するに、本実施形態の二液蒸散装置1bは、第1の実施形態や第2の実施形態において好適に設けられていた位置決め機構が不要である。また、二液蒸散装置1bは、構造が簡略化されやすい。
[第4の実施形態]
本発明の一実施形態の二液蒸散装置について、図面を参照して詳細に説明する。図7は、本実施形態の二液蒸散装置1cの模式的な断面図である。図7に示される二液蒸散装置1cは、正立状態で使用される二液蒸散装置であり、図7では使用状態が示されている。本実施形態の二液蒸散装置1cは、油層用通路部材5cのうち、油層L2に浸漬される下端が二液蒸散装置1cの載置される載置面に対して斜めに開口しており、水層用通路部材6bの一端が、油層用通路部材5cから突出している点以外は、第3の実施形態において上記した二液蒸散装置1b(図6参照)と同様の構成である。また、本実施形態の二液蒸散装置1cの使用方法は、第3の実施形態において上記した二液蒸散装置1bと同様である。そのため、重複する構成については、同一の参照符号が付され、説明が適宜省略される。なお、本実施形態の説明において、正立状態の二液蒸散装置を基準に、上下方向を定義する(矢印Aは上方向を示す)。
<蒸散部材3c>
本実施形態の蒸散部材3cは、略円筒状の油層用通路部材5cと、略棒状の水層用通路部材6bとを主に含む。水層用通路部材6bは、油層用通路部材5cと略同軸上になるように、油層用通路部材5cに内挿されている。油層用通路部材5cには、油層L2が通過する油層用通路が形成されており、水層用通路部材6bには、水層L1が通過する水層用通路が形成されている。以下、それぞれについて説明する。
(油層用通路部材5c)
油層用通路部材5cは、略円筒状のハウジング51cと、上端部を除くほぼ全体がハウジング51c内に収容された油層用蒸散部7cとからなる。
・ハウジング51c
ハウジング51cは、比較的長尺の略円筒状部材である。ハウジング51cは、油層用蒸散部7cの上端部71bが露出する開口の形成された上端と、油層L2に浸漬され、油層L2を取り込むための開口が形成された下端とを有する。本実施形態のハウジング51cの下端は、二液蒸散装置1cの載置面に対して斜めに開口している。下端の開口角度θは特に限定されない。一例を挙げると、開口角度θは、載置面に対して、30〜60°程度である。また、開口の上端の位置P1は特に限定されない。油層L2をより取り込みやすいように、開口の上端の位置P1は、周面に形成された開口のうち最も下方に形成された開口(開口53c)と同程度かわずかに下方に形成されることが好ましい。これにより、油層L2の液面が開口53cよりも下方に下がった場合であっても、油層L2は、開口から取り込まれやすい。
・油層用蒸散部7c
油層用蒸散部7cは、ハウジング51c内に収容される略円筒状の部位である。円筒部72cの下端は、ハウジング51cの下端と同様に、二液蒸散装置1cの載置面に対して斜めに開口している。これにより、水層用通路部材6bの棒状部62bの下端が、開口から露出することとなる。その結果、水層L1は、水層用通路部材6bと接触しやすく、取り込まれやすい。
以上、本実施形態の二液蒸散装置1cは、特に、油層L2の液面が下がった場合であっても、油層L2(および水層L1)を取り込みやすい。その結果、二液蒸散装置1cは、油層L2および水層L1を、均一な割合で蒸散させながら、使い切りやすい。
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明した。本発明は、たとえば次のような変形実施形態を採用することができる。
(1)上記実施形態(第1の実施形態および第2の実施形態)では、上面視で略半円状である水層用蒸散部および油層用蒸散部が設けられている場合について例示した。これに代えて、水層用蒸散部および油層用蒸散部の形状は、上面視で略半円状のものに限定されない。すなわち、水層用蒸散部および油層用蒸散部の形状は、これらが収容される外側キャップの内面形状によって決定される。
(2)上記実施形態(第1の実施形態および第2の実施形態)では、水層用通路を構成する部材の1つとして、流量調整部材が設けられている場合について例示した。本発明は、流量調整部材は、必須ではない。たとえば、本発明は、流量調整部材に代えて、第2の実施形態における水層用貫通孔の孔径を調整するか、第1の実施形態や第2の実施形態における水層用蒸散部の水層に対する吸収速度を調整する等により、水層の流量を調整してもよい。
(3)上記実施形態(第1の実施形態および第2の実施形態)では、位置決め機構が設けられている場合について例示した。これに代えて、本発明は、位置決め機構が設けられていなくてもよい。すなわち、本発明は、たとえば第1の実施形態における平板部材の水層用貫通孔の下端の開口近傍を所定の色に着色し、油層用貫通孔の下端の開口近傍を異なる色に着色し、これらの色と対応する色によって、それぞれ水層用蒸散部の平面部の上面および油層用蒸散部の平面部の上面を着色すればよい。これにより、使用者は、それぞれの部材に付された色を参考に、取付方向を容易に理解し得る。
ほかにも、第1の実施形態において、平板部材を水層用蒸散部の平面部および油層用蒸散部の平面部の上面に載置しておき、第1のバルブ機構のステムの上端の開口形状をたとえば円形とし、第2のバルブ機構のステムの上端の開口形状をたとえば三角形状等とし、平板部材の水層用突起の開口形状を円形、油層用突起の開口形状を三角形状等としてもよい。これにより、使用者は、開口形状を参考に、取付方向を容易に理解し得る。
(4)上記実施形態(第1の実施形態および第2の実施形態)では、位置決め機構に関して、湾曲面と非湾曲面とを形成した部材(たとえば平板部材)を利用して位置決めを行った。この際、非湾曲面は、平面状とした。これに代えて、非湾曲面の形状は特に限定されない。本発明は、非湾曲面に代えて、湾曲面とは異なる曲率半径の第2の湾曲面が採用されてもよく、たとえばジグザグ形状等の形成された非湾曲面が採用されてもよい。要するに、非湾曲面は、湾曲面と異なる形状の周面であればよい。
(5)上記実施形態では、第1の実施形態において、吸油性材料の収容されたチューブ部材を用いた例を示し、第2の実施形態において、吸油性材料の成形された油層用チューブ部材を用いた例を示した。これに代えて、それぞれのチューブ部材は、互いに交換可能である。すなわち、第1の実施形態において、吸油性材料の成形された油層用チューブ部材が用いられてもよく、第2の実施形態において、吸油性材料の収容されたチューブ部材が用いられてもよい。
1、1a、1b、1c 二液蒸散装置
2 容器本体
21 本体部
22 首部
23、34a、43a、52b フランジ部
3、3a、3b、3c 蒸散部材
31a 閉止部材
32a 油層用チューブ部材
33a、33b ネジキャップ
35a、83a 油層用貫通孔
36a、82a 水層用貫通孔
37a、37b 小径部
37p 湾曲内周面
37q 非湾曲内周面
38a、38b 大径部
39a、39b 平板部
4 バルブ機構
41 第1バルブ機構
41A チューブ取付部
41E 弾性部材
41H、51b、51c ハウジング
41P ステム孔
41Pa ステム内通路
41R ステムラバー
41S ステム
42 第2バルブ機構
43 バルブ本体部
44 カバーキャップ
44a 縁部
45 チューブ部材
45p 開口
46 吸油性材料
47 流量調整部材
5、5b、5c 油層用通路部材
53b、53c 開口
6、6a 水層用蒸散部
61、61a 平面部
61b 水層用蒸散部
62、72 周縁部
62b 棒状部
63、63a、73、73a 湾曲側面
64、64a、74、74a 非湾曲側面
65、75 湾曲内周面
65a 水層用突部
66、76 非湾曲内周面
66a、76a、81a 切断面
67a、77a 湾曲外周面
68a、78a 非湾曲外周面
6b 水層用通路部材
7、7a、7b、7c 油層用蒸散部
71、71a 平面部
71b 上端部
72b、72c 円筒部
73b 段部
75a 油層用突部
8 平板部材
81 板状部
82 水層用突起
83 油層用突起
9、9a 外側キャップ
91 係合部
92 蒸散窓
L1 水層
L2 油層
L3 噴射剤の気相
P1 開口の位置

Claims (7)

  1. 水層と油層とに上下に分離する内容物が充填された容器本体と、前記容器本体に取り付けられ、前記内容物を蒸散させるための蒸散部材とを備え、
    前記蒸散部材は、
    前記水層を取り込むための水層用通路と、吸油性材料を含み、前記油層を取り込むための油層用通路とが形成され、かつ、
    前記水層用通路から取り込まれた前記水層を蒸散させるための水層用蒸散部と、前記油層用通路から取り込まれた前記油層を蒸散させるための油層用蒸散部とを含む、二液蒸散装置。
  2. 前記油層用通路は、前記油層を内部に取り込むための複数の開口が周面に形成されたチューブ部材と、前記チューブ部材に収容された吸油性材料とを含む油層用通路部材に形成されている、請求項1記載の二液蒸散装置。
  3. 前記油層用通路は、吸油性材料が略棒状に成形された油層用通路部材に形成されている、請求項1記載の二液蒸散装置。
  4. 前記吸油性材料は、平均繊維径が10〜1000nmである合成樹脂ファイバーである、請求項2または3記載の二液蒸散装置。
  5. 前記蒸散部材は、前記水層用通路から取り込まれた前記水層が前記水層用蒸散部に供給され、かつ、前記油層用通路から取り込まれた前記油層が前記油層用蒸散部に供給されるように、前記水層用通路および前記油層用通路に対する前記水層用蒸散部および前記油層用蒸散部の相対位置を決定するための位置決め機構が形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の二液蒸散装置。
  6. 前記油層用通路は、略円筒状の油層用通路部材に形成されており、
    前記水層用通路は、略棒状の水層用通路部材に形成されており、
    前記水層用通路部材は、前記油層用通路部材と略同軸上になるように、前記油層用通路部材に内挿されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の二液蒸散装置。
  7. 前記油層用通路部材のうち、前記内容物に浸漬される一端は、二液蒸散装置の載置される載置面に対して斜めに開口しており、前記水層用通路部材の一端は、前記油層用通路部材から突出している、請求項6記載の二液蒸散装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111011327A (zh) * 2019-12-17 2020-04-17 胡禄华 一种用于昆虫捕捉并对翅膀大小筛选的生物研究辅助装置

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