以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
[実施の形態]
まず、実施の形態に係る表示制御装置について、概略構成、表示制御処理の流れ及び具体例を説明する。
実施の形態に係る表示制御装置は、検知されたイベントに対応させて、アプリケーションウィンドウに対する1ステップ以上先の操作手順を示す次操作候補要素を、制御対象のアプリケーションウィンドウ上に重畳表示した透明ウィンドウに表示させる。このため、実施の形態に係る表示制御装置は、アプリケーションウィンドウ上に透明ウィンドウを重ねることで、対象のアプリケーションを限定せず、複数ウィンドウに対しても適用可能である。また、本実施の形態に係る表示制御装置は、アプリケーションウィンドウ上に次操作候補要素を重畳表示するため、表示可能な画面領域が限られている場合であっても、操作の流れに沿った効率的なナビゲーションを実現できる。
図1は、実施の形態に係る表示制御装置の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、実施の形態に係る表示制御装置10は、制御装置40が有するOS41及びアプリケーション42を介して、入力装置20と接続する。表示制御装置10は、制御装置40が有するOS41を介して、表示装置30と接続する。本実施の形態では、以下、入力にイベントログを用いた場合の代表的な実現方法について説明する。
入力装置20は、表示制御装置10の操作者からの各種操作を受け付ける装置である。入力装置20は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、マイクといった入力デバイスによって実現される。入力装置20が受け付けた各種操作は、操作イベントとして、表示制御装置10において処理される。
表示装置30は、表示制御装置10の表示制御にしたがい画面に画像を表示する装置である。表示装置30は、例えば、モニタ等により実現される。
制御装置40は、OS41とアプリケーション42とを有する。OS41は、制御装置40の動作環境を提供するソフトウェアである。アプリケーション42は、OS41上で動作する。アプリケーション42は、入力装置20が受け付けたユーザが要求する情報処理を直接実行するソフトウェアである。アプリケーション42は、Webアプリケーションやネイティブアプリケーションである。
表示制御装置10は、表示装置30の表示処理を制御する。表示制御装置10は、制御部100及び記憶部13を有する。
記憶部13は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、光ディスク等の記憶装置である。なお、記憶部13は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、NVSRAM(Non Volatile Static Random Access Memory)等のデータを書き換え可能な半導体メモリであってもよい。記憶部13は、表示制御装置10で実行されるOS(Operating System)や各種プログラムを記憶する。さらに、記憶部13は、プログラムの実行で用いられる各種情報を記憶する。
記憶部13は、知識DB131を有する。知識DB131は、アプリケーションウィンドウに対する次回以降の操作手順を示す次操作候補要素の生成に要する各種情報を記憶する。例えば、知識DB131は、ログデータ132、文脈データ133、可視化ルールデータ134を記憶する。
ログデータ132は、ユーザによる操作イベントやシステムイベント、その他任意のイベントのログデータである。操作イベントは、ユーザのマウスクリック、マウスの軌跡、ショートカットキーによる操作等のイベントである。システムイベントは、OSやミドルウェアに関するログ、Windows(登録商標)のシステムイベントなどである。その他任意のイベントは、例えば、Syslog、サービスやアプリケーション独自のログ、ユーザ認証や任意のリソースに対するアクセス権に関するログなどのセキュリティ関連のイベント等である。
図2は、図1に示すログデータ132のデータ構成の一例を示す図である。図2のログデータ132aに示すように、ログデータ132には、各イベントの識別子(ID)、ログの開始時刻及びログの終了時刻すなわちタイムスタンプ、イベントの種別を示すカテゴリ、イベントの内容、イベントソース(App)、GUI要素のID(部品ID)、対象となるウィンドウID、及び、アカウントが登録される。
例えば、イベントID「Se1」のログは、「11:00」に開始し、「11:03」に終了したカテゴリ「System」のログであり、「ログオン成功」を示し、イベントソース「Security Auditing」において、「system」アカウントで実行されたものである。なお、ログデータ132のデータ構成は図2の構成に限らず、各イベントに、部品ID、ウィンドウID及びイベントソースを関連付ける別のテーブルを用意してもよい。また、図2の構成では、各行が一つのイベントを示しているが、各行がイベント列で構成されてもよい。
文脈データ133は、イベント列に基づく文脈を示すデータである。文脈は、一以上のイベントであるイベント列からイベント列の状態遷移で示される作業と該作業の状態遷移で示される業務とを導出したものである。言い換えると、「文脈」とは、特定のアプリケーションないしは画面、GUI要素に対して行われたイベント列から、「作業」、「業務」、ユーザ属性等を導出したものである。この文脈データ133は、予め知識DB131に登録されている。
図3は、作業及び業務を説明する図である。図3に示すように、「作業」は、イベント列の状態遷移で表現される。また、「業務」は「作業」の状態遷移で表現される。例えば、イベント列「e1」,「e3」〜「e5」から、「作業A」が導出される。そして、「作業A」〜「作業C」から、「業務」が導出される。文脈データ133は、イベント列と、「作業」や「業務」とのマッピング表である。また、文脈データ133は、「文脈」ごとに算出した頻度や重要度を含む。この「文脈」の頻度や重要度は、判定部142(後述)によって更新される。
なお、「文脈」の重要度は、例えば、特定の「文脈」におけるユーザの熟練度によって指定してもよい。また、「文脈」の重要度は、特定のキー操作を境に、以降の手順の分散が大きくなる部分を抽出し、当該部分の重要度を高く設定してもよい。また、「文脈」の重要度は、キーとなる操作かどうかによって算出する他、習熟度に応じて高低を設定してもよい。或いは、「文脈」に対し、直前の操作からの経過時間やマウスの動き、予め指定しておいた入力操作等のユーザからの明示的なシグナルにより、ユーザの迷いが発生していると自動または手動で判定される場合に当該部分の重要度を高く設定することも可能である。
可視化ルールデータ134は、制御対象となるアプリケーション42に対する操作イベント或いはシステムイベントに対応して設定された1ステップ以上先の操作手順を示す次操作候補要素を生成し、表示するための可視化ルールである。可視化ルールデータ134には、複数の可視化ルールが含まれる。可視化ルールは、可視化パラメータ、対応ルール及び割り当てルールを含む。可視化パラメータは、文脈ごとに、次操作候補要素の可視化方法、次操作候補要素に対する視覚変数、提示ステップ数及び優先度を示す各パラメータが対応付けられた可視化パラメータを示すデータである。対応ルールは、文脈、文脈に対応する頻度及び重要度と可視化パラメータ内のパラメータとの対応関係を示すデータである。また、割り当てルールは、文脈における作業或いは重要度或いは頻度に応じて設定された視覚変数の割り当てルールを示すデータである。
図4は、可視化パラメータのデータ構成の一例を示す図である。図4の可視化パラメータ134aに示すように、可視化パラメータは、文脈ごとに、次操作候補要素の可視化方法、次操作候補要素に対する視覚変数、提示ステップ数及び優先度を示す各パラメータが対応付けられたデータ構成を有する。次操作候補要素に対する視覚変数は、具体的には、図4に示すように、次操作候補要素のノードサイズ、色相、彩度、時系列の示し方である。
例えば、文脈「作業A」に対する次操作候補要素は、ヒートマップ方式で可視化され、ノードサイズは、頻度に応じて調節され、「Blue」の色相で、明度の違いによって時系列が表示される。そして、文脈「作業A」ついては、3ステップ先までの操作を示す画像が優先度「1」で表示される。これに対し、文脈「作業A,熟練者」に対する次操作候補要素は、グラフ方式で可視化され、ノードサイズは、頻度に応じて調節され、作業については「Blue」の色相を使用し、熟練度については彩度によって調節される。そして、文脈「作業A,熟練者」については、矢印によって時系列が表示され、3ステップ先までの操作を示す画像が優先度「2」で表示される。このように、可視化パラメータ134aは、「文脈」と各パラメータの組み合わせとを示す。
制御部100は、表示制御装置10全体を制御する。制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路である。また、制御部100は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、内部メモリを用いて各処理を実行する。また、制御部100は、各種のプログラムが動作することにより各種の処理部として機能する。制御部100は、次操作候補要素表示制御部14及び可視化アプリケーション15を有する。
次操作候補要素表示制御部14は、表示装置30に表示させる、次操作候補要素を導出し、アプリケーションウィンドウ上に重畳した可視化レイヤの描画及び更新を行う。次操作候補要素表示制御部14は、検知部141、判定部142及び表示制御部143を有する。
検知部141は、制御対象となるアプリケーション42に対する操作イベント、システムイベント、その他イベントを検知する。検知部141は、検知した一以上のイベント、すなわち、イベント列を判定部142に入力する。
例えば、検知部141は、Windows OSであれば、Enum Windows関数等のウィンドウ一覧を列挙できる方法を用いて、アプリケーションの一覧を取得する。そして、検知部141は、GetWindow関数等のZオーダを列挙できる方法を用いて、取得したウィンドウ一覧のうち、アクティブなウィンドウを判定する。検知部141は、判定したアクティブウィンドウのイベント、システムイベントやその他イベント、もしくはこれらイベントの列を検知するごとに、判定部142にアプリケーション一覧やアクティブウィンドウの情報、取得したイベント列を流し続ける。
判定部142は、記憶部13が記憶する複数の可視化ルールのうち、検知部141によって検知されたイベント列に対応する可視化ルールを判定する。判定部142は、検知部141で検知したイベント列を基に知識DB131に問い合わせを行い、検知部141によって検知されたイベント列に対応する可視化ルールを決定する。判定部142は、イベント列の部分集合の表す「作業」、及び「作業」の集合である「業務」といったイベント列の「文脈」、可視化パラメータ、対応ルール、割り当てルールを決定する。言い換えると、判定部142は、文脈データ132を参照して、検知部141によって検知されたイベント列に合致する文脈を求め、文脈とともに、該文脈の作業及び業務、該文脈に対応付けられた頻度及び重要度を取得する。そして、判定部142は、知識DB131が記憶する複数の可視化パラメータ、対応ルール、割り当てルールのうち、取得した文脈、該文脈の作業及び業務、該文脈に対応付けられた頻度及び重要度に対応する可視化パラメータ、対応ルール、割り当てルールを求める。
表示制御部143は、記憶部13が記憶する複数の可視化ルールのうち、検知部141によって検知されたイベント列に対応する可視化ルールを基に、制御対象のアプリケーションウィンドウ上に透明ウィンドウを生成かつ重畳表示し、該透明ウィンドウ上に次操作候補要素を表示させる。
すなわち、表示制御部143は、制御対象のアプリケーションウィンドウ上に透明ウィンドウを生成かつ重畳表示する。そして、表示制御部143は、判定部142によって求められた、イベント列に合致する文脈、該文脈の作業及び業務、該文脈に対応付けられた頻度及び重要度に対応する可視化パラメータ、対応ルール、割り当てルールを基に次操作候補要素を生成する。表示制御部143は、生成した次操作候補要素を表示させる。
表示制御部143は、判定部142から取得した可視化パラメータ、対応ルール、割り当てルールを基に、アプリケーションウィンドウ上に重ねた透明ウィンドウ上に次操作候補要素を描画する描画処理を行う。透明ウィンドウは、例えば、htmlやJavaScript(登録商標)による描画指定をサポートしたレンダリングエンジン(WebKitやGeckoなど)を搭載したブラウザをベースに、背景の透明化およびツールバーを非表示とした新たなウィンドウを生成することにより実現する。なお、他の実装方法でも可能である。前述のように、表示制御装置10は、透明ウィンドウ上に実装することにより、対象アプリケーション自体を改変せずに操作手順を示すことが可能になる。また、表示制御装置10は、複数のアプリケーションに対しての描画にも対応可能である。
可視化アプリケーション15は、次操作候補要素表示制御部14から出力された可視化レイヤの描画や更新の指示にしたがい、透明ウィンドウをアプリケーションウィンドウに重畳表示し、次操作候補要素を表示した可視化レイヤを表示装置30に表示させるアプリケーションである。
[検知処理の処理手順]
次に、検知部141による検知処理について説明する。図5は、図1に示す検知部141による検知処理の処理手順を示すフローチャートである。
図5に示すように、検知部141は、アプリケーションの一覧を取得する(ステップS11)。続いて、検知部141は、取得したウィンドウ一覧のうち、アクティブなウィンドウを判定する(ステップS12)。検知部141は、アクティブなウィンドウに対するイベントを検知したか否かを判定する(ステップS13)。検知部141は、イベントを検知したと判定する場合(ステップS13:Yes)、検知したイベントを判定部142へ通知する(ステップS14)。一方、検知部141は、イベントを検知していないと判定した場合(ステップS13:No)、ステップS11に戻り、処理を繰り返す。
[判定処理の処理手順]
次に、判定部142による判定処理について説明する。図6は、図1に示す判定部142による判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
図6に示すように、判定部142は、知識DB131に問い合わせを行い、検知部141から連続して入力されたイベント列が、知識DB131内の「文脈」とマッチするか否かを判定する(ステップS21)。判定部142は、イベント列が、知識DB131内の「文脈」とマッチしないと判定した場合(ステップS21:No)、ステップS21に戻り、検知部141が検知した新たなイベント列を追加して、再度ステップS21の判定処理を行う。
判定部142は、イベント列が、知識DB131内の「文脈」とマッチすると判定した場合(ステップS21:Yes)、イベント列とマッチした「文脈」の頻度及び重要度に変更があるか否かを判定する(ステップS22)。判定部142は、イベント列とマッチした「文脈」の頻度及び重要度に変更があると判定した場合(ステップS22:Yes)、イベント列とマッチした「文脈」の頻度及び重要度を再算出し、知識DB131を更新する(ステップS23)。
判定部142は、イベント列とマッチした「文脈」の頻度及び重要度に変更がないと判定した場合(ステップS22:No)、または、ステップS23の処理後、知識DB131内の可視化ルールデータ134のうち、イベント列と合致した「文脈」から可視化ルールを導出する(ステップS24)。言い換えると、判定部142は、知識DB131内の可視化ルールデータ134のうち、検知部141によって検知されたイベント列に合致する文脈、該文脈の作業及び業務、該文脈に対応付けられた頻度及び重要度、該文脈に対応する可視化パラメータ、対応ルール、割り当てルールを求める。そして、判定部142は、求めた可視化ルールを表示制御部143へ通知する(ステップS25)。
[表示制御処理の処理手順]
次に、表示制御部143による表示制御処理について説明する。図7は、図1に示す表示制御部143による表示制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
図7に示すように、表示制御部143は、判定部142によって求められた可視化パラメータ、対応ルール及び割り当てルールを基に、指定されたステップ数の次操作候補要素を生成する(ステップS31)。表示制御部143は、透明ウィンドウをアプリケーションウィンドウ上に生成かつ重畳表示させる(ステップS32)。そして、表示制御部143は、透明ウィンドウ上に、ステップS31において生成した次操作候補要素を表示装置30に表示させる(ステップS33)。
[実施の形態の効果]
このように、本実施の形態に係る表示制御装置10は、検知されたイベントに対応させて、アプリケーションウィンドウに対する1ステップ以上先の次操作候補要素を含む透明ウィンドウを生成し、該生成した透明ウィンドウをアプリケーションウィンドウ上に重畳して表示装置の画面に表示させる。
具体的には、本実施の形態に係る表示制御装置10は、イベントを基にアプリケーションウィンドウにおけるユーザの操作状況を、時系列を表現したヒートマップもしくはグラフ等の形で提示する。これによって、本実施の形態に係る表示制御装置10によれば、1ステップ以上先の次操作候補についてリアルタイムかつ直観的にユーザに提示することができる。さらに、本実施の形態に係る表示制御装置10によれば、ヒートマップへの視覚変数の割り当てを工夫することによって、ユーザは、操作手順や時系列、重要度等を把握しながら、操作全体の「文脈」を読み取ることができる。具体的には、本実施の形態に係る表示制御装置10では、習熟度やキーとなる操作かどうかによって算出される重要度によって、ノードの彩度などの視覚変数を調整するため、ユーザの操作全体の「文脈」の読み取りを支援することができる。
さらに、本実施の形態に係る表示制御装置10では、対象となるアプリケーションウィンドウ上に重ねた透明ウィンドウ上に次操作候補要素を描画する。すなわち、表示制御装置10は、次操作候補要素の描画処理をアプリケーションに新たに組み込むのではない。表示制御装置10は、透明ウィンドウを、アプリケーションのアプリケーションウィンドウに重ねて、透明ウィンドウ上に、1ステップ以上先の次操作候補要素を表示するだけである。したがって、表示制御装置10によれば、アプリケーションに依存せず次操作候補要素の描画が適用可能であり、システム改修のコストがかからない。そして、表示制御装置10によれば、対象のアプリケーションを限定せず、複数ウィンドウに対しても適用可能である。
そして、本実施の形態に係る表示制御装置は、アプリケーションウィンドウ上に透明ウィンドウを重畳表示し、次操作候補要素を表示させるため、表示可能な画面領域が限られている場合であっても、操作手順や時系列等の不足なく、操作の流れに沿った効率的なナビゲーションを実現できる。
したがって、本実施の形態に係る表示制御装置10によれば、アプリケーション自体への作り込みを不要としながら、操作手順や時系列等の不足なく操作全体のリコメンドを表示できる。
実際に、表示制御装置10の制御によって表示される次操作候補要素の表示例について説明する。まず、実施例1について説明する。実施例1では、表示制御装置10は、次操作候補要素として時系列を表現したヒートマップ画像を表示する。
すなわち、表示制御装置10が、ユーザに入力支援が必要なGUI要素に対して操作を行った際に1ステップ以上先の操作候補となる画面上のGUI要素にヒートマップ画像を重畳表示する。このとき、ヒートマップの表現として、例えば大きさで頻度を表し、色相で操作順を表し、彩度で重要度を表すことによって、同一画面上に複数の次操作候補要素が提示された場合においても、ユーザがそれぞれの次操作候補の時系列変化を把握可能になる。ここでいう重要度とはユーザの熟練度等を指し、具体的には、ユーザ全体の操作の集計値よりも、予め設定したベテランの操作列の重要度を高く設定する等をいう。
まず、図8を参照して、彩度で重要度を表したヒートマップの表示例について説明する。図8は、図1に示す表示制御装置10の表示制御処理を説明する図である。図8の(a)の左方には、表示装置30に表示されるアプリケーションウィンドウM1を示す。図8の(a)の右方には、表示制御装置10が生成する透明ウィンドウT1及び次操作候補要素を示す。図8の(b)は、表示装置30に表示される画面の一例を示す図である。
図8の例では、彩度で重要度を表したヒートマップを表示する。例えば、図8の(a)の左方に示す業務システムのアプリケーションウィンドウM1への入力作業の際、多くのユーザは全項目に順番に入力を行い、熟練ユーザはIDを入力して直接検索を行っているとする。
この場合、表示制御部143は、「ネットワーク情報を入力する『作業』」という「文脈」における次操作候補を提示したヒートマップH1,H2を、対応する入力欄の位置に合わせて表示した透明ウィンドウT1を生成する(図8の(a)の右方参照)。なお、ヒートマップH1は、一例として、カラーコードが「#ff0000」(高彩度)であり、ヒートマップH2は、一例として、カラーコードが「#663d3d」(低彩度)である。そして、表示制御部143は、生成した透明ウィンドウT1を、アプリケーションウィンドウM1に重畳し、さらに、彩度の高さで重要度を区別できるように示した各ヒートマップH1,H2を表示装置30に表示させる。この結果、図8の(b)に示すように、表示装置30には、アプリケーションウィンドウM1上に1ステップ以上先の次操作候補を示すヒートマップH1,H2が表示される。この場合、表示制御部143は、図8の(b)のように、ヒートマップの大きさによってユーザ操作の頻度を示し、彩度の高さで習熟度の高さを示すことによって、前述のような習熟度による操作の違いを表現することが可能である。
なお、パラメータと視覚変数との組み合わせはこの限りではなく、他の視覚変数を用いてもよい。ヒートマップの表示位置については、先行特許文献1記載のPotential Pointsの算出と同様に行う。
次に、図9を参照して、色相で操作順を表したヒートマップの表示例について説明する。図9は、図1に示す表示制御装置10の表示制御処理を説明する図である。図9では、プルダウン表示や新規ウィンドウなど、ユーザの操作時点で非表示になっているGUI要素に対し、ユーザの操作に応じてヒートマップを動的に提示する場合を示す。このとき、複数ステップを同時に提示する場合は、色相で操作順を表現することも可能である。図9の例では、操作開始から現在に渡る操作順を、青、青紫、紫、赤紫、赤の順で表現する(図9の(c)の凡例参照)。
例えば、図9の(a)の設備構築メニューM3aの項目のうち、「工事管理」が1ステップ先の次操作候補になっている。そして、この「工事管理」項目への操作に伴い表示されるプルダウンメニュー内に2ステップ以上先の次操作候補が存在するとする。ここで、現在のユーザ操作をi番目とする。そして、図9の(a)はi番目の操作状態を示し、図9の(b)は(i+1)番目の操作状態を示し、図9の(c)は(i+2)番目の操作状態を示す。
まず、設備構築メニューM3aの項目「工事管理」上に(i+1)番目の操作候補であることを示すヒートマップH3a(色相:青)が表示される(図9の(a)参照)。このとき、表示制御部143は、表示装置30に、透明ウィンドウT3aを、設備構築メニューM3a上に重畳表示し、この青のヒートマップH3aを描画する。
そして、設備構築メニューM3bのうち、ユーザが「工事管理」にマウスカーソルCを当てると、展開されたプルダウンメニューのうち「自工事選択」上に、(i+2)番目の操作候補であることを示すヒートマップH3b(色相:紫)が表示される(図9の(b)参照)。このとき、表示制御部143は、表示装置30に、透明ウィンドウT3bを、設備構築メニューM3b上に重畳表示し、ヒートマップH3bを描画する。
続いて、設備操作メニューM3cのうち、ユーザが「自工事選択」にマウスカーソルCを当てることにより展開する「リスト選択」メニュー上に、(i+3)番目の操作候補であることを示すヒートマップH3c(色相:赤)が表示される(図9の(c)参照)。このとき、表示制御部143は、表示装置30に、透明ウィンドウT3cを、設備操作メニューM3c上に重畳表示し、青のヒートマップH3a及び紫のヒートマップH3bとともに、この赤のヒートマップH3cを描画する。なお、図9の(a)〜(c)では、透明ウィンドウT3cの下方に凡例を示す例を示したが、この凡例は、必ずしも透明ウィンドウ上に表示してもしなくてもよい。
また、表示制御装置10は、色相を、操作順で割り当てる代わりに、一連の「作業」の操作開始時刻からの経過時間に割り当てることもできる。この場合、ユーザは、経過時間に相当する色相のヒートマップを確認することによって、一連の操作内で滞留が発生している操作を把握可能になる。なお、同時に表示するステップ数や候補数は設定により変更可能であり、システムに不慣れなユーザにはベテランの理想的な操作候補のみ提示し、システムに慣れたユーザには複数の候補を提示する等、柔軟な表示が可能である。
本実施例1のように、表示制御装置10は、複数ステップの次操作候補要素を同時に表示することによって、ユーザは、直近の操作履歴と併せて現在の次操作候補を把握することができる。このため、非特許文献1記載の方法のように1ステップ先の次操作が短時間で提示され、それにしたがって各ステップの操作を行う方法と比して、実施例1の方が、操作の流れの習得が容易になる。
次に、実施例2について説明する。実施例2では、表示制御装置10は、実施例1のようにGUI要素上に大きさを反映したヒートマップを重ねる代わりに、GUI要素全体をハイライト表示する。
まず、表示制御装置10は、画面構造をWindows APIで取得する。続いて、表示制御部143は、透明ウィンドウをアプリケーションウィンドウに重畳表示し、GUI要素全体を覆う矩形のヒートマップを表示させる。矩形のヒートマップは、例えば色相で操作順を示し、彩度で頻度を示す。そして、次操作候補として、ベテランのデータを表示するか、或いは、全ユーザのデータを表示するかは、ユーザが切り替え可能である。図10の例では、図9と同様に、操作開始から現在に渡る操作順を、青、青紫、紫、赤紫、赤の順で表現する。そして、彩度が強くなると頻度が高いことを示す。
図10は、図1に示す表示制御装置10の表示制御処理の結果を示す画面の一例を示す図である。図10の設備構築メニューM4は、図9に示す設備構築メニューに相当する。図9では、円形のヒートマップで表現されていた次操作候補要素が、図10では、GUI要素を覆う矩形のヒートマップに置き換えられる。
具体的には、設備備操作メニューM4のうち、ユーザが「自工事選択」にマウスカーソルCを当てると、矩形のヒートマップH4a(色相:紫)が表示される。そして、展開されたプルダウンメニューのうち「リスト選択」メニュー上に、次操作候補であることを示す矩形のヒートマップH4b(色相:赤)が表示される(図10参照)。これによって、次操作候補であるGUI要素全体が赤のハイライトで表示される。このとき、表示制御部143は、透明ウィンドウT4を設備操作メニューM4上に重畳表示させ、透明ウィンドウT4上にヒートマップH4a,H4bを表示させ、表示装置30に出力する。
次に、実施例3について説明する。実施例3では、表示制御装置10は、複数ウィンドウを併用する場合に、透明ウィンドウを複数ウィンドウに重畳表示させて、これら複数の透明ウィンドウ上に次操作候補要素を表示する。図11、図13及び図14は、図1に示す表示制御装置10の表示制御処理の結果を示す画面の一例を示す図である。図12及び図15は、図1に示す可視化ルールの一例を示す図である。
図11〜図15を参照し、同一オーダに対して顧客情報や工事情報など複数の帳票(アプリケーションウィンドウ)が存在し、単一の業務システム画面上の入力欄に帳票の内容を転記する事例について説明する。この事例では、システム上の入力対象と各帳票上の入力項目との対応を取りながら、適切な項目に転記する必要がある。ここで、入力対象のシステムの作りが複雑な場合または帳票上に含まれる情報が多岐にわたる場合、業務に不慣れなユーザにとっては対応が取りづらいことが考えられる。このような複数のアプリケーションウィンドウでの操作の場合も、表示制御装置10は、実施例1,2と同様、各アプリケーションウィンドウにわたる操作の順序に応じた色相を割り当ててヒートマップを動的に表示することによって、操作の流れを把握しながら、次操作候補を提示可能である。
図11は、それぞれ「顧客情報の入力(『作業A』)」「設備情報の入力(『作業B』)」という各「作業」ごとに色相を割り当てた場合のヒートマップ表示画面例である。また、図11に示すヒートマップ表示は、図12に示す可視化ルール134aに基づいて行われる。なお、この例では、知識DB131がリレーショナルデータベースで実装されているとし、可視化ルールは「文脈」をプライマリーキーとして登録されており、最長一致で検索を行うものとする。
図11及び図12を参照して、表示制御装置10において、判定部142は、「文脈」として「作業A」(文脈1)と「作業B」(文脈2)とを指定した場合について説明する。この場合、判定部142は、図12に示す可視化ルール134aの「作業A」に応じた可視化パラメータ(図12の行R1参照)、対応ルール、割り当てルール、及び、「作業B」に応じた可視化パラメータ(図12の行R3参照)、対応ルール、割り当てルールを取得する。具体的には、「作業A」(文脈1)の可視化ルールは、ヒートマップで表示し、大きさで頻度を表し、色相が「Blue(青系列)」であり、明度で操作順を表し、3ステップ先までの操作候補を示すルールである。また、「作業B」(文脈2)の可視化ルールは、ヒートマップで表示し、大きさで頻度を表し、色相が「Red(赤系列)」であり、明度で操作順を表し、3ステップ先までの操作候補を示すルールである。また、図11の例では、明度には、操作開始から現在に渡ってレベル1〜3が対応付けられている。
表示制御部143は、「作業A」の3ステップ先までの次操作候補を提示した青系列のヒートマップH51〜H53を、対応する操作メニューM5a,M5bの入力欄の位置に合わせて生成する。なお、ヒートマップのH51〜H53の明度は、順に、レベル1、レベル2、レベル3である。このため、「作業A」については、ヒートマップH51〜53の順で操作するよう3ステップ先までの次操作候補が示される。そして、表示制御部143は、「作業B」の3ステップ先までの次操作候補を提示した赤系列のヒートマップH54〜H56を、対応する操作メニューM5a,M5cの入力欄の位置に合わせて生成する。なお、ヒートマップのH54〜H56の明度は、順に、レベル1、レベル2、レベル3である。このため、「作業B」については、ヒートマップH54〜56の順で操作するよう3ステップ先までの次操作候補が示される。そして、表示制御部143は、透明ウィンドウT5を生成する。この透明ウィンドウT5は、複数のアプリケーションウィンドウM5a〜M5cの全てを覆う大きさである。そして、表示制御部143は、生成した透明ウィンドウT5を、アプリケーションウィンドウM5a〜M5cに重畳表示し、この透明ウィンドウT5上に生成したヒートマップH51〜H56を表示装置30に表示させる。この結果、図11に示すように、表示装置30には、複数のアプリケーションウィンドウM5a〜M5c上に作業A,Bのそれぞれに対する3ステップ先の次操作候補を示すヒートマップH51〜56が表示される。
このように、表示制御装置10は、複数のアプリケーションウィンドウに対するユーザの操作イベントを含むイベント列に合致する文脈に対応した可視化パラメータ、対応ルール及び割り当てルールを基に、1ステップ以上先の次操作候補を色ないしはグラフ等で示した次操作候補要素を生成する。そして、表示制御装置10は、複数のアプリケーションウィンドウ上に重畳表示した透明ウィンドウ上に生成した次操作候補要素を表示し、ユーザに提示する。すなわち、本実施の形態に係る表示制御装置10は、アプリケーションウィンドウ上に透明ウィンドウを重ねることで、対象のアプリケーションを限定せず、複数ウィンドウに対しても適用可能である。
さらに、実施の形態に係る表示制御装置10は、ヒートマップへの視覚変数の割り当てを工夫することによって、ユーザは、複数ウィンドウに対する操作であっても操作順を直観的に把握することができる。すなわち、このように複数の作業に対して複数ステップを同時に提示した場合であっても、作業ごとにそれぞれ区別可能となるようにヒートマップへの視覚変数を割り当てているため、ユーザが提示された情報の中から操作対象の部分を探すことも容易となり、操作順を短時間で把握することができる。
なお、表示制御部143は、複数のアプリケーションウィンドウM5a〜M5cの全てを覆う大きさの透明ウィンドウT5を生成したが、もちろん、これに限らない。表示制御部143は、図13に示すように、複数のアプリケーションウィンドウM5a〜M5cごとに、透明ウィンドウT51〜T53を生成する。そして、表示制御部143は、各アプリケーションウィンドウM5a〜M5cに、それぞれ対応する透明ウィンドウT51〜T53を重畳して、表示装置30に表示させる。そして、表示制御部143は、透明ウィンドウT51〜T53上に、作業A,Bのそれぞれに対する3ステップ先の次操作候補を示すヒートマップH51〜56を表示させる。
次に、図14及び図15を参照して、GUI要素に対する時系列の操作ごとに色相を割り当ててヒートマップを表示させた例を説明する。この場合、表示制御装置10において、判定部142は、「文脈」として、「業務A,時系列」を指定した場合について説明する。この場合、判定部142は、図15に示す可視化ルール134bの「作業A,時系列」に応じた可視化パラメータ(図15の行R1’参照)、対応ルール及び割り当てルールを取得する。具体的には、「作業A,時系列」の可視化ルールは、ヒートマップで表示し、大きさで頻度を表し、時系列を色相で表し、6ステップ先までの操作候補を示すルールである。図14の例では、操作開始から現在に渡る操作順を、青、薄青、緑、黄色、橙、赤の順で表現する。
表示制御部143は、「作業A,時系列」の6ステップ先までの次操作候補を提示したヒートマップH61〜H66を、対応するアプリケーションウィンドウM6a〜M6cの入力欄の位置に合わせて生成する。ヒートマップH61〜H66は、順に、青、薄青、緑、黄色、橙、赤である。そして、表示制御部143は、生成した透明ウィンドウT6を、アプリケーションウィンドウM6a〜M6cに重畳する。続いて、表示制御部143は、表示装置30に、生成したヒートマップH61〜H66を透明ウィンドウT6上に表示させる。この結果、図14に示すように、表示装置30には、複数のアプリケーションウィンドウM6a〜M6c上に、作業Aの6ステップ先までの次操作候補であって、操作順序にそれぞれ対応する色相で示されたヒートマップH61〜H66が表示される。この結果、ユーザは、これらのヒートマップを確認することによって、作業Aの時系列を把握することができる。
次に、実施例4について説明する。実施例4では、表示制御装置10が、次操作候補要素として、ノード及びノード間のリンクで時系列を表現したグラフ画像を表示する。図16A及び図16Bは、図1に示す表示制御装置10の表示制御処理の結果を示す画面の一例を示す図である。実施例3と同様に、グラフ画像は、大きさで頻度を示し、彩度で重要度を示す。
図16Aは、ノードN71〜N74・リンク(一方のノードから他方のノードを示す矢印)とも単色(例えば、赤系列)の有向グラフG7aで示し、ノードの矢印によって操作順序を示した場合を示す。この場合、表示制御部143は、図16Aに示すように、透明ウィンドウT7aを生成してアプリケーションウィンドウM7aに重畳し、表示装置30に、ノードの矢印によって操作順序を示した有向グラフG7aを透明ウィンドウT7a上に表示させる。
また、図16Bは、ノードの色相、及び、リンクの配色を、ノードの両端の色のグラデーションで表現することによって操作順序を表現した例を示す。この場合、表示制御部143は、図16Bに示すように、透明ウィンドウT7bを生成してアプリケーションウィンドウM7bに重畳し、ノードの両端の色のグラデーションで操作順序を示した有向グラフG7bを表示装置30に表示させる。図16Bの例では、操作開始から現在に渡る操作順を、青、薄青、緑、黄の順で表現する。有向グラフG7bは、ノードN75(青)、ノードN76(薄青)、ノードN77(緑)、ノードN78(黄)と、リンク(一方のノードから他方のノードを示す矢印であってノードの両端の色のグラデーションで示される。)を有する。ユーザは、表示装置30の画面上のこれらのグラフG7a,G7bを確認することによって、操作手順や時系列等の不足なく所定数のステップの操作を把握することができる。なお、ノード・リンクの表現は、もちろん、図16A及び図16Bに示す例に限らない。
次に、図17及び図18を参照して、次操作候補に複数の「文脈」が考えられる場合の表示例について説明する。図17及び図18は、図1に示す表示制御装置10の表示制御処理の結果を示す画面の一例を示す図である。
図17は、次操作候補に複数の「文脈」が考えられる場合の表示例を示す。図17に示すように、例えば「文脈」ごとに色相を割り当て、各々の操作順を明度で表現することにより、複数の「文脈」を同時に表現することが考えられる。具体的には、表示制御部143は、可視化ルールに従って、「文脈1」に赤系列の色相を割り当て、「文脈2」に青系列の色相を割り当てる。そして、文脈1,2ともに、明度で操作順を表す。明度には、操作開始から現在に渡ってレベル1〜5が対応付けられている。具体的には、表示制御部143は、「文脈1」に対する次操作候補要素として、ノードの矢印によって操作順序を示した赤系列の有向グラフG81を生成する。有向グラフG81は、赤系列のノードN81〜N85を有し、各ノードN81〜N85の明度は、順に、レベル1、レベル2、レベル3、レベル4、レベル5である。また、有向グラフG81のリンクは、ノードの両端の明度のグラデーションで示される。表示制御部143は、「文脈2」に対する次操作候補要素として、ノードの矢印によって操作順序を示した青系列の有向グラフG82を生成する。そして、有向グラフG82は、青系列のノードN86〜N88を有し、各ノードN81〜N88の明度は、順に、レベル1、レベル2、レベル3である。また、有向グラフG82のリンクは、ノードの両端の色及び明度のグラデーションで示される。続いて、表示制御部143は、ウィンドウT8を生成してアプリケーションウィンドウM8上に透明ウィンドウT8を重畳し、生成した有向グラフG81,G82を表示させる。
また、図18の左図のように、「文脈1」,「文脈2」のそれぞれの始点・終点のノードN91,N92,N94,N96のみ表現しておき、ユーザの操作に従って、図18の右図のように、着目した「文脈」の操作候補のみグラフの形で表現することによって、煩雑さを回避することも可能である。すなわち、表示制御部143は、「文脈1」,「文脈2」のそれぞれの始点・終点のノードN91,N92,N94,N96のみを生成して、アプリケーションウィンドウM9a上に重畳表示させた透明ウィンドウT9a上に表示する(図18の左図参照)。そして、ユーザが「文脈1」に着目した操作を行った場合には、表示制御部143は、この操作にしたがって、ユーザが着目した「文脈1」の操作候補のみを示すグラフG93を生成する(図18の右図参照)。有向グラフG93は、赤系列のノードN91,N92及び青系列のノードN93,N95,N96を、各ノードを、一方のノードから他方のノードを示す矢印であってノードの両端の色のグラデーションで示されるリンクで結ぶ。そして、表示制御部143は、生成した透明ウィンドウT9bをアプリケーションウィンドウM9b上に重畳表示させ、透明ウィンドウT9b上に有向グラフG93を表示させる。
次に、実施例5について説明する。実施例5では、操作対象画面としてディスプレイ上に表示されていない部分に次操作候補が存在する場合の次操作候補表示方法について説明する。例えば、表示制御部143は、判定部142によって求められた可視化ルール及びパラメータを基に、画面の重なりが生じる複数ウィンドウに対し、次操作候補の領域の位置方向を示すグリフ画像を、次操作候補要素として表示装置30に表示させる。
図19は、図1に示す表示制御装置10の表示制御処理の結果を示す画面の一例を示す図である。図19に示すように、スクロールや画面の重なり等で次操作対象のGUI要素或いは操作対象画面が隠れている場合、表示制御部143は、現在操作中の画面上に矢印など画面の移動を促すグリフ画像G10を重畳表示する。図19の例では、グリフ画像G10は、スクロール付き画面で非表示になっている部分に次操作候補があることを示す。このグリフ画像G10を認識することによって、ユーザは、次操作候補が非表示になっている部分に存在することを直観的に読み取ることができる。
この場合、表示制御部143は、図19に示すように、透明ウィンドウT10を生成し、アプリケーションウィンドウM10に透明ウィンドウT10を重畳し、透明ウィンドウT10上にグリフ画像G10を表示した結果を示装置30に表示させる。
また、表示制御部143は、次操作候補要素として、次操作候補の領域をハイライト表示した表示画面全体を示すマップ画像を、次操作候補要素として表示装置30に表示させてもよい。
図20は、図1に示す表示制御装置10の表示制御処理の結果を示す画面の一例を示す図である。図20に示すように、次操作対象のGUI要素或いは操作対象画面が隠れている場合、表示制御部143は、表示装置30に、操作対象画面の端或いは操作対象画面外のディスプレイ上の空白部分に、表示画面全体のマップ画像M11aを表示させる。マップ画像M11aは、スクロールつきの画面全体もしくはディスプレイ上の操作対象画面群を俯瞰できる画像である。そして、マップ画像M11aは、次の操作候補となる部分G11を他の部分とは異なる色を用いてハイライト表示したものである。
この場合、表示制御部143は、図20に示すように、透明ウィンドウT11を生成し、アプリケーションウィンドウM11に透明ウィンドウT11を重畳して、透明ウィンドウT11上にマップ画像M11aを表示させる。
このように、表示制御装置10は、画面どうしの重なりやスクロールつきの画面など、操作対象画面としてディスプレイ上に表示されていない部分に次操作候補部分が存在する場合であっても、グリフ画像G10やマップ画像M11aを表示して、表示されていない部分に次操作候補部分が存在することを提示する。
また、図21及び図22は、図1に示す表示制御装置10の表示制御処理の結果を示す画面の一例を示す図である。図21は、ディスプレイ上に4つのアプリケーションウィンドウM121〜M124が表示されている場合の例である。
図21は、例えば、「オーダ管理システム」ウィンドウM121の下に隠れているウィンドウM124上に次の操作候補が存在する場合を示す。この場合、表示制御部143は、操作対象画面の右端に、表示画面全体のマップ画像M12aを表示させる。そして、表示制御部143は、マップ画像M12aのうち、次の操作候補が存在するウィンドウM124に対応する部分M124aを、「オーダ管理システム」ウィンドウM121に対応する部分M121aの前面に表示させるとともに、赤くハイライト表示させる。
この場合、表示制御部143は、図21に示すように、透明ウィンドウT12を生成し、アプリケーションウィンドウM12に透明ウィンドウT12を重畳して、透明ウィンドウT12上にマップ画像M12aを表示させる。
このように、表示制御装置10では、画面どうしの重なり、スクロールつきの画面など、操作対象画面としてディスプレイ上に表示されていない部分に次操作候補が存在する場合であっても、グリフ画像や俯瞰用のマップ画像を表示することによって、ユーザは、次操作候補を認識することができる。
さらに、表示制御部143は、俯瞰用のマップ画像M12aを、次操作候補の提示が必要な場合のみポップアップ表示してもよい。また、表示制御部143は、次操作候補の提示が不要な場合には、図22に示すように、マップ画像M12bの不透明度を低くしてもよい。なお、表示制御部143は、次操作候補の提示が必要な場合には、図21のように、マップ画像M12bの不透明度を高く表示する。これらの工夫を施すことにより、ユーザが作業中であっても、次操作候補の領域変化を検知しやすくなる。
次に、実施例6について説明する。実施例6では、表示制御部143は、判定部142によって求められた可視化ルール及びパラメータを基に、次操作候補要素として、次操作候補を示す画像を含む仮想の新規ウィンドウ画像を、表示装置30に表示させる。
図23は、図1に示す表示制御装置10の表示制御処理の結果を示す画面の一例を示す図である。例えば、表示制御部143が、図23の「オーダ管理システム」ウィンドウM13上に、1ステップ先の青のヒートマップH13aを表示している場合を例に説明する。この場合、表示制御部143は、表示されているGUI要素上でユーザがマウスオーバ操作をすると(図23の(1)参照)、当該GUI要素をクリックした際に展開する新規ウィンドウM131をディスプレイ上に仮想で表示する(図23の(2)参照)。表示制御部143は、新規ウィンドウM131上に、さらに次のステップに対応したヒートマップH13b(赤)を重ねる。
この場合、表示制御部143は、図23に示すように、透明ウィンドウT13を生成し、アプリケーションウィンドウM13に透明ウィンドウT13を重畳して、透明ウィンドウT13上にヒートマップH13bを含む仮想の新規ウィンドウM131を、表示装置30に表示させる。
複数ウィンドウへの適用を考えた場合、ディスプレイ上に現在表示されているウィンドウ以外に、ユーザ操作に従って表示される新規ウィンドウ上に次操作候補が存在することが想定される。この場合、表示制御部143は、図23に示すように、ユーザが実際の操作を行わなくても、仮想のウィンドウ上に次操作候補を示すヒートマップを表示し、ユーザが数ステップ先の操作の流れを把握可能にする。言い換えると、表示制御装置10は、実際に新規ウィンドウが展開される位置に仮想のウィンドウM131を表示することで、ディスプレイ上に複数の画面が表示されている場合でも、ユーザのメンタルマップを保つことが可能になる。
なお、図23では、次操作候補要素としてヒートマップを適用しているが、次操作候補要素は他の表現方法あってもよい。
図24は、図1に示す表示制御装置10の表示制御処理の結果を示す画面の一例を示す図である。図24では、図23で示すシステムと同一システムにおいて、欄L14に示すように「申込サービス」に複数の選択肢があり、各々その後展開する新規ウィンドウ上での入力に違いがある場合について説明する。
例えば、ユーザがオーダ管理システムウィンドウM14の「申込サービス」にマウスカーソルCを当てて、「申込サービス」のプルダウン部分L14を展開する(図24の(1)参照)。「申し込みサービス」には、「サービスA」と「サービスB」とがある。図24では、「サービスA」についての次操作候補要素は、赤系列のヒートマップであり、操作順を明度で表現する。一方、「サービスB」についての次操作候補要路は、青系列のヒートマップであり、操作順を明度で表現する。サービスA,Bともに、明度には、操作開始から現在に渡ってレベル1〜3が対応付けられている。
図24の例では、サービスA,Bの上には、それぞれの色で明度がレベル1のヒートマップH141e,H141fが表示される。そして、ユーザによる「申込サービス」の展開に応じて、表示制御部143は、サービスA,サービスBの1ステップ先の操作箇所である「工事情報入力画面」ボタン上にヒートマップH141g,H141hを作成する。このヒートマップは、各サービスに対応する色及びレベル1の明度で示される。続いて、表示制御部143は、「工事情報入力画面」ボタンを選択した場合、各サービスA,Bの2ステップ以上先の次操作候補欄上に、ヒートマップH141a〜H141dを示した仮想の新規ウィンドウM141を作成する。
ヒートマップH141a,H141cは、サービスAに対応し、赤で示され、明度は、順に、レベル2、レベル3である。ヒートマップH141b,H141dは、サービスBに対応し、青で示され、明度は、順に、レベル2、レベル3である。表示制御部143は、透明ウィンドウT14をオーダ管理システムウィンドウM14上に重畳表示させ、透明ウィンドウT14上に、ヒートマップH141a〜H141dを示した仮想の新規ウィンドウM141を表示装置30に表示させる(図24の(2)参照)。これによって、ユーザは、遷移先の画面とプルダウンメニュー内の項目との紐づけが可能になり、操作手順を直観的に把握することができる。
ここでは、表示制御部143は、図24に示すように、アプリケーションウィンドウM14に透明ウィンドウT14を重畳し、透明ウィンドウT14上に、生成したヒートマップH141a〜H141dを含む仮想の新規ウィンドウM141を表示させる。
さらに、表示制御部143は、選択肢によって展開する新規ウィンドウ候補が複数ある場合、可視化パラメータ内の優先度によって表示する仮想の新規ウィンドウの不透明度を調節してもよい。この結果、表示制御装置10が、表示装置30に、複数の次操作候補を提示させた場合であっても、ユーザがいずれの操作が次に必要であるかを判断可能にすることもできる。なお、1ウィンドウに複数の文脈が存在する場合、優先度は最大値を採用したり、平均を取るなどすればよい。
また、表示制御部143は、仮想の新規ウィンドウの代わりに、仮想のサムネイルを表示し、サムネイル上に操作内容をヒートマップ表示してもよい。図25は、図1に示す表示制御装置10の表示制御処理の結果を示す画面の一例を示す図である。
例えば、ユーザが「申込サービス」にマウスカーソルCを当てて、「申込サービス」のプルダウン部分(欄L15)を展開する(図25の(1)参照)。これに応じて、表示制御部143は、仮想のサムネイルM151a〜M151dを表示し(図25の(2)参照)、サムネイルM151a〜M151d上の次操作候補欄上にヒートマップH151a〜H151dを表示する。ヒートマップH151a,H151b,H151b´、サービスAに対応し、赤で示され、明度は、順に、レベル1、レベル2、レベル3である。ヒートマップH151c,H151d,H151d´は、サービスBに対応し、青で示され、明度は、順に、レベル1、レベル2、レベル3である。したがって、仮想のサムネイルM151aは、サービスAを選択した場合の1ステップ先のアプリケーションウィンドウを示し、仮想のサムネイルM151bは、サービスAを選択した場合の2ステップ先のアプリケーションウィンドウを示す。また、仮想のサムネイルM151cは、サービスBを選択した場合の1ステップ先のアプリケーションウィンドウを示し、仮想のサムネイルM151dは、サービスBを選択した場合の2ステップ先のアプリケーションウィンドウを示す。
ここでは、表示制御部143は、図25に示すように、透明ウィンドウT15を生成し、アプリケーションウィンドウM15に透明ウィンドウT15を重畳して、透明ウィンドウT15上に、ヒートマップH151a〜H151dを示したサムネイルM151a〜M151dを表示させる。
なお、この場合、表示制御部143は、検知部141によって検知されたイベント列に合致する文脈に対応した優先順位に従ってサムネイルM151a〜M151dの不透明度を調整してもよい。このような工夫を施すことによって、ユーザが作業中であっても、次操作候補の領域変化を検知しやすくなる。すなわち、表示制御部143は、可視化パラメータ内の優先度によって、表示する仮想のウィンドウの不透明度を調節することで、複数の次操作候補要素を提示した場合でも、ユーザが次操作候補の優先度を判断できるようにする。なお、優先度の計算は最終的に遷移する先のウィンドウに対して計算すればよい。
このように、表示制御装置10が、新規の仮想ウィンドウや仮想のサムネイルによる先読み機能を追加することによって、ユーザは、次操作候補を円滑に認識することができる。
[実施の形態のシステム構成について]
図1に示した表示制御装置10の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、表示制御装置10の機能の分散及び統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散または統合して構成することができる。
また、表示制御装置10においておこなわれる各処理は、全部または任意の一部が、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、及び、CPU、GPUにより解析実行されるプログラムにて実現されてもよい。また、表示制御装置10においておこなわれる各処理は、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されてもよい。
また、実施の形態において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともできる。もしくは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上述及び図示の処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて適宜変更することができる。
[プログラム]
図26は、プログラムが実行されることにより、表示制御装置10が実現されるコンピュータの一例を示す図である。コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010、CPU1020を有する。また、コンピュータ1000は、ハードディスクドライブインタフェース1030、ディスクドライブインタフェース1040、シリアルポートインタフェース1050、ビデオアダプタ1060、ネットワークインタフェース1070を有する。これらの各部は、バス1080によって接続される。
メモリ1010は、ROM(Read Only Memory)1011及びRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1100に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブ1100に挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、例えばマウス1110、キーボード1120に接続される。ビデオアダプタ1060は、例えばディスプレイ1130に接続される。
ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、表示制御装置10の各処理を規定するプログラムは、コンピュータ1000により実行可能なコードが記述されたプログラムモジュール1093として実装される。プログラムモジュール1093は、例えばハードディスクドライブ1090に記憶される。例えば、表示制御装置10における機能構成と同様の処理を実行するためのプログラムモジュール1093が、ハードディスクドライブ1090に記憶される。なお、ハードディスクドライブ1090は、SSDにより代替されてもよい。
また、上述した実施の形態の処理で用いられる設定データは、プログラムデータ1094として、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶される。そして、CPU1020が、メモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出して実行する。
なお、プログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限らず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ1100等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、プログラムモジュール1093及びプログラムデータ1094は、ネットワーク(LAN、WAN等)を介して接続された他のコンピュータに記憶されてもよい。そして、プログラムモジュール1093及びプログラムデータ1094は、他のコンピュータから、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施の形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。