JP2019003104A - 光学フィルムおよび光学レンズ - Google Patents

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Abstract

【課題】より均一に色材が分散された光学フィルム、特に、色材として発色材の1種であるフォトクロミック材料を含む光学フィルムに適用した場合には、優れた発色・退色の応答性を発揮する光学フィルム、およびかかる光学フィルムを備える光学レンズを提供すること。【解決手段】本発明の光学フィルム(光学層23)は、水と、水溶性樹脂と、界面活性剤と、色材と、グリコール類とを含有する。また、本発明の光学フィルムでは、水と、界面活性剤と、色材とを含むミセルを形成していることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、光学フィルムおよび光学レンズに関する。
サングラス用レンズ等に用いられる光学レンズとして、色材を含む光学フィルムを備えるものが広く知られている。
この光学フィルムでは、紫外線遮蔽性、可視光透過性等の光学特性を、光学フィルムにおいて(特に、その面方向において)、より均質なものとするために、光学フィルムにおいてより均一に色材が分散されていることが求められる。
また、近年、色材として発色材の1種であるフォトクロミック材料を含む光学フィルムが提案され、この光学フィルムは、太陽光のような紫外線を含む光が照射される屋外では発色し、これに対して、紫外線を含む光が照射されない屋内においては退色して透明性を発揮するものであり(例えば、特許文献1参照)、サングラスとメガネとの双方の用途に用い得ることから、着目がなされている。
光学フィルムを、このようなフォトクロミック材料を含有して、紫外線を含む光の照射の有無により発色または退色するものに適用した場合、光学フィルムは、その要求特性として、発色・退色の応答性に優れることが必要とされる。
特開平11−116565号公報
本発明の目的は、より均一に色材が分散された光学フィルム、特に、色材として発色材の1種であるフォトクロミック材料を含む光学フィルムに適用した場合には、優れた発色・退色の応答性を発揮する光学フィルム、およびかかる光学フィルムを備える光学レンズを提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(11)に記載の本発明により達成される。
(1) 水と、水溶性樹脂と、界面活性剤と、色材と、グリコール類とを含有することを特徴とする光学フィルム。
(2) 前記水と、前記界面活性剤と、前記色材とを含むミセルを形成する上記(1)に記載の光学フィルム。
(3) 前記水は、その含有量が3wt%以上20wt%以下である上記(1)または(2)に記載の光学フィルム。
(4) 前記水溶性樹脂は、その含有量が10wt%以上70wt%以下である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の光学フィルム。
(5) 前記界面活性剤は、その含有量が4wt%以上40wt%以下である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の光学フィルム。
(6) 前記色材は、その含有量が0.02wt%以上13wt%以下である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の光学フィルム。
(7) 前記グリコール類は、その含有量が5wt%以上50wt%以下である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の光学フィルム。
(8) 前記水溶性樹脂は、ポリビニルアルコールである上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の光学フィルム。
(9) 前記色材は、発色材として含まれるフォトクロミック材料である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の光学フィルム。
(10) 上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の光学フィルムを備えることを特徴とする光学レンズ。
(11) 前記光学フィルムを備える積層体である上記(10)に記載の光学レンズ。
本発明によれば、光学フィルムを、より均一に色材が分散されたものとすることができる。そのため、この光学フィルムは、より均質な光学特性を発揮するものとなる。
また、色材として発色材の1種であるフォトクロミック材料を含む光学フィルムに適用した場合には、光学フィルムを、紫外線を含む光が照射された際の光学フィルムの発色と、かかる光が照射されない際の光学フィルムの退色との発色・退色応答性に優れたものとし得る。
光学フィルムを備える光学レンズの製造方法を説明するための模式図である。 光学フィルムを備える光学レンズの製造方法を説明するための模式図である。 本発明の光学フィルムを備える積層体の実施形態を示す縦断面図である。
以下、本発明の光学フィルムおよび光学レンズを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の光学フィルムは、水と、水溶性樹脂と、界面活性剤と、色材と、グリコール類とを含有することを特徴とする。
光学フィルムを、かかる構成のものとすることで、より均一に色材が分散されたものとすることができる。そのため、この光学フィルムは、特に、その面方向において、より均質な光学特性を発揮するものとなる。
また、色材として発色材の1種であるフォトクロミック材料を含む光学フィルムに適用した場合には、光学フィルムを、紫外線を含む光が照射された際の光学フィルムの発色と、かかる光が照射されない際の光学フィルムの退色との発色・退色応答性に優れたものとし得る。
以下、本発明の光学フィルムおよび光学レンズを説明するのに先立って、まず、光学フィルムを備える光学レンズ(サングラス用レンズ)の製造方法について説明する。なお、以下では、光学フィルムの形成を、光学フィルム形成用液組成物を用いて行う場合を一例に説明する。
<光学レンズの製造方法>
図1、図2は、光学フィルムを備える光学レンズの製造方法を説明するための模式図である。なお、以下では、説明の都合上、図1、図2の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、光学レンズの製造方法の各工程を説明する。
[1]まず、平板状をなす基板24を用意し(図1(a)参照)、この基板24上に、色材を含む光学フィルム形成用液組成物を供給し、その後、例えば、光学フィルム形成用液組成物を乾燥させることで基板24上に光学層23(光学フィルム)を形成する(図1(b)参照)。
なお、膜厚の厚い光学層23を形成する場合には、基板24の外周部に、その厚さ方向に突出する壁部(バンク)を設け、基板24と壁部とにより構成される凹部を形成し、この凹部内に光学フィルム形成用液組成物を供給した後に、光学フィルム形成用液組成物を乾燥させることで光学層23を形成し、その後、壁部を取り除くことで、基板24上に光学層23(光学フィルム)を形成することができる。
また、光学層23は、基板24とは異なる基板上に、上記のようにして形成した後に、この基板から剥離し、その後、基板24上に接合することで、基板24上に形成することもできる。
なお、この場合、光学層23と基板24との接合は、これらの間に、接着剤を含む接着層を形成することにより行うことができる。また、接着剤としては、各種のものを用いることができ、例えば、ウレタン系接着剤、シリコン系接着剤およびエポキシ系接着剤等が挙げられ、中でも、ウレタン系接着剤が好ましく用いられる。
[2]次に、光学層23上、すなわち光学層23の基板24とは反対側に、さらに、前記工程[1]で用意したのと同様の基板24を接合することで、基板24と、光学層23と、基板24とがこの順で積層された積層体21、すなわち、光学層23が2つの基板24で挟持された構成をなす積層体21を得る(図1(c)参照)。
[3]次に、得られた積層体21の両面に、保護フィルム10(マスキングテープ)を貼付することで、積層体21の両面に保護フィルム10が貼付されたフィルム積層体100を得る(図1(d)参照)。
[4]次に、図2(a)に示すように、フィルム積層体100を、すなわち、積層体21の両面に保護フィルム10を貼付した状態で積層体21を、その厚さ方向に打ち抜くことで、フィルム積層体100を平面視で円形状をなすものとする。
[5]次に、図2(b)に示すように、円形状とされたフィルム積層体100に対して、加熱下で熱曲げ加工を施す。
この熱曲げ加工は、通常、プレス成形または真空成形により実施される。
この際のフィルム積層体100(積層体21)の加熱温度(成形温度)は、通常、積層体21が軟化または溶融状態となる温度に設定され、これにより、積層体21を確実に熱曲げすることができる。
[6]次に、図2(c)に示すように、熱曲げがなされた積層体21すなわちフィルム積層体100から、保護フィルム10を剥離させた後、この積層体21の凹面にポリカーボネート樹脂で構成されるポリカーボネート層30を射出成形する。なお、積層体21の凹面には、ポリカーボネート層30に代えて、ポリアミド樹脂で構成されるポリアミド層を形成してもよい。
これにより、熱曲げがなされた積層体21を備える光学レンズ200(サングラス用レンズ)が製造される。
以上のような光学レンズの製造方法において、前記工程[1]における、光学層23(本発明の光学フィルム)の形成に、以下に示す光学フィルム形成用液組成物が用いられ、これにより、より均一に色材を分散させた状態で光学フィルムを形成することができる。そのため、形成された光学層23を、より均質な光学特性を発揮するものとし得るが、以下、この光学フィルム形成用液組成物について詳述する。
<光学フィルム形成用液組成物>
<<水>>
水は、光学フィルム形成用液組成物に、界面活性剤と、色材とともに含まれること、すなわち、水と、水溶性樹脂と、界面活性剤と、色材とを光学フィルム形成用液組成物が含むことで、ミセルを形成し、光学フィルム形成用液組成を水中油型(W/O型)のエマルジョン(乳化物)として、色材を光学フィルム形成用液組成物中に均一に分散させるために含まれ、さらに、光学フィルム形成用液組成物中に、水溶性樹脂を均一に溶解させるために含まれる。
この水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水、純水、RO水等が挙げられるが、この中でも、蒸留水またはイオン交換水が好適に使用される。
また、光学フィルム形成用液組成物における水の含有量は、特に限定されないが、例えば、35wt%以上85wt%以下であることが好ましく、61wt%以上75wt%以下であることがより好ましい。水の含有量が前記下限値以上であることにより、光学フィルム形成用液組成物において、より確実にミセルを形成して、光学フィルム形成用液組成を水中油型(W/O型)の安定的なエマルジョンとすることができるため、色材を光学フィルム形成用液組成物中により均一に分散させることができる。また、水溶性樹脂をより確実に溶解させることができるため、光学フィルム形成用液組成物中における水溶性樹脂の均一性をより向上させることができる。さらに、水の含有量が前記上限値以下であることにより、前記工程[1]における、光学層23(光学フィルム)の形成の際に、光学フィルム形成用液組成物を比較的容易に乾燥させることができる。
<<界面活性剤>>
界面活性剤は、光学フィルム形成用液組成物に、水と、色材とともに含まれることで、ミセルを形成し、光学フィルム形成用液組成を水中油型のエマルジョンとすることで、色材を光学フィルム形成用液組成物中に均一に分散させるために含まれる。
この界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、非イオン系(ノニオン系)界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
非イオン系(ノニオン系)界面活性剤としては、例えば、エーテル系界面活性剤、エステル系界面活性剤、エーテルエステル系界面活性剤、含窒素系界面活性剤等が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、例えば、各種ロジン、各種カルボン酸塩、各種硫酸エステル塩、各種スルホン酸塩、各種リン酸エステル塩等が挙げられる。さらに、カチオン系界面活性剤としては、例えば、1級アンモニウム塩、2級アンモニウム塩、3級アンモニウム塩、4級アンモニウム塩等の各種アンモニウム塩等が挙げられる。また、両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン、スルホベタイン等の各種ベタイン、各種アミノカルボン酸、各種リン酸エステル塩等が挙げられる。
また、光学フィルム形成用液組成物における界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、2wt%以上20wt%以下であることが好ましく、7wt%以上12wt%以下であることがより好ましい。界面活性剤の含有量がかかる範囲内であることにより、光学フィルム形成用液組成物において、より確実にミセルを形成して、光学フィルム形成用液組成を水中油型の安定的なエマルジョンとすることができるため、色材を光学フィルム形成用液組成物中により均一に分散させることができる。
<<色材>>
色材は、紫外線遮蔽性、可視光透過性等の光学特性を、光学フィルム形成用液組成物を用いて形成される光学層23(光学フィルム)、ひいては、この光学層23を備える光学レンズ200に付与するために含まれ、光学フィルム形成用液組成物において、水と、界面活性剤とともに含まれることで、ミセルを形成し、光学フィルム形成用液組成を水中油型のエマルジョンとした状態で、光学フィルム形成用液組成物中に均一に分散されるものである。
この色材(着色剤)としては、例えば、顔料および染料の他、発色材が挙げられる。
色材として含まれる顔料および染料の種類を適宜選択することにより、光学層23に所望の色を着色することができ、かつ、所望の紫外線遮蔽性、可視光透過性等の光学特性を発揮させることができる。
また、色材を、発色材としてフォトクロミック材料を含むものとすることで、光学層23(光学フィルム)を、太陽光のような紫外線を含む光が照射される屋外では発色し、これに対して、紫外線を含む光が照射されない屋内においては退色して透明性を発揮するものとすることができ、この光学層23を備える光学レンズ200を、サングラス用レンズのみならず、メガネ用レンズとしての機能をも有するものとし得る。
顔料としては、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができ、無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラックのようなカーボンブラック類、酸化鉄、酸化チタン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキのようなアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料のような多環式顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、顔料の平均粒径は、50nm以上3000nm以下であるのが好ましく、100nm以上200nm以下であるのがより好ましい。これにより、水と、界面活性剤とともにより確実にミセルを形成することができる。
また、染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、および塩基性染料等が挙げられ、より具体的には、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
発色材としては、紫外線を含む光の照射によって、C(シアン)、M(マゼンタ)またはY(イエロー)を発色し、紫外線を含む光が照射されない条件においては退色するフォトクロミック材料が挙げられ、このようなフォトクロミック材料を複数種混合することにより所望の色を発色するものに調製することができる。
このフォトクロミック材料としては、酸化タングステン(WO)、ハロゲン化銀(例えばAgBr)等の無機化合物、スピロオキサジン、スピロピラン、アゾベンゼン、フルギド、クロメン、ジアリールエテン化合物等の有機化合物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、より具体的には、例えば、特開平2−28154号公報、特開昭62−288830号公報、WO94/22850号パンフレット、WO96/14596号パンフレット等に開示されているものが挙げられる。
また、光学フィルム形成用液組成物における色材の含有量は、例えば、0.01wt%以上5wt%以下であることが好ましく、0.2wt%以上0.6wt%以下であることがより好ましい。色材の含有量が前記下限値以上であることにより、前記工程[1]において形成される光学層23に、優れた、紫外線遮蔽性、可視光透過性等の光学特性を確実に発揮させることができる。さらに、色材の含有量が前記上限値以下であることにより、光学フィルム形成用液組成物において、より確実にミセルを形成して、光学フィルム形成用液組成を水中油型の安定的なエマルジョンとすることができるため、色材を光学フィルム形成用液組成物中により均一に分散させることができる。
以上のように、水と界面活性剤と色材とが光学フィルム形成用液組成物に含まれることにより、光学フィルム形成用液組成物において、これらを含むミセルを形成して、光学フィルム形成用液組成を水中油型のエマルジョンとし得ることから、このミセルを光学フィルム形成用液組成物中に均一に分散させることができる。その結果として、ミセルに含まれる色材が光学フィルム形成用液組成物中により均一に分散されることとなる。
また、光学フィルム形成用液組成物における色材の含有量は、例えば、0.01wt%以上5wt%以下であることが好ましく、0.2wt%以上0.6wt%以下であることがより好ましい。色材の含有量が前記下限値以上であることにより、前記工程[1]において形成される光学層23に、優れた、紫外線遮蔽性、可視光透過性等の光学特性を確実に発揮させることができる。さらに、色材の含有量が前記上限値以下であることにより、光学フィルム形成用液組成物において、より確実にミセルを形成して、光学フィルム形成用液組成を水中油型の安定的なエマルジョンとすることができるため、色材を光学フィルム形成用液組成物中により均一に分散させることができる。
以上のように、水と界面活性剤と色材とが光学フィルム形成用液組成物に含まれることにより、光学フィルム形成用液組成物において、これらを含むミセルを形成して、光学フィルム形成用液組成を水中油型のエマルジョンとし得ることから、このミセルを光学フィルム形成用液組成物中に均一に分散させることができる。その結果として、ミセルに含まれる色材が光学フィルム形成用液組成物中により均一に分散されることとなる。
また、光学フィルム形成用液組成物におけるミセルのサイズは、例えば、30nm以上300μm以下であることが好ましく、30nm以上300nm以下であることがより好ましい。ミセルのサイズが前記下限値以上であることにより、前記工程[1]において形成される光学層23に、優れた、紫外線遮蔽性、可視光透過性等の光学特性を確実に発揮させることができる。さらに、ミセルのサイズが前記上限値以下であることにより、光学フィルム形成用液組成物中において、ミセルをより均一に分散させることができる。
なお、ミセルのサイズ(大きさ)は、光学フィルム形成用液組成物において、色材と界面活性剤とにより形成される粒状体の直径を言うこととする。
<<グリコール類>>
グリコール類は、光学フィルム形成用液組成物を乾燥させることにより形成される光学層23(光学フィルム)において、光学フィルム形成用液組成物に含まれる水(水分)を保持するための保水剤として機能するためのものである。
このような保水剤として機能するグリコール類が、光学フィルム形成用液組成物から得られる光学層23、すなわち、本発明の光学フィルムに含まれることにより、光学層23においても、水(水分)が保持されるため、水と界面活性剤と色材とを含むミセルを確実に形成することができる。そのため、光学層23中に含まれる色材を、光学層23中により均一に分散させることができる。
さらに、色材としてフォトクロミック材料を含む場合には、光学層23において、ミセルを形成した状態で、色材(フォトクロミック材料)が含まれることにより、紫外線を含む光が照射された際の光学層23の発色と、かかる光が照射されない際の光学層23の退色との発色・退色応答性に、光学層23を優れたものとすることができる。
このグリコール類としては、例えば、脂肪族グリコール類および芳香族グリコール類が挙げられる。脂肪族グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブテングリコール、1,6−ヘキセングリコール、1,12−ドデカメチレングリコールのような(直鎖)アルキレングリコールが挙げられる。また、芳香族グリコール類としては、例えばp−キシリレングリコール等が挙げられる。さらに、このグリコール類は、モノマー、オリゴマーおよびポリマーのいずれであってもよい。
また、光学フィルム形成用液組成物におけるグリコール類の含有量は、例えば、3wt%以上30wt%以下であることが好ましく、10wt%以上20wt%以下であることがより好ましい。グリコール類の含有量が前記範囲内であることにより、光学フィルム形成用液組成物から得られる光学層23におけるグリコール類の含有量が適切な範囲内に設定され、光学層23において、水(水分)をより確実に保持することができる。そのため、光学層23においても、水と界面活性剤と色材とを含むミセルをより確実に形成することができることから、光学層23中に含まれる色材を、光学層23中により均一に分散させることができる。
<<水溶性樹脂>>
水溶性樹脂は、光学フィルム形成用液組成物を乾燥させることにより形成される光学層23(光学フィルム)における、ベース樹脂として含まれ、光学層23の形状を維持するとともに、水溶性樹脂中に、ミセルを形成した状態で、色材を均一に分散させるためのものである。
この水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリカプロラクトンジオール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリルアミド、変性ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、水溶性樹脂は、これらの中でも、ポリビニルアルコールであることが好ましい。これにより、光学フィルム形成用液組成物により形成される光学層23を、特に優れた機械的強度を有するものとすることができる。また、ミセルに対して、優れた親和性を発揮するため、光学層23に含まれる水溶性樹脂中において、ミセルひいては色材をより均一に分散させることができる。
さらに、水溶性樹脂がポリビニルアルコールを含む場合、このポリビニルアルコールのケン化度は、75以上100以下であるのが好ましく、85以上100以下であるのがより好ましい。また、この場合、ポリビニルアルコールは、重合度が300以上2400以下であることが好ましく、1000以上2400以下であることがより好ましい。これにより、光学フィルム形成用液組成物において、水に対して優れた溶解度でポリビニルアルコールを溶解させることができる。
また、光学フィルム形成用液組成物における水溶性樹脂の含有量は、例えば、5wt%以上50wt%以下であることが好ましく、10wt%以上25wt%以下であることがより好ましい。水溶性樹脂の含有量が前記範囲内であることにより、光学フィルム形成用液組成物を乾燥させることにより形成される光学層23において、光学層23の形状をより確実に維持させることができるとともに、水溶性樹脂中に、ミセルを形成した状態で、色材をより均一に分散させることができる。
また、光学フィルム形成用液組成物には、上述した、水と、水溶性樹脂と、界面活性剤と、色材と、グリコール類との他、その他の成分として、例えば、分散剤、溶媒、浸透促進剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、増粘剤、フィラー、凝集防止剤、消泡剤等が含まれていてもよい。
なお、溶媒としては、極性溶媒または非極性溶媒が挙げられ、極性溶媒としては、上述した水以外のものとして、例えば、γ−ブチロラクトン、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)のような非プロトン性極性溶媒、酢酸、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレンジアミン等のプロトン性極性溶媒等が挙げられる。このような極性溶媒が含まれる構成とすることにより、光学フィルム形成用液組成物の粘度の調整を容易に図ることができる。また、非極性溶媒としては、例えば、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。このような非極性溶媒が含まれる構成とすることにより、光学フィルム形成用液組成物において、非極性溶媒中に、色材を溶解または分散させた状態で、界面活性剤および水によりミセルを形成して、光学フィルム形成用液組成を水中油型のエマルジョンすることができる。
以上のような光学フィルム形成用液組成物を用いて、上述した光学レンズの製造方法の前記工程[1]において、光学層23(光学フィルム)を形成することにより、形成された光学層23(本発明の光学フィルム)を、色材がより均一に分散されたものとすることができる。そのため、この光学層23を、より均質な光学特性を発揮するものとし得るが、以下、この光学層23(本発明の光学フィルム)の説明を、前記工程[2]において得られる、光学層23が2つの基板24で挟持された構成をなす積層体21を説明することで行うこととする。
<積層体21>
図3は、本発明の光学フィルムを備える積層体の実施形態を示す縦断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図3の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、光学層23(本発明の光学フィルム)は、上述した光学フィルム形成用液組成物を用いて形成されることから、光学層23について、光学フィルム形成用液組成物との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略することもある。
積層体21は、前記工程[2]において得られ、光学レンズ200のベース基材となるものであり、基板24と、光学層23と、基板24とがこの順で積層されたもの、すなわち、光学層23が2つの基板24で挟持された構成をなすものである(図3参照)。
<基板24>
基板24は、光学層23の上面および下面を、それぞれ、覆うように形成され、光学層23を保護する保護層として機能する。
この基板24としては、優れた透明性を有するものであれば、特に限定されず、例えば、ポリカーボネート樹脂層、ポリアミド樹脂層、セルロース樹脂層のような樹脂層、および、石英ガラス層、ソーダ石灰ガラス層、ハードレックス(強化無機ガラス)層のようなガラス層のうちの少なくとも1層を有する単層体または積層体が挙げられる。
<光学層23>
光学層23は、前記工程[1]において、上述した光学フィルム形成用液組成物を乾燥させることにより形成された光学フィルム(本発明の光学フィルム)からなり、構成材料として、水と、水溶性樹脂と、界面活性剤と、色材と、グリコール類とを含有するものである。
光学層23を、かかる構成のものとすることで、より均一に色材が分散されたものとすることができる。そのため、この光学層23は、特に、その面方向において、より均質な光学特性を発揮するものとなる。
また、色材として発色材の1種であるフォトクロミック材料を含む光学フィルムに適用した場合には、光学層23(光学フィルム)を、紫外線を含む光が照射された際の光学フィルムの発色と、かかる光が照射されない際の光学フィルムの退色との発色・退色応答性に優れたものとし得る。
以下、光学層23に含まれる各構成材料について説明する。
<<水>>
水は、光学層23に、保持される(残存する)ことで、光学層23中においても界面活性剤と、色材とともにミセルを形成すること、すなわち、光学層23中において、水と、界面活性剤と、色材とを含むミセルを形成することで、色材を光学層23中に均一に分散させるために含まれる。
この光学層23における水の含有量は、特に限定されないが、例えば、3wt%以上20wt%以下であることが好ましく、9wt%以上13wt%以下であることがより好ましい。水の含有量が前記範囲内であることにより、光学層23において、より確実にミセルを形成できるため、光学層23中に色材がより均一に分散された状態で光学層23が形成される。
<<界面活性剤>>
界面活性剤は、光学層23に、水と、色材とともに含まれることで、ミセルを形成することで、色材を光学層23中に均一に分散させるために含まれる。
また、光学層23における界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、4wt%以上40wt%以下であることが好ましく、20wt%以上30wt%以下であることがより好ましい。界面活性剤の含有量がかかる範囲内であることにより、光学層23において、より確実にミセルを形成することができるため、光学層23中に色材がより均一に分散された状態で光学層23が形成される。
<<色材>>
色材は、紫外線遮蔽性、可視光透過性等の光学特性を、光学層23、ひいては、この光学層23を備える積層体21(光学レンズ200)に付与するために含まれ、光学層23において、水と、界面活性剤とともに含まれることで、ミセルを形成した状態で、光学層23中に均一に分散されるものである。
この色材(着色剤)としては、例えば、顔料および染料の他、発色材が挙げられる。
色材として含まれる顔料および染料の種類を適宜選択することにより、光学層23に所望の色を着色することができ、かつ、所望の紫外線遮蔽性、可視光透過性等の光学特性を発揮させることができる。
この際、色材が、ミセルを形成した状態で、光学層23中に均一に分散されているため、光学層23(光学フィルム)を、特に、その面方向において、より均質な、紫外線遮蔽性、可視光透過性等の光学特性を発揮するものとできる。
また、色材を、発色材としてフォトクロミック材料を含むものとすることで、光学層23(光学フィルム)を、太陽光のような紫外線を含む光が照射される屋外では発色し、これに対して、紫外線を含む光が照射されない屋内においては退色して透明性を発揮するものとすることができ、この光学層23を備える光学レンズ200を、サングラス用レンズのみならず、メガネ用レンズとしての機能をも有するものとし得る。
この際、フォトクロミック材料が、ミセルを形成した状態で、光学層23中に含まれていることに起因して、光学層23を発色・退色応答性に優れたものとすることができる。
また、光学層23における色材の含有量は、例えば、0.02wt%以上13wt%以下であることが好ましく、0.7wt%以上1wt%以下であることがより好ましい。色材の含有量が前記下限値以上であることにより、光学層23に、優れた、紫外線遮蔽性、可視光透過性等の光学特性を確実に発揮させることができる。さらに、色材の含有量が前記上限値以下であることにより、光学層23において、より確実にミセルを形成できるため、色材がより均一に分散された光学層23とし得る。
以上のように、水と界面活性剤と色材とが光学層23に含まれることにより、光学層23において、これらを含むミセルが形成されるため、このミセルが均一に分散された状態で光学層23が形成される。その結果として、光学層23を、ミセルに含まれる色材が均一に分散された状態のものとし得る。
<<グリコール類>>
グリコール類は、光学層23において、光学層23に含まれる水(水分)を保持するための保水剤として機能するためのものである。
このような保水剤として機能するグリコール類が、光学層23に含まれることにより、光学層23において、水(水分)が保持されるため、水と界面活性剤と色材とを含むミセルを確実に形成できるため、光学層23中に含まれる色材を、光学層23中により均一に分散させることができる。
さらに、色材としてフォトクロミック材料を含む場合には、光学層23において、ミセルを形成した状態で、色材(フォトクロミック材料)が含まれることにより、光学層23を発色・退色応答性に優れたものとし得る。
また、光学層23におけるグリコール類の含有量は、例えば、5wt%以上50wt%以下であることが好ましく、25wt%以上40wt%以下であることがより好ましい。グリコール類の含有量が前記範囲内であることにより、光学層23におけるグリコール類の含有量が適切な範囲内に設定され、光学層23において、水(水分)をより確実に保持することができる。そのため、光学層23において、水と界面活性剤と色材とを含むミセルをより確実に形成できることから、光学層23中に含まれる色材を、光学層23中により均一に分散させることができる。
<<水溶性樹脂>>
水溶性樹脂は、光学層23における、ベース樹脂として含まれ、光学層23の形状を維持するとともに、水溶性樹脂中に、ミセルを形成した状態で、色材を均一に分散させるためのものである。
この水溶性樹脂は、ポリビニルアルコールであることが好ましい。これにより、光学層23を、特に優れた機械的強度を有するものとすることができる。また、ミセルに対して、優れた親和性を発揮するため、光学層23に含まれる水溶性樹脂中において、ミセルひいては色材をより均一に分散させることができる。
また、光学層23における水溶性樹脂の含有量は、例えば、10wt%以上70wt%以下であることが好ましく、25wt%以上50wt%以下であることがより好ましい。水溶性樹脂の含有量が前記範囲内であることにより、光学層23において、光学層23の形状をより確実に維持させることができるとともに、水溶性樹脂中に、ミセルを形成した状態で、色材をより均一に分散させることができる。
なお、上述した積層体21および光学レンズ200が、光学層23(本発明の光学フィルム)を備える積層体を有し、本発明の光学レンズを構成する。これにより、積層体21および光学レンズ200、すなわち、本発明の光学レンズは、より均質な光学特性を発揮し、さらに、色材としてフォトクロミック材料を含む場合、紫外線を含む光が照射された際の光学フィルムの発色と、かかる光が照射されない際の光学フィルムの退色との発色・退色応答性に優れたものとなる。
以上、本発明の光学フィルムおよび光学レンズについて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、光学レンズを構成する各層は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
1.原材料の準備
まず、実施例および比較例の光学フィルムの作製に使用した光学フィルム形成用液組成物を調製する際に用いた原料は以下の通りである。
<フォトクロミック材料(色材)>
下記式(1)で表されるジアリールエテン化合物
Figure 2019003104
<界面活性剤>
エステル系界面活性剤(グリセリン脂肪酸エステル、三菱ケミカルフーズ社製、「S-24D」)
<グリコール類>
ポリエチレングリコール(和光純薬社製、「075-00616」)
<水溶性樹脂>
ポリビニルアルコール(PVA)(クラレ社製、「PVA117」)
ポリビニルピロリドン(PVP)(第一工業製薬社製、「ビッツコール K-30」)
<溶媒>
イソブタノール(三協化学社製、「イソブタノール」)
2.光学フィルムの製造
(実施例1A)
[1A]まず、光学フィルムを形成するにあたり、水、上記式(1)で表されるジアリールエテン化合物、エステル系界面活性剤、ポリエチレングリコール、PVAおよびイソブタノールを、それぞれの含有量が、53.7wt%、0.2wt%、7.7wt%、11.5wt%、15.4wt%および11.5wt%となるように攪拌することで光学フィルム形成用液組成物(樹脂組成物)を調製した。なお、顕微鏡を用いて光学フィルム形成用液組成物の状態を確認したところ、光学フィルム形成用液組成物中にミセルが認められ、光学フィルム形成用液組成物が水中油型(W/O型)のエマルジョンを形成していることが判った。
[2A]次に、調製した光学フィルム形成用液組成物を、ポリカーボネート基板(住友ベークライト社製、「EC105」)上に供給した後、80℃、14時間の条件で乾燥させることで、ポリカーボネート基板上に光学フィルムを形成し、その後、この光学フィルムを、ポリカーボネート基板から剥離することで、実施例1Aの光学フィルムを得た。
なお、得られた実施例1Aの光学フィルムにおける水、上記式(1)で表されるジアリールエテン化合物、エステル系界面活性剤、ポリエチレングリコール、PVAおよびイソブタノールの含有量を、水分量測定装置(アイティーエスジャパン社製、「Aquatrack-3E」)を用いて測定したところ、それぞれ、8.0wt%、0.5wt%、20.4wt%、30.4wt%、40.7wt%および0wt%であった。
また、顕微鏡を用いて光学フィルムの状態を確認したところ、光学フィルム中においてもミセルが形成されていることが認められた。
(実施例2A〜実施例8A、比較例1A〜比較例2A)
前記工程[1A]において調製する光学フィルム形成用液組成物に含まれる水、上記式(1)で表されるジアリールエテン化合物、エステル系界面活性剤、ポリエチレングリコール、および、PVAの含有量、さらには、PVAに代えて用いたPVPの含有量を、それぞれ、表1に示すように変更したこと以外は、前記実施例1Aと同様にして、実施例2A〜実施例8A、比較例1A〜比較例2Aの光学フィルムを得た。
各実施例および各比較例の光学フィルムを、以下の方法で評価した。
3.評価
<1>発色時の吸光度測定
各実施例および各比較例の光学フィルムについて、それぞれ、紫外線照射直後のフィルムの色調を測定することにより、光学フィルムに対して紫外線を照射しているときの発色時の吸光度を測定した。
<2>退色時の吸光度測定
各実施例および各比較例の光学フィルムについて、それぞれ、紫外線照射前フィルムの色調を測定することにより、光学フィルムに対して紫外線を照射していないときの退色時の吸光度1を測定した。さらに、前記<1>で紫外線を照射した後、23℃で1分間静置した後のフィルムの色調を測定することにより、光学フィルムに対して紫外線を照射した後に一定期間静置したときの退色時の吸光度2を測定した。
そして、前記<1>で測定された発色時の吸光度と、退色時の吸光度1との商(発色時の吸光度/退色時の吸光度1)を取ることで、発色比(−)(紫外線照射前後での吸光度比)を得るとともに、前記<1>で測定された発色時の吸光度と、退色時の吸光度2との商(発色時の吸光度/退色時の吸光度2)を取ることで、退色比(−)(紫外線照射直後と23℃1分静置後の吸光度比)を得た。
<3>発色時の吸光度の均一性
各実施例および各比較例の光学フィルムについて、それぞれ、紫外線照射直後のフィルムの色調を測定することにより、光学フィルムに対して紫外線を照射しているときの発色時の吸光度を測定した。そして、この発色時の吸光度の測定を、各実施例および各比較例の光学フィルムについて、それぞれ、10ポイントにおいて実施し、測定された発色時の吸光度の最大値と最小値との差をズレ量として求め、得られたズレ量を、以下に示す評価基準に従って評価した。
・評価基準
◎ : 0.05未満
○ : 0.05以上0.15以下
× : 0.15超
以上のようにして得られた各実施例および各比較例の光学フィルムにおける評価結果を、それぞれ、下記の表1に示す。
Figure 2019003104
表1に示したように、各実施例では、光学フィルム形成用液組成物から得られる光学フィルムが、水と、水溶性樹脂と、界面活性剤と、フォトクロミック材料(色材)と、グリコール類とを含有することで、光学フィルムにおいて、ミセルが形成され、そのため、光学フィルムが、発色・退色応答性に優れ、かつ、より均質な光学特性を有するものとなる結果を示した。
これに対して、各比較例では、光学フィルム形成用液組成物から得られる光学フィルムが、界面活性剤とグリコール類とのうち何れか一方を含んでおらず、これに起因して、光学フィルムにおいて、ミセルが形成されず、そのため、光学フィルムが、発色・退色応答性に劣り、さらに、より均質な光学特性を発揮しているとは言えない結果を示した。
10 保護フィルム
21 積層体
23 光学層
24 基板
30 ポリカーボネート層
100 フィルム積層体
200 光学レンズ

Claims (11)

  1. 水と、水溶性樹脂と、界面活性剤と、色材と、グリコール類とを含有することを特徴とする光学フィルム。
  2. 前記水と、前記界面活性剤と、前記色材とを含むミセルを形成する請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記水は、その含有量が3wt%以上20wt%以下である請求項1または2に記載の光学フィルム。
  4. 前記水溶性樹脂は、その含有量が10wt%以上70wt%以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  5. 前記界面活性剤は、その含有量が4wt%以上40wt%以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  6. 前記色材は、その含有量が0.02wt%以上13wt%以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  7. 前記グリコール類は、その含有量が5wt%以上50wt%以下である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  8. 前記水溶性樹脂は、ポリビニルアルコールである請求項1ないし7のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  9. 前記色材は、発色材として含まれるフォトクロミック材料である請求項1ないし8のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の光学フィルムを備えることを特徴とする光学レンズ。
  11. 前記光学フィルムを備える積層体である請求項10に記載の光学レンズ。
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