JP2019002026A - コークス炉定型耐火物積みシステムおよびコークス炉定型耐火物積み方法 - Google Patents

コークス炉定型耐火物積みシステムおよびコークス炉定型耐火物積み方法 Download PDF

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Abstract

【課題】様々な形状の定型耐火物が混在した状態で用いられるコークス炉の築炉において、それらの定型耐火物を、人手によらず、高い精度で効率よく積み上げることができるコークス炉定型耐火物積みシステムを提供する。【解決手段】定型耐火物を積み上げる積み台座と、前記積み台座の長側面の一方の側に設けられ、前記積み台座上に定型耐火物を積み上げる定型耐火物積み手段と、前記定型耐火物積み手段へ定型耐火物を供給する定型耐火物供給手段と、前記積み台座の長側面の他方の側に設けられたモルタル塗布手段と、 前記定型耐火物積み手段および前記モルタル塗布手段を制御する制御手段とを有する、コークス炉定型耐火物積みシステム。【選択図】 図1

Description

本発明は、コークス炉定型耐火物積みシステムに関するものであり、特に、様々な形状の定型耐火物を、自動的に、高い精度で効率よく積み上げることができるコークス炉定型耐火物積みシステムに関するものである。また、本発明は前記コークス炉定型耐火物積みシステムを用いて行うコークス炉定型耐火物積み方法に関するものである。
製鉄に用いられる冶金用コークスは、室炉式コークス炉で石炭を乾留することによって製造される。室炉式コークス炉は、炭化室と、該炭化室に熱を供給する燃焼室とを炉幅方向に交互に配置することによって構成されており、炭化室と燃焼室とを隔てる耐火レンガ等の定型耐火物を介して燃焼室から炭化室へ熱が供給される。室炉式コークス炉には100門以上の炉室を備えるものもあり、その全長は100m以上、高さは10m以上におよぶ巨大レンガ構造物といえる。
コークス炉の築炉は、現在、築炉工による手積み作業で行われている。手積みによる築炉では、レンガ等の定型耐火物一つ一つにコテでモルタルを塗り、これを積み上げるという作業を繰り返し行う必要がある。さらに、コークス炉に使用される定型耐火物は1つあたり十数kgの重さがあり、これを積み上げる作業は極めて重労働といえる。そのため、定型耐火物の積み上げ作業を機械化、自動化し、労力を低減することが求められている。
一方、建築の分野においては、特許文献1に記載されているように、レンガを自動で積み上げるシステムが提案されている。特許文献1に記載された前記システムでは、コンベアによってレンガを搬送し、接着剤塗布ヘッドを備えたレンガ積みロボットを使用して、レンガを積み上げている。
特表2009−521630号公報
しかし、特許文献1に記載されたシステムは、一般的な建築物の建築におけるレンガ積みのために開発されたものであるため、室炉式コークス炉の築炉における定型耐火物の積み上げに使用することはできない。その理由は以下のとおりである。
一般的な建築物は、同じ形状(通常は直方体)で、同じ寸法のレンガを積み上げて建設される。これに対して、コークス炉は、上面から見た形状が、長方形、台形、L型など、様々な形状の定型耐火物を複雑に組み合わせて建造される。引用文献1に記載されているような一般建築物用のシステムでは、このように様々な形状の定型耐火物をハンドリングすることが困難であることに加え、それぞれの定型耐火物を、その形状に応じた適切な位置に積み上げることもできない。
また、コークス炉においては、一般的な建築物に比べて、非常に高い寸法精度が求められる。そのため、コークス炉の築炉時に積み上げる定型耐火物の位置については、許容誤差が数mm単位で厳密に定められており、これを満たすように精度良く定型耐火物を積み上げる必要がある。しかし、実際に使用される定型耐火物は、数mm程度の寸法のばらつきを有しているため、これを単純に積み上げても要求される精度を満たすことはできない。手積みの場合には、このような定型耐火物寸法のばらつきを考慮した上で、最終的なコークス炉の寸法精度が得られるように調整を行いつつ定型耐火物を積み上げていたが、特許文献1に記載されているようなシステムは、そのような微妙な調整を行うことはできない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、様々な形状の定型耐火物が混在した状態で用いられるコークス炉の築炉において、それらの定型耐火物を、人手によらず、高い精度で効率よく積み上げることができるコークス炉定型耐火物積みシステムおよびコークス炉定型耐火物積み方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨構成は、次のとおりである。
1.定型耐火物を積み上げる積み台座と、
前記積み台座の長側面の一方の側に設けられ、前記積み台座上に定型耐火物を積み上げる定型耐火物積み手段と、
前記定型耐火物積み手段へ定型耐火物を供給する定型耐火物供給手段と、
前記積み台座の長側面の他方の側に設けられたモルタル塗布手段と、
前記定型耐火物積み手段および前記モルタル塗布手段を制御する制御手段とを有し、
前記定型耐火物積み手段は、前記積み台座の長手方向と平行な方向に移動可能な移動手段を有し、
前記モルタル塗布手段は、前記積み台座の長手方向と平行な方向に移動可能な移動手段を有する、コークス炉定型耐火物積みシステム。
2.前記定型耐火物積み手段が、
前記定型耐火物を前記積み台座上に積み上げる定型耐火物積み用ロボットと、
前記定型耐火物供給手段から供給された定型耐火物の、形状、寸法、および位置を測定する測定手段とを有し、
前記制御手段は、前記測定手段で測定された結果に基づいて前記定型耐火物積み用ロボットを制御する、上記1に記載のコークス炉定型耐火物積みシステム。
3.前記測定手段が、前記定型耐火物の上面形状を測定する撮像素子と、距離センサとを備える、上記2に記載のコークス炉定型耐火物積みシステム。
4.前記制御手段が、予め設定された基準となる定型耐火物の情報と、前記測定手段で測定された情報とを比較し、その差に基づいて、前記定型耐火物積み手段が定型耐火物を積み上げる位置および前記モルタル塗布手段がモルタルを塗布する位置を補正する、上記2または3に記載のコークス炉定型耐火物積みシステム。
5.前記モルタル塗布手段が、
モルタルを移送するポンプと、
前記ポンプに接続された配管と、
前記配管に接続され、前記モルタルを定量供給する定量供給装置と、
前記定量供給装置に接続されたホースと、
前記ホースに接続され、前記モルタルを前記定型耐火物に塗布するノズルと、
前記ノズルが取り付けられた塗布用ロボットを備える、上記1〜4のいずれか一項に記載のコークス炉定型耐火物積みシステム。
6.(a)前記定型耐火物積み手段および前記モルタル塗布手段、ならびに(b)前記積み台座の少なくとも一方が、前記積み台座の長手方向に移動可能である、上記1〜5のいずれか一項に記載のコークス炉定型耐火物積みシステム。
7.上記1〜6のいずれか一項に記載のコークス炉定型耐火物積みシステムを用いて行うことを特徴とするコークス炉定型耐火物積み方法。
また、本発明の他の実施形態における要旨構成は、次のとおりである。
1.定型耐火物を積み上げる積み台座と、
前記積み台座の長側面の一方の側に設けられ、前記積み台座上に定型耐火物を積み上げる定型耐火物積み手段と、
前記定型耐火物積み手段へ定型耐火物を供給する定型耐火物供給手段と、
前記積み台座の長側面の他方の側に設けられたモルタル塗布手段と、
前記定型耐火物積み手段および前記モルタル塗布手段を制御する制御手段とを有する、コークス炉定型耐火物積みシステム。
2.前記定型耐火物積み手段が、
前記定型耐火物供給手段から供給された定型耐火物の、形状、寸法、および位置を測定する測定手段と、
前記定型耐火物を前記積み台座上に積み上げる定型耐火物積み用ロボットとを有し、
前記制御手段は、前記測定手段で測定された結果に基づいて前記定型耐火物積み用ロボットを制御する、前記1に記載のコークス炉定型耐火物積みシステム。
3.前記測定手段が、前記定型耐火物の上面形状を測定する撮像素子と、距離センサとを備える、前記2に記載のコークス炉定型耐火物積みシステム。
4.前記制御手段が、予め設定された基準となる定型耐火物の情報と、前記測定手段で測定された情報とを比較し、その差に基づいて、前記定型耐火物積み手段が定型耐火物を積み上げる位置および前記モルタル塗布手段がモルタルを塗布する位置を補正する、前記2または3に記載のコークス炉定型耐火物積みシステム。
5.前記モルタル塗布手段が、
モルタルを移送するポンプと、
前記ポンプに接続された配管と、
前記配管に接続され、前記モルタルを定量供給する定量供給装置と、
前記定量供給装置に接続されたホースと、
前記ホースに接続され、前記モルタルを前記定型耐火物に塗布するノズルと、
前記ノズルが取り付けられた塗布用ロボットを備える、前記1〜4のいずれか一項に記載のコークス炉定型耐火物積みシステム。
6.(a)前記定型耐火物積み手段および前記モルタル塗布手段、ならびに(b)前記積み台座の少なくとも一方が、前記積み台座の長手方向に移動可能である、前記1〜5のいずれか一項に記載のコークス炉定型耐火物積みシステム。
7.前記1〜6のいずれか一項に記載のコークス炉定型耐火物積みシステムを用いて行うことを特徴とするコークス炉定型耐火物積み方法。
本発明のコークス炉定型耐火物積みシステムおよびコークス炉定型耐火物積み方法によれば、様々な形状の定型耐火物が混在した状態で用いられるコークス炉の築炉において、それらの定型耐火物を、人手によらず、高い精度で効率よく積み上げることができる。
本発明の一実施形態におけるコークス炉定型耐火物積みシステムを示す上面概略図である。 本発明の一実施形態におけるコークス炉定型耐火物積みシステムを示す側面概略図である。 本発明の一実施形態におけるコークス炉定型耐火物積みシステムの正面概略図である。 本発明の一実施形態におけるコンベアの支持部を示す正面図である。 本発明の一実施形態における定型耐火物積み用ロボットの挟持部を示す斜視図である。
次に、本発明を実施する方法について具体的に説明する。本発明のコークス炉定型耐火物積みシステムは、積み台座と、前記積み台座上に定型耐火物を積み上げる定型耐火物積み手段と、前記定型耐火物積み手段へ定型耐火物を供給する定型耐火物供給手段と、モルタル塗布手段と、前記定型耐火物積み手段および前記モルタル塗布手段を制御する制御手段とを有している。そして、前記定型耐火物積み手段と前記モルタル塗布手段は、前記積み台座の長手方向側面のそれぞれの側に、該積み台座を挟んで設けられている。
このように、定型耐火物積み手段とモルタル塗布手段とを、積み台座を挟んで反対側に配置することにより、両者が干渉することなく、独立して動作させることができるため、効率的にレンガ積みとモルタルの塗布を行うことができる。また、定型耐火物積み手段およびモルタル塗布手段がそれぞれ移動可能である場合には、両者の動線が重なり合わないため自由な位置に移動させることができ、さらに効率的な定型耐火物積み作業が可能となる。
<定型耐火物>
前記定型耐火物としては、特に限定されることなく、レンガやプレキャストブロック等、任意の定型耐火物を用いることができる。なかでも、手積みでコークス炉を建設する際に用いられる通常の定型耐火物を用いることが好ましい。通常の定型耐火物を使用することにより、本発明の方法で築炉する場合においても、従来と同様の炉の設計とすることが可能となり、その結果、少なくとも従来と同等の炉の性能を保証することが可能となる。また、大型のモジュールレンガを用いた場合には、亀裂が入った場合にモジュール全体にわたって亀裂が広がるおそれがあるが、通常の定型耐火物を使用すれば、仮に定型耐火物に亀裂が入ったとしても、その亀裂の伝搬を1つの定型耐火物内でとどめることができる。なお、ここでいう通常の定型耐火物とは、モジュールレンガではない、手積み用の定型耐火物全般を指すが、その寸法は、一般的には、高さ10〜15cm、水平方向の長さが20〜40cmである。
<積み台座>
上記定型耐火物は、最終的には定型耐火物積み手段により積み台座上に積み上げられる。前記積み台座上に定型耐火物を積み上げることによって作製されたブロックはコークス炉建設場所へ運搬された後、該ブロックを積み上げることによってコークス炉が建設される。その際、上記のように積み台座上にブロックを作製することにより、完成したブロックを該積み台座ごと運搬することができる。前記ブロックの運搬方法は特に限定されず、任意の方法を用いることができるが、例えば、積み台座をレール上に設置しておき、該積み台座をレール上で走行させて運搬することができる。また、クレーンを用いて積み台座ごとブロックを運搬することも可能である。そして、ブロックが搬出された後の積み場所には、定型耐火物が積まれていない空の積み台座を再度設置し、新たなブロックの作製を行うことができる。
積み台座の形状や寸法は、作製するブロックに合わせて決定することができる。例えば、コークス炉の燃焼室を構成するブロック等を作製する場合には、積み台座を上方から見た形状を略長方形とすることが好ましい。
なお、一般的にコークス炉に使用される定型耐火物は、下面にダボと呼ばれる凸部を有している。このダボは、該定型耐火物の下の段に積まれる定型耐火物の上面に設けられた凹部とかみ合うことにより、定型耐火物同士を強固に固定する作用を有している。しかし、このようなダボを有する定型耐火物を使用した場合、平坦な面にそのまま置いただけでは安定せず、傾いたり倒れたりしてしまうおそれがある。そこで、前記積み台座としては、ダボを避けて定型耐火物を支持するための支持部を有する積み台座を使用することが好ましい。前記支持部としては、例えば、定型耐火物下面のダボと干渉しないよう、該ダボがある部分以外の位置で該定型耐火物を水平に支持するように積み台座の天板に設けられた支持部材を使用することができる。また、積み台座の天板に凹部を設け、該凹部にダボを収容することにより、定型耐火物のダボがある部分以外の位置を凹部以外の天板の面で水平に支持するようにすることもできる。
<定型耐火物積み手段>
本発明のコークス炉定型耐火物積みシステムは、上記積み台座上に定型耐火物を積み上げるための定型耐火物積み手段を少なくとも一つ有している。本発明においては、前記定型耐火物積み手段が、上記積み台座の長側面の一方の側に設けられることが重要である。なお、ここで「積み台座の長側面の一方の側」とは、積み台座を上方から見た際に、長手方向に略平行な一組の側面のうちの一方の側を意味する。
上記定型耐火物積み手段としては、定型耐火物を積み上げることができるものであれば任意のものを使用することができるが、作業効率の観点からは、前記定型耐火物積み手段が、定型耐火物積み用ロボットを備えていることが好ましい。また、前記定型耐火物積み手段は、後述する定型耐火物供給手段から供給される定型耐火物の、形状、寸法、および位置を測定することができる測定手段を備えていることが好ましい。
[定型耐火物積み用ロボット]
上記定型耐火物積み用ロボットとしては、任意のロボットを使用することができるが、作業効率や設置スペースの観点からは、産業用ロボットの一種であるアーム型ロボットを用いることが好ましく、垂直多関節型ロボットを用いることがより好ましい。前記定型耐火物積み用ロボットは、定型耐火物を保持するための保持部を有している。定型耐火物積み用ロボットとしてアームを有するロボットを用いる場合には、該アームの先端に前記保持部を備えることが好ましい。前記保持部の構造はとくに限定されず、定型耐火物の保持と開放を適切に行えるものであれば任意のものを用いることができる。使用可能な保持部の例としては、平行開平型ハンド、支点開平型ハンド、真空吸着型ハンドなどが挙げられる。
[測定手段]
上記測定手段としては、定型耐火物の形状、寸法、および位置を測定することができるものであれば任意のものを使用することができる。コークス炉には、上面から見た形状が、長方形、台形、L型など、様々な形状の定型耐火物が使用される。そこで、定型耐火物積み用ロボットに測定装置を設け、定型耐火物の形状や寸法をその場で測定することにより、その情報に基づいて該定型耐火物積み用ロボットを制御することができる。また、定型耐火物の寸法にはいくらかのばらつきがあるが、測定された定型耐火物の寸法の情報に基づいて、定型耐火物を積み上げる位置やモルタルを塗布する位置を補正することも可能となる。
前記測定手段は、一つの測定装置であってもよいし、複数の測定装置を組み合わせたものであってもよい。測定手段として好適に使用できるものの一例としては、撮像素子(カメラ)と距離センサの組み合わせが挙げられる。また、前記位置は、絶対的な位置であってもよいし、測定手段を基準とした相対位置であってもよい。
上記撮像素子としては、例えば、CCDやCMOSなどのイメージセンサを備えたカメラを使用することができる。撮像素子により定型耐火物の画像データを取得し、該画像データを処理することによって定型耐火物の上面から見た形状や、寸法、位置等を検出することができる。定型耐火物の上面形状は、画像データを処理することにより、輪郭として検出してもよい。定型耐火物の位置に関する情報は、例えば、測定を行った時点における撮像素子の位置情報に基づいて画像データを解析することにより得ることができる。また、撮像素子で得た画像データに基づいて、定型耐火物の傾きを測定し、得られた傾きの情報を後述する制御に利用することもできる。
上記距離センサとしては、レーザーセンサをはじめとする、任意の距離センサを用いることが出来る。距離センサを用いることにより、定型耐火物の寸法や位置を測定することができる。例えば、後述するコンベアや供給台等の台の上に定型耐火物が置かれている場合、距離センサを用いて該定型耐火物の上面までの距離と台までの距離を測定し、両者の差をとることによって定型耐火物の高さを求めることができる。また、距離センサによる測定結果から、水平面に対する定型耐火物の傾きを算出することもできる。傾きの算出は、複数の距離センサの測定結果を用いて行ってもよく、単一の距離センサを移動させて複数の地点で測定した結果を用いて行ってもよい。
上記測定手段を設ける位置は定型耐火物積み手段の任意の箇所に設けることができる。定型耐火物積み手段が定型耐火物積み用ロボットを備える場合には、該定型耐火物積み用ロボットの可動部分に前記測定手段を設けることが好ましい。また、前記定型耐火物積み用ロボットがアーム型ロボットである場合には、前記測定手段をアームに設けることが好ましく、アームの先端に設けることがより好ましい。これにより、前記測定手段を移動させるための手段としてロボットのアームを使用できるため、該アームが届く範囲内の任意の位置で測定を行うことができる。また、アームを回転させることにより、測定手段を水平方向など各種の方向に向けて測定を行うこともできる。
さらに、上記定型耐火物積み手段は、上記定型耐火物積み用ロボットを移動させるための移動手段を備えることが好ましい。定型耐火物積み用ロボットを移動可能とすることにより、ロボット1台当たりの作業可能エリアを広くすることができ、その結果、大型のブロックであっても効率的に作製することができる。移動手段としては、任意のものを用いることができるが、レールと、該レール上を走行するための走行装置を用いることが好ましい。また、定型耐火物積み用ロボットを移動させる方向は、上記積み台座の長手方向と平行とすることが好ましい。
<定型耐火物供給手段>
本発明のコークス炉定型耐火物積みシステムは、上記定型耐火物積み手段へ定型耐火物を供給するために用いられる定型耐火物供給手段を備えている。前記定型耐火物供給手段の形態は特に限定されず、定型耐火物積み手段へ定型耐火物を供給することができるものであれば任意のものを用いることができる。
上記定型耐火物供給手段としては、例えば、定型耐火物を一時的に置いておくことができる台(供給台)を使用することができる。その場合、人手またはロボットにより、使用する定型耐火物を前記供給台状に置き、供給台上に置かれた定型耐火物を定型耐火物積み手段(例えば、定型耐火物積み用ロボット)が持ち上げて移動させ、積み台座の所定の位置に積み上げればよい。なお、供給台を使用する場合、その天板にも、積み台座と同様に定型耐火物のダボを避けて支持するための支持部を設けることが好ましい。
また、多量の定型耐火物の供給を自動化し、効率的に行うという観点からは、前記定型耐火物供給手段として、コンベアを用いることが好ましく、定型耐火物貯留手段と、コンベアと、前記定型耐火物貯留手段に貯留されている定型耐火物を前記コンベア上へ移載する移載手段とを備えた定型耐火物供給装置を用いることがより好ましい。コークス炉の築炉においては様々な形状の定型耐火物が大量に使用される。そのため、使用する定型耐火物を前記定型耐火物貯留手段に一時的に貯留しておき、該定型耐火物貯留手段から、前記移載手段を用いて、必要な種類の定型耐火物を、前記コンベアへ受け渡すことにより、定型耐火物の供給を自動化し、効率的に定型耐火物の積み上げを行うことができる。以下、前記定型耐火物供給装置について説明する。
[定型耐火物貯留手段]
上記定型耐火物貯留手段の形態は特に限定されることなく、任意の形態とできる。例えば、床面に直接定型耐火物を並べておき、後述する移載装置によって必要な定型耐火物を持ち上げて搬送しても良いが、作業性の面からは、棚などの貯留手段の上または内部に定型耐火物を貯留しておくことが好ましい。また、前記定型耐火物貯留手段は、定型耐火物を前記移載手段へ送り出すための、送り出し手段を備えていることがより好ましい。また、前記定型耐火物貯留手段では、使用する定型耐火物を種類ごとに分けて貯留することが好ましい。
[移載手段]
上記移載手段は、前記定型耐火物貯留手段から取得した定型耐火物を、後述するコンベアへ受け渡すためのものである。移載手段の形態は特に限定されず、定型耐火物をコンベアへ移載できるものであれば任意のものを使用できる。例えば、前記定型耐火物貯留手段と前記コンベアとが近接している場合には、水平多関節型ロボット、垂直多関節型ロボット等のアーム型ロボットを前記移載手段として用いることができる。また、前記定型耐火物貯留手段と前記コンベアとの間に設けた移載用コンベアを前記移載手段として用いることができる。なお、前記移載手段は、自走可能であることが好ましく、例えば、自走可能な台車上に移載用コンベアを設けたものとすることがより好ましい。移送手段が自走可能であれば、定型耐火物貯留手段が大きい場合でも、様々な位置から定型耐火物を取得することができる。また、1つの定型耐火物供給部に対して、複数の定型耐火物積み手段が設けられているような場合においても、移載手段が自走可能であれば、1つの移載手段で前記複数の定型耐火物積み手段に対して定型耐火物を供給することができる。
[コンベア]
定型耐火物貯留手段に貯留されている定型耐火物は、上記移載手段によってコンベアに移載された後、該コンベアよって、定型耐火物積み手段の近くまで搬送される。前記コンベアとしては、ベルトコンベアなど、任意のコンベアを使用することができる。なお、前記コンベアの搬送面にも、上記積み台座や供給台と同様に、ダボを避けて定型耐火物を水平に支持するための支持部を設けることが好ましい。
[測定手段]
上述のようにコンベアを使用する場合、さらに、該コンベア上に置かれた定型耐火物の、形状、寸法、および位置を測定する測定手段を設けることもできる。先にも述べたように、コークス炉には、上面から見た形状が、長方形、台形、L型など、様々な形状の定型耐火物が使用される。そこで、定型耐火物供給装置に測定装置を設け、定型耐火物の形状や寸法をあらかじめ測定することにより、その情報に基づいて定型耐火物積み手段を制御することができる。また、定型耐火物の寸法にはいくらかのばらつきがあるが、測定された定型耐火物の寸法の情報に基づいて、定型耐火物を積み上げる位置やモルタルを塗布する位置を補正することも可能となる。
前記測定手段としては、上述した定型耐火物積み用ロボットの測定手段と同様のものを用いることができる。ただし、測定手段の設置位置は、コンベア上に置かれている定型耐火物の測定を行うことができる位置とする必要がある。例えば、測定手段として、コンベアの上方に設置された撮像素子と距離センサを使用することができる。前記撮像素子により、コンベア上の定型耐火物の画像データを取得し、該画像データを処理することによって定型耐火物の上面から見た形状と、寸法、位置等を検出することが出来る。定型耐火物の上面形状は、画像データを処理することにより輪郭として検出してもよい。定型耐火物の位置に関する情報は、例えば、撮像素子が設置されている位置の情報に基づいて画像データを解析することにより得ることができる。また、撮像素子で得た画像データに基づいて、定型耐火物の傾きを測定し、得られた傾きの情報を定型耐火物積み用ロボット等の制御に利用することもできる。例えば、撮像素子がコンベアの上方に設置されている場合は、得られた画像から、定型耐火物の、上方から見た傾き(水平面内における傾き)を検出することができる。
また、コンベアの上方に設置された距離センサを用いて、該距離センサから定型耐火物の上面までの距離と、該距離センサからコンベアの搬送面までの距離を測定し、両者の差をとることにより、定型耐火物の高さを求めることができる。さらに、距離センサによる測定結果から、水平面に対する定型耐火物の傾きを算出することもできる。傾きの算出は、複数の距離センサの測定結果を用いて行ってもよく、単一の距離センサを移動させて複数の地点で測定した結果を用いて行ってもよい。なお、前記測定手段はコンベアの上方以外の位置、例えば、定型耐火物の側面に対向する位置や、斜め上方などに設置することもできる。また、異なる位置に設置された複数の測定手段を併用することもできる。
なお、本発明のコークス炉定型耐火物積みシステムは、上記定型耐火物供給手段における測定手段と、先に述べた定型耐火物積み手段における測定装置の少なくとも一方を備えていることが好ましい。また、両方を備えていても良い。また、これらの測定装置で測定された情報は、後述する制御手段に送られ、該制御装置は、前記情報に基づいてコークス炉定型耐火物積みシステム、特に、定型耐火物積み手段やモルタル塗布手段を制御することができる。
<モルタル塗布手段>
本発明のコークス炉定型耐火物積みシステムは、定型耐火物にモルタルを塗布するためのモルタル塗布手段を少なくとも一つ有している。本発明においては、前記モルタル塗布手段が上記積み台座の長側面の他方の側に設けられることが重要である。なお、ここで「積み台座の長側面の他方の側」とは、積み台座を上方から見た際に、長手方向に略平行な一組の側面のうちの、定型耐火物積み手段と反対の側を意味する。
上記モルタル塗布手段は、定型耐火物の表面にモルタルを塗布するためのものであるが、モルタルが塗布される定型耐火物は、定型耐火物積み手段が保持しているものであってもよく、定型耐火物積み手段によって既に積み台座上へ積まれたものであってもよく、また、その両者であってもよい。
例えば、定型耐火物積み用ロボットを備える定型耐火物積み手段を使用する場合には、該定型耐火物積み用ロボットが、アームの先端に取り付けられた挟持部材などで保持している定型耐火物に直接モルタル塗布装置によってモルタルを塗布した後、前記モルタルが塗布された定型耐火物を、積み台座上に既に置かれている定型耐火物の上に積み上げることができる。
また、既に積み台座上へ積まれている定型耐火物にモルタルを塗布する場合には、例えば、定型耐火物積み手段によって次に定型耐火物が積まれる位置にモルタルを塗布すればよい。前記定型耐火物が積まれる位置とは、積もうとする定型耐火物の下面が接触する部位、すなわち、下の段に既に積まれている定型耐火物の上面を少なくとも含む位置である。積もうとする定型耐火物の側面が接する位置に、既に定型耐火物が積まれている場合には、その定型耐火物の側面のうち、前記積もうとする定型耐火物と接する面にもモルタルを塗布しておくことが好ましい。また、上記のように定型耐火物1つ分に対応する場所毎に逐次モルタルを塗布する以外に、2個またはそれ以上、場合によっては1段分など、複数の定型耐火物を積む位置にまとめてモルタルを塗布してもよい。なお、積み台座の上に1段目の定型耐火物を積む際には、あらかじめモルタルを塗布しない。
上記モルタル塗布手段としては、モルタルを塗布できるものであれば任意のものを用いることができるが、効率的に自動でモルタルを塗布するという観点からは、モルタル塗布用ロボットを備えるモルタル塗布手段を用いることが好ましい。また、安定的にモルタルを供給して精度良く塗布を行うために、モルタルを移送するポンプと、前記ポンプに接続された配管と、前記配管に接続され、前記モルタルを定量供給する定量供給装置と、前記定量供給装置に接続されたホースと、前記ホースに接続され、前記モルタルを前記定型耐火物に塗布するノズルと、前記ノズルが取り付けられた塗布用ロボットを備えるモルタル塗布装置を用いることがより好ましい。前記定量供給装置としては、スクリューフィーダー等の、モルタルを定量的に供給することが可能な装置を使用することができる。
前記塗布用ロボットとしては、定型耐火物積み用ロボットと同様に、産業用ロボットの一種であるアーム型ロボットを用いることが好ましく、垂直多関節型ロボットを用いることがより好ましい。また、前記ノズルは、前記塗布用ロボットの可動部に設けることが好ましく、前記塗布用ロボットがアーム型ロボットである場合には、該アームの先端にノズルを取り付けることがより好ましい。前記ノズルの形状は特に限定されず、任意のノズルを用いることができる。広い面積に均一な厚みで塗布を行うという観点からは、スリット状の吐出口を有し、モルタルを帯状に塗布することができる平ノズルを用いることが好ましい。
さらに、上記モルタル塗布手段は、上記塗布用ロボットを移動させるための移動手段を備えることが好ましい。塗布用ロボットを移動可能とすることにより、ロボット1台当たりの作業可能エリアを広くすることができ、その結果、大型のブロックであっても効率的に作製することができる。移動手段としては、任意のものを用いることができるが、レールと、該レール上を走行するための走行装置を用いることが好ましい。塗布用ロボットを移動させる方向は、上記積み台座の長手方向と平行とすることが好ましい。なお、塗布用ロボットを移動可能とする場合、塗布用ロボットのみを移動させ、モルタル塗布手段の他の部分(ポンプ、定量供給装置など)を固定式としてもよい。また、塗布用ロボットとともに、モルタル塗布手段の他の部分の一部または全部を移動させるようにしてもよい。
なお、本発明のコークス炉定型耐火物積みシステムにおいては、(a)定型耐火物積み手段およびモルタル塗布手段、ならびに(b)積み台座の少なくとも一方を、前記積み台座の長手方向に移動可能とすることが好ましい。(a)定型耐火物積み手段およびモルタル塗布手段が移動可能であれば、積み台座が固定された状態であっても、適切な位置に定型耐火物積み手段とモルタル塗布手段を移動させた上で定型耐火物積みやモルタルの塗布を行うことができるため、定型耐火物積み手段およびモルタル塗布手段1台あたりの作業エリアを広くし、効率的に定型耐火物積みを行うことができる。また、定型耐火物積み手段およびモルタル塗布手段が固定式であっても、積み台座が移動可能であれば、同様に1台あたりの作業エリアを広くし、効率的に定型耐火物積みを行うことができる。作業の自由度を高くし、効率的に定型耐火物積みを行うという観点からは、定型耐火物積み手段およびモルタル塗布手段を、それぞれ独立に移動可能とすることがより好ましい。
<制御手段>
本発明のコークス炉定型耐火物積みシステムは、前記定型耐火物積み手段および前記モルタル塗布手段を制御するための制御手段を備えている。これにより、定型耐火物積み手段とモルタル塗布手段の動作を連動させ、効率的に定型耐火物積みを行うことができる。定型耐火物を積む位置や、モルタルを塗布する位置は、予め制御手段に記憶させておくこともできるし、測定手段等によって得られた情報に基づいて、制御手段により決定することもできる。
また、基準となる定型耐火物の形状、寸法等に関する情報を予め制御手段に設定しておき、前記情報と、測定手段で測定された定型耐火物の情報とを比較し、その差に基づいて、定型耐火物積み手段が定型耐火物を積み上げる位置やモルタル塗布手段がモルタルを塗布する位置を補正することもできる。これにより、定型耐火物の形状や寸法の誤差の影響を受けずに、定型耐火物を精度良く積み上げることができる。
次に、本発明を実施する方法についてさらに具体的に説明する。なお、以下の説明は、本発明の好適な一実施形態を示すものであり、本発明は、以下の説明によって何ら限定されるものではない。
図1、2は、本発明の一実施形態におけるコークス炉定型耐火物積みシステム1を上面および側面からみた概略図である。コークス炉定型耐火物積みシステム1は、定型耐火物2を供給するための定型耐火物供給手段100、定型耐火物積み手段200、積み台座300、モルタル塗布手段400、および制御手段500を備えている。
(定型耐火物供給手段)
本実施形態における定型耐火物供給手段100は、定型耐火物貯留手段としての貯留棚110、移載手段としてのピッキング装置120、およびコンベア130を有している。
定型耐火物貯留手段としての貯留棚110には、コークス炉に用いられる様々な形状の定型耐火物2が、その種類ごとに区分された状態で貯留されている。図3に示すように、貯留棚110にはコンベア111が備えられており、投入口112より投入された定型耐火物2は、コンベア111によって排出口113方向へ搬送される。貯留棚110の排出口側には、貯留されている定型耐火物2を1個ずつ移載手段へ送り出すための送り出し用コンベア114が設けられており、排出口113には昇降自在のストッパ115が備えられている。コンベア111および送り出し用コンベア114の搬送面には、後述するコンベア130と同様に、定型耐火物底面の凸部を避けて該定型耐火物を支持するための定型耐火物支持部(図示されない)が設けられている。
前記移載手段としてのピッキング装置120は、可動式台車121と、可動式台車121上に設置された、不定形耐火物を搬送するためのピッキング用コンベア122とを有しており、さらに可動式台車121は、レール123上に設置されている。ピッキング用コンベア122の搬送面にも、定型耐火物底面の凸部を避けて該定型耐火物を支持するための定型耐火物支持部(図示されない)が設けられている。
コンベア130は、ピッキング装置120から受け渡された定型耐火物2を定型耐火物積み手段200へ搬送するためのものである。コンベア130の搬送面には、定型耐火物2の下面にダボがあった場合でも安定に搬送するための支持部131が設けられている。支持部131は、図4に示すように、2つの支持台132からなる。支持台132は、コンベア130の搬送面上に、搬送方向に延びるように設けられており、定型耐火物2は支持台132の上に載せられた状態で搬送される。支持台132の高さを、定型耐火物2下面のダボ(凸部)の高さよりも大きくすることにより、定型耐火物を水平に保った状態で安定して搬送することができる。なお、本発明のコークス炉定型耐火物積みシステムにおいて使用される定型耐火物を搬送するためのすべてのコンベアに、上述した形状の支持台を設けることが好ましい。
図1〜3に示したように、コンベア111、送り出し用コンベア114、ピッキング用コンベア122、およびコンベア130は、積み台座300の長手方向と平行に設置することが好ましい。また、ピッキング装置120を移動させるためのレール123は、コンベア111やコンベア130の搬送方向に対して垂直方向に敷設することが好ましい。このようにレール123を敷設すれば、貯留棚110がコンベア111と、コンベア111のそれぞれに対応する排出口113を多数備えている場合でも、ピッキング装置120をレール123上で移動させることにより、1台のピッキング装置で定型耐火物を移載することができる。
また、定型耐火物積み手段200、積み台座300、およびモルタル塗布手段400が、複数組設けられている場合には、各定型耐火物積み手段200に隣接するようにコンベア130を複数設置することが好ましい。その場合、ピッキング装置120をレール123上で移動させることにより、1台のピッキング装置で前記複数のコンベア130へ定型耐火物2を移載することができる。なお、ピッキング装置(移載装置)は、1台であってもよいが、2台以上とすることもできる。
次に、本実施形態における、定型耐火物供給部100の動作の一例を説明する。貯留棚110に貯留されている定型耐火物2は、コンベア111によって排出口113へ向けて搬送され、送り出し用コンベア114の上まで到達する。次いで、ストッパ115を上昇させて排出口113を開け、送り出し用コンベア114を駆動して定型耐火物2を送り出す。この時、予めピッキング装置120を定型耐火物2が貯留されている位置へ移動させておく。そして、送り出し用コンベア114と同時にピッキング装置120のピッキング用コンベア122を動作させ、定型耐火物2を送り出し用コンベア114からピッキング用コンベア122上へ移動させる。
定型耐火物2を1つ送り出した後は、ストッパ115を下降させて、後続の定型耐火物が排出口113から排出されることを防止する。この際、ストッパ115の直前に光電センサを設け、該光電センサで定型耐火物2が検出されると送り出し用コンベア114の動作を停止するようにしてもよい。定型耐火物2を受け取ったピッキング装置120は、次いで、コンベア130の前まで移動し、ピッキング用コンベア122を再度動作させてコンベア130上へ定型耐火物2を移載する。
コンベア130は、定型耐火物2を搬送し、定型耐火物積み手段200に受け渡す位置まで移動させる。前記受け渡し位置は任意の位置とすることができるが、当該定型耐火物2を積み台座に積み上げる位置から最も近い位置とすれば作業効率を向上させることができるため、好ましい。
(定型耐火物積み手段)
次に、本実施形態における定型耐火物積み手段200について説明する。定型耐火物積み手段200は、定型耐火物積み用ロボット210、測定手段220、および移動手段としてのレール230を備えている。レール230は積み台座300の長手方向と平行に敷設されており、定型耐火物積み用ロボット210はレール230上で自走するための走行装置をさらに備えている。
定型耐火物積み用ロボット210は、産業用ロボットの一種である垂直多関節型ロボットであり、アームを有している。前記アームの先端には測定手段220と、定型耐火物2を保持するための挟持部240が備えられている。
図5は、本実施形態における挟持部240の構造を示したものである。ここで用いられる挟持部240は、平行開平型ハンド(平行ハンド)と呼ばれるタイプの保持機構を、本発明の目的に合わせて改良したものである。図中、242aおよび242bは、定型耐火物を挟み込んで保持するための挟持部材である。挟持部材の形状は特に限定されないが、図5に示したように定型耐火物と接触する面が平面であれば、接触面積が増し、その結果、定型耐火物を安定して保持できるため好ましい。また、挟持部材242aおよび242bの定型耐火物2と接触する部分には、保持力を向上させるための滑り止め部材243aおよび243bを設けることが好ましい。前記滑り止め部材としては、例えば、一般的なゴムのような熱硬化性エラストマー、シリコーンゴムなどの熱可塑性エラストマー、およびその他の樹脂などを用いることができる。図5に示した実施態様においては、挟持部材242aおよび242bの定型耐火物2と接触する面に、滑り止め部材243aおよび243bとして板状のゴムを設けている。また、ゴム等の弾性材料からなる滑り止め部材を設けることにより、定型耐火物の破損を防止することができる。
挟持部材242aおよび242bは、開閉することにより定型耐火物を保持または開放するように構成される。ここで、本実施形態においては、2つの挟持部材が、互いに近づく方向または互いに離れる方向に、直線的に動くことにより開閉する。前記挟持部材の開閉は、2つの挟持部材をともに動かすことによって行ってもよいし、一方のみを動かして行ってもよい。図5に示した挟持部の例では、エアシリンダ244を用いて、挟持部材243aを矢印Aの方向に移動させることにより、挟持部材の開閉を行うことができる。
さらに、挟持部材の少なくとも1つは、該挟持部材の定型耐火物と当接する当接面の角度を可変とすることが好ましい。これにより、定型耐火物の側面が傾斜している(対向する側面と平行ではない)場合であっても、該定型耐火物の側面の傾斜に合わせて挟持部材が回転することで、安定して定型耐火物を保持することができる。前記挟持部材の回転方法は特に限定されず、挟持部材を一定の角度範囲内で自由に回転できるように回転自在に設けておき、定型耐火物を挟持する際に、該定型耐火物側面の傾斜に倣うように回転するようにすることもできる。また、モーター等の駆動装置を用いて挟持板を任意の角度に回転させるようにすることもできる。
図5に示した挟持部の例では、挟持部材242aは、サーボモーター245に接続された回転軸246に固定されており、矢印Bで示す方向に回転可能である。サーボモーター245は、後述する制御手段からの信号により駆動され、定型耐火物の形状に合わせて挟持部材242aの角度を調整する。なお、上記の例では一方の挟持部材を開閉可能かつ回転可能としたが、一方の挟持部材を開閉可能とするとともに他方の挟持部材を回転可能とすることもできる。また、両方の挟持部材を開閉可能かつ回転可能としてもよい。
さらに、挟持部材の少なくとも1つは、該挟持部材の前記定型耐火物と当接する当接面と平行な方向における位置を変更可能とすることが好ましい。これにより、上面から見た形状がL型など特殊な形状の定型耐火物であっても、その形状に合わせた位置に挟持部材を平行移動させ、安定に定型耐火物を保持することができる。前記平行移動の方法は特に限定されず、任意の駆動装置を使用することが出来る。図5に示した挟持部の例では、挟持部材242bを矢印Cの方向に移動させるためのボールネジ247およびモーター248が設けられている。前記モーターとしては、ステッピングモーターやサーボモーターを使用することができ、該モーターは、後述する制御手段からの信号により駆動される。
また、本実施形態の定型耐火物積み手段200には、測定手段220として撮像素子221と距離センサ222が備えられている。測定手段220によって得られた定型耐火物2の形状、寸法、および位置に関する情報は、制御装置500に送信され、その情報に基づいて定型耐火物積み用ロボット210等が操作される。
次に、本実施形態における定型耐火物積み手段200の動作の一例を説明する。コンベア130によって運ばれてきた定型耐火物2は、定型耐火物積み用ロボット210によって持ち上げられ、積み台座300の上に積み上げられる。その際、定型耐火物2を適切にハンドリングし、正しい位置に積み上げるために、予め測定手段220による測定が行われる。前記測定は、定型耐火物積み用ロボット210が定型耐火物2を持ち上げる前に、コンベア130上に定型耐火物2が置かれた状態で行うことが好ましい。まず、コンベア130を停止させ、定型耐火物積み用ロボット210を動かして、アーム先端に設けられている測定手段220をコンベア130上の定型耐火物2に近接させる。その状態で測定を行い、定型耐火物2の形状、寸法、および位置を測定する。その結果に基づいて、定型耐火物積み用ロボット210および挟持部240を駆動し、定型耐火物2を持ち上げる。定型耐火物積み用ロボット210により定型耐火物2をコンベア130上から取り除いた後は、コンベア130による搬送を再開することができる。なお、コンベア130の末端にテーブル等を設置しておき、コンベア130から該テーブル等へ定型耐火物2を載せ替えた後に測定を行ってもよい。
定型耐火物積み用ロボット210によって保持された定型耐火物2は、定型耐火物の種類に応じて、積み台座300上の予め定められた位置へ積み上げられる。どの形状の定型耐火物をどの位置に積むかという情報は、あらかじめ制御手段500に格納しておく。また、実際に定型耐火物を積む位置は、測定手段220によって測定された個々の定型耐火物の形状および寸法に基づいて補正される。具体的には、予め設定された基準となる定型耐火物の情報と、測定手段220で測定された情報とを比較し、その差に基づいて、定型耐火物積み手段200が定型耐火物2を積み上げる位置が補正される。
前記補正を行う方法の一例としては、定型耐火物の重心位置に基づいて補正を行う方法が挙げられる。具体的には、まず、図面寸法に基づいて定型耐火物の重心を算出し、該重心の位置と、重心がどの位置に来るように定型耐火物を積むかという位置情報を制御手段500に予め格納しておく。その後、実際に定型耐火物を積む際に、測定手段220によって測定された定型耐火物の実際の寸法から、実際の重心を算出する。次いで、前記実際の重心と予め図面寸法から求めた重心とを比較し、両者の差に基づいて定型耐火物を積む位置を補正する。なお、このような積み位置の補正は、重心だけでなく、定型耐火物の側面や上面の中心(中点)位置を基準として行うこともできる。
(積み台座)
定型耐火物2が積み上げられる積み台座300は、レール310上に設置されている。積み台座300の天板、すなわち、定型耐火物2が積み上げられる面を上から見た形状は略長方形であり、前記天板上には定型耐火物2の下面にあるダボを避けて支えるための支持部(図示されない)が設けられている。前記支持部の形状は、コンベア130に設けられた支持部と同様である。
(モルタル塗布手段)
積み台座300の、定型耐火物積み手段200と反対の側には、モルタル塗布手段400が設けられている。本実施形態においては、モルタル塗布手段400は、モルタル3を移送するポンプ410、ポンプ410に接続された配管420、配管420に接続され、モルタル3を定量供給する定量供給装置430、定量供給装置430に接続されたホース440、ホース440に接続され、モルタル3を定型耐火物2に塗布するノズル450、およびノズル450が取り付けられた塗布用ロボット460を備えている。また、定型耐火物積み手段200はレール470の上に設置されており、レール470上で自走するための走行装置をさらに備えている。レール470は、積み台座300の長手方向と平行に敷設されている。
塗布用ロボット460は、定型耐火物積み用ロボット210と同じく垂直多関節型ロボットであり、ノズル450は、定型耐火物積み用ロボット210のアームの先端に取り付けられている。ノズル450の取り付け部には、前記アームの中心軸を中心としてノズル450を回転させる回転手段(図示されない)が設けられており、モルタル3を塗布する面の向きに合わせてノズル450を回転させることができる。
次に、モルタル塗布手段400によりモルタルを塗布する手順について説明する。本実施形態においては、定型耐火物積み用ロボット210によって定型耐火物2を積む際に、それに先だって、該定型耐火物を積む位置にモルタルを塗布しておく。具体的には、積もうとする定型耐火物の下面が接触する部位、すなわち、下の段に既に積まれている定型耐火物の上面にモルタルを塗布する。また、積もうとする定型耐火物の側面が接する位置に、既に定型耐火物が積まれている場合には、その定型耐火物の側面のうち、前記積もうとする定型耐火物と接する面にもモルタルを塗布しておく。そのため、塗布用ロボット460のノズル450は、塗布用ロボット460の関節の可動および/またはノズル450の回転により、下方向以外だけでなく横方向など、任意の方向へ向けてモルタルを塗布することができるように構成されている。なお、定型耐火物を1つ積むたびに、該定型耐火物に対応する場所に逐次モルタルを塗布することもできるが、2個またはそれ以上、場合によっては1段分など、複数の定型耐火物を積む位置にまとめてモルタルを塗布してもよい。
モルタル塗布手段400は、測定手段220によって測定された情報等に基づいて、制御手段500によって制御される。その際には、予め設定された基準となる定型耐火物の情報と、測定手段220で測定された情報とを比較し、その差に基づいて、モルタル塗布手段400がモルタルを塗布する位置を補正する。
以上のように、定型耐火物供給手段100、定型耐火物積み手段200、モルタル塗布手段400、および制御手段500を利用して、積み台座300上に定型耐火物2が積まれる。この動作を繰り返し行うことにより、定型耐火物を積み上げてコークス炉を構成するブロックが作製される。完成したブロックは、積み台座300をレール310上で走行させて搬出される。搬出されたブロックは、直接コークス炉建設場所へ運搬することもできるし、一時的な保管場所へ運搬した後、コークス炉建設の進行状況に応じて前記保管場所からコークス炉建設現場へ運搬することもできる。そして、ブロックが搬出された後のレール310上には、定型耐火物が積まれていない空の積み台座300を再度設置し、新たなブロックの作製を行うことができる。
本実施形態においては、定型耐火物積み用ロボット210と塗布用ロボット460が、それぞれレール230とレール470上に設置されており、レール230とレール470とが、積み台座300の長手方向と平行に敷設されているため、これらのロボットをレール上で移動させることにより、長さの長いブロックを容易に製作することができる。
1 コークス炉定型耐火物積みシステム
2 定型耐火物
3 モルタル
100 定型耐火物供給手段
110 貯留棚
111 コンベア
112 投入口
113 排出口
114 送り出し用コンベア
115 ストッパ
120 ピッキング装置
121 可動式台車
122 ピッキング用コンベア
123 レール
130 コンベア
131 支持部
132 支持台
200 定型耐火物積み手段
210 定型耐火物積み用ロボット
220 測定手段
221 撮像素子
222 距離センサ
230 レール
240 挟持部
242a、242b 挟持部材
243a、243b 滑り止め部材
244 エアシリンダ
245 サーボモーター
246 回転軸
247 ボールネジ
248 モーター
300 積み台座
310 レール
400 モルタル塗布手段
410 ポンプ
420 配管
430 定量供給装置
440 ホース
450 ノズル
460 塗布用ロボット
470 レール
500 制御手段

Claims (7)

  1. 定型耐火物を積み上げる積み台座と、
    前記積み台座の長側面の一方の側に設けられ、前記積み台座上に定型耐火物を積み上げる定型耐火物積み手段と、
    前記定型耐火物積み手段へ定型耐火物を供給する定型耐火物供給手段と、
    前記積み台座の長側面の他方の側に設けられたモルタル塗布手段と、
    前記定型耐火物積み手段および前記モルタル塗布手段を制御する制御手段とを有し、
    前記定型耐火物積み手段は、前記積み台座の長手方向と平行な方向に移動可能な移動手段を有し、
    前記モルタル塗布手段は、前記積み台座の長手方向と平行な方向に移動可能な移動手段を有する、コークス炉定型耐火物積みシステム。
  2. 前記定型耐火物積み手段が、
    前記定型耐火物を前記積み台座上に積み上げる定型耐火物積み用ロボットと、
    前記定型耐火物供給手段から供給された定型耐火物の、形状、寸法、および位置を測定する測定手段とを有し、
    前記制御手段は、前記測定手段で測定された結果に基づいて前記定型耐火物積み用ロボットを制御する、請求項1に記載のコークス炉定型耐火物積みシステム。
  3. 前記測定手段が、前記定型耐火物の上面形状を測定する撮像素子と、距離センサとを備える、請求項2に記載のコークス炉定型耐火物積みシステム。
  4. 前記制御手段が、予め設定された基準となる定型耐火物の情報と、前記測定手段で測定された情報とを比較し、その差に基づいて、前記定型耐火物積み手段が定型耐火物を積み上げる位置および前記モルタル塗布手段がモルタルを塗布する位置を補正する、請求項2または3に記載のコークス炉定型耐火物積みシステム。
  5. 前記モルタル塗布手段が、
    モルタルを移送するポンプと、
    前記ポンプに接続された配管と、
    前記配管に接続され、前記モルタルを定量供給する定量供給装置と、
    前記定量供給装置に接続されたホースと、
    前記ホースに接続され、前記モルタルを前記定型耐火物に塗布するノズルと、
    前記ノズルが取り付けられた塗布用ロボットを備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコークス炉定型耐火物積みシステム。
  6. (a)前記定型耐火物積み手段および前記モルタル塗布手段、ならびに(b)前記積み台座の少なくとも一方が、前記積み台座の長手方向に移動可能である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のコークス炉定型耐火物積みシステム。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のコークス炉定型耐火物積みシステムを用いて行うことを特徴とするコークス炉定型耐火物積み方法。
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