JP2019001687A - 燃焼資材の製造方法および製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】廃棄処分されるヨシを未使用資源と位置付けて、水稲へのケイ酸養分の供給源として有効利用を図る。【解決手段】容器本体11内に充填したヨシを、最上層から下層に向けて順次燻し焼きして灰化を防止しつつ炭化させて燻炭とする炭化段階と、炭化段階にてヨシの最下層まで炭化させた後、続いて燻炭を最下層から上層に向けて順次灰化させて燃焼資材とする灰化段階と、を含み、炭化段階の開始から灰化段階の終了までの間、空気導入口20による送気条件および煙突30による排気条件を固定したままで、炭化段階の最高温度より高くなる灰化段階の最高温度が700℃以下となるように、空気導入口20の開口面積および煙突30の傾斜角度が予め設定されている。【選択図】図1

Description

本発明は、イネ科の植物であるヨシ(葦)を主とする植物原料から、水稲肥料として有用な可溶性ケイ酸を高濃度に含有する燃焼資材を製造する方法および装置に関するものである。
従来より、植物原料を炭化させたり灰化させた燃焼資材は、農作物の肥料や土壌改良剤として広く利用されている。
例えば、水稲においてケイ酸は、収量向上ならびに、病害や気象災害等のストレス軽減に効果がある不可欠な養分である。よって、水稲では、稲わらや籾がらを主とする水稲由来のケイ酸が供給されてきたが、ケイ酸は、そのままの状態では利用し難い形態であるため、灰化することで植物が摂取可能となるように溶解性が高められていた。
しかし、水稲の収穫によって得られる稲わらや籾がらは、畜産業や土木業への利用が優先され、ケイ酸資材として利用されることは少なかった。
そこで、ケイ酸の人為的な供給を、従来の稲わらや籾がらだけに依存しないケイ酸供給源として、本件発明者らは、水稲と同じイネ科植物に属する多年草であり、水稲と同様にケイ酸を多量に吸収するヨシの利用に着目した。
ヨシは一般に、湿地や河川域に自生しており、種子または根茎から発生して群生する。今までヨシは、茅葺き屋根や簾等の原料や活性炭等に一部のみ利用されてきたが、刈り出されたほとんどが有効利用されることなく、費用をかけて運搬・焼却処分されてきた。
ヨシを刈り出す行為は、ヨシが生息している湿地や河川流域の維持・保全にも重要な役割を果たしている。ヨシを刈り出さずに放置しておくと、草地化や低木化が進み、河川域管理が困難となる虞があった。
ヨシに含有されているケイ酸も、そのままでは水稲の根から吸収し難い形態で存在するため、炭化ないし灰化することにより、イネ科植物が摂取可能な形態(可溶性ケイ酸)にすることが重要となる。
しかし、ヨシを一般的な焼成炉で燃焼させると、炉内温度が800℃を超える高温になってしまう。そのため、ケイ酸成分が結晶化して固まり、完全燃焼の阻害要因となって未燃焼の有機質成分が残留したものとなり、肥料としての価値が低いという問題があった。
このような問題を解決するために、例えば籾がらに関しては、炉内温度を450(400)〜800℃の低温に調整すると共に、空気量や灰自体の温度等の焼成条件を調整して、籾がらを灰化する技術が提案されている(特許文献1,2参照)。かかる技術によって得られる籾がら灰は、多孔質構造の水溶性に優れた非晶質のケイ酸を90%以上含む灰なので、水稲肥料としての価値が高いものである。
さらに、本件出願人により、籾がらやヨシを植物原料として、略円筒型の燻し焼き窯内に充填し、底側から空気を供給すると共に、天側から排気しつつ、植物原料の最上層から下層に向けて燻し焼きして層順次に炭化し、この燻し焼き炭化が植物原料の最下層まで達したら、空気供給量を減らして最下層から上層に向けて灰化する技術も既に提案されている(特許文献3,4参照)。
特開2006−111480号公報 特開2006−112687号公報 特開2013−240773号公報 特開2013−241299号公報
しかしながら、前述した特許文献1,2に記載の従来の技術では、刈り出されたヨシを、動力源を必要とする従来の焼成炉で灰化させるには、例えば送風機や冷却機等、炉内温度の制御機構が必要であり、装置が大型なものとなる。従って、個人農家等の小規模体が使用するには、コスト的に適さないという問題があった。また、ヨシも含めてイネ科植物の灰化には時間がかかるため、炉内温度を監視しながら手動で温度調整機構を操作することは面倒であった。
このため、刈り出されたヨシは、動力源を必要としない前述した特許文献3,4に記載の従来の技術を使用して、炭化させた後に灰化させることが望ましい。しかしながら、ヨシを水稲へのケイ酸養分の供給源として有効利用を図るためには、単に動力源を必要としない灰化技術の適用だけでなく、ヨシの利用に特化して最も効率良く有用な燃焼資材(ヨシ灰)を得るための工夫が望まれていた。
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、廃棄処分されるヨシを未使用資源と位置付けて、水稲へのケイ酸養分の供給源として有効利用を図るために、ヨシを特別な条件下で炭化ないし灰化することにより、水稲肥料として有効な可溶性ケイ酸を高濃度に含有する燃焼資材を手間なく容易に製造することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、前述した課題に鑑みて鋭意検討の結果、未使用資源であったヨシの有効活用を図る燃焼資材の製造において、水稲肥料として有効な可溶性ケイ酸を高濃度に含有する燃焼資材を手間なく容易に製造するための特別な条件を見出し、本発明を完成するに至った。本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]ヨシを主とする植物原料を燻し焼き容器本体(11)内に充填して炭化させた後続けて灰化させる燃焼資材の製造方法であって、
前記燻し焼き容器本体(11)は、空気を自然送気するための空気導入口(20)が底側に設けられ、排煙を自然排気するための煙突(30)が天側に設けられており、
前記燻し焼き容器本体(11)内に充填した前記植物原料を、天側の最上層から底側の下層に向けて順次燻し焼きして灰化を防止しつつ炭化させて燻炭とする炭化段階と、
前記炭化段階にて前記植物原料の最下層まで炭化させた後、続いて前記燻炭を最下層から上層に向けて順次灰化させて燃焼資材とする灰化段階と、を含み、
前記炭化段階の開始から前記灰化段階の終了までの間、前記空気導入口(20)による送気条件および前記煙突(30)による排気条件を固定したままで、前記炭化段階の最高温度より高くなる前記灰化段階の最高温度が700℃以下となるように、前記空気導入口(20)の開口面積および前記煙突(30)の傾斜角度が予め設定されていることを特徴とする燃焼資材の製造方法。
[2]前記燻し焼き容器本体(11)の前記植物原料が充填される燻し焼き室(11b)の容量が、略20リットルの場合、
前記空気導入口(20)の開口面積が、12〜15cmの範囲内で予め固定値に設定されており、
前記煙突(30)の傾斜角度が、水平面から20〜40°の範囲内で予め固定値に設定されていることを特徴とする前記[1]に記載の燃焼資材の製造方法。
[3]前記ヨシは、日本国内において各年の9月中旬以降に収穫されたものであることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の燃焼資材の製造方法。
[4]前記[1]から[3]の何れかに記載の製造方法に使用される燃焼資材の製造装置(10)であって、
内部の空間がロストル(13)により上部の燻し焼き室(11b)と下部の空気導入室(11a)に区画された燻し焼き容器本体(11)と、
前記燻し焼き容器本体(11)の底側に設けられ、前記空気導入室(11a)に空気を自然送気するための空気導入口(20)と、
前記燻し焼き容器本体(11)の天側に設けられ、前記燻し焼き室(11b)で生じる燻煙を自然排気するための煙突(30)と、を備え、
前記空気導入口(20)は、その開口面積を調整可能な可変シャッター(21)により開閉され、
前記煙突(30)は、基端から先端に向かって直線状に延び、基端を回転中心として傾斜角度を調整可能な直長管(33)を有することを特徴とする燃焼資材の製造装置(10)。
[5]前記可変シャッター(21)は、前記空気導入口(20)の傍らに設けられたガイド部(22)により、前記空気導入口(20)を覆う面積を調整可能な方向へスライド可能に支持され、固定手段(23)によって所定のスライド位置に固定され、該スライド位置により前記空気導入口(20)の開口面積が定められることを特徴とする前記[4]に記載の燃焼資材の製造装置(10)。
[6]前記煙突(30)の直長管(33)は、保持手段(35)によって所定の傾斜角度に保持され、該傾斜角度により前記煙突(30)の先端側の高さ位置が定められることを特徴とする前記[4]または[5]に記載の燃焼資材の製造装置(10)。
前記本発明は次のように作用する。
前記[1]に記載の燃焼資材の製造方法によれば、ヨシを主とする植物原料全体を、先ず炭化段階により、灰化時の障害となるタール成分等を適度に揮発除去して、ミネラル成分が非晶質のまま残留するように効率良く燻炭とすることができる。
続く灰化段階では、燻炭中のミネラル成分(主としてケイ酸)の結晶化を抑制しつつ、有機質成分を効率良く完全燃焼させることができる。これにより、非晶質構造のミネラル成分として肥料価値が高い溶解性の高いケイ酸が高濃度に含まれる燃焼資材を、手間なく容易に製造することができる。
前記[2]に記載の燃焼資材の製造方法によれば、個人農家でも手軽に扱いやすい比較的コンパクトな燻し焼き容器本体(11)において、炭化ないし灰化の各段階における送気条件および排気条件を最適な条件に容易に設定することが可能となり、いっそう効率良く肥料価値が高い燃焼資材を得ることができる。
前記[3]に記載の燃焼資材の製造方法によれば、日本国内において各年の9月中旬以降に収穫されたヨシを主とする植物原料を用いる。かかる時期に刈り取ったヨシは、その地上部の生育は完了しており、十分な量の大きさおよび乾物重を確保することができるだけでなく、ヨシの刈り取りによる翌年の生育そのものへの影響も最小限に抑えることができると推測される。
前記[4]に記載の燃焼資材の製造装置(10)によれば、可変シャッター(21)によって空気導入口(20)の開口面積を調整することにより、燻し焼き容器本体(11)の空気導入口(20)による送気条件を所望の条件に適宜設定することができる。また、煙突(30)の直長管(33)の傾斜角度を調整することにより、燻し焼き容器本体(11)の煙突(30)による排気条件を所望の条件に適宜設定することができる。
前記[5]に記載の燃焼資材の製造装置(10)によれば、前記可変シャッター(21)は、簡易な構成であってコストを抑えることができ、何ら動力源を必要とすることなく、手動によって空気導入口(20)による送気条件を所望の条件に無段階に容易に調整することができる。
前記[6]に記載の燃焼資材の製造装置(10)によれば、前記煙突(30)は、簡易な構成であってコストを抑えることができ、何ら動力源を必要とすることなく、手動によって煙突(30)による排気条件を所望の条件に無段階に容易に調整することができる。
本発明によれば、ヨシを未使用資源と位置付けて、水稲へのケイ酸養分の供給源として有効利用を図ることができ、特別な窯内温度の監視および制御をしなくとも、ヨシを主とする植物原料の灰化を防止しつつ炭化して燻炭とし、続けてこの燻炭を700℃以下の低温で灰化することにより、水稲肥料として有効な可溶性ケイ酸を高濃度に含有する燃焼資材を手間なく容易に効率良く製造することができる。
本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造装置の全体構成を概略的に示す正面図である。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造装置の容器本体を示す正面図である。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造装置の煙突を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法を概略的に示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造装置の変形例の全体構成を概略的に示す正面図である。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造装置に関して空気導入口の面積を説明するための表およびグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造装置に関して煙突の面積を説明するための表である。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法における条件および結果を示す表である。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法において煙突高80cm・下部開口幅1.0cmの条件での燃焼時の温度推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法において煙突高80cm・下部開口幅1.5cmの条件での燃焼時の温度推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法において煙突高80cm・下部開口幅2.0cmの条件での燃焼時の温度推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法において煙突高80cm・下部開口幅2.5cmの条件での燃焼時の温度推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法において煙突高80cm・下部開口幅3.0cmの条件での燃焼時の温度推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法において煙突高90cm・下部開口幅0.5cmの条件での燃焼時の温度推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法において煙突高90cm・下部開口幅1.0cmの条件での燃焼時の温度推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法において煙突高90cm・下部開口幅1.5cmの条件での燃焼時の温度推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法において煙突高90cm・下部開口幅2.0cmの条件での燃焼時の温度推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法において煙突高90cm・下部開口幅2.5cmの条件での燃焼時の温度推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法において煙突高90cm・下部開口幅3.0cmの条件での燃焼時の温度推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法において煙突高100cm・下部開口幅0.5cmの条件での燃焼時の温度推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法において煙突高100cm・下部開口幅1.0cmの条件での燃焼時の温度推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法において煙突高100cm・下部開口幅1.5cmの条件での燃焼時の温度推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法において煙突高100cm・下部開口幅2.0cmの条件での燃焼時の温度推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法において煙突高100cm・下部開口幅2.5cmの条件での燃焼時の温度推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法において煙突高100cm・下部開口幅3.0cmの条件での燃焼時の温度推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法による燃焼資材の成分濃度(g・kg−1)を示す表である。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法による燃焼資材中のSiO成分濃度(g・kg−1)を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法による燃焼資材中の可溶性SiO成分濃度(g・kg−1)を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法による燃焼資材中のN成分濃度(g・kg−1)を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法による燃焼資材中のP成分濃度(g・kg−1)を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法による燃焼資材中のKO成分濃度(g・kg−1)を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法による燃焼資材中のCaO成分濃度(g・kg−1)を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法による燃焼資材中のMgO成分濃度(g・kg−1)を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法による燃焼資材中のNaO成分濃度(g・kg−1)を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法による燃焼資材中のC成分濃度(g・kg−1)を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法における煙突高別の最高温度(℃)とC濃度(g・kg−1)の推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法における煙突高別の燃焼時間とC濃度(g・kg−1)の推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法における煙突高別のC濃度(g・kg−1)と全SiO濃度(g・kg−1)の推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法における煙突高別のC濃度(g・kg−1)と可溶性SiO濃度(g・kg−1)の推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法における煙突高別の可溶性SiO濃度(g・kg−1)の推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法における煙突高別の燃焼時間と可溶性SiO濃度(g・kg−1)の推移を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るヨシ灰製造方法における煙突高別の最高温度(℃)と可溶性SiO濃度(g・kg−1)の推移を示すグラフである。
以下、図面に基づいて、本発明を代表する燃焼資材の製造装置および製造方法について説明する。
図1〜図3は、本発明の実施の形態に係る燃焼資材の製造装置であるヨシ灰製造装置10を示している。図4は、ヨシ灰製造装置10を用いたヨシ灰(燃焼資材)の製造方法を示すフローチャートである。
[燃焼資材の製造装置の概要]
図1に示すように、ヨシ灰製造装置10は、燻し焼き容器本体11(以下、容器本体11)と、容器本体11の底側に設けられた空気導入口20と、容器本体11の天側に設けられた煙突30と、を備えている。燻し焼き容器本体11は、燻燃器(登録商標,香蘭産業株式会社)と称されている。ここで燻燃とは、炎をたてずに煙らせながら燃やすこと、すなわち一般用語法の燻べると同義である。
先ず、容器本体11は、上端が開口した有底の略円筒形であり、例えばステンレスあるいは鉄等の金属材で形成されている。容器本体11の上端の開口は、別体であり着脱可能な天蓋12によって閉じられている。容器本体11の形状は、基本的には略円筒形が適するが、底に向かって断面積が漸次減少するテーパを付け所謂テーパペール(T型)でも、寸胴な所謂ストレートペール(S型)でも良い。
容器本体11は、その円筒中心軸が略垂直方向となる状態で、地面ないし床面上に静止配置される。ここで容器本体11を地面等に直置きしても良いが、耐熱性の土台等を介して静止配置したり、あるいは容器本体11を保持する支持機構(図示せず)等を介して、中空に固定された状態に静止配置しても構わない。なお、容器本体11の形状は、前述の略円筒形に必ずしも限定されるものではなく、他に例えば略四角筒形や略八角筒形等の他の形状でもかまわない。
容器本体11の大きさは、個人農家等の小規模体が簡易に使用できる装置とする場合、例えば高さ250〜500mm、内径(横幅)は高さと略同寸法のものが適している。本実施の形態では、容器本体11における後述の燻し焼き室11bの高さが略290mm、内径が略285mmであり、燻し焼き室11bの容量が略20リットルの大きさを例に説明する。なお、容器本体11は何れの大きさであっても、その高さと内径(横幅)の比は極端にかけ離れていないものが燃焼継続上好ましい。
容器本体11の内部の空間は、ロストル13によって、下部の空気導入室11aと、その上方で全体の主要部を占める燻し焼き室11bに区画されている。ここでロストル13とは、例えば金属線材を格子状に組み合わせたり、金属板に多数の孔を開けたパンチングメタル等のように通気性に優れた耐熱性の板材である。ロストル13は、容器本体11の内部にて底面に近い内壁に対して、略水平な状態で着脱可能に取り付けられている。
容器本体11の底面に近い周面の一端側には、外部から前記空気導入室11aに通じる空気導入口20が設けられている。この空気導入口20は、前記空気導入室11aおよびロストル13を経由して、前記燻し焼き室11b内に空気(大気)を自然送気する役目を担っている。空気導入口20は、その開口面積を調整可能な可変シャッター21により開閉されるように構成されている。なお、空気導入口20は、本実施の形態では略円形(直径略240mm)であるが、他に例えば略楕円形あるいは略四角形とすることも可能である。
図2に示すように、可変シャッター21は、容器本体11の周面と略同じ曲率に湾曲した板状であり、例えばステンレスあるいは鉄等の金属材で形成されている。可変シャッター21は、前記空気導入口20の両側傍らに設けられた一対のレール状のガイド部22,22によって、両側端縁が上下方向にスライド可能に支持されている。この可変シャッター21が最下位置に至ると、前記空気導入口20は全閉され、可変シャッター21が上方へスライドすると、前記空気導入口20の開口面積が広がるように設定されている。
可変シャッター21の上端側には、ネジ孔21aが設けられ、該ネジ孔21aに合致するナット(図示せず)が固着されており、ナットないしネジ孔21aには、固定手段をなすボルト23が螺合している。このボルト23を締め付けることにより、ボルト先端が容器本体11の周面に係合するため、可変シャッター21を所定のスライド位置に適宜固定することができる。ボルト23で固定した可変シャッター21のスライド位置によって、前記空気導入口20の開口面積を無段階に定めることができるように構成されている。
容器本体11の天蓋12は、容器本体11の上端開口の周縁部上に着脱可能に載置されて、容器本体11の上端開口を開閉する蓋であり、例えばステンレスあるいは鉄等の金属材で形成されている。本実施の形態における天蓋12は、その中央に向けて盛り上がるドーム状に形成されているが、他に例えば平板円盤であったり、あるいは中央に向けて傾斜して上端面が水平な円錐台型(後述の図5参照)とすることも可能である。
天蓋12の頂部には、煙突30を取り付けるために、略円筒型に突出した煙突取付部12aが設けられている。
煙突30は、全体的には円筒形に延びた管体であり、例えばステンレス鋼あるいは鉄等の金属材で形成されている。煙突30は、本来の機能である空気吸引力により前記燻し焼き室11bで生じる燻煙を自然排気する役目のほか、内部を通過する燻煙を高効率に冷却して燻液原液を結露生成させる役目も果たすものである。
図3に示すように、煙突30は、前記煙突取付部12aに基端側が垂直に接続され先端側が水平を向くL字状のエルボ31と、該エルボ31の先端側にT字状に分岐して接続されるチーズ32と、該チーズ32の両端上側に接続される直長管33と、該直長管33の先端側にT字状に分岐して接続されるT笠34からなる。なお、チーズ32の両端下側の開口は閉じられているが、開閉可能にしたり、あるいは滴下孔を開設することにより、燻液原液を取り出せるように構成すると良い。
煙突30の主要部をなす直長管33は、長筒として直線状に延びており、その基端(下端)が前記チーズ32の両端上側に挿嵌されている。そして、チーズ32は、その中央の管部が前記エルボ31の水平部位の一端に挿嵌され、エルボ31との接続部位を中心として回転可能である。よって、直長管33をチーズ32と共に回転させれば、直長管33を任意の角度に自在に傾斜させることができる。
すなわち、煙突30の先端(T笠34の略中心)の地面からの高さ、すなわち直長管33の傾斜角度を無段階に調整することができるように構成されている。直長管33は、保持手段である煙突支柱35によって保持され、所定の傾斜角度に維持される。ここで煙突支柱35は、直長管33の長手方向における途中の部位と容器本体11の設置面(例えば地面等の水平面)の間に立設されて、直長管33を支持する例えば棒状の部材である。煙突支柱35は、直長管33の長手方向において支える位置により、直長管33を所望の傾斜角度(高さ)に保持できるが、伸縮自在に構成しても良い。
エルボ31の垂直部位の下端は、天蓋12の煙突取付部12aに取り外し可能に挿嵌されている。そして、天蓋12の上面視円周において、空気導入口20の位置を回転角0°の位置とすると、煙突30のエルボ31の水平部位が回転角約180°となる方向を向くように、煙突30を配置すると良い。
前述したように、エルボ31の水平部位の一端に対してチーズ32の中央の管部が挿嵌され、チーズ32の両端上側に対して直長管33の基端(下端)が挿嵌されている。また、直長管33の先端(上端)に対してT笠34の中央の管部が挿嵌されている。T笠34は、煙突30への風の吹き込みを防止するものであり、前述した空気吸引力の持続性および安定性を増進する機能のほか、煙突内壁を冷却する役目も果たしている。
このように煙突30の各パーツの接続口は、下方に位置する方が上方に位置する方の接続口を外側から囲むように重なり合う状態で接続されている。従って、各部位の接続箇所の隙間より燻液原液等が外部に漏れる虞はない。なお、煙突30は、別々のパーツを接続して構成するほか、一部または全部を一体に構成しても良い。
[燃焼資材の製造方法の詳細]
次に、前記ヨシ灰製造装置10を用いたヨシ灰(燃焼資材)の製造方法について説明する。本実施の形態では、植物原料としてヨシのみを用いるが、ヨシを主とする植物原料であれば、他に例えば、稲わらや籾がら等のヨシ以外の植物原料を多少(例えば乾重量の1割以下)含めても構わない。なお、主たる植物原料であるヨシは、刈り取って乾燥させたものを、燻し焼き時の空気の流通性を確保すべく予め細かく切断(例えば3cm以下)して用いると良い。また、他の植物原料等の混合により必要に応じて含水率を調整しても良い。
図4は、ヨシ灰の製造方法を概略的に示すフローチャートである。
先ず最初に、前述したヨシ灰製造装置10を所定の状態にセットする(S101)。ヨシ灰製造装置10を用いたヨシ灰の製造方法は、詳しくは後述する炭化段階と灰化段階とを含むが、炭化段階の開始から灰化段階の終了まで、前記空気導入口20による送気条件および前記煙突30による排気条件を固定するようにセットする。ここで送気条件と排気条件は、具体的には、灰化段階の最高温度が700℃以下となるように設定するための条件である。
未使用資源であったヨシの有効活用を図るためには、ヨシを水稲へのケイ酸供給資源と位置づけ、従来の化学的に製造されたケイ酸資材だけに依存することなく、ヨシを定期的に刈り出すことにより環境保全・維持との調和を図りながら、水稲栽培に有効利用するための方法が重要となる。かかる方法として、刈り取ったヨシを炭化ないし灰化させて燃焼資材として活用することが考えられる。しかしながら、水稲肥料として有効な可溶性ケイ酸を高めるための最適な送気条件や排気条件は原料によって異なるため、従来の既に知られた炭化ないし灰化の方法を単にヨシに適用しただけでは、可溶性ケイ酸を高濃度に含有する燃焼資材を手間なく容易に製造することは困難であった。
そこで、発明者らは数々の実験を行った結果、灰化段階の最高温度が700℃以下となるように、炭化段階の開始から灰化段階の終了までの送気条件および排気条件を固定すると共に、具体的な空気導入口20による送気条件(開口面積)および煙突30による排気条件(煙突高)を検証した。すなわち、容器本体11の燻し焼き室11bの容量が略20リットルの場合、空気導入口20の開口面積を12〜15cmの範囲内で予め固定値に設定し、煙突30の傾斜角度を水平面から20〜40°の範囲内で予め固定値に設定することで、ヨシを原料として可溶性ケイ酸を高濃度に含有する燃焼資材を手間なく容易に製造することができることが確かめられた。
ヨシ灰製造装置10の状態のセットにおいて(S101)、空気導入口20の開口面積を設定するには、可変シャッター21を固定するボルト23を緩めて、可変シャッター20を両側のガイド部22,22に沿わせて上下にスライドさせて、空気導入口20が任意の開口面積になるように覆う位置でボルト23を締めて固定する。また、煙突30の傾斜角度を設定するには、直長管33をチーズ32と共にエルボ31との接続部位を中心に回転させて、直長管33を任意の角度に傾斜させた状態で煙突支柱35により保持する。なお、煙突30の調整は、次述する植物原料の充填や点火を終えてから行うことになる。
植物原料であるヨシは、容器本体11から天蓋12を取り外した状態で、容器本体11内のロストル13上に投入し、上から押し込むように詰めて集積充填する(S102)。ヨシを充填し終えたら、その最上層面に灯油等の燃焼補助材を必要に応じて散布し、種火を投入してヨシの最上層面に点火する(S103)。ここで最上層面に炎が広がったことを目視確認したら、天蓋12を容器本体11の上端開口に載置して閉じる。
ヨシの最上層面の炎焼は、容器本体11の上端開口を天蓋12で閉じた後も、しばらくの間は介在する空気中の酸素を消費しながら継続する。そして、前記介在空気中の酸素を消費すると炎焼が終了して、ヨシの炭化段階である燻し焼きが開始される(S104)。なお、煙突30の排煙は、炎焼の間は白色の排煙であるが、炎焼が終了して燻し焼きが開始されると、黒色の排煙(燻煙)となる。
ヨシの燻し焼きが開始されると、容器本体11の燻し焼き室11b内におけるヨシの燻し焼き層は、容器本体11の下部の空気導入室11aからの空気供給に応じて、ヨシの最上層から下層に向けて順次移動していく。酸素を含んだ適量の空気は、空気導入口20から空気導入室11a内に自然送気され、ロストル13を通過して、未だ燻し焼きされていない下層のヨシの間を通過し、ヨシの燻し焼き層に供給される。
そして、ヨシの燻し焼き層がロストル13の天面直上である最下層まで到達することにより、燻し焼き室11b内に充填されたヨシは、燻し焼き炭化された燻炭となり、ヨシを燻し焼きする炭化段階は終了する(S105)。このようなヨシの炭化段階では、前述した空気導入口20による送気条件および煙突30による排気条件の固定により、燻し焼き室11b内の最高温度が500℃以下の低温燻し焼き環境に維持することができる。
炭化段階の空気導入口20による送気条件は、空気導入口20の開口面積の設定により予め固定されており、500℃以下での燻し焼き炭化となるように、容器本体11の空気導入室11aに空気が自然送気される。この空気導入口20による送気条件は、炭化段階の開始から終了のみならず、次述する灰化段階の終了に至るまで固定されたままである。
また、炭化段階の煙突30による排気条件は、直長管33の傾斜角度(煙突高)の設定により予め固定されており、前記自然送気と相俟って500℃以下での燻し焼き炭化となるように、容器本体11の燻し焼き室11bから燻煙が自然排気される。この煙突30による排気条件も、炭化段階の開始から終了のみならず、次述する灰化段階の終了に至るまで固定されたままである。
ヨシの燻し焼き層において生じた燻煙は、そこよりも上層の既に燻炭となった燻炭層を通過して煙突30内に誘導され、煙突30の直長管33を介して自然排気される。また、ヨシの炭化段階において燻炭層は、下層の燻し焼き層からの燻煙に保護されることにより灰化が防止されるので、燻炭のまま留まることになる。
以上のようなヨシの低温燻し焼き炭化によれば、燻液成分およびタール成分が適度に揮発除去されると共に、ケイ酸成分が非晶質構造のまま豊富に残留し、かつ有機成分が豊富に残留した燻炭が得られる。
なお、燻し焼きによって熱せられてヨシ中から揮発した燻液原液成分(燻液成分やタール成分等を含むもの)は、炭化時の燻煙に混合されて上昇し、煙突30内に誘導され、この煙突30の直長管33内で冷却されて結露し、必要に応じて滴下採集される(S108)。このように採集された燻液原液からは、必要に応じてタール成分等が除去分離されて燻液が抽出される。特に低温燻炭化では、タール成分の揮発除去効果が高いものと考えられる。
前記炭化段階が終了した後、続いて灰化が開始される(S106)。すなわち、ヨシの燻し焼き炭化によって得られた燻炭は消火されることなく、そのまま燻し焼き室11b内において、燻炭の余熱と下部から供給される空気との相互作用によって灰化される。燻炭の灰化は、前記炭化の時とは逆に燻炭の最下層から開始され、この最下層から上層に向けて順次灰化が進んでいき、燻炭は最終的にはヨシ灰(燃焼資材)となって灰化段階は終了する(S107)。このような灰化段階では、燻し焼き室11b内の最高温度が炭化段階よりも高くなるが、前述した空気導入口20による送気条件および煙突30による排気条件の固定により、燻し焼き室11b内の最高温度が700℃以下の低温灰化環境に維持することができる。
灰化段階の空気導入口20による送気条件は、前述したとおり炭化段階と同一であり、700℃以下での灰化となるように、容器本体11の空気導入室11aに空気が自然送気される。この空気導入口20による送気条件は、灰化の終了まで固定されたままである。
また、灰化段階の煙突30による排気条件も、前述したとおり炭化段階と同一であり、前記自然送気と相俟って700℃以下での灰化となるように、容器本体11の燻し焼き室11bから灰煙が自然排気される。この煙突30による排気条件も、灰化の終了まで固定されたままである。
灰化段階において、空気導入口20から自然送気された空気は、灰化焼きされている層よりも下層のヨシ灰の間を通過して、前記灰化焼きされている層まで到達し、主にこの灰化焼きされている層で消費される。また、灰化焼きされている層において生じる灰煙は、そこよりも上層の未灰化の燻炭層の間を上昇して煙突30内に誘導され、煙突30の直長管33を介して自然排気される。
このような低温灰化によって、燻炭中のケイ酸成分の結晶化を抑制して、有機質成分をじっくりと完全燃焼させることができるので、ケイ酸成分が非晶質構造のまま高濃度に含有されたヨシ灰が得られる。
なお、灰化によって熱せられて燻炭中から揮発した残留燻液原液成分は、灰化時の燻煙に混合されて上昇し、煙突30内に誘導され、この煙突30の直長管33内で冷却されて結露し、必要に応じて滴下採集される(S108)。このように採集された灰化時の燻液原液からは、必要に応じてタール成分等が除去分離されて燻液が抽出される。ただし、本実施の形態の燻し焼き器においては、灰化段階での燻液原液の採集量は、炭化段階での採集量よりも少なくなる。
以上の本実施の形態に係る燃焼資材の製造方法によれば、ヨシを主とする植物原料を利用して、非晶質構造のミネラル成分として肥料価値が高い溶解性の高いケイ酸が高濃度に含まれる燃焼資材を、手間なく容易に製造することができる。特に個人農家でも手軽に扱いやすい比較的コンパクトな燻し焼き容器本体11において、炭化ないし灰化の各段階における送気条件および排気条件を最適な条件に固定することにより、いっそう効率良く肥料価値が高い燃焼資材を得ることができる。
本実施の形態に係るヨシ灰製造装置10によれば、可変シャッター21によって空気導入口20の開口面積を調整することにより、燻し焼き容器本体11の空気導入口20による送気条件を所望の条件に適宜設定することができる。可変シャッター21は、簡易な構成であってコストを抑えることができ、何ら動力源を必要とすることなく、手動によって空気導入口20による送気条件を所望の条件に容易に調整することができる。
また、本実施の形態に係るヨシ灰製造装置10によれば、煙突30の直長管33の傾斜角度を調整することにより、燻し焼き容器本体11の煙突30による排気条件を所望の条件に適宜設定することができる。煙突30は、簡易な構成であってコストを抑えることができ、何ら動力源を必要とすることなく、手動によって煙突30による排気条件を所望の条件に容易に調整することができる。
特に、本実施の形態に係るヨシ灰製造装置10によれば、炭化段階の開始から灰化段階の終了まで、前記空気導入口20による送気条件および前記煙突30による排気条件をそれぞれ固定する。そのため、炭化段階から灰化段階に切り換わる時に、前記各条件を変更するための特別の構成や操作も一切不要となる。従って、いっそう簡易な構成とすることが可能となり、大幅にコストを抑えることができる。
図5は、本発明の実施の形態の他のヨシ灰製造装置10Aを示している。
このヨシ灰製造装置10Aでは、容器本体11の上端開口を開閉する天蓋の構成が、前記実施の形態に係るヨシ灰製造装置10とは異なっている。なお、前記実施の形態に係るヨシ灰製造装置10と同種の部位については同一符号を伏して、重複した説明は省略する。
ヨシ灰製造装置10Aにおける天蓋14は、前記天蓋12と同様に容器本体11の上端開口の周縁部上に着脱可能に載置されるものであるが、略円錐台状に形成されている。ここで略円錐台のうち、テーパ上端にはフランジが設けられ、フランジ上端の開口が円盤で閉じられている。なお、略円錐台の天蓋14のうち上端の円盤には、煙突30を取り付けるため煙突取付部が設けられている。
このような略円錐台の天蓋14の変形例として、漸次縮径するテーパとその上端のフランジの部分までは、容器本体11の一部として一体に構成し、フランジ上端の開口を塞ぐ円盤のみを着脱するように構成しても良い。なお、ヨシ灰製造装置10Aにおける大きさは、例えば図5中に示した寸法にすることで、燻し焼き室11bの容量が略20リットルの大きさになるように設定すると良い。
何れの構成ないし大きさにせよ、天蓋14(あるいは容器本体11の上端部分)を略円錐台の形状とすることにより、炭化段階の温度をより低温でばらつきの少ない再現安定性の高いものとし、燻し焼き灰化温度をより低温とし、煙突30内に誘導される炭化時の燻煙および灰化時の燻煙をより低温化とする役目を果たすと推測される。また、ヨシを、その最上層面が円錐台部分まで達するように充填する場合には、点火時のヨシの最上層面の面積を狭くすることができるので、未炭化部分の発生を低減することができる。なお、円錐台部分の底角は、具体的には例えば40°〜50°の範囲内に設定すると良い。
[燃焼資材の製造方法における条件の検討]
次に、前記ヨシ灰製造装置10を用いたヨシ灰(燃焼資材)の製造方法における送気条件および排気条件の検証について説明する。発明者らは植物原料としてヨシを用いる場合に、前記炭化段階および前記灰化段階において具体的にどのような条件下であれば、最も効率良く肥料価値が高い燃焼資材を得ることができるかについて、以下の実験を行った。
1)材料
2014年10月に鶴岡市大山地区都沢湿地で刈り取ったヨシを使用し、2015年度に実験を行った。
2)資材化方法
前記ヨシ灰製造装置10を用いたヨシ灰(燃焼資材)の製造に際して、煙突30の高さと、空気導入口20の開口幅をそれぞれ調整して、燃焼時間や燃焼時の最高温度、燃焼前後の重量から灰化率等を求め、燃焼後のサンプルを成分分析した。
なお、容器本体11内の温度を計測したセンサは、図1中においてロストル13より高い順に、CH1(25cm),CH2(20cm),CH3(15cm),CH4(10cm)に設定し、各センサの先端が容器本体11の中央に位置するよう配置した。
煙突30の高さ(煙突高)とは、装置の設置面から煙突30の先端部(T笠34の略中心)までの高さであり、80,90,100cmの3パターンに設定した。空気導入口20の開口幅とは、空気導入口20の最下端から可変シャッター21の下端縁までの直線距離であり、0.5,1.0,1.5,2.0,2.5,3.0cmの6パターンに設定した。これらの組み合わせにより、計18パターンの条件でそれぞれ焼成した。
煙突高は、煙突30の水平面からの傾斜角度の指標とするものである。図7に示すように、煙突30の高さが80cmのとき、直長管33の傾斜角度は約18°であり、煙突30の高さが90cmのとき、直長管33の傾斜角度は約29°であり、煙突30の高さが100cmのとき、直長管33の傾斜角度は約42°である。
開口幅は、空気導入口20の開口面積の指標とするものである。開口幅を前述した0.5〜3.0cmまで変化させて、それぞれ可変シャッター21で塞がれた部分を除く空気導入口20の開口部分の形状を象って紙を切り取り、この切り取った紙をスキャナーで読み取り、読み取ったデータを画像解析にかけて、それぞれの開口部分に対応した面積を求めた。
図6に示すように、開口幅に応じた空気導入口20の開口面積の測定により、開口幅が3.5cmのとき開口面積は16.593cmであり、開口幅が2.5cmのとき開口面積は14.686cmであり、開口幅が2.0cmのとき開口面積は12.749cmであり、開口幅が1.5cmのとき開口面積は9.511cmであり、開口幅が1.0cmのとき開口面積は5.57cmであり、開口幅が0.5cmのとき開口面積は2.426cmであった。
3)成分分析
燃焼資材(焼成物)を微粉砕機で微粉砕し、分析試料とした。全SiO(ケイ酸)は分析試料を硫酸−過酸化水素分解で分解・濾過した濾紙をマッフル炉で焼き、重量法で測定した。
可溶性SiOは、燃焼資材を微粉砕機で微粉砕し、分析試料とした。酸−アルカリの抽出によって可溶性SiO量を求める、フッ化カリウム法(参考法)で分析した。分析試料に塩酸を加え30度で加温しながら1時間反応させる。放冷後、濾過した。濾液は100ml定溶し試料溶液1とする。
濾紙上の残渣物に水酸化ナトリウム溶液を加え、65℃で加温しながら1時間反応させる。放冷後吸引濾過し濾液を100ml定溶して試料溶液2とする。試料溶液1と2を一定量とり、塩酸とフッ化カリウム、塩化カリウムを加え冷却する。冷却した液を塩化カリウム溶液で洗いながら吸引濾過し、濾紙上の沈殿を濾紙ごとビーカーに移して水を加える。ビーカーを加熱した後、指示薬のフェノールフタレイン液を加え、水酸化ナトリウム溶液で滴定した。
CaO、MgO、KO、NaO、Pは、硫酸−過酸化水素分解時の濾液を100ml定溶した後、100倍希釈し、メンブランフィルターで濾過し、ICP発光分光分析装置で分析した。
[燃焼資材の製造方法における条件の検討結果]
次に、前記ヨシ灰製造装置10を用いたヨシ灰(燃焼資材)の製造方法における送気条件および排気条件の検証の結果について説明する。図8〜図42は、本検証のための前述した実験の結果の一例を示す表およびグラフである。
かかる実験の結果、燃焼時間については、煙突30の何れの高さにおいても、最も燃焼時間が長くなったのは、空気導入口20の開口幅(図中では下部開口幅)が狭い0.5cmのものであった。しかし、煙突30の高が80cmの条件では、開口幅0.5cmでも着火後すぐに火が消えてしまったためか、上層が少し燃えた程度で灰化は進んでいなかった。この時の容器本体11内温度は、外気温とほぼ変わらなかった。
燃焼温度については、燃焼時間と同様に空気導入口20の開口幅が大きくなるほど、最高温度が上昇する傾向であった。空気導入口20の開口幅が狭いほど長時間の燃焼になり、ヨシが安定した高温温度で燃焼されると考えられた。空気導入口20の開口幅が広い場合、最高温度も高く、燃焼時間も短いことから温度の変動が激しく安定せず、一気に上昇した後すぐに温度が維持されずに低下した(図8の表、図9〜図25のグラフ参照)。
燃焼資材中の成分濃度について、全SiOに関しては、空気導入口20の開口面積(開口幅)の大きい処理で温度が高くなる傾向であった区では、全SiO濃度も高くなる傾向であった。本実験において、煙突30の高さ(煙突高)が80cmかつ開口幅1.5cmで製造した際、開口幅が同じ煙突高が90cm、100cmの条件の場合よりも温度が上昇したため、全SiO濃度も高くなったと考えられる(図26の表、図27のグラフ参照)。
可溶性SiO濃度については、空気導入口20の開口幅が大きいほど濃度が高くなる傾向であった。煙突高90cmの処理では、特に可溶性SiO濃度が高くなる傾向であった(図28のグラフ参照)。
O濃度とP濃度については、最高温度が高く、サンプルの灰化率の低い条件において炭素と窒素が減少し、結果的に植物体中の成分が濃縮されたためか、濃度が高くなる傾向であった(図26の表,図30,31のグラフ参照)。
C濃度について、最高温度が高く、燃焼が活発に進んだと考えられる開口幅が広い処理でC濃度が低くなる傾向であった(図35のグラフ参照)。
煙突高の条件全てにおいて、燃焼時の最高温度が高いほどC濃度が低くなる傾向であった(図36のグラフ参照)。
また、C濃度と全SiO濃度の関係をみた場合、C濃度が減少するほど全SiO濃度が増加する傾向であった(図38のグラフ参照)。この相関はPやKO濃度においても同様の傾向を示していた。高温での燃焼により原料ヨシ中の有機物が無機化し、COに変化することで灰の歩留まりが低下したと考えられる。灰の歩留まりが低く、原料からの灰化率が低いことで、全SiOやP、KOといった成分が相対的に濃度を高めたと考えられる。
しかし、可溶性SiO成分は、燃焼温度が高いほど低下する傾向であったため、燃焼温度が高く、C濃度が低い条件において、全SiOやPと同様の傾向を示さなかった(図39のグラフ参照)。このことから、可溶性SiOが確保でき、なおかつ、生育に悪影響がない、C濃度を今後明らかにする必要がある。
煙突高別の燃焼条件と可溶性SiO濃度については、濃度が高くなる傾向であった煙突高は90cmであった。80cmの区では燃焼時間が長いほど可溶性SiO濃度が上昇する傾向であったが、SiO濃度としては他の区より低かった。100cmの区は開口幅による濃度の影響が判然とせず、燃焼時間、ならびに最高温度の違いによる可溶性SiO濃度への影響も判然としなかった。90cm区で最も可溶性SiOが高かった条件は、開口幅2.0cmの場合であり、この条件は全区において最も可溶性SiOが高くなる条件であった。
以上の結果より、本実験におけるヨシ植物体を灰化したSiO成分を利用するのに最適な燃焼条件は、煙突高90cm、開口幅2.0cm〜2.5cmと考えられる(図40〜図42のグラフ参照)。
燃焼時の温度データによると、図8,図26に示すように、可溶性SiO成分は700℃を超える温度で燃焼された場合、減少する傾向が見られたため、燃焼温度が上昇しやすい煙突高100cmや、逆に温度が上がりにくく、着火後火が消えてしまうこともあった煙突高80cmよりも、90cmが適していたと考えられる。
加えて、開口幅が狭い処理では燃焼時間が長くなる傾向で、資材中の可溶性SiO成分量は、燃焼時間が短い方が増加する傾向であった。このため、酸素の流入がされやすく、燃焼が短時間で済む開口幅の広い2.0cmから2.5cmの間が適していると考えられた。3.0cmまで広げた場合、最高温度も高くなりすぎる可能性があるため、2.5cmが上限と考えられた。
[送気条件および排気条件の検証]
発明者らによる実験により、ヨシの炭化段階の最高温度は500℃以下が適していることが確かめられている。そして、ヨシ灰製造装置10の容器本体11における燻し焼き室11bの容量が略20リットルの場合、容器本体11の下部にある空気導入口20の開口面積は12〜15cmの範囲内で予め固定値に設定すると共に、煙突30の傾斜角度は20〜40°の範囲内で予め固定値に設定すれば、前記最高温度を500℃以下とすることができることが検証された。
このような空気導入口20の開口面積および煙突30の傾斜角度であれば、炭化段階で高温燃焼を生じるような過剰な空気供給がなされることなく、燻し焼きをゆっくりじっくりと継続するのに適量な空気供給がなされることにより、同時に燻し焼きされる層を薄くすることができる。従って、燻し焼き層全体の時間当たりの発熱量を低くすることができるので、炭化温度を500℃以下に低くすることができる。
空気導入口20の開口面積の閾値として、開口面積が12cm未満、すなわち空気導入口20の開口幅が2cmより小さい場合には、燃焼時間が長くなることで、資材中の可溶性SiO成分量が減少する傾向にあった。また、空気が供給されにくくなることで、炭化途中で火が消えてしまったり、炭化後の灰化が少し燃えた程度で進行しない虞があった。
逆に、空気導入口20の開口面積が15cmより大きい、すなわち空気導入口20の開口幅が2.5cmを越える場合には、空気が供給されやすくなり、過剰な空気の供給により燃焼温度が500℃より高温となる可能性が高い。そのため、灰化時の障害となるタール成分等を適度に揮発除去することができないだけでなく、ケイ酸成分が結晶化して固まり、完全燃焼の阻害要因となって未燃焼の有機質成分が残留する虞があった。
煙突30の傾斜角度の閾値として、傾斜角度が18°未満、すなわち煙突高が80cmより小さい場合には、煙突本来の機能である空気吸引力が弱まるため、燃焼温度が上がりにくく、着火後火が消えてしまう虞もあった。
逆に、煙突30の傾斜角度が40°より大きい、すなわち煙突高が100cmを越える場合には、煙突本来の機能である空気吸引力が強くなるため、燃焼温度が上昇しすぎて500℃より高温となる可能性が高くなる。
また、発明者らによる実験により、ヨシの灰化段階の最高温度は700℃以下が適していることが確かめられている。灰化段階においては、炭化段階よりも燃焼温度が高温となるが、ヨシ灰製造装置10の容器本体11における燻し焼き室11bの容量が略20リットルの場合、前述した炭化段階における空気導入口20の開口面積および煙突30の傾斜角度に、そのまま固定していれば、灰化段階の最高温度を700℃以下とすることができることが検証された。これにより、炭化段階から灰化段階に切り換わる時に、前記各条件を変更するための特別の構成や操作も一切不要となる。
さらに、好ましい条件として、空気導入口20の開口面積は、開口幅が2.0cmに相当する略13cmが最適であり、煙突30の傾斜角度は、煙突高が90cmの場合に相当する略30°が最適である。かかる条件によれば、特に灰化段階の最高温度を800℃よりも低い700℃以下に確実に抑えることができる。前述したように実験結果によると、可溶性ケイ酸成分は、700℃を超える温度で燃焼されると減少する傾向が見られたため、前記条件により灰化段階の最高温度を700℃以下とすることにより、いっそう可溶性ケイ酸を高濃度に含有する燃焼資材を効率良く製造することが可能となる。
[ヨシの収穫時期の検討]
植物原料とするヨシは野生の植物であり、気候や競合等の環境からの影響を受けやすい場所に自生しており、資材原料として経年利用するためには、人為的にヨシの生育に与える悪影響を最小限にする必要があると考えられる。ヨシは地下茎に養分を蓄えるイネ科の多年草であり、春の出芽においても地下茎からの養分を基に行われると考えられており、経年利用を考えた場合、地下茎への養分貯蓄を阻害するのは好ましくない。
そこで、発明者らは、自生しているヨシを各年ごとに異なる時期に刈り取って、ヨシにどのような影響が生じるのかを確かめる実験も繰り返し行った。その結果、ヨシの栄養生長期間での刈り取りは、翌年以降への悪影響が懸念され、また、地上部の生育が完了し、十分量の大きさ、乾物重を確保するため、ヨシは生殖生長が完了した9月中旬以降の時期の刈り取りであれば、翌年への影響を最小限にすることができ、経年的に利用することが可能であるとの検証を得た。なお、刈り取り時期に加え、年ごとの刈り取り範囲の設定や、休耕期間を設けるなど刈り取り方法もヨシの資材原料としての価値を維持するために重要だと考えられる。
[ヨシ灰の育苗資材としての施用]
さらに、発明者らは、ヨシ灰の育苗資材としての施用が、養分供給利用として有用であることを確認する実験も繰り返し行った。実験に用いたヨシ灰は、前記ヨシ灰製造方法によるものではないが、具体的な製造方法が異なる各種のヨシ灰であっても、実験の結果、育苗時の床土混和により施用量が増加するほど、苗中のSiO吸収量が増加する傾向であり、育苗時の養分供給利用に有用であるとの検証を得た。このことから、前記ヨシ灰製造方法により製造されたヨシ灰も、育苗時の養分供給利用に有用であることが推測される。
ヨシ灰の施用量について、灰である燃焼資材は容積重が培土よりも軽く、1リットルあたり25gから30gほどしかない。このため育苗床土に混和して施用した場合、施用量が多すぎると育苗箱の容積を超え、溢れ出る可能性が考えられた。このことから、床土重量の10%程度を上限と想定し施用効果を確認した。床土250gに対して、燃焼資材25g施用の区では、20g区よりも吸収量が低下する傾向であったため、育苗培土に混和し、施用する重量は床土の8%が上限であると考えられた。
このような検証結果に基づき、以下のような発明も導かれる。
前記ヨシ灰製造方法によって製造された燃焼資材の施用方法であって、
水稲育苗箱において、床土に前記燃焼資材を100:2〜8の重量割合で混和することを特徴とする燃焼資材の施用方法。
かかる発明によれば、水稲に必要十分な量のケイ酸を供給することができ、水稲の生育を促すことができる。
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、前記実施の形態では、ヨシ灰製造装置10の容器本体11における燻し焼き室11bの容量が略20リットルの場合について、空気導入口20の開口面積と煙突30の傾斜角度の具体的な固定値を示したが、これら固定値は、燻し焼き室11bの容量に応じて変わる値であり、炭化段階の開始から灰化段階の終了まで固定したまま、炭化段階の最高温度より高くなる灰化段階の最高温度が700℃以下となるような値に適宜設定される。
本発明は、未使用資源であったヨシの有効活用を図るためには、ヨシを水稲へのケイ酸供給資源と位置づけ、従来の化学的に製造されたケイ酸資材だけに依存することなく、ヨシを定期的に刈り出すことにより環境保全・維持との調和を図りながら、水稲栽培に有効利用することができる。
10…ヨシ灰製造装置
11…燻し焼き容器本体
11a…空気導入室
11b…燻し焼き室
12…天蓋
13…ロストル
20…空気導入口
21…可変シャッター
22…ガイド部
23…ボルト(固定手段)
30…煙突
31…エルボ
32…チーズ
33…直長管
34…T笠
35…煙突支柱(保持手段)

Claims (6)

  1. ヨシを主とする植物原料を燻し焼き容器本体内に充填して炭化させた後続けて灰化させる燃焼資材の製造方法であって、
    前記燻し焼き容器本体は、空気を自然送気するための空気導入口が底側に設けられ、排煙を自然排気するための煙突が天側に設けられており、
    前記燻し焼き容器本体内に充填した前記植物原料を、天側の最上層から底側の下層に向けて順次燻し焼きして灰化を防止しつつ炭化させて燻炭とする炭化段階と、
    前記炭化段階にて前記植物原料の最下層まで炭化させた後、続いて前記燻炭を最下層から上層に向けて順次灰化させて燃焼資材とする灰化段階と、を含み、
    前記炭化段階の開始から前記灰化段階の終了までの間、前記空気導入口による送気条件および前記煙突による排気条件を固定したままで、前記炭化段階の最高温度より高くなる前記灰化段階の最高温度が700℃以下となるように、前記空気導入口の開口面積および前記煙突の傾斜角度が予め設定されていることを特徴とする燃焼資材の製造方法。
  2. 前記燻し焼き容器本体の前記植物原料が充填される燻し焼き室の容量が、略20リットルの場合、
    前記空気導入口の開口面積が、12〜15cmの範囲内で予め固定値に設定されており、
    前記煙突の傾斜角度が、水平面から20〜40°の範囲内で予め固定値に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の燃焼資材の製造方法。
  3. 前記ヨシは、日本国内において各年の9月中旬以降に収穫されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の燃焼資材の製造方法。
  4. 請求項1から3の何れかに記載の製造方法に使用される燃焼資材の製造装置であって、
    内部の空間がロストルにより上部の燻し焼き室と下部の空気導入室に区画された燻し焼き容器本体と、
    前記燻し焼き容器本体の底側に設けられ、前記空気導入室に空気を自然送気するための空気導入口と、
    前記燻し焼き容器本体の天側に設けられ、前記燻し焼き室で生じる燻煙を自然排気するための煙突と、を備え、
    前記空気導入口は、その開口面積を調整可能な可変シャッターにより開閉され、
    前記煙突は、基端から先端に向かって直線状に延び、基端を回転中心として傾斜角度を調整可能な直長管を有することを特徴とする燃焼資材の製造装置。
  5. 前記可変シャッターは、前記空気導入口の傍らに設けられたガイド部により、前記空気導入口を覆う面積を調整可能な方向へスライド可能に支持され、固定手段によって所定のスライド位置に固定され、該スライド位置により前記空気導入口の開口面積が定められることを特徴とする請求項4に記載の燃焼資材の製造装置。
  6. 前記煙突の直長管は、保持手段によって所定の傾斜角度に保持され、該傾斜角度により前記煙突の先端側の高さ位置が定められることを特徴とする請求項4または5に記載の燃焼資材の製造装置。
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