JP2019001401A - 駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】後進走行時や減速回生走行時におけるエネルギー損失を低減可能な駆動装置を提供する。【解決手段】駆動源と車輪の動力伝達経路上に設けられ、駆動源側の一方向の回転動力が車輪側に入力されるときに係合状態となるとともに、駆動源側の他方向の回転動力が車輪側に入力されるときに非係合状態となり、車輪側の一方向の回転動力が駆動源側に入力されるときに非係合状態となるとともに、車輪側の他方向の回転動力が駆動源側に入力されるときに係合状態となる第1一方向クラッチOWC1と、動力伝達経路上に第1一方向クラッチOWC1と並列に設けられ、第1一方向クラッチOWC1と逆の作用をなす第2一方向クラッチOWC2と、動力伝達経路上に第1一方向クラッチOWC1と並列に、且つ第2一方向クラッチOWC2と直列に設けられる切替手段SLCと、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、車両などの輸送機関に設けられる駆動装置に関する。
特許文献1には、車両の左車輪を駆動する第1電動機と、第1電動機と左車輪との動力伝達経路上に設けられた第1遊星歯車式変速機と、を有する左車輪駆動装置と、車両の右車輪を駆動する第2電動機と、第2電動機と右車輪との動力伝達経路上に設けられた第2遊星歯車式変速機と、を有する右車輪駆動装置と、を備える車両用駆動装置が記載されている。第1及び第2遊星歯車式変速機は、サンギヤにそれぞれ第1及び第2電動機が接続され、プラネタリキャリアにそれぞれ左車輪及び右車輪が接続され、リングギヤ同士が互いに連結されている。また、連結されたリングギヤには、リングギヤを解放又は締結することによりリングギヤの回転を制動するブレーキ手段と、電動機側の一方向の回転動力が車輪側に入力されるときに係合状態となるとともに、電動機側の他方向の回転動力が車輪側に入力されるときに非係合状態となり、車輪側の一方向の回転動力が電動機側に入力されるときに非係合状態となるとともに、車輪側の他方向の回転動力が電動機側に入力されるときに係合状態となる一方向クラッチと、が設けられている。
特開2010−235051号公報
しかしながら、特許文献1に記載の駆動装置では、第1及び第2電動機の逆力行駆動による後進走行や、第1及び第2電動機を回生駆動させる減速回生走行(前進)に際し、リングギヤの回転を制動するためにブレーキ手段(油圧ブレーキ)を締結状態に維持する必要があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、後進走行時や減速回生走行時におけるエネルギー損失を低減可能な駆動装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
駆動源(例えば、後述の実施形態の第1電動機2A、第2電動機2B)と、
該駆動源によって駆動される車輪(例えば、後述の実施形態の後輪Wr)と、を備える駆動装置(例えば、後述の実施形態の後輪駆動装置1)であって、
該駆動装置は、
前記駆動源と前記車輪との動力伝達経路上に設けられ、駆動源側の一方向の回転動力が車輪側に入力されるときに係合状態となるとともに、駆動源側の他方向の回転動力が車輪側に入力されるときに非係合状態となり、車輪側の一方向の回転動力が駆動源側に入力されるときに非係合状態となるとともに、車輪側の他方向の回転動力が駆動源側に入力されるときに係合状態となる第1一方向動力伝達手段(例えば、後述の実施形態の第1一方向クラッチOWC1)と、
前記動力伝達経路上に前記第1一方向動力伝達手段と並列に設けられ、駆動源側の一方向の回転動力が車輪側に入力されるときに非係合状態となるとともに、駆動源側の他方向の回転動力が車輪側に入力されるときに係合状態となり、車輪側の一方向の回転動力が駆動源側に入力されるときに係合状態となるとともに、車輪側の他方向の回転動力が駆動源側に入力されるときに非係合状態となる第2一方向動力伝達手段(例えば、後述の実施形態の第2一方向クラッチOWC2)と、
前記動力伝達経路上に前記第1一方向動力伝達手段と並列に、且つ前記第2一方向動力伝達手段と直列に設けられ、第1状態と第2状態とを切り替えることにより前記第2一方向動力伝達手段を有効状態又は無効状態にする切替手段(例えば、後述の実施形態の切替手段SLC)と、を備え、
前記駆動源は、車両(例えば、後述の実施形態の車両V)の左車輪(例えば、後述の実施形態の左後輪LWr)を駆動する左電動機(例えば、後述の実施形態の第1電動機2A)と、前記車両の右車輪(例えば、後述の実施形態の右後輪RWr)を駆動する右電動機(例えば、後述の実施形態の第2電動機2B)と、を備え、
前記左電動機と前記左車輪との動力伝達経路上には、左変速機(例えば、後述の実施形態の第1遊星歯車式減速機12A)が設けられ、
前記右電動機と前記右車輪との動力伝達経路上には、右変速機(例えば、後述の実施形態の第2遊星歯車式減速機12B)が設けられ、
前記左変速機及び前記右変速機は、それぞれサン回転体(例えば、後述の実施形態のサンギヤ21A、21B)と、リング回転体(例えば、後述の実施形態のリングギヤ24A、24B)と、該サン回転体及び該リング回転体と噛み合うプラネタリ回転体(例えば、後述の実施形態のプラネタリギヤ22A、22B)と、該プラネタリ回転体を自転可能且つ公転可能に支持するキャリア回転体(例えば、後述の実施形態のプラネタリキャリア23A、23B)と、を有し、
前記左変速機の前記サン回転体に前記左電動機が接続され、
前記右変速機の前記サン回転体に前記右電動機が接続され、
前記左変速機の前記キャリア回転体に前記左車輪が接続され、
前記右変速機の前記キャリア回転体に前記右車輪が接続され、
前記左変速機の前記リング回転体と前記右変速機の前記リング回転体とが互いに連結され、
前記第1一方向動力伝達手段、前記第2一方向動力伝達手段、及び前記切替手段は、互いに連結された前記リング回転体に配置され、
前記左変速機の前記リング回転体は、径方向内側に延びる内向フランジ部(例えば、後述の実施形態の内向フランジ部37A)が前記左変速機の前記キャリア回転体に支持され、
前記右変速機の前記リング回転体は、径方向内側に延びる内向フランジ部(例えば、後述の実施形態の内向フランジ部37B)が前記右変速機の前記キャリア回転体に支持され、
前記左変速機の前記リング回転体と前記右変速機の前記リング回転体とが直接的又は間接的に当接する当接位置は、前記左変速機の前記リング回転体と前記左変速機の前記プラネタリ回転体との噛合位置、及び前記右変速機の前記リング回転体と前記右変速機の前記プラネタリ回転体との噛合位置と略同径位置に位置する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の駆動装置であって、
前記左変速機の前記リング回転体と前記左変速機の前記プラネタリ回転体との噛合部は、駆動源側の一方向の回転動力が車輪側に入力されるときに、前記左変速機の前記リング回転体に軸線方向で前記右変速機に近づく向きに力が働くように形成され、
前記右変速機の前記リング回転体と前記右変速機の前記プラネタリ回転体との噛合部は、駆動源側の一方向の回転動力が車輪側に入力されるときに、前記右変速機の前記リング回転体に軸線方向で前記左変速機に近づく向きに力が働くように形成される。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の駆動装置であって、
前記駆動源側の一方向の回転動力は、前記車両を前進させる際の回転動力である。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の駆動装置であって、
前記左電動機と前記左変速機は車幅方向左外側からこの順序で配置され、
前記右電動機と前記右変速機は車幅方向右外側からこの順序で配置され、
前記第1一方向動力伝達手段、前記第2一方向動力伝達手段、及び前記切替手段は、車幅方向において前記左変速機と前記右変速機のいずれか一方側、且つ径方向外側に配置されている。
請求項1に記載の発明によれば、駆動源側の他方向の回転動力を機械的に被駆動部側に伝達可能な第2一方向動力伝達手段を備えるので、従来、駆動源側の他方向の回転動力を被駆動部側に伝達する際(例えば、後進走行時)に必要であったブレーキ手段の締結エネルギーを削減できる。また、第2一方向動力伝達手段は、被駆動部側の一方向の回転動力を機械的に駆動源側に伝達可能なので、従来、被駆動部側の一方向の回転動力を駆動源側に伝達する際(例えば、減速回生走行時)に必要であったブレーキ手段の締結エネルギーを削減できる。また、第2一方向動力伝達手段が設けられる動力伝達経路には、第2一方向動力伝達手段を有効状態又は無効状態にする切替手段が直列に設けられているので、被駆動部側の一方向の回転動力を駆動源側に伝達させたくない状況(例えば、前進高車速走行時)において、第2一方向動力伝達手段による機械的な動力伝達を遮断できる。
また、左変速機のリング回転体と右変速機のリング回転体とが直接的又は間接的に当接する当接位置が、左変速機のリング回転体と左変速機のプラネタリ回転体との噛合位置、及び右変速機のリング回転体と右変速機のプラネタリ回転体との噛合位置と略同径位置に位置するので、左変速機及び右変速機のそれぞれにおいてリング回転体とプラネタリ回転体との噛合いによって発生する力によって内向フランジ部に曲げモーメントが発生するのを抑制できる。これにより、内向フランジ部を軽量化することができる。
また、各回転体をギヤで構成した場合、曲げモーメントによって噛合部が傾斜するのを防ぐことができるので、大トルク時にも良好な歯当たりが得られ振動特性が向上する。
請求項2に記載の発明によれば、左変速機及び右変速機においてリング回転体とプラネタリ回転体との噛合部は、駆動源側の一方向の回転動力が車輪側に入力されるときに、左変速機及び右変速機同士が互いに近づく向きに力が働くように形成されるのでリング回転体とプラネタリ回転体との噛合い時に発生する力を打ち消すことができる。
請求項3に記載の発明によれば、一般的に車両が前進する際の駆動トルクは回生する際の回生トルクより大きいので、車両の前進時にリング回転体に発生する曲げモーメントがなくなると、リング回転体を軽量化することができる。
請求項4に記載の発明によれば、第1一方向動力伝達手段、第2一方向動力伝達手段、及び切替手段は、車幅方向において第1変速機と第2変速機のいずれか一方側、且つ径方向外側に配置されているので、第1一方向動力伝達手段、第2一方向動力伝達手段及び切替手段の配置による車幅方向の大型化を抑制できる。
本発明に係る駆動装置を搭載可能な車両の一実施形態であるハイブリッド車両の概略構成を示すブロック図である。 後輪駆動装置の一実施形態のスケルトン図である。 図2の後輪駆動装置の縦断面図である。 図3に示す後輪駆動装置の部分拡大図である。 二方向クラッチを構成する第2一方向クラッチの係合状態を示す作用説明図である。 二方向クラッチを構成する第1一方向クラッチの係合状態を示す作用説明図である。 第2一方向クラッチの係合規制状態を示す作用説明図である。 各車両状態における前輪駆動装置(FDS)、後輪駆動装置(RDS)、第1及び第2電動機(リアモータ)、二方向クラッチ(OWC1、SLC、OWC2)の作動状態を記載した表である。 車両が停車中の後輪駆動装置の速度共線図である。 後輪駆動時の後輪駆動装置の速度共線図である。 前輪駆動時(前進低・中車速時)の後輪駆動装置の速度共線図である。 前輪駆動時(前進高車速時)の後輪駆動装置の速度共線図である。 減速回生走行時の後輪駆動装置の速度共線図である。 後進走行時の後輪駆動装置の速度共線図である。 プラネタリギヤの第1ピニオンと第2ピニオンの噛合歯の捩れ方向を説明する模式図である。 後輪駆動装置の参考例のスケルトン図である。 図13の後輪駆動装置の縦断面図である。 図14に示す後輪駆動装置の部分拡大図である。 図2〜4の実施形態に係る後輪駆動装置において、車両の前進時且つ第1及び第2電動機の力行駆動時の曲げモーメントを説明する図である。 図13〜15の参考例に係る後輪駆動装置において、車両の前進時且つ第1及び第2電動機の力行駆動時の曲げモーメントを説明する図である。 図2〜4の実施形態に係る後輪駆動装置において、車両の前進時且つ第1及び第2電動機の回生駆動時の曲げモーメントを説明する図である。 図13〜15の参考例に係る後輪駆動装置において、車両の前進時且つ第1及び第2電動機の回生駆動時の曲げモーメントを説明する図である。 図2〜4の実施形態に係る後輪駆動装置において、車両の前進時且つ第1及び第2電動機の旋回制御時の曲げモーメントを説明する図である。 図13〜15の参考例に係る後輪駆動装置において、車両の前進時且つ第1及び第2電動機の旋回制御時の曲げモーメントを説明する図である。
先ず、本発明に係る駆動装置の一実施形態を図1〜図14に基づいて説明する。
本実施形態の駆動装置は、電動機を車軸駆動用の駆動源とするものであり、例えば、図1に示すような駆動システムの車両に用いられる。
[車両]
図1に示す車両Vは、図示しない内燃機関と電動機とが直列に接続された駆動装置FDS(以下、前輪駆動装置と呼ぶ。)を車両前部に有するハイブリッド車両であり、この前輪駆動装置FDSの動力が前輪Wfに伝達される一方で、この前輪駆動装置FDSと別に車両後部に設けられた駆動装置RDS(以下、後輪駆動装置1と呼ぶ。)の動力が後輪Wr(RWr、LWr)に伝達されるようになっている。前輪駆動装置FDSの電動機と後輪駆動装置1の第1及び第2電動機2A、2B(図2及び図3参照)は、バッテリBATに接続され、バッテリBATからの電力供給と、バッテリBATへのエネルギー回生が可能となっている。なお、図1の符号CTRは、車両全体の各種制御をするための制御装置である。
[後輪駆動装置]
図2及び図3は、後輪駆動装置1の内部構成を示しており、同図において、10A、10Bは、車両Vの後輪Wr側の左右の車軸であり、車幅方向に同軸上に配置されている。後輪駆動装置1のケース11は全体が略円筒状に形成され、その内部には、車軸駆動用の第1及び第2電動機2A、2Bと、この第1及び第2電動機2A、2Bの駆動回転を減速する第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bとが、車軸10A、10Bと同軸上に配置されている。この第1電動機2A及び第1遊星歯車式減速機12Aは左後輪LWrを駆動する左車輪駆動装置として機能し、第2電動機2B及び第2遊星歯車式減速機12Bは右後輪RWrを駆動する右車輪駆動装置として機能し、第1電動機2A及び第1遊星歯車式減速機12Aと第2電動機2B及び第2遊星歯車式減速機12Bとは、ケース11内で車幅方向に左右対称に配置されている。なお、ケース11は、ケース11の車幅方向中央部を構成する中央ケース11Mと、ケース11の左右側方部を構成する側方ケース11A、11Bと、を備えている。
第1及び第2電動機2A、2Bは、ステータ14A、14Bがそれぞれ側方ケース11A、11Bに固定され、このステータ14A、14Bの内周側に環状のロータ15A、15Bが回転可能に配置されている。ロータ15A、15Bの内周部には車軸10A、10Bの外周を囲繞する円筒状の電動機出力軸16A、16Bが結合され、この電動機出力軸16A、16Bが車軸10A、10Bと同軸上に相対回転可能となるように側方ケース11A、11Bの端部壁17A、17Bと隔壁18A、18Bとに軸受19A、19Bを介して支持されている。また、電動機出力軸16A、16Bの一端側の外周であって端部壁17A、17Bには、ロータ15A、15Bの回転位置情報を第1及び第2電動機2A、2Bの制御装置CTRにフィードバックするためのレゾルバ20A、20Bが設けられている。ステータ14A、14B、及びロータ15A、15Bを含む第1及び第2電動機2A、2Bは、同一半径を有し、第1及び第2電動機2A、2Bは互いに鏡面対称に配置される。また、車軸10A及び電動機出力軸16Aは、第1電動機2A内を貫通して、第1電動機2Aの両端部から延出しており、車軸10B及び電動機出力軸16Bも、第2電動機2B内を貫通して、第2電動機2Bの両端部から延出している。
[遊星歯車式減速機]
また、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bは、サンギヤ21A、21Bと、リングギヤ24A、24Bと、これらサンギヤ21A、21Bとリングギヤ24A、24Bとに噛合する複数のプラネタリギヤ22A、22Bと、これらのプラネタリギヤ22A、22Bを自転可能且つ公転可能に支持するプラネタリキャリア23A、23Bと、を備え、サンギヤ21A、21Bから第1及び第2電動機2A、2Bの駆動力が入力され、減速された駆動回転がプラネタリキャリア23A、23Bを通して車軸10A、10Bに出力されるようになっている。
サンギヤ21A、21Bは電動機出力軸16A、16Bに一体に形成されている。また、プラネタリギヤ22A、22Bは、サンギヤ21A、21Bに直接噛合される大径の第1ピニオン26A、26Bと、この第1ピニオン26A、26Bよりも小径の第2ピニオン27A、27Bを有する2連ピニオンであり、これらの第1ピニオン26A、26Bと第2ピニオン27A、27Bが同軸に且つ軸方向にオフセットした状態で一体に形成されている。このプラネタリギヤ22A、22Bは、図4に示すように、ニードルベアリング31A、31Bを介してプラネタリキャリア23A、23Bのピニオンシャフト32A、32Bに支持され、プラネタリキャリア23A、23Bは、軸方向内側端部が径方向内側に伸びて車軸10A、10Bにスプライン嵌合され一体回転可能に支持されるとともに、軸受33A、33Bを介して隔壁18A、18Bに支持されている。
リングギヤ24A、24Bは、その内周面が小径の第2ピニオン27A、27Bに噛合されるギヤ部28A、28Bと、ギヤ部28A、28Bから車幅方向内側に延設されケース11の中間位置で互いに対向配置される連結部34A、34Bと、連結部34A、34Bの外周面に形成されたスプライン36A、36Bと、連結部34A、34Bの内側端部から径方向内側に延びる内向フランジ部37A、37Bと、を備える。
内向フランジ部37A、37Bには、外径側端部が連結部34A、34Bに連結される円板状のフランジ本体38A、38Bと、フランジ本体38A、38Bの内径側端部近傍に互いに離間する方向に延びる支持部39A、39Bとが設けられている。内向フランジ部37A、37Bは、支持部39A、39Bがプラネタリキャリア23A、23Bに凹設された円筒状空間部40A、40Bにラジアル軸受41A、41Bを介して回転自在に支持されるとともに、フランジ本体38A、38Bがプラネタリキャリア23A、23Bにスラスト軸受42A、42Bを介して回転自在に支持されている。
連結部34A、34Bのスプライン36A、36Bは、それぞれ円筒状の連結部材35の内周面とスプライン嵌合している。これにより、リングギヤ24A、24Bは、一体回転するように互いに連結される。また、連結部34A、34B同士は、連結部材35の内周面に保持されたサークリップ43を介して対向配置され、リングギヤ24A、24Bに互いに近づく向きに力が働くときにサークリップ43を介して押し合うように構成されている。即ち、リングギヤ24A、24B同士の当接位置が、第1遊星歯車式減速機12Aのリングギヤ24Aとプラネタリギヤ22Aの第2ピニオン27Aとの噛合位置、及び第2遊星歯車式減速機12Bのリングギヤ24Bとプラネタリギヤ22Bの第2ピニオン27Bとの噛合位置と略同径位置に位置している。なお、略同径位置とは、径方向位置が完全に一致する場合に限らず、本願発明のようにギヤ部28A、28B及び連結部34A、34Bを構成する円筒状部材の内周面に設けられた噛み合い要素(本実施形態ではギヤ歯)と外周面に設けられた噛み合い要素(スプライン歯)の噛み合い位置の違いを含む概念である。
リングギヤ24Bの径方向外側且つ上方には中央ケース11Mから左右分割壁45が径方向内側に延びており、左右分割壁45の内径側端部に円筒壁46が第2電動機2B側に延びるように形成される。径方向で対向するリングギヤ24Bと円筒壁46間には空間部が確保され、その空間部内に二方向クラッチ50が配置されている。リングギヤ24Bは、その外周面に形成されたスプライン25が二方向クラッチ50の回転プレート51の内周部とスプライン嵌合している。また、円筒壁46の内周部は、二方向クラッチ50の第1固定プレート52の外周部とスプライン嵌合している。これにより、二方向クラッチ50の第1固定プレート52は、中央ケース11Mにより位置決めされるとともに、回り止めされている。
ここで、プラネタリギヤ22A、22Bの噛み合いについて説明する。
プラネタリギヤ22A、22Bは、図12に示すように、それぞれサンギヤ21A、21Bに噛合される大径の第1ピニオン26A、26Bと、小径の第2ピニオン27A、27Bとの噛合歯の捩れ方向が同一方向になっており、これにより捩れに起因して大径の第1ピニオン26A、26B及び小径の第2ピニオン27A、27Bに発生するスラスト力が互いに反対向きとなる。
また、サンギヤ21A、21Bに噛合される大径の第1ピニオン26A、26Bのねじれ角θ1が、リングギヤ24A、24Bのギヤ部28A、28Bと噛合される小径の第2ピニオン27A、27Bのねじれ角θ2より大きくなるように設定されており、それにより、プラネタリギヤ22A、22Bで発生するスラスト力が大径の第1ピニオン26A、26Bよりも小径の第2ピニオン27A、27Bで大きくなっている。
なお、第1遊星歯車式減速機12Aのプラネタリギヤ22Aと、第2遊星歯車式減速機12Bのプラネタリギヤ22Bとは、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bの回転軸線を含む直線と鉛直であり、且つ、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12B間に位置する中間面Mに対して鏡対称の関係にあり、噛合歯のねじれ角θ1、θ2についても同様に鏡対称の関係にある。そのため、プラネタリギヤ22Aとプラネタリギヤ22Bとでは、第1及び第2電動機2A、2Bからの入力トルクが等しい場合には、第2ピニオン27A、27Bの噛合部で発生するスラスト力が、中間面Mに対して鏡対称の関係となり、リングギヤ24A、24Bに作用するスラスト力も中間面Mに対して鏡対称の関係となる。なお、後述する図16A〜図18Bに記載の矢印は、リングギヤ24A、24Bに作用するスラスト力を示している。
[二方向クラッチ]
図4及び図5A〜図5Cに示すように、二方向クラッチ50は、回転プレート51、第1固定プレート52、第2固定プレート53、及びセレクタプレート54を備えて構成されている。回転プレート51は、環状のプレート部材であり、その内周部は、リングギヤ24Bのスプライン25とスプライン嵌合するスプライン51aが形成されている。また、回転プレート51は、軸方向の一方側に第1固定プレート52と対向する第1対向面51bを有し、軸方向の他方側に第2固定プレート53と対向する第2対向面51cを有している。第2対向面51cには、スプリング55aによって第2固定プレート53側に付勢される出没自在な第2係合片55が周方向に所定の間隔をあけて複数配置される一方で、第1対向面51bには、後述する第1係合片56の係合相手となる溝形状の第1係合凹部51dが周方向に所定の間隔をあけて複数形成されている。
第1固定プレート52は、環状のプレート部52aと、プレート部52aの外周部から軸方向に延在する円筒部52bとを一体に有しており、円筒部52bの外周部には、中央ケース11Mの円筒壁46の内周部とスプライン嵌合するスプライン52cが形成されている。また、円筒部52bの内周部は、回転プレート51の外周部を回転可能に支持するとともに、第2固定プレート53の外周部と回転不能にスプライン嵌合する。また、プレート部52aの回転プレート51の第1対向面51bと対向する面には、スプリング56aによって回転プレート51側に付勢される出没自在な第1係合片56が周方向に所定の間隔をあけて複数配置されている。これにより、第1固定プレート52と回転プレート51との間には、回転プレート51が一方向(図5Bの白抜き矢印の方向)に回転するとき、第1係合片56が回転プレート51の第1係合凹部51dと非係合となる非係合状態(OFF:図5B参照)となり、回転プレート51が他方向(図5Aの黒塗り矢印の方向)に回転するとき、第1係合片56が回転プレート51の第1係合凹部51dと係合する係合状態(ON:図5A参照)となる第2一方向クラッチOWC2が構成されている。
第2一方向クラッチOWC2のみに着目すると、第2一方向クラッチOWC2が非係合状態のとき、回転プレート51とともに該回転プレート51に結合するリングギヤ24Bの一方向(図5Bの白抜き矢印の方向)への自由な回転が許容される。リングギヤ24Bの一方向(図5Bの白抜き矢印の方向)への自由な回転が許容される場合、連結部材35を介して連結されるリングギヤ24Aの一方向(図5Bの白抜き矢印の方向)への自由な回転も許容され、これにより第1及び第2電動機2A、2Bと後輪Wrとの間の動力伝達経路が遮断される。一方、第2一方向クラッチOWC2が係合状態のとき、回転プレート51とともに該回転プレート51に結合するリングギヤ24Bの他方向(図5Aの黒塗り矢印の方向)への回転が規制される。リングギヤ24Bの他方向(図5Aの黒塗り矢印の方向)への回転が規制される場合、連結部材35を介して連結されるリングギヤ24Aの他方向(図5Aの黒塗り矢印の方向)への回転も規制され、これにより第1及び第2電動機2A、2Bと後輪Wrとの間の動力伝達経路が接続される。
より具体的に説明すると、第2一方向クラッチOWC2は、第1及び第2電動機2A、2Bと後輪Wrとの間の動力伝達経路上に設けられ、第1及び第2電動機2A、2B側の順方向(車両Vを前進させる際の回転方向)の回転動力が後輪Wr側に入力されるときに非係合状態となるとともに第1及び第2電動機2A、2B側の逆方向の回転動力が後輪Wr側に入力されるときに係合状態となり、後輪Wr側の順方向の回転動力が第1及び第2電動機2A、2B側に入力されるときに係合状態となるとともに後輪Wr側の逆方向の回転動力が第1及び第2電動機2A、2B側に入力されるときに非係合状態となる。
第2固定プレート53は、環状のプレート部材であり、その外周部は、第1固定プレート52とスプライン嵌合する。また、第2固定プレート53の回転プレート51の第2対向面51cと対向する面には、第2係合片55の係合相手となる溝形状の第2係合凹部53bが周方向に所定の間隔をあけて複数形成されている。これにより、回転プレート51と第2固定プレート53との間には、回転プレート51が一方向(図5Bの白抜き矢印の方向)に回転するとき、第2係合片55が第2固定プレート53の第2係合凹部53bと係合する係合状態(ON:図5B参照)となり、回転プレート51が他方向(図5A、図5Cの黒塗り矢印の方向)に回転するとき、第2係合片55が第2固定プレート53の第2係合凹部53bと非係合となる非係合状態(OFF:図5A、図5C参照)となる第1一方向クラッチOWC1が構成されている。
第1一方向クラッチOWC1のみに着目すると、第1一方向クラッチOWC1が係合状態のとき、回転プレート51とともに該回転プレート51に結合するリングギヤ24Bの一方向(図5Bの白抜き矢印の方向)への回転が規制される。リングギヤ24Bの一方向(図5Bの白抜き矢印の方向)への回転が規制される場合、連結部材35を介して連結されるリングギヤ24Aの一方向(図5Bの白抜き矢印の方向)への回転も規制され、これにより第1及び第2電動機2A、2Bと後輪Wrとの間の動力伝達経路が接続される。一方、第1一方向クラッチOWC1が非係合状態のとき、回転プレート51とともに該回転プレート51に結合するリングギヤ24Bの他方向(図5Aの黒塗り矢印の方向)への自由な回転が許容される。リングギヤ24Bの他方向(図5Aの黒塗り矢印の方向)への自由な回転が許容される場合、連結部材35を介して連結されるリングギヤ24Aの他方向(図5Aの黒塗り矢印の方向)への自由な回転も許容され、これにより第1及び第2電動機2A、2Bと後輪Wrとの間の動力伝達経路が遮断される。
より具体的に説明すると、第1一方向クラッチOWC1は、第1及び第2電動機2A、2Bと後輪Wrとの間の動力伝達経路上に第2一方向クラッチOWC2と並列に設けられ、第1及び第2電動機2A、2B側の順方向の回転動力が後輪Wr側に入力されるときに係合状態となるとともに第1及び第2電動機2A、2B側の逆方向の回転動力が後輪Wr側に入力されるときに非係合状態となり、後輪Wr側の順方向の回転動力が第1及び第2電動機2A、2B側に入力されるときに非係合状態となるとともに後輪Wr側の逆方向の回転動力が第1及び第2電動機2A、2B側に入力されるときに係合状態となる。
セレクタプレート54は、環状の薄肉プレート部材であり、第1固定プレート52と回転プレート51の第1対向面51bとの間に配置されている。セレクタプレート54には、第1係合片56の出没を許容する窓部54aが周方向に所定の間隔をあけて複数形成されている。セレクタプレート54は、第1固定プレート52の円筒部52b内において周方向に変位(回転)可能に支持されており、窓部54aを第1係合片56の位置に一致させて、第1係合片56の第1係合凹部51dへの係合を許容する非作動状態(OPEN:図5A、図5B参照)と、窓部54aを第1係合片56の位置に一致させずに、第1係合片56の第1係合凹部51dへの係合を規制する作動状態(CLOSE:図5C参照)とに切り替え可能な切替手段SLCを構成している。
上記したように、本来、回転プレート51が他方向(図5Aの黒塗り矢印の方向)に回転するとき、第2一方向クラッチOWC2によって第1係合片56が回転プレート51の第1係合凹部51dと係合状態(ON:図5A参照)となるが、切替手段SLCが作動状態(CLOSE:図5C参照)にあるとき、回転プレート51が他方向(図5A、図5Cの黒塗り矢印の方向)に回転しても、第1係合片56の第1係合凹部51dへの係合が規制される。このようにセレクタプレート54は、非作動状態と作動状態とを切り替えることにより第2一方向クラッチOWC2を有効状態又は無効状態にする。
セレクタプレート54が非作動状態のとき、即ち、第2一方向クラッチOWC2が有効状態にあるとき、上記したように、回転プレート51の回転方向に応じて第2一方向クラッチOWC2が非係合状態又は係合状態となる。
セレクタプレート54が作動状態のとき、即ち、第2一方向クラッチOWC2を無効状態にあるとき、回転プレート51が他方向(図5A、図5Cの黒塗り矢印の方向)に回転しても、第1一方向クラッチOWC1に加えて第2一方向クラッチOWC2も非係合状態となり、回転プレート51とともに該回転プレート51に結合するリングギヤ24Bの他方向(図5Aの黒塗り矢印の方向)への自由な回転が許容される。リングギヤ24Bの他方向(図5Aの黒塗り矢印の方向)への自由な回転が許容される場合、連結部材35を介して連結されるリングギヤ24Aの他方向(図5Aの黒塗り矢印の方向)への自由な回転も許容され、これにより第1及び第2電動機2A、2Bと後輪Wrとの間の動力伝達経路が遮断される。
言い換えると、セレクタプレート54は、作動時に第1係合片56の第1係合凹部51dへの係合を規制して第1及び第2電動機2A、2Bと後輪Wrとの間の動力伝達経路を遮断状態とし(図5C参照)、非作動時に第1係合片56の第1係合凹部51dへの係合を許容して第1及び第2電動機2A、2Bと後輪Wrとの間の動力伝達経路を接続許容状態とする断接手段を構成している(図5A、図5B参照)。
より具体的に説明すると、セレクタプレート54は、第1及び第2電動機2A、2Bと後輪Wrとの間の動力伝達経路上に第1一方向クラッチOWC1と並列に、且つ第2一方向クラッチOWC2と直列に設けられ、後輪駆動装置1に設けられるアクチュエータ58によって非作動状態と作動状態とに切り替えられる。アクチュエータ58としては、電動アクチュエータや油圧アクチュエータが用いられ、連結アーム59(図4参照)を介してセレクタプレート54の切り替えが行われるとともに、セレクタプレート54が各状態に保持されるが、セレクタプレート54を各状態に保持するエネルギーは、油圧クラッチを締結状態に維持するエネルギーに比べて極めて小さい。
[後輪駆動装置内の配置構成]
図3に示すように、後輪駆動装置1内においては、第1電動機2Aと第1遊星歯車式減速機12Aが車幅方向左外側からこの順序で配置され、第2電動機2Bと第2遊星歯車式減速機12Bが車幅方向右外側からこの順序で配置されている。また、第1一方向クラッチOWC1、第2一方向クラッチOWC2、及び切替手段SLCを構成する二方向クラッチ50は、第2遊星歯車式減速機12Bのリングギヤ24Bの径方向外側に配置されている。二方向クラッチ50の少なくとも一部は、第2遊星歯車式減速機12Bの最外径部R1よりも内側に配置される。
また、セレクタプレート54を切り替えるアクチュエータ58は、第1遊星歯車式減速機12Aのリングギヤ24Aの外径側且つ上方に配置されている。アクチュエータ58は、少なくとも一部が第1遊星歯車式減速機12Aの最外径部R1よりも内側に配置される。
[制御装置]
図1に示す制御装置CTRは、車両全体の各種制御をするための制御装置であり、制御装置CTRには車輪速センサ値、第1及び第2電動機2A、2Bのモータ回転数センサ値、操舵角、アクセルペダル開度、シフトポジション、バッテリBATにおける充電状態、油温などが入力される一方、制御装置CTRからは、内燃機関を制御する信号、第1及び第2電動機2A、2Bを制御する信号、アクチュエータ58を制御する制御信号などが出力される。
[走行態様]
図6は、各車両状態における前輪駆動装置(FDS)、後輪駆動装置(RDS)、第1及び第2電動機2A(リアモータ)、二方向クラッチ(OWC1、SLC、OWC2)の関係を記載した表である。図中、コーストは従動状態を表わす。また、図7〜図11は後輪駆動装置1の各状態における速度共線図を表わし、LMOTは第1電動機2A、RMOTは第2電動機2B、左側のS、Cはそれぞれ第1電動機2Aに連結された第1遊星歯車式減速機12Aのサンギヤ21A、第1遊星歯車式減速機12Aのプラネタリキャリア23A、右側のS、Cはそれぞれ第2遊星歯車式減速機12Bのサンギヤ21B、第2遊星歯車式減速機12Bのプラネタリキャリア23B、Rは第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bのリングギヤ24A、24Bを表わす。
速度共線図は、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bにおける各回転要素の間の回転数の関係を示す図であって、共線図において、基準性(横線)から黒丸までの距離が各回転要素の回転数を表す。なお、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bは、それらの回転数がそれぞれ速度共線図(共線図とも称す)において常時単一の直線上に並ぶ共線関係を満たす。以下の説明において第1及び第2電動機2A、2Bによる車両前進時のサンギヤ21A、21Bの回転方向を順方向とする。また、図中、停車中の状態から上方が順方向の回転、下方が逆方向の回転であり、矢印は、上向きが順方向のトルクを表し、下向きが逆方向のトルクを表す。
停車中は、前輪駆動装置FDSも後輪駆動装置1も駆動していない。従って、図7に示すように、後輪駆動装置1の第1及び第2電動機2A、2Bは停止しており、車軸10A、10Bも停止しているため、いずれの要素にもトルクは作用していない。このとき、切替手段SLCは非作動状態(OPEN)である。また、第1及び第2一方向クラッチOWC1、OWC2は、第1及び第2電動機2A、2Bが非駆動のため係合していない(OFF)。
そして、スタータスイッチ又はキーポジションをONにした後、EV発進、EVクルーズなどモータ効率のよい前進低車速時は、後輪駆動装置1による後輪駆動となる。図8に示すように、切替手段SLCを非作動状態(OPEN)としたまま第1及び第2電動機2A、2Bが順方向に回転するように第1及び第2電動機2A、2Bを力行駆動すると、力点であるサンギヤ21A、21Bには順方向のトルクが付加され、後輪Wrに接続されたプラネタリキャリア23A、23Bを支点として、作用点であるリングギヤ24A、24Bには逆方向のトルクが作用する。これによってリングギヤ24A、24Bに結合された回転プレート51にも逆方向のトルクが作用し、回転プレート51が一方向(図5Bの白抜き矢印の方向)に回転する(図5B参照)。このとき、第2一方向クラッチOWC2が非係合状態となるが、第1一方向クラッチOWC1が係合しリングギヤ24A、24Bがロックされる。これによりプラネタリキャリア23A、23Bは順方向に回転し車両Vは前進走行する。なお、プラネタリキャリア23A、23Bには車軸10A、10Bからの走行抵抗が逆方向に作用し、リングギヤ24A、24Bには第1一方向クラッチOWC1による反力が順方向に作用している。
このように車両Vの発進時には、切替手段SLCを非作動状態(OPEN)としたまま第1及び第2電動機2A、2Bから順方向の力行トルクが発生するように第1及び第2電動機2A、2Bを力行駆動することで、第1一方向クラッチOWC1が機械的に係合して第1及び第2電動機2A、2B側と後輪Wr側とが接続状態となり、第1及び第2電動機2A、2Bの力行トルクが後輪Wrに伝達される。
前進低車速走行から車速があがりエンジン効率のよい前進中車速走行に至ると、後輪駆動装置1による後輪駆動から前輪駆動装置FDSによる前輪駆動となる。図9Aに示すように、切替手段SLCを非作動状態(OPEN)としたまま第1及び第2電動機2A、2Bの力行駆動が停止すると、プラネタリキャリア23A、23Bには車軸10A、10Bから前進走行しようとする順方向のトルクが作用する。即ち、力点であるプラネタリキャリア23A、23Bには順方向のトルクが付加され、第1及び第2電動機2A、2Bに接続されたサンギヤ21A、21Bを支点として、作用点であるリングギヤ24A、24Bには順方向のトルクが作用する。これによってリングギヤ24A、24Bに結合された回転プレート51にも順方向のトルクが作用し、回転プレート51が他方向(図5Aの黒塗り矢印の方向)に回転する(図5A)。このとき、第1一方向クラッチOWC1が非係合状態となるが、第2一方向クラッチOWC2が係合状態となるので、リングギヤ24A、24Bがロックされる。なお、サンギヤ21A、21Bには第1及び第2電動機2A、2Bのフリクションが逆方向に作用し、リングギヤ24A、24Bには第2一方向クラッチOWC2による反力が逆方向に作用している。このように第1及び第2電動機2A、2Bを駆動しない前輪駆動時に第2一方向クラッチOWC2が係合することで第1及び第2電動機2A、2B側と後輪Wr側とが接続状態となり、前進中車速走行から後述する減速回生走行に移行する際の第1及び第2電動機2A、2Bの回転合わせが不要となる。
また、図9Bに示すように、前進高車速時には、前進中車速走行時と同様に前輪駆動装置FDSによる前輪駆動となるが、第2一方向クラッチOWC2が係合状態である場合、第1及び第2電動機2A、2Bが連れ回りにより過回転となる虞があるため、車速が所定車速に至ると、切替手段SLCを作動状態(CLOSE)にして第2一方向クラッチOWC2を無効状態とする。これにより、第1一方向クラッチOWC1及び第2一方向クラッチOWC2のいずれもが非係合状態となり、回転プレート51の他方向(図5Cの黒塗り矢印の方向)への回転が許容され(図5C)、これに伴ってリングギヤ24A、24Bが順方向に回転する。したがって、第1及び第2電動機2A、2B側と後輪Wr側とが遮断状態となり、第1及び第2電動機2A、2Bの連れ回りが防止される。なお、サンギヤ21A、21Bには第1及び第2電動機2A、2Bのフリクションが逆方向に作用し、リングギヤ24A、24Bには回転プレート51のフリクションが逆方向に作用している。
前進走行時に第1及び第2電動機2A、2Bを回生駆動しようするとき、図10に示すように、プラネタリキャリア23A、23Bには車軸10A、10Bから前進走行を続けようとする順方向のトルクが作用している。即ち、力点であるプラネタリキャリア23A、23Bには順方向のトルクが付加され、第1及び第2電動機2A、2Bに接続されたサンギヤ21A、21Bを支点として、作用点であるリングギヤ24A、24Bには順方向のトルクが作用する。これによってリングギヤ24A、24Bに結合された回転プレート51にも順方向のトルクが作用し、回転プレート51が他方向(図5Aの黒塗り矢印の方向)に回転する(図5A)。このとき、第1一方向クラッチOWC1が非係合状態となるが、切替手段SLCを非作動状態(OPEN)とすることで第2一方向クラッチOWC2が係合状態となるので、リングギヤ24A、24Bがロックされる。この状態で、第1及び第2電動機2A、2Bから逆方向の回生トルクが発生するように第1及び第2電動機2A、2Bを回生駆動することで、第1及び第2電動機2A、2Bで減速回生される。このように、後輪Wr側の順方向のトルクが第1及び第2電動機2A、2B側に入力されるときには、第2一方向クラッチOWC2の機械的な係合によってリングギヤ24A、24Bをロックするので、このような状況で油圧ブレーキを締結させていた従来に比べエネルギー損失を低減することが可能になる。
後進時には、図11に示すように、切替手段SLCを非作動状態(OPEN)としたまま第1及び第2電動機2A、2Bが逆方向に回転するように第1及び第2電動機2A、2Bを逆力行駆動すると、力点であるサンギヤ21A、21Bには逆方向のトルクが付加され、後輪Wrに接続されたプラネタリキャリア23A、23Bを支点として、作用点であるリングギヤ24A、24Bには順方向のトルクが作用する。これによってリングギヤ24A、24Bに結合された回転プレート51にも順方向のトルクが作用し、回転プレート51が他方向(図5Aの黒塗り矢印の方向)に回転する(図5A)。このとき、第1一方向クラッチOWC1が非係合状態となるが、第2一方向クラッチOWC2が係合しリングギヤ24A、24Bがロックされる。これによりプラネタリキャリア23A、23Bは逆方向に回転し車両Vは後進走行する。なお、プラネタリキャリア23A、23Bには車軸10A、10Bからの走行抵抗が順方向に作用し、リングギヤ24A、24Bには第2一方向クラッチOWC2による反力が逆方向に作用している。このように、第1及び第2電動機2A、2B側の逆方向のトルクが後輪Wr側に入力されるときには、第2一方向クラッチOWC2の機械的な係合によって第1及び第2電動機2A、2B側と後輪Wr側とが接続状態となり、第1及び第2電動機2A、2Bの逆力行トルクが後輪Wrに伝達される。
[曲げモーメント]
以下、本実施形態の駆動装置1のリングギヤ24A、24Bに作用する曲げモーメントについて図16A〜図18Bを参照しながら説明するが、先ず、比較のため図13〜図15に示した比較例の駆動装置100について説明する。なお、共通の構成要素については上記した実施形態の駆動装置1と同じ符号とし、相違点のみを簡単に説明する。
駆動装置100では、二方向クラッチ50が、車幅方向において第1遊星歯車式減速機12Aと第2遊星歯車式減速機12Bとの間に位置し、リングギヤ24A、24B同士の当接位置が、第1遊星歯車式減速機12Aのリングギヤ24Aとプラネタリギヤ22Aの第2ピニオン27Aとの噛合位置、及び第2遊星歯車式減速機12Bのリングギヤ24Bとプラネタリギヤ22Bの第2ピニオン27Bとの噛合位置よりも径方向内側に位置している。
リングギヤ24A、24Bは、その内周面が小径の第2ピニオン27A、27Bに噛合されるギヤ部28A、28Bと、ギヤ部28A、28Bより小径でケース11の中間位置で互いに対向配置される小径部29A、29Bと、ギヤ部28A、28Bの軸方向内側端部と小径部29A、29Bの軸方向外側端部を径方向に連結する連結部30A、30Bとを備えて構成されている。
ギヤ部28A、28Bは、中央ケース11Mの左右分割壁45の内径側端部に形成された円筒壁46を挟んで軸方向に対向している。軸方向で対向するリングギヤ24A、24Bの連結部30A、30B間には空間部が確保され、その空間部内に二方向クラッチ50が配置されている。小径部29A、29Bは、その外周面がそれぞれ二方向クラッチ50の回転プレート51の内周部とスプライン嵌合している。これにより、リングギヤ24A、24Bは、二方向クラッチ50の回転プレート51と一体回転するように互いに連結される。また、円筒壁46の内周部は、二方向クラッチ50の第1固定プレート52の外周部とスプライン嵌合している。これにより、二方向クラッチ50の第1固定プレート52は、中央ケース11Mにより位置決めされるとともに、回り止めされている。
[後輪駆動時の曲げモーメント]
このように構成された本実施形態の駆動装置1及び比較例の駆動装置100において、図8で説明した後輪駆動時において、第1及び第2電動機2A、2Bが順方向に回転するように第1及び第2電動機2A、2Bを力行駆動すると、プラネタリギヤ22A、22Bの噛合歯のねじれ角の関係からギヤ部28A、28Bには互いに近づく向きに力が働き、リングギヤ24A、24Bにも互い近づく向きに力が働く。本実施形態の駆動装置1では、図16Aに示すように、リングギヤ24A、24B同士の当接位置が、第1遊星歯車式減速機12Aのリングギヤ24Aとプラネタリギヤ22Aの第2ピニオン27Aとの噛合位置、及び第2遊星歯車式減速機12Bのリングギヤ24Bとプラネタリギヤ22Bの第2ピニオン27Bとの噛合位置と略同径位置に位置しているため、内向フランジ部37A、37Bにはいずれも曲げモーメントが発生しない。なお、リングギヤ24A、24Bに作用する互いに近づく向きの力はサークリップ43を介して互いに押し合うことで相殺される。
これに対し、参考例の駆動装置100では、リングギヤ24A、24B同士の当接位置が、第1遊星歯車式減速機12Aのリングギヤ24Aとプラネタリギヤ22Aの第2ピニオン27Aとの噛合位置、及び第2遊星歯車式減速機12Bのリングギヤ24Bとプラネタリギヤ22Bの第2ピニオン27Bとの噛合位置よりも径方向内側に位置しているため、図16Bの太い矢印で示すように、連結部30A、30Bに小径部29A、29Bと連結部30A、30Bとの接続部近傍を支点として、ギヤ部28A、28B同士を互いに近づく方向に回転させるような曲げモーメントが発生する。
このように本実施形態の駆動装置1では、使用頻度の高い後輪駆動時にリングギヤ24A、24Bの内向フランジ部37A、37Bに曲げモーメントが発生するのを抑制できる。これにより、内向フランジ部37A、37Bを軽量化することができる。
[減速回生走行時の曲げモーメント]
図10で説明した減速回生走行時において、第1及び第2電動機2A、2Bに逆方向のトルクが発生するように第1及び第2電動機2A、2Bを回生駆動すると、プラネタリギヤ22A、22Bの噛合歯のねじれ角の関係からギヤ部28A、28Bには互いに離間する向きに力が働き、リングギヤ24A、24Bにも互い離間する向きに力が働く。本実施形態の駆動装置1では、図17Aの太い矢印で示すように、内向フランジ部37A、37Bにフランジ本体38A、38Bとスラスト軸受42A、42Bとの接触部近傍を支点として、ギヤ部28A、28B同士を互いに離間する方向に回転させるような曲げモーメントが発生する。
参考例の駆動装置100では、図17Bの太い矢印で示すように、連結部30A、30Bに連結部30A、30Bとスラスト軸受42A、42Bとの接触部近傍を支点として、ギヤ部28A、28B同士を互いに離間する方向に回転させるような曲げモーメントが発生する。
このように本実施形態の駆動装置1では、減速回生走行時にリングギヤ24A、24Bの内向フランジ部37A、37Bで曲げモーメントが発生してしまうが、第1及び第2電動機2A、2Bを回生駆動する減速回生走行時は第1及び第2電動機2A、2Bを力行駆動する後輪駆動時に比べて第1及び第2電動機2A、2Bのトルクが小さいため、後輪駆動時に曲げモーメントが発生しないように設定することで内向フランジ部37A、37Bを軽量化することができる。
[旋回アシスト走行時の曲げモーメント]
次に、図18A及び図18Bを参照しながら旋回アシスト走行時にリングギヤ24A、24Bに発生する曲げモーメントについて説明する。旋回アシスト走行とは、車両の旋回時に、外輪となる車輪に接続された一方の電動機を力行駆動し、内輪となる車輪に接続された他方の電動機を回生駆動することで、車両に回転モーメントを発生させ、旋回時の操向性を向上させるものである。なお、図18A及び図18Bでは、第1電動機2Aを力行駆動し、第2電動機2Bを回生駆動する右旋回時の旋回アシスト走行を示している。
本実施形態の駆動装置1及び比較例の駆動装置100において、図16A及び図16Bで説明したように第1電動機2Aが順方向に回転するように第1電動機2Aを力行駆動すると、プラネタリギヤ22Aの噛合歯のねじれ角の関係からギヤ部28Aには図中、ギヤ部28Bに近づく向きに力が働き、リングギヤ24Aにもリングギヤ24Bに近づく向きに力が働く。一方、図17A及び図17Bで説明したように第2電動機2Bに逆方向のトルクが発生するように第2電動機2Bを回生駆動すると、プラネタリギヤ22Bの噛合歯のねじれ角の関係からギヤ部28Bにはギヤ部28Aとは離間する向きに力が働き、リングギヤ24Bにもリングギヤ24Aとは離間する向きに力が働く。即ち、図18A及び図18Bに示すように、リングギヤ24A、24Bには、いずれも第2電動機2B側に力が働く。
このとき、本実施形態の駆動装置1では、図16Aで説明したように内向フランジ部37Aに曲げモーメントが発生しない。一方、図17Aで説明したように内向フランジ部37Bにフランジ本体38Bとスラスト軸受42Bとの接触部近傍を支点として、ギヤ部28Bをギヤ部28Aから離間する方向に回転させるような曲げモーメントが発生する(図18A参照)。
これに対し、参考例の駆動装置100では、図16Bで説明したように連結部30Aに小径部29Bと連結部30Bとの接続部近傍を支点として、ギヤ部28Aをギヤ部28Bに近づく方向に回転させるような曲げモーメントが発生する。一方、図17Bで説明したように連結部30Bに連結部30Bとスラスト軸受42Bとの接触部近傍を支点として、ギヤ部28Bをギヤ部28Aから離間する方向に回転させるような曲げモーメントが発生する(図18B参照)。
このように本実施形態の駆動装置1では、右旋回の旋回アシスト走行時にリングギヤ24Aの内向フランジ部37Aに曲げモーメントが発生するのを抑制できる。また、説明は省略するが、左旋回の旋回アシスト走行時には、リングギヤ24Bの内向フランジ部37Bに曲げモーメントが発生するのを抑制できる。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1及び第2電動機2A、2B側の逆方向のトルクを機械的に後輪Wr側に伝達可能な第2一方向クラッチOWC2を備えるので、従来、第1及び第2電動機2A、2B側の逆方向のトルクを後輪Wr側に伝達する際(例えば、後進走行時)に必要であったブレーキ手段の締結エネルギーを削減できる。
また、第2一方向クラッチOWC2は、後輪Wr側の順方向の回転動力を機械的に第1及び第2電動機2A、2B側に伝達可能なので、従来、後輪Wr側の順方向の回転動力を第1及び第2電動機2A、2B側に伝達する際(例えば、減速回生走行時)に必要であったブレーキ手段の締結エネルギーを削減できる。
また、第2一方向クラッチOWC2が設けられる動力伝達経路には、該動力伝達経路を遮断状態又は接続許容状態にする切替手段SLCが直列に設けられているので、後輪Wr側の順方向の回転動力を第1及び第2電動機2A、2B側に伝達させたくない状況(例えば、前進高車速走行時)において、第2一方向クラッチOWC2による機械的な動力伝達を遮断できる。
また、第1遊星歯車式減速機12Aのリングギヤ24Aと第2遊星歯車式減速機2Bのリングギヤ24Bとが直接的又は間接的に当接する当接位置が、第1遊星歯車式減速機12Aのリングギヤ24Aと第1遊星歯車式減速機12Aのプラネタリギヤ22Aとの噛合位置、及び第2遊星歯車式減速機2Bのリングギヤ24Bと第2遊星歯車式減速機2Bのプラネタリギヤ22Bとの噛合位置と略同径位置に位置するので、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bのそれぞれにおいてリングギヤ24A、24Bとプラネタリギヤ22A、22Bとの噛合いによって発生する力によって内向フランジ部37A、37Bに曲げモーメントが発生するのを抑制できる。これにより、内向フランジ部37A、37Bを軽量化することができる。また、曲げモーメントによって噛合部が傾斜するのを防ぐことができるので、大トルク時にも良好な歯当たりが得られ振動特性が向上する。
また、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bにおいてリングギヤ24A、24Bとプラネタリギヤ22A、22Bとの噛合部は、第1及び第2電動機2A、2B側の一方向の回転動力が後輪Wr(RWr、LWr)側に入力されるときに、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12B同士が互いに近づく向きに力が働くように形成されるのでリングギヤ24A、24Bとプラネタリギヤ22A、22Bとの噛合い時に発生する力を打ち消すことができる。
また、第1及び第2電動機2A、2B側の前進する際の回転動力が後輪Wr(RWr、LWr)側に入力されるときに、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12B同士が互いに近づく向きに力が働くように形成される。一般的に車両が前進する際の駆動トルクは回生する際の回生トルクより大きいので、車両の前進時にリングギヤ24A、24Bに発生する曲げモーメントがなくなると、リングギヤ24A、24Bを軽量化することができる。
また、第1一方向クラッチOWC1、第2一方向クラッチOWC2、及び切替手段SLCは、車幅方向において第1遊星歯車式減速機12Aと第2遊星歯車式減速機2Bのいずれか一方側、且つ径方向外側に配置されているので、第1一方向クラッチOWC1、第2一方向クラッチOWC2、及び切替手段SLCの配置による車幅方向の大型化を抑制できる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、上記実施形態では、サンギヤ21A、21Bにそれぞれ第1及び第2電動機2A、2Bを接続するとともに、リングギヤ24A、24B同士を連結し、連結されたリングギヤ24A、24Bのうちリングギヤ24Bの径方向外側に二方向クラッチ50を配置したが、リングギヤ24Aの径方向外側に二方向クラッチ50を配置してもよい。
また、本発明の駆動装置は、車両の後輪駆動用として用いる場合を例に説明したが、車両の前輪駆動用に用いてもよい。
また、車両の車輪駆動装置に限らず、航空機、船舶等の輸送機関において、プロペラ駆動装置、スクリュー駆動装置等として用いることができる。
また、上記実施形態では、変速機として遊星歯車機構を用いたが、遊星歯車機構以外の歯車式変速機構(例えば、傘歯車式差動機構)や、歯車を使用しない変速機構を用いてもよい。
1 後輪駆動装置(駆動装置)
2A 第1電動機(左電動機、駆動源)
2B 第2電動機(右電動機、駆動源)
12A 第1遊星歯車式減速機(左変速機)
12B 第2遊星歯車式減速機(右変速機)
21A、21B サンギヤ(サン回転体)
22A、22B プラネタリギヤ(プラネタリ回転体)
23A、23B プラネタリキャリア(キャリア回転体)
24A、24B リングギヤ(リング回転体)
37A、37B 内向フランジ部
V 車両
Wr 後輪(車輪)
LWr 左後輪(左車輪)
RWr 右後輪(右車輪)
OWC1 第1一方向クラッチ(第1一方向動力伝達手段)
OWC2 第2一方向クラッチ(第2一方向動力伝達手段)
SLC 切替手段

Claims (4)

  1. 駆動源と、
    該駆動源によって駆動される車輪と、を備える駆動装置であって、
    該駆動装置は、
    前記駆動源と前記車輪との動力伝達経路上に設けられ、駆動源側の一方向の回転動力が車輪側に入力されるときに係合状態となるとともに、駆動源側の他方向の回転動力が車輪側に入力されるときに非係合状態となり、車輪側の一方向の回転動力が駆動源側に入力されるときに非係合状態となるとともに、車輪側の他方向の回転動力が駆動源側に入力されるときに係合状態となる第1一方向動力伝達手段と、
    前記動力伝達経路上に前記第1一方向動力伝達手段と並列に設けられ、駆動源側の一方向の回転動力が車輪側に入力されるときに非係合状態となるとともに、駆動源側の他方向の回転動力が車輪側に入力されるときに係合状態となり、車輪側の一方向の回転動力が駆動源側に入力されるときに係合状態となるとともに、車輪側の他方向の回転動力が駆動源側に入力されるときに非係合状態となる第2一方向動力伝達手段と、
    前記動力伝達経路上に前記第1一方向動力伝達手段と並列に、且つ前記第2一方向動力伝達手段と直列に設けられ、第1状態と第2状態とを切り替えることにより前記第2一方向動力伝達手段を有効状態又は無効状態にする切替手段と、を備え、
    前記駆動源は、車両の左車輪を駆動する左電動機と、前記車両の右車輪を駆動する右電動機と、を備え、
    前記左電動機と前記左車輪との動力伝達経路上には、左変速機が設けられ、
    前記右電動機と前記右車輪との動力伝達経路上には、右変速機が設けられ、
    前記左変速機及び前記右変速機は、それぞれサン回転体と、リング回転体と、該サン回転体及び該リング回転体と噛み合うプラネタリ回転体と、該プラネタリ回転体を自転可能且つ公転可能に支持するキャリア回転体と、を有し、
    前記左変速機の前記サン回転体に前記左電動機が接続され、
    前記右変速機の前記サン回転体に前記右電動機が接続され、
    前記左変速機の前記キャリア回転体に前記左車輪が接続され、
    前記右変速機の前記キャリア回転体に前記右車輪が接続され、
    前記左変速機の前記リング回転体と前記右変速機の前記リング回転体とが互いに連結され、
    前記第1一方向動力伝達手段、前記第2一方向動力伝達手段、及び前記切替手段は、互いに連結された前記リング回転体に配置され、
    前記左変速機の前記リング回転体は、径方向内側に延びる内向フランジ部が前記左変速機の前記キャリア回転体に支持され、
    前記右変速機の前記リング回転体は、径方向内側に延びる内向フランジ部が前記右変速機の前記キャリア回転体に支持され、
    前記左変速機の前記リング回転体と前記右変速機の前記リング回転体とが直接的又は間接的に当接する当接位置は、前記左変速機の前記リング回転体と前記左変速機の前記プラネタリ回転体との噛合位置、及び前記右変速機の前記リング回転体と前記右変速機の前記プラネタリ回転体との噛合位置と略同径位置に位置する、駆動装置。
  2. 請求項1に記載の駆動装置であって、
    前記左変速機の前記リング回転体と前記左変速機の前記プラネタリ回転体との噛合部は、駆動源側の一方向の回転動力が車輪側に入力されるときに、前記左変速機の前記リング回転体に軸線方向で前記右変速機に近づく向きに力が働くように形成され、
    前記右変速機の前記リング回転体と前記右変速機の前記プラネタリ回転体との噛合部は、駆動源側の一方向の回転動力が車輪側に入力されるときに、前記右変速機の前記リング回転体に軸線方向で前記左変速機に近づく向きに力が働くように形成される、駆動装置。
  3. 請求項2に記載の駆動装置であって、
    前記駆動源側の一方向の回転動力は、前記車両を前進させる際の回転動力である、駆動装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の駆動装置であって、
    前記左電動機と前記左変速機は車幅方向左外側からこの順序で配置され、
    前記右電動機と前記右変速機は車幅方向右外側からこの順序で配置され、
    前記第1一方向動力伝達手段、前記第2一方向動力伝達手段、及び前記切替手段は、車幅方向において前記左変速機と前記右変速機のいずれか一方側、且つ径方向外側に配置されている、駆動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109910582A (zh) * 2019-02-28 2019-06-21 北方众联新能源科技有限公司 电动汽车驱动系统和电动汽车

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