JP2019001097A - 断熱容器用積層体、断熱容器、及び断熱容器の製造方法 - Google Patents

断熱容器用積層体、断熱容器、及び断熱容器の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】断熱容器の製造過程におけるピンホールの発生の抑制でき、かつ高いバリア性を有する断熱容器用積層体の提供。【解決手段】外面側から、印刷層15、カバー層11A、紙から構成される基材層12、基材層を構成する紙から発生する水蒸気を遮断する水蒸気遮断層13、バリア層14、及びシール層17を少なくとも有する断熱容器用積層体10Aにおいて、カバー層は、発泡可能な熱可塑性樹脂から構成し、水蒸気遮断層は、エポキシ基含有化合物、シラン基含有化合物、カルボン酸基含有化合物、及び酸無水物含有化合物から選択される1又は2以上を含み、カバー層を構成する熱可塑性樹脂よりも融点が高い樹脂から構成する断熱容器用積層体。バリア層14が樹脂フィルム14aの一方の面に無機酸化物蒸着膜14b又は金属蒸着膜14bを積層したものであり、カバー層11Aと印刷層15との間に表面層16を有することが好ましい、断熱容器用積層体10A。【選択図】図1

Description

本発明は断熱容器用積層体、断熱容器、及び断熱容器の製造方法に関する。
従来より、紙から構成される基材の一方の面に発泡層が設けられ他方の面に非発泡層が設けられた断熱容器用積層体が知られている(例えば、特許文献1や特許文献2参照)。
上記特許文献1や特許文献2に開示されている断熱容器を含め、一般の断熱容器やこれを成形するための断熱容器用積層体は、基材となる紙の表面に発泡させるための樹脂を設け、裏面側にも別の樹脂を設けることで断熱容器用積層体とし、これを加熱することにより紙に含まれる水分を蒸発させ、この水蒸気によって表面側の樹脂を発泡せしめる、いわゆる水蒸気発泡によって製造されている。
特開昭57−110439号公報 特開2004−231197号公報
このような断熱容器用積層体を用いて断熱容器を成型するにあっては、シール部分にピンホールが発生し、断熱容器の気密性を担保することができない場合があった。
また、近年、例えばフリーズドライされた食材を個別包装なしで直に断熱容器内に収容したいといった要望や、外界からの臭気が断熱容器内に移行することをより高い精度で防止したいといった要望があり、これらの要望に応える必要もある。
本発明はこのような状況においてなされたものであり、断熱容器の製造過程におけるピンホールの発生を抑制することができ、かつ高いバリア性を有する断熱容器用積層体、断熱容器、及び断熱容器の製造方法を提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本願発明は、外面側から、印刷層、カバー層、紙から構成される基材層、前記基材層を構成する紙から発生する水蒸気を遮断する水蒸気遮断層、バリア層、及びシール層を少なくとも有する断熱容器用積層体であって、前記カバー層は、発泡可能な熱可塑性樹脂から構成されており、前記水蒸気遮断層は、エポキシ基含有化合物、シラン基含有化合物、カルボン酸基含有化合物、及び酸無水物含有化合物からなる群から選択される1または2以上を含み、前記カバー層を構成する熱可塑性樹脂よりも融点が高い樹脂から構成されている、ことを特徴とする。
上記の発明にあっては、前記バリア層が、樹脂フィルムの一方の面に無機酸化物蒸着膜または金属蒸着膜を積層したものであってもよい。
上記の発明にあっては、前記カバー層を構成する発泡可能な熱可塑性樹脂が、高圧法低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、及びエチレン・α−オレフィン共重合体の何れかであってもよい。
上記の発明にあっては、前記印刷層とカバー層との間に表面層を有してもよい。
また、上記の発明にあっては、前記カバー層が発泡していてもよい。
上記課題を解決するための別の本願発明は、断熱容器であって、少なくともその一部が上記本願発明の断熱容器用積層体によって構成されていることを特徴とする。
上記の発明にあっては、胴部と底部を有し、少なくとも前記胴部は、上記本願発明の断熱容器用積層体によって構成されていてもよい。
また、上記課題を解決するためのさらに別の発明は、断熱容器の製造方法であって、上記断熱容器用積層体を用意する工程と、前記断熱容器用積層体を所定の形状に打ち抜く打ち抜き工程と、前記打ち抜かれた断熱容器用積層体を容器形状に成型する成型工程と、前記容器形状に成型された断熱容器用積層体を加熱してカバー層を発泡せしめる加熱工程と、を含むことを特徴とする。
また、上記課題を解決するためのさらに別の発明は、断熱容器の製造方法であって、上記断熱容器用積層体を用意する工程と、前記断熱容器用積層体を所定の形状に打ち抜く打ち抜き工程と、前記打ち抜かれた断熱容器用積層体を加熱してカバー層を発泡せしめる加熱工程と、前記カバー層が発泡された状態の断熱容器用積層体を容器形状に成型する成型工程と、を含むことを特徴とする。
また、上記課題を解決するためのさらに別の発明は、断熱容器の製造方法であって、上記断熱容器用積層体を用意する工程と、前記断熱容器用積層体を加熱してカバー層を発泡せしめる加熱工程と、前記カバー層が発泡した状態の断熱容器用積層体を所定の形状に打ち抜く打ち抜き工程と、前記打ち抜かれた断熱容器用積層体を容器形状に成型する成型工程と、を含むことを特徴とする。
本願発明の断熱容器用積層体によれば、所定の化合物を含む熱可塑性樹脂からなる水蒸気遮断層が含まれているので、所望の厚さにカバー層を発泡せしめることができるとともに、断熱容器に成型する際にシール部分にピンホールが発生することを防止することができ、かつバリア層が前記水蒸気遮断層とシール層との間に設けられているため、得られる断熱容器により高い気密性を付与することができる。
また、本願発明の断熱容器及び本願発明の断熱容器の製造方法にあっても、前記本願発明の断熱容器用積層体を用いて成形されていることから、上記と同様の作用効果を奏する。
本願発明の実施形態にかかる、カバー層が発泡していない状態の断熱容器用積層体の断面図である。 本願発明の実施形態にかかる、カバー層が発泡した状態の断熱容器用積層体の断面図である。
以下、本願発明の実施形態にかかる断熱容器用積層体、及び断熱容器について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本願発明の実施形態にかかる、カバー層が発泡していない状態の断熱容器用積層体の断面図である。
図2は、本願発明の実施形態にかかる、カバー層が発泡した状態の断熱容器用積層体の断面図である。
図1に示すように、本実施形態にかかる断熱容器用積層体10Aは、外面側から、印刷層15、表面層16、カバー層11A、及び紙から構成される基材層12が、この順に隣接して積層されているとともに、前記カバー層11Aが積層されていない側の基材層12の面に、当該基材層12を構成する紙から発生する水蒸気を遮断する水蒸気遮断層13、バリア層14、及びシール層17が、この順に隣接して積層されていることで構成されている。なお、表面層16は、必須の層ではなく、任意に形成可能な層である。
そして、図2に示すように、図1に示す本実施形態にかかる断熱容器用積層体10Aを加熱することにより、基材層12を構成する紙から発生する水蒸気によってカバー層を構成する熱可塑性樹脂が発泡状態となる。
なお、本明細書においては、カバー層(11A)が発泡していない状態、及びカバー層(11)が発泡している状態のいずれの状態をも断熱容器用積層体(10A、10)と表現する。また、断熱容器用積層体を用いて断熱容器を形成した際に、当該断熱容器の外側に位置する側を「外面側」とし、断熱容器の内側に位置する側を「内面側」とする。図1及び図2においては、上側が「外面側」であり、下側が「内面側」である。
以下に、断熱容器用積層体10A、10を構成する各層について説明する。
(カバー層)
発泡前のカバー層11Aは、発泡可能な熱可塑性樹脂から構成されている。発泡可能な熱可塑性樹脂としては、例えば、中・低圧法エチレン単独重合体、高圧法低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体などを挙げることができ、これら以外であっても、後述する基材層12から発生する水蒸気によって所望の発泡状態となり得るものを適宜選択して用いることができる。これらの中でも、発泡倍率の向上の観点からは、高圧法低密度ポリエチレンを用いるのが好ましい。なお、以下の説明においては、カバー層11A(11)を構成する高圧法低密度ポリエチレンと、後述する表面層16を構成するポリエチレン系樹脂とを明確に区別するため、カバー層11A(11)を構成する高圧法低密度ポリエチレンについては、「高圧法低密度ポリエチレン(B)」と表記し、表面層16を構成するポリエチレン系樹脂については、「ポリエチレン系樹脂(A)」と表記する。
本実施形態におけるカバー層11Aを構成する高圧法低密度ポリエチレン(B)は、従来公知の高圧法ラジカル重合法により得ることができる。
高圧法低密度ポリエチレン(B)のJIS K6922−1(1997年)により測定されたメルトマスフローレート(以下、単に「MFR」と記す)は、4〜100g/10分の範囲であると、発泡性に優れるため好ましく、より好ましくは10〜30g/10分、さらに好ましくは10〜25g/10分である。
また、高圧法低密度ポリエチレン(B)のJIS K6922−1(1997年)により測定された密度(以下、単に「密度」と記す)は、発泡性に優れるため、870〜935kg/m3であることが好ましく、より好ましくは890〜935kg/m3、さらに好ましくは900〜925kg/m3の範囲である。
本実施形態におけるカバー層11Aを構成する高圧法低密度ポリエチレン(B)には、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等、ポリオレフィン樹脂に一般に用いられている添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもかまわない。
さらに、高圧法低密度ポリエチレン(B)には、他のポリオレフィンを混合してもかまわない。このとき、発泡性に優れるため、混合比率は高圧法低密度ポリエチレン(B)が50〜99重量%、他のポリオレフィンが1〜50重量%であることが好ましい。
高圧法低密度ポリエチレン(B)に混合されるポリオレフィンとしては、エチレン・α−オレフィン共重合体、ポリプロピレン、ポリブテンなどが挙げられ、発泡性に優れることから、密度が850kg/m3以上920kg/m3未満のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)が好ましい。
このようなエチレン・α−オレフィン共重合体(B)に用いるα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上が用いられる。
さらに、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)を得るための方法は特に限定するものではなく、チーグラー・ナッタ触媒やフィリップス触媒、メタロセン触媒を用いた高・中・低圧イオン重合法などを例示することができ、このような共重合体は、市販品の中から便宜選択することができる。
本実施形態におけるカバー層11Aを構成する高圧法低密度ポリエチレン(B)にポリオレフィンを混合する時は、高圧法低密度ポリエチレン(B)のペレットとポリオレフィンのペレットを固体状態で混合したペレット混合物であってもよいが、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリー等で溶融混練した混合物の方が、品質の安定した製品が得られるので好ましい。溶融混練装置を用いる場合、溶融温度はポリエチレン系樹脂の融点〜300℃程度が好ましい。
さらに、本実施形態において、後述する表面層16を構成するポリエチレン系樹脂(A)の190℃において、円錐−円板レオメーターを用いて動的粘弾性を測定することで求められる損失弾性率G”(Pa)が500Paである角速度ω(s-1)における貯蔵弾性率G’a(500)が、同様の方法により求めたカバー層11Aに用いられる高圧法低密度ポリエチレン(B)のG’b(500)よりも小さいことが、安定した押出成形が可能となり、優れた発泡外観が得られるため好ましい。また、G’b(500)が95Pa以下であると優れた発泡外観が得られるため好ましい。
このような発泡前のカバー層11Aの厚さは特に限定されないが、経済性の観点から、10〜150μmが好ましく、さらに断熱性に優れることから、より好ましくは30〜100μm、さらに好ましくは30〜80μmである。
図1に示す発泡前のカバー層11Aは、上述のように基材層12上に形成された後、加熱されることで基材層12を構成する紙から発生する水蒸気によって、図2に示す発泡状態のカバー層11となる。
このときの加熱温度は、材料である低密度ポリエチレンの融点以上であり、断熱容器用積層体10が変質しない範囲であれば特に限定されないが、通常、100〜200℃であり、好ましくは110〜160℃、より好ましくは110〜125℃である。加熱時間についても、特に限定されないが、通常、10秒〜10分程度である。加熱方法は、特に限定されず、従来公知の方法により加熱することができるが、例えば、熱風、赤外線、遠赤外線、マイクロ波、高周波等により加熱することが挙げられる。
発泡後のカバー層11の厚さも特に限定されないが、断熱性と発泡外観に優れることから、20〜1200μmが好ましく、より好ましくは300〜1100μm、さらに好ましくは400〜1000μmである。
(表面層)
本実施形態にかかる断熱容器用積層体10A、10にあっては、前記カバー層11A、11上に、表面層16が設けられているが、これは任意の層であり、必ずしも設ける必要はない。表面層16を設けることにより、後述する印刷層が形成される部分(面)を平坦化することができ、意匠性を向上せしめることができる。
このような表面層16の材質については特に限定されることはなく、上記の作用効果を奏することが可能な材質から適宜選択することができるが、特に、JIS K6922−2(2010年)により測定される融点が、前記カバー層11A、11を構成する高圧法低密度ポリエチレン(B)の融点よりも高いポリエチレン系樹脂(A)を用いることが好ましい。このような材質から構成される表面層16を設けることにより、カバー層11Aを、後述する印刷層15の影響を受けることなく、均一に発泡せしめることができる。
表面層16を構成するポリエチレン系樹脂(A)としては、中・低圧法エチレン単独重合体、高圧法低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体などが挙げられるが、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、中・低圧法エチレン単独重合体(A)が、カバー層11Aの発泡倍率を向上させることができ、積層体外観にも優れるため、特に好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)に用いるα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上が用いられる。
このようなエチレン・α−オレフィン共重合体(A)を得るための方法は特に限定するものではなく、チーグラー・ナッタ触媒やフィリップス触媒、メタロセン触媒を用いた高・中・低圧イオン重合法などを例示することができる。このような共重合体は、市販品の中から便宜選択することができるが、積層体外観に優れるため、チーグラー・ナッタ触媒を用いた重合法により得られたエチレン・α−オレフィン共重合体が特に好ましい。
また、中・低圧法エチレン単独重合体(A)は、従来公知の中・低圧イオン重合法により得ることができる。
本実施形態における表面層16を構成するポリエチレン系樹脂(A)のMFRが0.1〜100g/10分、より好ましくは3〜50g/10分の範囲であると、積層体を成形する際に加工が容易になる。
また、表面層16を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体(A)及び中・低圧法エチレン単独重合体(A)には、高圧法低密度ポリエチレンやポリプロピレンなどの他のポリオレフィンを配合してもよく、これらの他のポリオレフィンの配合比は1〜30重量%がラミネート成形性と積層体外観の点から好ましい。
さらに、表面層16を構成するポリエチレン系樹脂(A)には、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等、ポリオレフィン樹脂に一般に用いられている添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもかまわない。
表面層16の厚さについても特に限定されないが、外観に優れることから、1〜20μmが好ましく、より好ましくは4〜12μmである。
また、表面層16と発泡前のカバー層11Aの厚さの比が1:2〜1:30であると断熱性と発泡外観のバランスに優れることから好ましく、より好ましくは1:4〜1:12であり、さらに好ましくは1:6〜1:10である。
そして、表面層16の厚さと発泡後のカバー層11の厚さの比が1:15〜1:360であると断熱性と発泡外観のバランスに優れることから好ましく、より好ましくは1:45〜1:300であり、さらに好ましくは1:80〜1:250である。なお、発泡後のカバー層11の厚さは、基材層12として坪量の大きい紙や水分量の高い紙を用いたり、発泡前のカバー層11Aの厚さを厚くすることにより、前記好ましい比率以上の厚さとすることも可能であるが、これ以上の厚さにしても断熱性や意匠性が飛躍的に向上することはなく、通常サイズの断熱容器に用いる場合にあってはオーバースペックとなると考えられる。
(印刷層)
本発明の実施形態にかかる断熱容器用積層体10A、10にあっては、前記表面層16上に印刷層15が設けられているが、当該印刷層15については特に限定されることはなく、従来公知の種々の印刷層を適宜選択することができる。
印刷層15としては、例えば、バインダーを含んでおり、このバインダーは、ウレタン構造体重合物と、光重合開始剤及び光重合開始剤の副生成物の何れか一方または双方と、を含み、かつ前記印刷層の合計質量に対する前記ウレタン構造重合物の割合が15質量%以上90質量%以下であることが好ましい。そして、前記印刷層の合計質量に対する前記光重合開始剤の副生成物の割合が0.2質量%以上1.5質量%以下であることが特に好ましい。このような印刷層は電離硬化型インキにより形成されていることから、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、またはスクリーン印刷など電離硬化型インキが使用可能な印刷方法によりこの印刷層を形成することが可能である。したがって、小ロット・多品目の要請に応えることが可能であり、溶剤型インキに比べて溶剤の使用量を低減することができ、さらにはいわゆるマイグレーションが生じることを抑制することもできる。また、このような印刷層15によれば、いわゆる追従性を向上せしめることができ、カバー層11Aが発泡状態となった際に当該カバー層11Aの発泡にうまく追従し、表面平滑性を担保でき、優れた意匠性を発揮することができる。なお、このような印刷層15は、必ずしも表面層16の全面に形成されている必要はなく、図1や図2に示すように、部分的に形成されていてもよい。
また、当該印刷層15は、必ずしも単層である必要はなく、図1や図2に示すように、複数の印刷層(図1や図2においては、印刷層15a、15b、及び15cの三層)を重ねた積層構造を有していてもよく、この場合においては、すべての印刷層(15a、15b、及び15c)が、バインダーを含んでおり、このバインダーは、ウレタン構造体重合物と、光重合開始剤及び光重合開始剤の副生成物の何れか一方または双方と、を含み、かつ前記印刷層の合計質量に対する前記ウレタン構造重合物の割合が15質量%以上90質量%以下であることが好ましい。そして、好ましくは、前記印刷層の合計質量に対する前記光重合開始剤の副生成物の割合が0.2質量%以上1.5質量%以下である。
ここで、本願明細書でいう「ウレタン構造体重合物」とは、ウレタン構造を含むアクリレートを重合させることによって得られるアクリル酸エステル構造体であり、従来から当技術分野で使用される一般的なウレタン又はウレタンウレア等の変性ウレタンを含む広義のウレタンを用いたものと意図している。また、本発明において使用するウレタン構造体は、その製造方法によって、特に限定されるものではなく、ウレタンに関する公知又は周知の方法を適用して得られる様々なウレタン樹脂であってよい。
一方で、本願明細書でいう「光重合開始剤の副生成物」とは、光重合開始剤が再結合したものと不均化した物質を意図している。つまり、光重合開始剤の反応は一般に90%〜97%程度であり、反応以外に再結合と不均化を起こしており、本願明細書においては、これを意図している。
また、印刷層15には、前記ウレタン構造体重合物、及び光重合開始剤の副生成物に加え、光重合開始剤が含まれていてもよい。光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類、α-アミノアルキルフェノン、アシルフォスフィンオキサイド、ベンジルジメチルケタール等などが挙げられ、これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
印刷層15のバインダーの成分としては、前記ウレタン構造体重合物、光重合開始剤の副生成物、及び光重合開始剤に限定されることはなく、所望する意匠を実現するために、各種顔料や染料、さらにはワックスなどの添加剤を自由に用いることができる。
また、ウレタン構造体重合物以外のバインダー成分としては、ポリエステルアクリレート、ポリオールアクリレート、エポキシアクリレートなどを挙げることができる。これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
さらに、着色剤として、一般に印刷インキで使用されている無機、有機顔料や染料を使用できる。無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化クロム、シリカ、カーボンブラック、アルミニウム、マイカ(雲母)などが挙げられる。一方、有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料などが挙げられる。着色剤は単独で、または色相及び濃度の調整等を目的として2種以上を混合して用いることもできる。
その他、インキとしての機能性付与、印刷品質や各種耐性を向上させるために、必要に応じて顔料分散剤、レベリング剤、ワックス、架橋剤、界面活性剤、消泡剤、可塑剤、チタンキレート、光安定化剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤などの添加剤を含むこともできる。
印刷層15の形成方法についても特に限定されないが、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、またはスクリーン印刷など、電離硬化型インキを用いることができる印刷方法によって形成することが好ましく、中でもオフセット印刷によって形成することが特に好ましい。また、電離硬化型インキの中でも光硬化型インキを用いることが好ましい。一方で、従来公知のインキを用いたグラビア印刷法を採用することも可能である。
印刷層15の厚さについても特に限定されず、所望の意匠を実現するために適宜設計可能であるが、通常は0.1〜10μm程度である。
(基材層)
基材層12は紙から構成されている。この紙は、断熱容器を構成する基本素材となることから賦型性、耐屈曲性、剛性、腰、強度等を有するものを使用することができる。紙としては、例えば、主強度材であり、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは、純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙、ミルク原紙等の各種の紙基材を使用することができる。基材層12は、これらの紙を複数層重ねたものであってもよい。また、紙は、坪量80〜600g/m2程度、好ましくは坪量100〜450g/m2程度であり、厚さ110〜860μm程度、好ましくは140〜640μm程度のものを使用することができる。
なお、上述の通り、カバー層11Aを発泡せしめるにあたり基材層12を構成する紙に含まれる水分が必要となるため、当該基材層12に前述のカバー層11Aや後述する水蒸気遮断層13を設ける前の段階、もしくはこれらを設けるのと同時に、さらには断熱容器用積層体10Aが形成された後にこれを加熱する前の段階、などいずれかの段階において当該基材層12を構成する紙の水分量を調整する水分調整工程を行ってもよい。カバー層11Aをどの程度発泡せしめるかにもよるが、例えば紙に含まれる水分割合が2〜8%程度となるように調整することが好ましく、坪量が250g/m2の紙を用いる場合にあっては、当該水分調整工程を行うのが好ましい。水分調整工程の具体的な方法は特に限定することはなく、例えば含水率を多めに抄紙した後、エージング処理したり、ラミネート加工前に紙の表面に水分を噴霧したりしてもよい。
(水蒸気遮断層)
本実施形態にかかる断熱容器用積層体10A、10にあっては、基材層12の内面側に水蒸気遮断層13が設けられている。当該水蒸気遮断層13は、基材層12を構成する紙から発生する水蒸気を遮断し、発生した水蒸気を効率良くカバー層11A側に送るために機能する層であり、エポキシ基含有化合物、シラン基含有化合物、カルボン酸基含有化合物、及び酸無水物含有化合物からなる群から選択される1または2以上を含み、前記カバー層11Aを構成する熱可塑性樹脂よりも融点が高い樹脂から構成されていることに特徴を有している。
ここで、水蒸気遮断層を構成する樹脂の融点は、前記カバー層11Aを構成する熱可塑性樹脂より5℃以上高い樹脂を用いることが好ましく、10℃以上高い樹脂が特に好ましい。このように、カバー層11Aを構成する熱可塑性樹脂よりも融点が高い樹脂を用いることにより、水蒸気遮断性に加え、ピンホール耐性も付与することができる。
このような水蒸気遮断層13を構成する樹脂としては、カバー層11Aを構成する熱可塑性樹脂の融点を考慮し、適宜選択可能であるが、例えば、ポリエチレン系樹脂(C)やポリプロピレンを用いてもよい。
水蒸気遮断層13を構成する樹脂としてポリエチレン系樹脂(C)を用いる場合には、断熱性に優れることから、密度が900〜970kg/m3の範囲が好ましく、より好ましくは910〜970kg/m3、更に好ましくは920〜965kg/m3である。
ポリエチレン系樹脂(C)としては、エチレン単独重合体、若しくは、エチレン・α−オレフィン共重合体、及びこれらの組成物であり、その分子鎖の形態は直鎖状でもよく、炭素数6以上の長鎖分岐を有していてもよい。このようなポリエチレン系樹脂(C)は、特に限定されるものではなく、前記密度範囲を外れなければよい。
前記エチレン単独重合体としては、中・低圧法エチレン単独重合体、高圧法低密度ポリエチレンなどを例示することができる。中・低圧法エチレン単独重合体は、従来公知の中・低圧イオン重合法により得ることができる。また高圧法低密度ポリエチレンは、従来公知の高圧ラジカル重合法により得ることができる。
前記エチレン・α−オレフィン共重合体に用いるα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上が用いられる。エチレン・α−オレフィン共重合体を得るための方法は特に限定するものではなく、チーグラー・ナッタ触媒やフィリップス触媒、メタロセン触媒を用いた高・中・低圧イオン重合法などを例示することができる。このような共重合体は、市販品の中から便宜選択することができる。
ここで、水蒸気遮断層13を構成する樹脂は、エポキシ基含有化合物、シラン基含有化合物、カルボン酸基含有化合物、及び酸無水物含有化合物からなる群から選択される1または2以上を含む。このような化合物を含有せしめることにより、後述するバリア層14との接着強度を改善することができ、その結果、カバー層11の発泡時に後述するバリア層14にシワが発生することを抑制することができ、また、断熱容器に成型する際にピンホールが発生することを抑制することができる。
水蒸気遮断層13を構成する樹脂中に含有されるエポキシ基含有化合物としては、エポキシ化植物油(天然植物油の不飽和二重結合のエポキシ化)、グリシジルエーテルタイプ、グリシジルアミンタイプ、グリシジルエステルタイプなどが挙げられる。中でも食品包装材料に用いた場合の安全性の観点からエポキシ化植物油がより好ましい。例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化オリーブ油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化コーン油などが用いられる。このようなエポキシ基含有化合物の含有量は、例えば、水蒸気遮断層13を構成する樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部であり、0.01〜5.0重量部が好ましい。0.01重量部未満ではバリア層との接着強度が不十分となり、10重量部を超えるとブロッキングや、特に食品包装用に使用する場合は、臭いを伴うため、好ましくない。
水蒸気遮断層13を構成する樹脂中に含有されるシラン基含有化合物としては、シランオリゴマーが好適に用いられる。より具体的には、接着性を上げる為に、分子内にエポキシ基、メルカプト基、アルコキシ基の何れか、もしくは、これらの数種を含有するシランオリゴマーが望ましい。シランオリゴマーは、水蒸気遮断層13を構成する樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部配合される。シランオリゴマーの配合量が0.01重量部未満ではバリア層14との接着強度が不十分となり、また、5重量部を超えると成形加工にが劣るため、好ましくない。
水蒸気遮断層13を構成する樹脂中に含有されるカルボン酸基含有化合物としては、エチレン−不飽和カルボン酸、またはそのエステル化物との共重合体を用いることができる。より具体的には、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体が挙げられる。また、エチレン−不飽和カルボン酸の分子間を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂を使用することもできる。
水蒸気遮断層13を構成する樹脂中に含有される酸無水物含有化合物としては、マレイン酸変性ポリエチレン系樹脂やマレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂などのマレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂が好ましく、無水マレイン酸変性ポリエチレン系樹脂や無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂などの無水マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂がより好ましい。なお、マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂にマレイン酸がグラフト重合されてなる。
なお、水蒸気遮断層13を構成する樹脂には、上記各種化合物の他、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等、ポリオレフィン樹脂に一般に用いられている添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもかまわない。
水蒸気遮断層13の形成方法については特に限定することはなく、上記カバー層11と同様、押出コートや予め作製したフィルムのラミネート、ドライラミネーション等が用いられる。
また、水蒸気遮断層13の厚さについても特に限定されないが、断熱容器に成型する際における熱ピンホール対策を考慮すると、15〜50μm程度であることが好ましい。
(バリア層)
本実施形態にかかる断熱容器用積層体10A、10にあっては、水蒸気遮断層13の内面側に、バリア層14が設けられていることに特徴を有している。バリア層14をこの位置に設けることにより、当該断熱容器用積層体10A、10を用いて形成される断熱容器に、より高い気密性を付与することができ、フリーズドライされた食品などを直に収容することが可能となる。
このようなバリア層14については、上記作用効果、つまり酸素または水蒸気の何れか一方または双方を遮断することが可能であれば特に限定されることはないが、例えば、図1や図2に示すように、樹脂フィルム14aの一方の面に無機酸化物蒸着膜14bまたは金属蒸着膜14bを積層したものであることが好ましい。
バリア層14を構成する樹脂フィルム14aとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、及び延伸ナイロンなどからなるフィルムを挙げることができ、これらに、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクロニトリル等のガスバリア性を示す樹脂により形成された層が積層されていてもよい。
一方で、バリア層14を構成する無機酸化物蒸着膜14bとしては、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、及び酸化マグネシウムなどからなる膜を挙げることができる。
また、バリア層14を構成する金属蒸着膜14bとしては、例えば、アルミニウム蒸着膜などを挙げることができる。
このようなバリア層の厚さについては特に限定されることはないが、全体として6〜200μm程度であることが好ましく、9〜100μm程度であることがより好ましい。
なお、図1及び図2においては、バリア層14を構成する樹脂フィルム14aが外面側に位置し、バリア層14を構成する無機酸化物蒸着膜14bや金属蒸着膜14bが内面側に位置しているが、これに限定されることはなく、この逆、つまり樹脂フィルム14aが内面側に位置し、無機酸化物蒸着膜14bや金属蒸着膜14bが外面側に位置してもよい。
(シール層)
本実施形態にかかる断熱容器用積層体10A、10にあっては、バリア層14の内面側に、シール層17が設けられている。
当該シール層17は、本実施形態にかかる断熱容器用積層体10A、10を用いて断熱容器を形成するにあたり、所定の部位をヒートシールするために必要な層であり、従来公知の種々のシール層17を用いることができる。具体的には、熱によって溶融し相互に融着し得る各種のヒートシール性を有するポリオレフィン系樹脂、その他等を使用することができる。例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂その他等の樹脂を使用することができる。ただし、上記樹脂の融点が低すぎると発泡工程において、樹脂が溶融しシワや剥離を発生することがあるため、樹脂の融点は、90℃以上が好ましい。また、融点が高すぎるとシール性が劣る為、140℃以下であることが好ましい。さらに、上記のような樹脂の1種ないし2種以上を使用し、押出機等を用いて溶融押出して、例えば、アンカーコート剤層等を介して、溶融押出樹脂層を溶融押出積層することにより、あるいは、上記のような樹脂の1種ないし2種以上を使用し、予め、これから樹脂のフィルムないしシートを製造し、その樹脂のフィルムないしシートを、溶融押出樹脂を用いてサンドイッチラミネーションしても良い。このようなシール層17に関しては、単層もしくは共押し仕様に限定されるものではない。シール層17の厚みとしては、10〜100μm程度、好ましくは、10〜60μm程度にすることが望ましい。10μm未満の場合は、紙を絞った際に発生するシワの部分に樹脂が埋まることができず、シール不良を発生するため好ましくない。また、100μmを超える場合は、押出した際の熱によりバリア層14クラックが入りバリア性能が落ちることがあったり、層全体が固くなり成型性が劣ることがあるため、好ましくない。
(その他の層)
本実施形態にかかる断熱容器用積層体10A、10にあっては、上述した各層の他、種々の機能を発揮する層が含まれていてもよい。例えば、上述した各層間にそれぞれの層同志の密着性を向上せしめることを目的として、従来公知の各種接着層を設けてもよい。
(断熱容器、及び断熱容器の製造方法)
以下に本願発明の実施形態にかかる断熱容器、及び断熱容器の製造方法について説明する。
本実施形態にかかる断熱容器は、胴部と底部を有する断熱容器であって、少なくとも前記胴部は、上記で説明した断熱容器用積層体10、10Aによって構成されていることを特徴とする。つまり、本実施形態にかかる断熱容器の胴部を構成する断熱容器用積層体のカバー層は、発泡前状態であってもよく、発泡後の状態であってもよいが、最終製品としての断熱容器のカバー層は発泡後の状態となっている。
このような断熱容器の製造方法としては、本実施形態にかかる断熱容器用積層体10A(発泡前)を形成した後、容器のブランク形状に打ち抜き、場合により端面をスカイブ・ヘミングして内容物が端面に接触しないようにし、成型機内で底部、及び必要に応じてトップ部を熱風加熱、火炎加熱等によりヒートシールして容器形状とし、その後加熱することによりカバー層を発泡せしめることで断熱容器としてもよい。また、製造方法はこれに限定されるものではなく、断熱容器用積層体10Aを容器のブランク形状に打ち抜いた後に加熱することでカバー層を発泡せしめ、その後に成型機で成型してもよい。さらには断熱容器用積層体を加熱することによりカバー層を発泡せしめ、次いで容器のブランク形状に打ち抜き、成型機で成型してもよい。
この断熱容器の形状については、用途・目的等に応じて適宜に決定すればよく、例えばゲーベルトップ型、ブリック型、フラットトップ型、トレー型等の形状やカップ型等の形状が挙げられる。また、この断熱容器の注出口には、たとえばポリエチレン製のキャップ、プルタブ型の開封機構等を適宜に設けてもよい。
本実施形態にかかる断熱容器に充填される内容物についても特に限定されず、様々な固体や液体を内容物とすることができる。例えば、断熱容器の形状がカップ型の場合、その内容物は乾麺や味噌汁、各種スープ、さらにはフリーズドライされた食品などが想定される。
(実施例1)
バリア層として、PETフィルムの一方の面にシリカ蒸着膜が形成されたシリカ蒸着フィルムを準備した。シール層として、密度0.930の中密度ポリエチレンを用いて製膜した厚さ30μmのフィルムを準備した。前記バリア層のシリカ蒸着面と前記シール層を対向させて、ラミネ−ト用接着剤(DIC(株)製LX−703/KR−90)を使用して、バリア層とシール層とをドライラミネ−トで積層した。
次いで、紙から構成される基材層の表面に引き取り速度が60m/分で表面層5μm(LLDPE(東ソー(株)製ニポロン−L M72))とカバー層50μm(LDPE(東ソー(株)製ペトロセン 07C03C、融点:107℃))を共押しすることで表面層とカバー層を形成した。
さらに、前記基材層の前記表面層及びカバー層が形成されていない面に、330℃の温度でTダイより水蒸気遮断層15μm(シランオリゴマー含有MDPE 密度:0.933、融点:126℃)を押し出し、上記、シリカ蒸着フィルムと中密度ポリエチレンとの貼合フィルムのPETフィルム側に、インラインコロナ処理を施しながら、サンドイッチラミネーションを行った。
次いで、オフセット印刷機により、表面層上に白インキを全面印刷した後、色インキをパターン上に印刷することで実施例1の発泡前の断熱容器用積層体を得た。
その後、実施例1の発泡前の断熱容器用積層体を裁断して、筒状にしたカップ胴部と底部を構成する円形状に打ち抜き加工した円板に熱風等を吹きつけて、カップ状容器を得た。
さらに、対流式オーブンを用いて117℃で6分間加熱することでカバー層を発泡させて発泡後の断熱容器を得た。
(実施例2)
バリア層として、PETフィルムの一方の面にシリカ蒸着膜が形成されたシリカ蒸着フィルムを準備した。
次いで、紙から構成される基材層の表面に引き取り速度が60m/分で表面層5μm(LLDPE(東ソー(株)製ニポロン−L M72))とカバー層50μm(LDPE(東ソー(株)製ペトロセン 07C03C、融点:107℃))を共押しすることで表面層とカバー層を形成した。
さらに、前記基材層の前記表面層及びカバー層が形成されていない面に、330℃の温度でTダイより水蒸気遮断層15μm(アイオノマー樹脂 融点:126℃)を押し出し、前記バリア層のシリカ蒸着面側にインラインコロナ処理を施しながら、サンドイッチラミネーションを行った。
次いで、シリカ蒸着フィルムのPETフィルム面側に2液硬化型のエステル系アンカーコート剤(三井化学(株)製タケラックA3210/タケネートA3075)をグラビアコーターにて塗布し、乾燥炉を通した後、そのアンカーコート剤層の面に、中密度ポリエチレン樹脂(密度;0.933、メルトインデックス(M.I);4.3)を使用し、これを押出コートして厚さ30μmのシール層を形成した。
次いで、オフセット印刷機により、表面層上に白インキを全面印刷した後、色インキをパターン上に印刷することで実施例2の発泡前の断熱容器用積層体を得た。
次いで、実施例2の発泡前の断熱容器用積層体を用い、実施例1と同様の条件にて、発泡前及び発泡後の断熱容器を得た。
(比較例1)
実施例1において、基材層の表面層及びカバー層が形成されていない面に、水蒸気遮断層を形成することなく、当該面とバリア層のPETフィルム面とをウレタン系接着剤を用いてドライラミネート方式で接着したことを除き、すべて実施例1と同様の条件にて、比較例1の発泡前の断熱容器用積層体を得た。
次いで、比較例1の発泡前の断熱容器用積層体を用い、実施例1と同様の条件にて、発泡前及び発泡後の断熱容器を得た。
(比較例2)
実施例1において、水蒸気遮断層としてシランオリゴマー含有LDPE 密度:0.919、融点:103℃を使用したことを除き、すべて実施例1と同様の条件にて、比較例2の発泡前の断熱容器用積層体を得た。
次いで、比較例2の発泡前の断熱容器用積層体を用い、実施例1と同様の条件にて、発泡前及び発泡後の断熱容器を得た。
上記実施例1〜2及び比較例1〜2それぞれの断熱容器用積層体について、発泡厚み、外観、意匠性について評価した。各評価については以下の通りである。
(発泡厚み)
上記実施例1〜2及び比較例1〜2それぞれの断熱容器用積層体について、発泡前後の厚みを厚み計((株)尾崎製作所製 ダイヤルシックネスゲージG)を用いて測定し、その差分を算出し、以下の基準にしたがって評価した。なお、測定した厚みには、白インキ、色インキ、及び表面層の厚さも含まれる。
A:450μm以上
B:300μm以上450μm未満
C:300μm未満
(発泡後の断熱容器の内面側の外観)
上記実施例1〜2及び比較例1〜2の発泡後の断熱容器の内面側の外観を目視で観察することで評価した。
A:シワもなく外観が良好である
B:5mm未満の微小なシワが発生している
C:5mm以上の大きなシワが発生している
(断熱容器の漏れの割合)
上記実施例1〜2及び比較例1〜2の発泡後の断熱容器をそれぞれ1000個用い、それぞれについて浸透液の漏れの割合を評価した。
(評価結果)
上記発泡厚み、外観、及び断熱容器の漏れの割合のそれぞれについての評価結果を表1に示す。
Figure 2019001097
上記表1からも明かなように、本願発明の実施例にかかる断熱容器用積層体及び断熱容器によれば、発泡厚み、容器内面の外観、及び漏れ率の何れの評価結果も優れていることが分かる。
10…断熱容器用積層体(発泡後)
10A…断熱容器用積層体(発泡前)
11…カバー層(発泡後)
11A…カバー層(発泡前)
12…基材層
13…水蒸気遮断層
14…バリア層
15…印刷層
16…表面層
17…シール層

Claims (10)

  1. 外面側から、印刷層、カバー層、紙から構成される基材層、前記基材層を構成する紙から発生する水蒸気を遮断する水蒸気遮断層、バリア層、及びシール層を少なくとも有する断熱容器用積層体であって、
    前記カバー層は、発泡可能な熱可塑性樹脂から構成されており、
    前記水蒸気遮断層は、エポキシ基含有化合物、シラン基含有化合物、カルボン酸基含有化合物、及び酸無水物含有化合物からなる群から選択される1または2以上を含み、前記カバー層を構成する熱可塑性樹脂よりも融点が高い樹脂から構成されている、ことを特徴とする断熱容器用積層体。
  2. 前記バリア層が、樹脂フィルムの一方の面に無機酸化物蒸着膜または金属蒸着膜を積層したものであることを特徴とする請求項1に記載の断熱容器用積層体。
  3. 前記カバー層を構成する発泡可能な熱可塑性樹脂が、高圧法低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、及びエチレン・α−オレフィン共重合体の何れかであることを特徴とする請求項1または2に記載の断熱容器用積層体。
  4. 前記印刷層とカバー層との間に表面層を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の断熱容器用積層体。
  5. 前記カバー層が発泡していることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の断熱容器用積層体。
  6. 少なくともその一部が前記請求項1〜5のいずれか一項に記載の断熱容器用積層体によって構成されていることを特徴とする断熱容器。
  7. 胴部と底部を有し、
    少なくとも前記胴部は、前記請求項1〜5のいずれか一項に記載の断熱容器用積層体によって構成されていることを特徴とする請求項6に記載の断熱容器。
  8. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の断熱容器用積層体を用意する工程と、
    前記断熱容器用積層体を所定の形状に打ち抜く打ち抜き工程と、
    前記打ち抜かれた断熱容器用積層体を容器形状に成型する成型工程と、
    前記容器形状に成型された断熱容器用積層体を加熱してカバー層を発泡せしめる加熱工程と、
    を含むことを特徴とする断熱容器の製造方法。
  9. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の断熱容器用積層体を用意する工程と、
    前記断熱容器用積層体を所定の形状に打ち抜く打ち抜き工程と、
    前記打ち抜かれた断熱容器用積層体を加熱してカバー層を発泡せしめる加熱工程と、
    前記カバー層が発泡された状態の断熱容器用積層体を容器形状に成型する成型工程と、
    を含むことを特徴とする断熱容器の製造方法。
  10. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の断熱容器用積層体を用意する工程と、
    前記断熱容器用積層体を加熱してカバー層を発泡せしめる加熱工程と、
    前記カバー層が発泡した状態の断熱容器用積層体を所定の形状に打ち抜く打ち抜き工程と、
    前記打ち抜かれた断熱容器用積層体を容器形状に成型する成型工程と、
    を含むことを特徴とする断熱容器の製造方法。
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