JP2019000859A - 塑性流動結合方法及び塑性流動結合装置 - Google Patents

塑性流動結合方法及び塑性流動結合装置 Download PDF

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Abstract

【課題】アウター部材とインナー部材とを塑性流動結合によって結合させる場合に、アウター部材とインナー部材との結合強度を適切に確保する。
【解決手段】アウター部材(アウタードラム20)の結合端部21における軸方向の一側の端面と、上記インナー部材(インナードラム30)の平板部(円板状部32)における上記軸方向の上記一側の面との両面を、パンチ5の上記軸方向の他側の面に当接させて、該両面の上記軸方向の位置を揃えた状態で、上記アウター部材の結合端部21をパンチ5とダイス2とで挟持して上記軸方向に加圧することで、該結合端部21を、上記インナー部材の被結合端面31の凹部34内に塑性流動させる。
【選択図】図5

Description

本発明は、塑性流動結合方法及び塑性流動結合装置に関する技術分野に属する。
従来から、金属製のアウター部材の端部と金属製のインナー部材の端部とを結合させる際に、塑性流動結合が利用されることがある。
例えば、特許文献1には、有底円筒状のアウター部材の底部における径方向の内側の端部を結合端部とし、円筒状のインナー部材の軸方向の一側の端部における外周面を被結合端面として、上記結合端部を上記被結合端面に沿って突出させ、上記被結合端面に上記径方向の内側に凹んだ凹部を形成し、上記インナー部材の上記軸方向の上記一側の端部には、上記被結合端面と軸方向に略面一となるガイド面を有するガイド部材を当接させて、上記インナー部材の上記軸方向の上記一側の端部に上記ガイド部材が当接した状態で、上記結合端部を、パンチによって、該結合端部の突出方向に加圧して、上記アウター部材の上記結合端部を、上記インナー部材の上記被結合端面における凹部に塑性流動させる塑性流動結合方法が開示されている。
特許文献1の塑性流動結合方法では、上記アウター部材の上記結合端部におけるパンチによって加圧される面が、上記インナー部材の上記被結合端面よりも加圧方向の上流側に位置するため、上記アウター部材の上記結合端部が、上記インナー部材の上記被結合端部のエッジによって削られないようにするために、上記ガイド部材を用いている。
特開平3−106520号公報
ところで、アウター部材の結合端部がパンチによって加圧されたときには、結合端部は、該結合端部とパンチとが当接した部分から圧縮変形する。このとき、上記特許文献1のように、アウター部材の結合端部におけるパンチによって加圧される面が、インナー部材の被結合端面よりも加圧方向の上流側に位置するとともに、インナー部材の該加圧方向の上流側に、インナー部材の被結合端面と軸方向に略面一となるようなガイド面を有するガイド部材が設置されていると、上記結合端部の圧縮変形が上記ガイド面によって拘束されてしまい、上記結合端部からガイド部材に向かって荷重がかかることで、上記結合端部が、上記ガイド部材を押し退けて、上記ガイド部材とインナー部材との間の隙間に流れ込むおそれがある。また、上記ガイド部材から上記結合端部に反発荷重がかかって、該反発荷重によって上記結合端部が座屈変形するおそれもある。
上記のように、上記結合端部が上記ガイド部材とインナー部材との間の隙間に流れ込むと、バリが形成されてしまう。また、バリが形成されると、該バリとして流れた分だけ、上記被結合面の凹部に流れる肉の量が減少するため、アウター部材とインナー部材との結合強度も低下してしまう。また、上記結合端部が座屈変形した場合には、上記結合端部が上記被結合面の凹部に流れ込みにくくなるため、この場合も、アウター部材とインナー部材との結合強度が低下してしまう。このため、アウター部材とインナー部材とを塑性流動結合させる場合に、アウター部材とインナー部材との結合強度を適切に確保するという観点からは改良の余地がある。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アウター部材とインナー部材とを塑性流動結合させる場合に、アウター部材とインナー部材との結合強度を適切に確保することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、軸方向の一側に有孔の底部を有する有底筒状をなした金属製のアウター部材における、該底部の孔の内周縁部を結合端部とし、該軸方向に対して垂直な方向に延びる平板部を有した金属製のインナー部材における、当該平板部の外周面を被結合端面として、上記アウター部材の上記結合端部の内周面と上記インナー部材の上記被結合端面とを塑性流動結合する塑性流動結合方法を対象として、上記アウター部材の上記結合端部は、上記底部の孔における内周縁部を、上記インナー部材の上記被結合端面に沿って、上記軸方向の上記一側に向かって延出させることで構成されたものであり、上記インナー部材の上記被結合端面は、上記軸方向に対して垂直な方向に凹んだ凹部が全周に亘って形成されたものであって、上記アウター部材の上記結合端部の内周面と上記インナー部材の上記被結合端面とが、上記軸方向に対して垂直な方向に対向するように、上記アウター部材と上記インナー部材とをそれぞれ配置する配置工程と、上記配置工程で配置された上記アウター部材の上記底部を、該底部の上記軸方向の他側の面と接触するダイスと、該底部の上記軸方向の上記一側の面と接触しかつ筒状をなしたアウター部材側押さえ型とによって、上記アウター部材の上記結合端部における上記軸方向の上記一側の端面が露出した状態で、上記軸方向に挟持するアウター部材挟持工程と、上記配置工程で配置された上記インナー部材の上記平板部を、該平板部の上記軸方向の上記他側の面と接触するインナー部材側押さえ型と、該平板部の上記軸方向の上記一側の面と接触するパンチとによって、上記軸方向に挟持するインナー部材挟持工程と、上記アウター部材挟持工程及び上記インナー部材挟持工程の後又は上記各挟持工程と同時に、上記パンチを上記軸方向の上記他側に向かって移動させて、上記アウター部材の上記結合端部における上記軸方向の上記一側の端面と、上記インナー部材の上記平板部における上記軸方向の上記一側の面との両面を、上記パンチの上記軸方向の上記他側の面に当接させて、該両面の上記軸方向の位置を揃える位置合わせ工程と、上記位置合わせ工程の後又は上記位置合わせ工程と同時に、上記パンチを上記軸方向の上記他側に向かって移動させて、上記アウター部材の上記結合端部を上記パンチと上記ダイスとで挟持して上記軸方向に加圧することで、該結合端部を、上記インナー部材の上記被結合端面の上記凹部内に塑性流動させる塑性流動工程と、を含むという構成とした。
この構成によると、アウター部材の結合端部における上記軸方向の上記一側の端面と、インナー部材の平板部における上記軸方向の上記一側の面との両面を、パンチの上記軸方向の上記他側の面に当接させて、該両面の上記軸方向の位置を揃えた状態で、パンチによって上記結合端部を加圧するため、該結合端部における圧縮変形する部分の近くに、インナー部材の被結合端面の凹部が位置するようになり、上記結合端部の圧縮変形が拘束されにくいため、上記結合端部がインナー部材とパンチとの間に入り込みにくくなるとともに、上記結合端部が座屈変形しにくくなる。また、上記結合端部を加圧する間、上記両面の上記軸方向の位置が揃っていれば、上記平板部における上記軸方向の上記一側の面と上記被結合端面との間の角部によって、上記結合端面が削られることもない。
これらのことによって、アウター部材の結合端部が、インナー部材の被結合端面の凹部に適切に塑性流動するようになり、アウター部材とインナー部材とを塑性流動結合によって結合する場合に、アウター部材とインナー部材との結合強度を適切に確保することができる。
上記塑性流動結合方法の一実施形態において、上記アウター部材は、自動車の自動変速機のクラッチ装置におけるクラッチドラムの一構成要素であるアウタードラムであり、上記インナー部材は、上記クラッチドラムの他の構成要素であるインナードラムである。
すなわち、自動変速機のクラッチドラムにおけるアウタードラムとインナードラムとの間には、高い結合強度が求められる。このため、アウター部材が上記アウタードラムであり、インナー部材が上記インナードラムである場合には、アウター部材とインナー部材とを塑性流動結合によって結合させるときに、上記塑性流動結合方法を適用することによって、アウター部材とインナー部材との結合強度を適切に確保するという効果が、適切に発揮される。
上記塑性流動結合方法において、上記ダイスには、上記軸方向に対して垂直な方向における、上記アウター部材の上記結合端部に対応する部分に、上記軸方向の上記一側に向かって突出した凸部が形成されている、ことが望ましい。
この構成によると、アウター部材の結合端部を出来る限り早期にパンチとダイスとで挟持することができるため、アウター部材の結合端部の、インナー部材の被結合端面の凹部への塑性流動を出来る限り早く開始することができる。これにより、アウター部材とインナー部材との塑性流動結合を効率良く行うことができる。
上記塑性流動結合方法において、上記アウター部材側押さえ型の内周面には、上記アウター部材を挟持した状態で、上記アウター部材の上記結合端部と対向する部分に、上記軸方向の上記他側に向かって、上記軸方向に対して垂直な方向に広がるテーパー部が形成されている、ことが望ましい。
すなわち、アウター部材の結合端部が上記軸方向に加圧されたときには、該結合端部は、上記軸方向に垂直な方向における、上記被結合端面側とアウター部材側押さえ型側との両側に広がるように圧縮変形する。このとき、仮に、アウター部材側押さえ型の内周面に、上記テーパー部が設けられていない場合には、上記結合端部が加圧されたときに、アウター部材側押さえ型の内周面によって上記結合端部の上記圧縮変形が拘束されてしまい、アウター部材側押さえ型の内周面から上記結合端部に上記軸方向に対して垂直な方向の反発荷重が入力されて、該反発荷重によって、上記結合端部が座屈変形するおそれがある。そこで、アウター部材側押さえ型の内周面に、上記テーパー部を設けることで、上記結合端部が加圧されたときに、アウター部材側押さえ型の内周面によって上記結合端部の上記圧縮変形が拘束されないようにする。これにより、上記結合端部の座屈変形をより効果的に防止することができる。
上記塑性流動結合方法において、上記アウター部材の上記底部は、上記軸方向の上記一側に向かって、上記アウター部材の筒内側に傾斜した傾斜構造をなしており、上記ダイス及び上記アウター部材側押さえ型における、上記アウター部材の上記底部を挟持する部分は、上記筒内側が、該筒内側とは反対側よりも上記軸方向の上記一側に位置するような階段形状を有する、ことが望ましい。
すなわち、仮に、ダイス及びアウター部材側押さえ型における、アウター部材の底部を挟持する部分が、該底部の傾斜構造に対応した傾斜面によって形成されていると、アウター部材の結合端部が上記軸方向に加圧されたときには、該結合端部の一部が上記底部に向かって流れていき、上記底部に反り等が発生するおそれがある。そこで、ダイス及びアウター部材側押さえ型における、アウター部材の底部を挟持する部分に階段形状を形成することによって、上記結合端部の上記底部に向かう流れを上記階段形状によって塞き止める。これにより、上記結合端部が上記軸方向に加圧されたときに、該結合端部が上記底部に向かって流れて行くのを抑制する。この結果、上記底部に反り等が発生することを抑制することができる。
本発明の別の態様は、軸方向の一側に有孔の底部を有する有底筒状をなした金属製のアウター部材における、該底部の孔の内周縁部を結合端部とし、上記軸方向に対して垂直な方向に延びる平板部を有した金属製のインナー部材における、当該平板部の外周面を被結合端面として、上記アウター部材の上記結合端部の内周面と上記インナー部材の上記被結合端面とを塑性流動結合する、塑性流動結合装置の発明であり、この発明では、上記アウター部材の上記結合端部は、上記底部の孔における内周縁部を、上記インナー部材の上記被結合端面に沿って、上記軸方向の上記一側に向かって延出させることで構成されたものであり、上記インナー部材の上記被結合端面は、上記軸方向に対して垂直な方向に凹みかつ上記アウター部材の上記結合端部が塑性流動する凹部が、全周に亘って形成されたものであって、上記アウター部材の上記底部の上記軸方向の他側の面と接触するダイスと、上記アウター部材の上記底部の上記軸方向の上記一側の面と接触しかつ上記ダイスと協働して、上記アウター部材の上記底部を、上記アウター部材の上記結合端部における上記軸方向の上記一側の端面が露出した状態で該軸方向に挟持するアウター部材側押さえ型と、上記インナー部材の上記平板部の上記軸方向の他側の面と接触するインナー部材側押さえ型と、上記インナー部材の上記平板部の上記軸方向の上記一側の面と接触しかつ上記インナー部材側押さえ型と協働して、上記インナー部材の上記平板部を上記軸方向に挟持しかつ上記軸方向に移動可能なパンチとを備え、上記パンチは、上記アウター部材の上記結合端部の内周面と上記インナー部材の上記被結合端面とが、上記軸方向に垂直な方向に対向するように、上記アウター部材と上記インナー部材とが配置されるとともに、上記アウター部材が上記ダイスと上記アウター部材側押さえ型とにより挟持されかつ上記インナー部材が上記インナー部材側押さえ型と上記パンチとにより挟持された状態で、上記アウター部材の上記結合端部における上記軸方向の上記一側の端面と、上記インナー部材の上記平板部における上記軸方向の上記一側の面との両面の上記軸方向の位置を揃えるように構成され、さらに上記パンチは、上記両面の上記軸方向の位置を揃えた状態で、上記軸方向の上記他側に移動されて、上記結合端部を上記軸方向に加圧するように構成されている、ものとした。
この塑性流動結合装置により、上記塑性流動結合方法と同様に、アウター部材の結合端部が上記軸方向に加圧されたときに、上記結合端部がインナー部材とパンチとの間に入り込みにくくすることができる。これにより、アウター部材の結合端部を、インナー部材の被結合端面の凹部に適切に塑性流動させることができ、アウター部材とインナー部材とを塑性流動結合によって結合する場合に、アウター部材とインナー部材との結合強度を適切に確保することができる。
以上説明したように、本発明に係る塑性流動結合方法及び塑性流動結合装置では、アウター部材の結合端部の内周面と、インナー部材の被結合端面が対向するように、上記アウター部材と上記インナー部材とを配置するとともに、上記アウター部材がダイスとアウター部材側押さえ型によって挟持されかつ上記インナー部材がインナー部材側押さえ型とパンチによって挟持された状態で、パンチによって、上記アウター部材の上記結合端部が軸方向に加圧されたときに、上記結合端部が上記インナー部材と上記パンチとの間に入り込みにくくなるとともに、上記結合端部が座屈変形しにくくなるため、上記アウター部材の上記結合端部を、上記インナー部材の上記被結合端面の凹部に適切に塑性流動させることができ、上記アウター部材と上記インナー部材とを塑性流動結合させる場合に、上記アウター部材と上記インナー部材との結合強度を適切に確保することができる。
本発明の実施形態に係る塑性流動結合方法を実行するための塑性流動結合装置を示す断面図であって、アウタードラム及びインナードラムの結合前の状態を示す。 上記インナードラムの被結合端面を径方向の外側から見た側面図である。 図1の状態において、上記塑性流動結合装置における、アウタードラムの結合端部及びインナードラムの被結合端面の周辺を拡大した拡大断面図である。 ダイスと上側プレッサーとによってアウタードラムを挟持し、下側プレッサーとパンチとによってインナードラムを挟持した状態を示す図3相当図である。 パンチの下面に、上記アウタードラムの上記結合端部の上面及び上記インナードラムの円板状部の上面が当接した状態を示す図3相当図である。 上記アウタードラムの上記結合端部が圧縮変形した状態を示す図3相当図である。 上記アウタードラムと上記インナードラムとの塑性流動結合が完了した状態を示す図3相当図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る塑性流動結合方法を実行するための塑性流動結合装置1(以下、単に結合装置1という)を示す。この結合装置1は、図3〜図7に示すように、軸方向の一側に有孔の底部25を有する有底円筒状のアウタードラム20における、該底部25の最も筒内側の端部を結合端部21とし、該軸方向に対して垂直な方向(後述する径方向と一致する)に延びる円板状部32(平板部)を有するインナードラム30における、当該円板状部31の外周面を被結合端面31として、アウタードラム20の結合端部21の内周面と、インナードラム30の被結合端面31とが上記軸方向に垂直な方向に対向するように、アウタードラム20とインナードラム30とを配置した状態で、上記結合端部21を上記軸方向に加圧することで、アウタードラム20の結合端部21の内周面21a(図3〜図7参照)とインナードラム30の被結合端面31とを塑性流動結合するものである。尚、本実施形態では、結合装置1によって、アウタードラム20とインナードラム30とを塑性流動結合させる際には、上記軸方向が上下方向と一致するように、アウタードラム20及びインナードラム30が配置されるため、以下の説明では、上記軸方向を上下方向といい、上記軸方向の上記一側を上側といい、上記軸方向の上記他側を下側ということがある。
アウタードラム20は、自動車の自動変速機のクラッチ装置におけるクラッチドラムの一構成要素である。一方で、インナードラム30は、上記クラッチドラムにおける他の構成要素である。つまり、アウタードラム20とインナードラム30とが結合されることで、1つのクラッチドラムが形成される。実際に自動変速機に配置された状態では、アウタードラム20には、上記クラッチ装置の摩擦要素である摩擦板が取り付けられる一方、インナードラム30は、上記自動変速機の動力伝達軸と接続される。そして、上記動力伝達軸の回転によってインナードラム30が回転することで、アウタードラム20もインナードラム30と共に回転するようになっている。インナードラム30には、上記動力伝達軸の回転が直接的に伝達されるため、該インナードラム30はある程度変形しにくい金属で構成する必要があり、本実施形態では、インナードラム30は鋼で構成されている。一方で、アウタードラム20は、上記自動変速機全体の軽量化を図る観点から、本実施形態では、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成されている。
アウタードラム20は、図1に示すように、底部25に加えて、上下方向(軸方向)に沿って延びる円筒状の第1周壁部22と、上下方向に沿って延びかつ該第1周壁部22よりも径が小さい円筒状の第2周壁部23と、第1周壁部22の上側の端部と第2周壁部23の下側の端部とを連結する連結部24とを有している。底部25は、第2周壁部23の上側端部から径方向の内側(つまり筒内側)に向かって延びている。本実施形態では、底部25は、上側に向かって上記径方向の内側に傾斜した傾斜構造を有している。アウタードラム20の結合端部21は、図3〜図6に示すように、底部25における内周縁部を、インナードラム30の被結合端面31に沿って、上側に延出させることで構成されている。このアウタードラム20の形状は、プレス加工によって予め形成されている。
インナードラム30は、図1に示すように、上下方向(軸方向)に沿って延びる円筒部33を有し、該円筒部33の下側の端部から上記径方向の外側に広がるようにかつ該円筒部33と同心に円板状部32が形成されている。つまり、円板状部32は円環状をなしている。円板状部32の外径は、アウタードラム20の結合端部21における内径よりも僅かに小さい。
円板状部32の被結合端面31には、図3〜図7に示すように、上記軸方向に対して垂直な方向に向かって凹んだ、詳しくは、径方向の内側に向かって凹んだ複数の凹部34が形成されている。
円板状部32の被結合端面31に形成された複数の凹部34は、図2に示すように、周方向に延びかつ周方向全体に亘って連続的に形成された第1横溝34aと、該第1横溝34aに対して上側に離間して設けられかつ周方向に延びかつ周方向全体に亘って連続的に形成された第2横溝34bと、該第2横溝34bの上側の部分に連続するように形成されかつ上記軸方向に延びかつ周方向に断続的に形成された複数のローレット溝34cとを有している。各ローレット溝34cは、円板状部32の上面から第2横溝34bまで延びている。尚、図3〜図7では、上記被結合端面31における、第2横溝34bとローレット溝34cとが連続した部分を切断している。
アウタードラム20の結合端部21の内周面と、インナードラム30の被結合端面31とが、上記径方向に対向するように、アウタードラム20とインナードラム30とを配置した状態で、上記結合端部21を上下方向(軸方向)に加圧したときには、該結合端部21が複数の凹部34内に塑性流動して、アウタードラム20の結合端部21の内周面21aとインナードラム20の被結合端面31とが結合される。アウタードラム20とインナードラム30とが結合されたものにおいて、第1及び第2横溝34a,34bは、上記軸方向の荷重を受けて、アウタードラム20とインナードラム30とが該軸方向に分離するのを防止する役割を果たす。一方で、複数のローレット溝34cは、アウタードラム20とインナードラム30との結合体が上記自動変速機に搭載された状態で、インナードラム30の回転をアウタードラム20に適切に伝達する役割を果たす。
次に、アウタードラム20とインナードラム30とを塑性流動結合するための結合装置1の構成について説明する。図1及び図3〜図7に示すように、結合装置1は、上面にアウタードラム20が載置されるダイス2と、上面にインナードラム30が載置される下側プレッサー3(インナー部材側押さえ型)と、上記ダイス2協働してアウタードラム20の底部25を上下方向に挟持する(特に図4〜図7参照)上側プレッサー4(アウター部材側押さえ型)と、上記下側プレッサー3と協働してインナードラム30の円板状部32を上下方向に挟持するとともに、上記ダイス2と協働してアウタードラム20の結合端部21を挟持して、該結合端部21を上下方向(軸方向)に加圧する(特に図4〜図7参照)パンチ5とを有している。
ダイス2は、図1に示すように、アウタードラム20の形状に対応して、径の異なる円筒部材が同心に上下に連続して形成された形状をなしている。具体的には、ダイス2は、相対的に径の大きい大径部2aと、該大径部2aの上側に設けられかつ相対的に径の小さい小径部2bとを有している。アウタードラム20の底部25を挟持するときには、小径部2bの上側端部が底部25の下面と接触する。
ダイス2は、図1に示すように、テーブル10の上に載置され、該テーブル10にボルト100によって固定されている。テーブル10自体も、基台11にボルト101によって固定されている。
ダイス2の筒内は、上下方向の中間に肩部2cが形成されており、該肩部2cよりも下側の部分は、該肩部2cよりも上側の部分よりも内径が小さくなっている。
ダイス2の筒内の筒内には、図1に示すように、下側プレッサー3が収容され、下側プレッサー3の下面とテーブル10の上面とは、弾性部材7によって連結されている。弾性部材7は、図1に示すように、例えば、ダイス2の内径と同程度の径を有する1つのコイルバネで構成されている。尚、弾性部材7をダイス2の内径よりも小さい径のコイルバネで構成して、該弾性部材7を、ダイス2の周方向に断続的に複数配置するようにしてもよい。
ダイス2の小径部2bの上側端部は、図3〜図7に示すように、該上側端部における、アウタードラム20の底部25を挟持する部分に、上記径方向の内側が、上記径方向の外側よりも上側に位置するような階段形状をなした階段状部40を有している。また、ダイス2の小径部2bの上側端部には、該上側端部における、アウタードラム20の結合端部に対応する部分に、ダイス2の階段状部40よりも上側に突出した凸部50が形成されている。階段状部40及び凸部50のエッジ部分は、それぞれアール状に加工されている。
下側プレッサー3は、図1に示すように、該下側プレッサーの大部分を構成する円柱部3aと、該円柱部3aの上側端部に設けられ、円柱部3aの径方向の外側に広がった鍔部3bと、円柱部3aの上面における径方向の中央から軸状に上側に突出した軸状突出部3cを有している。円柱部3aの径は、ダイス2の肩部2cよりも下側の部分の内径と同程度の径であり、鍔部3bの外径は、ダイス2の肩部2cよりも上側の部分の内径と同程度の径であり、軸状突出部3cの径は、下側プレッサー4にセットされるインナードラム30の円筒部33の筒内に嵌合するような径である。
下側プレッサー3は、上記弾性部材7によって上側に付勢されており、該下側プレッサー3に下側に向かう荷重が加えられていない状態では、鍔部3bの下面とダイス2の肩部2cとの上下方向の間に隙間が形成されるようになっている。下側プレッサー3が弾性部材7の付勢力に抗して下側に移動したときには、鍔部3bがダイス2の肩部2cに係止されて、下側プレッサー3がこれ以上下側に移動できないようになる。尚、下側プレッサー3の鍔部3bの上下方向の厚みは、該鍔部3bがダイス2の肩部2cに係止された状態で、該鍔部3bの上面とダイス2の凸部50の上面とが上下方向に面一となるような厚みに設定されている。
下側プレッサー3は、パンチ5と協働してインナードラム30の円板状部32を挟持するときには、該円板状部32の下面と接触する。
本実施形態では、上側プレッサー4及びパンチ5は、図1に示すように、円筒状のケース8の筒内に位置している。ケース8の内周部分には、径方向の内側に突出された係止片8aが形成され、上側プレッサー4は、アウタードラム30と当接していない状態では、該係止部8aに引っ掛かった状態となる。ケース8は、不図示のシリンダ装置によって上下方向に移動可能となっており、ケース8が上下移動したときには、上側プレッサー4及びパンチ5もケース8と共に上下に移動するようになっている。
上側プレッサー4は、図1に示すように、上下方向に延びる筒状をなしており、筒内にはパンチ5が内周面に摺動可能に設けられている。これにより、上側プレッサー4の大部分は、パンチ5の上下方向の動作をガイドするパンチガイド部4aとして構成されている。パンチガイド部4aの上側端部(つまり、上側プレッサー4の上側端部)には、上側プレッサー4を下側に向かって付勢する弾性部材9の下側端が取り付けられている。該弾性部材9の上側端はケース8に取り付けられている。上側プレッサー4のパンチガイド部4aには、図1に示すように、ケース8の係止片8aに引っ掛かる被係止部が設けられており、該被係止部が上記係止片8aに引っ掛かることで、弾性部材9の付勢力よって上側プレッサー4が下側に移動しようとしても、上側プレッサー4は、パンチガイド部4aが係止片8aに引っ掛かった状態からさらに下側には移動できないようになっている。弾性部材9は、例えば、コイルバネで構成されている。パンチガイド部4aの下側端部は、上記被係止部よりも径方向の内側の部分から下側に突出しており、上記被係止部がケース8の係止片8aに引っ掛かった状態で、パンチガイド部4aの下側端部は、パンチ5の下面5a(図4〜図7参照)よりも下側に位置するようになっている。尚、図1では、パンチガイド部4aの上側端部に下側に向かって凹む凹部が形成され、弾性部材9の下側の部分が該凹部内に入り込んだ状態となっているが、パンチガイド部4aの上側端部に上記凹部を設けずに、弾性部材9の下側端がパンチガイド部4aの上面に取り付けられる構成であってもよい。
上側プレッサー4の下側端部は、該下側端部における径方向の外側の部分が該径方向の内側の部分よりも下側に延びており、図4〜図7に示すように、この径方向の外側の部分は、ダイス2の小径部2bと協働して、アウタードラム20の第2周壁部24を径方向に押さえる径方向押さえ部4bを構成している。上側プレッサー4の下側端部において、パンチガイド部4aの下面と径方向押さえ部4bの内周面との間の部分には、上記径方向の内側が、上記径方向の外側よりも上側に位置するような階段形状をなした階段状部41が形成されている。この階段状部41は、ダイス2の小径部2bと協働して、アウタードラム20の底部25を軸方向(つまり、上下方向)に挟持する。つまり、上側プレッサー4の階段状部41は、上側プレッサー4における、アウタードラム20の底部25を挟持する部分に設けられているといえる。上側プレッサー4の階段状部41は、図4〜図7に示すように、ダイス2の階段状部40よりも径方向の外側に位置するように形成されている。上側プレッサー4の階段状部41も、ダイス2の階段状部40と同様に、エッジ部分がアール状に加工されている。
また、図4〜図7に示すように、上側プレッサー4の内周面には、アウタードラム20の底部25を挟持した状態で、アウタードラム20の結合端部21と対向する部分、詳しくは、パンチガイド部4aの下側端部における径方向の内側の部分に、下側に向かって、径方向の外側に広がるテーパー部60が形成されている。該テーパー部60の上下方向に対する鋭角側の角度は、例えば5°に設定することができる。
パンチ5は、図1に示すように、円筒状をなしており、パンチ5の内径は、インナードラム30の円筒部33に嵌合するような径に設定されている。パンチ5の下面5aにおける外径と内径との差の半分の値(以下、下面5aの径方向の長さという)は、インナードラム30の円板状部32の径方向の幅よりも大きい値に設定されている。より具体的には、パンチ5の外径は、図4〜図7に示すように、パンチ5の下面5aの径方向の長さは、インナードラム30の円板状部32の外径とアウタードラム20の結合端部21の径方向の厚みとを合計した値よりも若干大きくなるような値に設定されている。
詳細には図示していないが、パンチ5はケース8に対して固定されている。
次に、上記構成の結合装置1を用いて、アウタードラム20とインナードラム30とを結合する方法を説明する。
先ず、アウタードラム20の結合端部21の内周面とインナードラム30の被結合端面31とが上記径方向に対向するように、アウタードラム20とインナードラム30とをそれぞれ配置する。具体的には、ダイス2に、アウタードラム20を、結合端部21がダイス2の凸部50の上に位置するようにかつアウタードラム20の底部25がダイス2の階段状部40に接触するようにセットし、下側プレッサー3の上面に、インナードラム30を、円板状部32が下側に位置しかつ円筒部33の内周面が下側プレッサー3の軸状突出部3aの外周面に接触するようにセットする。このとき、下側プレッサー3は、弾性部材7(図1参照)の付勢力によって、下側プレッサー3の鍔部3bの上面がダイス2の凸部50よりも僅かに上側に位置するように位置しているため、アウタードラム20及びインナードラム30を上述のようにセットすれば、図3に示すように、結合端部21の内周面と被結合端面31とが自動的に上記径方向に対向するようになる。
続いて、上記シリンダ装置によって、ケース8ごと上側プレッサー4及びパンチ5を下側に移動させる。上側プレッサー4のパンチガイド部4aの下側端部及び上側プレッサー4の階段状部41は、パンチ5の下面5aよりも下側に位置しているため、図4に示すように、パンチ5の下面5aがインナー部材30に当接する前に、上側プレッサー4のパンチガイド部4aの下側端部及び上側プレッサー4の階段状部41が、アウター部材20の底部25に当接する。上側プレッサー4がアウター部材20の底部25に当接した後、ケース8はさらに下側に移動するが、上側プレッサー4は、弾性部材9が縮むことでアウター部材20の底部25に当接した状態から下側には移動しない。そして、上側プレッサー4が弾性部材9によって下側に付勢されることで、ダイス2と上側プレッサー4とで、アウタードラム20の底部25が上下方向に挟持される。このとき、アウタードラム20は、結合端部21の上面21bが露出した状態で挟持される。
上側プレッサー4がアウター部材20の底部25に当接した後、ケース8をさらに下側に移動させると、図4に示すように、パンチ5の下面5aが円板状部32の上面32aに当接する。これにより、下側プレッサー3とパンチ5とによって、インナードラム30の円板状部32が上下方向に挟持される。このとき、パンチ5の下面5aの径方向の長さは、インナードラム30の円板状部32の外径とアウタードラム20の結合端部21の径方向の厚みとを合計した値よりも若干大きくなるような値に設定されているため、図4に示すように、パンチ5の下面5aにおける径方向の外側の部分が、インナードラム30の被結合端面31よりも径方向の外側にはみ出した状態となる。
次いで、ケース8をさらに下側に移動させて、パンチ5を下側に移動させると、パンチ5は、弾性部材7(図1参照)の付勢力に抗して、インナードラム30及び下側プレッサー3を下側に押すため、インナードラム30及び下側プレッサー3は共に下側に移動する。そして、図5に示すように、パンチ5の下面5aにおける径方向の外側の部分が、上記結合端部21の上面21bと当接したときには、上記結合端部21の上面21bと上記円板状部32の上面32aとの両面が、パンチ5の下面5aに当接して、該両面21b,32aの上下方向の位置が揃う(つまり、面一になる)。
図5の状態から、ケース8をさらに下側に移動させて、パンチ5をさらに下側に移動させると、パンチ5とダイス2(厳密には、ダイス2の凸部50)とによって上記結合端部21が上下方向に挟持されて、パンチ5によって、上記結合端部21が加圧される。これにより、図6に示すように、上記結合端部21が圧縮変形(厳密には、圧縮塑性変形)して、厚み方向(アウタードラム20の径方向と一致する)に広がる。これにより、上記結合端部21が上記被結合端面31の凹部34に塑性流動する。このとき、インナードラム30及び下側プレッサー3は、図6に示すように、パンチ5の下側への移動によって、上記結合端部21が上下に圧縮された分だけ下側に移動する。これにより、パンチ5は、図6に示すように、上記結合端部21の上面21bと上記円板状部32の上面32aとの上下方向の位置を揃えたまま、上記結合端部21を加圧し続けるようになる。
やがて、図7に示すように、下側プレッサー3の鍔部3bがダイス2の肩部2cに係止されて、該鍔部3bの上面とダイス2の凸部50の上面とが揃う。このときには、上記結合端部21が上記被結合端面31の凹部34内に入り込み、アウタードラム20の結合端部21の内周面21aとインナードラム30の被結合端面31とが塑性流動結合される。
ここで、従来は、アウタードラム20の結合端部21の上面21bが、インナードラム30の被結合端面31よりも、上側に位置した状態で上記結合端部21を加圧していた。また、従来は、加圧時に、上記結合端部21がインナードラム30側に座屈しないように、上記被結合端面31と略面一になるようなガイド面を有するガイド部材を配置していた。しかし、上記結合端部21の圧縮変形が上記ガイド部材によって拘束されてしまうため、上記結合端部21から上記ガイド部材に向かって荷重がかかり、上記結合端部21が上記ガイド部材を押し退けて、上記ガイド部材とインナードラム30との間に隙間に流れ込んで、バリが形成される可能性があった。また、上記ガイド部材から上記結合端部21に反発荷重がかかって、該反発荷重によって、上記結合端部21が座屈変形する可能性もあった。
上記バリが形成されると、該バリとして流れた分だけ、上記被結合面31の凹部34に流れる肉の量が減少して、アウタードラム20とインナードラム30との結合強度が低下してしまう。また、上記結合端部21が座屈変形した場合には、該結合端部21が上記非結合端面31の凹部34に流れ込みにくくなるため、この場合も、アウタードラム20とインナードラム30との結合強度が低下してしまう。特に、本実施形態のように、アウタードラム20の材料としてアルミニウム又はアルミニウム合金を用いている場合、アルミニウム及びアルミニウム合金は、鋼と比較して変形しやすいため、上記結合端部21が座屈変形しやすく、アウタードラム20とインナードラム30との結合強度の低下が問題となりやすい。
これに対して、本実施形態では、アウタードラム20の結合端部21の上面21bと、インナードラム30の円板状部31における上面32aとの両面を、パンチ5の下面5aに当接させて、該両面21b,32aの上下方向の位置を揃えた状態で、パンチ5によって上記結合端部21を加圧するため、該結合端部21における圧縮変形する部分の近くに、上記被結合端面31の凹部34が位置するようになり、上記結合端部21の圧縮変形が拘束されにくいため、上記結合端部21がインナードラム30とパンチ5との間に入り込みにくくなる。これにより、上記結合端部21を加圧したときにバリが形成されるのを防止することができる。
特に、本実施形態では、上記被結合端面31の上部には、凹部34として、円板状部32の上面32aまで延びるローレット溝34cが形成されているため、上記結合端部21は、パンチ5による加圧によって圧縮変形した後直ぐに凹部34(特に、ローレット溝34c(図2参照))に流れ込むことができる。これにより、上記結合端部21の圧縮変形が一層拘束されにくくなるため、バリの形成をより効果的に防止することができる。
また、上記結合端部21の圧縮変形が拘束されにくくなることによって、該結合端部21の座屈変形も効果的に防止することができる。
さらに、本実施形態では、下側プレッサー3が弾性部材7によって上側に付勢されていることにより、上記円板状部32の上面32aがパンチ5に向かって加圧された状態となるため、インナードラム30とパンチ5との間には隙間が形成されにくい。
さらにまた、上記結合端部21を加圧する間、該結合端部21の上面21bと、上記円板状部32における上面32aとの両面の上下方向の位置が揃っていることにより、上記円板状部32の上面32aと上記被結合端面31との間の角部によって、上記結合端部21が削られることもない。
これらのことによって、アウタードラム20の結合端部21が、インナードラム30の被結合端面31の凹部34に適切に塑性流動するようになり、アウタードラム20とインナードラム30とを塑性流動結合によって結合する場合に、アウタードラム20とインナードラム30との結合強度を適切に確保することができる。
また、本実施形態では、上側プレッサー3の内周面には、アウタードラム20の底部25を挟持した状態で、アウタードラム20の結合端部21と対向する部分に、下側に向かって、径方向に広がるテーパー部60が形成されているため、アウタードラム20の結合端部21の座屈変形を防止することができる。
すなわち、アウタードラム20の結合端部21が上下方向に加圧されたときには、該結合端部は、径方向の内側(被結合端面31側)と外側(上側プレッサー4側)の両方に広がるように圧縮変形する。このとき、仮に、上側プレッサー4の内周面に、テーパー部60が設けられていない場合には、上記結合端部21が加圧されたときに、上側プレッサー4の内周面によって上記結合端部21の上記圧縮変形が拘束されてしまい、上側プレッサー4の内周面から上記結合端部21に径方向の反発荷重が入力される。そして、該反発荷重によって、上記結合端部21が座屈変形してしまう。上記結合端部21の座屈変形は、上述したように、アウタードラム20がアルミニウム又はアルミニウム合金によって構成されているときには特に生じ易い。
そこで、上側プレッサー4の内周面にテーパー部60を設けることで、上記結合端部21が加圧されたときに、上側プレッサー4の内周面によって上記結合端部21の上記圧縮変形が拘束されないようにする。これにより、上記結合端部21の座屈変形を防止することができる。
また、上側プレッサー4の内周面にテーパー部60を設けることで、アウタードラム20の結合端部21の圧縮変形が拘束されにくくなるため、該結合端部21が、パンチ5とインナードラム20との間に進入することによるバリの発生も、一層効果的に抑制することができる。
さらに、本実施形態では、ダイス2及び上側プレッサー4における、アウタードラム20の底部25を挟持する部分に、階段状部40,41がそれぞれ形成されているため、上記結合端部21が加圧されたときに、該結合端部21が上記底部25に向かって流れて行くのを、階段形状部40、41によって塞き止めることができる。これにより、上記結合端部21が上記底部25に向かって流れていくことによる、上記底部25及びアウタードラム20の第2周壁部25における反り等の発生する抑制することができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、上記実施形態では、アウター部材をアウタードラム20とし、インナー部材をインナードラム30として本発明を説明したが、アウター部材が有底筒状をなしかつ金属製の部材であり、インナー部材が、アウター部材の軸方向に対して垂直な方向に延びる平板部を有しかつ金属製の部材であれば、アウター部材及びインナー部材は、どのようなものであってもよい。
また、上記実施形態では、アウタードラム20をダイス2と上側プレッサー4で挟持しかつインナードラム30を下側プレッサー3とパンチ5とで挟持した後、アウタードラム20の結合端部21の上面21bとインナードラム30の円板状部32の上面32aとの両面の上下方向の位置を揃えていたが、これに限らず、アウタードラム20とインナードラム30とをセットした段階で、上記両面21b、32aの上下方向の位置が揃うようになっていてもよい。この場合、アウタードラム20を挟持する工程及びインナードラム30を挟持する工程と、上記両面21b、32aの上下方向の位置を揃える工程とが同時に行われることになる。さらに、上記実施形態では、上記両面21b、32aの上下方向の位置を揃えた後で、上記結合端部21が上下方向に加圧されていたが、上記両面21b、32aの上下方向の位置を揃えるのと同時に、上記結合端部21が上下方向に加圧されるようにしてもよい。これは、例えば、凸部50の上下方向の大きさを調整することで実現することができる。
さらに、上記実施形態では、上側プレッサー4のテーパー部60の、上下方向(軸方向)に対する鋭角側の角度を5°としたが、これに限らず、アウタードラム20の結合端部21が圧縮変形する際に、該結合端部21の圧縮変形を過度に拘束しないような角度であれば、5°より小さい角度でもよく、5°より大きい角度でもよい。
また、上記実施形態では、パンチ5はケース8と共に上下方向に移動するようになっていたが、これに限らず、パンチ5をケース8と独立して上下方向に移動できるにしてもよい。このときには、ケース8を上下動させる上記シリンダ装置とは別に、パンチ5を上下動させるためのシリンダ装置が必要となる。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明は、軸方向の一側に有孔の底部を有する有底筒状をなした金属製のアウター部材における、該底部の孔の内周縁部を結合端部とし、上記軸方向に対して垂直な方向に延びる平板部を有した金属製のインナー部材における、当該平板部の外周面を被結合端面として、アウター部材の結合端部の内周面とインナー部材の被結合端面とを塑性流動結合する場合に有用である。
1 塑性流動結合装置
2 ダイス
3 下側プレッサー(インナー部材側押さえ型)
4 上側プレッサー(アウター部材側押さえ型)
5 パンチ
5a パンチの下面(パンチの軸方向の他側の面)
20 アウタードラム(アウター部材)
21 結合端部
21a 結合端部の内周面
21b 結合端部の上面(結合端部の軸方向の一側の面)
25 底部
30 インナードラム(インナー部材)
31 被結合端面
32 円板状部材(平板部)
32a 円板状部材の上面(平板部の軸方向の一側の面)
34 凹部
40 階段状部(ダイスにおける、アウター部材の底部を挟持する部分)
41 階段状部(アウター部材側押さえ型における、アウター部材の底部を挟持する部分)
50 凸部
60 テーパー部

Claims (6)

  1. 軸方向の一側に有孔の底部を有する有底筒状をなした金属製のアウター部材における、該底部の孔の内周縁部を結合端部とし、上記軸方向に対して垂直な方向に延びる平板部を有した金属製のインナー部材における、当該平板部の外周面を被結合端面として、上記アウター部材の上記結合端部の内周面と上記インナー部材の上記被結合端面とを塑性流動結合する塑性流動結合方法であって、
    上記アウター部材の上記結合端部は、上記底部の孔における内周縁部を、上記インナー部材の上記被結合端面に沿って、上記軸方向の上記一側に向かって延出させることで構成されたものであり、
    上記インナー部材の上記被結合端面は、上記軸方向に対して垂直な方向に凹んだ凹部が全周に亘って形成されたものであって、
    上記アウター部材の上記結合端部の内周面と上記インナー部材の上記被結合端面とが、上記軸方向に対して垂直な方向に対向するように、上記アウター部材と上記インナー部材とをそれぞれ配置する配置工程と、
    上記配置工程で配置された上記アウター部材の上記底部を、該底部の上記軸方向の他側の面と接触するダイスと、該底部の上記軸方向の上記一側の面と接触しかつ筒状をなしたアウター部材側押さえ型とによって、上記アウター部材の上記結合端部における上記軸方向の上記一側の端面が露出した状態で、上記軸方向に挟持するアウター部材挟持工程と、
    上記配置工程で配置された上記インナー部材の上記平板部を、該平板部の上記軸方向の上記他側の面と接触するインナー部材側押さえ型と、該平板部の上記軸方向の上記一側の面と接触するパンチとによって、上記軸方向に挟持するインナー部材挟持工程と、
    上記アウター部材挟持工程及び上記インナー部材挟持工程の後又は上記各挟持工程と同時に、上記パンチを上記軸方向の上記他側に向かって移動させて、上記アウター部材の上記結合端部における上記軸方向の上記一側の端面と、上記インナー部材の上記平板部における上記軸方向の上記一側の面との両面を、上記パンチの上記軸方向の上記他側の面に当接させて、該両面の上記軸方向の位置を揃える位置合わせ工程と、
    上記位置合わせ工程の後又は上記位置合わせ工程と同時に、上記パンチを上記軸方向の上記他側に向かって移動させて、上記アウター部材の上記結合端部を上記パンチと上記ダイスとで挟持して上記軸方向に加圧することで、該結合端部を、上記インナー部材の上記被結合端面の上記凹部内に塑性流動させる塑性流動工程と、を含むことを特徴とする塑性流動結合方法。
  2. 請求項1に記載の塑性流動結合方法において、
    上記アウター部材は、自動車の自動変速機のクラッチ装置におけるクラッチドラムの一構成要素であるアウタードラムであり、
    上記インナー部材は、上記クラッチドラムの他の構成要素であるインナードラムであることを特徴とする塑性流動結合方法。
  3. 請求項1又は2に記載の塑性流動結合方法において、
    上記ダイスには、上記軸方向に対して垂直な方向における、上記アウター部材の上記結合端部に対応する部分に、上記軸方向の上記一側に向かって突出した凸部が形成されていることを特徴とする塑性流動結合方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の塑性流動結合方法において、
    上記アウター部材側押さえ型の内周面には、上記アウター部材を挟持した状態で、上記アウター部材の上記結合端部と対向する部分に、上記軸方向の上記他側に向かって、上記軸方向に対して垂直な方向に広がるテーパー部が形成されていることを特徴とする塑性流動結合方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の塑性流動結合方法において、
    上記アウター部材の上記底部は、上記軸方向の上記一側に向かって、上記アウター部材の筒内側に傾斜した傾斜構造をなしており、
    上記ダイス及び上記アウター部材側押さえ型における、上記アウター部材の上記底部を挟持する部分は、上記筒内側が、該筒内側とは反対側よりも上記軸方向の上記一側に位置するような階段形状を有することを特徴とする塑性流動結合方法。
  6. 軸方向の一側に有孔の底部を有する有底筒状をなした金属製のアウター部材における、該底部の孔の内周縁部を結合端部とし、上記軸方向に対して垂直な方向に延びる平板部を有した金属製のインナー部材における、当該平板部の外周面を被結合端面として、上記アウター部材の上記結合端部の内周面と上記インナー部材の上記被結合端面とを塑性流動結合する、塑性流動結合装置であって、
    上記アウター部材の上記結合端部は、上記底部の孔における内周縁部を、上記インナー部材の上記被結合端面に沿って、上記軸方向の上記一側に向かって延出させることで構成されたものであり、
    上記インナー部材の上記被結合端面は、上記軸方向に対して垂直な方向に凹みかつ上記アウター部材の上記結合端部が塑性流動する凹部が、全周に亘って形成されたものであって、
    上記アウター部材の上記底部の上記軸方向の他側の面と接触するダイスと、
    上記アウター部材の上記底部の上記軸方向の上記一側の面と接触しかつ上記ダイスと協働して、上記アウター部材の上記底部を、上記アウター部材の上記結合端部における上記軸方向の上記一側の端面が露出した状態で該軸方向に挟持するアウター部材側押さえ型と、
    上記インナー部材の上記平板部の上記軸方向の他側の面と接触するインナー部材側押さえ型と、
    上記インナー部材の上記平板部の上記軸方向の上記一側の面と接触しかつ上記インナー部材側押さえ型と協働して、上記インナー部材の上記平板部を上記軸方向に挟持しかつ上記軸方向に移動可能なパンチとを備え、
    上記パンチは、上記アウター部材の上記結合端部の内周面と上記インナー部材の上記被結合端面とが、上記軸方向に垂直な方向に対向するように、上記アウター部材と上記インナー部材とが配置されるとともに、上記アウター部材が上記ダイスと上記アウター部材側押さえ型とにより挟持されかつ上記インナー部材が上記インナー部材側押さえ型と上記パンチとにより挟持された状態で、上記アウター部材の上記結合端部における上記軸方向の上記一側の端面と、上記インナー部材の上記平板部における上記軸方向の上記一側の面との両面の上記軸方向の位置を揃えるように構成され、
    さらに上記パンチは、上記両面の上記軸方向の位置を揃えた状態で、上記軸方向の上記他側に移動されて、該結合端部を上記軸方向に加圧するように構成されていることを特徴とする塑性流動結合装置。
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