JP2018531497A6 - ナトリウムイオン電池の製造方法 - Google Patents

ナトリウムイオン電池の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018531497A6
JP2018531497A6 JP2018520557A JP2018520557A JP2018531497A6 JP 2018531497 A6 JP2018531497 A6 JP 2018531497A6 JP 2018520557 A JP2018520557 A JP 2018520557A JP 2018520557 A JP2018520557 A JP 2018520557A JP 2018531497 A6 JP2018531497 A6 JP 2018531497A6
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sodium
positive electrode
battery
negative electrode
active material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018520557A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018531497A (ja
Inventor
シャティロン,ヨアン
マーティン,ネリー
Original Assignee
コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from FR1560049A external-priority patent/FR3042915B1/fr
Application filed by コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ filed Critical コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
Publication of JP2018531497A publication Critical patent/JP2018531497A/ja
Publication of JP2018531497A6 publication Critical patent/JP2018531497A6/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

本発明は、電解質の両側に配置された正極及び負極を備えたナトリウムイオン電池の製造方法に関する。前記正極はナトリウム製の材料を活物質として含む。前記方法は、以下の工程を含む:
a)正極を電池に配置する前に、正極の表面にナトリウム塩を沈着させる工程;
b)正極、負極及び電解質を組立てる工程;及び、
c)前述の工程の組立て品に最初の充電を行うことによって、ナトリウム塩の分解によるナトリウムイオンを用いて負極の表面上に不動態層を形成する工程。

Description

本発明は、ナトリウムイオン電池の製造方法に関する。
これらのタイプの電池は、特に携帯電子機器(例えば、携帯電話、ポータブルコンピュータ、工具など)における自律型エネルギー源としてますます使用されるという適正を有し、徐々に、ニッケルカドミウム電池(NiCd)及びニッケル水素電池(NiMH)又はリチウムイオン電池と置き換わっている。これらはまたチップカード、センサー又はその他の電気機械的システムなどの新しいマイクロアプリケーションに必要なエネルギーを供給するために使用することができる。
それらの動作に関しては、ナトリウムイオン電池は、ナトリウムイオンの挿入・脱離原理に従って動作する。
電池の放電中に、負極から脱離したイオン形態Naのナトリウムイオンはイオン伝導体電解質を通って移動し、正極の活物質の結晶ネットワーク内に挿入される。電池の内部回路内を通過する各Naイオンは、その電流を生成する外部回路内を通過する電子によって正確に相殺される。
一方、電池の充電中に電池内で起こる反応は放電の反対の反応である。すなわち:
−負極は、それを構成する挿入材料のネットワークにナトリウムを挿入し;
−正極は、負極の挿入材料に挿入されるナトリウムを放出する。
電池の最初の充電サイクルの間に、負極の活物質がナトリウムの挿入電位に達すると、ナトリウムの一部は負極の活物質の粒子の表面上の電解質と反応し、その表面に不動態層を形成する。反応したナトリウムイオンは、その後の充放電サイクルにはもう利用できないことから、この不動態層の形成は無視できない量のナトリウムイオンを消費する。これは電池容量における不可逆的な損失(この損失は不可逆容量と判断される)によって現れる。
従って、電池のエネルギー密度ができる限り高くなるように、最初の充電の間、この損失をできる限り最小限にすることが適切である。
これを行うために、従来の技術では上記欠点を克服するために2つのタイプの技術が提案されている:
−負極の前ナトリウム化(presodiation)技術;又は、
−正極の過ナトリウム化(oversodiation)技術。
リチウム電池についても同じ問題が生じる。それに対し、負極の前リチウム化(prelithiation)技術及び正極の過リチウム化(overlithiation)技術が提案されている。
負極の前リチウム化技術に関しては、以下を挙げることができる:
−「in situ」と呼ばれる技術であり、金属シートの形態(特許文献1に記載)又は保護層によって安定化されたリチウム金属粉末の形態(非特許文献1に記載)のリチウム金属(すなわち「0」の酸化度)を、負極成分(すなわち、活物質、電子伝導体及び有機バインダー)を含むインクと混合し、負極上に沈着させることから成り、腐食現象のために自然に維持される代替物とは無関係に、挿入が行われる;
−「ex situ」と呼ばれる技術であり、後者(負極)を電解浴及びリチウムを含む対電極を備える組立て品に配置することによって、負極を電気化学的に前リチウム化することからなる。これらの技術は負極に導入されるリチウムの量を制御することができるが、しかしながら、複雑な実験組立て品のセットアップを必要とするという欠点を有する。
また従来の技術では、正極の過リチウム化/過ナトリウム化技術、特に、最初の充電の間に分解して必要量のLi/Naを供給する犠牲塩(sacrificial salt)を正極の構成成分を含む組成物に添加することによって負極の表面に不動態層を形成する技術が提案されている。
これらの技術では、犠牲塩は最初の充電の間に正極によって走査される電位窓内に位置する電位に分解可能であるべきことに留意すべきである。
また最初の充電が行われるとき、例えばナトリウム電池を使用すると、2つの電気化学反応が同時に起こり、Li/Naイオンが生成される。これは正極からのリチウム又はナトリウムの脱離及び犠牲塩の分解である。
これらの技術は、特に特許文献2に記載されている。そこでは、犠牲塩が、正極の成分、すなわち、活物質、電子伝導体、有機バインダーを含むインク中に直接導入され、そして該インクが集電体基板上に沈着して正極を形成し、それによって犠牲塩が正極内にランダムに分布することが規定されている。
これらの技術は、犠牲塩の分解がいくつかの現象を生じさせる可能性があるため、一定数の欠点を有する:
−電極の空隙率の増加に寄与する塩の分解に起因する、電極のコアにおけるデッドボリュームの出現;及び、
−活物質を使用できない状態とし、電池容量の損失を誘発する可能性のある、電極の特定部分の電子的分離。
そして上記に照らして、本発明者らはナトリウムイオン電池の製造方法を開発するという目的を達成し、上記の欠点を克服することを可能にした。
国際公開第1997/031401号 米国特許出願公開第2013/298386号明細書
Electrochemistry Communications 13(2011)664−667
従って、本発明は電解質の両側に配置された正極及び負極を備えたナトリウムイオン電池の製造方法に関する。前記正極はナトリウムの挿入材料を活物質として含む。前記方法は、以下の工程を含む:
a)正極を電池に配置する前に、正極の表面にナトリウム塩を沈着させる工程;
b)正極、負極及び電解質を組立てる工程;及び、
c)前述の工程の組立て品に最初の充電を行うことによって、ナトリウム塩の分解によるナトリウムイオンを用いて負極の表面上に不動態層を形成する工程。
換言すると、最初の充電はナトリウム塩の分解に必要な電位条件で行われ、この分解はナトリウムイオンの放出をもたらし、負極表面上の不動態層の形成に寄与する。ナトリウム塩は不動態層の形成に必要なナトリウムイオンを供給するので、この塩は「犠牲塩」とみなすことができる。
また、不動態層の形成に必要なナトリウムイオンは正極の活物質に由来するものではない。従って、正極の活物質のナトリウムイオンは、最初の充電の間にこの層を形成するために失われることなく、従って電池容量の損失はより少なく、ゼロでさえある。
最後に、ナトリウム塩を正極の前駆体組成物に添加する従来技術とは対照的に、正極の表面にナトリウム塩を適用することは、いくつかの利点を満たす。
特に、まず一つは、最初の充電の終わりに、正極の内部構造が破壊されることなくナトリウム塩を含む層が完全に分解されて負極上の不動態層の形成に必要なNaイオンが付与される。後者を用いると、最初の充電の終わりに従来の電極と同様の構造組織を有し、特に、デッドボリュームや活物質の損失が現れることがない。
また一方では、電極の構造中で塩粒子の配置の制御が不可能であるために、犠牲塩が正極の前駆体組成物に直接導入され、不動態層の形成に必要な量より多量の塩を含む必要がある従来の技術の実施形態とは対照的に、本発明の方法は、正極の表面に直接配置された専ら負極上に不動態層を形成するのに十分な量のナトリウム塩によって利用可能性を与える。従って、この場合、不動態層の形成後には過剰な塩が正極に存在することはない。そして、不要な物質は後者に存在する。
上述のように、本発明の方法は、負極と電解質とを備えた組立て品に配置する前に、正極を処理する工程を含む。後者はセパレータに含浸させることができる。該処理は、組立て品の最初の充電の間の不動態層の形成に関与することを目的とするナトリウム塩を正極上に(有利には、少なくとも電解質と接触させる面に)沈着させることからなる。
この沈着工程は、特に、正極上にナトリウム塩を含む組成物を沈着させることからなるインクジェット又はコーティング技術によって行うことができる。前記組成物はノズルを用いて沈着することができる。
特に、沈着工程は、例えば犠牲塩(例えば、NaN)、電子伝導体(例えば、カーボンブラック)、高分子バインダー(例えば、フッ化ポリビニリデン)及び任意にN−メチルピロリドン溶媒(NMP)などの非プロトン性極性溶媒などの有機溶媒を含むインクを用いて有機的に行うことができる。
ナトリウム塩の例として、以下のカテゴリーに属する塩を挙げることができる:
−式NA(式中、Aはナトリウムカチオンに相当する)のアジ化ナトリウム;
−例えば、下記式(II)〜(IV)で表される、ケトカルボン酸ナトリウム;
Figure 2018531497
(式中、Aはナトリウムカチオンに相当する。)
−例えば、下記式(V)〜(VI)で表される、ナトリウムヒドラジド:
Figure 2018531497
(式中、Aはナトリウムカチオンに相当し、nは括弧内の繰り返しパターンの数に相当し、この繰り返し数は3〜1000の範囲である。)
その上にナトリウム塩が沈着する正極は、電池の動作中に充放電プロセスが起こり得るように、ナトリウムの挿入材料を活物質として含み、且つ、これを可逆的な方法で含む。
実際に、通常、上記及び下記のように、発電機が電流を供給しているとき(すなわち、放電プロセスにあるとき)にカソードとして作用し、発電機が充電プロセスにあるときにアノードとして作用する電極である正極によってこれは特定される。
正極活物質を形成し得るナトリウム挿入材料としては、以下を挙げることができる:
−少なくとも1つの遷移金属元素を含む酸化ナトリウム系材料;
−少なくとも1つの遷移金属元素を含むリン酸塩又は硫酸ナトリウム系材料;
−フッ化ナトリウム系材料;又は、
−少なくとも1つの遷移金属元素を含む硫化物系材料。
少なくとも1つの遷移金属元素を含む酸化ナトリウム化合物の例としては、少なくとも1つの遷移金属元素を含む単純酸化物又は混合酸化物(すなわち、いくつかの異なる遷移金属元素を含む酸化物)、例えばニッケル、コバルト、マンガン、クロム、チタン、鉄及び/又はアルミニウム(これらの酸化物は混合酸化物とすることができる)含む酸化物を挙げることができる。
より具体的には、ニッケル、コバルト、マンガン及び/又はアルミニウムを含む混合酸化物として、下記式(VII)の化合物を挙げることができる:
Figure 2018531497
(式中、Mは、Ni、Co、Mn、Al及びこれらの混合物から選択される元素である。)
このような酸化物の例としては、酸化ナトリウムNaCoO,NaNiO及び混合酸化物Na(Ni,Co,Mn)O(例えば、Na(Ni1/3Mn1/3Co1/3)Oなど)、Na(Ni,Co,Al)O(例えば、Na(Ni0,8Co0,15Al0,05)O)又はNa(Ni,Co,Mn,Al)Oを挙げることができる。
少なくとも1つの遷移金属元素を含むリン酸ナトリウム化合物の例としては、式NaMPO,Na (PO,Na (PO(式中、MはFe,Mn,Ni,Ti,V,Mo,Co及びそれらの混合物、例えばNaFePO)の化合物を挙げることができる。
またナトリウムから製造された材料としては、以下から選択することができる:
−フルオロリン酸ナトリウム、例えば:
※式NaXPOF(式中、Xは、Fe、Mn、Ni、Ti、V、Mo、Co及びそれらの混合物から選択される元素である)のフルオロリン酸塩;
※式Na(PO(式中、Xは、Fe、Mn、Ni、Ti、V、Mo、Co及びこれらの混合物から選択される元素である)のフルオロリン酸塩(またこれらの化合物は、Xがバナジウムに相当するとき、略称NVPFで表す);
−式NaT’SOF(式中、T’は、Fe、Mn、Co、Ni及びそれらの混合物から選択される元素である)のフルオロ硫酸ナトリウム。
フッ化ナトリウム化合物の例としては、NaFeF,NaMnF及びNaNiFを挙げることができる。
最後に、硫化物化合物の例として、Ni,FeS及びTiSを挙げることができる。
上で定義したものなどの活物質の存在に加えて、正極は、フッ化ポリビニリデン(PVDF)やスチレン及び/又はブタジエン系のラテックスとカルボキシメチルセルロースとの混合物などの高分子バインダー、並びに、カーボンブラックなどの炭素材料とすることができる1種又は数種の導電性アジュバントを含むことができる。
従って構造的な観点からは、正極は、高分子バインダーマトリックスを含む複合材料の形態とすることができる。ここでは、活物質からなる電荷と導電性アジュバントが分散されており、前記複合材料は、集電体上に沈着することができる。
一旦、正極はナトリウム塩で処理され、ナトリウムイオン電池の電気化学セルを形成するように負極及び電解質と共に組み立てられる。
負極という用語は、通常、上記及び下記のように、発電機が電流を供給しているとき(すなわち、放電プロセスにあるとき)にアノードとして作用し、発電機が充電プロセスにあるときにカソードとして作用する電極を意味する。
通常、負極は、電極活物質として可逆的にナトリウムを挿入できる材料を含む。
特に、負極活物質としては以下を挙げることができる:
−硬質炭素、天然又は人造黒鉛などの炭素材料;
−ケイ素・ナトリウム合金、スズ・ナトリウム合金、鉛・ナトリウム合金、アンチモン・ナトリウム合金などのナトリウム合金;
−NaTi12,NaTiO,チタン酸ナトリウム及びチタン酸アルミニウムなどの混合酸化ナトリウム。
さらに、正極の場合と同様に、負極は、フッ化ポリビニリデン(PVDF)やスチレン及び/又はブタジエン系のラテックスとカルボキシメチルセルロースとの混合物などの高分子バインダー、並びに、カーボンブラックなどの炭素材料とすることができる1種又は数種の導電性アジュバントを含むことができる。また負極は、正極と同様に構造的な観点から、高分子バインダーマトリックスを含む複合材料とすることができる。ここでは、活物質からなる電荷(例えば、粒状)と任意に導電性アジュバントが分散されており、前記複合材料は、集電体上に沈着することができる。
電解質は電池の目的に応じたナトリウムイオン伝導性の電解質であり、特に下記とすることができる:
−非プロトン性無極性溶媒などの有機溶媒に溶解したナトリウム塩を含む液体電解質;
−イオン性液体;又は、
−ポリマー固体電解質。
ナトリウム塩の例としては、NaClO,NaAsF,NaPF,NaBF,NaRfSO,NaCHSO,NaN(RfSO,(Rfは、F又は1〜8個の炭素原子を含むペルフルオロアルキル基である。)、トリフルオロメタンスルホニルイミドナトリウム、ビス(オキサラト)ホウ酸ナトリウム、ナトリウムビス(ペルフルオロエチルスルホニル)イミド、フルオロアルキルリン酸ナトリウムを挙げることができる。
上記電解質の構成の一部となりうる有機溶媒の例としては、環状カーボネート溶媒、鎖状カーボネート溶媒及びそれらの混合物などのカーボネート溶媒を挙げることができる。
環状カーボネート溶媒の例としては、エチレンカーボネート(略称ECで表す)、プロピレンカーボネート(略称PCで表す)を挙げることができる。
鎖状カーボネート溶媒の例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート(略称DECで表す)、ジメチルカーボネート(略称DMCで表す)、エチルメチルカーボネート(略称EMCで表す)を挙げることができる。
さらに電解質は、特に液体電解質である場合、電池の2つの電極の間に配置された分離素子、例えば多孔質ポリマー分離素子を浸漬して作製することができる。
本発明では、このようにして得られた組立て品は、次に正極の表面に沈着したナトリウム塩の分解に必要な電位条件で最初の充電の工程にかけられ、不動態層の形成に関与するナトリウムイオンの放出によって分解は実現する。
また実用的な観点から、ナトリウム塩は最初の充電の間に正極によって走査される電位窓で分解可能であるべきことが理解される。
このように、最初の充電が実施される間、電池が充電されることに加えて、ナトリウム塩の分解反応も起こる。この反応の間に、ナトリウム塩はナトリウムイオンを生成し、これは電解質中を通過して後者と反応して負極の活物質の粒子上に不動態層を形成する。ナトリウムイオンの放出に加えて、塩の分解は少量の気体化合物の生成をもたらす。後者は電解質中に可溶性であり、必要に応じて、脱ガスの工程中に除去することができる。
本発明の他の特徴及び利点は、特定の実施形態に関する以下の説明の補足に示される。
当然に、該説明の補足は、本発明の例示のためにのみ提供されており、決して本発明を限定するものではない。
図1は、サイクル数Nによる容量Cの変化(mAh/g)を示すグラフであり、具体的な実施形態である第1の電池、第2の電池及び第3の電池の結果は、それぞれ曲線a)、b)及びc)で示される。 図2は、第3の電池に照らした第1の電池及び第2の電池の各々のサイクル数Nに応じた相対ゲインG(%)を示すグラフであり、これらの結果は、第1の電池については曲線aに、第2の電池については曲線bにプロットされている。
これらの実施形態は、本発明によるナトリウムイオン電池と、本発明によらない2つのナトリウムイオン電池を示す。すなわち:
−ナトリウム塩(NaN)の組込み前に正極が被覆されている、本発明の方法に従って調製された第1の電池;
−通常成分に加えてあらかじめナトリウム塩(NaN)を含有するインクを用いて正極が調製されてさえいれば、その他は第1の電池と類似する第2の電池;及び、
−正極がナトリウム塩(NaN)を含まないでさえいれば、その他は第1の電池と類似する第3の電池。
第1の電池については、正極は、厚さ20μmのアルミニウム製の集電体上に、92重量%のフルオロリン酸ナトリウムNa(PO、4重量%のカーボンブラック系(Super C65 TIMCAL)の電子伝導体、及び、4重量%のポリフッ化ビニリデン系の高分子バインダー(N−メチルピロリドン中に溶解)を含むインクを塗布して得られる。
集電体上にインクを塗布することによって約200μmの厚さの層が形成される。次いで、得られた結果物を、50℃の温度の抽出オーブンに12時間入れて、残留水とN−メチルピロリドンを蒸発させる。一旦乾燥させて、結果物を円形電極を形成する直径14mmのペレットの形態に切断する。次いで、プレスを用いてこれらの電極をカレンダー加工し(3.25T/cm、10秒間)、その多孔性を減少させる。
負極は、厚さ20μmのアルミニウム製の集電体上に、92重量%の硬質炭素、4重量%のカーボンブラック系(Super C65 TIMCAL)の電子伝導体、及び、4重量%のポリフッ化ビニリデン系の高分子バインダー(N−メチルピロリドン中に溶解)を含むインクを塗布して得られる。
集電体上にインクを塗布することによって約100μmの厚さの層が形成される。次いで、得られた結果物を、50℃の温度の抽出オーブンに12時間入れて、残留水とN−メチルピロリドンを蒸発させる。一旦乾燥させて、結果物を円形電極を形成する直径16mmのペレットの形態に切断する。次いで、プレスを用いてこれらの電極をカレンダー加工し(2.5T/cm、10秒間)、その多孔性を減少させる。
組立ての前に、電解質と接触させる面に、90重量%のアジ化ナトリウムNaN3、5重量%のカーボンブラック系(Super C65 TIMCAL)の電子伝導体、及び、5重量%のポリフッ化ビニリデン系の高分子バインダー(N−メチルピロリドン中に溶解)を含むインクを沈着させて正極を処理し、3.5mgのNaNを沈着させる。
正極をこのように一旦処理し、カーボネート溶媒(エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート 50:50)とナトリウム塩NaPF(1モル/L)の混合物を含む電解質で浸漬したセパレータの両側に負極と共に配置する。
第2の電池については、厚さ20μmのアルミニウム製の集電体上に、69重量%のフルオロリン酸ナトリウム Na(PO、3.8重量%のカーボンブラック系(Super C65 TIMCAL)の電子伝導体、3.8重量%のポリフッ化ビニリデン系の高分子バインダー(N−メチルピロリドン中に溶解)及び23.4重量%のNaNを含むインクを塗布して、3.5mgのNaNを含有させることによって正極が作製されてさえいれば、その他は第1の電池と同様に後者は作製される。
第3の電池については、正極がアジ化ナトリウムを含む溶液で表面処理されておらず、正極がナトリウム塩(NaN)を含まないでさえいれば、その他は第1の電池と同様に後者は作製される。
第1の電池、第2の電池及び第3の電池は、速度C/20でサイクリング試験を受ける。
より具体的には、それらの電圧が4.3V(これは最初の充電段階に相当する)に達するまで、一定の正の電流が電池にかけられる。その後、負の電流が2V(最初の放電段階に相当する)まで印加される。これらの2つの段階の連続は、5回繰り返される充放電サイクルを形成する。
各試験の最後に、電池容量(mAh/gで示される)を測定し、サイクル数Nによる容量C(mAh/g)の変化を示す図1に、容量の値を記録する。第1の電池、第2の電池及び第3の電池についての結果は、各々、曲線a)、b)及びc)によって示されている。
この結果、図1では、第1の電池が最良の結果を示す。これは、活物質及び/又は電極材料のコア由来のナトリウムイオンではなく、電極の表面に与えられたナトリウム塩の分解由来のナトリウムイオンのおかげで、最初の充電の間に、不動態層が形成されるという事実によって説明することができる。
第2の電池に関しては、不動態層の形成に必要な全ての塩が分解される一方で、第2の電池では、この塩の一部が電気化学的に活性ではなく失われるために、結果は比較的良好である。
この第1の電池では、最初の充電の後、正極の物理的完全性は損なわれず、活物質のナトリウムは不動態層の形成のために部分的にも使用されず、容量の点でより良い結果となる。
また3つの電池は、様々な電流(C/20〜10C)における放電と、C/10における系統的再充電を用いた放電電力試験に供される。第1の電池では、放電速度が5C〜10Cの範囲で最良の結果が得られる。
最後に3つの電池を用いて、それらを充電し或いは定電流1Cで放電することからなる1Cのサイクル試験を行った。
得られた結果は、所望の電池についての相対ゲインG(%)を下記式で決定するために使用した:
Figure 2018531497
(式中、Cは電池nの容量に相当し、Cは第3の電池の容量に相当する。)
第3の電池に照らした第1の電池及び第2の電池の各々のサイクル数Nに応じて、これらの結果を図2に記載した(第1の電池については曲線a、第2の電池については曲線b)。
2つの曲線について、サイクル数に応じたゲインの増加が観察された。さらに第1の電池ではゲインはより高く、これは正極中の塩の存在の有益性を証明している。100サイクルで開始して差は約10%に位置する。これは第1の電池のより良いサイクリング性能を証明する。

Claims (9)

  1. 電解質の両側に配置された正極及び負極を備えたナトリウムイオン電池の製造方法であって、前記正極がナトリウム製の材料を活物質として含み、以下の工程を含む方法:
    a)正極を電池に配置する前に、正極の表面にナトリウム塩を沈着させる沈着工程;
    b)正極、負極及び電解質を組立てる工程;及び、
    c)前述の工程の組立て品に最初の充電を行うことによって、ナトリウム塩の分解によるナトリウムイオンを用いて負極の表面上に不動態層を形成する工程。
  2. 沈着工程が、正極上にナトリウム塩を含む組成物を沈着させることからなるインクジェット又はコーティング技術によって行われる、請求項1に記載の方法。
  3. ナトリウム塩が以下から選択される、請求項1又は2に記載の方法:
    −式NA(式中、Aはナトリウムカチオンに相当する)のアジ化ナトリウム;
    −例えば、下記式(II)〜(IV)で表される、ケトカルボン酸ナトリウム;
    Figure 2018531497
    (式中、Aはナトリウムカチオンに相当する。)
    −例えば、下記式(V)〜(VI)で表される、ナトリウムヒドラジド:
    Figure 2018531497
    (式中、Aはナトリウムカチオンに相当し、nは括弧内の繰り返しパターンの数に相当する。)。
  4. ナトリウム塩が、式NA(式中、Aはナトリウムカチオンに相当する)のアジ化ナトリウムである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 正極が活物質として以下を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法:
    −少なくとも1つの遷移金属元素を含む酸化ナトリウム系材料;
    −少なくとも1つの遷移金属元素を含むリン酸塩又は硫酸ナトリウム系材料;
    −フッ化ナトリウム系材料;又は、
    −少なくとも1つの遷移金属元素を含む硫化物系材料。
  6. 正極が、活物質としてフルオロリン酸ナトリウムから選択される物質を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 正極が、活物質として、式Na(PO(式中、Xは、Fe、Mn、Ni、Ti、V、Mo、Co及びこれらの混合物から選択される元素である)のフルオロリン酸塩から選択される物質を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 負極が活物質として以下を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法:
    −硬質炭素、天然又は人造黒鉛などの炭素材料;
    −ケイ素・ナトリウム合金、スズ・ナトリウム合金、鉛・ナトリウム合金などのナトリウム合金;又は、
    −NaTi12又はNaTiO,チタン酸ナトリウム及びチタン酸アルミニウムなどの混合酸化ナトリウム。
  9. 負極が活物質として硬質炭素を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
JP2018520557A 2015-10-21 2016-10-19 ナトリウムイオン電池の製造方法 Pending JP2018531497A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
FR1560049 2015-10-21
FR1560049A FR3042915B1 (fr) 2015-10-21 2015-10-21 Procede de fabrication d'un accumulateur du type sodium-ion
PCT/EP2016/075111 WO2017067994A1 (fr) 2015-10-21 2016-10-19 Procede de fabrication d'un accumulateur du type sodium-ion

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018531497A JP2018531497A (ja) 2018-10-25
JP2018531497A6 true JP2018531497A6 (ja) 2018-12-13

Family

ID=54708038

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018520557A Pending JP2018531497A (ja) 2015-10-21 2016-10-19 ナトリウムイオン電池の製造方法

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20180316044A1 (ja)
EP (1) EP3365937B1 (ja)
JP (1) JP2018531497A (ja)
FR (1) FR3042915B1 (ja)
WO (1) WO2017067994A1 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR3042914B1 (fr) * 2015-10-21 2017-11-17 Renault Procede de fabrication d'un accumulateur du type lithium-ion
FR3068832B1 (fr) * 2017-07-07 2021-06-04 Renault Sas Procede de fabrication d'un accumulateur du type lithium-ion
WO2019017736A2 (ko) * 2017-07-21 2019-01-24 한양대학교 산학협력단 금속 도핑된 나트륨 이차전지용 양극 활물질, 이의 제조방법, 및 이를 포함하는 나트륨 이차전지
CN109888392A (zh) * 2019-03-25 2019-06-14 合肥国轩高科动力能源有限公司 一种锂电池预锂化的复合电解液及其应用
CN111653744B (zh) * 2020-05-21 2021-11-02 中国科学院化学研究所 一种钠离子电池正极补钠添加剂、钠离子电池正极片及钠离子电池
CN113948697B (zh) * 2021-09-30 2023-07-07 广东邦普循环科技有限公司 掺杂型磷酸铁钠正极材料及其制备方法和应用
FR3130456B1 (fr) * 2021-12-09 2024-04-26 Commissariat Energie Atomique Electrodes positives specifiques comprenant un sel specifique pour accumulateur du type metal alcalin-ion
CN115863542B (zh) * 2022-12-02 2024-02-20 厦门海辰储能科技股份有限公司 正极极片和电化学储能装置

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5721067A (en) 1996-02-22 1998-02-24 Jacobs; James K. Rechargeable lithium battery having improved reversible capacity
CN100372158C (zh) * 2001-04-06 2008-02-27 威伦斯技术公司 钠离子电池
WO2010109889A1 (ja) * 2009-03-27 2010-09-30 学校法人東京理科大学 ナトリウムイオン二次電池
FR2961634B1 (fr) 2010-06-17 2013-02-15 Centre Nat Rech Scient Procede pour l'elaboration d'une batterie au lithium ou au sodium
CN104037418A (zh) * 2013-03-05 2014-09-10 中国科学院宁波材料技术与工程研究所 一种锂离子电池正极膜及其制备和应用
US20170062868A1 (en) * 2014-02-21 2017-03-02 Sumitomo Chemical Company, Limited Sodium secondary battery

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Park et al. Li3N as a cathode additive for high‐energy‐density lithium‐ion batteries
CN109326770B (zh) 通过气相沉积保形涂覆可充电锂离子电池的锂阳极
JP2018531497A6 (ja) ナトリウムイオン電池の製造方法
JP2018531497A (ja) ナトリウムイオン電池の製造方法
KR102378583B1 (ko) 리튬-함유 복합체의 코팅층을 구비한 세퍼레이터, 이를 포함하는 리튬 이차전지 및 상기 이차전지의 제조방법
TWI552416B (zh) 鋰二次電池
JP7137468B2 (ja) リチウムイオン型蓄電池の製造方法
JP7216734B2 (ja) 再充電可能な金属ハロゲン化物バッテリー
JP2019503561A (ja) ケイ素と安定化リチウム金属粉末用の結合剤付きのアノード構造体
JP2016532280A (ja) リチウムイオン電池用の電極の製造方法
JP2018531498A6 (ja) リチウムイオン型蓄電池の製造方法
CN109428048B (zh) 水系锂离子二次电池用负极的制造方法和水系锂离子二次电池的制造方法
Syum et al. Copper zinc tin sulfide anode materials for lithium-ion batteries at low temperature
RU2644590C1 (ru) Вспомогательный аккумулятор с неводным электролитом и способ изготовления вспомогательного аккумулятора с неводным электролитом
JP7249964B2 (ja) リチウムイオン電池の製造方法
JP4177317B2 (ja) 有機電解液及びそれを利用したリチウム電池
Jang et al. Silicon-stabilized lithium metal powder (SLMP) composite anodes for fast charging by in-situ prelithiation
US20200388820A1 (en) Current collector and current collector-electrode assembly for an accumulator operating according to the principle of ion insertion and deinsertion
CN111527631A (zh) 磷酸锰涂覆的锂镍氧化物材料
Fang et al. Room temperature surface-engineering enabling stability of high-energy-density lithium batteries
KR101491540B1 (ko) 금속 산화막이 코팅된 전극 및 이의 제조방법
CN114391194A (zh) 锂金属电池及其制造方法
KR20210152061A (ko) 리튬 이차전지용 양극 활물질의 전기화학적 특성을 활성화시키는 방법 및 리튬 이차전지용 양극 활물질
US20240136588A1 (en) Functional interphase stabilizer for battery electrodes
US20230268508A1 (en) Anode-free metal halide battery