JP2018527947A - 核酸配列増幅方法 - Google Patents

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Abstract

二本鎖核酸を、トランスポザーゼ結合部位及びRNAポリメラーゼプロモーター配列を含むトランスポゾンDNAに結合したトランスポザーゼと接触させ;トランスポザーゼ/トランスポゾンDNA複合体は二本鎖核酸上の標的部位に結合し;二本鎖核酸を、両5’末端にトランスポゾンDNAが結合している複数の二本鎖断片に切断すること;トランスポゾンDNAに沿って二本鎖断片を伸長させて、各末端に二本鎖RNAポリメラーゼプロモーター配列を有する二本鎖伸長産物を作製すること;二本鎖伸長産物をRNAポリメラーゼと接触させて、各二本鎖伸長産物の複数のRNA転写物を作製すること;RNA転写物を一本鎖コピーDNAへと逆転写すること;一本鎖コピーDNAに対する相補鎖を形成させて、オリジナルの二本鎖断片から直線的に増幅された、各二本鎖断片に対応する複数の二本鎖DNAアンプリコンを形成させること、を含む、核酸増幅法が提供される。
【選択図】図2(b)

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2015年7月17日に出願された米国仮特許出願第62/193,733号に基づく優先権を主張するものであり、当該仮特許出願の全内容は全ての目的において参照により本明細書に援用される。
政府利益に関する陳述
本発明は、アメリカ国立衛生研究所により与えられた5DP1CA186693−02を基に、政府援助を得てなされたものである。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
本発明の実施形態は、概して、1個の細胞より得られるDNAなどの微量なDNAを、その遺伝子配列、特にはゲノム全体を決定するために、増幅するための方法及び組成物に関する。
腫瘍増殖、幹細胞の再プログラム、胚発生などの、細胞間での差異及び集団における不均一性が重要な役割を果たす研究では、単一細胞ゲノム配列決定を実行できることが重要となる。単一細胞ゲノム配列決定は、配列決定に供される細胞試料が貴重である、又は珍しい、又は微量な場合にも重要となる。正確な単一細胞ゲノム配列決定にとって重要なことは、微量である可能性があるゲノムDNAの最初の増幅である。
多置換増幅(multiple displacement amplification)(MDA)は、配列決定及び他の解析に先立ち、単一細胞由来のゲノムDNAに対し、当該技術分野において一般に使用される方法である。この方法では、ランダムプライマーのアニーリングの後に、強力な鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼを利用した伸長が行われる。単一細胞由来のオリジナルのゲノムDNAはカスケード様の様式で指数関数的に増幅され、超分岐型のDNA構造を形成する。単一細胞由来のゲノムDNAを増幅する別の方法として、Zong, C., Lu, S., Chapman, A.R., and Xie, X.S. (2012), Genome-wide detection of single-nucleotide and copy-number variations of a single human cell, Science 338, 1622-1626に、多重アニーリング及びループ化による増幅サイクル法(Multiple Annealing and Looping-Based Amplification Cycles)(MALBAC)が記載されている。単一細胞ゲノムDNAに使用されるいくつかの他の方法としては以下が挙げられる:Cheung, V.G. and S.F. Nelson, Whole genome amplification using a degenerate oligonucleotide primer allows hundreds of genotypes to be performed on less than one nanogram of genomic DNA, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 1996. 93(25): p. 14676-9; Telenius, H., et al., Degenerate oligonucleotide-primed PCR: general amplification of target DNA by a single degenerate primer, Genomics, 1992. 13(3): p. 718-25; Zhang, L., et al., Whole genome amplification from a single cell: implications for genetic analysis. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 1992, 89(13): p. 5847-51; Lao, K., N.L. Xu, and N.A. Straus, Whole genome amplification using single-primer PCR, Biotechnology Journal, 2008, 3(3): p. 378-82; Dean, F.B., et al., Comprehensive human genome amplification using multiple displacement amplification, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 2002. 99(8): p. 5261-6; Lage, J.M., et al., Whole genome analysis of genetic alterations in small DNA samples using hyperbranched strand displacement amplification and array-CGH, Genome Research, 2003, 13(2): p. 294-307; Spits, C., et al., Optimization and evaluation of single-cell whole-genome multiple displacement amplification, Human Mutation, 2006, 27(5): p. 496-503; Gole, J., et al., Massively parallel polymerase cloning and genome sequencing of single cells using nanoliter microwells, Nature Biotechnology, 2013. 31(12): p. 1126-32; Jiang, Z., et al., Genome amplification of single sperm using multiple displacement amplification, Nucleic Acids Research, 2005, 33(10): p. e91; Wang, J., et al., Genome-wide Single-Cell Analysis of Recombination Activity and De Novo Mutation Rates in Human Sperm, Cell, 2012. 150(2): p. 402-12; Hou, Y., et al., Single-cell exome sequencing and monoclonal evolution of a JAK2-negative myeloproliferative neoplasm, Cell, 2012, 148(5): p. 873-85; Xu, X., et al., Single-cell exome sequencing reveals single-nucleotide mutation characteristics of a kidney tumor, Cell, 2012, 148(5): p. 886-95; Evrony, G.D., et al., Single-neuron sequencing analysis of l1 retrotransposition and somatic mutation in the human brain, Cell, 2012. 151(3): p. 483-96;及びMcLean, J.S., et al., Genome of the pathogen Porphyromonas gingivalis recovered from a biofilm in a hospital sink using a high-throughput single-cell genomics platform, Genome Research, 2013. 23(5): p. 867-77。国際公開第2012/166425号、米国特許第7,718,403号、米国特許出願公開第2003/0108870号及び米国特許第7,402,386号には、全ゲノム増幅の態様を対象とした方法が報告されている。
しかしながら、単一細胞又は少細胞群など由来の少量のゲノムDNAの増幅法が、さらに求められている。
本開示の実施形態は、1個の細胞由来の、又は、1つの個体若しくは基質(substrate)由来の、同一細胞型の、若しくは1つの組織試料、体液試料若しくは血液試料由来の、複数の細胞由来の、ゲノム配列又は複数のゲノム配列などの、少量のゲノムDNA又は限られた量のDNAなどのDNAを増幅する方法を対象とする。本開示のある態様によれば、本明細書に記載の方法は、単一の反応混合物を含んだ単一チューブ内で行うことができる。本開示のある態様によれば、核酸試料は、単一細胞由来の未精製又は未処理の溶解物内のものとすることができる。本明細書で開示される方法に供される核酸は、本明細書に記載される種々の試薬との接触及び種々の条件下への設置を前に、カラム精製などによる精製を行う必要がない。本明細書に記載の方法は、ハイスループット配列決定のための増幅されたDNAを産生して、単一細胞のゲノム全体の実質的且つ均一なカバレッジを提供することができる。
本発明の実施形態は、概して、後に当業者に公知の増幅法に供され得るDNA断片、例えば単一細胞の全ゲノムからDNA断片を、作製するための方法及び組成物に関する。一態様によれば、トランスポソームの一部としてトランスポザーゼが使用され、一連の二本鎖ゲノムDNA断片が作製される。各々の二本鎖ゲノムDNA断片は、後に、PCR増幅などの当業者に公知であり且つ本明細書に記載される方法を用いて増幅される場合がある。
特定の一実施形態によれば、各々の二本鎖DNA(dsDNA)断片は、後に、対応するRNAの複数のコピーを作製するための鋳型として使用される。この態様によれば、オリジナルのds鋳型DNAを用いて、対応するRNAの複数のコピーのそれぞれが作製される。次いで、オリジナルのdsDNA断片鋳型に対応するRNAの複数のコピーが逆転写されて、オリジナルのdsDNA断片鋳型に対応する一本鎖DNAの複数のコピーが作製される。次いで、オリジナルのdsDNA断片鋳型に対応するdsDNAの複数のコピーを作るssDNAの複数のコピーに関して、相補鎖が作製される。この方法では、オリジナルのdsDNA鋳型断片は直線的に増幅される(linearly amplified)。すなわち、dsDNA鋳型断片は、dsDNA鋳型断片に対応するdsDNAアンプリコンのオリジナルのソース鋳型となる。dsDNA鋳型断片のアンプリコンそれ自体が増幅されてアンプリコンからアンプリコンが作製されることはない。本開示のdsDNAアンプリコンは、オリジナルのdsDNA断片鋳型から直線的に増幅される。
ある態様によれば、本明細書に記載の核酸断片作製法はトランスポザーゼを利用する。トランスポザーゼは、二本鎖トランスポザーゼ結合部位と、バーコード配列及びプライミング部位のうちの1又は複数を含む第一の核酸配列と、を含むトランスポゾンDNAと複合体化されて、トランスポザーゼ/トランスポゾンDNA複合体を形成する。第一の核酸配列は一本鎖伸長物の形態であってもよいし、あるいは、第一の核酸配列は各末端が二本鎖トランスポザーゼ結合部位の対応する鎖に連結されているループの形態であってもよい。ある態様によれば、トランスポザーゼは、反応器内に置かれた場合などで、接触した際に、トランスポゾンDNAに結合して二量体化し、トランスポソームと称されるトランスポザーゼ/トランスポゾンDNA複合体の二量体を形成する能力を有する。トランスポソームは、二本鎖ゲノムDNAなどの二本鎖核酸上の標的部位(target locations along the double stranded nucleic acid)に結合し、トランスポソーム及び二本鎖ゲノムDNAを含む複合体を形成する能力を有する。トランスポソーム内のトランスポザーゼは、一方のトランスポザーゼが上側鎖を切断し、もう一方のトランスポザーゼが下側鎖を切断することにより、二本鎖ゲノムDNAを切断する。切断部位において、トランスポソーム内のトランスポゾンDNAが二本鎖ゲノムDNAに結合する。ある態様によれば、複数のトランスポザーゼ/トランスポゾンDNA複合体二量体が、例えば二本鎖ゲノムDNAに続く対応する複数の標的部位に結合し、次いで二本鎖ゲノムDNAを複数の二本鎖断片に切断し、各断片は二本鎖断片の各末端に結合したトランスポゾンDNAを有することになる。一態様によれば、トランスポゾンDNAは二本鎖ゲノムDNAに結合され、ゲノムDNAの一方の鎖とトランスポゾンDNAの一方の鎖との間には一本鎖のギャップが存在する。一態様によれば、ギャップの伸長が実行されることで、ギャップが埋められ、二本鎖ゲノムDNAと二本鎖トランスポゾンDNAとの間に二本鎖の連結がつくり出される。一態様によれば、二本鎖断片の各末端にトランスポゾンDNAのトランスポザーゼ結合部位が結合している。ある態様によれば、二本鎖断片の各末端に結合しているトランスポゾンDNAにトランスポザーゼが結合している。一態様によれば、二本鎖ゲノムDNA断片の各末端に結合しているトランスポゾンDNAからトランスポザーゼが除去されている。
本開示の一態様によれば、二本鎖ゲノムDNA断片の各末端に結合したトランスポゾンDNAを有するトランスポザーゼによって生成された二本鎖ゲノムDNA断片は、その後、トランスポゾンDNAを鋳型として用いてギャップを埋められ伸長される。すなわち、二本鎖ゲノムDNA及び二本鎖ゲノムDNAの各末端における二本鎖トランスポゾンDNAを含む、二本鎖核酸伸長産物が生成される。二本鎖核酸伸長産物はその後、PCRなどの当業者に公知の方法を用いて増幅され得る。
さらなるある態様によれば、本明細書に記載の核酸断片作製法は、トランスポザーゼ及びRNAポリメラーゼを利用する。トランスポザーゼは、二本鎖トランスポザーゼ結合部位と、バーコード配列、プライミング部位及びRNAポリメラーゼプロモーター配列のうちの1又は複数を含む第一の核酸配列と、を含むトランスポゾンDNAと複合体化されて、トランスポザーゼ/トランスポゾンDNA複合体を形成する。第一の核酸配列は一本鎖伸長物の形態であってもよいし、あるいは、第一の核酸配列は各末端が二本鎖トランスポザーゼ結合部位の対応する鎖に連結されているループの形態であってもよい。ある態様によれば、トランスポザーゼは、反応器内に置かれた場合などで、接触した際に、トランスポゾンDNAに結合して二量体化し、トランスポソームと称されるトランスポザーゼ/トランスポゾンDNA複合体の二量体を形成する能力を有する。トランスポソームは、二本鎖ゲノムDNAなどの二本鎖核酸上の標的部位に結合し、トランスポソーム及び二本鎖ゲノムDNAを含む複合体を形成する能力を有する。トランスポソーム内のトランスポザーゼは、一方のトランスポザーゼが上側鎖を切断し、もう一方のトランスポザーゼが下側鎖を切断することにより、二本鎖ゲノムDNAを切断する。切断部位において、トランスポソーム内のトランスポゾンDNAが二本鎖ゲノムDNAに結合する。ある態様によれば、複数のトランスポザーゼ/トランスポゾンDNA複合体二量体が、例えば二本鎖ゲノムDNAに続く対応する複数の標的部位に結合し、次いで二本鎖ゲノムDNAを複数の二本鎖断片に切断し、各断片は二本鎖断片の各末端に結合したトランスポゾンDNAを有することになる。一態様によれば、トランスポゾンDNAは二本鎖ゲノムDNAに結合され、ゲノムDNAの一方の鎖とトランスポゾンDNAの一方の鎖との間には一本鎖のギャップが存在する。一態様によれば、ギャップの伸長が実行されることで、ギャップが埋められ、二本鎖ゲノムDNAと二本鎖トランスポゾンDNAとの間に二本鎖の連結がつくり出される。一態様によれば、二本鎖断片の各末端にトランスポゾンDNAのトランスポザーゼ結合部位が結合している。ある態様によれば、二本鎖断片の各末端に結合しているトランスポゾンDNAにトランスポザーゼが結合している。一態様によれば、二本鎖ゲノムDNA断片の各末端に結合しているトランスポゾンDNAからトランスポザーゼが除去されている。
本開示の一態様によれば、二本鎖ゲノムDNA断片の各末端に結合したトランスポゾンDNAを有するトランスポザーゼによって生成された二本鎖ゲノムDNA断片は、その後、トランスポゾンDNAを鋳型として用いてギャップを埋められ伸長される。すなわち、二本鎖ゲノムDNA及び二本鎖ゲノムDNAの各末端における二本鎖トランスポゾンDNAを含む、二本鎖核酸伸長産物が生成される。二本鎖トランスポゾンDNAは活性がある二本鎖RNAポリメラーゼプロモーター配列を含んでいる場合があるため、RNAポリメラーゼの使用により、アンプリコンとしての多数又は複数の対応するRNA転写物それぞれの鋳型として二本鎖核酸伸長産物を用いて、二本鎖核酸伸長産物の多数のRNA転写物を作製することができる。RNAポリメラーゼが使用されることから、RNA転写物は対応するオリジナルの二本鎖核酸伸長産物鋳型から直線的に増幅されたアンプリコン(amplicon)となる。オリジナルの二本鎖核酸伸長産物は、対応するRNA転写物アンプリコンの唯一の鋳型となる。RNA転写物は指数関数的なアンプリコンにはならない。
一態様によれば、RNA転写物はその後、一本鎖DNAへと逆転写される。一本鎖DNAに対する相補鎖が次いで作製され、ゲノムDNA配列を含み、且つ上側鎖及び下側鎖の両末端にバーコードを有する二本鎖DNAが形成される。
一態様によれば、ゲノムDNA配列を含み、且つ上側鎖及び下側鎖の両末端にバーコードを有する二本鎖DNAは、その後、当業者に公知の方法を用いて配列決定される。
本開示の実施形態は、1個の細胞由来の、又は、1つの個体若しくは基質由来の、同一細胞型の、若しくは1つの組織試料、体液試料若しくは血液試料由来の、複数の細胞由来の、ゲノム配列又は複数のゲノム配列などの、少量のゲノムDNA又は限られた量のDNAなどのDNAを、本明細書に記載の方法を用いて増幅する方法を対象とする。本開示のある態様によれば、本明細書に記載の方法を、適切な条件下、単一チューブ内で、該単一チューブに添加された反応物により実行することで、それらのゲノムDNA断片から直線的に増幅されたDNAアンプリコンを作製することができる。本明細書に記載の方法は、ハイスループット配列決定のための増幅されたDNAを産生して、単一細胞のゲノム全体のかなりのカバレッジを提供することができる。
さらなる一態様によれば、本明細書において、当業者に公知のハイスループット配列決定プラットフォームを用いたさらなる配列決定又は解析に有用な、ゲノム内の様々な遺伝子座に亘り高い忠実度及び増幅均一性又はカバレッジを有する、単一細胞の全ゲノム増幅を実行するための方法が提供される。本明細書で提供される方法は、増幅バイアスを最小化し、単一細胞由来のゲノムDNAのDNA塩基配列決定法の、実質的に完全又は完全なゲノムカバレッジを可能にする。本明細書に記載の方法は、単一細胞由来のゲノムDNAの90%超を増幅することができ、一方で、前記ゲノムDNAの70%超又は75%超を、7倍又は10倍又は15倍の配列決定深度で、キメラ配列を少なくして、極めて少なくして、又はキメラ配列を生じずに、配列決定することができる。本明細書に記載の方法は、シークエンシングアーティファクト(sequencing artifact)の生成を低減又は排除し、単一細胞の一塩基多型(single nucleotide polymorphisms)、コピー数多様性(copy number variations)及び構造多様性(structural variations)の高度なゲノム解析を促進する。本明細書に記載の方法は、腫瘍及び神経集団(neural mass)などの高度に不均一な細胞集団を特徴とする生物系又は組織試料において特に応用されている。本明細書に記載のゲノムDNA増幅法は、そのような増幅されたDNAの、当業者に公知であり且つ本明細書に記載される次世代型の配列決定の技術を用いた解析を促進する。
本開示のDNA増幅法は、少量又は限られた量のDNAの増幅に有用であり、これにより、ハイスループットスクリーニングのためのDNA試料内の複数の部位の遺伝子型同定が可能となる。さらに、本方法は、あらゆる染色体領域のバンド特異的な染色プローブ(painting probe)を迅速に構築することを可能にし、また、異常核型における同定不能な染色体領域又はマーカー染色体を顕微解剖し増幅することにも使用することができる。本開示の方法は、DNAライブラリーを配列決定又は作製するための、増幅DNAの迅速なクローニングも可能にする。すなわち、前記方法は、遺伝子型解析及びハイスループットスクリーニングに役立つツールとなるだけでなく、細胞遺伝学的診断においても役立つツールとなるはずである。本明細書に記載の方法は、遺伝子が不均一な組織(例えば、がん)、珍しく且つ貴重な試料(例えば胚性幹細胞)、及び非分裂細胞(例えば、ニューロン)などを含む、DNA材料の種々の供給源、並びに、当業者に公知の配列決定プラットフォーム及び遺伝子型同定法を利用することができる。
本開示のある実施形態のさらなる特徴及び利点は、以下の実施形態の説明及びその図面において、並びに特許請求の範囲から、より十分に理解されることとなる。
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、添付の図面と併せて、下記の例示的な実施形態の詳細な説明から、より十分に理解されることとなる。
図1は、トランスポゾンDNAの一実施形態の模式図である。 図2は、トランスポソーム形成、ゲノムDNAへの結合、切断、及びトランスポゾンDNAの挿入の模式図である。 図3は、トランスポザーゼ除去、ギャップ補填及び伸長による、ゲノムDNAを含む核酸伸長産物の形成の模式図である。 図4は、インビトロにおける、転写、逆転写、及び第二鎖合成による、DNA断片の二本鎖アンプリコンの形成の模式図である。 図5は、転位後のDNA断片のサイズ分布を示すグラフを示している。 図6は、DNA Bioanalyzerによって決定された、増幅後のDNA断片のサイズを示すグラフである。 図7は、増幅後のDNA断片のサイズ分布を示すグラフである。 図8は、指数関数的増幅によるエラーと直線的増幅によるエラーとを比較している模式図である。 図9は、ゲノムDNA断片上の種々のバーコードを示す模式図である。 図10は、切断部位で隔てられた同一のバーコード及びプライミング部位を含むトランスポゾンDNAを有するトランスポソームを用いた、新規のゲノムアセンブリーを示す模式図である。複数のトランスポソームがゲノムDNAに結合し、各末端に異なるバーコードを各々有する断片にゲノムDNAを切断する。次いで、同一のバーコード同士が重なり合うことにより、リファレンスゲノムを必要とせずに、DNA断片をゲノムへとアセンブルすることができる。 図11は、全ゲノム増幅及び次世代型配列決定の後の、単一細胞ゲノムDNAのコピー数多様性(CNV)パターンである。単一細胞は、ヒト皮膚線維芽細胞の正常細胞株であるBJ細胞株から選んだ。各ドットのビンサイズは1Mbである。フラットなCNVパターンは、単一細胞ゲノムDNA増幅法の均一性を示している。 図12は、単一細胞のゲノムDNA由来の増幅DNAの、配列決定パラメーター及び結果の概要表である。
ある特定の実施形態の実施又はある特定の実施形態の特徴には、特に記載がない限り、当該技術分野において通常の技能の範囲内にある、分子生物学、微生物学及び組換えDNAなどの従来技術が用いられてよい。そのような技術は下記の文献において十分に説明されている。例えば、Sambrook, Fritsch, and Maniatis, MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, Second Edition (1989), OLIGONUCLEOTIDE SYNTHESIS (M. J. Gait Ed., 1984), ANIMAL CELL CULTURE (R. I. Freshney, Ed., 1987), METHODS IN ENZYMOLOGYシリーズ (Academic Press, Inc.); GENE TRANSFER VECTORS FOR MAMMALIAN CELLS (J. M. Miller and M. P. Calos eds. 1987), HANDBOOK OF EXPERIMENTAL IMMUNOLOGY, (D. M. Weir and C. C. Blackwell, Eds.), CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY (F. M. Ausubel, R. Brent, R. E. Kingston, D. D. Moore, J. G. Siedman, J. A. Smith, and K. Struhl, eds., 1987), CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY (J. E. coligan, A. M. Kruisbeek, D. H. Margulies, E. M. Shevach and W. Strober, eds., 1991); ANNUAL REVIEW OF IMMUNOLOGY;並びにADVANCES IN IMMUNOLOGYなどの学術誌中の研究論文を参照されたい。上記及び下記の両方の、本明細書において言及された全ての特許、特許出願、及び刊行物は、参照により本明細書に援用される。
本明細書で使用される核酸化学、生化学、遺伝学、及び分子生物学の用語及び符号は、当該分野においてスタンダードな論文及び教科書、例えば、Kornberg and Baker, DNA Replication, Second Edition (W.H. Freeman, New York, 1992); Lehninger, Biochemistry, Second Edition (Worth Publishers, New York, 1975); Strachan and Read, Human Molecular Genetics, Second Edition (Wiley-Liss, New York, 1999); Eckstein, editor, Oligonucleotides and Analogs: A Practical Approach (Oxford University Press, New York, 1991); Gait, editor, Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach (IRL Press, Oxford, 1984)などの用語及び符号に従うものとする。
本発明は、部分的には、トランスポザーゼ又はトランスポソームを用いた、ゲノムDNAなどからの、DNA断片鋳型の作製法の発見に基づいている。ゲノムDNA断片鋳型は後に増幅及び配列決定されてもよい。本明細書に記載のトランスポザーゼ法を用いて作製されたDNA断片鋳型は、当業者に公知の方法を用いて増幅することができる。ある態様では、増幅はPCRを用いて達成される。Mullis(米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、及び同第4,965,188号)による「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)という用語は、クローニングも精製も無しで、核酸配列の混合物中で標的配列のあるセグメントの濃度を増加させるための方法を指す。この標的配列を増幅するプロセスは、大過剰の2種のオリゴヌクレオチドプライマーを所望の標的配列を含有する核酸配列混合物に導入すること、及びその後の、ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ)存在下での正確な一連の温度サイクルからなる。2種のプライマーは二本鎖標的配列の各々の鎖に対して相補的である。増幅を実行するために、混合物が変性された後、プライマーが標的分子内のそれらの相補的配列にアニールされる。アニーリングの後、新たな相補鎖対の形成のために、プライマーがポリメラーゼにより伸長される。変性段階、プライマーアニーリング段階、及びポリメラーゼ伸長段階を、何度も繰り返すことで(すなわち、変性、アニーリング及び伸長が1つの「サイクル」を成し、多数の「サイクル」が行われ得る)、所望の標的配列の高濃度に増幅されたセグメントを得ることができる。所望の標的配列の増幅セグメントの長さはプライマーの互いに対する相対位置によって決定されるため、この長さは調節可能なパラメーターである。前記プロセスの反復的な態様に基づいて、前記方法は「ポリメラーゼ連鎖反応」(以下、「PCR」)と称される。標的配列の所望の増幅セグメントは、混合物中の(濃度の点で)優勢な配列となることから、「PCR増幅された」と言われる。
PCRを用いて、ゲノムDNA内の単一コピーの特定の標的配列を、いくつかの種々の方法論(例えば、標識プローブを用いたハイブリダイゼーション;ビオチン化プライマー組込み後のアビジン/酵素複合体の検出;dCTP又はdATPなどの32P標識デオキシヌクレオチド三リン酸の増幅セグメント内への組込み)により検出可能なレベルにまで増幅することが可能である。適切なプライマー分子セットを用いることで、ゲノムDNAだけでなく、あらゆるオリゴヌクレオチド配列又はポリヌクレオチド配列が増幅可能である。特に、PCRプロセスそれ自体によって作製された増幅セグメントは、それら自体が、後のPCR増幅のための有効な鋳型となる。PCRを実行するための方法及びキットは当該技術分野において周知である。PCRは、プライマー対、すなわち上流プライマー及び下流プライマーからなるプライマー対、並びにDNAポリメラーゼなどの重合触媒、並びに、典型的には、熱耐性ポリメラーゼ酵素を用いた、複製コピーが標的ポリヌクレオチド製である、反応である。PCRのための方法は当該技術分野において周知であり、例えば、MacPherson et al. (1991) PCR 1: A Practical Approach (IRL Press at Oxford University Press)に教示されている。本明細書では、PCR又は遺伝子クローニングなどの、ポリヌクレオチドの複製コピーを生成するプロセスは全て、一括して複製と称される。プライマーは、サザンブロット解析又はノーザンブロット解析など、ハイブリダイゼーション反応におけるプローブとして使用することもできる。
「増幅」又は「増幅する」という表現は、特定のポリヌクレオチドの余分又は複数のコピーが形成されるプロセスを指す。増幅には、PCR、ライゲーション増幅(ligation amplification)(又はリガーゼ連鎖反応、LCR)及び他の増幅法などの方法が含まれる。これらの方法は当該技術分野において公知であり、広く実施されている。例えば、米国特許第4,683,195号及び同第4,683,202号、並びにInnis et al., “PCR protocols: a guide to method and applications” Academic Press, Incorporated (1990) (PCRに関して);及びWu et al. (1989) Genomics 4:560-569 (LCRに関して)を参照されたい。概して、PCR手順は、(i)DNA試料(又はライブラリー)内の特定の遺伝子に対するプライマーの配列特異的ハイブリダイゼーション、(ii)続く、DNAポリメラーゼを用いた、複数周のアニーリング、伸長、及び変性を含む増幅、並びに、(iii)妥当なサイズのバンドについてのPCR産物のスクリーニング、から構成される遺伝子増幅法を記述している。使用されるプライマーは、重合開始をもたらすのに十分な長さ及び適切な配列を有するオリゴヌクレオチドであり、すなわち、各プライマーは、増幅されるゲノム遺伝子座の各々の鎖に相補的となるように特別に設計されている。
増幅反応を行うための試薬及びハードウェアは商業的に入手可能である。特定の遺伝子領域から配列を増幅するのに有用なプライマーは、標的領域内又はその隣接領域内の配列に相補的であり、且つそれに特異的にハイブリダイズすることが好ましく、本明細書において提供されるポリヌクレオチド配列を用いて作製することができる。増幅によって作製された核酸配列はそのまま配列決定することができる。
ハイブリダイゼーションが2本の一本鎖ポリヌクレオチドの間で逆平行の立体配置で生じる場合、その反応は「アニーリング」と称され、それらのポリヌクレオチドは「相補的である」とされる。二本鎖ポリヌクレオチドは別のポリヌクレオチドに対して、第一のポリヌクレオチドの一方の鎖と第二のポリヌクレオチドの一方の鎖との間でハイブリダイゼーションが発生可能である場合に、相補的又は相同であるとすることができる。相補性又は相同性(あるポリヌクレオチドが別のポリヌクレオチドと相補的である程度)は、一般に認められている塩基対形成法則に従って、互いに水素結合を形成すると予想される対向する鎖内の塩基の割合の面から、数量化できる。
「逆転写PCR」及び「RT−PCR」という用語は、出発物質がmRNAであるPCRの1種を指す。逆転写酵素を用いて、開始mRNAが酵素により相補DNA又は「cDNA」に変換される。cDNAはその後、PCR反応のための鋳型として使用される。
「PCR産物」、「PCR断片」、及び「増幅産物」という用語は、PCR段階である変性、アニーリング及び伸長からなるサイクルが2周以上完了した後の、得られた混合物又は化合物を指す。これらの用語は、1又は複数の標的配列の1又は複数のセグメントの増幅が起こった場合も包含する。
用語「増幅試薬」は、プライマー、核酸鋳型、及び増幅酵素以外の増幅に必要な試薬(デオキシリボヌクレオチド三リン酸、緩衝液など)を指す。典型的には、増幅試薬は他の反応成分と共に、反応器(試験管、マイクロウェルなど)内に添加及び含有される。増幅法には、当業者に公知のPCR法が含まれ、また、ローリングサークル増幅(Blanco et al., J. Biol. Chem., 264, 8935-8940, 1989)、超分岐ローリングサークル増幅(Lizard et al., Nat. Genetics, 19, 225-232, 1998)、及びループ介在等温増幅(Notomi et al., Nuc. Acids Res., 28, e63, 2000)も含まれる(各文献は参照によってその全体が本明細書に援用される)。
エマルジョンPCRでは、「油中水滴型」混合物を激しく振盪又は撹拌し、数百万個のミクロンサイズの水性コンパートメントを生成することにより、エマルジョンPCR反応が生じる。DNAライブラリーが、限界希釈された状態で、乳化前のビーズと、又はエマルジョン混合物に直接、混合される。コンパートメントのサイズと、ビーズ及び標的分子の限界希釈との組み合わせを利用することで、平均してただ1つのDNA分子及びビーズを含有するコンパートメントが生成される(最適希釈においては、多くの区画コンパートメントが標的を持たないビーズを有することとなる)。増幅効率を促進するため、上流PCRプライマー(低濃度、ビーズ上のプライマー配列とマッチ)及び下流PCRプライマー(高濃度)の両方が反応混合物中に含まれる。乳化段階で生成された水性コンパートメントのサイズに応じて、1μl当たり最大3×109回の個々のPCR反応が同一チューブ内で同時に行われ得る。本質的に、エマルジョン中の各々の小コンパートメントが微小なPCR反応器を形成する。エマルジョン中のコンパートメントの平均サイズは、乳化条件に応じて、直径1ミクロン未満から100ミクロン超に亘る。
本開示との関連において特に企図される他の核酸増幅手順としては、核酸配列ベース増幅法(nucleic acid sequence based amplification)(NASBA)及び3SR、Kwoh et al., Proc Natl Acad Sci USA, 86:1173-77, 1989;PCT出願 国際公開第88/10315 et al., 1989(各々、参照によって本明細書に援用される)を含む、転写ベース増幅系(transcription-based amplification system)(rAS)が挙げられる。NASBAでは、標準的なフェノール/クロロホルム抽出、臨床試料の熱変性、溶解緩衝液での処理、並びにDNA及びRNAの単離用のミニスピンカラム、又はRNAの塩化グアニジニウム抽出によって、核酸を増幅用に調製することができる。これらの増幅技術は、標的特異的な配列を有するプライマーをアニーリングすることを含む。重合後、DNA/RNAハイブリッドはリボヌクレアーゼHで消化され、一方で二本鎖DNA分子は再度熱変性される。いずれの場合でも、第二の標的特異的プライマーの添加と続く重合により、一本鎖DNAは十分に二本鎖にされる。次に、二本鎖DNA分子はT7又はSP6などのポリメラーゼによって多重に(multiply)転写される。等温サイクル反応において、RNAは二本鎖DNAに逆転写され、T7又はSP6などのポリメラーゼによりもう一度転写される。得られた産物は、切断型か完全かにかかわらず、標的特異的な配列を示す。
本開示においては、英国特許出願第GB2,202,328号及びPCT特許出願第PCT/US89/01025号(各々参照によって本明細書に援用される)に記載されるような他の増幅法を使用してもよい。前記英国特許出願では、PCR様の鋳型及び酵素に依存的な合成に、「改変型」プライマーが使用されている。前記プライマーは、捕捉用部分(例えば、ビオチン)及び/又は検出部分(例えば、酵素)での標識によって改変されていてもよい。前記PCT特許出願では、過剰な標識プローブが試料に添加される。標的配列の存在下で、プローブが結合し、酵素によって切断される。切断後、標的配列はそのまま遊離し、過剰なプローブに結合される。標識プローブの切断によって標的配列の存在が示される。
Davey et al.、欧州特許出願番号第329,822号(参照によって本明細書に援用される)では、一本鎖RNA(「ssRNA」)、ssDNA、及び二本鎖DNA(dsDNA)を周期的に合成することを含む、核酸増幅プロセスが開示されており、これも、本開示において使用されてもよい。ssRNAが第一のプライマーオリゴヌクレオチドの第一の鋳型となり、逆転写酵素(RNA依存的DNAポリメラーゼ)によって伸長される。次いで、前記RNAが、得られたDNA:RNA二本鎖からリボヌクレアーゼH(RNase H、DNA又はRNAを有する二本鎖内のRNAに特異的なリボヌクレアーゼ)の作用によって取り除かれる。得られたssDNAが第二のプライマーの第二の鋳型となり、これは、鋳型に対するその相同性(homology)の5’側に、RNAポリメラーゼプロモーターの配列も含む(T7 RNAポリメラーゼによって例示)。このプライマーが次に、DNAポリメラーゼによって伸長され(大腸菌DNAポリメラーゼIの大型「Klenow」断片によって例証)、結果、プライマー間にオリジナルのRNAの配列と同一の配列を有し、且つ、一方の末端にプロモーター配列をさらに有する、二本鎖DNA分子が得られる。このプロモーター配列を適切なRNAポリメラーゼに使用させることにより、DNAのRNAコピーを多く作製することができる。これらのコピーが前記サイクルに再び入ることで、非常に迅速な増幅が可能となる。適切な酵素を選択することで、この増幅は、各サイクルで酵素を添加することなく、一定の温度で行うことができる。このプロセスの周期的な性質により、開始核酸配列は、DNAとすることもできるし、あるいはRNAとすることもできる。
Miller et al.、PCT出願国際公開第89/06700号(参照によって本明細書に援用される)では、プロモーター/プライマー配列の標的一本鎖DNAへのハイブリダイゼーション、及び続く前記配列の多くのRNAコピーの転写に基づく、核酸配列増幅スキームが開示されている。このスキームは周期的ではない、すなわち、得られたRNA転写物から新たな鋳型は生成されない。
他の好適な増幅法としては、RACE及び「片側PCR(one-sided PCR)」(Frohman, In: PCR Protocols: A Guide To Methods And Applications, Academic Press, N.Y., 1990、各々参照によって本明細書に組み込まれる)が挙げられる。結果として生成される「ジ−オリゴヌクレオチド」の配列を有する核酸の存在下で、2本(以上)のオリゴヌクレオチドをライゲーションすることで、ジ−オリゴヌクレオチドを増幅することに基づいた方法も、本開示によるDNA増幅に使用され得る(Wu et al., Genomics 4:560-569, 1989、参照によって本明細書に援用される)。
一態様によれば、DNA断片鋳型がRNAポリメラーゼプロモーター配列を含み、RNAポリメラーゼがDNA断片鋳型からRNAアンプリコンを作製するために使用され、逆転写酵素がRNAアンプリコンから一本鎖DNAを作製するために使用される。次いで、その一本鎖DNAに合わせて相補体が作られ、二本鎖DNAとなり、結果、オリジナルのDNA断片鋳型から直線的に増幅されたアンプリコンが得られる。
ある態様によれば、例示的なトランスポゾン系はTn5トランスポゾン系である。他の有用なトランスポゾン系は当業者に公知であり、以下が挙げられる:Tn3トランスポゾン系(Maekawa, T., Yanagihara, K., and Ohtsubo, E. (1996), A cell-free system of Tn3 transposition and transposition immunity, Genes Cells 1, 1007-1016参照)、Tn7トランスポゾン系(Craig, N.L. (1991), Tn7: a target site-specific transposon, Mol. Microbiol. 5, 2569-2573参照)、Tn10トランスポゾン(tranposon)系(Chalmers, R., Sewitz, S., Lipkow, K., and Crellin, P. (2000), Complete nucleotide sequence of Tn10, J. Bacteriol 182, 2970-2972参照)、ピギーバック方式(Piggybac)トランスポゾン系(Li, X., Burnight, E.R., Cooney, A.L., Malani, N., Brady, T., Sander, J.D., Staber, J., Wheelan, S.J., Joung, J.K., McCray, P.B., Jr., et al. (2013), PiggyBac transposase tools for genome engineering, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 110, E2279-2287参照)、スリーピングビューティ(Sleeping beauty)トランスポゾン系(Ivics, Z., Hackett, P.B., Plasterk, R.H., and Izsvak, Z. (1997), Molecular reconstruction of Sleeping Beauty, a Tc1-like transposon from fish, and its transposition in human cells, Cell 91, 501-510参照)、Tol2トランスポゾン系(Kawakami, K. (2007), Tol2: a versatile gene transfer vector in vertebrates, Genome Biol. 8 Suppl. 1, S7参照)。
ある態様によれば、例示的なRNAポリメラーゼはT7 RNAポリメラーゼである。他の有用なRNAポリメラーゼは当業者に公知であり、以下が挙げられる:T3 RNAポリメラーゼ(Jorgensen, E.D., Durbin, R.K., Risman, S.S., and McAllister, W.T. (1991) Specific contacts between the bacteriophage T3, T7, and SP6 RNA polymerases and their promoters, J. Biol. Chem. 266, 645-651参照)、及びSP6 RNAポリメラーゼ(Melton, D.A., Krieg, P.A., Rebagliati, M.R., Maniatis, T., Zinn, K., and Green, M.R. (1984) Efficient in vitro synthesis of biologically active RNA and RNA hybridization probes from plasmids containing a bacteriophage SP6 promoter, Nucleic Acids Res. 12, 7035-7056参照)。
増幅されるDNAは、単一細胞から得てもよいし、あるいは細胞小集団から得てもよい。本明細書に記載の方法は、単一反応器内で実行される単一反応混合物などの反応混合物内のあらゆる種又は生物からのDNAの増幅を可能にする。一態様において、本明細書に記載の方法は、ヒトDNA、動物DNA、植物DNA、酵母DNA、ウイルスDNA、真核生物DNA及び原核生物DNAを含むがこれらに限定はされない、あらゆる供給源に由来するDNAを、配列非依存的に増幅することを含む。
一態様によれば、二本鎖19bpトランスポザーゼ(Tnp)結合部位と、バーコード配列、プライミング部位及びRNAポリメラーゼプロモーター配列のうちの1又は複数を含む第一の核酸配列と、を含むトランスポゾンDNAに各々結合しているTn5トランスポザーゼに、単一細胞由来の二本鎖ゲノムDNAを接触させることで、トランスポソームと称されるトランスポザーゼ/トランスポゾンDNA複合体二量体を形成させることを含む、単一細胞の全ゲノム増幅及び配列決定の方法が提供される。第一の核酸配列は一本鎖伸長物の形態であってもよいし、あるいは、第一の核酸配列は各末端が二本鎖トランスポザーゼ結合部位の対応する鎖に連結されているループの形態であってもよい。一態様によれば、第一の核酸配列は、バーコード領域、プライミング部位及び強力なT7プロモーター配列を含む、5’オーバーハングなどのオーバーハングであってもよい。オーバーハングは、所望に従って、バーコード領域、プライミング部位及び強力なT7プロモーター配列のうちの1又は複数を含むのに適した、いかなる長さにもすることができる。トランスポソームは二本鎖ゲノムDNAに続く標的部位に結合し、Tnp結合部位により上側鎖に結合した第一の複合体及びTnp結合部位により下側鎖に結合した第二の複合体を各々有する複数の二本鎖断片に二本鎖ゲノムDNAを切断する。トランスポゾン結合部位は二本鎖断片の各5’末端に結合に結合する。一態様によれば、Tn5トランスポザーゼは複合体から取り除かれる。トランスポゾンDNAに沿って二本鎖断片が伸長されて、両末端にT7プロモーターを有する二本鎖伸長産物が生成される。一態様によれば、Tn5トランスポザーゼ結合部位の二本鎖ゲノムDNA断片への結合によって生じ得るギャップは補填され得る。二本鎖伸長産物がT7 RNAポリメラーゼと接触することで、二本鎖伸長産物のRNA転写物が生成される。一態様によれば、T7 RNAポリメラーゼを用いて、二本鎖伸長産物の複数のRNA転写物が生成される。RNA転写物は複数の対応する一本鎖DNAに逆転写される。一本鎖DNAに対する相補鎖が生成され、ゲノムDNA配列を含み、且つ上側鎖及び下側鎖の両末端にバーコードを有する複数の二本鎖DNAが形成される。複数の二本鎖DNAは、トランスポザーゼによって生成された対応するゲノムDNA断片から直線的に増幅されたアンプリコンである。二本鎖DNAアンプリコンはその後、当業者に公知の、例えばハイスループット配列決定法を用いて配列決定され得る。
特定の態様において、実施形態は、特定部位の提示を欠くことのない、実質的に全体のゲノムを増幅するための方法を対象とする(本明細書において「全ゲノム増幅」と定義される)。特定の実施形態において、全ゲノム増幅は、ゲノムライブラリーの実質的に全ての断片の同時増幅を含む。さらなる特定の実施形態において、「実質的に全体の」又は「実質的に全ての」とは、ゲノム内の全配列の約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、又は約99%を指す。全ゲノムの増幅が、いくつかの実施形態において、他の配列に比して特定の配列を等しからず増幅すること(non-equivalent amplification of particular sequences over others)を含むことは、当業者によって認識される。
一態様によれば、DNA試料は、ゲノムDNA、顕微解剖された染色体DNA、酵母人工染色体(YAC)DNA、コスミドDNA、ファージDNA、P1由来人工染色体(PAC)DNA、又はバクテリア人工染色体(BAC)DNAである。別の好ましい実施形態では、DNA試料は哺乳類DNA、植物DNA、酵母DNA、ウイルスDNA、又は原核生物DNAである。さらに別の好ましい実施形態では、DNA試料はヒト、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、げっ歯類、トリ、魚、エビ、植物、酵母、ウイルス、又は細菌から得られる。DNA試料はゲノムDNAであることが好ましい。
ある特定の例示的な態様によれば、所望の増幅及び配列決定のための核酸断片を作製するために、転位系が用いられる。特定の一態様によれば、単一細胞ゲノム増幅のために、転位系がRNAポリメラーゼと組み合わされる。一態様によれば、ゲノムDNAを二本鎖ゲノムDNA断片に断片化するために、転位系が用いられる。RNAポリメラーゼを用いてRNAアンプリコンが作製され、これが次にDNAに逆転写される。前記DNAに対する相補体が作製され、オリジナルの二本鎖ゲノムDNA断片から直線的に増幅されたアンプリコンである二本鎖ゲノムDNA配列が形成される。ある態様によれば、RNAポリメラーゼの使用による直線的なアンプリコンの作製は、単一細胞ゲノムDNA(gDNA)の高品質の増幅を有利に達成し、(1)ゲノムカバレッジにも影響を与えるノイズのある単一細胞配列決定データ、並びにコピー数多様性(CNV)の低解像度検出をもたらす、増幅バイアス;(2)一塩基多様性(single nucleotide variations)(SNV)の正確な検出も妨げる単一細胞配列決定データにおける高い偽陽性率を引き起こす、増幅エラー;並びに、(3)オリジナルの単一細胞ゲノムDNA試料からの構造多様性(SV)のシグナルを圧倒する、増幅中のキメラ形成、を低減又は回避する。これらの側面の1又は複数は、例えばある特定の状況においてPCR増幅に付随する、指数関数的増幅の結果であり得る。PCRは、定義によれば指数関数的な増幅法であり、すなわち、前のラウンドの増幅由来のコピーに基づいて新たなコピーが作製される。その結果、アンプリコン間の増幅効率のわずかな差異が蓄積し、多くのサイクルの後、種々のアンプリコン間での増幅バイアスに繋がる場合がある。さらに、PCRの初期のラウンドの間に生じたエラーは、後のPCRラウンドの間により多くのコピーへとさらに伝播される場合があり、これにより、多くの増幅サイクルの後に、全体的な増幅精度が低減される場合がある。
ある態様によれば、単一細胞由来のDNAなどの少量のDNAを増幅する場合、増幅前の、単一細胞内から得ることができる少量(〜6pg)のゲノムDNAを最大にするために、DNAカラム精製段階が行われない。DNAは、細胞溶解物又は他の不純な状態から直接増幅することができる。そのため、DNA試料は、不純であっても、未精製であっても、未単離であってもよい。従って、本方法の態様により、増幅用のゲノムDNAを最大にし、精製による損失を減少させることが可能である。さらなる一態様によれば、本明細書に記載の方法は、RNAポリメラーゼに基づく増幅法などのPCR以外の増幅法を利用してもよい。本明細書に記載される、そのようなRNAポリメラーゼに基づく増幅法は、増幅バイアスを低減し、増幅精度を向上させることができるため有利である。例えば、Tn5トランスポゾンDNAは、強力なT7プロモーター配列を含有するように設計されている。転位反応の後、単一細胞ゲノムDNAは断片化され、各断片は両末端上に強力なT7プロモーターによりタグ付けされており、これにより、後のインビトロ転写を介した直線的増幅が可能となる。
一態様によれば、トランスポゾンDNAは、図1に示すように、バーコード領域、プライミング部位、及び強力なT7プロモーター配列を含む長い一本鎖オーバーハングに、共有結合などにより、連結又は接続された、二本鎖19bp Tn5トランスポザーゼ(Tnp)結合部位を、一方の末端に含有するように設計される。強力なT7プロモーター配列はオーバーハングの末端に位置する。図2に示すように、転位後、TnpとトランスポゾンDNAとは互いに結合し、二量体化して、トランスポソームを形成する。図2に示すように、トランスポソームは次に、二量体として、標的の単一細胞ゲノムDNAを無作為に捕捉、又はその他の形でそれに結合する。代表的なトランスポソームに1〜3の番号が付けられている。次に、一方のトランスポザーゼが上側鎖を切断し、一方のトランスポザーゼが下側鎖を切断することで、トランスポソーム内のトランスポザーゼがゲノムDNAを切断することにより、ゲノムDNA断片が生成される。トランスポゾンDNAがこのようにして単一細胞ゲノムDNA中に無作為に挿入され、転位/挿入部位の両末端には9bpギャップが残される。結果として、トランスポゾンDNA Tnp結合部位が上側鎖の5’位に結合し、トランスポゾンDNA Tnp結合部位が下側鎖の5’位に結合した、ゲノムDNA断片が得られる。トランスポゾンDNAの挿入により生じたギャップが示されている。
転位の後、ギャップ伸長が行われて、9bpギャップが埋められ、トランスポゾンDNA内に最初に設計されていた一本鎖オーバーハングが補完される。その結果、図3に示すように、活性な二本鎖T7プロモーター配列が、各ゲノムDNA断片の両末端に結合される。次に、図4に示すように、T7 RNAポリメラーゼが加えられ、インビトロ転写を用いて、単一細胞ゲノムDNA断片が直線的に増幅され、オリジナルのゲノム二本鎖鋳型DNAと同一の配列を含有する多数のRNAが作製される。最後に、逆転写及び第二鎖合成により、増幅RNAが、トランスポゾンDNA内に最初に設計されていたバーコード領域が各断片の両末端上に結合した状態の二本鎖DNA分子に戻される。DNA断片はその後、標準的なライブラリー調製及び配列決定のために、さらなる処理を受けてもよい。
特定のTn5転位系が報告されており、当業者に利用可能となっている。Goryshin, I.Y. and W.S. Reznikoff, Tn5 in vitro transposition. The Journal of biological chemistry, 1998. 273(13): p. 7367-74; Davies, D.R., et al., Three-dimensional structure of the Tn5 synaptic complex transposition intermediate. Science, 2000. 289(5476): p. 77-85; Goryshin, I.Y., et al., Insertional transposon mutagenesis by electroporation of released Tn5 transposition complexes. Nature biotechnology, 2000. 18(1): p. 97-100、及びSteiniger-White, M., I. Rayment, and W.S. Reznikoff, Structure/function insights into Tn5 transposition. Current opinion in structural biology, 2004. 14(1): p. 50-7(各々、全ての目的においてその全体が参照によって本明細書に援用される)を参照されたい。DNAライブラリー調製及び他の用途のための、Tn5転位系を利用したキットが知られている。Adey, A., et al., Rapid, low-input, low-bias construction of shotgun fragment libraries by high-density in vitro transposition. Genome biology, 2010. 11(12): p. R119; Marine, R., et al., Evaluation of a transposase protocol for rapid generation of shotgun high-throughput sequencing libraries from nanogram quantities of DNA. Applied and environmental microbiology, 2011. 77(22): p. 8071-9; Parkinson, N.J., et al., Preparation of high-quality next-generation sequencing libraries from picogram quantities of target DNA. Genome research, 2012. 22(1): p. 125-33; Adey, A. and J. Shendure, Ultra-low-input, tagmentation-based whole-genome bisulfite sequencing. Genome research, 2012. 22(6): p. 1139-43; Picelli, S., et al., Full-length RNA-seq from single cells using Smart-seq2. Nature protocols, 2014. 9(1): p. 171-81、及びBuenrostro, J.D., et al., Transposition of native chromatin for fast and sensitive epigenomic profiling of open chromatin, DNA-binding proteins and nucleosome position. Nature methods, 2013(各々、全ての目的においてその全体が参照によって本明細書に援用される)を参照されたい。また、国際公開第98/10077号、欧州特許第2527438号及び同第2376517号(各々、その全体が参照によって本明細書に援用される)も参照されたい。市販の転位キットがNEXTERAの名で販売されており、イルミナ社から入手可能である。
T7 RNAポリメラーゼによるインビトロ転写(IVT)は、RNAアンプリコンの作製に有用である。Van Gelder, R.N., et al., Amplified RNA synthesized from limited quantities of heterogeneous cDNA. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 1990. 87(5): p. 1663-7; Kawasaki, E.S., Microarrays and the gene expression profile of a single cell. Annals of the New York Academy of Sciences, 2004. 1020: p. 92-100; Livesey, F.J., Strategies for microarray analysis of limiting amounts of RNA. Briefings in functional genomics & proteomics, 2003. 2(1): p. 31-6; Tang, F., K. Lao, and M.A. Surani, Development and applications of single-cell transcriptome analysis. Nature methods, 2011. 8(4 Suppl): p. S6-11; Hashimshony, T., et al., CEL-Seq: single-cell RNA-Seq by multiplexed linear amplification. Cell reports, 2012. 2(3): p. 666-73;及びShankaranarayanan, P., et al., Single-tube linear DNA amplification for genome-wide studies using a few thousand cells. Nature protocols, 2012. 7(2): p. 328-38(各々、その全体が参照によって本明細書に援用される)を参照されたい。本開示において、IVTは、全てのコピーがオリジナルの鋳型DNAから作製される直線的増幅を可能とするため有利である。得られたRNA分子が一本鎖DNAに逆転写され、次いで相補鎖が形成されることで、オリジナルの鋳型DNAから直線的に増幅されたアンプリコンである二本鎖DNAが生じ得る。RNAポリメラーゼが直線的増幅に使用される結果として、種々のアンプリコン間の増幅バイアスがかなり小さくなる。さらに、直線的増幅では増幅エラーが後の段階に伝播し得ないため、増幅精度がより高くなる。ある態様によれば、RNAプロモーター配列が標的DNAに結合されていることで、T7 RNAポリメラーゼなどのRNAポリメラーゼが有利に利用されてRNAアンプリコンが生成され、後にこれを用いてオリジナルの鋳型DNAのDNAアンプリコンが生成される。
一態様によれば、DNA増幅法は、増幅DNA産物の遺伝子型解析をさらに含む。あるいは、DNA増幅法は、増幅DNA産物内の一塩基多型(SNP)などの多型性の同定をさらに含むことが好ましい。好ましい実施形態では、SNPは、ある生物のDNA内で、DNA塩基配列決定法、PCR産物の増幅及びPCR産物の配列決定、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)、ダブルコードOLA(doublecode OLA)、一塩基伸長アッセイ、対立遺伝子特異的プライマー伸長、又はミスマッチハイブリダイゼーションによるSNP同定を含むがこれらに限定はされない、当業者に周知のいくつかの方法によって同定され得る。同定されたSNPは、疾患表現型及び望ましい形質を含む、表現型と関連付けられることが好ましい。開示されるDNA増幅法を用いることで作製された増幅DNAは、ゲノムDNAライブラリー、顕微解剖後染色体DNAライブラリー、BACライブラリー、YACライブラリー、PACライブラリー、cDNAライブラリー、ファージライブラリー、及びコスミドライブラリーを含むがこれらに限定はされない、DNAライブラリーの作製にも好ましく使用され得る。
用語「ゲノム」は、本明細書で使用される場合、個体、細胞、又は細胞小器官に保有される集合的な遺伝子セットと定義される。用語「ゲノムDNA」は、本明細書で使用される場合、個体、細胞、又は細胞小器官に保有される部分的又は完全な集合的遺伝子セットを含むDNA物質と定義される。
本明細書で使用される場合、用語「ヌクレオシド」は、プリン塩基又はピリミジン塩基がリボース糖又はデオキシリボース糖に共有結合的に連結された分子を指す。例示的なヌクレオシドとして、アデノシン、グアノシン、シチジン、ウリジン及びチミジンが挙げられる。さらなる例示的なヌクレオシドとして、イノシン、1−メチルイノシン、プソイドウリジン、5,6−ジヒドロウリジン、リボチミジン、2N−メチルグアノシン及び2,2N,N−ジメチルグアノシン(「希」ヌクレオシドとも称される)が挙げられる。用語「ヌクレオチド」は、1又は複数のリン酸基が糖部分にエステル結合で連結されたヌクレオシドを指す。例示的なヌクレオチドとして、ヌクレオシド一リン酸、ヌクレオシド二リン酸及びヌクレオシド三リン酸塩が挙げられる。「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」及び「核酸分子」という用語は、本明細書では同義的に使用されており、5’炭素原子と3’炭素原子との間のホスホジエステル結合によって結合された、あらゆる長さの、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドいずれかのヌクレオチドの重合体を指す。ポリヌクレオチドは、あらゆる三次元構造をとることができ、既知又は未知のあらゆる機能を実行することができる。以下はポリヌクレオチドの非限定例である:遺伝子又は遺伝子断片(例えば、プローブ、プライマー、EST又はSAGEタグ)、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、あらゆる配列の単離DNA、あらゆる配列の単離RNA、核酸プローブ及びプライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体などの修飾ヌクレオチドを含むことができる。また、前記用語は二本鎖分子及び一本鎖分子の両方を指す。特に記載や必要がない限り、ポリヌクレオチドを含む本発明のいずれの実施形態も、二本鎖形態、及び二本鎖形態をつくることが知られている又は予想される2本の相補的な一本鎖形態の各々、の両方を包含する。ポリヌクレオチドは、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)の4種のヌクレオチド塩基からなる特定の配列から構成され、ポリヌクレオチドがRNAである場合、チミンはウラシル(U)である。従って、ポリヌクレオチド配列とは、ポリヌクレオチド分子のアルファベットによる表記である。このアルファベットによる表記は、中央演算処理装置を備えたコンピュータ内のデータベースに入力可能であり、機能ゲノム学及び相同性検索などのバイオインフォマティクス応用に使用可能である。
「RNA」、「RNA分子」及び「リボ核酸分子」という用語は、リボヌクレオチドの重合体を指す。「DNA」、「DNA分子」及び「デオキシリボ核酸分子」という用語は、デオキシリボヌクレオチドの重合体を指す。DNA及びRNAは、自然合成(例えば、それぞれDNA複製又はDNAの転写による合成)が可能である。RNAは転写後修飾が可能である。DNA及びRNAは化学的な合成も可能である。DNA及びRNAは、一本鎖(すなわち、それぞれssRNA及びssDNA)とすることもできるし、あるいは多重鎖(例えば、二本鎖、すなわち、それぞれdsRNA及びdsDNA)とすることもできる。
「ヌクレオチド類似体」、「改変ヌクレオチド」及び「修飾ヌクレオチド」という用語は、非天然のリボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドを含む、非標準的なヌクレオチドを指す。ある特定の例示的な実施形態において、ヌクレオチド類似体は、ヌクレオチドのある特定の化学的性質を変化させるが、ヌクレオチド類似体の所望の機能を実行する能力は保持するように、あらゆる位置で修飾される。誘導体化され得るヌクレオチドの位置の例としては、5位、例えば、5−(2−アミノ)プロピルウリジン、5−ブロモウリジン、5−プロピンウリジン、5−プロペニルウリジンなど;6位、例えば、6−(2−アミノ)プロピルウリジン;アデノシン及び/又はグアノシンの8位、例えば、8−ブロモグアノシン、8−クロログアノシン、8−フルオログアノシンなどが挙げられる。また、ヌクレオチド類似体として、デアザヌクレオチド、例えば、7−デアザ−アデノシン;O修飾ヌクレオチド及びN修飾ヌクレオチド(例えば、アルキル化ヌクレオチド、例えば、N6−メチルアデノシン、又はその他の当該技術分野において公知のもの);並びに、Herdewijn, Antisense Nucleic Acid Drug Dev., 2000 Aug. 10(4):297-310に記載されるものなどの他の複素環修飾(heterocyclically modified)ヌクレオチド類似体も挙げられる。
ヌクレオチド類似体はヌクレオチドの糖部分への修飾を含んでいてもよい。例えば、2’OH基がH、OR、R、F、Cl、Br、I、SH、SR、NH、NHR、NR、COOR、又はORから選択される基によって置換されてもよく、ここで、Rは置換又は非置換のC−Cアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールなどである。他の可能な修飾としては、米国特許第5,858,988号及び同第6,291,438号に記載される修飾が挙げられる。
ヌクレオチドのリン酸基は、例えば、リン酸基の酸素の一つ若しくは複数の硫黄との置換により(例えば、ホスホロチオエート)、又は、例えば、Eckstein, Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 2000 Apr. 10(2):117-21, Rusckowski et al. Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 2000 Oct. 10(5):333-45, Stein, Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 2001 Oct. 11(5): 317-25, Vorobjev et al. Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 2001 Apr. 11(2):77-85、及び米国特許第5,684,143号に記載される置換などの、ヌクレオチドによるその所望の機能の実行を可能にする他の置換により、修飾されていてもよい。上記修飾のいくつか(例えば、リン酸基修飾)は、例えば、前記類似体を含むポリヌクレオチドのインビボ又はインビトロにおける加水分解速度を減少させる。
用語「インビトロ」は、その当該技術分野において認められている意味を有し、例えば、精製された試薬又は抽出物、例えば細胞抽出物、を含む。用語「インビボ」も、その当該技術分野において認められている意味を有し、例えば、生細胞、例えば不死化細胞、初代細胞、細胞株、及び/又は生物内の細胞、を含む。
本明細書で使用される場合、「相補的」及び「相補性」という用語は、塩基対形成法則によって関連付けられるヌクレオチド配列に関して使用される。例えば、配列5’−AGT−3’は、配列5’−ACT−3’に対して相補的である。相補性は部分的である可能性も全体的である可能性もある。部分的な相補性は、塩基対形成の法則により、1又は複数の核酸塩基が一致していない場合に生じる。核酸間の全体的又は完全な相補性は、塩基対形成の法則に基づいて、各々全ての核酸塩基がもう1つの塩基と一致している場合に生じる。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率及び強度に対し重大な影響を及ぼす。
用語「ハイブリダイゼーション」は、相補的核酸の対合を指す。ハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションの強度(すなわち、核酸間の結合の強度)は、核酸間の相補性の程度、関連する条件のストリンジェンシー、形成されたハイブリッドのT、及び核酸内のG:C比などの要素に影響を受ける。その構造内に相補的核酸の対合を含有する単一分子は、「自己ハイブリダイズ(self-hybridized)」しているといわれる。
用語「T」は、核酸の融解温度を指す。融解温度は、二本鎖核酸分子の集団の半分が一本鎖に解離する温度である。核酸のTを算出するための式は当該技術分野において周知である。標準的な参考文献によって示されるように、T値の単純な推定値は、核酸が1M NaClの水溶液中に存在する場合、式:T=81.5+0.41(%G+C)によって算出され得る(例えば、Anderson and Young, Quantitative Filter Hybridization, in Nucleic Acid Hybridization (1985)を参照)。他の参考文献は、Tの算出のために配列の特徴だけでなく構造的な特徴も考慮に入れたより洗練された算出を含む。
用語「ストリンジェンシー」は、核酸ハイブリダイゼーションが行われる、温度、イオン強度、及び有機溶剤などの他の化合物の存在の条件を指す。
「低ストリンジェント条件」は、核酸ハイブリダイゼーションに関連して使用される場合、約500ヌクレオチド長のプローブが使用される場合、5×SSPE(43.8g/l NaCl、6.9g/l NaHPO(HO)及び1.85g/l EDTA、pHはNaOHで7.4に調整)、0.1%SDS、5×デンハート試薬(50×デンハート試薬は500ml当たり、5gのフィコール(Type 400、ファルマシア社)、5gのBSA(Fraction V;シグマ社)を含有する)及び100μg/ml 変性サケ精子DNAからなる溶液中、42℃での結合又はハイブリダイゼーション、並びに、その後の5×SSPE、0.1%SDSを含む溶液中、42℃での洗浄と等価な条件を含む。
「中度ストリンジェント条件」は、核酸ハイブリダイゼーションに関連して使用される場合、約500ヌクレオチド長のプローブが使用される場合、5×SSPE(43.8g/l NaCl、6.9g/l NaHPO(HO)及び1.85g/l EDTA、pHはNaOHで7.4に調整)、0.5%SDS、5×デンハート試薬及び100μg/ml 変性サケ精子DNAからなる溶液中、42℃での結合又はハイブリダイゼーション、並びに、その後の1.0×SSPE、1.0%SDSを含む溶液中、42℃での洗浄と等価な条件を含む。
「高ストリンジェント条件」は、核酸ハイブリダイゼーションに関連して使用される場合、約500ヌクレオチド長のプローブが使用される場合、5×SSPE(43.8g/l NaCl、6.9g/l NaHPO(HO)及び1.85g/l EDTA、pHはNaOHで7.4に調整)、0.5%SDS、5×デンハート試薬及び100μg/ml 変性サケ精子DNAからなる溶液中、42℃での結合又はハイブリダイゼーション、並びに、その後の0.1×SSPE、1.0%SDSを含む溶液中、42℃での洗浄と等価な条件を含む。
ある特定の例示的な実施形態では、細胞が同定された後に、単一細胞又は複数の細胞が単離される。本開示の範囲に含まれる細胞には、DNA量を理解することが当業者に有用と見なされる、あらゆる細胞種が含まれる。本開示における細胞は、あらゆる種類のがん細胞、肝細胞、卵母細胞、胚、幹細胞、iPS細胞、ES細胞、ニューロン、赤血球、メラニン形成細胞、星状膠細胞、生殖細胞、乏突起膠細胞、腎細胞などを包含する。一態様によれば、本発明の方法は単一細胞由来の細胞DNAを用いて実行される。複数の細胞には、約2〜約1,000,000個の細胞、約2〜約10個の細胞、約2〜約100個の細胞、約2〜約1,000個の細胞、約2〜約10,000個の細胞、約2〜約100,000個の細胞、約2〜約10個の細胞又は約2〜約5個の細胞が含まれる。
本明細書に記載の方法により処理される核酸はDNAであり得る。前記核酸は例えばヒト試料などの、あらゆる有用な供給源から得られ得る。特定の実施形態では、二本鎖DNA分子はさらに、例えばヒト由来試料由来のものなどの、ゲノムを含んでいると定義される。前記試料は、血液、血清、血漿、脳脊髄液、頬擦過標本、乳頭吸引液、生検材料、精液(射出精液と称される場合がある)、尿、糞便、毛包、唾液、汗、免疫沈降又は物理的に単離したクロマチンなどの、あらゆるヒト由来試料であり得る。特定の実施形態では、前記試料は単一細胞を含む。
特定の実施形態では、試料から増幅された核酸分子から、診断情報又は予後情報が得られる。例えば、試料から調製された核酸分子は、ゲノムのコピー数及び/又は配列の情報、対立遺伝子変異の情報、がん診断、出生前診断、父子鑑別情報、疾患の診断、検出、モニタリング、及び/又は治療の情報、配列情報などを与え得る。
本明細書で使用される場合、「単一細胞」は1個の細胞を指す。本明細書に記載の方法において有用な単一細胞は、目的の組織から、又は生検材料、血液試料、若しくは細胞培養から得ることができる。さらに、特定の器官、組織、腫瘍、新生物など由来の細胞は、本明細書に記載の方法において、入手及び使用可能である。さらに、概して、細菌又は酵母を含む原核生物性又は真核生物性の単細胞生物集団など、いかなる集団由来の細胞も、前記方法において使用することができる。単一細胞懸濁液は、例えば、酵素的にトリプシン若しくはパパインを用いた組織試料中の細胞接続タンパク質の消化、又は培養液中の接着細胞の遊離、又は試料中の細胞の機械的分離を含む、当該技術分野において公知の標準方法を用いて得ることができる。単一細胞は、単一細胞を個々に処理することができる、いかなる好適な反応器内にも置くことができる。例えば、96ウェルプレートでは、各々の単一細胞が単一のウェル内に置かれる。
単一細胞を操作するための方法は、当該技術分野において公知であり、例えば、蛍光標識細胞分取(FACS)、フローサイトメトリー(Herzenberg., PNAS USA 76:1453-55 1979)、顕微操作及び半自動化細胞ピッキング装置(例えば、ストールティング社(Stoelting Co.)製のQuixell(商標)細胞移送システム)の使用が挙げられる。個々の細胞は、例えば、位置、形態、又はレポーター遺伝子発現などの、顕微鏡観察によって検出可能な特徴に基づいて、個々に選抜することができる。さらに、勾配遠心分離及びフローサイトメトリーを組み合わせて使用することで、単離又は選別の効率を上げることもできる。
所望の細胞が同定された後、当業者に公知の方法を用いて、細胞は溶解され、DNAを含む細胞内容物を放出する。細胞内容物は容器内に含有される。本発明のいくつかの態様において、ゲノムDNAなどの細胞内容物は、細胞を溶解することにより、細胞から放出することができる。溶解は、例えば、細胞の加熱、又は界面活性剤若しくは他の化学的手法の使用、又はこれらの組み合わせにより、達成可能である。しかし、当該技術分野において公知のいかなる好適な溶解法も使用することができる。例えば、Tween−20存在下における72℃で2分間の細胞の加熱は、細胞を溶解するのに十分である。あるいは、細胞は、水中で65℃で10分間(Esumi et al., Neurosci Res 60(4):439-51 (2008));又は、0.5%NP−40を添加したPCR buffer II(アプライドバイオシステムズ社)中で70℃で90秒間(Kurimoto et al., Nucleic Acids Res 34(5):e42 (2006))、加熱することができ;あるいは、プロテアーゼKなどのプロテアーゼを用いて、若しくはグアニジンイソチオシアネートなどのカオトロピック塩の使用によって、溶解は達成可能である(米国特許出願公開第2007/0281313号)。本明細書に記載の方法によるゲノムDNAの増幅は、反応混合物を細胞溶解物に添加することができるように、細胞溶解物に対し直接実行することができる。あるいは、細胞溶解物は、当業者に公知の方法を用いて、2つ以上の容器内、チューブ内又は領域内など、2以上の体積に分割することができ、細胞溶解物の一部が各々の体積容器、チューブ又は領域内に含有される。各々の容器、チューブ又は領域内に含有されたゲノムDNAは、本明細書に記載の方法又は当業者に公知の方法によって後に増幅され得る。
また、本発明で使用される核酸は、天然塩基を含むことも、非天然塩基を含むこともできる。これに関して、天然デオキシリボ核酸は、アデニン、チミン、シトシン又はグアニンからなる群から選択される1又は複数の塩基を有することができ、リボ核酸は、ウラシル、アデニン、シトシン又はグアニンからなる群から選択される1又は複数の塩基を有することができる。天然骨格を有しているか類似体の構造を有しているかにかかわらず、核酸内に含まれ得る例示的な非天然塩基としては、限定はされないが、イノシン、キサタニン(xathanine)、ヒポキサタニン(hypoxathanine)、イソシトシン、イソグアニン、5−メチルシトシン、5−ヒロドキシメチルシトシン、2−アミノアデニン、6−メチルアデニン、6−メチルグアニン、2−プロピルグアニン、2−プロピルアデニン、2−チオウラシル(2-thioLiracil)、2−チオチミン、2−チオシトシン、15−ハロウラシル、15−ハロシトシン、5−プロピニルウラシル、5−プロピニルシトシン、6−アゾウラシル、6−アゾシトシン、6−アゾチミン、5−ウラシル、4−チオウラシル、8−ハロアデニン若しくは8−ハログアニン、8−アミノアデニン若しくは8−アミノグアニン、8−チオールアデニン若しくは8−チオールグアニン、8−チオアルキルアデニン若しくは8−チオアルキルグアニン、8−ヒドロキシルアデニン若しくは8−ヒドロキシルグアニン、5−ハロ置換ウラシル若しくは5−ハロ置換シトシン、7−メチルグアニン、7−メチルアデニン、8−アザグアニン、8−アザアデニン、7−デアザグアニン、7−デアザアデニン、3−デアザグアニン、又は3−デアザアデニンなどが挙げられる。特定の実施形態は、米国特許第5,681,702号に一般的に記載されているように、非特異的なハイブリダイゼーションを低減する目的で、核酸内にイソシトシン及びイソグアニンを利用することができる。
本明細書で使用される場合、用語「プライマー」には、概して、配列決定プライマーなど、ポリヌクレオチド鋳型と二本鎖を形成した後に核酸合成の開始点として働くことが可能であり、且つ、伸長された二本鎖の形成のために、鋳型に沿ってその3’末端から伸長させることが可能である、天然又は合成の、オリゴヌクレオチドが含まれる。伸長プロセス中に付加されるヌクレオチドの順序は、鋳型ポリヌクレオチドの配列によって決定される。通常、プライマーはDNAポリメラーゼによって伸長される。プライマーは通常、3〜36ヌクレオチドの範囲内、また、5〜24ヌクレオチドの範囲内、また、14〜36ヌクレオチドの範囲内の長さを有する。本発明の範囲内のプライマーとしては、直交性プライマー(orthogonal primer)、増幅プライマー、及び構築用プライマー(constructions primer)などが挙げられる。プライマー対は、1つの目的配列に隣接させることも、あるいは一連の目的配列に隣接させることもできる。プライマー及びプローブは、縮重配列とすることも、準縮重配列とすることもできる。本発明の範囲内のプライマーは標的配列に隣接して結合する。「プライマー」は、通常、目的の試料中に存在し得る標的又は鋳型に、該標的とのハイブリダイズにより結合する遊離3’−OH基を有し、且つ、その後該標的に相補的なポリヌクレオチドの重合を促進する、短いポリヌクレオチドとみなしてよい。本発明のプライマーは、17〜30ヌクレオチドの範囲のヌクレオチドから構成される。一態様において、プライマーは、少なくとも17ヌクレオチド、あるいは、少なくとも18ヌクレオチド、あるいは、少なくとも19ヌクレオチド、あるいは、少なくとも20ヌクレオチド、あるいは、少なくとも21ヌクレオチド、あるいは、少なくとも22ヌクレオチド、あるいは、少なくとも23ヌクレオチド、あるいは、少なくとも24ヌクレオチド、あるいは、少なくとも25ヌクレオチド、あるいは、少なくとも26ヌクレオチド、あるいは、少なくとも27ヌクレオチド、あるいは、少なくとも28ヌクレオチド、あるいは、少なくとも29ヌクレオチド、あるいは、少なくとも30ヌクレオチド、あるいは少なくとも50ヌクレオチド、あるいは少なくとも75ヌクレオチド、あるいは少なくとも100ヌクレオチドである。
「増幅」又は「増幅する」という表現は、特定のポリヌクレオチドの余分又は複数のコピーが形成されるプロセスを指す。
「逆転写PCR」及び「RT−PCR」という用語は、出発物質がmRNAであるPCRの1種を指す。逆転写酵素を用いて、開始mRNAが酵素により相補DNA又は「cDNA」に変換される。
本明細書に記載の方法により増幅されたDNAは、当業者に公知の方法を用いて配列決定及び解析され得る。目的の核酸配列の配列決定は、当該技術分野において公知の種々の配列決定法、例えば、限定はされないが、ハイブリダイゼーションによる配列決定法(sequencing by hybridization)(SBH)、ライゲーションによる配列決定法(sequencing by ligation)(SBL)(Shendure et al. (2005) Science 309:1728)、定量的増分蛍光ヌクレオチド付加配列決定法(quantitative incremental fluorescent nucleotide addition sequencing)(QIFNAS)、段階的なライゲーション及び切断、蛍光共鳴エネルギー転移(fluorescence resonance energy transfer)(FRET)、分子ビーコン、TaqManレポータープローブ消化(TaqMan reporter probe digestion)、ピロシーケンス、蛍光インサイツ配列決定法(fluorescent in situ sequencing)(FISSEQ)、FISSEQビーズ(米国特許第7,425,431号)、ゆらぎ配列決定法(wobble sequencing)(PCT/US05/27695)、マルチプレックスシーケンス(米国特許出願12/027,039号、2008年2月6日出願;Porreca et al (2007) Nat. Methods 4:931)、重合コロニー(polymerized colony)(POLONY)配列決定法(米国特許第6,432,360号、同第6,485,944号及び同第6,511,803号、並びにPCT/US05/06425);ナノグリッド(nanogrid)ローリングサークル配列決定法(rolling circle sequencing)(ROLONY)(米国特許出願第12/120,541号、2008年5月14日出願)、対立遺伝子特異的オリゴライゲーションアッセイ(allele-specific oligo ligation assay)(例えば、オリゴライゲーションアッセイ(oligo ligation assay)(OLA)、線形プローブの連結及びローリングサークル増幅(rolling circle amplification)(RCA)の読み取りを利用した単一鋳型分子OLA、パッドロックプローブの連結、並びに/又は環状パッドロックプローブの連結及びローリングサークル増幅(RCA)の読み取りを利用した単一鋳型分子OLA)などを用いて行うことができる。例えば、Roche 454プラットフォーム、Illumina Solexaプラットフォーム、AB−SOLiDプラットフォーム、Helicosプラットフォーム、Polonatorプラットフォームなどのプラットフォームを用いたハイスループット配列決定法も利用できる。種々の光に基づく配列決定技術が、当該技術分野において公知である(Landegren et al. (1998) Genome Res. 8:769-76; Kwok (2000) Pharmacogenomics1:95-100;及びShi (2001) Clin. Chem. 47:164-172)。
増幅DNAはあらゆる好適な方法によって配列決定することができる。具体的には、増幅DNAは、アプライドバイオシステムズ社製のSOLiD配列決定技術、又はイルミナ社製のGenome Analyzerなどのハイスループットスクリーニング法を用いて配列決定することができる。本発明の一態様において、増幅DNAはショットガン法で配列決定することができる。リード数は、少なくとも10,000、少なくとも1,000,000、少なくとも10,000,000、少なくとも100,000,000、又は少なくとも1,000,000,000とすることができる。別の態様では、リード数は、10,000〜100,000、あるいは100,000〜1,000,000、又は1,000,000〜10,000,000、又は10,000,000〜100,000,000、又は100,000,000〜1000,000,000とすることができる。「リード」とは、配列決定反応によって得られる、連続した核酸配列の長さである。
「ショットガン配列決定法」は、非常に大量のDNA(ゲノム全体など)の配列決定に使用される方法を指す。この方法では、配列決定されるDNAがまず、個々に配列決定することが可能なより小さな断片に細断される。これらの断片の配列は後に、重複している配列に基づいて元の順番に再構築され、これにより完全配列が得られる。DNAの「細断」は、制限酵素消化又は機械的剪断を含む種々様々な手法を用いて行うことができる。重複配列は典型的に、適切にプログラミングされたコンピュータによってアラインメントされる。cDNAライブラリーをショットガン法で配列決定するための方法及びプログラムは当該技術分野において周知である。
増幅及び配列決定法は、診断検査、予後検査、薬理ゲノミクス、及び臨床試験モニタリングを予後判定(予測的)目的に使用することで、個人を予防的に治療する、予測医療の分野において有用である。従って、本発明の一態様は、個人が障害及び/又は疾患を発症する危険性の有無を判定することを目的とした、ゲノムDNAを判定するための診断検査に関する。このような検査を、予後判定又は予測を目的に使用することで、障害及び/又は疾患の発症前に個人を予防的に治療することができる。従って、ある特定の例示的な実施形態において、本明細書に記載の発現プロファイリング法のうちの1又は複数を用いた、1又は複数の疾患及び/又は障害を診断及び/又は予後予測する方法が提供される。
本明細書で使用される場合、用語「生物試料」は、限定はされないが、組織、細胞、生体液、並びに、対象、並びに対象内に存在する組織、細胞及び体液から単離されたその単離物を包含することが意図される。
ある特定の例示的な実施形態において、本明細書に記載の1又は複数のゲノムDNA配列を含む電子装置可読媒体が提供される。本明細書で使用される場合、「電子装置可読媒体」とは、そのまま電子装置による読み取り及びアクセスが可能な、データ又は情報を記憶、保持又は格納するための、あらゆる好適な媒体を指す。そのような媒体としては、限定はされないが、フロッピーディスク、ハードディスク記憶媒体、及び磁気テープなどの磁気記憶媒体;コンパクトディスクなどの光学式記憶媒体;RAM、ROM、EPROM、及びEEPROMなどの電子記憶媒体;一般的なハードディスク、並びに磁気/光学式記憶媒体などのこれらのカテゴリーの複合型を挙げることができる。媒体は、本明細書に記載の1又は複数の発現プロファイルが記録されるように適合又は構成される。
本明細書で使用される場合、用語「電子装置」は、あらゆる好適な演算若しくは処理装置、又はデータ若しくは情報を記憶するように構成若しくは適合された他のデバイスを包含することが意図される。本発明での使用に適した電子装置の例としては、独立型演算装置;構内ネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)インターネット、イントラネット、及びエクストラネットを含むネットワーク;携帯情報端末(PDA)、携帯電話、及びポケットベルなどの電子装置;並びに局所内処理システム及び分散処理システムが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「記録された」とは、情報を電子装置可読媒体上に記憶又はコード化するための処理を指す。当業者は、情報を公知の媒体上に記録して、本明細書に記載の1又は複数の発現プロファイルを含む製品を生み出すための、現在知られているあらゆる方法を、容易に採用することができる。
種々のソフトウェアプログラム及びフォーマットを用いて、本発明のゲノムDNA情報を電子装置可読媒体上に記憶することができる。例えば、核酸配列は、WordPerfect及びMicroSoft Wordなどの市販のソフトウェアでフォーマットされた文書処理テキストファイル中に、又は、DB2、Sybase若しくはOracleなどのデータベースアプリケーションに記憶されたASCIIファイルの形式で、並びに他の形式で、表すことができる。本明細書に記載の1又は複数の発現プロファイルが記録された媒体を得る、又は作製するために、いかなる数のデータ処理装置構築フォーマット(例えば、テキストファイル又はデータベース)も用いてよい。
記載された本発明の実施形態が、本発明の諸原理の適用のいくつかの単なる例示であることを理解されたい。当業者は、本明細書に提供された教示に基づいて、本発明の精神及び範囲を逸脱しない範囲で、多数の変更を行ってよい。本願に引用された全ての参考文献、特許及び特許出願公開の内容は、全ての目的においてそれらの全体が参照によって本明細書に援用される。
本発明を代表するものとして以下の実施例が挙げられる。これらの実施例及び他の等価な実施形態は本開示、図面及び添付の特許請求の範囲を考慮すれば明らかであるため、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
実施例I
トランスポザーゼをトランスポゾンDNAと組み合わせる
EDTAを含有する緩衝液中で、Tn5トランスポザーゼ(エピセンター社(Epicentre))をトランスポゾンDNAと等モル数で混合し、室温で10〜60分間インキュベートする。最終トランスポソーム濃度は0.1〜10μMとする。トランスポゾンDNA構築物は、一方の末端に二本鎖19bpトランスポザーゼ結合部位を、他方の末端に一本鎖T7プロモーターを有する、線形又は輪状の形態をとり得る。線形形態では、一本鎖T7プロモーター配列は5’突出末端を形成し;一方、ループ状形態では、一本鎖T7プロモーター配列はループを形成し、19bp結合部位の両方の鎖を接続している。長さが可変であり、配列が複雑なバーコード配列を、19bp結合部位とT7プロモーター配列との間に、それと共に、バーコードとT7プロモーターとの間に特定のプライミング領域を、必要に応じて設計することができる。トランスポソームは、50%Tris−EDTA及び50%グリセロール溶液中で何倍にも希釈し、−20℃で保存してよい。
実施例II
細胞溶解
以下の通りに、レーザー解剖顕微鏡(LMD−6500、ライカ社)を用いて、細胞を選択し、培養皿から切り出し、チューブに分配する。細胞を膜被覆培養皿上に播種し、10倍対物レンズを備えた明視野顕微鏡(ライカ社)を用いて観察する。次に、個々に選択した細胞の周囲の膜を、PCR用チューブの蓋になるように、UVレーザーを用いて切断する。チューブを短時間遠心し、細胞をチューブの底に落す。3〜5μlの溶解緩衝液(30mM Tris−Cl(PH7.8)、2mM EDTA、20mM KCl、0.2% Triton X−100、500μg/ml Qiagen Protease)をPCR用チューブの側面を伝って加え、スピンダウンする。次に、捕捉された細胞を、PCR装置上で以下の温度スケジュールを用いて熱溶解させる:50℃、3時間、75℃、30分間。あるいは、単一細胞を、EDTA及びQIAGEN protease(キアゲン社)などのプロテアーゼを10〜5000μg/mLの濃度で含有する低塩溶解緩衝液中に、口によるピペッティングで移す。インキュベーション条件は使用するプロテアーゼに応じて変動させる。QIAGEN proteaseの場合、インキュベーションは37〜55℃で1〜4時間となるであろう。次に、プロテアーゼを80℃まで熱不活化し、4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニルフルオライド塩酸塩(AEBSF)又はフェニルメタンスルホニルフルオライド(PMSF)(シグマ・アルドリッチ社)などの特定のプロテアーゼ阻害剤でさらに不活化する。細胞溶解物を−80℃で保存する。
実施例III
転位
単一細胞溶解物及びトランスポソームを、1〜100mM Mg2+及び所望により1〜100mM Mn2+又はCo2+又はCa2+も含有する緩衝系中で混合する。十分に混合し、37〜55℃で5〜240分間インキュベートする。反応体積は細胞溶解物の体積に応じて変動する。反応中に添加するトランスポソームの量は所望の断片化サイズに応じて容易に調整可能である。転位反応は、EDTA及び所望によりEGTA又は他のイオン用キレート化剤を用いてMg2+をキレート化することにより停止させる。残渣中のトランスポソームは、37〜55℃、10〜60分間、最終濃度1〜500μg/mLのQIAGEN proteaseなどのプロテアーゼ消化によって不活性化する。その後、プロテアーゼを熱及び/又はプロテアーゼ阻害剤で不活性化する。
実施例IV
ギャップ補填
転位後、Mg2+を溶液に添加する。dNTP混合物及びBst 2.0 Warm Start DNAポリメラーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England Biolabs))などのDNAポリメラーゼを添加して、転位反応が残した9bpギャップを補填し、各断片の両末端へ端から端まで伸長させ、T7プロモーターを二本鎖にすることで有効化する。ギャップ補填におけるインキュベーションの温度及び時間は、使用される特定のDNAポリメラーゼに依存する。反応後、所望によりDNAポリメラーゼを加熱及び/又はQIAGEN proteaseなどのプロテアーゼ処理により不活性化する。プロテアーゼは、使用される場合、後に熱及び/又はプロテアーゼ阻害剤により不活性化される。
実施例V
インビトロ転写を介した直線的増幅
T7 RNAポリメラーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社又はエピセンター社)、NTP混合物、並びにMg2+及びDTTを含有するT7転写緩衝液を含むインビトロ転写アッセイ成分を、ギャップ補填混合物に添加することにより、インビトロ転写アッセイを構築する。所望によりSuperase(ライフテクノロジーズ社)などのリボヌクレアーゼ阻害剤を加えることができ、また、所望により無機ピロホスファターゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社)を加えることができる。T7インビトロ転写を介した直線的増幅反応は、20μL〜200μLの体積中、37℃で1時間〜16時間とすることができる。
実施例VI
逆転写及び第二鎖合成
転写後、RNAをカラム精製(ザイモリサーチ社(Zymo Research)又はキアゲン社)する。所望により、追加の精製段階としてDNase I(ニュー・イングランド・バイオラボ社)処理を行うことができる。対応する緩衝系の存在下、SuperScript IV(ライフテクノロジーズ社)などの逆転写酵素により逆転写を行う。RNAをRnase H、Rnase If及び/又はRnase A(ニュー・イングランド・バイオラボ社製及びサーモサイエンティフィック社製のリボヌクレアーゼ)などのリボヌクレアーゼ消化によって除去した後、Bst 2.0 DNAポリメラーゼ、KAPA DNAポリメラーゼ、Q5 DNAポリメラーゼなど(ニュー・イングランド・バイオラボ社又はカパ・バイオシステムズ社(KAPA Biosystems))などのDNAポリメラーゼによって第二鎖合成を行う。特異的プライマーを用いて第二鎖合成を開始するが、特異的プライマーは一本鎖DNAであっても一本鎖RNAであってもよい。第二鎖合成後の二本鎖DNAを次にカラム精製する(ザイモリサーチ社又はキアゲン社)。精製した二本鎖DNAは、単一細胞又は他の供給源由来のゲノムDNAの、直線的に増幅された産物である。このDNAをその後、DNA BioAnalyzer及び定量PCR分析を含む、品質管理のための種々の解析法にかけてもよい。以後、このDNAの、配列決定用ライブラリー調製の準備が整う。ライブラリーの調製中、超音波処理段階、断片化段階及び/又はサイズ選択段階は、所望によりスキップすることができる。
実施例VII
DNA断片サイズ解析
一態様によれば、Tn5トランスポソーム調製及び転位反応条件を変えることで、種々のDNA断片サイズを得ることができる。図5に示すように、Tn5転位効率及び挿入密度は、広い範囲内で随意に調整することができる。単一細胞ゲノム増幅においては、平均約300bpの転位後DNA断片サイズを容易に達成することができる。図5を参照して、X軸はDNA断片サイズであり、Y軸は所与のサイズよりも小さいDNA断片の累積割合である。下図は上図のX軸を拡大したものであり、小断片サイズ領域の詳細をより細かに示している。転位効率及び挿入密度は、高効率条件と低効率条件との間で調整することができる。高転位効率の条件下では、平均DNA断片サイズは約300bpであり、DNA断片の90%超が1kb未満であり、これは、IVT増幅及び配列決定用ライブラリー調製にとって望ましい分布である。
実施例VIII
DNA断片サイズ解析
本明細書に記載の単一細胞ゲノムDNA増幅の後、産物のサイズ分布をDNA BioAnalyzerで精査した。その結果を図6に示す。X軸は断片サイズであり、Y軸は任意の単位を有する蛍光強度に反映される相対量である。画像の両端にある2つの鋭いピークは、それぞれ35bp及び10380bpのDNA断片の2つの急増化である。DNA断片の過半数が数百bpのサイズであったが、これは、単一細胞のgDNA鋳型に対する効率的な転位反応と、その後の直線的なIVT増幅を示唆するものである。
断片サイズ分布をより把握するため、DNA BioAnalyzer画像に基づいて図7に示される累積プロットを描いた。X軸はDNA断片サイズであり、Y軸は所与のサイズよりも小さいDNA断片の累積割合である。全DNA断片の80%超が1.2kbよりも短く、全DNA断片の95%超が2kbよりも短かった。ヒトゲノムから無作為に選んだ8つのゲノム遺伝子座の定量PCRの結果は、バルクゲノムDNA試料との比較において、8つの遺伝子座全てのほぼ等しい表示を示した。このことは、本明細書に記載の方法を用いて比較的均等に増幅がなされたことを示唆している。
実施例IX
単一細胞SNV検出
本明細書で開示される方法から作製された増幅DNAを用いて、単一細胞における一塩基多様性(SNV)を解析してもよい。特定のSNVが単一細胞内に最初に現れた際、それを細胞集団においてバルク配列決定により検出することは不可能である。これにより、単一細胞SNVをコールする必要性が強調される。図8に示されるように、指数関数的増幅では、初期の増幅ラウンドで作られたエラーが、後のラウンドでさらに複製されて、配列決定前の最終的なアンプリコンプールを占める。これらの増幅エラーにより、元の単一細胞ゲノムDNA試料における真のSNVシグナルが圧倒されることとなる。図8の左に示されるPCR方法では、初期増幅ラウンドにおける「A→T」エラーが後のラウンドでさらに増幅され、最終的なバルク集団を占め、その結果、単一細胞SNVコールに偽陽性がもたらされる。
本明細書に記載の直線的増幅法では、全てのアンプリコンはオリジナルのゲノムDNA鋳型から直接複製されたものであり、エラーは特定のアンプリコンにおいて一度しか生じず、さらなる伝播もない。図8の右に示されるインビトロ転写法では、それぞれのアンプリコンはオリジナルのDNA鋳型からの直接的なコピーであり、増幅中につくられたエラーはあらゆる位置にランダムに配置される。結果として、図8に示されるように、配列決定前の最終的なバルク試料において、増幅エラーが特定の遺伝子座で優勢とならず、オリジナルのDNA鋳型の真の配列がPCR増幅などによる指数関数的増幅と比較してより高い信頼水準で読み取られ、これにより正確な単一細胞SNV検出が可能となる。ランダムなエラーをふるい落とし、各遺伝子座における支配的な塩基対にただ重点を置くことにより、オリジナルの単一細胞のDNA鋳型が忠実に増幅及び配列決定され、これにより、信頼水準が高い単一細胞SNV検出が可能となる。
実施例X
高解像度の単一細胞CNV検出
コピー数多様性(「CNV」)は、ゲノムセグメントの挿入、欠失又は増殖であり、サイズはキロベースから染色体全体まで変動し得る。CNVはほぼ全ての種類のヒト腫瘍においてしばしば見られる。単一細胞から生じて、CNVは腫瘍発生及び腫瘍進行に不可欠な遺伝的変異を作り出す。本明細書に記載の方法は図9に示されるような、トランスポゾンDNA内に設計されるユニークなバーコードでの増幅前の各ゲノムDNA断片の標識を可能にする。全てのゲノムDNA断片を増幅及び配列決定した後、同じ配列パターンに結合した種々のバーコードの数をカウントするだけで、転位密度と同等の精密度で(約1kb)、単一細胞CNVをコールし、デジタル的にカウントすることができる。単一細胞CNV検出のこの精密度は、単一細胞増幅ノイズによって基本的に制限を受ける、0.5〜1Mbである現行の基準よりもずっと高い。
実施例XI
単一細胞SV検出及び新規のゲノム構築
本明細書に記載の方法は、増幅中のキメラ形成を低減又は排除することで、単一細胞の構造多様性(「SV」)を容易にコールすることを可能にする。一態様によれば、トランスポソームが両末端上に2つの同一のバーコードを有するように調製される。図10に示されるように、これにより、リファレンスゲノムの助け無く、各断片の両端上のバーコードを一致させることによる単一細胞ゲノムの新規の構築が可能となる。転位、増幅及びDNA塩基配列決定の後、各断片の両末端上のバーコードを一致させることにより断片が容易に互いに集合し、これにより、リファレンスゲノムに頼らない新規の構築が可能となる。これは、未知のゲノムの新規構築を可能にするだけでなく、現在のヒトリファレンスゲノムにおける反復配列に満ちたギャップのマッピング及び構築をも大いに促進する。
実施例XII
増幅された単一細胞ゲノムDNAの配列決定の結果
本明細書に記載の方法を実行して、正常ヒト皮膚線維芽細胞株(BJ細胞株)からピッキングされた単一細胞内のゲノムDNAを増幅した。単一細胞は、口によるピペッティングでピッキングされてEDTA及びQIAGEN proteaseを含有する細胞溶解緩衝液中へ入れられた。単一細胞溶解反応物を55℃で3時間インキュベートした後、75℃でプロテアーゼを熱不活化した。
次に、単一細胞溶解物を10mM Mg2+を含有する緩衝系中のTn5トランスポソームと混合し、55℃で15分間インキュベートした。次に、dNTP混合物及びBst 2.0 Warm Start DNAポリメラーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社)を添加して、転位反応中に生じた各断片の両末端上の9bpギャップを補填し、下流へとさらに伸長させて、各断片の両末端上に二本鎖T7プロモーターを形成させた。反応後、Bst 2.0 Warm Start DNAポリメラーゼを80℃で20分間熱不活化した。次に、混合物に必須成分を添加することにより、T7 RNAポリメラーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社)、NTP混合物、並びにMg2+、DTT及びSuperase Inhibitor(ライフテクノロジーズ社)を含有するT7転写緩衝液を含むインビトロ転写アッセイを構築した。T7インビトロ転写アッセイは37℃で16時間行った。
RNAをカラム精製し(ザイモリサーチ社)、Superscript IV(ライフテクノロジーズ社)で逆転写した。RNAをRNase H及びRNase If(ニュー・イングランド・バイオラボ社)で除去した後、特異的一本鎖DNAプライマーを用いたKAPA DNAポリメラーゼ(カパ・バイオシステムズ社)により第二鎖合成を行った。最終的な二本鎖DNAは、単一細胞内のオリジナルのゲノムDNAから直線的に増幅された産物であった。平均断片サイズが300bpであるDNAライブラリーを、NEBNext Ultra DNA library prep kit for Illumina(ニュー・イングランド・バイオラボ社)を用いて作製し、Illumina HiSeq 2500配列決定装置でペアエンド配列決定した。
図11に示すように、1Mbのビンサイズで、22種全ての常染色体及びX染色体のコピー数多様性(CNV)パターンをプロットした。フラットなCNVパターンは、単一細胞ゲノムDNAからの非常に良好な増幅均一性を示すものであり、これは、ゲノム全体にわたるCNVパターンの均一な増幅及び正確な検出に依存した多くの単一細胞応用を可能にする。
配列決定ランのパラメーターを図12にまとめる。配列決定データによって、その配列決定深度を所与とした高いカバレッジ、低い偽陽性率の示唆する高い精度、及び低いキメラ率が示された。単一細胞ゲノム増幅における高い精度は一塩基多様性(SNV)検出の重要な要件であり、低いキメラ率は構造多様性(SV)検出の重要な要件であり、その両方が単一細胞ゲノミクスに基づく多くの応用に非常に重要となる。
実施例XIII
分離技術
解析のために、又はより具体的には特異的増幅が起こったかどうかを判定するために、増幅後、いくつかの異なる長さの増幅産物を、互いから、鋳型から、及び過剰なプライマーから分離することが望ましい場合がある。
一実施形態では、増幅産物は標準方法(Sambrook et al., “Molecular Cloning,” A Laboratory Manual, 2d Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 13.7-13.9:1989)を用いたアガロースゲル電気泳動、アガロース−アクリルアミドゲル電気泳動又はポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離される。ゲル電気泳動法は当該技術分野において周知である。
あるいは、クロマトグラフ法を用いて分離を達成してもよい。本開示で使用されてよい多種のクロマトグラフィー:吸着クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、及び分子篩クロマトグラフィー、並びに、それらを用いるための、カラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィーを含む多くの特殊な技術が存在する(Freifelder, Physical Biochemstry Applications to Biochemistry and Molecular Biology, 2nd ed. Wm. Freeman and Co., New York, N.Y., 1982)。さらに別の代替法は、例えば、ビオチン又は抗原で標識された核酸産物をそれぞれアビジン又は抗体を担持するビーズで捕捉することである。
マイクロ流体法は、ミクロキャピラリーなどのプラットフォーム上での分離を含み、例として、アクララ・バイオサイエンス社(ACLARA BioSciences Inc.)により設計されたもの、又は、キャリパー・テクノロジーズ社(Caliper Technologies Inc)製のLabChip(商標)が挙げられる。他の分離技術がマイクロリットル体積を必要とするのとは対照的に、これらのマイクロ流体プラットフォームはナノリットル体積の試料しか必要としない。遺伝子解析に関与するいくつかプロセスの小型化はマイクロ流体デバイスを用いて達成された。例えば、参照によって本明細書に援用される、Northrup及びWhiteに与えられた、公開済みPCT出願 国際公開第94/05414号では、検体からの核酸の収集及び増幅のための統合型micro−PCR(商標)装置が報告されている。米国特許第5,304,487号、同第5,296,375号、及び同第5,856,174号には、核酸解析に関与する種々の処理操作及び分析操作を組み込んだ装置及び方法が記載されており、これらの米国特許は参照によって本明細書に援用される。
いくつかの実施形態では、増幅DNAを解析するための追加の、又は別の手段を与えることが望ましい場合がある。これらの実施形態では、ミクロキャピラリーアレイが解析に使用されることが企図される。ミクロキャピラリーアレイ電気泳動は、一般的に、特定の分離媒体で満たされていても満たされていなくてもよい、細いキャピラリー又はチャネルの使用を含む。キャピラリーを通じた試料の電気泳動によって、サイズに基づく分離プロファイルが試料に与えられる。ミクロキャピラリーアレイ電気泳動は、一般に、サイズに基づく配列決定、PCR(商標)産物解析、及び制限酵素断片サイジングのための迅速な方法を提供する。これらのキャピラリーの高い比表面積は、キャピラリー全体で大した熱的変動も無く、キャピラリー全体により高い電場を印加することを可能にし、結果的により迅速な分離を可能にする。さらに、共焦点画像解析法と組み合わされた場合、これらの方法は、放射性配列決定法の感度に匹敵するアトモル範囲の感度をもたらす。ミクロキャピラリー電気泳動デバイスを含むマイクロ流体デバイスの微細製造は、例えば、Jacobson et al., Anal Chem, 66:1107-1113, 1994; Effenhauser et al., Anal Chem, 66:2949-2953, 1994; Harrison et al., Science, 261:895-897, 1993; Effenhauser et al., Anal Chem, 65:2637-2642, 1993; Manz et al., J. Chromatogr 593:253-258, 1992;及び米国特許第5,904,824号(参照によって本明細書に援用)において詳細に考察されている。典型的には、これらの方法は、シリカ、シリコン、又は他の結晶性の基板上又はチップ上の、ミクロンスケールのチャネルのフォトリソグラフィエッチングを含み、本開示における使用に容易に適合することができる。
Tsuda et al.(Anal Chem, 62:2149-2152, 1990)には、円柱状のキャピラリーガラス管の代わりとなる、矩形キャピラリーが記載されている。これらの系のいくつかの利点とは、高さ幅比の大きさと、それによる比表面積の高さに起因する、効率的な熱放散、及び光学的オンカラム検出モードにおける検出感度の高さである。これらの平面的な分離チャネルは二次元的な分離を可能とし、ある力が分離チャネル全体に加えられ、多チャネルアレイ検出器の使用により試料区域が検出される。
多くのキャピラリー電気泳動法において、キャピラリー(例えば、石英ガラスキャピラリー又は平面基板にエッチング、機械加工、若しくは成形したチャネル)は、適切な分離/ふるいマトリックスで充填される。典型的に、ミクロキャピラリーアレイには当該技術分野において公知の種々のふるいマトリックスが使用され得る。そのようなマトリックスの例としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリルアミド、及びアガロースなどが挙げられる。一般的に、特定のゲルマトリックス、泳動用緩衝液、及び泳動条件は、特定の適用の分離特性、例えば、核酸断片のサイズ、必要な解像度、及び天然又は未変性核酸分子の存在、を最大にするように選択される。例えば、泳動用緩衝液は、試料中の核酸を変性させるために、変性剤、尿素などのカオトロピック剤を含む場合がある。
質量分析は、真空中で分子をイオン化し、揮発によりそれらを「飛行」させることにより、個々の分子を「計量」する手段を提供する。電場及び磁場の組み合せの影響下で、イオンはそれらの個々の質量(m)及び電荷(z)に応じた軌道を描く。低分子量分子に関して、質量分析は、親分子イオンの質量の決定による、有機分子の解析及び特性決定のための、物理有機化学の通例のレパートリーの一部となっている。さらに、この親分子イオンと他の粒子(例えば、アルゴン原子)との衝突を取り計らうころにより、いわゆる衝突誘起解離(CID)によって、分子イオンが断片化されて二次イオンが形成される。フラグメンテーションのパターン/経路は、しばしば、詳細な構造情報を導き出すことを可能にする。当該技術分野における質量分析法の他の応用は、Methods in Enzymology, Vol. 193: “Mass Spectrometry” (J. A. McCloskey, editor), 1990, Academic Press, New Yorkに要約されている。
高い検出感度、質量測定の精度、MS/MS構成と併せたCIDによる詳細な構造情報、及び速度、並びにコンピュータへのオンラインデータ転送の提供において、質量分析の分析上の利点が明らかであることから、核酸の構造解析への質量分析の使用にはかなりの関心があった。この分野を要約しているレビューとしては、参照によって本明細書に援用される、(Schram, Methods Biochem Anal, 34:203-287, 1990)及び(Crain, Mass Spectrometry Reviews, 9:505-554, 1990)が挙げられる。質量分析を核酸に適用するまでの最大のハードルは、これらの非常に極性のある生体高分子を揮発させることの困難さである。すなわち、「配列決定」は、親分子イオンの質量を決定し、これを通じて、既知の配列を確認することによる、又は、特に、イオン化及び揮発のために、高速原子衝撃法(FAB質量分析)若しくはプラズマ脱離法(PD質量分析)を利用する、MS/MS構成におけるCIDを介した二次イオン(フラグメントイオン)の生成を通じて既知配列を確認することによる、低分子合成オリゴヌクレオチドに限定されていた。一例として、オリゴデオキシヌクレオチドの化学合成のための保護二量体ブロックの解析へのFABの適用が報告されている(Koster et al., Biomedical Environmental Mass Spectrometry 14:111-116, 1987)。
イオン化/脱離法として、エレクトロスプレー/イオンスプレー法(ES)及びマトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)の2つがある。ES質量分析は、Fenn et al., J. Phys. Chem. 88;4451-59,1984;PCT出願国際公開第90/14148号によって提唱されたものであり、その適用は総説、例えば、Smith et al., Anal Chem 62:882-89, 1990、及びArdrey, Electrospray Mass Spectrometry, Spectroscopy Europe, 4:10-18, 1992に要約されている。質量分析計としては、四重極型が最もよく使用されている。質量計算に使用できるイオンピークが複数存在することにより、フェムトモル量の試料における分子量の決定が非常に正確である。
MALDI質量分析は、対照的に、飛行時間型(TOF)構成が質量分析計として使用されている場合に特に魅力的となり得る。MALDI−TOF質量分析は、(Hillenkamp et al., Biological Mass Spectrometry eds. Burlingame and McCloskey, Elsevier Science Publishers, Amsterdam, pp. 49-60, 1990)によって提唱された。ほとんどの場合、この方法では複数の分子イオンピークが生じないため、原理上、質量スペクトルはES質量分析と比較してよりシンプルな見た目となる。分子量410,000ダルトン以下のDNA分子を脱離及び揮発することができた(Williams et al., Science, 246:1585-87, 1989)。より最近では、この方法における赤外レーザー(IR)の使用が(UVレーザーとは対照的に)、2180ヌクレオチドのサイズ以下の、合成DNA、プラスミドDNAの制限酵素断片、及びRNA転写物などのより大きな核酸の質量スペクトルを与えることが示された(Berkenkamp et al., Science, 281:260-2, 1998)。Berkenkampは、MALDI−TOF IRを用いた限定的な試料精製によるDNA試料及びRNA試料を解析可能な方法も報告している。
日本特許第59−131909号には、電気泳動、液体クロマトグラフィー又は高速ゲル濾過によって分離された核酸断片を検出する装置が記載されている。S、Br、I又はAg、Au、Pt、Os、Hgなどの、DNA内に通常は生じない原子を核酸内に組み込むことにより、質量分析検出が達成される。
ハイブリダイゼーションオリゴヌクレオチドプローブの蛍光ラベルでの標識は、当該技術分野において周知の技術であり、プローブハイブリダイゼーションの検出を促進するための感度の高い非放射性の方法である。より最近に開発された検出法は、プローブハイブリダイゼーションの検出のために、蛍光強度を直接検出するのではなく、蛍光エネルギー移動(FET)のプロセスを利用している。FETは、供与体であるフルオロフォアと受容体である色素(フルオロフォアであってもなくてもよい)との間で、一方(受容体)の吸収スペクトルが他方(供与体)の発光スペクトルと重なり、その2つの色素がごく接近している場合に、生じる。これらの特性を有する色素は、供与体/受容体色素対又はエネルギー移動色素対と称される。供与体フルオロフォアの励起状態エネルギーが、共鳴双極子誘起双極子相互作用により、隣接する受容体に移される。これにより供与体蛍光の消失が生じる。一部の例では、受容体もフルオロフォアである場合、その蛍光強度が増強されることがある。エネルギー移動の効率は供与体と受容体の距離に高度に依存しており、これらの関係を予測する式が、Forster, Ann Phys 2:55-75, 1948によって開発された。エネルギー移動効率が50%となる供与体色素と受容体色素の距離は、フェルスター距離(Ro)と呼ばれる。他の蛍光消光機構も当該技術分野において公知であり、例えば、電荷移動消光及び衝突消光が挙げられる。
ごく接近している2つの色素の相互作用に基づいて消失を起こすエネルギー移動及び他の機構は、ヌクレオチド配列の検出又は同定を均一な形式で実行し得ることから、そのための魅力的な手段である。不均一なアッセイは一般にハイブリダイズされた標識を遊離標識から分離するための追加の段階を必要とすることから、均一なアッセイ形式は、単一のフルオロフォア標識の蛍光の検出に基づく、従来のプローブハイブリダイゼーションアッセイと異なっている。FETハイブリダイゼーションアッセイのいくつかの形式が、Nonisotopic DNA Probe Techniques(Academic Press, Inc., pgs. 311-352, 1992)に概説されている。
核酸増幅の検出にエネルギー移動又は他の蛍光消光機構を利用する均一な方法も報告されている。Higuchi et al.(Biotechnology 10:413-417, 1992)では、エチジウムブロマイドの、二本鎖DNAに結合した際の蛍光の増加を監視することによる、DNA増幅をリアルタイムで検出するための方法が開示されている。エチジウムブロマイドの結合が標的特異的でなく、バックグラウンド増幅産物も検出されてしまうことから、この方法の感度は限定的である。Lee et al.(Nucleic Acids Res 21:3761-3766, 1993)では、二重標識された検出プローブがPCR(商標)中に標的増幅特異的に切断される、リアルタイム検出法が開示されている。Taqポリメラーゼの5’−3’エキソヌクレアーゼ活性が検出プローブを消化し、2つの蛍光色素を分離し、これらがエネルギー移動対を形成するように、検出プローブが増幅プライマーの下流にハイブリダイズされる。プローブが切断されると蛍光強度が増加する。公開済みPCT出願国際公開第96/21144号では、酵素を介した核酸の切断により蛍光の増加がもたらされる、連続的蛍光定量アッセイが開示されている。蛍光エネルギー移動の使用も提唱されているが、標的へのハイブリダイゼーションによって消失される単一蛍光標識を利用する方法との関連においてのみである。
核酸増幅の検出において使用される、増幅プライマーのハイブリダイゼーション部位の下流にある標的配列にハイブリダイズするシグナルプライマー又は検出プローブが、報告されている(米国特許第5,547,861号)。シグナルプライマーが、増幅プライマーの伸長と同様に、ポリメラーゼによって伸長される。増幅プライマーの伸長が、標的増幅に依存的に、シグナルプライマーの伸長産物の置換を起こし、標的増幅の指標として検出され得る二本鎖二次増幅産物を生成する。シグナルプライマーから生成された二次増幅産物は、種々の標識及びレポーター基、切断されることで特徴的なサイズの断片を生成するシグナルプライマー内の制限酵素認識部位、捕捉基、及び三重らせん体などの構造的特徴、及び二本鎖DNA結合タンパク質の認識部位によって、検出され得る。
多くの供与体/受容体色素対が当該技術分野において公知であり、本開示で使用されてよい。これらには、限定はされないが、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)/テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TALIC)、FITC/Texas Red(商標)(モレキュラープローブス社)、FITC/N−ヒドロキシサクシニミジル(succmimidyl)1−ピレンブチレート(PYB)、FITC/エオシンイソチオシアネート(EITC)、N−ヒドロキシサクシニミジル1−ピレンスルホネート(PYS)/FITC、FITC/Rhodamine X、及びFITC/テトラメチルローダミン(TAMRA)などが含まれる。特定の供与体/受容体フルオロフォア対の選択は重要ではない。エネルギー移動消失機構においては、供与体フルオロフォアの発光波長が受容体の励起波長と重なることだけが必要とされ、すなわち、効率的なエネルギー移動、電荷移動、又は蛍光消光を可能とするには、2つの色素の間に十分なスペクトルの重なりがなくてはならない。P−(ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)は、隣接するフルオロフォア、例えばフルオレセイン又は5−(2’−アミノエチル)アミノナフタレン(EDANS)、からの蛍光を効果的に消失する非蛍光性受容体色素である。検出核酸(detector nucleic acid)において蛍光消光をもたらすいかなる色素対も、消失が起こる機構にかかわらず、本開示の方法における使用に適している。末端標識法及び内部標識法は共に当該技術分野において公知であり、供与体色素及び受容体色素を検出核酸内の各々の部位で連結するのに通例使用され得る。
本開示で特に企図されるのは、(Hacia et al., Nature Genet, 14:441-449, 1996)及び(Shoemaker et al., Nature Genetics, 14:450-456, 1996)に記載されるものなどの、マイクロアレイ及び/又はマイクロチップを用いたDNA技術による増幅産物の使用又は解析である。これらの技術は多数の遺伝子を迅速且つ正確に解析するための定量法を含む。遺伝子をオリゴヌクレオチドでタグ付けすることにより、又は固定プローブアレイを用いることにより、チップ技術は、高密度アレイとして標的分子を分離し、これらの分子をハイブリダイゼーションに基づいてスクリーニングするのに用いることができる(Pease et al., Proc Natl Acad Sci USA, 91:5022-5026, 1994; Fodor et al, Nature, 364:555-556, 1993)。
また、増幅産物を定量化するために、バイオスター社(BioStar)製のOIA技術の使用も企図される。OIAは、基盤としてシリコンウェハーの鏡のような表面を利用する。薄膜光学コーティング及び捕捉抗体がシリコンウェハーに結合される。前記コーティングを通して反射された白色光は、金色の背景色として現れる。前記光学的分子薄膜の厚さが変化しない限り、この色は変化しない。
前記ウェハーに陽性試料が適用されると、リガンドと抗体との間で結合が生じる。基質が添加されて質量増加が完了すると、分子薄膜の厚みの増加により、金から紫/青への対応する色の変化が生じる。この技術は、米国特許第5,541,057号(参照によって本明細書に援用される)に記載されている。
増幅RNA又は増幅DNAは、リアルタイムPCR技術(Higuchi et al., Biotechnology 10:413-417, 1992)を用いて定量してもよい。同じ数のサイクルを完了し、且つ直線範囲にある、増幅産物の濃度を決定することにより、元のDNA混合物中の特定の標的配列の相対濃度を決定することが可能である。例えば、DNA混合物が異なる組織又は細胞から単離されたRNAから合成されたcDNAである場合、各々の組織又は細胞について、標的配列が由来する特定のmRNAの相対的存在量を決定することができる。増幅産物の濃度と相対的なmRNAの存在量との間のこの直接比例は、増幅反応の直線範囲においてのみ当てはまる。
曲線のプラトー部分における標的DNAの最終濃度は、反応混合物中の試薬の利用可能性(availability)によって決定され、標的DNAの元の濃度とは無関係である。従って、RNA集団又はDNA集団の集まりについて、RNA種又はDNA種の相対的存在量がリアルタイムPCRで決定可能となるために満たさなければならない第一の条件として、増幅産物の濃度は、反応産物が曲線の直線部分にある時にサンプリングしなければならない。RT−PCR実験が特定のmRNA種の相対的存在量を上手く決定するために満たさなければならない第二の条件として、増幅性cDNAの相対濃度は、いくつかの独立した基準に対し正規化されなければならない。リアルタイムPCR実験の目的は、試料中の全RNA種又は全DNA種の平均存在量に関連して、特定のRNA種又はDNA種の存在量を決定することである。
Luminex技術は、色分けされたミクロスフェア上に固定化された核酸産物の定量化を可能にする。レポーターと呼ばれる第二の分子を用いて生体分子反応の規模が測定される。レポーター分子は、ミクロスフェア上の分子に結合することで、反応の程度を信号で伝える。ミクロスフェア及びレポーター分子の両方が色分けされているため、デジタル信号処理により、各反応について、信号の、リアルタイムの定量的なデータへの変換が可能となる。米国特許第5,736,303号及び同第6,057,107号(参照によって本明細書に援用される)に標準的な技術が記載されている。
実施例XIV
同定技術
標的遺伝子配列の増幅を確認するために、増幅産物を可視化してもよい。1つの典型的な可視化法は、エチジウムブロマイド又はVistra Greenなどの蛍光(flourescent)色素でのゲルの染色、及び紫外光下での可視化を含む。あるいは、増幅産物が放射性標識ヌクレオチド又は蛍光定量的に標識された(fluorometrically-labeled)ヌクレオチドで完全に標識されている場合、増幅産物は、X線フィルムに露光するか、又は、分離後に適切な刺激スペクトル下で可視化できる。
一実施形態では、可視化は核酸プローブを用いて間接的に達成される。増幅産物の分離の後、標識核酸プローブが増幅産物と接触される。プローブは発色団に結合されていることが好ましいが、放射性標識されていてもよい。別の実施形態では、プローブは抗体又はビオチンなどの結合パートナーに結合されており、結合ペアのもう一方のメンバーが検出可能な部分を保有する。他の実施形態では、プローブは蛍光色素又は蛍光標識を組み入れている。さらに他の実施形態では、プローブは、増幅された分子の検出に使用できる質量標識(mass label)を有する。他の実施形態では、Taqman(商標)プローブ及びMolecular Beacon(商標)プローブの使用も企図される。さらに他の実施形態では、標準プローブと組み合わされた固相捕捉法が使用され得る。
DNA増幅産物内に組み込まれる標識の種類は、解析に使用される方法によって決定される。キャピラリー電気泳動分離、マイクロ流体電気泳動分離、HPLC分離、又はLC分離を用いる場合、組み込まれた、又はインターカレートされた蛍光色素が、増幅産物の標識及び検出に使用される。標識された種が検出器を通過するときに蛍光が定量化されるという点で、試料は動的に検出される。電気泳動法、HPLC、又はLCのいずれを分離に用いても、産物は紫外光の吸収によって検出することができ、紫外光の吸収はDNAに固有の性質であるため標識の付加を必要としない。ポリアクリルアミドゲル電気泳動又はスラブゲル電気泳動が使用される場合、増幅反応のためのプライマーは、フルオロフォア、発色団若しくは放射性同位元素で、又は関連した酵素反応によって、標識することができる。酵素による検出は、ゲル上で増幅産物を分離した後、例えばビオチンアビジン相互作用を介して酵素をプライマーに結合させ、ルミノールにより生じる化学発光などの化学反応によって検出することを含む。蛍光シグナルは動的にモニタリングすることができる。放射性同位元素又は酵素反応による検出は、最初のゲル電気泳動による分離、次いで、解析前のDNA分子の固相への転写(ブロット)を必要とする。ブロットが作製された場合、ブロットは、プロービングし、プローブを剥がし、再度プロービングすることにより、2回以上解析することができる。増幅産物が質量分析計を用いて分離された場合、核酸は直接検出されるので、標識は必要ない。
いくつかの上記分離プラットフォームを連結することで、2つの異なる特性に基づいて分離を達成することができる。例えば、一部のプライマーは無修飾にしたまま、一部のPCRプライマーを親和性捕捉を可能にする部分と連結することができる。修飾には、糖(レクチンカラムへの結合用)、疎水性基(逆相カラムへの結合用)、ビオチン(ストレプトアビジンカラムへの結合用)、又は抗原(抗体カラムへの結合用)が含まれ得る。試料はアフィニティークロマトグラフィーカラムに流される。素通り画分が集められ、結合画分が(化学的切断、塩溶出などにより)溶出される。次いで、各試料が質量などの特性に基づいてさらに分画され、個々の成分が同定される。
実施例XV
キット
本開示の増幅法に必要な材料及び試薬はキット内に一緒にまとめることができる。本開示のキットは概して、必要に応じてプライマーセットと一緒に、特許請求された方法を実行するのに必要な、トランスポソーム(トランスポザーゼ酵素及びトランスポゾンDNAからなる)、RNAポリメラーゼ、ヌクレオチド、逆転写酵素、及びDNAポリメラーゼを少なくとも含む。好ましい実施形態では、キットはDNA試料からDNAを増幅するための指示書も含有する。例示となるキットは、ゲノムDNA全体の増幅での使用に適したキットである。いずれの場合でも、キットはそれぞれの試薬、酵素又は反応物用の別々の容器を含むことが好ましい。各試薬は通常、それぞれの容器に適切に分注される。キットの収容手段(container means)は通常、少なくとも1つのバイアル又は試験管を含む。フラスコ、ビン、及び試薬を入れ分注するための他の収容手段も可能である。キットの個々の容器は、商業的販売のためにきつく密閉した状態で維持されることが好ましい。好適な大型容器として、所望のバイアルが中に保持される、射出成形又は中空成形プラスチック製容器が挙げられ得る。説明書がキットに備わっていることが好ましい。
実施例XVI
出生前診断
本開示のある態様によれば、単一胎児細胞若しくは胎児細胞集団又は母体血中に循環している胎児DNAからDNAなどの遺伝物質を増幅し、次いでその遺伝物質を解析することによる、非侵襲性出生前診断のための方法が提供される。ある態様によれば、胎児のゲノム全体又はゲノムのかなりの部分を入手し、例えば、胎児の異常、奇形及び障害について解析することができる。
ある特定のさらなる態様によれば、着床前遺伝子スクリーニング(PGS)及び着床前遺伝子診断(PGD)のための方法が提供される。米国では毎年100,000件を超える体外受精(IVF)処置が行われており、移植用の胚をスクリーニングするための技術は望ましい。現在利用可能なPGS法は、極体、卵割球、胚盤胞などに対する生検手順と、その後の、表現型に重篤な結果をもたらすことが知られている特定の染色体異常(21番染色体トリソミーなど)及び特定の遺伝的変異を検出するための、蛍光インサイツハイブリダイゼーション法(FISH)及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの遺伝子スクリーニング技術の使用を含む。IVFでは、胚は移植前に、2〜12細胞期に達するまで成長される。ある態様によれば、その胚から1個の細胞又は少数の細胞が摘出された後、本明細書に記載の方法に従ってDNAなどの遺伝物質が増幅され、これにより、胚のゲノム全体を入手し、例えば、胎児の異常、奇形及び障害について解析することができる。
ある態様によれば、母体血から有核胎児細胞が単離される。DNAなどの核酸が単一の有核胎児細胞又は複数の有核胎児細胞から抽出される。細胞外胎児核酸が母体血から入手可能である。Lo et al., Nature Reviews Genetics, Vol. 8, pp. 71-77 (2007)及びLo et al., Sci. Transl. Med. 2, 61ra91 (2010)(それらの全体が参照によって本明細書に援用される)を参照されたい。次に、トランスポザーゼ及びRNAポリメラーゼを用いた本明細書に記載の方法により核酸が増幅され、例えば、胎児のゲノム全体又は特定のゲノム遺伝子座が解析用に得られる。次に、遺伝的変異が同定され、先天性障害又は公知の表現型的帰結と関連付けられる。
有核胎児細胞は以下の通りに得られる。従来の静脈穿刺又は指穿刺により母体血を得る。約0.1ml〜100mlの母体血が得られる。有核胎児細胞(胎児の有核の赤血球、リンパ球、トロホブラストなどを含む)は妊娠から早ければ約8週間後には単離可能である。母体循環系由来の有核胎児細胞は、散乱及び表面マーカーによる蛍光標識細胞分取(FACS)、磁気活性細胞分取、顕微解剖、細胞サイズ分離法(例えばマイクロ流体デバイスによる)、細胞密度分離法(例えば遠心分離による)などを含む、複数の様々な方法によって単離することができる。
DNAなどの核酸は、有核胎児細胞から、プロテアーゼで補助された細胞溶解を用いて、以下の通りに抽出される。3μlの溶解緩衝液(30mM Tris−Cl(pH7.8)、2mM EDTA、20mM KCl、0.3%Triton X−100、30mM dTT、12.5ug/ml QIAGEN protease)で単一細胞を溶解する。Bianchi et al., Isolation of fetal DNA from nucleated erythrocytes in maternal blood, Proc. Natl. Acad. Sci. USA Vol. 87, pp. 3279-3283, May 1990及びWachtel et al., Clin. Genet. 2001: 59; 74-79 (2001)(各々、その全体が参照によって本明細書に援用される)を参照されたい。アルカリ法又は凍結融解法などの他の方法も、核酸抽出に、又は本明細書に記載若しくは当業者に公知の他の方法を用いて、適用可能である。
次に、単一細胞溶解物を10mM Mg2+を含有する緩衝系中のTn5トランスポソームと混合し、55℃で15分間インキュベートした。DNA断片化の後、dNTP混合物及びBst 2.0 Warm Start DNAポリメラーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社)などのDNAポリメラーゼを添加して、転位反応が残した9bpギャップを補填し、各断片の両末端へ端から端まで伸長させ、二本鎖T7プロモーター配列を生成させた。反応後、Bst 2.0 Warm Start DNAポリメラーゼは所望により80℃加熱によって不活化してもよい。次に、ギャップ伸長混合物に必須成分を添加することにより、T7 RNAポリメラーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社)、NTP混合物、並びにMg2+及びDTTを含有するT7転写緩衝液を含むインビトロ転写アッセイを構築した。所望によりSuperase(ライフテクノロジーズ社)などのリボヌクレアーゼ阻害剤を加えてもよい。T7インビトロ転写を介した直線的増幅反応を、必要に応じて変化させてよい30μL〜100μLの体積中で、37℃で最長16時間行った。
インビトロ転写の後、RNAをカラム精製し(ザイモリサーチ社)、対応する緩衝系の存在下、Superscript IV(ライフテクノロジーズ社)などの逆転写酵素により逆転写した。RNAをRNase H及びRNase If(ニュー・イングランド・バイオラボ社)などのリボヌクレアーゼ 消化により除去した後、KAPA DNAポリメラーゼ(カパ・バイオシステムズ社)などのDNAポリメラーゼにより第二鎖合成を行った。特異的一本鎖DNAプライマーを用いて第二鎖合成を開始させ、次いで、得られた二本鎖DNAをカラム精製(ザイモリサーチ社)した。精製された二本鎖DNAは、単一細胞内に元からあった微量のゲノムDNAから直線的に増幅された産物であろう。
得られた増幅核酸に対して行われる遺伝子解析は、全ゲノム規模で、全ゲノムの選択された、ただし重要な一部に対して、又は異常を引き起こすことが知られている特定のゲノム遺伝子座に対して、行うことができる。全ゲノム解析の例としては、次世代型配列決定法(Illumina、SoliDなど)による全ゲノム配列決定、ハイブリダイゼーションに基づく全ゲノム遺伝子型同定法、例えば、一塩基多型(SNP)アレイ、比較ゲノムハイブリダイゼーションアレイなどが挙げられる。全ゲノムの大部分の解析の例としては、エクソーム、特定の染色体などの特定のゲノム領域に対する、標的化した再配列決定及び遺伝子型同定が挙げられる。特定のゲノム遺伝子座の解析の例としては、得られた全ゲノムに核酸プローブをハイブリダイズした後、プローブをイメージング又は配列決定すること;及び、PCR又はマルチプレックスPCRを用いて全ゲノムの特定の領域を増幅した後、これらの領域をさらに配列決定又は遺伝子型同定すること、が挙げられる。
上記の出生前スクリーニング及び出生前診断に関連する遺伝的変異は広範な規模を有し、例えば、一塩基多様性(SNV)、1〜100bpの範囲のサイズの小さな挿入及び欠失(Indel)、約100bp〜100Mbpの範囲のゲノム長のコピー数多様性(CNV)、1bp〜10Mbpの範囲の配列の逆位及び重複、10bp〜100Mbpの範囲のヘテロ接合性(heterzygosity)の消失(LOH)、並びに染色体転座、異数性、染色体の一部又は全体の欠失又は重複などの全染色体レベルの異常が挙げられるが、これらに限定はされない。
「先天性障害又は公知の表現型的帰結」の例としては、ヘモグロビンβ(HBB)遺伝子の41番目及び42番目のコドンにおける4bp欠失によって引き起こされるβサラセミア、並びに21番染色体の重複によって引き起こされるダウン症候群(21番染色体トリソミー)などの、上記の遺伝的変異と関連した公知の障害が挙げられる。上記の「公知の表現型的帰結」には、がんなどのある特定の疾患への潜在的リスク又は素質、胎児の性別などの、先天性障害と見なされない潜在的な健康状態又は身体状態が含まれる。特定の状態については、Cheung et al., Nature Genetics, Vol. 14, pp. 264-268 (1996)(鎌状赤血球貧血及び地中海貧血症)、Belroud, et al., The Lancet, Vol. 361, pp. 1013-1014 (2003)(脊髄性筋萎縮症)を参照されたい。
ある特定のさらなる態様によれば、IVF胚から1又は複数の細胞が、生検又は別の方法で単離される。IVF胚由来の単一細胞又は複数の細胞からDNAなどの核酸が抽出される。次に、トランスポザーゼ及びRNAポリメラーゼを用いた本明細書に記載の方法により核酸が増幅され、例えば、胚のゲノム全体又は特定のゲノム遺伝子座が解析用に得られる。次に、遺伝的変異が同定され、先天性障害又は公知の表現型的帰結と関連付けられる。
IVF胚由来の1又は複数の細胞はマイクロマニピュレーターによる胚穿刺によって単離することができる。胚由来の極体、胚由来の栄養外胚葉、胚由来の卵割球などが生検又は単離される。生検材料は、受精後の発生0日目〜6日目の胚から採取される。
DNAなどの核酸は、胚性細胞から、プロテアーゼで補助された細胞溶解を用いて、以下の通りに抽出される。3μlの溶解緩衝液(30mM Tris−Cl(pH7.8)、2mM EDTA、20mM KCl、0.3%Triton X−100、30mM dTT、12.5ug/ml QIAGEN protease)で単一細胞を溶解する。アルカリ法又は凍結融解法などの他の方法も、核酸抽出に、又は本明細書に記載若しくは当業者に公知の他の方法を用いて、適用可能である。
次に、単一細胞溶解物を10mM Mg2+を含有する緩衝系中のTn5トランスポソームと混合し、55℃で15分間インキュベートした。DNA断片化の後、dNTP混合物及びBst 2.0 Warm Start DNAポリメラーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社)などのDNAポリメラーゼを添加して、転位反応が残した9bpギャップを補填し、各断片の両末端へ端から端まで伸長させ、二本鎖T7プロモーター配列を生成させた。反応後、Bst 2.0 Warm Start DNAポリメラーゼは所望により80℃加熱によって不活化してもよい。次に、ギャップ伸長混合物に必須成分を添加することにより、T7 RNAポリメラーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社)、NTP混合物、並びにMg2+及びDTTを含有するT7転写緩衝液を含むインビトロ転写アッセイを構築した。所望によりSuperase(ライフテクノロジーズ社)などのリボヌクレアーゼ阻害剤を加えてもよい。T7インビトロ転写を介した直線的増幅反応を、必要に応じて変化させてよい30μL〜100μLの体積中で、37℃で最長16時間行った。
インビトロ転写の後、RNAをカラム精製し(ザイモリサーチ社)、対応する緩衝系の存在下、Superscript IV(ライフテクノロジーズ社)などの逆転写酵素により逆転写した。RNAをRNase H及びRNase If(ニュー・イングランド・バイオラボ社)などのリボヌクレアーゼ 消化により除去した後、KAPA DNAポリメラーゼ(カパ・バイオシステムズ社)などのDNAポリメラーゼにより第二鎖合成を行った。特異的一本鎖DNAプライマーを用いて第二鎖合成を開始させ、次いで、得られた二本鎖DNAをカラム精製(ザイモリサーチ社)した。精製された二本鎖DNAは、単一細胞内に元からあった微量のゲノムDNAから直線的に増幅された産物であろう。
得られた増幅核酸に対して行われる遺伝子解析は、全ゲノム規模で、全ゲノムの選択された、ただし重要な一部に対して、又は異常を引き起こすことが知られている特定のゲノム遺伝子座に対して、行うことができる。全ゲノム解析の例としては、次世代型配列決定法(Illumina、SoliDなど)による全ゲノム配列決定、ハイブリダイゼーションに基づく全ゲノム遺伝子型同定法、例えば、一塩基多型(SNP)アレイ、比較ゲノムハイブリダイゼーションアレイなどが挙げられる。全ゲノムの大部分の解析の例としては、エクソーム、特定の染色体などの特定のゲノム領域に対する、標的化した再配列決定及び遺伝子型同定が挙げられる。特定のゲノム遺伝子座の解析の例としては、得られた全ゲノムに核酸プローブをハイブリダイズした後、プローブをイメージング又は配列決定すること;及び、PCR又はマルチプレックスPCRを用いて全ゲノムの特定の領域を増幅した後、これらの領域をさらに配列決定又は遺伝子型同定すること、が挙げられる。
上記の出生前スクリーニング及び出生前診断に関連する遺伝的変異は広範な規模を有し、例えば、限定はされないが、一塩基多様性(SNV)、1〜100bpの範囲のサイズの小さな挿入及び欠失(Indel)、約100bp〜100Mbpの範囲のゲノム長のコピー数多様性(CNV)、1bp〜10Mbpの範囲の配列の逆位及び重複、10bp〜100Mbpの範囲のヘテロ接合性(heterzygosity)の消失(LOH)、並びに染色体転座、異数性、染色体の一部又は全体の欠失又は重複などの全染色体レベルの異常、並びに当業者に公知の他の染色体異常及び遺伝性疾患が挙げられる。本明細書におけるある特定の障害の列挙は、網羅的であることは意図されておらず、単なる例示であることを理解されたい。本明細書に記載の方法は単一細胞のゲノムを解析することを意図されているため、細胞のゲノムを解析することにより同定可能な障害は全て、本明細書に包含され、本開示の適例となる。
出生前診断の対象となる「先天性障害又は公知の表現型的帰結」の例としては、ヘモグロビンβ(HBB)遺伝子の41番目及び42番目のコドンにおける4bp欠失によって引き起こされるβサラセミア、並びに21番染色体の重複によって引き起こされるダウン症候群(21番染色体トリソミー)などの染色体異常などの、上記の遺伝的変異と関連した公知の障害が挙げられる。上記の「公知の表現型的帰結」には、がんなどのある特定の疾患への潜在的リスク又は素質、胎児の性別などの、先天性障害と見なされない潜在的な健康状態又は身体状態が含まれる。本明細書に記載の方法を用いて胎児(出生前診断)又は胚において診断可能な障害としては、さらに、嚢胞性線維症、鎌状赤血球症、テイ・サックス病、脆弱X症候群、脊髄性筋萎縮症、異常血色素症、αサラセミア、X連鎖障害(X染色体上の遺伝子によって決定される障害)、二分脊椎、無脳症、先天性心疾患、肥満症、糖尿病、がん、胎児性別、胎児RHD、胎児HLAハプロタイプ、父親由来変異、染色体異数性などが挙げられる。
実施例XVII
がん診断
本開示のある態様によれば、単一がん細胞材料、少数のがん細胞材料、複数のがん細胞材料又は最小量のがん細胞材料に対して、全ゲノム遺伝子解析を行うための方法が提供される。本方法は、がん細胞がごく少量(すなわち、希少な量)しか存在しない、又は入手若しくは単離できない場合に、特に有用である。そのようながん細胞の例としては、個人の血液中の循環腫瘍細胞(CTC)が挙げられる。腫瘍細胞と血管の相互作用、並びに転移の過程で、腫瘍細胞などのがん細胞は血流中に侵入する。循環腫瘍細胞を用いた現行の診断法は、濃縮したCTC細胞の計数に基づいている。血液中のCTC細胞の量が希少であること(109個の血液細胞のうち1個程度)と、CTCが不均一であることから、濃縮効率は個々の場合で異なる。CTCの計数はそれほど信頼のおけるものではなく、その方法は現在臨床試験の評価段階にある。CellSearchが唯一FDAに認可されたCTC濃縮及び計数用の装置である。約1,000,000個の細胞を必要とする従来の遺伝子診断が、CTCに適用されることはない。
循環腫瘍細胞によって、原発部位又は転移部位由来の一連の細胞が得られ、がん細胞の検出及び解析が可能となり、早期の診断が可能となる。本明細書に記載の方法は、外科的手段により腫瘍組織試料を得るなどの侵襲的な手法を用いない、がんを患う個人を診断する方法として、通常数が少ない又は稀な循環腫瘍細胞由来のDNAの解析を可能にする。本明細書に記載の方法は、がんが非常に早期であり得るが、がん細胞が個人の血流に侵入する時点における、個人におけるがんの早期診断法として、通常数が少ない又は稀な循環腫瘍細胞由来のDNAの解析を可能にする。本明細書に記載の方法は、有意な増幅バイアス及びアレルドロップアウト(allelic drop-out)を導入することなく、約10個〜約100個の細胞だけでなく、単一細胞の全ゲノムを均一に増幅することが可能な、信頼のおける全ゲノム増幅を実現する。本明細書に記載の方法は、単一細胞の全ゲノム又はほぼ全ゲノムを増幅することが可能であるため、本明細書に記載の方法は、相対的に数は少ないが、重要ながんの早期発見をもたらす可能性がある、循環腫瘍細胞に対し特に有用である。
一態様によれば、トランスポザーゼ及びRNAポリメラーゼを用いる本明細書に記載の方法は、さらなる解析のための、単一がん細胞、例えば循環腫瘍細胞などの腫瘍細胞、の全ゲノム増幅が可能である。一態様によれば、循環腫瘍細胞は患者の血流から濃縮することができる。また、腫瘍細胞を穿刺吸引(FNA)などの無切開(non-open)手術により原発部位又は転移から得て、最小試料質量診断(minimum sample mass diagnosis)(MSMD)用の試料とすることもできる。このように、1又は複数の腫瘍細胞の入手は非侵襲的と見なすことができる。本明細書に記載の方法はごく少量のがん細胞しか利用できない状況に特に適用されるが、本方法が、大量のがん細胞が利用可能であるが、単一細胞の遺伝子解析が望まれる場合にも適用されることは、当業者に容易に理解される。
一態様によれば、がん細胞由来のDNAを解析するための方法が提供される。用語「がん」は、様々な種類の悪性新生物を指し、そのほとんどは、周辺組織に浸潤可能であり、異なる部位に転移する場合がある(例えば、PDR Medical Dictionary 1st edition (1995)参照)。用語「新生物」及び「腫瘍」は、正常組織よりも急速に細胞増殖によって増殖し、増殖を惹起した刺激が除去された後も増殖し続ける、異常組織を指す(同文献)。このような異常組織は、構造機構、及び正常組織との機能的強調の部分的又は完全な欠如を示し、良性(すなわち、良性腫瘍)又は悪性(すなわち、悪性腫瘍)のいずれかであり得る。
がんの一般的分類の例としては、限定はされないが、以下が挙げられる:癌腫(すなわち、例えば、一般的形態の乳がん、前立腺がん、肺がん及び結腸がんなどの、上皮細胞由来の悪性腫瘍)、肉腫(すなわち、結合組織又は間葉系細胞由来の悪性腫瘍)、リンパ腫(すなわち、造血細胞由来の悪性病変)、白血病(すなわち、造血細胞由来の悪性病変)、胚細胞性腫瘍(すなわち、全能性細胞由来の腫瘍;成人においては精巣又は卵巣で最も多く見られ;胎児、乳児及び幼児においては、身体の正中線上、特に尾骨の先端に最も多く見られる)、芽細胞腫瘍(blastic tumor)(すなわち、未成熟組織又は胚組織に類似した、典型的には悪性の腫瘍)など。当業者であれば、本明細書における開示に基づいて、さらなるがんを容易に同定することができるため、この列挙が単なる例示であり、網羅的でないことは当業者に理解される。
本発明に包含されることが意図される特定の新生物の例としては、限定はされないが、以下が挙げられる:急性リンパ芽球白血病;骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、小児急性骨髄性白血病;副腎皮質癌;エイズ関連のがん;エイズ関連のリンパ腫;肛門がん;虫垂がん;星状細胞腫(例えば、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫);非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍;基底細胞癌;胆管がん、肝外胆管がん;膀胱がん;骨がん、骨肉腫及び悪性線維性組織球腫;脳腫瘍(例えば、脳幹神経膠腫、中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、中枢神経系胚芽腫、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫/悪性神経膠腫、頭蓋咽頭腫、上衣芽細胞腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、髄様上皮腫、中間型松果体実質腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍及び/又は松果体芽腫、視路視床下部神経膠腫、脳脊髄腫瘍);乳がん;気管支腫瘍;バーキットリンパ腫;カルチノイド腫瘍(例えば、胃腸管系);原発巣不明の癌;中枢神経系(例えば、非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、胚芽腫(例えば、リンパ腫、原発性リンパ腫);小脳星状細胞腫;大脳星状細胞腫/悪性神経膠腫;子宮頸がん;脊索腫;慢性リンパ球性白血病;慢性骨髄性白血病;慢性骨髄増殖性疾患;結腸がん;結腸直腸がん;頭蓋咽頭腫;皮膚T細胞リンパ腫;胚芽腫、中枢神経系胚芽腫;子宮内膜がん;上衣芽細胞腫;上衣細胞腫;食道がん;ユーイング肉腫ファミリー腫瘍(Ewing family of tumors);頭蓋外胚細胞腫瘍;性腺外生殖細胞腫瘍;肝外胆管がん;眼がん(例えば、眼球内黒色腫、網膜芽細胞腫);胆嚢がん;胃がん;胃腸腫瘍(例えば、カルチノイド腫瘍、間質性腫瘍(胃腸間質性腫瘍)、間質細胞腫瘍);胚細胞性腫瘍(例えば、頭蓋外胚細胞性腫瘍、性腺外胚細胞性腫瘍、卵巣胚細胞性腫瘍);妊娠性絨毛性腫瘍;神経膠腫(例えば、脳幹神経膠腫、大脳星状細胞腫);毛様細胞性白血病;頭頸部がん;肝細胞がん;ホジキンリンパ腫;下咽頭がん;視路視床下部神経膠腫;眼球内黒色腫;島細胞腫瘍;カポジ肉腫;腎がん;大細胞腫瘍;喉頭がん(例えば、急性リンパ芽球性、急性骨髄性);白血病(例えば、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病);口唇及び/又は口腔がん;肝臓がん;肺がん(例えば、非小細胞肺がん、小細胞肺がん);リンパ腫(例えば、エイズ関連リンパ腫、バーキットリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫);マクログロブリン血症、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;骨悪性線維性組織球腫及び/又は骨肉腫;髄芽細胞腫;髄様上皮腫;メラノーマ;メルケル細胞癌;中皮腫;転移性扁平上皮頸部癌;口腔がん;多発性内分泌腫瘍症候群;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;菌状息肉腫;骨髄異形成症候群;骨髄異形成/骨髄増殖性疾患;骨髄性白血病(例えば、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、多発性骨髄性白血病);骨髄増殖性疾患、慢性骨髄増殖性疾患;鼻腔及び/又は副鼻腔がん;鼻咽腔がん;神経芽細胞腫;非ホジキンリンパ腫;非小細胞肺がん;口腔がん;口腔がん、中咽頭がん;骨肉腫及び/又は骨悪性線維性組織球腫;卵巣がん(例えば、卵巣上皮がん、卵巣胚細胞性腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍);膵がん(例えば、島細胞腫瘍);乳頭腫;副鼻腔及び/又は鼻腔がん;副甲状腺がん;陰茎がん;咽頭がん;褐色細胞腫;中間型松果体実質腫瘍;松果体芽腫及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍;下垂体腫瘍;形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;原発性中枢神経系リンパ腫;前立腺がん;直腸がん;腎細胞がん;腎臓、腎盂及び/又は尿管の移行上皮がん;15番染色体上のnut遺伝子が関与する気道癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;唾液腺がん;肉腫(例えば、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、カポジ肉腫、軟部組織肉腫、子宮肉腫);セザリー症候群;皮膚がん(例えば、非メラノーマ性皮膚がん、メラノーマ性皮膚がん、メルケル細胞性皮膚がん);小細胞肺がん;小腸がん;軟部肉腫;扁平上皮癌;原発不明の転移性扁平上皮性頸部癌;胃がん;テント上原始神経外胚葉性腫瘍;T細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫;精巣がん;咽喉がん;胸腺腫及び/又は胸腺癌;甲状腺がん;腎臓、腎盂及び/又は尿管の移行上皮がん;絨毛性腫瘍;原発不明腫瘍(unknown primary site carcinoma);尿道がん;子宮がん、子宮内膜がん;子宮肉腫;腟がん;視路及び/又は視床下部神経膠腫;外陰がん;ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;ウィルムス腫瘍など。概説については、国立がん研究所のワールドワイドウェブサイト(cancer.gov/cancertopics/alphalist)を参照されたい。当業者であれば、本明細書における開示に基づいて、さらなるがん及び/又は新生物を容易に同定することができるため、この列挙が単なる例示であり、網羅的でないことは当業者に理解される。
ある態様によれば、個人の血液由来の循環腫瘍細胞が単離される。1又は複数の循環腫瘍細胞から核酸が抽出される。次に、本明細書に記載の増幅法により核酸が増幅され、例えば、前記細胞のゲノム全体又は特定のゲノム遺伝子座が解析用に得られる。次にゲノムを、がんにおけるゲノム障害と関連した遺伝的変異について解析する。
循環腫瘍細胞は以下の通りに得られる。従来の静脈穿刺により親血液を得る。約10mlの血液が得られる。循環腫瘍細胞は、以下を含む複数の異なる方法で単離することができる:市販のCellSearchシステム(Clin. Cancer Res. 2004, 10, 6897-6904 and Clin. Cancer Res. 2010, 16, 2634-2645参照、各々その全体が参照によって本明細書に援用される)、サイズに基づいた濾過デバイス(Am. J. Pathol. 2000, 156, 57-63 and Cancer Res. 2010, 70, 6420-6428参照、各々その全体が参照によって本明細書に援用される)、光ファイバーアレイ走査技術を用いた広視野(wild-field)イメージング(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2004, 101, 10501-10504参照、各々その全体が参照によって本明細書に援用される)、目的に合わせて作製されたマイクロ流体デバイスにおける抗体に基づいた表面捕捉(Lab Chip 2010, 10, 837-842, Nature 2007, 450, 1235-1239, Anal. Chem. 2011, 83, 2301-2309, Angew. Chem. 2011, 123, 3140-3144及びAngew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 3084-3088参照、各々その全体が参照によって本明細書に援用される)。
ある特定のさらなる態様によれば、1又は複数の細胞が細針吸引によって得られ、塊又は組織塊から細胞が単離される。細針吸引より得られた単一細胞又は複数の細胞からDNAなどの核酸が抽出される。次に、トランスポザーゼ及びRNAポリメラーゼを用いた本明細書に記載の方法により核酸が増幅され、例えば、胚のゲノム全体又は特定のゲノム遺伝子座が解析用に得られる。次に、遺伝的変異が同定され、先天性障害又は公知の表現型的帰結と関連付けられる。
細胞は以下の通りに細針吸引を用いて生検及び単離される。生検予定の領域上の皮膚に消毒液を塗布し、無菌外科用タオルで覆う。X線又は触診によって生検する塊の場所を突き止めた後、直径が非常に小さい(22又は25ゲージ)特殊な針を塊に挿入する。針を塊に入れた後、注射器による吸引で細胞を引き出し、単一チューブに移す。細胞を保存し、マーカーで標識する。蛍光顕微鏡下、口によるピペッティング又はレーザー解剖で単一がん細胞を単離する。
DNAなどの核酸は、CTC細胞又は細針吸引によって得られた細胞から、プロテアーゼで補助された細胞溶解を用いて、以下の通りに抽出される。3μlの溶解緩衝液(30mM Tris−Cl(pH7.8)、2mM EDTA、20mM KCl、0.3%Triton X−100、30mM dTT、12.5ug/ml QIAGEN protease)で単一細胞を溶解する。アルカリ法又は凍結融解法などの他の方法も、核酸抽出に、又は本明細書に記載若しくは当業者に公知の他の方法を用いて、適用可能である。
次に、単一細胞溶解物を10mM Mg2+を含有する緩衝系中のTn5トランスポソームと混合し、55℃で15分間インキュベートした。DNA断片化の後、dNTP混合物及びBst 2.0 Warm Start DNAポリメラーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社)などのDNAポリメラーゼを添加して、転位反応が残した9bpギャップを補填し、各断片の両末端へ端から端まで伸長させ、二本鎖T7プロモーター配列を生成させた。反応後、Bst 2.0 Warm Start DNAポリメラーゼは所望により80℃加熱によって不活化してもよい。次に、ギャップ伸長混合物に必須成分を添加することにより、T7 RNAポリメラーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社)、NTP混合物、並びにMg2+及びDTTを含有するT7転写緩衝液を含むインビトロ転写アッセイを構築した。所望によりSuperase(ライフテクノロジーズ社)などのリボヌクレアーゼ阻害剤を加えてもよい。T7インビトロ転写を介した直線的増幅反応を、必要に応じて変化させてよい30μL〜100μLの体積中で、37℃で最長16時間行った。
インビトロ転写の後、RNAをカラム精製し(ザイモリサーチ社)、対応する緩衝系の存在下、Superscript IV(ライフテクノロジーズ社)などの逆転写酵素により逆転写した。RNAをRNase H及びRNase If(ニュー・イングランド・バイオラボ社)などのリボヌクレアーゼ 消化により除去した後、KAPA DNAポリメラーゼ(カパ・バイオシステムズ社)などのDNAポリメラーゼにより第二鎖合成を行った。特異的一本鎖DNAプライマーを用いて第二鎖合成を開始させ、次いで、得られた二本鎖DNAをカラム精製(ザイモリサーチ社)した。精製された二本鎖DNAは、単一細胞内に元からあった微量のゲノムDNAから直線的に増幅された産物であろう。
得られた増幅核酸に対して行われる遺伝子解析は、全ゲノム規模で、全ゲノムの選択された、ただし重要な一部に対して、又は異常を引き起こすことが知られている特定のゲノム遺伝子座に対して、行うことができる。全ゲノム解析の例としては、次世代型配列決定法(Illumina、SoliDなど)による全ゲノム配列決定、ハイブリダイゼーションに基づく全ゲノム遺伝子型同定法、例えば、一塩基多型(SNP)アレイ、比較ゲノムハイブリダイゼーションアレイなどが挙げられる。全ゲノムの大部分の解析の例としては、エクソーム、特定の染色体などの特定のゲノム領域に対する、標的化した再配列決定及び遺伝子型同定が挙げられる。特定のゲノム遺伝子座の解析の例としては、得られた全ゲノム増幅産物に核酸プローブをハイブリダイズした後、プローブをイメージング又は配列決定すること;及び、PCR又はマルチプレックスPCRを用いて全ゲノムの特定の領域を増幅した後、これらの領域をさらに配列決定又は遺伝子型同定すること、が挙げられる。
上記のがん診断に関連する遺伝的変異は広範な規模を有し、例えば、限定はされないが、一塩基多様性(SNV)、1〜100bpの範囲のサイズの小さな挿入及び欠失(Indel)、約100bp〜100Mbpの範囲のゲノム長のコピー数多様性(CNV)、1bp〜10Mbpの範囲の配列の逆位及び重複、10bp〜100Mbpの範囲のヘテロ接合性の消失(LOH)、並びに染色体転座、異数性、染色体の一部又は全体の欠失又は重複などの全染色体レベルの異常が挙げられる。
既存のがんゲノム多様性の例は、NIHによるCGAP(Cancer Genome Anatomy Project)及びCOSMIC(Catalogue of Somatic Mutations in Cancer)を含む、公的利用可能なデータベースに提供されている。

Claims (69)

  1. 二本鎖核酸を、トランスポザーゼ結合部位及びRNAポリメラーゼプロモーター配列を含むトランスポゾンDNAに結合したトランスポザーゼと接触させること−ここで、トランスポザーゼ/トランスポゾンDNA複合体は前記二本鎖核酸上の標的部位に結合して、前記二本鎖核酸を、両5’末端にトランスポゾンDNAが結合している複数の二本鎖断片に切断する−;
    前記トランスポゾンDNAに沿って前記二本鎖断片を伸長させて、各末端に二本鎖RNAポリメラーゼプロモーター配列を有する二本鎖伸長産物を作製すること;
    前記二本鎖伸長産物をRNAポリメラーゼと接触させて、各二本鎖伸長産物のRNA転写物を複数作製すること;
    前記RNA転写物を一本鎖コピーDNAへと逆転写すること;及び
    前記一本鎖コピーDNAに対する相補鎖を形成して、オリジナルの前記二本鎖断片から直線的に増幅された、各二本鎖断片に対応する二本鎖DNAアンプリコンを複数形成すること、
    を含む、核酸増幅法。
  2. 前記二本鎖核酸が単離された二本鎖核酸であり、前記トランスポザーゼが単離されたトランスポザーゼである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記二本鎖核酸がゲノムDNAである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記二本鎖核酸が単一細胞由来のゲノムDNAである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記二本鎖核酸が単一細胞の全ゲノムである、請求項1に記載の方法。
  6. 前記トランスポザーゼがTn5トランスポザーゼである、請求項1に記載の方法。
  7. 前記RNAポリメラーゼがT7RNAポリメラーゼである、請求項1に記載の方法。
  8. 前記トランスポゾンDNAがバーコード配列をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記トランスポゾンDNAがプライミング部位をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記トランスポゾンDNAがバーコード配列及びプライミング部位をさらに含み、前記RNAプロモーター配列が前記トランスポゾンDNAの5’末端に存在する、請求項1に記載の方法。
  11. 前記トランスポゾンDNAが二本鎖19bp Tnp結合部位及びオーバーハングを含み、前記オーバーハングがバーコード領域、プライミング部位及び強力なT7プロモーター配列を含む、請求項1に記載の方法。
  12. 前記トランスポゾンDNAが、二本鎖19bp Tnp結合部位と、強力なT7プロモーター配列を含む核酸ループ構造とを含む、請求項1に記載の方法。
  13. 前記トランスポゾンDNAが、二本鎖19bp Tnp結合部位と、バーコード領域、プライミング部位及び強力なT7プロモーター配列を含む核酸ループ構造とを含む、請求項1に記載の方法。
  14. 結合したトランスポザーゼが前記二本鎖断片の伸長の前に前記二本鎖断片から除去される、請求項1に記載の方法。
  15. 前記トランスポザーゼがトランスポゾンDNAと各々複合体化したTn5トランスポザーゼであり、前記トランスポゾンDNAが二本鎖19bp Tnp結合部位及びオーバーハングを含み、前記オーバーハングがバーコード領域、プライミング部位及び強力なT7プロモーター配列を含み、Tn5トランスポザーゼ/トランスポゾンDNA複合体が前記二本鎖ゲノムDNA上の標的部位に結合し、前記二本鎖ゲノムDNAを複数の二本鎖断片に切断する、請求項1に記載の方法。
  16. 前記RNAポリメラーゼプロモーター配列がT7プロモーター配列であり、前記トランスポゾンDNAに沿って前記二本鎖断片が伸長されることで両末端にT7プロモーターを有する二本鎖伸長産物が作製され、前記二本鎖伸長産物をT7 RNAポリメラーゼと接触することで前記二本鎖伸長産物のRNA転写物が作製される、請求項1に記載の方法。
  17. 前記二本鎖DNAアンプリコンを配列決定する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  18. 前記二本鎖DNAアンプリコンの中の一塩基多様性(SNV)を検出する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  19. 前記二本鎖DNAアンプリコンの中のコピー数多様性を検出する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  20. 前記二本鎖DNAアンプリコンの中の構造多様性を検出する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  21. 前記二本鎖核酸が出生前細胞由来のゲノムDNAである、請求項1に記載の方法。
  22. 前記二本鎖核酸ががん細胞由来のゲノムDNAである、請求項1に記載の方法。
  23. 前記二本鎖核酸が循環腫瘍細胞由来のゲノムDNAである、請求項1に記載の方法。
  24. 前記二本鎖核酸が単一の出生前細胞由来のゲノムDNAである、請求項1に記載の方法。
  25. 前記二本鎖核酸が単一のがん細胞由来のゲノムDNAである、請求項1に記載の方法。
  26. 前記二本鎖核酸が単一の循環腫瘍細胞由来のゲノムDNAである、請求項1に記載の方法。
  27. 単一細胞由来の二本鎖ゲノムDNAを、二本鎖19bp Tnp結合部位、並びにバーコード領域、プライミング部位及び強力なT7プロモーター配列を含むオーバーハングを含むトランスポゾンDNAと各々複合体化したTn5トランスポザーゼと接触させること−ここで、Tn5トランスポザーゼ/トランスポゾンDNA複合体は前記二本鎖ゲノムDNA上の標的部位に結合して、前記二本鎖ゲノムDNAを、Tnp結合部位によって上側鎖に結合している第一の複合体とTnp結合部位によって下側鎖に結合している第二の複合体とを各々有する複数の二本鎖断片に切断する−;
    前記Tn5トランスポザーゼを前記複合体から除去すること;
    前記トランスポゾンDNAに沿って前記二本鎖断片を伸長させて、両末端にT7プロモーターを有する二本鎖伸長産物を作製すること;
    前記二本鎖伸長産物をT7 RNAポリメラーゼと接触させて、前記二本鎖伸長産物のRNA転写物を作製すること;
    前記RNA転写物を一本鎖DNAへと逆転写すること;及び
    前記一本鎖DNAに対する相補鎖を形成させて、ゲノムDNA配列を含み、且つ上側鎖及び下側鎖の両末端にバーコードを有する二本鎖DNAを形成させること、
    を含む、単一細胞の全ゲノムを増幅し配列を決定する方法。
  28. 二本鎖核酸を、トランスポザーゼ結合部位を含むトランスポゾンDNAに結合したトランスポザーゼと接触させること−ここで、トランスポザーゼ/トランスポゾンDNA複合体は前記二本鎖核酸上の標的部位に結合して、前記二本鎖核酸を、両5’末端にトランスポゾンDNAが結合している複数の二本鎖断片に切断する−;
    前記トランスポゾンDNAに沿って前記二本鎖断片を伸長させて、各末端に二本鎖伸長産物を作製すること;及び
    前記二本鎖伸長産物を増幅すること、
    を含む、核酸増幅法。
  29. 前記二本鎖核酸が単離された二本鎖核酸であり、前記トランスポザーゼが単離されたトランスポザーゼである、請求項28に記載の方法。
  30. 前記二本鎖核酸がゲノムDNAである、請求項28に記載の方法。
  31. 前記二本鎖核酸が単一細胞由来のゲノムDNAである、請求項28に記載の方法。
  32. 前記二本鎖核酸が単一細胞の全ゲノムである、請求項28に記載の方法。
  33. 前記トランスポザーゼがTn5トランスポザーゼである、請求項28に記載の方法。
  34. 前記トランスポゾンDNAがバーコード配列をさらに含む、請求項28に記載の方法。
  35. 前記トランスポゾンDNAがプライミング部位をさらに含む、請求項28に記載の方法。
  36. 前記トランスポゾンDNAがバーコード配列及びプライミング部位をさらに含む、請求項28に記載の方法。
  37. 前記トランスポゾンDNAが二本鎖19bp Tnp結合部位及びオーバーハングを含み、前記オーバーハングがバーコード領域及びプライミング部位を含む、請求項28に記載の方法。
  38. 前記トランスポゾンDNAが、二本鎖19bp Tnp結合部位と、バーコード領域及びプライミング部位を含む核酸ループ構造とを含む、請求項28に記載の方法。
  39. 結合したトランスポザーゼが前記二本鎖断片の伸長の前に前記二本鎖断片から除去される、請求項28に記載の方法。
  40. 前記トランスポザーゼが前記トランスポゾンDNAと各々複合体化したTn5トランスポザーゼであり、前記トランスポゾンDNAが二本鎖19bp Tnp結合部位及びオーバーハングを含み、前記オーバーハングがバーコード領域及びプライミング部位を含み、Tn5トランスポザーゼ/トランスポゾンDNA複合体が前記二本鎖ゲノムDNA上の標的部位に結合し、前記二本鎖ゲノムDNAを複数の二本鎖断片に切断する、請求項28に記載の方法。
  41. 前記二本鎖DNAアンプリコンを配列決定する段階をさらに含む、請求項28に記載の方法。
  42. 前記二本鎖DNAアンプリコンの中の一塩基多様性(SNV)を検出する段階をさらに含む、請求項28に記載の方法。
  43. 前記二本鎖DNAアンプリコンの中のコピー数多様性を検出する段階をさらに含む、請求項28に記載の方法。
  44. 前記二本鎖DNAアンプリコンの中の構造多様性を検出する段階をさらに含む、請求項28に記載の方法。
  45. 前記二本鎖核酸が出生前細胞由来のゲノムDNAである、請求項28に記載の方法。
  46. 前記二本鎖核酸ががん細胞由来のゲノムDNAである、請求項28に記載の方法。
  47. 前記二本鎖核酸が循環腫瘍細胞由来のゲノムDNAである、請求項28に記載の方法。
  48. 前記二本鎖核酸が単一の出生前細胞由来のゲノムDNAである、請求項28に記載の方法。
  49. 前記二本鎖核酸が単一のがん細胞由来のゲノムDNAである、請求項28に記載の方法。
  50. 前記二本鎖核酸が単一の循環腫瘍細胞由来のゲノムDNAである、請求項28に記載の方法。
  51. 二本鎖核酸を、トランスポザーゼ結合部位を含むトランスポゾンDNAに結合したトランスポザーゼと接触させること−ここで、トランスポザーゼ/トランスポゾンDNA複合体は前記二本鎖核酸上の標的部位に結合して、前記二本鎖核酸を、両5’末端にトランスポゾンDNAが結合している複数の二本鎖断片に切断する−;
    前記トランスポゾンDNAに沿って二本鎖断片を伸長させて、各末端に二本鎖伸長産物を作製すること、
    を含む、二本鎖核酸から核酸断片を作製する方法。
  52. 前記二本鎖核酸が単離された二本鎖核酸であり、前記トランスポザーゼが単離されたトランスポザーゼである、請求項51に記載の方法。
  53. 前記二本鎖核酸がゲノムDNAである、請求項51に記載の方法。
  54. 前記二本鎖核酸が単一細胞由来のゲノムDNAである、請求項51に記載の方法。
  55. 前記二本鎖核酸が単一細胞の全ゲノムである、請求項51に記載の方法。
  56. 前記トランスポザーゼがTn5トランスポザーゼである、請求項51に記載の方法。
  57. 前記トランスポゾンDNAがバーコード配列をさらに含む、請求項51に記載の方法。
  58. 前記トランスポゾンDNAがプライミング部位をさらに含む、請求項51に記載の方法。
  59. 前記トランスポゾンDNAがバーコード配列及びプライミング部位をさらに含む、請求項51に記載の方法。
  60. 前記トランスポゾンDNAが二本鎖19bp Tnp結合部位及びオーバーハングを含み、前記オーバーハングがバーコード領域及びプライミング部位を含む、請求項51に記載の方法。
  61. 前記トランスポゾンDNAが、二本鎖19bp Tnp結合部位と、バーコード領域及びプライミング部位を含む核酸ループ構造とを含む、請求項51に記載の方法。
  62. 結合したトランスポザーゼが二本鎖断片の伸長の前に二本鎖断片から除去される、請求項51に記載の方法。
  63. 前記トランスポザーゼがトランスポゾンDNAと各々複合体化したTn5トランスポザーゼであり、前記トランスポゾンDNAが二本鎖19bp Tnp結合部位及びオーバーハングを含み、前記オーバーハングがバーコード領域及びプライミング部位を含み、Tn5トランスポザーゼ/トランスポゾンDNA複合体が前記二本鎖ゲノムDNAに続く標的部位に結合し、前記二本鎖ゲノムDNAを複数の二本鎖断片に切断する、請求項51に記載の方法。
  64. 前記二本鎖核酸が出生前細胞由来のゲノムDNAである、請求項51に記載の方法。
  65. 前記二本鎖核酸ががん細胞由来のゲノムDNAである、請求項51に記載の方法。
  66. 前記二本鎖核酸が循環腫瘍細胞由来のゲノムDNAである、請求項51に記載の方法。
  67. 前記二本鎖核酸が単一の出生前細胞由来のゲノムDNAである、請求項51に記載の方法。
  68. 前記二本鎖核酸が単一のがん細胞由来のゲノムDNAである、請求項51に記載の方法。
  69. 前記二本鎖核酸が単一の循環腫瘍細胞由来のゲノムDNAである、請求項51に記載の方法。
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