JP2018520186A - イソシアネートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、一級アミンと、化学量論的に過剰のホスゲンを気相で反応させることでイソシアネートを調製する方法に関し、ここで、過剰のホスゲンは続いて回収および反応へ再循環させる。本発明は特に、再循環させるホスゲンの流れを、並行して稼働される複数の気相リアクターに分割する際に、回収したホスゲンを調節して再循環させるための方法に関する。

Description

本発明は、一級アミンと化学量論的に過剰のホスゲンを気相で反応させることで、イソシアネートを製造するプロセスに関し、ここで、過剰のホスゲンは続いて回収および反応へ再循環させる。本発明は、特に、特に再循環させるホスゲンの流れを、並行して稼働される複数の気相リアクターに分割する際に、回収したホスゲンを調節して再循環させるためのプロセスに関する。
イソシアネートは大量に製造され、主にポリウレタンの製造のための出発材料として使用される。通常は、対応するアミンを、化学量論的に過剰のホスゲンと反応させることで、イソシアネートを調製する。アミンとホスゲンの反応は、気相または液相のいずれかで実行され得る。イソシアネートの合成では、過剰ホスゲンは通常、反応の際に発生する副生成物の気体塩化水素と少なくとも部分的に一緒に得られ、そのため、過剰ホスゲンを副生成物の塩化水素から分離し、反応へ再循環させることは、イソシアネート合成の経済的な作業において必要不可欠である。具体的には、循環させるホスゲン流を複数のリアクターに対して分ける際に、それぞれの個別のリアクターに意図したホスゲン流を確実に送ることは、特に定常状態ではない稼働条件下では、格別に技術的な難題であり、そのため、ホスゲン製造において十分かつ安定した圧力を確保することは大変重要である。
アミンとホスゲンの気相での反応によってイソシアネートを製造するプロセスに関しては、様々なプロセスが先行技術によって知られている。
英国特許第737442号には、液体ホスゲンを塩化水素およびホスゲンを含有する気体混合物から回収するプロセスが記載されており、ここで、気体混合物は、−40〜−60℃に冷却された冷却器を上方に流れ、ホスゲンは凝縮し、保管タンクへ下流する。この文献では、回収された液体ホスゲンは、0.7重量%という塩化水素の低含有量により、さらに精製することなくアミンとの反応に使用され得ると記述されている。しかし、回収された液体ホスゲンが気相反応においてどのように経済的に利点となる方法で使用されるかに対する情報は一切提供されていない。さらに、開示されるプロセスには、冷却器を離れる塩化水素の気体がかなりの量のホスゲンを依然と含み、よってホスゲン化反応で使われないというデメリットがある。さらに、凝縮が、エネルギーが消費されるかなり低い温度レベルで実行されるというデメリットもある。
米国特許第2764607号には、クロロギ酸エステルの製造による塩化水素との気体混合物からホスゲンを回収するプロセスが記載されている。この目的のために、反応容器に装備されたコンデンサーを離れるホスゲン/塩化水素の気体混合物は最初に冷溶媒と接触し、ホスゲンは溶媒に優先的に吸収される。吸収されたホスゲンは次いで、部分的に吸収された塩化水素と一緒に、蒸留塔で溶媒から再度持続的に分離される。この目的のために、供給材料はストリッピング部と濃縮部との間から導入され、溶媒上部から飛び出ていく気体混合物を含まない、蒸留塔に戻る逆流は、塔頂コンデンサーにより生産される。ホスゲンは完全に液体化され、得られた気体流から分離され、保管容器に送られる。記載されるプロセスのデメリットは、低温度レベルでの冷却パワーの必要性が高いことである。
塩化水素およびホスゲンを含む気体混合物を分別する代替方法が独国特許第10260084号に記載されている。この文献では、ホスゲンが気圧超の圧力下で凝縮され、凝縮した相をストリッピングして次に続くプロセス工程で塩化水素を除去するプロセスが開示されている。大気超の圧力によって相当量の塩化水素が凝縮物に溶解するため、ストリッピングは必要であり、また、本文献の教示によれば、相当量の塩化水素はホスゲン化反応に不都合な効果を有すると記載されている。開示されるプロセスのデメリットは、主となる凝縮圧のために、溶解した塩化水素を分離する追加のプロセス工程が必要となる点である。ガス状ホスゲンの回収に関する情報はこの文献には一切ない。この文献では塩化水素/ホスゲンの分離は高圧下で実行され得ると記述されているが、これでは安全に関するリスクが高くなる。さらに、高圧の発生はエネルギーを消費する。代替手段として、低温度での分離に関する記述もあるが、これもエネルギー消費型であり、さらに液体のホスゲン含有相中の塩化水素の含有量が高くなる。
米国特許第3544611号では、有機イソシアネートを調製するプロセスが記載されている。蒸留塔の上部では塩化水素が離脱し、底部ではホスゲンおよびイソシアネートが離脱するように、液体の反応溶液は蒸留塔の中間部で供給される。イソシアネートおよびホスゲンをそれぞれ分離し、ホスゲンを反応に再循環させるため、底部流は追加の蒸留塔に送られる。開示されるプロセスのデメリットは、経済的に利点となるような冷却材の温度での蒸留により混合物の分離を可能にするため、10−50barという高圧で蒸留を行わなくてはいけない点である。
上記の文献では、過剰ホスゲンを経済的な方法で回収し、ホスゲン化反応へ再循環させることが可能な技術的手順に関する具体的な説明は記載されていない。よって、プロセスにおける経済面での魅力が損なわれる。
国際公開第2007/014936号では、ジアミンと化学量論的に過剰のホスゲンとの気相での反応によってジイソシアネートを調製するプロセスが開示されており、過剰ホスゲンは少なくとも部分的に反応へ再循環され、リアクターに送るホスゲン流に含まれる塩化水素は、アミンとの混合前に15重量%未満である。この文献の教示によると、アミン塩酸塩の沈殿が減少するため、リアクターの稼働時間が向上するとある。ホスゲンガス中に不活性塩化水素の気体がそのような高含有量で存在することのデメリットは、再利用流の増大により、作業費の増加および装置の肥大化につながり、したがって、プラント建設費が高くなる点である。記載される実施態様では、過剰ホスゲンおよび形成した塩化水素ははじめに本質的に気体である反応混合物から分離され、次いで、過剰ホスゲンは次いで少なくとも部分的に反応へ再循環され、この時、塩化水素は、ホスゲン流に含まれる塩化水素がアミン流と混合される前に15重量%未満であるように、この再循環されるホスゲンから分離されている。再循環されるホスゲン流中の溶媒の含有量に関しては一切の情報がない。この文献では、分離は好ましくは蒸留および洗浄の組み合わせによって実行されると教示されている。ここで、ホスゲンは、塩化水素含有流から、洗浄媒体によって洗浄される。ホスゲンおよび塩化水素の、投入されたこの洗浄媒体からの分離は、好ましくは蒸留によって実行される。洗浄および蒸留は、明細書によると、1〜10bar(絶対圧)で操作され得る。投入した洗浄媒体からのホスゲンの分離に関するさらなる詳細はこの文献では開示されていない。
国際公開第2008/086922号では、ホスゲンは、気相ホスゲン化反応でアミンと混合する前に、塩素を1000重量ppm超で含んではいけないことが教示されており、1000重量ppm超であった場合、高温度のために材料の脆化が生じ得るからである。この教示によれば、高温度でのホスゲン分解により、一定の量の塩素が常に形成され、この塩素の除去が必要となる。さらに、文献は、ホスゲン、塩化水素および塩素を含有する気体混合物を最初に部分的に凝縮させ(18ページ、30行)、洗浄する(19ページ、18行)実施態様を開示している。ここでは、ホスゲン、洗浄媒体、塩化水素および塩素を含有する液相が得られる。この液相は次いで、第一の精留で低沸点の塩素および塩化水素から分離される(c)と呼ぶ)。続く工程で、ホスゲンおよび洗浄媒体は、第二の精留で互いに分離される(e)と呼ぶ)(20ページ、26行〜21ページ、11行)。この文献では、第二の精留塔の実施態様が二つ開示されている:第一の実施態様では、精留塔はストリッピング部のみを備えており、よって塔頂生成物は、上部の分離機能内部構造による精製なしで離れる。底部の生成物の組成の特徴に関しては明らかではないが;ホスゲン化反応に再循環されている。低沸点流eLのさらなる使用に関しては何も言及されていない。
好ましい第二の実施態様では、第二の精製はさらに濃縮部を備え、これにより、適切な還流比において、塔頂流が、追加の精製を伴わずにホスゲン化で使用され得る純粋なホスゲンから本質的になることが可能になる。濃縮部を有するこの実施態様では、底部流は純粋な洗浄液体から本質的になる。
国際公開第2009/037179号では、気相イソシアネートを調製するプロセスを開示しており、新たに生産されたホスゲンが事前に凝縮せずに気相反応へ導入される。ホスゲン凝縮のための装置およびエネルギー、液体ホスゲンの中間保管ならびにホスゲン蒸発の省略可能により、プラント内のホスゲンホールドアップが減少し、ホスゲンを蒸発させるエネルギーが省かれる(5ページ、32〜42行目)。このプロセスのデメリットは、新たなホスゲン中に存在する、プロセスから放出された塩化水素流を汚染してしまう付随成分の分離を行う機会がない点である。
さらに、この文献では、ホスゲンを塩化水素との気体混合物から分離し、分離したホスゲンを、組み合された洗浄および多段階蒸留により気相ホスゲン化へ再循環させる方法が説明されている。
この点に関して、ホスゲンおよび塩化水素を含んでいる洗浄液体は最初に第一の工程でホスゲン/塩化水素の気体混合物を洗浄液体で洗浄することで得られると記述されている。続いて、塩化水素が主にホスゲン含有洗浄溶液から分離され、その前の洗浄工程に戻る第一の蒸留工程が続き、その次に、その前に得た洗浄溶液がガス状ホスゲンおよび主にホスゲンを含まない洗浄液体へ分離される第二の蒸留工程が続く。ガス状ホスゲンは気相ホスゲン化へ導入され、洗浄液体はホスゲン/塩化水素の気体混合物の洗浄のために再利用される。この文献では、ホスゲン−洗浄液体の分離が、装置の点、または、達成され得る再循環ホスゲン流の純度の点からどのように行われるかの記載はない。
この文献の一般的な教示によると、ガス状ホスゲンをホスゲン含有洗浄媒体から回収してホスゲン化反応へ再循環させるために、二段階蒸留プロセスが結果的に最適なプロセスである。新たなホスゲンの凝縮および保管の省略は、ホスゲンホールドアップの低下を達成するためにこの文献で言及された唯一の具体的な対策である。二つの蒸留工程からなるプロセス(よって顕著なホスゲンホールドアップを有する分離装置の利用)が好ましい実施態様として提案されるが、二つの蒸留工程の装置という点での構成に関して、特に、ホスゲンのホールドアップを最小化する装置という点での構成に関しては詳細がない。
国際公開第2011/003532号は、一級アミンと、化学量論的に過剰のホスゲンを気相で反応させることでイソシアネートを調製するプロセスに関し、ここで、過剰のホスゲンは続いて回収およびその反応へ再循環させる。ホスゲンおよび塩化水素を含有する気体混合物からのホスゲンの回収は、二段階で実行される。第一の工程(塩化水素−ホスゲンの分離)では、リアクターを離れる塩化水素およびホスゲン含有気体混合物は、主に塩化水素を含む気体流およびホスゲンを含む液体流へ分離され、得られた液体流は第二の工程(ホスゲンガスの生産)でガス状ホスゲン含有流へ転化され、ここで、第一のプロセス工程での圧力は第二のプロセス工程での圧力よりも小さい。このプロセスは、液体のホスゲン含有洗浄媒体溶液からたった一つの工程(ホスゲンガスの生産)でホスゲンを回収できるため、有利である。好ましい実施態様では、ホスゲンガス生産は、2〜45枚の棚板を有する蒸留塔で実行される。塔はストリッピング部および/または濃縮部を含み得;好ましくはストリッピング部および濃縮部の双方を含み、供給材料流は好ましくはストリッピング部と濃縮部との間から導入される。塔は好ましくは底部での温度が140〜220℃で操作される。
好ましい実施態様では、塔には塔頂コンデンサーが備えられる。塔頂コンデンサーは好ましくは、冷却材の導入温度が−25〜0℃で操作される。塔頂コンデンサーによって生産された凝縮物は、部分的または全体的に塔に再循環および/または塔を離れ得;凝縮物は好ましくはその全体が塔へ再循環される。
好ましい実施態様のデメリットは、ホスゲンガス生産のための塔の寸法が大きいことと逆流の流れを作るための冷却のコスト高となる使用である。
代替実施態様では、ホスゲンガス生産は、ホスゲンおよび場合によっては不活性物質を含んでいる気体流ならびに液体流への部分蒸発によって分離される、塩化水素−ホスゲン分離から得られたホスゲン含有液体流によって実行される。この目的のため、塩化水素−ホスゲン分離で得られた液体流は、底部の温度が好ましくは100−220℃である蒸発器内へ送られる。上記の好ましい実施態様と比べると、この実施態様では装置および冷却エネルギーコストが低減し、また、液体ホスゲンのホールドアップも減るが、生産されたガス状ホスゲン流の純度、および、主に洗浄媒体を含み、蒸発器の底部から液体状で放出される流れの純度に関しては、低純度しか可能にならない。
さらに、この文献では、エネルギー消費を最適化するために、塩化水素−ホスゲン分離からのホスゲン含有液体流は、好ましくは、間接的にホスゲンガス生産へ送られ、すなわち、特に好ましくは他のプロセス流との熱交換で5〜175℃まで加熱した後に、ホスゲンガス生産に送られる。
国際公開第2011/003532号の実施例5では、ホスゲンガス生産は、ストリッピング塔、すなわち、濃縮部なしの形式で構成されている。(蒸留技術において、「濃縮部」という用語は、蒸留塔の入り口上部の内部構造によって分離が機能している部分を指す。濃縮部は塔頂生成物の純度を増加させる。ストリッピング塔では、蒸留される流れは蒸留塔の上部で導入され、よって、ストリッピング塔は濃縮部を有さない。)塩化水素−ホスゲン分離から得たホスゲン溶液は、直接、すなわち、予蒸発なしに、10℃未満の温度で、ストリッピング塔上部にポンプで送り出される。約0.2重量%の溶媒を含有するガス状ホスゲンは、ストリッピング塔の上部から離脱する。しかし、この実施態様は、離脱塔の上部での低温度のために、予熱および部分予蒸発による省エネルギー熱統合が達成され得ないというデメリットがある。さらに、様々なプロセスパラメータ(反応におけるホスゲン過剰、リアクター出口の温度、クエンチのための溶媒量、ホスゲン吸収のための溶媒量が挙げられる)およびプロセス変動のために、ホスゲン溶液は様々な組成および温度を有し得る。ストリッピング塔の上部を介して直接導入すると、この実施態様では安定化効果を有する調節可能な塔頂コンデンサーが利用可能ではないで、必然的に、反応へ戻るホスゲンリターン流の組成および温度は変化し、場合によっては変動する。ホスゲンリターン流の変動する条件は、エネルギー効率の低下、反応収率の低下、運転コストの増加および利用可能性の低下につながり得る。
国際公開第2011/003532号では、単一の塩化水素−ホスゲン分離で処理される、複数の反応ラインから得られた塩化水素−ホスゲンの気体混合物の可能性を言及している。しかしながら、迅速な動作点変更の場合でも、複数のリアクターの並行運転に不可欠である十分に安定した塔の圧力がどのように確保されるのかは開示されていない。気相リアクターは、狭くて好ましい投入範囲を有するので、例えば、個々のリアクターの始動および停止の際に、迅速な動作点の変更は有利である。
ホスゲンの反応への再循環を可能にするために、塩化水素およびホスゲンならびに場合によっては溶媒の混合物を分別し得る一連の手順は、先行技術より公知である。しかし、先行技術は、比較的困難な条件下でも、調節によってホスゲンの再循環を制御可能にする問題に関しては詳細には触れていない。このような比較的困難な条件としては、例えば、新たなホスゲン生産において、例えばプラントの個々のパーツでの変動または少し間の中断によって引き起こされる予期せぬプロセス変動が挙げられる。しかし、プロセスの計画的な変更も、調節面では課題となり得る。これは、特に、並行に接続された複数のリアクターで気相のホスゲン化を行う場合であり、その場合の気体反応生成物は合同ワークアップ部でワークアップを行う。
同じ構成を有する複数の製造装置の並行運転は、化学製品の工業生産において珍しいことではない。並行して運転される複数の製造装置(生産ラインまたは列)にわたって所望の総生産能力を分割することは、とりわけ、
−装置の建設により、生産プラントの所望の総能力よりも小さい最大生産能力が可能になる場合(“Rules of Thumb for Chemical Engineers”, 4th Ed., 2005, page242, chapter “Process Evaluation - What Size should a plant be?”を参照)、
−例えばファウリングに悩まされる傾向のために、クリーニング目的で全生産をシャットダウンすることなく、部分的なプロセスまたは装置を時折シャットダウンしなくてはいけない場合(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Wiley-VCH, Weinheim, 2012, chapter “Chemical Plant Design and Construction”, volume8, page267)、
−部分的なプロセスまたは装置がダウンする危険性が、全プラントで許容可能な程度よりも高い場合(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Wiley-VCH, Weinheim, 2012, chapter “Chemical Plant Design and Construction”, volume8, page273)、
−部分的なプロセスまたは装置が、全プラントで可能になるよりも制限された可能投入範囲を有する場合、
に推奨される。
欧州特許第570799A号では、アミンのホスゲン化のための気相リアクターは、狭くて好ましい投入範囲しか有さず、リアクター内で固体形成が起こり得、クリーニング目的で製造を中断させる必要性があると記述されている。これらの理由のために、とりわけ、並行運転が可能であるホスゲン化の複数の反応ラインの設置は有利であり得る。一方で、装置コストを低減するために、すべての反応ラインに対して上流および/または下流プロセス工程(例えば、ホスゲン生産、アミン蒸発、塩化水素−ホスゲン分離)を合同で構成することが有利であり得る。
また、欧州特許第2196455A号には、とりわけ、粗生成物が合同反応停止ゾーン(クエンチ)を有する2つの反応ラインに供給される、イソシアネートの製造プロセスの実施態様が記載されている。
回収したガス状ホスゲン流を複数の反応ラインに供給するように合同ホスゲンガス生産を行う場合、ホスゲンガスの生産とリアクターは気体空間を介して接続され、よって、一方の装置でのプロセスの圧力の変化は、接続された装置にも作用する。このことは、特に、ホスゲンガスの生産とリアクターとの間の接続において、能動的に調節可能な加圧または減圧要素が存在しない場合に当てはまる。特に、プロセスパラメータ(例えば、セーフティシャットダウンまたは反応ラインでの投入量の変化)における突然の変化は、プラント全体に望ましくない不安定性をもたらし、場合によってはプラント全体の運転を止める必要性につながる。反応においてトラブルのない安定した運転のための重要なパラメータは、ホスゲン化反応において一定なホスゲン過剰を確保することである。ガス状ホスゲンの一定な流れを確保するために、ホスゲンガスの供給源、すなわち、例えば蒸留塔の圧力の一定な供給が必要不可欠である。したがって、この蒸留塔における圧力の調節は、全プロセスの安定性にとって実質的な重要性を持つ。
装置のコストを下げ、高まる安全性の要求を考慮してホスゲンホールドアップを最小限に抑えるために、ホスゲンガスの生産に使用される蒸留塔の濃縮部および可能性として塔頂コンデンサーの必要がないようにできれば有利であり得る。しかし、塔頂コンデンサーを省くと、圧力調節がより難しくなる。さらに、先行技術は、濃縮部の省略と、ホスゲンガス生産への供給材料のエネルギー効率的な予熱/予蒸発とを組み合わせるプロセス開示していない。
先行技術は、不活性物質、例えば溶媒を気相反応に導入し得ることが言及されており、記載されているホスゲンリターン流中に可能な溶媒含有量の範囲は最大10質量90まで広がっている。しかし、過剰に使用されたホスゲンの回収および気相反応への再循環を記載している全ての開示された具体的な実施例で、ホスゲン流中の溶媒は、実際には非常に低い含有量で求められていることが明らかである(例えば、文献国際公開第2011/003532号は上記を総括的に考察する:この文献によれば、エネルギー使用量を最小限にするためには数ppmの溶媒しか許容されない;実施例5では、0.2%の溶媒濃度が言及されており、これは具体的な実施例で開示された最大値である)。これは、ホスゲン−溶媒分離塔が濃縮部を備え、逆流を伴って操作される、または、塔の上部で低温レベルが維持されることで達成される(国際公開第2011/003532号では、塔の上部への供給材料の温度は10℃以下と記載されている)。
したがって、先行技術は、
a.濃縮部なしのホスゲンガス生産(装置コスト減少、ホスゲンホールドアップ減少、凝縮エネルギーコスト減少)の効果、および
b.供給材料の予熱および/または蒸発のためのエネルギー効率的な熱統合の効果
が、どのように互いに組み合わされ得るかに関する情報を提供していない。
したがって、装置の点で非常にシンプルであり、イソシアネート調製のためのエネルギーの点で好都合であり、特に調節面で困難である条件下(例えば、合同ワークアップと一緒に、並行して操作される複数の反応ラインの使用)で、過剰ホスゲンの反応への再循環をさらに複雑にすることなくホスゲンホールドアップをかなり低く保つプロセスが必要であった。
この必要性を踏まえ、本発明は、対応する一級アミンのホスゲン化によってイソシアネートを製造するための連続プロセスを提供し、本プロセスは:
(i)一級アミンを過剰のホスゲンと気相で反応させる工程と;
(ii)(i)で得たプロセス生成物を、イソシアネートの沸点未満かつ対応する塩化カルバモイルの分解温度よりも高い温度にて溶媒で処理し、塩化水素および未反応ホスゲンを含有する気体流(ii−1)ならびに溶媒およびイソシアネートを含有する液体流(ii−2)を提供する工程と;
(iii)流れ(ii−1)に存在する塩化水素およびホスゲンを分離してホスゲン含有液体流(iii−1)および塩化水素を含有する気体流(iii−2)を提供する工程と;
(iv)ホスゲン含有液体流(iii−1)を部分蒸発させて二相プロセス生成物を得る工程と;
(v)工程(iv)で得た二相プロセス生成物を蒸留塔上部に導入し、その蒸留塔上部からガス状ホスゲン含有流を離脱させる工程と;
(vi)工程(v)で得たガス状ホスゲン含有流を、工程(i)に再循環させる工程(「再利用ホスゲン」の再循環)と;
(vii)工程(ii)で得た溶媒およびイソシアネートを含有する液体流(ii−2)のワークアップを行い、所望のイソシアネートを単離する工程とを含んでなる。
本発明による手順、すなわち、工程(v)の蒸留塔への流入を塔の上部に配置すること、すなわち濃縮部の省略により、濃縮部を有する先行技術における従来の実施態様と比較し、この塔のガス状ホスゲン含有塔頂生成物の溶媒含有量は増加する。しかし、驚くべきことに、それに必然的に伴う体積流量の増加(それ自体は望ましくない)は、本発明のプロセスの他の多くの利点(装置面での簡素化、ホスゲンホールドアップの削減、運転安定性、エネルギー統合の機会向上)を前には目立たず、利点が全体的に顕著に優勢となることがわかった。
さらに、本発明による手順、すなわち、工程(iv)においてホスゲン含有液体流(iii−1)を部分的にのみ蒸発させ、工程(v)において二相プロセス生成物を蒸留塔に供給する手順により、工程(iv)で使用する予蒸発器を調節デバイスとして使用することが可能になり、その結果、先行技術では調節作業も行っていた蒸留塔の従来の塔頂コンデンサーを原則的に省くことができ、好ましくは本発明のプロセスでは使用されない。予蒸発器の操作モードにより、ガス状ホスゲン含有塔頂生成物中の溶媒含有量を目的の様態(例えば、蒸留塔への導入時の二相プロセス生成物の温度が100℃で5.0質量%まで)に設定することが可能となる。(この明細書で示す全ての組成は、対応する段落で別の定義が与えられていない限り、それぞれの流れ全体の質量をもとにしたそれぞれの成分の質量に関する。)
装置の面での構成(工程(v)の蒸留塔における濃縮部の不在;好ましい実施態様では、塔頂コンデンサーの省略)および操作形態(工程(iv)の予蒸発器における部分的のみの蒸発)の本発明における組み合わせにより、ガス状再利用ホスゲンの生産における圧力(すなわち、工程(v)の蒸留塔における圧力)を調節することが可能になり、その安定性から、工程(i)で使用する全リアクターへのホスゲンの流れに関して動作点が突然顕著に変化した場合でも、意図される値からわずかな偏差しか生じないように調節可能である。圧力調節のこの性質により、以下に詳細に説明するが、ガス状再利用ホスゲンの生産段階への(少なくとも部分的に)ガス状のホスゲン含有材料流を、好ましい実施態様では圧力調節の操作変数として使用することが可能になる。
発明の具体的説明
本発明の様々な実施態様を以下により詳細に説明する。ここで、すべての実施態様は、文脈上当業者に逆の事象が明らかでない限り、あらゆる方法で互いに組み合わせられ得る。
本発明の工程(i)である、実際の気相ホスゲン化は、原則的に、例えば欧州特許第570799A号および国際公開第2007/014936A号に記載されているような、先行技術で説明されているプロセスによって実行され得る。
本明細書では、脂肪族または芳香族モノアミンおよびポリアミンのいずれかを使用することが可能である。芳香族アミンを使用することが好ましく、特に好ましくは、相当量の分解なく気相と接触可能な芳香族ジアミンが好ましい。
好ましい芳香族アミンは、例として、トルエンジアミン(TDA)、特に、2,4−TDAおよび2,6−TDAおよびその混合物、ジアミノベンゼン、ナフタレンジアミン(NDA)および2,2’−、2,4’−または4,4’−メチレンジ(フェニルアミン)(MDA)またはその異性体混合物が挙げられる。特に好ましくはトルエンジアミン(TDA)、とりわけ2,4−TDAおよび2,6−TDAおよびその混合物が挙げられる。
さらに、2〜18個の炭素原子を有する脂肪族または脂環式炭化水素に基づくアミン、特にジアミンが、特に適切である。特に適切なアミンは、1,6−ジアミノヘキサン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン(IPDA)および4,4’−ジアミノジシクロヘキシルアミンである。
本発明のプロセスを実行する前に、出発アミンは通常、反応空間への導入の前に、蒸発させ、200℃〜600℃、好ましくは200℃〜500℃、特に好ましくは250℃〜450℃まで加熱し、および、任意で、N、He、Arといった不活性ガスまたは不活性溶媒の蒸気、例えばクロロベンゼンまたはo−ジクロロベンゼンといったハロゲン置換基を有していてもよい芳香族炭化水素で希釈される。
出発アミンの蒸発は、公知のあらゆる蒸発装置で実行され得、好ましくは、少量の作業内容物を高速度の循環速度で流下液膜蒸発器を介して運ぶ蒸発システムであり;出発アミンに対する熱応力を最小限に抑えるために、上記のように、任意で、不活性ガスおよび/または不活性溶媒の蒸気の導入によって蒸発操作を補助する。代替手段として、蒸発は、例えば欧州特許第1754698A号に記載されているような、滞留時間が非常に短い特定の蒸発装置でも実行され得る。
本発明のプロセスでは、ホスゲンは、反応させるアミン基に対して過剰に使用される。ホスゲンとアミン基とのモル比が1.1〜20、好ましくは1.2〜5で存在することが好ましい。ホスゲンも、反応空間に送る前に、200℃〜600℃の温度に加熱され、任意でN、He、Arといった不活性ガスまたは不活性溶媒の蒸気、例えばクロロベンゼンまたはo−ジクロロベンゼンといったハロゲン置換基を有するまたは有さない芳香族炭化水素で希釈される。
工程(i)における本発明のプロセスは、好ましくは、別々に加熱した反応物が少なくとも1つの反応空間に少なくとも1つの混合装置を介して導入され、好ましくは断熱反応条件下で混合および反応させ、適切な反応時間を確保するような方法で実行される。続いて、イソシアネートを気体流の冷却により凝縮させ、ここで、冷却は対応する塩化カルバモイル、例えばTDAの場合にはトルエンジアミン酸塩化物の分解温度より高い温度で実行される。
アミン基とホスゲンを反応させてイソシアネートを形成するために必要な滞留時間は、使用するアミンの種類、初期温度、反応空間における断熱温度の上昇、使用するアミンおよびホスゲンのモル比、不活性ガスと反応物のあらゆる希釈ならびに選択した反応の圧力により0.05〜15秒の範囲である。
工程(i)において、ジェット混合装置の原理に従い、少なくとも1つの混合空間に不活性物質で希釈されていてもよい気体出発材料が供給される、本質的に回転対称の反応空間を有するリアクターを使用することが特に好ましい(Chemie-Ing. Techn. 44 (1972)、1055ページ、図10)。
イソシアヌレートまたはカルボジイミド形成といった反応を次にもたらす熱応力を生じ得る加熱表面、または、沈殿物をもたらす凝縮を生じ得る冷却表面を有する反応スペースまたは混合装置もしくは混合空間は、いずれも好ましくない。したがって、成分は、放射損失および伝導損失をのぞき、好ましくは断熱的に反応され、ここで、混合装置およびリアクターまたはリアクター単独での断熱温度上昇は、材料流の温度、組成および相対量、また、混合装置およびリアクター中の滞留時間によって確立する。本発明のプロセスにおいて、成分の非断熱反応も可能である。
ホスゲン化反応が反応空間で起こった後、形成したイソシアネート、ホスゲンおよび塩化水素を含んでなる気体反応混合物は形成したイソシアネートから分離され、まだ進行している反応はいずれも、工程(ii)で溶媒での処理により停止する(「クエンチ」)。
これは、例えば、他の気相ホスゲン化に関して推奨されているように、反応空間を常に離れ、反応空間を離れた後に不活性溶媒中で凝縮に供せられるプロセス生成物によって実行され得る(欧州特許第0749958A号参照)。
しかし、凝縮は、好ましくは、反応空間を離れて一つ以上の適切な溶媒流(「クエンチ液」)が噴霧される反応停止ゾーンに送られるプロセス生成物によって実行される。欧州特許第1403248A号に記載されているように、これにより、冷却表面を使用せずに気体混合物を急速に冷却することができる。
いずれの場合でも、溶媒での処理は、塩化水素および未反応ホスゲンを含有する気体流(ii−1)ならびに溶媒およびイソシアネートを含有する液体流(ii−2)を提供するように、イソシアネートの沸点未満かつ対応する塩化カルバモイルの分解温度より高い温度にて実行する。イソシアネートを気体反応混合物から選択的に単離するために、80℃〜200℃、好ましくは80℃〜180℃の温度に維持したクロロベンゼンおよび/またはジクロロベンゼンといった溶媒、または、これらの温度範囲に保ったイソシアネートとクロロベンゼンおよび/またはジクロロベンゼンのイソシアネート混合物が特に適している。当業者であれば、所与の温度、圧力および組成における物理的データから、クエンチで凝縮する、または、非凝縮状態でクエンチに供せられるイソシアネートの質量比を容易に予測することができる。同様に、過剰のホスゲン、塩化水素、および、場合によっては希釈剤として使用され、未凝縮状態でクエンチに供せられる、またはクエンチ液に溶解する不活性ガスの質量比を予測することは容易である。
凝縮またはクエンチ段階を出る気体混合物(ii−1)は、好ましくは、下流の気体洗浄内の適切な洗浄液により残留イソシアネートを含んでいない。純粋なイソシアネートの調製は、好ましくは、場合により流れ(ii−2)が気体洗浄から得たさらなるイソシアネートと組み合わされた後に、流れ(ii−2)の蒸留のワークアップにより行われる。
工程(iii)では、流れ(ii−1)に存在する塩化水素およびホスゲンを分離してホスゲン含有液体流(iii−1)および塩化水素を含有する気体流(iii−2)を提供する。
工程(iii)の分別に入る気体混合物は通常、気体混合物の質量に対して、1〜50質量%、好ましくは3〜40質量%、特に好ましくは5〜35質量%、より特に好ましくは7.5〜30質量%のHClを含有する。この気体混合物は通常、気体混合物の質量に対して、5〜90質量%、好ましくは15〜85質量%、特に好ましくは25〜80質量%、より特に好ましくは40〜75質量%のホスゲンを含有する。気体混合物中の溶媒の含有量は通常、気体混合物の質量に対して、0.01〜60質量%、好ましくは0.05〜40質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。溶媒は、蒸気形態または液体として存在し得る。気体混合物は、気体混合物の質量に対して、通常0〜10質量%、好ましくは0.0001〜8質量%、特に好ましくは0.001〜5質量%の総量で不活性ガスをさらに含有し得る。気体混合物は通常、気体混合物の質量に対して、0〜10質量%、好ましくは0.001〜7.5質量%、特に好ましくは0.05〜5質量%の反応生成物を含有し得る。
工程(iii)での本発明による分離は様々な実施態様に従って実行され得、例えば国際公開第2011/003532号(11ページ31行〜19ページ11行)で包括的に記載されており、本発明のプロセスでも使用され得る。このように、溶媒への吸収は、次に洗浄が続く部分凝縮、または、次に蒸留またはストリッピング工程が続く完全または部分凝縮のように適切である。
このプロセス工程の特に好ましい実施態様は、溶媒への吸収である。クエンチにも使用される溶媒中で吸収を実行することが特に好ましい(工程(ii))。
特に好ましい実施態様では、吸収は、場合によっては部分縮合工程と組み合わせた少なくとも二つの吸収工程の流れで実行され、少なくとも一つの吸収工程は等温的に実行し、少なくとも一つの吸収工程は断熱的に実行する。より特に好ましいのは、第一の吸収工程が等温的に実行され、続く吸収工程を断熱的に実行することである。特に好ましい実施態様では、工程(ii)で使用したのと同じ溶媒を、それぞれ断熱吸収工程および等温吸収工程で使用する。また、最後の吸収工程から出る気体が、熱交換器での冷却による凝縮によって、残留する微量のホスゲンおよび溶媒を一切含んでいないことも好ましい。好ましい実施態様において、等温吸収およびその後の断熱吸収は、単一の装置(=単一の吸収塔)で実行され、特に好ましくは、吸収を逃れる気体流の冷却も同じ装置でも実行される。これにより、フランジの数が減少し、ホスゲンを取り扱う際の安全性の向上に寄与するという利点がある。一つの装置というコンパクトな構成により、接続パイプでのエネルギー損失が最小限に抑えられるので、省エネルギーという利点がさらにある。
さらなる実施態様では、工程(iii)は、その後に洗浄が続く部分凝縮によって実行される。この特定の実施態様では、気体混合物は、最初に部分的に凝縮される。残りの気体流を底部から吸収塔に導入し、向流の溶媒で洗浄する。吸収熱は、外部熱交換器で除去する。この目的のために、液体は、全体または一部、好ましくは全体が、好ましくは吸収塔の様々な場所で取り除かれ、外部冷却器により冷却される。
工程(iii)を実行するためにさらに可能な実施態様は、ホスゲンの部分または完全凝縮、続いて溶解したHClを底部生成物ホスゲンから除去するための塔内での蒸留またはストリッピング工程、そして、凝縮後に気体流中に残っているホスゲンを吸収するための溶媒を用いた、第一の工程で得た塔頂生成物HClの洗浄である。蒸留またはストリッピング工程の底部で得られる液体流に溶解したHClおよび/または不活性ガスはわずかな量しか存在せず、工程(iv)に導入し得る。
工程(iii)を実行するための上記プロセスの選択肢では全て、気体流(iii−2)および液体流(iii−1)が提供される。HCl含有気体流(iii−2)は十分な純度を有し、通常はさらに精製することなくさらに処理され得る。
本発明の一実施態様において、工程(i)で消費したホスゲンを補うために導入しなければいけない新たなホスゲンは、工程(iii)で添加され、したがってこの工程で得たホスゲン含有液体流(iii−1)の構成要素となる。これに関しては様々な可能性がある。新たなホスゲンは、例えば、溶媒への吸収を含んでなる工程(iii)の実施態様において、場合によっては液化後に、対応する吸収塔の底部に導入され得る。
工程(iii)を出る気体流(iii−2)は、本質的にHClおよび場合によって微量のホスゲンを含有する。流れはHCl以外に、不活性ガスおよび/または溶媒ならびに微量の反応副生成物をさらに含み得る。流れは、気体流(iii−2)の質量に対して、80〜100質量%、好ましくは90〜100質量%、特に好ましくは95〜100質量%のHClを含有する。この気体流は、気体流(iii−2)の質量に対し、0.8質量%以下、好ましくは0.4質量%以下、特に好ましくは0.2質量%以下のホスゲンを含有する。エネルギーの面からの最適化を達成するために、好ましくは、気体流(iii−2)の質量に対し、少なくとも1質量ppmのホスゲン、好ましくは少なくとも5質量ppmのホスゲンが許容され得、上記ホスゲンの最大含有量限度は双方の場合で適用される。工程(iii)を出る気体流(iii−2)は、通常、プロセス工程の出口において、1.00〜4.00bar(絶対圧)、好ましくは1.01〜3.00bar(絶対圧)、特に好ましくは1.02〜2.00bar(絶対圧)の圧力下である。工程(iii)で得た気体流は、通常、プロセス工程の出口で、−40〜30℃、好ましくは−20〜20℃、特に好ましくは−15〜10℃の温度を有する。本発明の目的では、プロセス工程の出口は、このプロセス工程に属する最後の装置の気体出口ポートである。
工程(iii)の正確な構成にかかわらず、この工程を出るホスゲン含有液体流(iii−1)は、ホスゲンと一緒に溶媒を含有する(工程(ii)で完全に分離されなかった溶媒および場合によっては工程(iii)での吸収溶媒)。溶解したHClおよび/または溶解した不活性物質ならびに場合によっては溶解した反応副生成物も依然と存在し得る。
流れ(iii−1)は、ホスゲン含有液体流(iii−1)の質量に対して、30〜90質量%、好ましくは35〜85質量%、特に好ましくは40〜70質量%のホスゲンを含有する。さらに、この流れは、ホスゲン含有液体流(iii)の質量に対して、10〜70質量%、好ましくは15〜65質量%、特に好ましくは30〜60質量%の溶媒を含有する。さらに、この液体流(iii−1)は、ホスゲン含有液体流(iii−1)の重量に対して、0〜5質量%、好ましくは0.1〜3.5質量%、特に好ましくは0.5〜2.5質量%の溶解塩化水素を含有し得る。
工程(iii)を出るホスゲン含有液体流(iii−1)は、通常、−40〜20℃、好ましくは−25〜15℃、特に好ましくは−20〜10℃の温度を有する。この流れは、通常、プロセス工程からの出口において、1.00〜4.00bar(絶対圧)、好ましくは1.01〜3.00bar(絶対圧)、特に好ましくは1.02〜2.00bar(絶対圧)の圧力下である。本発明の目的では、プロセス工程からのホスゲン含有液体流のための出口は、このプロセス工程に属する装置からの液体出口ポートである。測定された圧力は、装置内の液柱の静水圧によって引き起こされる。
次いで、この流れ(iii−1)は、工程(iv)において部分的に蒸発される。流れ(iii−1)のこの部分蒸発は、例えば、
−調節した予蒸発器の使用(すなわち、工程(v)の蒸留塔の圧力前後での熱の導入、結果として蒸気相の形成)、
−調節したフラッシュ蒸発(圧力の低下による部分蒸発)、または、
−大気超の圧力下での液体供給流(iii−1)の調節した過熱(すなわち、大気超の圧力下で液体供給物を、工程(v)の蒸留塔の圧力において混合物の沸点よりも高い温度に加熱する)
によって実施され得る。
予熱および部分蒸発は、工程(v)の蒸留塔の底部で、塔への供給物中のより低い温度レベルでの熱の導入によって部分的に置き換えられる高温レベルまで熱を導入することによって、エネルギーコストを削減する。
予熱および部分蒸発は、複数の工程で(すなわち、複数の装置および/または複数の加熱媒体を用いて)実行してもよい。
予熱および部分蒸発は、特に低温から中温の温度レベルのために、適切なプロセス流および/または廃熱流(凝縮物、低圧蒸気)との熱統合によって実行してもよく、このように、先行技術とは対照的に、濃縮部を備えたまたは備えていない工程(v)の蒸留塔の構成に関わらず、プラントのエネルギー効率の良い運転が可能になる。
予熱および部分蒸発を複数の工程で行う場合、熱伝達に関して全ての工程を調節する必要はなく、熱伝達は他のプロセス工程にほとんど逆効果を及ぼさずに熱統合を補助し、それにより、プロセス全体のより安定した運転動作につながる。
予熱および部分蒸発を複数の工程で場合によっては様々な加熱媒体を用いて行う場合、これら複数の工程を一つの装置に統合することも可能である。装置の体積および装置とパイプ間の接続の削減は、安全性の観点から、特にホスゲン運搬装置の場合に有利であり、装置コストも減少する。
上記の工程(iv)の本発明の手順により、次の工程(v)(工程(vi)で工程(i)の反応へ再循環されるガス状再利用ホスゲンの生産の工程)での蒸留塔の圧力を、この蒸留塔で分離する混合物中に直接導入する蒸気の量を変化させることで調節することが可能になる。本発明の目的では、「工程(v)の蒸留塔の圧力」は、塔の上部で測定される圧力である。「この蒸留塔で分離する混合物中に直接導入する蒸気」という表現は、本明細書では、ホスゲン蒸気を含み、蒸留塔で分離する混合物と物質的に接触する流れを指し、すなわち、工程(iv)で得られた蒸気画分を特に指す(ただし、以下で詳細を説明するように、別の供給源からのホスゲン蒸気画分が存在する可能性もある)。以下において、「直接導入する蒸気」という省略表現も使用される。間接的な加熱装置を介して導入され、蒸留塔で分離する混合物と物質的には接触しない加熱蒸気とは区別される。
従来の塔用の圧力調節システムは、塔頂生成物が蒸気状態で取り出される場合(Kister: “Distillation Operation” chapter 17.2参照)、(a)取り出される塔頂生成物自体の量、または、(b)操作変数としての凝縮力、よりまれには(c)大気または不活性ガスと反対に「呼吸」するシステム、または(d)底部蒸発器を介して機能する調節概念を利用する。本出願に関する先行技術のこの手順の欠点は:(a)塔頂生成物の流出流を同時に可変的に制御および可変的に操作できない;(b)操作変数としての凝縮力の使用は、特に迅速に増加するホスゲンの量を塔頂生成物流として利用可能にするのに十分な速さではない;変形版(c)は、ホスゲン損失および不活性ガスの導入の必要性のため、有利ではない;(d)操作変数として底部蒸発器を使用しても十分に速くない((b)参照)ことである。
しかしながら、驚くべきことに、本出願では、(少なくとも部分的に)気体であるホスゲン含有供給流(工程(iv)で得た二相プロセス生成物)を、ガス状再利用ホスゲンの生産のために圧力調節の操作変数として使用することで、工程(v)で安定した塔圧力が特に良好に調節され得ることが分かった。
本出願では、パラメータである塔圧力および工程(v)の蒸留塔の上部で取り出されるホスゲンの量は互いに密接に関連しており、よって両方のパラメータに並行して影響を与える本発明の圧力調節は特に効果的である。
もっとも単純な場合で、工程(v)の蒸留塔に直接導入する蒸気は、工程(iv)で得た二相プロセス生成物の蒸気留分のみからなる。この実施態様では、工程(i)で消費したホスゲンを補うために別で導入される新たなホスゲンは、工程(iii)でまだ導入されておらず、したがって工程(iv)の二相プロセス生成物中に存在するホスゲンの一部分である場合、この流れを工程(i)の反応に送る前に、工程(v)からのガス状ホスゲン含有流(すなわち、「再利用ホスゲン」)と混合し得る。しかし、再利用ホスゲンおよび新たなホスゲンをそれぞれ別々に工程(i)の反応に送ることも考えられる。上記の変形版の双方において、新たなホスゲンは、存在するあらゆる不活性ガスおよび存在するあらゆる過剰一酸化炭素を含む液化されていない状態で、その生産から直接リアクターに供給され得るが、これは、純度の点で、プロセスで形成される塩化水素のさらなる使用に関して所望される種類によって可能になる。そうでなければ、新たなホスゲンは、言及した双方の変形版と同様に、好ましくは液状形態で導入し、別々の蒸発器で蒸発させ、次いで工程(i)の反応に供給する。
同様に、新たなホスゲンを、液体状態、例えば溶媒の溶液、好ましくは工程(ii)で使用する溶媒の溶液として、または、好ましくは純粋な形態で、工程(v)の蒸留塔、例えば塔の底部に導入することも考えられ、塔の底部は次いでホスゲン蒸発器の機能を果たす。しかし、好ましい実施態様では、液体の新たなホスゲンを塔の上部に直接導入し、新たな液体ホスゲンは、部分的に逆流の機能を補い得る。原則的には可能であるが、工程(v)の蒸留塔の塔頂コンデンサーを省けない場合、新たなホスゲンは蒸留塔へのランバックとして液体状態で塔頂コンデンサーにも供給され得る。
本発明のプロセスの好ましい実施態様では、工程(v)の蒸留塔に送られる蒸気の量の変化は、工程(iv)で生産した二相プロセス生成物の蒸気の割合を変化させることで実行される。これは、好ましくは、工程(iv)の二相プロセス生成物の温度を変化させることで行われる:この温度が高いほど、蒸気の割合は大きくなり、逆もまた同様である。二相プロセス生成物の温度は、蒸気加熱の場合、例えば加熱蒸気の適切な調節によって設定することができる。
本発明のプロセスの別の実施態様では、工程(v)の蒸留塔に、工程(iv)の二相プロセス生成物に加えてガス状の新たなホスゲンを供給し、すなわち、蒸留塔に直接導入する蒸気は、工程(iv)で得た二相プロセス生成物の蒸気画分および別で供給される新たなホスゲン蒸気を含んでなる。この目的のために完全にガス状態であるホスゲン流を用いる必要はなく;むしろ、工程(v)の蒸留塔に、追加の二相流(すなわち、液体および気体画分を含有する流れ)を導入することも可能である。この実施態様でも、工程(v)の蒸留塔に送られる蒸気の量の変化は、工程(iv)で生産した二相プロセス生成物の蒸気の割合を変化させることで実行され得る。一方で、ホスゲン蒸気を含有する追加の流れ中に存在する蒸気の割合を変化させることによっても実行され得る(流れがまだ完全に蒸気の形態ではなく、液体を様々な割合で有している場合)。二つの手段の組み合わせも考えられる。
特にこの実施態様では(この実施態様に限定されないが)、工程(v)の蒸留塔に直接導入する蒸気の量の変化を、この塔に送る工程(iv)で得た二相プロセス生成物の総量(すなわち、液体画分および気体画分の合計)を変化させること、および/または、この塔に供給するホスゲン蒸気を含有し、別で提供される場合によっては二相である流れの総量を変化させることで実行することが有利であり得る。本明細書では、工程(iv)で生産した二相プロセス生成物中の、工程(iv)で得た流れ全体の質量の割合として表される蒸気の割合は、好ましくは本質的に一定に保たれる。本明細書で「本質的に一定」とは、設定された蒸気の割合の変動が、蒸気割合の意図値の3%に対応する絶対値以下であることを意味する。上記の、ホスゲン蒸気を含有し追加的に導入された場合によっては二相である流れの総量の変化が作業調節用のために追加的に、または、作業調節用のためだけに使用される場合、この場合の蒸気の割合は、好ましくは本質的に一定に保たれる。本明細書で「本質的に一定」とは、設定された蒸気の割合の変動が、蒸気割合の意図値の3%に対応する絶対値以下であることを意味する。
この実施態様により、ガス状の新たなホスゲンも圧力調節供給流として使用することが可能になる。
工程(v)の蒸留塔への気体供給材料による圧力の調節により、調節デバイスとしての塔頂コンデンサーおよび濃縮部を省くことが可能になる。先行技術での具体的な実施例で開示されたものと比べると、再利用ホスゲン中の溶媒は比較的高い割合であるが、これは、意図的に許容可能であり、実際には(反応収率、副生成物などに関して)不利であるとは示されていない。再利用ホスゲン中の溶媒の割合は、工程(v)の蒸留塔への供給温度によって、目標の様態に設定することができる。供給温度を追跡することにより、供給パラメータ(組成、圧力)が変化した場合でも、再利用ホスゲン中の溶媒の割合を一定に保つことが可能になり、これは、先行技術(例えば、調節されないストリッピング塔)よりも有利である。より高い供給温度は、とりわけ、再利用ホスゲン中の溶媒の割合の増加につながるが、他方では、熱統合の貢献の増加および供給物加熱のための廃熱利用によって、ならびに、再利用ホスゲン流を加熱するエネルギー消費の低減によって、エネルギーコストも低下する。供給温度(すなわち、工程(v)の蒸留塔への導入時における工程(iv)で得た二相プロセス生成物の温度)は50℃〜150℃、好ましくは80℃〜120℃、特に好ましくは90℃〜110℃、ならびに、工程(v)で得たガス状ホスゲン含有流中の溶媒の割合は、1.0質量%〜15質量%、好ましくは2.5質量%〜10質量%、特に好ましくは3.0質量%〜7.5質量%、工程(v)の蒸留塔の圧力は周囲の圧力より10mbar〜1500mbar超え(塔の上部で測定)であることが特に有利であることが分かった。
本発明による工程(vi)において、工程(v)で得たガス状ホスゲン含有流は、場合によっては新たなホスゲン(上記参照)を工程(i)の反応に添加した後に、再循環される。
所望のイソシアネートを回収するために工程(ii)で得た溶媒およびイソシアネートを含有する液体流(ii−2)のワークアップは、工程(vi)であらゆる先行技術の方法によって実行され得る。ワークアップは、好ましくは蒸留によって行われる。この工程は、先行技術から十分に公知であり、好ましくは欧州特許第1371635B1号、特に段落[0014]〜[0018]に記載されているように実施される。
濃縮部および好ましくは塔頂コンデンサーを省くと、工程(v)の蒸留塔におけるホスゲンの高い割合で、液体ホールドアップが顕著に減少する。これにより、ホスゲンホールドアップは、全プラントに対して著しく減少し、すなわち、約10%〜20%減少する。
好ましい実施態様で塔頂コンデンサーを省くと、装置のコスト、プラントの複雑さ、および、同時に凝縮エネルギーの運転コストの削減につながる。
濃縮部を省くと、工程(v)の蒸留塔の体積は最大80%減少し、装置コストの大幅な削減につながる。
本発明のプロセスのさらなる利点は:
−濃縮部がなくて済むので、さらに、工程(v)の蒸留塔における圧力低下が顕著に緩和される。上部での同圧力において、底部の圧力および対応する蒸発器の温度が低下し、蒸発器をより小さな面積で作製し得る。
−工程(v)の蒸留塔における「中間沸点物の膨出」(例えば、テトラクロロメタン)は、上部からより多くの中間沸点物が排出されほとんど蓄積されないため、著しく減少する。塔内の上方または下方への中間沸点物の膨出の突破は、とりわけ底部温度が中間沸点物の割合の変化に敏感であるため、沸点の変動につながる。したがって、大きく離れた沸点を有する本質的に純粋な二成分混合物(例えば、溶媒およびホスゲン)である場合にのみ、混合物の沸点を流れ(例えば、底部流)の純度計算および調節に利用され得るので、中間沸点物の蓄積が少ないと、調節が容易になり、特に、底部生成物をホスゲンから分離させる調節が容易になる。二成分混合物、溶媒/ホスゲンのみが塔の底部に常に存在することが保証されている場合、実際には、塔は、溶媒脱ホスゲン化のための装置として、およびこの作業専用の省略される追加装置として使用するのに十分な信頼性を有して作動し得る。
−溶媒から本質的になる、工程(v)で液体底部生成物として取り出した混合物は、好ましくはプロセスに再循環される。このプロセス流は、通常、沸点に近い温度を有し、したがって再循環するプロセス工程(例えば、クエンチ)には不要または望ましくない高温レベルを有する。したがって、この塔底生成物流は、この塔底生成物流の冷却を伴うプロセスにおける内部熱回収に適しており、例えば、液体の状態で存在する新たなホスゲンの蒸発、反応に送るガス状ホスゲン流の加熱、気相リアクターに入れる前のアミンの蒸発または過熱、工程(iii)から排出される塩化水素流の過熱、工程(iv)における予熱または部分蒸発、液体クエンチ生成物のためのワークアップの一連の流れまたはこのプロセスの別の時点における底部蒸発器の加熱が挙げられる。
本発明による、工程(v)の蒸留塔の圧力を容易かつ効率的に調節するという有利な条件、特に、境界条件が変化した場合でもこの圧力を容易に本質的に一定に保つという有利な条件の利点は、所望のイソシアネートの生産が並行に接続された複数の(通常n個、ここで、nは2以上の自然数)反応ラインで実行される場合に特に顕著であり、それぞれの場合で工程(i)および(ii)を含んでなり、共通して、工程(iii)〜(v)が実行される少数(すなわち、最大n−1)のワークアップラインを有する。
n個の反応ラインで得たプロセス流(ii−1)〜(ii−1)nを組み合わせて単一のワークアップラインで一緒にワークアップを行うことが特に好ましい。本実施態様では、好ましくは、単一のワークアップラインで得たガス状ホスゲン含有流を工程(vi)でn個の個別の流れに分け、および、好ましくはn個の反応ラインに分配する。
しかしながら、例えば三つの反応ラインから得た反応生成物(ii−1)を二つのワークアップラインに分配することも可能である。これは、例えば、最初に個々の流れ(ii−1)〜(ii−1)を組み合わせ、次いで得られた流れを二つの流れに分割することによって実施され得る。この実施態様では、各場合において(n−1)個以下のワークアップライン(二つのワークアップラインの選択例において)で得られたガス状ホスゲン含有流は、好ましくはn個の反応ライン全てに分割される(よって選択例においては3つの反応ライン)。これは、最初に個々の流れを混合し、次いで得られた流れをn個の反応ラインに分配することによって実施され得る。

Claims (16)

  1. 対応する一級アミンのホスゲン化によってイソシアネートを製造するための連続プロセスであって:
    (i)前記一級アミンを過剰のホスゲンと気相で反応させる工程と;
    (ii)(i)で得たプロセス生成物を、イソシアネートの沸点未満かつ対応する塩化カルバモイルの分解温度より高い温度にて溶媒で処理し、塩化水素および未反応ホスゲンを含有する気体流(ii−1)ならびに溶媒およびイソシアネートを含有する液体流(ii−2)を提供する工程と;
    (iii)流れ(ii−1)に存在する前記塩化水素およびホスゲンを分離してホスゲン含有液体流(iii−1)および塩化水素を含有する気体流(iii−2)を提供する工程と;
    (iv)ホスゲン含有液体流(iii−1)を部分蒸発させて二相プロセス生成物を得る工程と;
    (v)工程(iv)で得た二相プロセス生成物を蒸留塔上部に導入し、前記蒸留塔上部からガス状ホスゲン含有流を離脱させる工程と;
    (vi)工程(v)で得た前記ガス状ホスゲン含有流を、工程(i)に再循環させる工程と;
    (vii)工程(ii)で得た溶媒およびイソシアネートを含有する液体流(ii−2)のワークアップを行い、所望のイソシアネートを単離する工程と
    を含んでなる、プロセス。
  2. 工程(iii)が、前記液体流(iii−1)中のホスゲンと一緒に工程(iv)へ供給する溶媒中へのホスゲンの吸収を含んでなる、請求項1に記載のプロセス。
  3. 工程(v)の前記蒸留塔内の圧力を、この蒸留塔で分離する混合物内に直接導入する蒸気の量を変化させることで調節する、請求項1または2に記載のプロセス。
  4. 工程(v)の前記蒸留塔で分離する混合物に直接導入する蒸気が、
    a)工程(iv)で生産した前記二相プロセス生成物の蒸気画分と、
    b)前記蒸留塔に導入する、二相であってもよい追加流からのホスゲン蒸気と
    を含んでなる、請求項3に記載のプロセス。
  5. 工程(v)の蒸留塔で分離する混合物内に導入する前記蒸気の量の変化が、
    a)この塔に導入する工程(iv)で得た前記二相プロセス生成物の総量の変化によって、または
    b)この塔に導入する、前記ホスゲン蒸気を含有する二相であってもよい追加流の総量の変化によって、または
    c)a)およびb)双方の方法によって
    実行される、請求項4に記載のプロセス。
  6. a)工程(iv)で生産した前記二相プロセス生成物中の、または
    b)前記ホスゲン蒸気を含有する二相であってもよい追加流中の、または
    c)双方の流れa)およびb)中の
    蒸気の割合を、本質的に一定に保つ、請求項5に記載のプロセス。
  7. 工程(v)の蒸留塔で分離する混合物内に導入する前記蒸気の量の変化が、
    a)この塔に導入する工程(iv)で得た前記二相プロセス生成物の蒸気の割合の変化によって、または
    b)この塔に導入する、ホスゲン蒸気を含有し本実施態様では二相の前記追加流の蒸気の割合の変化によって、または
    c)a)およびb)双方の方法によって
    実行される、請求項4に記載のプロセス。
  8. 工程(v)の蒸留塔で分離する混合物に直接導入する前記蒸気が、完全に、工程(iv)で生産した前記二相プロセス生成物の蒸気画分からなる、請求項3に記載のプロセス。
  9. 工程(v)の蒸留塔で分離する混合物に導入する前記蒸気の量の変化が、この塔に導入する工程(iv)で得た前記二相プロセス生成物の総量の変化によって実行される、請求項8に記載のプロセス。
  10. 工程(iv)で生産した前記二相プロセス生成物の蒸気の割合を、本質的に一定に保つ、請求項9に記載のプロセス。
  11. 工程(v)の蒸留塔で分離する混合物に直接導入する前記蒸気の量の変化が、工程(iv)で生産した前記二相プロセス生成物の前記蒸気の割合の変化によって実行される、請求項8に記載のプロセス。
  12. 工程(v)の蒸留塔が、塔頂コンデンサーを備えていない、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロセス。
  13. 前記工程(i)および(ii)が、n個の反応ラインで並行して実行され、ここで、nは2以上の自然数であり、前記n個の反応ラインで得たプロセス流(ii−1)〜(ii−1)を、前記工程(iii)〜(v)を実行する(n−1)個以下のワークアップラインでワークアップする、請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロセス。
  14. 前記n個の反応ラインで得た前記プロセス流(ii−1)〜(ii−1)を一つにまとめ、単一のワークアップラインで一緒にワークアップする、請求項13に記載のプロセス。
  15. 前記(n−1)個以下のワークアップラインのそれぞれの場合で得られるガス状ホスゲン含有流が、n個の反応ラインすべてに分配される、請求項13に記載のプロセス。
  16. 前記単一のワークアップラインで得た前記ガス状ホスゲン含有流を、n個の個別の流れに分割し、前記n個の反応ラインすべてに分配する、請求項14に記載のプロセス。
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