JP2018515549A - パーキンソン病及び関連する障害の治療における使用のための組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、パーキンソン病及び関連する障害を治療及び管理する方法に関する。本方法はとりわけ、パーキンソン病、ドパミン作動剤で治療される他の障害、及び加齢又は卒中等の運動問題を伴う他の状態において見られるように、特に標準の薬物療法の有効性が切れるか、又は副作用が問題になる進行した段階中の、歩行問題を含む運動症状の管理において使用を見出す。また、本治療は、パーキンソン病及び他の神経変性障害を有する患者における、疾患修飾効果、神経細胞の神経保護、又は神経細胞に対する神経救済効果を含む場合がある。特に、本発明は、パーキンソン病と関連付けられる症状を治療するために、有効量のタペンタドール若しくはその薬学的に許容される塩若しくは誘導体、又は他の実施形態ではスタブジン若しくはナブメトン若しくはこれらの誘導体を、個々の活性剤として、互いに組み合せて、又はパーキンソン病を治療することが知られる薬剤、例えばドパミン作動剤レボドパと組み合わせて含む医薬組成物を投与する方法に関する。また、本発明は、有効量のタペンタドール、スタブジン、若しくはナブメトン、若しくはこれらの誘導体を、又はさらにドパミン作動剤若しくはその誘導体と組み合わせて含む医薬組成物を調製する方法、並びに例えば本組成物の経口投与による、パーキンソン病、関連する障害、ドパミン作動剤で治療される他の状態、及び歩行問題を伴う他の状態の治療における、本医薬組成物を使用する方法に関する。

Description

本発明は、パーキンソン病及び関連する障害を治療及び管理する方法に関する。本方法はとりわけ、パーキンソン病、ドパミン作動剤で治療される他の障害、及び運動問題を伴う他の状態、例えば加齢又は卒中で見られるように、特に標準の薬物療法の有効性が切れるか、又は副作用が問題になる進行した段階中の、歩行問題を含む運動症状の管理において使用を見出す。また、本治療は、パーキンソン病及び他の神経変性障害を有する患者における、疾患修飾効果、神経細胞の神経保護、又は神経細胞に対する神経救済効果を含む場合がある。特に、本発明は、パーキンソン病と関連付けられる症状を治療するために、有効量のタペンタドール若しくはその薬学的に許容される塩若しくは誘導体、又は他の実施形態ではスタブジン若しくはナブメトン若しくはこれらの誘導体を、個々の活性剤として、互いの組合せで、又はパーキンソン病を治療することが知られる薬剤、例えばドパミン作動剤レボドパと組み合わせて含む医薬組成物を投与する方法に関する。また、本発明は、有効量のタペンタドール、スタブジン、若しくはナブメトン、又はこれらの誘導体を、さらにドパミン作動剤又はその誘導体と組み合わせて含む医薬組成物を調製する方法に、並びに例えば本組成物の経口投与による、パーキンソン病、関連する障害、ドパミン作動剤で治療される他の状態、及び歩行問題を伴う他の状態の治療における本医薬組成物を使用する方法に関する。
パーキンソン病(PD,Parkinson's Disease)は、一般によくある神経変性疾患であり、様々な神経伝達系及び神経系の様々な領域を含む、神経細胞(主に黒質のドパミン作動性ニューロン)の異種性集団の変性により神経病理学的に特徴付けられる。黒質緻密部の色素沈着ニューロンの変性は、特徴的な運動症状の大部分の原因である。神経病理学的診断は、残りの神経細胞及び他の脳領域における、好酸性の細胞質封入体、すなわち、レビー小体の存在、又は誤って折り畳まれたシヌクレインの凝集体を要する。
PDの臨床診断は、この疾患の中核症状と考えられている、動作緩慢(運動機能障害)並びに以下のもの:静止時振戦、筋固縮、及び姿勢反射機能障害の少なくとも1つを要する。とりわけ初期段階PDにおいては、誤分類が頻繁に起こる。しかしながら、4つの中核症状のうちの2つが存在し、他の神経学的徴候又は症状が存在しないPD診断の約75%は、正確である。加えて、磁気共鳴映像法は、他のパーキンソン症候群を除外するために有益である場合がある。それにもかかわらず、臨床診断の15%〜25%においては、PDは組織病理学的に確認することができず、PD診断のバイオマーカーについて急を要する要求がある。
また、より良い治療、例えばさらなる神経変性を停止させ、疾患進行を遅延する療法について急を要する要求が残っている。それにもかかわらず、PDにおけるドパミン作動性細胞喪失の原因である機構は未知である。さらに、現在のPDにおける薬理介入はPDの症状に取り組むことに関連するので、現在、疾患進行に関連する遅延を示す薬理療法は存在しない。特に、PDのドパミン作動性神経伝達の機能障害を改善するための薬理療法について要求が残っている。初期段階のPDを有する患者は、臨床状況によって、ドパミンアゴニスト又はドパミン前駆体、例えば、L−ドーパで開始する場合がある。一般的に、初期段階PDを有する患者は、ドパミンアゴニストでの治療を開始し、症状の制御が不十分である場合、L−ドーパが疾患の経過中に追加される。進行したPDでは、ほとんどの患者は、L−ドーパ及びドパミンアゴニストの両方を受容する。
それにもかかわらず、L−ドーパの有効性は経時的に減少し、この療法アプローチに対する非応答性期間は疾患の進行した段階中に増大する。特に、運動症状のL−ドーパ制御は、その効力が切れるにつれて減少し、症状は次の用量を摂取するまで改善しない。運動症状は、運動性が減少し、症状が再発する時間であるオフ期間(薬物療法退薬)と、薬物療法が働き、症状が制御されている期間であるオン期間(L−ドーパ摂取後)との間で変動する。疾患進行と共に、これらの運動変動は予測が困難になり、進行したPDでは、高いL−ドーパ用量を摂取する患者について、劇的になる場合がある。オフ期間中、患者は高い運動機能障害を患い、クオリティ・オブ・ライフの低下に悩む。例えば、L−ドーパを長期間及び/又は高用量で摂取する患者は、L−ドーパ効力の「オフ期間」を経験し、発展する副作用をさらに悪化させない療法代替策を必要とする。
L−ドーパの代替策又は補助剤として使用される治療の大部分は、オン期間を増大させることを目的とするが、しかしながら、単独で摂取されるか、他の治療と組み合わせて摂取されるかにかかわらず、ウェアリング・オフを完全に除去することができた治療はない。これらの期間のための代替療法選択肢がないことは、症状の悪化と共に、主要な関心事である。
長期L−ドーパ治療は、運動変動のみでなく、気分変動の発展も促進する場合があり、PD患者において顕著な気分変化がオン/オフ現象と関連付けられることが発見されたことが、PDを有する患者における非運動徴候の研究により示されている。不安及びうつ病状態についての特定の試験は、非運動徴候のより良い及び特定の査定を提供することができる。
さらに、L−ドーパの副作用は、L−ドーパの慢性的使用後の、疾患の経過中の運動合併症の発症である。しかし、残念ながら、これらの運動合併症を引き起こす機構は完全に理解されていない。L−ドーパそれ自体はPD患者の疾患進行に対して有害な効果を有するという証拠はないので、L−ドーパの効果は、ドパミン作動性細胞の継続する喪失の結果として改変されるという可能性が最も高い。L−ドーパ用量制限因子は、不随意運動(運動障害、筋緊張異常、舞踏病−無定位運動症)、精神的副作用(例えば幻覚、妄想、精神病)、及び自律神経性副作用(例えば起立性低血圧)の原因であると考えられる。
現在のドパミンアゴニストは、ドパミン受容体に直接働く。それにもかかわらず、L−ドーパと比較して、ドパミンアゴニストは比較的、より有効でなく、精神的及び自律神経性副作用のより高い発生を有する。他の薬物分類、例えばモノアミン酸化酵素阻害剤、カテコールアミン−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤、抗コリン作動剤、及びグルタミン酸調節剤は、L−ドーパ及びドパミンアゴニストの代替策、又はより多くの場合、補助治療を代表する場合がある。
また、臨床医及び患者両方の観点から、「すくみ足」の症状についてPDにおけるまだ満たされていない要求が残っている。これは多くの場合、進行したPDにおいて一般によくある劇的な症状であり、運動性を非常に損ない、転倒を引き起こし、クオリティ・オブ・ライフを低下させる。これらの理由のために、すくみ足は、取り組まれるべき重要な臨床問題である。それにもかかわらず、すくみ足の病因は理解されておらず、実験に基づいた治療は乏しい効力しか示さない。非薬理学的介入として、脳構造深部刺激及び神経移植が挙げられ、これらの両方は限定的な適用を有する。脳構造深部刺激は、高度に選択された患者群に限定され、神経移植は主に調査中である。
したがって、本分野において、PD及び関連する障害を治療及び管理することにおいて有用な療法、特に、慢性L−ドーパ投与後のオフ期間中の運動及び非運動症状、及び付随する運動性の副作用、例えば歩行の問題の管理、並びに関連付けられる歩行問題を有する他の状態の管理を補助する療法が依然として必要とされている。特に、PDの進行した段階においてL−ドーパの有効性が切れ、副作用、とりわけ運動症状が問題になる場合に依然として満たされていない必要性がある。また、オフ期間を低減させ、オフ期間をより予測可能にし、低いL−ドーパ用量での治療を継続できることについても依然として満たされていない必要性がある。慢性的使用の後でも副作用がほとんど生じず、毒性リスクが低いこれらの必要性に取り組むアプローチがとりわけ必要とされている。本発明は、これらの及び他の必要性に取り組む。
本発明は、神経学的障害、特に神経変性疾患、より具体的にはパーキンソン病の症状を治療、予防、又は緩和する改善された方法を提供する。特に、本方法は、パーキンソン病を患っており、ドパミン作動剤、例えばL−ドーパを慢性的に投与した患者における、副作用の増大、効力の低減、及び「オフ期間」頻度の増大に取り組む。
本発明の一態様は、パーキンソン病の症状を治療、予防、又は緩和するための、パーキンソン病を患う患者に、有効量のタペンタドール又はその薬学的に有効な塩若しくはその誘導体を投与することを含む方法に関する。また、本発明は、神経学的障害、例えばパーキンソン病、関連する障害、又はドパミン作動剤、例えばL−ドーパが慢性的に投与される他の状態の症状の治療、管理、又は予防における使用のための、有効量のタペンタドール又はその薬学的に有効な塩若しくは誘導体に関する。
好ましい実施形態では、本方法は、L−ドーパ治療のオフ期間中の運動及び/又は非運動症状を管理するためにパーキンソン病患者に有効量(effective dose)のタペンタドールを投与することを含み、より好ましくは、この運動症状は、運動障害、筋緊張異常、舞踏病、無定位運動症、運動変動、及び姿勢異常から選択され、並びに/又はこの非運動症状は、発語障害、自律神経機能障害、起立性低血圧、気分動揺、不安、うつ病、認知障害、精神病、幻覚、及び妄想から選択される。特に好ましい実施形態では、タペンタドールの投与はオフ期間を低減又は除去し、その他進行したパーキンソン病で見られるオン/オフ期間の間の運動変動を円滑にする。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、タペンタドールをドパミン作動剤、例えばL−ドーパと組み合わせて投与すること、又はL−ドーパを摂取した若しくは摂取している、若しくはL−ドーパに対して抵抗性になった患者に投与することを含む。特定の実施形態では、本方法は、現在使用中の用量と比較して、同じ、同様の、又はより高い量のタペンタドールを投与することを含む。いくつかの実施形態では、タペンタドール構成成分は、タペンタドール塩酸塩である。いくつかの実施形態では、タペンタドール構成成分は、タペンタドール誘導体トラマドールである。
本発明の別の態様は、タペンタドール、その薬学的に有効な塩又は誘導体を、パーキンソン病若しくは関連する障害を治療することが知られる薬剤又は上記薬剤の誘導体と組み合わせて含む医薬組成物に関し、好ましくはこの薬剤は、ドパミン作動剤、例えばL−ドーパ又はその誘導体である。特定の実施形態では、本医薬組成物は、現在使用中の用量と比較して、同じ、同様の、若しくはより高い量のタペンタドールを含み、及び/又はこのタペンタドール構成成分はタペンタドール塩酸塩である。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、トラマドールを含まない。いくつかの実施形態では、本発明は、例えば薬学的に許容される担体と混合することによる、かかる医薬組成物を製造する方法に関する。特定の実施形態では、本医薬組成物は、経口投与のために、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、又は溶液剤、好ましくはタペンタドール構成成分の即時放出のために製剤化された錠剤又はカプセル剤で製剤化される。
本発明のさらに別の態様は、疾患又は障害の症状を治療、予防、又は緩和するための、神経学的障害、特に神経変性疾患、例えばパーキンソン病を患う患者への、有効量のスタブジン及び/若しくはナブメトン、又はいずれかの薬学的に有効な塩若しくは誘導体の投与を含む方法に関する。また、本発明は、神経学的障害の症状の治療、管理、又は予防のための、有効量のスタブジン及び/若しくはナブメトン、又はいずれかの薬学的に有効な塩若しくは誘導体の使用に関する。特定の実施形態では、スタブジン及び/若しくはナブメトン、又はいずれかの薬学的に有効な塩若しくは誘導体は、タペンタドール若しくはその薬学的に有効な塩若しくは誘導体と組み合わせて、及び/又はL−ドーパと組み合わせて投与することができる。
本発明のさらに別の態様は、スタブジン及び/若しくはナブメトン、又はいずれかの薬学的に有効な塩若しくは誘導体を、ドパミン作動剤、例えばL−ドーパ又はその誘導体と組み合わせて含む医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、本医薬組成物はさらに、タペンタドール構成成分を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、例えば薬学的に許容される担体と混合することによる、かかる医薬組成物を製造する方法に関する。
6−OHDA処置したゼブラフィッシュ幼体における総移動距離(図1A)及び跳躍回数(図1B)に基づく、7つの候補分子の各々についての自発運動行動救済結果を示す。 7つの候補分子についてのTH陽性ニューロン救済の割合を示し、6−OHDA処置したゼブラフィッシュ幼体の黒質緻密部におけるチロシンヒドロキシラーゼ(TH,Tyrosine hydroxylase)について陽性のドパミン作動性ニューロンの救済を示す。 長範囲(図3A)及び小範囲(図3B)表現型回復についての有効濃度を示すL−ドーパ用量応答曲線、並びに疾患が強く誘発された場合(sig****)の影響を受けたニューロンを回復させる能力の欠落(図3C)、疾患があまり重度でない場合(sig)の神経保護効果(図3D)を示し、「sig」は、スチューデントのt検定での統計的有意性を示す(はp<0.05を示し、***はp<0.001を示す)。 長範囲(図4A)及び小範囲(図4B〜4C)表現型回復についての総移動距離についての有効濃度を示すイスラジピン用量応答曲線、並びに全細胞ニューロンについての影響を受けたニューロンを回復させる能力(図4D〜4E)を示す。 長範囲(図5A)及び小範囲(図5B)表現型回復についての有効濃度を示すラサギリン用量応答曲線、並びに影響を受けたニューロンを回復させる能力(図5C〜5D)を示す。 総移動距離(図6A)及び跳躍回数(図6B)に基づく、6−OHDA処置したゼブラフィッシュ幼体の自発運動行動の表現型回復についての有効濃度を示すタペンタドール用量応答曲線、並びにすくみステップの持続期間(図6C)及び対照(非6−OHDA)、疾患状態(6−OHDA)、及び48.5μMのタペンタドールで処置した6−OHDA幼体におけるチロシンヒドロキシラーゼ(Th)について陽性のドパミン作動性ニューロンの数(図6D)、並びに対照幼体(図6E)、6−OHDA幼体(図6F)、及びタペンタドール処置幼体(図6G)における代表的な免疫組織化学Z投影を示す。 総移動距離(図7A)及び跳躍回数(図7B)に基づく、6−OHDA処置したゼブラフィッシュ幼体の自発運動行動の表現型回復についての有効濃度を示すスタブジン用量応答曲線、並びにすくみステップの持続期間(図7C)及び対照(非6−OHDA)、疾患状態(6−OHDA)、及び30及び50μMのスタブジンで処置した6−OHDA幼体におけるチロシンヒドロキシラーゼ(Th)について陽性のドパミン作動性ニューロンの数(図7D)、並びに対照幼体(図7E)、6−OHDA幼体(図7F)、及びスタブジン処置幼体(図7G)における代表的な免疫組織化学Z投影を示す。 総移動距離(図8A)及び跳躍回数(図8B)に基づく、6−OHDA処置したゼブラフィッシュ幼体の自発運動行動の表現型回復についての有効濃度を示すナブメトン用量応答曲線、並びにすくみステップの持続期間(図8C)及び対照(非6−OHDA)、疾患状態(6−OHDA)、及び0.456及び0.91μMのナブメトンで処置した6−OHDA幼体におけるチロシンヒドロキシラーゼ(Th)について陽性のドパミン作動性ニューロンの数(図8D)、並びに対照幼体(図8E)、6−OHDA幼体(図8F)、及びナブメトン処置幼体(図8G)における代表的な免疫組織化学Z投影を示す。 対照分子(図9A)、候補分子(図9B〜9C)、及びこれらの組合せ(図9D)を用いたすくみ足の回復結果を示す。 タペンタドールを様々な濃度で、L−ドーパと共に、すくみステップの持続期間について試験した結果を示す。 6−OHDAマウスモデルにおけるタペンタドール塩酸塩及びスタブジンの前臨床試験の実験デザインを示す。 6−OHDA処置マウスにおけるロータロッド試験結果であって、L−ドーパ又は2つの異なる濃度のタペンタドール塩酸塩での処置後の、落ちるまでの時間(図12A)及びスピード(図12B)に基づく結果;L−ドーパ又は2つの異なる濃度のスタブジンでの処置後の、落ちるまでの時間(図12C)及びスピード(図12D)に基づく結果;並びにL−ドーパ又はタペンタドール塩酸塩とスタブジンとの組合せでの処置後の、落ちるまでの時間(図12E)及びスピード(図12F)に基づく結果を示す。 6−OHDA処置マウスにおける処置開始前のシリンダー試験結果であって、1群当たりの、対側の足の使用の割合(図13A)、右折の回数(図13B)、後肢で立ち上がった回数(図13C)、及び振戦を有する動物の割合(図13D)の評価に基づく結果を示す。 6−OHDA処置マウスにおけるL−ドーパ又は2つの異なる濃度のタペンタドール塩酸塩での処置後のシリンダー試験結果であって、1群当たりの、対側の足の使用の割合(図14A)、右折の回数(図14B)、後肢で立ち上がった回数(図14C)、及び振戦を有する動物の割合(図14D)の評価に基づく結果を示す。 6−OHDA処置マウスにおけるL−ドーパ又は2つの異なる濃度のスタブジンでの処置後のシリンダー試験結果であって、1群当たりの、対側の足の使用の割合(図15A)、右折の回数(図15B)、後肢で立ち上がった回数(図15C)、及び振戦を有する動物の割合(図15D)の評価に基づく結果を示す。 6−OHDA処置マウスにおけるL−ドーパ又は各々2つの異なる濃度のタペンタドール塩酸塩とスタブジンとの組合せでの処置後のシリンダー試験結果であって、1群当たりの、対側の足の使用の割合(図16A)、右折の回数(図16B)、後肢で立ち上がった回数(図16C)、及び振戦を有する動物の割合(図16D)の評価に基づく結果を示す。 L−ドーパ、2つの異なる濃度のタペンタドール塩酸塩、2つの異なる濃度のスタブジン、又はこれらの組合せの注射28日後に評価した、異常な不随意運動の結果であって、前肢不随意運動(図17A)、上体不随意運動(図17B)、口腔顔面不随意運動(図17C)、回転不随意運動(図17D)、全体的な不随意運動(図17E)、及び左折の回数(図17F)の評価に基づく結果を示す。 L−ドーパ又は2つの異なる濃度のタペンタドール塩酸塩の投与後のオープンフィールド試験結果であって、最大速度(図18A)、総移動距離(図18B)、平均速度(図18C)、及び最初に壁に達するまでの時間(図18D)の評価に基づく結果を示す。 L−ドーパ又は2つの異なる濃度のスタブジンの投与後のオープンフィールド試験結果であって、最大速度(図19A)、総移動距離(図19B)、平均速度(図19C)、及び最初に壁に達するまでの時間(図19D)の評価に基づく結果を示す。 L−ドーパ又は各々2つの異なる濃度のタペンタドール塩酸塩とスタブジンとの組合せの投与後のオープンフィールド試験結果であって、最大速度(図20A)、総移動距離(図20B)、平均速度(図20C)、及び最初に壁に達するまでの時間(図20D)の評価に基づく結果を示す。 注射の同側(左)及び対側(右)のTH陽性細胞カウントにより評価した、6−OHDAの片側頭蓋内注射により誘発した細胞喪失を、健康な対照マウス(図21A)、及び処置していない疾患誘発マウス(図21B)、又はL−ドーパ(図21C)、タペンタドール塩酸塩(図21D)、若しくはスタブジン(図21E)で処置した疾患誘発マウスからの黒質緻密部のTH染色区画の顕微鏡像で、並びにこれらの群の各々における注射の対側の側に対する同側のTH陽性細胞の割合(図21F)で示す。 タペンタドール塩酸塩又はトラマドールの、各々L−ドーパとの組合せでの毒性アッセイにおけるオープンフィールド試験結果であって、6つのパラメータ:最大速度(図22A)、平均速度(図22B)、総移動距離(図22C)、休止時間(図22D)、緩慢な動作の時間(図22E)、及び迅速な動作の時間(図22F)の評価に基づく結果を示す。 6−OHDAマウスにおけるL−ドーパ処置のオン及びオフ期間中のタペンタドール塩酸塩の効力を試験するための実験デザインを示す。 オン期間中にL−ドーパと共に投与した(図24A)、及びL−ドーパオフ期間中により高い用量で投与した(図24B)タペンタドール塩酸塩の効力を試験するための歩行試験計画を示す。 溶媒及び6−OHDA処置マウスのシリンダー試験結果であって、対側の足の使用の割合(図25A)及び右折の回数(図25B)の評価に基づく結果を示す。 様々な治療群、つまり、6−OHDA、L−ドーパ、濃度C1のタペンタドール塩酸塩、C1のタペンタドール塩酸塩+L−ドーパ、濃度C3のタペンタドール塩酸塩、及びC3のタペンタドール塩酸塩+L−ドーパで処置したマウスのシリンダー試験結果を、対側の足の使用の割合(図26A)及び右折の回数(図26B)の評価で示す。 健康な対照マウス(図27A)、6−OHDA疾患誘発マウス(図27B)、並びにL−ドーパ(図27C)、2つの異なる濃度のタペンタドール塩酸塩(図27D〜27E)、及びL−ドーパと2つの異なる濃度のタペンタドール塩酸塩との組合せ(図27F〜27G)で処置した疾患誘発群からの線条体のチロシンヒドロキシラーゼ染色(赤色)及びドパミントランスポーター(DAT,Dopamine transporter)染色(緑色)区画の顕微鏡像を示し、黄色標識は、TH及びDATマーカーの共局在を示す。 対照マウス及び様々な処置群における6−OHDAの片側頭蓋内注射により誘発した細胞喪失の結果を、注射の同側(左)及び対側(右)のTH陽性細胞カウントに基づいて(図28A)、及び線条体内のTH−DAT二重陽性軸索により(図28B)、並びにTH陽性細胞カウントと線条体内TH−DAT二重陽性軸索との間のピアソン相関(図28C)により示す。 様々な処置群でL−ドーパ注射20日後に評価した、異常な不随意運動の結果を、前肢不随意運動(図29A)、上体不随意運動(図29B)、口腔顔面不随意運動(図29C)、回転不随意運動(図29D)、全体的な不随意運動(図29E)、及び様々な時点に沿った全体的な不随意運動(図29F)について評価して示す。 様々な処置群でより高いL−ドーパ用量注射28日後に評価した、異常な不随意運動の結果を、前肢不随意運動(図30A)、上体不随意運動(図30B)、口腔顔面不随意運動(図30C)、回転不随意運動(図30D)、全体的な不随意運動(図30E)、及び様々な時点に沿った全体的な不随意運動(図30F)について評価して示す。 L−ドーパ処置群におけるTH陽性細胞数と全体的なAIMとの間のピアソン相関(図31A)、又はL−ドーパ処置群におけるTH−DAT軸索と全体的なAIMとの間のピアソン相関(図31B)を示す。 対照マウス及びL−ドーパ処置した6−OHDAマウスにおける6−OHDAの片側頭蓋内注射により誘発した細胞喪失の結果を、注射の同側(左)及び対側(右)のTH陽性細胞カウントに基づいて(図32A)、及び線条体内TH−DAT二重陽性軸索により(図32B)示す。 注射後29日経過時(29dpi,29 days post injection)の歩行試験結果を示し、タペンタドール塩酸塩処置動物の行動回復を、様々な処置群の中の最大速度(図33A)、平均速度(図33B)、及び休止時間又は迅速な動作の時間の割合(図33C)、及び緩慢な動作(図33D、図33C中のプロットの分解を示す)についての同様の結果、並びに動物がドアに達するのにかかった時間(図33E)で示す。 注射後29日経過時(29dpi)の歩行試験結果を示し、タペンタドール塩酸塩処置動物の行動回復を、様々な処置群と比較した、ドアまでの耐久時間(図34A)、ドアに入るまでの時間(図34B)、及びドアまでの平均速度(図34C)で示す。 行動機能障害と細胞喪失度との相関を、平均速度と黒質TH+細胞喪失との間の線形回帰(図35A)又は平均速度と線条体軸索の脱神経との間の線形回帰(図35B)、迅速な動作の時間のパーセントと黒質TH+細胞喪失との間の線形回帰(図35C)又は迅速な動作の時間のパーセントと線条体軸索の脱神経との間の線形回帰(図35D)、緩慢な動作の時間のパーセントと黒質TH+細胞喪失との間の線形回帰(図35E)又は緩慢な動作の時間のパーセントと線条体軸索の脱神経との間の線形回帰(図35F)、ドアまでの時間と黒質TH+細胞喪失との間の線形回帰(図35G)又はドアまでの時間と線条体軸索の脱神経との間の線形回帰(図35H)、ドアまでの平均速度と黒質TH+細胞喪失との間の線形回帰(図35I)又はドアまでの平均速度と線条体軸索の脱神経との間の線形回帰(図35J)、及びドアまでの耐久と黒質TH+細胞喪失との間の線形回帰(図35K)又はドアまでの耐久と線条体軸索の脱神経との間の線形回帰(図35L)に基づいて示す。
1.定義
「神経学的疾患又は障害」は、神経系の疾患又は障害を意味し、癲癇、全体的及び局所的虚血性及び出血性卒中、頭部外傷、脊髄傷害、心停止又は新生児危険状態におけるような低酸素誘発神経細胞損傷、並びに神経変性疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
「神経変性疾患」は、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、及び筋萎縮性側索硬化症(ALS,amyotrophic lateral sclerosis)を含む疾患を意味するが、これらに限定されない。パーキンソン病(PD)は、特発性若しくは原発性パーキンソン病、運動不全硬直性症候群(HRS,hypokinetic rigid syndrome)、又は振戦麻痺とも呼ばれ、主に運動系に影響を及ぼす中枢神経系の変性障害である。疾患の運動症状は、中脳の領域である黒質内のドパミン生成細胞の死滅の結果である。疾患初期では、最も明らかな症状は、動作関連、例えば震え、筋固縮、動作の緩慢さ、並びに歩き及び歩行の困難さである。後に、思考及び行動問題、並びにうつ病が生じる場合があり、認知症は通常、疾患の進行した段階で起こる。他の症状として、感覚、睡眠、及び情動問題が挙げられる。
PD又は関連する障害の「進行した段階」は、悪化する症状、悪化する副作用、及び/又は標準の治療に対する応答性がその疾患若しくは障害の初期段階と比較して低いことにより特徴付けられる疾患又は障害の段階を指す。進行した段階は、疾患の時間経過の後期、例えばPD又は関連する障害の初期診断から1年、2年、5年、10年、15年、又は16年以上経って起こる場合がある。進行した段階は、L−ドーパ(レボドパ)の慢性的使用後の時間、例えばレボドパの副作用が発症及び/若しくは悪化した場合、PD若しくは関連する障害のレボドパに対する応答性が初期段階のときよりも低い場合、投与されるレボドパ用量が初期段階に比較して高い場合、並びに/又はレボドパ用量間にオフ期間がある場合に対応する場合がある。
「オフ期間(OFF period)」、「オフ時間(OFF time)」、又は「オフエピソード(OFF epispde)」は、PD又は関連する障害を有する患者が、治療剤を摂取しているにもかかわらず乏しい応答しか有さない、又は治療剤を摂取していないときに典型的な応答を有する、機能状態を指す。この期間は通常、「悪性時間(bad time)」、「低時間(low time)」、「遅時間(slow time)」、若しくは「震え時間(shaking time)」、又は単に「薬物療法が効いていない時間」とも呼ばれる。特に、PD又は関連する障害におけるL−ドーパ療法中の「オフ期間」は、L−ドーパの効力が少なくなり、又は切れており、PDと関連付けられる1つ又は2つ以上の症状の再発、特に運動症状の再現をもたらす次のL−ドーパ用量を患者が摂取するまでの期間、時間、又はエピソードである。PDにおけるオフ期間は、減少した又は非常に損なわれた運動性により特徴付けられる。オフ期間は、L−ドーパがより有効である「オン期間」と変動し、進行したPDで予測不可能かつ劇的になり得る運動変動をもたらす。
「オン期間(ON period)」又は「オン時間(ON time)」は、PD又は関連する障害を有する患者が、摂取した薬剤の治療的利益を経験し、優れた応答を有する機能状態を指す。この期間は通常、「良性時間(good time)」若しくは「歩き時間(walking time)」又は単に「薬物療法が効いている時間」とも呼ばれる。
「運動変動」は、オフ期間の運動症状であり、PD又は関連する障害における治療剤に対する可変的応答、例えばL−ドーパ療法中の変動するオン/オフ期間を指す。運動変動は、予測可能な治療剤のウェアリング・オフと共に、又は予測不可能なオン/オフ期間と共に、及び突然の「オフ期間」と共に起こる。「運動変動」は通常、「不均一な薬物療法効果」又は「ローラーコースター効果」とも呼ばれ、用量間の治療効力のウェアリング・オフを反映する。
「運動障害」は、不随意のランダムな動作を指す。運動障害は、PD又は関連する障害の進行した段階、例えばPD又は関連する障害の症状の制御における減少するL−ドーパ有効性のためにより高い用量のL−ドーパが使用される場合の特徴である、L−ドーパの慢性的使用の典型的な副作用である。運動障害は通常、「不規則痙攣」、「小刻み運動」、又は「単攣縮」とも呼ばれ、PDそれ自体の特徴的な振戦とは性質が異なる。
「筋緊張異常」は、多くの場合湾曲構成要素を伴う歪んだ姿勢を指し、通常「痙攣」若しくは「筋痙攣」、又は単に「姿勢」とも呼ばれる。
「起立性低血圧」は、起立3分以内又は傾斜台上の起立傾斜(最小60°)に際して、20mmHg以上の収縮期血圧の降下、又は10mmHg以上の拡張期血圧の降下として定義される。
パーキンソン病「に関連する障害」又は「関連する障害」は、任意の神経学的疾患又は障害を含み、任意の神経変性疾患、例えば本明細書で定義される疾患を含む。また、関連する障害は、パーキンソン病の管理で使用される標準の治療剤と関連付けられる任意の副作用、例えばパーキンソン病若しくはレボドパが投与される他の障害における慢性的レボドパ使用の副作用、又は任意の他のドパミン作動剤の使用の副作用を指す場合がある。
本明細書で使用される場合、「対象」、「ホスト」、及び「患者」という用語は、相互変換可能に使用される。本明細書で使用される場合、対象は、好ましくは哺乳類、例えば非霊長類(例えばウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット、マウス等)又は霊長類(例えばサル及びヒト)、最も好ましくはヒトである。
本明細書で使用される場合、哺乳類(好ましくはヒト)に関する「経口投与」(等)という用語は、(好ましくは本明細書で説明する疾患、障害、又は状態を治療又は予防する目的のために)本発明における使用のための1つ又は2つ以上の医薬組成物を哺乳類が摂取するか、又は摂取するように指示されることを意味する。
本明細書で使用される場合、経口製剤に関して「即時放出」という用語は特に、投与されたとき、短期間で活性剤を放出する組成物を指す。即時放出は典型的に、活性剤の約75%が投与45分以内に分解されることを意味する。「速く溶解する」という用語は典型的に、約85%が30分で溶解することを意味し、「非常に速く溶解する」は典型的に、約85%が投与15分で溶解することを意味する。即時放出薬物送達システム用経口製剤は、速度制御特徴、例えば特別なコーティング又は他の遅延技術を伴わずに、それらの薬学的に活性な薬剤を崩壊及び放出するように設計された従来型の薬物送達システムである。
本明細書で使用される場合、「治療剤」という用語は、パーキンソン病若しくは関連する障害、又はドパミン作動剤、例えばL−ドーパが慢性的に投与される他の状態と関連付けられる症状の治療、管理、又は緩和において使用され得る任意の薬剤を指す。
本明細書で使用される場合、「治療有効量」は、標的疾患又は障害の治療又は管理において、その疾患又は障害を患う対象に投与したとき、少なくとも1つの治療的利益を提供する薬剤の量(例えば本発明における使用のためのタペンタドール、スタブジン、及び/又はナブメトンの量)を指す。さらに、本発明における使用のための薬剤についての治療有効量は、疾患又は障害の治療又は管理において少なくとも1つの治療的利益を提供する、薬剤単独又は他の治療薬と組み合わせた場合の薬剤の量を意味する。
パーキンソン病の場合、治療有効量の治療剤分子は、疾患と関連付けられる、1つ若しくは2つ以上の動作関連症状、例えば震え、筋固縮、動作の緩慢さ、並びに歩き及び歩行の困難さ;思考若しくは行動問題、例えば不安、うつ病、若しくは認知症;又は感覚、睡眠、若しくは情動問題を低減させることができる。また、治療有効量は、標準的治療の慢性的使用の副作用を低減させる量、例えば慢性的L−ドーパ使用と関連付けられる副作用を低減させる量を指す場合がある。
本明細書で使用される場合、「予防剤」という用語は、パーキンソン病若しくは関連する障害、又はドパミン作動剤、例えばL−ドーパが慢性的に投与される他の状態の進行の予防、遅延、又は減速で使用され得る任意の薬剤を指す。本明細書で使用される場合、「予防的有効量」は、標的疾患又は障害の予防、低減、又は遅延において、その疾患又は障害にかかりやすい対象に投与されたとき、少なくとも1つの予防的利益を提供する予防剤の量(例えば本発明における使用のためのタペンタドール、スタブジン、及び/又はナブメトンの量)を指す。
また、予防的有効量は、標的疾患若しくは障害を予防する、その発生率を低減させる、若しくはその発生を遅延する、若しくは標的疾患若しくは障害の進行を遅延するのに十分な薬剤の量;標的疾患若しくは障害の開始を遅延若しくは最小限にするのに十分な量;又はその再発若しくは広がりを予防若しくは遅延する、若しくはその発生率を低減させるのに十分な量を指す場合がある。また、予防的有効量は、標的疾患若しくは障害の症状の悪化を予防若しくは遅延するのに十分な薬剤の量、又は標的疾患若しくは障害の標準的治療の副作用の悪化を予防若しくは遅延するのに十分な薬剤の量を指す場合がある。さらに、本発明における使用のための予防剤についての予防的有効量は、疾患若しくは障害、その症状、又はその治療と関連付けられる副作用の予防又は遅延において少なくとも1つの予防的利益を提供する、予防剤単独又は他の薬剤と組み合わせた場合の量を意味する。
本発明における使用のための予防剤は、標的疾患又は障害に「かかりやすい」、すなわち、パーキンソン病若しくは関連する障害、又はドパミン作動剤、例えばL−ドーパが慢性的に投与される他の状態にかかりやすい対象に投与することができる。疾患又は障害に「かかりやすい」対象は、疾患若しくは障害の発症と関連付けられる症状を示すか、又はかかる疾患若しくは障害の遺伝的体質、環境曝露、若しくは他のリスク因子を有するが、症状がまだその疾患又は障害であると診断されるレベルではない対象である。例えば、パーキンソン病の家族歴を有する患者は、パーキンソン病にかかりやすい患者として適格とすることができる。
本明細書で使用される場合、「ドパミン作動剤」は、ドパミン受容体、若しくは例えばドパミンを放出するニューロンに接合するニューロンに働くことによる間接的作用を通してドパミン放出に影響を及ぼすように、又はドパミン受容体を発現するように働く任意の治療剤又は予防剤を指す。例として、脳内でドパミンに変換されるレボドパ、及びドパミンの効果を模倣するドパミンアゴニストが挙げられる。
2.治療的及び予防的使用方法
本発明は、活性剤を含む医薬組成物を投与することによる、神経学的障害、特に神経変性疾患の症状を治療、予防、又は緩和する改善された方法を提供し、この活性剤は、タペンタドール、又はその薬学的に有効な塩若しくは誘導体である。特定の実施形態では、本医薬組成物は、ドパミン作動剤、例えばL−ドーパを慢性的に投与した患者における増大した副作用、効力の低減、並びに「オフ期間」頻度及び/又は持続期間の増大に取り組むために投与される。
本発明の一態様は、神経学的疾患若しくは障害を遅延、予防、治療、及び/若しくは管理するため、並びに/又はそれと関連付けられる1つ若しくは2つ以上の症状、及び/若しくはその治療と関連付けられる1つ若しくは2つ以上の副作用を緩和するために、本明細書で説明する有効量の活性剤(特にタペンタドール)を、それを必要とする対象に投与することを含む、療法に関する。それを必要とする対象としては、疾患若しくは障害を患う対象、又はそれにかかりやすい対象、例えばその疾患若しくは障害を発症するリスクがある若しくはそれを再発している対象、及び/又は根底にある疾患若しくは障害の慢性的治療のために副作用を発症するリスクがある若しくは副作用を有する対象が挙げられる。
神経学的障害として、神経系の任意の疾患又は障害、例えば癲癇、全体的及び局所的虚血性及び出血性卒中、頭部外傷、脊髄傷害、心停止又は新生児危険状態におけるような低酸素誘発神経細胞損傷、並びに神経変性疾患を挙げることができるが、これらに限定されない。例えばかかる疾患及び障害を説明しているMueller et al.の米国特許第6,071,970号明細書を参照されたく、当該特許はその全体を本明細書に組み込む。神経学的障害として、神経変性疾患、例えばパーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)が挙げられるが、これらに限定されない。また、神経学的障害として、動作の機能障害を含む任意の状態を含む、関連付けられる歩行問題を有する状態、例えばパーキンソン病、加齢、卒中、又は下肢静止不能症候群が挙げられる。例えばかかる障害及び疾患を説明しているNangia et al.の国際公開第2008/079404号パンフレット(Spherics, Inc.社)を参照されたく、当該公開はその全体を本明細書に組み込む。また、副作用がドパミン作動剤の慢性的使用、例えばレボドパの慢性的使用のために発症する他の状態が含まれる。
パーキンソン病は、疾患の進行と共に変化し、多くの場合悪化する、いくつかの症状を示す。疾患初期では、最も明らかな症状は、動作関連、例えば震え、筋固縮、動作の緩慢さ、並びに歩き及び歩行の困難さである。後に、思考及び行動問題、並びに不安及びうつ病が生じる場合があり、認知症は通常、疾患の進行した段階で起こる。他の症状として、感覚、睡眠、及び情動問題が挙げられる。
患者にとって重要な運動症状は、歩行問題を含む。歩行は、移動中の肢の動作のパターンとして定義される。パーキンソン病の歩行は、小さな引きずり歩き、全体的な動作の緩慢さ(動作緩慢)、及び極端な場合には全動作の喪失(無動)により特徴付けられる。一般的なPD患者は、歩幅及び歩行速度の低下(ゆっくりとした小さな歩み)、最初の歩み及び歩き出した後の停止の困難さ、並びに足全体にわたり力を均等に分布させることの困難さ、姿勢の不安定(頭及び首が前方になり、膝が屈曲する)、加速する歩み(加速歩行)、筋固縮、及びすくみ足(FoG,freezing of gait)を有する。
すくみ足(FoG)は、歩こうとする意図にかかわらず、足の前方への進行が短時間一時的に欠如すること又は顕著に低下することとして定義することができる。現在の治療では、すくみが発症すると、すくみを低減させることはめったにない。パイプラインでは、舌下アポモルフィンがある(フェーズII完結;例えばCynapsus poster, Hauser, et al. "Efficacy of Sublingual Apomorphine Film Strip (APL-130277) for the Treatment of OFF Episodes in Patients with Parkinson's Disease" American Academy of Neurology, Friday, April 15 to Thursday, April 21, 2016; Vancouver, BC, Canadaを参照のこと)。臨床試験における主要エンドポイントとしてのすくみは、測定が主観的(FoGアンケート)であるので、さし迫る困難が残っている。実際に、行われた研究の大部分は、小規模で、無統制であった。
さらに、この症状の病因は十分に理解されていない。FoGに先立つ/FoGを誘起する既知の臨床特徴及び状況は、歩き出そうとすること、方向転換、狭い通路に近づく/通ること、物に近づくこと、二重課題、動揺、込み合った場所、時間がないこと、ストレス下にあること、及び不安状態にあることである。また、FoGには以下のいくつかの「タイプ」がある。
1)L−ドーパのオン期間中に起こるすくみであって、L−ドーパ治療を低減/することにより制御することができる、すくみ。
2)L−ドーパのオフ期間中に起こるすくみであって、より一般的に起こるものであり、オン時間を改善する治療に応答するが、このときはL−ドーパはもはや投与することができない(12時間の間隔)、すくみ。
3)L−ドーパにより誘発されるすくみ。
4)L−ドーパに抵抗性であるすくみ(非応答性)。
FoGは、現在の治療アプローチ下では大部分は治療されないままである。
患者にとって重要な別の関心事は、悪化する症状、悪化する副作用、及び/又は標準の治療に対する応答性が疾患若しくは障害の初期段階と比較して低いための、PD又は関連する障害の進行した又は後期の段階の問題である。後期の症状は、L−ドーパ効力が切れ、オフ期間を引き起こすと明らかになる。
特定の理論に束縛されるものではないが、オフ期間は、脳のドパミンレベルが、オン期間に典型的な比較的正常な運動機能を維持するための臨界閾値未満に落ちるので、起こる場合がある。オフ期間は、予測可能である場合も、予測不可能である場合もあり、いくつかの場合、オフ期間には、非運動症状、例えば痛み、刺痛、発汗、及び不安が先立つ場合があり、これはおそらく運動症状が戻っているという事実を患者に警告する。オフ期間は一般的に、1日の経過にわたり以下の4つの主なタイプに分類される。
(1)午前オフ期間。前晩に摂取したドパミン作動剤、例えばL−ドーパ又は他のPD薬物療法の最後の前用量後に起こり、午前の最初の用量に対する応答の遅延をもたらす。具体的には、夜間睡眠後、ドパミン作動剤は患者の脳内にほとんど又は全く残らず、ドパミン作動性刺激の少量の蓄えしか残さず、L−ドーパ又は他のPD薬物療法の午前の最初の用量への応答の顕著な遅延をもたらす。この「午前オフ期間」は、「午前無動」とも呼ばれる。この応答の遅延は予測不可能なので、患者は午前中のL−ドーパ又は他のPD薬物療法の開始に頼ることができない。さらに、PD患者における損なわれた胃運動機能及び不規則に胃が空になることは、L−ドーパ吸収を遅延し、又は妨げる場合がある。午前オフ期間は典型的に、最も衰弱させるオフ期間であると考えられ、最も治療することが困難又はオンに変換することが困難であり得る。
(2)遅延オン、部分的オン、又は遅延若しくは部分的薬物失敗。患者がL−ドーパ又は他のPD薬物療法の用量を摂取するが、通常の時間枠内にオンを達成しないときに起こる。患者には、用量が適切に働かなかったように見える。部分的オンは、運動機能がいくらか改善されたが日々の活動を行うには十分でないことを経験する、患者により特徴付けられる。対照的に、用量失敗は、所与の用量へのいかなる応答も経験しない患者により特徴付けられる。遅延オン、部分的オン、又は用量失敗は、いくつかの理由のために起こる場合がある。例えば、L−ドーパの経口送達は、薬物が胃腸管を通って血流へ能動的に吸収されることを必要とする。しかしながら、胃はドパミン作動性ニューロンを含有し、それはドパミンが枯渇する場合があるので、これが起こると、胃は正常に機能することができない場合があり、用量の遅延吸収、限定的吸収、又は吸収しないことをもたらす。また、これらのオフエピソードは、オンに変換することが困難であり、典型的に付加的なPD薬物療法に応答しない。
(3)用量の終わりのウェアリング・オフによるオフ期間。これらは最もよくあるタイプのオフ期間である。例えば、PDの進行と共に、L−ドーパの効果は持続期間が減少する。結局は、L−ドーパは、用量間で完全には効果的でなくなり、このために患者は次のL−ドーパ用量の前に「オフ」になる。これらのオフ期間は、比較的予測可能な様式で、L−ドーパの各用量後に起こる。
(4)予測不可能なオフ期間。前兆なく、患者がオン状態にあるときに予想外の時間に起こるオフ期間。L−ドーパ療法の目標は、L−ドーパの一定血中レベルを維持することであり、これは脳へのL−ドーパの一定供給、並びにそれゆえ一定レベルのドパミン及びドパミン作動性刺激をもたらすことが予想される。しかしながら、脳は、一定速度でドパミンを利用しない。活動レベル又は気分の変化、例えば動揺又は不安は、ドパミン使用の増大をもたらす。その後、脳でドパミンの蓄えが枯渇し、そのドパミン不足を再構成するためにより多くの時間を必要とする。その結果、オン状態の患者は、通常のPD薬物療法が典型的に効果的であるはずの時間に予想外にかつ突然オフに変わる場合がある。
オフ期間は、患者の日々の生活に、患者、介助者、及び臨床医により認識される多大な悪影響を有する場合がある。PD薬物療法の予想外の運動機能喪失の可能性又は予測不可能な利益の開始は、患者がある特定の社会環境を避けること、及び/又は患者の単純な日々の課題、例えば食事、入浴、着替え等の実行を妨げることをもたらす場合がある。さらに、可変性の「日々のストレス」により変動する患者のドパミン消費、及びドパミン作動性細胞の喪失は、オフエピソードの頻度、持続期間、及び重症度を悪化させる。疾患が進行するにつれて、患者は多くの場合、働くことを辞めなければならなくなり、介助者にますます依存するようになる。
本発明は、いくつかの実施形態では、対象に有効量の本明細書で説明する医薬組成物を投与することによる、パーキンソン病と関連付けられる1つ若しくは2つ以上の症状、若しくはL−ドーパ投与の1つ若しくは2つ以上の副作用、関連する障害、歩行問題を伴う状態、又はドパミン作動剤で治療される他の状態の治療、予防、及び緩和の方法を提供する。特定の実施形態では、本発明は、特に有効量のタペンタドール含有医薬組成物を投与することによる、パーキンソン病若しくは関連する障害におけるオフ期間と関連付けられる1つ若しくは2つ以上の症状、又はL−ドーパの長期使用と関連付けられる1つ若しくは2つ以上の副作用の治療、予防、及び緩和の方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、パーキンソン病又は関連する障害を患う患者に、有効量のスタブジン、又はその薬学的に有効な塩若しくは誘導体を投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、パーキンソン病又は関連する障害を患う患者に、有効量のナブメトン、又はその薬学的に有効な塩若しくは誘導体を投与することを含む。有効量は一般的に、製剤及び/又は投与レジメン、例えば投与頻度及び様式について選択される投与量を決定する。本明細書で示す投与量及び投与レジメンは、治療有効量及び予防有効量という用語に包含される。
いくつかの実施形態では、本方法は、オフ期間に典型的な1つ又は2つ以上の症状の重症度、持続期間、及び/又は頻度を低減させる。例えば、本方法は、オフ期間の重症度を低減させることができるので、患者はオフ期間中により少ない運動変動又はより少ない副作用しか経験しない。特定の実施形態では、例えば、本方法は、同じL−ドーパ治療後であるが、タペンタドール治療を伴わない場合のオフ期間の持続期間と比較して、オフ期間の持続期間を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%低減させることができる。特定の実施形態では、例えば、本方法は、同じL−ドーパ治療後であるが、タペンタドール治療を伴わない場合のオフ期間の頻度と比較して、オフ期間の頻度を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%低減させることができる。
好ましい実施形態では、本方法は、オフ期間中の一般によくある運動症状である、運動変動の重症度、持続期間、及び/又は頻度を低減させる。運動変動は、投与される治療剤、例えばL−ドーパに対する可変性の応答からもたらされ、用量間の治療効力のウェアリング・オフを反映し、変動するオン/オフ期間をもたらす。運動変動は、上記に説明するように、予測可能な治療剤のウェアリング・オフ、又は予測不可能なオン/オフ期間、及び突然の「オフ期間」に対応する場合がある。好ましい実施形態では、本発明の方法は、ドパミン作動剤、例えばL−ドーパへの応答の変動性を低減させ、例えばオン期間を延長し、及び/又は応答の遅延を低減させ、したがって用量中のオン/オフ期間の間の変動を低減させる。
特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、午前無動の重症度、頻度、及び/又は持続期間を低減させ、患者の午前L−ドーパ用量又は他のPD薬物療法への応答の遅延を低減させる。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、用量の終わりのウェアリング・オフによるオフ期間の重症度、頻度、及び/又は持続期間を低減させ、これにより患者は、用量間の「ローラーコースター効果」をより経験しなくなる。より好ましい実施形態では、本方法は、オフ期間の予測不可能性を低減及び/又は除去し、用量間で経験されるかかる期間の回数を低減させ、並びに/又はかかる期間が続く時間の長さ、及び/若しくはそれらの期間中に損なわれる運動性の程度を低減させる。最も好ましい実施形態では、例えば疾患の初期段階中の場合と同様に、患者が応答の変動性を全く又はほとんど経験せず、運動機能及び運動性を着実に維持するという点で、オフ期間は、防止され、除去され、又はほとんど除去される。
好ましい実施形態では、本方法は、オフ期間中の別の一般によくある運動症状である、運動障害の重症度、持続期間、及び/又は頻度を低減させる。運動障害は、典型的にL−ドーパの慢性的使用後、例えば薬物の有効性が切れ、より高い用量が必要とされるPD又は関連する障害の進行した段階中に経験される、不随意のランダムな動作を含む。特に好ましい実施形態では、本方法は、患者が、その他進行したパーキンソン病で重度になり得る「不規則痙攣」、「小刻み運動」、又は「単攣縮」を経験する頻度、長さ、及び/又は程度を低減させる。例えば、本明細書の方法に従う有効量のタペンタドールの投与は、より少ない、好ましくはかなりより少ない運動障害しか起こらない、及び/又はそれが起こる場合、痙攣若しくは単攣縮はより短くしか続かないか、若しくはより重度でないように、オフ期間中の運動障害を低減させることができる。最も好ましい実施形態では、例えば疾患の初期段階中の場合と同様に、患者が不随意のランダムな動作を全く又はほとんど経験しないという点で、運動障害は、防止され、除去され、又はほとんど除去される。
レボドパ誘発運動障害は多くの場合、筋緊張異常、舞踏病、及び無定位運動症を含む特定の運動過剰を含む。
好ましい実施形態では、本方法は、オフ期間中の別の一般によくある運動症状である、筋緊張異常を低減させる。筋緊張異常は、典型的にL−ドーパの慢性的使用後、例えば薬物の有効性が切れ、より高い用量が必要とされるPD又は関連する障害の進行した段階中に経験される、多くの場合湾曲構成要素を伴う不随意の歪んだ姿勢を含む。特に好ましい実施形態では、本方法は、患者が、その他進行したパーキンソン病で重度になり得る筋緊張異常の「痙攣」又は「筋痙攣」を経験する頻度、長さ、及び/又は程度を低減させる。例えば、本明細書の方法に従う有効量のタペンタドールの投与は、より少ない、好ましくはかなりより少ない痙攣若しくは筋痙攣しか起こらない、及び/又はそれらが起こる場合、痙攣若しくは筋痙攣はより短くしか続かず、より重度でないように、オフ期間中の筋緊張異常を低減させることができる。最も好ましい実施形態では、例えば疾患の初期段階中の場合と同様に、患者が痙攣、湾曲、又は筋痙攣を全く又はほとんど経験しないという点で、筋緊張異常は、防止され、除去され、又はほとんど除去される。
好ましい実施形態では、本方法は、舞踏病及び/又は無定位運動症を低減させる。舞踏病は連続した痙攣的な動作を含み、その各々の動作は突然であり、もたらされる姿勢は数秒間保持される。動作の中心は、身体の一部分から別の部分へランダムに移動する場合があり、一般的に頭部、顔面、又は四肢に影響を及ぼす。無定位運動症は、指、手、つま先、及び足、並びに腕、脚、首、及び舌に影響を及ぼす、波状のゆっくりとした不随意のもがくような動作を含む。特に好ましい実施形態では、本方法は、患者が舞踏病の連続した痙攣的な動作、及び/又は無定位運動症の波状のゆっくりとしたもがくような動作を経験する頻度、長さ、及び/又は程度を低減させる。例えば、本明細書の方法に従う有効量のタペンタドールの投与は、より少ない、好ましくはかなりより少ない連続した痙攣的な動作及び/又は波状のもがくような動作しか起こらず、及びそれらが起こる場合、これらの動作はより短くしか続かず、より重度でないように、オフ期間中の舞踏病及び/又は無定位運動症を低減させることができる。最も好ましい実施形態では、例えば疾患の初期段階中の場合と同様に、患者が連続した痙攣的な動作又は波状のもがくような動作を全く経験しないという点で、舞踏病及び/又は無定位運動症は、防止され、除去され、又はほとんど除去される。
好ましい実施形態では、本方法は、これもまたオフ期間中によく経験される、非運動症状、例えば発語障害、自律神経機能障害、起立性低血圧、気分動揺、不安、うつ病、認知障害、精神病、幻覚、及び妄想の重症度、持続期間、及び/又は頻度を低減させる。
好ましい実施形態では、本方法は、発語障害を低減又は軽減する。発語障害は、患者の発語の変化を含む場合があり、発語がより弱くなる、より速くなる、より単調になる、若しくは不明瞭になるか、又は患者が話す前に躊躇する場合がある。特に好ましい実施形態では、本方法は、患者が発語障害を経験する頻度、長さ、及び/又は程度を低減させる。例えば、本明細書の方法に従う有効量のタペンタドールの投与は、患者が発語の中で、より少ない発語変化しか、好ましくはかなりより少ない発語変化しか経験しない、及び/又は変化が起こる場合、それらは劇的若しくは顕著なものでないように、発語障害を低減又は軽減することができる。最も好ましい実施形態では、例えば疾患の初期段階中の場合と同様に、患者が発話問題を全く又はほとんど経験しないという点で、発語障害は、防止され、除去され、又はほとんど除去される。
好ましい実施形態では、本方法は、起立性低血圧を低減又は軽減する。パーキンソン病の経過にわたり、自律神経変性は、圧受容体入力に対する交感神経性応答を損なう。起立に際して、進行したパーキンソン病を有する患者は、損なわれた自律神経反射を原因として、静脈貯留及び減少した静脈還流量を補填することができなくなる場合があり、したがって失神前症状及び直立姿勢を維持することの困難さを伴う血圧降下を経験する。特に好ましい実施形態では、本方法は、患者が起立性低血圧を経験する頻度、長さ、及び/又は程度を低減する。例えば、本明細書の方法に従う有効量のタペンタドールの投与は、患者が起立に際してより少ない、好ましくはかなりより少ない血圧降下しか経験しないように、起立性低血圧を低減又は軽減することができる。最も好ましい実施形態では、例えば疾患の初期段階中の場合と同様に、患者が立位への変化に際して降下血圧問題を全く又はほとんど経験しないという点で、起立性低血圧は、防止され、除去され、又はほとんど除去される。
オフ期間の非運動症状として、気分動揺が挙げられる。好ましい実施形態では、本発明の方法は、患者が気分動揺を経験する頻度、長さ、及び/又は程度を低減させる。進行したパーキンソン病を有する患者は、絶望、不安、及び怒りの感情の間で交互に変化する場合がある。本発明の好ましい実施形態では、有効量のタペンタドールの投与は、患者がより少ない、好ましくはかなりより少ない気性の動揺しか経験しないように、気分変化を低減又は軽減することができる。最も好ましい実施形態では、例えば疾患の初期段階中の場合と同様に、患者が気分の交互変化を全く又はほとんど経験しないという点で、気分動揺は、防止され、除去され、又はほとんど除去される。
好ましい実施形態では、本方法は、うつ病、特にオフ期間中のうつ病を低減又は軽減する。パーキンソン病患者のうつ病は、疲労、通常の活動への興味の喪失、睡眠問題、動作の緩慢さ、顔面の活気の欠落等を含む、多くの症状を根底にある疾患と共有するので、診断が困難である場合がある。また、うつ病状態の患者は、悲しみ、無気力、罪悪感、又は短気の感情を経験する場合がある。好ましい実施形態では、本方法は、うつ病を低減又は軽減する。特に好ましい実施形態では、本方法は、患者が悲しみ、無気力、罪悪感、若しくは短気の感情を経験する頻度、長さ、及び/若しくは程度を低減させ、並びに/又は疲労を低減させ、通常の活動への興味の喪失を軽減し、及び睡眠を改善する。例えば、本明細書の方法に従う有効量のタペンタドールの投与は、患者がより少ない、好ましくはかなりより少ない悲しみ又は罪悪感の発作しか経験しないように、うつ病を低減又は軽減することができる。最も好ましい実施形態では、うつ病は、防止され、除去され、又はほとんど除去される。
好ましい実施形態では、本方法は、不安、特にオフ期間中の不安を低減又は軽減する。パーキンソン病患者は、全般性不安を経験する場合があり、患者は心配し過ぎて眠れないか、又は激しい動悸、息切れ、及び発汗を経験する。進行した段階では、パーキンソン病患者はさらに、レボドパ又はドパミンアゴニスト薬が切れ始めたとき不安を経験する場合があり、いくつかの場合、極端な不安及びパニック発作を引き起こす。好ましい実施形態では、本方法は、不安及びパニック発作を低減又は軽減する。特に好ましい実施形態では、本方法は、患者が睡眠不足、激しい動悸、息切れ、及び/又は発汗を引き起こす心配を経験する頻度、長さ、及び/又は程度を低減させる。例えば、本明細書の方法に従う有効量のタペンタドールの投与は、患者がより少ない、好ましくはかなりより少ない激しい動悸、息切れ、及び/若しくは発汗の発作しか経験しない、並びに/又はそれらが起こる場合、不安がより急なものではなく、及び/若しくはより短い期間しか続かないように、不安を低減又は軽減することができる。最も好ましい実施形態では、疾患の初期段階中の患者の経験と同様に、例えば患者が軽微な不安しか経験せず、及び/又はパニック発作を全く経験しないという点で、不安は、防止され、除去され、又はほとんど除去される。
オフ期間の非運動症状として、認知症及び/又は認知障害が挙げられる。好ましい実施形態では、本方法は、認知症及び/又は認知障害、特にオフ期間と関連付けられる認知症及び/又は認知障害を低減又は軽減する。パーキンソン病を有するほとんどの人は、軽度の認知変化、例えば、注意、記憶、心理過程スピード、問題解決、視覚情報処理、及び自分の語彙から正しい言葉を思い出すことに影響を及ぼす変化を経験する。しかしながら、いくつかの場合、及び疾患の進行した段階中ではよりしばしば、混乱、失見当識、及び空間関係判断の困難さを伴う、記憶及び思考の重度の障害を含む認知症が発症する場合がある。特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、認知症及び/又は認知障害を遅延、低減、又は軽減する。例えば、本明細書の方法に従う有効量のタペンタドールの投与は、認知変化を遅延、低減、又は軽減することができ、患者が注意、記憶、心理過程スピード、及び/又は問題解決能力をより良く保持することを可能にする。いくつかの好ましい実施形態では、本明細書の方法に従う有効量のタペンタドールの投与は、認知症の1つ又は2つ以上の症状を遅延、低減、又は軽減することができ、これは混乱、失見当識、及び/又は空間関係判断の困難さの低減を含む。最も好ましい実施形態では、例えば患者が重度の認識障害を伴う問題を全く又はほとんど経験せず、及び認知症を全く経験しないという点で、認知症及び/又は認知障害は、防止され、除去され、又はほとんど除去される。
オフ期間の非運動症状として、精神病、例えば幻覚及び妄想が挙げられる。好ましい実施形態では、本方法は、精神病の症状、例えば幻覚及び/又は妄想、特にオフ期間と関連付けられる幻覚及び妄想を低減又は軽減する。パーキンソン病患者では、幻覚は多くの場合、最初は良性であり、例えば家の周囲の子供又は動物の幻影を含む。しかしながら、後期段階では、患者は、重篤な精神病を経験する場合があり、これは妄想(誤った又は非論理的な確信)及び妄想症(例えば他人が自分を見張っていると確信するようになること)を含む。特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、幻覚及び/又は妄想を遅延、低減、又は軽減する。例えば、本明細書の方法に従う有効量のタペンタドールの投与は、幻覚及び/又は妄想を遅延、低減、又は軽減することができ、幻影若しくは妄想の頻度及び/若しくは持続期間を低減するか、又は妄想がより現実的でないように見えるようにする。最も好ましい実施形態では、例えば患者が幻影を全く若しくはほとんど、及び/又は妄想を全く経験しないという点で、幻覚及び/又は妄想は、防止され、除去され、又はほとんど除去される。
オフ期間の非運動症状として、睡眠障害、例えば睡眠時無呼吸及びREM睡眠行動障害が挙げられる。好ましい実施形態では、本方法は、睡眠障害、例えば睡眠時無呼吸及びREM睡眠行動障害、特にオフ期間と関連付けられる睡眠障害を低減又は軽減する。睡眠時無呼吸は、まどろみ中の中断される呼吸エピソードを含む。REM睡眠行動障害は、鮮明な夢を「行動化すること」を含み、ときには一緒に寝ている人を叩くか、又は蹴ることを引き起こす。特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、睡眠障害を遅延、低減、又は軽減する。例えば、本明細書の方法に従う有効量のタペンタドールの投与は、睡眠時無呼吸及び/又はREM睡眠行動障害を遅延、低減、又は軽減することができる。最も好ましい実施形態では、例えば患者が睡眠時無呼吸及び/又はREM睡眠行動障害を全く又はほとんど経験しないという点で、睡眠障害は、防止され、除去され、又はほとんど除去される。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、本明細書で説明する治療有効量の医薬組成物、例えばタペンタドール若しくはタペンタドール誘導体を含む、又は代替の実施形態ではスタブジン、スタブジン誘導体、ナブメトン、若しくはナブメトン誘導体を含む、組成物の投与を含む。好ましい実施形態では、本発明は、有効量のタペンタドールを投与することによる、オフエピソードを経験しているか、又はオフエピソードのリスクにある対象、特にパーキンソン病の進行した段階にある対象においてオフエピソードの発生率を治療、予防、又は低減する方法を提供する。
特定の実施形態では、本発明の方法は、L−ドーパに対して抵抗性になったか、又はL−ドーパ投与の副作用を経験している患者への、L−ドーパとの組合せの有効量のタペンタドールの投与を含み、好ましくはここでL−ドーパ用量は低減される。例えば、L−ドーパ用量は、典型的にタペンタドールの非存在下でパーキンソン病の所与の段階で患者に投与され得る用量の1/10、1/8、1/5、1/4、1/3、1/2、又はそれ以下に低減することができる。抵抗性期間中の投与は、上記に説明するように、オフ期間に典型的な1つ又は2つ以上の症状の重症度、持続期間、及び/又は頻度を低減させることができる。例えば、本方法は、患者がオフ期間中により少ない運動変動又はより少ない副作用しか経験しないように、オフ期間の重症度を低減させることができる。
本発明における使用のための医薬組成物は一般的に、所望の治療的及び/又は予防的利益を得るために有効な時間及び量で投与されるであろう。好ましい実施形態では、処方及び/又は投与される有効量は、慢性的使用でさえも、実質的な毒性を引き起こさない。細胞培養アッセイ及び動物研究から得られたデータを、ヒトにおける使用のための予防剤及び/又は治療剤の投与量の範囲及び/又はスケジュールを処方することにおいて使用することができる。かかる薬剤の投与量は好ましくは、ほとんど又は全く毒性を有しない、ED50を含む循環濃度範囲内にある。投与量は、使用される投与形態及び利用される投与経路によってこの範囲内で変動し得る。
投与量及び頻度は、投与される特定の治療剤又は予防剤、疾患の重症度及びタイプ、投与経路、並びに患者の年齢、体重、応答、及び過去の投薬歴による各患者について特異的な因子に従って変動する場合があり、いくつかの実施形態では、実施者の判断及び各患者の状況に従って決定される。適切な用量及びレジメンは、かかる因子を考慮することにより、及び例えば文献で報告され、かつ医師用添付文書集(第56版、2002年)(Physician's Desk Reference(56th ed.,2002))で推奨される投与量に従うことにより、当業者が選択することができる。予防剤及び/又は治療剤は、繰り返して投与することができる。この手順のいくつかの態様、例えば予防剤又は治療剤の投与の一時的なレジメン、及びかかる薬剤が別々に投与されるか、混合物として投与されるかは、変動する場合がある。
治療及び/又は予防有効量を提供するための本発明における使用のための薬剤の量は、本明細書で示される開示に照らして、臨床技術により決定することができる。例えば、有効量は、インビトロ又は動物モデル試験系、例えば神経毒6−OHDA(6−ヒドロキシドパミン)に基づくモデル、特に6−OHDAゼブラフィッシュ及び6−OHDAマウスモデルに由来する用量応答曲線から推定することができる。かかる情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。血漿レベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。
予防剤及び/又は治療剤、並びにこれらの組合せは、ヒトにおける使用前に、適切な動物モデル系、例えば6−OHDAマウスモデルで試験することができる。かかる動物モデル系として、ゼブラフィッシュ、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ブタ、イヌ、ウサギ等が挙げられるが、これらに限定されない。本分野で周知のいかなる動物系も使用することができ、例えば、広く使用されておりかつ当業者に周知のモデル系を使用することができる。いくつかの好ましい実施形態では、パーキンソン病、それに関連する障害、又はオフ期間が現れるPDの進行した段階を模倣する状態についての、魚類、ラット、マウス、又は他の小哺乳類に基づく動物モデル系が使用される。例えば、特定の実施形態では、タペンタドール、スタブジン、及び/又はナブメトンの推定上の予防組成物及び/又は療法組成物は、6−OHDAゼブラフィッシュ又は6−OHDAマウスモデル系で試験される。別の特定の実施形態では、単独の又はL−ドーパと組み合わせたタペンタドールを含む推定上の予防組成物及び/又は療法組成物は、6−OHDAゼブラフィッシュ又は6−OHDAマウスモデル系で試験される。
予防剤及び/又は治療剤が動物モデルで試験されると、それらは、それらの効力を確立するために臨床試験で試験される場合がある。臨床試験の確立は、当業者に既知の通常の方法に従って行われ、本明細書で説明する薬剤の最適な投与量及び投与経路、並びに毒性プロファイルが確立され得る。例えば、臨床試験は、パーキンソン病を有するヒト患者における効力及び毒性について、レボドパ及びタペンタドールの両方を含む医薬組成物を試験するために設計してもよい。いくつかの実施形態では、タペンタドール、スタブジン、及びナブメトンの1つ又は2つ以上は、パーキンソン病、それに関連する障害、歩行問題を伴う状態、若しくはドパミン作動剤で治療される他の状態を治療するために、又は根底にある疾患若しくは障害の慢性的治療の副作用を緩和するために、約0.1mg〜約1,000mgの用量で投与される。
本発明の予防剤及び/又は治療剤の毒性及び効力は、例えばLD50(集団の50%に致死的な用量)及びED50(集団の50%において治療上有効な用量)を決定するための、細胞培養物又は実験動物における標準の医薬手順により決定することができる。毒性効果と治療効果との間の用量比は、治療指数であり、比LD50/ED50として表すことができる。大きな治療指数を示す予防剤及び/又は治療剤は好ましい。毒性副作用を示す予防剤及び/又は治療剤を使用してもよいが、非感染細胞の損傷の可能性を最小限にし、これにより副作用を低減するために、影響を受けた組織の部位に、かかる薬剤を標的化する送達システムを設計するように注意を払うべきである。
さらに、有効量及び投与レジメンは、パーキンソン病、それに関連する障害、歩行問題を伴う状態、又は根底にある疾患若しくは障害の慢性的治療の副作用の管理に関連して、タペンタドール、スタブジン、及び/又はナブメトンのある特定の特徴について本開示を考慮して、当業者が選択してもよい。タペンタドール、スタブジン、及びナブメトンの各々の活性剤としての特徴、及びそれらの有効量は、パーキンソン病、それに関連する障害、歩行問題を伴う状態、又はドパミン作動剤で治療される他の状態における使用のための医薬組成物の製造及び使用に関して以下に説明される。
3.本発明における使用のための医薬組成物
タペンタドール又はその薬学的に有効な塩若しくは誘導体を含む医薬組成物、及びスタブジン、ナブメトン、又はいずれかの薬学的に有効な塩若しくは誘導体を含む医薬組成物を以下に説明する。
タペンタドール含有医薬組成物
本発明における使用のためのタペンタドール含有医薬組成物は、パーキンソン病、関連する障害、又はその症状若しくはその治療と関連付けられる副作用を伴う状態の治療、予防、又は緩和における使用のための活性剤としてのタペンタドールを含む。「タペンタドール」又は「タペンタドール塩酸塩」という用語は、本明細書で使用される場合、商品名「PALEXIA(登録商標)(ポルトガル国立医薬品院(Infarmed);販売許可所有者:Grunenthal社、S.A.)、NUCYNTA(登録商標)(FDA;販売許可所有者:Janssen Pharmaceuticals, Inc.社)、又はTAPAL(登録商標)(インド;販売許可所有者:MSN Labs社)を有し、番号「175591−23−8」により特定された化合物に関する。この治療剤に関する情報は、例えばFDAから、又はDrugbankリスト(http://www.drugbank.ca/drugs/DB06204 (Drugbank, Tapentadol drug entry created on March 19, 2008 10:17; updated on May 23, 2016 02))から見出すことができる。この化合物は、鎮痛剤、特に現在、疼痛がオピオイド鎮痛剤でしか十分に制御することができない場合の成人の中程度〜重度の急性疼痛を鎮めることに適応があるμ−オピオイドアゴニストとして分類される。
タペンタドールは、中枢作用性合成鎮痛剤として説明されている。正確な作用機構は未知である。μ−オピオイド受容体(MOR、μ-opioid receptor)アゴニストとして作用することに加えて、タペンタドールはノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI、norepinephrine reuptake inhibitor)としても作用することが前臨床研究により示されている。動物モデルにおける鎮痛は、この化合物のこれらの活性の両方に由来する(例えばHighlights of Prescribing Information for NUCYNTA(R), Reference ID: 3400040, Janssen Pharmaceuticals, Inc. 2009, revised 2013を参照のこと)。実際に、タペンタドールは、μ−オピオイド受容体(MOR)アゴニズム及びノルアドレナリン再取り込み阻害を含む二重の作用機構のために、細胞外ノルエピネフリン(NE、norepinephrine)レベルの大きな増大をもたらす(例えばhttp://www.drugbank.ca/drugs/DB06204; Drug Bank, tapentadol drug entry created on March 19, 2008 10:17; updated on May 23, 2016 02:34を参照のこと)。例えば、タペンタドールは、ラットの脳内でノルエピネフリンの再取り込みを阻害し、ノルエピネフリン濃度の増大をもたらすことが示されている。前臨床モデルでは、タペンタドールのμ−オピオイド受容体アゴニスト活性のための鎮痛作用は、選択的μ−オピオイドアンタゴニスト(例えばナロキソン)により拮抗することができ、一方でノルエピネフリン再取り込み阻害は、ノルエピネフリン調節剤に感受性である。タペンタドールは、薬理学的活性代謝物を伴わずにその鎮痛効果を発揮する。
タペンタドールは、生物薬剤学分類系で「クラス1」(高浸透性、高溶解性)として指定され、タペンタドール塩酸塩は安定な物質であると考えられている(例えばWHO Expert Committee on Drug Dependence 35th Meeting, Hammamet, Tunisia, 4-8 June 2012, Agenda item 5.2, Tapentadol Pre-Review Reportを参照のこと)。例えば、25℃未満での保存で30カ月間の再試験期間が承認されている。
いくつかの実施形態では、本発明は、1−フェニル−3−ジメチルアミノプロパンであり、以下の構造、式I
を有するタペンタドールを含む方法及び組成物を提供する。また、例えば、Buschmann et al.のUS RE39,593を参照されたく、当該特許はその全体を本明細書に組み込む。タペンタドールは通常、塩酸塩として単離される。また、タペンタドールの他の塩及び/又は形態は、本発明における使用のために想起される。例えば、本発明における使用のための医薬組成物は、タペンタドールの任意の多形体、特に生理学的pH範囲内の任意の自由に溶解できる形態を含む場合があり、例えば水和物及び/又は溶媒和物形態を含む(また、例えば米国特許出願公開第2011/0071120A1号公報で説明されるタペンタドール塩を参照されたく、当該公報はその全体を本明細書に組み込む)。
また、本発明は、タペンタドール塩酸塩の他の形態を企図し、これはその異性体、他の塩、及び他の誘導体を含み、好ましくはここでその誘導体は、パーキンソン病、関連する障害、その症状、又はその治療と関連付けられる副作用についての治療又は予防活性を維持する。タペンタドール誘導体は、例えばトラマドール又は他の構造的に関連するオピオイドアゴニストを含む場合がある。いくつかの実施形態では、誘導体は、μ−オピオイドアゴニズム及びノルアドレナリン取り込みの二重効果を維持する。さらなる実施形態では、この誘導体は、これらの2つの効果の1つのみを維持するか、又は1つを他方より大きな効果で、又は実質的により大きな効果で維持する。例えば、ノルアドレナリン再取り込みに対する効果をμ−オピオイドアゴニズムより大きな程度で維持するタペンタドール誘導体が想起される。
いくつかの好ましい実施形態では、タペンタドール塩酸塩を、現在市販されているタペンタドールの最も低い用量より大きな量、例えば市販されている最も低い用量の1.5、2、2.5、又は3倍、より好ましくは最も低い用量の2.5倍で、本組成物は含み、及び/又は本方法は投与する。より特に好ましい実施形態では、本組成物は、単独の活性成分としてのタペンタドール塩酸塩を、現在市販されているタペンタドールの最も低い用量より大きな量、例えば最も低い用量の1.5、2、2.5、又は3倍、より好ましくは最も低い用量の2.5倍で含む。比較のために、4〜6時間毎に50mgが米国で使用されている最も低い用量である。承認された用量は、4〜6時間毎に50mg、75mg、及び100mgを含み、承認された最大用量は、治療の初日に投与される700mg、及びその後の600mgである。延長放出形式では、推奨される用量は、12時間にわたり50mg、及び最大500mg/日である。
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物はさらにメチルフェニデートを含むか、又は治療方法はさらにメチルフェニデートの投与を含み、一方で他の実施形態では、本組成物はメチルフェニデートを除外するか、又は本治療方法はメチルフェニデートの投与を除外する(例えばRevuelta, et al. "Atomoxetine for the treatment of non-levodopa responsive freezing of gait" MDS 18th International Congress of Parkinson's Disease and Movement Disorders, Stockholm, Sweden June 8-12, 2014; vol. 29, Abstract Supplementを参照のこと)。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物又は治療方法はさらに、1つ又は2つ以上の追加のオピオイドアゴニスト、例えばトラマドール及び/又はモルヒネを含み、他の実施形態では、本組成物又は方法は、トラマドール、モルヒネ、及び/又は他のオピオイドアゴニストを除外する(例えばSamadi et al. "The opioid agonist morphine decreases the dyskinetic response to dopaminergic agents in parkinsonian monkeys" Neurobiol Dis. 2004, 16(1):246-253を参照のこと)。
タペンタドールの有効量
本発明における使用のためのタペンタドール含有組成物は、有効量のタペンタドールを提供するか、又はそれを提供するために投与される。いくつかの実施形態では、タペンタドール構成成分は、例えば経口投与のための錠剤中で、約25mg以下、約50mg以下、約75mg以下、約100mg以下の量で提供され、各々は約25mg以下、約50mg以下、約75mg以下、約100mg以下のタペンタドール塩酸塩を含むか;又はタペンタドール構成成分は、例えば延長放出のための錠剤中で、約25mg以下、約50mg以下、約100mg以下、約150mg以下、約200mg以下、約250mg以下の量で提供され、各々は約25mg以下、約50mg以下、約100mg以下、約150mg以下、約200mg以下、約250mg以下を含む。いくつかの好ましい実施形態では、タペンタドール構成成分は、経口投与のための溶液剤中で提供される。錠剤は、1日1回、1日2回、1日3回、又は好ましくは1日4〜6回投与してもよい。
いくつかの実施形態では、タペンタドール構成成分は、約0.9mg/kg/日以下、より好ましくは約2.8mg/kg/日以下、又は約5mg/kg/日、又は約10mg/kg/日、又は約12mg/kg/日、又は約15mg/kg/日の量で提供される。例えば、約1.5、1.3、1、0.9、0.8、0.5、若しくは0.4mg/kg/日の量、より好ましくは約3、2.9、2.8、2.7、2.5、若しくは2mg/kg/日の量、又は0.5mg/kg/日〜3.0mg/kg/日の範囲内、約1mg/kg/日〜約10mg/kg/日の範囲内、若しくは約3mg/kg/日〜12mg/kg/日の範囲内のいずれかを投与してもよい。いくつかの実施形態では、タペンタドール含有医薬組成物は、製剤当たり、例えばカプセル剤又は錠剤当たり1日の用量を提供し、これは意図される患者集団の平均体重を見積もって、上記に列挙する1日の用量のいずれかを含む。かかる用量はここでもまた、現在使用中の若しくは使用が承認されている用量と比較して、例えば、現在市販されている若しくは使用が承認されている最も低い用量と比較して、同じ若しくは同様の用量を表すか;又は現在使用中の若しくは使用が承認されている用量より低い用量を表し、例えば現在市販されている最も低い用量若しくは現在市販されている最も高い用量の約1/20、1/15、1/10、1/8、1/5、1/4、1/3、若しくは1/2を表す。好ましい実施形態では、タペンタドールの有効量は、現在市販されている最も低い用量とおよそ同じである。
より好ましい実施形態では、タペンタドール構成成分は、例えば経口投与のための錠剤中で、約75mg以上、約100mg以上、約110mg以上、約125mg以上、約135mg以上、約150mg以上、約175mg以上、又は約200mg以上の量で提供され、各々は、約75mg以上、約100mg以上、約110mg以上、約125mg以上、約135mg以上、約150mg以上、約175mg以上、又は約200mg以上のタペンタドール塩酸塩を含み、より好ましくは即時放出製剤中で提供される。かかる用量は、現在使用中の最も低いタペンタドール用量と同じ又はそれを超える用量を表す(例えば、使用される最も低い用量は50mgであり、一方で、700mg/日は承認された最も高い用量である)。
いくつかの実施形態では、タペンタドール構成成分は、単独の活性剤として提供される。いくつかの実施形態では、タペンタドール構成成分は、L−ドーパとの、例えばPDの初期段階又は進行した段階のいずれかで標準のL−ドーパ用量として典型的な量のL−ドーパと組み合わせて提供される。
いくつかの実施形態では、タペンタドール構成成分は、約126mg/日以上、150mg/日、200mg/日、又は250mg/日の有効量を生成する量で提供される。例えば、約100、約115、約120、約125、約130、約140、約150、約175、約200、約225、又は約250mg/日の有効量を提供する量を投与することができる。
いくつかの実施形態では、タペンタドール含有医薬組成物は、製剤当たり、例えばカプセル剤又は錠剤当たり1日の用量を提供し、これは意図される患者集団の平均体重を見積もって、上記に列挙する1日の用量のいずれかを含む。いくつかの実施形態では、タペンタドール含有医薬組成物は、患者が患者のL−ドーパ用量又は別のPD薬物療法の用量と共に各製剤を摂取することができるように、L−ドーパ又は他のPD薬物療法との共投与に適切な製剤当たり、例えばカプセル剤又は錠剤当たり1用量を提供する。例えば、PDの進行した段階にある患者は、レボドパを2、3、又は4回/日摂取する場合があり、本発明における使用のためのタペンタドール含有医薬組成物は、好ましくは患者が患者のL−ドーパ用量を摂取するのと同じ頃に、1日2回、3回、又は4回の投与のために、製剤当たり、例えばカプセル剤若しくは錠剤当たり、又は散剤パケット若しくは溶液剤の容器当たり、1日のタペンタドール用量の2分の1、3分の1、又は4分の1を提供する場合がある。
タペンタドール用量は、現在使用中の若しくは使用が承認されている用量と比較して、例えば、現在市販されている若しくは使用が承認されている最も低い用量と比較して、同じ若しくは同様の用量を表す場合があるか;又は現在使用中の若しくは使用が承認されている用量より高い用量を表し、例えば現在市販されている最も低い用量の約1.1倍、1.5倍、2倍、2.2倍、2.5倍、2.8倍、若しくは3倍;若しくは現在市販されている最も高い用量の約1.1倍、1.5倍、2倍、2.2倍、2.5倍、2.8倍、若しくは3倍を表す。好ましい実施形態では、タペンタドール構成成分の有効量は、現在市販されている最も低い用量の約2.5倍である。
タペンタドールの他の有効量は、本開示に照らして決定することができる。毒性を考慮すると、タペンタドールは、経口投与に際して以下のLD50値:ウサギ3,200mg/kg;マウス300mg/kg;ラット980mg/kgを示し、ここで溶解性は7.80×10e-01g/Lである(例えばhttp://www.drugbank.ca/drugs/DB06204; Drug Bank, tapentadol drug entry created on March 19, 2008 10:17; updated on May 22, 2016 02:34を参照のこと)。タペンタドールは血液脳関門を通過するので、血液脳関門内のタペンタドール濃度は、その血中濃度を直接反映することに留意すべきである(例えばhttp://www.hc-sc.gc.ca/dhp-mps/prodpharma/sbd-smd/drug-med/sbd_smd_2011_nucynta_cr_133167-eng.php (Summary basis of Decision (SBD) for NNUCYNTA(TM) CR, Health Canada, Date Modified: 2011-04-26)を参照のこと)。また、タペンタドールは、胎盤血液関門を通過するが、それはより少ない程度である。
毒性を考慮すると、静脈内(IV、intravenous)投与で、集団の50%に致死的な用量(LD50)は、ラットで45mg/kg、及びマウスで47mg/kgであった。死亡原因は、呼吸抑制及び痙攣であった。繰返し用量毒性結果は、タペンタドールの慢性的毒性効果が、中枢神経系に対する薬理学的効果の悪化と一致することを示した。慢性的タペンタドール投与を受けた全ての動物種において、肉眼で見える肝臓肥大、及び顕微鏡で見える肝臓肥大の両方が存在した。肝臓の拡張はおそらく、タペンタドールの一貫した高い代謝ロードに対する適応応答であった。また、調べた肝臓代謝酵素の活性の増大があった。経口投与での52週間のイヌ研究では、タペンタドールの薬理学的効果の悪化は、30mg/kgで観察された。ラットでは、ヒトの治療用量よりわずかに高いタペンタドール用量範囲で痙攣が観察された。タペンタドールは、ラットにおいて6mg/kg 静脈内投与で前痙攣効果の疑いがある。QT延長は、イヌにおいて80及び120mg/kg用量群で観察された。この効果は経時的に減少又は消散することが観察された。
タペンタドールの濃度と効力との関係を考慮すると、鎮痛のためのタペンタドールの最小有効血漿濃度は、患者間で、特にオピオイドアゴニストで以前に治療された患者間で広く変動する。濃度と有害経験との関係を考慮すると、オピオイド血漿濃度の増大と、吐き気、嘔吐、CNS効果、及び呼吸抑制等の有害経験の頻度の増大との間に一般的関係がある(例えばHighlights of Prescribing Information for NUCYNTA(R), Reference ID: 3400040, Janssen Pharmaceuticals, Inc. 2009, revised 2013を参照のこと)。
また、ADME(生体内の医薬化合物の動態を説明している「吸収(absorption)、分布(distribution)、代謝(metabolism)及び排泄(excretion)」)は、タペンタドールを用いる適切な有効量及び投与量レジメンの処方で考慮されるべきである。例えば、本開示及びタペンタドール薬物動態についての本分野の知識に照らして、有効量は決定される(例えばSummary basis of Decision (SBD) for NNUCYNTA(TM) CR, Health Canada, Date Modified: 2011-04-26を参照のこと)。
経口投与後の吸収を考慮すると、タペンタドールは、研究した全ての動物モデル(イヌ、マウス、及びラット)で完全に吸収されるように見えたが、しかしながら、バイオアベイラビリティは、高効率の肝臓クリアランスのためにイヌ及びラットで低かった。吸収をさらに考慮すると(例えばHighlights of Prescribing Information for NUCYNTAR, Reference ID: 3400040, Janssen Pharmaceuticals, Inc. 2009, revised 2013及びhttp://www.drugbank.ca/drugs/DB06204 (Drug Bank, Tapentadol drug entry created on March 19, 2008 10:17; updated on May 21, 2016 02:34)を参照のこと)、単回用量投与(絶食)後の平均絶対バイオアベイラビリティは、大規模な初回通過代謝の結果約32%である。タペンタドールの最大血漿濃度は典型的に、投与後約1.25時間で観察される。タペンタドールのCmax及びAUC値の用量比例増大は、50〜150mg用量範囲にわたり観察されている。75〜175mgの範囲のタペンタドール用量での多用量(6時間毎)研究は、親薬物について1.6、及び主要な代謝物タペンタドール−O−グルクロニドについて1.8の平均濃縮係数を示し、これらは主としてタペンタドール及びその代謝物の投与間隔及び明らかな半減期により決定される。バイオアベイラビリティ、即時放出(IR,immediate release)、86mg:32%;バイオアベイラビリティ、延長放出(ER,extended release)、86mg:32%を考慮すると、Cmax、IR:64.2ng/mL;Cmax、ER:22.5ng/mL;Tmax、IR:1.5時間;Tmax、ER:5.0時間。タペンタドールは、多数の繰返し用量後に蓄積する。食物効果に関して、タペンタドールを高脂肪、高カロリー朝食後に投与した場合、AUC及びCmaxは、それぞれ25%及び16%増大し、したがって、食物を伴って、又は食物を伴わずに与えることができる。
ラットにおける分布を考慮すると、タペンタドールは、広く分布した。静脈内投与後、タペンタドールの分布容積(Vz,volume of distribution)は、540+/−98Lである。血漿タンパク質結合は低く、総計約20%である。タペンタドールは、血液脳関門を通過し、胎盤血液関門をより少ない量で通過した。血液脳関門内のタペンタドール濃度は、その血中濃度を直接反映した。その主な代謝物、タペンタドール−O−グルクロニドは、血液脳関門に対するより低い浸透性を有したものの、蓄積し、より遅い移行機構を示唆した。血漿タンパク質結合は、ヒトを含む試験した全ての種で15〜20%と低かった。タペンタドールは、セピア色メラニンに対して25〜50%のより高い結合を有した。
代謝を考慮すると、タペンタドールは、ウリジン5’−ジホスホ−グルクロノシルトランスフェラーゼ(UDP−UGT,uridine 5'-diphospho-glucuronosyltransferase)系を介してタペンタドール−O−グルクロニドに大規模に代謝された。UGTイソ酵素は、親薬物及びまた非グルクロン酸抱合中間代謝物の多くを抱合する。酸化は、よりマイナーな代謝経路であった。肝臓ミクロソーム薬物代謝酵素の阻害及び誘発についての研究は、タペンタドールがシトクロムP450(CYP,cytochrome P450)イソ酵素に全く効果を有しないことを示した。
ヒトにおける代謝及び排出をさらに考慮すると、タペンタドールの親化合物の約97%が代謝される。タペンタドールは主に相2経路を介して代謝され、少量のみが相1酸化経路により代謝される。タペンタドール代謝の主な経路は、グルクロン酸との抱合であり、グルクロニドを生成する。経口投与後、用量の約70%(55%O−グルクロニド及び15%タペンタドール硫酸塩)が、抱合形態で尿中に排泄される。薬物の全部で3%が、無変化の薬物として尿中に排泄された。タペンタドールはさらに、CYP2C9及びCYP2C19によりN−デスメチルタペンタドール(13%)に、並びにCYP2D6によりヒドロキシタペンタドール(2%)に代謝され、これらは抱合によりさらに代謝される。それゆえ、シトクロムP450系により代謝される薬物代謝は、相2抱合ほど重要でない。どの代謝物も、鎮痛作用に寄与しない(全ての代謝物は、不活性であるように見える)。
排泄を考慮すると、抱合されたタペンタドールは、主として尿を介して、及び便中にもっとより少ない程度で、排出された。排出をさらに考慮すると、タペンタドール及びその代謝物は、ほとんど排他的に(99%)腎臓を介して排泄される。約70%(55%O−グルクロニド及び15%タペンタドール硫酸塩)は、抱合形態で排泄される。薬物の全部で3%が、無変化の薬物として尿中に排泄された。排出半減期は、平均で経口投与後4時間である。全クリアランスは、1530+/−177mL/分である。
ADME及び老人病患者に関して、タペンタドールへの平均曝露(AUC)は、若い成人と比較して年配の対象で同様であり、若い成人対象と比較して年配の対象群で16%低い平均Cmaxが観察された。腎機能障害を有する患者については、タペンタドールのAUC及びCmaxは、様々な程度の腎機能(正常〜重度の機能障害)を有する対象において同等であった。対照的に、タペンタドール−O−グルクロニドへの曝露(AUC)の増大は、腎機能障害の程度の増大と共に観察された。軽度の(CLCR=50mL/分〜80mL/分未満)、中程度の(CLCR=30mL/分〜50mL/分未満)、及び重度の(CLCR=30mL/分未満)腎機能障害を有する対象において、タペンタドール−O−グルクロニドのAUCは、正常な腎機能と比較して、それぞれ、1.5、2.5、及び5.5倍高かった。
肝機能障害を有する患者について、タペンタドールの投与は、正常な肝機能を有する対象と比較してより高い曝露及び血清レベルをもたらす場合がある。正常な肝機能群と比較した、軽度の肝機能障害群(チャイルド・ピュースコア5〜6)及び中程度の肝機能障害群(チャイルド・ピュースコア7〜9)についてのタペンタドール薬物動態パラメータの比は、AUCについて、それぞれ1.7及び4.2であり、Cmaxについて、それぞれ1.4及び2.5であり、t1/2について、それぞれ1.2及び1.4であった。タペンタドール−O−グルクロニドの形成速度は、増大した肝機能障害を有する対象においてより低かった。
有効量の決定において、また、タペンタドール薬物動態についての臨床研究が考慮される。吸収について、タペンタドールの最大血清濃度(Cmax)は、タペンタドールCRの投与後3〜6時間で観察された。50〜250mgの範囲にわたる単回用量としての制御放出タペンタドール(「タペンタドールCR」,controlled release tapentadol)の投与後に、薬物曝露[曲線下面積(AUC,area under the curve)値]の用量比例増大が観察された。単回用量交差比較バイオアベイラビリティ研究により、健康な対象におけるタペンタドールCR250mg錠剤に対する食物の効果を評価した。提供されるデータは、250mg錠剤のバイオアベイラビリティに対して食物による顕著な効果がないことを示す。
分布について、分布容積結果(540±98L)は、タペンタドールが体全体にわたり広く分布したことを示す。タペンタドールの血漿タンパク質結合は、約20%で低かった。代謝について、タペンタドールは、肝臓で大規模に代謝された。主な代謝経路は、タペンタドール−O−グルクロニドを主な抱合物とするグルクロン酸抱合であった。タペンタドールは、臨床薬学的代謝に関連するCYPイソ酵素に対して阻害活性を全く示さなかった。タペンタドールは、CYPイソ酵素の顕著な誘発を示さなかった。
排泄について、タペンタドール及びその代謝物は、主として腎臓を介して排泄された。100mgの放射標識タペンタドールの単回経口用量を投与した4人の健康な男性において、Cmaxは1.25〜1.5時間であり、抱合タペンタドール/非抱合タペンタドールの比は24:1であり、抱合体への曝露は全体の約64%であり、全用量の95%は24時間以内に排泄され、その99%は尿を介した。尿中に排泄された関連化合物のうち、3%は親薬物であり、69%は抱合形態であり、27%は他の形態の代謝物であった。全薬物の約1%は便中に排泄された。平均して、薬物の99.9%は5日で回収された。本発明の方法における使用のためのタペンタドールの他の有効量を決定するために用量滴定を用いることにより、個体内変動性を修正することができる。
スタブジン含有医薬組成物
本発明における使用のためのスタブジン含有医薬組成物は、パーキンソン病、関連する障害、又はその症状を伴う状態における使用のための活性剤としてスタブジンを含む。「スタブジン」という用語は、本明細書で使用される場合、商品名「Actastav(Actavis)」(Ai Fu Ding社、Wujing Medicine社);「Avostav」(Ranbaxy Laboratories社);「Estavudox」(Biotoscana社);「Exvihr」(Biogen社);「Flamistav」(Flamingo Pharmaceuticals社);「Landstav」(Landsteiner社);「Lion」(Filaxis社);「Mai Si Ting」(Meijisi Pharmaceutical社);「S.T.V.」(Ivax社);「Sazi」(NEGPF社);「Stadine」(Stadine社);「Stag」(Hetero社);「Stamar」(LKM社);「Stavex」(Aurobindo社);「Stavir」(Cipla社);「Stavubergen」(Paylos社);又は「Zerit」(Bristol-Myers Squibb社)を有する化合物に関する。また、スタブジンは、番号「3056−17−5」により特定されている。この治療剤についての情報は、例えばFDA、及びhttp://www.lookchem.com/newsell/search.aspx?key=Stavudine&classid=49&p=1(Look Chem, Stavudine Organic Chemicals)、EMPを通して;又はDrugbankリスト(http://www.drugbank.ca/drugs/DB00649 (Drug Bank, stavudine drug entry created on June 13, 2005 07:24; updated May 23, 2016 03:36))から見出すことができる。
スタブジンは、以下の構造、式II:
により表される。また、本発明は、本発明における使用のためのスタブジンの他の形態を企図し、これはその異性体、他の塩、及び他の誘導体を含み、好ましくはここでこの誘導体はパーキンソン病、関連する障害、又はその症状についての治療又は予防活性を維持する。
スタブジンは、抗ウイルス薬、特にヒト免疫不全ウイルス(HIV,human immunodeficiency virus)に感染した成人及び小児を治療するための他の抗ウイルス薬物と組み合わせた使用のための抗ウイルス薬として分類される。スタブジンは、天然基質dGTPと競合すること、及びウイルスDNAに組み込まれることの両方により、HIV−1逆転写酵素(RT,reverse transcriptase)の活性を阻害することが説明されている。したがって、スタブジンは、HIVにより生成されてウイルスが体内の細胞に感染し、複製することを可能にする酵素である逆転写酵素の活性をブロックするヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI,nucleoside reverse-transcriptase inhibitor)として分類されている。この酵素をブロックすることにより、スタブジンは、例えば他の抗ウイルス薬物と組み合わせて、血中のHIV量を低減させ、低レベルに保つ。例えばEuropean Medicines Agency, Science Medicines Health, Zerit (stavudine) last updated on Februay 11, 2016を参照のこと。
スタブジンの有効量
本発明における使用のためのスタブジン含有組成物は、有効量のスタブジンを提供するか、又はそれを提供するために投与される。いくつかの実施形態では、スタブジンを含む本発明における使用のための医薬組成物は、特に小児への投与のための、経口溶液剤中に製剤化される。好ましい実施形態では、経口溶液剤は、約1mg/mL以下のスタブジンの用量で投与される。いくつかの実施形態では、スタブジンを含む医薬組成物は、経口溶液剤の調製における使用のための散剤に製剤化される。好ましい実施形態では、約200mg以下の散剤のパケットを使用することができる。いくつかの実施形態では、スタブジンを含む医薬組成物は、延長放出のためのカプセル剤に製剤化される。
いくつかの実施形態では、スタブジンを含む医薬組成物は、経口投与のためのカプセル剤に製剤化される。好ましい実施形態では、カプセル剤は、約15mg以下、約20mg以下、約30mg以下、又は約40mg以下のスタブジンを含む。かかる用量は、現在市販されている使用中の又は使用が承認されている量より少ない量を表す。例えばhttp://www.drugs.com/pro/stavudine-oral-solution.html (Stavudine Oral Solution, Drugs.com. 2016)を参照のこと。比較として、成人では、60kg未満の体重の患者に12時間毎に30mgの用量が推奨されており、60kg超の体重の患者に12時間毎に40mgの用量が推奨されており、以下により詳細に説明する。
いくつかの実施形態では、スタブジン構成成分は、約0.9mg/kg/日以下、より好ましくは0.3mg/kg/日以下の量で提供される。例えば、約1.5、1.3、1、0.9、0.8、0.5、又は0.4mg/kg/日の量が投与され、より好ましくは約0.5、0.4、0.3、又は0.2mg/kg/日の量が投与される。いくつかの実施形態では、スタブジン含有医薬組成物は、製剤当たり、例えばカプセル剤若しくは錠剤当たり、又は散剤パケット若しくは溶液剤の容器当たり1日の用量を提供し、これは意図される患者集団の平均体重を見積もって、上記に列挙する1日の用量のいずれかを含む。かかる用量はここでもまた、現在使用中の若しくは使用が承認されている用量と比較して、例えば、現在市販されている若しくは使用が承認されている最も低い用量と比較して、同じ若しくは同様の用量を表すか;又は現在使用中の若しくは使用が承認されている用量より低い用量を表し、例えば現在市販されている最も低い用量の約1/20、1/15、1/10、1/8、1/5、1/4、1/3、若しくは1/2を表す。好ましい実施形態では、スタブジンの有効量は、現在市販されている最も低い用量とおよそ同じである。
他の適切な有効量及び投与量レジメンは、本開示及びスタブジンの特徴を考慮して、当業者が選択することができる。その浸透性及び溶解性について、スタブジンのある特定の形態は、低浸透性及び高溶解性を有するクラスIII生物製剤として分類されており、その吸収は浸透速度により制限されるが、薬物は非常に速く溶媒和化される。スタブジンの他の形態は、高浸透性及び高溶解性を有するクラスI生物製剤として分類されている。これらの化合物は、十分に吸収され、それらの吸収速度は通常、排泄より高い(例えばWHO Prequalification of Medicines Programme, “General notes on Biopharmaceuticals Classification System (BCS)-based biowaiver applications” Guidance Document, October 2012を参照のこと)。
スタブジンの薬量学について、使用のための用量は、患者の年齢及び体重に基づいて計算することができる。例えば、60kg未満の体重の成人及び30kg超の体重の小児は、約30mg未満の用量を摂取してもよく、60kg超の成人は、約40mg未満を摂取してもよい。14日齢超の小児は、30kg超の体重でない限り、体重1キログラム当たり1mg以下を受容してもよい。13日齢未満の赤ちゃんには、体重1kg当たり約0.5mg未満を与えることができる。成人では、体重に基づいて推奨される用量は、60kg以上の患者について約40mg未満、1日2回;60kg未満の患者について約30mg未満、1日2回を含む場合がある。小児患者では、推奨される用量は、生後〜13日齢までの新生児について、例えば12時間毎に、約0.5mg/kg/用量未満;及び少なくとも14日齢で30kg未満の体重の小児患者について、例えば12時間毎に、約1mg/kg/用量未満を含む場合があり;30kg超の体重の小児患者は推奨される成人投与量を受容してもよい。
いくつかの好ましい投与量レジメンでは、スタブジンを含む医薬組成物は、食事に関係なく、約12時間毎に投与される。さらにより好ましい実施形態では、スタブジンを含む医薬組成物は、短期間使用され、全治療経過が短い。
また、スタブジンを用いた適切な有効量及び投与量レジメンの処方において、毒性を考慮するべきである。スタブジンのLD50は、以下の通りである。ラットにおける経口投与について4,000mg/kg;ラットにおける静脈内投与 1,200mg/kg(例えばhttp://www.lookchem.com/newsell/search.aspx?key=Stavudine&classid=49&p=1 (Look Chem, Stavudine Organic Chemicals)を参照のこと);ラット急性毒性 1,7802 LD50、モル/kg(例えばhttp://www.drugbank.ca/drugs/DB00649(Drug Bank, stavudine drug entry created on June 13, 2005 07:24; updated May 23, 2016 03:36)を参照のこと);イヌにおける静脈内投与 1,680mg/kg;イヌにおける経口投与 2,000mg/kg;マウスにおける静脈内投与 1,000mg/kg;及びマウスにおける経口投与 1,000mg/kg。
また、スタブジンを用いた適切な有効量及び投与量レジメンの処方において、ADMEを考慮するべきである。ピーク血漿濃度(Cmax)及び血漿濃度−時間曲線下面積(AUC)は、0.03〜4mg/kgの範囲の単回用量及び多数回用量両方の後に用量に比例して増大した。それにもかかわらず、6、8、又は12時間毎の繰返し投与でスタブジンの顕著な蓄積はなかった。吸収を考慮すると、経口バイオアベイラビリティ(%)は、86.4±18.2であり、ヒト小腸吸収(p=0.9889)。経口投与後、スタブジンは急速に吸収され、ピーク血漿濃度は投与後1時間以内に起こる。スタブジンへの全身曝露は、カプセル剤又は溶液としての投与後、同じである。例えばHIV感染成人における、スタブジンの定常状態薬物動態パラメータ(ZERIT40mg BID平均値±SD(n=8))は、2568±454のAUC(ng・時間/mL)(0〜24時間);536±146のCmax(ng/mL);及び8±9のCmin(ng/mL)を含む。
分布を考慮すると、スタブジンの1時間静脈内点滴後の分布容積(L)は46±21であり;タンパク質結合はごくわずかであり;半減期は0.8〜1.5時間であり(成人で);血液脳関門の通過がある(確率=0.9381)。血清タンパク質へのスタブジンの結合は、0.01〜11.4μg/mLの濃度範囲にわたりごくわずかであり;スタブジンは、赤血球と血漿との間で均等に分布する。スタブジンはタンパク質結合性ではないので、タンパク質結合薬物の薬物動態に影響を及ぼすとは予想されない。
代謝を考慮すると、スタブジンは、主なシトクロムP450イソ型CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、及びCYP3A4を阻害するとは考えられず、そのため、これらの経路を通して代謝される薬物との臨床的に顕著な薬物相互作用が起こることはないようである。スタブジンは、細胞内でリン酸化されてスタブジン三リン酸になり、これはHIV逆転写酵素の活性基質である(すなわち、プロドラッグ)。さらに、CYP450阻害性は低い(p=0.9445)。
hERG阻害について(予測子I)、スタブジンは弱い阻害剤である(p=0.9413)。hERG阻害について(予測子II)、スタブジンは非阻害剤である(p=0.9375)。hERG(human Ether-a-go-go-Related Gene)は、カリウムイオンチャネルのアルファサブユニットであるKv11.1として知られるタンパク質をコードする遺伝子(KCNH2としても知られる)である。このイオンチャネル(ときには単に「hERG」と表される)は、心臓の鼓動を調整する心臓の電気的活動へのその寄与について最もよく知られている(すなわち、hERGチャネルは、心筋活動電位のIKr電流の再分極を仲介する)。細胞膜を介して電流を伝導するこのチャネルの能力が、薬物の適用又はいくつかの家族の稀な突然変異のいずれかにより、阻害されるか、又は損なわれる場合、それはQT延長症候群と呼ばれる潜在的に致命的な障害をもたらす場合がある。いくつかの臨床的に成功した市販薬物は、hERGを阻害し、副作用として、付随する突然死のリスクを創出する傾向を有し、このため、hERG阻害は、薬物開発中に避けられるべき重要な反標的になった。例えばHedley et Al. (2009) "The genetic basis of long QT and short QT syndromes: a mutation update" Hum. Mutat. 30(11):1486-1511を参照のこと。
ヒトにおける排出を考慮すると、腎排出は、投与経路にかかわらず、全体のクリアランスの約40%を占める。平均腎クリアランスは、平均内因性クレアチニンクリアランスの約2倍であり、糸球体濾過に加えて能動尿細管分泌を示す。薬物の残りの60%は、おそらく内因性経路により排出される。80mgPOを受容した健康な対象は、272mL/分の腎クリアランスを示す。HIV感染成人及び小児患者は、1時間静脈内点滴後に594+/−164mL/分を示す。HIV曝露又は感染小児患者(5週齢〜15歳)は、1時間静脈内点滴後に0.75+/−3.76mL/分/kgを示す。一般的に、1時間静脈内点滴後の全身クリアランス(mL/分)は594±164であり;単回経口用量後の見かけの経口クリアランス(mL/分)は560±182cであり(70kgの体重を仮定して);1時間静脈内点滴後の腎クリアランス(mL/分)は237±98であり;1時間静脈内点滴後の静脈内用量排出半減期(時間)は1.15±0.35であり;単回経口用量後の経口用量排出半減期(時間)は1.6±0.23であり;1時間静脈内点滴後及び12〜24時間にわたるスタブジンの尿中回収(用量の%)は42±14である。小児薬物動態パラメータ、腎機能障害における薬物動態、及び肝機能障害における薬物動態について、例えばhttp://www.druglib.com/druginfo/zerit/description_pharmacology/ (Drug Information Portal, Zerit (Stavudine) - Description and Clinical Pharmacology, DrugLib.com, 2006-2015)を参照のこと。
薬物相互作用を考慮すると、ジドブジンは、スタブジンの細胞内リン酸化を競合的に阻害する。同様の考慮は、ドキソルビシン及びリバビリンについてなされ得る。
ナブメトン含有医薬組成物
本発明における使用のためのナブメトン含有医薬組成物は、パーキンソン病、関連する障害、又はその症状を伴う状態における使用のための活性剤としてナブメトンを含む。「ナブメトン」という用語は、本明細書で使用される場合、商品名「Relafen」、「Relifex」、及び「Gambaran」を有する化合物に関する。この治療剤についての情報は、例えばFDAを通して見出すことができる。
いくつかの実施形態では、ナブメトンは、以下の構造、式III:
により表される。また、本発明は、本発明における使用のためのナブメトンの他の形態を企図し、これはその異性体、他の塩、及び他の誘導体を含み、好ましくはここでこの誘導体は、パーキンソン病、関連する障害、又はその症状について治療又は予防活性を維持する。
本化合物は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID,nonsteroidal anti-inflammatory drug)として分類され、骨関節炎及び慢性関節リウマチの急性及び慢性症状のために使用される。ナブメトンは、劣ったCOX−2阻害剤として説明されてきた。親化合物はプロドラッグであり、これは肝生体内変換を受けて活性構成成分、6−メトキシ−2−ナフチル酢酸(6MNA)になり、これはプロスタグランジン合成の強い阻害剤であり、それはCOX−2及びCOX−1受容体への結合による可能性が高い。例えばSanchez-Pernaute, et al. "Selective COX-2 inhibition prevents progressive dopamine neuron degeneration in a rat model of Parkinson's disease", 2004, Journal of Neuroinflammation 1:6、及びTeismann et al. "COX-2 and neurodegeneration in Parkinson's disease", 2003, Ann N Y Acad Sci. 991:272-277を参照のこと。また、それは、クラスII生物製剤として特徴付けられる。
いくつかの実施形態では、ナブメトンを含む本発明における使用のための医薬組成物は、Lamensdorf et al.の国際公開第2009/147681A1号パンフレット(Pharma Two B Ltd社)で説明される活性剤への1つ又は2つ以上を含まない。
ナブメトンの有効量
本発明における使用のためのナブメトン含有組成物は、有効量のナブメトンを提供するか、又はそれを提供するために投与される。いくつかの実施形態では、ナブメトンを含む医薬組成物は、錠剤、例えば経口投与のための錠剤として製剤化される。好ましい実施形態では、この錠剤は、約500mg以下、約600mg以下、約700mg以下、又は約750mg以下のナブメトンを含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、好ましくは就寝前に経口で、約1,000mg以下の初回用量を提供するように投与される。いくつかの実施形態では、本組成物は、好ましくは経口で、約1,500〜2,000mg以下の継続用量を、1日当たり1回又は2回に分けた用量で提供するように投与される。かかる用量は、市販されている使用中の又は使用が承認されている用量未満の用量を表す。
他の適切な有効量及び投与量レジメンは、本開示及びナブメトンの特徴を考慮して、当業者が選択することができる。血液脳関門浸透性を考慮すると、ナブメトンは浸透性である。
薬物動態について、年配の患者における定常状態血漿濃度は、若い健康な対象より概して高く、ナブメトンは胃腸管から十分に吸収される。それは、急速な生体内変換を受けて、主要な活性代謝物、6−メトキシ−2−ナフチル酢酸(6MNA)になる。1,000mgのナブメトン経口用量の約35%は6MNAに変換され、50%は未特定代謝物に変換され、これらは続いて尿中に排泄される。6MNAは血漿タンパク質に99%超結合する。1,000mgのナブメトンの投与後、典型的に達成される濃度は0.2〜0.3%である。1,000〜2,000mgの投与量の経口投与後、定常状態までの、6MNAの平均血漿クリアランスは20〜30mL/分であり、排出半減期は約24時間である。
4.組合せ医薬組成物
本発明の別の態様は、2つ以上の活性剤を含む医薬組成物、及び2つ以上の活性剤を投与することを含む治療方法を提供する。特定の実施形態では、本発明は、タペンタドール又はその薬学的に有効な塩若しくは誘導体の両方を、パーキンソン病又は関連する障害を治療することが知られる薬剤、及びパーキンソン病又は関連する障害を治療することが知られる薬剤の誘導体と組み合わせて含む、医薬組成物に関する。パーキンソン病又は関連する障害を治療することが知られる薬剤として、ドパミン作動剤、例えばドパミンアゴニスト及びレボドパが挙げられる。特に好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、タペンタドール構成成分及びドパミン作動剤、例えばL−ドーパの両方を含む。
いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、タペンタドール構成成分としてタペンタドール塩酸塩を含む。好ましい実施形態では、タペンタドール(例えばタペンタドール塩酸塩)は、現在入手可能なタペンタドールカプセル中に見られる量と同じ、同様の、又はそれより多い量で提供される。より好ましい実施形態では、タペンタドールは、現在市販されているタペンタドールの最も低い用量より多い量、例えば市販されている最も低い用量の1.5、2、2.5、又は3倍、より好ましくは最も低い用量の2.5倍で存在する。米国で最も低いタペンタドール用量は、例えば50mgである。適切な用量は、ドパミン作動剤、例えばレボドパを含む、パーキンソン病又は関連する障害を治療することが知られる薬剤と組み合わせて製剤化される。
レボドパは、本明細書中で「L−DOPA」、「L−ドーパ」等の用語と相互変換可能に使用され、ドパミンの前駆体を指す。この前駆体は血液脳関門を通過することができるが、一方でドパミンそれ自体は通過することができない。中枢神経系において、レボドパは、芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼによりドパミンに代謝され、これにより脳内のドパミンレベルを増大させる。いくつかの実施形態では、L−ドーパを含む医薬組成物は、末梢組織におけるドパミン合成を妨げるための、末梢デカルボキシラーゼ阻害剤、例えばカルビドパ若しくはベンセラジド、及び/又はカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT,catechol-O-methyl transferase)阻害剤、例えばトルカポン若しくはエンタカポンをさらに含む。レボドパは典型的に、カルビドパ及びエンタカポンと組み合わせて製剤化される。好ましい実施形態では、L−ドーパは、カルビドパを伴う若しくは伴わない、及び/又はエンタカポンを伴う若しくは伴わない、タペンタドールと組み合わせて投与される。
レボドパは現在、PDの症状を鎮めるため、振戦、硬直、及び緩慢さを低減させることを補助するため、並びに筋肉制御、平衡、及び歩きを改善することを補助するために使用されている。しかしながら、レボドパは、すくみ、認知症、又は不随意機能の問題、例えば便秘、泌尿器問題、不能症、若しくは痛みに影響を及ぼさない。また、レボドパは、疾患進行を遅延しないが、筋肉の動きを改善し、重度の障害を遅延し、疾患の全ての段階で使用することができる。それにもかかわらず、レボドパを摂取する人の大多数が、5〜10年以内に長期レボドパ療法により引き起こされる合併症を発症する。運動障害と呼ばれる動作の問題は、最も一般によくあり、対処困難な合併症である。
さらに、例えば進行したPD又は関連する障害を有する患者における、慢性L−ドーパ療法後、L−ドーパが切れ、運動症状が予測不可能になる。PDの初期では、L−ドーパは典型的に有効であり、1回の用量から次の用量まで実質的に均一な結果を有する。それにもかかわらず、効果が、例えばL−ドーパ療法開始後約2〜約5年で、ときにはもっと早く、徐々に弱まることは、かなりよくあることである。PD患者のほぼ50%が数年以内にウェアリング・オフの症状を発症し、ほぼ90%がL−ドーパ治療開始15年後にウェアリング・オフの症状を発症する。ウェアリング・オフの症状は、レボドパの効果を延長する活性医薬成分を含有する製品で、又は他の形態の治療でレボドパを補充することにより、治療することができる。
パーキンソン病又は関連する障害を治療することが知られる他の薬剤として、例えばドパミンアゴニスト、例えばプラミペキソール(Mirapex)、ロピニロール(Requip)、ロチゴチン(パッチとして与えられる、Neupro)、及びアポモルフィン(Apokyn)が挙げられる。パーキンソン病又は関連する障害を治療することが知られるさらなる薬剤として、例えばモノアミンオキシダーゼB(MAO−B,monoamine oxidase B)阻害剤、例えばセレギリン(Eldepryl、Zelapar)及びラサギリン(Azilect);カテコールO−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、例えばエンタカポン(Comtan)及びトルカポン(Tasmar);抗コリン系薬物療法、例えばベンズトロピン(Cogentin)又はトリヘキシフェニジル;並びにアマンタジンが挙げられる。
ラサギリン(Azilect、AGN 1135)は、初期PDで単独療法として、又はより進行した場合に補助療法として使用されるモノアミンオキシダーゼの不可逆的阻害剤である。最近、FDAは、AZILECT(登録商標)(ラサギリン錠剤)の効能を、単独療法及びレボドパ(LD)の補助剤から、現在はドパミンアゴニスト(DAs,dopamine agonists)の補助剤を含むように拡大した。ラサギリンの経口バイオアベイラビリティは35%であり、0.5〜1.0時間後にT(max)に達し、1.5〜3.5時間の半減期を有する。ラサギリンは、主としてシトクロムP450タイプ1A2(CYP1A2)による大規模な肝臓代謝を受ける。ラサギリンは、初期PD患者における単独療法として1日1回1mg用量で開始され、進行したPD患者ではレボドパの補助剤として1日1回0.5〜1.0mgである。
ラサギリンに加えて、又はラサギリンの代わりに、神経保護療法で使用される任意の薬剤は、本発明の医薬組成物と組み合わせて使用することができる。神経保護療法は、疾患修飾療法とも呼ばれ、疾患進行を遅延し、ブロックし、又は回復させることを目的とし、根底にあるドパミンニューロンの喪失を遅延する療法として定義することができる。この保護は、遺伝的リスクに基づいて任意の症状が現れる前に、及びまた初期又は後期段階PD中に疾患の進行の結果他の治療が影響を及ぼさなくなったときに、行うことができる。したがって、神経保護療法は、運動障害のような望ましくない運動症状を遅延するために、レボドパの導入を遅延するか、又はその投与量を減少させるよう努める。現在、PDに使用可能な、証明された神経保護剤又は治療はない。現在治験中の薬剤の1つは、イスラジピンである。
イスラジピン(DynaCirc(登録商標)CR)は、既に高血圧を治療するために使用されている、カルシウムチャネルブロッカーと呼ばれる薬物のクラスのうちの1つである。2014年10月の時点で、それは神経保護候補物質としてCTのフェーズIIIにある(http://clinicaltrials.gov/show/NCT02168842)。
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、スタブジン及び/又はナブメトンをレボドパと組み合わせて、又はレボドパ及びタペンタドールと組み合わせて含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、現在市販されているタペンタドールの最も低い用量と同じ又は同様の量のタペンタドール塩酸塩を、現在市販されているスタブジンの最も低い用量と同じ又は同様の量のスタブジンと組み合わせて、好ましくはさらにレボドパと組み合わせて含む。
組合せ医薬組成物の有効量
本発明は、いくつかの実施形態では、例えばドパミン作動剤での根底にある疾患又は障害の慢性的治療の副作用を緩和するために、パーキンソン病、関連する障害、歩行問題を伴う状態、又はドパミン作動剤で治療される他の状態のための治療及び/又は予防効能における組合せ療法を提供する。本発明における使用のための医薬組成物は、かかる疾患、障害、又は状態を対象とする2つ以上の活性剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、異なる活性剤のうちの1つ又は2つ以上は、同じ又は別々の製剤中で共投与され、ここでこの活性剤は有効量で存在する。2つ以上の標的を同時に対象とする治療剤は、ただ1つの標的を対象とする治療剤の使用と比較して、又はさらには、各々が単一の標的を対象とする異なる治療剤の組合せの使用と比較して、改善された、又は場合によっては相乗的な利益をもたらす、例えば、慢性的若しくは長期の使用での改善された効力を含む改善された効力、低減した副作用、有効量の量の低減、又は他の予測不可能な利益をもたらすという証拠が蓄積されつつある。
いくつかの実施形態では、タペンタドールは、治療又は予防有効量で提供される活性剤の組合せの1つである。いくつかの好ましい実施形態では、タペンタドール構成成分は、パーキンソン病若しくは関連する障害を治療することが知られる別の活性剤、又はパーキンソン病若しくは関連する障害を治療することが知られる薬剤の誘導体、例えばドパミン作動剤、例えばレボドパと組み合わせて、約126mg/日以上の量で提供される。例えば、1日当たり1、2、3、4、5、又は6回の約75mg、約100mg、約110mg、約125mg、約135mg、約150mg、約175mg、又は約200mgのタペンタドールの量を、パーキンソン病又は関連する障害を治療するための別の活性剤、例えばドパミン作動剤、好ましくはレボドパと組み合わせて、投与することができる。タペンタドール構成成分は好ましくは、タペンタドール塩酸塩であり、及び/又はこの医薬組成物は好ましくは、即時放出製剤である。
他の実施形態では、タペンタドールの上記の量は、所与の医薬組成物中で単独活性剤として提供することができる。
いくつかの実施形態では、タペンタドールの上記の量は、ドパミン作動剤、例えばレボドパと組み合わせて提供される。レボドパは典型的に、カルビドパ及びエンタカポンと組み合わせて製剤化される。好ましい実施形態では、L−ドーパは、カルビドパを伴う若しくは伴わない、及び/又はエンタカポンを伴う若しくは伴わない、タペンタドールと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、レボドパ構成成分は、タペンタドール構成成分と組み合わせて、典型的にパーキンソン病を治療するために処方される量、好ましくは典型的に疾患の進行した段階中に処方される量で提供される。
例えば、PDの初期段階では、約300、400、500、600、700、800、900、又は1,000mg/日のレボドパ量を投与することができ、好ましくは半分に分けて1日2回、より好ましくはタペンタドールと組み合わせて投与することができる。進行したPDでは、約2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、又は7,000mg/日のレボドパ量を投与することができ、好ましくは3つ又は4つ以上の用量に分けて1日3回又は4回以上、より好ましくはタペンタドールと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態では、(タペンタドール及びレボドパ)含有医薬組成物は、製剤当たり、例えばカプセル剤若しくは錠剤当たり、又は散剤パケット若しくは溶液剤の容器当たり1日の用量を提供し、これは意図される患者集団の平均体重を見積もって、上記に列挙するタペンタドール及びレボドパの1日の用量のいずれかを、組合せで含む。いくつかの実施形態では、(タペンタドール及びレボドパ)含有医薬組成物は、活性剤の各々の製剤当たり、例えばカプセル剤若しくは錠剤当たり、又は散剤パケット若しくは溶液剤の容器当たり、1日の用量の2分の1、3分の1、又は4分の1を、1日2回、3回、又は4回の投与のために提供する。
あるいは、いくつかの実施形態では、タペンタドール構成成分は、例えば経口投与のための錠剤中で、約25mg以下、約50mg以下、約75mg以下、約100mg以下の量で提供され、各々は、約25mg以下、約50mg以下、約75mg以下、約100mg以下のタペンタドール塩酸塩を含むか;又はタペンタドール構成成分は、例えば延長放出のための錠剤中で、約25mg以下、約50mg以下、約100mg以下、約150mg以下、約200mg以下、約250mg以下の量で提供され、各々は、約25mg以下、約50mg以下、約100mg以下、約150mg以下、約200mg以下、約250mg以下を含む。これらの用量は、好ましくは1日4〜6回、又は1日2若しくは3回投与される。いくつかの好ましい実施形態では、タペンタドール構成成分は、例えば経口投与のための溶液剤中で、約20mg/ml以下の量(1〜5ml量)で提供される。かかる用量は、現在使用中又は使用が承認されている用量未満の用量を表す。
いくつかの実施形態では、スタブジンは、治療又は予防有効量で提供される活性剤の組合せの1つである。いくつかの実施形態では、スタブジン構成成分は、例えば溶液剤、例えば小児用溶液剤中で、約1mg/mL以下のスタブジンの量で提供される。いくつかの実施形態では、スタブジン構成成分は、例えば経口摂取のための水溶液剤の調製における使用のためのパケット中で、約200mg以下の粉末の量で提供される。いくつかの実施形態では、スタブジン構成成分は、例えば経口摂取のためのカプセル剤中で、約15mg以下、約20mg以下、約30mg以下、又は約40mg以下のスタブジンの用量で提供される。かかる用量は、現在市販されている使用中の又は使用が承認されている量未満の量を表す。例えばhttp://www.drugs.com/pro/stavudine-oral-solution.html (Stavudine Oral Solution, Drugs.com. 2016)を参照のこと。
いくつかの実施形態では、スタブジン及びタペンタドールの両方は、同じ又は別々の製剤中のいずれかで、組合せで、投与される。いくつかの好ましい実施形態では、タペンタドール又は別の活性剤と組み合わせたスタブジンの有効量は、単独の活性剤として使用される場合のスタブジンの有効量より少ない。同様に、いくつかの好ましい実施形態では、スタブジン又は別の活性剤と組み合わせたタペンタドールの有効量は、単独の活性剤として使用される場合のタペンタドールの有効量より少ない。タペンタドール及びスタブジンが組合せで使用されるいくつかの実施形態では、両方とも、いずれかが単独の活性剤として使用される場合より低い用量で治療及び/又は予防効果を示す。
例えば、いくつかの実施形態では、タペンタドール構成成分は、約0.9mg/kg/日以下、より好ましくは約2.8mg/kg/日以下、又は約5mg/kg/日以下、又は約10mg/kg/日以下、又は約12mg/kg/日以下、又は約15mg/kg/日以下、の量で提供され;例えば約1.5、1.3、1、0.9、0.8、0.5、若しくは0.4mg/kg/日の量、より好ましくは約3、2.9、2.8、2.7、2.5、若しくは2mg/kg/日の量を投与することができるか、又は0.5mg/kg/日〜3.0mg/kg/日の範囲内、約1mg/kg/日〜約10mg/kg/日の範囲内、若しくは約3mg/kg/日〜12mg/kg/日の範囲内のいずれかを別の活性剤、例えばスタブジンとの組合せで投与することができる。いくつかの実施形態では、スタブジン構成成分は、別の活性剤、例えばタペンタドールと組み合わせて、約0.9mg/kg/日以下、より好ましくは0.3mg/kg/日以下の量で提供される。例えば、約1.5、1.3、1、0.9、0.8、0.5、又は0.4mg/kg/日の量を投与することができ、より好ましくは約0.5、0.4、0.3、又は0.2mg/kg/日の量のスタブジンを別の活性剤、例えばタペンタドールと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態では、(タペンタドール及びスタブジン)含有医薬組成物は、製剤当たり、例えばカプセル剤若しくは錠剤当たり、又は散剤パケット若しくは溶液剤の容器当たり1日の用量を提供し、これは意図される患者集団の平均体重を見積もって、上記に列挙するタペンタドール及びスタブジンの1日の用量のいずれかを、組合せで含む。
特定の実施形態では、タペンタドール構成成分を含む医薬組成物は、約4〜6時間毎に、約50mg、75mg、又は100mg以下の用量で食物を伴わずに投与される。投与初日に、第1の用量の約1時間後すぐに第2の用量を投与することができる。続く投与は、約4〜6時間毎に、約50mg以下、約75mg以下、又は約100mg以下である(例えばHighlights of Prescribing Information for NUCYNTA(R), Reference ID: 3400040, Janssen Pharmaceuticals, Inc. 2009, revised 2013を参照のこと)。
1つ又は2つ以上の活性剤を含む本明細書で説明する医薬組成物は、それ自体、単独又はさらに他の予防剤及び/若しくは治療剤と組み合わせて投与することができる。各予防剤又は治療剤は、同じ若しくは別々の製剤中のいずれかで同時に;又は別々の製剤中で異なる時点にて任意の順序で連続して投与することができるが;しかしながら、同時に投与されない場合、それらは任意の相乗効果を含む所望の治療又は予防効果を提供するように十分に近い時間に投与されるべきである。各々の治療剤は、別々に、任意の適切な形態で、かつ任意の適切な経路により、投与することができる。
様々な実施形態では、異なる予防剤及び/又は治療剤は、1時間未満空けて、約1時間空けて、約1時間〜約2時間空けて、約2時間〜約3時間空けて、約3時間〜約4時間空けて、約4時間〜約5時間空けて、約5時間〜約6時間空けて、約6時間〜約7時間空けて、約7時間〜約8時間空けて、約8時間〜約9時間空けて、約9時間〜約10時間空けて、約10時間〜約11時間空けて、約11時間〜約12時間空けて、24時間以下を空けて、又は48時間以下空けて投与される。ある特定の実施形態では、2つ又は3つ以上の薬剤は、経口投与により同じ錠剤、カプセル剤、又は溶液剤中で共に摂取される。
5.投与様式
本発明の別の態様は、本明細書で説明する活性剤を含む医薬組成物の送達に関する。様々な送達システムが知られており、本明細書で説明する薬剤を投与するために使用することができる。薬剤の投与方法として、経口投与(例えば摂取のためのカプセル剤、錠剤、又は溶液剤中);非経口投与(例えば皮内、筋内、腹腔内、静脈内、及び点滴又はボーラス注射を含む皮下);硬膜外;及び上皮又は皮膚粘膜若しくは粘膜内壁(例えば鼻内、口腔粘膜、直腸、及び腸粘膜等)を通した吸収によるものが挙げられるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態では、本明細書で説明する薬剤は、経口投与される。例えば、患者に、本明細書で開示される有効量のタペンタドール、スタブジン、ナブメトン、及び/又はレボドパを含む、カプセル剤若しくは錠剤を飲み込むこと、溶液剤を調製し、飲むこと、又は食品を食べることを指示してもよい。患者に、本化合物/組成物の1つ又は2つ以上を摂取するように指示する場合、かかる指示は、この化合物/組成物の使用が、例えばパーキンソン病、関連する障害、パーキンソン病若しくは関連する障害の症状を伴う状態において、又は根底にある疾患若しくは障害の慢性的治療の副作用に関して、治療的及び/又は予防的利益を提供し得るという教示又は情報を含んでもよい。
例えば、かかる指示は、例えば医師、販売の専門家若しくは組織、及び/若しくはラジオ、テレビ、若しくはインターネット媒体(すなわち広告)からの、例えば口頭の教示を通した、口頭の指示;又は例えば医師若しくは他の医療専門家(例えば薬物療法を処方する許可を有する者)、若しくは薬剤師、販売専門家若しくは組織(例えばマーケティング小冊子、パンフレット、又は他の教示的道具を通した)、書面媒体(例えばインターネット、電子メール、又は他のコンピュータ関連媒体)、及び/若しくは医薬組成物を伴う包装(例えば組成物を含有する包装上に存在するラベル)からの、例えば書面の教示を通した、書面の指示であってもよい。
ある特定の実施形態では、本明細書で説明する薬剤は、筋内、静脈内、又は皮下投与され、他の生物学的に活性な薬剤と共に投与することができる。特定の実施形態では、本医薬組成物は、滅菌製品として静脈内又は腹腔内投与のために製剤化される。投与は、全身であっても、局所であってもよい。
治療又は予防有効量の本明細書で説明する薬剤での対象の治療は、単一の治療を含んでもよく、又は一連の治療を含んでもよい。例えば、本明細書で説明する薬剤を含む医薬組成物は、1日1回、1日2回、又は1日3回投与することができる。いくつかの実施形態では、この薬剤は、1日1回、1日おき、1週間に1回、1週間に2回、2週間に1回、1カ月に1回、6週間に1回、2カ月に1回、1年に2回、又は1年に1回投与することができる。いくつかの好ましい実施形態では、1日1回の用量が使用され、より好ましくは疾患の経過にわたり続けられる。いくつかの好ましい実施形態では、1日2回の用量、1日3回の用量、1日4回の用量、又は1日に5回以上の頻度の用量が使用され、より好ましくはPD又は関連する疾患の進行した段階中に使用される。また、ある特定の薬剤の有効投与量、例えば本明細書で説明する薬剤の有効投与量は、治療の経過にわたり増大又は減少してもよいことが理解される。例えば、タペンタドールは進行したPDで最初に投与してもよく、又は進行したPDで、例えば他の治療の効果が切れ始めた場合、及び/若しくは標準治療の副作用が問題になった場合、例えばオフ期間が現れるか、若しくは持続期間が増大した場合、より高い若しくは増大するより高い量で投与してもよい。
いくつかの実施形態では、進行中の治療は、例えば長期に基づいて、例えばパーキンソン病のような慢性疾患又は障害の進行中の治療及び/又は管理において適応がある。例えば、特定の実施形態では、本明細書で説明する薬剤は、ある期間にわたり、例えば少なくとも6カ月間、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも5年間、少なくとも10年間、少なくとも15年間、少なくとも20年間、又はそれを必要とする対象の残りの寿命の期間、投与される。
本活性剤は一般的に、本明細書で説明する本発明における使用のために適切な用量中で市販されるか、又はかかる用量を提供するために適切に製剤化することができる、医薬組成物中で投与される。本医薬組成物は、以下に詳述するように、本分野で既知の又は本明細書で説明する任意の技術により製造することができる。
6.医薬組成物及びキットの製造方法
本発明の別の態様は、パーキンソン病、それに関連する障害、又はその症状を、パーキンソン病、それに関連する障害、又はドパミン作動剤、例えばL−ドーパが慢性的に投与される他の状態を患う又はそれにかかりやすい対象において、治療、低減、予防、及び/又は遅延するための医薬組成物の調製のための、本明細書で説明する活性剤の使用を含む。特定の実施形態では、本医薬組成物は、タペンタドール、その薬学的に有効な塩、又はその誘導体を、パーキンソン病又は関連する障害を治療することが知られる薬剤、及びパーキンソン病又は関連する障害を治療することが知られる薬剤の誘導体(例えばL−ドーパのようなドパミン作動剤)と組み合わせて使用し、薬学的に許容される担体と混合して製剤化することができる。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、スタブジン若しくはスタブジンの薬学的に有効な塩若しくは誘導体、及び/又はナブメトン若しくはナブメトンの薬学的に有効な塩若しくは誘導体を、パーキンソン病若しくは関連する障害を治療することが知られる薬剤又はその誘導体と組み合わせて使用して製剤化することができる。いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、タペンタドール、その薬学的に有効な塩若しくは誘導体、スタブジン、その薬学的に有効な塩若しくは誘導体、及び/又はナブメトン、若しくはその薬学的に有効な塩若しくは誘導体を、パーキンソン病若しくは関連する障害を治療することが知られる薬剤又はその誘導体と組み合わせて使用して製剤化することができる。
薬学的に許容される担体は一般的に、意図される投与様式及び送達されるべき活性剤に基づいて選択される。特定の実施形態では、「薬学的に許容される」という用語は、連邦政府若しくは州政府の規制当局により承認されていること、又は動物、より詳細にはヒトにおける使用について米国薬局方若しくは他の一般的に認可されている薬局方で列挙されていることを意味する。また、この用語は、具体的には医薬組成物の活性剤について、本明細書で示されるように承認されていることを意味することを指す場合がある。例えば、タペンタドール含有組成物での使用のための薬学的に許容される担体として、現在市販されているタペンタドール製剤について、既に使用されている又は使用が承認されている担体が挙げられる。
「担体」という用語は、薬剤と共に投与される、希釈剤、補助剤(例えばフロイント完全及び不完全アジュバント)、賦形剤、又は溶媒(vehicle)を指す。かかる医薬担体は、滅菌液体、例えば水及び油であってもよく、この油は、石油、動物、植物、又は合成起源の油を含み、例えばピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油等を含む。水は、本医薬組成物が静脈内投与される場合の、通常の担体である。また、生理食塩水並びに水性デキストロース及びグリセロール溶液は、液体担体として、特に注射用溶液に使用することができる。適切な医薬賦形剤として、デンプン、グルコース、ラクトース、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール等が挙げられる。薬学的に許容される担体、賦形剤、及び安定剤の追加の例として、本分野で知られるように、緩衝液、例えばリン酸、クエン酸、及び他の有機酸;アスコルビン酸を含む抗酸化物質;低分子量ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン及びゼラチン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、若しくはリジン;グルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む、単糖、二糖、及び他の炭水化物;キレート剤、例えばEDTA;糖アルコール、例えばマンニトール若しくはソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;並びに/又は非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG,polyethylene glycol)、及びPLURONICS(商標)が挙げられるが、これらに限定されない。また、本医薬組成物は、上記の成分に加えて、滑沢剤、湿潤剤、甘味料、香味料、乳化剤、懸濁剤、及び保存剤を含んでもよい。これらの組成物は、溶液剤、懸濁液剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、維持放出製剤等の形態をとることができる。
本発明のある特定の実施形態では、医薬組成物は、本発明の方法に従う使用のために提供され、上記医薬組成物は、治療及び/又は予防有効量の本明細書で説明する薬剤を、薬学的に許容される担体と共に含む。
いくつかの実施形態では、タペンタドール含有医薬組成物は、経口摂取のための錠剤又は溶液剤として提供される。好ましい実施形態では、また、かかる錠剤又は溶液剤は、以下の不活性成分:クロスカルメロースナトリウム、ラクトース一水和物、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、及びポビドンの1つ又は2つ以上を含有する。また、かかる錠剤又は溶液剤は、以下の不活性成分:ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、タルク、シリサイド化微結晶セルロース、二酸化チタン、連邦食品医薬品化粧品法青色2号アルミニウムレーキ、黄色酸化鉄(例えばhttp://www.hc-sc.gc.ca/dhp-mps/prodpharma/sbd-smd/drug-med/sbd_smd_2011_nucynta_cr_133167-eng.php (Summary basis of Decision (SBD) for NNUCYNTA(TM) CR, Health Canada, Date Modified: 2011-04-26)を参照のこと)を含有する。いくつかの実施形態では、タペンタドール含有錠剤は、フィルムコーティングされる。フィルムコーティングは、ポリビニルアルコール、二酸化チタン、ポリエチレングリコール、タルク、及び着色料FD&C(連邦食品医薬品化粧品法)黄色6号アルミニウムレーキを含有する場合がある。いくつかのフィルムコーティングはさらに、着色料FD&C(連邦食品医薬品化粧品法)黄色10号アルミニウムレーキを含有してもよい。
好ましい実施形態では、医薬組成物は、即時放出のための錠剤又はカプセル剤として製剤化され、例えばここでこの製剤は、投与される薬剤、特にタペンタドール及びレボドパの1つ又は2つ以上の即時放出を提供する。即時放出製剤のために、溶解についての試験は、固体経口投与形態の医薬開発の重要な部分である。USPタイプI及びII溶解装置は、溶解速度を試験するために使用することができる。即時放出は典型的に、活性剤の約75%が45分以内に溶解することを意味する。溶解試験で、「速く溶解する」は、約85%が30分で溶解することを意味し、「非常に速く溶解する」は、約85%が15分で溶解することを意味する。以下の媒体:pH6.8緩衝液(又は酵素を伴わない模擬腸液);pH4.5緩衝液;pH1.2緩衝液(又は酵素を伴わない模擬胃液)、又は0.1M塩酸は、開発研究中、即時放出製品のために考慮することができ;水は追加の媒体として考えることができる。
一実施形態では、本発明は、少なくとも1つの活性剤、好ましくはタペンタドールを、ゲル化ポリマー製品、例えば天然ゴム及びポリマー、及び任意の泡沫形成剤、並びに少なくとも1つの薬学的に許容される担体と共に含む、即時放出製剤を提供する。いくつかの実施形態では、本製剤は、活性剤の即時放出を提供し、適切な方法、例えばUSPタイプI及びII溶解装置により測定すると、活性剤の75%以上が投与後20分で溶解する、インビトロ溶解プロファイルを有する。好ましい実施形態では、本製剤は、活性剤の即時放出を提供し、活性剤の75%超が10分以内に溶解する、及び/又は活性剤の80%超が30分以内に溶解する、インビトロ溶解プロファイルを有する。
いくつかの実施形態では、本発明における使用のための医薬組成物は、維持放出のために製剤化され、例えばここで本製剤は、投与される薬剤の延長放出及びしたがって延長された半減期を提供する。通常のリザーバーデバイスとして、例えば膜、カプセル、フィルムコーティングカプセル、マイクロカプセル、リポソーム、及び中空繊維が挙げられる。モノリシック型(マトリックス)デバイスは、第2のタイプの拡散制御システムであり、ここで本医薬組成物は、速度制御マトリックス(例えばポリマーマトリックス)中に分散又は溶解される。本明細書で説明する薬剤は、速度制御マトリックス全体を通して均質に分散することができ、放出速度は、マトリックスを通した拡散により制御される。モノリシック型マトリックスデバイスにおける使用に適切なポリマーとして、天然ポリマー、合成ポリマー、及び合成修飾天然ポリマー、並びにポリマー誘導体が挙げられる。
好ましい実施形態では、本発明における使用のための薬剤は、実質的に精製されている(すなわち、その効果を制限する、又は所望されない副作用を生成する物質を実質的に含まない)。特定の実施形態では、ホスト又は対象は、動物、好ましくは哺乳類、例えば非霊長類(例えばウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット、マウス等)及び霊長類(例えばサル、例えばカニクイザル、及びヒト)である。好ましい実施形態では、ホストはヒトである。
本発明における使用のための組成物は、医薬組成物の製造において有用なバルク薬物組成物(例えば不純な又は非滅菌組成物)、及び医薬組成物(すなわち、対象又は患者への投与に適切な組成物)を含む。バルク薬物組成物は、例えば予防的若しくは治療有効量の本明細書で開示される薬剤又はそれらの薬剤の組合せ、及び薬学的に許容される担体を含む、単位投与形態の調製で使用することができる。
本発明は、開示される方法で使用することができるさらなるキットを提供する。一実施形態では、キットは、例えば1つ又は2つ以上の容器中に、本発明における使用のための1つ又は2つ以上の薬剤を含む。別の実施形態では、キットはさらに、1つ又は2つ以上の容器中に、パーキンソン病、それに関連する障害、歩行問題を伴う状態、又はドパミン作動剤で治療される他の状態の治療に有用な1つ又は2つ以上の他の予防剤又は治療剤を含む。例えば、いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書で説明する医薬組成物の成分の1つ又は2つ以上を充填した、1つ又は2つ以上の容器を含む、医薬パック又はキットを提供する。
一実施形態では、本発明は、2つの容器を含むキットを提供し、ここで1つの容器はタペンタドール塩酸塩を含有し、他方はレボドパを含有する。好ましい実施形態では、本発明は、多数の容器を含むキットを提供し、ここでいくつかの容器はタペンタドール塩酸塩を提供し、その他はレボドパを提供することを含有し、例えばここでレボドパはPDの進行した段階中に典型的に一度に摂取される量を提供する量で含有され;及び/又はここでタペンタドール構成成分は、約126mg/日以上の用量を提供する量(例えば約75mg、約100mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約140mg、約150mg、約175mg/日、約200mg/日、約250mg/日、又は約300mg/日の1日の用量を提供する量)で、例えば1日の用量を3つの容器に分け、各々が1日3回の一度に摂取される量を含有することにより、含有される。
かかる容器(複数可)は、医薬又は生物学的製品の製造、使用、又は販売を規制する政府機関により規定された形態の通知を伴ってもよく、この通知は、ヒト投与のための製造、使用、又は販売の機関による承認を反映する。
一般的に、本発明における使用のための組成物の成分は、別々に、又は単位投与形態中で共に混合されて、例えば剤若しくは活性剤の量を示す密封された容器、例えばアンプル若しくはサシェ中の乾燥粉末若しくは水非含有濃縮物として、又は錠剤若しくはカプセル剤として供給される。本組成物が、経口投与される予定の場合、それは1つ又は2つ以上の錠剤又はカプセル剤で提供することができ、例えば投与のための1つ又は2つ以上の活性剤の各々の単位用量を提供する。あるいは、本組成物が、経口投与される場合、それは散剤として提供され、水又は他の飲料を添加して、飲むための溶液剤を調製することができる。本組成物が、点滴により投与される予定の場合、それは滅菌医薬品グレードの水又は生理食塩水を含有する点滴瓶で分注することができる。本組成物が、注射により投与される場合、成分を投与前に混合することができるように、注射用滅菌水又は生理食塩水のアンプルを提供することができる。
本明細書で引用される特許出願及び公報を含む全ての参考文献は、各々の個々の公報又は特許若しくは特許出願が具体的にかつ個々に全ての目的についてそれを全体として参照により組み込まれることが示されているのと同じ程度に、それらを全体として及び全ての目的について参照により本明細書に組み込む。当業者に明らかなように、本発明の多くの改変及び変形は、その趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書で説明する特定の実施形態は、例示の目的のためにのみ提供され、本発明は、付属の特許請求の範囲の表現によってのみ、かかる特許請求の範囲が認められる均等物の全範囲に沿って限定されるべきである。
[実施例]
以下の実施例は、パーキンソン病(PD)の動物モデルにおけるタペンタドール、スタブジン、及びナブメトンの効果を証明する。パーキンソン病(PD)をモデル化するため、神経毒6−OHDA(6−ヒドロキシドパミン)に基づく方法を、ゼブラフィッシュ及びマウスで使用した。このモデルでは、6−OHDA傷害は、ゼブラフィッシュ及びマウスで運動徴候、例えば自発運動能力の低減、及びドパミン作動性ニューロンの喪失を誘発する。6−OHDA PDゼブラフィッシュモデルに基づいて、小分子ライブラリーからの化合物をパーキンソン病表現型の救済についてスクリーニングした(実施例1、以下を参照のこと)。スクリーニングで特定された「ヒット」のパネルから、得られた結果をさらに、ゼブラフィッシュPDモデルで評価した。上位に選択された治療用化合物のうちの2つの効力をその後、マウスPDモデルで試験した(実施例5、以下を参照のこと)。
さらに、マウスモデルを、L−ドーパの非応答性(オフ)期間を模倣するように開発し、前臨床モデルにおける選択された化合物の調査を可能にした。L−ドーパで慢性的に処置すると、このモデルのマウスは、歩行機能障害の悪化を示し、決定的に、タペンタドール塩酸塩はこの状態を救済することができた(実施例7、以下を参照のこと)。
PD表現型に対して保護する化合物の特定
小分子ライブラリー内から、パーキンソン病表現型を救済する化合物をスクリーニングした。スクリーニングステップを盲検法で行ったので、化合物に最初にコード番号を付けた。分子の詳細は、以下の表1に示す。
ゼブラフィッシュは、哺乳類前臨床研究の前の薬物発見において広く使用されている脊椎動物モデル系である。それはインビボ表現型スクリーニングを可能にし、表現型回復は、生物全体の統合的生理を反映するので、新規療法標的を特定する可能性を有する。簡単に述べると、スクリーニングは、以下の3つの注目すべき特徴を含む。
1)インビボ試験。このスクリーニングは、生物全体にわたる全ての効果を統合するので、伝統的なインビトロ細胞培養スクリーニングに優るいくつかの利点を有する。
2)表現型。このスクリーニングは、標的がはっきりしていないので、標的が未知である場合、効果はオンターゲットであっても、オフターゲットであってもよい。
3)全身性薬物送達。薬物を封入媒体に添加し、ゼブラフィッシュへの全身的投与を提供した。
本研究では、スクリーニングは、以前に市販が承認されている分子を含んだ(以前に承認された分子を対象とする)。具体的には、小分子ライブラリーをスクリーニングし、ここでこのライブラリーは主にFDA承認療法用分子からなる。いくつかはさらに、十分に実証された薬理学的活性、例えば作用標的/作用様式、毒性、及びADMEを有する場合がある。
ゼブラフィッシュPD様式における小分子のインビボスクリーニングは、PDについてのいくつかの有望な候補治療剤を特定した。このスクリーニングは、自発運動行動の機能障害及びドパミン作動性ニューロン喪失の両方の回復に基づいた。製造業者から得た、ライブラリーから特定した化学物質を用いて、候補物質のいくつかについて、ゼブラフィッシュモデルの疾患環境において、LD50、最大及び最小有効薬物用量を決定した。
具体的には、特定した化学物質を、商業的供給業者から購入して、6OHDAモデルにおける自発運動行動救済について、PD表現型の救済に対してのそれらの効力について以前に得られた結果を確認した(行動及び神経救済アッセイの反復)。結果を図1A〜1Bで示す。図は、2つのパラメータ:総移動距離(図1A)及び跳躍回数(図1B)についての7つの候補分子の自発運動行動救済結果を示す。値を、各実験における疾患状態の平均値について正規化した(疾患=1)。各プロットは、3つの独立した実験からのデータを含有し、全部で24匹の幼体を有した。対照として、ゼブラフィッシュを溶媒であるアスコルビン酸のみで処置した。これらに基づいて、タペンタドール及びナブメトンの結果は、強い候補物質である。
また、7つの候補物質を、試験動物の黒質緻密部におけるチロシンヒドロキシラーゼ(Th)について陽性のドパミン作動性ニューロンの救済について試験した。結果を図2に示す。すなわち、図2は、7つの候補分子について救済されたTH陽性ニューロンの割合を示す。結果を健康な対照の値について正規化した(健康な対照=100%ニューロン)。対照として、ゼブラフィッシュを溶媒であるアスコルビン酸のみで処置した。「6−OHDA」は処置を受けなかったゼブラフィッシュの結果を表す。
候補物質及び対照の用量−応答研究
各ヒット化合物について、再びゼブラフィッシュPDモデル(6−OHDA)を用いて、ある範囲の濃度にわたる用量−応答曲線を作成し、この疾患環境における最小及び最大有効濃度並びにまたLD50を調べた。
ほとんどの場合についての1つのピーク濃度を有する典型的な用量−応答曲線(濃度と共に増大する効果)の代わりに、2つの濃度ピークを有する用量−応答曲線(1つのピークは低い濃度で、他方は約10倍高い濃度で)が観察された。
7つの分子について、大きな間隔を含む濃度範囲に沿って、長範囲曲線を作成し、一方で、長範囲曲線で検出された最も低い濃度ピークの近辺の濃度で小範囲を作成した。試験した分子についての所望の結果を表2に要約する。
注目すべきことに、これらの用量−応答曲線を、疾患誘発幼体について作成し、対照及び疾患状態の平均値をプロットした。各濃度結果は、8匹の魚及び1回の実験の平均値(±SD)に対応する。これらの実験について、野生型ゼブラフィッシュの特定の系統であるテュービンゲン(TU,Tubingen)野生型ゼブラフィッシュを使用した。
全ての化学物質は、化学分子の仕様書に従って、最大溶解度に従って調製し、好ましくは水中に溶解した(表3を参照のこと)。
対照分子としてL−ドーパ、イスラジピン、及びラサギリンを用いて実験を行った。
L−ドーパ
L−ドーパの結果を図3A〜3Dに示す。L−ドーパは、急速に代謝されるので、プレートを読むそのときに各ウェルに適用することに留意すべきである(適用後30分間は順化期間に対応し、次の1時間で効果を測定する−1時間30分の効力)。図3Aで見られるように、長範囲プロットでは、L−ドーパ有効濃度は25及び250μMである。図3Bで見られるように、小範囲プロットでは、表現型回復はより軽度であり、100μM濃度は最も良い効果を示す。化合物の安定性が低いので、250μMを最適濃度として使用した。
図3Cで見られるように、文献中の報告と一致して、その濃度及び1回の適用で、L−ドーパは、TH+ニューロンの回復を誘発しない。しかしながら、いくつかの研究により、L−ドーパはいくらかの程度の神経保護を有し得ることが示されている。CTスキャンを用いた研究は、L−ドーパは、ドパミン作動性ニューロンのより高い消滅速度と関連付けられることを示唆した。これらの研究は、PD患者における様々な画像化研究により支持されている。例えば、b−cit単一光子放射コンピュータ断層撮影により示されるように、CALM−PD試験は、L−ドーパについてランダム化されたPD患者は、プラセボ群と比較して、より大きな速度のドパミントランスポーターシグナル喪失を有したことを示した。さらに、インビトロ研究は、L−ドーパは抗酸化又は神経栄養様効果を及ぼし得ることを示唆した。このデータと一致して、本発明者の結果(図3C)は、疾患が高く誘発されている場合(sig****)、L−ドーパは影響を受けたニューロンを回復する能力を有しないことを示唆する。
他方で、図3Dで見られるように、疾患があまり重度でない場合(sig)、L−ドーパは、神経保護性であることができる(p=0.06)。しかしながら、これらの結果は、予備試験と考えられるべきである。
イスラジピン
イスラジピンの結果を図4A〜4Eに示す。図4Aの長範囲プロットで見られるように、イスラジピン有効濃度は、より少ない0.0056μM及び0.056μMである。図4Bの小範囲プロットで、表現型回復は0.0056μMでは起こらなかったが、0.056μM近辺では、新規ピークが0.045μMで現れ、別のピークが0.084μMで現れた。さらなる小範囲結果を図4Cに示す。免疫組織化学後の結果を図4D〜4Eに示す。イスラジピンはより高い濃度では毒性であるので、2つの濃度のうち、最適濃度は最も低い濃度、0.045μMとして選択した。
ラサギリン
ラサギリンの結果を図5A〜5Dに示す。図5Aの長範囲プロットで見られるように、ラサギリン有効濃度は、約1μM及び50μMである。図5Bの小範囲プロットで、これらの濃度のいずれも再現されず、行動救済効果を示す唯一の濃度は、25μMであった。この濃度を、ラサギリンの神経保護効果を評価するために選択し(図5C)、これは誘発された中程度状態の疾患でp<0.11にて確認された。スクリーニング中、また、使用した濃度は、100%DMSO中の25μMであり、神経保護効果はp<0.06で観察された(図5D)。
候補分子
同じ分析を候補分子について使用し、タペンタドール、スタブジン、及びナブメトンの結果を以下に説明する。
タペンタドール
タペンタドールについて、いくつかの行動実験及びTH+細胞カウントで得られた結果に基づいて、48.5μMを最適濃度と決定した。治療濃度域は、20〜113μMであった。神経保護効果は、同じ濃度を用いて確認された。LD50は、8,079μMであった。結果を図6A〜6Gに示す。
具体的には、図6Aは、タペンタドールを伴う6−OHDA処置ゼブラフィッシュ幼体の自発運動行動を示す(n=8匹の魚)。総移動距離(mm)は、48.5μMタペンタドールで処置した幼体(=p<0.05)と疾患対照(6−OHDA処置)との間で異なり、疾患対照の平均移動距離は約200mmであった。図6Bは、跳躍回数について、56.25μMのタペンタドールは、6−OHDA誘発行動を回復させることが確証されたことを示す。図6Bは、すくみ期間の持続期間が48.5μM濃度のタペンタドールで回復しなかったこと、また、L−ドーパ処置は、6−OHDA処置幼体と比較すると(疾患誘発p<0.01)、この表現型の回復を誘発しなかったことを示す。使用した陽性対照はメチルフェニデートであった。
図6C〜6Dは、対照(非6−OHDA処置)、疾患状態(6−OHDA処置;疾患誘発p<0.05)、及び48.5μMのタペンタドールを伴う6−OHDA処置幼体における、それぞれ、すくみ期間の持続期間及びチロシンヒドロキシラーゼ(Th)について陽性のドパミン作動性ニューロンの数を示す。見られるように、48.5μMタペンタドール処置で回復が観察された(p<0.055)。各点は個体を表し、n=6〜7である。
図6E〜6Gは、受精6日後(dpf,days post-fertilization)のゼブラフィッシュ幼体(魚の年齢)対照(図6E)、6−OHDA(図6F)、及びタペンタドール処置幼体(図6G)の全組織標本抗TH免疫組織化学の共焦点スタックの代表的なZ投影を示す。これらの結果は、タペンタドールの疾患修飾特性を示す。
注目すべきことに、用量応答曲線は、タペンタドール治療濃度域が、スタブジンの治療濃度域より大きいことを示した。
スタブジン
スタブジンについて、いくつかの行動実験及びTH+細胞カウントで得られた結果に基づいて、50μMが最適濃度と考えられた。治療濃度域は、50〜70μMであった。神経保護効果、及びすくみエピソードにおける低減を示すすくみの回復(すなわち、すくみエピソードの数の低減若しくは除去、及び/又はすくみエピソードの頻度の低減)が、同じ濃度で確認された。細胞組織化はwtと同様である。LD50>10,000μMである。結果を図7A〜Gに示す。
図7Aは、スタブジンを伴う6−OHDA処置ゼブラフィッシュ幼体の自発運動行動を示す(n=8匹の魚)。総移動距離(mm)は50μMスタブジンで処置した幼体(p<0.0001)と疾患対照(6−OHDA処置)との間で異なり、両方の群間で400mmの平均移動距離の差があった。図7Bは、跳躍回数について、50μMスタブジンの同じ濃度は6−OHDA誘発行動を回復させることが確証されたことを示す。図7Cは、すくみ期間の持続期間もまた、50μM濃度のスタブジンで回復したこと、一方で、L−ドーパ処置は、6−OHDA処置幼体(疾患はp<0.01で誘発された)と比較すると、この表現型の回復を示さなかったことを示す。使用した陽性対照はメチルフェニデートであった。
図7C〜7Dは、対照(非6−OHDA処置)、疾患状態(6−OHDA処置;疾患誘発p<0.05)、並びに30及び50μMのスタブジンで処置した6−OHDA処置幼体における、それぞれ、すくみ期間の持続期間及びチロシンヒドロキシラーゼ(Th)について陽性のドパミン作動性ニューロンの数を示す。見られるように、唯一の回復は50μMスタブジン用量で観察された(p<0.09)。各点は個体を表し、n=3〜5である。
図7E〜7Gは、6dpf対照(図7E)、6−OHDA(図7F)、及びスタブジン処置幼体(図7G)の全組織標本抗TH免疫組織化学の共焦点スタックの代表的なZ投影を示す。これらの結果は、疾患修飾特性を示す。
ナブメトン
ナブメトンについて、いくつかの行動実験及びTH+細胞カウントで得られた結果に基づいて、0.9μMが最適濃度と考えられた。神経保護効果は、同じ濃度で確認された。18μMで死滅した胚はなかったが、27μMでは全ての胚が死滅した(データを示さず)。それゆえ、本発明者は、LD50を正確に決定することができなかった。注目すべきことに、ナブメトンは、疾患が強く誘発された幼体において疾患表現型を救済した。結果を図8A〜8Gに示す。
図8Aは、ナブメトンを伴う6−OHDA処置ゼブラフィッシュ幼体の自発運動行動を示す(n=8匹の魚)。総移動距離(mm)は、0.456及び0.91μMナブメトンで処置した幼体(**=p<0.01)と疾患対照(6−OHDA処置)との間で異なり、群間で約200mmの平均移動距離の差があった。図8Bは、跳躍回数について、0.456μMナブメトン濃度のみが6−OHDA誘発行動を回復させることが確証されたことを示す。
図8Cが示すように、すくみ期間の持続期間は、6−OHDA処置幼体(疾患誘発p<0.01)と比較すると、0.91μMのナブメトンで回復しなかった。使用した陽性対照はメチルフェニデートであった。図8Dが示すように、チロシンヒドロキシラーゼについて陽性のドパミン作動性ニューロンの数を、対照(非6−OHDA処置)、疾患状態(6−OHDA処置、疾患誘発p<0.05)、並びに0.456及び0.91μMのナブメトンで処置した6−OHDA幼体において定量した。回復は、0.91μM(p<0.05)及び0.456μMナブメトン(p<0.17)で観察された。各点は個体を表し、n=4〜6である。
図8E〜8Gは、6dpf対照(図8E)、6−OHDA(図8F)、及びナブメトン処置幼体(図8G)の全組織標本抗TH免疫組織化学の共焦点スタックの代表的なZ投影を示す。これらの結果は、ナブメトンの疾患修飾特性を示す。
要約すると、用量応答曲線は、パーキンソン病行動に対する効果の点で候補分子の濃度の重要性を確証するために非常に有用であり、濃度の増大は効果の増大に必ずしも対応しないことを示した。
すくみ足を修正する化合物の特定
ゼブラフィッシュモデルにおいて、自発運動機能障害を測定し、患者における動作緩慢と関連付けた。試験は、明/暗刺激に応答した「すくみ」を評価することを含んだ。6−OHDA誘発幼体は、より少ないすくみエピソードを有したが、すくみ状態でより長い期間を過ごした。以前の研究で、すくみエピソードの持続期間は、PD患者において分析されている。7つの選択した分子を、それらの各々の最適濃度を用いて試験し、陽性結果をタペンタドール及びスタブジンで得た。また、メチルフェニデートは、より一貫したすくみ回復を示すことが分かった。それにもかかわらず、それは神経細胞ドパミントランスポーターの阻害剤であり、6−OHDAは、ニューロンに入り、疾患を誘発するためにDATを必要とするので、メチルフェニデートは偽陽性であり得る。結果を図9A〜9Dに示す。
図9Aが示すように、試験した対照分子のいずれも、すくみ表現型を元に戻すことができなかった。
図9B〜9Cが示すように、n=8匹の魚での例示的な実験で、最適濃度の7つの候補分子、並びに25μMのメチルフェニデート及びアマンタジンを用いて、すくみ回復を試験した。
スタブジン及びタペンタドールについて、いくつかの実験を繰り返した。図9Dは、スタブジン、タペンタドール、及びこれらの組合せを最適濃度で用いた結果を示す。図9Dで見られるように、スタブジンは、n=4の異なる実験においてすくみを元に戻し、一方で、タペンタドール及び組合せ(スタブジン及びタペンタドール)は、これらの実験においてすくみ表現型を元に戻さなかった。
6−OHDA幼体総移動距離におけるL−ドーパとの相互作用の分析
加えて、また様々な候補物質について、L−ドーパとの共投与の効果を評価した。臨床試験において、大多数の患者が既にL−ドーパを摂取しているので、L−ドーパを伴う候補分子の効果を評価することは意味があった。最初に、オン期間中にいかなる候補分子も伴わずにL−ドーパの効果を24時間測定した。
この試験は、候補分子と組み合わせて使用した場合、L−ドーパ効果の減少があるかどうかを確認することを目的とした。L−ドーパを伴うラサギリンは、ラサギリン単独と比較して、効果の増大、最適結果を有した。しかしながら、イスラジピンでは、その逆が真であり、L−ドーパを伴うイスラジピンはその効果を失った。ナブメトンについて、効果はL−ドーパありでも、なしでも同じであった。
タペンタドール、スタブジン、及びこれらの組合せについて、いくつかの実験を行った。結論は、スタブジンの活性は影響を受けず(大体同じ)、L−ドーパがより低い濃度であるときにより良い結果が得られたというものであった。
スタブジン、並びに2つの異なる濃度、250μM及び125μMのL−ドーパで、実験を行った。この実験において、スタブジンは、L−ドーパを伴うと最も有効性が低かった。より低いL−ドーパ濃度(125μM)を用いた試験は、候補化合物はL−ドーパ濃度の減少を補わない、すなわち、完全にL−ドーパ効果の代わりになることはできないことを示す結果を提供する。
タペンタドール及びL−ドーパで行ったさらなる試験の実験詳細を表4に提供する。
また、タペンタドール活性は、L−ドーパとの共投与により影響を受けなかった(大体同じ)。しかしながら、L−ドーパを伴うと効果が低減した多くの他の候補物質がある。タペンタドールについてのさらなるデータは、図10に示す。
図10が示すように、タペンタドールは、ある濃度範囲、具体的には約300〜約150μMにわたり、約50μM及び約5μMで、すくみ表現型を元に戻すことができる。
要約すると、予備実験結果は、自発運動行動に対するスタブジンの回復効果は、L−ドーパの存在により影響されないことを示した。さらに、スタブジンは、より低濃度のL−ドーパの存在下で効力の改善を示した。タペンタドール塩酸塩の場合、自発運動回復効果は、より高い濃度のL−ドーパを含むL−ドーパの存在下で同じか、又は改善した。結論として、L−ドーパは、6−OHDAゼブラフィッシュを用いたこのモデル系で同時に共投与された場合、スタブジン又はタペンタドール塩酸塩の活性の主要な変化を引き起こさない。
ナブメトンについて、ゼブラフィッシュのデータは、この分子が自発運動表現型を元に戻すことができ、疾患修飾効果の可能性を有することを示す。しかしながら、最初の結果は、すくみ表現型を回復させる能力を示さない。有効濃度はスクリーニング中に試験した用量よりずっと低く、このことは異なる溶媒中でのこの化合物の異なる安定性を示し得ることに留意すべきである。
要約すると、以下の結論がゼブラフィッシュの結果から生じる。
スタブジン、タペンタドール塩酸塩、及びナブメトンは、パーキンソン病を有する患者における動作緩慢に対応する、自発運動行動の回復において活性を有することが示された。スタブジン、タペンタドール塩酸塩、及びナブメトンはしたがって、見込みのある神経回復又は疾患修飾能を示す。さらに、タペンタドール及びスタブジンの両方は、すくみを救済する能力を示す。またさらに、スタブジン及びタペンタドール塩酸塩の両方は、各々がL−ドーパと共投与された場合、自発運動行動を回復させる能力を保持する。さらに、これらの3つの候補物質は、投与された濃度では毒性でないように見え、有効濃度は各々のLD50用量から離れている。
候補化合物の前臨床効力
スタブジン及びタペンタドール塩酸塩を、6−OHDAマウスモデルにおける前臨床試験のために選択した。これらの2つの分子は、自発運動行動及び神経細胞喪失を回復させることができた(疾患修飾特性)。
用量濃度を、ゼブラフィッシュからマウスに変換した。
パーキンソン病の治療における使用のための候補化合物の前臨床効力を試験するために、片側線条体6−OHDAマウスモデルをこの研究で使用した。動物に10μgの6−OHDA又はアスコルビン酸(模擬/溶媒対照)を注射し、疾患を誘発した。具体的には、12週齢(「wo」,week old)CD−1雄マウスは、以下の座標で神経毒6−OHDAの頭蓋内注射を受容した:AP +0.9mm、ML +2.0mm、DV −3.2mm(空間座標、前部−後部(AP,Anterior-Posterior)、内側−外側(ML,Medial-Lateral)、及び背部−腹部(DV,Dorsal-Ventral)に対応する)。疾患は7日間で誘発され、処置をこの時点で開始した。
実験デザインを要約する以下の表5で示すように、動物を腹腔内注射により日毎に処置した。
模擬(溶媒)群及び疾患対照群は、生理食塩水注射を受容し、一方で陽性対照群は、(レボドパが脳に達する前に脱炭酸されることを阻害するため)12mg/kg/日のベンセラジド注射後に18mg/kg/日のレボドパを受容した。
タペンタドール塩酸塩を、2.8mg/kg/日(濃度1(C1)、現在市販されている最も低い用量の1/3と同等)及び0.9mg/kg/日(濃度2(C2)、現在市販されている最も低い用量の1/10と同等)で試験した。スタブジンを、0.9mg/kg/日(濃度1(C1)、現在市販されている最も低い用量の1/3と同等)及び0.3mg/kg/日(濃度2(C2)、現在市販されている最も低い用量の1/10と同等)で試験した。また、両方の分子を、低濃度及び高濃度(それぞれ、C1及びC2)で、組み合わせて試験した。マウスを21日間処置し、行動試験を行った。頭蓋内注射後28日目に、動物を殺し、脳を解剖して組織学分析を行った。実験デザインを図11に示す。
様々な濃度のスタブジン及びタペンタドール塩酸塩の効力、並びに2つの候補物質の組合せ(Combo)の効力を評価するために行動試験を使用した。使用した行動試験は、ロータロッド試験、シリンダー試験、及びオープンフィールド試験を含んだ。各試験において、様々なパラメータを分析し、焦点は自発運動行動回復を評価することであった。スタブジン及びタペンタドール塩酸塩を試験30分前に投与し、L−ドーパをシリンダー試験の30分前及びロータロッド試験の終わりに与えた。また、評価した他のパラメータは、振戦及び異常な不随意運動(AIM)を含んだ。
結果
動物の健康状態及び体重を日毎にモニターした。経時的に群間で動物の体重の有意な差はなかった(データを示さず)。
ロータロッド試験
ロータロッド試験は、運動活動の強要を適用する、回転棒に基づいた機能試験である。この試験は、運動機能及び平衡感覚を評価する。ロータロッド試験について、パラメータとしてスピード及び落下するまでの時間を、各群について分析した。3つの独立した試験を行い、示されるデータは、各動物についての試験の平均値である。試験を、L−ドーパ(これは、処置24時間後、L−ドーパオフ期間に測定した)を除いては、治療剤投与30分後に開始し、動物を試験の間30分間休ませた。
L−ドーパ群は、おそらく、適用した投与量が異常な不随意運動(AIM)を誘発したために、予想されたように行動しなかった。L−ドーパ処置下の動物は、不随意かつ停止不可能な左折を示し、このためロータロッド行動試験を用いて正確にそれらを試験することは不可能であった。この試験は傷害8日後及び15日後について、これらの2つの時点でのみ健康な群と比較して、6−OHDA群で有意な運動機能障害があったので有効であったが、傷害22日後については有効でなかった。C1のタペンタドール塩酸塩で処置した動物群は、群間で最も良い回復を示したが、評価した2つのパラメータについて、6−OHDA(非処置)群と比較して有意でなかった。全ての他の群について、回復はなし又は軽度であった(図12A〜12F)。
示されるように、タペンタドール塩酸塩処置動物は、落下するまでの時間(図12A)及びスピード(図12B)の両方の結果において明らかな、経時的な行動回復を示した。スタブジン及びComboは、試験した両方の投与量で、落下するまでの時間(それぞれ、図12C及び12E)及びスピード(それぞれ、図12D及び12F)の結果で示されるように、マウスの行動に対して影響を有しなかった。値は平均値±SEM(n=5〜8)である。ボンフェローニ事後検定での2要因分散分析検定を行って、各時点の群の平均値を比較した(「ns」、非有意、p<0.05)。
シリンダー試験
シリンダー試験は、自発的かつ探索性の活動、及び6−OHDA注射により引き起こされる傷害の拡張を評価する。この試験は、動物を透明なシリンダーに入れること、及びその行動を5分間記録することを含む。結果を図13A〜13Dに示す。評価したパラメータは:1群当たりの、対側の足の使用の割合(図13A)、右折の回数(図13B)、後肢で立ち上がった回数(図13C)、及び振戦を有する動物の割合(図13D)であった。
これらのパラメータの中で、対側の足の使用及び右折の回数は、最も頻繁に観察された。試験を、治療剤投与30分後に行い(L−ドーパ投与後の「オン期間」中を含む全ての治療剤について)、さらなる分析を可能にするためにビデオを5分間記録した。示される3及び7日目の結果は、任意の治療剤開始前であった。
対側の足の使用の割合及び後肢で立ち上がった回数について、6−OHDAで処置した動物は、溶媒処置動物と比較して、傷害3日後及び7日後に有意な運動機能障害を示した(図13A及び13C)。右折の回数を考慮すると、6−OHDA処置群は、傷害7日後に健康な動物より有意に高い数を有した(図13B)。他方で、振戦を有する動物の割合は、両方の時点で、6−OHDA処置群及び健康な群の間で有意な差はなかった(図13D)。この最後のパラメータは、あまり堅牢なものではないかもしれないので、慎重に分析されなければならない。
対側の足の使用の割合について、6−OHDA群は、傷害14日後及び21日後に健康な対照と比較して、有意な運動機能障害を有した。傷害28日後について、6−OHDA群の運動機能障害は、このパラメータについて有意でなく、この時点はさらなる考慮を行わなかった。右折の回数について、6−OHDA群は、評価した全ての時点で健康な対照と比較して、有意な運動機能障害を有しなかった。そのため、このパラメータもまた、さらなる分析に関して無視した。後肢で立ち上がった回数を考慮すると、傷害21日後は、6−OHDA群が健康な対照と比較して、有意な運動機能障害を有した時点であったので、さらなる分析に考慮した唯一の時点であった。振戦を有する動物の割合について、傷害28日後の時点は、有意なp値と考えられ得る値に非常に近いp値を有したので、さらに考慮した。
L−ドーパ又は2つの異なる濃度のタペンタドール塩酸塩での処置後のシリンダー試験結果を図14A〜14Dに示し、ここでも1群当たりの、対側の足の使用の割合(図14A)、右折の回数(図14B)、後肢で立ち上がった回数(図14C)、及び振戦を有する動物の割合(図14D)の評価に基づいた。
L−ドーパ群は、文献と一致する結果を示した。対側の足の使用の割合及び振戦を有する動物の割合について、6−OHDA群と比較して、L−ドーパで処置した動物について運動回復が観察された。後肢で立ち上がった回数について、L−ドーパ処置群と6−OHDA群との間で差はなかった。
濃度1のタペンタドールで処置した動物群は、概して、分析したパラメータに基づいた回復を示し、6−OHDA群と比較して、28日目で振戦を有する動物の割合において有意差を有した(図14D、アスタリスク)。これは、自発運動回復を示す。濃度2のタペンタドールについて、結果は、有意な回復を示さなかった。
L−ドーパ又は2つの異なる濃度のスタブジンでの処置後のシリンダー試験結果を図15A〜15Dに示す。スタブジンで処置した動物群は、6−OHDA群と比較すると、対側の足の使用、後肢で立ち上がった回数、又は振戦について回復を示さなかった(図15A、15C、及び15D)。右折の回数について(無視したが)、濃度1のスタブジンは、L−ドーパと非常に似た様式の表現型回復を示した(図15B、青色のバーと縦縞のバーとを比較)。
L−ドーパ又は各々2つの異なる濃度のタペンタドール塩酸塩とスタブジンとの組合せ(「Combo」)での処置後のシリンダー試験結果を図16A〜16Dに示す。Combo処置群は、6−OHDA群と比較すると、対側の足の使用パラメータで差を示さなかった(図16A)。右折の回数及び後肢で立ち上がった回数のパラメータについて、濃度2を用いたCombo処置動物は、6−OHDA群と比較して軽度の回復を示し(図16B及び16C、ピンクのバー)、一方で振戦パラメータについては、最も良い結果は濃度1で得られた(図16D、アスタリスク)。
要約すると、図14A〜14D、15A〜15D、及び16A〜16Dは、シリンダー試験結果を示す。見られるように、6−OHDA処置マウスは、傷害3日後及び7日後に評価した4つのパラメータ:対側の足の使用の割合(図14A、15A、及び16A)、右折の回数(図14B、15B、及び16B)、後肢で立ち上がった回数(図14C、15C、及び16C)、及び振戦を有する動物の割合(図14D、15D、及び16D)において有意な運動機能障害を示し、タペンタドール、スタブジン、及びこれらの組合せでの処置後の結果を示す。値は平均値±SEM(n=5〜8)である。ボンフェローニ事後検定での2要因分散分析検定を行って、各時点の群の平均値を比較した(ns、非有意、p<0.05)。
結論として、タペンタドール濃度1で処置した動物群は、他の群と比較して、最も強い回復を示した。
異常な不随意運動
L−ドーパ処置は、運動障害を誘発する。この状態は、ある範囲の不随意運動をもたらし、これはビデオ追跡分析により評価することができる。図17A〜17Fで示されるデータは、予想されるように、マウスにおいて、L−ドーパがこれらの不随意運動を誘発したことを示す。2つの独立した試験中の、処置投与30及び90分後に、評価を行った。スコアは、不随意運動の重症度により0〜4に及び、両方の試験からのスコアを合計した。それにもかかわらず、動物の大きさを考慮すると、前肢及び口腔顔面の不随意運動は検出するのが非常に困難であり、読取り誤差が生じる。全体的な異常な不随意運動は、評価した全ての4つの異なる不随意運動の合計であり、文献でしばしば報告されているパラメータである。
図17A〜17Fが示すように、異常な不随意運動を、注射28日後にシリンダー試験を用いて評価した。試験したパラメータは:矢状面又は前額面の対側の前肢の多動な動き及び/又は筋緊張異常の動き(図17A)、傷害に対して対側の側へ向かう首及び上体の歪んだ姿勢(図17B)、口腔顔面筋の単攣縮、空の顎の動き、及び対側の舌の突出(図17C)、対側の偏りを伴う回転運動(図17D)、全体的な不随意運動(図17E)、並びに左折の回数(図17F)を含んだ。値は平均値±SEM(n=5〜8)である。ボンフェローニ事後検定での一要因分散分析検定を行って、各時点の群の平均値を比較した(**p<0.01、****p<0.0001)。組合せのタペンタドール又はスタブジン、いずれの処置も、マウスにおいて不随意運動を誘発しなかった(図17A〜17F)。
オープンフィールド試験
オープンフィールド試験は、主に自発的活動を評価する。この評価のために、動物を四角い箱に入れ、L−ドーパ、2つの異なる濃度のタペンタドール塩酸塩(図18A〜18D)、2つの異なる濃度のスタブジン(図19A〜19D)、又はこれらの組合せ(図20A〜20D)の投与後、それらの活動を記録した。4つの異なるパラメータ:最大速度(図18A、19A、及び20A)、総移動距離(図18B、19B、及び20B)、平均速度(図18C、19C、及び20C)、及び最初に壁に達するまでの時間(図18D、19D、及び20D)を記録した。全てのパラメータは、治療剤投与30分後に記録した5分間のビデオの分析により決定した。値は平均値±SEM(n=3〜8)である。ボンフェローニ事後検定での二要因分散分析検定を行って、各時点の群の平均値を比較した(ns、非有意、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。
総移動距離(図18B、19B、及び20B)及び平均速度(図18C、19C、及び20C)について、また、1時間のビデオを群当たり1匹の動物について分析して、時間に対する薬物の効果を評価した。これらの分析のために、治療剤投与前にもまた、5分間のビデオを撮った。注目すべきことに、この分析は療法の2日目に行ったので、動物は既に治療剤の影響下にあった場合がある。Ethovision V10システムを、分析用ビデオを作製するために使用した。
最大速度(図18A、19A、及び20A)、総移動距離(図18B、19B、及び20B)、及び平均速度(図18C、19C、及び20C)について、6−OHDA群は、評価した全ての時点で、健康な対照と比較して、有意な運動機能障害を示さなかった。そのため、これらのパラメータをさらなる分析について無視した。壁までの時間パラメータ(図18D、19D、及び20D)については、傷害9日後に、6−OHDA群は、健康な対照と比較して、有意な運動機能障害を示した。他の2つの時点について、健康な対照と比較して、6−OHDA群で有意な運動機能障害はなかった。傷害9日後に、療法を受容した全ての群は、6−OHDA群と比較して、有意な運動改善を有し、いずれも他から際立っていなかった(図18D、19D、及び20D)。この時点で、L−ドーパ群は、2匹の動物しか分析に含まれていなかったので、運動改善を示さなかった。この時点で、各群から動物を除去して、1時間のビデオ追跡を作製した。これらの分析は5分間分析に含めることはできなかった。
1時間試験からの結果は決定的なものではなかった(結果を示さず)。これはいくつかの理由のために起こったのかもしれない。例えば、動物は試験の2日前に既に療法を開始しており、既に治療剤により影響を受けていた場合がある。そのため、治療剤投与前の5分間分析は、治療剤の影響を伴わない真の基線を表さなかった。決定的でない結果の別の理由は、1群当たり1匹の動物しかこれらの分析の各々に使用せず、これはその群に代表的でなかったという事実であり得る。
疾患モデルの組織学的評価
投与した神経毒により誘発された神経変性のレベルを評価することにより、疾患モデルそれ自体を評価した。結果を図21A〜21Fに示す。
図21A〜21Fは、同側(左)及び対側(右)の注射におけるTH陽性細胞カウントにより評価した、6−OHDAの片側頭蓋内注射により誘発された細胞喪失を示し、健康な対照マウス(21A)、及び処置していない疾患誘発マウス(図21B)、又はL−ドーパで処置した疾患誘発マウス(図21C)、タペンタドール塩酸塩で処置した疾患誘発マウス(図21D)、若しくはスタブジンで処置した疾患誘発マウス(図21E)からの黒質緻密部のTH染色区画の顕微鏡像(スケールバー=600μm)において、並びにこれらの群の各々における対側の注射に対する同側の注射のTH陽性細胞の割合(図21F)について見られる。平均値±SEMを示す(1条件当たりn=5〜8匹のマウス)。ウェルチ補正での独立t検定を行って、群の平均値を比較した(ns、非有意、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。
具体的には、各試験群からのマウスの脳の20μm冠状凍結切片の黒質緻密部におけるチロシンヒドロキシラーゼ(TH)について陽性のドパミン作動性ニューロンを観察し、カウントした(図21A〜21E)。溶媒対照(アスコルビン酸)では、両側のTH+細胞の数は同じであり(予想される通り)(図21A)、一方で6−OHDA(図21B)及び治療群(図21C〜21E)では、対側の非注射側と比較すると、同側のTH+細胞の喪失があり、神経変性が起こったことを示す。TH+細胞喪失は、溶媒群と比較すると、6−OHDAで誘発した全ての群について有意であり、これらの疾患誘発群の間で差はなかった(図21F)。これらの結果は、アッセイを確証し、全ての試験動物が誘発された疾患を示したことを確認した。Combo群からの組織学データは、いくつかの行動試験結果が十分なものではなかったので、分析しなかった。
結論
このアッセイの目的は、ゼブラフィッシュスクリーニングで選択した2つのリードをげっ歯類モデルで試験することであった。2つの異なる投与量のタペンタドール、スタブジン、及びこれらの両方の組合せを6−OHDAマウスモデルで試験した。運動改善をいくつかの行動試験で評価した。全体として、タペンタドール処置群は、6−OHDA群と比較すると、運動行動の改善を示した。
10μgの6−OHDAでの疾患誘発は、対側の側と比較すると、注射の側で有意なTH細胞喪失を生成するのに十分であった。また、この細胞喪失は運動機能障害を誘発するのに十分であった。
最初の評価は、両方の候補物質、スタブジン及びタペンタドール塩酸塩について正の結果を提供した。特に、2.8mg/kg/日(C1、現在市販されている最も低い用量の1/3と同等)のタペンタドール塩酸塩について期待できる結果が得られた。
毒性アッセイ
このアッセイの目的は、L−ドーパ処置を伴う、タペンタドール及びタペンタドールのアナログであるトラマドールの毒性を試験することであった。この終わりに、両方の化合物の高用量を健康な野生型マウスに、L−ドーパを伴って投与した。それらの行動を、腹腔内注射後1時間、オープンフィールド試験で評価した。24時間後、動物を殺し、剖検を行った。
方法の簡単な説明
9週齢のNMRI雌マウスをこのアッセイに使用した。動物を、オープンフィールド試験を用いて、試験剤の2回の腹腔内注射後にそれらの健康状態について試験した。頚椎脱臼後に剖検を行った。5つの群を使用し、1群当たり3匹の動物であった:生理食塩水、18mg/kgのL−ドーパ、L−ドーパと組み合わせた8.3mg/kg(濃度1−C1)のタペンタドール、L−ドーパと組み合わせた15mg/kg(濃度3−C3)のタペンタドール、及びL−ドーパと組み合わせた10mg/kgのトラマドール。全ての群で、これらの化合物の投与30分前に、12mg/kgのベンセラジドを投与した。対照群には生理食塩水を与えた。
ベンセラジド投与後、動物を順応のためにオープンフィールドで30分間モニターした。試験化合物をその後投与し、動物の行動をオープンフィールドで1時間の期間、観察及び記録した。化合物投与24時間後、動物を殺し、剖検を行った。
結果−オープンフィールド試験
動物の行動をオープンフィールド試験でモニターした。オープンフィールド試験結果を図22A〜22Fに示す。
6つの異なるパラメータ:最大速度(図22A)、平均速度(図22B)、総移動距離(図22C)、休止に費やした時間(図22D)、緩慢な動作に費やした時間(図22E)、及び迅速な動作に費やした時間(図22F)を記録し、結果はタペンタドール、トラマドール、及びL−ドーパ処置動物について提供した。値は平均値±SEM(n=3)である。ボンフェローニ事後検定での二要因分散分析検定を行って、各時点の群の平均値を比較した。
全体として、動物は、記録した全てのパラメータで同様の行動を有した。C1濃度のタペンタドールで処置した動物は、分析した4つのパラメータのうちの3つにおいてわずかに異なる行動を有したが、差は、化合物投与25分後の平均速度パラメータについてのみ統計的に有意であった(図22B)。
健康状態及び剖検結果
動物への様々な薬剤の投与について、2回の700μL注射を30分空けて投与した。この注射の策は、動物の不快を低減させた。
タペンタドールC1濃度で処置した3匹の動物のうちの2匹は、小腸でわずかなうっ血を有した。残りの腹部器官は正常であった。タペンタドールC3濃度で処置した3匹の動物のうちの1匹は腸の充血を有し、これは2人の獣医師により関連性がないと考えられた。残りの腹部器官は正常であった。トラマドールで処置した全ての動物は、小腸でわずかなうっ血を有した1匹を除いては、正常な腹部器官を有した。L−ドーパ処置マウスは全て、正常な腹部器官を有した。
マウスで見られた差は、組織病理学分析に関連性がないと考えられた。
結果
全体として、動物は、毒性の徴候を有さず、それらの行動は正常であった。それにもかかわらず、1つのケージの動物は腹腔内投与及び行動試験後、奇妙な姿勢を示したことに注目すべきである。
L−ドーパ処置のオン/オフ期間中のタペンタドールの前臨床効力
片側線条体6−OHDAマウスモデルをこの研究で使用した。具体的には、12週齢CD−1雄マウスは、上記に概略される実施例と同様に、以下の座標:AP +0.9mm、ML +2.0mm、DV −3.2mmで6−OHDA神経毒の注射を受容した。動物に10μgの6−OHDA又はアスコルビン酸(溶媒対照)を注射して、疾患を誘発した。疾患は7日間で誘発され、その後処置をこの時点で開始した。
以下の表6、及び実験デザインを要約する図23に従って、動物を腹腔内注射により日毎に処置した。
具体的には、溶媒及び疾患対照群は生理食塩水注射を受け、一方で陽性対照群は6mg/kg/日のレボドパ(L−ドーパ)を疾患誘発7日後〜21日後まで受容し、18mg/kg/日を疾患誘発22日後〜35日後まで受容した。また、レボドパで処置した全ての群は、L−ドーパ投与30分前に、レボドパの末梢での脱炭酸を阻害するために、6又は12mg/kg/日のベンセラジドを受容した。
疾患誘発を評価するために、治療剤適用前にシリンダー試験を行った。2.8mg/kg/日(濃度1−C1)及び5mg/kg/日(濃度3−C3)で試験したタペンタドール塩酸塩の注射15日後(5dpi)に、ロータロッド試験を行った。試験は、治療剤投与60分後に行った。
6mg/kg/日のL−ドーパで処置した群、並びにタペンタドール塩酸塩C1及びC3及びL−ドーパの両方で処置した群に、第1の歩行試験を行い、運動効果を投与60分後(オン期間)に評価した。第2の歩行試験については、L−ドーパ濃度を18mg/kg/日に増大させて中程度のAIMを誘発し、タペンタドール塩酸塩を同じ割合(3×)で増大させた。すなわち、タペンタドール塩酸塩C1濃度投与量を8mg/kg/日に増大させ、タペンタドール塩酸塩C3濃度投与量を15mg/kg/日に増大させた。歩行試験計画は、図24A〜24Bに例示する。
タペンタドール塩酸塩及びL−ドーパ投与後、それぞれ、30分(オン期間)及び150分(オフ期間)に、運動効果を評価した。タペンタドール塩酸塩運動効果を、その作用ピーク中及びL−ドーパ効果が切れた後に測定するようにアッセイを設計した(150分は、AIM試験で回転行動をもはや誘発しない、L−ドーパ投与後の時間として説明される)。
頭蓋内注射後35日目に、動物を殺し、動物の脳を解剖して、組織学分析を行った。
結果
動物の健康状態及び体重を、日毎にモニターした。経時的に群間で動物の体重の有意差はなかった(データを示さず)。
単独の又はL−ドーパと組み合わせたタペンタドール塩酸塩の効力に取り組むために、シリンダー試験及び歩行試験を含む、いくつかの行動試験を使用した。各試験において、様々なパラメータを分析したが、全て主に自発運動行動回復を査定することに焦点を当てた。アッセイ開始前に、動物を歩行試験について訓練した。
シリンダー試験結果
シリンダー試験は、大部分は、自発的かつ探索的活動を評価するために、及び6−OHDA注射により引き起こされた傷害の拡張を決定するために使用する。上記に示すように、この試験は、動物を透明なシリンダーに入れること、及びその行動を5分間観察することからなる。結果を図25A〜25Bに示す。これらの実験におけるシリンダー試験について、評価したパラメータは:対側の足の使用の割合(図25A)及び右折の回数(図25B)であった。治療剤開始前(疾患誘発7日後)に、この試験を行った。
図26A〜26Bで見られるように、6−OHDA処置マウスは、傷害7日後の溶媒処置動物と比較して、傷害7日後に評価した2つのパラメータにおいて、すなわち、対側の足の使用の割合(図26A)及び右折の回数(図26B)の両方において有意な運動機能障害を示した。値は平均値±SEM(n=5〜51)である。スチューデントのt検定を行って、群の平均値を比較した(ns、非有意、***p<0.001、****p<0.0001)。
これらの結果に基づいて、試験動物を治療群間で等しく、かつランダムに分布させ、これは、異なる群間で疾患誘発の有意差が観察されないことを確実にした(例えば図26A〜26Bを参照のこと)。動物を盲検的に処置し、結果を分析するときも同様であった。
様々な治療群についてのシリンダー試験結果を図26A〜26Bに示す。見られるように、6−OHDA、L−ドーパ、タペンタドール塩酸塩C1、タペンタドール塩酸塩C1+L−ドーパ、タペンタドール塩酸塩C3、及びタペンタドール塩酸塩C3+L−ドーパ処置マウスは、傷害7日後に評価した2つのパラメータにおいて、すなわち、対側の足の使用の割合(図26A)及び右折の回数(図26B)において有意な運動機能障害を示した。値は平均値±SEM(n=5〜10)である。スチューデントのt検定を行って、群の平均値を比較した(ns、非有意、p<0.05)。
この試験からの主な結論は、疾患は十分に、かつ全ての処置群間で同様の様式で誘発されたということであった。
組織学結果
細胞レベルで疾患誘発の程度を決定するために、殺した動物の黒質緻密部(SNpc)のチロシンヒドロキシラーゼ(TH)について陽性のドパミン作動性ニューロンをカウントした。線条体において、また、TH及びドパミントランスポーター(DAT)免疫反応性について軸索強度を測定して、線条体軸索変性を評価した。各試験群からのマウスの脳の冠状凍結切片(20μm)を免疫染色のために加工し、黒質緻密部のTH染色区画の顕微鏡像を健康な対照マウス及び疾患誘発マウスから得た。結果を図27A〜27Gに示す(スケールバー=20μm)。
具体的には、図27A〜27Gは、健康な対照マウス(図27A)、6−OHDA疾患誘発マウス(図27B)、並びにL−ドーパで処置した疾患誘発群(図27C)、2つの異なる濃度のタペンタドール塩酸塩で処置した疾患誘発群(図27D〜27E)、及びL−ドーパと2つの異なる濃度のタペンタドール塩酸塩と組み合わせて処置した疾患誘発群(図27F〜27G)からの線条体のチロシンヒドロキシラーゼ(赤色のTH)及びドパミントランスポーター(緑色のDAT)染色区画の顕微鏡像を示す。黄色標識は、TH及びDATマーカーの共局在を示す。スケールバー=20μmである。
見られるように、溶媒対照(アスコルビン酸)群において、両側のTH+細胞の数は同じであった(予想される通り)(図27A)。6−OHDA及び治療群において、対側の注射していない側と比較すると、同側の側においてTH+細胞の喪失があり、これは神経変性が起こったことを示し、これもまた予想される通りであった(図27B〜27G)。TH+細胞喪失は、溶媒群と比較すると、6−OHDAで誘発した全ての群について有意であり、疾患誘発群間では差がなかった。80%超のTH+細胞を有する動物は除外した(SNpcにおける20%未満の細胞死に対応する)。典型的に、細胞死はSNpcで約40%であり、軸索変性は線条体で約50%であった。
図28A〜28Cは、SNpcにおけるTH陽性細胞死と線条体における誘発された軸索変性との間の相関を示す。具体的には、図28A〜28Cは、6−OHDAの片側頭蓋内注射により誘発された細胞喪失を、注射の同側(左)及び対側(右)のTH陽性細胞カウント(図328A)により、及び線条体内のTH−DAT二重陽性軸索(図28B)により、並びにTH陽性細胞カウントと線条体内のTH−DAT二重陽性軸索との間のピアソンの相関(図28C)により、評価したものを示す。値は平均値±SEM(n=5〜9)である。1要因分散分析検定を行って、群の平均値を比較した(ns、非有意、****p<0.0001)。
全体として、これらの結果は、疾患誘発を確証し、全ての動物において疾患が十分に誘発されたことを確認した。このレベルの部分的なドパミン系の枯渇(60%のドパミン系の低減)は、PDの初期及び中程度段階の優れたモデルと考えられる。
異常な不随意運動−AIMについての結果
上記に示されるように、L−ドーパ処置は運動障害を誘発する。この状態は、ある範囲の不随意運動をもたらし、これはAIM試験により評価することができる。示されるデータは、予想される通り、L−ドーパ処置群は不随意運動を示し、一方でタペンタドール塩酸塩単独で処置した群は不随意運動を示さなかったことを示す。これらの結果は、タペンタドール塩酸塩はL−ドーパとは異なる作用機構、及びより安全なプロファイルを有することを示し得る。
異常な不随意運動を、注射20日後に、L−ドーパ投与後の4つの異なる時点(30、60、90、及び120分)で、シリンダー試験中に評価し、結果を図29A〜29Fに示す。以下のパラメータ:矢状面又は前額面の対側の前肢の多動な動き及び/又は筋緊張異常の動き(前肢不随意運動、図29A)、傷害に対して対側の側へ向かう首及び上体の歪んだ姿勢(上体不随意運動、図29B)、口腔顔面筋の単攣縮、空の顎の動き、及び対側の舌の突出(口腔顔面不随意運動、図29C)、対側の偏りを伴う回転運動(回転不随意運動、図29D)、全体的な不随意運動(図29E)、並びに様々な時点に沿った全体的な不随意運動(図29F)を評価した。スコアは、不随意運動の重症度により、0〜4に及び、全ての時点からのスコアを合計した。全体的な異常な不随意運動(図29E〜329F)は、評価した全ての4つの異なる不随意運動の合計であった。値は平均値±SEM(n=5〜9)である。ボンフェローニ事後検定での1要因分散分析検定を行って、各時点の群の平均値を比較した。p<0.05、****p<0.0001。
図29A及び29Cについて、前肢及び口腔顔面の不随意運動は、動物の大きさを考慮すると、マウスでは検出するのが困難であり、誤差の可能性をもたらす。したがって、これらの測定は、統計的に有意ではなかった。それにもかかわらず、これらの2つの異常な不随意運動は、より高いL−ドーパ用量でより明らかであった。さらに、注射20日後(20dpi)の全体的なAIMの分析は、6mg/Kg/日のL−ドーパは、投与30分後に作用ピークを生成し、これはその後急速に減少して投与60分後には効果がなかったことを示した。この応答は、タペンタドール塩酸塩C1及びC3の存在下で維持された。
これらの試験をより高い濃度のL−ドーパを用いて繰り返し、結果を図30A〜30Fに示す。具体的には、注射28日後(28dpi)に、L−ドーパ濃度を18mg/Kg/日に増大させ、AIM試験を繰り返した。結果は、より長いL−ドーパ効果を示し、AIMは投与90分後まで存在した。これらの効果は、タペンタドール塩酸塩の同時投与により元に戻らなかった。同じパラメータを、注射20日後(20dpi)について分析した。値は平均値±SEM(n=5〜9)である。ボンフェローニ事後検定での1要因分散分析検定を行って、各時点の群の平均値を比較した。p<0.05、****p<0.0001。
図30Aが示すように、前肢不随意運動は、明らかになった。さらに、図30Eが示すように、全体的なAIMの重症度が増大し、重症度は投与後延長された。
全体的な異常な不随意運動と細胞喪失又は軸索変性との間の相関を、L−ドーパ処置群について確立し、結果を図31A〜31Bに示す。具体的には、図31A〜31Bは、L−ドーパ処置群における、TH陽性細胞数(図31A)又はTH−DAT軸索(図31B)と全体的なAIMとの間のピアソンの相関を示す。両方の群について、細胞死又は軸索変性と全体的な異常な不随意運動との間に有意な相関があった。全体として、これらの結果は、タペンタドール塩酸塩単独はAIMを誘発せず、それゆえL−ドーパより安全なプロファイルを提供するが、それにもかかわらず、タペンタドール塩酸塩は、このモデルにおいてL−ドーパが誘発したAIMを元に戻さなかったことを示した。
細胞喪失及び歩行試験結果はオフ期間モデルを証明する
患者におけるレボドパ投与中、運動変動は、運動性が減少した状態であるオフ時間と、薬物療法が働いており、症状が制御されている期間であるオン時間との間で変動する。療法の目的は、明らかであり:オフ時間を低減させること;オフ時間をより予測可能にすること;及び(運動障害等の副作用を避けるために)より低い量の薬物療法でかかる期間を治療することができることである。
ヒトにおいて慢性L−ドーパ治療が有害であり、運動合併症(姿勢異常、すくみエピソード、及び発語障害)、並びに「ドーパ抵抗性」非運動徴候(自律神経機能障害、気分及び認知障害)及び/又は薬物と関連付けられる副作用(とりわけ精神病、運動変動、及び運動障害)を誘発し得ることが仮定されている。かかる発生は、L−ドーパが神経毒性効果を有することを示す細胞培養データと共に、結果として起こる副作用を避けるために可能な限り長くレボドパ治療を遅延し、かつ治療が開始されるとパルス状の様式よりむしろ連続的に脳にL−ドーパを送達すること(例えば制御放出製剤及び/又は補助療法を用いて)を試みる策を導いた。しかしながら、L−ドーパがインビボで毒性であることを示唆する確固とした証拠はほとんどない。
本研究は、インビボでのL−ドーパ神経毒性の証拠を示さない。L−ドーパ処置群中のTH+細胞数は、6−OHDA処置群と同様であった。結果を図32A〜32Bに示す。
図32A〜32Bが示すように、6−OHDAの片側頭蓋内注射により誘発された細胞喪失を、注射と同側(左)及び対側(右)のTH陽性細胞カウント(図32A)により、並びに線条体内のTH−DAT二重陽性軸索(図32B)により評価した。値は平均値±SEM(n=5〜9)である。1要因分散分析検定を行って、群の平均値を比較した(ns、非有意、****p<0.0001)。
歩行試験結果
マウスの四肢の動作パターンをより良く観察するために、ビームテストで使用されるものと同様であるが、閉鎖通路及びドアを有する新しいデバイスを作製した。この装置は透明であり、先端に2つのホームケージがあり、1つは透明な入口にあり、もう1つは黒色である反対側の端にある。各試験を5回繰り返し、3回のより一貫した試験を、足を置く場所を分析するために選択した。データを、通路の下部、上部、及び側面の3つの異なるカメラにより記録した。各カメラは、異なる歩行パラメータの測定を可能にした。具体的には、下部カメラは、支持の基部を通した、後足の距離及び後足の角度の測定を可能にした。上部カメラは、別個の区域の様々なパラメータの測定を可能にし:緑色の領域(装置の長さのほとんど)では、最大及び平均速度、休止時間/緩慢な動作の時間/迅速な動作の時間の割合、並びにドアまでの時間を測定し;紺色の領域は、遅延区域を提供し;黄色領域(ドアの前の領域)では、ドアまでの耐久時間、ドアまでの平均速度、及びドアに入るまでの時間を測定した。側面のカメラは、マウスの姿勢を分析するために使用した。
オン及びオフ L−ドーパ期間を模倣するために、オンを模倣して注射20日後(20dpi)、L−ドーパ投与60分後に;及びオフを模倣して注射28日後、L−ドーパ投与150分後に、歩行試験を行った。タペンタドール塩酸塩は、常にオンであるので、注射20日後に、L−ドーパと同じ時間に投与し、60分後に測定し;L−ドーパが既にオフである注射28日後に、投与30分後に測定した(歩行試験計画、図24A〜24Bを参照のこと)。
注射21日後(21dpi)に、測定した全てのパラメータは、タペンタドール塩酸塩処置後に有意な改善を示さなかった(データは示さず)。
それにもかかわらず、模倣L−ドーパオフ期間中に改善が観察された。L−ドーパで慢性的に処置した動物は、注射29日後(29dpi)の150分後に、平均速度、休止時間の割合、及び迅速な動作の時間の割合のパラメータについて自発運動の欠陥を示した。しかしながら、決定的に、この表現型は、タペンタドール塩酸塩で処置した動物についても緩和された。結果を図33A〜33Eに示す。
図33A〜33Eは、注射29日後(29dpi)の歩行試験結果を示す。タペンタドール塩酸塩処置動物は、最大速度(図33A)、平均速度(図33B)、及び休止時間又は迅速な動作の時間の割合(図33C)において行動回復を示し、一方で緩慢な動作は全ての群で同様であり(図33D、図33Cのプロットの分解を示す)、動物がドアに達するまでにかかった時間についても全ての群で同様であった(図33E)。値は平均値±SEM(n=5〜9)である。スチューデントのt検定を行って、各時点の群の平均値を比較した(ns、非有意、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。
したがって、この研究で使用した動物モデルでは、運動機能障害は、疾患群と比較すると、L−ドーパ処置動物で、L−ドーパ退薬後に明らかであった(再び図33A〜33Eを参照のこと)。この運動性低下状態は、L−ドーパ処置マウスが注射29日後(29dpi)に6−OHDA処置マウスより悪い自発運動行動を示すという意味で、L−ドーパが切れ、その治療効果が停止したときであるパーキンソン病患者のオフ運動状態と似ている。
「ドアへの近さ」行動を評価するパラメータについての注射29日後(29dpi)の歩行試験結果を図34A〜34Cに示し、同じ傾向を証明する。具体的には、ドアへの近さ行動を分析するパラメータ、すなわち、ドアまでの耐久時間、ドアに入るまでの時間、及びドアまでの平均速度は全てさらに、L−ドーパ処置を伴わない6−OHDA処置動物より悪い(オフ期間中の)行動をもたらすL−ドーパ慢性投与の傾向を証明し、L−ドーパを伴うタペンタドール塩酸塩の投与での回復を示す。
図34A〜34Cが示すように、様々な処置群の中で、タペンタドール塩酸塩処置動物は、ドアまでの耐久時間(図34A)、ドアに入るまでの時間(図34B)、及びドアまでの平均速度(図34C)の点で行動回復を示した。値は平均値±SEM(n=5〜9)である。スチューデントのt検定を行って、各時点の群の平均値を比較した(ns、非有意、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。
行動試験結果及び黒質TH+細胞喪失又は線条体内軸索変性について、線形回帰を計算した。結果を図35A〜35Lに示す。
図35A〜35Lが示すように、SNpcTH陽性細胞数と行動障害との間の相関を、平均速度(図35A)、迅速な動作の時間の割合(図35C)、緩慢な動作の時間の割合(図35E)、及びドアまでの時間(図35G)について確証した。線条体内軸索投影と行動障害との間の相関は、緩慢な動作の時間の割合についてのみ観察された(図35F)。
これらの相関は、平均速度、迅速な動作の時間の割合、緩慢な動作の時間のパーセント、及びドアまでの時間が、ドパミン作動性脳領域に依存した運動に影響される行動であり、さらにドアと関連付けられるパラメータ、例えばドアまでの平均速度及びドアまでの耐久時間は、非運動効果及び/又はドパミン作動性領域に加えて他の脳領域の活性化と関連付けられ得る可能性があることを示す。L−ドーパを単独で受容した動物でのみ見られたオフ相における運動機能の減少は、L−ドーパ退薬の運動及び非運動効果の組合せが原因であり得る可能性が高い。この理論と一致して、PD患者における非運動徴候の研究は、慢性L−ドーパ治療が運動変動に加えて気分変動を促進し得ることを示している。例えば、顕著な気分変化は、PDを有する患者においてオン/オフ現象と関連付けられている。
結論
このアッセイの目的は、PDの片側マウスモデルに対するタペンタドール塩酸塩の効力を試験すること、及びタペンタドール塩酸塩とL−ドーパとの間の相互作用を調べることであった。2つの異なるタペンタドール塩酸塩濃度を、L−ドーパを増大させた(用量漸増)のと同じ割合で、濃度増加モデルで使用した。いくつかの行動試験で、運動改善を評価した。結果は、オフ期間中を含む、L−ドーパの長期使用の効果を治療するための前運動徴候的効果を支持する。したがって、タペンタドール塩酸塩は、既に高用量のL−ドーパを摂取している患者に、L−ドーパ運動機能障害から保護する効果を提供することができる。タペンタドール塩酸塩が、L−ドーパとの共処置で運動障害を増大させなかったことは注目すべきである。

Claims (19)

  1. パーキンソン病、それに関連する障害、それらの症状、又はドパミン作動剤で治療される状態の副作用を、前記パーキンソン病、障害、又は状態を患う又はそれにかかりやすい対象において、治療、低減、予防、及び/又は遅延する方法であって、
    前記対象に有効量の医薬組成物を投与するステップ
    を含み、
    前記医薬組成物が、タペンタドール又はその誘導体及び薬学的に許容される担体を含む、
    前記方法。
  2. パーキンソン病、それに関連する障害、それらの症状、又はドパミン作動剤で治療される状態の副作用を、前記パーキンソン病、障害、又は状態を患う又はそれにかかりやすい対象において、治療、低減、予防、及び/又は遅延することにおける使用のための医薬組成物であって、
    タペンタドール又はその誘導体及び薬学的に許容される担体を含む、
    前記使用のための医薬組成物。
  3. 治療、低減、予防、又は遅延される症状が、運動障害、筋緊張異常、舞踏病、無定位運動症、運動変動、姿勢異常、発語障害、動作緩慢、すくみ足、震え、筋固縮、動作の緩慢さ、歩き及び歩行の困難さ、自律神経障害、起立性低血圧、気分動揺、認知障害、精神病、幻覚、妄想、不安、認知症、及びうつ病、
    好ましくはパーキンソン病におけるうつ病
    からなる群から選択され、並びに/又は
    好ましくは、症状が、運動変動若しくは姿勢異常である、
    請求項1に記載の方法、又は請求項2に記載の使用のための医薬組成物。
  4. 対象が、パーキンソン病の進行した段階、又はパーキンソン病を治療することが知られる薬剤に対する応答性が初期段階よりも低いパーキンソン病の段階を有し、
    好ましくは、前記薬剤が、ドパミン作動剤、より好ましくはレボドパであり、
    及び/又は好ましくは、前記応答性が低い段階が、レボドパ治療のオフ期間である、
    請求項1若しくは3に記載の方法、又は請求項2若しくは3に記載の使用のための医薬組成物。
  5. 医薬組成物がタペンタドール塩酸塩を、好ましくは約126mg/日、約150mg/日、約200mg/日、又は約250mg/日の有効量を提供する量で含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法、又は使用のための医薬組成物。
  6. トラマドールが使用されない、請求項1〜5のいずれかに記載の方法、又は使用のための医薬組成物。
  7. 組成物が、好ましくは1日1回、より好ましくは1日3回経口投与される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法、又は使用のための医薬組成物。
  8. 医薬組成物が、パーキンソン病若しくは関連する障害を治療することが知られる薬剤、又は前記薬剤の誘導体と組み合わせて投与され、
    好ましくは、前記薬剤が、ドパミン作動剤、より好ましくはレボドパである、
    請求項1〜7のいずれかに記載の方法、又は使用のための医薬組成物。
  9. 医薬組成物が、パーキンソン病若しくは関連する障害を治療することが知られる薬剤、又は前記薬剤の誘導体をさらに含み、
    好ましくは、前記薬剤が、ドパミン作動剤、より好ましくはレボドパである、
    請求項1〜8のいずれかに記載の方法、又は使用のための医薬組成物。
  10. レボドパが、パーキンソン病の進行した段階、又はレボドパに対する応答性が初期段階よりも低いパーキンソン病の段階を有する対象への投与に適切な量であり、
    より好ましくは、前記応答性が低い段階が、レボドパ治療のオフ期間である、
    請求項9に記載の方法、又は使用のための医薬組成物。
  11. 医薬組成物の投与が、オフ期間の持続期間又は頻度又はこれらの両方を低減させるために有効である、請求項1〜10のいずれかに記載の方法、又は使用のための医薬組成物。
  12. 医薬組成物の投与が、ドパミン作動剤の1つ又は2つ以上の副作用を緩和する、請求項1〜11のいずれかに記載の方法、又は使用のための医薬組成物。
  13. ドパミン作動剤がL−ドーパである、請求項12に記載の方法、又は使用のための医薬組成物。
  14. 副作用が、オフ期間の頻度又は持続期間の増大である、請求項12又は13に記載の方法、又は使用のための医薬組成物。
  15. タペンタドール又はタペンタドールの誘導体と、
    パーキンソン病若しくは関連する障害を治療することが知られる薬剤、又はパーキンソン病若しくは関連する障害を治療することが知られる薬剤の誘導体と、
    薬学的に許容される担体と
    を含む医薬組成物。
  16. タペンタドールがタペンタドール塩酸塩であり、薬剤がドパミン作動剤、より好ましくはレボドパである、請求項15に記載の医薬組成物。
  17. タペンタドール塩酸塩が、約126mg/日の有効量を提供する量で存在し、及び/又はレボドパが、パーキンソン病の進行した段階における投与に適切な量である、請求項16に記載の医薬組成物。
  18. 組成物が経口製剤、好ましくは即時放出用経口製剤であり、及び/又は
    医薬組成物がトラマドールを含まない、
    請求項15〜17のいずれかに記載の医薬組成物。
  19. タペンタドール又はタペンタドールの誘導体、及びパーキンソン病若しくは関連する障害を治療することが知られる薬剤又は前記薬剤の誘導体を提供するステップと、
    薬学的に許容される担体と混合するステップと
    を含む、請求項15〜18のいずれかに記載の医薬組成物を製造する方法。
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