JP2018515389A - 列車編成の構築および管理のためのシステムおよび方法 - Google Patents

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Abstract

列車編成の管理、組み立て、分解、確認を行い、車両基地内の鉄道車両のモニタを行う車両基地管理システム。データを収集し、低い処理レベルから高い処理レベルにデータを移動させるシステムを提供する。システムでは、推測エンジンは、車両基地内の鉄道車両および列車編成のそのときの状態に関する推測を行う。推測には、前記方法と、推測を行うのに用いられる利用可能なデータとに基づいて信頼水準が割り当てられる。システムを用いて、車両基地内の鉄道車両の位置および向きを追跡し、列車編成中の資産の順序および向きを確認することができる。

Description

関連出願
この出願は、2015年5月27日出願の米国仮特許出願第62/167,015号および2015年10月21日出願の米国仮特許出願第62/244,543号の利益を主張する。これらの全体は引用によって本明細書に援用される。
鉄道車両、機関車および列車編成を含む資産をリアルタイムで配置して編成することができることは鉄道事業者および鉄道運用者にとってますます重要になってきている。運用上の観点から、鉄道車両が車両基地の境界の内にあるのか外にあるのか、移動しているのか静止しているのか、また、鉄道車両が列車編成の一部であるか否かまたは他の鉄道車両にリンクされていないか否かを判断することは鉄道運用者にとって重要である。
鉄道車両の状態についての知識を用いることで、運用者は、所定の時点で鉄道車両が利用されているのか利用されていないのかを判断することができ、車両基地の運用の管理に有用な手段が実現される。
現在の業界の慣習上、鉄道運用における列車編成および車両基地の管理は、各鉄道車両に付されているパッシブ無線ID(RFID)タグを鉄道網の定点で読むことに頼っている。この方法により、鉄道運用者は資産の出発/到着リストを得るが、この方法には、RFIDリーダーの範囲にない場合の位置、ステータス、状態および/またはパフォーマンスデータなどのタイムリーな情報を送ることができる動的な無線ネットワークの利点が欠如している。しかも、RFIDタグに典型的にコード化される情報は静的であるので、RFIDタグは鉄道車両の現在のステータスを提供することができない。さらに、現在、列車編成が車両基地を出る前に列車編成を確認する機構がシステムによって実現されていない。列車編成を生成するときにミスが起こる場合があり、このようなミスの結果が見落とされる場合がある(列車編成中の誤った鉄道車両または余分な鉄道車両)。列車編成が車両基地を出発する前に列車編成を視覚的に確認するのに人間の介在を利用することに関連する場合がある安全リスクも存在する。
したがって、列車編成の生成および確認の管理を容易にする車両基地の列車編成管理システムを提供することが望ましい。ミスをなくし、現在のシステムの手動プロセスを行う人間に対する安全リスクを低減することを目的とする。さらに、プロセスを自動化することで、車両基地の管理の効率を改善し、これによりコストを下げる。
鉄道列車が運用される厳しい苛酷な環境であるので、どのようなモニタリングシステムも堅固で、信頼性が高く、メンテナンスをほとんど必要とせずに長期間作動することができなければならない。北アメリカだけで150万以上の貨物車両が存在し、世界中に数百万を超える貨物車両が存在するので、使用中のすべての鉄道車両と、車両基地で使用されていないすべての鉄道車両との両方をモニタするシステムがきわめて望ましい。したがって、システムは、きわめて多数の潜在的なデバイスを取り扱うように大規模に実現可能であることが必要である。
列車/レール通信センサシステムは、2010年3月30日発行の米国特許第7,688,218号、2015年5月5日発行の米国特許第9,026,281号、2013年12月26日公開の米国特許出願公開第2013/0342362号、2014年11月26日出願のPCT出願第PCT/US2014/067739号および2014年12月24日出願のPCT出願第PCT/US2014/072380号に開示されている。これらのすべての完全な開示は引用によって本明細書に援用される。
米国特許第7688218号明細書 米国特許第9026281号明細書 米国特許出願公開第2013/0342362号明細書 PCT出願第PCT/US2014/067739号 PCT出願第PCT/US2014/072380号
この発明の目的は、データの収集およびそのデータの解析によって、以下の機能、すなわち、
・車両基地内の鉄道車両の存在を検出する機能、
・車両基地内の鉄道車両の位置および向きを判断する機能、
・列車編成の組み立てを論理的にモニタする機能、
・列車編成中の鉄道車両の順序および向きを判断する機能、
・列車編成中の鉄道車両の順序と列車編成中の鉄道車両の向きとを確認する機能、
・列車編成の鉄道車両の順序が誤っている場合に十分な警告を提供することで、運用上の不具合が生じる前に人間または自動システムによる介在を可能にする機能、
・異なる処理レベルでイベントおよび警告の重大度および優先度を判断する解析能力を提供する機能、
・車両基地内の鉄道車両の運用状態(積載されている、積載されていない、ハンドブレーキがかけられているなど)を判断する機能
の1つ以上を行う包括的なシステムを提供することである。
1つの好ましい実施の形態では、図1を参照して、本発明は、列車編成を構築し管理するシステムおよび方法からなり、以下を含む。
無線メッシュネットワークを用いて列車編成109中の貨物車両103(a)または103(b)からホストまたは制御ポイントへの双方向通信を提供する列車搭載メッシュネットワークシステム107。
列車搭載メッシュネットワーク107を管理し、個々の鉄道車両103(a)または103(b)から機関手またはその他列車管理システムにイベントを通信するパワード・ワイヤレス・ゲートウェイ・デバイス(PWG)102。
個々の鉄道車両から複数のセンサイベントを受けて、列車編成109中の鉄道車両の順序について推測を行うことができるパワード・ワイヤレス・ゲートウェイ・デバイス102。
当該鉄道車両103(a)または103(b)だけが加わることができる列車編成109中にあるべき貨物車両103(a)または103(b)を指定する情報を外部の制御センタまたはデータシステムから受けて、存在しないすべての鉄道車両103(a)または103(b)をレポートすることができるパワード・ワイヤレス・ゲートウェイ・デバイス102。
列車搭載メッシュネットワーク107の無線ノードになることができ、ホストまたは制御ポイントにメッセージを送ることができる各鉄道車両103にある通信管理ユニット(CMU)101。
内蔵センサを用いてかつ/または貨物車両103にある無線センサノード104ネットワークを管理して、機関車ホストまたは制御ポイントに送る必要があるメッセージを生成することができる各鉄道車両にある通信管理ユニット101。
全地球測位システム(GNSS)センサをサポートして貨物車両103の位置、方向または速度を判断することができる各鉄道車両103にある通信管理ユニット101。
コンパスを用いることができる各鉄道車両103にある通信管理ユニット101。
運動センサを用いることができる各鉄道車両103にある通信管理ユニット101。
衝撃検出用の1つ以上の加速度計を用いることができる各鉄道車両103にある通信管理ユニット101。
運動感知用の1つ以上の加速度計を用いることができる各鉄道車両103にある通信管理ユニット101。
1つまたは複数のジオフェンスをサポートすることができる各鉄道車両103にある通信管理ユニット101。
RFIDリーダーの存在を示すことができる各鉄道車両103にある通信管理ユニット101。
メッシュネットワークの存在および信号強度を判断することができる各鉄道車両103にある通信管理ユニット101。
温度センサおよび加速度計を含む無線センサノード104。
運動センサを含む無線センサノード(WSN)。
他のセンサを含む無線センサノード104。
1つ以上のパワード・ワイヤレス・ゲートウェイ102が存在する管理対象車両基地または非管理対象位置。
完成した列車を形成する鉄道車両103および機関車108の接続グループと定義される列車編成109。
列車編成を構築し管理するのに用いられる列車搭載メッシュネットワークシステム107は、列車編成109の形成中に(制御センタに向けて)イベントと警報との両方を送信するのに用いることもでき、さらに、列車編成109の形成が完了した後に(制御センタまたは機関車108に)イベントおよび警報を送信するのに用いることもできる。
列車編成モニタシステムおよび関連するハードウェア構成要素を示す図である。 レールに対する車両基地内の鉄道車両の位置および向きを判断する方法を示すフローチャートである。 鉄道車両が車両基地内にあるか否かを判断する方法を示すフローチャートである。 列車編成を形成することができるように鉄道車両をどのようにリンクさせることができるかを示す図である。 データが無線センサノード、通信管理ユニット、パワード・ワイヤレス・ゲートウェイから制御センタにどのように流れるかを示す図である。 メッセージ優先度に基づいてメッセージをどのように送るかを示すフローチャートである。 車両基地の方向が南西から北東に向いていることが知られている車両基地を鉄道車両の拡大物とともに示す図であり、北に対するCMUの方位に基づいてCMUが設置されている鉄道車両のBエンドをどのように判断することができるかを示す。 2つの鉄道車両が同じ鉄道軌道上にあるか否かを判断する方法を示す図である。 PWGの存在範囲内にないモニタされる鉄道車両(管理対象車両基地内の鉄道車両または管理される列車編成の一部としての鉄道車両)を、パワード・ワイヤレス・ゲートウェイが設置されている通過機関車によってどのように認識することができるかを示す図である。 2つの典型的なセンサについての確率曲線の例を示す。 2つ以上の鉄道車両がリンクされることがもっともらしいことについての尤度を判断するための確率曲線の特定の使用例である。 確率の代わりに履歴データを用いて、2つ以上の鉄道車両がリンクされることがもっともらしいか否かを判断する例を示す。 連結イベントが起こったか否かを判断する方法を示すフローチャートである。
定義
参照番号109として図面に示されている列車編成は、鉄道車両および機関車の接続グループと定義する。
リンク(たとえば図4に示されている)は、ともに連結されている2つ以上の鉄道車両と定義する。
演算デバイスは、ソフトウェアを処理し実行して、計算を実行するか、別様に機能を提供することができる任意のマシンと定義する。演算デバイスはまた、この本発明で必要とされる機能を実行するデータ保存能力およびネットワーク通信能力を持つ。演算デバイスは、この文献に記載されているようなサーバ、PCまたはPWG102を含むが、これらに限定されない。
管理部は、時間同期スケジュール通りにメッシュネットワーク中のノードをともにリンクし、ネットワーク中のすべてのノード間で、また管理部との間で信頼性の高い双方向通信が可能であるようにリンクスケジュールを維持することができる任意のデバイスと定義する。管理部はまた、フロントエンド通信用の別のネットワークホストに対するユーザインタフェースを提供してもよい。管理部は、この文献に記載されているように、PWG102またはCMU101を含むが、これらに限定されない。
ノードは、別のデバイスと双方向無線通信を行ってデータを送受信することができる任意のデバイスと定義する。ノードは、この文献に記載されているように、CMU101またはWSN104を含むが、これらに限定されない。
センサは、物理特性を検出または測定して、結果を記録するか、結果信号を送信する任意のデバイスと定義する。この文献に記載されているように、PWG102、CMU101またはWSN104に1つ以上のセンサを設けてもよい。
参照番号104として図面に示されている無線センサノード(「WSN」)は、典型的には鉄道車両103(a)または103(b)に配置され、好ましくは自己完結式の保護ハウジング内に配設され、また、1つ以上のセンサと、電源と、センサの値を読んで読み取り値をデジタル形式に変換する回路と、WSNによってセンサ読み取り値を外部受信器に無線送信する通信回路とを含んでもよい。たとえば、無線センサノードを用いて、モニタされるパラメータ(たとえばベアリングまたは外気の温度)またはステータス(たとえば扉またはハンドブレーキの位置)を感知する。WSNは、組込型マイクロプロセッサで実行されるソフトウェアとして実装され、データを解析して、データを直ちに送る必要があるか、後で送信するために保持する必要があるか、集計して警報を発する必要があるかを判断するインテリジェンス能力も含んでもよい。WSNは典型的には、CMUまたはPWGによって管理される無線メッシュネットワークのメンバである。
参照番号101として図面に示されている通信管理ユニット(「CMU」)は典型的には鉄道車両103に配置される。CMUは、鉄道車両を覆う鉄道車両搭載無線メッシュネットワーク105の管理部として機能してもよい。CMUハードウェアは好ましくは、プロセッサと、電源、たとえばバッテリと、全地球測位システム(「GPS」)受信器と、Wi−Fiおよび/または携帯電話能力と、メッシュネットワークを維持する無線通信能力とを含む。また、1つ以上のセンサ、たとえば、これらに限定されないが、加速度計または温度センサを含んでもよい。CMUは、IEEE 2.4GHz 802.15.4無線標準を用いたメッシュ構成の1つ以上のWSNをサポートしてもよい。さらに、CMUは、列車編成中のすべての有効な鉄道車両由来のCMUからなり、管理部、好ましくは、電源付き機関車に典型的に配置されるパワード・ワイヤレス・ゲートウェイ(PWG)によって制御される列車搭載無線メッシュネットワークのメンバでもある。CMUは、1つ以上の管理部、好ましくは、車両基地全体にわたって分散するパワード・ワイヤレス・ゲートウェイによって制御される車両基地設置無線メッシュネットワークのメンバである。あるいは、CMUは、無線メッシュネットワークの外で独立して動作する。したがって、CMUは少なくとも4つの機能をサポートする。すなわち、1)加速度計などのCMU内の内蔵センサをサポートして鉄道車両の特定の属性、たとえば、位置、速度、加速度他をモニタする機能と、2)電源付きホストまたは制御ポイント、たとえば機関車および/または列車から離れたモニタ制御センタに対する双方向通信をサポートする機能と、3)内蔵センサおよび/または鉄道車両搭載無線メッシュネットワーク中の複数のWSNからのデータを統合し、集めたデータにロジックを適用して電源付きホスト、たとえば機関車または離れた制御センタに対する警告警報を生成する機能と、4)鉄道車両を覆う低出力無線メッシュネットワークを管理する機能とをサポートする。
CMUは、1つ以上のWSNからデータおよび/またはアラームを受けるか、データおよび/またはアラームを直接生成することができ、また、鉄道車両103のパフォーマンスに関してこのデータまたはアラームから推測を行うことができ、データおよびアラーム情報を離れた受信器に送信することができる。CMUは好ましくは、他の場所、たとえば移動基地局(たとえば機関車108)、地上基地局などに対する通信リンクとして機能する単一のユニットであり、受けたデータを処理する能力を有する。CMUは、ローカル鉄道車両搭載無線メッシュネットワーク内で、WSN(存在する場合)との通信、これの制御およびこれのモニタも行う。好ましくは、後述するように、各鉄道車両におけるCMUの配置が列車編成中の鉄道車両の順序および向きの判断を行うのに有用であるように、CMUの配置を整合させる。
参照番号102として図面に示されているパワード・ワイヤレス・ゲートウェイ(「PWG」)は好ましくは、機関車に配置されるか、車両基地設置無線メッシュネットワークの一部として配設される。PWGは典型的には、プロセッサ、GNSS受信器、衛星およびまたは携帯電話通信システム(satellite and or cellular communication system)、Ethernet(登録商標)ポートおよび高能力ネットワーク管理部を含む。PWGでは、電力は機関車によって供給される(機関車に配置される場合)。あるいは、PWGは別の電源から電力を得る。PWGは、列車中の各鉄道車両由来の複数のCMUからなり、列車編成を覆う無線メッシュネットワーク(以下で定義される列車搭載無線メッシュネットワーク)の管理部として機能する。あるいは、PWGは車両基地を覆う無線メッシュネットワーク(以下で定義される車両基地設置メッシュネットワーク)のメンバであり、この無線メッシュネットワークは、そのときに列車編成と関連しない個々の鉄道車両由来の他のPWGおよびCMUからなる。PWGは、CMUの存在を必要とすることなく、通信してWSNを直接管理することができる。PWGは、機関車108などの電源付き資産に配置される場合、電源付き資産から電力を得る。あるいは、PWGは別の電源、たとえば太陽光発電器または高容量バッテリから電力を得る。
PWGは、個々の鉄道車両のパフォーマンスに関して推測を行うCMUとは対照的に、データを収集して列車編成のパフォーマンスに関して推測を行う。
ダーク鉄道車両は、CMUを備える鉄道車両であるが、以下で定義される列車搭載無線ネットワークまたは車両基地設置無線ネットワークと接続されない、すなわち、このネットワークに関連しない鉄道車両である。
参照番号105として図面に示されている鉄道車両搭載無線メッシュネットワークは鉄道車両103にあるCMUからなる。このCMUは複数のWSNのメッシュネットワークの一部であり、このメッシュネットワークを管理する。複数のWSNの各々は好ましくは同じ鉄道車両103に配設される。
参照番号107として図面に示されている列車搭載無線メッシュネットワークは、典型的には機関車108に配置されて(ただし、列車編成中の任意の可動資産にあってもよい)電力供給されるPWG102からなる。PWG102は複数のCMUのメッシュネットワークの一部であり、このメッシュネットワークを管理する。複数のCMUの各々は鉄道車両に配設される。機関車と複数の鉄道車両とは列車編成を形成する。
参照番号117として図面に示されている車両基地設置無線メッシュネットワークは、車両基地の戦略的な位置に配設される地上設置型の、電力供給される1つ以上のPWGからなる。この1つ以上のPWGは、各々が1つの鉄道車両に配設される1つ以上のCMUと、各々が1つの機関車などの電源付き資産に配設される1つ以上のモバイルPWGとを含むメッシュネットワークを形成する。このメッシュネットワークは、鉄道車両に配置される1つ以上のWSNを含んでもよい。所定の環境下では、鉄道車両に配置される個々のWSNは、鉄道車両のCMUを迂回して車両基地に配置されているPWGと直接通信することによって、車両基地設置メッシュネットワーク(または列車搭載メッシュネットワーク)に直接参加してもよい。車両基地設置メッシュネットワーク内の機関車および鉄道車両が列車編成に関連づけられているのではなく、鉄道車両に配置されるPWG、CMUおよびWSN(WSNは任意に選択可能)が車両基地設置メッシュネットワークのノードとなっている。
IEC 62591国際無線標準およびISA100.11(国際計測制御学会の標準)から構築して、車両基地設置および列車搭載無線メッシュネットワークアーキテクチャをこれらの標準まで発展させる。
管理対象車両基地は、その車両基地を覆う車両基地設置メッシュネットワークを有する車両基地と定義する。
以下の説明では鉄道車両の点でシステムを記載するが、当業者であれば、同じ方法が任意の鉄道車両または資産に適用可能であると解する。定義された構成要素が、定義に含まれない別の構成要素または特徴を有し得る点で、上記の定義が排他的であることを意図しないことにも留意すべきである。さらに、以下の記載では、2つの台車(すなわち2つのボギー)を有する鉄道車両を取り上げているが、以下の記載は、より多いかより少ない台車または車軸を有する任意の構成に適用可能である。
本発明の目的は、車両基地設置メッシュネットワークによって車両基地が覆われる列車編成管理システムを提供することである。列車編成管理システムは、車両基地に存在する1つ以上のPWGを含み、1つ以上のPWGは、発生して車両基地内の各鉄道車両のメッシュネットワークによって送信されるデータの通信ポイントおよびアグリゲータとして機能する。これに加えて、車両基地のPWGは、列車編成を管理し、モニタされる複数の鉄道車両およびシステムからのデータの解析を行う。鉄道車両が管理対象車両基地内にない場合、機関車または他の可動資産に設置されるパワード・ワイヤレス・ゲートウェイが存在するときに同様のデータ伝送および解析を行うことができる。
本発明は、図1に示されているトポロジを持つ管理対象車両基地の環境で運用される。鉄道車両103(図1において103(a)と103(c)との両方として示されている)には典型的には、鉄道車両103の様々な位置に配置される複数のWSN104が設けられている。個々のWSN104の配置は、モニタされている鉄道車両103の動作上のパラメータに依存する。CMU101は鉄道車両103に配置される。また、CMU101は、CMU101によって管理され、かつネットワークのノードとしてWSN104を有する鉄道車両搭載メッシュネットワーク105を形成する。好ましくは、各鉄道車両103に一貫した仕方でCMU101を配置してその向きを決める。また、好ましくは、車両基地内の任意の位置にある列車編成中の車両の向きを判断することに有用であるように、CMU101を鉄道車両103の一端に向かって配置する。これとは別に、鉄道車両103は、図1に103(b)として示されているように、CMU101のみを有し、WSN104を有さなくてもよい。この場合、その鉄道車両に関連する鉄道車両搭載メッシュネットワークは存在しない。
機関車108にはPWG102が設けられている。PWG102は、列車搭載無線メッシュネットワーク107の制御も行う。列車搭載無線メッシュネットワーク107はPWG102によって管理され、また、ノードとして列車中の各鉄道車両にあるCMU101を有する。
通信管理ユニット101またはWSN104を有さない鉄道車両103(d)を管理されていない鉄道車両とみなす。鉄道車両103(d)は列車搭載メッシュネットワーク107の外側にある。
本発明は車両基地をモニタする方法にも関する。この方法では、車両基地内での鉄道車両の位置および方向は図2に示されている方法によって判断され、車両基地内での鉄道車両103(a)または103(b)の存在は図3に示されている方法によって判断され、列車編成の構築は図4に示されているように進められる。
車両基地内での列車編成の鉄道車両の順序、鉄道車両の向きおよび/または鉄道車両の位置はいくつかの方法によって判断してもよい。これは以下で説明する。列車編成中の鉄道車両の向きは列車編成における重要な要素である。本業界で知られていているように、鉄道車両の端は「A」または「B」として識別される。磁力計または電子コンパスおよび加速度計からの読み取り値を用いて鉄道車両の向きを識別することができる。さらに、鉄道車両におけるシステム構成要素の配置から向きを判断してもよい。
図2は、車両基地内での鉄道車両の位置および向きを判断する方法を示すフローチャートである。この方法では以下を仮定する。
・CMUは、各鉄道車両において既知の位置に既知の向きに設置される。
・車両基地に1つまたは複数のCMUが存在することができる。
・磁北に関する車両基地の境界および向きをジオフェンスおよび履歴データによって認識する。
・タイムスタンプをすべてのセンサイベントと関連づける。
・鉄道車両に設置されるコンパス付きのデバイスの位置ではなく、既知の車両基地内の鉄道車両の向きを用いることができる。
方法は、鉄道車両が車両基地内にあるという150の仮定から始まる。151、152および153で、それぞれ加速度計、運動センサおよび/またはGNSSを用いることにより鉄道車両が移動しているか否かを判断する。
判別ポイント154で運動が検出された場合、制御は157に進む。157で信頼水準を計算し、判別ポイント156で、計算された信頼水準が必要な閾値を超えるか否かを判断する。157で計算される信頼水準は、鉄道車両が実際に移動している尤度である。判別ポイント156で、閾値を満たさない、すなわち閾値を超えない場合、制御は方法の初めに進み、移動について各種センサをチェックする。鉄道車両が運動中であると判断される場合(158)、159および160でコンパス方位およびGNSS位置を定期的に取得する。加速度計および運動センサからの読み取り値も定期的に取得する。判別ポイント163で、鉄道車両のBエンドの方位を判断することができるか否かを判断する。方位を判断することができる場合、166で信頼水準を計算し、判別ポイント167で信頼水準が必要な閾値を超えるか否かを判断する。閾値を超える場合、169で、鉄道車両が向く方向Bエンドとともに信頼水準を含むメッセージを送る。判別ポイント167で信頼水準が閾値を超えない場合、制御は方法の初めに戻り、151、152および153で移動を検出する。判別ポイント168では、ユーザは、信頼水準にかかわらずメッセージを送るようにシステムを任意に構成してもよい。この場合、169でメッセージが送られる。
判別ポイント154で運動が感知されなかったと判断される場合、155で鉄道車両が静止していると判定し、161でコンパス方位およびGNSS位置を取得する。判別ポイント162で、車両基地の向きが既知であるか否かを判断する。既知でない場合、制御は165に進み、列車編成中の少なくとも3つの鉄道車両からのGNSS位置およびコンパス方位を取得する。少なくとも3つの他の鉄道車両から165で取得された読み取り値と、当該鉄道車両からのコンパス方位およびGNSS位置を164で比較する。判別ポイント163で、鉄道車両のBエンドの方位を判断することができるか否かを判断し、判断することができない場合、制御は上述のように進む。判別ポイント162で、鉄道車両の向きが既知でない場合、制御は直接判別ポイント163に進み、その後、上記のように進む。
図3は、鉄道車両が車両基地内にあるか否かを判断する方法を示すフローチャートである。このケースにおいて、この方法では、車両基地が管理対象車両基地であると仮定する。方法は201の鉄道車両から始まる。判別ポイント202で、鉄道車両が車両基地設置無線メッシュネットワーク117のメンバであるか否かを判断する。メンバである場合、制御は判別ポイント205に進み、GNSSによってレポートされるような鉄道車両の位置が、車両基地内に鉄道車両があることと整合するか否かを判断する。整合する場合、206で、鉄道車両が実際に車両基地内にあるという信頼水準を計算する。
判別ポイント208で、信頼水準が、鉄道車両が車両基地内にあるかの判断をするために必要な閾値を超えるか否かを判断する。閾値を超える場合、制御は209に進み、鉄道車両が車両基地内にあると判断する。信頼水準を超えない場合、制御は判別ポイント202に戻る。
判別ポイント205で、GNSSによってレポートされるような鉄道車両の位置が、車両基地内に鉄道車両があることと整合しない場合、制御は207に進み、鉄道車両が車両基地内にないという結果を出す。
鉄道車両が車両基地設置無線メッシュネットワーク117のメンバでない場合、制御は判別ポイント204に進み、鉄道車両がAEIスキャナを通ったか否かを判断する。鉄道車両がAEIスキャナを通っていた場合、制御は判別ポイント205に進み、上記のように進む。判別ポイント204で、鉄道車両がAEIスキャナを通っていなかった場合、判別ポイント203で、車両基地の境界を定義するジオフェンス内に鉄道車両があるか否かを判断する。鉄道車両が車両基地の定義されたジオフェンス内にあると判断される場合、制御は判別ポイント205に進み、上述のように進む。判別ポイント203で、鉄道車両が車両基地の定義されたジオフェンスの外部にあると判断される場合、207で鉄道車両が車両基地内にないと判断する。
図4で参照されるようにリンクを集めて列車編成を生成する。1つのリンクについて一度で列車編成が構築される。鉄道車両をリンクさせることおよび鉄道車両のリンクは、このプロセスの重要な部分であり、1つ以上の方法で判断することができる。1つ以上の方法を単独でまたは組み合わせて用いて、2つ以上の鉄道車両がリンクされているという確率のレベル、または鉄道車両の2つ以上のリンクがリンクされているという確率のレベルを提供することができる。1つ以上の方法を用いれば、列車編成の鉄道車両の順序の信頼水準は上昇する。センサ読み取り値およびプロセス結果は、資産、資産の構成要素、現象および時間に関連づけられる。リアルタイムデータセットと履歴データセットとの両方に関して解析を行うことができるように情報を保存する。
図13は、2つ以上の鉄道車両が連結されているか否か、または、2つ以上のリンクが連結されているか否かを確かめる方法を示すフローチャートである。プロセスは1301で始まり、判別ポイント1302で、確率曲線が存在するイベント(すなわち、連結を判断する際に関連し得るイベント)が起こったか否かを判断する。起こった場合、制御は判別ポイント1302に戻る。注目イベントを受けた場合、1303で関連する確率曲線からそのイベントの確率の値を取得する。判別ポイント1304で、連結を評価することができる程度の十分なイベントが起こったか否かを判別する。起こっていない場合、制御は判別ポイント1302に戻る。十分なイベントが起こっている場合、1306でイベントの各々についての確率曲線からの確率を取得し、かけ合わせて全確率を生成する。判別ポイント1305で、連結が明確に起こったと判定するのに必要な所定の閾値を全確率が超えるか否かを判断する。超えない場合、制御は判別ポイント1302に戻る。超える場合、1308で連結イベントが起こったと判定する。
図4は、鉄道車両のリンクから構築される列車編成の形態を示す。図4(a)では、鉄道車両Bを鉄道車両Aに当て付け、リンク401を形成する。同様に、鉄道車両Dを鉄道車両Cに当て付け、リンク402を形成する。図4(b)では、鉄道車両Cを鉄道車両Bに当て付けて、図4(c)に示されている大規模なリンク403を形成する。図4(d)では、1つの鉄道車両Eを鉄道車両Dに当て付けて、図4(e)に示されている、鉄道車両A〜Eからなるリンク404を形成する。
CMU101は上流にデータを主に提供して、車両基地内での鉄道車両の存在と、車両基地内の鉄道車両の位置および向きと(図2)、鉄道車両を列車編成の一部にする準備を行う際に鉄道車両を接続する、すなわちリンクさせることと(図4)、列車編成中の鉄道車両の順序と、列車編成中の鉄道車両の確認と、列車編成の進む方向とを判断する。さらに、CMUは、様々なセンサ(CMU内臓のセンサと、CMUと通信するWSN内のセンサとの両方)からの出力をモニタし、さらに、直接鉄道車両に取り付けられ、データの解析に基づいて鉄道車両およびその様々な構成要素の挙動および状態を判断する任意に選択できる手段を有する。センサにより、データの収集、保存、解析、処理が行われ、その後、データは、さらにPWGに送信するためにCMUに送られる。この場合、技術者、制御ポイントまたは自動システムは、離れた鉄道運用センタに送信するか、処理および解析して警報、イベントまたはレポートを構築するために、このデータに対応することができる。
CMUは、各組み込みセンサおよびWSNからデータを集め、複数のWSNから収集されたデータ、イベントおよび警報にヒューリスティックモデルおよび統計モデルを適用することによって、データの高レベル解析を行って、鉄道車両の位置、速度、方位、状態他を判断することができる。このようなデータ解析中にヒューリスティック法を適用して、統計モデルおよび経験データに基づいて鉄道車両の可能なリンクを判断してもよい。CMUは、複数の通信プロトコルのいずれか1つを介して、鉄道車両から離れた別のシステムにこのデータと任意の解析の結果との両方を通信することもできる。
たとえば、車両基地内にある機関車や、離れた鉄道運用センタの列車から離れた位置にPWGを配置してもよい。また、PWGは、列車中の異なる鉄道車両に配置されている複数のCMUから収集されたデータ、イベントおよび警報にヒューリスティックモデルおよび統計モデルを適用することによって、列車編成全体の状態の高レベル解析を行うことが可能であってもよい。センサユニット、CMU、列車搭載PWGもしくは地上PWGまたは他の地上局を含む本発明の様々な構成要素に分散する複数の異なるイベントエンジンのいずれか1つで、収集されたデータの解析を行うことができる。イベントエンジンを用いて、システムの内部または外部の複数の入力によってデバイスで生じる状態変化および動作が判断される。結果を判断するのに用いるロジックは、離れた場所から設定および更新することができる1セットのルールに基づく。
図5は、WSN104またはCMU101にあるセンサからデータが流れ、その後に様々な高レベル目的箇所まで流れる際のデータ管理方法を示す。以下を仮定する。
・データ解析の方法を各々のレベルにあるイベントエンジンによって実行する。
・論理解析値は、帯域、電力消費およびレイテンシのより効果的な管理を可能にし得る最低レベルに送り出される。
・イベントは必要な場合に上流にしか示さない。
・データおよびイベントのフィルタリングおよび解析を各レベルで行う。
・CMU、PWGおよびサーバ(制御センタ内のもの)は、センサフュージョンを利用して、これらの異なるデータソースからのイベントを共有するより大規模なシステムの状態を良好に判断することができる。
処理の最低レベル502は、各鉄道車両103(a)または103(b)に配置されている任意に選択できるWSN104と、各鉄道車両にあるCMU101に組み込むことができるセンサとを含む。各WSN104またはCMU101に含まれる車載プロセッサによって最低レベル502で収集されるデータを解析して、どのデータを破棄することができるかと、どのデータを次のより高い処理レベル504に送る必要があるかを判断する。次の最高の処理レベル504は、各鉄道車両にあるCMU101を含む。各鉄道車両にあるCMU101は、鉄道車両にある複数のWSN104からのデータを必要とする判別を行うことができる。CMU101は、どのデータを最高の処理レベル506に送る必要があるかについて、この解析に基づいて判断することもできる。最高の処理レベル506は、機関車に配置されているPWG102と、車両基地に配置されている地上PWG116と、制御センタとを含む。機関車にあるPWG102は、複数のCMU101からの情報、または各鉄道車両にある複数のWSN104からの情報(すなわち、列車編成の様々な状態)を必要とする判別を行うことができる。鉄道車両103(a)または103(b)が車両基地の範囲内にある場合、CMU101からのメッセージを車両基地に配置されているPWG116に送ってもよい。これは地上PWG116になる。レベル506の各鉄道車両のCMU101は、直接制御センタにメッセージも送ってもよい。処理の最高レベルでは、機関車搭載PWG102と車両基地設置PWG116と制御センタとで情報を共有してもよい。四角506は処理の最高レベルを表わし、このレベルの判別は典型的には、列車編成全体または車両基地に関するステータス情報を表わす。
処理の様々なレベルを組み合わせて分散推測エンジンが生成される。分散推測エンジンでは、処理の各レベルは、そのレベルからのデータを必要とする推測を行うことができ、かつ/または処理のより低いレベルによって提供されてより高いレベルに向かって移されたデータを必要とする推測を行うことができる。たとえば、連結イベントを確かめるには、少なくとも2つの鉄道車両からのデータが必要である(たとえば、連結を行っている各鉄道車両からの衝撃データおよび位置データを検出する)。したがって、連結イベントは、各鉄道車両からデータを受けた後、処理の最高レベルで生成されなければならない。このケースでは、処理の最高レベルは、図5の506によって表わされており、車両基地設置無線メッシュネットワークのノードになる。
図6は、図5に示されている処理のより低いレベル502から処理のより高いレベル504および506にメッセージを優先度に基づいて送信する方法を示すフローチャートである。方法は501で始まり、イベントメッセージが生成される。502で、ユーザ設定に基づく優先レベルをメッセージに割り当て、判別ポイント503で、メッセージを送信するのに高い帯域を利用可能か否かを判断する。高い帯域を利用可能な場合、制御は510に進み、メッセージを送信する。高い帯域を利用可能でない場合、判別ポイント505で、メッセージが高い優先ステータスを持つか否かを判断する。メッセージが高い優先度を持つ場合、制御は判別ポイント506に進み、利用可能な低い帯域があるか否かを判断する。低い帯域を利用可能な場合、510でメッセージを送る。低い帯域が利用可能でない場合、またはメッセージが高い優先ステータスを持っていない場合、制御は判別ポイント507に進み、ユーザ設定で、指定された期間にわたって複数の再送信を試みることが定められているか否かを判断する。定められている場合、制御は判別ポイント504に進み、試みた回数が必要な回数を超えているか否かを判断する。超えていなかった場合、制御は判別ポイント503に進み、上述のように進む。再送信を試みた回数が前記の回数を超えていた場合、またはユーザが再送信オプションを設定していなかった場合、508で、帯域利用可能性チェックが行われる前にメッセージを予め定めた期間保存する。判別ポイント509で、帯域チェック期間を満了しているか否かを判断する。満了している場合、制御は判別ポイント503に進み、上述のように進む。期間を満了していない場合、制御はループバックし、帯域チェックが再び実行されるまでメッセージを保存する。
図4に示されているように、2つ以上の鉄道車両または2つ以上のリンクをリンクさせる(またはリンクを外す)ことについて判断するのに、以下のタイプの方法を用いることができる。
運動−加速度計およびまたは運動センサおよびまたはGNSSが2つ以上の鉄道車両の運動を示す場合、タイムスタンプを比較して、2つ以上の鉄道車両がリンクされている尤度を判断する。
速度および方位−2つ以上の鉄道車両が同じ速度で同じ方位に進んでいる場合、これらの鉄道車両はリンクされているとみなす。
ネットワーク信号強度−2つ以上の鉄道車両にわたって信号強度を比較し、その信号強度を車両基地設置無線メッシュネットワーク内の他の鉄道車両の信号強度と比較することによってリンクを判断することができる。信号強度が既知の隣接する鉄道車両と比較されている場合には、鉄道車両がリンクされているとみなされる。無線ネットワークと通信する能力を持つCMU101が2つ以上の鉄道車両各々に設置されている場合に、無線ネットワーク接続が確立される。各々のCMU101がある程度の信号強度を持つ場合に、信号の存在と信号の強度との両方を用いて2つ以上の鉄道車両がリンクされているか否かを判断することができる。
衝撃−2つ以上の鉄道車両が連結するとき、タイムスタンプが付される衝撃が生じる。2つ以上の鉄道車両にわたるタイムスタンプを比較することで、どちらの鉄道車両に特定の期間中にタイムスタンプが付されるか、その後、どちらを用いて鉄道車両がリンクされているか否かを判断するかについて判断する。さらに、衝撃の間、正および負の応答が生じ、正および負の波プロフィールを比較し、これらが同一であるか、類似している場合、鉄道車両がリンクされているとみなす。
位置−2つ以上の鉄道車両が、他の鉄道車両に近い位置読み取り値を持つ場合、これらの鉄道車両がリンクされていると仮定することができる。この種のリンク状態の信頼水準は車両基地の複雑さに依存する。位置情報はGNSSから取得してもよい。
スプライン曲線フィット−列車編成中の少なくとも3つの鉄道車両を認識するのに、一列に並ぶ鉄道車両間に、スプライン曲線フィットとあわせて位置を利用する。列車編成を組み立てる際に、そのときに列車編成にある鉄道車両に最もフィットする曲線を適用することができる。最もフィットする曲線は鉄道軌道ジオメトリの制約の範囲内になければならない。この曲線を用いて位置およびスプラインに対する近接度に基づいて鉄道車両が列車編成中にないと誤って評価しているか否かを判断することができる。
コンパス方位−列車編成中の少なくとも3つの鉄道車両を認識するのに、隣接する鉄道車両間に、コンパス方位の角度とあわせて位置を利用する(図8)。列車編成を組み立てる際、隣接する鉄道車両の間の角度差を用いて、リンクされている可能性のある鉄道車両を判断することができる。角度は鉄道軌道ジオメトリの制約の範囲内になければならない。鉄道車両間の角度の差を用いて、同じ既知の列車編成中の他の隣接する鉄道車両にマッチする位置および角度値に基づいて鉄道車両が列車編成中にないと誤って評価しているか否かを判断することができる。
ブレーキイベント−ブレーキイベント中、圧力変化が生じ、鉄道車両毎にブレーキ状態が変更される。圧力変化のこのイベントは、機関車から最後の接続鉄道車両まで直列に接続された各鉄道車両によって感知される。このイベントの時間を用いて列車編成における接続鉄道車両の順序を判断する。
これの一例はブレーキテストである。列車編成が車両基地を出ることが可能な前にブレーキテストを行わなければならない。この場合、接続鉄道車両のブレーキラインを標準圧力にする。これによりブレーキが確実に解除される。ブレーキテスト中、圧力の急落が起こり、各鉄道車両のブレーキが作動する。突然圧力が降下するこのイベントは、機関車から最後の接続鉄道車両まで直列に接続された各鉄道車両によって感知される。このイベントの時間を用いて列車編成における接続鉄道車両の順序を判断する。
AEIタグ−2つ以上の鉄道車両を同じAEI(車両自動識別(Automatic Equipment Identification))リーダーによってスキャンする場合、スキャンの時間、各鉄道車両のスキャンの時間差またはオフセットおよび各鉄道車両の速度を用いて鉄道車両がリンクされているか否かを判断する。
「イベント」が外的現象(たとえば運動の開始)によって非同期的に誘発されて起こるか、時間要因で起こる場合、イベントは記録され、車両基地内または列車編成中のCMUまたはPWGに送信される。センサを資産の異なる構成要素に設置して、資産、時間およびイベントの詳細を記録する。センサおよび方法のいくつかの例を以下に列挙する(ただし、これらに限定されない)。
・資産衝撃−G力を測定する。
・鉄道車両連結器衝撃−G力を測定する。(これは資産衝撃のより具体的な形態である)
・資産GNSS位置−緯度および経度。
・資産速度および方位−マイル/時間および進行の方向(°)を測定する。
・ブレーキライン圧力変化−psiを測定する。
・資産AEIタグスキャン−スキャンの有無(真/偽)。
図7は、車両基地内の鉄道車両の向きを、車載コンパスを利用して判断させる方法を示す。これは図2の161,159および165中で実行される方法である。この方法ではいくつかを仮定する。まず、CMUが鉄道車両において既知の位置および向きに設置されていると仮定することによって、鉄道車両の向きを判断することができる。北に対する車両基地内の軌道の向きが図7(a)に示されているように知られていることも仮定する。
資産が運動中の場合、コンパス方位の変化を比較することによって鉄道車両の向きを判断することができ、あるいは、コンパス方位が、GNSS位置更新によって判断される進行の方向に平行な状態で時間変化しないことを利用して鉄道車両の向きを判断することができる。コンパスのベクトルが2つ以上のGNSS点の差によって生成されるベクトルにマッチする場合、鉄道車両はBエンドに向かって進んでいる(CMUが上記のように設置されている/向いている場合)。これは図7(b)に示されている。これらのベクトルが逆である場合、鉄道車両はAエンドに向かって進んでいる。これは図7(c)に示されている。
資産が静止している場合、図2の162に示されているように、システム内に保存されている既知の車両基地レイアウトおよび向きと比較するのにコンパスおよび位置を用いることができる。車両基地位置および向きと比較するのにコンパスの向きおよびGNSS位置を用いて、鉄道車両方位を判断することになる。資産が静止しており、かつ車両基地位置が既知でない場合、当該鉄道車両の向きを、リンクされている鉄道車両の既知のグループ中の他の資産と比較することができる。これは図2の165に示されている。
鉄道軌道は小さい割合で、かつ定められた割合でしかカーブすることができないので、3つ以上の鉄道車両がリンクされているとわかっている場合には、コンパス方位の変化は小さい(反対方向に向く場合に180°の差を示すとき)。基準に用いられている鉄道車両に当該資産が近接しているか、同じ列車編成の一部として当該資産がリンクされている場合、資産のコンパス読み取り値を他の資産と比較して方位を判断することができる。ここに説明される他の方法と同様に、図2の166および167に示されているように信頼水準を結果に割り当てることができる。
図8は、2つの鉄道車両が同じ鉄道軌道上にあるか否かを判断する方法を示す。この方法では、スプライン曲線フィットを用いて、最もフィットする曲線を列車編成中の資産に適用する。鉄道軌道ジオメトリの制約内にない任意の最もフィットする曲線により、異なる軌道上の鉄道車両を示すことができる。上記の方法と同様に、各鉄道車両にあるCMU101は、鉄道車両において既知の位置および向きに設置されなければならない。これらの位置を用いて、互いに最も近接する資産をペアにする。近接する鉄道車両間で角度を(変更可能な距離である最大鉄道車両間隔の範囲内で)計算して、近接する鉄道車両間の相対角度差を判断する。2つの鉄道車両のGNSS読み取り値を用いて各鉄道車両間のベクトルを判断する。このベクトル方向を(北に対する)鉄道車両のコンパス方位と比較する。GNSSベクトルとコンパス方位との間の角度が小さい場合、資産が同じ軌道上にある尤度は非常に高い。GNSSベクトルとコンパスとの間のベクトルの差が大きい場合、資産がリンクされており、同じ軌道上にある尤度は低い。問題が軌道まで及ぶと、角度の差はより悪化する。
例として、図8を参照すると、AとBとの間の角度が小さい場合、これらがリンクされていることはもっともらしい。BとCとの間の角度が大きい場合、これらがリンクされていないことはもっともらしい。CとDとの間の角度も大きく、リンクされているはもっともらしくない。最大角度閾値を用いて資産がリンクされていることがもっともらしいか否かを判断することができる。図8では、角度ABは、鉄道車両Bに対する鉄道車両Aの角度であり、「Z」°(すなわち、軌道ジオメトリにそぐわなかったことを示す角度(°))の範囲内の角度の例である。角度BCは、鉄道車両Cに対する鉄道車両Bの方位の角度であり、角度CDは、鉄道車両Dに対する鉄道車両Cの角度である。角度BDは、角度BCと角度CDとの差を表わす。角度BDが「Z」°を超える場合、鉄道車両Cが鉄道車両BおよびDとは異なるラック上にあると判断することができる。「Z」°を超えない場合、Cが鉄道車両BおよびDと同じ軌道上にあることはもっともらしい。閾値「Z」°は鉄道軌道のジオメトリによって決定される。
たとえば、どの資産がリンクされているかを含む、各鉄道車両から収集されるデータから推測することができる様々な判断の信頼水準を判断するのに統計論理エンジンを用いる。異なる種類の現象および異なる測定ユニットのいくつかの異なる入力を組み合わせるのに条件付き確率を用いることで、当該他のイベントについての知識に基づいて単一の出力を提供する。
方法、構成要素および現象毎に、確率チャートを設けて、2つの別々の資産で起こっているイベントの差を判断する。用いられる方法に応じて、X軸は、イベントまたは2つの(またはより多くの)資産にあるセンサから収集されるデータの差を表わす。
各センサ(構成要素と現象との組み合わせ)および方法は2つの資産間の連結イベントの尤度を示す確率曲線を持つ。確率曲線では、X軸は、2つの資産間で観測される際の測定される現象、イベント間の時間、または両方(3次元グラフの場合)に基づくことができる。Y軸は連結イベントの確率を表わす。なんらかの特定のX測定で連結イベントが起こる保証はないが、この測定は、連結イベントが起こる見込みを表わす。グラフ上の1.0は、このセンサの種類または方法について連結イベントが起こる可能性が高いことを示す。グラフの0.0では、連結イベントが起こらない状態にあり、組み合わせられた他のすべてのセンサ入力曲線は無効になる。確率チャートの例が図10に示されている。図10(a)は、2つの鉄道車両にわたる衝撃イベント間の時間についての確率曲線を示し、図10(b)は、2つの資産間の距離についての確率曲線を示す。
複数の資産からイベントを受ける場合、そのときに利用可能なデータに基づいて確率結果を生成する。資産にわたるイベントの解析の結果、連結(あるいは鉄道車両リンク動作)イベントに至らない場合、イベントをセーブし、他のイベントが資産ペア間で起こるときに再び処理することができる。
一例が図11に示されている。図11(a)は、2つの鉄道車両で測定される際の2つの衝撃の間の時間の差を示す衝撃時間に関する情報が得られ、その情報が0.19秒であり、この結果、0.85の出力値が得られ、この出力値が、リンク動作が起こったという85%の確率を表わすことを示す。図11(b)は、55メートルである2つの鉄道車両の間の距離の差により、0.62の出力値が得られ、この出力値が、リンク動作が起こったという62%の確率を表わすことを示す。
確率曲線を生成し、重みを異なる方法に割り当てる場合に、異なるセンサおよび方法の正確度および精度の低下が現れることは重要である。曲線は、用意された正確度を超える確率レベルを持つべきではない。好ましくは、より高い正確度および精度を持つ方法には他の方法よりも大きく重みづけを行う。
アルゴリズムの最も単純で明確な例では、個々の確率をかけ合わせて複合確率(combined probability)を得る。この例では、リンク動作が起こったという0.527の確率が得られる。この計算では、他のセンサ入力、履歴データを利用したり、変更可能な重み平均を適用したりしていないが、これらの確率のすべては本発明の範囲内に含まれる。
出力値を、リンク動作イベントを構成するもののユーザ定義閾値と比較する。たとえば、閾値を0.75と設定した場合、この例は「リンクされていない」と示されることになる。ただし、当該資産について新しいデータを受けるときに、再び解析を実行することができる。
そのシステムについて連結イベントが起こったと判定するのにその値以上でなければならない最小閾値が存在する。資産ペア間のリンク状態は、リンクされている、リンクされていないまたはデータ無しと定義する。リンクされているは、計算結果が最小閾値を超えることを示す。リンクされていないは、計算が実行されたが、最小閾値未満であったことを示す。資産および資産のそれぞれの構成要素について新しいイベントデータを受けるときに、これらの資産ペアを再計算することができる。データ無しは、当該資産ペアについてセンサ読み取り値が存在しないことを示す。
予め定められた確率曲線に加えて、履歴指標を同じXおよびYグラフに用いて、結果を事例および検証結果のヒストグラムと比較することができる。予め定められた確率曲線の代わりに、または、予め定められた確率曲線と組み合わせて(センサ毎に2つの結果をかけ合わせる)、センサヒストグラムを任意に用いて有効な資産連結結果(およびイベントの量)の信頼区間を示すことができる。この例が図12に示されている。図12(a)は衝撃時間に差についての履歴ヒストグラムを示し、図12(b)は距離の差を示す。
別の実施の形態では、図12に示されているヒストグラム方法の変形例を用いることができ、資産リンク仮定自体の正確度を特定するのに用いられる。言い換えると、このヒストグラムは、どの程度頻繁にX値により実際の資産リンク動作イベントが得られたかしか示さないのに代わって、どの程度頻繁に結果が正しかったか(リンクされるまたはリンクされない)を示す。
この方法を使用すれば、多数の異なるパラメータおよび入力を用いてリンク動作イベントの条件付き確率を生成することができる。例として、約3マイル/時間で進む機関車を用いて、車両基地で2つの鉄道車両を連結する。2つの別々の鉄道車両連結器加速度計でイベントを記録する。両方とも、相対的に1ミリ秒の間に7Gのピーク衝撃イベントを示す。鉄道車両連結器加速度計についての3次元確率グラフでは、X軸について時間の差を用い、Z軸としてG力の差を用い、Y軸に結果としての確率(0.0〜1.0)を用いる。イベントが起こった後、PWGは両方の資産の位置および速度を要求し、両方の資産がその際に静止していることを示す結果がPWGに返送される。速度の差についてのグラフを時間の差およびG力の差と組み合わせて用いることで、資産がリンクされると評価するのに用いる閾値を超える値をもたらす第2の入力が提供される。
本発明の一実施の形態では、センサおよび方法に関連する確率曲線の動的な付加、修正、およびシステムからの除去を行うことができる。機械学習アルゴリズムを用いて最終的な列車積み荷目録を用意するときに履歴データに基づいて自動的に曲線を生成することができる。
別の実施の形態では、システムをユーザ設定可能にすることができる。方法およびセンサ選択に可能、無視または必要の指標を付すことができる。さらに、解析を行うのに必要な個々の方法の最小数(たとえば、2つ以上必要または結果を生成しない)を指定することができる。
別の実施の形態では、システムは、方法、構成要素および現象毎に確率曲線を検証する能力も有する。センサ毎に曲線の階層が存在するようにすることができ、利用可能な場合、より具体的な測定に写像する。たとえば、衝撃についての全確率曲線が存在してもよい。ただし、資産が鉄道車両の連結器に搭載された衝撃センサを有する場合、より高レベルの衝撃曲線の代わりに、連結器衝撃イベントについてのその個別化された確率曲線を適用することができる。一方の資産がより具体的なセンサ写像を持ち、かつ他方が同じ現象についてのより高レベルの写像を持つイベントでは、資産間の関連を許容または否定するように構成することができる。
別の実施の形態では、相対重み指標を異なる方法に提供する能力を設ける。たとえば、2つのリンクされている鉄道車両間のGNSS位置は、コンパス方位の4倍重要であると判断してリンク状態が生じていたか否かを判断してもよい。
システムは、履歴データおよび外的に提供される最終結果を利用して、既知の結果と比較してリンク動作イベントを確認する能力も有する。異なる方法、構成要素および現象入力についての確率曲線および信頼区間を向上させるのにこのフィードバックが用いられる。たとえば、鉄道会社により、生成された列車の最終的な積み荷目録が用意される場合、鉄道車両リンクの予測された仮定に対するチェックとして実際のデータを用い、各々を有効または無効と評価することができる。
システムは、履歴イベントが解析に対していつ有効であるかを示す時間に関するユーザ設定可能なウインドウも有する。このウインドウは、各センサの種類または方法に基づいて既存のデータをどの程度長く解析に用いることができるかを示す。
本発明の別の態様では、システムは、列車編成中の鉄道車両の順序を判断することができる。以下の任意の組み合わせを用いて列車の順序を判断することができる。
履歴データと、上記に記載されている「リンク動作」アルゴリズムの任意の組み合わせとを用いて、列車編成中の鉄道車両の向きおよび順序を、イベントの時間および各リンクについて関連する鉄道車両に基づいて判断することができる。
システムは、リンクをもたらすイベントを許容または否定する物理的な制約も利用する。たとえば、1つの鉄道車両につき物理的に2つの連結器しかないので、1つの資産には最高でも2つの他の資産しかリンクすることができない。
AEIタグの時間スキャンと経過時間とから、列車編成中の鉄道車両の位置が得られ、また、これとは別に、鉄道車両方位および鉄道車両速度を得ることができる。また、AEIタグの時間スキャンと経過時間とを用いることで、列車がAEIリーダーのそばを通過する際(典型的には列車が車両基地を出ている際)、列車編成中の鉄道車両の順序および向きを確認することができる。
鉄道車両の位置を用いることができるが、進む方向は判断されず、信頼水準は低い。鉄道車両の位置に加えて同じ鉄道車両のコンパス方位を用いることができるが、進む方向は判断されないことになる。
「アコーディオン効果」すなわち押し/引きを用いる場合、各鉄道車両のCMUの加速度計は、列車が移動するときに鉄道車両が押し引きされる際の衝撃力を記録する。衝撃力はタイムスタンプで記録され、オフセットされて、列車中の他の鉄道車両と比較される。このような移動により、列車にわたって次々に起きるイベントが生じる。この場合、イベントタイムスタンプを比較して2つ以上の鉄道車両がどんな順序で移動しているかを判断することができる。2つ以上の鉄道車両からの衝撃およびタイムスタンプが時間ギャップを示す場合、複数のモニタされていない鉄道車両が列車編成にあると仮定する。
車両基地設置無線メッシュネットワークまたは列車搭載無線メッシュネットワークは、鉄道車両がネットワーク内にあるか否かを判断することができる。ネットワーク内にある場合、車両基地設置無線メッシュネットワークまたは列車搭載無線メッシュネットワークは、ネットワークにおいて鉄道車両の信号強度を他の鉄道車両の信号強度と比較することができる。この方法を用いる場合、信頼水準は低い。
車両基地を出る際の列車編成の順序を確認する複数の手法がある。位置、速度、方位、移動、ネットワーク信号強度および経路に関するデータを収集することができる。これらのデータポイントを用いると、これらが列車編成の予め想定された構成と整合している場合には、列車編成中の鉄道車両の順序および向きに関する信頼水準が増大する。
本発明の別の態様では、以下に記載され、また図7で参照されている方法の1つ以上を使用することによって、列車が進んでいる方向を判断することができる。
本発明の複数の態様では、鉄道車両の方位および向きを判断することができる。向きに関して、鉄道車両の「A」エンドまたは「B」エンドが列車の先頭に向いているか否かが既知であることが望ましい。「A」および「B」エンドの向きを知ることは、鉄道会社および運送業者にとって重要である「A」または「B」が鉄道車両の終端となって特定の方向に向くように鉄道車両がその終点で位置することが必要であるからである。図2では、センサからのデータおよびデータを処理するアルゴリズムにより、鉄道車両の正しいエンドが知られる信頼水準が得られる。CMUは既知の向きに設置されなければならない。たとえば、鉄道車両のBエンドに配置されなければならない。CMUの方位を北と比較して鉄道車両の向きを判断する。また、レール軌道が南西から北東への方向にある(図7を参照)などの履歴データまたは地理的データに基づいて、車両基地の方向を知ることが好ましい。
車両基地の向きが既知でない場合、少なくとも3つのリンクされている鉄道車両の位置データおよびコンパス方位を用いて鉄道車両のコンパス方位と、3つ以上のリンクされている鉄道車両によって推測される軌道の方向とを比較することで鉄道車両方位を判断することができる。少なくとも1つの鉄道車両の向きが既知である場合、ある鉄道車両のコンパス方位と、リンクされている他の鉄道車両の既知の方位とを比較することで、リンクされている他の鉄道車両の方位を導くことができる。少なくとも1つの鉄道車両の向きが既知である場合、鉄道車両の「A」および「B」で測定される連結イベント中の衝撃のタイミングを比較することで、リンクされている他の鉄道車両の方位を導くことができる。1つの鉄道車両の既知の向きと組み合わされるこの衝撃情報により、他の鉄道車両の向きが判断されることになる。
本発明の別の態様では、システムを用いて、資産が列車編成またはともにリンクされている資産のセットからいつ除かれたかを判断することができる。資産が上述のようにリンクされたか否かを判断するのと同様に、相互イベントによって1つ以上の資産の除去を推測することができる。以下の任意の数の方法で別段判断されるまで、資産がリンクされていると仮定する。
運動−加速度計およびまたは運動センサおよびまたはGNSSが2つ以上の鉄道車両の運動を異なる値で示す場合、タイムスタンプを比較して、2つ以上の鉄道車両がリンクされていないか否かを判断する。
速度および方位−2つ以上の鉄道車両が同じ速度で進んでいないか、異なる方位に進んでいない場合、これらの鉄道車両はリンクされていないとみなす。
ネットワーク信号強度−2つ以上の鉄道車両にわたって信号強度を比較し、その信号強度を車両基地無線メッシュネットワーク内の他の鉄道車両の信号強度と比較することによってリンクされていないことを判断することができる。信号強度が既知のリンクされていない鉄道車両と同等である場合、鉄道車両がリンクされていないとみなされる。
位置−リンクされている2つ以上の鉄道車両の位置読み取り値が互いに近くはなく、指定された時間間隔内にない場合、これらの鉄道車両がリンクされていないことはもっともらしい。この種のリンク状態の信頼水準は車両基地の複雑さに依存する。
スプライン曲線フィット−列車編成中の少なくとも3つの鉄道車両を認識する場合、一列に並ぶ鉄道車両間に、スプライン曲線フィットとあわせて位置を利用することができる。そのときに列車編成にある資産に最もフィットする曲線を適用することができる。鉄道軌道ジオメトリの制約の範囲内にない、いずれの最もフィットする曲線も、リンクされていない鉄道車両を示すことができる。
コンパス角度−列車編成中の少なくとも3つの鉄道車両を認識するのに、隣接する鉄道車両間に、コンパス方位の角度とあわせて位置を利用する(図7)。隣接する鉄道車両間の角度変化の広がりを用いて、リンクされていない可能性のある鉄道車両を判断することができる。言い換えると、連続する鉄道車両間の方位の変化である。角度は鉄道軌道ジオメトリの制約の範囲内になければならない。
ブレーキイベント−ブレーキイベント中、圧力変化が生じ、鉄道車両毎にブレーキ状態が変更される。圧力変化のこのイベントは、機関車から最後の接続鉄道車両まで直列に接続された各鉄道車両によって感知される。このイベントの時間を用いて列車編成における接続鉄道車両の順序を判断する。鉄道車両の類似する圧力変化がない場合、列車編成の一部であることが確からしいことはまずない。
AEIスキャン−2つ以上の鉄道車両を同じAEIリーダーによってスキャンする場合、スキャンの時間の差、すなわち各鉄道車両のスキャン間のオフセットと、各鉄道車両の速度とを利用して、鉄道車両がリンクされていないか否かを判断することができる。
システムは物理的な制約も利用して、さらに、資産間のリンクを無効にする。たとえば、東/西方向の軌道しか持たない車両基地で2つの鉄道車両が北に向けば、計算のためのGNSSセンサ方法を無効にする。
本発明の別の態様では、ダーク鉄道車両の存在を判断してレポートすることができる。ダーク鉄道車両は直接機関車にあるPWGによって識別すことができる。あるいは、ダーク鉄道車両の存在を列車編成中の1つ以上の鉄道車両にあるCMUから無線ネットワークを通じて渡すことができる。このプロセスは図9に示されている。
機関車108はPWG102を有する。鉄道車両103(a)または103(b)はCMU101を有し、各CMU101は、他の鉄道車両103(a)または103(b)から無線放送を受信する状態になることができる。他の鉄道車両103(a)または103(b)は、列車搭載ネットワークに接続されていないか、管理対象車両基地に接続されていないか、非管理対象車両基地に位置する。
モニタされている少なくとも1つの鉄道車両103(a)または103(b)が位置している鉄道側線の脇を機関車108またはCMU101が通過する際、機関車108は、モニタされている鉄道車両103(a)または103(b)からの無線放送識別情報を受信する。放送が検出される場合、機関車108にあるPWGは鉄道車両103(a)または103(b)に関する識別情報を離れた運用センタに送信する。
第2の実施の形態では、ダーク鉄道車両は、他のネットワークに対する受信モードにある。列車搭載または車両基地設置無線メッシュネットワーク内の鉄道車両103(a)または103(b)がダーク鉄道車両のレンジ近傍内にあるとき、ダーク鉄道車両はネットワーク内の鉄道車両103(a)または103(b)から「広告」を受信する。ダーク鉄道車両は鉄道車両からの広告に対してその識別および設定について応答し、これはPWG102に渡される。PWG102は、ダーク鉄道車両を列車搭載または車両基地設置無線メッシュネットワークに参加させるオプション機能を持ち、情報は他のCMUを通じてダーク鉄道車両に渡される。ダーク鉄道車両がブラックリストに含まれる場合、列車搭載無線メッシュネットワークに参加することは許容されない。一旦その鉄道車両がネットワーク内に存在すると、通常の運用プロフィールに変わり、もはやダーク鉄道車両ではなくなる。
本発明の重要な態様は、列車中の車両体の所定のパラメータを測定し、測定またはイベントを共通の時間軸に関連づける能力である。これにより、相対測定に基づいて推測を行うことができる。これと同じ能力(列車編成生成または施設運用についてのイベントを相関させる)は、車両基地内で重要である。一例には、列車編成中の鉄道車両毎に車両加速度をサンプリングし、相対加速度(または減速度)を用いて、列車中の任意の箇所における出入りを検出することができることが含まれてもよい。別の例では、車輪衝撃イベントを個々の軌道変調に関連づけている。この場合、列車の一方の側のすべての車輪により軌道変調を検出することができる。すべてのイベントを単一の軌道特徴に関連づけることを意図している。車両基地の例では、この機能を利用して、衝撃の力が列車編成生成中にいくつかの鉄道車両を通じて変換される際に連結イベントが分岐するかを判断する。
車両基地または列車編成内にあり、管理されている資産を、時間正確度がすべてのデバイスにわたって同期している精度の高いネットワーククロックに同期させる。本発明の好ましい実施の形態では、たとえば、1ミリ秒の時間正確度同期よりも良好なものを用いる。これにより、すべての資産にわたってイベントを直接相関させることができる。
マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサを有する複数のCMUまたはWSNを用いて測定を行うか、イベントを検出する列車搭載または車両基地設置ネットワークでは、クロックの変動は、任意の測定の時間軸上に位置することについての信頼度を制限する要因になる。高い帯域を持つ有線システムまたは電力が常時供給される無線システムでは、マスタ時間へのクロックの定期的な同期は固定化された動作である。しかし、無線の自己完結的な電源内蔵型のCMUおよびWSNは、過剰に広い帯域を用い、過剰に大きい電力を消費するので、所定の複数の種類のイベントを区別するか、列車にわたって列車から瞬間的な1組の測定値を提供するのに必要なタイトな時間同期を維持することができない。クロックの変動は、温度限界で、または温度が比較的短い期間で急激に変化する場合に特に制限要因になる。さらに、複数の別々のネットワークを使用し(たとえば、鉄道車両搭載メッシュネットワークが列車搭載メッシュネットワークに接続される)、ポイントツーポイントネットワークに対抗してメッシュトポロジを使用する場合に悪化する。
本発明は、時間同期メッシュネットワークを用いて運用される非常に高い正確度を持つネットワーク時間軸を用いることにより、この制約を克服する。時間同期メッシュネットワークは、マイクロコントローラのタイミング機構を所定の正確度に(所望の正確度に基づいて)定期的に補正するのに用いる。本発明の好ましい実施の形態では、たとえば、1ミリ秒の正確度が望ましい。また、システムは、放送または予定したイベントを用いてすべての列車および/または車両基地にわたって時間同期サンプリングを引き起こすことができる。CMUはPWG時間に補正され、WSNはCMU時間に補正される。これにより、ネットワーク帯域容量または電力使用に影響されずに、すべての構成要素(PWG、CMUおよびWSN)にわたって所定の正確度の範囲内のデータの同時サンプリングが可能になる。

Claims (30)

  1. 車両基地内の資産を管理するシステムであって、
    車両基地に配置される1つ以上のパワード・ワイヤレス・ゲートウェイと、
    1つ以上の鉄道車両搭載通信管理ユニットであって、前記パワード・ワイヤレス・ゲートウェイと前記通信管理ユニットは、車両基地設置ネットワークを形成する、1つ以上の鉄道車両搭載通信管理ユニットと、
    前記車両基地設置ネットワークにアクセスする演算デバイスとを備え、
    前記演算デバイスは、
    前記鉄道車両搭載通信管理ユニットのそれぞれの鉄道車両で起こるイベントまたは鉄道車両の状態に関して前記鉄道車両搭載通信管理ユニットからデータを収集する機能と、
    前記鉄道車両の前記状態に関する前記データから推測を行う機能と、
    前記推測をレポートする機能と、
    を行うソフトウェアを実行する、システム。
  2. 前記行われる推測には信頼水準が割り当てられる、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記信頼水準は前記推測が真である確率を表わす、請求項2に記載のシステム。
  4. 前記信頼水準は1つ以上の前記イベント由来の確率の組み合わせである、請求項3に記載のシステム。
  5. 前記信頼水準が予め定められた値を超えるとき、推測が真であると判定する、請求項4に記載のシステム。
  6. 前記イベントは、検出される衝撃、運動、加速度、GNSS位置、速度、コンパス方位、ブレーキライン圧力変化およびAEIスキャンの1つ以上を含む、請求項1に記載のシステム。
  7. 前記推測対象は前記車両基地内の鉄道車両の存在である、請求項1に記載のシステム。
  8. 前記収集されるデータはAEIスキャンおよび位置を含む、請求項7に記載のシステム。
  9. 前記推測対象は前記車両基地内の鉄道車両の前記位置および向きである、請求項6に記載のシステム。
  10. 前記収集されるデータは、加速度情報、運動情報、GNSS位置、コンパス方位を含む、請求項9に記載のシステム。
  11. 前記推測対象は、2つ以上の鉄道車両がリンクされていることである、請求項6に記載のシステム。
  12. 前記推測対象は、2つ以上の鉄道車両がリンクされていないことである、請求項6に記載のシステム。
  13. 前記収集されるデータは、前記2つ以上鉄道車両の各々から検出される衝撃、運動、加速度および位置である、請求項11に記載のシステム。
  14. 前記推測を行う際に用いられるイベント毎に推測が真であるという確率を割り当てる工程をさらに備えており、
    前記推測が真であることについての前記信頼水準は、前記推測を行う際に用いられる各イベントの確率の組み合わせである、請求項4に記載のシステム。
  15. 前記ソフトウェアは、列車編成を論理的に構築する機能と、列車編成を確認する機能とを行う、請求項1に記載のシステム。
  16. 前記ソフトウェアは、論理的にリンク解除して列車編成から鉄道車両を外す機能と、前記鉄道車両が列車編成中にないかを確認する機能とを行う、請求項1に記載のシステム。
  17. 鉄道車両が列車編成中にないとの前記推測は、2つ以上の鉄道車両から収集されるデータが、所定の閾値を超える信頼水準をサポートするときに確認される、請求項16に記載のシステム。
  18. 列車編成を構築する前記機能は、
    (a)2つ以上の鉄道車両の複数の連結を判断する工程であって、前記複数の連結により、前記列車編成中のすべての鉄道車両を含むリンクがもたらされる、工程と、
    (b)前記列車編成を形成するのに必要な複数の鉄道車両またはリンクの連結解除を判断する工程と、
    (c)前記列車編成中のすべての鉄道車両を含む前記リンクへの機関車の連結を判断する工程と、
    (d)各鉄道車両由来の管理部および少なくとも1つのノードからなる列車搭載無線ネットワークを形成する工程と、
    を備える請求項15に記載のシステム。
  19. 少なくとも1つのノードを有する各鉄道車両から収集されるデータが、所定の閾値を超える信頼水準をサポートするときに、前記連結が判断される、請求項18に記載のシステム。
  20. 連結を判断する前記工程は、連結されている前記2つ以上鉄道車両によって提供されるデータに基づいて前記推測を行う工程を備える、請求項19に記載のシステム。
  21. 前記提供されるデータは、検出される衝撃および位置データに関するデータを少なくとも含む、請求項20に記載のシステム。
  22. 前記検出される衝撃および位置データは、前記演算デバイスで収集され、前記推測エンジンで処理されて、鉄道車両が連結していたことについての前記推測が生成される、請求項21に記載のシステム。
  23. 前記推測エンジンは、前記車両基地設置無線メッシュネットワーク内のノードまたは前記演算デバイスで実行されるか、部分的に前記車両基地設置無線メッシュネットワークおよび前記演算デバイスで実行される、請求項22に記載のシステム。
  24. 前記分散推測エンジンは、鉄道車両の前記連結に関する推測について、どの鉄道車両が前記リンクベースにあるかに関する推測を行う、請求項23に記載のシステム。
  25. 前記推測エンジンは、連結イベントに関係する各鉄道車両から収集される以下の種類のデータ、すなわち、
    (a)各鉄道車両が受ける前記車両基地設置無線メッシュネットワークの信号強度、
    (b)運動データ、
    (c)速度および方位データ、
    (d)スプライン曲線フィットデータ、
    (e)コンパス角度データ、
    (f)ブレーキイベントデータ、および
    (g)AEIデータ、
    の1つ以上を用いて、前記2つ以上鉄道車両が連結されていることについての前記信頼水準を上げるか下げる、請求項24に記載のシステム。
  26. 列車編成を確認する前記機能は、
    (a)少なくとも1つのノードを有する各鉄道車両からデータを収集する工程であって、前記データは少なくとも速度、位置およびコンパス方位データを含む、工程と、
    (b)前記収集されるデータに基づいて推測を行う工程と、
    (c)少なくとも1つのノードを有する各鉄道車両の速度、位置およびコンパス方位が前記列車編成の運動全体に整合するかを確かめる工程と、
    を備える請求項12に記載のシステム。
  27. 車両基地内の資産を管理する方法であって、車両基地設置ネットワークにアクセスする演算デバイスで実行されるソフトウェアを備え、前記ソフトウェアは、
    (a)1つ以上の鉄道車両搭載通信管理ユニットのそれぞれの鉄道車両で起こるイベントまたは鉄道車両の状態に関して1つ以上の鉄道車両搭載通信管理ユニットからデータを収集する機能と、
    (b)前記鉄道車両の前記状態に関する前記データから推測を行う機能と、
    (c)前記推測をレポートする機能と、
    を行う、方法。
  28. 前記ソフトウェアは、前記行われる推測の各々に信頼水準を割り当てる機能をさらに実行する、請求項27に記載の方法。
  29. 前記信頼水準は前記推測が真である確率を表わす、請求項28に記載の方法。
  30. 前記信頼水準は1つ以上の前記イベント由来の確率の組み合わせである、請求項29に記載の方法。
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