JP2018500435A - 硬化性及び硬化済みエポキシ樹脂組成物 - Google Patents

硬化性及び硬化済みエポキシ樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

エポキシ樹脂と複合粒子とを含有する混合物である硬化性エポキシ樹脂組成物が提供される。複合粒子は、多孔質ポリマーコアと、多孔質ポリマーコア内に配置されたエポキシ樹脂用窒素系硬化剤と、多孔質ポリマーコアの周囲のコーティング層とを有する。窒素含有硬化剤は、一般的には、硬化性組成物が加熱されて複合粒子から窒素含有硬化剤の放出が起こるまで、エポキシ樹脂と反応しない。更に、硬化性組成物から形成される硬化済みエポキシ樹脂及び硬化済みエポキシ樹脂の製造方法が提供される。【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
(関連出願の相互参照)
本出願は、2014年12月23日に出願された米国特許仮出願第62/095963号の優先権を主張するものであり、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
(分野)
硬化性エポキシ樹脂組成物、硬化済みエポキシ樹脂組成物、及び硬化済みエポキシ樹脂組成物の製造方法が記載される。
(背景)
硬化性エポキシ組成物は、しばしば、硬化済み組成物の形成の直前までエポキシ樹脂が硬化剤と分離されている、二液型配合物として提供される。硬化剤とエポキシ樹脂とは、いったん混合されると、室温又は高温で素早く反応する。このような硬化性エポキシ組成物は、良好な貯蔵安定性(例えば、1年以上)を有する傾向があるが、エポキシ樹脂含有成分を硬化剤含有成分と混合した後は、速やかに使用する必要がある。更に、エポキシ樹脂及び硬化剤の量が適切となるように、混合する2つの成分を慎重に計量しなければならない。
潜在性硬化剤を使用するいくつかの一液型組成物が知られている。一液系は、混合が不要であるが、一般的に、二液型配合物と比べて貯蔵寿命がかなり短い。6カ月以上の貯蔵寿命は、熱的に活性化されて硬化済み組成物を形成する潜在性硬化剤の使用によって実現できる。硬化温度は、多くの場合、硬化剤の融点によって制限され、従来の潜在性硬化剤の場合、融点は一般的に約170℃を超える。硬化に必要な温度を下げるために、尿素ベースの化合物及びイミダゾールベースの化合物のような種々の促進剤が使用されてきた。
(概要)
エポキシ樹脂と複合粒子とを含有する混合物である硬化性エポキシ樹脂組成物が提供される。複合粒子は、多孔質ポリマーコア、当該多孔質ポリマーコア内に配置されたエポキシ樹脂用窒素系硬化剤、及び多孔質ポリマーコアの周囲のコーティング層を含有する。窒素含有硬化剤は、一般的には、硬化性組成物が加熱されて複合粒子から窒素含有硬化剤の放出が起こるまで、エポキシ樹脂と反応しない。更に、硬化性組成物から形成される硬化済みエポキシ樹脂及び硬化済みエポキシ樹脂の製造方法が提供される。
第1の態様では、硬化性組成物が提供される。硬化性組成物は、エポキシ樹脂と、当該エポキシ樹脂と混合された複合粒子とを含有する。複合粒子は、1)多孔質ポリマーコアと、2)多孔質ポリマーコア内に配置されているが多孔質ポリマーコアと共有結合していない、エポキシ樹脂用窒素含有硬化剤と、3)熱可塑性ポリマー、ワックス、又はこれらの混合物を含む、多孔質ポリマーコアの周囲のコーティング層と、を含む。
第2の態様では、硬化済み組成物が提供される。硬化済み組成物は、上記の硬化性組成物の反応生成物である。
第3の態様では、硬化済み組成物の製造方法が提供される。当該方法は、上記と同じ硬化性組成物を提供する工程と、上記硬化性組成物を加熱して複合粒子から窒素含有硬化剤を放出させる工程と、上記窒素含有硬化剤をエポキシ樹脂と反応させる工程と、を含む。
調製例1に従って形成されたコア粒子例の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 調製例1に従って形成されたコア粒子例の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。この2枚のSEM画像は、倍率が異なる。 実施例1に従って調製された複合粒子例のSEM画像である。 窒素含有硬化剤の例(CVC Specialty Chemicals,Inc.(Moorestown,NJ,USA)より商品名OMICURE U52Mで入手可能な4,4’−メチレンビス(フェニルジメチル)尿素であった)、コア粒子の例、及び同じ窒素含有硬化剤が充填された複合粒子例に関する、熱流量対温度の示差走査熱量測定(DSC)のプロットである。 実施例6に従って形成された他の複合粒子例のSEM画像である。
(詳細な説明)
硬化性エポキシ樹脂組成物、当該硬化性エポキシ樹脂組成物から形成された硬化済みエポキシ樹脂組成物、及び硬化済みエポキシ樹脂組成物の製造方法が提供される。硬化性エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、当該エポキシ樹脂と混合された複合粒子との両方を含有する一液型配合物である。複合粒子は、特定の温度を上回って加熱したときに複合粒子から放出され得る窒素含有硬化剤を含む。放出された窒素含有硬化剤は、エポキシ樹脂と反応して硬化済みエポキシ組成物を形成し得る。硬化性エポキシ樹脂組成物は、卓越した貯蔵安定性を有し得る。
本明細書で使用するとき、用語「ポリマー(polymer)」、「ポリマー(polymeric)」、及び「ポリマー材料(polymeric material)」は、互換的に使用され、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどを指す。
本明細書で使用するとき、用語「及び/又は」は、一方又は両方を意味する。例えば、熱可塑性ポリマー及び/又はワックスという表現は、熱可塑性ポリマー単独、ワックス単独、又は熱可塑性ポリマー及びワックスの両方を指す。
硬化性エポキシ樹脂組成物に包含されるエポキシ樹脂は、1分子当たり少なくとも1個のエポキシ官能基(すなわち、オキシラン基)を含有する。本明細書で使用するとき、用語「オキシラン基」は、以下の二価の基を指す。
Figure 2018500435
アスタリスクは、オキシラン基と他の基との結合部位を示す。オキシラン基がエポキシ樹脂の末端位置にある場合、オキシラン基は通常、水素原子に結合している。
Figure 2018500435
この末端オキシラン基は、多くの場合、グリシジル基の部分である。
Figure 2018500435
エポキシ樹脂は、1分子当たり少なくとも1つのオキシラン基を有し、多くの場合、1分子当たり少なくとも2つのオキシラン基を有する。例えば、エポキシ樹脂は、1分子当たり1〜10個、2〜10個、1〜6個、2〜6個、1〜4個、又は2〜4個のオキシラン基を有することができる。オキシラン基は、通常、グリシジル基の一部である。
エポキシ樹脂は、硬化前に所望の粘度特性をもたらし、硬化後に所望の機械的特性をもたらすように選択される、単一材料又は材料の混合物であり得る。エポキシ樹脂が複数の材料の混合物である場合、混合物中のエポキシ樹脂のうちの少なくとも1つは、通常は分子当たり少なくとも2個のオキシラン基を有するように選択される。例えば、混合物中の第一エポキシ樹脂は2〜4個、又はそれ以上のオキシラン基を有することができ、混合物中の第二エポキシ樹脂は1〜4個のオキシラン基を有することができる。これらの例のうちのいくつかでは、第一エポキシ樹脂は2〜4個のグリシジル基を有する第一グリシジルエーテルであり、第二エポキシ樹脂は1〜4個のグリシジル基を有する第二グリシジルエーテルである。
エポキシ樹脂分子のうちのオキシラン基ではない部分(すなわち、エポキシ樹脂分子からオキシラン基を差し引いたもの)は、芳香族、脂肪族又はこれらの組み合わせであることができ、直鎖、分枝状、環状、又はこれらの組み合わせであることができる。エポキシ樹脂の芳香族及び脂肪族部分は、ヘテロ原子、又はオキシラン基と反応しない他の基を含み得る。すなわち、エポキシ樹脂は、ハロ基、オキシ基(例えばエーテル結合基中のもの)、チオ基(例えばチオエーテル結合基中のもの)、カルボニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルイミノ基、ホスホノ基、スルホノ基、ニトロ基、ニトリル基及びこれらに類するものを含むことができる。エポキシ樹脂はまた、ポリジオルガノシロキサンベースの材料などのシリコーンベースの材料であることができる。
エポキシ樹脂は任意の好適な分子量を有することができるが、重量平均分子量は、通常、少なくとも100g/モル、少なくとも150g/モル、少なくとも175g/モル、少なくとも200g/モル、少なくとも250g/モル、又は少なくとも300g/モルである。重量平均分子量は、最大50,000g/モルであり得、又は高分子エポキシ樹脂では更に高くなり得る。重量平均分子量は、多くの場合、最大40,000g/モル、最大20,000g/モル、最大10,000g/モル、最大5,000g/モル、最大3,000g/モル、又は最大1,000g/モルである。例えば、重量平均分子量は、100〜50,000g/モルの範囲、100〜20,000g/モルの範囲、10〜10,000g/モルの範囲、100〜5,000g/モルの範囲、200〜5,000g/モルの範囲、100〜2,000g/モルの範囲、200〜2,000g/モルの範囲、100〜1,000g/モルの範囲、又は200〜1,000g/モルの範囲であり得る。
好適なエポキシ樹脂は、典型的には、室温(例えば、約20℃〜約25℃又は約20℃〜約30℃)で液体である。しかしながら、好適な有機溶媒中に可溶であるエポキシ樹脂もまた使用することができる。ほとんどの実施形態では、エポキシ樹脂はグリシジルエーテルである。代表的なグリシジルエーテルは、式(I)を有することができる。
Figure 2018500435

(I)
式(I)において、R基は、芳香族、脂肪族、又はこれらの組み合わせであるp価の基である。R基は、直鎖、分枝状、環状、又はこれらの組み合わせであることができる。R基は、任意に、ハロ基、オキシ基、チオ基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルイミノ基、ホスホノ基、スルホノ基、ニトロ基、ニトリル基などを含むことができる。変数pは任意の好適な1以上の整数であることができるが、pは、多くの場合、2〜10の範囲、2〜6の範囲、又は2〜4の範囲の整数である。
いくつかの代表的な式(I)のエポキシ樹脂では、変数pは2に等しく(すなわち、エポキシ樹脂はジグリシジルエーテルである)、Rは、アルキレン(すなわち、アルキレンはアルカンの二価の基であり、アルカン−ジイルと呼ぶことができる)、ヘテロアルキレン(すなわち、ヘテロアルキレンはヘテロアルカンの二価の基であり、ヘテロアルカン−ジイルと呼ぶことができる)、アリーレン(すなわち、アレーン化合物の二価の基)又はこれらの組み合わせを含む。好適なアルキレン基は、多くの場合、1〜20個の炭素原子、1〜12個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する。好適なヘテロアルキレン基は、多くの場合、2〜50個の炭素原子、2〜40個の炭素原子、2〜30個の炭素原子、2〜20個の炭素原子、2〜10個の炭素原子、又は2〜6個の炭素原子を有し、1〜10個のヘテロ原子、1〜6個のヘテロ原子、又は1〜4個のヘテロ原子を有する。ヘテロアルキレン中のヘテロ原子は、オキシ、チオ、又は−NH−基から選択することができるが、多くの場合、オキシ基である。好適なアリーレン基は、多くの場合、6〜18個の炭素原子、又は6〜12個の炭素原子を有する。例えば、アリーレンはフェニレン又はビフェニレンであり得る。R基は、任意に、ハロ基、オキシ基、チオ基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルイミノ基、ホスホノ基、スルホノ基、ニトロ基、ニトリル基などを更に含むことができる。変数pは、通常、2〜4の範囲の整数である。
いくつかの式(I)のエポキシ樹脂は、ジグリシジルエーテルであり、式中、Rは、(a)アリーレン基又は(b)アリーレン基とアルキレン、ヘテロアルキレン、若しくはこれらの両方との組み合わせを含む。R基は、ハロ基、オキシ基、チオ基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルイミノ基、ホスホノ基、スルホノ基、ニトロ基、ニトリル基などの任意の基を更に含むことができる。これらのエポキシ樹脂は、例えば、少なくとも2個のヒドロキシル基を有する芳香族化合物を過剰のエピクロロヒドリンと反応させることにより、調製することができる。有用な、少なくとも2個のヒドロキシル基を有する芳香族化合物の例としては、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、p,p’−ジヒドロキシジベンジル、p,p’−ジヒドロキシフェニルスルホン、p,p’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシフェニルスルホン、及びp,p’−ジヒドロキシベンゾフェノンが挙げられるが、これらに限定されない。更に他の例としては、ジヒドロキシジフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン、ジヒドロキシジフェニルエチルメチルメタン、ジヒドロキシジフェニルメチルプロピルメタン、ジヒドロキシジフェニルエチルフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルプロピレンフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルブチルフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルトリルエタン、ジヒドロキシジフェニルトリルメチルメタン、ジヒドロキシジフェニルジシクロヘキシルメタン、及びジヒドロキシジフェニルシクロヘキサンの、2,2’、2,3’、2,4’、3,3’、3,4’及び4,4’異性体が挙げられる。
一部の市販の式(I)のジグリシジルエーテルエポキシ樹脂は、ビスフェノールAから誘導される(すなわち、ビスフェノールAは、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタンである)。例としては、Momentive Specialty Chemicals,Inc.(Columbus,OH,USA)から商品名EPON(例えば、EPON 828、EPON 872、EPON 1001、EPON 1004、EPON 2004、EPON 1510、及びEPON 1310)で入手可能なもの、Dow Chemical Co.(Midland,MI,USA)から商品名DER(例えば、DER 331、DER 332、DER 336、及びDER439)で入手可能なもの、並びに、大日本インキ化学工業株式会社(日本、千葉)から商品名EPICLON(例えば、EPICLON 850)で入手可能なものが挙げられるが、これらに限定されない。その他の市販のジグリシジルエーテルエポキシ樹脂は、ビスフェノールFから誘導される(すなわち、ビスフェノールFは、2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタンである)。例としては、Dow Chemical Co.から商品名DER(例えば、DER 334)で入手可能なもの、大日本インキ化学工業株式会社(Parsippany,NJ,USA)から商品名EPICLON(例えば、EPICLON 830)で入手可能なもの、Huntsman Corporation(The Woodlands,TX,USA)から商品名ARALDITE(例えば、ARALDITE GY 281)で入手可能なものが挙げられるが、これらに限定されない。
他の式(I)のエポキシ樹脂は、ポリ(アルキレンオキシド)ジオールのジグリシジルエーテルである。これらのエポキシ樹脂は、ポリ(アルキレングリコール)ジオールのジグリシジルエーテルと呼ぶこともできる。変数pは2に等しく、Rは、酸素ヘテロ原子を有するヘテロアルキレンである。ポリ(アルキレングリコール)部分は、コポリマー又はホモポリマーであってよく、多くの場合、1〜4個の炭素原子を有するアルキレン単位を含む。例としては、ポリ(エチレンオキシド)ジオールのジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレンオキシド)ジオールのジグリシジルエーテル、及びポリ(テトラメチレンオキシド)ジオールのジグリシジルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。この種のエポキシ樹脂は、約400g/モル、約600g/モル、又は約1000g/モルの重量平均分子量を有する、ポリ(エチレンオキシド)ジオールから又はポリ(プロピレンオキシド)ジオールから誘導されるものなど、Polysciences,Inc.(Warrington,PA,USA)から市販されている。
更に他の式(I)のエポキシ樹脂は、アルカンジオールのジグリシジルエーテルである(R1はアルキレンであり、変数pは2に等しい)。例としては、1,4−ジメタノールシクロヘキシルのジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、並びに商品名EPONEX(例えば、EPONEX 1510)でHexion Specialty Chemicals,Inc.(Columbus,OH)から、及び商品名EPALLOY(例えば、EPALLLOY 5001)でCVC Thermoset Specialties(Moorestown,NJ)から市販されているもののような、水素添加ビスフェノールAから形成される脂環式ジオールのジグリシジルエーテルが挙げられる。
一部の用途では、硬化性コーティング組成物中で用いるのに選択されるエポキシ樹脂は、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテルであるノボラックエポキシ樹脂である。これらの樹脂は、例えば、フェノールを過剰のホルムアルデヒドと酸性触媒の存在下で反応させ、フェノールノボラック樹脂を産生することによって調製できる。その後、フェノールノボラック樹脂をエピクロロヒドリン(epichlorihydrin)と水酸化ナトリウムの存在下で反応させることにより、ノボラックエポキシ樹脂が調製される。得られるノボラックエポキシ樹脂は、典型的には2個超のオキシラン基を有し、架橋密度が高い硬化済みコーティング組成物の産生に用いることができる。耐腐食性、耐水性、耐化学薬品性、又はこれらの組み合わせが望まれる用途において、ノボラックエポキシ樹脂の使用が特に望ましい場合がある。そのようなノボラックエポキシ樹脂の1つは、ポリ[(フェニルグリシジルエーテル)−コ−ホルムアルデヒド]である。その他の好適なノボラック樹脂は、商品名ARALDITE(例えば、ARALDITE GY289、ARALDITE EPN 1183、ARALDITE EP 1179、ARALDITE EPN 1139、及びARALDITE EPN 1138)でHuntsman Corporation(The Woodlands,TX,USA)から、商品名EPALLOY(例えば、EPALLOY 8230)でCVC Thermoset Specialties(Moorestown,NJ,USA)から、及び商品名DEN(例えば、DEN 424及びDEN 431)でDow Chemical(Midland,MI,USA)から市販されている。
更に他のエポキシ樹脂としては、少なくとも2個のグリシジル基を有するシリコーン樹脂及び少なくとも2個のグリシジル基を有する難燃性エポキシ樹脂(例えば、Dow Chemical Co.(Midland,MI,USA)から商品名DER 580で市販されているものなどの少なくとも2個のグリシジル基を有する臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂)が挙げられる。
エポキシ樹脂は、多くの場合、材料の混合物である。例えば、エポキシ樹脂は、硬化前に、所望の粘度又は流量特性をもたらす混合物であるように選択され得る。混合物は、より低い粘度を有する反応性希釈剤と呼ばれる少なくとも1つの第1エポキシ樹脂と、より高い粘度を有する少なくとも1つの第2エポキシ樹脂と、を含み得る。反応性希釈剤は、エポキシ樹脂組成物の粘度を低下させる傾向を有し、多くの場合、飽和している分岐状主鎖か又は飽和若しくは不飽和である環状主鎖かのいずれかを有する。例としては、レゾルシノールのジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル、及びトリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテルは、商品名HELOXY MODIFIER(例えば、HELOXY MODIFIER 107)でHexion Specialty Chemicals(Columbus,OH,USA)から、及び商品名EPODIL(例えば、EPODIL 757)でAir Products and Chemical Inc.(Allentonwn,PA,USA)から市販されている。その他の反応性希釈剤は、様々なモノグリシジルエーテルなどの官能基(すなわち、オキシラン基)を1個だけ有する。いくつかのモノグリシジルエーテルの例としては、1〜20個の炭素原子、1〜12個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を持つアルキルグリシジルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。市販されているいくつかのモノグリシジルエーテルとしては、商品名EPODILでAir Products and Chemical,Inc.(Allentown,PA)から市販されているもの、例えば、EPODIL 746(2−エチルヘキシルグリシジルエーテル)、EPODIL 747(脂肪族グリシジルエーテル)及びEPODIL 748(脂肪族グリシジルエーテル)が挙げられる。
更に別のエポキシ樹脂は、アミンブラッシングを低減するように意図される。これらのエポキシ樹脂は、通常は比較的低濃度で硬化性コーティング組成物に添加されている。このようなエポキシ樹脂は、商品名DW 1765でHuntsman Corporation(The Woodlands,TX,USA)から市販されている。この材料は、ペースト様の稠度を有するが、液体エポキシ樹脂をベースとする。
硬化性コーティング組成物は、典型的には、硬化性コーティング組成物の第1部分と第2部分の合計重量に基づいて(すなわち、硬化性コーティング組成物の総重量に基づいて)少なくとも20重量%のエポキシ樹脂を含む。これより低濃度で用いられる場合、硬化済みコーティング組成物は、所望のコーティング特性をもたらすのに十分な高分子材料(例えば、エポキシ樹脂)を含むことができない。一部の硬化性コーティング組成物は、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%のエポキシ樹脂を含むことができる。硬化性コーティング組成物は、多くの場合、最大80重量%のエポキシ樹脂を含むが、充填剤を添加しない場合には、それよりも多くの量を使用してもよい。例えば、硬化性コーティング組成物は、最大75重量%、最大70重量%、最大65重量%、又は最大60重量%のエポキシ樹脂を含むことができる。硬化性コーティング組成物のいくつかの例は、20〜80重量%、20〜70重量%、30〜90重量%、30〜80重量%、30〜70重量%、30〜60重量%、40〜90重量%、40〜80重量%、40〜70重量%、40〜60重量%、50〜80重量%、又は50〜70重量%のエポキシ樹脂を含有する。
硬化性組成物は、エポキシ樹脂と混合された複合粒子を含む。複合粒子は、1)多孔質ポリマーコアと、2)多孔質ポリマーコア内に配置されているが多孔質ポリマーコアと共有結合していない窒素含有硬化剤と、3)多孔質ポリマーコアの周囲のコーティング層と、を含む。窒素含有硬化剤は、硬化性組成物が室温を上回る温度などに加熱されたときに、コーティング層を通って多孔質ポリマーコアから拡散することによって、複合粒子から放出され得る。放出された窒素含有硬化剤は、エポキシ樹脂と反応して硬化済み組成物を形成し得る。
複合粒子は、多孔質ポリマーコアを有する。ポリマーコアは、その外面上の空孔(すなわち、空隙又は自由体積)及び/又は内部領域へのチャネルを有する。少なくともいくつかの実施形態では、ポリマーコアは中空である。用語「多孔質ポリマーコア」、「多孔質ポリマーコア粒子」、「ポリマーコア」、及び「ポリマーコア粒子」、「コア粒子」、及び「コア」は、互換可能に使用される。多孔質ポリマーコアには窒素含有硬化剤が充填され、これは互換可能に「充填コア粒子」及び「充填多孔質ポリマーコア粒子」及び「充填ポリマーコア粒子」と呼ぶことができる。用語「多孔質複合粒子」及び「複合粒子」は、互換可能に使用されて、熱可塑性物質又はワックスでコーティングされた充填コア粒子を指す。複合粒子は多孔質ポリマーコアを含むことから、複合粒子自体を多孔質とみなすことができる。
任意の好適な多孔質ポリマーコアを使用できるが、多孔質ポリマーコアは、典型的には、架橋した(メタ)アクリレートポリマー材料から形成される。多孔質ポリマーコア粒子は、典型的には、第1相と、第1相内に(例えば、液滴として)分散された第2相と、を含む反応混合物から形成され、第1相の体積は、第2相の体積よりも大きい。すなわち、第1相は連続相であると考えることができ、第2相は連続相内の分散相であると考えることができる。第1相は、反応混合物中で第2相を液滴として懸濁させるための非共重合性媒体を提供する。第2相の液滴は、重合できるモノマー組成物と、ポロゲンとを含み、ポロゲンはポリ(プロピレングリコール)である。
多数の実施形態において、多孔質ポリマーコアは、i)第1相と、ii)第1相内に(例えば、液滴として)分散された第2相と、を含む反応混合物の重合生成物を含有し、上記の第1相の体積は、第2相の体積よりも大きい。第1相は、1)水及び水中に溶解した多糖類、又は2)界面活性剤及び式(I)
HO(−CH−CH(OH)−CH−O)−H
(I)
(式中、変数nは、少なくとも1に等しい整数である)の化合物のいずれかを含む。第2相は、1)式(II)
CH=C(R)−(CO)−O[−CH−CH−O]−(CO)−C(R)=CH
(II)
(式中、pは少なくとも1に等しい整数であり、Rは水素又はアルキルである)の第1モノマーを含むモノマー組成物と、2)重量平均分子量が少なくとも500g/モルであるポリ(プロピレングリコール)と、を含み、上記ポリ(プロピレングリコール)が重合生成物から除去されて、多孔質ポリマーコアを提供する。
反応混合物の第1相は典型的には、1)水及び水中に溶解した多糖類、又は2)界面活性剤及び式(I)
HO[−CH−CH(OH)−CH−O]−H
(I)
の化合物のいずれかを含む。式(I)の変数nは、少なくとも1に等しい整数である。第1相は、典型的には、第2相を第1相内に液滴として分散させるために好適な粘度及び体積をもたらすように配合される。第1相の粘度が高すぎると、第2相を分散させるのに必要なせん断力を提供することが困難となり得る。しかし、粘度が低すぎると、第2相を懸濁させること、及び/又は、比較的均一で、互いによく分離したポリマーコアを形成することが困難であり得る。
いくつかの実施形態では、第1相は、水及び水中に溶解した多糖類の混合物を含有する。多糖類は例えば、水溶性デンプン又は水溶性セルロースであり得る。
好適な水溶性デンプン及び水溶性セルロースは、多くの場合、2重量%水溶液で、室温(すなわち、20℃〜25℃)において6〜10センチポアズの範囲の粘度を有する。水溶性デンプンは通常、デンプンの部分的な酸加水分解により調製される。水溶性デンプンの例としては、例えば、Roquette(Lestrem,France)から商品名LYCOATで市販されているものが挙げられる。水溶性セルロースの例としては、アルキルセルロース(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルメチルセルロース)、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、及びヒドロキシエチルエチルセルロース)、及びカルボキシアルキルセルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの実施形態では、第1相は、第1相の総重量に基づいて最大50重量%の多糖類を含有し得る。例えば、第1相は、最大40重量%、最大30重量%、最大25重量%、最大20重量%、最大15重量%、又は最大10重量%の多糖類を含有し得る。第1相は典型的には、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、又は少なくとも15重量%の多糖類を含む。いくつかの実施形態では、第1相は、第1相の総重量に基づいて、5〜50重量%、5〜40重量%、10〜40重量%、5〜30重量%、10〜30重量%、5〜25重量%、10〜25重量%、又は15〜25重量%の多糖類を含有する。第1相の残り(すなわち、第1相のうちの多糖類ではない部分)は、典型的には水又は主として水である。
いくつかの例では、第1相は、5〜50重量%の多糖類及び50〜95重量%の水、5〜40重量%の多糖類及び60〜95重量%の水、10〜40重量%の多糖類及び60〜90重量%の水、5〜30重量%の多糖類及び70〜90重量%の水、10〜30重量%の多糖類及び70〜90重量%の水、5〜25重量%の多糖類及び75〜95重量%の水、10〜25重量%の多糖類及び75〜90重量%の水、又は15〜25重量%の多糖類及び75〜85重量%の水を含有する。重量%は、第1相の総重量に基づく。多くの例では、第1相は、水及び溶解した多糖類のみを含む。他の例では、第1相に含まれる唯一の他の材料は、任意の有機溶媒である。
任意の有機溶媒が水/多糖類の第1相中で使用される場合、有機溶媒は水と混和性であるように選択される。好適な有機溶媒としては、例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、若しくはイソプロパノール)、又は式(I)の化合物などのポリオールが挙げられる。任意の有機溶媒の量は通常、第1相の総重量に基づいて、10重量%以下、5重量%以下、又は1重量%以下である。いくつかの例では、第1相は任意の有機溶媒を含まないか、又は実質的に含まない。第1相の任意の有機溶媒に関して本明細書で使用するとき、用語「実質的に含まない」とは、有機溶媒は第1相に意図的に添加されないが、第1相の他の成分のうちの1つの不純物として存在してもよいことを意味する。例えば、任意の有機溶媒の量は、第1相の総重量に基づいて、1重量%未満、0.5重量%未満、又は0.1重量%未満である。
他の実施形態では、第1相は、水及び溶解した多糖類の混合物ではなく、式(I)の化合物及び界面活性剤の混合物を含有する。少なくともいくつかの第2相組成物では、より高い気孔率(例えば、より大きな気孔体積)を有するポリマーコア粒子は、式(I)の化合物及び界面活性剤を含有する第1相を使用して得ることができる。
式(I)の好適な化合物は典型的には、nの値が、1〜20の範囲、1〜16の範囲、1〜12の範囲、1〜10の範囲、1〜6の範囲、又は1〜4の範囲である。多くの実施形態では、式(I)の化合物は、変数nが1に等しいグリセロールである。式(I)の化合物の他の例は、ジグリセロール(nが2に等しい)、ポリグリセロール−3(nが3に等しい)、ポリグリセロール−4(nが4に等しい)、又はポリグリセロール−6(nが6に等しい)である。ポリグリセロールは、ポリグリセリンと呼ぶこともでき、多くの場合、様々な分子量の材料(すなわち、nの値が異なる材料)の混合物である。ポリグリセロール、ジグリセロール、及びグリセロールは、例えばSolvay Chemical(Brussels,Belgium)及びWilshire Technologies(Princeton,NJ,USA)から市販されている。
界面活性剤は典型的には、第1相で式(I)の化合物と組み合わせて使用される。界面活性剤は多くの場合、非イオン性界面活性剤である。非イオン性界面活性剤は通常、最終的なポリマー粒子の表面の気孔率を増加する。第1相は多くの場合、第2相内のモノマーの重合反応を妨げ得るイオン性界面活性剤を含まないか、又は実質的に含まない。イオン性(すなわちアニオン性又はカチオン性)界面活性剤に関して本明細書で使用するとき、用語「実質的に含まない」とは、イオン性界面活性剤は第1相に意図的に添加されないが、第1相の他の成分のうちの1つの微量不純物として存在してもよいことを意味する。任意の不純物は典型的には、第1相の総重量に基づいて、0.5重量%以下、0.1重量%以下、又は0.05重量%以下の量で存在する。
任意の好適な非イオン性界面活性剤を第1相に使用できる。非イオン性界面活性剤は多くの場合、分子の一部分に1つ以上のヒドロキシル基又はエーテル結合(例えば、−CH−O−CH−)を有し、これは、反応混合物の他の成分と水素結合できる。好適な非イオン性界面活性剤としては、アルキルグルコシド、アルキルグルカミド、アルキルポリグルコシド、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、並びにポリソルベートが挙げられるが、これらに限定されない。好適なアルキルグルコシドの例としては、オクチルグルコシド(オクチル−β−D−グルコピラノシドとも呼ばれる)及びデシルグルコシド(デシル−β−D−グルコピラノシドとも呼ばれる)が挙げられるが、これらに限定されない。好適なアルキルグルカミドの例としては、オクタノイル−N−メチルグルカミド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、及びデカノイル−N−メチルグルカミドが挙げられるが、これらに限定されない。これらの界面活性剤は例えば、Sigma Aldrich(St.Louis,MO,USA)又はSpectrum Chemicals(New Brunswick,NJ,USA)から入手可能である。好適なアルキルポリグルコシドの例としては、Cognis Corporation(Cincinnati,OH,USA)から商品名APG(例えば、APG 325)として市販されているもの、並びにDow Chemical(Midland,MI,USA)から商品名TRITON(例えば、TRITON BG−10及びTRITON CG−110)として市販されているものが挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールアルキルエーテルの例としては、商品名BRIJ(例えば、BRIJ 58及びBRIJ 98)としてSigma Aldrich(St.Louis,MO,USA)から市販されているものが挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのブロックコポリマーの例としては、BASF(Florham Park,NJ,USA)からPLURONICという商品名で市販されているものが挙げられるが、これらに限定されない。ポリソルベートの例としては、ICI American,Inc.(Wilmington,DE,USA)からTWEENという商品名で市販されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
第1相が、式(I)の化合物及び界面活性剤の混合物を含有する場合、界面活性剤は任意の好適な量で存在してもよい。多くの場合、界面活性剤は、第1相の総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、又は少なくとも2重量%に等しい量で存在する。界面活性剤は、第1相の総重量に基づいて最大15重量%、最大12重量%、又は最大10重量%の量で存在し得る。例えば、界面活性剤は、多くの場合、第1相の総重量に基づいて0.5〜15重量%の範囲、1〜12重量%の範囲、0.5〜10重量%の範囲、又は1〜10重量%の範囲の量で第1相中に存在する。第1相の残り(第1相のうちの界面活性剤ではない部分)は、典型的には、式(I)の化合物又は主として式(I)の化合物である。
いくつかの例では、第1相は、0.5〜15重量%の界面活性剤及び85〜99.5重量%の式(I)の化合物、1〜12重量%の界面活性剤及び88〜99重量%の式(I)の化合物、0.5〜10重量%の界面活性剤及び90〜99.5重量%の式(I)の化合物、又は1〜10重量%の界面活性剤及び90〜99重量%の式(I)の化合物を含有し得る。重量%は、第1相の総重量に基づく。多くの例では、第1相は、界面活性剤及び式(I)の化合物のみを含有する。他の例では、第1相に含まれる唯一の他の材料は、任意の有機溶媒又は任意の水である。
第1相が、式(I)の化合物及び界面活性剤を含有する場合、式(I)の化合物と混和性の任意の有機溶媒が、反応混合物中に存在してもよい。好適な有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、又はイソプロパノールなどのアルコールが挙げられる。加えて、任意の水を第1相に添加してもよい。任意の水又は有機溶媒の量は、第1相の所望の粘度を達成できるように選択される。任意の水又は有機溶媒の量は通常、第1相の総重量に基づいて、10重量%以下、5重量%以下、又は1重量%以下である。それより多い量の水が含まれる場合、気孔率が低下することがある。いくつかの実施形態では、第1相は任意の水又は有機溶媒を全く又は実質的に含まない。第1相の任意の水又は有機溶媒に関して本明細書で使用するとき、用語「実質的に含まない」とは、水又は有機溶媒は第1相に意図的に添加されないが、第1相の他の成分のうちの1つの不純物として存在してもよいことを意味する。例えば、任意の水又は有機溶媒の量は、第1相の総重量に基づいて、1重量%未満、0.5重量%未満、又は0.1重量%未満である。
反応混合物は、第1相中に分散された第2相を含む。第1相の体積は、第2相の体積よりも大きい。第1相の体積は、第2相の体積と比較して十分に大きいため、第1相中では第2相が液滴の形態で分散することが可能である。各液滴中で、モノマー組成物が重合して重合生成物を形成する。第2相からポリマー粒子を形成するために、第1相対第2相の体積比は、典型的には少なくとも2:1である。体積比が増加するほど(例えば、比率が少なくとも3:1、少なくとも4:1、又は少なくとも5:1のとき)、比較的均一なサイズ及び形状を有するポリマー粒子を形成できる。しかし、体積比が大きすぎる場合、反応効率が低下する(すなわち、より少量のポリマー粒子が製造される)。体積比は、一般に、25:1以下、20:1以下、15:1以下、又は10:1以下である。
第2相は、モノマー組成物と、重量平均分子量が少なくとも500g/モルであるポリ(プロピレングリコール)との両方を含む。重量平均分子量は、多くの場合、少なくとも1000g/モル又は少なくとも2000g/モルである。重量平均分子量は、最大10,000g/モル若しくはそれ以上又は最大5,000g/モルとなり得る。いくつかの実施形態において、重量平均分子量は、500〜10,000g/モルの範囲、1,000〜10,000g/モルの範囲、又は1,000〜5,000g/モルの範囲である。ポリプロピレングリコールは、重合生成物がモノマー組成物から形成される際に、重合生成物内に部分的に同伴されるポロゲンとして機能する。ポリプロピレングリコールが重合性基を有さないため、この材料は重合生成物の形成後に除去され得る。先に同伴されたポリプロピレングリコールが除去されたときに、空孔(すなわち、空隙体積又は自由体積)が生じる。同伴されたポリプロピレングリコールの除去から生じるポリマーコア粒子は、多孔質である。少なくともいくつかの実施形態では、これらの多孔質ポリマーコア粒子は中空中心を有する。空孔の存在、又は空孔及び中空中心の両方の存在により、ポリマーコア粒子は、種々の窒素含有硬化剤の貯蔵及び送達に非常に好適となる。
第2相内のモノマー組成物は、式(II)
CH=C(R)−(CO)−O[−CH−CH−O]−(CO)−C(R)=CH
(II)
(式中、変数pは、少なくとも1に等しい整数である)の第1モノマーを含有する。いくつかの実施形態では、変数pは、30以下、20以下、16以下、12以下、又は10以下の整数である。モノマーのエチレンオキシド部分(すなわち、基−[CHCH−O]−)の数平均分子量は、多くの場合、1200g/モル(ダルトン)以下、1000g/モル以下、800g/モル以下、600g/モル以下、400g/モル以下、200g/モル以下、又は100g/モル以下である。R基は、水素又はメチルである。第2相の式(II)のモノマーは、典型的には、第1相と混和性ではない。
好適な式(II)の第1モノマーは、Sartomer(Exton,PA,USA)から、エチレングリコールジメタクレートについては商品名SR206、ジエチレングリコールジメタクリレートについてはSR231、トリエチレングリコールジメタクリレートについてはSR205、テトラエチレングリコールジメタクリレートについてはSR206、ポリエチレングリコールジメタクリレートについてはSR210及びSR210A、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレートについてはSR259、ポリエチレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレートについてはSR603(例えば、SR6030P)及びSR344、ポリエチレングリコール(600)ジ(メタ)アクリレートについてSR252及びSR610、並びにポリエチレングリコール(1000)ジメタクリレートについてはSR740として市販されている。
いくつかの実施形態では、式(II)の第1モノマーは、第2相のモノマー組成物中の唯一のモノマーである。他の実施形態では、式(II)の第1モノマーは、少なくとも1つの第2モノマーと組み合わせて使用できる。第2モノマーは、単一のエチレン性不飽和基を有し、これは多くの場合、式HC=CR−(CO)−の(メタ)アクリロイル基であり、式中Rは水素又はメチルである。好適な第2モノマーは通常、第1相と混和性ではないが、式(II)の第1モノマーとは、混和性であっても混和性でなくてもよい。
いくつかの第2モノマーの例は、式(III)のものである。
CH=CR−(CO)−O−Y−R
(III)
この式において、R基は、水素又はメチルである。多くの実施形態において、Rは、水素である。Y基は、単結合、アルキレン、オキシアルキレン、又はポリ(オキシアルキレン)である。R基は、炭素環式基又は複素環式基である。これらの第2モノマーは、第2相中で式(I)の第1モノマーと混和性を持つ傾向があるが、第1相とは混和性を持たない。
本明細書で使用するとき、用語「アルキレン」は、アルカン基であり、直鎖、分枝状、環状、二環状の基、又はそれらの組み合わせを含む、二価の基を指す。本明細書で使用される場合、用語「オキシアルキレン」は、アルキレン基に直接結合したオキシ基である二価の基を指す。本明細書で使用するとき、用語「ポリ(オキシアルキレン)」は、複数のオキシアルキレン単位を有する二価の基を指す。好適なYアルキレン及びオキシアルキレン基は、典型的には、1〜20個の炭素原子、1〜16個の炭素原子、1〜12個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜3個の炭素原子を有する。オキシアルキレンは、多くの場合、オキシエチレン又はオキシプロピレンである。好適なポリ(オキシアルキレン)基は、典型的には、2〜20個の炭素原子、2〜16個の炭素原子、2〜12個の炭素原子、2〜10個の炭素原子、2〜8個の炭素原子、2〜6個の炭素原子、又は2〜4個の炭素原子を有する。ポリ(オキシアルキレン)基は、多くの場合、ポリ(オキシエチレン)であり、これはポリ(エチレンオキシド)又はポリ(エチレングリコール)と呼ばれることがある。
炭素環式R基は、単一の環を有することも、又は縮合環若しくは二環式環等の複数の環を有することもあり得る。各環は飽和、部分的に不飽和、又は不飽和であってよい。各環の炭素原子は、アルキル基で置換されている場合もあれば又は置換されていない場合もある。炭素環式基は、多くの場合、5〜12個の炭素原子、5〜10個の炭素原子、又は6〜10個の炭素原子を有する。炭素環式基の例としては、フェニル、シクロヘキシル、シクロペンチル、イソボルニルなどが挙げられるがこれらに限定されない。これらの炭素環式基のいずれかは、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基で置換され得る。
複素環式R基は、単一の環を有することも、又は縮合環若しくは二環式環などの複数の環を有することもあり得る。各環は、飽和、部分的に不飽和、又は不飽和であってよい。複素環基は、酸素、窒素、又は硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する。複素環式基は、多くの場合、3〜10個の炭素原子及び1〜3個のへテロ原子、3〜6個の炭素原子及び1〜2個のへテロ原子、又は3〜5個の炭素原子及び1〜2個のへテロ原子を有する。複素環式環の例としては、テトラヒドロフルフリルが挙げられるが、これに限定されない。
第2モノマーとして使用するための式(III)のモノマーの例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート(Sartomerから商品名SR339及びSR340で市販)、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート(Sartomerから商品名SR285及びSR203で市販)、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート(Sartomerから商品名CD421及びCD421Aで市販)、並びにエトキシル化ノニルフェノールアクリレート(Sartomerから商品名SR504、CD613、及びCD612で市販)が挙げられるが、これらに限定されない。
その他の第2モノマーの例は、式(IV)
CH=CR−(CO)−O−R
(IV)
のアルキル(メタ)アクリレートである。式(IV)において、R基は、水素又はメチルである。多くの実施形態において、Rは、水素である。R基は、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖アルキルである。これらの第2モノマーは、第2相中で式(I)の第1モノマーとは混和性を持つ傾向があるが、第1相とは混和性を持たない。
式(IV)のアルキル(メタ)アクリレートの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、2−メチルブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、4−メチル−2−ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−オクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2−プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、2−オクチルデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びヘプタデカニル(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、モノマー組成物中のモノマーは、式(II)の第1モノマー及び式(III)、式(IV)、又は両方の第2モノマーのみである。任意の好適な量の第1モノマー及び第2モノマーが使用され得る。モノマー組成物は、多くの場合、モノマー組成物中のモノマーの総重量に基づいて、10〜90重量%の第1モノマーと、10〜90重量%の第2モノマーと、を含有する。例えば、第2相は、モノマー組成物中のモノマーの総重量に基づいて、20〜80重量%の第1モノマー及び20〜80重量%の第2モノマー、25〜75重量%の第1モノマー及び25〜75重量%の第2モノマー、30〜70重量%の第1モノマー及び30〜70重量%の第2モノマー、又は40〜60重量%の第1モノマー及び40〜60重量%の第2モノマーを含有し得る。
ポリマーコア粒子内に配置される具体的な窒素含有硬化剤に応じて、少なくとも1種の親水性第2モノマーをモノマー組成物中に含むことが望ましいことがある。親水性第2モノマーの添加は、ポリマーコア粒子を、親水性窒素含有硬化剤の貯蔵及び送達により適したものにする傾向がある。親水性第2モノマーは、第1相と混和性でないように選択される。これらのモノマーは、式(II)の第1モノマーと混和性であってもそうでなくてもよい。
いくつかの親水性第2モノマーの例としては、式(V)
CH=CR−(CO)−O−R
(V)
のヒドロキシル基含有モノマーがある。式(V)において、R基は、水素又はメチルである。多くの実施形態において、Rは、水素である。R基は、1個以上のヒドロキシ基又は式
−(CHCHO)CHCHOH(式中、qは少なくとも1に等しい整数である)の基で置換されたアルキルである。アルキル基は、典型的には、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、又は1〜3個の炭素原子を有する。ヒドロキシル基の数は、多くの場合、1〜3の範囲である。変数qは、多くの場合、1〜20の範囲、1〜15の範囲、1〜10の範囲、又は1〜5の範囲である。多くの実施形態において、式(IV)の第2モノマーは単一のヒドロキシル基を有する。
式(V)のモノマーの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(例えば、Sartomer(Exton,PA,USA)から商品名CD570、CD571、及びCD572として市販されているモノマー)、及びグリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。
その他の親水性第2モノマーの例としては、式(VI)
CH=CR−(CO)−O−R−O−Ar
(VI)
のヒドロキシル基含有モノマーがある。式(VI)において、R基は、水素又はメチルである。多くの実施形態において、Rは、水素である。R基は、少なくとも1個のヒドロキシル基で置換されたアルキレンである。好適なアルキレン基は多くの場合、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する。アルキレン基Rは1〜3個のヒドロキシル基で置換され得るが、多くの場合、単一のヒドロキシル基で置換されている。Ar基は、6〜10個の炭素原子を有するアリール基である。多くの実施形態において、Ar基はフェニルである。式(VI)のモノマーの一例は、2−ヒドロキシ−2−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートである。
第2モノマーが式(V)又は(VI)のモノマーであり、ヒドロキシル含有モノマーである場合、式(II)の第1モノマーと組み合わせることのできるこのモノマーの量は、多くの場合、モノマー組成物中のモノマーの総重量に基づいて、2重量%以下である。約2重量%超の式(V)又は(VI)の第2モノマーを使用すると、結果として得られるポリマー粒子の気孔率が低下する傾向がある。
結果として得られるポリマーコア粒子の気孔率を低下することなく、他の親水性モノマーを、第2モノマーとして、式(V)又は(VI)の第2モノマーよりも多い量で使用できる。例えば、式(VII)
CH=CR−(CO)−O−R−SO
(VII)
のスルホニル含有モノマー又はその塩を、モノマー組成物中で、式(II)の第1モノマーと共に含んでもよい。式(VII)において、R基は、水素又はメチルである。多くの実施形態において、Rは、水素である。R基は、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキレンである。式(VII)のスルホニル含有モノマーの例としては、限定するものではないが、スルホエチル(メタ)アクリレート(例えば、2−スルホエチルメタクリレート)及びスルホプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。スルホニル含有モノマーは、いくつかのpH条件下で塩であり得る。すなわち、このモノマーは負電荷を有し、正電荷を帯びた対イオンと関係し得る。対イオンの例としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムイオン、及びテトラアルキルアンモニウムイオンが挙げられるが、これらに限定されない。
第2モノマーが式(VII)のスルホニル含有モノマーである場合、モノマー組成物は、モノマー組成物中のモノマーの総重量に基づいて、最大20重量%のこのモノマーを含有し得る。いくつかの実施形態では、モノマー組成物中のモノマーは、式(II)の第1モノマー及び式(VII)の第2モノマーのみである。任意の好適な量の第1モノマー及び第2モノマーが使用され得る。モノマー組成物は多くの場合、モノマー組成物中のモノマーの総重量に基づいて、80〜99重量%の式(II)の第1モノマーと、1〜20重量%の式(VII)の第2モノマーと、を含有する。例えば、モノマー組成物は、モノマー組成物中のモノマーの総重量を基準にして、85〜99重量%の第1モノマー及び1〜15重量%の第2モノマー、90〜99重量%の第1モノマー及び1〜10重量%の第2モノマー、及び95〜99重量%の第1モノマー及び1〜5重量%の第2モノマーを含有し得る。
他の実施形態では、モノマー組成物は、式(II)の第1モノマー並びに2つの第2モノマーを含み、これはスルホニル含有モノマー、例えば式(VII)のモノマー、及びヒドロキシル含有モノマー、例えば式(V)又は(VI)のモノマーである。ヒドロキシル含有モノマーがスルホニル含有モノマーと組み合わせられる場合、結果として生じるポリマー粒子の気孔率を実質的に減少させずに、より多量のヒドロキシル含有モノマーがモノマー組成物に添加され得る。すなわち、ヒドロキシル含有モノマーの量は、モノマー組成物中のモノマーの重量に基づいて2重量%を超え得る。このようなモノマー組成物は多くの場合、80〜99重量%の式(II)の第1モノマーと、1〜20重量%の第2モノマーとを含有し、この第2モノマーは、スルホニル含有モノマーとヒドロキシル含有モノマーとの混合物である。最大50重量%、最大40重量%、最大20重量%、又は最大10重量%の第2モノマーが、ヒドロキシル含有モノマーであってよい。
更に他の実施形態では、モノマー組成物は、式(II)の第1モノマー並びに2つの第2モノマーを含み、これはスルホニル含有モノマー、例えば式(VII)のモノマー、及び式(III)のモノマーである。このようなモノマー組成物は、多くの場合、1〜20重量%の式(VII)のモノマーと、80〜99重量%の式(II)のモノマー及び式(III)のモノマーの混合物を含有する。例えば、モノマー組成物は、1〜10重量%の式(VII)のモノマー、及び90〜99重量%の式(II)のモノマーと式(III)のモノマーとの混合物を含有し得るか、又は1〜5重量%の式(VII)のモノマー、及び95〜99重量%の式(II)のモノマーと式(III)のモノマーとの混合物を含有し得る。これらの組成物は、疎水性又は親水性のいずれかの窒素含有硬化剤を充填するために使用できることから、有利となり得る。
いくつかのより具体的な例では、モノマー組成物は、1〜20重量%の式(VII)のモノマーと、1〜98重量%の式(II)のモノマーと、1〜98重量%の式(III)のモノマーとを含有し得る。別の例では、モノマー組成物は、1〜20重量%の式(VII)のモノマーと、5〜95重量%の式(II)のモノマーと、5〜95重量%の式(III)のモノマーとを含有し得る。別の例では、モノマー組成物は、1〜10重量%の式(VII)のモノマーと、20〜80重量%の式(II)のモノマーと、20〜80重量%の式(III)のモノマーとを含有する。更に別の例では、モノマー組成物は、1〜10重量%の式(VII)のモノマーと、30〜70重量%の式(II)のモノマーと、30〜70重量%の式(III)のモノマーとを含有する。更に別の例では、モノマー組成物は、1〜10重量%の式(VII)のモノマーと、40〜60重量%の式(II)のモノマーと、40〜60重量%の式(III)のモノマーとを含有する。
式(VII)、(II)、及び(III)のモノマーを含有するこれらのモノマー組成物では、式(VII)のモノマーの量は、多孔質ポリマーコア粒子の平均サイズを制御するために使用され得る。例えば、約5重量%の式(VII)のモノマー組成物が含まれる場合、結果として生じる多孔質ポリマーコア粒子は、平均直径がおおよそ10μmである。約1重量%の式(VII)のモノマー組成物が含まれる場合、結果として生じる多孔質ポリマーコア粒子は、平均直径がおおよそ3μmである。
更に他の第2モノマーの例は、カルボン酸基(−COOH)を有するカルボキシル含有モノマー、又はその塩である。これらのカルボキシル含有モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸並びにカルボキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、3−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、及びこれに類するものが挙げられるが、これらに限定されない。カルボキシル含有モノマーは、いくつかのpH条件下で塩であり得る。すなわち、これらのモノマーは負電荷を有し、正電荷を帯びた対イオンと関係し得る。対イオンの例としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムイオン、及びテトラアルキルアンモニウムイオンが挙げられるが、これらに限定されない。
更に他の第2モノマーは、第4級アンモニウム塩、例えば、(メタ)アクリルアミドアルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド及び3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)、並びに(メタ)アクリロキシアルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、及び2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート)である。
式(II)の第1モノマー、又は式(II)の第1モノマーと1つ以上の上記の第2モノマーとの混合物に加えて、モノマー組成物は任意で、少なくとも2つの重合性基を有する第3モノマーを含有し得る。重合性基は、典型的には、(メタ)アクリロイル基である。多くの実施形態において、第3モノマーは2又は3個の(メタ)アクリロイル基を有する。第3モノマーは典型的には、第1相と混和性ではなく、また式(II)の第1モノマーとは、混和性であっても混和性でなくてもよい。
いくつかの第3モノマーは、ヒドロキシル基を有する。このようなモノマーは、式(II)の第1モノマーのように架橋剤として機能し得るが、より高い親水性を有するポリマー粒子を提供し得る。これは、親水性窒素含有硬化剤の貯蔵及び送達に望ましい場合がある。ヒドロキシル基含有第3モノマーの例は、グリセロールジ(メタ)アクリレートである。
いくつかの第3モノマーは、少なくとも3つの重合性基を有するように選択される。このような第3モノマーを添加して、得られるポリマー粒子により高い剛性を付与することができる。これらの第3モノマーの添加は、活性剤に曝露される際に、又は水分に曝露される際に、ポリマー粒子の膨潤を最小化する傾向がある。好適な第3モノマーとしては、限定するものではないが、エトキシル化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomerから商品名SR9035で市販)及びエトキシル化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomerから商品名SR415で市販)などのエトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;プロポキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomerから商品名SR492で市販)及びプロポキシル化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomerから商品名CD501で市販)などのプロポキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(Sartomerから商品名SR368及びSR368Dで市販)などのトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート;並びにプロポキシル化(3)グリセロールトリアクリレート(Sartomerから商品名SR9020及びSR9020HPで市販)などのプロポキシル化グリセリルトリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
第3モノマーがモノマー組成物中に存在する場合、任意の好適な量を使用することが可能である。第3モノマーは、多くの場合、モノマー組成物中のモノマーの総重量に基づいて、最大20重量%の量で使用される。いくつかの実施形態では、第3モノマーの量は、最大15重量%、最大10重量%、又は最大5重量%である。
モノマー組成物は、多くの場合、モノマー組成物中のモノマーの総重量に基づいて、10〜100重量%の第1モノマーと、0〜90重量%の第2モノマーと、0〜20重量%の第3モノマーと、を含有する。例えば、モノマー組成物は、10〜90重量%の第1モノマーと、10〜90重量%の第2モノマーと、0〜20重量%の第3モノマーと、を含有し得る。モノマー組成物は、モノマー組成物の総重量に基づいて、10〜89重量%の第1モノマーと、10〜89重量%の第2モノマーと、1〜20重量%の第3モノマーと、を含有し得る。
モノマー組成物に加えて、第2相は、ポロゲンとして機能するポリ(プロピレングリコール)を含有する。ポリ(プロピレングリコール)は第2相中ではモノマー組成物に可溶性であるが、第1相中では分散性である。言い方を変えれば、ポリ(プロピレングリコール)は第2相と完全に混和し、第1相とは部分的に混和する。ポリ(プロピレングリコール)は、モノマー組成物の重合後に除去され、ポリマーコア粒子中に空孔(例えば、空隙体積又は自由体積)を提供する。ポリ(プロピレングリコール)は、重合性基を有さず(すなわち、モノマーではなく)、かつ一般的に、第2相内で生成するポリマーコア粒子に共有結合されない。ポリ(プロピレングリコール)の一部は、重合生成物内に同伴され得ると考えられる。同伴されたポリ(プロピレングリコール)の除去により、中空のポリマーコア粒子が形成され得る。ポリ(プロピレングリコール)の一部は、第2相中で重合生成物が形成される際、第1相と第2相との間の界面に配置され得ると更に考えられる。形成中の重合生成物の表面にポリ(プロピレングリコール)が存在することにより、表面多孔性を有するポリマー粒子が形成され得る。表面多孔性は、図1A及び図1Bのようなポリマー粒子の電子顕微鏡写真から確認することができる。
任意の好適な分子量のポリ(プロピレングリコール)がポロゲンとして使用され得る。分子量は、ポリマーコア粒子中に形成される空孔のサイズに影響し得る。すなわち、空孔のサイズはポリ(プロピレングリコール)の分子量と共に増大する。重量平均分子量は、多くの場合、少なくとも500g/モル、少なくとも800g/モル、又は少なくとも1000g/モルである。ポリ(プロピレングリコール)の重量平均分子量は、最大10,000g/モル以上である。使用を容易にするために、室温で液体であるポリ(プロピレングリコール)が選択されることが多い。最大約4000g/モル又は5000g/モルの重量平均分子量を有するポリ(プロピレングリコール)は、室温で液体である傾向がある。室温で液体でないポリ(プロピレングリコール)は、アルコール(例えば、エタノール、n−プロパノール、又はイソプロパノール)等の好適な有機溶媒中に初めに溶解される場合に使用することができる。ポリ(プロピレングリコール)の重量平均分子量は、多くの場合、500〜10,000g/モルの範囲内、1000〜10,000g/モルの範囲内、1000〜8000g/モルの範囲内、1000〜5000g/モルの範囲内、1000〜4000g/モルの範囲内にある。
第2相は、最大50重量%のポリ(プロピレングリコール)を含有し得る。それより多量のポリ(プロピレングリコール)を使用した場合、第2相中に含まれるモノマー組成物の量が、均一形状のポリマーコア粒子を形成するには不十分な場合がある。多くの実施形態において、第2相は、第2相の総重量に基づいて、最大45重量%、最大40重量%、最大35重量%、最大30重量%、又は最大25重量%のポリ(プロピレングリコール)を含有し得る。第2相は、典型的には、少なくとも5重量%のポリ(プロピレングリコール)を含有する。それより少ない量のポリ(プロピレングリコール)を使用した場合、結果として得られるポリマー粒子の気孔率が不十分な場合がある。すなわち、ポリマーコア粒子の空隙体積が、有効量の窒素含有硬化剤を充填及び送達するには不十分となり得る。第2相は、典型的には、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、又は少なくとも20重量%のポリ(プロピレングリコール)を含有し得る。いくつかの実施形態では、第2相は、第2相の総重量に基づいて、5〜50重量%、10〜50重量%、10〜40重量%、10〜30重量%、20〜50重量%、20〜40重量%、又は25〜35重量%のポリ(プロピレングリコール)を含有する。
いくつかの実施形態では、第2相は、第2相の総重量に基づいて50〜90重量%のモノマー組成物と10〜50重量%のポリ(プロピレングリコール)、60〜90重量%のモノマー組成物と10〜40重量%のポリ(プロピレングリコール)、50〜80重量%のモノマー組成物と20〜50重量%のポリ(プロピレングリコール)、又は60〜80重量%のモノマー組成物と20〜40重量%のポリ(プロピレングリコール)を含有する。
モノマー組成物及びポリ(プロピレングリコール)に加えて、第2相は、多くの場合、モノマー組成物のフリーラジカル重合のための開始剤を含有する。当該技術分野において既知の任意の好適な開始剤を使用できる。開始剤は、熱開始剤、光開始剤、又はこれらの両方であり得る。使用される特定の開始剤は、多くの場合、第2相中での溶解度に基づいて選択される。開始剤は、多くの場合、モノマー組成物中のモノマーの重量に基づいて0.1〜5重量%、0.1〜3重量%、0.1〜2重量%、又は0.1〜1重量%の濃度で使用される。
熱開始剤を反応混合物に添加した場合、ポリマー粒子は室温(すなわち、20℃〜25℃)又は高温で形成され得る。重合に必要な温度は、多くの場合、使用される特定の熱開始剤に依存する。熱開始剤の例としては、有機過酸化物及びアゾ化合物が挙げられる。
光開始剤を反応混合物に添加した場合、化学線の適用によりポリマー粒子が形成され得る。好適な化学線としては、赤外線領域、可視領域、紫外線領域、又はこれらの組み合わせにおける電磁放射線が挙げられる。
紫外線領域において好適な光開始剤の例としては、限定するものではないが、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル(例えば、ベンゾインメチルエーテル及び4,4’−ジメトキシベンゾインのような置換ベンゾインアルキルエーテル)、フェノン(例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンのような置換アセトフェノン及び2−メチル2−ヒドロキシプロピオフェノンのような置換α−ケトール)、ホスフィンオキシド、ポリマー光開始剤などが挙げられる。
市販の光反応開始剤としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名DAROCUR1173で市販)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンとの混合物(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商標名DAROCUR4265で市販)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名IRGACURE651で市販)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシドと1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとの混合物(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名IRGACURE1800で市販)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシドの混合物(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名IRGACURE1700で市販)、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名IRGACURE907で市販)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名IRGACURE184で市販)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名IRGACURE369で市販)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名IRGACURE819で市販)、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィネート(例えば、BASF(Charlotte、NC)から商品名LUCIRIN TPO−Lで市販)、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(例えば、BASF(Charlotte、NC)から商品名LUCIRIN TPOで市販)が挙げられるが、これらに限定されない。
反応混合物は、多くの場合、少なくとも5重量%の第2相(分散相)と最大95重量%の第1相(連続相)とを含む。いくつかの実施形態では、反応混合物は、5〜40重量%の第2相と60〜95重量%の第1相、5〜30重量%の第2相と70〜95重量%の第1相、10〜30重量%の第2相と70〜90重量%の第1相、又は5〜20重量%の第2相と80〜95重量%の第1相を含有する。重量%は、反応混合物の総重量に基づく。
ポリマーコア粒子を調製するために、第2相の液滴が第1相中に形成される。第2相の成分は、多くの場合、第1相の添加前に混合される。例えば、モノマー組成物、開始剤、及びポリ(プロピレングリコール)を一緒にブレンドすることができ、その後、このブレンドした組成物(これは第2相である)を第1相に添加することができる。得られた反応混合物は、多くの場合、高せん断下で混合されて、マイクロエマルションを形成する。分散された第2相液滴のサイズは、せん断力の量、混合速度、又は組成により制御され得る。液滴のサイズは、重合前に光学顕微鏡下に混合物の試料を載置することによって決定され得る。任意の所望の液滴サイズが使用され得るが、平均液滴直径は、多くの場合、200μm未満、100μm未満、50μm未満、25μm未満、10μm未満、又は5μm未満である。例えば、平均液滴直径は、1〜200μm、1〜100μm、5〜100μm、5〜50μm、5〜25μm、又は5〜10μmの範囲内であり得る。
光開始剤が使用される場合、反応混合物は、多くの場合、所望の化学線が貫通することができる厚みになるように、非反応性表面上に広げられる。反応混合物は、液滴の合着を引き起こさない方法を用いて広げられる。例えば、反応混合物は、押出し法によって形成できる。多くの場合、化学線は電磁スペクトルの紫外線領域内である。紫外線が反応混合物層のトップ面からのみ適用される場合、層の厚みは最大約10mmであり得る。反応混合物層がトップ面及び底面の両方から紫外線に暴露される場合、その厚みは更に大きく、例えば、最大約20mmであることができる。反応混合物は、モノマー組成物を反応させてポリマー粒子を形成するのに十分な時間、化学線に供される。反応混合物層は、化学線源の強度及びその反応混合物層の厚さに応じて、多くの場合、5分以内、10分以内、20分以内、30分以内、45分以内、又は1時間以内に重合される。
熱開始剤が使用される場合、液滴は、反応混合物を混合し続けている間に重合され得る。あるいは、反応混合物を、任意の所望の厚さになるように非反応性表面上に広げることができる。反応混合物層は、トップ面から、底面から、又は両方から加熱されて、ポリマーコア粒子を形成し得る。厚さは、多くの場合、紫外線などの化学線の使用時に使用される厚さに匹敵するよう選択される。
多くの実施形態では、光開始剤は、より低い温度を重合に使用できることから、熱開始剤よりも好ましい。すなわち、紫外線などの化学線の使用は、熱開始剤の使用に必要な温度による影響を受ける可能性のある反応混合物の様々な成分の分解を最小限にするために使用することができる。更に、熱開始剤の使用に通常関連する温度は、第1相と分散された第2相との間の反応混合物の様々な成分の溶解度を望ましくないように変える場合がある。
重合反応中、モノマー組成物は、第1相中に懸濁した分散した第2相液滴内で反応する。重合が進むにつれ、第2相中に含まれるポリ(プロピレングリコール)は、重合生成物内に部分的に同伴される。ポリ(プロピレングリコール)のいくらかの部分が連鎖移動反応によってポリマー生成物に共有結合される可能性があるが、好ましくはポリ(プロピレングリコール)はポリマー生成物に結合されていない。重合生成物は粒子の形態である。いくつかの実施形態では、粒子は、比較的均一な寸法及び形状を有するポリマービーズである。
重合生成物(すなわち、同伴されたポリ(プロピレングリコール)を含有するポリマー粒子)の形成後、重合生成物を第1相から分離することができる。任意の好適な分離方法を使用できる。例えば、第1相の粘度を低下させるために、多くの場合、水が添加される。重合生成物の粒子は、デカンテーション、濾過、又は遠心分離により分離することができる。重合生成物の粒子は、水中にそれらを懸濁し、デカンテーション、濾過、遠心分離、又は乾燥により再びそれらを回収することにより、更に洗浄することができる。
次に、重合生成物の粒子は、1つ以上の洗浄工程に供されて、ポリ(プロピレングリコール)ポロゲンを除去することができる。ポリ(プロピレングリコール)を除去するために好適な溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、及びエタノール、n−プロパノール、又はイソプロパノール等のアルコールが挙げられる。言い方を変えれば、同伴されたポリ(プロピレングリコール)は、溶媒抽出法を用いて重合生成物から除去される。以前ポリ(プロピレングリコール)が存在していた場所に、空孔が形成される。
多くの実施形態では、結果として生じる多孔質ポリマーコア粒子(ポリ(プロピレングリコール)ポロゲンの除去後の重合生成物)は、平均直径が200μm未満、100μm未満、50μm未満、25μm未満、10μm未満、又は5μm未満である。例えば、多孔質ポリマーコア粒子は、平均直径が1〜200μm、1〜100μm、5〜100μm、5〜50μm、5〜25μm、又は5〜10μmの範囲内であり得る。
図1A及び図1Bに見られるように、ポリマーコア粒子は通常、粒子表面に分布した複数の空孔を有する。粒子の直径及び空孔の寸法に基づいて、ポリマーコア粒子は、マイクロ粒子(平均直径が典型的には、1〜200μmの範囲、1〜100μmの範囲、又は1〜50μmの範囲である)、及びナノ多孔質(空孔がナノメートルの範囲、例えば1〜200nmの範囲、10〜200nmの範囲、20〜200nmの範囲、又は50〜200nmの範囲の寸法を有する)として記述され得る。いくつかの実施形態では、ポリマーコア粒子は、粒子の表面に分布した複数の空孔を有することに加え、中空である。本明細書で使用するとき、用語「中空」は、ポリマーでない内側領域(空洞又はコア)を囲むポリマー外側部を有するポリマー粒子を指す。
多孔質ポリマーコア粒子又は中空多孔質ポリマーコア粒子は、窒素含有硬化剤の貯蔵及び送達に非常に適している。窒素含有硬化剤は、多孔質ポリマーコア内に配置又は充填される。窒素含有硬化剤は、複合粒子内のポリマーコアに共有結合していない。好適な条件下で、窒素含有硬化剤は、複合粒子から放出されて(すなわち、送達されて)、エポキシ樹脂と反応し得る。
本明細書で使用するとき、用語「窒素含有硬化剤」は、エポキシ樹脂の硬化を引き起こす任意の窒素含有化合物を指す。この用語は、特定の硬化の機構又は反応を暗示又は示唆するものではない。窒素含有硬化剤は、エポキシ樹脂のオキシラン環と直接反応すること、別の窒素含有硬化剤のエポキシ樹脂との反応を触媒又は促進すること、又はエポキシ樹脂の自己重合を触媒若しくは促進することが可能である。
モノマー組成物中のモノマー全てが疎水性である場合、ポリマーコア粒子は疎水性(すなわち、疎水性ポリマーコア粒子)となる傾向があり、疎水性窒素含有硬化剤を受容(例えば、充填)することができる。しかし、モノマー組成物のモノマーの一部が親水性である場合、ポリマーコア粒子は、親水性窒素含有硬化剤を受容するのに十分な親水性特性を有する(すなわち親水性ポリマー粒子となる)傾向がある。更に、モノマー組成物が疎水性モノマー及び親水性モノマーの両方の混合物を含む場合、ポリマーコア粒子は、疎水性窒素含有硬化剤及び親水性窒素含有硬化剤の両方を受容するのに十分な疎水性及び親水性特性を有する傾向がある。いくつかの実施形態では、疎水性及び親水性の両方を有するポリマーコア粒子が望ましいことがある。
いくつかの窒素含有硬化剤は、式−NRHの基を少なくとも2個有し、式中、Rは、水素、アルキル、アリール、又はアルキルアリールから選択される。好適なアルキル基は、多くの場合、1〜12個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する。アルキル基は、環状、分枝状、直鎖、又はこれらの組み合わせであることができる。好適なアリール基は、通常、フェニル基又はビフェニル基のように6〜12個の炭素原子を有する。好適なアルキルアリール基は、アリールで置換されたアルキル、又はアルキルで置換されたアリールのいずれかであることができる。上述と同じアリール及びアルキル基をアルキルアリール基で用いることができる。窒素含有硬化剤が複合粒子からエポキシ樹脂内に拡散すると、硬化剤の第一級及び第二級アミノ基がエポキシ樹脂のオキシラン基と反応する。この反応は、オキシラン基を開環させ、エポキシ樹脂に硬化剤を共有結合する。この反応により、式−OCH−CH−NR−の二価の基が生成し、式中、Rは、水素、アルキル、アリール、又はアルキルアリールに等しい。
窒素含有硬化剤から少なくとも2個のアミノ基を差し引いたもの(すなわち、硬化剤のうちのアミノ基ではない部分)は、任意の好適な芳香族基、脂肪族基、又はこれらの組み合わせであり得る。一部のアミン硬化剤は式(VIII)を有するが、但し、少なくとも2個の第一級アミノ基、少なくとも2個の第二級アミノ基、又は少なくとも1個の第一級アミノ基と少なくとも1個の第二級アミノ基、が存在するという追加的制限を有する。
Figure 2018500435

(VIII)
基は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アリール、又はアルキルアリールである。Rに好適なアルキル基は、多くの場合、1〜12個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する。アルキル基は、環状、分枝状、直鎖、又はこれらの組み合わせであることができる。Rに好適なアリール基は、多くの場合、フェニル又はビフェニル基のように6〜12個の炭素原子を有する。Rに好適なアルキルアリール基は、アリールで置換されたアルキル又はアルキルで置換されたアリールのいずれかであることができる。上述と同じアリール及びアルキル基をアルキルアリール基で用いることができる。Rは、それぞれ独立して、アルキレン、ヘテロアルキレン、又はこれらの組み合わせである。好適なアルキレン基は、多くの場合、1〜18個の炭素原子、1〜12個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する。好適なヘテロアルキレン基は、2個のアルキレン基の間に位置付けられる少なくとも1個のオキシ、チオ、又は−NH−基を有する。好適なヘテロアルキレン基は、多くの場合、2〜50個の炭素原子、2〜40個の炭素原子、2〜30個の炭素原子、2〜20個の炭素原子、又は2〜10個の炭素原子、最大20個のヘテロ原子、最大16個のヘテロ原子、最大12個のヘテロ原子、又は最大10個のヘテロ原子を有する。ヘテロ原子は、多くの場合、オキシ基である。変数qは少なくとも1に等しい整数であり、最大10以上、最大5、最大4、又は最大3であり得る。
一部のアミン硬化剤は、アルキレン基から選択されるR基を有することができる。例としては、限定するものではないが、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミン(isophorene diamine)とも呼ばれる)、1,3ビス−アミノメチルシクロヘキサン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデセンなどが挙げられる。
他のアミン硬化剤は、酸素ヘテロ原子を有するヘテロアルキレンなどのヘテロアルキレン基から選択されるR基を有することができる。例えば、硬化剤は、アミノエチルピペラジン、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン(TTD)(TCI America(Portland,OR)から入手可能)、又はポリ(エチレンオキシド)ジアミン、ポリ(プロピレンオキシド)ジアミン等のポリ(アルキレンオキシド)ジアミン(ポリエーテルジアミンとも呼ばれる)、又はこれらのコポリマーといった化合物であることができる。市販のポリエーテルジアミンは、商品名JEFFAMINEで、Huntsman Corporation(The Woodlands,TX,USA)から市販されている。
更に他のアミン硬化剤を、ポリアミン(すなわち、ポリアミンは、第一級アミノ基及び第二級アミノ基から選択される少なくとも2つのアミノ基を有するアミンを指す)を別の反応物質と反応させて、少なくとも2つのアミノ基を有するアミン含有付加物を形成することによって作製できる。例えば、ポリアミンは、エポキシ樹脂と反応して、少なくとも2つのアミノ基を有する付加物を形成し得る。高分子ジアミンがジカルボン酸と、ジアミンとジカルボン酸との2:1以上のモル比で反応する場合、2つのアミノ基を有するポリアミドアミンが形成され得る。別の例では、高分子ジアミンが2つのグリシジル基を有するエポキシ樹脂と、ジアミンとエポキシ樹脂との2:1以上のモル比で反応する場合、2つのアミノ基を有するアミン含有付加物が形成され得る。このようなポリアミドアミンは、例えば、米国特許第5,629,380号(Baldwin et al.)に記載されるように調製することができる。多くの場合、モル過剰の高分子ジアミンが用いられるため、硬化剤は、アミン含有付加物と遊離(未反応)高分子ジアミンとの両方を含む。例えば、ジアミンと2つのグリシジル基を有するエポキシ樹脂とのモル比は、2.5:1超、3:1超、3.5:1超、又は4:1超であり得る。エポキシ樹脂を使用して硬化性コーティング組成物の第二部分中にアミン含有付加物を形成する場合でも、追加のエポキシ樹脂は硬化性コーティング組成物の第一部分に存在する。
硬化剤は、複数のアミノ基又はアミノ含有基で置換された1つ以上の芳香環であることもできる。このような硬化剤として、キシレンジアミン(例えば、メタ−キシレンジアミン)又は類似化合物が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、このような硬化剤は、商品名ANCAMINE(例えば、ANCAMINE 2609)でAir Products and Chemicals,Inc.(Allentown,PA,USA)から、及び商品名ARADUR 2965でHuntsman Corporation(The Woodlands,TX,USA)から市販されている。この特定の硬化剤は、メタ−キシレンジアミンをベースとする。別の硬化剤の例は、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(DDS)であり、これはARADUR 9964−1としてHuntsman Corporationから市販されている。
更に他の窒素硬化剤は、少なくとも2個の式−NHRの基を有する硬化剤と比べて、室温でエポキシ樹脂のオキシラン環(oxarine rings)との反応性が低いことから、一般的に二次硬化剤又は潜在性硬化剤とみなされる。多くの場合、これらの硬化剤は、その融点を上回る温度(例えば、150℃超、170℃超、又は200℃超)で反応性である。二次硬化剤は、多くの場合、イミダゾール若しくはその塩又はイミダゾリン若しくはその塩、置換尿素(例えば、4,4’−メチレンビス(フェニルジメチル)尿素及びトルエンジイソシアネート尿素などのビス置換尿素)、ジシアナミド若しくはその誘導体、アミノジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタリルジヒドラジドなどのヒドラジド、テトラメチルグアニジンなどのグアニジン、又は第三級アミノ基で置換されたフェノールである。
好適なイミダゾール化合物としては、1−N置換イミダゾール、2−C置換イミダゾール、及び米国特許第4,948,449号(Tarbutton et al.)に記載のような金属イミダゾール塩が挙げられる。イミダゾール化合物の例は、Air Products and Chemicalsから商品名CUREZOL(例えば、CUREZOL 2PZ−S、2MA−AZINE、及び2MA−OK)、商品名ARADUR(ARADUR 3123)でHuntsman Corporationから、及びCVC Thermoset Specialtiesから商品名OMICURE(例えば、OMICURE U−35、U−52、及びU−52M)で市販されている。
第三級アミノ基で置換された好適なフェノールは、式(IX)
Figure 2018500435

(IX)
を有することができる。式(IX)において、各R及びR10基は、独立してアルキルである。変数vは、2又は3に等しい整数である。各R11基は、水素又はアルキルである。R、R10、及R11に好適なアルキル基は、多くの場合、1〜12個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する。式(IX)の二次硬化剤の一例は、商品名ANCAMINE K54でAir Products Chemicals,Inc.(Allentown,PA,USA)から市販されているトリス−2,4,6−(ジメチルアミノメチル)フェノールである。
任意の好適な方法を使用して、一度ポロゲンを除去してから、窒素含有硬化剤を多孔質ポリマーコア粒子内に配置する(すなわち、充填する)ことができる。窒素含有硬化剤は、典型的には、ポリマーコア粒子の周囲にコーティングポリマー層を形成する前に、ポリマーコア粒子内に配置される。いくつかの実施形態において、窒素含有硬化剤は液体であり、ポリマーコア粒子を当該液体と混合して、窒素含有硬化剤を充填する(例えば、窒素含有硬化剤をポリマーコア粒子内に配置する)。他の実施形態では、窒素含有硬化剤を好適な有機溶媒又は水に溶解させることができ、得られる溶液にポリマーコア粒子を曝露する。使用される任意の有機溶媒は、典型的には、その有機溶媒がポリマーコア粒子を溶解しないように選択される。有機溶媒又は水を使用する場合、窒素含有硬化剤に加えて、有機溶媒又は水のうちの少なくとも一部がポリマーコア粒子内に充填されてもよい。
窒素含有硬化剤が有機溶媒又は水中に溶解している場合、その濃度は通常、適量の窒素含有硬化剤をポリマーコア粒子内に充填するのに必要な時間を短くするため、できる限り大きくなるように選択される。充填される窒素含有硬化剤の量、及び充填(すなわち、ポリマーコア粒子内への配置)に必要な時間の量は、多くの場合、例えばポリマーコア粒子を形成するために使用されるモノマーの組成、ポリマーコア粒子の剛性(例えば、架橋の量)、及び窒素含有硬化剤とポリマーコア粒子との相溶性に応じて変動する。充填時間は多くの場合、24時間未満、18時間未満、12時間未満、8時間未満、4時間未満、2時間未満、1時間未満、30分未満、15分未満、又は5分未満である。充填後、粒子は、典型的には、デカンテーション、濾過、遠心分離、乾燥などにより、窒素含有硬化剤を含有する溶液から分離される。
充填された窒素含有硬化剤の体積は、最大で、ポリマーコア粒子を形成するために使用した重合生成物から除去されたポリ(プロピレングリコール)の体積であり得る。すなわち、窒素含有硬化剤は、ポリ(プロピレングリコール)の除去後に残された空隙を満たし得る。多くの実施形態において、複合粒子中の窒素含有硬化剤の量は、最大70重量%、最大60重量%、最大50重量%、又は最大40重量%であり得る。上記量は、複合粒子の少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%であり得る。例えば、複合粒子中の窒素含有硬化剤は、複合粒子の総重量に基づいて、1〜70重量%の範囲、1〜60重量%の範囲、5〜60重量%の範囲、10〜60重量%の範囲、20〜60重量%の範囲、20〜50重量%の範囲、30〜50重量%の範囲、又は40〜50重量%の範囲であり得る。
コーティング層は、窒素含有硬化剤が充填された多孔質ポリマーコアの周囲に配置される(すなわち、コーティング層は、充填コア粒子の周囲に配置される)。コーティング層は、熱可塑性物質、ワックス、又はこれらの混合物を含有する。熱可塑性ポリマー及びワックスは両方とも、熱に曝露されると軟化し、室温に冷却されると元の形態に戻る。用語「熱可塑性」は通常、合成ポリマー材料に適用されるが、分子量が大抵の天然由来ワックスよりも大きい天然由来のポリマー材料も含み得る。本明細書で使用するとき、用語「ワックス」は、典型的には、熱可塑性物質に分類されるポリマー材料よりも分子量が小さい材料を指す。ワックスは通常、少なくとも1つの長鎖アルキル(例えば4〜24個の炭素原子)を有し、多くの場合脂質に分類される。いくつかのワックスは炭化水素(例えば、パラフィン及びポリエチレン)であるが、多くの天然のワックスは、脂肪酸及び長鎖アルコール(例えば4〜24個の炭素原子)のエステルである。分子量の違いにより、ワックスは典型的には明瞭な融点を有するのに対し、熱可塑性物質はガラス転移温度を有する。
複合コア粒子から放出されるため、及びエポキシ樹脂と反応するために、窒素含有硬化剤は、典型的には、充填ポリマーコア粒子の周囲に配置されたコーティング層を通じて拡散する。拡散は、例えば、コーティング層のポリマーマトリックス内の開口を通じて、コーティング層の欠陥を通じて、又は他の任意の機構によって起こり得る。コーティング層の厚さ及び組成、並びに複合粒子の周囲環境は、生物活性材料が充填ポリマーコアの外へ、コーティング層を通じて拡散する速度に影響し得る。
環境及び他の要因によって、放出は直ちに起こってもそうでなくてもよい。すなわち、窒素含有硬化剤の放出の開始は、直ちに始まってもよく、又はある一定の時間の後に始まってもよい。しかし、いったん放出が始まると、放出される窒素含有硬化剤の量は、通常、最初に最も多く、その後経時的に減少する。このような放出プロファイルは、窒素含有硬化剤が、充填コア粒子の外縁において、より高濃度である場合に発生し得る。このような放出プロファイルは、窒素含有硬化剤が、充填コアポリマー粒子全体に均一に分布している場合にも発生し得る。なぜなら、充填ポリマーコア粒子の内側領域から拡散するためには追加の時間が必要とされるからである。
大抵の例では充填ポリマーコア粒子である、ポリマーコア粒子の周囲のコーティング層は、熱可塑性ポリマー、ワックス、又はこれらの混合物を含有する。窒素含有硬化剤がコーティング層を通じて多孔質ポリマーコア粒子から放出されることを可能にする任意の好適な熱可塑性ポリマー及び/又はワックスを使用できる。熱可塑性ポリマー材料及び/又はワックスは、典型的には、水、有機溶媒、又はこれらの混合物に可溶又は分散可能であるように選択される。熱可塑性ポリマー材料もワックスも、粘着性ではない(すなわち、ガラス転移温度は典型的には、低くても20℃である)。熱可塑性ポリマーは典型的には、ゴム状であり、脆性でないように選択される。熱可塑性ポリマーは典型的には、直鎖ポリマーであり、架橋されているか、又は少量すぎる架橋はしておらず、水、有機溶媒、若しくはこれらの混合物中になお溶解若しくは分散することができる。
コーティング層は、熱可塑性ポリマー及び/又はワックスを含有するコーティング溶液からの付着により形成され得る。すなわち、熱可塑性ポリマー及び/又はワックスは、好適な液体媒体中に溶解している。窒素含有硬化剤が非極性化合物(例えば疎水性化合物)である場合、大抵は、水、極性有機溶媒、又はこれらの混合物などの極性液体を使用して、コーティング層を形成するために使用されるコーティング溶液を調製することが好ましく、熱可塑性ポリマー及び/又はワックスは、極性液体に可溶であるように選択される。逆に、窒素含有硬化剤が極性化合物(例えば親水性化合物)である場合、大抵は、非極性有機溶媒などの非極性液体を使用して、コーティング溶液を調製することが好ましく、熱可塑性ポリマーは、非極性有機溶媒に可溶であるように選択され得る。
あるいは、コーティング層は、熱可塑性ポリマー及び/又はワックスを含有するコーティング分散体からの付着により形成され得る。多くの実施形態では、熱可塑性ポリマー及び/又はワックスは、水に分散される。このような水性分散体は、極性又は非極性の窒素含有硬化剤と共に使用できる。すなわち、分散体が十分に高い重量%の固体含有量(例えば、10重量%超、20重量%超、又は25重量%超、又は30重量%超)を有する場合、複合粒子形成中の多孔質コア粒子からの窒素含有硬化剤の抽出は、窒素含有硬化剤の極性にかかわらず、最小となり得る。
コーティング溶液又はコーティング分散体の組成は、熱可塑性ポリマー及び/又はワックスの付着中に、大量の窒素含有硬化剤が充填ポリマーコア粒子から抽出されないように選択される。いくつかの実施形態では、コーティング溶液又はコーティング分散体は、10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、又は1重量%未満の窒素含有硬化剤を、充填ポリマーコア粒子から抽出する。
いくつかの実施形態では、窒素含有硬化剤は極性化合物であり、コーティング溶液は、非極性有機溶媒、例えば、アルカン(例えば、ペンタン、ヘキサン、又はシクロヘキサン)、ベンゼン、トルエン、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトン)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル又は1,4−ジオキサン)、クロロホルム、ジクロロメタンなどを含有する。コーティング溶液中の熱可塑性ポリマー及び/又はワックスの量は、非極性有機溶媒中の溶解性、溶液の所望の粘度、及びコーティング層の所望の厚さに依存する。多くの実施形態において、熱可塑性ポリマー及び/又はワックスは、コーティング溶液の総重量に基づいて、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、又は少なくとも15重量%、及び最大50重量%、最大40重量%、最大30重量%、又は最大20重量%に等しい量で存在する。
窒素含有硬化剤が極性化合物である場合、コーティング溶液への使用に好適な熱可塑性ポリマーとしては、限定するものではないが、シリコーンベースの熱可塑性ポリマー、(メタ)アクリレートベースの熱可塑性ポリマー、オレフィンベースの熱可塑性ポリマー、及びスチレンベースの熱可塑性ポリマーが挙げられる。
好適なシリコーンベースの熱可塑性ポリマーとしては、少なくとも1つの式(−Si(R12O−)のポリジオルガノシロキサン単位(式中、aは少なくとも3に等しい整数であり、R12はアルキル、ハロアルキル、アルケニル、アラルキル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールである)が挙げられる。シリコーンベースの熱可塑性ポリマーは多くの場合、尿素ベースのシリコーンコポリマー、オキサミドベースのシリコーンコポリマー、アミドベースのシリコーンコポリマー、ウレタンベースのシリコーンコポリマー、又はこれらの混合物である。本明細書で使用するとき、用語「尿素ベースの」は、少なくとも1つの尿素結合を有するセグメント化コポリマーを指し、用語「オキサミドベースの」は、少なくとも1つのオキサミド結合を有するセグメント化コポリマーを指し、用語「アミドベースの」は、少なくとも1つのアミド結合を有するセグメント化コポリマーを指し、用語「ウレタンベースの」は、少なくとも1つのウレタン結合を有するセグメント化コポリマーを指す。
これらのシリコーンベースの熱可塑性ポリマーは、多くの場合、式(X)
Figure 2018500435

(X)
で表されるポリジオルガノシロキサンジアミンから調製される。式(X)において、各R12は、独立してアルキル、ハロアルキル、アルケニル、アラルキル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールである。各Yは、独立して、上記式(I)で定義されたアルキレン、アリーレン、又はアラルキレンである。変数nは0〜1500の整数である。例えば、添字nは、最大1000、最大500、最大400、最大300、最大200、最大100、最大80、又は最大60の整数であることができる。nの値は、多くの場合、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、又は少なくとも55である。例えば、下付文字nは、40〜1500、40〜1000、40〜500、50〜500、50〜400、50〜300、50〜200、50〜100、50〜80、又は50〜60の範囲内であり得る。ポリジオルガノシロキサンジアミンのいずれかがシリコーンベースの熱可塑性ポリマーに残っている場合、この材料はエポキシ樹脂と反応し得る。典型的には、シリコーンベースの熱可塑性ポリマーは、1重量%以下、0.5重量%以下、0.2重量%以下、0.1重量%以下のポリジオルガノシロキサンジアミンを不純物として有するように選択される。
式(X)のR12に好適なアルキル基は、典型的には、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する。代表的なアルキル基としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、及びイソブチルが挙げられるが、これらに限定されない。R12に好適なハロアルキル基は、多くの場合、対応するアルキル基の水素原子の一部のみがハロゲンで置換されている。代表的なハロアルキル基としては、1〜3個のハロ原子及び3〜10個の炭素原子を有するクロロアルキル及びフルオロアルキル基が挙げられる。R12に好適なアルケニル基は、多くの場合、2〜10個の炭素原子を有する。例示的なアルケニル基は、多くの場合、2〜8個、2〜6個、又は2〜4個の炭素原子を有する。R12に好適なアリール基は、多くの場合、6〜12個の炭素原子を有する。フェニルは、代表的なアリール基である。アリール基は、非置換であっても、又は、アルキル(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル)、アルコキシ(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ)、若しくはハロ(例えば、クロロ、ブロモ、又はフルオロ)によって置換されていてもよい。R12に好適なアラルキル基は、多くの場合、6〜12個の炭素原子を有するアリール基で置換された1〜10個の炭素原子を有するアルキル基を有する。代表的なアラルキル基としては、フェニル基で置換された、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基が挙げられる。
多くの実施形態において、R12基の少なくとも50%はメチルである。例えば、R12基の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%が、メチルであり得る。残りのR12基は、少なくとも2個の炭素原子を有するアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールから選択することができる。例えば、全てのR基がアルキル(例えば、メチル若しくはエチル)又はアリール(例えば、フェニル)であり得る。
式(X)において、各Yは、独立して、アルキレン、アラルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせである。直鎖又は分枝鎖であり得る代表的なアルキレンは、多くの場合、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する。代表的なアリーレンは、多くの場合、6〜20個の炭素原子、6〜12個の炭素原子、又は6個の炭素原子(すなわち、フェニレン)を有する。代表的なアルキレンは、多くの場合、7〜20個の炭素原子、7〜18個の炭素原子、及び7〜12個の炭素原子を有する。アラルキレンは、多くの場合、1〜12個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、又は1〜6個の炭素原子を有するアルキレンが結合したフェニレン基を含む。多くの実施形態では、Yはアルキレン基である。
ポリジオルガノシロキサンジアミンの具体的な例としては、ポリジメチルシロキサンジアミン、ポリジフェニルシロキサンジアミン、ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサンジアミン、ポリフェニルメチルシロキサンジアミン、ポリジエチルシロキサンジアミン、ポリジビニルシロキサンジアミン、ポリビニルメチルシロキサンジアミン、ポリ(5−ヘキセニル)メチルシロキサンジアミン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
式(X)のポリジオルガノシロキサンジアミンは、任意の既知の方法により調製でき、任意の好適な分子量、例えば700〜150,000g/モル(ダルトン)の範囲、1,000〜100,000g/モルの範囲、5,000〜50,000g/モルの範囲、又は10,000〜40,000g/モルの範囲、又は20,000〜30,000g/モルの範囲の重量平均分子量を有し得る。
好適なポリジオルガノシロキサンジアミン及び当該ポリジオルガノシロキサンジアミンの製造方法については、例えば、米国特許第3,890,269号(Martin)、同第4,661,577号(Lane et al.)、同第5,026,890号(Webb et al.)、同第5,276,122号(Aoki et al.)、同第5,214,119号(Leir et al.)、同第5,461,134号(Leir et al.)、同第5,512,650号(Leir et al.)、及び同第6,355,759号(Sherman et al.)に記載されている。いくつかのポリジオルガノシロキサンジアミンは、例えば、Shin Etsu Silicones of America,Inc.(Torrance,CA,USA)及びGelest,Inc.(Morrisville,PA,USA)から市販されている。
有用なシリコーンベースのシリコーンポリマーの第1の例は、シリコーンポリ尿素ブロックコポリマーである。シリコーンポリ尿素ブロックコポリマーは、式(X)のポリジオルガノシロキサンジアミン(シリコーンジアミンとも呼ばれる)と、ポリイソシアネートと、任意の有機ポリアミンとの反応生成物である。本明細書で用いられる用語「ポリイソシアネート」とは、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物を指す。本明細書で用いられる用語「ポリアミン」とは、2つ以上のアミノ基(例えば、第一級アミノ基、第二級アミノ基、又はこれらの組み合わせ)を有する化合物を指す。用語「有機ポリアミン」は、シリコーン基を含まないポリアミンを指す(すなわち、このポリアミンは式(X)ではない)。
上記のポリジオルガノシロキサンジアミンと反応できる任意のポリイソシアネートを使用することができる。ポリイソシアネートは典型的には、ジイソシアネートであるが、少量のトリイソシアネートを含んでもよい。好適なジイソシアネートの例としては、2,6−トルエンジイソシアネート、2,5−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、メチレンジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、ポリカルボジイミド変性メチレンジフェニレンジイソシアネート、(4,4’−ジイソシアナト−3,3’,5,5’−テトラエチル)ジフェニルメタン、4,4−ジイソシアナト−3,3’−ジメトキシビフェニル(o−ジアニシジンジイソシアネート)、5−クロロ−2,4−トルエンジイソシアネート、1−クロロメチル−2,4−ジイソシアナトベンゼン、m−キシレンジイソシアネート、及びテトラメチル−m−キシレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;並びに1,4−ジイソシアナトブタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,12−ジイソシアナトドデカン、及び2−メチル−1,5−ジイソシアナトペンタンなどの脂肪族ジイソシアネート;並びにメチレンジシクロヘキシレン−4,4’−ジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)、及びシクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネートが挙げられる。好適なトリイソシアネートの例としては、ビウレット、イソシアヌレート、及び付加物から生成されるものが挙げられる。市販のポリイソシアネートの例には、商品名DESMODUR及びMONDURでBayer(Whippany,NJ)から、並びにPAPIでDow Plastics(Midland,MI,USA)から入手可能なポリイソシアネートのシリーズの一部が挙げられる。
有用な任意の有機ポリアミンの例としては、商品名D−230、D−400、D−2000、D−4000、ED−2001、及びEDR−148でHunstman Corporation(Houston,TX,USA)から市販されているものなどのポリオキシアルキレンジアミン、商品名T−403、T−3000、及びT−5000でHunstman Corporationから市販されているものなどのポリオキシアルキレントリアミン、エチレンジアミンなどのアルキレンジアミン、並びにINVISTA Intermediates and Specialty Materials(Wilmington,DE,USA)から商品名DYTEK(例えば、DYTEK Aは2−メチルペンタメチレンジアミンであり、DYTEK EPは1,3−ペンタンジアミンである)で市販されているような、種々のポリアミンが挙げられる。
シリコーンポリ尿素ブロックコポリマーは、式−NH−(CO)−ND−の尿素結合を有する式(IX)
Figure 2018500435

(XI)
の繰り返し単位によって表すことができる。基R12及びY、並びに変数nは、式(X)のポリジオルガノシロキサンについて上で定義したものと同じである。各Dは、水素、アルキル(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル)、6〜12個の炭素原子を有するアリール(例えば、フェニル)、又はB若しくはYを含む環構造を完成してヘテロ環を形成する基から選択される。各Dは、多くの場合、水素又はアルキル基である。
式(XI)の各Z基は、ポリイソシアネートから複数のイソシアネート基を差し引いたもの(例えば、2つのイソシアネート基を差し引いたもの)と同等である。多くの実施形態では、各Zは独立して、アリーレン、アラルキレン、又はアルキレンである。代表的なアリーレンは6〜20個の炭素原子を有し、代表的なアラルキレンは7〜20個の炭素原子を有する。アリーレン及びアラルキレンは、未置換であっても、又は、アルキル(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル)、アルコキシ(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ)、若しくはハロ(例えば、クロロ、ブロモ、又はフルオロ)によって置換されていてもよい。アルキレンは、直鎖状、分岐、環状、又はこれらの組み合わせであってよく、1〜20個の炭素原子を有することができる。いくつかの実施形態では、Zは2,6−トリレン、4,4’−メチレンジフェニレン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレン、テトラメチル−m−キシリレン、4,4’−メチレンジシクロヘキシレン、3,5,5−トリメチル−3−メチレンシクロヘキシレン、1,6−ヘキサメチレン、1,4−シクロヘキシレン、2,2,4−トリメチルヘキシレン、及びこれらの組み合わせである。
任意の有機ポリアミンが使用されない場合、式(XI)の変数mはゼロに等しい。有機ポリアミンが使用される場合は、式(I)中の変数mはゼロより大きい値である。例えば、mは0〜1000の範囲、0〜500の範囲、0〜200の範囲、0〜100の範囲、0〜50の範囲、0〜20の範囲、又は0〜10の範囲にある。
式(XI)のB基は、ポリアミンから複数のアミン基を差し引いたもの(例えば、2つのアミン基を差し引いたもの)に等しい。B基は多くの場合、アルキレン(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキレン)、アラルキレン、フェニレンのようなアリーレン、又はヘテロアルキレンから選択される。ヘテロアルキレンの例としては、ポリエチレンオキシド(ポリ(オキシエチレン)とも呼ばれる)、ポリプロピレンオキシド(ポリ(オキシプロピレン)とも呼ばれる)、ポリテトラメチレンオキシド(ポリ(オキシテトラメチレン)とも呼ばれる)の二価の基、並びにこれらのコポリマー及び混合物が挙げられる。
変数pは、少なくとも1、例えば1〜10、1〜5、又は1〜3の数である。各アスタリスク(*)は、繰り返し単位がコポリマー内の別の基、例えば式(XI)の別の繰り返し単位などに結合する部位を示す。
有用なシリコーンポリ尿素ブロックコポリマーは、例えば、米国特許第5,512,650号(Leir et al.)、同第5,214,119号(Leir et al.)、同第5,461,134号(Leir et al.)、同第6,407,195号(Sherman et al.)、同第6,441,118号(Sherman et al.)、同第6,846,893号(Sherman et al.)、及び同第7,153,924号(Kuepfer et al.)、並びに国際公開第97/40103号(Paulick et al.)に開示されている。
有用なシリコーンベースのシリコーンポリマーの第2の例は、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーである。ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーは、典型的には、式(X)に示されるようなシリコーンジアミンと、オキサレート化合物と、有機ポリアミン(例えば、有機ジアミン)との反応生成物である。ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーの例は、例えば、米国特許出願公開第2007/0148474号(Leir et al.)に記載されている。ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーは、式(XII)
Figure 2018500435

(XII)
の繰り返し単位を少なくとも2つ含有する。式(XII)において、Y基、R12基、及び変数nは、式(X)について上で記載したものと同じである。すなわち、各R12は、独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールである。各アスタリスク(*)は、繰り返し単位がコポリマー内の別の基、例えば式(XII)の別の繰り返し単位などに結合する部位を示す。
下付文字qは、1〜10の整数である。例えば、qの値は、多くの場合、最大9、最大8、最大7、最大6、最大5、最大4、最大3、又は最大2の整数である。qの値は、1〜8、1〜6、又は1〜4の範囲内であってよい。
式(XII)のG基は、式R13HN−G−NHR13のジアミン化合物から、2個のアミノ基(すなわち、−NHR基)を差し引いたものに等しい残基単位である。R13基は、水素若しくはアルキル(例えば、1〜10個、1〜6個又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル)であるか、又はR13は、Gと共にこれら両方が結合している窒素と一緒になって複素環式基を形成する(例えば、R13HN−G−NHR13はピペラジンなどである)。ジアミンは、第一級又は第二級アミノ基を有することができる。ほとんどの実施形態において、R13は、水素又はアルキルである。多くの実施形態において、ジアミンの両方のアミノ基は、第一級アミノ基であり(すなわち、両方のR13基が水素である)、ジアミンは、式HN−G−NHのジアミンである。
いくつかの実施形態において、Gは、アルキレン、ヘテロアルキレン、ポリジオルガノシロキサン、アリーレン、アラルキレン、又はこれらの組み合わせである。好適なアルキレンは、2〜10個、2〜6個、又は2〜4個の炭素原子を有することが多い。代表的なアルキレン基としては、エチレン、プロピレン、ブチレン等が挙げられる。好適なヘテロアルキレンは、少なくとも2つのエチレン単位を有するポリオキシエチレン、少なくとも2つのプロピレン単位を有するポリオキシプロピレン、又はこれらのコポリマーのような、ポリオキシアルキレンであることが多い。好適なポリジオルガノシロキサンとしては、上記の式(X)のポリジオルガノシロキサンジアミンから2個のアミノ基を差し引いたものが挙げられる。代表的なポリジオルガノシロキサンとしては、アルキレンY基を有するポリジメチルシロキサンが挙げられるが、これらに限定されない。好適なアラルキレン基は、通常、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基に結合した、6〜12個の炭素原子を有するアリーレン基を含有する。いくつかの代表的なアラルキレン基は、フェニレン−アルキレンであり、ここで、フェニレンは、1〜10個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキレンに結合している。本明細書で使用するとき、基Gに関して「これらの組み合わせ」とは、アルキレン、ヘテロアルキレン、ポリジオルガノシロキサン、アリーレン、及びアラルキレンから選択される2つ又はそれ以上の基の組み合わせを指す。組み合わせは、例えば、アルキレンに結合したアラルキレン(例えば、アルキレン−アリーレン−アルキレン)であることができる。1つの代表的なアルキレン−アリーレン−アルキレンの組み合わせでは、アリーレンはフェニレンであり、各アルキレンは、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有する。
ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドは、式−R−(CO)−NH−(式中、Rは、アルキレンである)を有する基を含まない傾向がある。共重合性材料の主鎖に沿った全てのカルボニルアミノ基は、オキサリルアミノ基(すなわち、−(CO)−(CO)−NH−基)の一部である。すなわち、共重合材料の主鎖に沿った任意のカルボニル基は、別のカルボニル基に結合し、オキサリル基の一部である。より具体的には、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドは、複数のアミノオキサリルアミノ基を有する。
有用なシリコーンベースのシリコーンポリマーの第3の例は、アミドベースのシリコーンコポリマーである。このようなポリマーは、尿素ベースのポリマーと類似しているが、尿素結合(−N(D)−(CO)−NH−)の代わりにアミド結合(カルボニル基がアルキレン又はアリーレン基に結合した−N(D)−(CO)−)を含有する。D基は、式(XI)について上で定義されたものと同じであり、多くの場合、水素又はアルキルである。
アミドベースのシリコーンコポリマーは、多様な異なる方法で調製することができる。アミドベースのコポリマーは、上記式(X)のポリジオルガノシロキサンジアミンから出発して、ポリ(カルボン酸)又はポリ(カルボン酸)誘導体、例えばポリ(カルボン酸)のエステルなどとの反応によって調製することができる。いくつかの実施形態では、アミドベースのシリコーンエラストマーは、ポリジオルガノシロキサンジアミンとアジピン酸のジメチルサリチレートとの反応によって調製される。
アミドベースのシリコーンエラストマーへの別の反応経路は、カルボン酸エステルのようなシリコーンジカルボン酸誘導体を利用する。シリコーンカルボン酸エステルは、シリコーンヒドリド(すなわち、ケイ素−ヒドリド(Si−H)基を末端に有するシリコーン)とエチレン性不飽和エステルとのヒドロシリル化反応によって調製できる。例えば、シリコーンジヒドリドは、エチレン性不飽和エステル、例えば、CH=CH−(CH−(CO)−OR(式中、−(CO)−はカルボニル基を表し、vは最大15の整数であり、Rはアルキル、アリール又は置換アリール基である)などと反応させて、−Si−(CHv+2−(CO)−OR−で封鎖されたシリコーン鎖を得ることができる。上記−(CO)−OR基は、シリコーンジアミン、ポリアミン又はこれらの組み合わせと反応し得るカルボン酸誘導体である。好適なシリコーンジアミン及びポリアミンは、上で説明したものであり、脂肪族、芳香族又はオリゴマーのジアミン(例えば、エチレンジアミン、フェニレンジアミン、キシレンジアミン、ポリオキシアルキレンジアミンなど)を含む。
シリコーンエラストマーの別の有用な分類は、シリコーンポリ尿素ウレタンブロックコポリマーのようなウレタンベースのシリコーンポリマーである。シリコーンポリ尿素ウレタンブロックコポリマーは、ポリジオルガノシロキサンジアミン(シリコーンジアミンとも呼ばれる)と、ジイソシアネートと、有機ポリオールとの反応生成物を含む。このような材料は、構造上、−N(D)−B−N(D)−結合が−O−B−O−結合で置換されている点を除いて式(IX)の構造に非常に類似している。このようなポリマーの例は、米国特許第5,214,119号(Leir et al.)に更に記載されている。これらのウレタンベースのシリコーンポリマーは、有機ポリアミンの代わりに有機ポリオールを使用する点を除いて、尿素ベースのシリコーンポリマーと同じ方法で調製される。典型的に、アルコールとイソシアネートとの間の反応はアミンとイソシアネートとの間の反応より遅いので、触媒が使用される。触媒は、多くの場合、スズ含有化合物である。
窒素含有硬化剤が極性(例えば、親水性)である場合にコーティング溶液に使用される熱可塑性ポリマーの別の分類は、(メタ)アクリレートベースのポリマーである。多くの実施形態において、(メタ)アクリレートベースのポリマーを形成するために使用されるモノマーは、アルキル(メタ)アクリレートである。例えば、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、又は100重量%のモノマーがアルキル(メタ)アクリレートである。これらのポリマーは、有機溶媒、例えば、トルエン、ベンゼン、アルカン(例えば、ペンタン、シクロヘキサン、又はヘキサン)、並びに塩素化溶媒、例えば、クロロホルム及びジクロロメタンに溶解させてもよい。
アルキル(メタ)アクリレートは典型的には、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基を有するものである。アルキル基は、直鎖状、分枝状、環状、又はこれらの組み合わせであり得る。好適な例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、2−メチルブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−メチル−2−ペンチル(メタ)アクリレート、2−メチルヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−オクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2−プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、2−オクチルデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、及びヘプタデカニル(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。多くの実施形態では、アルキル(メタ)アクリレートはアルキルメタクリレートである。
アルキルメタクリレートは、アルキルアクリレートよりも高いガラス転移温度を有する傾向があるので、(メタ)アクリレートベースのポリマーの調製での使用により適する場合がある。しかし、いくつかのアルキルアクリレートは、ガラス転移温度が少なくとも20℃、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも80℃、又は少なくとも100℃である限り、(メタ)アクリレートに含めることができる。(メタ)アクリレートポリマーの具体的例としては、種々のホモポリマー、例えば、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、及びポリブチルメタクリレート、並びに種々のコポリマー、例えば、ポリ(ブチルメタクリレート)−コ−ポリ(イソブチルメタクリレート)などが挙げられる。このようなポリマーは、例えば、Polysciences,Inc.(Warrington,PA,USA)から入手することができる。
(メタ)アクリレートベースのポリマーについては、任意の好適な分子量を使用できる。分子量は、フィルムを形成するために十分に高くすべきであるが、(メタ)アクリレートベースのポリマーが有機溶媒に溶解しにくくなるほど、又は結果として生じる溶液の粘度が、多孔質コアポリマー粒子に被着させるには大きすぎるほどに、高くすべきではない。重量平均分子量は多くの場合、少なくとも1,000ダルトン(g/モル)、少なくとも2,000ダルトン、少なくとも5,000ダルトン、少なくとも10,000ダルトン、又は少なくとも20,000ダルトンである。重量平均分子量は、例えば、最大500,000ダルトン以上、最大400,000ダルトン、最大200,000ダルトン、又は最大100,000ダルトンであり得る。
オレフィンベースのポリマーは、窒素含有硬化剤が極性(例えば、親水性)である場合にコーティング溶液に使用できる更に別の分類の熱可塑性ポリマーである。多くの実施形態において、オレフィンベースのポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、又はこれらのコポリマーである。これらのポリマーは、好適な溶媒に溶解できる任意の好適な分子量であってよい。重量平均分子量は、多くの場合、1,000〜500,000ダルトンの範囲である。
充填された窒素含有硬化剤が極性化合物であるその他の実施形態において、コーティング溶液は、トルエン、ベンゼン、アルカン、アルコールなどのような有機溶媒に溶解したワックスを含有し得る。ワックスは、天然由来又は合成材料であり得る。ワックスの例としては、蜜蝋及びラノリンなどの動物性ワックス、カルナバワックスなどの植物性ワックス、パラフィンなどの石油ワックス、及び水素添加植物油などの水素添加油が挙げられるが、これらに限定されない。水素添加油の例としては、水素添加ヒマシ油、例えば商品名CASTORWAXとでVertellus(Indianapolis,IN,USA)から市販されているものが挙げられる。更に別のワックスは、ポリエチレン、例えば、式CH−(CH−CH(式中、mは約50〜100の範囲である)のものなどである。
更に他の実施形態では、窒素含有硬化剤は非極性化合物(例えば、疎水性化合物)であり、コーティング溶液は、水又は極性有機溶媒、例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなど)、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、プロピレンカーボネート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどに溶解した熱可塑性ポリマーを含有する。多くの実施形態において、コーティング溶液は、水及び/又はアルコールを含有する。溶液中の熱可塑性ポリマーの量は、溶液の所望の粘度、及び熱可塑性ポリマーの水及び/又は極性有機溶媒中での溶解性に依存する。多くの実施形態において、熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリマー溶液の総重量に基づいて、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、又は少なくとも15重量%、及び最大50重量%、最大40重量%、最大30重量%、又は最大20重量%に等しい量で存在する。
好適な熱可塑性ポリマーとしては、限定するものではないが、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマー、酸性基を有する(メタ)アクリレートベースのポリマー(例えば、上記のようなアルキル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸とのコポリマー)、ポリエステル、ポリアミド、及びポリビニルアルコールが挙げられる。重量平均分子量は多くの場合、少なくとも1,000ダルトン、少なくとも2,000ダルトン、少なくとも5,000ダルトン、又は少なくとも10,000ダルトンである。重量平均分子量は、最大500,000ダルトン以上であり得る。例えば、重量平均分子量は、最大300,000ダルトン、最大200,000ダルトン、最大100,000ダルトン、最大50,000ダルトン、最大20,000ダルトンであり得る。いくつかのこのような熱可塑性ポリマーは、例えば、Polysciences,Inc.(Warrington,PA,USA)から得ることができる。
更に他の実施形態では、コーティング分散体を使用してコーティング層が形成される。コーティング分散体は多くの場合、ワックス及び/又は熱可塑性ポリマーの水性分散体である。これらの分散体は多くの場合、固体の割合が10〜60重量%、20〜50重量%、又は30〜40重量%の範囲にある。水性分散体の固体含有量が高いことは、窒素含有硬化剤が水に可溶の場合でも、多孔質ポリマーコアからの窒素含有硬化剤の抽出に不利となる傾向がある。
熱可塑性ポリマーの水性分散体の例は、エピクロロヒドリン及びビスフェノールAから生成するもののような、フェノキシ樹脂(ポリヒドロキシエーテル)を含有する。かかる水性分散体は、InChem(Rock Hill,SC,USA)から、商品名PKHW(例えば、PKHW 34、PKHW 35、及びPKHW 38)及びPKHP(例えば、PKHP 200)で市販されている。
更に他の水性分散体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、又はこれらのコポリマーなどのオレフィンベースのポリマーを含有する。いくつかの実施形態において、オレフィンベースのポリマーは、低密度ポリエチレン(LDPE)又は高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレンである。いくつかの実施形態において、分散されたオレフィンベースポリマーの重量平均分子量は、少なくとも2,000g/モル、少なくとも5,000g/モル、少なくとも10,000g/モル、少なくとも20,000g/モル、又は少なくとも50,000g/モルである。重量平均分子量は、最大500,000g/モル以上、最大200,000g/モル、又は最大100,000g/モルとなり得る。これらの材料は、商品名SYNCERAでParamelt(Muskegon,MI,USA)から、商品名LIQUITRONでLubrizol Advanced Materials、Inc.(McCook,IL,USA)から入手できる。
ワックス分散体は典型的には、親水基を有するワックスを含有し、この親水基は水中での分散を可能にする。例としては、ポリエチレン、パラフィンワックス、カルナバワックスなどの分散体が挙げられる。このような材料は、商品名SYNCERAとしてParamelt(Muskegon,MI,USA)から、商品名LIQUITRONとしてLubrizol Advanced Materials,Inc.(McCook,IL,USA)から、及び商品名CARNAUBA MILKとしてKoster Keunen(Watertown,CT,USA)から市販されている。
任意の好適な方法を使用して、コーティングをポリマーコア粒子の周囲に付着させることができる。ほとんどの実施形態において、多孔質ポリマーコア粒子は、コーティング層が付着された時点で充填窒素含有硬化剤を含有する。すなわち、コーティング層が充填ポリマーコア粒子の周囲に形成される。コーティング溶液又はコーティング分散体は、多孔質ポリマーコア粒子(例えば、充填ポリマーコア粒子)と混合される。十分な混合の後、溶媒が除去され、コーティング層がもたらされる。ポリマーコア粒子に窒素含有硬化剤が充填された場合、得られる粒子は複合粒子である。
複合粒子の多くの実施形態では、コーティング層は充填多孔質ポリマーコア粒子をシェル層として囲む。言い換えると、複合粒子はコアシェルポリマー粒子である。窒素含有硬化剤の放出前に、多孔質複合粒子はコアシェル構造を有し、その多孔質ポリマーコア粒子は充填された窒素含有硬化剤を含有する。いくつかの実施形態では、シェル層(コーティング層)は単一の多孔質ポリマーコア粒子を囲む。すなわち、複合粒子は単一の多孔質ポリマーコア粒子(又は充填コア粒子)を含有する。しかし、他の実施形態では、シェルは複数のポリマーコア粒子(又は充填コア粒子)を囲む。すなわち、複合粒子は、共通のシェル層(コーティング層)内に複数のポリマーコア粒子(又は充填コア粒子)を含有する。
充填ポリマーコア粒子を含むポリマーコア粒子は、粘着性ではない。これにより、コーティング層の形成前又は形成中に、複数のポリマーコア粒子が一緒に接着され得ない可能性が増大する。すなわち、ポリマーコア粒子(充填コア粒子)の粘着性の欠如により、コーティング層が、複数のポリマーコア粒子の周囲ではなく、単一のポリマーコア粒子の周囲に配置される可能性が増大する。
コーティング層は、コーティング溶液又はコーティング分散体を、多孔質ポリマーコア粒子(又は充填ポリマーコア粒子)と混合することによって形成される。コーティング溶液又はコーティング分散体は、ポリマーコア粒子との良好な混合を可能にする、任意の所望の割合の固体を有し得る。多くの実施形態では、固体の割合の最大値は多くの場合、ポンプを使用できる最高粘度を有するコーティング溶液又は分散体に対応する。高い固体の割合は、コーティング層を形成するプロセス中に、除去する必要のある溶媒又は水がより少ないため、望ましいことがある。しかし、固体の割合が高すぎる場合、コーティング層が複数のポリマーコア粒子(又は充填コア粒子)を囲む可能性が高くなる。多くの実施形態では、単一のポリマーコア粒子(又は充填コア粒子)を含有する複合粒子を形成する可能性を増大するために、希釈したコーティング溶液又はコーティング分散体が使用される。
コーティング溶液又はコーティング分散体は、多くの場合、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、又は少なくとも20重量%の固体を含有する。固体の重量%は、コーティング溶液又はコーティング分散体中の熱可塑性ポリマー及び/又はワックスの重量%に対応する。固体の重量%は、最大70重量%又は更にそれ以上、最大60重量%、最大50重量%、最大40重量%、又は最大30重量%であり得る。例えば、固体の重量%は、10〜70重量%、20〜60重量%、20〜50重量%、又は20〜40重量%の範囲にあり得る。
噴霧乾燥(噴霧コーティング及び乾燥)又は同様のプロセス、例えば流動層コーティング及び乾燥などは、ポリマーコア粒子の周囲に比較的均一な厚さを有するコーティング層を形成することができ、多くの場合、好ましいと考えられる。条件が適切に選択された場合、これらのプロセスを使用して、複数ではなく単一の多孔質ポリマーコア粒子(又は充填コア粒子)を有する複合粒子を提供することができる。すなわち、複合粒子は、コーティング層が単一の多孔質ポリマーコア粒子の周囲にあるコアシェル構成を有する。
噴霧乾燥では、ポリマーコア粒子(又は充填コア粒子)は、コーティング溶液又はコーティング分散体と混合されて、スラリーを形成する。このスラリーはその後、アトマイザ(液滴を形成するための)及び乾燥ガスを含む乾燥チャンバにポンプで送られる。いくつかの一般的な種類の霧化としては、回転ホイール(遠心)霧化、単一流体/圧力ノズル(油圧(hydraulic))霧化、2流体ノズル(空気圧(pneumatic))霧化、及び超音波霧化が挙げられる。乾燥複合粒子である生成物は、様々な手段、例えば重力によって、又はサイクロン、フィルタ及びバッグ、静電分離などを使用することによって、回収され得る。
任意の好適な霧化プロセスが使用できるが、多くの場合、2流体ノズルアトマイザが使用される。これらのアトマイザでは、一次流体(例えばスラリー)が、小さなオリフィスを通じてポンプで送られ、典型的には空気又は窒素である二次流体が、小さなオリフィスの近くに供給されて、一次流体を更に霧状にする。二次流体対一次流体の比率の増加は通常、スラリー液滴サイズを減少させ、コーティング層内に単一のポリマーコア粒子を有する可能性を増大させる。
2流体システムは、内部混合(二次流体は、最終オリフィスを出る前に、一次流体に導入される)又は外部混合(二次流体は、一次流体が最終オリフィスを出た後に、一次流体に導入される)のいずれを有してもよい。複数の異なる構成が、一次流体に対して二次流体を導入するために使用され得る。例えば、構成はラウンドスプレ(一次流体オリフィスを囲む二次流体の同心環)、円錐/中空スプレ、アングル/フラット(angle/flat)スプレ、渦巻(swirl)スプレ、又はこれに類するものであり得る。これらの異なる構成を有するアトマイザは、Spraying Systems Co.(Wheaton,IL,USA)などの様々な供給元から入手可能である。
バルク乾燥ガスが乾燥チャンバの内外へと流れるために、多数の選択肢を使用できる。十分な熱エネルギーを維持し、乾燥ガスに十分な乾燥能力(例えば、低い露点)をもたらすために、乾燥ガスは通常、連続的に乾燥チャンバ中を循環する。霧化された液滴(インプット材料)に対する乾燥ガスのフローパターンの主な分類は、並流(co−current flow)、向流(counter−current flow)、及び混合流(mixed flow)である。並流では、インプット材料がバルク乾燥ガスと同じ方向に進み、これは多くの場合、インプット材料が霧化の直後に下方に進むバルク乾燥ガスと共に下方に進む(例えば、下方に噴霧される)こととして実施される。並流は、高温の乾燥ガスが乾燥液滴によって冷却され、固体材料は高温の流入乾燥ガスの温度に曝されることがないことから、通常は感熱系に適する。向流では、インプット材料がバルク乾燥ガスと反対方向に進み、これは多くの場合、バルク乾燥ガスは上方に進むが、インプット材料は霧化の直後に下方に進む(例えば、下方に噴霧される)こととして実施される。このフローは、多くの場合、最も効率的な乾燥のために使用される。混合流は並流及び向流の組み合わせであり、インプット材料は、いくつかの領域ではバルク乾燥ガスと同じ方向に進むが、他の領域では逆方向に進む。最も多くの場合、このフローパターンは、インプット材料が上方向に霧化されるときに見られ、インプット材料は最初、霧化により付与されたエネルギーから上方に進むが、その後重力により下方に引っ張られる。インプット材料が2方向に進むので、バルク乾燥ガスが下方又は上方のどちらに進むかにかかわらず、いくつかの場所ではバルク乾燥ガスはインプット材料と共に進むが、他の場所ではインプット材料に逆らって進むであろう。混合流は、乾燥チャンバ内で乾燥固体の滞留時間がより長くなることから、有利となり得る。
乾燥温度は通常、充填ポリマーコア粒子及びコーティング溶液又は分散体の組成に基づいて選択される。多くの実施形態では、乾燥チャンバの出口でのバルク乾燥ガスは、(コーティング溶液又は分散体の)スラリーで使用される水又は有機溶媒の沸点に近い温度を有し、適切な乾燥を確実にする。しかしこれにより、乾燥された固体が、水又は有機溶媒の沸点に近い温度に達する。大抵の例では、これは有益であり得る。なぜなら、残留液体を最小化することにより、流動性を改善し、存在する揮発性の有機溶媒からの危険を減少させ、不必要な質量を減少することにつながり得るからである。
しかし、いくつかの複合粒子では、このような高い乾燥温度の使用が望ましくないことがある。これは、例えば、複合粒子のいずれかの成分のガラス転移温度、融解温度、又は分解温度が、スラリーに含有される水又は有機溶媒の沸点に近い場合に該当し得る。特に、複合粒子からの窒素含有硬化剤の放出を防止又は最小化するように注意を払わなければならない。このような状況では、乾燥温度を、典型的には複合粒子の望ましくない任意の変化が起こり得る温度よりも低くする。乾燥は、例えば、乾燥チャンバ中での滞留時間の増大、乾燥ガスの流量の増大、蒸発負荷の低減、又はフローパターンの変更によって、より低温で達成され得る。
複数のコーティング層が、多孔質ポリマーコア粒子(又は充填コア粒子)の周囲に配置され得る。多くの場合、より厚いコーティング層を提供するために、又は多孔質複合粒子からの窒素含有硬化剤の放出性を変化させるために、複数の層が追加される。複数のコーティング層が使用される場合、通常、互いに適合(compatible)するように選択される。多くの実施形態では、同じ熱可塑性材料及び/又はワックスが使用され、複数のコーティング層が形成される。
コーティング層は、任意の所望の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、厚さは、少なくとも0.1μm、少なくとも0.2μm、少なくとも0.5μm、少なくとも0.75μm、又は少なくとも1.0μmである。厚さは、最大5μm以上、最大4μm、最大3μm、又は最大2μmであり得る。複合粒子内の窒素含有硬化剤の放出プロファイルは、通常、コーティング層の厚さによって制御され得る。すなわち、厚さが大きいほど、コーティング層を通じた窒素含有硬化剤の放出速度が遅くなる。他方、窒素含有硬化剤の放出速度は、コーティング層の厚さの低減によって増大し得る。厚さは、しばしば、0.1〜5μmの範囲、0.1〜3μmの範囲、0.5〜5μmの範囲、0.5〜3μm、1〜5μmの範囲、1〜3μmの範囲の範囲、0.1〜2μmの範囲、0.5〜2μmの範囲、又は1〜2μmの範囲である。
噴霧乾燥又は類似プロセスの代替法として、ポリマーコア粒子(又は充填コア粒子)と、コーティング溶液又はコーティング分散体のいずれかとの混合物を、乾燥目的で薄層に広げてもよい。任意の好適な乾燥方法を使用することができる。乾燥した層を、その後粉砕して、複合粒子を提供することができる。例えば、乾燥した層をブレンダ又は乾式粉砕機内に入れて、粒子を互いに分離することができる。薄層中の固体の割合は、同じ多孔質複合粒子内に複数のポリマーコア粒子(又は充填コア粒子)を有する可能性を低下させるため、通常は比較的低い。この方法は、比較的均一なコーティング層の厚さが必要でない場合、又は窒素含有硬化剤の放出速度のより広い分布を提供するために、様々なコーティング厚さが望まれ得る場合に、使用できる。加えて、この方法は、放出速度の分布を提供するために、同じコーティング層に囲まれた複数のポリマーコア粒子(又は充填コア粒子)を有することが有益であり得る場合に使用できる。
複合粒子は、典型的には、多孔質複合粒子の総重量に基づいて、少なくとも20重量%の多孔質ポリマーコア粒子と、少なくとも0.1重量%の窒素含有硬化剤と、少なくとも10重量%のコーティング層とを含有する。いくつかの例では、複合粒子は、少なくとも30重量%の多孔質ポリマーコア粒子と、少なくとも0.5重量%の窒素含有硬化剤と、少なくとも20重量%のコーティング層とを含有し得る。他の例では、複合粒子は、少なくとも40重量%の多孔質ポリマーコア粒子と、少なくとも1重量%の窒素含有硬化剤と、少なくとも30重量%のコーティング層とを含有し得る。
複合粒子は、典型的には、最大90重量%の多孔質ポリマーコア粒子と、最大70重量%の窒素含有硬化剤と、最大80重量%のコーティング層とを含有し得る。いくつかの例では、複合粒子は、最大80重量%の多孔質ポリマーコア粒子と、最大50重量%の窒素含有硬化剤と、最大70重量%のコーティング層とを含有し得る。他の例では、複合粒子は、最大70重量%の多孔質ポリマーコア粒子と、最大40重量%の窒素含有硬化剤と、最大60重量%のコーティング層とを含有し得る。
いくつかの実施形態では、複合粒子は、20〜90重量%の多孔質ポリマーコア粒子と、1〜70重量%の窒素含有硬化剤と、10〜80重量%のコーティング層とを含有する。いくつかの例では、複合粒子は、30〜80重量%の多孔質ポリマー粒子と、1〜50重量%の窒素含有硬化剤と、20〜70重量%のコーティング層とを含有する。他の例では、複合粒子は、30〜75重量%の多孔質ポリマー粒子と、5〜50重量%の窒素含有硬化剤と、25〜70重量%のコーティング層とを含有する。更に他の例では、複合粒子は、30〜70重量%の多孔質ポリマー粒子と、5〜40重量%の窒素含有硬化剤と、30〜70重量%のコーティング層とを含有する。
複合粒子は、エポキシ樹脂と混合される。任意の好適な量の複合粒子をエポキシ樹脂と組み合わせることができるが、その量は、典型的には、複合粒子内に充填される窒素系硬化剤の量及び種類に依存する。例えば、式−NRHの基を少なくとも2個有する化合物の場合は、イミダゾール若しくはその塩又はイミダゾリン若しくはその塩、置換尿素(例えば、ビス置換尿素)、又は第三級アミノ基で置換されたフェノールのような二次硬化剤の場合よりも、大量の窒素含有硬化剤が必要である。二次硬化剤は、オキシラン基の開環反応のための触媒として機能することが多いが、式−NRHの基を少なくとも2個有する化合物は、エポキシ樹脂と直接反応する傾向がある。
多くの実施形態において、組成物に含まれる複合粒子の量は、複合粒子とエポキシ樹脂との総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%である。それよりも少ない量を使用した場合、エポキシ樹脂を重合するには窒素含有硬化剤の量が不十分となり得る。複合粒子の量は、例えば、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、又は少なくとも5重量%であり得る。複合粒子の量は、最大35重量%であり得る。複合粒子の量がそれよりも多い場合、最終的な硬化済み組成物が柔らかくなりすぎる場合がある(所望の強度完全性の量よりも低くなる場合がある)。複合粒子の量は、例えば、最大30重量%、最大25重量%、最大20重量%、最大15重量%、又は最大10重量%であり得る。いくつかの例示的実施形態において、上記の量は、0.1〜35重量%の範囲、0.5〜35重量%の範囲、0.5〜30重量%の範囲、0.5〜25重量%の範囲、0.5〜20重量%の範囲、0.5〜10重量%の範囲、1〜30重量%の範囲、1〜20重量%の範囲、又は1〜10重量%の範囲である。
エポキシ樹脂及び複合粒子に加えて、硬化性組成物は、種々の任意成分を含むことができる。このような任意成分の1つは強靭化剤である。強靭化剤は、所望の重なりせん断、剥離抵抗、及び衝撃強度をもたらすために添加できる。有用な強靭化剤は、エポキシ樹脂と反応し得る、及び架橋し得る高分子材料である。好適な強靭化剤としては、ゴム状相と熱可塑性相との両方を有するポリマー化合物、又はエポキシド樹脂と共に、硬化時にゴム状相と熱可塑性相との両方を形成することのできる化合物が挙げられる。強靭化剤として有用なポリマーは、硬化されたエポキシ組成物の割れを抑制するよう選択されることが好ましい。
ポリマーゴム状相と熱可塑性相との両方を有するいくつかのポリマー強靭化剤は、コアが約0℃未満のガラス転移温度を有するアクリル系コポリマーであるアクリルコアシェルポリマーである。そのようなコアポリマーは、約25℃を上回るガラス転移温度を有するアクリル系ポリマー(例えばポリメチルメタクリレート)で構成されるシェル内に、ポリブチルアクリレート、ポリイソオクチルアクリレート、ポリブタジエン−ポリスチレンを含んでもよい。市販のコアシェルポリマーとしては、商品名ACRYLOID KM 323、ACRYLOID KM 330、及びPARALOID BTA 731でDow Chemical Co.から、及びカネエースB−564で株式会社カネカ(日本、大阪)から乾燥粉末として入手できるものが挙げられる。これらのコアシェルポリマーは、例えば、37重量部のコアシェルポリマーに対して12重量部の比でビスフェノールAのジグリシジルエーテルと予め分散させたブレンドとしても入手可能であり、商品名カネエース(例えば、カネエースMX 157、カネエースMX 257、カネエースMX 125の商品名で株式会社カネカ(日本)から市販されている。
エポキシド基含有材料と共に、硬化時にゴム状相と熱可塑性相との両方を形成することができるポリマー強靭化剤の別の種類は、カルボキシル末端ブタジエンアクリロニトリル化合物である。市販のカルボキシル末端ブタジエンアクリロニトリル化合物としては、HYCAR(例えば、HYCAR 1300X8、HYCAR 1300X13、及びHYCAR 1300X17)の商品名でLubrizol Advanced Materials,Inc.(Cleveland,Ohio,USA)から、及び商品名PARALOID(例えば、PARALOID EXL−2650)でDow Chemical(Midland,MI,USA)から入手可能な化合物が挙げられる。
その他の好ましいポリマー強靭化剤は、ゴム状相と熱可塑性相との両方を有するグラフトポリマー、例えば米国特許第3,496,250号(Czerwinski)に開示されているものなどである。これらのグラフトポリマーは、それに熱可塑性ポリマーセグメントをグラフトさせたゴム状の骨格を有する。そのようなグラフトポリマーの例としては、例えば、(メタ)アクリレート−ブタジエン−スチレン、及びアクリロニトリル/ブタジエン−スチレンポリマーが挙げられる。ゴム状骨格は、重合した熱可塑性部分がグラフトポリマーの約5重量%〜約60重量%を構成するように、全グラフトポリマーの約95重量%〜約40重量%を構成するように調製されることが好ましい。
更に他のポリマー強靭化剤は、BASF(Florham Park,NJ,USA)から商品名ULTRASON(例えば、ULTRASON E 2020 P SR MICRO)で市販されているものなどのポリエーテルスルホンである。
硬化性組成物は、レオロジー特性を改変するための非反応性可塑剤を追加的に含有し得る。市販の可塑剤としては、商品名BENZOFLEX 131でEastman Chemical(Kingsport,TN,USA)から入手できるもの、ExxonMobil Chemical(Houston,TX,USA)から入手できるJAYFLEX DINA、及びBASF(Florham Park,NJ,USA)からのPLASTOMOLL(例えば、アジピン酸ジイソノニル)が挙げられる。
硬化性組成物は、任意に、所望のレオロジー特性を組成物にもたらすためのフロー制御剤又は増粘剤を含有する。好適なフロー制御剤としては、ヒュームドシリカ、例えば、キャボットコーポレーション(Alpharetta,GA,USA)から商品名CAB−O−SIL TS 720で入手可能な処理済みヒュームドシリカ、及び商品名CAB−O−SIL M5で入手できる未処理ヒュームドシリカが挙げられる。
いくつかの実施形態において、硬化性組成物は、最適には、基材への接合を増強するための接着促進剤を含有する。接着促進剤の具体的な種類は、それが付着する表面の組成によって変動する可能性がある。処理中に金属素材の圧伸成形を促進するために使用されるイオン型滑沢剤でコーティングされた表面に特に有用であることが見出された接着促進剤としては、例えば、カテコール及びチオジフェノールなどの二価フェノール化合物が挙げられる。
硬化性組成物は、1種以上の従来の添加剤、例えば充填剤(例えば、アルミニウム粉末、カーボンブラック、グラスバブルズ、タルク、粘土、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、溶融石英などのシリカ、シリケート、ガラスビーズ、及びマイカ)、難燃剤、帯電防止材、熱伝導性及び/又は導電性粒子、並びに発泡剤、例えば、アゾジカーボンアミドのような化学発泡剤又は炭化水素液を含有する発泡性高分子ミクロスフェア、例えば商品名EXPANCELでExpancel Inc.(Duluth,GA,USA)から販売されているものなども任意に含有してもよい。粒子状充填剤は、フレーク、ロッド、球などの形であり得る。添加剤は、得られる接着剤に望ましい効果を生じる量で一般に添加される。
別の態様では、硬化済み組成物が提供される。硬化済み組成物は、エポキシ樹脂と、当該エポキシ樹脂と混合された複合粒子とを含有する硬化性組成物の反応生成物(重合生成物)を含有する。複合粒子は、1)多孔質ポリマーコアと、2)多孔質ポリマーコア内に配置されているが多孔質ポリマーコアと化学結合していない、エポキシ樹脂用窒素含有硬化剤と、3)熱可塑性ポリマー、ワックス、又はこれらの混合物を含む、多孔質ポリマーコアの周囲のコーティング層と、を含む。上記の硬化性組成物のいずれかを使用して、硬化性組成物を調製することができる。
多くの実施形態において、硬化性組成物は2つの基材の間に配置され、次いで加熱されて、複合粒子からの窒素含有硬化剤の拡散を引き起こす。加熱は、複合粒子のコーティング層を軟化又は融解し、複合粒子からの窒素含有硬化剤の拡散を更に増強し得る。複合粒子から拡散すると、窒素含有硬化剤は、硬化性組成物中のエポキシ樹脂と接触する。条件が反応に適していれば、窒素含有硬化剤は、エポキシ樹脂と反応して硬化済み組成物を生成し得る。反応に好適な条件としては、例えば、エポキシ樹脂と混合された十分な濃度の窒素含有硬化剤を有すること、及びエポキシ樹脂の硬化に十分な温度を有することが挙げられる。
基材は、用途に応じて様々な材料から選択できる。基材に有用な材料としては、限定するものではないが、金属、セラミックス、ガラス、複合材料、ポリマー材料などが挙げられる。基材として有用な金属としては、限定するものではないが、アルミニウム及び鋼、例えば、高強度鋼、ステンレス鋼、亜鉛めっき鋼、冷間圧延鋼、及び表面処理金属が挙げられる。表面処理としては、限定するものではないが、ぺイント、油引き潤滑剤(oil draw lubricants)又はスタンピング潤滑油(stampinglubes)、エレクトロコート、粉体塗料、プライマー、化学的及び物理的表面処理などが挙げられる。本開示において基材として有用な複合材料としては、限定するものではないが、ガラス強化複合材料及び炭素強化複合材料が挙げられる。本開示の基材として有用なポリマー材料としては、限定するものではないが、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエステル、(メタ)アクリレートポリマー及びコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマーなどが挙げられる。
更に別の態様では、硬化済み組成物を形成する方法が提供される。当該方法は、硬化性組成物を提供する工程と、上記硬化性組成物を加熱して複合粒子から窒素含有硬化剤を放出させる工程と、上記窒素含有硬化剤をエポキシ樹脂と反応させることによって硬化済み組成物を形成する工程と、を含む。硬化性組成物は上記と同じであり、エポキシ樹脂と、当該エポキシ樹脂と混合された複合粒子とを含む。複合粒子は、1)多孔質ポリマーコアと、2)多孔質ポリマーコア内に配置されているが多孔質ポリマーコアと化学結合していない、エポキシ樹脂用窒素含有硬化剤と、3)熱可塑性ポリマー、ワックス、又はこれらの混合物を含む、多孔質ポリマーコアの周囲のコーティング層と、を含む。
硬化剤を含有する複合粒子の形成により、一液型硬化性組成物の調製が可能になる。すなわち、硬化性組成物の構成成分の全てを、一緒に混合し、次いで反応性(すなわち、硬化済み組成物の形成)のために加熱することができる。硬化性組成物は、硬化済み組成物の形成の前に、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも1カ月又はそれ以上貯蔵できる。硬化時間は、多くの場合、硬化性組成物を貯蔵する温度を制御することによって選択され得る。
実施形態1は、硬化性組成物である。上記硬化性組成物は、エポキシ樹脂と、当該エポキシ樹脂と混合された複合粒子とを含有する。上記複合粒子は、1)多孔質ポリマーコアと、2)多孔質ポリマーコア内に配置されているが多孔質ポリマーコアと共有結合していない、エポキシ樹脂用窒素含有硬化剤と、3)熱可塑性ポリマー、ワックス、又はこれらの混合物を含む、多孔質ポリマーコアの周囲のコーティング層と、を含む。
実施形態2は、多孔質ポリマーコアが架橋した(メタ)アクリレートポリマー材料を含む、実施形態1に記載の硬化性組成物である。
実施形態3は、多孔質ポリマーコアが、i)第1相と、ii)第1相内に分散された第2相と、を含む反応混合物の重合生成物を含み、上記の第1相の体積は第2相の体積よりも大きい、実施形態1又は2に記載の硬化性組成物である。第1相は、(1)水及び水中に溶解した多糖類、又は(2)界面活性剤及び式(I)の化合物
HO(−CH−CH(OH)−CH−O)−H
(I)
(式中、nは、少なくとも1に等しい整数である)のいずれか、又はこれらの混合物を含む。第2相は、(1)式(II)のモノマー
CH=C(R)−(CO)−O[−CH−CH−O]−(CO)−C(R)=CH
(II)
を含む第1モノマー組成物と、(2)重量平均分子量が少なくとも500g/モルであるポリ(プロピレングリコール)と、を含む。式(II)において、pは少なくとも1に等しい整数であり、Rは、水素又はアルキルである。ポリ(プロピレングリコール)が重合生成物から除去されて、多孔質ポリマーコアが提供される。
実施形態4は、複合粒子が、コアが窒素含有硬化剤が充填された多孔質ポリマーコア粒子であり、シェルがコーティング層である、コアシェル構成を有する、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の硬化性組成物である。
実施形態5は、第1相が、第1相の総重量に基づいて、50〜95重量%の水と、5〜50重量%の多糖類とを含む実施形態1〜4のいずれか1つに記載の硬化性組成物である。
実施形態6は、第1相が第1相の総重量に基づいて、70〜90重量%の水と、10〜30重量%の多糖類とを含む、実施形態5に記載の硬化性組成物である。
実施形態7は、第1相が、第1相の総重量に基づいて、0.5〜15重量%の界面活性剤と、85〜99.5重量%の式(I)の化合物とを含む、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の硬化性組成物である。
実施形態8は、式(I)の化合物がグリセロールである、実施形態7に記載の硬化性組成物である。
実施形態9は、界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、実施形態7又は8に記載の硬化性組成物である。
実施形態10は、モノマー組成物が式(III)
CH=CR−(CO)−O−Y−R
(III)
(式中、Rは、水素又はメチルであり、Yは、単結合、アルキレン、オキシアルキレン、又はポリ(オキシアルキレン)であり、Rは炭素環式基又は複素環式基である。)の第2モノマーを含む、実施形態1〜9のいずれか1つに記載の硬化性組成物である。
実施形態11は、式(III)の第2モノマーが、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、又はエトキシル化ノニルフェノールアクリレートである、実施形態10に記載の硬化性組成物である。
実施形態12は、上記組成物が、式(III)、式(IV)、又はその両方
CH=CR−(CO)−O−Y−R
(III)
CH=CR−(CO)−O−R
(IV)
(式中、Rは、水素又はメチルであり、Yは、単結合、アルキレン、オキシアルキレン、又はポリ(オキシアルキレン)であり、Rは、炭素環式基又は複素環式基であり、Rは直鎖又は分枝鎖アルキルである)の第2モノマーを含む、実施形態1〜11のいずれか1つに記載の硬化性組成物である。
実施形態13は、モノマー組成物中のモノマーが、式(II)の第1モノマー及び式(III)、式(IV)、又はその両方の第2モノマーのみである、実施形態12に記載の硬化性組成物である。
実施形態14は、第1モノマー組成物が、10〜90重量%の第1モノマーと10〜90重量%の第2モノマーとを含む、実施形態13に記載の硬化性組成物である。
実施形態15は、第1モノマー組成物が、40〜60重量%の第1モノマーと40〜60重量%の第2モノマーとを含む、実施形態14に記載の硬化性組成物である。
実施形態16は、モノマー組成物が、式(VII)
CH=CR−(CO)−O−R−SO
(VII)
(式中、Rは水素又はメチルであり、Rはアルキレンである。)の第2モノマー又はその塩を含む、実施形態1〜15のいずれか1つに記載の硬化性組成物である。
実施形態17は、モノマー組成物中のモノマーが、式(II)の第1モノマー並びに式(III)及び式(VII)の第2モノマーのみである、実施形態16に記載の硬化性組成物である。
実施形態18は、1〜10重量%の式(VII)のモノマー組成物と、90〜98重量%の、式(II)のモノマーと式(III)のモノマーとの混合物と、を含有する、実施形態17に記載の硬化性組成物である。
実施形態19は、モノマー組成物が、20〜80重量%の式(II)のモノマーと、20〜80重量%の式(III)のモノマーと、1〜20重量%の式(VII)のモノマーとを含む、実施形態17に記載のポリマー複合粒子である。
実施形態20は、モノマー組成物が、40〜60重量%の式(II)のモノマーと、40〜60重量%の式(III)のモノマーと、1〜10重量%の式(VII)のモノマーとを含む、実施形態18に記載のポリマー複合粒子である。
実施形態21は、複合粒子が、20〜90重量%の多孔質ポリマーコアと、1〜70重量%の窒素含有硬化剤と、10〜80重量%のコーティング層とを含む、実施形態1〜20のいずれか1つに記載の硬化性組成物である。
実施形態22は、多孔質ポリマーコアが、1〜200μmの範囲の平均直径を有する、実施形態1〜21のいずれか1つに記載の硬化性組成物である。
実施形態23は、多孔質ポリマーコアが、1〜200nmの範囲の平均サイズを有する空孔を有する、実施形態22に記載の硬化性組成物である。
実施形態24は、コーティング層が、シリコーンベースの熱可塑性ポリマー、(メタ)アクリレートベースの熱可塑性ポリマー、オレフィンベースの熱可塑性ポリマー、スチレンベースの熱可塑性ポリマー、又はフェノキシベースの樹脂を含む、実施形態1〜23のいずれか1つに記載の硬化性組成物である。
実施形態25は、コーティング層が、動物性ワックス、植物性ワックス、石油ワックス、水素添加植物油、又はポリエチレンを含む、実施形態1〜23のいずれか1つに記載の硬化性組成物である。
実施形態26は、コーティング層が0.1μm〜5μmの範囲の厚さを有する、実施形態1〜25のいずれか1つに記載の硬化性組成物である。
実施形態27は、実施形態1〜26の硬化性組成物のいずれか1つの反応生成物を含む、硬化済み組成物である。
実施形態28は、硬化済み組成物を製造する方法であって、当該方法は、実施形態1〜27のいずれか1つに記載の硬化性組成物を提供する工程と、上記硬化性組成物を加熱して複合粒子から窒素含有硬化剤を放出させる工程と、上記窒素含有硬化剤をエポキシ樹脂と反応させることによって硬化済み組成物を形成する工程と、を含む。
実施形態29は、硬化性組成物を提供する工程が、複合粒子を形成する工程及び当該複合粒子をエポキシ樹脂と混合する工程を含む、実施形態28に記載の方法である。
実施形態30は、複合粒子を形成する工程が、多孔質ポリマーコアを形成することと、窒素含有硬化剤を多孔質ポリマーコアと共に配置して充填コア粒子を形成することと、及びコーティング層を充填コア粒子の周囲に堆積することと、を含む、実施形態29に記載の方法である。
実施形態31は、コーティング層を付着させることが、コーティング溶液又はコーティング分散体を調製することと、充填コア粒子をコーティング溶液又はコーティング分散体と混合してスラリーを形成することと、及びスラリーを噴霧乾燥又は流動床乾燥によって乾燥すること、を含む、実施形態30に記載の方法である。
特記のない限り、実施例で使用する全ての化学品は、記載の供給元から入手できる。
Figure 2018500435
試験法
示差走査熱量計(DSC)
エポキシ混合物の少量試料を調製し、示差走査熱量測定(DSC)実験によって粒子の熱的特性を判定した。組成物は、EPON 828樹脂を小さいDAC用プラスチック容器に秤取した後、促進剤及びその他の充填剤を当該容器に加えることによって調製した。試料を、3000rpmで1分間DAC混合(SPEEDMIXER DAC 150−1 FV,Flacktek、Inc.)した。次いで、試料を分析用DSCパンに秤取した。
DSCは、MODEL Q2000 DSC装置(TA Instruments Inc.(New Castle,DE,USA))で実施した。DSC試料は、典型的には、6〜20mgであった。試験は、封止したアルミニウム製T−zeroサンプルパン内で、5℃/分の速度で室温(25℃)から300℃まで加熱することによって実施した。反応プロセスから得られたデータを、熱流量対温度を示すチャートに図示した。発熱ピークの下側の積分面積は、反応中に発生した全発熱エネルギーを表し、ジュール/グラム(J/g)単位で測定した;この発熱エネルギーは、硬化の程度(すなわち、重合度)に比例した。発熱プロファイル(すなわち、開始温度(反応が開始すると予想される温度)、ピーク温度及び終了温度)は、試料が硬化するために必要な条件に関する情報を提供する。
重なりせん断強度(「OLS」)
各接着フィルム配合物の重なりせん断強度を、ASTM 1002−01に記載のように、25mm×100mm×1.6mmの鋼クーポンを試験片内に接合することによって測定した。せん断強度の測定に使用した鋼クーポンは、冷間圧延鋼(Q−Lab Corp.(Westlake,OH,USA)から商品名「Q−PANEL,RS−14」で入手)又はエッチングしたアルミニウム(Q−Lab Corp.(Westlake,OH,USA)から商品名「Q−PANEL,2024T3 bare」で入手)であった。鋼クーポンは、それらをアセトンで拭い、5分間風乾させることによって調製した。接着剤を塗布し、10mil(約254μm又は0.010インチ)ガラスビーズをスペーサーとして使用することによって2つの鋼クーポンを接合し(接着フィルムの合計厚さは、約250μmであった)、その後、使い捨ての結合クリップを用いて適所に掴持した。硬化の後、クリップを外した。重なりせん断用試験片を、引張試験機(INSTRON,MODEL 5581に10,000ポンド(約4536kg)のロードセルを使用)のジョーに掴持し、12.5ミリメートル(mm)/分のクロスヘッド速度で接着破壊が起こるまで引き離した。結果をメガパスカル(MPa)で報告した。
T型剥離接着試験
T型剥離結合は、2枚のFPLエッチングした8インチ×8インチ×.032インチアルミニウムパネルから切り取り、評価する接着剤で接合した幅1インチ(約2.5cm)の試験片で測定した。試験ジョーの分離速度(separation note)は、20インチ/分であった。試験は、ASTM D1876−08に従って実施し、データをkg/cm及びポンド毎インチ幅(PIW)単位で得た。
アルミニウムパネルは、Q−Lab(Westlake,OH,USA)から購入した2024T3グレードのアルミニウムである。Forest Products Laboratoryが開発した、接合用アルミニウム基材を調製するためのFPLプロセス。このプロセスは、Martin Aerospace(Los Angeles,CA,USA)から市販されているISOPREP 44のような苛性洗浄液に、160°F+10°F(約70℃)の温度でアルミニウム試験片を浸漬する工程を伴った。次いで、試験片をラックに入れ、水道水のタンク内に10分間浸漬した。次いで、試験片を水道水で2〜3分間噴霧洗浄した。次に、試験片を、FPLエッチ液のタンクに150°F(約66℃)で10分間浸漬した。エッチ液は、ASTM D−2651−01(2008)のsection 7に記載のように、硫酸、二クロム酸ナトリウム、及びアルミニウムの高温溶液である。エッチングした試験片を、水道水で3〜5分間噴霧洗浄し、周囲温度で10分間及び150°F(約66℃)の空気再循環炉内で30分間のドリップドライを実施する。
調製例1(PE−1)
モノマーSR339(50g)、SR6030P(50g)及び2−スルホエチルメタクリレート(5g)をPPG4000(43g)及びIRGACURE 819(250mg)と混合した。この混合物を、約40℃〜50℃で20分間激しく撹拌した。次いで、7.5gの界面活性剤APG 325Nと予め混合した250gのグリセロールにこの混合物を加えた。混合物を、20分間せん断混合した。次いで、混合物を、ポリエチレンテレフタレート(PET)の2枚のシート間に薄く広げ、硬化する材料の表面から約15cm(約6インチ)に配置した100Wの長波長BLACK RAY UVランプ(UVP,LLC(Upland,CA,USA)から入手)を使用して、紫外光で10〜15分間硬化させた。
次いで、硬化した混合物を過剰の水(500mL)に分散させ、30分間振盪し、EPPENDORF 5810 R遠心分離器(ドイツのEppendofから入手)で、毎分3000回転(rpm)で遠心分離した。上清を除去した後、得られた粒子を500mLの水に再懸濁させて2回目のすすぎを行った後、遠心分離を行った。粒子を500mLのIPAに懸濁し、20分間振盪した。この手順により、ポリ(プロピレングリコール)が抽出され、粒子内に空隙(すなわち、空孔又は自由体積)が残された。次いで、粒子を300rpmで30分間遠心分離し、上清を捨てた。粒子を70℃一晩でオーブン乾燥し、混合物中に残ったIPAを除去した。粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像は、図1A及び図1Bに示すとおりであった。
調製例2(PE−2)
50gのSR339及び50gのSR603OPを、43gのPPG及び250mgのIRGACURE 819と混合した。この混合物を、40〜50℃に加熱しながら20分間激しく撹拌した。次いで、この第2相混合物を、予め7.5gのAPG 325と混合した750gのグリセロールを含有する第1相に添加した。次に、この混合物をせん断ミキサーを用いて700rpmにて20分間せん断混合し、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの2枚のシート間に広げ、材料の上方約15cmに配置した、100Wの長波長BLACK RAY UVランプ(UVP,LLC(Upland,CA,USA)から入手)で、15〜20分間硬化させた。
次に、硬化した混合物を水500mL中に分散させ、30分間激しく振盪させ、EPPENDORF 5810 R遠心分離器(Eppendorf International(Hauppauge,NY,USA)から入手)で30分間、3000rpmにて遠心分離にかけた。上澄みを除去し、得られた粒子を500mLの水に再懸濁し、その後再び遠心分離にかけた。次いで上澄みを除去し、粒子を500mLのイソプロピルアルコールに懸濁して20分間振盪させた。混合物を再び遠心分離にかけて粒子を分離し、上清を捨てた。
実施例1(EX−1)
PE−1からの乾燥粒子(50g)(「コア粒子」)を、17.5gのOMICURE U52M(表2参照)を175gのDMFに溶解した溶液と配合した。次いで、粒子を赤外線ランプ下で一晩乾燥した。次に、乾燥したOMICURE U52M含有粒子(「充填コア粒子」)を、2Lの蒸留水及び「シェル材料」としての53.5gのPVP(表2参照)に添加し、超音波プローブで更に混合した。次いで、得られたポリマー混合物を、PVPポリマーシェルをOMICURE U52M含有粒子の周囲にコーティングすることによって、粒子をマイクロカプセル化するための、噴霧乾燥用前駆体スラリーとして使用した。
上記のようにして作製したスラリーを、カスタマイズしたSpray Drying Systems,Inc.(本社Eldersburg,MD,USA)製MODEL 48混合流噴霧乾燥器で乾燥した。噴霧乾燥器は、直径4フィート(約1.2m)で、8フィート(約2.4m)の真っ直ぐな側面を有した。室内空気をバルク乾燥ガスとして提供し、これを次に加熱して乾燥チャンバに通し(頂部から入り、底部から出る)、最終的にサイクロン及びバグハウスに通した後、排気した。サイクロンは、生成物固体をガスの流れから分離し、直径が最小で約1μmの粒子を分離することができる。バルク乾燥ガス温度は、チャンバ入口で76℃〜86℃であり、出口で58℃〜49℃であった。スラリーを、蠕動ポンプにより27g/分で提供した。スラリーを、内部混合2流体圧噴霧化ノズル(Spraying Systems Co.(Wheaton,IL,USA)から商品名「FLUID CAP 1650」及び「AIR CAP 1891125」で入手可能)を使用して垂直上方に霧化した。霧化ガスは窒素で、3.3SCFMで提供した。
EX−1の手順から得られた複合粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像は、図2に示すとおりであった。
U52M硬化剤(U52M単独)、PE−1のコア粒子、及びU52Mが充填され、コーティングされたEX−1の粒子(EX−1の複合粒子)を比較するために、熱流量対温度のDSC測定を実施して、図3に示す結果を得た。U52M硬化剤単独のプロットは、その融点を示す。PE−1のコア粒子のプロットは、ポリマー材料の分解を示す。EX−1の複合粒子のプロットは、複合粒子の熱可塑性コーティングの融点を示す。
この実施例の調製に用いた条件を、表2にまとめる。
実施例2(EX−2)
PE−1からの乾燥粒子(50g)コア粒子を、5gのAJICURE PN−40(表2参照)を50gのDMFに溶解した溶液と配合した。次いで、粒子を赤外線ランプ下で一晩乾燥した。次に、20gの乾燥粒子(充填コア粒子)を、1Lの蒸留水及び25gのPVPに添加し、超音波プローブで更に混合した。次いで、得られたポリマー混合物を、粒子をマイクロカプセル化(複合粒子を形成)するための、噴霧乾燥用前駆体スラリーとして使用した。
粒子を、MINI−PROBE B−190サイクロン噴霧乾燥機(Buchiから入手可能)を使用して、流速10RPM及び190℃に設定した入口温度(出口読取値101〜108℃)で噴霧乾燥した。この実施例の調製に用いた条件を、表2にまとめる。
実施例3(EX−3)
PE−1からの乾燥粒子(80g)コア粒子を、50gのCUREZOL 2PZ−Sを200gのアセトンに溶解した溶液と組み合わせた。次いで、粒子を60℃で一晩乾燥した。次に、20gの乾燥粒子(充填コア粒子)を、600gの蒸留水及び212gのPVPに添加し、超音波プローブで更に混合した。次いで、得られたポリマー混合物を、噴霧乾燥器を閉ループモードで使用した(システムを窒素でパージし、当該窒素を操作中再利用する。バルク乾燥ガスをバッグハウス通過後に排出するのでなく、凝縮器に通した後ヒーターに入れ、再利用する)ことを除いて、EX−1と同様の手順を用いて噴霧乾燥のための前駆体スラリーとして使用し、粒子をマイクロカプセル化した。Fluid Cap 100150及びAir Cap 170を使用した。入口乾燥ガス温度は87℃であったが、出口乾燥ガス温度は約62℃であった。霧化窒素は1.6SCFMで供給し、スラリーは40g/分で供給した。この実施例の調製に用いた条件を、表2にまとめる。
実施例3a(EX−3a)
EX−3aについては、PVPの代わりにカルナバワックスを使用したことを除いて、EX−3の手順に従った。使用した噴霧乾燥条件は次のとおりである:Fluid Cap 60100、Air Cap 170、入口乾燥ガス温度104℃、出口乾燥ガス温度60℃、霧化窒素供給速度3.5SCFM、及びスラリー供給速度65g/分。この実施例の調製に用いた条件を、表2にまとめる。
実施例3b(EX−3b)
EX−3bについては、PVPの代わりにPKHW−34フェノキシ材料を使用したことを除いて、EX−3の手順に従った。使用した噴霧乾燥条件は次のとおりである:Fluid Cap 60100、Air Cap 170、入口乾燥ガス温度98℃、出口乾燥ガス温度61℃、霧化窒素供給速度4.5SCFM、及びスラリー供給速度約50g/分。この実施例の調製に用いた条件を、表2にまとめる。
実施例4(EX−4)
PE−1からの乾燥粒子(80g)(コア粒子)を、100gのアセトン中40gのDDSの溶液と配合した。次いで、粒子を60℃で一晩乾燥した。次に、乾燥粒子(充填コア粒子)を、600gの蒸留水及び212gのPVPに添加し、超音波プローブで更に混合した。次いで、得られたポリマー混合物を、噴霧乾燥のための前駆体スラリーとして使用し(実施例3と同じ方法で)、2μmのポリマーシェルをDDS含有粒子の周囲にコーティングすることによって、粒子をマイクロカプセル化した。使用した噴霧乾燥条件は次のとおりである:Fluid Cap 60100、Air Cap 170、入口乾燥ガス温度約96℃、出口乾燥ガス温度約55℃、霧化窒素供給速度3.5SCFM、及びスラリー供給速度約53g/分。この実施例の調製に用いた条件を、表2にまとめる。
実施例4a(EX−4a)
EX−4aについては、PVPの代わりにPVP/VAを使用したことを除いて、EX−4の手順に従った。使用した噴霧乾燥条件は次のとおりである:Fluid Cap 100150、Air Cap 170、入口乾燥ガス温度約97℃、出口乾燥ガス温度57℃、霧化窒素供給速度1.5SCFM、及びスラリー供給速度約40g/分。この実施例の調製に用いた条件を、表2にまとめる。
実施例4b(EX−4b)
EX−4bについては、PVPの代わりにカルナバワックスを使用したことを除いて、EX−4の手順に従った。使用した噴霧乾燥燥条件は次のとおりである:Fluid Cap 60100、Air Cap 170、入口乾燥ガス温度約110℃、出口乾燥ガス温度約60℃、霧化窒素供給速度3.4SCFM、及びスラリー供給速度約50g/分。この実施例の調製に用いた条件を、表2にまとめる。
実施例4c(EX−4c)
EX−4cについては、PVPの代わりにPKHW−35を使用したことを除いて、EX−4の手順に従った。使用した噴霧乾燥条件は次のとおりである:Fluid Cap 60100、Air Cap 170、入口乾燥ガス温度106℃、出口乾燥ガス温度56℃、霧化窒素供給速度3.4SCFM、及びスラリー供給速度約40g/分。この実施例の調製に用いた条件を、表2にまとめる。
実施例5(EX−5)
PE−1からの乾燥粒子(80g)コア粒子を、100gのエタノール中40gの1,10−ジアミノデカンの溶液と配合した。次いで、粒子を60℃で一晩乾燥した。次に、乾燥粒子(充填コア粒子)を、600gの蒸留水及び212gのカルナバワックスに添加し、超音波プローブで更に混合した。次いで、得られたポリマー混合物を、噴霧乾燥のための前駆体スラリーとして使用し、粒子をマイクロカプセル化した(実施例3と同じ方法で)。使用した噴霧乾燥条件は次のとおりである:Fluid Cap 60100、Air Cap 170、入口乾燥ガス温度106℃、出口乾燥ガス温度59℃、霧化窒素供給速度3.4SCFM、及びスラリー供給速度60g/分。この実施例の調製に用いた条件を、表2にまとめる。
実施例5a(EX−5a)
EX−5aについては、カルナバワックスの代わりにLDPEを使用したことを除いて、EX−5の手順に従った。使用した噴霧乾燥条件は次のとおりである:Fluid Cap 60100、Air Cap 170、入口乾燥ガス温度107℃、出口乾燥ガス温度約66℃、霧化窒素供給速度3.6SCFM、及びスラリー供給速度約40g/分。この実施例の調製に用いた条件を、表2にまとめる。
実施例5b(EX−5b)
EX−5bについては、カルナバワックスの代わりにHDPEを使用したことを除いて、EX−5の手順に従った。使用した噴霧乾燥条件は次のとおりである:Fluid Cap 60100、Air Cap 170、入口乾燥ガス温度109〜112℃、出口乾燥ガス温度60〜57℃、霧化窒素供給速度4.1SCFM、及びスラリー供給速度約55g/分。この実施例の調製に用いた条件を、表2にまとめる。
実施例6(EX−6)
EX−6については、1,10−ジアミノデカンの代わりに1,12−ジアミノデカンを使用し、PE−2をコア粒子として使用したことを除き、EX−5bの手順に従った。EX−2で使用した条件と類似の条件を用いて噴霧乾燥を実施した。得られたコーティングされた粒子のSEMを図4に示す。この実施例の調製に用いた条件を、表2にまとめる。
Figure 2018500435
表2において、カルナバワックスは単にワックスと表記されている。シェルのTg/Tm(ガラス転移温度/融解温度)は、熱可塑性材料又はワックスの供給業者から入手した。「スラリー中の固体質量、重量%」は、充填粒子の重量に、シェルの形成に使用したワックス又はポリマーの重量を加えた総重量を基準とした。「シェル混合物中の固体質量、g」は、シェルの形成に使用したワックス又はポリマーの総重量を基準とした。
比較例1(CE−1)
尿素材料OMNICURE U52Mを含むがEX−1のコーティングされた粒子を含まないエポキシフィルム配合物を、表3に記載の量で材料を配合することによって調製した。
実施例7(EX−7)
OMNICURE U52Mが充填され、PVPでカプセル化されたEX−1の粒子を含有するエポキシフィルム配合物を、表3に記載の量で材料を配合することによって調製した。
Figure 2018500435
CE−1及びEX−7のフィルム配合物試料を観察及び試験し、表4にまとめた結果を得た。
Figure 2018500435
実施例8(EX−8)、実施例9(EX−9)、比較例2(CE−2)、及び比較例3(CE−3)
EX−2からの粒子(AJICURE PN−40が充填され、PVPでコーティングされている)を、EPON 828樹脂及びDICYと、表5に示す量で配合した。実施例9(EX−9)並びに比較例CE−2及びCE−3は、EX−8の手順に従うが、表5に示す材料及び量を使用して調製した。
Figure 2018500435
反応が起こり始める温度(すなわち、反応開始温度(「開始T」))及び全発熱エネルギー(すなわち、反応熱「ΔH Rxn」)を判定するため、EX−8、EX−9、CE−2、及びCE−3のDSCエージングを実施し、表6にまとめた結果を得た。
Figure 2018500435
実施例10(EX−10)
2PZ−Sが充填され、PVPでカプセル化されたEX−3の粒子を含有する一液型エポキシ接着剤ペースト処方物を、表7に記載の量で材料を配合して調製した。
Figure 2018500435
EX−10を調製し、250°F(121℃)で1時間硬化した後、試験し、表8にまとめた結果を得た。
Figure 2018500435
比較例4及び5(CE−4及びCE−5)
DDSを硬化剤として含むがEX−4bのコーティングされた粒子を含まない2種類のエポキシフィルム配合物を、表9に記載の量で材料を配合することによって調製した。
比較例11(EX−11)及び実施例12(EX−12)
EX−4bのカプセル化されたDDS粒子を含む2種類のエポキシフィルム配合物を、表9に記載の量で材料を配合することによって調製した。CE−4、CE−5、EX−11、及びEX−12を調製し、250°F(121℃)で1時間硬化した後、試験し、表9にまとめた結果を得た。フィルムを室温で放置した場合の貯蔵寿命も報告した。
Figure 2018500435
実施例13〜15(EX−13、EX−14、及びEX−15)並びに比較例6、7、及び8(CE−6、CE−7、及びCE−8):ジアミン充填粒子を含有するモデルエポキシ系
EX−5b及びEX−6(1,12−ジアミノドデカンが充填され、HDPEでコーティングされている)からの粒子を、EPON 828樹脂と、表10に示す量で配合した。CE−6、CE−7及びCE−8は、同等量のアミンを有するがカプセル化されていない試料である。重なりせん断用試験片を、アルミニウム基材上に調製し、180℃で10分間硬化した。上記試料の試験から得られた結果を表10に示す。
Figure 2018500435

Claims (11)

  1. a.エポキシ樹脂と、
    b.前記エポキシ樹脂と混合された複合粒子と、を含み、
    前記複合粒子は、
    i.多孔質ポリマーコア粒子と、
    ii.前記多孔質ポリマーコア粒子内に配置されているが前記多孔質ポリマーコア粒子と共有結合していない、前記エポキシ樹脂用の窒素含有硬化剤と、
    iii.熱可塑性ポリマー、ワックス、又はこれらの混合物を含む、前記多孔質ポリマーコア粒子の周囲のコーティング層と、を含む、硬化性組成物。
  2. 前記多孔質ポリマーコア粒子が、架橋した(メタ)アクリレートポリマー材料を含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記多孔質ポリマーコアが、反応混合物の重合生成物を含み、
    前記反応混合物は、
    i.
    1)水及び前記水に溶解した多糖類、又は
    2)界面活性剤及び式(I)
    HO(−CH−CH(OH)−CH−O)−H (I)
    (式中、nは少なくとも1に等しい整数である。)
    の化合物、又はこれらの混合物を含む、第1相と、
    ii.前記第1相に分散され、
    1)式(II)
    CH=C(R)−(CO)−O[−CH−CH−O]−(CO)−C(R)=CH (II)
    (式中、pは、少なくとも1に等しい整数であり、Rは、水素又はアルキルである。)
    のモノマーを含む第1モノマー組成物と、
    2)少なくとも500g/モルの重量平均分子量を有するポリ(プロピレングリコール)と、を含む、第2相と、を含み、
    前記第1相の体積は、前記第2相の体積よりも大きく、
    前記ポリ(プロピレングリコール)は、前記多孔質ポリマーコアを提供するために前記重合生成物から除去されている、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記複合粒子は、コアシェル構成を有し、前記コアは前記窒素含有硬化剤が充填された前記多孔質ポリマーコア粒子であり、前記シェルは前記コーティング層である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  5. 前記第1相は、前記第1相の総重量に基づいて、50〜95重量%の水と、5〜50重量%の多糖類と、を含む、請求項3又は4に記載の硬化性組成物。
  6. 前記第1相は、前記第1相の総重量に基づいて、0.5〜15重量%の界面活性剤と、85〜99.5重量%の前記式(I)の化合物と、を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  7. 前記モノマー組成物は、式(III)
    CH=CR−(CO)−O−Y−R (III)
    (式中、Rは、水素又はメチルであり、Yは、単結合、アルキレン、オキシアルキレン、又はポリ(オキシアルキレン)であり、Rは、炭素環式基又は複素環式基である。)
    の第2モノマーを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  8. 前記モノマー組成物は、式(VII)
    CH=CR−(CO)−O−R−SOH (VII)
    (式中、Rは、水素又はメチルであり、Rは、アルキレンである。)
    の第2モノマー又はその塩を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  9. 前記複合粒子は、20〜90重量%の多孔質ポリマーコア粒子と、1〜70重量%の窒素含有硬化剤と、10〜80重量%のコーティング層と、を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  10. 硬化性組成物の反応生成物を含む硬化済み組成物であって、
    前記硬化性組成物は、
    a.エポキシ樹脂と、
    b.前記エポキシ樹脂と混合された複合粒子と、を含み、
    前記複合粒子は、
    i.多孔質ポリマーコアと、
    ii.前記多孔質ポリマーコア内に配置されているが前記多孔質ポリマーコアと共有結合していない、前記エポキシ樹脂用の窒素含有硬化剤と、
    iii.熱可塑性ポリマー、ワックス、又はこれらの混合物を含む、前記多孔質ポリマーコアの周囲のコーティング層と、を含む、硬化済み組成物。
  11. a.
    i.エポキシ樹脂と、
    ii.前記エポキシ樹脂と混合された複合粒子と、を含む、硬化性組成物を提供する工程であって、
    前記複合粒子は、
    1)多孔質ポリマーコアと、
    2)前記多孔質ポリマーコア内に配置されているが前記多孔質ポリマーコアと共有結合していない、前記エポキシ樹脂用の窒素含有硬化剤と、
    3)熱可塑性ポリマー、ワックス、又はこれらの混合物を含む、前記多孔質ポリマーコアの周囲のコーティング層と、を含む、工程と、
    b.前記硬化性組成物を加熱して、前記複合粒子から前記窒素含有硬化剤を放出する工程と、
    c.前記窒素含有硬化剤を前記エポキシ樹脂と反応させることによって、硬化済み組成物を形成する工程と、を含む、硬化済み組成物の製造方法。
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