JP2018207742A - 自走式電線点検装置 - Google Patents

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史則 志賀
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Abstract

【課題】従来では自走式電線点検装置の姿勢をより安定的に制御することが難しかった。
【解決手段】鉄塔間に架線された架空地線に沿って走行しながら電線の点検を行う自走式電線点検装置であって、前記架空地線上を走行可能な走行部と、前記走行部の下方に配置される本体部と、前記本体部に対して相対移動可能に連結され、前記鉄塔を迂回するように前記本体部を移動させるための迂回路を形成する円弧型のアームと、前記アームを前記架空地線に懸垂させるために前記アームの両端部に設けられたフック機構と、前記アームの両端部に接続された可動式のバランスウェイトを含み、前記自走式電線点検装置の重心の位置を制御する重心制御機構と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、自走式電線点検装置に関する。
鉄塔間に架線された送電線などの電線を点検するため、架空地線に懸架した宙乗機に作業員が乗り込んで点検を行うことがある。しかし、架空地線は、超高圧送電線などの避雷を目的として鉄塔の頂部またはその近傍といった高所に架線されるため、作業員の点検作業は危険を伴うものとなる。
そこで、たとえば特許文献1には、電線上を自走して点検などの検査を行う「自走式電線検査装置」が記載されている。この自走式電線検査装置は、電線上を転動する走行ローラを備え、電線上の障害物(電線接続スリーブ等)をかわして電線上を走行し得る構成になっている。ただし、鉄塔を乗り越えて次の経間に移動することはできない。
一方、特許文献2には、高架線に取り付けられた碍子やクランプなどの金具を乗り越えられるとともに、鉄塔を乗り越えて次の経間に移動することができる「高架線移動装置」が記載されている。この高架線移動装置は、本体部と、アームと、フック機構と、上下旋回シャフトと、走行車輪支持アームと、クランプ機構と、を具備した構成になっている。
特開2000−264100号公報 特許第2859374号公報
本発明の主な目的は、自走式電線点検装置の姿勢をより安定的に制御することができる技術を提供することにある。
本発明の一態様は、鉄塔間に架線された架空地線に沿って走行しながら電線の点検を行う自走式電線点検装置であって、
前記架空地線上を走行可能な走行部と、
前記走行部の下方に配置される本体部と、
前記本体部に対して相対移動可能に連結され、前記鉄塔を迂回するように前記本体部を移動させるための迂回路を形成する円弧型のアームと、
前記アームを前記架空地線に懸垂させるために前記アームの両端部に設けられたフック機構と、
前記アームの両端部に接続された可動式のバランスウェイトを含み、前記自走式電線点検装置の重心の位置を制御する重心制御機構と、
を備える自走式電線点検装置である。
本発明によれば、自走式電線点検装置の姿勢をより安定的に制御することができる。
本発明の実施形態に係る自走式電線点検装置の構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る自走式電線点検装置の構成を示す平面図である。 図2に示す自走式電線点検装置をE1方向から見たときの側面図である。 図2に示す自走式電線点検装置をE2方向から見たときの側面図である。 支持機構の構成を示す斜視図である。 (A)は本体部とアームを水平姿勢とした場合の側面図、(B)は本体部とアームを前傾させた場合の側面図、(C)は本体部とアームを後傾させた場合の側面図である。 昇降回転駆動部の構成を示す概略図である。 アーム支持部の構成を示す斜視図である。 本体部に接続されるバランスウェイトの構成を示す斜視図である。 フック機構の構成を示す斜視図である。 アームの端部に接続されるバランスウェイトの構成を示す斜視図である。 2つのフック機構を架空地線に引っ掛けたときの自走式電線点検装置の状態を示す斜視図である。 2つのフック機構を架空地線に引っ掛けたときの自走式電線点検装置の状態を示す平面図である。 図12に示す自走式電線点検装置をE3方向から見たときの側面図である。 図12に示す自走式電線点検装置をE4方向から見たときの側面図である。 (A)〜(D)は本発明の実施形態に係る自走式電線点検装置の乗り越え動作を時系列に示す平面図(その1)である。 (A)〜(D)は本発明の実施形態に係る自走式電線点検装置の乗り越え動作を時系列に示す平面図(その2)である。 (A)〜(D)は本発明の実施形態に係る自走式電線点検装置の乗り越え動作を時系列に示す平面図(その3)である。 (A)〜(D)は本発明の実施形態に係る自走式電線点検装置の乗り越え動作を時系列に示す平面図(その4)である。 水平角180度で鉄塔に架線された架空地線に2つのフック機構を引っ掛けたときの各部の位置関係を示す概略平面図である。 水平角90度で鉄塔に架線された架空地線に2つのフック機構を引っ掛けたときの各部の位置関係を示す概略平面図である。
<発明者の知見>
本発明者は、特許文献2に記載の高架線移動装置について、以下に述べる新規な課題を見出した。
特許文献2に記載の高架線移動装置では、高架線移動装置の本体部に相対移動可能にアームを設けるとともに、アームの両端部にそれぞれフック機構を設け、各々のフック機構を高架線に懸垂させて、本体部をアームに沿って移動させることにより、鉄塔を乗り越える仕組みになっている。
しかしながら、特許文献2に記載の高架線移動装置では、鉄塔を迂回するようにアームを送り出す場合や、本体部をアームに沿って移動させる場合などに、高架線移動装置の姿勢を安定的に制御することが難しかった。
本発明は、本発明者が見出した上記新規な課題に基づき、以下のような構成を採用した。
(1)鉄塔間に架線された架空地線に沿って走行しながら電線の点検を行う自走式電線点検装置であって、
前記架空地線上を走行可能な走行部と、
前記走行部の下方に配置される本体部と、
前記本体部に対して相対移動可能に連結され、前記鉄塔を迂回するように前記本体部を移動させるための迂回路を形成する円弧型のアームと、
前記アームを前記架空地線に懸垂させるために前記アームの両端部に設けられたフック機構と、
前記アームの両端部に接続された可動式のバランスウェイトを含み、前記自走式電線点検装置の重心の位置を制御する重心制御機構と、
を備える自走式電線点検装置。
この構成を採用すれば、アームの両端部に接続されたバランスウェイトを動かすことにより、たとえば本体部だけにバランスウェイトを接続した場合に比べて、自走式電線点検装置の姿勢をより安定的に制御することができる。
(2)前記バランスウェイトは、前記アームの両端部にそれぞれ連結棒を介して連結された錘部を有し、
前記重心制御機構は、前記連結棒の動作によって前記錘部の位置を変化させることにより、前記自走式電線点検装置の重心の位置を制御する
上記(1)に記載の自走式電線点検装置。
この構成を採用すれば、アームの各端部から連結棒の長さを利用して錘部を離して配置することができる。このため、連結棒の動作によって錘部の位置を変化させたときに、アームの両端部に作用する錘部のバランス調整力を高めることができる。
(3)前記連結棒の基端部は、前記アームの端部に回転可能に支持され、
前記錘部は、前記連結棒の先端部に配置されている
上記(2)に記載の自走式電線点検装置。
この構成を採用すれば、連結棒の回転動作によって錘部の位置を大きく変化させることができる。これにより、自走式電線点検装置の重心の位置を大きく変化させることができる。また、連結棒の回転動作により、錘部を多方位に配置することができる。
(4)前記重心制御機構は、前記自走式電線点検装置が前記架空地線に沿って走行するときと、前記自走式電線点検装置が前記鉄塔を乗り越えるときで、前記自走式電線点検装置の重心の位置が異なるように制御する
上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の自走式電線点検装置。
この構成を採用すれば、自走式電線点検装置が架空地線に沿って走行するときと鉄塔を乗り越えるときで、自走式電線点検装置の重心の位置を変えることにより、自走式電線点検装置の姿勢をより適切に制御することができる。
(5)前記重心制御機構は、前記自走式電線点検装置が前記架空地線に沿って走行するときは、鉛直方向の上方から見て前記走行部に前記重心が位置するように制御し、前記自走式電線点検装置が前記鉄塔を乗り越えるときは、鉛直方向の上方から見て前記アームの両端部に設けられた前記フック機構間に前記重心が位置するように制御する
上記(4)に記載の自走式電線点検装置。
この構成を採用すれば、自走式電線点検装置の走行時と乗り越え時のいずれでも、自走式電線点検装置の姿勢の崩れを効果的に抑制することができる。
(6)前記連結棒は、前記アームの円弧形状に沿うように湾曲している
上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の自走式電線点検装置。
この構成を採用すれば、連結棒の動作によって錘部をアームに近づけるべく、アームと連結棒を重ねて配置したときに、連結棒がアームの円弧の内側に入り込むことを抑制することができる。
(7)前記バランスウェイトは、前記錘部の位置を変化させるための駆動部を含み、
前記錘部は、前記駆動部を駆動するためのバッテリーを用いて構成されている
上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の自走式電線点検装置。
この構成を採用すれば、バッテリーの重さを利用して重量バランスを調整することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳しく説明する。
<自走式電線点検装置の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る自走式電線点検装置の構成を示す斜視図であり、図2は、本発明の実施形態に係る自走式電線点検装置の構成を示す平面図である。また、図3は、図2に示す自走式電線点検装置をE1方向から見たときの側面図であり、図4は、図2に示す自走式電線点検装置をE2方向から見たときの側面図である。
なお、図1〜図4は、水平角180度で鉄塔120に支持された架空地線140に沿って自走式電線点検装置100が走行するときの姿勢を示している。架空地線140の水平角は、鉄塔120を上から見たときに、鉄塔120から一方向に延在する架空地線140と他方向に延在する架空地線140とのなす角度をいう。
図示した自走式電線点検装置100は、鉄塔120間に架線された架空地線140に沿って走行しながら電線(送電線、電力線など)の点検を行う。自走式電線点検装置100は、鉄塔120を乗り越える機能を有するもので、架空地線140上を走行可能な走行部1と、走行部1から垂下するように設けられた本体部2と、本体部2に対して相対移動可能に連結されたアーム3と、アーム3の両端部に設けられたフック機構4と、重心制御機構5と、を備える。
鉄塔120には、レール121が付設されている。レール121には、図示しない安全器が取り付けられる。安全器は、作業員が鉄塔120に昇ったり降りたりするときに、作業員が装着する安全帯をつないでおくための機器である。
架空地線140は、複数の鉄塔120を順に経由するように、それらの鉄塔120間にカテナリ方式等で架線される。その場合、架線方向で隣り合う2つの鉄塔120間は「径間」と呼ばれ、この径間を一方の鉄塔120から他方の鉄塔120に向かって自走式電線点検装置100が走行する。ここで、自走式電線点検装置100が鉄塔120を乗り越えるとは、鉄塔120を境に2つの径間が存在する場合に、一方の径間に架線されている架空地線140から、次の径間に架線されている架空地線140に自走式電線点検装置100が乗り移ることを意味する。架空地線140の直径は、たとえば、10mm以上15mm以下である。架空地線140は、本実施形態では図例のような1条タイプで、鉄塔120の頂部に耐張方式または懸垂方式に取り付けられる。ただし、本発明は、鉄塔に2条タイプで架線された架空地線に沿って走行しながら電線の点検を行う場合にも適用可能である。
(方向の定義)
本実施形態においては、自走式電線点検装置100の各部の相対的な位置関係や動作の向き、方向性などを明確にするために、次のように方向を定義する。まず、隣り合う2つの鉄塔120間に架線された架空地線140上を電線を点検しながら自走式電線点検装置100が走行する場合、自走式電線点検装置100の姿勢は、理想的には傾きのない水平姿勢に維持される。その場合、水平姿勢に維持される自走式電線点検装置100の高さ方向を上下方向とし、自走式電線点検装置100の走行方向の下流側を前方(前側)、上流側を後方(後ろ側)とする。また、架空地線140に自走式電線点検装置100を設置したときに、重力が働く方向(鉛直方向)に平行な方向を垂直方向とし、それと直交する方向を水平方向とする。また、水平姿勢を維持しながら架空地線140に沿って走行するときの自走式電線点検装置100の向きを基準に、自走式電線点検装置100の前後方向および左右方向を規定する。このため、上記図1において、自走式電線点検装置100が矢印Mの方向に走行するものとすると、矢印Mの指す方向が前方、それと反対の方向が後方、矢印Mの方向に向かって左側が左方、右側が右方となる。
(走行部1)
走行部1は、クローラ型の駆動機構を備える。クローラ型の駆動機構は、一定のピッチで周長方向に並ぶ複数のコマ6を有する。各々のコマ6は、たとえばゴムを用いて構成されるとともに、架空地線140に係合するV字形の溝を有する。また、走行部1は、駆動源となる走行用モータ(不図示)と、走行用モータの駆動にしたがって回転する一対の車輪(歯付き車)8と、一対の車輪8を支えるフレーム9と、を備える。一対の車輪8は、走行用モータ(不図示)の駆動により、互いに同期して回転する。一対の車輪8にはチェーン(不図示)が架け渡され、このチェーンにコマ単位で複数のコマ6が取り付けられている。
(本体部2)
本体部2は、走行部1の下方に配置されている。本体部2は、走行部1から垂下するように、支持機構15によって支持されている。支持機構15は、図5に示すように、傾き制御機構部16と、シャフト17と、を備える。
傾き制御機構部16は、円弧状のガイドレール18と、ガイドレール18に取り付けられた揺動部19とを有し、揺動部19がガイドレール18に沿って揺動することにより、本体部2とアーム3の傾きを制御可能になっている。ここで記述する「傾き」とは、ガイドレール18の円弧の中心を通る水平軸H(図5)を中心とした、本体部2とアーム3の前後方向の傾きをいう。
ガイドレール18は、略U字形に配置されている。ガイドレール18の両端部(上端部)は、走行部1に連結されている。ガイドレール18の外側の面にはラック18a(図5)が形成されている。揺動部19は、ガイドレール18に移動可能に取り付けられている。揺動部19には、ガイドレール18のラック18aに噛み合うピニオン(不図示)と、このピニオンを回転させるモータ12が設けられている。モータ12によってピニオンを回転させると、ピニオンの回転方向および回転量に応じて揺動部19がガイドレール18に沿って揺動(移動)する。揺動部19が揺動すると、走行部1に対するシャフト17の傾きが変化し、これに応じて本体部2とアーム3の傾きも変化する。したがって、傾き制御機構部16により、本体部2とアーム3の傾きを制御(調整)することができる。
図6は傾き制御機構部16による動作の具体例として、(A)は本体部とアームを水平姿勢とした場合の側面図、(B)は本体部とアームを前傾させた場合の側面図、(C)は本体部とアームを後傾させた場合の側面図である。
図6(A)に示すように、本体部2とアーム3を水平姿勢としている場合は、フック機構4のフック32が架空地線140と同じ高さに配置される。本体部2とアーム3が水平な姿勢とは、本体部2とアーム3の傾きが実質ゼロ(傾きなし)の場合をいう。
図6(B)に示すように、本体部2とアーム3を前傾させた場合は、水平姿勢のときに比べてフック機構4の位置が相対的に下方に変位する。このため、本体部2とアーム3を前傾姿勢とした場合は、フック機構4のフック32が架空地線140よりも低い位置に配置される。
図6(C)に示すように、本体部2とアーム3を後傾させた場合は、水平姿勢のときに比べてフック機構4の位置が相対的に上方に変位する。このため、本体部2とアーム3を後傾姿勢とした場合は、フック機構4のフック32が架空地線140よりも高い位置に配置される。
本体部2とアーム3は、本体部2のアーム支持部21で連結されているため、本体部2が前傾するとアーム3も前傾し、本体部2が後傾するとアーム3も後傾する。本体部2の前傾とは、本体部2の前後方向において、前側(アーム支持部21側)が後ろ側よりも低い位置となるように傾くことをいい、本体部2の後傾とは、本体部2の前側(アーム支持部21側)が後ろ側よりも高い位置となるように傾くことをいう。このため、本体部2を前傾させた場合は、フック機構4の位置が相対的に低くなり、本体部2を後傾させた場合は、フック機構4の位置が相対的に高くなる。
このように、傾き制御機構部16によって本体部2とアーム3の傾きを制御することにより、フック機構4のフック32を架空地線140よりも低く配置したり高く配置したりすることが可能となる。
シャフト17は、本体部2に対して垂直に立てて配置されるとともに、シャフト連結部20を介して揺動部19に連結されている。シャフト17の位置は、走行部1の2つの車輪8に自走式電線点検装置100の自重が均等に加わるように、2つの車輪8間の中心位置の直下に設定されている。シャフト17の外周面には、ボールネジ溝とボールスプライン溝が形成されている。シャフト17は、本体部2を上下に貫通するように配置されている。
本体部2の内部には、図示しない制御部と電線点検部が設けられている。制御部は、所定の制御用プログラムに基づいて自走式電線点検装置100の動作を統括的に制御する。電線点検部は、架空地線140よりも下方で鉄塔120に架線される送電線などの電線の点検や、点検用データの取得などを行う。電線点検部が行う点検項目には、たとえば、電線の外観、電線と樹木との離隔距離、電線接続管の発熱などが含まれる。また、これ以外にも、鉄塔120の外観をカメラ等で撮影して点検することも可能である。点検の結果は、本体部2に内蔵する記録装置に電子データとして記録してもよいし、無線通信手段を介した電子データの送受信により外部の装置にデータを取り込んで処理してもよい。
さらに、本体部2の内部には、図7に示すように、昇降回転駆動部14が設けられている。昇降回転駆動部14は、本体部2に対して走行部1をシャフト17の中心軸方向に昇降させる動作と、シャフト17の中心軸まわりに本体部2を回転させる動作を行う。昇降回転駆動部14は、シャフト17のボールネジ溝に嵌合するボールネジナット14aと、シャフト17のボールスプライン溝に嵌合するボールスプラインナット14bと、ボールネジナット14aを回転させるモータ14cと、ボールスプラインナット14bを回転させるモータ14dと、モータ14cの駆動力をボールネジナット14aに伝達する駆動力伝達機構(不図示)と、モータ14dの駆動力をボールスプラインナット14bに伝達する駆動力伝達機構(不図示)と、を備える。駆動力伝達機構は、歯車、ベルト等を用いて構成することができる。
上記構成の昇降回転駆動部14において、モータ14cを駆動すると、その駆動力が駆動力伝達機構を介してボールネジナット14aに伝達される。また、モータ14dを駆動すると、その駆動力が駆動力伝達機構を介してボールスプラインナット14bに伝達される。このため、ボールネジナット14aは、モータ14cの駆動にしたがって回転し、ボールスプラインナット14bは、モータ14dの駆動にしたがって回転する。
ここで、各々のモータ14c,14dの駆動を制御することにより、ボールスプラインナット14bを停止させたままボールネジナット14aだけを回転させると、シャフト17の中心軸方向で本体部2とシャフト17の相対位置が変化する。これにより、シャフト17の中心軸方向において走行部1と本体部2の間の離間距離が変化するため、本体部2の位置を基準に走行部1を相対的に昇降させることができる。
一方、ボールネジナット14aとボールスプラインナット14bを同じ方向に同じ速度で回転させると、本体部2は、シャフト17の中心軸方向に移動することなく、シャフト17の中心軸まわりに回転動作する。これにより、走行部1に対して本体部2の向きが変化する。このため、各々のモータ14c,14dの駆動を制御することにより、本体部2の向きを調整することができる。
本体部2の前部には、アーム支持部21が設けられている。本体部2の前部とは、自走式電線点検装置100が架空地線140上を走行するときに前方に位置する部分をいう。アーム支持部21は、アーム3を移動可能に支持し、傾き制御機構部16やシャフト17よりも前方に位置している。
アーム支持部21には、アーム3を移動自在に支持するアーム支持機構(不図示)と、本体部2に対してアーム3を相対移動させるための駆動源となる2つのモータ25a,25bと、各々のモータ25a,25bに対応する2つのピニオン(不図示)と、が設けられている。2つのモータ25a,25bは、図8に示すように、アーム3の円弧方向に隣り合わせに並んで配置されている。図8では、アーム3の一部のみを表示している。2つのピニオンは、それぞれに対応するモータ25a,25bの駆動により、互いに同期して回転する。各々のピニオンは、アーム3の外側面に形成されたラック28と噛み合うことにより、ラック・アンド・ピニオンを構成する。このため、モータ25a,25bの駆動により2つのピニオンを回転させると、各々のピニオンの回転方向および回転量に応じて本体部2とアーム3の相対位置が変化する。
なお、ここではモータ25a,25bとピニオンを2つずつ用いているが、モータとピニオンを1つずつ用いてもよい。また、1つのモータで2つのピニオンを回転させる構成を採用してもよい。
本体部2の後部には、可動式のバランスウェイト22が連結されている。可動式とは、動かすことができるという意味である。バランスウェイト22は、架空地線140上で自走式電線点検装置100を走行させるときに、自走式電線点検装置100の姿勢を水平に維持することを主たる目的として本体部2の後部に連結されている。本体部2の後部とは、自走式電線点検装置100が架空地線140上を走行するときに後方に位置する部分をいう。
バランスウェイト22は、図9に示すように、所定の長さを有する連結棒23と、連結棒23の先端部に設けられた錘部24と、連結棒23を動作させる駆動部27と、を有する。連結棒23は、真っ直ぐの棒状に形成されている。駆動部27にはモータ26が設けられている。連結棒23の基端部は、本体部2の後部側の下面に、モータ26を駆動源として回転可能に連結されている。このため、バランスウェイト22の向きは、連結棒23の回転動作によって変更可能となっている。
バランスウェイト22は、動作の中心となる支軸(不図示)を含み、この支軸を中心に水平方向に回転動作可能に支持されている。バランスウェイト22の向きは、自走式電線点検装置100が架空地線140上を走行するとき(以下、単に「走行時」ともいう。)と、自走式電線点検装置100が鉄塔120を乗り越えるとき(以下、単に「乗り越え時」ともいう。)で、異なる。具体的には、走行時は、連結棒23を架空地線140に沿って本体部2の後方に伸ばす向きとなり、乗り越え時は、所定のタイミングで連結棒23をアーム3側に折り畳む向きとなる。
(アーム3)
アーム3は、架空地線140を支持する鉄塔120を迂回(回避)するように本体部2を移動させるための迂回路を形成する。アーム3は、たとえば、FRP(Fiber−Reinforced Plastics)などの樹脂により、一定の曲率で円弧型(半円型)に形成されている。アーム3の曲率半径は、鉄塔120やレール121との接触を避けて本体部2を移動させるのに必要な寸法に設定される。
アーム3は、アーム支持部21で本体部2の前部に連結されている。アーム3の外側面にはラック28が形成されている。ラック28は、アーム3の長さ方向の一端から他端にわたって連続的に形成されている。アーム3の長さ方向とは、アーム3の円弧に沿う方向をいう。アーム支持部21において、モータ25a,25bを駆動すると、アーム3の一端部はアーム支持部21から遠ざかる方向に移動し、アーム3の他端部はアーム支持部21に近づく方向に移動する。
(フック機構4)
フック機構4は、アーム3を架空地線140に懸垂させるためにアーム3の両端部に設けられている。アーム3の両端部とは、アーム3の長さ方向の両端部を意味する。
フック機構4は、図10に示すように、ブラケット31と、フック32と、を有する。ブラケット31は、逆さL字形に形成されている。ブラケット31は、アーム3の端部から立ち上がる立ち上がり部31aと、立ち上がり部31aの上端から水平方向に伸びる水平部31bとを一体に有する。水平部31bは、図2に示すように、アーム3の円弧の接線方向と平行な向きで、アーム3側に伸びている。これにより、フック機構4のフック32を架空地線140に引っ掛けたときに、フック機構4が逆手懸垂形式で架空地線140に支持されるようになる。
フック32は、ブラケット31の水平部31bの先端に設けられている。フック32には、逆さU字形の溝が形成されている。フック32は、アーム3を架空地線140に懸垂させるときに、架空地線140に引っ掛けられる部分となる。図2に示すように、2つのフック32を結ぶ仮想直線の中点P1は、アーム3の円弧の中心P2に対して、アーム3の中間部側にずれている。このため、2つのフック32を架空地線140に引っ掛ける場合は、2つのフック32を結ぶ仮想直線上に架空地線140が配置されるよう、アーム3の円弧の中心P2を架空地線140からずらして配置する必要がある。アーム3の中間部とは、アーム3の長さ方向の中間部を意味する。
フック32には、把持爪34(図10)が設けられている。把持爪34は、フック32の溝に対して進退移動可能に設けられている。把持爪34の進退移動は、モータ33の駆動により行われる。モータ33の駆動力は、たとえば歯車等を介して把持爪34に伝達される。架空地線140にフック32を引っ掛けて把持爪34を進出させた場合は、フック32に嵌まり込んだ架空地線140が、フック32の溝内で把持爪34によって把持される。また、その状態から把持爪34を後退させた場合は、把持爪34による架空地線140の把持が解除される。
2つのフック機構4のフック32は、図20に示すように、アーム3の円弧形状に沿う仮想円Vcの半径方向において、走行部1よりも仮想円Vcの中心K側に位置するように配置されている。仮想円Vcの半径は、アーム3の内周面を規定する円弧の曲率半径以上で、かつ、アーム3の外周面を規定する円弧の曲率半径以下とする。
上記図20において、走行部1に支持機構15を介して接続されているシャフト17の位置は、本体部2の後方にずらして設定されている。そして、シャフト17の位置を中心に、走行部1の2つの車輪8が配置されている。一方、アーム3は、本体部2の前後方向でシャフト17よりも前方に設けられたアーム支持部21によって支持されている。そして、アーム3の両端部にそれぞれフック機構4が設けられている。
(重心制御機構5)
重心制御機構5は、自走式電線点検装置100の重心の位置を制御するための機構である。重心制御機構5は、上述した可動式のバランスウェイト22と、アーム3の両端部に接続された可動式のバランスウェイト35と、を用いて構成されている。バランスウェイト35は、主に、アーム3に沿って本体部2を移動させるときのバランスを調整する目的でアーム3の両端部に接続されている。バランスウェイト35は、アーム3の一端部と他端部に1つずつ接続されている。以降の説明では、アーム3の一端部に接続されたバランスウェイト35に符号35aを付し、アーム3の他端部に接続されたバランスウェイト35に符号35bを付すこととする。図11にバランスウェイト35bの斜視図を示す。
バランスウェイト35a,35bは、それぞれ動作の中心となる支軸(不図示)を含み、この支軸を中心に水平方向に回転動作可能に支持されている。バランスウェイト35aは、アーム3の端部に連結された連結棒36aと、連結棒36aの先端部に設けられた錘部37aと、連結棒36aを動作させる駆動部38aと、を有する。同様に、バランスウェイト35bは、アーム3の端部に連結された連結棒36bと、連結棒36bの先端部に設けられた錘部37bと、連結棒36bを動作させる駆動部38bと、を有する。バランスウェイト35a,35bは、図3に示すように、本体部2に接続されたバランスウェイト22とほぼ同じ高さに配置され、これによって各々のバランスウェイト22,35a,35bが同一平面内を移動する構成になっている。これにより、自走式電線点検装置100の高さ寸法を低く抑えることができるとともに、バランスウェイト22,35a,35bの動作によるバランス調整機能の向上を図ることができる。なお、「同一平面内の移動」とは、各々のバランスウェイト22,35a,35bが上下方向において少なくとも一部重なり合う位置関係で移動することをいう。バランスウェイト35aとバランスウェイト35bの基本的な構成は共通であるため、ここではバランスウェイト35aの構成について詳細に説明し、バランスウェイト35bについての詳細な説明は省略する。
連結棒36aは、アーム3の端部の下面側に連結されている。連結棒36aは、アーム3と連結棒36aを上下に位置をずらして重ねたときに、アーム3の円弧形状に沿うように湾曲している。連結棒36aの基端部には、駆動部38aが設けられている。連結棒36aの基端部は、アーム3の端部の下面側に、駆動部38aを介して連結されている。
錘部37aは、連結棒36aの先端部に取り付けられている。錘部37aは、好ましくは、駆動部38aを駆動するためのバッテリーを用いて構成するとよい。この構成を採用すれば、バッテリーの重さを利用して重量バランスを調整することができる。また、バッテリーを別の場所に設ける場合は、バッテリーとは別に錘部37aを設ける必要があるため、装置全体の重量が相対的に重くなるが、錘部37aにバッテリーを用いる場合は、装置全体の重量が相対的に軽くなる。このため、装置の軽量化を図ることができる。なお、本体部1に接続されたバランスウェイト22においても、上記同様の効果を得るために、駆動部27を駆動するためのバッテリーを用いて錘部24を構成することが好ましい。
駆動部38aは、アーム3の端部で上記支軸を中心に連結棒36aを回転させることにより、錘部37aの位置を変化させる。駆動部38aには、駆動源となるモータ39aや図示しない駆動力伝達機構が設けられている。そして、駆動部38aの駆動によって連結棒36aを回転させることにより、上記支軸を中心に錘部37aの位置が変化する構成になっている。
なお、バッテリーを用いて錘部37aを構成する場合は、錘部37aと駆動部38aの間を配線でつなぐ必要がある。その場合は、連結棒36aを中空構造として、連結棒36aの内部に配線を通すようにするとよい。
上記構成からなるバランスウェイト35aにおいて、駆動部38aの駆動により連結棒36aを回転させると、錘部37aの位置は、連結棒36aの回転に応じて変化する。これにより、連結棒36aの回転角度に応じて錘部37aの位置を変化させ、自走式電線点検装置100の重量バランスを調整することができる。また、仮に、連結棒36aを真っ直ぐの棒状に形成すると、錘部37aをアーム3の近くに配置したときに、連結棒36aの直線部分がアーム3の内側に入り込んで鉄塔120に近づくおそれがあるが、連結棒36aをアーム3に沿うように湾曲させておけば、上述のように錘部37aをアーム3の近くに配置したときでも連結棒36aがアーム3の内側に入り込まない。このため、鉄塔120から離した位置に連結棒36aを配置することができる。
<自走式電線点検装置の動作>
次に、本発明の実施形態に係る自走式電線点検装置100の動作について説明する。
本発明の実施形態に係る自走式電線点検装置100は、架空地線140に沿って走行(自走)する動作(以下、「走行動作」という。)と、鉄塔120を乗り越える動作(以下、「乗り越え動作」という。)を順に繰り返しながら、各径間を移動して電線の点検を行う。
(走行動作)
走行動作において、自走式電線点検装置100は、上記図1〜図4に示すように、架空地線140に走行部1を乗せて装置全体を水平姿勢に維持し、その状態で走行部1を回転駆動することにより、架空地線140に沿って走行する。自走式電線点検装置100は、架空地線140を走行中に電線の点検を行う。このとき、本体部2はアーム3の中間部に位置する。アーム3は架空地線140を中心に左右対称に配置される。また、アーム3の両端部はいずれも前方を向いて配置され、アーム3の中間部は後方を向いて配置される。
一方、本体部2に接続されたバランスウェイト22は、錘部24が架空地線140の直下に位置するように、連結棒23を本体部2の後方に真っ直ぐに伸ばした状態に配置される。また、アーム3の両端部に接続されたバランスウェイト35a,35bは、それぞれに対応する錘部37a,37bが本体部2の両サイドに位置するように、連結棒36a,36bを後ろ側(アーム3側)に折り畳んだ状態に配置される。
これにより、自走式電線点検装置100が架空地線140に沿って走行するときは、自走式電線点検装置100の重心が鉛直方向の上方から見て走行部1(好ましくは、2つの車輪8の間)に位置するように制御される。走行時の自走式電線点検装置100の姿勢が理想的な水平姿勢にあるときは、アーム3の両端部と中間部が上下方向で同じ高さに配置されるとともに、本体部2とこれに接続されたバランスウェイト22がそれぞれ水平に配置される。
山間部などに斜めに架線される架空地線140に沿って自走式電線点検装置100を走行させる場合は、架空地線140の傾斜角と傾斜方向に応じて傾き制御機構部16を駆動することにより、シャフト17を鉛直に維持する。これにより、架空地線140の傾きによる自走式電線点検装置100の前後の傾きを補正することができる。この点は、架空地線140のカテナリ曲線による傾斜部分を走行する場合も同様である。
走行動作では、走行部1の回転駆動部分にエンコーダ(不図示)を装着しておき、走行部1の回転駆動量(たとえば、車輪8の回転量など)をエンコーダを用いて計測することにより、自走式電線点検装置100の走行距離と径間での位置を把握することができる。
(乗り越え動作)
次に、自走式電線点検装置100が鉄塔120を乗り越えるときの一連の動作について説明する。
自走式電線点検装置100が鉄塔120を乗り越えるためには、鉄塔120を避けてアーム3を送り出すとともに、アーム3の両端部にある2つのフック機構4を架空地線140に引っ掛ける必要がある。図12は、2つのフック機構4を架空地線140に引っ掛けたときの自走式電線点検装置100の状態を示す斜視図であり、図13はその平面図である。また、図14は、図12に示す自走式電線点検装置100をE3方向から見たときの側面図であり、図15は、図12に示す自走式電線点検装置100をE4方向から見たときの側面図である。
図16〜図19は、本発明の実施形態に係る自走式電線点検装置の乗り越え動作を時系列に示す平面図である。
まず、自走式電線点検装置100は、架空地線140に沿って走行中に鉄塔120に近づくと、図16(A)に示すように、鉄塔120の手前で減速して停止する。自走式電線点検装置100の停止位置は、自走式電線点検装置100に搭載されたセンサ(不図示)を用いて制御される。センサとしては、たとえば、近接センサを用いることができる。
近接センサを用いる場合は、本体部2の前部(アーム支持部21)に近接センサを配置する。その際、近接センサは、自走式電線点検装置100の走行方向で鉄塔120に対向するよう、前方を向けて配置する。これにより、自走式電線点検装置100から鉄塔120までの離間距離を近接センサで検出することができる。したがって、近接センサの検出結果に基づいて予め決められた離間距離のところに自走式電線点検装置100を停止することが可能となる。
次に、傾き制御機構部16を駆動することにより、本体部2とアーム3を前傾させる。具体的には、傾き制御機構部16の揺動部19に設けられたモータ12を駆動することにより、ガイドレール18に沿って揺動部19を後方に揺動させる。これにより、揺動部19の揺動動作に応じて本体部2とアーム3が前傾する。アーム3が前傾すると、アーム3の両端部にあるフック機構4のフック32が架空地線140よりも下方に変位する(図6(B))。なお、本体部2とアーム3を前傾させる前は、両者の姿勢は水平に維持され、その状態ではフック機構4のフック32が架空地線140とほぼ同じ高さ位置に配置される(図6(A))。
傾き制御機構部16によって本体部2とアーム3を前傾させる場合は、必要に応じて、左右のバランスウェイト35a,35bを、それぞれに対応する連結棒36a,36bの回転動作によって前方に伸ばしてもよい。バランスウェイト35a,35bを前方に伸ばすと、アーム3の重心が前方に移動する。このため、傾き制御機構部16に大きな負荷をかけることなく、錘部37a,37bの重さを利用して本体部2とアーム3をスムーズに前傾させることができる。
次に、鉄塔120の周囲に迂回路を形成すべく、アーム3の一端部を前方に送り出す。このとき、アーム3の両端部のうちどちらのアーム端を前方に送り出してもよいが、好ましくは、本体部2を支持している支持機構15の位置によって決めるとよい。支持機構15は、架空地線140の位置を基準に、左右いずれか一方に存在する。アーム3を送り出すときは、支持機構15と同じ側に存在するアーム3の一端部を前方に送り出すとよい。理由は、その後の動作で本体部2をアーム3に沿って移動させるときに、昇降回転駆動部14の駆動により支持機構15を下降させなくても、支持機構15と架空地線140の干渉を回避でき、乗り越え動作がシンプルになるメリットが得られるからである。このため、本実施形態では、支持機構15と同じ側に存在するアーム3の一端部を前方に送り出すものとする。
また、アーム3の送り出しに際しては、アーム3の円弧の中心を鉄塔120の中心位置からずらすために、昇降回転駆動部14の駆動により、走行部1に対して本体部2の向きを傾ける。このように本体部2の向きを傾ける理由は、鉄塔120を迂回するようにアーム3を送り出した場合に、フック機構4のフック32を架空地線140に位置合わせするためである。
アーム3の送り出しは、アーム支持部21に設けられた2つのモータ25a,25bを駆動することにより行う。2つのモータ25a,25bを駆動すると、アーム支持部21の内部でアーム3のラック28に噛み合う2つのピニオンが同じ方向に同じ量ずつ回転する。このため、アーム3の円弧に沿う仮想円の円周方向において、本体部2とアーム3の相対位置が変化する。そして、両者の相対位置の変化により、アーム3の一端部は本体部2から遠ざかる方向に移動し、アーム3の他端部は本体部2に近づく方向に移動する。これにより、アーム3の一端部を前方に送り出すことができる。
このようにアーム3の一端部を前方に送り出すと、自走式電線点検装置100の左右方向の重量バランスが変わり、自走式電線点検装置100が左右方向に傾くおそれがある。そこで、アーム3を送り出す場合は、各々のバランスウェイト22,35a,35bを適宜回転動作させることにより、自走式電線点検装置100の左右の重量バランスを適正に維持する。
具体的には、自走式電線点検装置100が左右に大きく傾かないよう、図16(B)〜(D)および図17(A)〜(C)に示すように、一方のバランスウェイト35aは錘部37aがアーム3から離れるように図の反時計回り方向に回転動作し、他方のバランスウェイト35bは錘部37bがアーム3に近づくように図の時計回り方向に回転動作する。これにより、自走式電線点検装置100の重心の位置を架空地線140上(好ましくは、走行部1の2つの車輪8間)またはその近傍に維持することができる。このため、アーム3の一端部を送り出すときに自走式電線点検装置100の姿勢の崩れを抑制することができる。
また、上述したようにアーム3の送り出しに際して本体部2とアーム3を前傾させた場合は、フック機構4のフック32が架空地線140よりも下方に配置されるため、フック32と架空地線140の干渉を避けることができる。さらに、アーム3の送り出し中にバランスウェイト35a,35bを適宜回転動作させることにより、アーム3の前傾姿勢を維持するすることができる。アーム3の前傾姿勢を維持するとは、2つのフック機構4のフック32が架空地線140よりも低くなるようにアーム3の姿勢を維持することをいう。
また、アーム3の送り出しを開始する前にアーム3を前傾させる場合は、アーム3の両端部を走行動作のときと同様に前方に向けたまま、傾き制御機構部16の駆動によりアーム3を前傾させることができる。このため、走行動作から乗り越え動作に素早く移行することができる。ただし、アーム3を前傾させるタイミングは、フック機構4が架空地線140に干渉する前であれば、どのようなタイミングに設定してもかまわない。
また、図17(C)に示すように、バランスウェイト35bの錘部37bをアーム3の近傍まで近づけると、連結棒36bがアーム3に重なり合う。このとき、連結棒36bを湾曲して形成しておけば、アーム3の円弧の内側に連結棒36bが入り込まない。このため、鉄塔120と連結棒36bとの間に適度な空隙を確保することができる。
次に、アーム3を前傾姿勢に維持したまま、フック機構4のフック32が架空地線140の下を通過したら、アーム3の送り出しを停止する。このとき、アーム3の両端部は、架空地線140を基準に見て、左右方向で同じ側に配置される。この場合も、バランスウェイト35a,35bの回転動作により、自走式電線点検装置100の左右の重量バランスが適正に維持される。したがって、自走式電線点検装置100の左右方向の傾きを抑制することができる。
次に、傾き制御機構部16の駆動により、本体部2とアーム3を後傾させる。具体的には、傾き制御機構部16の揺動部19に設けられたモータ12を駆動することにより、ガイドレール18に沿って揺動部19を前方に揺動させる。これにより、揺動部19の揺動動作に応じて本体部2とアーム3が後傾する。アーム3が後傾すると、アーム3の両端部にあるフック機構4のフック32が架空地線140よりも上方に変位する(図6(C))。このとき、2つのフック機構4のフック32が架空地線140のほぼ直上にくるように、昇降回転駆動部14の駆動によって本体部2の向きを調整しておく。
次に、傾き制御機構部16の駆動により、本体部2とアーム3を水平姿勢に戻す。このとき、アーム3の姿勢変化を利用して2つのフック機構4のフック32を架空地線140に引っ掛ける。その場合は、傾き制御機構部16を駆動するだけでなく、昇降回転駆動部14の駆動により本体部2とアーム3を適宜昇降動作させる。これにより、まず、本体部2に近い側のフック32を架空地線140に引っ掛け、次に、本体部2から遠い側のフック32を架空地線140に引っ掛ける。あるいは、本体部2から遠い側のフック32を先に架空地線140に引っ掛け、その後で、本体部2に近い側のフック32を架空地線140に引っ掛けてもよい。また、フック32に設けられた把持爪34を進出させて、架空地線140を把持する。
次に、昇降回転駆動部14の駆動により走行部1を上昇させる。これにより、架空地線140よりも高い位置に走行部1が持ち上げられる。このため、後述する本体部2の移動に際して、走行部1が架空地線140に干渉することがない。また、上述したアーム3の送り出しに際しては、左右方向で支持機構15と同じ側に存在するアーム3の一端部を送り出すようにしている。このため、後述する本体部2の移動に際して、支持機構15が架空地線140に干渉することがない。ただし、架空地線140の水平角が180度未満(たとえば、90度)の場合は、支持機構15と反対側に位置するアーム3の一端部を送り出すことがある。その場合は、昇降回転駆動部14や傾き制御機構部16などを適宜駆動することにより、走行部1を架空地線140より下げてから、本体部2の移動を開始することにより、走行部1や支持機構15が架空地線140に干渉することを回避することができる。
次に、アーム3に沿って本体部2を移動させる。これにより、本体部2は、走行部1と共に、鉄塔120を迂回するように移動する。
また、乗り越え動作のためにアーム3に沿って本体部2を移動させるときは、重心制御機構5の駆動により、走行動作の場合と比べて、自走式電線点検装置100の重心の位置を変える。具体的には、走行動作では、自走式電線点検装置100の重心が鉛直方向の上方から見て走行部1に位置するように制御し、乗り越え動作では、自走式電線点検装置100の重心が鉛直方向の上方から見て2つのフック機構4間に位置するように制御する。
自走式電線点検装置100の重心を移動させる場合は、本体部2の移動に先立って、図17(D)および図18(A)〜(C)に示すように、左右のバランスウェイト35a,35bが次のように回転動作する。バランスウェイト35aは錘部37aがアーム3から離れるように図の時計回り方向に回転動作し、バランスウェイト35bは錘部37bがアーム3から離れる方向に図の反時計回り方向に回転動作する。また、バランスウェイト22は錘部24がアーム3に近づくように図の反時計回り方向に回転動作する。これにより、自走式電線点検装置100の重心の位置を架空地線140上またはその近傍に維持することができる。また、バランスウェイト22を反時計回り方向に回転動作させて折り畳むことにより、これを折り畳む前に比べて、本体部2の移動中における錘部24の影響を小さく抑えることができる。
本体部2をアーム3の中間部まで移動させた時点では、図18(D)に示すように、アーム3の両端部にあるバランスウェイト35a,35bを、本体部2とは反対側に伸ばす。これにより、自走式電線点検装置100の重心の位置は、2つのフック機構4間、より好ましくは2つのフック機構4のフック32どうしを結ぶ仮想直線上またはその近傍に存在するように制御される。
その後、本体部2は、図19(A)〜(D)に示すように、アーム3に沿って移動終端まで移動する。このとき、本体部2が移動を終える前(本体部2がアーム3の端まで移動し終える前)までに、昇降回転駆動部14の駆動により、本体部2に対して走行部1と支持機構15の向きを反転させる。これにより、支持機構15と架空地線140の干渉を回避することができる。また、上述のように本体部2がアーム3上を移動している間も、自走式電線点検装置100の重心の位置が2つのフック機構4間に存在するよう、バランスウェイト22,35a,35bが回転動作する。具体的には、バランスウェイト22は、図の時計回り方向に180度超の角度で回転動作することにより、図18(D)の場合と反対方向に折り畳まれる。バランスウェイト35aは、図19(B)に示すように、バランスウェイト22と反対側に延在するように図の時計回り方向に回転動作する。バランスウェイト35bは、ほとんど回転動作せずに停止したままとなる。これにより、アーム3に沿って本体部2が移動している場合でも、自走式電線点検装置100の左右方向の重量バランスを適正に維持することができる。したがって、自走式電線点検装置100の左右方向の傾きを抑制することができる。
次に、本体部2の移動を終えたら、昇降回転駆動部14の駆動により、走行部1と本体部2の相対的な向きを調整することにより、架空地線140の直上に走行部1を配置する。このとき、走行部1の向きを架空地線140に沿わせる。
次に、昇降回転駆動部14の駆動により走行部1を下降させることにより、架空地線140上に走行部1を着地させる。これにより、走行部1を架空地線140に乗せることができる。
次に、2つのフック機構4のフック32において、それぞれ把持爪34をフック32の溝部分から後退動作させることにより、把持爪34による架空地線140の把持状態を解除する。
次に、傾き制御機構部16の駆動により、本体部2とアーム3を後傾させるとともに、昇降回転駆動部14の駆動により本体部2とアーム3を上昇させる。これにより、2つのフック機構4のフック32が架空地線140よりも上方に変位する。このため、フック32を架空地線140から外すことができる。本体部2の後傾とは、先述したとおり本体部2の前側(アーム支持部21側)が後ろ側よりも高い位置となるように傾くことをいい、本体部2の後傾にしたがってアーム3も後傾する。
次に、フック機構4が架空地線140に干渉しないように、アーム3に沿って本体部2を所定量だけ移動させる。
次に、傾き制御機構部16を駆動することにより、本体部2とアーム3を前傾させる。これにより、2つのフック機構4のフック32が架空地線140よりも下方に変位する。本体部2の前傾とは、先述したとおり本体部2の前側(アーム支持部21側)が後ろ側よりも低い位置となるように傾くことをいい、本体部2の前傾にしたがってアーム3も前傾する。
次に、モータ25a,25bの駆動によってアーム3を引き戻すことにより、アーム3の中間部を本体部2まで変位させる。アーム3を引き戻すとは、鉄塔120よりも後方にあるアーム3の端部を本体部2側に引き込む方向にアーム3を移動させることをいう。これにより、アーム3の両端部は後方を向いて配置される。アーム3を引き戻すときに、アーム3の後方の端部が架空地線140の下をくぐったら、傾き制御機構部16の駆動により、本体部2とアーム3を水平な姿勢に戻しておく。
次に、鉄塔120から遠ざかる方向に自走式電線点検装置100を所定量だけ走行させる。ここで記述する所定量とは、次の動作で本体部2の向きを変えるときに、アーム3等が鉄塔120に干渉しない程度の量をいう。
次に、アーム3の両端部が前方を向くように、昇降回転駆動部14の駆動により、本体部2の向きを変える。これにより、一連の乗り越え動作が完了となる。
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果が得られる。
(a)アーム3の両端部にそれぞれ可動式のバランスウェイト35a,35bを接続し、これらのバランスウェイト35a,35bを用いて重心制御機構を構成している。この構成によれば、アーム3の両端部のバランスウェイト35a,35bを動かすことにより、自走式電線点検装置100の重量バランスを大きく変化させることができる。このため、バランスウェイト35a,35bがない場合に比べて、自走式電線点検装置100の姿勢をより安定的に制御することが可能となる。
(b)アーム3の両端部にそれぞれ連結棒36a,36bを介して錘部37a,37bを連結し、連結棒36a,36bの動作によって錘部37a,37bの位置を変化させる構成を採用している。この構成によれば、アーム3の各端部から連結棒36a,36bの長さを利用して錘部37a,37bを離して配置することができる。このため、連結棒36a,36bの動作によって錘部37a,37bの位置を変化させたときに、アーム3の両端部に作用する錘部37a,37bのバランス調整力を高めることができる。
(c)連結棒35a,35bの基端部をアーム3の端部に回転可能に支持し、連結棒35a,35bの先端部に錘部37a,37bを配置している。これにより、連結棒36a,36bの回転動作によって錘部37a,37bの位置を大きく変化させることができる。また、連結棒36a,36bの回転動作により、錘部37a,37bを多方位に配置することができる。
(d)自走式電線点検装置100が架空地線140に沿って走行するときと鉄塔120を乗り越えるときで、自走式電線点検装置100の重心の位置を変えることにより、自走式電線点検装置100の姿勢をより適切に制御することができる。
(e)自走式電線点検装置100が架空地線140に沿って走行するときは、自走式電線点検装置100の重心が走行部1に位置するように制御し、自走式電線点検装置100が鉄塔120を乗り越えるときは、自走式電線点検装置100の重心が2つのフック機構4間に位置するように制御する構成を採用している。これにより、自走式電線点検装置100の走行時と乗り越え時のいずれでも、自走式電線点検装置100の姿勢の崩れを効果的に抑制することができる。
(f)アーム3の両端部に接続されるバランスウェイト35a,35bの連結棒36a,36bを、それぞれアーム3の円弧形状に沿うように湾曲して形成している。これにより、連結棒36a,36bの動作によって錘部37a,37bをアーム3に近づけるべく、アーム3と連結棒36a,36bを重ねて配置したときに、連結棒36a,36bがアーム3の円弧の内側(鉄塔120に近づく方向)に入り込むことを抑制することができる。よって、連結棒36a,36bが鉄塔120に干渉しにくくなる。
(g)バランスウェイト35a,35bの錘部37a,37bをそれぞれ駆動部38a,38bを駆動するためのバッテリーを用いて構成している。これにより、バッテリーの重さを利用して重量バランスを調整することができる。
(h)鉄塔120を迂回する迂回路を形成すべくアーム3を送り出すときに、傾き制御機構部16によってアーム3を前傾させることにより、アーム3の両端部に設けられたフック機構4を架空地線140よりも低く配置することができる。これにより、アーム3を送り出したときに、フック機構4が架空地線140の下を通過するようになる。このため、フック機構4を架空地線140に干渉させることなく、アーム3を送り出すことができる。
(i)傾き制御機構部16によってアーム3を前傾させたときに、重心制御機構5は、アーム3の前傾姿勢を維持するように重心の位置を制御する。これにより、アーム3の送り出しに際して、フック機構4と架空地線140の干渉をより確実に回避することができる。
(j)フック機構4のフック32を、アーム3の円弧形状に沿う仮想円Vcの半径方向において、走行部1よりも仮想円Vcの中心K側に配置している。この構成を採用した場合は、図20に示すように、水平角180度で鉄塔120に架線された架空地線140に、2つのフック機構4のフック32をそれぞれ引っ掛けたときに、走行部1の2つの車輪8と干渉しない位置にフック機構4のフック32が配置される。このため、乗り越え動作を行うときに、走行部1の車輪8がフック機構4のフック32よりも鉄塔120側に近づくことがない。したがって、上記特許文献2に記載の高架線移動装置に比べて、次のような効果が得られる。
まず、特許文献2に記載の高架線移動装置では、水平角180度で架空地線が架線された鉄塔を乗り越えるために円弧型のアームを送り出したときに、走行部の2つの車輪の間に後方のフックが配置される(特許文献2の第21図参照)。その際、走行部の前方の車輪(以下、「前輪」という。)は、後方のフックよりも鉄塔側に配置される。このため、たとえば鉄塔に耐張クランプを用いて架空地線が支持されている場合は、前輪が耐張クランプに達する手前で走行部を停止させる必要がある。その結果、後方のフックは、前輪よりもさらに手前(耐張クランプや鉄塔から離れた位置)で停止することになるため、後方のフックから鉄塔の中心までの距離が長くなる。したがって、鉄塔の乗り越えに必要なフック間距離が長くなり、その分だけ円弧型のアームの長さや曲率半径も大きくなる。
また、乗り越え動作では、上述したように走行部の2つの車輪の間に後方のフックが配置されるため、たとえば走行部をクローラ型にすると、後方のフックが走行部に干渉してしまう。このため、特許文献2に記載の高架線移動装置では、クローラ型の走行部を適用することができない。
これに対し、本発明の実施形態に係る自走式電線点検装置100では、水平角180度で鉄塔120に架線された架空地線140を乗り越えるために円弧型のアーム3を送り出したときに、後方(図の左側)のフック32は、走行部1の2つの車輪8よりも鉄塔120寄りの位置に配置される。この場合、自走式電線点検装置100を鉄塔120に近づけるときの接近限界は、図20に示すように、走行部1の前方(図の右側)の車輪8ではなく、後方のフック32の位置で決まる。このため、たとえば鉄塔120に耐張クランプを用いて架空地線140が支持されている場合は、後方のフック32を前方の車輪8よりも耐張クランプや鉄塔120に近づけて配置することができる。よって、特許文献2に記載の高架線移動装置に比べて、後方のフック32から鉄塔120の中心までの距離が短くなる。したがって、鉄塔120の乗り越えに必要なフック間距離Lが短くなり、その分だけアーム3の長さや曲率半径が小さくなる。その結果、アーム3の小型化を図ることが可能となる。
また、乗り越え動作では、上述したように走行部1の2つの車輪8よりも鉄塔120寄りの位置に後方のフック32が配置されるため、走行部1とフック32の位置的な干渉が起こらない。したがって、クローラ型の走行部1を適用することができる。クローラ型の走行部1は、ローラ型の走行部に比べて、架空地線140に対するグリップ力が高いため、走行性能(特に、登坂性能など)に優れるとともに、滑り等による位置の誤差が少ない。このため、クローラ型の走行部1を用いて自走式電線点検装置100を構成すれば、自走式電線点検装置100の位置を精度良く制御することができる。
さらに、本発明の実施形態に係る自走式電線点検装置100では、水平角180度未満で架空地線140が架線された鉄塔120を乗り越える場合に、特許文献2に記載の高架線移動装置に比べて、本体部の移動距離を短くすることができる。その理由は、次のとおりである。
まず、特許文献2に記載の高架線移動装置では、上述したように走行部の2つの車輪の間に後方のフックが配置され、その走行部の直下に本体部が配置される。このため、円弧型のアームに沿って本体部を移動させる場合は、架空地線の水平角の違いに関わらず、常に、アームの端から端まで(換言すると、後方のフックから前方のフックまで)本体部を移動させる必要がある。したがって、本体部の移動距離は、アームの全長に等しくなる。
これに対して、本発明の実施形態に係る自走式電線点検装置100では、たとえば図21に示すように、水平角90度で架空地線140が架線された鉄塔120を乗り越える場合に、本体部2の移動開始位置が、アーム3の端部より少し内側(アーム3の中間部に近い側)になる。その理由は、走行部1の2つの車輪8が架空地線140上にある状態で、2つのフック32を架空地線140に引っ掛けるために、昇降回転駆動部14の駆動によって本体部2の向きを斜めに傾けると、アーム支持部21がアーム3の中間部側に変位するからである。一方、本体部2の移動終了位置も、アーム3の端部より少し内側になる。その理由は、2つのフック32を架空地線140に引っ掛けた状態で、走行部1の2つの車輪8を移動先の架空地線140上に位置合わせするために、昇降回転駆動部14の駆動によって本体部2の向きを斜めに傾けると、アーム支持部21がアーム3の中間部側に変位するからである。これにより、本体部2がアーム3に沿って移動するときの移動距離が、アーム3の全長よりも短くなる。したがって、特許文献2に記載の高架線移動装置に比べて、乗り越え動作に必要な本体部2の移動距離を短くすることができる。よって、本体部2の移動に要する時間を短縮することができる。
<他の実施形態等>
本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
たとえば、上記実施形態においては、クローラ型の走行部1を採用したが、架空地線140上を走行可能なものであれば、クローラ型以外の構成を採用してもよい。
また、上記実施形態においては、円弧型のアームの形状として、正円に沿う円弧を想定しているが、これに限らず、たとえば楕円に沿う円弧であってもよい。
また、上記実施形態においては、可動式のバランスウェイトによるバランス調整を連結棒の回転動作によって行うものとしたが、これに限らず、たとえば連結棒の長さ方向に錘部を移動可能とし、錘部の移動によってバランス調整を行うものであってもよいし、連結棒の回転動作と錘部の移動動作によってバランス調整を行うものであってもよい。また、バランス調整が可能な構成であれば、必ずしも連結棒と錘部を用いる必要はない。
1…走行部
2…本体部
3…アーム
4…フック機構
5…重心制御機構
6…コマ
8…車輪
9…フレーム
12…モータ
14…昇降回転駆動部
15…支持機構
16…傾き制御機構部
17…シャフト
18…ガイドレール
18a…ラック
19…揺動部
20…シャフト連結部
21…アーム支持部
22…バランスウェイト
23…連結棒
24…錘部
25a,25b…モータ
26…モータ
28…ラック
31…ブラケット
31a…立ち上がり部
31b…水平部
32…フック
33…モータ
34…把持爪
35(35a,35b)…バランスウェイト
36(36a,36b)…連結棒
37(37a,37b)…錘部
38(38a,38b)…駆動部
100…自走式電線点検装置
120…鉄塔
121…レール
140…架空地線

Claims (7)

  1. 鉄塔間に架線された架空地線に沿って走行しながら電線の点検を行う自走式電線点検装置であって、
    前記架空地線上を走行可能な走行部と、
    前記走行部の下方に配置される本体部と、
    前記本体部に対して相対移動可能に連結され、前記鉄塔を迂回するように前記本体部を移動させるための迂回路を形成する円弧型のアームと、
    前記アームを前記架空地線に懸垂させるために前記アームの両端部に設けられたフック機構と、
    前記アームの両端部に接続された可動式のバランスウェイトを含み、前記自走式電線点検装置の重心の位置を制御する重心制御機構と、
    を備える自走式電線点検装置。
  2. 前記バランスウェイトは、前記アームの両端部にそれぞれ連結棒を介して連結された錘部を有し、
    前記重心制御機構は、前記連結棒の動作によって前記錘部の位置を変化させることにより、前記自走式電線点検装置の重心の位置を制御する
    請求項1に記載の自走式電線点検装置。
  3. 前記連結棒の基端部は、前記アームの端部に回転可能に支持され、
    前記錘部は、前記連結棒の先端部に配置されている
    請求項2に記載の自走式電線点検装置。
  4. 前記重心制御機構は、前記自走式電線点検装置が前記架空地線に沿って走行するときと、前記自走式電線点検装置が前記鉄塔を乗り越えるときで、前記自走式電線点検装置の重心の位置が異なるように制御する
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の自走式電線点検装置。
  5. 前記重心制御機構は、前記自走式電線点検装置が前記架空地線に沿って走行するときは、鉛直方向の上方から見て前記走行部に前記重心が位置するように制御し、前記自走式電線点検装置が前記鉄塔を乗り越えるときは、鉛直方向の上方から見て前記アームの両端部に設けられた前記フック機構間に前記重心が位置するように制御する
    請求項4に記載の自走式電線点検装置。
  6. 前記連結棒は、前記アームの円弧形状に沿うように湾曲している
    請求項2または3に記載の自走式電線点検装置。
  7. 前記バランスウェイトは、前記錘部の位置を変化させるための駆動部を含み、
    前記錘部は、前記駆動部を駆動するためのバッテリーを用いて構成されている
    請求項2または3に記載の自走式電線点検装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114104135A (zh) * 2021-11-10 2022-03-01 南京欣三人行网络科技有限公司 一种高空缆线用爬行机器人及爬行方法
CN114633245A (zh) * 2020-12-16 2022-06-17 国网智能科技股份有限公司 一种架空线路全程巡检机器人及方法

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