JP2018206854A - 積層構造体及びスピン変調素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】電界により強磁性体のスピン分極率を安定的に変調できる積層構造体及びスピン変調素子を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の一態様にかかる積層構造体は、強磁性層と、前記強磁性層の一面に形成されたマルチフェロイック層と、を備え、前記マルチフェロイック層の前記強磁性層側の表面は、結晶相が菱面体晶である第1領域と、結晶相が正方晶である第2領域と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、積層構造体及びスピン変調素子に関する。
磁性体が有するスピンを利用した素子は、様々な用途で用いられている。例えば、強磁性層と非磁性層の多層膜からなる巨大磁気抵抗(GMR)素子、非磁性層に絶縁層(トンネルバリア層、バリア層)を用いたトンネル磁気抵抗(TMR)素子等の磁気抵抗効果素子が知られている。磁気抵抗効果素子は、磁気センサ、高周波部品、磁気ヘッド、磁気記録媒体及び不揮発性ランダムアクセスメモリ(MRAM)等に利用されている。
磁気抵抗効果素子は、二つの強磁性層の磁化の向きの違いに伴う抵抗値変化を出力する。二つの強磁性層の磁化の向きが平行の状態を“0”とし、二つの強磁性層の磁化の向きが反平行の状態を“1”とすることで、磁気抵抗効果素子は2値のデータを出力できる。
一方で、近年のデータの高容量化に伴い、データをより高密度に集積することが求められている。その一つの手段として、データを2値以上の多値で記録できる素子の開発が進められている。例えば、特許文献1及び2には、電界を利用して強磁性層のスピン分極率を変調することで、データを多値で記録できる素子が記載されている。
特開2016−63024号公報 特開2016−63062号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載の素子は、充分な電界を誘電分極により生じさせることができない場合、及び、強磁性層の磁化の異方性が充分ではない場合があり、データを多値で安定的に記録することができない場合がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電界により強磁性体のスピン分極率を安定的に変調できる積層構造体及びスピン変調素子を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様にかかる積層構造体は、強磁性層と、前記強磁性層の一面に形成されたマルチフェロイック層と、を備え、前記マルチフェロイック層の前記強磁性層側の表面は、結晶相が菱面体晶である第1領域と、結晶相が正方晶である第2領域と、を有する。
(2)上記態様にかかる積層構造体において、前記マルチフェロイック層の前記強磁性層側の表面が、結晶相が正方晶でも菱面体晶のいずれでもない第3領域を有してもよい。
(3)上記態様にかかる積層構造体において、前記表面を占める前記第1領域の割合が30%以上70%以下であってもよい。
(4)上記態様にかかる積層構造体において、前記表面を占める前記第2領域の割合が30%以上70%以下であってもよい。
(5)上記態様にかかる積層構造体において、前記表面を占める前記第3領域の割合が0%以上30%以下であってもよい。
(6)上記態様にかかる積層構造体において、前記第1領域が前記表面に複数存在する構成でもよい。
(7)上記態様にかかる積層構造体において、前記第2領域が前記表面に複数存在する構成でもよい。
(8)上記態様にかかる積層構造体において、前記マルチフェロイック層は、BiFeO、BiMnO、GaFeO、AlFeO、(Ga,Al)FeO、YMnO、CuFeO、Cr、NiBi13I、LiMnPO、YFe13、TbPO、LiCoPOからなる群から選択されるいずれかを含んでもよい。
(9)上記態様にかかる積層構造体において、前記強磁性層がハーフメタルであってもよい。
(10)上記態様にかかる積層構造体において、前記強磁性層は、XYZの組成式で表記されるホイスラー合金を含み、前記組成式中のXは周期表上でCo、Fe、Ni、Cu族の遷移金属元素または貴金属元素であり、YはMn、V、Cr、Ti族の遷移金属又はXの元素種であり、Zは、III族からV族の典型元素であってもよい。
(11)第2の態様にかかるスピン変調素子は、上記態様にかかる積層構造体と、前記積層構造体の前記強磁性層に順に積層された非磁性層及び第2強磁性層と、を備える。
上記態様にかかる積層構造体及びスピン変調素子は、電界により強磁性体のスピン分極率を安定的に変調できる。
本実施形態にかかるスピン変調素子を模式的に示した図である。 本実施形態にかかるマルチフェロイック層の強磁性層側の表面を平面視した図である。 本実施形態にかかるマルチフェロイック層の強磁性層側の表面の別の例を平面視した図である。 スピン変調素子の動作を説明するための模式図である。
以下、本実施形態について、図面を用いてその構成を説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではない。
(スピン変調素子)
図1は、本実施形態にかかるスピン変調素子を模式的に示した図である。図1に示すスピン変調素子100は、積層構造体10と非磁性層20と第2強磁性層30とを備える。また第2強磁性金属層30の非磁性層20と反対側の面には電極40を備えてもよい。
「積層構造体」
積層構造体10は、強磁性層1とマルチフェロイック層2とを備える。図1では、積層構造体10をスピン変調素子100の構成の一部として図示しているが、積層構造体10のみでもAMR(磁気異方性)センサ等として用いることもできる。
強磁性層1は、一方向に磁化が配向した磁性体を含む。強磁性層1を構成する磁性体は、磁気異方性の強い物質を用いることが好ましい。例えば、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群から選択される金属及びこれらの金属を1種以上含み強磁性を示す合金を用いることができる。またこれらの金属と、B、C、及びNの少なくとも1種以上の元素とを含む合金を用いることもできる。具体的には、FeやCo−Fe等が挙げられる。
また強磁性層1は、ハーフメタルであることが好ましい。ハーフメタルは、片方の電子スピンが金属的なバンド構造を示し、もう片方の電子スピンが絶縁体的なバンド構造を示す物質である。ハーフメタルは、フェルミ面では理想的には1に近い大きなスピン分極率を示す。
またハーフメタルとして、ホイスラー合金、マグネタイト(Fe)、ペロブスカイト型Mn酸化物等が知られているが、ホイスラー合金が特に好ましい。ホイスラー合金は、III−V族半導体との高い格子整合性、室温以上のキュリー温度、フェルミ面近傍での大きなバンドギャップ等の特徴を有し、室温においても高いスピン分極率を示すことができる。
ホイスラー合金は、XYZの化学組成をもつ金属間化合物を含み、Xは、周期表上でCo、Fe、Ni、あるいはCu族の遷移金属元素または貴金属元素であり、Yは、Mn、V、CrあるいはTi族の遷移金属でありXの元素種をとることもでき、Zは、III族からV族の典型元素である。例えば、CoFeSi、CoMnSi及びCoMn1−aFeAlSi1−bなどが挙げられる。
マルチフェロイック層2は、強磁性層1の一面に形成されている。マルチフェロイック層2は、磁気秩序と強誘電秩序の性質を併せ持つマルチフェロイック材料を有する。マルチフェロイック材料としては、BiFeO、BiMnO、GaFeO、AlFeO、(Ga,Al)FeO、YMnO、CuFeO、Cr、NiBi13I、LiMnPO、YFe12、TbPO、LiCoPOからなる群から選択されるいずれかを用いることができる。またマルチフェロイック材料は、特性を失わない範囲で、上記の物質の一部の元素を置換したものを用いることができる。例えば、XYOと表記される物質のXの一部を他の3価の元素で置換したり、Yの一部を3d遷移金属の他の元素で置換してもよい。またマルチフェロイック材料に酸素欠損等が生じていてもよい。これらの材料の中でもBiFeOは、キュリー温度及びネール温度が何れも高く、広い温度域で強誘電特性及び強磁性特性を示すため、特に好ましい。
マルチフェロイック材料は、結晶構造によってその特性が異なる。結晶構造が菱面体晶の場合は、強誘電特性及び強磁性特性の双方を示し、特に強磁性特性に優れる。これに対し、結晶構造が正方晶の場合は、強誘電特性に優れるが、強磁性特性はあまり示さない。
マルチフェロイック層2は、強磁性層1に少なくとも二つの影響を与える。第1の影響はマルチフェロイック層2の有する強磁性特性に由来するものであり、第2の影響はマルチフェロイック層2の有する強誘電特性に由来するものである。
マルチフェロイック層2が強磁性特性を示すと、マルチフェロイック層2の磁化の影響を受けて、強磁性層1の磁化の向きが一方向に強く配向する(第1の影響)。すなわち、マルチフェロイック層2は、その強磁性特性により強磁性層1の磁化をピン止めする効果を有する。強磁性層1の磁化が一方向に強く固定されると、対向する第2強磁性層30との間で発現する磁気抵抗効果が大きくなり、磁気抵抗効果に伴う抵抗値変化率(MR比)を大きくなる。
一方で、マルチフェロイック層2が強誘電特性を示すと、マルチフェロイック層2は誘電分極する。誘電分極によって生じる電荷は、強磁性層1内のマルチフェロイック層2側の界面に電荷を誘起し、その界面電荷による電界は強磁性層1のバンド構造を変え、強磁性層1のスピン分極率を変調する(第2の影響)。スピン分極率が変調すると、スピン変調素子100の多値化が実現できる。例えば、強磁性層1のスピン分極率が1.0で第2強磁性層30と平行な場合と、強磁性層1のスピン分極率が0.5で第2強磁性層30と平行な場合とでは、強磁性層1と第2強磁性層30の間の抵抗値が異なるためである。
マルチフェロイック層2が強磁性層1に与える影響としては、第1の影響及び第2の影響のいずれも重要である。結晶構造が菱面体晶の場合は、強磁性特性に優れるため、第1の影響を強磁性層1に大きく与えることができる。これに対し、結晶構造が正方晶の場合は、強誘電特性に優れるため、第2の影響を強磁性層1に大きく与えることができる。
図2は、本実施形態にかかるマルチフェロイック層2の強磁性層1側の表面2aを平面視した図である。図2に示すように、本実施形態にかかるマルチフェロイック層2の強磁性層1側の表面2aは、結晶相が菱面体晶である第1領域2Aと、結晶相が正方晶である第2領域2Bと、を有する。ここで、正方晶とは、c軸がa軸に対して90°である構造に限らず、c軸がa軸に対して90°±10°である構造まで許容される。
第1領域2A及び第2領域2Bがマルチフェロイック層2の表面2aに形成されていることで、第1の影響及び第2の影響を効果的に強磁性層1に加えることができる。
第1の影響は、マルチフェロイック層2の磁化と強磁性層1の磁化との交換相互作用により生じる。そのため、交換相互作用が強く作用するマルチフェロイック層2の表面2aに第1領域2Aを設けることで、第1の影響が強磁性層1に効果的に加わる。
また第2の影響は、マルチフェロイック層2の誘電分極により生じる。誘電分極による電荷は、物質の表面に発生する。そのため、マルチフェロイック層2の表面2aに第2領域2Bを設けることで、第2の影響が強磁性層1に効果的に加わる。
また表面2aは、結晶相が正方晶でも菱面体晶のいずれでもない第3領域2Cを有してもよい。第3領域2Cは、例えば、正方晶と菱面体晶の間で結晶構造が移行する領域、非晶質の領域、結晶構造の乱れた領域、異相等が挙げられる。マルチフェロイック層2の表面2aに第3領域2Cが存在すると、強磁性層1とマルチフェロイック層2との格子定数の違いが第3領域2Cで緩和され、強磁性層1とマルチフェロイック層2との格子整合性を高めることができる。第3領域2Cは、表面2aの0%以上30%以下の面積を占めることが好ましい。
スピン変調素子100が示す最大抵抗値と最小抵抗値の差を大きくしたい場合は、マルチフェロイック層2の表面2aを占める第1領域2Aの割合を30%以上70%以下とすることが好ましい。
第1領域2Aの割合が高まると、第1の影響が強まり、強磁性層1の磁化が強く固定される。そのため、強磁性層1と第2強磁性層30との間で発現する磁気抵抗効果が大きくなり、磁気抵抗効果に伴う抵抗値変化率(MR比)が大きくなる。一方で、第1領域2Aの割合が大きくなりすぎると、第2の影響が弱まり、スピン分極率の変化量が小さくなる。
これに対し、スピン変調素子100が示す多値をそれぞれ明確にしたい場合には、マルチフェロイック層2の表面2aを占める第2領域2Bの割合を30%以上70%以下とすることが好ましい。
第2領域2Bの割合が高まると、第2の影響が強まり、強磁性層1のスピン分極率の変化量が大きくなる。強磁性層1の磁化と第2強磁性層30の磁化が同じ平行状態でも、スピン分極率の変化量が大きくなると、強磁性層1と第2強磁性層30の間の抵抗値は大きく異なる。つまり同じ平行状態でも二つの状態間における抵抗変化量が大きくなり、出力されるデータをより明確に多値化できる。一方で、第2領域2Bの割合が大きくなりすぎると、第1の影響が弱まり、磁気抵抗効果に伴う抵抗値変化率(MR比)が小さくなる。
ここで、各領域の面積比率は以下のように求める。まず、強磁性層1とマルチフェロイック層2の間の界面のラフネスを求め、Max/MinにおけるMinを基準とする。この基準面からマルチフェロ層2内部へ3nm以内の深度にある面を測定面として評価する。そして、PFM(Piezoresponse Force Microscopy)による表面走査で判明する分極状態の分布評価、XRDや膜面方向のTEMによる格子状態の評価、等により総合的に各領域の面積比率を求める。
図2では、マルチフェロイック層2の表面2aに第1領域2Aと第2領域2Bはそれぞれ一つの領域を示しているが、図3に示すように、第1領域2Aと第2領域2Bはそれぞれ複数存在してもよい。図3は、本実施形態にかかるマルチフェロイック層2の強磁性層1側の表面2aの別の例を平面視した図である。
第1領域2A及び第2領域2Bがそれぞれ複数存在すると、強磁性層1に第1の影響が強く作用する部分と第2の影響が強く作用する部分とが偏在することを避けることができる。すなわち、強磁性層1全体に、均一に第1の影響及び第2の影響を与えることができる。
またマルチフェロイック層2の層厚は、5nm以上800nm以下であることが好ましく、10nm以上700nm以下であることがより好ましく、20nm以上600nm以下であることがさらに好ましい。マルチフェロイック層2の層厚が厚くなりすぎると、マルチフェロイック層2の表面2aに誘起される電荷量が小さくなる。一方で、マルチフェロイック層2の層厚が薄すぎると、マルチフェロイック層2が充分な強磁性特性及び強誘電特性を発現しない場合が生じる。
「非磁性層」
非磁性層20は絶縁体でも、半導体でも、金属でもよい。非磁性層20が絶縁体からなる場合、強磁性層1、非磁性層20及び第2強磁性層30からなる積層体は、トンネル磁気抵抗(TMR:Tunneling Magnetoresistance)素子となり、非磁性層20が半導体もしくは金属からなる場合、強磁性層1、非磁性層20及び第2強磁性層30からなる積層体は、巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magnetoresistance)素子となる。
非磁性層20には、公知の材料を用いることができる。
例えば、非磁性層20が絶縁体もしくは半導体からなる場合、その材料としては、Hexagonal−BN、Graphene、HfO、Y、TaO、GaO、TiO、InO,BaO,CaF、Al、SiO、MgO、及び、MgAl等を用いることができる。これらの中でも、MgOやMgAlはコヒーレントトンネルが実現できる材料であるため、MR比を大きくすることができる。またMgOやMgAlのMg、Alの一部もしくはすべてが、Zn,Cd、Ag、Pt、Pb、Ga、In、Ge等に置換された材料等も非磁性層20として用いることができる。
また、非磁性層20が金属からなる場合、その材料としては、Cu、Au、Ag等を用いることができる。
「第2強磁性層」
第2強磁性層30は、強磁性層1と非磁性層20と磁気抵抗効果素子を形成する。強磁性層1が固定層の場合、第2強磁性層30は自由層となり、強磁性層1が自由層の場合、第2強磁性層30は固定層となる。
第2強磁性層30の材料には、公知のものを用いることができる。例えば、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群から選択される金属及びこれらの金属を1種以上含み強磁性を示す合金を用いることができる。またこれらの金属と、B、C、及びNの少なくとも1種以上の元素とを含む合金を用いることもできる。具体的には、Co−FeやCo−Fe−Bが挙げられる。またより高い出力を得るために、第2強磁性層30にホイスラー合金を用いてもよい。
(スピン変調素子の製造方法)
スピン変調素子100の製造方法について説明する。まず、基材を準備する。基材は、積層構造体10の積層方向に電圧を印加するために、導電性を有する材料を用いることが好ましい。基材が導電性を有することで、電極を兼ねることができる。
次いで、準備した基材上に、マルチフェロイック層2を積層する。積層する方法としては、スパッタリング法、CVD(化学気相成長)法、分子線エピタキシャル(MBE)法等を用いることができる。
マルチフェロイック層2の結晶相は、マルチフェロイック層2を積層する基板とマルチフェロイック層2の結晶状態の違いを利用することで調整する。マルチフェロイック層2がBiFeOの場合を例に具体的に説明する。まず、BiFeOの菱面体相より格子定数が小さい(001)LaAlO基板を準備する。そしてその上に、基板温度を700℃として、250nmの層厚でBiFeOを成膜する。
BiFeOの成膜初期の結晶相は、(001)LaAlO基板から圧縮応力を受けて正方晶相となる。これに対し、BiFeOの成膜膜厚が増すにつれて、徐々に通常安定な菱面体相へと結晶相が緩和する。そのため、表面全てが菱面体相に緩和する前である250nm程度の膜厚となった時点で成膜を止めることで、正方晶相と菱面体相が共存した表面を形成できる。すなわち、マルチフェロイック層2の表面2aに第1領域2Aと第2領域2Bとが形成される。
次いで、マルチフェロイック層2上に強磁性層1、非磁性層20、第2強磁性層30を順に積層する。これらの層は、GMR素子やTMR素子等の磁気抵抗効果素子の強磁性層及び非磁性層と同様の方法で積層することができる。例えば、スパッタリング法、蒸着法、レーザアブレーション法、MBE法等を用いることができる。また第2強磁性層30の非磁性層20と反対側の面には、電極を積層することが好ましい。電極を設けることで、強磁性層1全面に均一に電流を流すことができる。
(スピン変調素子の動作)
次いで、スピン変調素子の動作を説明すると共に、どのように多値化が実現されるかについて説明する。
図4は、スピン変調素子100の動作を説明するための模式図である。スピン変調素子100は、第2強磁性層30と強磁性層1に流れる電流を制御するスイッチSW1と、マルチフェロイック層2に電場を印加するスイッチSW2とが接続されている。
まず図4(a)及び(b)に示すように、スイッチSW2が開いている場合、マルチフェロイック層2には電場が印加されない。そのため、スピン変調素子100は、第2強磁性層30と強磁性層1の磁化の向きが反平行の第1状態(図4(a))と、第2強磁性層30と強磁性層1の磁化の向きが平行の第2状態(図4(b))と、の2状態をとる。強磁性層1の磁化の向きは、スイッチSW1を閉じることで、積層体の積層方向にスピン偏極電流を流し、スピントランスファートルク(STT)により反転させる。
次いで、図4(c)及び(d)に示すように、スイッチSW2を閉じ、強磁性層1と電極40との間(マルチフェロイック層2)に電界を加える。マルチフェロイック層2に電界が印加されると、マルチフェロイック層2は誘電分極の方向を反転する。誘電分極によって生じる電界は、強磁性層1のバンド構造を変え、強磁性層1のスピン分極率を変調する。
例えば、マルチフェロイック層2に正電圧を印加する(図4(c)電圧V方向)と、電界によって強磁性層1のダウンスピンのバンド構造にバンドベンディングが誘起される。そのため、強磁性層1のマルチフェロイック層2側の界面に少数スピンキャリアが誘起され、強磁性層1のスピン分極率は減少する。図4(c)及び(d)では、スピン分極率の減少を矢印の大きさで模式的に図示している。
図4(c)及び(d)に示すように、強磁性層1のスピン分極率が減少した状態でも、第2強磁性層30と強磁性層1の磁化の向きが反平行の第3状態(図4(c))と、第2強磁性層30と強磁性層1の磁化の向きが平行の第4状態(図4(d))と、の2状態をとる。
すなわちスピン変調素子100は、スイッチSW1とスイッチSW2を制御することで、4つの状態が生み出される。4つの状態は、第1状態、第3状態、第4状態、第2状態の順で抵抗値が大きい。
マルチフェロイック層2の表面2aが第1領域2Aを有すると、強磁性層1の磁化が強く固定されるため、第1状態と第2状態の抵抗値差が大きくなる。またマルチフェロイック層2の表面2aが第2領域2Bを有すると、誘電分極に伴うスピン分極率の変化が大きくなり、第1状態と第3状態、及び、第2状態と第4状態の抵抗値差が大きくなる。
上述のように、本実施形態にかかるスピン変調素子100は、マルチフェロイック層2の表面2aが、結晶相が菱面体晶である第1領域2Aと、結晶相が正方晶である第2領域2Bとを有するため、4つの状態間の抵抗値差を大きくすることができ、安定した多値記録を行うことができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
1…強磁性層、2…マルチフェロイック層、2a…表面、2A…第1領域、2B…第2領域、2C…第3領域、10…積層構造体、20…非磁性層、30…第2強磁性層、40…電極、100…スピン変調素子、SW1,SW2…スイッチ

Claims (11)

  1. 強磁性層と、
    前記強磁性層の一面に形成されたマルチフェロイック層と、を備え、
    前記マルチフェロイック層の前記強磁性層側の表面は、結晶相が菱面体晶である第1領域と、結晶相が正方晶である第2領域と、を有する、積層構造体。
  2. 前記マルチフェロイック層の前記強磁性層側の表面が、結晶相が正方晶でも菱面体晶のいずれでもない第3領域を有する、請求項1に記載の積層構造体。
  3. 前記表面を占める前記第1領域の割合が30%以上70%以下である、請求項1又は2に記載の積層構造体。
  4. 前記表面を占める前記第2領域の割合が30%以上70%以下である、請求項1又は2に記載の積層構造体。
  5. 前記表面を占める前記第3領域の割合が0%以上30%以下である、請求項2に記載の積層構造体。
  6. 前記第1領域が前記表面に複数存在する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層構造体。
  7. 前記第2領域が前記表面に複数存在する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層構造体。
  8. 前記マルチフェロイック層は、BiFeO、BiMnO、GaFeO、AlFeO、(Ga,Al)FeO、YMnO、CuFeO、Cr、NiBi13I、LiMnPO、YFe12、TbPO、LiCoPOからなる群から選択されるいずれかを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層構造体。
  9. 前記強磁性層がハーフメタルである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の積層構造体。
  10. 前記強磁性層は、XYZの組成式で表記されるホイスラー合金を含み、
    前記組成式中のXは周期表上でCo、Fe、Ni、Cu族の遷移金属元素または貴金属元素であり、YはMn、V、Cr、Ti族の遷移金属又はXの元素種であり、Zは、III族からV族の典型元素である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の積層構造体。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の積層構造体と、
    前記積層構造体の前記強磁性層に順に積層された非磁性層及び第2強磁性層と、を備える、スピン変調素子。
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