JP2018206734A - リチウムイオン二次電池及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】リチウム二次電池のサイクル特性や高容量を維持しつつ、内部短絡時に起こる瞬間的な温度上昇に対応して正極合剤層の発熱を抑制しうるリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】リチウムイオン二次電池用正極は、集電体と、この集電体上に塗布された正極合剤層とを備える。正極合剤層は、正極活物質と、導電助剤と、結着材とを含み、この結着材は、PTC機能付与成分の存在又は非存在下に結着成分を含む。そして、正極合剤層中のPTC機能付与成分の濃度が、電池構造内の位置により、段階的又は連続的に変化することを特徴とする。【選択図】なし
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池及びその製造方法に関するものである。
近年、リチウムイオン二次電池は、携帯電話やノート型パソコンなどの電子機器、或いは電気自動車や電力貯蔵用の電源として広く使用されている。特に最近では、ハイブリッド自動車や電気自動車に搭載可能な、高容量で高出力かつエネルギー密度の高い電池の要望が急拡大している。このリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高いという利点の反面、リチウム金属及び非水電解質を使用することから安全性に対する十分な対応策が必要となる。
例えば、特許文献1に記載の発明は、集電基材と前記集電基材上に複数の合剤層からなる正極塗膜とを備え、前記正極塗膜は正極活物質として発熱開始温度が異なる2種以上のリチウム含有化合物を含有し、前記2種以上のリチウム含有化合物のうち少なくとも1種のリチウム含有化合物は300℃以上の発熱開始温度を有し、前記集電基材に最も近い第1合剤層中に、前記発熱開始温度が300℃以上のリチウム含有化合物を少なくとも1種含有するリチウム二次電池用正極である。この発明は、正極塗膜を複数の合剤層から構成し、釘刺し試験における内部短絡により高いジュール熱が発生する集電基材に最も近い第一合剤層中に、発熱開始温度が300℃以上のリチウム含有化合物を少なくとも1種含有させることにより、内部短絡による正極の発熱を確実に抑制するようにしている。
また、特許文献2に記載の発明は、正極集電体の表面または裏面の少なくとも一方の面上に、固体の難燃化剤を含む正極活物質合剤層を塗布して塗布層を形成し、塗布層が集電体の上方に位置する姿勢を保持して、析出物が正極集電体に向かって沈降する乾燥条件下で塗布層を乾燥することにより、難燃化剤の存在比を正極集電体に近づくに従って大きくなるようにしている。これにより、高率放電特性が良好で、しかも安全性が高いリチウムイオン電池を提供することとしている。
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、正極合剤層の中で正極活物質の種類を変えると、充放電に伴う結晶格子の膨張収縮による正極活物質の変形度合いが異なり正極合剤層における集電構造の劣化につながるため好ましくない。また、特許文献2では、単一の正極合剤層の厚み方向において、集電体からの距離に応じて難燃化剤の存在比を変えているが、複数の電極層が積層されてなる電池では、その電池内における正極合剤層の位置の違いによる影響については考慮されていない。
本発明が解決しようとする課題は、リチウムイオン二次電池のサイクル特性や高容量を維持しつつ、内部短絡時に起こる瞬間的な温度上昇に対応して正極合剤層の発熱を抑制しうるリチウムイオン二次電池を提供することである。
本発明が解決しようとする課題は、リチウムイオン二次電池のサイクル特性や高容量を維持しつつ、内部短絡時に起こる瞬間的な温度上昇に対応して正極合剤層の発熱を抑制しうるリチウムイオン二次電池を提供することである。
本発明の一実施形態にかかるリチウムイオン二次電池は、集電体と、この集電体上に塗布された電極合剤層と、セパレータとからなるシートを巻回又は積層した構造を有する。電極合剤層は、正極及び負極合剤層がセパレータを介して交互に積層され、この正極合剤層は、正極活物質と、導電助剤と、結着材とを含み、この結着材は、PTC機能付与成分の存在又は非存在下に結着成分を含む。そして、正極合剤層中のPTC機能付与成分の濃度が、電池構造内の位置により、段階的又は連続的に変化することを特徴とする。
他の実施形態におけるリチウムイオン二次電池用正極の製造方法は、正極活物質と、導電助剤と、結着材とを含む少なくとも2種類のスラリーを用いる。この結着材はPTC機能付与成分の存在又は非存在下に結着成分を含み、それぞれのスラリーは異なる濃度のPTC機能付与成分を含むスラリーである。そして、少なくとも2種類のスラリーの配合比率を段階的又は連続的に変化させながら混合する工程と、混合したスラリーを集電体上に塗布する工程とを含むことを特徴とする。
さらに他の実施形態におけるリチウムイオン二次電池の製造方法は、上記方法で製造されたリチウムイオン二次電池用正極と、負極と、セパレータとをシート状に積層し、このシートを巻回又は積層して電極層を形成し、この電極層に非水電解質を注入することを特徴とする。上記巻回又は積層された電極層の正極内におけるPTC機能付与成分が、電池表面からの距離に従って濃度勾配を有することが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、内部短絡が起きた場合の瞬間的な温度上昇に対して、結着成分及びPTC機能付与成分の混合物からなる結着材の少なくとも一部が溶融して正極合剤層の導電経路を切断し、それによって電池の内部短絡時の発熱を抑制するという利点がある。
以下、本発明のリチウムイオン二次電池について説明する。最初に、正極合剤層に含まれるPTC機能付与成分が電池構造内の位置により変化する種々のリチウムイオン二次電池について図面を参照しながら説明し、その後、電池の各構成部材及びそれらの製造方法について説明する。なお、本明細書において、「電池構造内の位置」とは、特許文献2に記載のような正極合剤層内の微小な距離の違いに基づくものではなく、電池ケースに収められている構造体内での存在場所の相違を示す巨視的な位置関係のことをいう。
[リチウムイオン二次電池]
図1は、正極集電体11Aの両面に正極合剤層11Bを塗布した正極11と、負極集電体12Aの両面又は片面に負極合剤層12Bを塗布した負極12と、セパレータ13とを複数層積層した電極群10からなるラミネート型リチウムイオン二次電池の一例を示す概略断面図である。図1に示すように、本実施形態のリチウムイオン二次電池1は、正極リード21及び負極リード22が電極群のそれぞれ一方の端部に取り付けられ、ラミネートフィルムで形成された外装体30の内部に封入されている。そして、正極リード21及び負極リード22が、外装体30の内部から外部に向かって反対方向に導出されている。なお、このような正極リード21及び負極リード22は、例えば超音波溶接や抵抗溶接などにより、後述する正極集電体及び負極集電体に取り付けることができる。
図1は、正極集電体11Aの両面に正極合剤層11Bを塗布した正極11と、負極集電体12Aの両面又は片面に負極合剤層12Bを塗布した負極12と、セパレータ13とを複数層積層した電極群10からなるラミネート型リチウムイオン二次電池の一例を示す概略断面図である。図1に示すように、本実施形態のリチウムイオン二次電池1は、正極リード21及び負極リード22が電極群のそれぞれ一方の端部に取り付けられ、ラミネートフィルムで形成された外装体30の内部に封入されている。そして、正極リード21及び負極リード22が、外装体30の内部から外部に向かって反対方向に導出されている。なお、このような正極リード21及び負極リード22は、例えば超音波溶接や抵抗溶接などにより、後述する正極集電体及び負極集電体に取り付けることができる。
正極リード21及び負極リード22は、例えば、アルミニウム(Al)や銅(Cu)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、これらの合金、ステンレス鋼(SUS)等の金属材料により構成されている。外装体30は、例えば、小型化、軽量化の観点から、フィルム状の外装体で形成されたものであることが好ましいが、これらに限定されるものではなく、リチウムイオン二次電池の外装体に用いられる従来公知のものを用いることができる。
本実施形態において、正極合剤層11Bは、リチウムを吸蔵・放出可能な正極活物質と、導電助剤と、結着材とを含み、結着材は結着成分としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)と、任意的にPTC機能付与成分とを含む。このPTC機能付与成分の濃度は、正極リード21に近づくに従って増加している。図1では、このPTC機能付与成分の濃度変化を正極合剤層11Bに濃淡をつけて表している。すなわち、異常発熱時に大きな電流が流れて高温になりやすい正極リード付近の正極合剤層中のPTC機能付与成分の濃度を上げることにより、発熱時にこの部分の抵抗をより増大させて発熱速度を低下させ、電池全体の熱暴走を抑制することが可能となる。一方、正極リードから離れた部分は電流が一気に流れ込むことがないためPTC機能付与成分の濃度が相対的に低くなってもよい。この部分は正極合剤層内の活物質や導電助剤の含有量を増加させることができ、抵抗増加を抑えるとともに電池容量を増やすことができるという効果が得られる。なお、本発明におけるPTC機能付与成分の濃度は、正極集電体11Aの面方向において連続的に変化する場合を含むが、単一の正極合剤層内の厚み方向において変化するものではない。
正極合剤層におけるPTC機能付与成分の濃度とは、正極合剤層の所定の局所領域の質量に対する、当該領域に含まれるPTC機能付与成分の質量比のことである。電池特性の観点からは、正極合剤層に含まれる結着材は結着成分のみからなることが好ましく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。また、正極合剤層に含まれるPTC機能付与成分の濃度は、内部短絡時に正極リード又は集電体と正極合剤層との間の導電経路の切断に寄与しうる限り特に限定されないが、典型的には、正極合剤層の所定領域に対して、0.5〜5質量%、好ましくは1〜3質量%程度である。
図2は、本発明の他の実施形態に係る積層型リチウムイオン二次電池において、正極合剤層中のPTC機能付与成分の濃度を模式的に表した断面図である。図2(a)では、9個の正極合剤層が積層された電極群10を模式的に表し、これらの中で、電池中心部の正極合剤層中のPTC機能付与成分の濃度が最も高く、外側に行くほど濃度が低くなっていることを示している。したがって、本実施形態におけるPTC機能付与成分の濃度とは、1つの正極合剤層の質量に対するPTC機能付与成分の質量比のことであり、9個の正極合剤層においてその濃度が段階的に変化していることをいう。
一方、図2(b)では、電池中心部の正極合剤層中のPTC機能付与成分の濃度が最も低く、外側に行くほど濃度が高くなっていることを示している。このように電池構造内の位置により、PTC機能付与成分の濃度勾配を設けることで、内部短絡の起こりやすい局所での内部短絡時の導電パスを遮断し、発熱を抑制するとともに、電池全体としてはPTC機能付与成分の含有量を減らすことにより高温保存試験やサイクル耐久性試験の性能改善が期待できる。
一方、図2(b)では、電池中心部の正極合剤層中のPTC機能付与成分の濃度が最も低く、外側に行くほど濃度が高くなっていることを示している。このように電池構造内の位置により、PTC機能付与成分の濃度勾配を設けることで、内部短絡の起こりやすい局所での内部短絡時の導電パスを遮断し、発熱を抑制するとともに、電池全体としてはPTC機能付与成分の含有量を減らすことにより高温保存試験やサイクル耐久性試験の性能改善が期待できる。
図3は、本発明の他の実施形態に係る巻回型リチウムイオン二次電池の模式図である。図3(a)に示すように、例えばラミネートフィルムからなる外装体30は、電極群10を包囲している。電極群10は、正極、セパレータ及び負極からなる電極層が扁平形状に巻回された構造を有し、最外層に負極集電体が位置し、負極リード22と接続されている。図3(a)では、電極群10の内部から外部に向かうにしたがって、正極内におけるPTC機能付与成分の濃度が増加しており、このPTC機能付与成分の濃度変化を電極群10に濃淡をつけて表している。図3(a)の巻回型リチウムイオン二次電池2は、電池表面に近づくにしたがって正極層内のPTC機能付与成分の濃度が高くなっているから、傷や外部からの力を受けやすい電池表面の内部短絡時の熱暴走を抑制するという効果を有する。
一方、図3(b)では、巻回型リチウムイオン二次電池3は、電池中心部に近づくにしたがって正極層内のPTC機能付与成分の濃度が高くなっているから、電池内部に混入した金属粉などによる内部短絡が生じた場合でも、その部分の温度上昇に伴って結着材が溶融し、正極合剤層の抵抗を上げて熱暴走を防止するという作用を有する。
一方、図3(b)では、巻回型リチウムイオン二次電池3は、電池中心部に近づくにしたがって正極層内のPTC機能付与成分の濃度が高くなっているから、電池内部に混入した金属粉などによる内部短絡が生じた場合でも、その部分の温度上昇に伴って結着材が溶融し、正極合剤層の抵抗を上げて熱暴走を防止するという作用を有する。
図4は、本発明の他の実施形態に係る円筒型リチウムイオン二次電池の模式図である。
図4(a)は円筒型のリチウムイオン二次電池の例を示したものである。
本図において、電極群10は、正極集電体の両方の主面上に正極活物質層が形成された正極44と、セパレータ46と、負極集電体の両方の主面上に負極活物質層が形成された負極45と、セパレータ46とを重ねて捲回した後プレス成型した。
このとき、一の正極44の正極集電体の片方の主面上に形成された正極活物質層と該一の正極44に隣接する負極45の負極集電体の片方の主面上に形成された負極活物質層とがセパレータ46を介して向き合う。また、もう一方の正極活物質層と負極活物質層もセパレータを介して向き合う。このようにして、正極、セパレータ、負極の順に複数対向されている。
図4(b)及び(c)は、この円筒型リチウムイオン二次電池において、正極合剤層中のPTC機能付与成分の濃度を模式的に表した断面図である。図4(c)では、巻回された電極群10の中で、電池中心部の正極合剤層中のPTC機能付与成分の濃度が最も高く、外側に行くほど濃度が低くなっていることを示している。一方、図4(b)では、電池中心部の正極合剤層中のPTC機能付与成分の濃度が最も低く、外側に行くほど濃度が高くなっていることを示している。このように電池構造内での位置により、PTC機能付与成分の濃度勾配を設けることで、内部短絡の起こりやすい局所での内部短絡時の導電パスを遮断し、発熱を抑制するとともに、電池全体としてはPTC機能付与成分の含有量を減らすことにより高温保存試験やサイクル耐久性試験の性能改善が期待できる。
図4(a)は円筒型のリチウムイオン二次電池の例を示したものである。
本図において、電極群10は、正極集電体の両方の主面上に正極活物質層が形成された正極44と、セパレータ46と、負極集電体の両方の主面上に負極活物質層が形成された負極45と、セパレータ46とを重ねて捲回した後プレス成型した。
このとき、一の正極44の正極集電体の片方の主面上に形成された正極活物質層と該一の正極44に隣接する負極45の負極集電体の片方の主面上に形成された負極活物質層とがセパレータ46を介して向き合う。また、もう一方の正極活物質層と負極活物質層もセパレータを介して向き合う。このようにして、正極、セパレータ、負極の順に複数対向されている。
図4(b)及び(c)は、この円筒型リチウムイオン二次電池において、正極合剤層中のPTC機能付与成分の濃度を模式的に表した断面図である。図4(c)では、巻回された電極群10の中で、電池中心部の正極合剤層中のPTC機能付与成分の濃度が最も高く、外側に行くほど濃度が低くなっていることを示している。一方、図4(b)では、電池中心部の正極合剤層中のPTC機能付与成分の濃度が最も低く、外側に行くほど濃度が高くなっていることを示している。このように電池構造内での位置により、PTC機能付与成分の濃度勾配を設けることで、内部短絡の起こりやすい局所での内部短絡時の導電パスを遮断し、発熱を抑制するとともに、電池全体としてはPTC機能付与成分の含有量を減らすことにより高温保存試験やサイクル耐久性試験の性能改善が期待できる。
正極合剤層にPTC機能付与成分を添加することにより、正極合剤層中の上記特定部分の抵抗を増大させるメカニズムについては、必ずしも明らかではないが、リチウムイオン二次電池の短絡部分の急激な温度上昇により、この部分における正極合剤層内の結着材(結着成分及びPTC機能付与成分の混合物)が溶融する。このとき、結着材が無機物である正極活物質や導電助剤を一緒に巻き込んでフィブリル(繊維)形状の構造物を形成し、これによって正極合剤層内の局所構造が変化し、正極合剤層内の導電経路の少なくとも一部が切断されて当該部分の抵抗が増大すると推定される。このような機能は、結着材の溶融開始温度及び/又は溶融ピーク温度が低下することによって発揮されることから、本実施形態の結着材は、通常の結着成分単独の溶融開始温度及び/又は溶融ピーク温度よりも低下していることを特徴とする。また、電池温度は、発熱と放熱とのバランスで制御されることから、内部短絡による発熱の初期段階において抵抗を増大させて発熱速度を抑えることで電池の熱暴走を抑制できると考えられる。
以下、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の各構成部材について詳細に説明する。
以下、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の各構成部材について詳細に説明する。
(正極活物質)
正極活物質は、リチウムの吸蔵放出が可能な材料であれば特に限定されず、リチウムイオン二次電池に通常用いられる正極活物質である。具体的には、リチウム(Li)とニッケル(Ni)とを構成金属元素とする酸化物のほか、リチウム及びニッケル以外に他の少なくとも一種の金属元素(すなわち、LiとNi以外の遷移金属元素及び/又は典型金属元素)を、原子数換算でニッケルと同程度またはニッケルよりも少ない割合で構成金属元素として含む酸化物をも包含する意味である。上記LiおよびNi以外の金属元素は、例えば、Co,Mn,Al,Cr,Fe,V,Mg,Ca,Na,Ti,Zr,Nb,Mo,W,Cu,Zn,Ga,In,Sn,LaおよびCeからなる群から選択される一種または二種以上の金属元素であり得る。これらの正極活物質は、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
正極活物質は、リチウムの吸蔵放出が可能な材料であれば特に限定されず、リチウムイオン二次電池に通常用いられる正極活物質である。具体的には、リチウム(Li)とニッケル(Ni)とを構成金属元素とする酸化物のほか、リチウム及びニッケル以外に他の少なくとも一種の金属元素(すなわち、LiとNi以外の遷移金属元素及び/又は典型金属元素)を、原子数換算でニッケルと同程度またはニッケルよりも少ない割合で構成金属元素として含む酸化物をも包含する意味である。上記LiおよびNi以外の金属元素は、例えば、Co,Mn,Al,Cr,Fe,V,Mg,Ca,Na,Ti,Zr,Nb,Mo,W,Cu,Zn,Ga,In,Sn,LaおよびCeからなる群から選択される一種または二種以上の金属元素であり得る。これらの正極活物質は、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
好ましい実施形態において、上記正極活物質は、例えば、一般式(1):LitNi1−x−yCoxAlyO2(但し、式中において、0.95≦t≦1.15、0≦x≦0.3、0.1≦y≦0.2、x+y<0.5を満たす。)で表されるリチウムニッケルコバルトアルミニウム系酸化物(NCA)が挙げられる。NCAの具体例としては、LiNi0.8Co0.15Al0.05O2があげられる。
他の好ましい実施形態において、上記正極活物質は、例えば、一般式(2):LiNiaCobMncO2(ただし式中、0<a<1、0<b<1、0<c<1であり、a+b+c=1を満たす)で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン系酸化物(NCM)が挙げられる。NCMは体積当たりのエネルギー密度が高く、熱安定性にも優れている。
正極合剤層中の正極活物質の含有量は、通常10質量%以上、好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、特に好ましくは70質量%以上である。また、通常99.9質量%以下、好ましくは99質量%以下である。
正極合剤層中の正極活物質の含有量は、通常10質量%以上、好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、特に好ましくは70質量%以上である。また、通常99.9質量%以下、好ましくは99質量%以下である。
(導電助剤)
正極合剤層は、導電助剤を含むことが好ましい。本発明で用いる導電助剤としては、公知の導電助剤を使用することができる。公知の導電助剤としては、導電性を有する炭素材料であれば特に限定されるものではないが、グラファイト、カーボンブラック、導電性炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー)、フラーレン等を単独で、もしくは2種類以上を併せて使用することができる。市販のカーボンブラックとしては、例えば、トーカブラック#4300、#4400、#4500、#5500等(東海カーボン社製、ファーネスブラック)、プリンテックスL等(デグサ社製、ファーネスブラック)、Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA等、Conductex SC ULTRA、Conductex 975ULTRA等、PUER BLACK100、115、205等(コロンビヤン社製、ファーネスブラック)、#2350、#2400B、#2600B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B等(三菱化学社製、ファーネスブラック)、MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、BlackPearls2000、LITX−50、LITX−200等(キャボット社製、ファーネスブラック)、Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP−Li(TIMCAL社製)、ケッチェンブラックEC−300J、EC−600JD(アクゾ社製)、デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35(電気化学工業社製、アセチレンブラック)等、グラファイトとしては例えば人造黒鉛や燐片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛などの天然黒鉛が挙げられるが、これらに限定されるものではない。正極合材層中に含まれる導電助剤の含有量は、好ましくは1質量%以上であり、例えば1〜10質量%程度とすることが好ましい。
正極合剤層は、導電助剤を含むことが好ましい。本発明で用いる導電助剤としては、公知の導電助剤を使用することができる。公知の導電助剤としては、導電性を有する炭素材料であれば特に限定されるものではないが、グラファイト、カーボンブラック、導電性炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー)、フラーレン等を単独で、もしくは2種類以上を併せて使用することができる。市販のカーボンブラックとしては、例えば、トーカブラック#4300、#4400、#4500、#5500等(東海カーボン社製、ファーネスブラック)、プリンテックスL等(デグサ社製、ファーネスブラック)、Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA等、Conductex SC ULTRA、Conductex 975ULTRA等、PUER BLACK100、115、205等(コロンビヤン社製、ファーネスブラック)、#2350、#2400B、#2600B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B等(三菱化学社製、ファーネスブラック)、MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、BlackPearls2000、LITX−50、LITX−200等(キャボット社製、ファーネスブラック)、Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP−Li(TIMCAL社製)、ケッチェンブラックEC−300J、EC−600JD(アクゾ社製)、デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35(電気化学工業社製、アセチレンブラック)等、グラファイトとしては例えば人造黒鉛や燐片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛などの天然黒鉛が挙げられるが、これらに限定されるものではない。正極合材層中に含まれる導電助剤の含有量は、好ましくは1質量%以上であり、例えば1〜10質量%程度とすることが好ましい。
(結着材)
結着材としては、結着成分としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)と、場合によりPTC機能付与成分とを含む。電極を製造するために結着成分を使用する目的は、第一に、電気化学的に活性な活物質表面を実質的に覆い隠すことなしに、粉末状態の活物質の接着を確かなものにするためである。この効果は結着成分の湿潤性に依存する。また、結着成分は集電体金属に対する粘着性を有する必要があり、これは結着成分中の極性基の存在によって達成される。また、結着成分は、電極を扱うための十分な可撓性と、充放電サイクル中の活物質の寸法変化に対応できなければならない。結着成分は、特定の電気化学的特性を備えていなければならず、使用される非水電解質液と相溶性でなければならない。最後に、活物質として使用される還元剤及び酸化剤は極めて強力であるため、結着成分は劣化することなく極限作動条件に耐えられ得るような可能な限り最小の反応性を有していなければならない。
結着材としては、結着成分としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)と、場合によりPTC機能付与成分とを含む。電極を製造するために結着成分を使用する目的は、第一に、電気化学的に活性な活物質表面を実質的に覆い隠すことなしに、粉末状態の活物質の接着を確かなものにするためである。この効果は結着成分の湿潤性に依存する。また、結着成分は集電体金属に対する粘着性を有する必要があり、これは結着成分中の極性基の存在によって達成される。また、結着成分は、電極を扱うための十分な可撓性と、充放電サイクル中の活物質の寸法変化に対応できなければならない。結着成分は、特定の電気化学的特性を備えていなければならず、使用される非水電解質液と相溶性でなければならない。最後に、活物質として使用される還元剤及び酸化剤は極めて強力であるため、結着成分は劣化することなく極限作動条件に耐えられ得るような可能な限り最小の反応性を有していなければならない。
PVDFの機械的特性および電気化学的特性は、結着成分に必要な上記多数の目的に適している。PVDF単独の融点は約180℃であることが報告されているが、リチウムイオン二次電池の中では非水電解質と接触しているためにその融点が若干低下していると考えられる。さらにPTC機能付与成分を含むことによって、本実施形態の結着材はリチウムイオン二次電池の温度上昇時に溶融してより低い温度域から正極合剤層の抵抗を増大させ、リチウムイオン二次電池の熱暴走を抑制することができる。結着材はPTC機能付与成分を含むことによって、溶融開始温度と溶融ピーク温度のいずれか、もしくは双方が、PVDF単独に比して低下している。熱暴走を抑制するという観点からは、結着材の溶融開始温度及び/又は溶融ピーク温度は低いことが好ましいが、あまりに低すぎると結着材としての機能を阻害するため好ましくない。このため、結着材の溶融開始温度としては約60℃から約150℃が好ましく、約65℃から約130℃がより好ましく、約70℃から約100℃がさらに好ましい。
結着材の溶融ピーク温度(融点)も低下する場合があり、上記測定条件下において、結着材の溶融ピーク温度が、70℃〜130℃であることが好ましい。結着材の溶融ピーク温度は、70℃以上であることが熱安定性の点で好ましい。一方、安全性の観点からは、結着材の融点が130℃以下であることが好ましい。さらに好ましくは130℃未満であり、120℃以下であることがより好ましく、110℃以下であることがさらになお好ましい。
本実施形態における「PTC機能付与成分」とは、上記PVDFの溶融開始温度及び/又は溶融ピーク温度を低下させることによって結着材にPTC機能を付与する、又はPTC機能を増強する成分をいう。温度上昇に伴い抵抗値が増加するPTC(正温度係数)機能と、PVDFの溶融との関係は以下のように考えられる。例えば、電極活物質と導電助剤とを結着して構成される電極に短絡電流が流れると短絡発熱によって電極の温度が上昇する。このとき、結着材が溶融すると無機物である電極活物質や導電助剤を一緒に巻き込んでフィブリル(繊維)形状の構造物を形成し、これによって電極の形状が変化し、電極内の導電経路の少なくとも一部が切断されて電極の抵抗が増大すると推定される。このような機能は、結着材の溶融開始温度及び/又は溶融ピーク温度が低下することによって発揮されることから、本実施形態の結着材は、通常の結着成分単独の溶融開始温度及び/又は溶融ピーク温度よりも低下していることを特徴とする。
したがって、本実施形態の結着材は、結着成分であるPVDFと、PTC機能付与成分とを混合し、当該混合物を、非水電解質の共存下に、示差走査熱量測定法で測定したときの溶融開始温度及び/又は溶融ピーク温度が、同一条件で測定したPVDFのみの場合に比べて低下しているものを選択することができる。なお、本実施形態において、溶融開始温度とは、示差走査熱量分析法(以下、DSCともいう)によって分析される吸熱がベースラインから立ち上がるときの温度を意味し、具体的には、JIS7121(プラスチックの転移温度測定法)に準拠して、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、融解ピークの低温側の曲線にこう配が最大になる点で引いた接線の交点の温度とした。あるいは、結着材が溶融することによる吸熱量をDSCカーブのピーク面積から計算し、総吸熱量の約2分の1に達したときの温度を指標としてもよい。結着材の溶融開始温度が低下することによって、より低い温度から吸熱が始まり、ある一定の吸熱量に達したときにPTC機能が発揮されるからである。
[融点及び溶融開始温度の測定方法]
例えば、日立ハイテクサイエンス製高感度型示差走査熱量計DSC7000X装置等を用い、PVDFとPTC機能付与成分とを有機溶媒に溶解するか、または粉体のまま乳鉢等で混合した後、乾燥した粉体約5mgをアルミパンに詰め、これに非水電解質を加えて試料とする。試料に添加する非水電解質は、環状カーボネート及び鎖状カーボネートから選ばれる有機溶媒が単独あるいは複数種を組み合せた溶媒混合物中に、電解質として少なくともLiPF6を含むリチウム塩を溶解させた電解液が好ましい。本実施形態では、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との、3:7の混合溶液中、1Mの六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を溶解した非水電解質を用いる。測定条件は、例えば、室温から約200℃まで、5℃/分で昇温する。このとき得られる吸熱曲線より求めることができる。
例えば、日立ハイテクサイエンス製高感度型示差走査熱量計DSC7000X装置等を用い、PVDFとPTC機能付与成分とを有機溶媒に溶解するか、または粉体のまま乳鉢等で混合した後、乾燥した粉体約5mgをアルミパンに詰め、これに非水電解質を加えて試料とする。試料に添加する非水電解質は、環状カーボネート及び鎖状カーボネートから選ばれる有機溶媒が単独あるいは複数種を組み合せた溶媒混合物中に、電解質として少なくともLiPF6を含むリチウム塩を溶解させた電解液が好ましい。本実施形態では、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との、3:7の混合溶液中、1Mの六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を溶解した非水電解質を用いる。測定条件は、例えば、室温から約200℃まで、5℃/分で昇温する。このとき得られる吸熱曲線より求めることができる。
PTC機能付与成分としては、結着成分として用いられるPVDFの溶融開始温度及び溶融ピーク温度を降下させうる物質であれば特に限定されるものではないが、結晶性高分子であるPVDFと相溶(適合)する化合物、好ましくは結晶性又は非結晶性の高分子化合物を用いることができる。本明細書において、用語「相溶」とは、2種類の異なる物質、特に、高分子が均一に混和する状態をいい、これらは、完全に相溶しても、また一部が相溶してもよい。混合後の試料が透明になるか、又はフィルム形成能を有することによって均一に混和したことを判定することができる。例えば、カルボニル基又はシアノ基を含有する化合物である。カルボニル基は、−C(=O)−なる構造を有し、酸素原子は、炭素原子よりもはるかに電気陰性度が大きいので、C=O結合の電子は、電気的に陽性な炭素原子の近傍よりも、電気陰性度の大きい酸素原子の近傍に偏って存在する。同様に、シアノ基は、炭素原子と窒素原子間の三重構造を有し、窒素原子上に電子が偏っており、強い電子吸引基である。カルボニル基及びシアノ基は1又は複数個含まれていてもよく、例えば、カルボニル基を2個含むジオン化合物等も、本発明のPTC機能付与成分に含まれる。
一般に、結晶性高分子と非結晶性高分子に相溶性がある場合には、結晶性高分子の融点降下が生じることが知られている。融点降下に最も影響を与える因子は、両高分子間の相互作用の強さを表す熱力学的パラメータχ12値であり、フローリー−ハギンス(Flory-Huggins)理論により導き出される。この理論に基づくと、相溶する結晶性/非結晶性高分子ブレンド系においては、χ12値が負の値を示す場合に融点降下が生じるといわれている。好ましい実施形態では、前記相溶性物質が、カルボキシル基(−COOH)、カルボン酸エステル(−COO−R)、カーボネート基(R−O−(C=O)−O−R')、イミド基(R−CONHCO−R')、又はアミド基(R−C=ONH−R')を含有する結晶性又は非結晶性高分子である。
本実施形態において、このような相溶性物質からなるPTC機能付与成分が、PVDFの融点を降下させる具体的理由は明らかではないが、これらの添加剤がカルボニル基やシアノ基に由来する電気的性質(極性)を有することが、PDVFとの相互作用を強め、その融点降下作用を発揮するものと推察される。
したがって、好ましい実施形態では前記PTC機能付与成分が、アクリル酸(AAc)、メタクリル酸(MAc)、バルビツール酸(BTA)、アセチルアセトン、ポリアクリル酸メチル(PMA)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DEHP)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、及びそれらの誘導体(共重合体)からなる群より選ばれる1種以上である。
PVDFと相溶性の良いメタクリル酸エステルとしては、例えば、以下の化合物を挙げることができる。メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸n−ブトキシエチル、メタクリル酸イソブトキシエチル、メタクリル酸t−ブトキシエチル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸ノニルフェノキシエチル、メタクリル酸3−メトキシブチル、ブレンマーPME−100(商品名、日本油脂(株)製)、ブレンマーPME−200(商品名、日本油脂(株)製)。
前記メタクリル酸エステルの中では、入手のし易さやPVDFとの相溶性などの観点から、以下のものが好ましく用いられる。メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2−エチルヘキシルが好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチルがより好ましい。ビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記メタクリル酸エステルの中では、入手のし易さやPVDFとの相溶性などの観点から、以下のものが好ましく用いられる。メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2−エチルヘキシルが好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチルがより好ましい。ビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、フッ素化アルキルメタクリレートとしては、以下の化合物が好適に使用可能である。2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート、2,2,2−トリフロオロエチルαフルオロアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルαフルオロアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルαフルオロアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルαフルオロアクリレート等。
本発明の1つの実施形態として、上記PTC機能付与成分は、アミド、イミド、マレイミド及びジオン化合物などが含まれる。
アミドとしては、 第1級アミドが特に好ましく、例えば、N−ビニルアミド、ジビニルアミド、シリル(ビニル)アミド、グリオキシル化ビニルアミドなどを挙げることができる。
イミドの具体例としては、例えば、N−ビニルイミド、N−ビニルフタルイミド、ビニルアセトアミドなどのジビニルイミドを挙げることができる。
マレイミドとしては、例えば、モノマレイミド、ビスマレイミド、トリスマレイミド、ポリマレイミドなどを挙げることができる。
アミドとしては、 第1級アミドが特に好ましく、例えば、N−ビニルアミド、ジビニルアミド、シリル(ビニル)アミド、グリオキシル化ビニルアミドなどを挙げることができる。
イミドの具体例としては、例えば、N−ビニルイミド、N−ビニルフタルイミド、ビニルアセトアミドなどのジビニルイミドを挙げることができる。
マレイミドとしては、例えば、モノマレイミド、ビスマレイミド、トリスマレイミド、ポリマレイミドなどを挙げることができる。
ビスマレイミドの具体例としては、例えば、N,N'−ビスマレイミド−4,4'−ジフェニルメタン、1,1'−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスマレイミド、N,N'−(1,1'−ビフェニル−4,4'−ジイル)ビスマレイミド、N,N'−(4−メチル−1,3−フェニレン)ビスマレイミド、1,1'−(3,3'−ジメチル−1,1'−ビフェニル−4,4'−ジイル)ビスマレイミド、N,N'−エチレンジマレイミド、N,N'−(1,2−フェニレン)ジマレイミド、N,N'−(1,3−フェニレン)ジマレイミド、N,N'−チオジマレイミド、N,N'−ジチオジマレイミド、N,N'−ケトンジマレイミド、N,N'−メチレンビスマレインイミド、ビスマレインイミドメチル−エーテル、1,2−ビスマレイミド−1,2−エタンジオール、N,N'−4,4'−ジフェニルエーテル−ビスマレイミド、4,4'−ビスマレイミド−ジフェニルスルホンなどを挙げることができる。
本実施形態で用いるジオン化合物とは、2つのカルボニル炭素間に炭素原子を有するβジケト化合物、またはバルビツール酸およびその誘導体をいう。ジオン化合物としては、例えば、バルビツール酸およびその誘導体、アセチルアセトンおよびその誘導体などを挙げることができる。
前記結着材中に含まれるこれらのPTC機能付与成分の含有率は、0〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは、1〜40質量%であり、さらに好ましくは5〜30質量%である。PTC機能付与成分の含有量が50質量%より多いと、結着材として正極活物質との結合力が低下するおそれがある。
本実施形態の結着材は、結着成分としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)と、PTC機能付与成分とを、これらを共に溶解する共通溶媒に溶解した後、溶媒置換して沈殿させた混合物として調製することが好ましい。この方法により調製された結着材は、結着成分とPTC機能付与成分とが分子レベルで均一に混合した状態で存在するからである。
他の実施形態では、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)と、PTC機能付与成分との粉体混合物を、ボールミルやロッキングミキサーなどの粉体混合機又は公知の解砕機などにて混合して調製してもよい。電解液若しくは電極合剤層を調製する際の溶媒中で容易に均一化して結着材となるからである。
(PVDF共重合体)
あるいは、他の一実施形態として、PTC機能付与成分を含むポリフッ化ビニリデン(PVDF)の代わりにポリフッ化ビニリデン共重合体を用いてもよい。この場合には、非水電解質の存在下に、PVDF共重合体の溶融開始温度及び/又は溶融ピーク温度が、フッ化ビニリデン単独のポリマーであるPVDFの場合に比べて低下していることが好ましく、例えば、50℃〜100℃、より好ましくは、60℃〜90℃に溶融開始温度及び/又は溶融ピーク温度を有するものである。このようなPVDF共重合体としては、PVDF−HFP(ヘキサフルオロプロピレン)及びPVDF−PEO(ポリオキシエチレン)等を用いることができる。
あるいは、他の一実施形態として、PTC機能付与成分を含むポリフッ化ビニリデン(PVDF)の代わりにポリフッ化ビニリデン共重合体を用いてもよい。この場合には、非水電解質の存在下に、PVDF共重合体の溶融開始温度及び/又は溶融ピーク温度が、フッ化ビニリデン単独のポリマーであるPVDFの場合に比べて低下していることが好ましく、例えば、50℃〜100℃、より好ましくは、60℃〜90℃に溶融開始温度及び/又は溶融ピーク温度を有するものである。このようなPVDF共重合体としては、PVDF−HFP(ヘキサフルオロプロピレン)及びPVDF−PEO(ポリオキシエチレン)等を用いることができる。
(集電体)
本実施形態における集電体としては、各種のものを使用することができるが、通常は金属や合金が用いられる。具体的には、正極集電体としては、アルミニウムやニッケル、SUS等が挙げられ、負極集電体としては、銅やニッケル、SUS等が挙げられる。
本実施形態における集電体としては、各種のものを使用することができるが、通常は金属や合金が用いられる。具体的には、正極集電体としては、アルミニウムやニッケル、SUS等が挙げられ、負極集電体としては、銅やニッケル、SUS等が挙げられる。
(その他の成分)
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極が備える正極合剤層には、上記正極活物質に加えて、正極合剤層を製造するために用いられる適当な成分が含まれていてもよい。例えば、正極合剤層が合剤スラリーから形成される場合、正極合剤層には、その合剤スラリー由来の各種配合成分が含まれることがある。そのような合剤スラリー由来の各種配合成分の例として、増粘剤、並びに、界面活性剤、分散剤、濡れ剤、消泡剤などその他の添加剤が挙げられる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極が備える正極合剤層には、上記正極活物質に加えて、正極合剤層を製造するために用いられる適当な成分が含まれていてもよい。例えば、正極合剤層が合剤スラリーから形成される場合、正極合剤層には、その合剤スラリー由来の各種配合成分が含まれることがある。そのような合剤スラリー由来の各種配合成分の例として、増粘剤、並びに、界面活性剤、分散剤、濡れ剤、消泡剤などその他の添加剤が挙げられる。
(負極活物質)
負極活物質としては、金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属もしくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、および、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料からなる群から選ばれた少なくとも1種(単独で用いてもよいし、これらの2種以上を含む混合物を用いてもよい)を用いることができる。
負極活物質としては、金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属もしくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、および、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料からなる群から選ばれた少なくとも1種(単独で用いてもよいし、これらの2種以上を含む混合物を用いてもよい)を用いることができる。
リチウム(又はリチウムイオン)との合金化が可能な金属もしくは合金としては、シリコン、シリコン合金、スズ、スズ合金などを挙げることができる。また、チタン酸リチウムでもよい。
これらの中でもリチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能な炭素材料が好ましい。このような炭素材料としては、カーボンブラック、活性炭、黒鉛材料(人造黒鉛、天然黒鉛)、非晶質炭素材料、等が挙げられる。前記炭素材料の形態は、繊維状、球状、ポテト状、フレーク状いずれの形態であってもよい。
これらの中でもリチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能な炭素材料が好ましい。このような炭素材料としては、カーボンブラック、活性炭、黒鉛材料(人造黒鉛、天然黒鉛)、非晶質炭素材料、等が挙げられる。前記炭素材料の形態は、繊維状、球状、ポテト状、フレーク状いずれの形態であってもよい。
前記非晶質炭素材料として具体的には、ハードカーボン、コークス、1500℃以下に焼成したメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソペーズビッチカーボンファイバー(MCF)などが例示される。
前記黒鉛材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。人造黒鉛としては、黒鉛化MCMB、黒鉛化MCFなどが用いられる。また、黒鉛材料としては、ホウ素を含有するものなども用いることができる。また、黒鉛材料としては、金、白金、銀、銅、スズなどの金属で被覆したもの、非晶質炭素で被覆したもの、非晶質炭素と黒鉛を混合したものも使用することができる。
これらの炭素材料は、1種類で使用してもよく、2種類以上混合して使用してもよい。
これらの炭素材料は、1種類で使用してもよく、2種類以上混合して使用してもよい。
(正極合剤層の形成方法)
本発明のリチウムイオン二次電池用正極が備える合剤層は、上述した正極活物質、導電助剤、及び結着材を含む正極合剤スラリーを集電体の表面に塗布して、乾燥することによって製造することができる。この場合、上述した結着材を溶媒に溶解させた溶液に、前記正極活物質及び導電助剤を分散させで正極合剤スラリーを形成することが好ましい。正極合剤スラリーに含まれる結着材の量は、全固形成分の例えば1〜10質量%程度とすることができる。結着材の含有量が1質量%より少ないと、合剤層の温度上昇時に導電経路の遮断効果が小さくなる。一方、結着材は一般に絶縁性を示すためその含有量が10質量%より多いと、合剤層内の接触抵抗が増加して電池容量が低下するため好ましくない。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極が備える合剤層は、上述した正極活物質、導電助剤、及び結着材を含む正極合剤スラリーを集電体の表面に塗布して、乾燥することによって製造することができる。この場合、上述した結着材を溶媒に溶解させた溶液に、前記正極活物質及び導電助剤を分散させで正極合剤スラリーを形成することが好ましい。正極合剤スラリーに含まれる結着材の量は、全固形成分の例えば1〜10質量%程度とすることができる。結着材の含有量が1質量%より少ないと、合剤層の温度上昇時に導電経路の遮断効果が小さくなる。一方、結着材は一般に絶縁性を示すためその含有量が10質量%より多いと、合剤層内の接触抵抗が増加して電池容量が低下するため好ましくない。
合材スラリーに含まれる溶剤は、上記結着材を調製する際の共通溶媒と兼ねるものであり、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトンなどに代表される非プロトン性極性溶剤もしくはこれらの混合液を選択できる。
集電体へ合材スラリーを塗布・乾燥する上で、塗布・乾燥方法は特に限定されない。例えば、スロット・ダイコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、グラビアコーティング又はインクジェット法などの方法が挙げられる。乾燥方法としては、温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線などの乾燥法が挙げられる。乾燥時間や乾燥温度については、特に限定されないが、乾燥時間は通常1分〜30分であり、乾燥温度は通常40℃〜180℃である。
PTC機能付与成分の濃度を段階的又は連続的に変化させて正極合剤層を形成するためには2種以上の合材スラリーを用意し、これを混合しながら正極集電体上に塗布する方法がある。例えば、PTC機能付与成分を含む正極合剤スラリーと、PTC機能付与成分を含まない正極合剤スラリーを用意し、図5に示す製造装置を用いて集電体上に塗布する。図5に示した正極合剤スラリー形成装置70は、各々が攪拌翼を駆動するモータを有する、2つ以上のリザーバを備えている。例えば、第一のリザーバ71にはPTC機能付与成分を含まない、すなわち結着成分のみからなる結着材を使用した正極合剤スラリーを用意し、第二のリザーバ72には結着成分及びPTC機能付与成分を含む結着材を使用した正極合剤スラリーを用意する。攪拌翼74は、リザーバに保持された正極合剤スラリーの均質性を維持する役目を果たしている。それぞれのリザーバ71及び72からの正極合剤スラリーは、流体ラインを通ってプレミキサー83を有するスパイラルミキサー82とへ送られる。各流体ラインは、正極合剤スラリーがプレミキサー83内に移動するように、それぞれの正極合剤スラリーをポンプして液体の流れを調節するためのポンプ76およびフローコントローラ75と関連付けられている。モータ73、ポンプ76およびフローコントローラ75は、制御部からの信号に従って、それぞれのリザーバからの正極合剤スラリーの流量を制御する。正極合剤スラリーは、スパイラルミキサー82で混合され、さらに、供給チューブ81を介して、ダイコーター80およびダイコーターのノズル79内へ、プレミキサーから送液される。上記それぞれのリザーバからの正極合剤スラリーの流量を制御することで、塗布される正極合剤層中におけるPTC機能付与成分の濃度を段階的に、例えば、集電体上の一定の長さごとにPTC機能付与成分の濃度を変えたり、あるいは連続的に変化させることもできる。
電解液としては、例えば、通常リチウムイオン二次電池で用いられるものであることが好ましく、具体的には、有機溶媒に支持塩(リチウム塩)が溶解した形態を有する。リチウム塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、六フッ化タンタル酸リチウム(LiTaF6)、四塩化アルミニウム酸リチウム(LiAlCl4)、リチウムデカクロロデカホウ素酸(Li2B10Cl10)等の無機酸陰イオン塩、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Li(CF3SO2)2N)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(Li(C2F5SO2)2N)等の有機酸陰イオン塩の中から選ばれる、少なくとも1種類のリチウム塩等を挙げることができる。その中でも、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)が好ましい。
また、有機溶媒としては、例えば、環状カーボネート類、含フッ素環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、含フッ素鎖状カーボネート類、脂肪族カルボン酸エステル類、含フッ素脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ラクトン類、含フッ素γ−ラクトン類、環状エーテル類、含フッ素環状エーテル類、鎖状エーテル類及び含フッ素鎖状エーテル類からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒を用いることができる。
環状カーボネート類としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)を挙げることができる。また、含フッ素環状カーボネート類としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート(FEC)を挙げることができる。更に、鎖状カーボネート類としては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、ジプロピルカーボネート(DPC)を挙げることができる。また、脂肪族カルボン酸エステル類としては、例えば、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチルを挙げることができる。更に、γ−ラクトン類としては、例えば、γ−ブチロラクトンを挙げることができる。また、環状エーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンを挙げることができる。更に、鎖状エーテル類としては、例えば、1,2−エトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンを挙げることができる。その他としては、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類を挙げることができる。これらは、1種を単独で、2種以上を組み合わせて用いることができる。
電解液には、スルトン誘導体や環状スルホン酸エステルなどの有機スルホン系化合物、ジスルトン誘導体や環状ジスルホン酸エステルなどの有機ジスルホン系化合物、ビニレンカーボネート誘導体、エチレンカーボネート誘導体、エステル誘導体、2価フェノール誘導体、エチレングリコール誘導体、テルフェニル誘導体、ホスフェート誘導体などの添加剤を添加してもよい。これらは負極活物質の表面に被膜を形成し、電池におけるガス発生が低減され、更に容量維持率の向上を図ることができる。
有機スルホン系化合物としては、例えば、1,3−プロパンスルホン(飽和スルトン)、1,3−プロペンスルトン(不飽和スルトン)を挙げることができる。また、有機ジスルホン系化合物としては、例えば、メタンジスルホン酸メチレンを挙げることができる。ビニレンカーボネート誘導体としては、例えば、ビニレンカーボネート(VC)を挙げることができる。また、エチレンカーボネート誘導体としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート(FEC)を挙げることができる。更に、エステル誘導体としては、例えば、4−ビフェニリルアセテート、4−ビフェニリルベンゾエート、4−ビフェニリルベンジルカルボキシレート、2−ビフェニリルプロピオネートを挙げることができる。また、2価フェノール誘導体としては、例えば、1,4−ジフェノキシベンゼン、1,3−ジフェノキシベンゼンを挙げることができる。更に、エチレングリコール誘導体としては、例えば、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−ビフェニリルオキシ)−2−フェノキシエタン、1−(2−ビフェニリルオキシ)−フェノキシエタンを挙げることができる。また、テルフェニル誘導体としては、例えば、o−テルフェニル、m−テルフェニル、p−テレフェニル、2−メチル−o−テルフェニル、2,2−ジメチル−o−テルフェニルを挙げることができる。更に、ホスフェート誘導体としては、例えば、トリフェニルホスフェートを挙げることができる。
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンからなる微多孔膜や多孔質の平板、更には不織布を挙げることができる。
[リチウムイオン二次電池及びその製造方法]
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、上記で説明した正極と、負極と、セパレータと、非水電解質溶液と、を含む。また、その製造方法は、上記記載の方法で製造された正極と、負極と、セパレータとをシート状に積層し、当該シートを巻回又は積層して電極層を形成し、当該電極層に非水電解質溶液を注入することを含むものである。
そして、この巻回又は積層された電極層の正極内におけるPTC機能付与成分は、電池外表面から中心部に対し濃度勾配を有することが好ましい。
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、上記で説明した正極と、負極と、セパレータと、非水電解質溶液と、を含む。また、その製造方法は、上記記載の方法で製造された正極と、負極と、セパレータとをシート状に積層し、当該シートを巻回又は積層して電極層を形成し、当該電極層に非水電解質溶液を注入することを含むものである。
そして、この巻回又は積層された電極層の正極内におけるPTC機能付与成分は、電池外表面から中心部に対し濃度勾配を有することが好ましい。
本発明に係るリチウムイオン二次電池の正極が、内部短絡時等に発揮する発熱抑制作用は、結着材に含まれるPTC機能付与成分の融点降下作用に起因すると考えられる。そこで、以下にその典型的な具体例を挙げて説明する。
[参考例1〜23] DSCによる非水電解質共存下での結着材の融点測定
<PTC機能付与成分一覧表>
PTC機能付与成分として用いた化合物の一覧表を以下の表1に示す。
[参考例1〜23] DSCによる非水電解質共存下での結着材の融点測定
<PTC機能付与成分一覧表>
PTC機能付与成分として用いた化合物の一覧表を以下の表1に示す。
<サンプル調製>
PVDFと種々のPTC機能付与成分(粉末)とを、所定の割合にてメノウ乳鉢を用いて約15分混合した。例えば、PVDF(粉末)とPTC機能付与成分(粉末)との混合比が1:1の場合、それぞれ0.1gを秤量して混合した。この混合粉末を常温(25℃)で10時間以上真空乾燥した。
予め秤量しておいたDSC測定用のSUS−PANに、上記試料3mgを秤量し投入した。続いて、電解液(1M−LiPF6/3EC7EMC)6mgを、上記SUS−PANへ追加した(重量比で粉:電解液=1:2)。その際、目視で粉体がほぼ全て液に浸漬している状態になっていることを確認した。素早く蓋(予め秤量)をセット(秤量)し、専用プレスで密閉シールした。
PVDFと種々のPTC機能付与成分(粉末)とを、所定の割合にてメノウ乳鉢を用いて約15分混合した。例えば、PVDF(粉末)とPTC機能付与成分(粉末)との混合比が1:1の場合、それぞれ0.1gを秤量して混合した。この混合粉末を常温(25℃)で10時間以上真空乾燥した。
予め秤量しておいたDSC測定用のSUS−PANに、上記試料3mgを秤量し投入した。続いて、電解液(1M−LiPF6/3EC7EMC)6mgを、上記SUS−PANへ追加した(重量比で粉:電解液=1:2)。その際、目視で粉体がほぼ全て液に浸漬している状態になっていることを確認した。素早く蓋(予め秤量)をセット(秤量)し、専用プレスで密閉シールした。
<測定>
日立ハイテクサイエンス製高感度型示差走査熱量計DSC7000X装置を用い、走査速度5℃/分、室温→210℃の条件で融解温度を測定した。
日立ハイテクサイエンス製高感度型示差走査熱量計DSC7000X装置を用い、走査速度5℃/分、室温→210℃の条件で融解温度を測定した。
<結果>
参考例及び実施例で用いたPVDF及びPVDF共重合体であるPVDF−HFPのメーカー名及び商品名と、DSCで測定したときの溶融温度を示す。
表3に、結着成分(PVDF)75質量%とPTC機能付与成分25質量%、又はそれぞれ50質量%ずつを混合した時の融解開始温度及びピーク温度(融点)を表に示す。
表2及び3に示したように、上記PVDFとPTC機能付与成分との混合物は、約80℃から融解が始まり、90℃〜130℃付近にピーク温度を有することが分かった。
また、参考例1、2及びPVDFのみで測定した試料のDSCチャートを図6に示す。図6に示した結果から、PTC機能付与成分の添加によって、結着成分であるPVDFの溶融開始温度及び融点が明らかに低下していることが分かる。
また、参考例1、2及びPVDFのみで測定した試料のDSCチャートを図6に示す。図6に示した結果から、PTC機能付与成分の添加によって、結着成分であるPVDFの溶融開始温度及び融点が明らかに低下していることが分かる。
[実施例1]
正極作製
1−1.スラリー調製(A)
スラリー調製は5Lのプラネタリーディスパを用いた。
NCM523(Umicore社製、組成式 LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2)920gと、Super−P(TIMCAL社製導電性カーボン)20g、KS−6(TIMREX社製鱗片状黒鉛)20gを10分間混合した後、N−メチルピロリドン(NMP)を50g加え更に20分間混合した。
次いで、8%−PVDF溶液(クレハ製PVDFW#7200をNMPに溶解)200gを加えて、30分間混練した後、更に8%−PVDF溶液300gを加えて30分間混練した。次いで、NMP50g加えて30分間混練した。その後、粘度調整のためNMP52gを加えて30分間混合した後、真空脱泡30分間を行った。こうして固形分濃度64%のスラリーを調製した。
組成;NCM523/Super−P/KS6/PVDF=92/2/2/4
正極作製
1−1.スラリー調製(A)
スラリー調製は5Lのプラネタリーディスパを用いた。
NCM523(Umicore社製、組成式 LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2)920gと、Super−P(TIMCAL社製導電性カーボン)20g、KS−6(TIMREX社製鱗片状黒鉛)20gを10分間混合した後、N−メチルピロリドン(NMP)を50g加え更に20分間混合した。
次いで、8%−PVDF溶液(クレハ製PVDFW#7200をNMPに溶解)200gを加えて、30分間混練した後、更に8%−PVDF溶液300gを加えて30分間混練した。次いで、NMP50g加えて30分間混練した。その後、粘度調整のためNMP52gを加えて30分間混合した後、真空脱泡30分間を行った。こうして固形分濃度64%のスラリーを調製した。
組成;NCM523/Super−P/KS6/PVDF=92/2/2/4
1−2.塗工・乾燥
スラリー塗工にはダイコーターを用いた。図5に示したように、スラリー(A)を用い、ダイヘッドへのスラリー供給圧・供給量を調整し、乾燥後の塗布重量が19.0mg/cm2になるように、上記スラリーをアルミ箔(厚み20μm、幅200mm)の片面に塗布し乾燥した。次いで、反対面(未塗工面)に、同様に塗布重量が19.0mg/cm2になるように、上記スラリーをアルミ箔に塗布し乾燥した。
こうして得た両面塗工(38.0mg/cm2)した正極ロールを、真空乾燥オーブンで130℃、12時間乾燥した。
スラリー塗工にはダイコーターを用いた。図5に示したように、スラリー(A)を用い、ダイヘッドへのスラリー供給圧・供給量を調整し、乾燥後の塗布重量が19.0mg/cm2になるように、上記スラリーをアルミ箔(厚み20μm、幅200mm)の片面に塗布し乾燥した。次いで、反対面(未塗工面)に、同様に塗布重量が19.0mg/cm2になるように、上記スラリーをアルミ箔に塗布し乾燥した。
こうして得た両面塗工(38.0mg/cm2)した正極ロールを、真空乾燥オーブンで130℃、12時間乾燥した。
1−3.プレス
35トンプレス機を用いた。上下ロールのギャップ(隙間)を調整し、上記正極をプレス密度が2.9±0.05g/cm3になるように圧縮した。
1−4.スリット
電極塗布面積(表面および裏面:174mm×94mm)とタブ溶接余白が得られるように電極をスリットし正極C−1aを得た。
35トンプレス機を用いた。上下ロールのギャップ(隙間)を調整し、上記正極をプレス密度が2.9±0.05g/cm3になるように圧縮した。
1−4.スリット
電極塗布面積(表面および裏面:174mm×94mm)とタブ溶接余白が得られるように電極をスリットし正極C−1aを得た。
2.スラリー調製(B)
スラリー調製は5Lのプラネタリーディスパを用いた。
NCM523(Umicore社製、組成式 LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2)920gと、Super−P(TIMCAL社製導電性カーボン)20g、KS−6(TIMREX社製鱗片状黒鉛)20gを10分間混合した後、N−メチルピロリドン(NMP)を50g加え更に20分間混合した。
スラリー調製は5Lのプラネタリーディスパを用いた。
NCM523(Umicore社製、組成式 LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2)920gと、Super−P(TIMCAL社製導電性カーボン)20g、KS−6(TIMREX社製鱗片状黒鉛)20gを10分間混合した後、N−メチルピロリドン(NMP)を50g加え更に20分間混合した。
8%−PVDF溶液(クレハ製PVDFW#7200をNMPに溶解)200gを加えて、30分間混練した後、更に8%−PVDF溶液175gを加えて30分間混練した。次いで、PTC機能付与剤[X]としてBMI−1000/BTA=2/1の混合物10gをNMPに溶解した8%−溶液を125g加えて30分間混練した。その後、粘度調整のためNMP44gを加えて30分間混合した後、真空脱泡30分間を行った。こうして固形分濃度64%のスラリーを調製した。
組成;NCM523/Super−P/KS6/PVDF/[X]
=92/2/2/3/1
スラリー(B)を用いた以外は同様にして、正極C−1bを得た。
組成;NCM523/Super−P/KS6/PVDF/[X]
=92/2/2/3/1
スラリー(B)を用いた以外は同様にして、正極C−1bを得た。
3.スラリー調製(C)
スラリー調製は5Lのプラネタリーディスパを用いた。
NCM523(Umicore社製、組成式 LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2)920gと、Super−P(TIMCAL社製導電性カーボン)20g、KS−6(TIMREX社製鱗片状黒鉛)20gを10分間混合した後、N−メチルピロリドン(NMP)を50g加え更に20分間混合した。
8%−PVDF溶液(クレハ製PVDFW#7200をNMPに溶解)200gを加えて、30分間混練した後、更に8%−PVDF溶液50gを加えて30分間混練した。次いで、PTC機能付与剤[X]としてBMI−1000/BTA=2/1の混合物20gをNMPに溶解した8%−溶液を250g加えて30分間混練した。その後、粘度調整のためNMP44gを加えて30分間混合した後、真空脱泡30分間を行った。こうして固形分濃度64%のスラリーを調製した。
組成;NCM523/Super−P/KS6/PVDF/[X]
=92/2/2/2/2
スラリー(C)を用いた以外は同様にして、正極C−1cを得た。
スラリー調製は5Lのプラネタリーディスパを用いた。
NCM523(Umicore社製、組成式 LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2)920gと、Super−P(TIMCAL社製導電性カーボン)20g、KS−6(TIMREX社製鱗片状黒鉛)20gを10分間混合した後、N−メチルピロリドン(NMP)を50g加え更に20分間混合した。
8%−PVDF溶液(クレハ製PVDFW#7200をNMPに溶解)200gを加えて、30分間混練した後、更に8%−PVDF溶液50gを加えて30分間混練した。次いで、PTC機能付与剤[X]としてBMI−1000/BTA=2/1の混合物20gをNMPに溶解した8%−溶液を250g加えて30分間混練した。その後、粘度調整のためNMP44gを加えて30分間混合した後、真空脱泡30分間を行った。こうして固形分濃度64%のスラリーを調製した。
組成;NCM523/Super−P/KS6/PVDF/[X]
=92/2/2/2/2
スラリー(C)を用いた以外は同様にして、正極C−1cを得た。
負極作製
1.スラリー調製
スラリー調製は5Lのプラネタリーディスパを用いた。
天然黒鉛930gと、Super−P(導電性カーボン、BET比表面積62m2/g)10gを10分間混合した後、NMPを500g加え更に20分間混合した。次いで、8%−PVDF溶液(PVDFをNMPに溶解)500gを加えて30分間混練した後、更に8%−PVDF溶液250gを加えて30分間混練した。その後、粘度調整のためNMP32gを加えて30分間混合した後、真空脱泡30分間を行った。こうして固形分濃度45%のスラリーを調製した。
1.スラリー調製
スラリー調製は5Lのプラネタリーディスパを用いた。
天然黒鉛930gと、Super−P(導電性カーボン、BET比表面積62m2/g)10gを10分間混合した後、NMPを500g加え更に20分間混合した。次いで、8%−PVDF溶液(PVDFをNMPに溶解)500gを加えて30分間混練した後、更に8%−PVDF溶液250gを加えて30分間混練した。その後、粘度調整のためNMP32gを加えて30分間混合した後、真空脱泡30分間を行った。こうして固形分濃度45%のスラリーを調製した。
2.塗工・乾燥
スラリー塗工にはダイコーターを用いた。
乾燥後の塗布重量が11.0mg/cm2になるように、上記スラリーを銅箔(厚み10μm)の片面に塗布し乾燥した。次いで、反対面(未塗工面)に、同様に塗布重量が11.0mg/cm2になるように、上記スラリーを銅箔に塗布し乾燥した。こうして得た両面塗工(22.0mg/cm2)した負極ロールを、真空乾燥オーブンで120℃、12時間乾燥した。
スラリー塗工にはダイコーターを用いた。
乾燥後の塗布重量が11.0mg/cm2になるように、上記スラリーを銅箔(厚み10μm)の片面に塗布し乾燥した。次いで、反対面(未塗工面)に、同様に塗布重量が11.0mg/cm2になるように、上記スラリーを銅箔に塗布し乾燥した。こうして得た両面塗工(22.0mg/cm2)した負極ロールを、真空乾燥オーブンで120℃、12時間乾燥した。
3.プレス
小型プレス機を用いた。
上下ロールのギャップ(隙間)を調整し、上記負極をプレス密度が1.45±0.05g/cm3になるように圧縮した。
電極塗布面積(表面および裏面:180mm×100mm)とタブ溶接余白が得られるように電極をスリットし負極A−1を得た。
小型プレス機を用いた。
上下ロールのギャップ(隙間)を調整し、上記負極をプレス密度が1.45±0.05g/cm3になるように圧縮した。
電極塗布面積(表面および裏面:180mm×100mm)とタブ溶接余白が得られるように電極をスリットし負極A−1を得た。
電池作製
積層型電池(設計容量5Ah)
正極C−1a〜cの余白部分にアルミニウム製タブを超音波接合機で接合した。負極A−1の余白部分にニッケル製タブを超音波接合機で接合した。
1.積層
セパレータには、空隙率45%、厚み25μmのポリエチレン製多孔質膜(183mm×100mm)を用いた(S−1)。
負極A−1とセパレータ(S−1)と正極C−1aとセパレータ(S−1)と負極A−1とセパレータ(S−1)と正極C−1bとセパレータ(S−1)と負極A−1とセパレータ(S−1)と正極C−1cの順に、正極5層と負極6層になるよう交互に積層した。次いで、ラミネートシートで挟み込み、3辺を加熱シールした。こうして実施例1の積層型電池(図1、図2(a))を得た。
正極5層の構成;C1−a/C1−b/C1−c/C1−b/C1−a
積層型電池(設計容量5Ah)
正極C−1a〜cの余白部分にアルミニウム製タブを超音波接合機で接合した。負極A−1の余白部分にニッケル製タブを超音波接合機で接合した。
1.積層
セパレータには、空隙率45%、厚み25μmのポリエチレン製多孔質膜(183mm×100mm)を用いた(S−1)。
負極A−1とセパレータ(S−1)と正極C−1aとセパレータ(S−1)と負極A−1とセパレータ(S−1)と正極C−1bとセパレータ(S−1)と負極A−1とセパレータ(S−1)と正極C−1cの順に、正極5層と負極6層になるよう交互に積層した。次いで、ラミネートシートで挟み込み、3辺を加熱シールした。こうして実施例1の積層型電池(図1、図2(a))を得た。
正極5層の構成;C1−a/C1−b/C1−c/C1−b/C1−a
2.電解液注液
電解液注液前に、上記を真空乾燥機にて、70℃×12h減圧乾燥した。電解液(1mol−LiPF6、EC/DEC=3/7(vol.比)、添加剤VC 1.0重量%)19.6±0.3gを注液した後、真空引きしながら加熱シールした。
電解液注液前に、上記を真空乾燥機にて、70℃×12h減圧乾燥した。電解液(1mol−LiPF6、EC/DEC=3/7(vol.比)、添加剤VC 1.0重量%)19.6±0.3gを注液した後、真空引きしながら加熱シールした。
3.活性化処理
電解液注液後の電池を24h保持した。次いで、0.05Cで4h定電流充電(0.05C−CC)した後12h休止した。その後、0.1Cで4.2Vまで定電流定電圧充電(0.1C−CCCV)し、30分間休止した後、2.8Vまで0.1Cで定電流放電(0.1C−CC)した。更に、充放電サイクル(0.1C−CCCVで4.2Vの充電と、0.1C−CCで2.8Vの放電)を5回繰り返した後、4.2V(SOC100%)の満充電にした状態で、25℃、5日間保存した。
電解液注液後の電池を24h保持した。次いで、0.05Cで4h定電流充電(0.05C−CC)した後12h休止した。その後、0.1Cで4.2Vまで定電流定電圧充電(0.1C−CCCV)し、30分間休止した後、2.8Vまで0.1Cで定電流放電(0.1C−CC)した。更に、充放電サイクル(0.1C−CCCVで4.2Vの充電と、0.1C−CCで2.8Vの放電)を5回繰り返した後、4.2V(SOC100%)の満充電にした状態で、25℃、5日間保存した。
[実施例2〜3]
PTC機能付与剤としてBMI−1000/BTA=2/1の混合物の代りに、PMMA(分子量15,000)又はPVAc(分子量150,000)を用いた以外は、実施例1と同様にして、夫々、実施例2及び3の積層型電池(図1、図2(a))を得た。
PTC機能付与剤としてBMI−1000/BTA=2/1の混合物の代りに、PMMA(分子量15,000)又はPVAc(分子量150,000)を用いた以外は、実施例1と同様にして、夫々、実施例2及び3の積層型電池(図1、図2(a))を得た。
[実施例4]
PTC機能付与剤としてBMI−1000/BTA=2/1の混合物及び8%−PVDF溶液(クレハ製PVDFW#7200をNMPに溶解)の代りに、10%−PVDF−HFP溶液(Arukema製KYNAR FLEX2751をNMPに溶解)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の積層型電池(図1、図2(a))を得た。
PTC機能付与剤としてBMI−1000/BTA=2/1の混合物及び8%−PVDF溶液(クレハ製PVDFW#7200をNMPに溶解)の代りに、10%−PVDF−HFP溶液(Arukema製KYNAR FLEX2751をNMPに溶解)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の積層型電池(図1、図2(a))を得た。
[実施例5]
10%−PVDF−HFP溶液(Arukema製KYNAR FLEX2801をNMPに溶解)を用いた以外は、実施例4と同様にして、実施例5の積層型電池(図1、図2(a))を得た。
10%−PVDF−HFP溶液(Arukema製KYNAR FLEX2801をNMPに溶解)を用いた以外は、実施例4と同様にして、実施例5の積層型電池(図1、図2(a))を得た。
[実施例6]
正極5層の構成を逆にした以外は、実施例1と同様にして、実施例5の積層型電池(図1、図2(b))を得た。
正極5層の構成;C1−c/C1−b/C1−a/C1−b/C1−c
正極5層の構成を逆にした以外は、実施例1と同様にして、実施例5の積層型電池(図1、図2(b))を得た。
正極5層の構成;C1−c/C1−b/C1−a/C1−b/C1−c
[実施例7〜10]
正極5層の構成を逆にした以外は、実施例2〜5と同様にして、実施例7〜10の積層型電池(図1、図2(b))を得た。
正極5層の構成を逆にした以外は、実施例2〜5と同様にして、実施例7〜10の積層型電池(図1、図2(b))を得た。
[実施例11]
正極作製
1.スラリー調製(A)
スラリー調製は5Lのプラネタリーディスパを用いた。
NCM523(Umicore社製、組成式 LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2)920gと、Super−P(TIMCAL社製導電性カーボン)20g、KS−6(TIMREX社製鱗片状黒鉛)20gを10分間混合した後、N−メチルピロリドン(NMP)を50g加え更に20分間混合した。
次いで、8%−PVDF溶液(クレハ製PVDFW#7200をNMPに溶解)200gを加えて、30分間混練した後、更に8%−PVDF溶液300gを加えて30分間混練した。次いで、NMPに溶解した溶液を100g加えて30分間混練した。その後、粘度調整のためNMP52gを加えて30分間混合した後、真空脱泡30分間を行った。こうして固形分濃度64%のスラリーを調製した。
組成;NCM523/Super−P/KS6/PVDF=92/2/2/4
正極作製
1.スラリー調製(A)
スラリー調製は5Lのプラネタリーディスパを用いた。
NCM523(Umicore社製、組成式 LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2)920gと、Super−P(TIMCAL社製導電性カーボン)20g、KS−6(TIMREX社製鱗片状黒鉛)20gを10分間混合した後、N−メチルピロリドン(NMP)を50g加え更に20分間混合した。
次いで、8%−PVDF溶液(クレハ製PVDFW#7200をNMPに溶解)200gを加えて、30分間混練した後、更に8%−PVDF溶液300gを加えて30分間混練した。次いで、NMPに溶解した溶液を100g加えて30分間混練した。その後、粘度調整のためNMP52gを加えて30分間混合した後、真空脱泡30分間を行った。こうして固形分濃度64%のスラリーを調製した。
組成;NCM523/Super−P/KS6/PVDF=92/2/2/4
2.スラリー調製(K)
スラリー調製は5Lのプラネタリーディスパを用いた。
NCM523(Umicore社製、組成式 LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2)920gと、Super−P(TIMCAL社製導電性カーボン)20g、KS−6(TIMREX社製鱗片状黒鉛)20gを10分間混合した後、N−メチルピロリドン(NMP)を50g加え更に20分間混合した。
8%−PVDF溶液(クレハ製PVDFW#7200をNMPに溶解)200gを加えて、30分間混練した後、更に8%−PVDF溶液50gを加えて30分間混練した。次いで、PTC機能付与剤[X]としてBMI−1000/BTA=2/1の混合物20gをNMPに溶解した8%−溶液を250g加えて30分間混練した。その後、粘度調整のためNMP44gを加えて30分間混合した後、真空脱泡30分間を行った。こうして固形分濃度64%のスラリーを調製した。
組成;NCM523/Super−P/KS6/PVDF/[X]
=92/2/2/2/2
スラリー調製は5Lのプラネタリーディスパを用いた。
NCM523(Umicore社製、組成式 LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2)920gと、Super−P(TIMCAL社製導電性カーボン)20g、KS−6(TIMREX社製鱗片状黒鉛)20gを10分間混合した後、N−メチルピロリドン(NMP)を50g加え更に20分間混合した。
8%−PVDF溶液(クレハ製PVDFW#7200をNMPに溶解)200gを加えて、30分間混練した後、更に8%−PVDF溶液50gを加えて30分間混練した。次いで、PTC機能付与剤[X]としてBMI−1000/BTA=2/1の混合物20gをNMPに溶解した8%−溶液を250g加えて30分間混練した。その後、粘度調整のためNMP44gを加えて30分間混合した後、真空脱泡30分間を行った。こうして固形分濃度64%のスラリーを調製した。
組成;NCM523/Super−P/KS6/PVDF/[X]
=92/2/2/2/2
2.塗工・乾燥
スラリー塗工にはダイコーターを用いた。図5に示したように、スラリー(A)とスラリー(K)を用い、ダイヘッドへのスラリー供給圧・供給量を調整し、塗工の開始から終了の間にスラリー(A)とスラリー(K)の割合が100/0〜0/100で濃淡が得られ、かつ、乾燥後の塗布重量が19.0mg/cm2になるように、上記スラリーをアルミ箔(厚み20μm、幅200mm)の片面に塗布し乾燥した。次いで、反対面(未塗工面)に、同様に塗布重量が19.0mg/cm2になるように、上記スラリーをアルミ箔に塗布し乾燥した。
こうして得た両面塗工(38.0mg/cm2)した正極ロールを、真空乾燥オーブンで130℃、12時間乾燥した。
スラリー塗工にはダイコーターを用いた。図5に示したように、スラリー(A)とスラリー(K)を用い、ダイヘッドへのスラリー供給圧・供給量を調整し、塗工の開始から終了の間にスラリー(A)とスラリー(K)の割合が100/0〜0/100で濃淡が得られ、かつ、乾燥後の塗布重量が19.0mg/cm2になるように、上記スラリーをアルミ箔(厚み20μm、幅200mm)の片面に塗布し乾燥した。次いで、反対面(未塗工面)に、同様に塗布重量が19.0mg/cm2になるように、上記スラリーをアルミ箔に塗布し乾燥した。
こうして得た両面塗工(38.0mg/cm2)した正極ロールを、真空乾燥オーブンで130℃、12時間乾燥した。
3.プレス
35トンプレス機を用いた。上下ロールのギャップ(隙間)を調整し、上記正極をプレス密度が2.9±0.05g/cm3になるように圧縮した。
4.スリット
電極塗布面積(表面:56mm×334mm、裏:56mm×408mm)とタブ溶接余白が得られるように電極をスリットし正極C−11を得た。
35トンプレス機を用いた。上下ロールのギャップ(隙間)を調整し、上記正極をプレス密度が2.9±0.05g/cm3になるように圧縮した。
4.スリット
電極塗布面積(表面:56mm×334mm、裏:56mm×408mm)とタブ溶接余白が得られるように電極をスリットし正極C−11を得た。
負極作製
1.スラリー調製
スラリー調製は5Lのプラネタリーディスパを用いた。
天然黒鉛930gと、Super−P(導電性カーボン、BET比表面積62m2/g)10gを10分間混合した後、NMPを500g加え更に20分間混合した。次いで、8%−PVDF溶液(PVDFをNMPに溶解)500gを加えて30分間混練した後、更に8%−PVDF溶液250gを加えて30分間混練した。その後、粘度調整のためNMP32gを加えて30分間混合した後、真空脱泡30分間を行った。こうして固形分濃度45%のスラリーを調製した。
1.スラリー調製
スラリー調製は5Lのプラネタリーディスパを用いた。
天然黒鉛930gと、Super−P(導電性カーボン、BET比表面積62m2/g)10gを10分間混合した後、NMPを500g加え更に20分間混合した。次いで、8%−PVDF溶液(PVDFをNMPに溶解)500gを加えて30分間混練した後、更に8%−PVDF溶液250gを加えて30分間混練した。その後、粘度調整のためNMP32gを加えて30分間混合した後、真空脱泡30分間を行った。こうして固形分濃度45%のスラリーを調製した。
2.塗工・乾燥
スラリー塗工にはダイコーターを用いた。
乾燥後の塗布重量が11.0mg/cm2になるように、上記スラリーを銅箔(厚み10μm)の片面に塗布し乾燥した。次いで、反対面(未塗工面)に、同様に塗布重量が11.0mg/cm2になるように、上記スラリーを銅箔に塗布し乾燥した。こうして得た両面塗工(22.0mg/cm2)した負極ロールを、真空乾燥オーブンで120℃、12時間乾燥した。
スラリー塗工にはダイコーターを用いた。
乾燥後の塗布重量が11.0mg/cm2になるように、上記スラリーを銅箔(厚み10μm)の片面に塗布し乾燥した。次いで、反対面(未塗工面)に、同様に塗布重量が11.0mg/cm2になるように、上記スラリーを銅箔に塗布し乾燥した。こうして得た両面塗工(22.0mg/cm2)した負極ロールを、真空乾燥オーブンで120℃、12時間乾燥した。
3.プレス
小型プレス機を用いた。
上下ロールのギャップ(隙間)を調整し、上記負極をプレス密度が1.45±0.05g/cm3になるように圧縮した。
4.スリット
電極塗布面積(表面:58mm×372mm、裏面:58mm×431mm)とタブ溶接余白が得られるように電極をスリットし、負極A−2を得た。
小型プレス機を用いた。
上下ロールのギャップ(隙間)を調整し、上記負極をプレス密度が1.45±0.05g/cm3になるように圧縮した。
4.スリット
電極塗布面積(表面:58mm×372mm、裏面:58mm×431mm)とタブ溶接余白が得られるように電極をスリットし、負極A−2を得た。
電池作製
捲回型電池(設計容量1Ah)
1.捲回
セパレータには、空隙率45%、厚み25μmのポリエチレン製多孔質膜(60.5mm×450mm)を用いた(S−2)。
負極A−2(表面/裏面)とセパレータ(S−2)と正極C−11(裏面/表面)とセパレータ(S−2)を重ねて捲回した後プレス成型した。次いで、正極C−1の余白部分にアルミニウム製タブを超音波接合機で接合し、負極A−1の余白部分にニッケル製タブを超音波接合機で接合した。これをラミネートシートで挟み込み、3辺を加熱シールした。こうして、電池の中心部から外表面へ向かうにしたがって、PTC機能付与剤[X]の濃度が高くなるようにした実施例11の捲回型電池(図3(a))を得た。
捲回型電池(設計容量1Ah)
1.捲回
セパレータには、空隙率45%、厚み25μmのポリエチレン製多孔質膜(60.5mm×450mm)を用いた(S−2)。
負極A−2(表面/裏面)とセパレータ(S−2)と正極C−11(裏面/表面)とセパレータ(S−2)を重ねて捲回した後プレス成型した。次いで、正極C−1の余白部分にアルミニウム製タブを超音波接合機で接合し、負極A−1の余白部分にニッケル製タブを超音波接合機で接合した。これをラミネートシートで挟み込み、3辺を加熱シールした。こうして、電池の中心部から外表面へ向かうにしたがって、PTC機能付与剤[X]の濃度が高くなるようにした実施例11の捲回型電池(図3(a))を得た。
2.電解液注液
電解液注液前に、上記を真空乾燥機にて、70℃×12h減圧乾燥した。電解液(1mol−LiPF6、EC/DEC=3/7(vol.比)、添加剤VC 1.0重量%)4.7±0.1gを注液した後、真空引きしながら加熱シールした。
電解液注液前に、上記を真空乾燥機にて、70℃×12h減圧乾燥した。電解液(1mol−LiPF6、EC/DEC=3/7(vol.比)、添加剤VC 1.0重量%)4.7±0.1gを注液した後、真空引きしながら加熱シールした。
3.活性化処理
電解液注液後の電池を24h保持した。次いで、0.05Cで4h定電流充電(0.05C−CC)した後12h休止した。その後、0.1Cで4.2Vまで定電流定電圧充電(0.1C−CCCV)し、30分間休止した後、2.8Vまで0.1Cで定電流放電(0.1C−CC)した。更に、充放電サイクル(0.1C−CCCVで4.2Vの充電と、0.1C−CCで2.8Vの放電)を5回繰り返した後、4.2V(SOC100%)の満充電にした状態で、25℃、5日間保存した。こうして実施例11の捲回型電池(図3(a))を得た。
電解液注液後の電池を24h保持した。次いで、0.05Cで4h定電流充電(0.05C−CC)した後12h休止した。その後、0.1Cで4.2Vまで定電流定電圧充電(0.1C−CCCV)し、30分間休止した後、2.8Vまで0.1Cで定電流放電(0.1C−CC)した。更に、充放電サイクル(0.1C−CCCVで4.2Vの充電と、0.1C−CCで2.8Vの放電)を5回繰り返した後、4.2V(SOC100%)の満充電にした状態で、25℃、5日間保存した。こうして実施例11の捲回型電池(図3(a))を得た。
[実施例12〜13]
PTC機能付与剤としてBMI−1000/BTA=2/1の混合物の代りに、PMMA(分子量15,000)又はPVAc(分子量150,000)、を用いた以外は、実施例11と同様にして、実施例12〜13の捲回型電池(図3(a))を得た。
PTC機能付与剤としてBMI−1000/BTA=2/1の混合物の代りに、PMMA(分子量15,000)又はPVAc(分子量150,000)、を用いた以外は、実施例11と同様にして、実施例12〜13の捲回型電池(図3(a))を得た。
[実施例14]
PTC機能付与剤としてBMI−1000/BTA=2/1の混合物及び8%−PVDF溶液(クレハ製PVDFW#7200をNMPに溶解)の代りに、10%−PVDF−HFP溶液(Arukema製KYNAR FLEX2751をNMPに溶解)を用いた以外は、実施例11と同様にして、実施例14の捲回型電池(図3(a))を得た。
PTC機能付与剤としてBMI−1000/BTA=2/1の混合物及び8%−PVDF溶液(クレハ製PVDFW#7200をNMPに溶解)の代りに、10%−PVDF−HFP溶液(Arukema製KYNAR FLEX2751をNMPに溶解)を用いた以外は、実施例11と同様にして、実施例14の捲回型電池(図3(a))を得た。
[実施例15]
PTC機能付与剤としてBMI−1000/BTA=2/1の混合物及び8%−PVDF溶液(クレハ製PVDFW#7200をNMPに溶解)の代りに、10%−PVDF−HFP溶液(Arukema製KYNAR FLEX2801をNMPに溶解)を用いた以外は、実施例11と同様にして、実施例15の捲回型電池(図3(a))を得た。
PTC機能付与剤としてBMI−1000/BTA=2/1の混合物及び8%−PVDF溶液(クレハ製PVDFW#7200をNMPに溶解)の代りに、10%−PVDF−HFP溶液(Arukema製KYNAR FLEX2801をNMPに溶解)を用いた以外は、実施例11と同様にして、実施例15の捲回型電池(図3(a))を得た。
[実施例16〜20]
正極スラリーの塗工方法が、実施例11とは逆方向、すなわち、塗工の開始から終了の間にスラリー(A)とスラリー(K)の割合が0/100〜100/0で濃淡が得られるようにした以外は、実施例11〜15と同様にして、電池の中心部から外表面へ向かうにしたがって、PTC機能付与剤[X]の濃度が低くなるようにした実施例16〜20の捲回型電池(図3(b))を得た。
正極スラリーの塗工方法が、実施例11とは逆方向、すなわち、塗工の開始から終了の間にスラリー(A)とスラリー(K)の割合が0/100〜100/0で濃淡が得られるようにした以外は、実施例11〜15と同様にして、電池の中心部から外表面へ向かうにしたがって、PTC機能付与剤[X]の濃度が低くなるようにした実施例16〜20の捲回型電池(図3(b))を得た。
[試験例1及び比較試験例1]
1.容量確認
0.1Cで4.2Vまで定電流定電圧充電(0.1C−CCCV)し、30分間休止した後、2.8Vまで0.1Cで定電流放電(0.1C−CC)した。更に、充放電サイクル(0.1C−CCCVで4.2Vの充電と、0.1C−CCで2.8Vの放電)を3回繰り返した。3サイクルの充電容量と放電容量の平均値を、初期の充放電容量とした。
1.容量確認
0.1Cで4.2Vまで定電流定電圧充電(0.1C−CCCV)し、30分間休止した後、2.8Vまで0.1Cで定電流放電(0.1C−CC)した。更に、充放電サイクル(0.1C−CCCVで4.2Vの充電と、0.1C−CCで2.8Vの放電)を3回繰り返した。3サイクルの充電容量と放電容量の平均値を、初期の充放電容量とした。
2.レート特性
0.5Cで4.2Vまで定電流定電圧充電(0.5C−CCCV)し、30分間休止した後、2.8Vまで0.1Cで定電流放電(0.1C−CC)した。次いで、0.5Cで4.2Vまで定電流定電圧充電(0.5C−CCCV)し、30分間休止した後、2.8Vまで0.2Cで定電流放電(0.2C−CC)した。更に、0.5Cで4.2Vまで定電流定電圧充電し、2.8Vまで0.5C、1.0C、2.0C及び3.0Cまでレートを変えて放電する充放電サイクルを繰り返した。
0.1C放電容量に対する3.0C放電容量の比を、放電容量維持率とした。
0.5Cで4.2Vまで定電流定電圧充電(0.5C−CCCV)し、30分間休止した後、2.8Vまで0.1Cで定電流放電(0.1C−CC)した。次いで、0.5Cで4.2Vまで定電流定電圧充電(0.5C−CCCV)し、30分間休止した後、2.8Vまで0.2Cで定電流放電(0.2C−CC)した。更に、0.5Cで4.2Vまで定電流定電圧充電し、2.8Vまで0.5C、1.0C、2.0C及び3.0Cまでレートを変えて放電する充放電サイクルを繰り返した。
0.1C放電容量に対する3.0C放電容量の比を、放電容量維持率とした。
3.安全性試験(釘刺し試験)
[試験例1及び比較試験例1]
実施例1で作製した積層型電池(設計容量5Ah)を用いて釘刺し試験(釘の直径6mm、釘刺し速度20mm/秒)を行った。直径6mmの釘を、速度20mm/秒で電池(セル)の中部に刺し込み、電池容器の内部において正極と負極とを短絡させた。電池の破裂、膨張並びに電池からの発火及び発煙の有無を調べた結果、同一仕様で作製した電池を用いて行った10回の釘刺し試験で一度も発火が認められなかった。これに対し、比較試験例1として、実施例1においてBMI−1000/BTA=2/1の混合物を添加せずにPVDFのみを結着材として用いた積層型電池では、10回の釘刺し試験において3回発火が認められ、明らかな違いが認められた。
[試験例1及び比較試験例1]
実施例1で作製した積層型電池(設計容量5Ah)を用いて釘刺し試験(釘の直径6mm、釘刺し速度20mm/秒)を行った。直径6mmの釘を、速度20mm/秒で電池(セル)の中部に刺し込み、電池容器の内部において正極と負極とを短絡させた。電池の破裂、膨張並びに電池からの発火及び発煙の有無を調べた結果、同一仕様で作製した電池を用いて行った10回の釘刺し試験で一度も発火が認められなかった。これに対し、比較試験例1として、実施例1においてBMI−1000/BTA=2/1の混合物を添加せずにPVDFのみを結着材として用いた積層型電池では、10回の釘刺し試験において3回発火が認められ、明らかな違いが認められた。
[比較試験例2]
比較試験例2として、実施例1に準じてスラリー(B)用いた電極(C1−b)のみで作製積層型電池では、安全性試験において、試験例1と同様の結果が得られた一方で、初期の放電容量あるいはレート特性に明らかな違いが認められた。
正極5層の構成;C1−b/C1−b/C1−b/C1−b/C1−b
比較試験例2として、実施例1に準じてスラリー(B)用いた電極(C1−b)のみで作製積層型電池では、安全性試験において、試験例1と同様の結果が得られた一方で、初期の放電容量あるいはレート特性に明らかな違いが認められた。
正極5層の構成;C1−b/C1−b/C1−b/C1−b/C1−b
[試験例11及び比較試験例3]
実施例11で作製した捲回型電池(設計容量1Ah)を用いて釘刺し試験を行った。直径6mmの釘を、速度20mm/秒で電池(セル)の中部に刺し込み、電池容器の内部において正極と負極とを短絡させた。電池の破裂、膨張並びに電池からの発火及び発煙の有無を調べた結果、同一仕様で作製した電池を用いて行った10回の釘刺し試験のうち発火が認められたのは3回のみであり、残りの7回はわずかに発煙しただけであった。
比較試験例1としては、実施例11においてBMI−1000/BTA=2/1の混合物を添加せずにPVDFのみを結着材として用いた捲回型電池(設計容量1Ah)を作製した。同様の釘刺し試験を行ったところ、10回中5回において発火が認められた。
実施例11で作製した捲回型電池(設計容量1Ah)を用いて釘刺し試験を行った。直径6mmの釘を、速度20mm/秒で電池(セル)の中部に刺し込み、電池容器の内部において正極と負極とを短絡させた。電池の破裂、膨張並びに電池からの発火及び発煙の有無を調べた結果、同一仕様で作製した電池を用いて行った10回の釘刺し試験のうち発火が認められたのは3回のみであり、残りの7回はわずかに発煙しただけであった。
比較試験例1としては、実施例11においてBMI−1000/BTA=2/1の混合物を添加せずにPVDFのみを結着材として用いた捲回型電池(設計容量1Ah)を作製した。同様の釘刺し試験を行ったところ、10回中5回において発火が認められた。
[比較試験例4]
比較試験例4として、実施例11に準じてスラリー(B)用いた電極(C1−b)で作製した捲回型電池では、安全性試験において、試験例1と同様の結果が得られた一方で、初期の放電容量あるいはレート特性に明らかな違いが認められた。
比較試験例4として、実施例11に準じてスラリー(B)用いた電極(C1−b)で作製した捲回型電池では、安全性試験において、試験例1と同様の結果が得られた一方で、初期の放電容量あるいはレート特性に明らかな違いが認められた。
[試験例]
実施例1及び11と同様に、それぞれ積層型電池(設計容量5Ah)と捲回型電池(設計容量1Ah)及びを作製した。これらを用いて、試験例1〜2と同様の方法により安全性試験(釘刺し試験)を行った結果を、以下の表に示す。
実施例1及び11と同様に、それぞれ積層型電池(設計容量5Ah)と捲回型電池(設計容量1Ah)及びを作製した。これらを用いて、試験例1〜2と同様の方法により安全性試験(釘刺し試験)を行った結果を、以下の表に示す。
1 積層型リチウムイオン二次電池
2、3 巻回型リチウムイオン二次電池
4 円筒型リチウムイオン二次電池
10 電極群
11、44 正極
11A 正極集電体
11B 正極活物質層
12、45 負極
12A 負極集電体
12B 負極活物質層
13、46 セパレータ
21 正極リード
22 負極リード
30 外装体
70 正極合剤スラリー形成装置
2、3 巻回型リチウムイオン二次電池
4 円筒型リチウムイオン二次電池
10 電極群
11、44 正極
11A 正極集電体
11B 正極活物質層
12、45 負極
12A 負極集電体
12B 負極活物質層
13、46 セパレータ
21 正極リード
22 負極リード
30 外装体
70 正極合剤スラリー形成装置
Claims (10)
- 集電体と、前記集電体上に塗布された電極合剤層と、セパレータとからなるシートを巻回又は積層した構造を有するリチウムイオン二次電池であって、
前記電極合剤層は、正極及び負極合剤層がセパレータを介して交互に積層され、
前記正極合剤層は、正極活物質と、導電助剤と、結着材とを含み、
前記結着材は、PTC機能付与成分の存在又は非存在下に結着成分を含み、
前記正極合剤層中のPTC機能付与成分の濃度が、前記電池構造内の位置により、段階的又は連続的に変化することを特徴とするリチウムイオン二次電池。 - 前記正極合剤層中のPTC機能付与成分の濃度が、電池表面から中心部へ向かうに従って段階的又は連続的に減少することを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記正極合剤層中のPTC機能付与成分の濃度が、電池表面から中心部へ向かうに従って段階的又は連続的に増加することを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記集電体はその一端で正極リードと接合しており、前記正極合剤層の面方向におけるPTC機能付与成分の濃度が、前記正極リードに近づくに従って増加又は減少することを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記結着成分がポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含み、前記PTC機能付与成分が、非水電解質の共存下に示差走査熱量測定法で測定される前記結着材の溶融開始温度及び/又は溶融ピーク温度を、前記結着成分のみの場合に比べて低下させることを特徴とする請求項1〜4何れか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記PTC機能付与成分が、カルボニル基又はシアノ基を含有する化合物である請求項1〜5何れか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記PTC機能付与成分が、前記結着成分と相溶性の非結晶性高分子である請求項1〜5何れか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
- 正極活物質と、導電助剤と、結着材とを含む少なくとも2種類のスラリーであって、前記結着材はPTC機能付与成分の存在又は非存在下に結着成分を含み、前記それぞれのスラリーは異なる濃度のPTC機能付与成分を含む、スラリーを用意し、
前記少なくとも2種類のスラリーの配合比率を段階的又は連続的に変化させながら混合する工程と、
前記混合したスラリーを集電体上に塗布する工程と、
を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極の製造方法。 - 請求項8に記載の方法で製造された正極と、負極と、セパレータとをシート状に積層し、当該シートを巻回又は積層して電極層を形成し、当該電極層に非水電解質溶液を注入することを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
- 前記巻回又は積層された電極層の正極内におけるPTC機能付与成分が、電池表面からの距離に従って濃度勾配を有することを特徴とする請求項9に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
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JP (1) | JP2018206734A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020090334A1 (ja) | 2018-11-01 | 2020-05-07 | パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ | 送信装置、受信装置、送信方法及び受信方法 |
CN113764613A (zh) * | 2020-05-29 | 2021-12-07 | 珠海冠宇电池股份有限公司 | 一种多层复合正极极片及含有该极片的二次电池 |
CN114591657A (zh) * | 2022-02-11 | 2022-06-07 | 华东理工大学 | 一种具有填料浓度梯度分布的高分子ptc材料及其制备方法和应用 |
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2017
- 2017-06-09 JP JP2017114393A patent/JP2018206734A/ja active Pending
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