以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る学習支援システム1は、ユーザに学習を指導する教師役のロボット(以下、「教師ロボット」と称する)100と、ユーザと共に教師ロボット100から学習の指導を受ける生徒役のロボット(以下、「生徒ロボット」と称する)200と、通信端末300とを備える。通信端末300は、両矢印で示すように、近距離無線通信により、教師ロボット100、生徒ロボット200と相互に情報伝達ができるように接続されている。
教師ロボット100と生徒ロボット200は、例えば、ぬいぐるみやキャラクタ等の外観を模した形状を有する。本実施形態では、教師ロボット100を、ユーザに堅い印象を与えるロボットの外観を模した形状とし、生徒ロボット200を、ユーザが親しみやすいように柔らかい印象を与えるクマのぬいぐるみの外観を模した形状とする。なお、このような教師ロボット100および生徒ロボット200の形状は一例であって、例えば、教師ロボット100と生徒ロボット200のいずれか又は両方がコンピュータであってもよい。
通信端末300は、例えば、スマートフォン、タブレット型の通信端末、パーソナルコンピュータ等で構成されるロボット制御装置である。通信端末300は、教師ロボット100と生徒ロボット200との通信を行い、教師ロボット100と生徒ロボット200とを制御する。通信端末300は、実行する教育プログラムに基づいて音声または画像を出力し、ユーザに学習支援サービスを提供する。学習支援サービスの内容は任意であるが、本実施形態では、ユーザにとって教師ロボット100および生徒ロボット200とのコミュニケーションが学習効果に寄与しやすい英会話を例に説明する。
以下、学習支援システム1の各装置の構成について説明する。
まず、教師ロボット100の構成について説明する。図2に示すように、教師ロボット100は、制御部110と、通信部120と、駆動部130と、音声出力部140と、記憶部150と、操作部160と、撮像部170とを備える。
制御部110は、教師ロボット100全体の動作を制御する。制御部110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有するコンピュータにより構成される。制御部110は、ROMに記憶された各種プログラムを読み出してRAM上で実行することにより、教師ロボット100の各構成部位を制御する。
ここで、教師ロボット100の制御部110の機能的構成について説明する。制御部110は、制御情報受付部111、駆動制御部112、音声出力制御部113、撮像制御部114として機能する。
制御情報受付部111は、通信部120を制御して通信端末300から送信された制御情報を受信し、その受信した制御情報を受け付ける。
駆動制御部112は、制御情報受付部111が受け付けた制御情報に基づいて駆動信号を生成し、生成した駆動信号を駆動部130に出力する。このように、駆動制御部112は、駆動部130を駆動させ、教師ロボット100に各種動作を実行させる。
音声出力制御部113は、例えば、制御情報受付部111が受け付けた制御情報や操作部160が受け付けた音声ボリューム調整等のユーザ操作に基づいて音声信号を生成し、生成した音声信号を音声出力部140に送信する。このように、音声出力制御部113は、音声出力部140から出力される音声やその音量を制御する。
撮像制御部114は、撮像部170を制御して静止画または動画を撮像させ、通信部120にその撮像した静止画または動画の画像データを通信端末300に送信させる。なお、撮像制御部114が、撮像した静止画または動画に基づいてユーザの姿勢、表情、視線等の状態を判定し、その判定結果を通信端末300に送信するように構成してもよい。
通信部120は、通信端末300とデータ通信を行うための通信インタフェースであり、例えば、無線周波数(RF:Radio Frequency)回路、ベースバンド(BB:Base Band)回路、集積回路(LSI:Large Scale Integration)、アンテナ等から構成される。通信部120は、アンテナを介して通信端末300と無線通信を行い、各種データを送受信する。なお、通信部120は、USB(Universal Serial Bus)ケーブルやHDMI(High-Definition Multimedia Interface、登録商標)ケーブル等を用いて通信端末300と有線通信を行うように構成されてもよい。
駆動部130は、例えば、ギア、モータ、アクチュエータなどから構成される。駆動部130は、制御部110から取得した駆動信号に応じて、教師ロボット100の可動部位を駆動する。例えば、駆動部130は、教師ロボット100の首の傾きを制御して、首を縦又は横に振ったり、顔の向きを変えたりする。また、駆動部130は、教師ロボット100の口の形状を変化させたり、教師ロボット100のまぶたを開閉させて瞬きさせたり、教師ロボット100が移動したりするように駆動する。このような動作と、後述する音声出力とによって、教師ロボット100は、感情、視線、姿勢等を表現できるように構成されている。
音声出力部140は、例えば、スピーカ等から構成される。音声出力部140は、制御部110から取得した音声信号に従って音声を出力する。出力される音声は、主に教師ロボット100の英会話の指導に関連する音声である。英会話の指導に関連する音声には、例えば、ユーザおよび生徒ロボット200に対する質問、質問に対する回答(回答に至るまでの発言を含む)を促す言葉、回答の正誤の通知や解説、正解であった場合の褒め言葉、不正解であった場合の励ましの言葉など、英会話の指導において教師の発言として適当な各種音声を含む。
記憶部150は、制御部110が教師ロボット100の各構成部位を制御するために必要な種々のデータを記憶する。記憶部150は、例えば、フラシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)などの不揮発性の記憶装置により構成される。記憶部150は、例えば、通信端末300から受信した制御情報に従って教師ロボット100が出力する音声データなどを所定の記憶領域に記憶する。
操作部160は、例えば、操作ボタン、タッチパネル等から構成される。操作部160は、例えば、電源オンオフ、出力音声のボリューム調整等のユーザ操作を受け付けるためのインタフェースである。
撮像部170は、例えば、レンズ、撮像素子等から構成される。撮像部170は、ユーザの身体の全体または一部(例えば、顔)を撮像し、ユーザの姿勢、視線、表情等を示す静止画または動画の画像データを取得する。
次に、生徒ロボット200の構成について説明する。図3に示すように、生徒ロボット200は、制御部210と、通信部220と、駆動部230と、音声出力部240と、記憶部250と、操作部260とを備える。
制御部210は、生徒ロボット200全体の動作を制御する。制御部110は、例えば、CPU、ROM、RAMを有するコンピュータにより構成される。制御部210は、ROMに記憶された各種プログラムを読み出してRAM上で実行することにより、生徒ロボット200の各構成部位を制御する。
ここで、生徒ロボット200の制御部210の機能的構成について説明する。制御部210は、制御情報受付部211、駆動制御部212、音声出力制御部213として機能する。
制御情報受付部211は、通信部220を制御して通信端末300から送信された制御情報を受信し、その受信した制御情報を受け付ける。
駆動制御部212は、制御情報受付部211が受け付けた制御情報に基づいて駆動信号を生成し、生成した駆動信号を駆動部230に出力する。このように、駆動制御部212は、駆動部230を駆動させ、生徒ロボット200に各種動作を実行させる。
音声出力制御部213は、例えば、制御情報受付部211が受け付けた制御情報や操作部260が受け付けた音声ボリューム調整等のユーザ操作に基づいて音声信号を生成し、生成した音声信号を音声出力部240に送信する。このように、音声出力制御部213は、音声出力部240から出力される音声やその音量を制御する。
通信部220は、通信端末300とデータ通信を行うための通信インタフェースであり、例えば、無線周波数(RF)回路、ベースバンド(BB)回路、集積回路(LSI)、アンテナ等から構成される。通信部220は、アンテナを介して通信端末300と無線通信を行い、各種データを送受信する。なお、通信部220は、USBケーブルやHDMI(登録商標)ケーブル等を用いて通信端末300と有線通信を行うように構成されてもよい。
駆動部230は、例えば、ギア、モータ、アクチュエータ等から構成される。駆動部230は、制御部210から取得した駆動信号に応じて、生徒ロボット200の可動部位を駆動する。例えば、駆動部230は、生徒ロボット200の首の傾きを制御して、首を縦又は横に振ったり、顔の向きを変えたりする。また、駆動部230は、生徒ロボット200の口の形状を変化させたり、生徒ロボット200のまぶたを開閉させて瞬きさせたり、生徒ロボット200が移動したりするように駆動する。このような動作と、後述する音声出力とによって、生徒ロボット200は、感情、視線、姿勢等を表現できるように構成されている。
音声出力部240は、例えば、スピーカ等から構成される。音声出力部240は、制御部210から取得した音声信号に従って音声を出力する。出力される音声は、おもに生徒ロボット200の英会話の学習に関連する音声である。英会話の学習に関連する音声には、例えば、教師ロボット100による質問に対する回答(回答に至るまでの発言を含む)、自己の回答が正解であった場合の喜ぶ言葉、自己の回答が不正解であった場合の悔しがる言葉、ユーザの回答の正誤に応じてユーザを誉めたり慰めたりする言葉など、英会話の指導を受ける生徒の発言として適当な各種音声を含む。
記憶部250は、制御部210が生徒ロボット200の各構成部位を制御するために必要な種々のデータを記憶する。記憶部250は、例えば、フラシュメモリやHDDなどの不揮発性の記憶装置により構成される。記憶部250は、例えば、通信端末300から受信した制御情報に従って生徒ロボット200が出力する音声データなどを所定の記憶領域に記憶する。
操作部260は、例えば、操作ボタン、タッチパネル等から構成される。操作部260は、例えば、電源オンオフ、出力音声のボリューム調整等のユーザ操作を受け付けるためのインタフェースである。
次に、通信端末300の構成について説明する。図4に示すように、通信端末300は、制御部310と、通信部320と、音声入力部330と、音声出力部340と、記憶部350と、操作部360と、表示部370とを備える。
制御部310は、通信端末300全体の動作を制御する。制御部310は、例えば、CPU、ROM、RAMを有するコンピュータにより構成される。制御部310は、ROMに記憶された各種プログラムを読み出してRAM上で実行することにより、通信端末300の各構成部位を制御する。
ここで、通信端末300の制御部310の機能的構成について説明する。制御部310は、学習実績取得部311、状態情報取得部312、学習支援内容決定部313、教師ロボット動作制御部314、生徒ロボット動作制御部315、対応モード設定部316として機能する。
学習実績取得部311は、ユーザの学力を表す指標として、ユーザの学習実績を示す学習実績情報を取得する。具体的には、学習実績取得部311は、質問に対するユーザの回答の正誤判定や回答までに要した時間の測定などを行い、正答率や回答までに要した時間の平均値など各種要素の数値を算出してユーザの学習実績情報を取得する。学習実績取得部311は、取得した学習実績情報を後述する学習履歴テーブルに格納し、記憶部350に記憶させる。このように、学習実績取得部311は、ユーザの学力を表す指標を取得する取得手段として機能する。
状態情報取得部312は、ユーザの状態情報を取得する。ユーザの状態情報には、姿勢、視線、表情、言葉遣い、声のトーンなどが含まれる。
学習支援内容決定部313は、状態情報や学習カリキュラムなどを総合的に勘案して実施する学習支援内容を決定する。
教師ロボット動作制御部314は、教師ロボット100の動作を制御する。ここで、教師ロボット100の動作は、教師ロボット100が手足などの可動部位を動かす行為(動作)や言葉などを発する行為(音声出力)など、教師ロボット100による表現行為全般を含む。教師ロボット動作制御部314は、例えば、学習支援内容決定部313が決定した学習支援内容を実施するにあたり必要となる動作や音声を決定し、決定した内容を教師ロボット100が実行するように制御する。この際、教師ロボット動作制御部314は、後述する教師ロボット設定項目の設定内容に応じて、教師ロボット100の動作態様を変化させる。このように、教師ロボット動作制御部314は、教師ロボット100の動作を決定する決定手段および教師ロボット100に決定内容を実行させる実行手段として機能する。
生徒ロボット動作制御部315は、生徒ロボット200の動作を制御する。ここで、生徒ロボット200の動作とは、生徒ロボット200が手足などの可動部位を動かす行為(動作)や言葉などを発する行為(音声出力)など、教師ロボット100による表現行為全般を含む。生徒ロボット動作制御部315は、例えば、学習支援内容決定部313が決定した学習支援内容を実施するにあたり必要となる動作や音声を決定し、決定した内容を教師ロボット100が実行するように制御する。また、生徒ロボット動作制御部315は、生徒ロボット200の動作を制御する際、後述する生徒ロボット設定項目の設定内容に応じて、教師ロボット100の動作態様を変化させる。このように、生徒ロボット動作制御部315は、生徒ロボット200の動作を決定する決定手段および生徒ロボット200に決定内容を実行させる実行手段として機能する。
対応モード設定部316は、ユーザに対する生徒ロボット200の接し方を決定するための基準となる対応モードを設定する。対応モードは多数のモードを含み得るが、本実施形態では、対応モードにはライバルモードとフレンドリモードの2つのモードが設けられているものとして説明する。ライバルモードとは、生徒ロボット200が学力などを競い合うライバルとしてユーザに接するモードである。ライバルモードでは、生徒ロボット200は、例えば、ユーザが自己よりも先に回答した場合やその際のユーザの回答が正解であった場合には、悔しがるような言葉やしぐさを表出するように制御される。また、フレンドリモードとは、生徒ロボット200が友好的にユーザに接するモードである。フレンドリモードでは、生徒ロボット200は、例えば、ユーザの発言頻度が低い場合にはユーザの発言を引き出すようにユーザに話しかけたり、ユーザの回答が正解であった場合には喜ぶような言葉やしぐさを表出したり、ユーザの回答が不正解であった場合には励ますような言葉やしぐさを表出するように制御される。
対応モード設定部316は、操作部360を介してユーザによって対応モードとしてライバルモードまたはフレンドリモードのいずれか一方が選択された場合には、選択されたモードを対応モードとして設定する。また、対応モード設定部316は、ユーザによって対応モードが選択されない場合には、状態情報取得部312が取得した状態情報の内容や学習実績取得部311が取得した学習実績情報などを勘案して適切なモードを選択して設定する。
通信部320は、例えば、無線周波数(RF)回路、ベースバンド(BB)回路、集積回路(LSI)、アンテナ等から構成される。通信部320は、アンテナを介して他の通信装置(例えば、教師ロボット100、生徒ロボット200、図示しないアクセスポイント等)と無線データ通信を行う。なお、通信部320は、USBケーブルやHDMI(登録商標)ケーブル等を用いて他の通信装置と有線通信を行うように構成されてもよい。
音声入力部330は、例えば、マイクロフォン等から構成される。音声入力部330は、ユーザの発言を音声情報として取得する。
音声出力部340は、例えば、スピーカ等から構成される。音声出力部340は、制御部310から取得した音声信号に応じて、音声を出力する。出力される音声は、例えば、実施する学習内容の切り替わりを知らせる報知音や短い音楽、質問に対する回答の正誤の別を知らせる効果音等である。これらの音声データは、後述する記憶部350に記憶されており、適宜、記憶部350から読み出されて再生される。
記憶部350は、制御部310が通信端末300の各構成部位を制御するために必要な各種データを記憶する。記憶部350は、例えば、フラシュメモリやHDDなどの不揮発性の記憶装置により構成される。記憶部350は、例えば、学習カリキュラムや通信端末300から出力される音声データを所定の記憶領域に記憶する。
また、記憶部350が記憶するデータには、学習履歴テーブル、教師ロボット行動レベル設定テーブル、教師ロボット設定項目−評価項目関係テーブル、生徒ロボット行動レベル設定テーブル、生徒ロボット設定項目−評価項目関係テーブル、評価項目得点設定テーブルが含まれる。
学習履歴テーブルは、ユーザが学習支援システム1を利用して学習した履歴情報をまとめたテーブルである。学習履歴テーブルは、図5に示すように、「学習開始日時」と「学習終了日時」と、「学習時間」と、「学習実績」の各データを対応付けて構成されている。ここで、本実施の形態では、ユーザが幼児であると仮定し、学習支援システム1において実施される学習支援は1回30分程度で終了するように学習支援内容が設定されるものとする。また、学習支援内容には、おもに単語の反復発声や発音の矯正を指導する「単語」、おもに短い文章の反復発声などを指導する「文章」、リズムに合わせて単語や文章を反復発声させて発音やイントネーションを学ばせる「チャンツ」、身近な話題について英語でやりとりする「会話」、短い物語を読み聞かせる「ストーリ」、の4つの基本科目が含まれる。
「学習実績」は、ユーザの学習成績などを評価する項目(評価項目)から構成され、評価項目として「口頭正答率」、「タッチ正答率」、「回答所要時間」、「発音評価」、「単語記憶率」、「学習進捗」が用意されている。なお、図5に示す学習履歴テーブルにおいて、口頭正答率は「口頭」、タッチ正答率は「タッチ」、回答所要時間は「回答」、発音評価は「発音」、単語記憶率は「単語」、学習進捗は「進捗」と略記されている。
「口頭正答率」は、教師ロボット100の口頭による回答を求める質問に対してユーザが正解を回答することができた割合を示す。「タッチ正答率」は、教師ロボット100のタッチ操作による回答を求める質問に対して正解を回答することができた割合を示す。「回答所要時間」は、質問に対してユーザが回答(口頭回答およびタッチ回答)するまでに要した時間の平均を示す。「発音評価」は、ユーザの発音と模範発音(例えば、ネイティブによる発音)との比較評価を示す。なお、模範発音を示すデータは、記憶部150などにあらかじめ記憶されているものとする。「単語記憶率」は、学習済みの英単語のユーザの記憶率(定着度)を示す。「学習進捗率」は、学習開始時に学習カリキュラムなどに基づいて予定された学習支援内容がどの程度実施されたかを示す。
教師ロボット動作態様設定テーブルは、学習支援の実施にあたり教師ロボット100の動作を制御するために用いられる基準を設定するためのテーブルである。教師ロボット動作態様設定テーブルは、図6(A)に示すように、「学習種別」、「教師ロボット設定項目」、「合計得点」、「設定内容」の各要素が対応付けられて構成されている。
ここで、「学習種別」は、学習支援において実施される学習内容の種別を示し、新たな内容を学習する「新規学習」と、既に学習済みの内容を復習する「反復学習」とに区分される。
また、「教師ロボット設定項目」は、教師ロボット100の動作態様を規定するための項目である。教師ロボット設定項目は、実施される学習種別ごとに異なり、学習種別「新規学習」には教師ロボット設定項目「話速」、「カード提示時間」が、学習種別「反復学習」には教師ロボット設定項目「話速」、「カード提示時間」、「反復学習実施頻度」がそれぞれ用意されている。教師ロボット設定項目「話速」は、教師ロボット100の出力音声の再生速度である。教師ロボット設定項目「カード提示時間」は、質問に関連するカード画像(例えば、絵柄の名称などを尋ねる質問に用いられるカード画像、選択形式の質問に用いられる回答用のカード画像、回答のヒントが描かれたカード画像等)を通信端末300の表示画面に表示する時間である。設定項目「反復学習実施頻度」は、反復学習を実施する頻度である。
「合計得点」は、各設定項目の設定内容を決定するための指標であり、教師ロボット設定項目に関係づけられた評価項目の得点の合計である。
「設定内容」は、設定項目に設定される具体的内容をいい、例えば、設定項目の設定値である。この教師ロボット動作態様設定テーブルでは、設定項目の合計得点に応じて異なる設定内容が定義されている。
図6(A)に示す教師ロボット動作態様設定テーブルでは、例えば、学習種別「新規学習」および「反復学習」の教師ロボット設定項目「話速」において、合計得点「0〜2」には標準再生速度の1.2倍の再生速度で音声出力することを示す設定内容「120%」、合計得点「3〜5」には標準再生速度の1.1倍の再生速度で音声出力することを示す設定内容「110%」、合計得点「6〜8」には標準再生速度で音声出力することを示す設定内容「標準」、合計得点「9〜11」には標準再生速度の0.9倍の再生速度で音声出力することを示す設定内容「90%」、合計得点「12〜14」には標準再生速度の0.8倍の再生速度で音声出力することを示す設定内容「80%」が定義されている。このように、設定項目「話速」には、その合計得点が低いほど標準再生速度よりも高速で音声出力するように設定内容が定義される一方、その合計得点が高いほど標準再生速度よりも高速で音声出力するように設定内容が定義されている。なお、学習種別「新規学習」と「反復学習」のそれぞれの設定項目「話速」には、異なる設定内容(再生速度)を定義するようにしてもよい。例えば、学習種別「反復学習」の設定項目「話速」には、復習効果をより高めるために、学習種別「新規学習」の設定項目「話速」よりも全般的に低速で音声出力するように設定内容を定義してもよい。
また、学習種別「新規学習」および「反復学習」の教師ロボット設定項目「カード提示時間」において、合計得点「0〜4」には設定内容「+1秒」、合計得点「5〜10」には設定内容「+0.5秒」、合計得点「8〜10」には設定内容「標準」が定義されている。
ここで、設定内容「標準」は、教師ロボット100の質問を読み上げる音声(質問音声)の出力開始とほぼ同時に通信端末300の表示画面にカード画像を表示させ、質問音声の出力終了とほぼ同時に通信端末300の表示画面に表示されたカード画像を消去させる、すなわち、質問音声が出力される期間(質問音声出力期間)、ユーザにカードを提示することを示す。また、設定内容「+0.5秒」は、質問音声の出力開始の0.5秒前に通信端末300の表示画面にカード画像を表示させ、質問音声の出力終了の0.5秒後に通信端末300の表示画面に表示されたカード画像を消去させる、すなわち、質問音声出力期間に前後0.5秒を加えた期間、ユーザにカードを提示することを示す。また、設定内容「+1秒」は、質問音声の出力開始の1秒前に通信端末300の表示画面にカード画像を表示させ、質問音声の出力終了の1秒後に通信端末300の表示画面に表示されたカード画像を消去させる、すなわち、質問音声が出力される期間に前後1秒を加えた期間、ユーザにカードを提示することを示す。
このように、設定項目「カード提示時間」には、その合計得点が低いほど、ユーザに質問に対する回答を考察する時間を与えるため、カードを提示する時間が長くなるように定義されている。
なお、学習種別「新規学習」と「反復学習」のそれぞれの教師ロボット設定項目「カード提示時間」には、異なる設定内容(カード提示時間)を定義するようにしてもよい。例えば、学習種別「反復学習」の設定項目「カード提示時間」には、既に学習済みであることを考慮して、学習種別「新規学習」の設定項目「カード提示時間」よりも全般的にカード提示時間が短くなるように設定内容を定義してもよい。
また、学習種別「反復学習」の教師ロボット設定項目「反復学習実施頻度」において、合計得点「0〜5」には既に学習した内容を復習するための反復学習を1日毎に1回実施することを示す設定内容「1日毎に1回実施」、得点「6〜12」には反復学習を3日毎に1回実施することを示す設定内容「3日毎に1回実施」、得点「13〜20」には反復学習を実施しないことを示す設定内容「実施なし」が定義されている。このように、設定項目「反復学習実施頻度」には、その得点が低いほど反復学習の実施頻度が高く、その得点が高いほど反復学習の実施頻度が低くなるように設定内容が定義されている。
教師ロボット設定項目−評価項目関係テーブルは、「教師ロボット設定項目」と「評価項目」との関係を定義したテーブルである。図6(B)に示す教師ロボット用設定項目−評価項目関係テーブルにおいて、教師ロボット設定項目ごとに「○」が付された評価項目が、各教師ロボット設定項目に関係づけられた評価項目であることを表している。
ここで、「教師ロボット設定項目」は、前述した教師ロボット動作態様設定テーブルにおける「教師ロボット設定項目」と同様である。また、「評価項目」は、ユーザの学習成績などを評価するための項目であり、前述した学習履歴テーブルにおける「学習実績」を構成する評価項目と同様である。
教師ロボット設定項目の合計得点は、その教師ロボット設定項目に関係づけられた評価項目の得点を合算することにより算出される。また、教師ロボット動作態様設定テーブルの説明において前述したように、教師ロボット設定項目の設定内容は、教師ロボット設定項目の合計得点に応じて決定される。このように、教師ロボット設定項目に関係づけられた評価項目の得点は、その教師ロボット設定項目の設定内容の決定において反映される。なお、評価項目の得点は、後述する評価項目得点設定テーブルにおいて、評価項目の評価値に応じて割り当てられている。
例えば、図6(B)に示す教師ロボット設定項目−評価項目関係テーブルにおいて、「新規学習」の教師ロボット設定項目「話速」には、評価項目「口頭正答率」、「タッチ正答率」、「回答所要時間」、「学習進捗」が関係づけられている。すなわち、教師ロボット設定項目「話速」の合計得点は、評価項目「口頭正答率」、「タッチ正答率」、「回答所要時間」、「学習進捗」の各得点の合計となる。
生徒ロボット動作態様設定テーブルは、学習支援の実施にあたり生徒ロボット200の動作を制御するために用いられる基準を設定するためのテーブルである。生徒ロボット動作態様テーブルは、図7(A)に示すように、「生徒ロボット設定項目」、「合計得点」、「設定内容」の各要素が対応付けられて構成されている。
「生徒ロボット設定項目」は、生徒ロボット200の動作態様を規定するための項目であり、「回答待機時間」、「正答率」、「反復学習要求頻度」が用意されている。ここで、図7(A)に示す生徒ロボット動作態様設定テーブルでは、前述した教師ロボット動作態様設定テーブルとは異なり、学習種別が「新規学習」と「反復学習」のいずれであるかによらず、一律の生徒ロボット設定項目が定義されている。なお、生徒ロボット動作態様設定テーブルにおいても、教師ロボット動作態様設定テーブルと同様、学習種別ごとに生徒ロボット設定項目を定義することにより、実施する学習種別に応じて生徒ロボット200の動作を制御するようにしてもよい。
生徒ロボット設定項目「回答待機時間」は、教師ロボット100の質問に対して生徒ロボット200が回答(口頭回答およびタッチ回答)するまでに待機する時間を示す。生徒ロボット設定項目「正答率」は、質問に対して生徒ロボット200が正解を回答する割合を示す。生徒ロボット設定項目「反復学習要求頻度」は、生徒ロボット200が反復学習を実施することを要求する頻度を示す。生徒ロボット200は、例えば、「前にやった○○(学習内容)をもう一度やろうよ」等の音声を出力することにより、反復学習の実施を教師ロボット100に要求する。
図7(A)に示すように、生徒ロボット設定項目「回答待機時間」において、合計得点「0」には生徒ロボット200に教師ロボット100から質問されてから所定の標準時間+4秒が経過するまで待機してから回答させることを示す設定内容「+4秒」、「1」には教師ロボット100から質問されてから所定の標準時間+3秒が経過するまで待機してから回答させることを示す設定内容「+3秒」、合計得点「2」には教師ロボット100から質問されてから所定の標準時間+2秒が経過するまで待機してから回答させることを示す設定内容「+2秒」、合計得点「3」には教師ロボット100から質問されてから所定の標準時間+1秒が経過するまで待機してから回答させることを示す設定内容「+1秒」、合計得点「4」には教師ロボット100から質問されてから所定の標準時間(例えば、2秒)が経過するまで待機してから回答させることを示す設定内容「標準」が定義されている。このように、生徒ロボット設定項目「回答待機時間」には、その得点が低いほど生徒ロボット200の回答が遅く、その得点が高いほど生徒ロボット200の回答が早くなるように設定内容が定義されている。
また、生徒ロボット設定項目「正答率」において、合計得点「0〜8」には設定内容「51〜70%」、合計得点「9〜13」には設定内容「71〜90%」、得点「14〜16」には設定内容「91%以上」が定義されている。ここで、各設定内容は、複数の回答候補から正解の回答を選択する割合を示す。例えば、設定内容が「51〜70%」である場合、複数の回答候補から正解の回答が51〜70%の割合で生徒ロボット200の回答として選択される。このように、生徒ロボット設定項目「正答率」には、その得点が低いいほど生徒ロボット200の正答率が低く、その得点が高いほど生徒ロボット200の正答率が高くなるように設定内容が定義されている。
また、生徒ロボット設定項目「反復学習要求頻度」において、得点「0〜9」には既に学習した内容を復習するための反復学習を1日毎に1回要求することを示す設定内容「1日毎に1回要求」、得点「10〜17」には反復学習を3日毎に1回要求することを示す設定内容「3日毎に1回要求」、得点「18〜20」には反復学習を要求しないことを示す設定内容「要求なし」が定義されている。このように、生徒ロボット設定項目「反復学習要求頻度」には、その得点が低いほど生徒ロボット200が反復学習を要求する頻度が高く、その得点が高いほど生徒ロボット200が反復学習を要求する頻度が低くなるように設定内容が定義されている。なお、生徒ロボット200から反復学習を要求された際には、教師ロボット100は、この要求に応じて反復学習を随時実施するものとする。
生徒ロボット設定項目−評価項目関係テーブルは、「生徒ロボット設定項目」と「評価項目」との関係を定義したテーブルである。図7(B)に示す生徒ロボット設定項目−評価項目関係テーブルにおいて、生徒ロボット設定項目ごとに「○」が付された評価項目が、各生徒ロボット設定項目に関係づけられた評価項目であることを表している。
ここで、「生徒ロボット設定項目」は、前述した生徒ロボット動作態様設定テーブルにおける「生徒ロボット設定項目」と同様である。また、「評価項目」は、ユーザの学習成績などを評価するための項目であり、前述した学習履歴テーブルにおける「学習実績」を構成する評価項目と同様である。
生徒ロボット設定項目の合計得点は、教師ロボット設定項目の合計得点と同様、その生徒ロボット設定項目に関係づけられた評価項目の得点を合算することにより算出される。また、生徒ロボット行動レベル設定テーブルの説明において前述したように、生徒ロボット設定項目の設定内容は、生徒ロボット設定項目の合計得点に応じて決定される。このように、生徒ロボット設定項目に関係づけられた評価項目の得点は、その生徒ロボット設定項目の設定内容の決定において反映される。なお、評価項目の得点は、後述する評価項目得点設定テーブルにおいて、評価項目の評価値に応じて割り当てられている。
例えば、図7(B)に示す生徒ロボット設定項目−評価項目関係テーブルにおいて、生徒ロボット設定項目「回答待機時間」には、評価項目「回答所要時間」が関係づけられている。すなわち、生徒ロボット設定項目「回答待機時間」の合計得点は、評価項目「回答所要時間」の得点となる。このような関係づけにより、ユーザの回答所要時間に応じて、生徒ロボット200の回答タイミングを直接的に変更することができる。すなわち、ユーザの実力に合わせて生徒ロボット200の行動を制御することが可能となる。
評価項目得点設定テーブルは、評価項目の評価値に応じて割り当てられる得点が設定されたテーブルである。評価項目得点設定テーブルは、図8に示すように、「評価項目」、「評価値」、「得点」の各要素が対応付けられて構成されている。
「評価項目」は、前述した学習履歴テーブルにおける「学習実績」を構成する評価項目と同様である。「評価値」は、評価項目の具体的内容をいい、例えば、評価項目の数値や程度である。「得点」は、評価項目の評価値に応じて割り当てられた点数である。
評価項目得点設定テーブルでは、例えば、評価項目「口頭回答率」において、評価値「0〜40%」には得点「0」、評価値「41〜80%」には得点「1」、評価値「81〜100%」には得点「3」、がそれぞれ割り当てられている。また、評価項目「学習進捗」において、評価値「49%以下」には得点「0」、評価値「50〜89%」には得点「1」、評価値「90%〜110%」には得点「2」、評価値「111〜150%」には得点「3」、評価値「151%以上」には得点「4」、がそれぞれ割り当てられている。このように、評価項目得点設定テーブルでは、評価項目の評価値が高いほど大きい得点が割り当てられる一方、評価項目の評価値が低いほど小さい得点が割り当てられている。
操作部360は、例えば、操作ボタン、タッチパネル等から構成される。操作部360は、例えば、学習の開始または終了、対応モードの選択、質問に対する回答の入力等のユーザ操作を受け付けるためのインタフェースである。
表示部370は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electroluminescence)ディスプレイ等によって構成され、制御部310から入力された画像データに応じて画像を表示する。表示部370は、例えば、図9に示す絵柄の名称などを尋ねる質問に用いられるカード画像を表示画面に表示する。図9(A)は質問を提示する際に表示画面に表示されるカード画像QC、図9(B)は正解を伝える際に表示画面に表示されるカード画像ACを示している。なお、図9(B)において、ユーザの回答の正誤を示す「○(正解)」や「×(不正解)」を表示するようにしてもよい。
次に、図10に示すフローチャートを参照しながら、通信端末300の制御部310が実行する学習支援制御処理について説明する。学習支援制御処理は、ユーザの学力情報や状態情報などに基づいて、学習支援内容を決定し、決定した学習支援内容に応じた学習支援を実施する処理である。また、この学習支援制御処理は、教師ロボット100および生徒ロボット200の動作を制御する動作制御処理を含む。
制御部310は、ユーザによる学習開始の指示操作を操作部360が受け付けたことに応答して、学習支援制御処理を開始する。学習支援制御処理が開始されると、制御部310の状態情報取得部312は、ユーザの状態情報を取得する(ステップS101)。
具体的には、状態情報取得部312は、教師ロボット100の撮像部170に、ユーザの姿勢、視線、表情等を示す静止画または動画を撮像させ、撮像した静止画または動画の画像データを通信部120に送信させる。そして、状態情報取得部312は、通信部320を介して取得した静止画または動画の画像データに対して画像認識処理を行う。これにより、状態情報取得部312は、ユーザの姿勢が良いか、視線が定まっているか、目の見開き状態などの観点から判定されるユーザの感情等を状態情報として取得する。
また、制御部310の状態情報取得部312は、音声入力部330にユーザの発言の内容を示す音声データを取得させ、その音声データに対して音声認識処理などを施す。これにより、制御部310の状態情報取得部312は、ユーザの回答の言葉遣い、声のトーン等を状態情報として取得する。
次に、制御部310の学習実績取得部311は、学習実績情報を取得する(ステップS102)。学習実績取得部311は、記憶部350に記憶された学習履歴テーブルを読み出し、学習履歴テーブル内の学習実績の各データを学習実績情報として取得する。
続いて、制御部310の対応モード設定部316は、対応モードを設定する(ステップS103)。対応モード設定部316は、操作部360を介してユーザによる対応モードの選択操作を受け付けた場合には、ライバルモードまたはフレンドリモードのうち選択された一方を対応モードとして設定する。また、ユーザによる対応モードの選択操作を受け付けなかった場合には、状態情報や学習実績情報に含まれる各種データを総合的に考慮し、ライバルモードまたはフレンドリモードのうち適切であると判断する一方を対応モードとして設定する。対応モード設定部316は、例えば、ユーザの学習意欲が高いことを示すデータ(例えば、楽しそう、正答率が高いなどを示すデータ)が多い場合には、対応モードをライバルモードに設定する。一方、ユーザの学習意欲が低いことを示すデータ(気分が塞ぎ気味、正答率が低いなどを示すデータ)が多い場合には、対応モード設定部316は、対応モードをフレンドリモードに設定する。
続いて、制御部310の学習支援内容決定部313は、今回実施する学習支援内容を決定する(ステップS104)。この際、学習支援内容決定部313は、状態情報や学習実績情報に含まれる各種データ、あらかじめ設定された学習カリキュラムなどを総合的に勘案して今回実施する学習支援内容を決定する。学習支援内容決定部313は、例えば、学習実績が優秀であることを示すデータ(例えば、正答率が高い、学習進捗が早いことなどを示すデータ)が多い場合には、前述した基本科目以外の科目(例えば、テーマを定めることなく気楽に英会話をする「会話」など)を適宜織り交ぜて実施するように、学習支援内容を決定する。一方、学習実績が劣悪であることを示すデータ(例えば、正答率が低い、学習進捗が遅いことなどを示すデータ)が多い場合には、学習支援内容決定部313は、ユーザの学習意欲を向上させるために、比較的親しみやすい科目「チャンツ」を、他の科目よりも長時間実施したり、他の科目に先行して実施するように、学習支援内容を決定する。
次に、制御部310は、教師ロボット100および生徒ロボット200の設定項目の設定更新時期であるか否かを判定する(ステップS105)。設定更新時期とは、前回教師ロボット100および生徒ロボット200の設定項目の設定内容が更新されてから所定期間(例えば、1週間)が経過したタイミングである。設定更新時期ではないと判定した場合(ステップS105;NO)、制御部310は、処理をステップS108に進める。
一方、設定更新時期であると判定した場合(ステップS105;YES)、制御部310の教師ロボット動作制御部314は、教師ロボット100の教師ロボット設定項目の設定内容を決定し、決定した設定内容を設定する(ステップS106)。教師ロボット動作制御部314は、学習履歴テーブルを参照し、前回の更新日から前回の学習日までの学習実績である各評価項目の評価値の平均値を算出する。教師ロボット動作制御部314は、評価項目得点設定テーブルを参照し、算出した評価値の平均値に対応する各評価項目の得点を取得する。また、教師ロボット動作制御部314は、教師ロボット設定項目−評価項目関係テーブルおよび教師ロボット動作態様設定テーブルを参照し、教師ロボット設定項目の各項目の設定内容を決定する。そして、教師ロボット動作制御部314は、決定した設定内容を教師ロボット設定項目の各項目に設定する。
続いて、制御部310の生徒ロボット動作制御部315は、生徒ロボット200の生徒ロボット設定項目の設定内容を決定し、決定した設定内容を設定する(ステップS107)。生徒ロボット動作制御部315は、学習履歴テーブルを参照し、前回の更新日から前回の学習日までの学習実績である各評価項目の評価値の平均値を算出する。なお、生徒ロボット動作制御部315は、ステップS106において教師ロボット動作制御部314が算出した各評価項目の評価値の平均値を流用するようにしてもよい。次に、生徒ロボット動作制御部315は、評価項目得点設定テーブルを参照し、算出した評価値の平均値に対応する各評価項目の得点を取得する。また、生徒ロボット動作制御部315は、生徒ロボット設定項目−評価項目関係テーブルおよび生徒ロボット動作態様設定テーブルを参照し、生徒ロボット設定項目の各項目の設定内容を決定する。そして、生徒ロボット動作制御部315は、決定した設定内容を生徒ロボット設定項目の各項目に設定する。
ステップS107の処理を実行した後、あるいは、ステップS105においてNOと判定した場合、制御部310は、動作制御処理を実行する(ステップS108)。ここで、図11に示すフローチャートを参照して、操作制御処理について説明する。動作制御処理は、学習支援の実施中における教師ロボット100および生徒ロボット200の動作を制御する処理である。
制御部310は、動作制御処理を開始すると、ステップS104において決定した学習支援内容に従って学習支援を開始する(ステップS201)。この際、制御部310は、例えば、音声出力部340を制御して、学習支援の開始を報知するアナウンス(例えば、学習支援開始を知らせる報知音や「学習を始めましょう」などの音声)を出力させる。
続いて、制御部310は、学習支援を終了するか否かを判定する(ステップS202)。制御部310は、ユーザによる学習終了の指示操作を操作部360が受け付けたか否か、あるいは、今回実施予定の学習支援内容がすべて実施されたか否かに応じて、学習支援を終了するか否かを判定する。学習支援を終了すると判定した場合(ステップS202;YES)、制御部310は、動作制御処理を終了する。
一方、学習支援を継続すると判定した場合(ステップS202;NO)、制御部310の教師ロボット動作制御部314は、教師ロボット動作制御タイミングであるか否かを判定する(ステップS203)。ここで、教師ロボット動作制御タイミングとは、学習支援の実施において教師ロボット100を動作させる契機となるタイミング全般をいい、例えば、教師ロボット100に、質問を読み上げる音声を出力させるタイミングや、ユーザまたは生徒ロボット200の回答の正誤に応じて教師ロボット100の可動部位を駆動して動作させるタイミングである。教師ロボット動作制御タイミングではないと判定した場合(ステップS203;NO)、制御部310は、ステップS205に処理を進める。
一方、教師ロボット動作制御タイミングであると判定した場合(ステップS203;YES)、教師ロボット動作制御部314は、教師ロボット100の動作を制御する(ステップS204)。具体的は、教師ロボット動作制御部314は、教師ロボット設定項目の設定内容に応じて教師ロボット100に実行させる動作を決定し、この決定内容の実行を指示する制御情報を教師ロボット100に送信することにより、教師ロボット100の動作を制御する。例えば、教師ロボット動作制御部314は、教師ロボット100に質問を読み上げる音声を出力させる際、設定項目「話速」の設定内容が「80%」である場合、その質問を読み上げる音声を標準再生速度の0.8倍の再生速度で出力することを指示する制御情報を生成し、この制御情報を教師ロボット100に送信する。制御情報を受信した教師ロボット100は、制御情報に従って、指定された質問の音声データを記憶部150から読み出し、標準再生速度の0.8倍の再生速度で質問を読み上げる音声を再生する。また、学習実績取得部311による質問に対するユーザの回答の正誤判定結果に基づき、教師ロボット100の可動部位を駆動することを指示する制御情報を生成し、この制御情報を教師ロボット100に送信する。制御情報を受信した教師ロボット100は、制御情報に従って、駆動部230を制御して所定の動作を実行する。
続いて、制御部310の生徒ロボット動作制御部315は、生徒ロボット動作制御タイミングであるか否かを判定する(ステップS205)。ここで、生徒ロボット動作制御タイミングとは、学習支援の実施において生徒ロボット200を動作させる契機となるタイミング全般をいい、例えば、生徒ロボット200に、質問に対する回答などの音声を出力させるタイミングや、可動部位を駆動して動作させるタイミングである。生徒ロボット動作制御タイミングではないと判定した場合(ステップS205;NO)、制御部310は、ステップS202に処理を戻す。
一方、生徒ロボット動作制御タイミングであると判定した場合(ステップS205;YES)、生徒ロボット動作制御部315は、生徒ロボット200の動作を制御する(ステップS206)。具体的は、生徒ロボット動作制御部315は、生徒ロボット設定項目の設定内容や対応モードに応じて生徒ロボット200に実行させる動作を決定し、この決定内容の実行を指示する制御情報を生徒ロボット200に送信することにより、生徒ロボット200の動作を制御する。
生徒ロボット動作制御部315は、例えば、生徒ロボット200に質問に対する回答の音声を出力させる際、設定項目「回答待機時間」の設定内容が「+3秒」、かつ、生徒ロボット設定項目「正答率」の設定内容が「51〜70%」である場合、正解の回答を選択する割合51〜70%のもとで複数の回答候補から回答を選択し、選択した回答の音声を教師ロボット100から質問されてから所定の標準時間+3秒が経過するまで待機して出力することを指示する制御情報を生成して生徒ロボット200に送信する。この制御情報を受信した生徒ロボット200は、制御情報に従って、指定された回答の音声データを記憶部150から読み出し、指定されたタイミングで回答の音声を再生する。
また、生徒ロボット動作制御部315は、例えば、ユーザが生徒ロボット200よりも先に正解を回答し、かつ、対応モードがライバルモードである場合、くやしがる内容の音声を出力することを指示する制御情報を生成し、この制御情報を生徒ロボット200に送信する。制御情報を受信した生徒ロボット200は、制御情報に従って、指定された音声データを記憶部150から読み出して再生する。
ステップS206の処理を実行した後、制御部310は、処理をステップS202に戻し、学習支援を終了するまで(ステップS202においてYESと判定するまで)、ステップS203〜S206の処理を繰り返す。
以上に述べたように、本実施の形態によれば、通信端末300は、ユーザの学習実績の評価結果に基づいて設定された、生徒ロボット200の動作態様を規定する生徒ロボット設定項目の設定内容に基づいて生徒ロボット200の動作を制御する。これにより、通信端末300は、生徒ロボット200にユーザに対して適切な発言や動作を表出させることができる。したがって、通信端末300によれば、ユーザの学力に応じて適正に学習を支援することができる。
さらに、通信端末300により、生徒ロボット200は、ユーザによる選択あるいは学習実績の評価結果に基づいて設定されるユーザに対する接し方の基準となる対応モードに基づいてユーザに対する動作が制御される。これにより、生徒ロボット200をユーザの要望またはユーザの学力に応じて、ユーザと共に学習する生徒として行動させることができる。これにより、ユーザの学習意欲を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、通信端末300は、ユーザの学習実績の評価結果に基づいて設定された、教師ロボット100の動作態様を規定する教師ロボット設定項目の設定内容に基づいて教師ロボット100の動作を制御する。これにより、通信端末300は、教師ロボット100にユーザに対して適切な発言や動作を表出させることができる。このように、通信端末300によれば、ユーザの学力に応じて適正に学習を支援することができる。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。前記の実施の形態は、次のように変形されてもよい。
上記の実施形態では、通信端末300の制御部310が、教師ロボット100とおよび生徒ロボット200の動作を一括して制御している。しかし、教師ロボット100、生徒ロボット200、通信端末300から独立した制御装置が教師ロボット100および生徒ロボット200の動作を制御するように構成されてもよい。また、教師ロボット100と生徒ロボット200とが、通信可能に接続され、互いに連携してユーザに対して学習支援を実施するように構成されてもよい。
上記の実施形態では、学習支援システム1は、教師ロボット100と、生徒ロボット200と、通信端末300とを備える。しかし、本発明に係る学習支援システムは、このような構成に限られない。
例えば、学習支援システム1は、教師ロボット100と通信端末300の代わりに、学習を指導する機能を備える装置を備える構成であってもよい。この場合、問題出力装置が、ユーザおよび生徒ロボット200に質問を提示し、生徒ロボット200が、生徒ロボット設定項目や対応モードに基づいて、その質問に回答するような構成であってもよい。
また、生徒ロボット200のみで上記の実施形態を実現してもよい。例えば、ユーザとして教師および学習者と生徒ロボット200の三者で学習するようにしてもよい。この場合、生徒ロボット200は、通信端末300の制御部310が有する機能を備え、教師の発言に対しても応答するように構成すればよい。
上記の実施形態では、通信端末300の学習実績取得部311は、ユーザの学力を表す指標として、ユーザの正答率や回答所要時間などの学習実績を示す学習実績情報を取得した。しかし、これに限らず、学習実績取得部311が、学習実績情報に替えて、または、これに加えて、ユーザの知識や技能をはじめ、これらを活用して課題を解決するための思考力や表現力、学習に取り組む意欲や態度を表す各種データなど、ユーザの学力を評価し得る情報を取得するようにしてもよい。
上記の実施の形態において、制御部310のCPUが実行する動作プログラムは、あらかじめROM等に記憶されていた。しかしながら、本発明は、これに限定されず、上記の各種処理を実行させるための動作プログラムを、既存の汎用コンビュータや、フレームワーク、ワークステーション等に実装することにより、上記の実施の形態に係る通信端末300に相当する装置として機能させてもよい。
このようなプログラムの提供方法は任意であり、例えば、コンピュータが読取可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM)等に格納して配布してもよいし、インターネット等のネットワーク上のストレージにプログラムを格納しておき、これをダウンロードさせることにより提供してもよい。
また、上記の処理をOS(Operating System)とアプリケーションプログラムとの分担、または、OSとアプリケーションプログラムとの協働によって実行する場合には、アプリケーションプログラムのみを記録媒体やストレージに格納してもよい。また、搬送波にプログラムを重畳し、ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、ネットワーク上の掲示板(Bulletin Board System:BBS)に上記プログラムを掲示し、ネットワークを介してプログラムを配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上記の処理を実行できるように構成してもよい。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲とを逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、前述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記1)
ユーザと共に学習する生徒役を担う生徒ロボットを制御するロボット制御装置であって、
前記ユーザの学力を表す指標を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記ユーザの学力を表す指標に基づいて、前記生徒ロボットの動作を制御するための基準を設定し、設定した前記基準に応じて前記生徒ロボットの動作を決定する決定手段と、
前記決定手段が決定した動作を前記生徒ロボットに実行させる実行手段と、
を備えることを特徴とするロボット制御装置。
(付記2)
前記基準は、前記生徒ロボットの動作を規定する複数の設定項目により構成され、
前記決定手段は、前記複数の設定項目の内容を決定することにより、前記基準を設定する、
ことを特徴とする付記1に記載のロボット制御装置。
(付記3)
前記決定手段は、前記ユーザの学力を表す指標に含まれる複数の評価項目の評価値に応じて割り当てられた得点の合計に基づいて、前記複数の設定項目の設定内容を設定する、
ことを特徴とする付記2に記載のロボット制御装置。
(付記4)
前記複数の設定項目は、質問に対する前記生徒ロボットの回答の態様を規定する項目を含み、回答待機時間と正答率とのうち少なくとも一方を含む、
ことを特徴とする付記2または3に記載のロボット制御装置。
(付記5)
前記取得手段は、前記ユーザの学力を表す指標として、前記ユーザの学習実績を示す学習実績情報を取得する、
ことを特徴とする付記1〜4のいずれか1つに記載のロボット制御装置。
(付記6)
ユーザの学習を支援するロボットを制御するロボット制御装置であって、
前記ユーザの学力を表す指標を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記ユーザの学力を表す指標に基づいて、前記ロボットの動作を制御するための基準を設定し、設定した前記基準に応じて前記ロボットの動作を決定する決定手段と、
前記決定手段が決定した動作を前記ロボットに実行させる実行手段と、
を備えることを特徴とするロボット制御装置。
(付記7)
前記基準は、前記ロボットを前記ユーザに学習を指導する教師役を担う教師ロボットとして制御するための複数の設定項目により構成され、
前記決定手段は、前記複数の設定項目の内容を決定することにより、前記基準を設定する、
ことを特徴とする付記6に記載のロボット制御装置。
(付記8)
前記決定手段は、前記ユーザの学力を表す指標に含まれる複数の評価項目の評価値に応じて割り当てられた得点の合計に基づいて、前記複数の設定項目の設定内容を設定する、
ことを特徴とする付記7に記載のロボット制御装置。
(付記9)
前記複数の設定項目は、前記ロボットの学習指導の態様を規定する項目を含み、話速、カード提示時間、反復学習実施頻度のうち少なくともいずれか1つを含む、
ことを特徴とする付記7または8に記載のロボット制御装置。
(付記10)
前記取得手段は、前記ユーザの学力を表す指標として、前記ユーザの学習実績を示す学習実績情報を取得する、
ことを特徴とする付記6〜9のいずれか1つに記載のロボット制御装置。
(付記11)
付記1〜6のいずれか1つに記載のロボット制御装置によって制御される生徒ロボット。
(付記12)
付記6〜10のいずれか1つに記載のロボット制御装置によって制御される教師ロボット。
(付記13)
付記6に記載のロボット制御装置と、前記ロボット制御装置によりユーザと共に学習する生徒として振る舞うように制御される生徒ロボットと、前記ロボット制御装置により前記ユーザに学習を指導する教師として振る舞うように制御される教師ロボットと、を備え、
ユーザに対して学習支援を実施する学習支援システム。
(付記14)
ユーザと共に学習する生徒役を担う生徒ロボットを制御するロボット制御方法であって、
前記ユーザの学力を表す指標を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した前記ユーザの学力を表す指標に基づいて、前記生徒ロボットの動作を制御するための基準を設定し、設定した前記基準に応じて前記生徒ロボットの動作を決定する決定ステップと、
前記決定ステップで決定した動作を前記生徒ロボットに実行させる実行ステップと、 を備えることを特徴とするロボット制御方法。
(付記15)
ユーザと共に学習する生徒役を担う生徒ロボットを制御するロボット制御装置のコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記ロボット制御装置のコンピュータに、
前記ユーザの学力を表す指標を取得する取得処理と、
前記取得処理で取得した前記ユーザの学力を表す指標に基づいて、前記生徒ロボットの動作を制御するための基準を設定し、設定した前記基準に応じて前記生徒ロボットの動作を決定する決定処理と、
前記決定処理で決定した動作を前記生徒ロボットに実行させる実行処理と、
を実行させるプログラム。