JP2018205408A - 静電潜像現像用キャリア、二成分現像剤、補給用現像剤、画像形成装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
トナースペントによるキャリア劣化の中で問題になるのが、キャリア抵抗の上昇である。
前記技術構想を達成すべく、さまざまな試みが行われている。例えば特許文献1では、キャリア被覆樹脂に非相溶の複数の樹脂を用いることで被覆層中の導電性微粒子を偏在させ、キャリア被覆樹脂の耐スペント性を生かし、かつ、導電性微粒子によるキャリアの低抵抗化を実現させる手段が提案されている。
本発明は、上記の様な技術課題に基づき、プロダクションプリンティングの分野において求められる画質に対して十分な抵抗維持及び帯電制御が可能であり、キャリア抵抗の上昇及びキャリア付着を抑制することができ、かつ低温定着トナーを使用した高速機においても、低画像面積率の印字密度での連続通紙を可能にする電子写真法・静電記録法に使用される二成分現像剤に用いられる静電潜像現像用キャリアを提供することを目的とする。
(1)磁性を有する芯材粒子と、その表面を被覆する被覆層とを有する静電潜像現像用キャリアであって、
該被覆層は樹脂と導電性無機粉からなり、該導電性無機粉が針状導電性無機粉を含み、
前記被覆層の平均膜厚をD(μm)、前記針状導電性無機粉の膜厚方向の平均厚さをH(μm)、長軸の平均長さをL(μm)とした時に
0.05≦H/D≦0.30,
0.30≦D≦2.00,
0.6≦L≦3.0
でありかつ、
前記樹脂は、少なくともシリコーン樹脂を含む静電潜像現像用キャリア。
なお、本発明(1)の実施の形態には、次の(2)〜(10)も含まれるので、これらについても併せて説明する。
(2)前記針状導電性無機粉が酸化チタンであり、被覆層中の含有量が5乃至40面積%である前記(1)に記載の静電潜像現像用キャリア。
(3)前記酸化チタンがアンチモンドープ酸化スズ被覆層を持つ前記(2)に記載の静電潜像現像用キャリア。
(4)前記被覆層中での針状導電性無機粉が4層以上充填されている前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
(5)前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア及びトナーを有する二成分現像剤。
(6)前記トナーは、カラートナーである前記(5)に記載の二成分現像剤。
(7)キャリア及びトナーを含む補給用現像剤であって、キャリア1質量部に対してトナーを2〜50質量部含有し、前記キャリアが前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリアである補給用現像剤。
(8)静電潜像担持体と、該静電潜像担持体を帯電させる帯電手段と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、前記(5)または(6)に記載の二成分現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像手段と、該静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、該記録媒体に転写されたトナー像を定着させる定着手段とを有する画像形成装置。
(9)静電潜像担持体と、該静電潜像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を前記(5)または(6)に記載の二成分現像剤を用いて現像する現像部と、前記静電潜像担持体をクリーニングするクリーニング部材とを有するプロセスカートリッジ。
(10)静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、前記(5)または(6)に記載の二成分現像剤を用いて現像してトナー像を形成する工程と、該静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する工程と、該記録媒体に転写されたトナー像を定着させる工程とを有する画像形成方法。
本発明の静電潜像現像用キャリアは、磁性を有する芯材粒子と、その表面を被覆する被覆層とを有する静電潜像現像用キャリアであって、
該被覆層は樹脂と導電性無機粉からなり、該導電性無機粉が針状導電性無機粉を含み、
前記被覆層の平均膜厚をD(μm)、前記針状導電性無機粉の膜厚方向の平均厚さをH(μm)、長軸の平均長さをL(μm)とした時に
0.05≦H/D≦0.30,
0.30≦D≦2.00,
0.6≦L≦3.0
であり、
前記樹脂は、少なくともシリコーン樹脂を含む静電潜像現像用キャリアである。
このことにより、導電性の高い針状無機粉が、トナースペントした際にも導通回路として機能し、初期の抵抗を維持し続けることができ、長期印刷を可能とする。また、被覆層樹脂としてシリコーン樹脂を含有することでトナースペント自体が起こりにくくすることができる。
被覆層中の針状導電性無機粉は、表面観察を行った際に、一定方向に揃わず、交差して絡み合った網目状の導電ネットワークを形成する。最表面は現像器内で衝突を受け、被覆層が削れ易くなる。トナースペントは被覆層の凹部、特に網目の窪み部で起こり易い。その際に本発明のキャリアを用いることで、被覆層表面、被覆層内部において網目状ネットワークが機能する状態においては、トナーがスペントしてもキャリア抵抗を低く維持することが可能である。
まず1つ目に、被覆層中の無機粉が針状導電性無機粉を含むということである。無機粉には前述の通り導通経路として機能し続ける必要があるため、高い導電性、高い硬度、及び、樹脂との親和性が要求される。発明者らが鋭意検討した結果、針状導電性無機粉が最もふさわしいことを知見した。
尚、本発明において、針状導電性無機粉の、針状とは、細長い形状であれば良く、棒状、柱状などを含み、アスペクト比が1.5以上のものを言う。
また、導電性とは粉体比抵抗が、106Ω・cm以下のものを言う。
前記針状導電性無機粉としては、酸化チタン、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム等が挙げられる。
前記H/Dの値は、分級機を用いて針状導電性無機粉の形状を調整すること、樹脂量をコントロールすることにより被覆層の膜厚Dを調整すること、等により調整することができる。
また、より最適な網目状ネットワークを形成し、導電経路を形成するためには、被覆層は、噴霧された被覆層形成液の液滴径が10μm以下になる微粒化ノズルを用いて形成されることが好ましい。前記液滴径が10μm以下であると、被覆樹脂成分と無機粉の比重の違いによる液滴内で偏りが生じにくく、無機粉が凝集しにくくなり、狙いとする網目状のネットワークを形成しやすくなる。また、芯材と被覆層の界面に空隙ができにくくなり、強靭な被覆層が得られる。
前記Lの値は、針状導電性無機粉を分級機を用いて分級することにより0.6〜3.0μmとすることができる。
被覆層の平均膜厚Dは、1粒子の断面画像を中心から8分割し、8等分線上の膜厚をそれぞれ測長し、1粒子の平均膜厚を求め、同様に100粒子のキャリアについても各粒子の平均膜厚を求め、更にその100粒子の平均膜厚の値を平均して求めた値である。
また、充填状態に関しては、キャリア100粒子に対して白色と黒色の面積から該被覆層に対する針状導電性無機粉の面積%を求め、充填状態を定義した。
前記キャリアの針状導電性無機粉の長軸の長さlは、キャリアの断面観察において、針状導電性無機粉が示す最大の長さであり、膜厚方向の厚さhは、膜厚方向の最大の長さである。
被覆層中の酸化チタンの含有量を5面積%以上とすることにより、膜強度が強くなり、芯材が露出することが無く、経時で抵抗低下することが無い。それによってベタキャリア付着が起こりにくくなる。また、40面積%以下であると、トナーに与えるダメージが増加することがないためトナースペントを起こしにくく、経時で抵抗上昇を抑制することができる。それによってエッジキャリア付着が起こりにくくなる。
面積%については、エポキシ樹脂でキャリアを包埋し、硬化後、イオンミリングで割断し、断面SEMを観察し、1粒子の画像を8分割し、樹脂が黒、針状導電粉が白く写るため、解析ソフトによって2値化して、面積比率を算出した。芯材は含めていない(画像中に灰色で写るためコントラスト調整によって排除可能)。100粒子の平均を取って求めた。
酸化チタンは、アンチモンドープ酸化スズ被覆層を持つなどして導電性を高めることが好ましい。アンチモンドープ酸化スズ被覆層を持つ針状酸化チタンは、粉体比抵抗が100〜102と低く、キャリアの抵抗を下げやすい。
また、キャリア被覆層中で導電ネットワークを形成するためには被覆層中で針状導電性無機粉同士が接触、積層状態であることが好ましい。積層状態とは、断面観察を行った際に、ある程度重なって充填されていることを示す。
具体的な測定方法は、測定モード:Al:1486.6eV、励起源:モノクローム(Al)、検知方式:スペクトルモード、マグネットレンズ:OFFにて実施した。まず、広域スキャンによって検出元素を特定し、その次に、検出元素毎にナロースキャンにてピークを検出させた。その後、付属のピーク解析ソフトにて全検出元素に対するSb,Snのatomic%を算出した。
針状導電性無機粉の被覆層中での状態の具体的な測定方法は、前記の充填状態、被覆層の膜厚、長軸の長さの確認と同様である。
前記二値化処理を行い、樹脂被覆部分において白色の部分(針状導電性無機粉部分)と黒色の部分(樹脂部分)に分解した画像において、キャリア1粒子に中心から8等分線を引いた際に、8つの線上の膜厚方向に検出される針状導電性無機粉の数を求め、その平均を1粒子の被覆層中の針状導電性無機粉の層の数とし、これを、キャリア100粒子について行い、1粒子平均で4層以上充填されているかどうか判断した。
前記キャリアは、下記の共重合体を添加した樹脂溶液を、芯材粒子に塗布・乾燥した後、焼成することにより作製することができ、樹脂溶液中で、共重合体が加水分解し、縮合し、架橋する。
R1:水素原子、またはメチル基
m:1〜8の整数[(CH2)mは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基]
R2:炭素原子数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、及びブチル基等)
R3:炭素数1〜8のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、及びブチル基等)、または炭素数1〜4のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)
A成分において、X=10〜90モル%であり、より好ましくは、30〜70モル%である。
B成分において、Y=10〜90モル%であり、より好ましくは30〜70モル%である。
X+Y=100モル%である。
R2は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、このようなA成分となるモノマーとしては、次式で示されるトリス(トリアルキルシロキシ)シラン化合物が例示される。
下式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはプロピル基である。
CH2=CMe−COO−C3H6−Si(OSiMe3)3
CH2=CH−COO−C3H6−Si(OSiMe3)3
CH2=CMe−COO−C4H8−Si(OSiMe3)3
CH2=CMe−COO−C3H6−Si(OSiEt3)3
CH2=CH−COO−C3H6−Si(OSiEt3)3
CH2=CMe−COO−C4H8−Si(OSiEt3)3
CH2=CMe−COO−C3H6−Si(OSiPr3)3
CH2=CH−COO−C3H6−Si(OSiPr3)3
CH2=CMe−COO−C4H8−Si(OSiPr3)3
A成分となるモノマーの製造方法は特に限定されないが、トリス(トリアルキルシロキシ)シランを白金触媒の存在下にアリルアクリレートまたはアリルメタクリレートと反応させる方法や、特開平11−217389に記載されている、カルボン酸と酸触媒の存在下で、メタクリロキシアルキルトリアルコキシシランとヘキサアルキルジシロキサンとを反応させる方法などにより得られる。
B成分が10モル%以上であると、強靭さが十分得られる。一方、90モル%以下であると、被膜は固くて脆くなることがなく、膜削れが発生しにくくなる。また、環境特性が良くなる。加水分解した架橋成分がシラノール基として多数残ると、環境特性(湿度依存性)を悪化させていることも考えられる。
このようなC成分を加えたものとしては、下記の共重合体が挙げられる。
R1:水素原子、またはメチル基
m:1〜8の整数
R2:炭素原子数1〜4のアルキル基
R3:炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜4のアルコキシ基
X’=10〜40モル%である。
Y’=10〜40モル%である。
Z’=30〜80モル%であり、かつ、
60モル%<Y’+Z’<90モル%である。
X’+Y’+Z’=100モル%である。
また、イソシアネート化合物による架橋より、本発明のシロキサン結合による架橋の方が結合エネルギーが大きく熱ストレスに対しても安定しているため、被膜の経時安定性が保たれていると推察される。
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、r−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、r−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、r−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−r−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、r−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、r−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、r−クロルプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、r−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、r−クロルプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロルシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン、メタクリルオキシエチルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
なお、体積平均粒径は、例えば、マイクロトラック粒度分布計モデルHRA9320―X100(日機装社製)を用いて測定することができる。
なお、体積固有抵抗は、図1に示すセルを用いて測定することができる。具体的には、まず、表面積2.5cm×4cmの電極(32a)及び電極(32b)を、0.2cmの距離を隔てて収容したフッ素樹脂製容器からなるセル(31)に、キャリア(33)を充填し、落下高さ1cm、タッピングスピード30回/分で、10回のタッピングを行う。次に、電極(32a)及び(32b)の間に1000Vの直流電圧を印加して30秒後の抵抗値r[Ω]を、ハイレジスタンスメーター4329A(横河ヒューレットパッカード社製)を用いて測定し、下記式1から、体積固有抵抗[Ω・cm]を算出することができる。
トナーは、結着樹脂と着色剤を含有するが、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等のカラートナーであることが好ましい。また、定着ローラにトナー固着防止用オイルを塗布しないオイルレスシステムに適用するために、トナー粒子は、離型剤を含有してもよい。このようなトナーは、一般に、フィルミングが発生しやすいが、本発明のキャリアは、フィルミングを抑制することができるため、本発明の現像剤は、長期に亘り、良好な品質を維持することができる。さらに、カラートナー、特に、イエロートナーは、一般に、キャリアの被覆層の削れによる色汚れが発生するという問題があるが、本発明の現像剤は、色汚れの発生を抑制することができる。
二成分現像剤におけるトナーの濃度は3〜10質量%が好ましい。
さらに、粉砕された溶融混練物を分級する際には、風力式分級機等を用いることができる。なお、母体粒子の平均粒径が5〜20μmとなるように分級することが好ましい。
図2に、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す。プロセスカートリッジ(10)は、静電潜像担持体である感光体(11)、感光体(11)を帯電する帯電装置(12)、感光体(11)上に形成された静電潜像を本発明の二成分現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像装置(13)及び感光体(11)上に形成されたトナー像を記録媒体に転写した後、感光体(11)上に残留したトナーを除去するクリーニング装置(14)が一体に支持されており、プロセスカートリッジ(10)は、複写機、プリンター等の画像形成装置の本体に対して着脱可能である。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体を帯電させる帯電手段と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像手段と、該静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、該記録媒体に転写されたトナー像を定着させる定着手段とを有しており、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなるものであり、現像剤として本発明の二成分現像剤を用いるものである。
前記画像形成装置としては、プロダクションプリンティングの分野で用いられる画像形成装置であってもよい。
撹拌機付きフラスコにトルエン300gを投入して、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。次いでこれに、CH2=CMe−COO−C3H6−Si(OSiMe3)3(式中、Meはメチル基である。)で示される3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン84.4g(200ミリモル:サイラプレーン TM−0701T/チッソ株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン 39g(150ミリモル)、メタクリル酸メチル65.0g(650ミリモル)、および、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3ミリモル)の混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3ミリモル)をトルエン15gに溶解した溶液を加えて(2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g=3.3ミリモル)、90〜100℃で3時間混合してラジカル共重合させてメタクリル系共重合体R1を得た。
針状導電性酸化チタン(石原産業製)数グレードを用い、気流分級、振動ふるいによる解砕によって所望の大きさへ調整を行い、無機粉1乃至14を得た。無機粉15については球状無機粉アルミナ(住友化学社製)AA−1.5,平均粒径1.5μmと無機粉1を質量比1:1で混合したものを用いた。
以上の得られた無機粉の種類と針状導電性無機粉の長軸の平均長さL(μm)を以下に記す。
無機粉1、3〜14は、アンチモンドープ酸化スズ被膜を有する針状導電性酸化チタンであり、無機粉2は、アンチモンドープ酸化スズ被膜を有さない針状導電性酸化チタンである。
無機粉4と無機粉10、無機粉5と無機粉9と無機粉11、無機粉6と無機粉12は、針状導電性酸化チタンの長軸の平均長さLは同じであるが、アスペクト比が異なる。
無機粉1〜14の針状導電性酸化チタンは、アスペクト比は4〜30、紛体比抵抗率は100〜106Ω・cmであった。
MnCO3、Mg(OH)2、Fe2O3、及びSrCO3粉を秤量し混合して混合粉を得た。この混合粉を、加熱炉により800℃、2時間、大気雰囲気下で仮焼し、得られた仮焼物を冷却後、粉砕して、粒径3μm以下の粉体とした。この粉体に1質量%の分散剤を水と共に加えてスラリーとし、このスラリーをスプレードライヤに供給して造粒し、平均粒径約40μmの造粒物を得た。この造粒物を焼成炉に装填し、窒素雰囲気下で、1150℃、4時間焼成した。
得られた焼成物を解砕機で解砕した後、篩い分けにより粒度調整を行い、体積平均粒径が約35μm、BET比表面積が0.18m2/gの球形フェライト粒子を得た。この造粒物の成分分析を行ったところMnO:44.5mol%、MgO:0.5mol%、Fe2O3:55mol%であった。
−ポリエステル樹脂Aの合成−
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物65部、ビスフェノールAのプロピオンオキシド3モル付加物86部、テレフタル酸274部及びジブチルスズオキシド2部を投入し、常圧下、230℃で15時間反応させた。次に、5〜10mmHgの減圧下、6時間反応させて、ポリエステル樹脂Aを合成した。得られたポリエステル樹脂Aは、数平均分子量(Mn)が2,300、重量平均分子量(Mw)が8,000、ガラス転移温度(Tg)が58℃、酸価が25mgKOH/g、水酸基価が35mgKOH/gであった。
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81質量部、テレフタル酸283質量部、無水トリメリット酸22質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を仕込み、常圧下で、230℃にて8時間反応させた。次いで、10〜15mHgの減圧下で、5時間反応させて、中間体ポリエステルを合成した。
得られた中間体ポリエステルは、数平均分子量(Mn)が2,100、重量平均分子量(Mw)が9,600、ガラス転移温度(Tg)が55℃、酸価が0.5、水酸基価が49であった。
得られたプレポリマーの遊離イソシアネート含有量は、1.60質量%であり、プレポリマーの固形分濃度(150℃、45分間放置後)は50質量%であった。
攪拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン30質量部及びメチルエチルケトン70質量部を仕込み、50℃にて5時間反応を行い、ケチミン化合物(前記活性水素基含有化合物)を合成した。得られたケチミン化合物(前記活性水素機含有化合物)のアミン価は423であった。
水1,000部、DBP吸油量が42mL/100g、pHが9.5のカーボンブラックPrintex35(デグサ社製)540部、及び1,200部のポリエステル樹脂Aを、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合した。次に、二本ロールを用いて、得られた混合物を150℃で30分間混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン社製)で粉砕して、マスターバッチを作製した。
イオン交換水306部、リン酸三カルシウムの10質量%懸濁液265部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0部を混合攪拌し、均一に溶解させて、水系媒体を調製した。
界面活性剤の臨界ミセル濃度は以下の方法で測定した。表面張力計Sigma(KSV Instruments社製)を用いて、Sigmaシステム中の解析プログラムを用いて解析を行なった。界面活性剤を水系媒体に対して0.01質量%ずつ滴下し、攪拌、静置後の界面張力を測定した。得られた表面張力カーブから、界面活性剤の滴下によっても界面張力が低下しなくなる界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度として算出した。水系媒体に対するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの臨界ミセル濃度を表面張力計Sigmaで測定を行ったところ、水系媒体の質量に対して0.05質量%であった。
ビーカー内に、ポリエステル樹脂Aを70部、プレポリマーを10質量部及び酢酸エチル100部を入れ、攪拌して溶解させた。離型剤としてパラフィンワックス5部(日本精鑞社製 HNP−9 融点75℃)、MEK−ST(日産化学工業社製)2部、及びマスターバッチ10部を加えて、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/時、ディスクの周速度6m/秒で、粒径0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスした後、前記ケチミン2.7質量部を加えて溶解させ、トナー材料液を調製した。
前記水系媒体150質量部を容器に入れ、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数12,000rpmで攪拌し、これに前記トナー材料液100質量部を添加し、10分間混合して乳化乃至分散液(乳化スラリー)を調製した。
攪拌機及び温度計をセットしたコルベンに、前記乳化スラリー100質量部を仕込み、攪拌周速20m/分で攪拌しながら30℃にて12時間脱溶剤した。
有機溶剤を除去した後、35℃で10時間熟成を行い、分散スラリーを得た。
前記分散スラリー100質量部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過する操作を2回行った。得られた濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液20質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて30分間)した後減圧濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過する操作を2回行った。更に得られた濾過ケーキに10質量%塩酸20質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。
上記洗浄により得られた濾過ケーキに、イオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した際のトナー分散液の電気伝導度を測定し、事前に作成した界面活性剤濃度の検量線より、トナー分散液の界面活性剤濃度を算出した。その値から、界面活性剤濃度が狙いの界面活性剤濃度0.05質量%になるように、イオン交換水を追加し、トナー分散液を得た。
前記所定の界面活性剤濃度に調整されたトナー分散液を、TK式ホモミキサーで5000rpmで混合しながら、ウォーターバスで加熱温度T1=55℃で10時間加熱を行なった。その後トナー分散液を25℃まで冷却し、濾過を行なった。更に得られた濾過ケーキに、イオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。
得られた最終濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体粒子1を得た。
さらに、トナー母体粒子1を100質量部に対して、平均粒径100nmの疎水性シリカ3.0質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン1.0質部と、平均粒径15nmの疎水性シリカ微粉体を1.5質量部とをヘンシェルミキサーにて混合し、[トナー1]を得た。
シリコーン樹脂溶液[固形分20質量%]:237部、アミノシラン[東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、SH6020P、固形分100質量%]:12部、前記メタクリル系共重合体R1の樹脂溶液(固形分24質量%):24部、針状無機粉としてNo.1:140部、触媒としてチタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)TC−750(マツモトファインケミカル社製):25部を、トルエン:1360部で希釈して樹脂溶液を得た。
芯材粒子として前記フェライト粒子を用いて、流動床型コーティング装置に微粒化ノズルAM25S−ISTL(アトマックス社製)を使用して、流動槽内の温度を各65℃に制御して前記樹脂溶液を塗布(液滴径6.0μm)・乾燥した。得られたキャリアを電気炉中にて、250℃/1時間焼成し、キャリアを得た。得られたキャリア(930質量部)、及び前記トナー1(70質量部)を混合して、タービュラーミキサーを用いて81rpmで4分間攪拌し、評価用の現像剤を作製した。
また、補給用現像剤は、トナー濃度が95質量%となるように、前記キャリア及び前記トナーを用いて作製した。
製造方法については前記実施例1同様にし、材料と部数のみを表2に示す材料と部数に変更して同様にキャリアを作製し、現像剤を作製した。
製造方法については前記実施例1同様にし、樹脂溶液は、シリコーン樹脂溶液、メタクリル系共重合体R1の樹脂溶液、及びチタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)TC−750の代わりに、スチレンメチルメタクリレート共重合体(共重合比20:80、平均分子量50,000)の樹脂溶液[固形分20質量%]を515部用いてキャリアを作製し、現像剤を作製した。
針状導電性酸化チタン、アンチモンド−プ酸化スズ被膜、フィラー層4層以上の欄の評価は、以下の評価基準で行った。
○:含む、×:含まない
リコー社製 RICOH Pro C7110S(リコー製デジタルカラー複写機・プリンタ複合機)に実施例及び比較例の現像剤を用いて評価した。
上記所定枚数ランニング後にベタ画像を所定の現像条件(帯電電位(Vd):−600V、画像部(ベタ原稿)にあたる部分の感光後の電位:−100V、現像バイアス:DC −500V)にて作像中に電源をOFFにする等の方法で作像を中断し、転写後の感光体上のキャリア付着の個数を数えて評価を実施した。なお、評価する領域は感光体上の10mm×100mmの領域とした。
Rank Aはキャリア付着の個数が0個である状態、
Rank Bはキャリア付着の個数が1〜3個の状態、
Rank Cはキャリア付着の個数が4〜7個の状態、
Rank Dはキャリア付着の個数が8〜10個の状態、
Rank Eはキャリア付着の個数が11〜15個の状態、
Rank Fはキャリア付着の個数が16個以上の状態となる。
Rank A〜Dを合格とし、Rank E,Fを不合格とした。
ベタキャリア付着評価のベタ画像を感光体上の副走査方向に2ドットライン(100lpi/inch)の画像に変更する以外は同様の条件で実施した。次に、感光体上に現像された2ドットラインを粘着テープ(面積100cm2)で転写し、その個数をカウントしてキャリア付着の評価を行なった。
Rank Aはキャリア付着の個数が0個である状態、
Rank Bはキャリア付着の個数が1〜3個の状態、
Rank Cはキャリア付着の個数が4〜6個の状態、
Rank Dはキャリア付着の個数が7〜8個の状態、
Rank Eはキャリア付着の個数が9〜11個の状態、
Rank Fはキャリア付着の個数が12個以上の状態となる。
Rank A〜Dを合格とし、Rank E,Fを不合格とした。
感光体傷の評価は、感光体表面の表面粗さRaにて評価した。
非接触輪郭形状測定器(三鷹光器社製)を用いて感光体表面粗さを測定した。感光体中心から左右に50mmを測定ピッチ1μmで走査して、算術平均粗さRaを求めた。未使用時の高さを0として、
Rank Aは粗さ変化量が0.2μm未満、
Rank Bは粗さ変化量が0.2μm以上0.4μm未満、
Rank Cは粗さ変化量が0.4μm以上0.6μm未満、
Rank Dは粗さ変化量が0.6μm以上0.8μm未満、
Rank Eは粗さ変化量が0.8μm以上1.0μm未満、
Rank Fは粗さ変化量1.0μm以上の状態となる。
Rank A〜Dを合格とし、Rank E,Fを不合格とした。
また、キャリア抵抗値変化量の測定は以下の方法にて行った。キャリアを抵抗計測平行電極の電極(32a)(32b)間距離2mm、表面積2.5cm×4cmの電極32a、電極32bを収容したフッ素樹脂製容器からなるセル31にキャリア33を投入し(図1参照)、DC1000Vを印加して30sec後の抵抗値をハイレジスト計で計測した。得られた値を体積抵抗率に変換した値を初期抵抗値(R1)とする。次に、ランニング後の現像剤中のトナーをブローオフ装置にて除去し、得たキャリアに対して前記抵抗測定方法と同様の方法で抵抗測定を行い、得られた値を体積抵抗率に変換し、劣化抵抗値とする(R2)。
変化量は、以下の式2により求めた。
|(R1−R2)|/R1×100 ・・・・ 式2
評価基準を以下に示す。
Rank Aは上記変化量が0以上〜3未満、
Rank Bは上記変化量が3以上〜6未満、
Rank Cは上記変化量が6以上〜8未満、
Rank Dは上記変化量が8以上〜10未満、
Rank Eは上記変化量が10以上〜12未満、
Rank Fは上記変化量が12以上の状態となる。
Rank A〜Dを合格とし、Rank E,Fを不合格とした。
11 感光体
12 帯電手段
13 現像手段
14 クリーニング手段
31 セル
32a、32b 電極
33 キャリア
Claims (10)
- 磁性を有する芯材粒子と、その表面を被覆する被覆層とを有する静電潜像現像用キャリアであって、
該被覆層は樹脂と導電性無機粉からなり、該導電性無機粉が針状導電性無機粉を含み、
前記被覆層の平均膜厚をD(μm)、前記針状導電性無機粉の膜厚方向の平均厚さをH(μm)、長軸の平均長さをL(μm)とした時に
0.05≦H/D≦0.30,
0.30≦D≦2.00,
0.6≦L≦3.0
でありかつ、
前記樹脂は、少なくともシリコーン樹脂を含む静電潜像現像用キャリア。 - 前記針状導電性無機粉が酸化チタンであり、被覆層中の含有量が5乃至40面積%である請求項1に記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記酸化チタンがアンチモンドープ酸化スズ被覆層を持つ請求項2に記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記被覆層中での針状導電性無機粉が4層以上充填されている請求項1乃至3のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア及びトナーを有する二成分現像剤。
- 前記トナーは、カラートナーである請求項5に記載の二成分現像剤。
- キャリア及びトナーを含む補給用現像剤であって、キャリア1質量部に対してトナーを2〜50質量部含有し、前記キャリアが請求項1乃至4のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリアである補給用現像剤。
- 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体を帯電させる帯電手段と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、請求項5または6に記載の二成分現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像手段と、該静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、該記録媒体に転写されたトナー像を定着させる定着手段とを有する画像形成装置。
- 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を請求項5または6に記載の二成分現像剤を用いて現像する現像部と、前記静電潜像担持体をクリーニングするクリーニング部材とを有するプロセスカートリッジ。
- 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、請求項5または6に記載の二成分現像剤を用いて現像してトナー像を形成する工程と、該静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する工程と、該記録媒体に転写されたトナー像を定着させる工程とを有する画像形成方法。
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