JP2018204168A - 生分解性長繊維不織布 - Google Patents
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Abstract
【課題】生分解性を有するとともに、高伸度であり、繊維同士の接着が均一であり、成形性に優れる不織布の提供。【解決手段】少なくともポリ乳酸系重合体を含む長繊維から構成される不織布からなる生分解性長繊維不織布であって、該不織布のタテ引裂き強度を目付で除した値が0.013〜0.085N/(g/m2)であり、かつ、二軸延伸装置で延伸し、MD/CD各方向へ長さ2.5倍、面積倍率6.25倍の延伸シートを得、該延伸シートを切り抜いた2.5cm角のマス16枚のそれぞれの不織布について、重量を測定したとき、以下の式:R/Ave{式中、Rは、切り抜いた2.5cm角のマス16枚の不織布の最大重量−最小重量であり、そしてAveは、かかる16枚の不織布の平均重量である。}で定義するR/ave値が、1.0以下であることを特徴とする前記生分解性長繊維不織布。【選択図】なし
Description
本発明は、成形加工特性に優れ、かつ、成形時の延伸が均一な生分解性長繊維不織布に関する。
従来、生分解性不織布からなる成形体は知られており、各種分野に使用され、広く用途が展開されている。成形体は不織布を熱成形することで得られるが、成形深さが深い熱成形において破れが無く、延伸を均一にすることで内容粉末の保持性、通液性が均一な成形体群を得ることは難しい。
以下の特許文献1には、ポリ乳酸系重合体と脂肪族ポリエステル共重合体から成る生分解性長繊維不織布を得る方法が開示されており、該方法では、ポリ乳酸系重合体が海部を脂肪族ポリエステル共重合体が島部を形成する海島型複合長繊維を構成し、島部を形成する脂肪族ポリエステル共重合体を繊維表面に露出させることにより、熱接着性を向上させ、成形性のある不織布を得ているが、熱成形において、延伸を均一にし、内容粉末の保持性及び通液性が均一な成形体群を得るには不十分なものである。
また、以下の特許文献2と3には、ポリ乳酸又はポリブチレンサクシネートからなる生分解性成形用不織布を得る方法が開示されているが、構成繊維同士が部分的に熱圧着されて形成されていることから、繊維同士の結着が強すぎて、熱成形において、破袋せずに成形深さが深い成形体を得ることが難しい。
前記した従来技術の問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、生分解性を有するとともに、高伸度を有し、かつ、成形した際の粉末保持性及び通液性に優れる不織布を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討し実験を重ねた結果、成形前の不織布の特性に注目し、ポリ乳酸系重合体の長繊維から構成され、120℃雰囲気中でMD/CD二軸両方向へ面積倍率6.25倍に延伸した延伸シートの2.5cm角目付に関して、以下に定義するR/Aveの値を1.0以下とすること、及びタテ引裂き強度を目付で除した値を所定範囲にすることによって、熱成形の際に破れが無く、複雑な形状に成形しても延伸が均一になるため、意匠性に優れる成形体を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]少なくともポリ乳酸系重合体を含む長繊維から構成される不織布からなる生分解性長繊維不織布であって、該不織布のタテ引裂き強度を目付で除した値が0.013〜0.085N/(g/m2)であり、かつ、二軸延伸装置で、つかみ間隔8cm、引張速度200mm/分、120℃の温度でMD/CD二軸方向へそれぞれ20cmまで該不織布を同時延伸して、MD/CD各方向へ長さ2.5倍、面積倍率6.25倍の延伸シートを得、該延伸シートの略中心に10cm四方の正方形を描き、その中に2.5cm角×16マスの格子を描き、描いた2.5cm角のマスを16枚切り抜き、切り抜いた2.5cm角のマス16枚のそれぞれの不織布について、重量を測定したとき、以下の式:
R/Ave
{式中、Rは、切り抜いた2.5cm角のマス16枚の不織布の最大重量−最小重量であり、そしてAveは、かかる16枚の不織布の平均重量である。}で定義するR/ave値が、1.0以下であることを特徴とする前記生分解性長繊維不織布。
[2]前記長繊維は、前記ポリ乳酸系重合体に加え、脂肪族エステル共重合体を、全樹脂重量を基準として、5〜15重量%さらに含むものである、前記[1]に記載の生分解性長繊維不織布。
[3]前記長繊維の平均繊維径が1〜40μmであり、かつ、前記生分解性長繊維不織布の目付が20〜300g/m2である、前記[1]又は[2]に記載の生分解性長繊維不織布。
[4]115℃〜160℃の範囲で定長熱セットを行う工程を含む、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の生分解性長繊維不織布の製造方法。
[5]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の生分解長繊維不織布を用いて、以下の式:
成形指数=(成形体の表面積cm2)/(成形前の不織布の面積cm2)
で表される成形指数が1.1〜20である成形体を製造する方法。
[6]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の連続した生分解長繊維不織布から同一成形機で成形した少なくとも10個の成形体の底部同位置から採取した布帛片の目付について、(目付最大値−目付最小値)/目付平均値が0.5以下である、前記[5]に記載の方法。
[1]少なくともポリ乳酸系重合体を含む長繊維から構成される不織布からなる生分解性長繊維不織布であって、該不織布のタテ引裂き強度を目付で除した値が0.013〜0.085N/(g/m2)であり、かつ、二軸延伸装置で、つかみ間隔8cm、引張速度200mm/分、120℃の温度でMD/CD二軸方向へそれぞれ20cmまで該不織布を同時延伸して、MD/CD各方向へ長さ2.5倍、面積倍率6.25倍の延伸シートを得、該延伸シートの略中心に10cm四方の正方形を描き、その中に2.5cm角×16マスの格子を描き、描いた2.5cm角のマスを16枚切り抜き、切り抜いた2.5cm角のマス16枚のそれぞれの不織布について、重量を測定したとき、以下の式:
R/Ave
{式中、Rは、切り抜いた2.5cm角のマス16枚の不織布の最大重量−最小重量であり、そしてAveは、かかる16枚の不織布の平均重量である。}で定義するR/ave値が、1.0以下であることを特徴とする前記生分解性長繊維不織布。
[2]前記長繊維は、前記ポリ乳酸系重合体に加え、脂肪族エステル共重合体を、全樹脂重量を基準として、5〜15重量%さらに含むものである、前記[1]に記載の生分解性長繊維不織布。
[3]前記長繊維の平均繊維径が1〜40μmであり、かつ、前記生分解性長繊維不織布の目付が20〜300g/m2である、前記[1]又は[2]に記載の生分解性長繊維不織布。
[4]115℃〜160℃の範囲で定長熱セットを行う工程を含む、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の生分解性長繊維不織布の製造方法。
[5]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の生分解長繊維不織布を用いて、以下の式:
成形指数=(成形体の表面積cm2)/(成形前の不織布の面積cm2)
で表される成形指数が1.1〜20である成形体を製造する方法。
[6]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の連続した生分解長繊維不織布から同一成形機で成形した少なくとも10個の成形体の底部同位置から採取した布帛片の目付について、(目付最大値−目付最小値)/目付平均値が0.5以下である、前記[5]に記載の方法。
本発明の生分解性長繊維不織布は、熱成形の際に破れが無く、延伸が均一になるため、これを成形することで、粉末の保持性能及び通液性が均一な成形体、例えば、食品容器を得ることができる。
以下、本願発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の生分解性長繊維不織布は、成形加工特性を有し、繊維同士の接着強度を均一にしたことで、均一な延伸・成形特性を発現することができる。従来、成形加工特性を有する生分解性長繊維不織布の製造においては、紡糸直後の糸の特性に着目し、伸度を発現させ、不織布の熱圧着加工等の問題を改善するものであった。これに反し、本実施形態の生分解性長繊維不織布では、成形に用いる生分解性長繊維不織布そのものの特性に着目し、均一な延伸・成形特性を有する不織布を得ている。
本実施形態の生分解性長繊維不織布は、成形加工特性を有し、繊維同士の接着強度を均一にしたことで、均一な延伸・成形特性を発現することができる。従来、成形加工特性を有する生分解性長繊維不織布の製造においては、紡糸直後の糸の特性に着目し、伸度を発現させ、不織布の熱圧着加工等の問題を改善するものであった。これに反し、本実施形態の生分解性長繊維不織布では、成形に用いる生分解性長繊維不織布そのものの特性に着目し、均一な延伸・成形特性を有する不織布を得ている。
[ポリ乳酸系重合体]
本実施形態の生分解性長繊維不織布の長繊維を構成するポリ乳酸系重合体(以下、PLAともいう。)としては、D−乳酸の重合体、L−乳酸の重合体、D−乳酸とL−乳酸との共重合体、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、及びD−乳酸とL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体からなる群から選ばれる重合体、又は該重合体の2種以上のブレンド体が挙げられる。ポリ乳酸重合体のD/L比は、紡糸性、不織布特性を阻害しない範囲で設定できるが、全ポリ乳酸重量中のD体比率は、好ましくは0〜15%、より好ましくは0.1〜10%、さらに好ましくは0.1〜6%である。D体比率がこれらの範囲内であると、紡糸性がよく、安定して不織布を得ることができ、また、融点、結晶性等が適当な範囲となり、所望の特性の不織布を得やすい。
本実施形態の生分解性長繊維不織布の長繊維を構成するポリ乳酸系重合体(以下、PLAともいう。)としては、D−乳酸の重合体、L−乳酸の重合体、D−乳酸とL−乳酸との共重合体、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、及びD−乳酸とL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体からなる群から選ばれる重合体、又は該重合体の2種以上のブレンド体が挙げられる。ポリ乳酸重合体のD/L比は、紡糸性、不織布特性を阻害しない範囲で設定できるが、全ポリ乳酸重量中のD体比率は、好ましくは0〜15%、より好ましくは0.1〜10%、さらに好ましくは0.1〜6%である。D体比率がこれらの範囲内であると、紡糸性がよく、安定して不織布を得ることができ、また、融点、結晶性等が適当な範囲となり、所望の特性の不織布を得やすい。
本実施形態のポリ乳酸系重合体のMFRは、20〜120g/10分であることが好ましく、より好ましくは30〜70g/10分である。MFRが20g/10分以上であれば、溶融粘性が適切であり、紡糸工程において繊維の細化が起こり易いため紡糸性が良好となる。他方、MFRが120g/10分以下であると、溶融粘性が適切なため、紡糸工程において単糸切れが発生することが少なく、紡糸性が良好となる。
本実施形態の生分解性長繊維不織布の長繊維は、ポリ乳酸系重合体に加え、脂肪族エステル共重合体を、全樹脂重量を基準として、5〜15重量%さらに含むものであることができる。脂肪族ポリエステル共重合体の添加量は、樹脂の総量を100重量%としたとき、5〜15重量%であり、好ましくは6.5〜13.5重量%、より好ましくは7.5〜12.5重量%である。添加量が5重量%未満であると、不織布を構成する連続長繊維の配向結晶化が過剰となることで繊維同士の圧着力が弱くなり、成形時の延伸斑が起きる。他方、添加量が15重量%超であると、不織布を構成する連続長繊維の配向結晶化が不足することで繊維同士が過圧着となり、成形時に破断する。
[脂肪族ポリエステル共重合体]
脂肪族ポリエステル共重合体としては、例えば、ポリ(α-ヒドロキシ酸)又はこれらを主たる繰り返し単位要素とする共重合体、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(β-プロピオラクトン)の如きポリ(ω-ヒドロキシアルカノエート)、ポリ-3-ヒドロキシプロピオネート、ポリ-3-ヒドロキシヘプタノエート、ポリ-3-ヒドロキシオクタノエートの如きポリ(β-ポリヒドロキシアルカノエート)、あるいはこれらを構成する繰り返し単位要素とポリ-3-ヒドロキシバリレートやポリ-4-ヒドロキシブチレートを構成する繰り返し単位要素との共重合体が挙げられる。また、グリコールとジカルボン酸との縮重合体からなるポリアルキレンジカルボキシレート、例えば、ポリエチレンオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリブチレンオキサレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリネオペンチルオキサレート、又はこれらを構成する繰り返し単位要素とするポリアルキレンジカルボキシレート共重合体が挙げられる。さらに、これらの生分解性を有する個々の重合体を複数種選択し、これらをブレンドしたものが挙げられる。脂肪族ポリエステル共重合体としては、ポリ乳酸との相溶性、紡糸性の観点から、ポリブチレンサクシネート(以下、PBSともいう。)が好ましい。
脂肪族ポリエステル共重合体としては、例えば、ポリ(α-ヒドロキシ酸)又はこれらを主たる繰り返し単位要素とする共重合体、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(β-プロピオラクトン)の如きポリ(ω-ヒドロキシアルカノエート)、ポリ-3-ヒドロキシプロピオネート、ポリ-3-ヒドロキシヘプタノエート、ポリ-3-ヒドロキシオクタノエートの如きポリ(β-ポリヒドロキシアルカノエート)、あるいはこれらを構成する繰り返し単位要素とポリ-3-ヒドロキシバリレートやポリ-4-ヒドロキシブチレートを構成する繰り返し単位要素との共重合体が挙げられる。また、グリコールとジカルボン酸との縮重合体からなるポリアルキレンジカルボキシレート、例えば、ポリエチレンオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリブチレンオキサレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリネオペンチルオキサレート、又はこれらを構成する繰り返し単位要素とするポリアルキレンジカルボキシレート共重合体が挙げられる。さらに、これらの生分解性を有する個々の重合体を複数種選択し、これらをブレンドしたものが挙げられる。脂肪族ポリエステル共重合体としては、ポリ乳酸との相溶性、紡糸性の観点から、ポリブチレンサクシネート(以下、PBSともいう。)が好ましい。
脂肪族エステル共重合体のMFRは、紡糸工程の延伸性が良好となる100g/10分以下であることが好ましく、より好ましくは20〜80g/10分、さらに好ましくは30〜70g/10分である。また、ポリ乳酸系重合体と脂肪族ポリエステル共重合体との溶融流量比は、0.2〜1.5の範囲であることが必要である。すなわち、0.2≦[脂肪族ポリエステル共重合体の溶融流量/ポリ乳酸系重合体の溶融流量]≦1.5であり、好ましくは0.3〜1.4である。溶融流量比がこれらの範囲内であると紡糸性が良好であり、かつ、脂肪族ポリエステル共重合体の分散性が良好となるために安定した熱接着性が得られる。
本実施形態の生分解性長繊維不織布は、温度120℃中でMD/CD二軸両方向へ同時に、面積倍率6.25倍に延伸した延伸シートの2.5cm角目付に関して、R/Aveの値が1.0以下であることを特徴とする。本実施形態の生分解性長繊維不織布は、120℃雰囲気中でMD/CDの二軸両方向へ同時に、面積倍率6.25倍に延伸した延伸シートの2.5cm角目付に関して、R/Aveの値が1.0以下であり、好ましくは0.7以下である。R/Aveの値が1.0以下であれば、不織布を成形した際の延伸が均一になり、内容粉末の保持性、及び通液性も均一になる。尚、MD方向とは、不織布の製造における機械方向、CD方向とは、機械方向と直交する幅方向をいう。
MD/CD二軸延伸シートのR/Aveを範囲内にする具体的な方法としては、例えば、生分解性長繊維不織布の樹脂種類、樹脂の混合比率、紡糸時の樹脂温度、吐出量、速度、雰囲気温度、冷却等の紡糸条件、仮圧着や熱圧着時のロール温度、圧力、速度、エージング等の条件、保管条件等を調整することによるものであることができる。具体的に、例えば、紡糸速度を遅く、雰囲気温度を高く、冷却条件を低くし、高温で熱圧着を行うこと、仮圧着を行った不織布ウェブを十分に高い温度で定長熱セットすること、等によりMD/CD二軸延伸シートのR/Aveがより小さくなるような不織布を得ることができる。
本実施形態の生分解性長繊維不織布は、成形加工の際、加熱時伸長性を有することが必要である。そこで、例えば、不織布は低延伸糸からなり、繊維が加熱時に伸びるか、又は不織布の構成繊維がズレを起こすことが必要である。従って、本実施形態の生分解性長繊維不織布の加熱時伸長性は、温度120℃においてMD/CD二軸方向に同時延伸した際の破断伸度が2.5倍以上、好ましくは2.7〜6倍、より好ましくは3〜4.5倍である。伸度が範囲内であれば、成形性が良好であり、伸度が大きいほど、成形深さの深い深絞り成形をした際の延伸が均一な不織布を得ることができる。但し、ここで言う破断伸度とは、12.5cm角に試料を切り取り、恒温槽付きの二軸延伸装置で1分間予熱した後に、つかみ間隔8cm、引張速度200mm/分、120℃の温度でMD/CD二軸方向へ同時延伸した際の応力/ひずみ曲線において、応力が最大となった時の伸度のことをいう。
120℃における伸度を所定範囲内にする具体的な方法としては、例えば、生分解性長繊維不織布の樹脂種類、樹脂の混合比率、紡糸時の樹脂温度、吐出量、速度、雰囲気温度、冷却等の紡糸条件、仮圧着や熱圧着時のロール温度、圧力、速度、エージング等の条件、保管条件等で調整することよるものであることができる。具体的に、例えば、紡糸時の紡糸速度を高くしすぎず、高すぎない温度で熱圧着を行うこと、紡糸時の雰囲気温度を低くしすぎない状態で不織布ウェブを得て熱圧着を行うこと等によって、不織布に適度な接着点を持たせつつ高い伸度を有する不織布を得ることができる。
本実施形態の生分解性不織布は、タテ引裂き強度を目付で除した値が好ましくは0.013〜0.085N/(g/m2)であり、より好ましくは0.02〜0.07N/(g/m2)である。タテ引裂き強度は、繊維の強伸度と繊維同士の接着強度と大きく相関する。タテ引裂き強度が小さすぎる場合、繊維の強度が小さいか、繊維同士の接着が強すぎることがある。他方、タテ引裂き強度が大きすぎる場合、繊維の強伸度が大きいか、繊維同士の接着が弱すぎることがある。尚、タテ方向とは、MD方向、ヨコ方向とは、CD方向を指す。引裂き強度に影響する繊維の強度や繊維同士の接着力は、紡糸速度や樹脂温度等の紡糸条件、エンボス加工、カレンダー加工等、熱圧着加工時の加工温度、加工速度、エージング条件等により、適切な範囲とすることができる。
タテ引裂き強度を目付で除した値が大きすぎない場合、生分解性長繊維不織布を構成する繊維同士が適度に接着されており、成形後も繊維同士が適度に接着性を有するので、成形時に繊維同士が外れず、布が均一に延伸される。また、成形後も繊維同士が適度に接着性を有する成形体の繊維が浮きにくく、毛羽が立ちにくく、意匠性の高い成形体を得られる。さらに、タテ引裂き強度を目付で除した値が大きすぎない場合、適度な剛性を有し、工程張力下でも適度な張りを有し、不織布を工程に通すことが容易となり好適である。他方、タテ引裂き強度を目付で除した値が低すぎない場合、繊維同士が適度に接着しており、繊維強度も低すぎず、生分解性長繊維不織布が適度な伸度及び強度を有し、成形性が良好となる。
また、ヨコ引裂き強度についても、生分解性長繊維不織布を構成する繊維同士が適度に接着されている範囲で設定すること、タテ引裂き強度とともに、適度な剛性を有し、不織布を工程に通すことができる範囲で設定することが好ましい。
また、ヨコ引裂き強度についても、生分解性長繊維不織布を構成する繊維同士が適度に接着されている範囲で設定すること、タテ引裂き強度とともに、適度な剛性を有し、不織布を工程に通すことができる範囲で設定することが好ましい。
本実施形態の生分解性長繊維不織布を構成する長繊維の紡糸直後の複屈折率は、好ましくは0.0020〜0.0055であり、より好ましくは0.0025〜0.0050であり、さらに好ましくは0.0030〜0.0045である。複屈折率が高すぎない場合、繊維同士が十分に接着された生分解性長繊維不織布を得ることができ、複屈折率が低すぎない場合、熱環境下での安定性を有し、繊維同士が過圧着とならないために、成形時に破断しない生分解性長繊維不織布を得ることができる。
本実施形態の生分解性長繊維不織布(不織布からサンプリングした生分解性長繊維不織布を構成する長繊維)の結晶化度は、好ましくは30〜70%、より好ましくは35〜62%、さらに好ましくは38〜57%である。結晶化度が低すぎない場合、成形加工時に成形型から布が外れた際に収縮して成形体の形が歪にならず、他方、結晶化度が高すぎない場合、成形加工時に破袋せずに加工できる。
本実施形態の不織布の目付は、20〜300g/m2であり、好ましくは20〜250g/m2である。目付が20g/m2以上であれば、強度が十分となり、他方、300g/m2以下であれば、成形加工時に成形加工設備に大きな負担をかけずに加工できる。また、成型後にコーヒーフィルターとして使用する場合であれば、目付は80〜200g/m2の範囲がより好ましい。
本実施形態の不織布の厚みは、0.07〜0.65mmである。厚みが0.07mm以
上であれば、強度が十分となり、他方、0.65mm以下であれば、成形加工時に成形加
工設備に大きな負担をかけずに加工できる。また、成型後にコーヒーフィルターとして使
用する場合であれば、厚みは0.20〜0.50mmの範囲がより好ましい。
上であれば、強度が十分となり、他方、0.65mm以下であれば、成形加工時に成形加
工設備に大きな負担をかけずに加工できる。また、成型後にコーヒーフィルターとして使
用する場合であれば、厚みは0.20〜0.50mmの範囲がより好ましい。
本実施形態の生分解性長繊維不織布(不織布からサンプリングした生分解性長繊維不織布を構成する長繊維)の平均繊維径は、1〜40μmであることが好ましく、より好ましくは10〜40μm、さらに好ましくは15〜35μmである。目付と平均繊維径によって、通液性と内容物保持性を適宜選定でき、平均繊維径が小さすぎない場合、容器として内容物を保持することができ(粉漏れ性が良好であり)、平均繊維径が大きすぎない場合、通液速度が遅すぎない。
本実施形態の生分解性長繊維不織布を構成する長繊維の形状は、特に限定しないが、丸型、扁平型、C型、Y型、V型などの異形断面などが用いられ、好ましくは丸型断面であり、さらに、海島構造や芯鞘構造、割繊構造であってもよい。
本実施形態の生分解性長繊維不織布の形状としては、例えば、SS、SMS、SMMS、SMSMなどの多層積層不織布の内の一層であってもよい。ここで、Sは、スパンボンド法の長繊維不織布、Mは、メルトブロー法の極細不織布を意味する。また、生分解性長繊維不織布を基材として、短繊維不織布層を積層してもよい。
本実施形態の生分解性長繊維不織布は、公知のスパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ法、サーマルボンド法、エアーレイ法、柱状流交絡、機械交絡などで得られる。不織布の強度の観点から、スパンボンド法で得られる長繊維不織布であることが好ましい。
本実施形態の生分解性長繊維不織布を構成する長繊維は、少なくともポリ乳酸系重合体を含み、好ましくは、脂肪族ポリエステル共重合体をさらに含む低延伸複合繊維であることができる。ポリ乳酸系重合体繊維と脂肪族ポリエステル共重合体との低延伸複合繊維は、紡糸工程の結晶配向度が低く押さえられており、結晶化度が低く、延伸性が良好であり、高伸度、高延伸が可能である。紡糸速度500〜3000m/分の低紡糸速度で得られた繊維が好ましく用いられ、より好ましくは紡糸速度700〜2700m/分、さらに好ましくは900〜2500m/分が用いられる。一般に、紡糸速度が速い場合、紡糸直後の糸は、結晶性、配向性が高いものとなり、紡糸速度が遅い場合、結晶性が低く、配向性が低いものとなる。
本実施形態の生分解性長繊維不織布を構成する長繊維の製造においては、目的に応じて、不織布を構成する繊維に、他の樹脂、脂肪族ポリエステル共重合体以外の共重合体、難燃剤、無機充填剤、柔軟剤、可塑剤、顔料、耐電防止剤などを、さらに1種又は2種以上添加してもよい。
本実施形態の生分解性長繊維不織布の製造における熱圧着は、エンボス加工を行ってもよいが、熱延伸性を大きくし易いため、仮熱圧着をした不織布ウェッブの繊維の表面で点接着により一体化されていることが好ましい。仮熱圧着の方法に特に制限はされないが、好ましくは、少なくとも一方の表面に凹凸模様を有する一対のエンボスロールを用いる方法、表面が平坦な一対のフラットロールを用いる方法等が挙げられ、また、ニードルパンチ法やスパンレース法等、不織布を接合させる方法を用いることもできる。
点接着により一体化された不織布を得る場合、2段階で仮熱圧着と熱接着を行うことにより、生分解長繊維不織布における繊維結合は、軽度な熱接着に留まり、繊維表面での点状接着が主体となり、仮熱圧着でエンボス柄が付いたとしても、2段階目の面的に抑制された熱接着により、エンボス柄の周辺でミクロに熱収縮が発現し、エンボス柄がはずれるか又は弱くなるとともに、生分解性長繊維不織布全体の目付けムラが軽減される。仮圧着におけるエンボス加工と熱圧着を組みわせる場合、エンボス加工による圧着は、熱延伸時に応力が集中しすぎないため、強すぎないことが好ましい。エンボス加工における圧着面積比率は、特に制限されないが、高頻度で弱い接着であることが好ましい。圧着面積比率は、不織布全面積に対して3〜50%が好ましく、より好ましくは5〜40%である。
2段階目の熱接着は、不織布を面的に抑制する熱接着方法であれば、特に制限されないが、好ましくはフェルトカレンダー加工、エアスルー加工を用いる。
また、長繊維不織布の熱接着に用いられる一般的な加工方法としてのエンボス加工を行った場合、繊維同士が、熱圧着で強固に圧着されているため、圧着部では、繊維形状は維持されておらず、繊維は潰された形状であり、繊維同士が互いに融着してフィルム状を呈し、エンボス柄を形成している状態である。結晶化が進み過ぎ、フィルム化した部分を含む不織布を熱環境下で延伸しようとした場合は、高い伸度が出にくい場合がある。また、エンボス加工によって作製された長繊維不織布を用いた成形体においては、フィルム化した部分を含むため、通液性が必要な用途において通液性が悪くなり、不都合となる場合がある。
また、長繊維不織布の熱接着に用いられる一般的な加工方法としてのエンボス加工を行った場合、繊維同士が、熱圧着で強固に圧着されているため、圧着部では、繊維形状は維持されておらず、繊維は潰された形状であり、繊維同士が互いに融着してフィルム状を呈し、エンボス柄を形成している状態である。結晶化が進み過ぎ、フィルム化した部分を含む不織布を熱環境下で延伸しようとした場合は、高い伸度が出にくい場合がある。また、エンボス加工によって作製された長繊維不織布を用いた成形体においては、フィルム化した部分を含むため、通液性が必要な用途において通液性が悪くなり、不都合となる場合がある。
本実施形態の生分解性長繊維不織布を仮接着する場合においては、まず、少なくとも一方の表面に凹凸模様を有する一対のエンボスロールを用いて、ロール温度45〜100℃、好ましくは45〜60℃の温度にて線圧50〜1000N/cm、好ましくは200〜700N/cmの下で熱接着することにより仮熱圧着された生分解性長繊維不織布を得る。次いで、仮熱圧着された生分解性長繊維不織布を、フェルトカレンダーロールを用いて、ロール温度115〜160℃、好ましくは130〜140℃の温度にて熱接着することにより、繊維同士の交絡点において繊維の表面が溶融して、互いに点状で接着し、その接着部の存在する頻度を大きくすることができる。さらに、この点状の接着は、通常の熱接着と比べて、弱い接合であるため、小さな応力で、均一に延伸加工ができるので、大きな延伸を伴う熱成形に適する。仮熱圧着、及び熱圧着工程において、ロール温度が高すぎると繊維同士の接着が強すぎて伸度が低下し、成形時に破袋しやすくなる。他方、ロール温度が低すぎると繊維同士の接着が弱くなり、成形の際に繊維同士が外れて布が不均一に延伸される。
本実施形態の生分解性長繊維不織布を得る方法としては、定長熱セットを行うことが好ましい。本実施形態の紡糸直後の不織布ウェブは、熱圧着の際、張力を加えた状態で熱を加えることで、不織布の表面性が良く、熱伸長性のある不織布を得て、成形加工時も破れにくくなり、形がきれいな成形体を得るために好ましい。定長熱セットを行う方法としては、一般的な方法を用いてよく、熱風乾燥、ピンテンター乾燥、熱板、カレンダー加工、フェルトカレンダー加工、エアスルー加工、熱プレス等を用いてよい。定長熱セットを行う温度範囲としては、好ましくは115℃〜160℃、より好ましくは120℃〜150℃、さらに好ましくは130℃〜140℃である。定長熱セットの温度が高すぎない場合、装置に不織布由来の汚れが付きにくく、取扱い性、生産性良く不織布を得ることができる。他方、定長熱セットの温度が低すぎない場合、上記の通り不織布の表面性が良く熱伸長性のある不織布を得ることができ、成形加工時も破れにくくなり、形がきれいな成形体を得るために好ましい。
従来、熱成形性を有する不織布としては、紡糸直後の繊維の結晶化度、配向度を低くすることで熱時伸度を得ていた。しかしながら、紡糸直後の繊維の結晶化度、配向度を低い状態とすることは、熱に対する不安定性を残した状態であり、不織布を形成する際、熱圧着の状態を適切にすることが難しかった。例えば、エンボスによる熱圧着を行った場合、エンボス部では結晶部分が多い状態となり、他方、非エンボス部では非結晶部が多い状態となり、熱成形時、エンボス部と非エンボスの境界部やエンボス部が破壊されやすく、熱成形時に破れず、形のきれいな成形体を得ることが難しいことがあった。また、結晶化度、配向度を低く設定する方法としては、紡糸条件を調整することも行われるが、紡糸速度を低くし繊維に延伸がかからないようにした場合、結晶化度、配向度が低い不織布ウェブとなるが、結晶化度、配向度が低い状態で熱圧着を行うと、結晶化が進み過ぎて、成形性に優れる不織布を得ることができないことがあった。したがって、本実施形態においては、不安定な不織布の状態での加工をより安定化させるために、熱圧着、フェルトカレンダー加工、エアスルー加工、エージング、等を行うことが好ましい。
従来から、熱成形性を得るための方法としては、特許文献1〜3や特公平01−047581号公報に記載されるように、紡糸時に配向結晶を抑える必要あり、紡速を遅くし、非結晶部を多くもつ構造とすることが行われてきた。しかしながら、非結晶部を多くもつ不織布は、熱の影響を受けやすい状態であり、熱環境下で寸法安定性のないことが多かった。ここで、ポリ乳酸の樹脂特性をポリエステルと比較して考えると、ポリ乳酸は、融点が低く、融点とガラス転移温度との差が小さく、結晶化時間が遅いため、熱成形時に、十分な時間・熱をかける必要がある。しかしながら、不織布の熱安定性を高めるため、エンボス加工等を行おうとすると、収縮を起こし不織布を作製することが難しい状態にあった。それゆえ、寸法安定性のある本実施形態の生分解性長繊維不織布は、張力のある状態で熱を加えることができる定長熱セットを行うことが好ましい。
本実施形態の生分解性長繊維不織布は、熱成形で一体加工して、成形体とすることができる。成形体の形状について特に制限はなく、半円形、円柱形、楕円、三角形、四角形など使用目的に応じて選択することが好ましい。成形に使う元の不織布の面積に対し、より容量の大きな成形体を得たい場合、成形前後の不織布の表面積の増加がより大きくなるような成形金型を適宜選定すればよい。
本実施形態の生分解性長繊維不織布の成形の程度は、成形指数で表す。成形指数とは、成形体の表面積を、成形体に用いられた成形前の平面状の不織布の面積(容器形状の場合は開口部面積)で割って求められる次式:
成形指数=(成形体の表面積cm2)/(成形前の不織布の面積cm2)
で定義される値である。
本実施形態の生分解性長繊維不織布から構成される成形体の成形指数は、好ましくは1.1〜20、より好ましくは1.5〜10、さらに好ましくは2.5〜6である。成形指数が大きい場合、不織布が大きく伸ばされていることを示す。他方、成形指数が小さい場合、不織布の伸びが少ないことを示す。実施形態の生分解性長繊維不織布は、不織布が高伸度を有し、かつ、繊維同士の接着が十分に強いため、高伸度成形指数の大きな成形品を作製した際にも布が均一に延伸されるため、内容粉末の保持性、及び通液性が適切になる。成形指数が大きすぎない場合、破袋することなく成形でき、成形指数が小さすぎない場合、容器に内容物を充填する際に適度な大きさを有することができる。
成形指数=(成形体の表面積cm2)/(成形前の不織布の面積cm2)
で定義される値である。
本実施形態の生分解性長繊維不織布から構成される成形体の成形指数は、好ましくは1.1〜20、より好ましくは1.5〜10、さらに好ましくは2.5〜6である。成形指数が大きい場合、不織布が大きく伸ばされていることを示す。他方、成形指数が小さい場合、不織布の伸びが少ないことを示す。実施形態の生分解性長繊維不織布は、不織布が高伸度を有し、かつ、繊維同士の接着が十分に強いため、高伸度成形指数の大きな成形品を作製した際にも布が均一に延伸されるため、内容粉末の保持性、及び通液性が適切になる。成形指数が大きすぎない場合、破袋することなく成形でき、成形指数が小さすぎない場合、容器に内容物を充填する際に適度な大きさを有することができる。
本実施形態の生分解性長繊維不織布から構成された成形体は、均一に延伸されていることを特徴とする。本実施形態の生分解性長繊維不織布から構成された成形体では、連続した不織布から同一成形機で、成型指数1.1〜20倍として成形された成形体であれば、少なくとも10個以上の成形体の底部同位置から採取した布帛片の目付のR/Ave(目付最大値−目付最小値)/目付平均値が0.5以下となることができる。
熱成形において、ポリ乳酸の樹脂特性の観点から、ポリエステル樹脂と比較して考えると、ポリエステル樹脂は、融点が高く、融点とガラス転移温度との差が大きく、結晶化速度が速いため、成形時の金型温度を高くし成形体を得ることができるが、ポリ乳酸は、融点が低く、融点とガラス転移温度との差が小さく、結晶化速度が遅いため、成形用不織布に十分熱を与えにくく、成形温度を高くできないことがある。よって、本実施形態の生分解性長繊維不織布は、成形前の不織布の形状をかためるために、定長熱セットすることが好ましい。
尚、ポリ乳酸とポリエステルの一般的な樹脂特性は以下の通りである。ポリ乳酸、ポリエステルの順に、融点:170℃、260℃、再結晶化温度:70℃、120℃、ガラス転移温度55〜60℃、70〜80℃、比熱:1.38J/g・K、1.00〜1.15J/g・K、熱伝導率0.13W/m・K、0.2〜0.33W/m・K、半結晶化時間:500〜900秒、50〜100秒。
尚、ポリ乳酸とポリエステルの一般的な樹脂特性は以下の通りである。ポリ乳酸、ポリエステルの順に、融点:170℃、260℃、再結晶化温度:70℃、120℃、ガラス転移温度55〜60℃、70〜80℃、比熱:1.38J/g・K、1.00〜1.15J/g・K、熱伝導率0.13W/m・K、0.2〜0.33W/m・K、半結晶化時間:500〜900秒、50〜100秒。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
まず、測定法、評価法等を説明する。
(1)平均繊維径(μm)
繊維ウェブ、不織布等の試料の両端部5cmを除いて、布帛の幅10cm毎の区域からそれぞれ適当な本数の繊維を採取し、マイクロスコープで繊維の直径を各30点測定して、該測定値の平均値を算出した。
まず、測定法、評価法等を説明する。
(1)平均繊維径(μm)
繊維ウェブ、不織布等の試料の両端部5cmを除いて、布帛の幅10cm毎の区域からそれぞれ適当な本数の繊維を採取し、マイクロスコープで繊維の直径を各30点測定して、該測定値の平均値を算出した。
(2)目付(g/m2)
JIS L−1913に従って、総面積が1500cm2(例えば、幅20cmx長さ25cm 3枚)となるように試料を切り取り、単位当たりの質量に換算して求めた。
JIS L−1913に従って、総面積が1500cm2(例えば、幅20cmx長さ25cm 3枚)となるように試料を切り取り、単位当たりの質量に換算して求めた。
(3)厚み(mm)
Mitutoyo社製のデジタル厚み計を用いて、不織布の両端部5cmを除いた任意の箇所を30点測定して、該測定値の平均値を算出した。
Mitutoyo社製のデジタル厚み計を用いて、不織布の両端部5cmを除いた任意の箇所を30点測定して、該測定値の平均値を算出した。
(4)複屈折率(Δn)
OLYMPUS社製のBX53を使用して、干渉縞法によって繊維の側面から観察した平均屈折率の分布を測定することができる。この方法は円形断面を有する繊維に適用できる。繊維の屈折率は繊維軸に対して平行な電場ベクトルを持つ偏光に対する屈折率n||と、繊維軸に対し垂直な電場ベクトルを持つ偏光に対する屈折率n⊥によって特徴づけられ、複屈折率は、Δn=(n||−n⊥)で表わされる。
繊維に偏光を照射すると、互いに直角に振動する2つの偏光に分かれる。繊維は軸の方向によって屈折率が異なるため2つの光の進む距離に差が生じる。これがレタデーションrであり、繊維断面の直径をd0とするとき、上記複屈折率と、次式:
レタデーションr=d0(n||−n⊥)=d0Δn
の関係がある。
光学的にフラットなスライドガラス及びカバーガラスを使用し、試料から採取した繊維を、繊維に不活性な封入剤中に浸漬する。測定部で繊維同士が重なりあわない繊維部分を、その繊維軸が偏光顕微鏡の光軸及び干渉縞に対して垂直となるようにする。この干渉縞のパターンを測定し、レタデーションrを求め、繊維の複屈折率を測定し、10点の平均値を測定した。
OLYMPUS社製のBX53を使用して、干渉縞法によって繊維の側面から観察した平均屈折率の分布を測定することができる。この方法は円形断面を有する繊維に適用できる。繊維の屈折率は繊維軸に対して平行な電場ベクトルを持つ偏光に対する屈折率n||と、繊維軸に対し垂直な電場ベクトルを持つ偏光に対する屈折率n⊥によって特徴づけられ、複屈折率は、Δn=(n||−n⊥)で表わされる。
繊維に偏光を照射すると、互いに直角に振動する2つの偏光に分かれる。繊維は軸の方向によって屈折率が異なるため2つの光の進む距離に差が生じる。これがレタデーションrであり、繊維断面の直径をd0とするとき、上記複屈折率と、次式:
レタデーションr=d0(n||−n⊥)=d0Δn
の関係がある。
光学的にフラットなスライドガラス及びカバーガラスを使用し、試料から採取した繊維を、繊維に不活性な封入剤中に浸漬する。測定部で繊維同士が重なりあわない繊維部分を、その繊維軸が偏光顕微鏡の光軸及び干渉縞に対して垂直となるようにする。この干渉縞のパターンを測定し、レタデーションrを求め、繊維の複屈折率を測定し、10点の平均値を測定した。
(5)二軸延伸シートの2.5cm角目付分布のR/Ave値
12.5cm角に試料を切り取り、二軸延伸装置で、つかみ間隔8cm、引張速度200mm/分、120℃の温度でMD/CD二軸方向へ20cmまで同時延伸して延伸シートを作製した。この時の延伸倍率はMD/CD各方向へ長さ2.5倍、面積倍率で6.25倍となる。尚、恒温槽内に試料を設置1分経過後、チャンバー温度が120℃になっていることを確認して延伸を開始した。
作製した延伸シートの中心に10cm四方の正方形を描き、その中に2.5cm角×16マスの格子を描いた。描いた2.5cm角のマスを16枚切り抜き、重量測定した。
R/Aveの値は次式:
R(16枚の重量の最大値-最小値)/Ave(16枚の重量の平均値)
で定義される。
12.5cm角に試料を切り取り、二軸延伸装置で、つかみ間隔8cm、引張速度200mm/分、120℃の温度でMD/CD二軸方向へ20cmまで同時延伸して延伸シートを作製した。この時の延伸倍率はMD/CD各方向へ長さ2.5倍、面積倍率で6.25倍となる。尚、恒温槽内に試料を設置1分経過後、チャンバー温度が120℃になっていることを確認して延伸を開始した。
作製した延伸シートの中心に10cm四方の正方形を描き、その中に2.5cm角×16マスの格子を描いた。描いた2.5cm角のマスを16枚切り抜き、重量測定した。
R/Aveの値は次式:
R(16枚の重量の最大値-最小値)/Ave(16枚の重量の平均値)
で定義される。
(6)タテ引裂き強度を目付で除した値(N/(g/m2))
試料の両端5cmを除き、幅10cm、長さ6.5cm試料を3枚切り出し、エルメンドルフ形引裂度試験機を用いて、タテ引裂き強度(N)を測定し、平均値を求めた。これを目付で除して算出した。
試料の両端5cmを除き、幅10cm、長さ6.5cm試料を3枚切り出し、エルメンドルフ形引裂度試験機を用いて、タテ引裂き強度(N)を測定し、平均値を求めた。これを目付で除して算出した。
(7)コーヒー粉漏れ試験
実施例・比較例中の目付80〜200g/m2の範囲の試料に関して、以下の要領で成形体を作製した後、コーヒー粉漏試験を実施した。
(成形体の作製)
目付80〜200g/m2の試料を10cm角の正方形に切り出して成形機にセットし、熱風温度100℃で予熱して、120℃の円筒成形金型(直径4.4cm、高さ1.3cm及び3.2cm)を用いて2秒間でプレス成形することで成形体を作製した。
(コーヒー抽出時の粉漏れ試験)
上記で作製した成形体に市販のコーヒー粉(平均粒径180μm)を11g入れ、キューリグ社製コーヒーサーバー(ネオトレビエBS200)で湯量170mlに設定し、コーヒー液を抽出した。抽出したコーヒー液を、ろ紙を用いてろ過し、ろ紙に残留したコーヒー粉の重量を測定し、下記の評価基準で合否を判定した。
〇(合):残留コーヒー粉が0.3g未満
×(否):残留コーヒー粉が0.3g以上
実施例・比較例中の目付80〜200g/m2の範囲の試料に関して、以下の要領で成形体を作製した後、コーヒー粉漏試験を実施した。
(成形体の作製)
目付80〜200g/m2の試料を10cm角の正方形に切り出して成形機にセットし、熱風温度100℃で予熱して、120℃の円筒成形金型(直径4.4cm、高さ1.3cm及び3.2cm)を用いて2秒間でプレス成形することで成形体を作製した。
(コーヒー抽出時の粉漏れ試験)
上記で作製した成形体に市販のコーヒー粉(平均粒径180μm)を11g入れ、キューリグ社製コーヒーサーバー(ネオトレビエBS200)で湯量170mlに設定し、コーヒー液を抽出した。抽出したコーヒー液を、ろ紙を用いてろ過し、ろ紙に残留したコーヒー粉の重量を測定し、下記の評価基準で合否を判定した。
〇(合):残留コーヒー粉が0.3g未満
×(否):残留コーヒー粉が0.3g以上
(8)コンポスト処理試験
コンポスト処理試験機を用いて、60℃の一定環境下で4週間後の試料片の状態を目視で観察し、下記の評価基準で生分解性の合否を判定した:
○(合):試料片が小片化した。
×(否):試料の外観変化が見られなかった。
コンポスト処理試験機を用いて、60℃の一定環境下で4週間後の試料片の状態を目視で観察し、下記の評価基準で生分解性の合否を判定した:
○(合):試料片が小片化した。
×(否):試料の外観変化が見られなかった。
(9)成形したポッド10個の底面から打ち抜いた直径2cm円の目付のR/Ave値
前記(7)コーヒー粉漏れ試験(成形体の作製)と同様の方法で円筒形状の成形体を10個作製した後、成形体の円筒形状底面から直径2cmの円状に布帛を打ち抜き、各成形体試料(布帛片)について重量を測定した。
R/Aveは次式:
R/Ave=R(10個の試料の目付の最大値−最小値の値)/Ave(10個の試料の目付の平均値)
で定義される値である。
前記(7)コーヒー粉漏れ試験(成形体の作製)と同様の方法で円筒形状の成形体を10個作製した後、成形体の円筒形状底面から直径2cmの円状に布帛を打ち抜き、各成形体試料(布帛片)について重量を測定した。
R/Aveは次式:
R/Ave=R(10個の試料の目付の最大値−最小値の値)/Ave(10個の試料の目付の平均値)
で定義される値である。
〔実施例1〕
温度230℃でMFR値が44g/10分のポリ乳酸に、ポリブチレンサクシネート(融点110℃)を10重量%添加し、スパンボンド法により、吐出量0.9g/分・Hole、紡糸温度220℃、紡速1150m/分で、フィラメント群を移動捕集面に向けて押し出し、生分解性長繊維ウェブ(円形断面)を調製した。次いで、一方の表面に凹凸模様を有する一対のエンボスロールを用いて、仮圧着を行った。用いたエンボスロールは、圧着面積比率が14%であり、上・下ロール温度45℃の条件下でロール線圧300N/cmで仮圧着(ボンディング)した。次いで、この仮圧着ウェブを、30℃で保管後72時間後、フェルトカレンダー(ドラム直径2,500mm、温度135℃、加工速度10m/分)で熱処理を行い、生分解性長繊維不織布を得た(目付150g/m2、繊維径28μm)。
温度230℃でMFR値が44g/10分のポリ乳酸に、ポリブチレンサクシネート(融点110℃)を10重量%添加し、スパンボンド法により、吐出量0.9g/分・Hole、紡糸温度220℃、紡速1150m/分で、フィラメント群を移動捕集面に向けて押し出し、生分解性長繊維ウェブ(円形断面)を調製した。次いで、一方の表面に凹凸模様を有する一対のエンボスロールを用いて、仮圧着を行った。用いたエンボスロールは、圧着面積比率が14%であり、上・下ロール温度45℃の条件下でロール線圧300N/cmで仮圧着(ボンディング)した。次いで、この仮圧着ウェブを、30℃で保管後72時間後、フェルトカレンダー(ドラム直径2,500mm、温度135℃、加工速度10m/分)で熱処理を行い、生分解性長繊維不織布を得た(目付150g/m2、繊維径28μm)。
〔実施例2、3、4〕
不織布の目付を100g/m2、50g/m2、250g/m2とした他は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。
不織布の目付を100g/m2、50g/m2、250g/m2とした他は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。
〔実施例5、6〕
ポリブチレンサクシネートの添加比率を、それぞれ、12.5%、7.5%とした他は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。
ポリブチレンサクシネートの添加比率を、それぞれ、12.5%、7.5%とした他は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。
〔実施例7〕
仮圧着に用いるエンボスロールの温度を60℃とした他は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。
仮圧着に用いるエンボスロールの温度を60℃とした他は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。
〔実施例8〕
吐出量を0.4g/分・Hole、紡速を900m/分、繊維径を21μmとした他は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。
吐出量を0.4g/分・Hole、紡速を900m/分、繊維径を21μmとした他は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。
〔実施例9、10〕
フェルトカレンダー温度を125℃、115℃とした他は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。
フェルトカレンダー温度を125℃、115℃とした他は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。
〔実施例11〕
紡速を850m/分、繊維径を33μm、フェルトカレンダー温度を115℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。
紡速を850m/分、繊維径を33μm、フェルトカレンダー温度を115℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。
〔実施例12、13〕
紡速を950m/分、1250m/分、繊維径を30μm、26μmとした他は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。
紡速を950m/分、1250m/分、繊維径を30μm、26μmとした他は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。
〔比較例1〕
ポリブチレンサクシネートの添加比率を、2.5%としたこと以外は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。タテ引裂き強力が高く、二軸延伸シートの目付ムラが大きくなり、コーヒー粉漏れ試験の残留コーヒー粉が0.3g以上となった。また、成型時の延伸が不均一になり、成形したポッド10個の底面から打ち抜いた目付のR/Ave値が0.5超となった。
ポリブチレンサクシネートの添加比率を、2.5%としたこと以外は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。タテ引裂き強力が高く、二軸延伸シートの目付ムラが大きくなり、コーヒー粉漏れ試験の残留コーヒー粉が0.3g以上となった。また、成型時の延伸が不均一になり、成形したポッド10個の底面から打ち抜いた目付のR/Ave値が0.5超となった。
〔比較例2〕
仮圧着に用いるエンボスロールの温度を40℃とした他は、実施例1と同様にして生分解性長繊維不織布を製造した。タテ引裂き強力が高く、二軸延伸シートの目付ムラが大きくなり、コーヒー粉漏れ試験の残留コーヒー粉が0.3g以上となった。また、成型時の延伸が不均一になり、成形したポッド10個の底面から打ち抜いた目付のR/Ave値が0.5超となった。
仮圧着に用いるエンボスロールの温度を40℃とした他は、実施例1と同様にして生分解性長繊維不織布を製造した。タテ引裂き強力が高く、二軸延伸シートの目付ムラが大きくなり、コーヒー粉漏れ試験の残留コーヒー粉が0.3g以上となった。また、成型時の延伸が不均一になり、成形したポッド10個の底面から打ち抜いた目付のR/Ave値が0.5超となった。
〔比較例3〕
フェルトカレンダー温度を105℃とした他は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。タテ引裂き強力が高く、二軸延伸シートの目付ムラが大きくなり、コーヒー粉漏れ試験の残留コーヒー粉が0.3g以上となった。また、成型時の延伸が不均一になり、成形したポッド10個の底面から打ち抜いた目付のR/Ave値が0.5超となった。
フェルトカレンダー温度を105℃とした他は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。タテ引裂き強力が高く、二軸延伸シートの目付ムラが大きくなり、コーヒー粉漏れ試験の残留コーヒー粉が0.3g以上となった。また、成型時の延伸が不均一になり、成形したポッド10個の底面から打ち抜いた目付のR/Ave値が0.5超となった。
〔比較例4、5〕
紡速を850m/分、650m/分、繊維径を33μm、37μm、フェルトカレンダー温度を110℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。タテ引裂き強力が高く、二軸延伸シートの目付ムラが大きくなり、コーヒー粉漏れ試験の残留コーヒー粉が0.3g以上となった。また、成型時の延伸が不均一になり、成形したポッド10個の底面から打ち抜いた目付のR/Ave値が0.5超となった。
紡速を850m/分、650m/分、繊維径を33μm、37μm、フェルトカレンダー温度を110℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。タテ引裂き強力が高く、二軸延伸シートの目付ムラが大きくなり、コーヒー粉漏れ試験の残留コーヒー粉が0.3g以上となった。また、成型時の延伸が不均一になり、成形したポッド10個の底面から打ち抜いた目付のR/Ave値が0.5超となった。
〔比較例6〕
吐出量を1.2g/分・Hole、紡速を1500m/分、繊維径を26μmとした他は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。タテ引裂き強力が高く、二軸延伸シートの目付ムラが大きくなり、コーヒー粉漏れ試験の残留コーヒー粉が0.3g以上となった。また、成型時の延伸が不均一になり、成形したポッド10個の底面から打ち抜いた目付のR/Ave値が0.5超となった。
吐出量を1.2g/分・Hole、紡速を1500m/分、繊維径を26μmとした他は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。タテ引裂き強力が高く、二軸延伸シートの目付ムラが大きくなり、コーヒー粉漏れ試験の残留コーヒー粉が0.3g以上となった。また、成型時の延伸が不均一になり、成形したポッド10個の底面から打ち抜いた目付のR/Ave値が0.5超となった。
〔比較例7〕
吐出量を0.53g/分・Hole、紡速を1150m/分、繊維径を21μmとした他は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。タテ引裂き強力が高く、二軸延伸シートの目付ムラが大きくなり、コーヒー粉漏れ試験の残留コーヒー粉が0.3g以上となった。また、成型時の延伸が不均一になり、成形したポッド10個の底面から打ち抜いた目付のR/Ave値が0.5超となった。
吐出量を0.53g/分・Hole、紡速を1150m/分、繊維径を21μmとした他は、実施例1と同様にして、生分解性長繊維不織布を製造した。タテ引裂き強力が高く、二軸延伸シートの目付ムラが大きくなり、コーヒー粉漏れ試験の残留コーヒー粉が0.3g以上となった。また、成型時の延伸が不均一になり、成形したポッド10個の底面から打ち抜いた目付のR/Ave値が0.5超となった。
〔比較例8〕
温度230℃でMFR値が44g/10分のポリ乳酸に、ポリブチレンサクシネート(融点110℃)を10重量%添加し、スパンボンド法により、吐出量0.9g/分・Hole、紡糸温度220℃、紡速1150m/分で、フィラメント群を移動捕集面に向けて押し出し、生分解性長繊維ウェブ(円形断面)を調製した。次いで、一方の表面に凹凸模様を有する一対のエンボスロールを用いて、仮圧着を行った。用いたエンボスロールは、圧着面積比率が14%であり、上・下ロール温度45℃の条件下でロール線圧300N/cmで仮圧着(ボンディング)した。次いで、この仮圧着ウェブをフェルトカレンダー(ドラム直径2,500mm、温度135℃、加工速度10m/分)で熱処理を行い、生分解性長繊維不織布を得た(目付150g/m2、繊維径28μm)。タテ引裂き強力が低く、破れが生じた。
温度230℃でMFR値が44g/10分のポリ乳酸に、ポリブチレンサクシネート(融点110℃)を10重量%添加し、スパンボンド法により、吐出量0.9g/分・Hole、紡糸温度220℃、紡速1150m/分で、フィラメント群を移動捕集面に向けて押し出し、生分解性長繊維ウェブ(円形断面)を調製した。次いで、一方の表面に凹凸模様を有する一対のエンボスロールを用いて、仮圧着を行った。用いたエンボスロールは、圧着面積比率が14%であり、上・下ロール温度45℃の条件下でロール線圧300N/cmで仮圧着(ボンディング)した。次いで、この仮圧着ウェブをフェルトカレンダー(ドラム直径2,500mm、温度135℃、加工速度10m/分)で熱処理を行い、生分解性長繊維不織布を得た(目付150g/m2、繊維径28μm)。タテ引裂き強力が低く、破れが生じた。
〔比較例9〕
温度300℃下のMFR値が25g/10分のポリエチレンテレフタレート(PET)をスパンボンド法により、吐出量0.9g/分・Hole、紡糸温度300℃で、フィラメント群を移動捕集面に向けて押し出し、目付100g/m2のポリエチレンテレフタレート繊維ウェブ(融点260℃、紡速1800m/分、平均繊維径23μm、円形断面)を調製した。
次いで、一方の表面に凹凸模様を有する一対のエンボスロールを用いて、部分熱圧着を行った。用いたエンボスロールは、圧着面積比率が14%であり、上・下ロール温度65℃の条件下でロール線圧400N/cmにて部分圧着した。次いで、この部分圧着ウェブを30℃で保管1時間後にフェルトカレンダー(ドラム直径2,500mm、温度130℃、加工速度15m/分)で熱処理を行い、ポリエチレンテレフタレート長繊維不織布を得た。得られたポリエチレンテレフタレート不織布をコンポスト処理したが、外観変化は観測することができなかった。
温度300℃下のMFR値が25g/10分のポリエチレンテレフタレート(PET)をスパンボンド法により、吐出量0.9g/分・Hole、紡糸温度300℃で、フィラメント群を移動捕集面に向けて押し出し、目付100g/m2のポリエチレンテレフタレート繊維ウェブ(融点260℃、紡速1800m/分、平均繊維径23μm、円形断面)を調製した。
次いで、一方の表面に凹凸模様を有する一対のエンボスロールを用いて、部分熱圧着を行った。用いたエンボスロールは、圧着面積比率が14%であり、上・下ロール温度65℃の条件下でロール線圧400N/cmにて部分圧着した。次いで、この部分圧着ウェブを30℃で保管1時間後にフェルトカレンダー(ドラム直径2,500mm、温度130℃、加工速度15m/分)で熱処理を行い、ポリエチレンテレフタレート長繊維不織布を得た。得られたポリエチレンテレフタレート不織布をコンポスト処理したが、外観変化は観測することができなかった。
本発明の生分解性長繊維不織布は、生分解性と共に、優れた成形性を有する。また、成形体の粉末保持性能、及び通液性が均一になるため、食品容器、特に飲料フィルターとして好適に利用可能である。また、本発明の生分解性長繊維不織布は、高伸度であり、複雑な形状の容器を形成することができ、成形後の糸浮き、毛羽立ちが少ないため、容器としての意匠性が要求される分野においても好適に利用可能である。
Claims (6)
- 少なくともポリ乳酸系重合体を含む長繊維から構成される不織布からなる生分解性長繊維不織布であって、該不織布のタテ引裂き強度を目付で除した値が0.013〜0.085N/(g/m2)であり、かつ、二軸延伸装置で、つかみ間隔8cm、引張速度200mm/分、120℃の温度でMD/CD二軸方向へそれぞれ20cmまで該不織布を同時延伸して、MD/CD各方向へ長さ2.5倍、面積倍率6.25倍の延伸シートを得、該延伸シートの略中心に10cm四方の正方形を描き、その中に2.5cm角×16マスの格子を描き、描いた2.5cm角のマスを16枚切り抜き、切り抜いた2.5cm角のマス16枚のそれぞれの不織布について、重量を測定したとき、以下の式:
R/Ave
{式中、Rは、切り抜いた2.5cm角のマス16枚の不織布の最大重量−最小重量であり、そしてAveは、かかる16枚の不織布の平均重量である。}で定義するR/ave値が、1.0以下であることを特徴とする前記生分解性長繊維不織布。 - 前記長繊維は、前記ポリ乳酸系重合体に加え、脂肪族エステル共重合体を、全樹脂重量を基準として、5〜15重量%さらに含むものである、請求項1に記載の生分解性長繊維不織布。
- 前記長繊維の平均繊維径が1〜40μmであり、かつ、前記生分解性長繊維不織布の目付が20〜300g/m2である、請求項1又は2に記載の生分解性長繊維不織布。
- 115℃〜160℃の範囲で定長熱セットを行う工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の生分解性長繊維不織布の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の生分解長繊維不織布を用いて、以下の式:
成形指数=(成形体の表面積cm2)/(成形前の不織布の面積cm2)
で表される成形指数が1.1〜20である成形体を製造する方法。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の連続した生分解長繊維不織布から同一成形機で成形した少なくとも10個の成形体の底部同位置から採取した布帛片の目付について、(目付最大値−目付最小値)/目付平均値が0.5以下である、請求項5に記載の方法。
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