JP2018204112A - オーステナイト鋼製の計時器用ばね - Google Patents

オーステナイト鋼製の計時器用ばね Download PDF

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Abstract

【課題】延性が改善し、低コストで工業規模で作ることが容易な、計時器又は宝飾品用のばねの提供。【解決手段】鉄とクロムで形成された基本構造を有しマンガンと窒素を含有する面心立方オーステナイト構造のステンレス鋼合金製の計時器又は宝飾品用のばねであって、少なくとも厚みが最小の領域においてばねの厚みは0.20mm未満であり、合金の組成は、質量%で、クロムが最小値15%〜最大値25%、マンガンが最小値5%〜最大値25%、窒素が最小値0.10%〜最大値0.90%、炭素が最小値0.10%〜最大値1.00%、炭素と窒素の合計含有量(C+N)が0.40〜1.50%、炭素対窒素比(C/N)が0.125〜0.550、炭素と化合でき鉄の等価質量と置き換えられるモリブデン、タングステン、バナジウム、ニオブ、ジルコニウム及びチタンが最小値0.5%〜最大値10.0%、鉄以外の不純物、残部鉄であることを特徴とするばね。【選択図】なし

Description

本発明は、鉄とクロムで形成されマンガンと窒素を含有する面心立方オーステナイト構造の基本構造を有するステンレス鋼合金製の計時器用ばねに関する。
本発明は、さらに、この種のばねを少なくとも1つ有する計時器用バレルに関する。
本発明は、さらに、このような計時器用バレル及び/又はこの種のばねを少なくとも1つ組み込んでいる計時器、特に、腕時計に関する。
本発明は、計時器ムーブメントの分野に関し、特に、メインばね、打撃用のばねなど、ジャンパー、ショックアブソーバーのような平坦型のばねに関する。
計時器用ばね、特に、メインばね、に耐久性を持たせ寿命を長くすることは、長年の課題である。計時器用ばねの製造業者は、常に、アキュムレーターばね、メインばね、打撃用ばねなどの耐疲労性を改善させ、パワーリザーブを増やしつつ、耐用年数を長くするような材料を探求している。
高炭素鋼を使用することによって、所望の弾性特性を非常に早く得ることが可能になった。しかし、高炭素鋼の腐食性が悪いことと、破壊荷重に近い力を受けながら永久使用されることとが組み合わさることによって、腐食スポットが発生するとすぐに破損することが多い。また、このような鋼は、永久変形する傾向があって、これは、パワーリザーブに悪影響を与える。なぜなら、このような鋼の比例的な最大の延伸は、それらの弾性限度よりもはるかに小さいからである。
様々な処理をされた非常に多様な組成の多数の合金が試験されている。Elgin名義のベルギー特許BE475783、スイス特許CH279670、米国特許US647783及びUS2524660は、コバルトベースの合金、クロム−モリブデンの組み合わせ、ニッケル、鉄及びマンガンの組み合わせを用いる手法を提案しており、これは、複雑な製造方法で作られ、製品のコストを増加させてしまう。
Seiko名義の国際特許WO2005/045532は、バナジウム属元素が添加されるチタンベースの合金を提案している。
いくつかの製造業者は、コア材料と異なる表面層を有するばねを開発している。例えば、Seiko名義の国際特許WO02/04836、Sandvik名義のスイス特許CH383886、Fabrique Suisse de Ressorts d’Horlogerie名義のスイス特許CH330555、GFD-Diamaze名義の欧州特許EP2511229、CSEM名義の欧州特許EP1422436である。
アモルファス合金も知られている。ホウ素の比率が高いRolex名義の国際特許WO2012/01941、Rolex名義の欧州特許EP2133756(金属性ガラス)、Vacuumschmelze名義のドイツ特許DE102011001783である。
これらの材料はすべて、非常に高コストであり、関心事の用途のために他のものより実際に有効な製品は、いまだ市場に現われていない。
多くの大規模に販売されている合金が、純粋に理論的には、計時器用ばねを製造するためにふさわしいということがあり得る。しかし、実際の製造条件において、これらの合金を実験的に試験してみると、多数の制限に遭遇する。このことが、腕時計産業において、ばね、特に、らせん状のばね、を製造するために用いられる材料に関して非常に少ない開発しか行われていないことの理由である。
結果的に、机上では適していると考えられマクロ機械、電気工学、重機械などでは適しているような多くの合金が、腕時計製造に必要な寸法に変える試みがなされるとすぐに、まったく使えないことがわかる。
Generale Ressorts名義のスイス特許CH703796によって、面心立方オーステナイト構造であって鉄とクロムで形成された基本構造を有する窒素ステンレス鋼が知られている。この文献に記載されている合金は、溶液内に高濃度の窒素を含有する(0.75〜1%)。この合金の製造時に、溶液における窒素の濃度を正確な手法で制御するのは難しい。合金における溶液内の窒素の量を少し増加させることによって、合金の延性が失われうる。このことは、ばねとして用いられるべき材料の必要な用途を失わせてしまう。
また、窒素含有量は、クロム窒化物の析出のふるまいに強い影響力を与え、窒素含有量が約1%である場合、窒化物の出現を防ぐ合金の焼き戻しの速度は速い。このことによって、このような合金用の処理工程を工業的にすることを困難に、そして高コストにする。
また、これらの合金からばねを製造することには厳しい課題がある。伝統的な製造手順では、合金のキャストビレットを鍛造、圧延によって形態を変えて、その後、直径が約6mmであるワイヤーロッドに対して引き抜きやワイヤー引き抜きによって処理して、これを剥離し、洗浄し、その後、一連の冷間圧延とワイヤー引き抜き操作が行われる。具体的には、非常に小さな寸法のばねを得ることを求める場合は、剥離とワイヤー引き抜きの操作は特に困難ないし不可能である。特に、厚みが0.200mm未満の計時器用のらせん状のメインばね又は厚みが約0.050mmでありうるエスケープ機構用のバランスばねを得ることを求める場合である。
実際に、これらの操作は、必ず材料に対して実行されるものであり、これらの操作によって、数十℃ないし数百℃の著しい温度上昇がもたらされる。窒素含有量が約1%以上の窒素鋼は、このような温度上昇に非常に感応性がある。なぜなら、約200℃から、窒化物又は他の脆い化合物が析出されることがあり、これは、必要な弾性特性を達成するために満足しなければならない理論的な組成を有する合金を腕時計製造の用途に使用することをできなくする。脆いことによって引き抜かれたワイヤーにクラックが発生し、これによって、二次的操作に適さなくなる。
圧延とワイヤー引き抜きの速度を減らすことによってこれらの温度上昇を減らすことはできたとしてもなくすことはできず、この場合、これらの速度は非常に低く、材料のコストを工業的用途に使えないほどにする。実際に、6mmの直径から約0.6mmの直径に変えるためには(すなわち、断面積比が100:1)、中間的な熱処理(これも必要)に加えて、30〜50の連続的なワイヤー引き抜き操作を行わなければならず(断面積が毎回9〜15%縮小されると仮定)、より正確には、熱くなる点の数を制限するためには約50の操作を行わなければならない。
窒素鋼は、作るのが難しく、実装することが困難で高コストであり、結果的に、窒素鋼は、精密機械工学や通常の機械工学の分野において、わずかしか注目されていない。知られている数少ない用途は、歯列矯正術、補綴及び電気工学(モーター又はオルタネーター用の止めリング)であり、したがって、本質的に巨視的ないし重機械的な用途である。このように、窒素鋼に起因する理論的な特定の品質は、実用的な水準に達しない。
したがって、上記問題のために計時器用ばねを製造するためにいずれの種類の窒素鋼をも用いることはできず、通常約0.60〜1.00mmの直径を有する材料をワイヤーの原材料として作るために非常に具体的な選択をすることが重要である。このワイヤーの原材料は、冷間圧延によって形態を変えられ、実質的に長方形の断面のばねを得ることができる。
このように、計時器用ばねの製造業者にとっての課題は、作ることが可能になるために適切な窒素及び炭素の含有量を有する合金を決めて、これによって、数十ミリメートルの直径を有する第1ワイヤー原材料を作り、その後、実質的に長方形の断面及び数百分の1ミリメートルの厚みの輪郭を有するばねを作ることができるようにする。
計時器用ばねの明白な特色はそれらの特定の寸法であるが、別の特徴は、以下のような非常に特定の金属疲労の状況において採用されるということである。すなわち、これらのばねは、破損限界に近い力を恒久的に受ける。これは、オリゴサイクリックな疲労として知られている。オリゴサイクリックな疲労をする材料は、少なくなったサイクル数の後にいずれの時期尚早な破損をも防ぐために、特に完全でなければならない。
計時器用ばねの製造に理論上適しうる合金の検査は、論理的に、面心立方構造のオーステナイト合金に関わる。
Speidel BASF名義の米国特許US6682582B1は、クロムを高い割合で(16〜22%)、炭素を0.08〜0.30重量%、窒素を0.30〜0.70重量%、マンガンを9重量%未満、モリブデンを2%未満含有する様々な合金について記載している。
Korea Mach. & Materials INST名義の韓国特許KR2009 0092144は、窒素の合計含有量が0.60〜0.90重量%のマンガン−クロム−ニッケル−モリブデン合金、特に、このファミリーの炭素含有量が0.45重量%未満、窒素含有量が0.45重量%未満のいくつかの合金を開示している。
新日本製鐵株式会社名義の特開平02−156047は、マンガンを5〜25%の、クロムを15〜22%、炭素を0.10%〜0.30%、窒素を0.3%〜0.6%含有する合金を開示している。
計時器用ばねを製造するために実際に変形することができる合金を選ぶことは、文献の豊富さに直面して、困難となる。多くの文献は、理論上でのみ適切になりえるような合金について記載している。必要な特色を有するように見えるオーステナイト合金であるからである。例えば、株式会社ナノ技術研究所名義の特開2004−137600、大同特殊鋼株式会社名義の特開2009−249658、Ugine Savoie SA名義のフランス特許出願FR2776306A1、VSG EN & Schmiedetechnik GmbH名義のドイツ特許出願DE19607828A1である。
これらの文献に記載されている合金はすべて理論上適切になりえるが、形を形成するための当業者の要求事項をわずかしか満たさない。この当業者は、広範囲な試験をして選択し、各選択された合金をそれぞれ実際の製造条件で試験しなければならない。この実際の製造条件は、前記文献の単なる読者では把握することができないものである。
より詳細には、機械式腕時計の駆動素子であるメインばねは、金属製の細長材から製造され、次に、アーバのまわりで巻かれ、バレルドラム内に収容される。Aurele MAIRE著の文献Journal Suisse d’horlogerie, vol. 5/6, 1 January 1968, pages 213-214 XP001441388は、高速回転バレルの理論について記載している。これは、らせん状のばねの解放されたト音記号形の形、及び最大の有効エネルギーのための最適化された幾何学的構成について記載している。
数十mmの直径を有するワイヤー原材料からの、らせん状のばね、特に、メインばね、の従来の製造(上記のように非常に長く複雑なプロセスによって既に形態が変えられている)は、以下のステップで行われる。
− 細長材を得るために金属ワイヤーを圧延するステップ
− 前記細長材を所定の長さに切断し、さらに、随意的に、その一端でアパーチャを形成するように切断するステップ
− アパーチャを有しうる細長材の前記端において目部分を形成して、前記細長材をアーバに固定することを可能にするステップ(アーバがフックを有する場合は細長材に設けられたアパーチャを通して、又はアーバ上の細長材の摩擦によって)
このステップは、以下の2つの段階で行われる。
・アーバよりも小さな直径を有する円である第1の目部分を形成して、フックがアパーチャにおいてフックされること(又は場合によって細長材が摩擦によって保持されること)を確実にする段階
・実際上は約0.75周の半径が増加するらせんである第2の目部分を形成して、ばねが放されたときに目部分がドラム内で中心合わせされることを確実にする段階
− 前記目部分とは反対方向に前記細長材の残りを積層するステップ
− フランジを固定するステップ
− ドラムの内部に配置するステップ
である。
メインばねは、最初の巻き時の変形に起因して、曲がった全長にわたって最大応力の状況で材料が機能するという特色を有する。ばねがドラムから外されると、最初の巻きに起因するト音記号形の形の平衡となる。
信頼性があって、特に、繰り返し可能なように、製造することができ、耐久性が良好で寿命が満足するほどに長いばねを製造しようと努力する腕時計の設計者にとっては、必要な性能が得られることを可能にし、0.200mm未満の厚みの少なくとも1つの領域及び/又は曲率半径が2.15mm未満、特に、0.75mm未満、さらには、0.60mm未満である領域を少なくとも1つ有するらせん状のばねを作ることを可能にする合金を選択し開発することに困難性がある。したがって、腕時計の設計者は、単に理論的な物性に基づいてカタログから合金を選ぶことができず、一方では原料として機能するワイヤーに対して、他方では完成したばねに対して、特定の範囲の二次的操作を行って試験をして、この種のワイヤーブランク及びばねを作ることを可能にする合金の組成及び処理のためのパラメーターをセットする必要性がある。
本発明は、この種のばねの製造に用いられる通常の合金と比較して、延性が改善しており、低コストで工業規模で作ることが容易であるような、計時器又は宝飾品のためのばね、特に、メインばねや打撃用ばねのようならせん状のばね、又はジャンパーやショックアブソーバーのような平坦型のばねを作ることを目的とする。
実際に、既知の窒素高含有合金(1重量%を超えるもの)は、優れた機械的性質を有するが、形態を変えることが難しい。なぜなら、窒素高含有合金は脆く、窒化クロムの析出のふるまいが非常に速いからである。このことによって、窒素高含有合金を実装することを困難にしている。
このような背景の下、本発明は、鉄とクロムで形成された基本構造を有しマンガンと窒素を含有する面心立方オーステナイト構造のスーパーオーステナイトタイプのステンレス鋼合金製の計時器又は宝飾品用のばねに関し、
当該ばねの少なくとも厚みが最小の領域において、当該ばねの厚みは、0.20mm未満であり、
前記合金の組成は、重量%で、
クロム含有量が、最小値15%〜最大値25%、
マンガン含有量が、最小値5%〜最大値25%、
窒素含有量が、最小値0.10%〜最大値0.90%、
炭素含有量が、最小値0.10%〜最大値1.00%、
炭素と窒素の合計含有量(C+N)が、0.40〜1.50%、
炭素対窒素比(C/N)が、0.125〜0.550、
鉄以外の不純物及び付加的な金属の合計含有量が、最小値0%〜最大値12.0%、
鉄含有量が、100%までの残りである。
本発明は、さらに、この種のばねを少なくとも1つ有する計時器用バレルに関する。
本発明は、さらに、このような計時器用バレルを少なくとも1つ及び/又はこの種のばねを組み込んでいる、計時器、特に、腕時計、に関する。
窒素含有量が低いことによって、炭素を加えることによって、合金の工業的な実装を改善しつつ、優れた機械的性質を得ることができる。窒素含有量が低いことによって、特に、合金の延性を改善することができる。また、付加的な炭素の存在は、合金の機械的性質を改善する炭化物の形成を可能にすることがある。
この合金が機械的な計時器ムーブメントにエネルギー源として用いられるバレルの製造に用いられる場合、延性が改善されていることによって、目部分の直径を小さくすることができ、したがって、所与のバレルドラム直径に対するムーブメントのパワーリザーブを増やすことができる。
添付図面を参照しながら下記の詳細な説明を読むことで、本発明の他の特徴及び利点を理解することができるであろう。
本発明に係るメインばねの概略斜視図であって、目部分である内側領域及びフランジを固定するための外側領域は詳細には示していない。 解放されたト音記号形の形態である本発明に係るメインばねであって、凹みが逆転する領域において実質的に直線状の部分を有する。 本発明に係るばねを備えたバレルを有する計時器の概略図を示す。
本発明は、計時器ムーブメントの分野に関し、特に、エネルギーを格納するばね、戻しばね、又はショックアブソーバーばねに関する。すなわち、メインばねや打撃用ばねのようならせん状のばね、ジャンパーやショックアブソーバーのようなフラット型ばねなどである。
本発明は、寿命が非常に長く、小さな寸法(特に、厚みが0.200mm未満であるようならせん状のばね)を有する計時器用ばねを作ることに伴う課題を解決することを目的とする。
理論上適した合金を試験し、必要な性能や寸法を実現可能にするパラメーターをセットするために、非常に長い一連の試験が必要となる。
より詳細には、バレルの場合には、いわゆる「コア径が小さい」バレル内で、非常に小さな直径(4.3mm未満、特に、1.5mm未満、さらに1.2mm未満)のコアないしアーバ50に適合する内周コイル11を有するらせん状のばね1を作る場合、又は非常に小さな直径(特に、1.5mm未満)を有するコレットを備えたエスケープ機構用のバランスばねを作る場合に、前記課題がより重要になる。最大の長さの値については、特に、冶金的な試験を重視した。
一連の実験によって、らせん状のばねを製造するための適合性が、合金における窒素の質量に対する炭素の質量の比であるC/N比、及び絶対的及び相対的な炭素と窒素の最大の質量に直接関連していることが実証された。このC/N比は、特定の範囲内でなければならない。伝統的に、この製造には、鍛造、圧延、そして可能性としては、引き抜き、ワイヤー引き抜きによって、合金のキャストビレットの形態を変えることを伴うブランク製造プロセスを伴う。これによって、直径が約6mmであるワイヤーロッドを得て、これは次に、剥離され、洗浄され、その後、再結晶化の熱処理を間に入れつつ、一連の他の引き抜き操作が行われる。この後に仕上工程が行われる。これには、少なくとも1つのさらなるワイヤー引き抜き、及び少なくとも1つの冷間圧延を伴うことができ、その後に、ト音記号形として知られている解放された輪郭にらせんの幾何学的構成をセットする特定の仕上げ作業を伴うことができる。
らせん状の計時器用ばね1の製造には、非常に小さい曲率半径(特に、2.15mm未満の曲率半径)を有する少なくとも1つの領域を作るという固有の困難性を伴う。
具体的には、Kファクターが9未満の小さいコア径を有するバレルを作る場合がある。メインばねの通常の製造においては、経験によれば、製品が脆弱でないように製造することを確実にするためには、Kファクター(ばねの細長材の厚みに対するバレル軸の比)は、9〜16である。時計分野の理論では、Kファクターが10〜16であることが推奨されており、11の値が最も一般的に使用されている。Kファクターを少しでも小さくすれば、同じ外部体積に対するメインばねの巻数を相当に多くすることができ、したがって、腕時計のパワーリザーブを増加させることができる。この減少は、2.15mmよりかなり小さく、具体的には、1.5mmより小さいようなコア径の最小化に関連している。このことは、選択した合金及びその処理が、ばねを壊さず長期にわたって弱らせずに、2.15mm以下というほどに小さい曲率半径のものを作ることを可能にする必要性があるということを意味する。この課題は、メインばねのコアの寸法に匹敵する寸法を有するコレット上に内周コイルが安置されるようなエスケープ機構用のバランスばねの場合にも同様に発生する。
本発明によって、特に、従来技術の合金と比較して、延性を向上し工業的な製造が容易であるようなエスケープ機構用のメインばね又はバランスばね用の計時器用ばねの製造に適している鋼合金を特定することができる。
したがって、本発明は、鉄とクロムで形成された基本構造を有しマンガンと窒素を含有する面心立方オーステナイト構造のステンレス鋼合金製の計時器又は宝飾品用のばね1に関する。
本発明によると、ばね1の厚みは、少なくともその厚みが最小の領域において、0.20mm未満である。
本発明によると、ばね1の合金の重量%組成は、以下の通りである。
− クロム含有量:最小値15%〜最大値25%
− マンガン含有量:最小値5%〜最大値25%
− 窒素含有量:最小値0.10%〜最大値0.90%
− 炭素含有量:最小値0.10%〜最大値1.00%
− 炭素と窒素の合計含有量(C+N):0.40〜1.50%
− 炭素対窒素比(C/N):0.125〜0.550
− 鉄以外の不純物及び付加的な金属の合計含有量:最小値0%〜最大値12.0%
− 鉄含有量:100%までの残り
より詳細には、炭素と窒素の合計含有量は、0.4〜1.5重量%であり、炭素対窒素比は、0.125〜0.5である。
特定の実施形態において、窒素含有量は、0.40〜0.75重量%である。
特定の実施形態において、窒素含有量は、0.45〜0.55重量%である。
特定の実施形態において、炭素含有量は、0.15〜0.30重量%である。
特定の実施形態において、炭素含有量は、0.15〜0.25重量%である。
特定の実施形態において、炭素と窒素の合計含有量(C+N)は、0.60〜1.00重量%である。
特定の実施形態において、炭素と窒素の合計含有量(C+N)は、0.60〜0.80重量%である。
特定の実施形態において、炭素対窒素比(C/N)は、0.250〜0.550である。
より具体的な実施形態において、炭素対窒素比(C/N)は、0.270〜0.550である。
より詳細には、炭素と窒素の合計含有量は、0.4〜1.5重量%であり、炭素対窒素比は、0.125〜0.5である。
積層欠陥エネルギーに関連して、以下を同時に満たすような領域を選択することが特に好ましい。
− 炭素と窒素の合計含有量(C+N):0.60〜0.80重量%
− 炭素対窒素比(C/N):0.270〜0.550
好ましい変種によると、合金の炭素と窒素の合計含有量は、0.6%〜1重量%であり、合金の炭素対窒素比は、0.35〜0.5である。
好ましい変種によると、合金の炭素と窒素の合計含有量は、0.75%〜1重量%であり、合金の炭素対窒素比は、0.4〜0.5である。
クロムは、耐食性(歴史的に、計時器用ばね、特に、メインばねの耐久性のために大きな課題である)を確実にするために含有させるものであり、特定の実施形態において、クロム含有量は、16.0〜20.0重量%である。
特定の実施形態において、クロム含有量は、16.0〜17.0重量%である。
好ましい実施形態の1つによると、合金のクロム含有量は、16〜20重量%であり、炭素含有量は、0.15〜0.3重量%である。
別の好ましい実施形態の1つによると、合金のマンガン含有量は、10〜16重量%、好ましくは、11〜13重量%であり、ニオブ含有量は、0.25重量%未満である。
特定の組成によると、付加的な金属の少なくとも1つは、モリブデン、タングステン、バナジウム、ニオブ、ジルコニウム及びチタンからなる群から選択される炭素と化合する元素であり、合金における鉄の等価質量を置き換え、含有量が0.5〜10.0重量%である。そして、鉄以外の不純物又は他の付加的な金属は、3%以下、特に、2%以下に、制限される。
特定の実施形態において、この少なくとも1つの炭素と化合する元素は、モリブデンであり、含有量は2.5〜4.2重量%である。モリブデンは、耐腐食性とピッチング(pitting)を改善させ、炭化モリブデンが析出するようにできる。特定の実施形態において、モリブデン含有量は、2.6〜2.8重量%である。
更なる別の実施形態によると、当該合金は、タングステン、バナジウム、ニオブ、ジルコニウム及びチタンからなる群から選択されるモリブデン以外の少なくとも1つの炭素と化合する他の元素を0.5重量%の最大限度まで含有し、当該合金における鉄の等価質量を置き換え、合金のニッケル含有量は、好ましくは、0.5重量%未満である。
特定の実施形態において、鉄以外の不純物及び付加的な金属の合計含有量は、0〜6.0重量%である。
特定の実施形態において、鉄以外の不純物及び付加的な金属の合計含有量は、0〜3.0重量%である。
特定の実施形態において、付加的な金属の1つは、ニッケルである。マンガンのように、ニッケルは、オーステナイト相の形成を促進し、溶解性を向上させる。ユーザーの皮膚と接触しないムーブメント内のばねに用いる用途では、ユーザーに悪影響を与えずに、合金に数%ニッケルを含有させることができる。特定の実施形態において、ニッケル含有量は、0〜0.10重量%である。
特定の実施形態において、付加的な金属の1つは、含有量が0〜0.25重量%のニオブである。
この種の合金のオーステナイト構造は、実際に、ばねのために必要である。良好な変形性能を与えるからである。このオーステナイト構造の別の利点は、計時器ムーブメントにおいてまったく無視できないものであり、フェライト又はマルテンサイトと異なりオーステナイトが非磁性である性質に伴うものである。
ここでも、比較的小さいC/N比の選択、特に、0.550未満のものの選択は、炭素の存在の利点を享受するために十分であり、これは、前記文献の平衡状態図に示されているように、より大きいC/N比のものと比べて、同じC+N合計含有量に対して合金がオーステナイト構造をとる能力が大きいことを示している。同様に、少なすぎない窒素を含有することによって、フェライト領域から離れることができる。
本発明によって、窒素含有量が多く形態を変えることが困難で高コストであるような既知の従来技術のばねよりも経済的な計時器用ばねの製造が可能になる。実際に、このような従来技術のばねの場合、高圧(数気圧)で及び/又は添加剤を使用して、処理しなければならない。
これが、一部の窒素を炭素に置き換えることが有利である理由である。関心事の種類のステンレス合金の脆性塑性転移温度TTが、TTの値(絶対温度Kで)が窒素含有量の300倍の第1の項及び炭素含有量の100倍の第2の項の合計に比例するような規則に従うことが知られている。
このように、窒素の炭素への置換はいずれも、脆性塑性転移温度を減少させるような直接的な効果を発揮する。実際に、既知の従来技術の合金の最低レベルの窒素含有量というように、窒素含有量が少ないことによって、炭化物の形成を通して炭素を加えて、合金の工業的な実装を改善しつつ、優れた機械的性質を維持することが可能になる。低窒素含有量は、特に、合金の延性を向上させる。また、窒素含有量を少なくすることは、窒化物析出についても有利である。
機械的な計時器ムーブメントにおいてエネルギー源として用いるメインばねを製造するために本発明に係る合金が用いられる場合、延性が改善され有利である。これによって、目部分の直径を小さくすることが可能になり、したがって、ムーブメントのパワーリザーブを所与のバレルドラム直径に対して大きくすることが可能になる。
工業的な製造については、炭素と窒素の両方を特定の量と比率で含有する合金の製造を大気圧下で行うことができる。このことが経済的に有利であることは明らかである。本発明のために選ばれたこれらの特定の炭素と窒素の含有量は、当該合金がオーステナイト構造を安定させるために十分な窒素を含有することと、これらの特定の組成が最も安定した合金を与えることとの間の良好な妥協点を反映している。
合金の特定の実施形態を選択することによって、特に計時器用ばねに適しており、メインばねにさらに適しており、許容可能な製造コスト、特定の困難性がない実装、非常に良好な機械的性質、良好な耐食性、低い塑性変形性及び長い寿命を有するような以下の特定の組成が得られる。すなわち、この特定の組成は以下の通りである。
− クロム含有量:最小値16.0%〜最大値17%
− マンガン含有量:最小値9%〜最大値12.5%
− 窒素含有量:最小値0.45%〜最大値0.55%
− 炭素含有量:最小値0.15%〜最大値0.25%
− 炭素と窒素の合計含有量(C+N):0.60〜0.80重量%
− 炭素対窒素比(C/N):0.27〜0.55
− モリブデン含有量:最小値2.6%〜最大値2.8%
− 鉄以外の不純物及び付加的な金属の合計含有量:最小値0%〜最大値3.0%− 鉄含有量:100%までの残り
このようにして製造されたばね1は、機械耐久性が高いオーステナイト構造を有し、高い耐疲労性、高耐食性を示し、非磁性体である。
バレル又はエスケープの機構用のらせん状の計時器用ばねに用いる場合、ばね1は、2.15mm未満の曲率半径を有する領域を少なくとも1つ有する。
好ましい用途においては、本発明に係るばね1は、らせん状のばねであり、特に、エスケープ機構用のメインばね又はバランスばねである。
より具体的には、このばね1は、2.15mm未満、特に0.75mm未満、の曲率半径を有する内周コイル11を有する。
より詳細には、その最小の厚みの領域、特に、内周コイル11上において、このばね1の厚みは、0.20mm未満、特に、0.06mm未満である。
図1は、ばね1がらせん状のメインばね10であるような特定の場合を示している。
図2は、アーバ50のまわりでらせん状に巻かれるように意図されている計時器用メインばねを示しており、これは、図2に示す内側端と点Aの間に第1の長さL1を有する第1の目部分を形成する第1の内周コイル11を備えた細長材を有し、この第1の目部分は、所与の理論的な半径RTを有するアーバ50に適合する。
以下の説明において、以下の用語を用いる。
− 第1のコイル1又は第1の目部分は、メインばねの最も内周のコイルであって、バレルアーバを1周包囲するように意図されているコイルを表す。
− 第2のコイル2又は第2の目部分は、前記第1のコイルの直ぐ下流のばねの部分であって、本発明に係るメインばねの製造後の初期状態であってアーバに対するいずれのアセンブリーよりも前でいずれの巻きよりも前の解放され平坦な状態において、前記第1のコイル1と同じ凹みの向きを有する部分を表す。
バレルアーバに固定されるばねの内周コイル11の側は、「上流側」と呼ばれ、バレルドラムにフックされる外周コイル4の側は、「下流側」と呼ばれる。
本発明によると、製造後の初期状態であってアーバ50に対するいずれのアセンブリーよりも前でいずれの巻きよりも前の解放され平坦な状態においては、このばね10は、第1の内周コイルの後に、内側から外側に向かって、第2のコイル2を有し、これは、第2の長さL2(図2に示す点Aと曲げ点Bの間)を有し、第1の内周コイル11と同じ凹みの向きを有する。
内周コイル11の凹みの向きとは反対の凹みの向きを有する巻き4が、曲げ領域3を介して第2のコイル2に続く。
本発明に係るばね10の形は、この曲げ領域3の外側のどの点においても、最小の局所的曲率半径RCMINと最大局所的曲率半径RCMAXの間である局所的曲率半径RCを有する。
局所的曲率半径RCは、最小の局所的曲率半径RCMINよりも大きい。これによって、ばね10の細長材が、最初の巻きからの曲がった長さのすべての点において最大応力を与えられることが確実になる。
局所的曲率半径RCは、最大局所的曲率半径RCMAXよりも小さい。これによって、ばね10がドラムの内部で配置されているときに壊れないことが確実になる。
Kファクターが9未満である好ましい場合において、第2のコイル2の第2の長さL2が、第1の内周コイル11上のばね10の平均厚みEMに対する理論的な半径RTの所定比率を得るように計算され、この所定比率は9未満である。
小さいコア径(Kファクターが9よりもはるかに小さい)を有するメインばねを製造することを可能にするために、標準的な第1の目部分を作り、その後に、0.75周を超える第2の目部分を、ドラムの内部で配置されているときに材料の破損限度を超えないように作らなければならない。
具体的には、本発明に係る合金製のばね10に用いる特定の場合、第2のコイル2の第2の展開長L2は、ばね10の1周以上のらせんに対応する。これによって、いわゆる稼動状態において最初に巻かれ実装されるときに、ばね10の応力を減らすことができ、したがって、初期状態と稼動状態の間のどの時点においても、可能なかぎり曲率の局所的な差を小さくすることができる。
変種の1つにおいて、以下のように他のパラメーターについて取り組むことができる(これらに制限されない)。
− 目部分に近い方の細長材を薄くすること
− 材料の延性を向上させるために目部分の近くで特定の熱処理を施すこと
− ばねを形成する合金の構成を変えること
本発明は、所与の材料で作られたばねに対して通常の使用領域を超えて用いられる。
本発明によって、所与の材料に対して、既知のものよりも低いKファクターを実装することが可能になる。
小さいコアを有するバレルに対して本発明を適用する特定の場合においては、この所定のKファクターは、9未満、好ましくは、約5ないし6である。
非常に低いKファクターが、非常に好ましい。なぜなら、これによって、対応するバレルのパワーリザーブを大きくすることが可能になるからである。実際に、体積が節約される分、メインばねの巻き数を増やすことができる。
具体的には、第2のコイル2の第2の展開長L2は、ばね10の少なくとも2周に対応する。これによって、使用のために最初に巻かれ稼動状態にされたときに、ばね10の応力を減らすことができ、したがって、初期状態と稼動状態の間のいずれの時点においても、局所的な曲率の差を可能なかぎり小さくすることができる。
本発明は、さらに、所与の理論的な半径RTを有するアーバ50と、及びこの種のばね10を少なくとも1つ有する計時器用バレル100に関する。
本発明は、さらに、本発明に係る少なくとも1つのバレル100及び/又は少なくとも1つのばね1ないしらせん状のばね1を有する計時器200に関する。

Claims (2)

  1. 鉄とクロムで形成された基本構造を有しマンガンと窒素を含有する面心立方オーステナイト構造のステンレス鋼合金製の計時器又は宝飾品用のばね(1)であって、
    当該ばね(1)の少なくとも厚みが最小の領域において、当該ばね(1)の厚みは、0.20mm未満であり、
    前記合金の組成は、質量%で、
    クロム含有量が、最小値15%〜最大値25%、
    マンガン含有量が、最小値5%〜最大値25%、
    窒素含有量が、最小値0.10%〜最大値0.90%、
    炭素含有量が、最小値0.10%〜最大値1.00%、
    炭素と窒素の合計含有量(C+N)が、0.40〜1.50%、
    炭素対窒素比(C/N)が、0.125〜0.550、
    炭素と化合でき鉄の等価質量と置き換えられるモリブデン、タングステン、バナジウム、ニオブ、ジルコニウム及びチタンが、最小値0.5%〜最大値10.0%、
    鉄以外の不純物、
    残部鉄
    であることを特徴とするばね(1)。
  2. さらに、ニッケルを0.5質量%未満(0%より多い)含む
    ことを特徴とする請求項1のばね(1)。
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