JP2018204017A - 防汚塗料系 - Google Patents
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Abstract
【課題】DCOITの長期放出制御を可能にする改良されたコーティングを備えるコーティング基板を提供する。【解決手段】エポキシコーティングを有するコーティング基板であって、前記エポキシコーティングが、0.5重量%〜3.5重量%の4,5−ジクロロ−2−n−オクチルイソチアゾリン−3−オン(DCOIT)を含み、40ミクロン〜320ミクロンの厚さを有し、およびビスフェノールAの重合ユニットを含む硬化芳香族エポキシ樹脂を含み、前記基板が第2のコーティング層を有し、前記エポキシコーティングが前記基板と前記第2のコーティング層との間にあり、4,5−ジクロロ−2−n−オクチルイソチアゾリン−3−オンおよびポリマー樹脂粒子を別個に芳香族エポキシ樹脂に添加し、それに硬化剤を加えることにより、前記エポキシコーティングが調製される、コーティング基板。【選択図】なし
Description
本発明は、4,5−ジクロロ−2−n−オクチルイソチアゾリン−3−オン(DCOIT)を含む防汚コーティングに関する。
DCOITを含むコーティングは、Heaton et al.,Biofouling,vol.3,35−43(1991)に開示される。この参考文献中に記載されるコーティングは、DCOITの放出制御を達成せず、予想耐用年数は170日しかない。
本発明によって解決される問題は、DCOITの長期放出制御を提供する改良されたコーティングを提供することである。
本発明は、エポキシコーティングを含むコーティング基板を対象とし、前記エポキシコーティングは、4,5−ジクロロ−2−n−オクチルイソチアゾリン−3−オンを含む。
特に指示がない限り、温度はセ氏温度(℃)であり、パーセンテージについては重量パーセント(重量%)であり、DCOITの量および比率は活性成分基準である。本明細書において使用される場合、粒子の集合がある特定の値のD50を有するとき、粒子の50容量パーセントがその値以下の直径を有する。非球形粒子においては、直径が最大寸法である。エポキシコーティングは、エポキシ樹脂を硬化剤と混合し、その混合物を基板上で硬化させることによって生成される乾燥フィルムである。海洋用コーティング組成物は、海洋用品の表面上に乾燥コーティングを形成することのできるコーティング組成物である。乾燥コーティングの形成後、乾燥コーティングは、塗装された表面の一部または全てがかなりの時間(すなわち、少なくとも1日1時間)水中に入ったままであるときでさえ、有効に長時間にわたり、表面に固着することになる。海洋用品とは、物体の一部または全てがかなりの時間水中にあるという環境において使用される物体のことである。海洋用品の例には、船、桟橋、波止場、杭、魚網、熱交換器、ダム、取水口スクリーンなどの配管構造が含まれる。好適には、基板は海洋用品である。
海水とは、海または大洋からの水である。平均して、世界の大洋における海水は、約3.5重量%の密度を有し、大洋表面における平均密度は1.025g/mlである。人口海水は、水と溶解無機塩の混合物であり、海水をシミュレートする。人口海水の例は、RICCA(ASTM D1141)から入手できる合成海水である。
エポキシコーティングのための基板は、塗装されていない表面、例えば海洋用品、または海洋用品の表面上の別のコーティング、例えば表面上の下層の下塗りまたは塗料、であり得る。好適には、エポキシコーティングの上に第2のコーティングが存在し、エポキシコーティングは基板と第2のコーティングの間にある。好適には、第2のコーティングは、自己研磨型コーティング(例えば、典型的には、亜鉛または銅カルボン酸塩群を包含する金属アクリレートコポリマー塗料、またはシリルアクリレートコポリマー塗料)、または汚損除去コーティング(例えば、シリコン塗料)である。好適には、エポキシコーティングは、少なくとも0.25重量%、好適には少なくとも0.5重量%、好適には少なくとも1重量%、好適には少なくとも1.2重量%、好適には少なくとも1.4重量%、好適には少なくとも1.6重量%、好適には少なくとも1.8重量%、好適には少なくとも2重量%のDCOITを含み、好適には、エポキシコーティングは、4重量%以下、好適には3.5重量%以下、好適には3重量%以下、好適には2.5重量%以下、好適には2重量%以下、好適には1.8重量%以下のDCOITを含む。
好適には、第2のコーティング層は、0.5重量%未満、好適には0.4重量%未満、好適には0.3重量%未満、好適には0.2重量%未満、好適には0.1重量%未満、好適には0.05重量%未満、好適には0.02重量%未満、好適には0.01重量%未満のDCOITを有する。
好適には、エポキシコーティングは、他の硬化樹脂、例えば、アクリル樹脂、ウレタン、シリコンなどを実質的に含まない。すなわち、エポキシコーティングが含む他の樹脂の総量は、10重量%未満、好適には8重量%未満、好適には6重量%未満、好適には4重量%未満、好適には2重量%未満、好適には1重量%未満である。好適には、エポキシコーティングは、硬化芳香族エポキシ樹脂、好適にはビスフェノールA樹脂またはノボラックエポキシ樹脂、好適にはビスフェノールA樹脂であり、上記の芳香族エポキシ樹脂は、好適には、少なくとも50重量%のビスフェノールA(硬化剤およびDCOITを除く)、好適には、少なくとも60重量%、好適には少なくとも70重量%、好適には少なくとも80重量%、好適には少なくとも90重量%、好適には少なくとも95重量%のビスフェノールAを含む。
好適には、エポキシコーティングの湿潤フィルムの厚さは、少なくとも25ミクロン、好適には少なくとも50ミクロン、好適には少なくとも100ミクロン、好適には少なくとも200ミクロンであり、好適には500ミクロン以下、好適には400ミクロン以下、好適には300ミクロン以下である。好適には、エポキシ層の上にかかる第2のコーティング層の湿潤フィルムの厚さは、少なくとも25ミクロン、好適には少なくとも50ミクロン、好適には少なくとも100ミクロン、好適には少なくとも200ミクロンであり、好適には500ミクロン以下、好適には400ミクロン以下、好適には300ミクロン以下である。湿潤コーティングの硬化の際に形成される乾燥フィルムの厚さは、湿潤コーティング材料の溶媒容量に相当する量で湿潤の厚さ未満であることが予想される。好適には、エポキシコーティングの乾燥(硬化)フィルムの厚さは、少なくとも20ミクロン、好適には少なくとも40ミクロン、好適には少なくとも80ミクロン、好適には少なくとも160ミクロンであり、好適には400ミクロン以下、好適には320ミクロン以下、好適には240ミクロン以下である。好適には、エポキシ層の上にかかる第2のコーティング層の乾燥(硬化)フィルムの厚さは、少なくとも18ミクロン、好適には少なくとも35ミクロン、好適には少なくとも70ミクロン、好適には少なくとも140ミクロンであり、好適には350ミクロン以下、好適には280ミクロン以下、好適には210ミクロン以下である。
好適には、DCOITは、エポキシ樹脂、例えばビスフェノールAまたは他の芳香族エポキシ樹脂、に添加され、エポキシ樹脂は、硬化剤、通常はアミンまたはアミド化合物、を添加することによって硬化される。DCOIT/樹脂/硬化剤混合物は、基板上に塗装され、硬化される。好適には、DCOITは、エポキシ樹脂と混合する前に、溶媒中で溶解またはスラリー化される。適切な溶媒には、例えば、キシレン、石油スピリット、ケトン(例えば、MIBK、MIAK)、およびアルコールが含まれる。好適には、芳香族エポキシ樹脂の硬化剤に対する重量比は、少なくとも2:1、好適には少なくとも2.5:1、好適には少なくとも3:1、好適には少なくとも4:1、好適には少なくとも5:1であり、好適には、芳香族エポキシ樹脂の硬化剤に対する重量比は、7:1以下、好適には6:1以下、好適には5:1以下である。
好適には、DCOITは、放出制御系、すなわち、炭素系吸着剤またはポリマー樹脂に吸着されたDCOIT、または、カプセル化DCOITの形態でエポキシ樹脂に添加される。
ポリマー樹脂の粒子は、好適には、1つ以上のビニルポリマーを含む。好適なビニルポリマーは、窒素、酸素、硫黄、または任意のハロゲンの任意の原子を0〜5%、より好適には0〜2%、より好適には0〜2%、より好適には0〜1%、より好適には0%、の量で有するモノマーの重合ユニットを含む。好適なビニルポリマーは、1つ以上のビニル芳香族モノマーの重合ユニットを1つ以上含む。好適なビニル芳香族モノマーは、炭素および水素以外の原子を有さない。好適には、ビニルポリマー中のビニルモノマーの重合ユニットの量は、ビニルポリマーの重量に基づいて75重量%以上、より好適には90重量%以上、より好適には98重量%以上、より好適には100重量%である。好適なビニル芳香族モノマーは、スチレン、ジビニルベンゼン、およびそれらの混合物である。好適なビニルポリマーは、完全架橋される。好適には、2つ以上の重合性炭素−炭素二重結合を含むモノマーの重合ユニットの量は、10%以上、より好適には50%以上、より好適には75%以上、より好適には90%以上である。
好適には、ポリマー樹脂粒子は、20%以下、より好適には10%以下、より好適には5%以下、より好適には2%以下、より好適には1%以下の膨潤率を有する。ポリマー樹脂粒子の集合は、好適には、0.1ミクロン以上のD50を、好適には120ミクロン以下、より好適には100ミクロン以下、より好適には、80ミクロン以下、より好適には60ミクロン以下のD50を有する。ポリマー樹脂粒子は、好適には、500m2/g以上の特定の表面積を、より好適には700m2/g以上、より好適には950m2/g以上有する。粒子(c)は、好適には、2,000m2/g以下の特定の表面積を有する。好適には、ポリマー樹脂粒子の集合における水の量は、粒子(c)の集合の重量に基づいて5重量%以下、好適には2重量%以下である。本発明のコーティングにおいて、不水溶性殺生物剤の一部または全ては、ポリマー樹脂粒子の表面に吸着すると考えられている。
適切な炭素系吸着剤は、例えば、石炭、木、ヤシ殻、リグニン、または動物の骨から生じるものなどの炭素、炭化水素の気相熱分解から生じるものなどのカーボンブラック、天然または人工黒鉛あるいは黒鉛ウィスカー、瀝青炭、石油、およびコールタールピッチの分解蒸留によって得られるものなどのコークス、高表面積活性化炭素、および樹脂性ポリマーの熱分解によって作られる熱分解炭素質吸着剤(Rohm and Haas Company,Philadelphia,Paから入手できるAMBERSORB熱分解炭素質吸着剤など。熱分解炭素質吸着剤に関するさらなる一般的および具体的詳細、およびそれらの作製の方法に関しては、Carbonaceous Adsorbents for the Treatment of Ground and Surface Waters,J.W.Neely and E.G.Isacoff,Vol 21 of Pollution Engineering and Technology Series,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,pp 41−78(1982)を参照。)好適には、炭素系吸着剤は、1つ以上の活性化炭素および熱分解炭素質吸着剤から選択される。
直接化学活性化によって作られるものなどの高表面積「活性化」炭素が、特に好適である。これらの活性化炭素およびそれらの作製方法に関するさらなる一般的および具体的な詳細については、Petroleum Derived Carbons(by T.M.O‘Grady and A.N.Wennerberg)、American Chemical Society Symposium Series,Vol.303,J.D.Bacha et al.,eds.,American Chemical Society Publications,Washington,D.C.,(1986)が参照され得る。好適には、活性化炭素の表面積は、少なくとも600m2/g、好適には少なくとも800m2/g、好適には少なくとも1000m2/g、好適には少なくとも1200m2/g、好適には少なくとも1400m2/g、好適には2500m2/g以下、好適には2200m2/g以下である。
炭素系吸着剤は、典型的には、平均粒子サイズ、例えば0.01〜5mm(10〜5000ミクロン)のD50、好適には0.02〜2mm、より好適には0.1(100メッシュ未満)〜1mm(約18メッシュ)、を有する粒状物質である。比較的大きい粒子サイズの炭素系吸着剤が使用されるときは、平均粒子サイズは、典型的には、0.5〜3mm、好適には1〜2mm(18メッシュ超)、より好適には1.5〜2mmの範囲である。比較的小さい粒子サイズの炭素系吸着剤が使用されるときは、平均粒子サイズは、典型的には、0.02〜0.3mm、好適には0.03〜0.15mm(30〜150ミクロン、100メッシュ未満)の範囲である。
DCOITは、溶解物または溶液として、DCOITを炭素系吸着剤と混合することによって、炭素に吸着され得る。DCOITのための適切な溶媒は、DCOITを溶解し、それを不安定化せず、炭素系吸着剤と反応しないものである。適切な溶媒は、メタノール、エタノールおよびプロパノールなどのアルコールと、酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどのエステルと、アセトンおよびメチルイソブチルケトンなどのケトンと、キシレンと、石油スピリットと、およびアセトニトリルなどの二トリルを含む。好適な溶媒は、(C1−C4)アルコール、キシレンおよび石油スピリットである。
カプセル化DCOITは、DCOITを含むコア材、および、コア材をカプセル化してカプセルを形成する1つ以上の壁材を備える。加水分解されたポリ酢酸ビニルおよびフェノール樹脂から形成される壁を有するマイクロカプセルが、本目的のために使用され得る。「PVA」という用語は、一部または完全に加水分解されたポリ酢酸ビニルを意味する。部分加水分解されたポリ酢酸ビニルを使用して形成されるマイクロカプセルの場合、カプセルシェルの親水性特性は、壁内に包含されている部分加水分解されたPVAの量を変えることによって調整され得る。好適には、PVAおよびフェノール樹脂組成物(例えば、尿素−レゾルシノール−ホルムアルデヒド)は、部分加水分解されたPVAの約4〜約8重量部、フェノール樹脂の約20〜30重量部の量で、カプセルシェルに包含される。これらのマイクロカプセルを作製するためのカプセル化の手順は、当該技術分野において周知である。任意で、DCOITは、カプセル化を促進するため、置換芳香族溶媒などの溶媒と混合される。
アミノ−ホルムアルデヒドマイクロカプセル(例えば、メラミン−ホルムアルデヒド(「MF」)シェルは、キシレンに対して不浸透性のある非常に安定したマイクロカプセルを提供するが、水中における不浸透性が高すぎるため、従来の防汚塗料用には高い生物学的効率を提供できない傾向がある。シェルの厚さを最適化することによって、マイクロカプセルの望ましい特性のバランスが達成され得ることが分かっている。本発明の一実施形態において、粒子サイズ分布およびシェルと核の比率によるマイクロカプセルシェルの厚さの制御が、拡散能力または持続放出特性をもたらす。好適には、アミノ−尿素−ホルムアルデヒドシェル系に基づいたマイクロカプセル化DCOITにおいて、目標とする壁厚は、約0.1〜約0.2ミクロン、またはシェルの核に対する比率は、平均カプセル直径および全体のカプセルサイズ分布データによって、約0.03/1〜0.05/1重量である。
部分加水分解されたPVAは、アミノ−尿素ホルムアルデヒド壁においてドーパントとして作用する。本発明の一実施形態に従って、本明細書で「ドーパント」と称される化学物質は、水がカプセルからDCOITに浸出する能力を高めるため、マイクロカプセル壁に包含される。ドーパントの代表例は、部分的および完全に加水分解されたPVA、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、およびポリエチレングリコールを含む。使用されるドーパントの量は、壁の性質および厚さによって異なり、特定の実施形態においては、ドーパントは、壁材料の重量基準で、約2〜約10重量%の量で壁に包含される。厚い壁を有するカプセルでは、必要とされるドーパントの量は、より壁の薄いカプセルにおける有効量よりも多いことが見込まれる。
DCOITの水放出または抽出を向上させるために、本発明の一実施形態において、DCOITは部分的に水混和性の溶媒と混合される。部分的水混和性溶媒の例は、例えば、エステルおよびエーテルならびに、より具体的には、二塩基エステル、例えば、アジピン酸ジメチル、またはアジピン酸ジイソブチル、グルタル酸ジイソブチル、およびコハク酸ジイソブチルの混合物、ポリグリコールP−1200、およびグリコールエーテルEBアセタートが挙げられる。水中でおよそ0.5〜5%の範囲の部分的水溶性を有する混和性有機溶媒が、本発明の一実施形態において使用される。水溶性の上限は、絶対的限度ではないが、溶媒がさらに水溶性である場合には、それが連続相中に移行し、DCOITと共に残留せず、その水浸出性を向上させ得ることを反映する。高沸点親水性溶媒、例えば、175℃を超える沸点を有するものが望ましい。この溶媒の沸点が低すぎる場合、カプセル乾燥工程中、溶媒をマイクロカプセル内に維持するのが困難である。好適には、高沸点部分的水混和溶媒は、DCOITの重量基準で、約5〜約50重量%、および、他の実施形態においては、10〜25重量%でコア中に含有される。
好適には、二重壁カプセルが使用される。特に、アクリルポリマーの第1の界面カプセル壁、および、PVA−尿素−レゾルシノール−グルタルアルデヒド(「PVA−URG」)の第2の壁を有する二重カプセル化プロセスが使用され得る。二重アクリル−PVA−URG系は、ホルムアルデヒドを含まない製品を提供するため、有利である。PVA−URGまたはアクリル単独ベースのカプセル化の結果、典型的には、粉末として回収するのが困難な、非常に漏れやすいカプセルが得られる。しかしながら、2つの系を組み合わせてハイブリッドカプセルシェルを形成すると、乾燥自由流動性カプセル粉末が得られる。
好適には、アクリルポリマーの第1の界面カプセル壁およびPVA−尿素−レゾルシノール−ホルムアルデヒド(「PVA−URF」)ポリマーを用いる、二重カプセル化プロセスが使用される。好適には、芳香族ポリイソシアネートの界面反応生成物である第1の壁と、PVA−URF縮合ポリマーの第2の壁を備える二重壁マイクロカプセルが形成される。本発明において使用され得る他のマイクロカプセル壁系は、PVA−URFでさらに再カプセル化されたメラミン−ホルムアルデヒド(「MF」)シェルカプセル、PVA−URGポリマーで再カプセル化されたMFシェルカプセル、MFプロセスで再カプセル化されたPVA−URFシェルカプセル、第1のシェルとしてゼラチン−アラビアゴム、およびMFまたはURF縮合ポリマーの第2のシェルを備える親水性シェルを含む。
二重壁系に関して、MFはキシレンの安定性において著しい改善をもたらし、一方、PVA−URFまたはPVA−URG壁は、シェルにおいてさらなる親水性をもたらし、水性環境におけるDCOITの拡散を促進する。二重壁系は、塗料の製剤中および塗料の噴霧適用中のカプセル損傷を最小限にするシェル強度を提供する。マイクロカプセル化DCOITにおける最終的なシェル特性は、2つの壁材料の厚さを調整して、キシレン安定性および海水中のDCOITの拡散のバランスをもたらすことによって達成される。
好適には、DCOITは、最初に薄い(例えば、約0.1ミクロン未満)MF壁中にカプセル化され、次いで、前記のようなPVA壁中にさらにカプセル化される。この場合において、MF壁は、DCOITが壁成分と反応するのを防止するため、SAS310などの溶媒希釈液の使用は、PVA−URF系を使用するカプセル化には必要ではない場合がある。したがって、この二重カプセル化プロセスは、DCOITが溶媒の効果を弱めることなくカプセル化されることを可能にし、それゆえに、より費用効果の高い製品を提供する。当然ながら、部分的水混和性溶媒は、水浸出性を向上するために、DCOITと共に引き続き使用され得る。
好適には、マルチ−シェルマイクロカプセルは、芳香族ポリイソシアネートの反応を伴う第1の界面壁と、ゼラチン−アラビアゴムの第2のシェルと、MFの第3のオーバーコートカプセル壁と、を備える。イソシアネート/ゼラチン−アラビアゴム/MFの3壁系は、水性環境におけるカプセル壁透過性を制御する単なる別の方法である。イソシアンネート−ゼラチン界面は、キシレン系塗料中への時期尚早なDCOITの拡散を低減する。ポリイソシアネートのPVA−URFとの界面反応は、DCOITをマイクロカプセル化する別の方法を提供する。イソシアネートのPVAまたはポリアミンとの反応により形成されるポリウレタンまたはポリ尿素の界面膜は、キシレン系MAF塗料におけるカプセル安定性を向上させるためのさらなるバリアを提供する。
好適には、マイクロカプセルの第1の壁は、水溶性カチオンアミノ樹脂、例えば、以下に説明される第2のコーティングステップにおいて、アミノ樹脂プレポリマー(つまり、(チオ)尿素(−ホルムアルデヒド)樹脂のプレポリマー、メラミン(−ホルムアルデヒド)樹脂、またはベンゾグアナミン(ホルムアルデヒド)樹脂)を、カチオン調節化学物質との反応によって、変換することによって得られる水溶性アミノ樹脂プレポリマーである。例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂プレポリマーは、周知の方法で、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、グアニジンなどのカチオン調節化学物質、ジシアンジアミド、グアニル尿素、ギ酸ジシアンジアミド、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、オキサゾリジン、ポリフェニル−ビグアニド、または同種のものと一緒に、重縮合反応を受けやすい場合がある。それに関して特に好適な例は、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、またはテトラエチレンペンタミンによって変更された尿素−ホルムアルデヒド樹脂プレポリマーである(市販の代表的な製品は、「U−RAMIN P−1500」の商品名でMitsui Kagaku K.K.から入手可能な、ジエチレントリアミンで修飾された製品であり得る)。水溶性カチオンアミノ樹脂は、好適には、コア材料の100重量部につき、5〜50重量部、詳細には、10〜25重量部で使用され得る。
好適には、マイクロカプセルは、噴霧用途において使用されるために、および塗膜における活性成分のより良好な分布を提供するために、小さくあるべきである。好適には、カプセルサイズの範囲は、約5ミクロン〜約40ミクロン、より典型的には、約5ミクロン〜約20ミクロンである。殺生物剤の分布は、10ミクロン未満などのさらに小さなカプセルにより向上する。
好適には、マイクロカプセルは、塗料配合物中に包含される前に乾燥される。噴霧乾燥を含むマイクロカプセルを乾燥するための任意の従来のプロセスは、この目的のために使用されることができる。しかしながら、いくつかの塗料においては、乾燥せずにマイクロカプセルを塗料中に包含することが可能である。これは水性塗料の場合に特に当てはまる。
好適には、カプセル化殺生物剤は、コーティング組成物を提供するため、フィルム形成性ポリマーまたはバインダー、例えば、海洋塗料、ゲルコート、および類似の塗料における使用に関して提案されたフィルム形成性ポリマーまたはバインダー(例えば、天然または合成樹脂、またはロジンバインダー)と組み合わされる。本発明の一実施形態において、海洋防汚塗料組成物は作製されることができる。そのような塗料は、遊離殺生物剤および本明細書において記載されるマイクロカプセルを、所望の防汚性を付与するために十分な量で塗料中に包含することによって作製することができる。そのような量は、当業者が経験的に容易に決定することができる。本明細書において有用な、文献において報告されている海洋塗料の例は、5〜50重量%、または他の場合においては10〜25重量%のキシレンまたは別の溶媒ベース、20〜30重量%の樹脂バインダーを可塑化するための亜鉛レジネート、10〜20重量%の樹脂バインダー、任意に0〜50重量%、または他の場合においては約30〜40重量%の酸化第一銅顔料、および4〜6重量%のチキソトロピー粘度調節剤を含み得る。別の種類の海洋塗料は、15%〜20%のポリマー固形分(バインダー)、任意に最大5%までのロジン、合計10%〜15%の殺生物剤、30%〜40%の顔料、1%〜3%の添加剤、および30%〜40%の溶媒、典型的にはキシレンを含み得る。さらに別の種類の海洋塗料は、15%〜20%のポリマー固形分、任意に最大5%までのロジン、35%〜50%の酸化銅(II)、最大5%までの全殺生物剤、10%〜15%の顔料、1%〜3%の添加剤、および20%〜30%の溶媒を含み得る。一般的には、成分は次のように完全に混合される:200mlの塗料組成物は、0.5Lの容積の気密性金属容器中に、100ml(かさ容積)の直径2〜3mmのガラスビーズと共に、導入される。次いで、容器を、45分間、メカニカルシェーカー上で振動させる。最終塗料組成物は、ろ過によって、ガラスビーズから分離される。遊離およびマイクロカプセル化DCOIT殺生物剤は、所望の海洋防汚性を提供する量(例えば、合計約1.5重量%〜30重量%)で塗料中に包含される。必要とされる量は、遊離DCOITが乾燥コーティングフィルムから浸出する速度およびカプセル化DCOITがマイクロカプセルから浸出する速度の関数である。一実施形態において、カプセルは、乾燥フィルム中約2%のDCOITを提供する量で添加される。一実施形態において、遊離DCOITは、フィルム形成性ポリマーおよびバインダー固形分の0.25重量%〜15重量%の量で添加される。好適には、遊離DCOITは、5%〜15%の量で添加される。さらに別の実施形態において、遊離DCOITは、8%〜12%、好適には約10%の量で、添加される。
遊離DCOITは、任意の簡便な形態において、本発明の組成物に添加され得る。これは、溶液として添加することを含み、ここにおいて、DCOITは組成物と親和性のある溶媒中に溶解される。好適には、DCOITは、固体物質として添加される。そのような固体物質は、例えば、粉末、フレーク、または溶解物の形態であり得る。一つの簡便な形態は、例えば、Rohm and Haas Companyから入手できるKATHON287T殺菌剤などの工業グレードの活性成分として物質を添加することである。DCOITのカプセル化は、米国特許第7,377,968号に詳細に記載される。
GERSTEL TWISTERのポリジメチルシロキサン(PDMS)をコーティングした撹拌子は、Gerstel Gmbhから購入した。使用された塗料は、市販品として入手した、Interlux MICRON66塗料(「M66」)、INTERSLEEK970塗料(「P970」)、およびINTERSLEEK731(「P731」)であり、以下に説明されるDCOITの添加を除き、製造業者の指示に従って混合した。
塗料を、オービタルシェーカー(Red Devil Inc,USA)を使用してDCOITおよび吸着剤と混合し、ステンレス製ゲージを使用してLeneta試験紙またはアルミホイルに塗った(湿潤フィルム厚500ミクロメーター)。塗料は、一晩乾燥させた。
適切な支持体上の紙(20〜40平方cmの塗面)を、100mlの人口海水を含む120mlのガラスボトル中に浸漬させ、Twister撹拌子を挿入し、撹拌ミキサー上にこのボトルを置いた。撹拌速度は、600rpmであった。1日目、4日目、7日目、14日目、および21日目に、TWISTERバーをボトルから取り出し、ペーパータオルで拭き、1mlのアセトニトリルを含むHPLCバイアルの中に置いた。吸着した殺生物剤を、30分間、35℃で抽出した。抽出後、バーを再度拭き取り、海水/MAF塗料と共に、ボトルに戻した。殺生物剤の濃度は、HPLCで測定した。オートサンプラ、カラム加熱器、およびダイオードアレイ検出器を備えたAgilent1200HPLCは、Chemstationソフトウェアによって制御された。DCOITは、150×4.6cmのUltra C18カラム(Restek Inc)を使用して分析された。同様のアイソクラティック条件(70%のアセトニトリル、2.3ml/分)が使用された。DCOITは、280nmで検出された。放出される殺生物剤の量子化のために、外部標準技術が使用された。Twister撹拌子の限度量は、以前のキャリブレーション基準で、400ミクログラムと推定された。DCOITの累積放出は、コーティング組成物中のDCOITの重量基準で、重量パーセントで報告される。
データは、表内の二重線の上の例にあるように、DCOITがエポキシ層中にあるとき、DCOITが放出制御形態に存在しない(すなわち、炭素または樹脂に吸着される。データの4行目、8行目、および9行目を参照)ときにさえ、はるかに良い放出制御が得られることを示す。データは、放出は、硬化剤に対する重量比のより高い芳香族エポキシ樹脂を使用することによって、最初により良く制御されることも示す。
Claims (10)
- エポキシコーティングを備えるコーティング基板であって、
前記エポキシコーティングが、0.5重量%〜3.5重量%の4,5−ジクロロ−2−n−オクチルイソチアゾリン−3−オンを含み、40ミクロン〜320ミクロンの厚さを有し、およびビスフェノールAの重合ユニットを含む硬化芳香族エポキシ樹脂を含み、
前記基板が第2のコーティング層を有し、前記エポキシコーティングが前記基板と前記第2のコーティング層との間にあり、
4,5−ジクロロ−2−n−オクチルイソチアゾリン−3−オンおよびポリマー樹脂粒子を別個に芳香族エポキシ樹脂に添加し、それに硬化剤を加えることにより、前記エポキシコーティングが調製される、コーティング基板。 - 前記第2のコーティング層が、自己研磨型コーティングである、請求項1に記載のコーティング基板。
- 前記第2のコーティング層が、金属アクリレートコポリマーコーティングである、請求項2に記載のコーティング基板。
- 前記第2のコーティング層が、0重量%より多くかつ0.5重量%未満の4,5−ジクロロ−2−n−オクチルイソチアゾリン−3−オンを有する、請求項3に記載のコーティング基板。
- 前記硬化芳香族エポキシ樹脂が、少なくとも80重量%のビスフェノールAの重合ユニットを含む、請求項1に記載のコーティング基板。
- 前記第2のコーティング層が、自己研磨型金属アクリレートコポリマーコーティングである、請求項5に記載のコーティング基板。
- 前記硬化芳香族エポキシ樹脂が、少なくとも95重量%のビスフェノールAの重合ユニットを含む、請求項6に記載のコーティング基板。
- 前記第2のコーティング層が、0重量%より多くかつ0.5重量%未満の4,5−ジクロロ−2−n−オクチルイソチアゾリン−3−オンを有する、請求項1に記載のコーティング基板。
- 前記エポキシコーティングが、1重量%〜2重量%の4,5−ジクロロ−2−n−オクチルイソチアゾリン−3−オンを含む、請求項1に記載のコーティング基板。
- 前記エポキシコーティングが、1重量%〜2重量%の4,5−ジクロロ−2−n−オクチルイソチアゾリン−3−オンを含む、請求項8に記載のコーティング基板。
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