JP2018203846A - 潤滑油組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】添加剤が混合していても粘度上昇が抑えられ潤滑油組成物を提供する。【解決手段】ポリアルキレングリコール及びポリビニルエーテルから選ばれた少なくとも一種の合成油(以下、「基油」という。)、芳香族環を有する添加剤、及びフラーレンを含み、長径1μm以上の粒子が10mlあたり平均1個未満であることを特徴とする潤滑油組成物を用いる。【選択図】なし
Description
本発明は、フラーレン含有潤滑油組成物及びその製造方法に関する。
近年、高速化、高効率化、省エネルギーに伴い、自動車、家電、工業機械等に使用される潤滑油の性能向上が強く求められている。その用途に適するように特性を改善するために、酸化防止剤、極圧添加剤、錆び止め添加剤、腐食防止剤など様々な添加剤が配合されている。
更に、潤滑効果を向上するためにフラーレンを潤滑油に添加することも試みられている。しかし、フラーレンが、潤滑基油として使用される鉱油、合成油等には溶解しにくいため、フラーレンを溶かすトルエンなど有機溶媒にあらかじめ溶解するなどの工夫が試みられてきた。
特許文献1には、精製度の高い鉱油や合成油の基油に、添加剤としてコハク酸誘導体と、エポキシ化合物を含有させることを特徴とする潤滑油組成物が開示されている。
特許文献2には、鉱油及び/又は合成油からなる潤滑油基油に、β−ジチオフォスホリル化プロピオン酸を配合したことを特徴とする耐摩耗性潤滑油組成物が開示されている。
また、特許文献3には、「フラーレンを高濃度かつ安定に溶解した飽和炭化水素溶液を調製することができるフラーレンの飽和炭化水素溶液の製造方法。フラーレンをトルエンまたはシクロヘキサンに予め溶解させ、この溶液と飽和炭化水素とを混合し、この混合液からトルエンまたはシクロヘキサンを減圧留去してフラーレンを溶解する飽和炭化水素溶液の調製。」ことが開示されている。
しかし、一般的に用いられてきた添加剤を含有させると、潤滑油組成物の粘度が上昇してしまう。粘度上昇のため、潤滑油組成物の低温流動性が悪くなり、均一な油膜を形成することが困難となる。また、粘度上昇と共に、粘性抵抗が増加し、省エネルギー効果の観点からは好ましくない。さらに、高速で使用する場合には、粘度上昇による発熱の増加も問題になる。
本発明者らは、以上の事情に鑑みてなされたものであり、添加剤を配合していても粘度の上昇が抑えられる潤滑油組成物を提供することを課題としている。
本発明は以下[1]〜[5]の発明を含む。
[1] ポリアルキレングリコール及びポリビニルエーテルから選ばれた少なくとも一種の合成油(以下、「基油」という。)、芳香族環を有する添加剤、及びフラーレンを含み、長径1μm以上の粒子が10mlあたり平均1個未満である潤滑油組成物。
[2] フラーレンの濃度が0.001〜1質量%、芳香族環を有する添加剤の濃度が0.001〜6質量%である請求項1に記載の潤滑油組成物。
[3] 前記潤滑油組成物は、内燃機関用、工業用潤滑油である前項[1]または[2]に記載の潤滑油組成物。
[4] 前項[1]〜[3]に記載の潤滑油組成物の製造方法であって、基油とフラーレンとを混合し、フラーレンを基油中に抽出し、基油とフラーレンとの混合物を得る第一工程と、前記混合物に含まれる不溶物を除去し、フラーレン溶液を得る第二工程と、芳香族を有する添加剤をいずれかの工程で基油に添加する第四工程を含む潤滑油組成物の製造方法。
[5] さらに、第二工程で得たフラーレン溶液を基油で希釈し、潤滑油組成物中のフラーレン濃度を調整する第三工程を有する前項[4]に記載の潤滑油組成物の製造方法。
[1] ポリアルキレングリコール及びポリビニルエーテルから選ばれた少なくとも一種の合成油(以下、「基油」という。)、芳香族環を有する添加剤、及びフラーレンを含み、長径1μm以上の粒子が10mlあたり平均1個未満である潤滑油組成物。
[2] フラーレンの濃度が0.001〜1質量%、芳香族環を有する添加剤の濃度が0.001〜6質量%である請求項1に記載の潤滑油組成物。
[3] 前記潤滑油組成物は、内燃機関用、工業用潤滑油である前項[1]または[2]に記載の潤滑油組成物。
[4] 前項[1]〜[3]に記載の潤滑油組成物の製造方法であって、基油とフラーレンとを混合し、フラーレンを基油中に抽出し、基油とフラーレンとの混合物を得る第一工程と、前記混合物に含まれる不溶物を除去し、フラーレン溶液を得る第二工程と、芳香族を有する添加剤をいずれかの工程で基油に添加する第四工程を含む潤滑油組成物の製造方法。
[5] さらに、第二工程で得たフラーレン溶液を基油で希釈し、潤滑油組成物中のフラーレン濃度を調整する第三工程を有する前項[4]に記載の潤滑油組成物の製造方法。
本発明によれば、添加剤を添加していても粘度の向上が抑えられる潤滑油組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施形態に係る潤滑油組成物について説明する。
本発明の実施形態に係る潤滑油組成物は、ポリアルキレングリコール及びポリビニルエーテルから選ばれた少なくとも一種の合成油(以下、「基油」という。)、芳香族環を有する添加剤、及びフラーレンを含み、10mlあたりの長径1μm以上の粒子が平均1個未満である。
本発明の実施形態に係る潤滑油組成物は、ポリアルキレングリコール及びポリビニルエーテルから選ばれた少なくとも一種の合成油(以下、「基油」という。)、芳香族環を有する添加剤、及びフラーレンを含み、10mlあたりの長径1μm以上の粒子が平均1個未満である。
(基油)
基油として、ポリアルキレングリコール及びポリビニルエーテルから選ばれた少なくとも一種の合成油を用いることができる。ポリアルキレングリコールとして、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの付加重合によって得られるオリゴマー等が挙げられる。下記式(1)〜(3)のいずれかで表される構造を有するポリアルキレングリコールが好ましい。ポリビニルエーテルとして、式(4)で表される構成単位を有するものが好ましい。
基油として、ポリアルキレングリコール及びポリビニルエーテルから選ばれた少なくとも一種の合成油を用いることができる。ポリアルキレングリコールとして、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの付加重合によって得られるオリゴマー等が挙げられる。下記式(1)〜(3)のいずれかで表される構造を有するポリアルキレングリコールが好ましい。ポリビニルエーテルとして、式(4)で表される構成単位を有するものが好ましい。
式(1)から(3)中、R1、R2は、水素原子、又は窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜8の炭化水素基である。炭化水素基としては、具体的にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第三ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ベンゾイル基、ベンジルアミノ基、ジエチルアセタール基、1,3−ジオキソラン基、t−ブチルエチルエステル基, 1,3−ジチオラン基、1,3−ジチアン, チオエーテル基等が挙げられる。OAは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。nは、前記オキシアルキレン基の平均付加モル数であり、600〜2000を示す。
(芳香族環を有する添加剤)
添加剤として、芳香族環を有する粘度指数向上剤、清浄分散剤、流動点降下剤、極圧添加剤、固体潤滑剤、油性向上剤、酸化防止剤、さび止め添加剤、抗乳化剤、腐食防止剤などが挙げられる。具体的に、粘度指数向上剤としては、ポリアルキルスチレン、スチレン−ジエンコポリマーの水素化物添加剤など、清浄分散剤としては、ベンジルアミンコハク酸誘導体、アルキルフェノールアミン類など、流動点降下剤としては、塩素化パラフィン−ナフタレン縮合物、塩素化パラフィンーフェノール縮合物、ポリアルキルスチレン系など、極圧添加剤としては、トリフェニルフォスフェート、ジベンジルジサルファイド、アリールリン酸合成、アリール亜リン酸合成、アリールリン酸合成のアミン塩、アリールチオリン酸合成、アリールチオリン酸合成のアミン塩、ナフテン酸など、酸化防止剤には、ヒンダードフェノール、芳香族アミン、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、2,6−ジ−t−ブチル−パラクレゾール(DBPC)、3−アリールベンゾフランー2−オン(ヒドロキシカルボン酸の分子内環状合成)、フェニル−α−ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミン、ベンゾトリアゾールなど、抗乳化剤には、アルキルベンゼンスルホン酸塩など、腐食防止剤としては、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、ジアルキルナフタレンスルホン酸塩などを挙げることができる。
添加剤として、芳香族環を有する粘度指数向上剤、清浄分散剤、流動点降下剤、極圧添加剤、固体潤滑剤、油性向上剤、酸化防止剤、さび止め添加剤、抗乳化剤、腐食防止剤などが挙げられる。具体的に、粘度指数向上剤としては、ポリアルキルスチレン、スチレン−ジエンコポリマーの水素化物添加剤など、清浄分散剤としては、ベンジルアミンコハク酸誘導体、アルキルフェノールアミン類など、流動点降下剤としては、塩素化パラフィン−ナフタレン縮合物、塩素化パラフィンーフェノール縮合物、ポリアルキルスチレン系など、極圧添加剤としては、トリフェニルフォスフェート、ジベンジルジサルファイド、アリールリン酸合成、アリール亜リン酸合成、アリールリン酸合成のアミン塩、アリールチオリン酸合成、アリールチオリン酸合成のアミン塩、ナフテン酸など、酸化防止剤には、ヒンダードフェノール、芳香族アミン、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、2,6−ジ−t−ブチル−パラクレゾール(DBPC)、3−アリールベンゾフランー2−オン(ヒドロキシカルボン酸の分子内環状合成)、フェニル−α−ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミン、ベンゾトリアゾールなど、抗乳化剤には、アルキルベンゼンスルホン酸塩など、腐食防止剤としては、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、ジアルキルナフタレンスルホン酸塩などを挙げることができる。
また、芳香族環を有する添加剤は、潤滑油組成物の使用形態に合わせて抗酸化剤、極圧添加剤として働くものであることが好ましい。上記の添加剤は単独で添加しても良く、これらの中から選ばれる2種以上の添加剤を配合することもよい。
本実施形態における潤滑油組成物中、芳香族環を有する添加剤の濃度は好ましくは0.01〜6質量%であり、より好ましくは0.01〜4質量%であり、さらに好ましくは0.01〜3質量%である。芳香族を有する添加剤の濃度が0.01質量%以上であれば、添加剤としての効果、フラーレンの溶解を促進する効果及び、フラーレンの凝集を抑制する効果が発揮できる。芳香族環を有する添加剤の濃度が6質量%以下であれば、添加剤の添加による粘度の上昇が十分抑制できる。
(フラーレン)
本実施形態では、種々のフラーレンを用いることができる。例えば、C60やC70、さらに高次のフラーレン、あるいはそれらの混合物が挙げられる。入手しやすいことから、フラーレンの中でもC60及びC70が好ましく、C60がより好ましい。混合物の場合は、C60が50質量%以上含まれることが好ましい。
本実施形態では、種々のフラーレンを用いることができる。例えば、C60やC70、さらに高次のフラーレン、あるいはそれらの混合物が挙げられる。入手しやすいことから、フラーレンの中でもC60及びC70が好ましく、C60がより好ましい。混合物の場合は、C60が50質量%以上含まれることが好ましい。
本実施形態における潤滑油組成物中、フラーレンは凝集が少なく、潤滑油組成物10mlあたり長径1μm以上の粒子が1個未満である。この確認は、後述する実施例の方法により行うことができる。
また、本実施形態における潤滑油組成物中、フラーレンの濃度は、好ましくは0.001〜1質量%であり、より好ましくは0.05%〜0.6質量%であり、更に好ましくは0.05%〜0.4質量%である。フラーレン濃度が0.001質量%以上であれば、摩擦係数低減,及び添加剤の添加による粘度上昇を抑効する果が十分期待できる。フラーレンの濃度が1質量%以下であれば、長時間放置しても凝集粒が析出する可能性がさらに少なくなる。
(製造方法)
本実施形態の潤滑油組成物の製造方法は、基油とフラーレンとを混合し、フラーレンを基油中に抽出し、基油とフラーレンとの混合物を得る第一工程と、前記混合物に含まれる不溶物を除去し、フラーレン溶液を得る第二工程と、第二工程で得たフラーレン溶液を基油で希釈し、最終的に得られる潤滑油組成物中のフラーレン濃度を調整する第三工程と、芳香族を有する添加剤(以下、特に断りのない限り「添加剤」という)をいずれかの工程の基油に添加する第四工程を含む。ここで、第四工程は、第一工程前〜第三工程後のいずれかの段階で実施されればよい。但し、第三工程は省略してもよい。
本実施形態の潤滑油組成物の製造方法は、基油とフラーレンとを混合し、フラーレンを基油中に抽出し、基油とフラーレンとの混合物を得る第一工程と、前記混合物に含まれる不溶物を除去し、フラーレン溶液を得る第二工程と、第二工程で得たフラーレン溶液を基油で希釈し、最終的に得られる潤滑油組成物中のフラーレン濃度を調整する第三工程と、芳香族を有する添加剤(以下、特に断りのない限り「添加剤」という)をいずれかの工程の基油に添加する第四工程を含む。ここで、第四工程は、第一工程前〜第三工程後のいずれかの段階で実施されればよい。但し、第三工程は省略してもよい。
(第一工程)
原料フラーレンと基油とを混合し、フラーレンを基油中に抽出する。好ましくは、室温付近または必要に応じて加温しながら、3〜48時間、撹拌しながら前記抽出を行う。攪拌は、一般的な撹拌機でもよいが、好ましくは、超音波分散装置、ホモジナイザー、ボールミル、ビーズミルなどを用いて行うと短時間で所望のフラーレン濃度に抽出しやすい。原料フラーレンの仕込み量は、例えば、最終的に調製したい潤滑油組成物のフラーレン濃度を考慮して、計算上基油に対して所望のフラーレン濃度が得られるフラーレン量の1.2〜5倍、より好ましくは1.2〜3倍とする。1.2倍以上とすることで、抽出可能な溶解物質の量が多くなり、所望のフラーレン濃度を短時間で得やすくなる。また、5倍以下とすることで、後述する第二工程で不要物の除去がし易くなる。さらに、原料フラーレンの消費が抑えられ経済的である。
原料フラーレンと基油とを混合し、フラーレンを基油中に抽出する。好ましくは、室温付近または必要に応じて加温しながら、3〜48時間、撹拌しながら前記抽出を行う。攪拌は、一般的な撹拌機でもよいが、好ましくは、超音波分散装置、ホモジナイザー、ボールミル、ビーズミルなどを用いて行うと短時間で所望のフラーレン濃度に抽出しやすい。原料フラーレンの仕込み量は、例えば、最終的に調製したい潤滑油組成物のフラーレン濃度を考慮して、計算上基油に対して所望のフラーレン濃度が得られるフラーレン量の1.2〜5倍、より好ましくは1.2〜3倍とする。1.2倍以上とすることで、抽出可能な溶解物質の量が多くなり、所望のフラーレン濃度を短時間で得やすくなる。また、5倍以下とすることで、後述する第二工程で不要物の除去がし易くなる。さらに、原料フラーレンの消費が抑えられ経済的である。
(第二工程)
第一工程で得られた混合物には不溶物の粒子として、未溶解のフラーレンの凝集物、場合によっては基油の不純物、製造過程で混入した粒子などが含まれている。それら粒子は、フラーレンの凝集物を招き、また摺動部材等を摩耗させてしまうなどの不具合の原因となる恐れがある。そこで前記不溶物を除去する第二工程を設ける。第二工程としては、潤滑油組成物10mlあたり長径1μm以上の粒子が1個未満になるまで前記不溶物を除去できればよく、例えば、濾過による除去方法、遠心分離による除去方法、それら除去方法の組み合わせなどを挙げることができる。処理時間の点から、少量の潤滑油組成物を得る場合は濾過が好ましく、大量の潤滑油組成物を得る場合は、遠心分離あるいは遠心分離後に濾過を用いることが好ましい。
第一工程で得られた混合物には不溶物の粒子として、未溶解のフラーレンの凝集物、場合によっては基油の不純物、製造過程で混入した粒子などが含まれている。それら粒子は、フラーレンの凝集物を招き、また摺動部材等を摩耗させてしまうなどの不具合の原因となる恐れがある。そこで前記不溶物を除去する第二工程を設ける。第二工程としては、潤滑油組成物10mlあたり長径1μm以上の粒子が1個未満になるまで前記不溶物を除去できればよく、例えば、濾過による除去方法、遠心分離による除去方法、それら除去方法の組み合わせなどを挙げることができる。処理時間の点から、少量の潤滑油組成物を得る場合は濾過が好ましく、大量の潤滑油組成物を得る場合は、遠心分離あるいは遠心分離後に濾過を用いることが好ましい。
前記濾過による除去方法では、例えば、第一工程で得られたフラーレンと基油との混合物を孔径0.1〜1μmのメンブランフィルターを用いて濾過することにより不溶物を除去し、フラーレン溶液として回収する。この濾過は吸引濾過または加圧濾過にすると時間短縮が図れるので好ましい。
遠心分離による除去方法では、例えば、第一工程で得られたフラーレンと基油との混合物に対して遠心分離処理を施し上澄み部を不溶物除去後のフラーレン溶液として回収する。
(第三工程)
第二工程で得たフラーレン溶液を、該潤滑油組成物中のフラーレン濃度が所望の濃度となるように、第一工程で用いた基油と同種類の基油または異種類の基油で希釈する。以下、特に断りのない限り、希釈を目的とする基油を「希釈基油」と言う。なお、第二工程で得たフラーレン溶液が所望の組成の潤滑油組成物となっている場合は、第三工程を省略できる。
第二工程で得たフラーレン溶液を、該潤滑油組成物中のフラーレン濃度が所望の濃度となるように、第一工程で用いた基油と同種類の基油または異種類の基油で希釈する。以下、特に断りのない限り、希釈を目的とする基油を「希釈基油」と言う。なお、第二工程で得たフラーレン溶液が所望の組成の潤滑油組成物となっている場合は、第三工程を省略できる。
(第四工程)
所望の添加剤濃度を有する潤滑油組成物を得るために、第一工程前〜第三工程後のいずれかの段階で、基油(フラーレン等を含んでいてもよい。また、希釈基油でもよい。)と適量な添加剤とを混合し、好ましくは、室温又は必要に応じて加温条件下30分〜2時間撹拌する。第四工程は、第一工程前〜第三工程後のいずれかの段階で1回又は複数回行ってもよい。
所望の添加剤濃度を有する潤滑油組成物を得るために、第一工程前〜第三工程後のいずれかの段階で、基油(フラーレン等を含んでいてもよい。また、希釈基油でもよい。)と適量な添加剤とを混合し、好ましくは、室温又は必要に応じて加温条件下30分〜2時間撹拌する。第四工程は、第一工程前〜第三工程後のいずれかの段階で1回又は複数回行ってもよい。
添加剤の添加量は、最終に得られる潤滑油組成物において、所望する添加剤濃度になるように、適量に調整する。
第四工程は、できるだけ早い工程で実施することが好ましい。例えば、第一工程前に、基油と添加剤とを混合し、添加剤を含有する基油を第一工程で用いると、フラーレンを第二工程で抽出しやすくし、時間短縮が図れる観点からより好ましい。
また、第三工程で、添加剤を含有する希釈基油を用いてもよい。希釈基油中の添加剤濃度を、第二工程で得たフラーレン溶液中の添加剤濃度と同じにしておくと、希釈基油による希釈率に、得られる潤滑油組成物中の添加剤濃度が依存しなくなるので好ましい。
(用途)
本実施形態の潤滑油組成物は、内燃機関用、工業用潤滑油として使用ができる。具体的に、車用エンジン油、ディーゼルエンジン油、ガスエンジン油、発電エンジン油等;マシン油、軸受油、駆動伝達装置用油、冷凍機油、タービン油、油圧作動油、コンプレッサー油、ギヤ油、摺動面油、スピンドル油、ウォームギヤ油、レシプロコンプレッサ油などが挙げられる。
本実施形態の潤滑油組成物は、内燃機関用、工業用潤滑油として使用ができる。具体的に、車用エンジン油、ディーゼルエンジン油、ガスエンジン油、発電エンジン油等;マシン油、軸受油、駆動伝達装置用油、冷凍機油、タービン油、油圧作動油、コンプレッサー油、ギヤ油、摺動面油、スピンドル油、ウォームギヤ油、レシプロコンプレッサ油などが挙げられる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について述べたが、本発明は特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(フラーレン濃度の測定)
フラーレンの合成油溶液等を試料とし、試料中のフラーレンの濃度は、分光光度計((株)島津製作所;紫外可視分光光度計UV−1700)を用いて、試料をトルエンで希釈し、このトルエン溶液の381nmにおける吸光度を測定することで実施した。なお、同種のフラーレンのトルエン溶液であらかじめ作成した検量線を用いた。
フラーレンの合成油溶液等を試料とし、試料中のフラーレンの濃度は、分光光度計((株)島津製作所;紫外可視分光光度計UV−1700)を用いて、試料をトルエンで希釈し、このトルエン溶液の381nmにおける吸光度を測定することで実施した。なお、同種のフラーレンのトルエン溶液であらかじめ作成した検量線を用いた。
(1μm以上の粒子数の測定)
潤滑油組成物を30℃で3日間放置後、その10mlを0.1μmのメンブランフィルターで濾過し、メンブランフィルターの濾過面を走査型電子顕微鏡で観察し、長径1μm以上の粒子を数えた。この濾過〜走査型電子顕微鏡観察までを3回繰り返し、粒子数の平均値を得た。
潤滑油組成物を30℃で3日間放置後、その10mlを0.1μmのメンブランフィルターで濾過し、メンブランフィルターの濾過面を走査型電子顕微鏡で観察し、長径1μm以上の粒子を数えた。この濾過〜走査型電子顕微鏡観察までを3回繰り返し、粒子数の平均値を得た。
(粘度の測定)
回転粘度計(Brookfield製 デジタル粘度計 DV−E、スピンドルSC4−18、回転数50rpm)を用い、25℃で、潤滑油組成物を試料として粘度を測定した。なお、粘度上昇率は、試料に用いられている基油についても同様に粘度を測定し、以下の通り求めた。
粘度上昇率(%)=([試料の粘度]/[基油の粘度]−1)×100
回転粘度計(Brookfield製 デジタル粘度計 DV−E、スピンドルSC4−18、回転数50rpm)を用い、25℃で、潤滑油組成物を試料として粘度を測定した。なお、粘度上昇率は、試料に用いられている基油についても同様に粘度を測定し、以下の通り求めた。
粘度上昇率(%)=([試料の粘度]/[基油の粘度]−1)×100
(摩擦係数の測定)
潤滑油組成物を試料として、ピンオンディスクトライボメーター(Antonparr製)を用いて、25℃、荷重10N、回転速度10rpm、回転数300回の条件で摩擦係数を測定した。
潤滑油組成物を試料として、ピンオンディスクトライボメーター(Antonparr製)を用いて、25℃、荷重10N、回転速度10rpm、回転数300回の条件で摩擦係数を測定した。
(材料)
以下の製品を各実施例・比較例で用いた。
(フラーレン)
原料フラーレン;フロンティアカーボン(株)製nanom(登録商標) mix ST(C60:60質量%、C70:25質量%、残部が他高次フラーレンの混合物。)
(基油)
基油A(ポリアルキレングリコール);出光興産社製ダフニー ハーメチックオイルPS(主成分:H−{OCH(CH3)CH2}nOH)
基油B(ポリビニルエーテル);出光興産社製ダフニー ハーメチックオイル FVC32D (主成分:(CH3)2CHCH2OCH(CH3)CH2CH2OH)
(添加剤)
トリクレジルホスフェート;和光純薬工業(株)製 特級リン酸トリクレジル
BHT;東京化成工業(株)製2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール
リン酸トリブチル;東京化成工業(株)特級
ジアルキルジチオリン酸亜鉛;アデカ製:アデカキクルーブZ−112
以下の製品を各実施例・比較例で用いた。
(フラーレン)
原料フラーレン;フロンティアカーボン(株)製nanom(登録商標) mix ST(C60:60質量%、C70:25質量%、残部が他高次フラーレンの混合物。)
(基油)
基油A(ポリアルキレングリコール);出光興産社製ダフニー ハーメチックオイルPS(主成分:H−{OCH(CH3)CH2}nOH)
基油B(ポリビニルエーテル);出光興産社製ダフニー ハーメチックオイル FVC32D (主成分:(CH3)2CHCH2OCH(CH3)CH2CH2OH)
(添加剤)
トリクレジルホスフェート;和光純薬工業(株)製 特級リン酸トリクレジル
BHT;東京化成工業(株)製2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール
リン酸トリブチル;東京化成工業(株)特級
ジアルキルジチオリン酸亜鉛;アデカ製:アデカキクルーブZ−112
(実施例1)
基油A250gと原料フラーレン0.375gとを混合し、室温でスターラーを用いて36時間撹拌した。次に、孔径0.1μmのメンブランフィルターで濾過して、フラーレンを含有した濾液を得た。この濾液の、フラーレン濃度は0.132質量%であった。基油と同じ種類の希釈基油80.67gを用いて、この濾液を希釈した。さらに、添加剤としてトリクレジルホスフェートを0.331g添加し、スターラーを用いて、室温で1h撹拌して溶解した。その結果、表1に記載のフラーレン濃度及び添加剤濃度を有する潤滑油組成物を得た。なお、添加剤濃度は仕込量より計算をした。また、この潤滑油組成物について表1に記載の測定を行った。
基油A250gと原料フラーレン0.375gとを混合し、室温でスターラーを用いて36時間撹拌した。次に、孔径0.1μmのメンブランフィルターで濾過して、フラーレンを含有した濾液を得た。この濾液の、フラーレン濃度は0.132質量%であった。基油と同じ種類の希釈基油80.67gを用いて、この濾液を希釈した。さらに、添加剤としてトリクレジルホスフェートを0.331g添加し、スターラーを用いて、室温で1h撹拌して溶解した。その結果、表1に記載のフラーレン濃度及び添加剤濃度を有する潤滑油組成物を得た。なお、添加剤濃度は仕込量より計算をした。また、この潤滑油組成物について表1に記載の測定を行った。
(実施例2〜6)
基油の種類、原料フラーレンの仕込み量、希釈基油の添加量、添加剤の種類、添加剤の添加量、及び添加剤の濃度を表1に示したように変えた以外は実施例1と同様の操作及び測定を行い、表1に記載した結果を得た。
基油の種類、原料フラーレンの仕込み量、希釈基油の添加量、添加剤の種類、添加剤の添加量、及び添加剤の濃度を表1に示したように変えた以外は実施例1と同様の操作及び測定を行い、表1に記載した結果を得た。
(比較例1〜2)
比較例1〜2は、基油A及び基油Bを孔径0.1μmのメンブランフィルターで濾過することのみ行い、得られた濾液を潤滑油組成物として扱い、実施例1と同様に測定を行なった。
比較例1〜2は、基油A及び基油Bを孔径0.1μmのメンブランフィルターで濾過することのみ行い、得られた濾液を潤滑油組成物として扱い、実施例1と同様に測定を行なった。
(比較例3)
比較例3は、基油A250gを孔径0.1μmのメンブランフィルターで濾過した。次に、添加剤トリクレジルホスフェート0.250gを濾液に添加し、スターラーを用いて室温で1h撹拌し、表1に記載の添加剤濃度を有する潤滑油組成物を得た。実施例1と同様に測定を行なった。
比較例3は、基油A250gを孔径0.1μmのメンブランフィルターで濾過した。次に、添加剤トリクレジルホスフェート0.250gを濾液に添加し、スターラーを用いて室温で1h撹拌し、表1に記載の添加剤濃度を有する潤滑油組成物を得た。実施例1と同様に測定を行なった。
(比較例4〜6)
基油の種類、添加剤の種類、添加剤の添加量、及び添加剤の濃度は表1に示したように変えた以外は比較例3と同様の操作及び測定を行い、結果を表1に記載した。
基油の種類、添加剤の種類、添加剤の添加量、及び添加剤の濃度は表1に示したように変えた以外は比較例3と同様の操作及び測定を行い、結果を表1に記載した。
(比較例7〜10)
基油の種類、原料フラーレンの仕込み量、希釈基油の添加量、添加剤の種類、添加剤の添加量及び添加剤の濃度を表1に示したように変えた以外は実施例1と同様の操作及び測定を行い、表1に記載した結果を得た。
基油の種類、原料フラーレンの仕込み量、希釈基油の添加量、添加剤の種類、添加剤の添加量及び添加剤の濃度を表1に示したように変えた以外は実施例1と同様の操作及び測定を行い、表1に記載した結果を得た。
上記実施例・比較例の結果を表1に示す。
表1に示すように、比較例と比べ、実施例では、摩擦係数が小さく良好な潤滑性を示すことがわかる。また、フラーレンを含有しない比較例3〜6、及び芳香族環を有しない添加剤とフラーレンを有する比較例3〜10と比べ、実施例では特性が改善されているにもかかわらず粘度が上昇しないことがわかる。さらに、実施例の潤滑油組成物では、長時間を放置しても長径1μm以上の粒子は1個未満であった。これは、凝集粒子を極力取り除くことおよび芳香族有する添加剤がフラーレンの凝集を抑制することにより、フラーレンのさらなる凝集粒の成長が抑えられたものと考えられる。
Claims (5)
- ポリアルキレングリコール及びポリビニルエーテルから選ばれた少なくとも一種の合成油(以下、「基油」という。)、芳香族環を有する添加剤、及びフラーレンを含み、長径1μm以上の粒子が10mlあたり平均1個未満である潤滑油組成物。
- フラーレンの濃度が0.001〜1質量%、芳香族環を有する添加剤の濃度が0.001〜6質量%である請求項1に記載の潤滑油組成物。
- 前記潤滑油組成物は、内燃機関用、工業用潤滑油である請求項1または2に記載の潤滑油組成物。
- 請求項1〜3に記載の潤滑油組成物の製造方法であって、基油とフラーレンとを混合し、フラーレンを基油中に抽出し、基油とフラーレンとの混合物を得る第一工程と、前記混合物に含まれる不溶物を除去し、フラーレン溶液を得る第二工程と、芳香族を有する添加剤をいずれかの工程で基油に添加する第四工程を含む潤滑油組成物の製造方法。
- さらに、第二工程で得たフラーレン溶液を基油で希釈し、潤滑油組成物中のフラーレン濃度を調整する第三工程を有する請求項4に記載の潤滑油組成物の製造方法。
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JP2017108986A JP2018203846A (ja) | 2017-06-01 | 2017-06-01 | 潤滑油組成物及びその製造方法 |
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