JP2018203591A - セラミックス焼結体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】気相中における有機質及び無機質の有害物質の除去を行えるだけでなく、同時に粒子状物質の除去も行えるセラミックス焼結体及びその製造方法の提供。【解決手段】無機質吸着材と、リチウム塩と、造孔材とを混合して混合物のスラリーを作り、この混合物スラリーを脱水して造粒し、造粒により得られた成形体を焼成して造孔材が消失した焼成体とすることで、細孔を有する無機質吸着材と、前記無機質吸着材に混合されたリチウム塩と、前記無機質吸着材に混合された造孔材が焼成時に消失して形成された空隙孔とを有する多孔質体からなるセラミックス焼結体を製造する方法。前記空隙孔の孔内壁にはリチウウ塩が含有し、細孔を有する無機吸着材がゼオライトである、セラミックス焼結体。【選択図】図1

Description

本発明は、セラミックス焼結体及びその製造方法に関する。
近年の大気汚染などの環境汚染は世界的に深刻な問題となっており、有害ガスの発生や二酸化炭素などの温室効果ガスの発生に対する抑制の取り組みが地球規模における課題となっている。また家屋内環境に関しても、室内空気の浄化の問題や、建築内装材に使用する化学物質に起因するシックスハウス症候群対策の問題があり、それらの問題を解決するための技術開発が進められている。
空気中の有機ガスを除去する技術として例えば下記特許文献1には、吸着材として無機シリカ系多孔質材料を用いて、酸素原子及び/又は窒素原子含有有機化合物を空気中から除去する有機化合物除去方法が記載されている。そして前記無機シリカ系多孔質材料として、合成ゼオライト、天然ゼオライト、シリカゲルなどを用いることが同文献に記載されている。しかしながら、同文献発明は、アルコール、エーテル、アルデヒド、アミドなどの特定有機化合物を除去するにとどまるものであって、大気汚染源である無機系有害物質までも除去するものではない。
また下記特許文献2には、活性炭及び/又はゼオライトを含んでなる核と無機質吸着材を含んでなる被覆層を有する焼結積層吸着体を用いてホルマリン、アニリン、メチルケトンなどの臭気成分を吸着除去することが記載されている。しかしながら、同文献発明は、臭気成分を吸着除去するだけのものであり、無機系有害物質までも除去するものではない。このように従来の気相中における有害物質の除去は、特定の化合物のみを除去するものであって、大きさ、性状の異なる異種類の有害物質までも同時に除去するものではなかった。
更に下記特許文献3には、木質炭素化物又は木質バイオマスと、無機質材料と、アルカリ土類金属水酸化物と、水とを混練して混練物を調製し、これを成型して硬化させた後、
焼結して得られる気相環境浄化材が記載されている。前記無機質材料としてゼオライトが挙げられている。
特開2015−139721号公報 特開平10−180092号公報 特開2010−52992号公報
上記特許文献3に記載された気相環境浄化材によれば、排気ガス、特に人体に有害な窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)を除去できるが、除去能力が十分ではないという問題点があった。特に粒子状物質の粒径によっては、粒子状物質に対する捕捉能力が小さく、また一旦捕捉された粒子状物質が離脱するという不具合があった。
本発明は上記従来技術の問題点に鑑みなされたもので、気相中における有機質及び無機質の有害物質の除去を行えるだけでなく、同時に粒子状物質の除去も行えるセラミックス焼結体及びその製造方法を提供することを目的とする。また本発明は気相中における有害物質および粒子状物質に対する吸着能に優れ、吸着除去率を大幅に向上できるセラミックス焼結体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するための手段として、
(1)細孔を有する無機質吸着材と、前記無機質吸着材に混合されたリチウム塩と、前記無機質吸着材に混合された造孔材が焼成時に消失して形成された空隙孔とを有する多孔質体からなることを特徴とするセラミックス焼結体、
(2)前記リチウム塩と前記空隙孔は前記多孔質体に不規則に分散して存在している前記(1)に記載のセラミックス焼結体、
(3)前記空隙孔の孔内壁にリチウム塩が含有されている前記(1)又は(2)に記載のセラミックス焼結体、
(4)前記細孔を有する無機質吸着材がゼオライトである前記(1)〜(3)のいずれかに記載のセラミックス焼結体、
(5)前記リチウム塩が炭酸リチウムである前記(1)〜(4)いずれかに記載のセラミックス焼結体、
(6)前記造孔材がマイクロビーズである前記(1)〜(5)のいずれかに記載のセラミックス焼結体、
(7)前記(1)〜(6)のいずれかに記載のセラミックス焼結体を製造するに当たり、無機質吸着材と、リチウム塩と、造孔材とを混合して混合物のスラリーを作り、この混合物スラリーを脱水して造粒し、造粒により得られた成形体を焼成して造孔材が消失した焼成体を得ることを特徴とするセラミックス焼結体の製造方法を提供する。
本発明のセラミックス焼結体は、細孔を有する無機質吸着材と、前記無機質吸着材に混合されたリチウム塩と、前記無機質吸着材に混合された造孔材が焼成時に消失して形成された空隙孔とを有する多孔質体からなるものであるから、気相中における有機質、無機質の有害物質を除去できるだけでなく、粒子状物質特に微小粒子状物質も同時に除去できる効果がある。
また本発明によれば、気相中における有害物質および粒子状物質に対する吸着能に優れ、除去効率を大幅に向上できる効果がある。
本発明の製造方法によれば、造孔材の種類や大きさを選択することにより、任意形状の空隙孔を形成することが可能であると共に、所望の体積を有する空隙孔を容易に形成することができる。
本発明実施形態のセラミックス焼結体における電気抵抗を測定する方法を示す説明図である。 本発明実施形態のセラミックス焼結体における微小粒子の吸着除去率を測定する方法を示す説明図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明実施形態におけるセラミックス焼結体は、細孔を有する無機質吸着材と、前記無機質吸着材に混合されたリチウム塩と、前記無機質吸着材に混合された造孔材が焼成時に消失して形成された空隙孔とを有する多孔質体からなるものである。以下、前記細孔と前記空隙孔との混同を避けるため、前記細孔を「細孔A」と表記し、前記空隙孔を「空隙孔B」と表記する。セラミックス焼結体の製造に当たり、成形材料として無機質吸着材が用いられる。無機質吸着材は、セラミックス焼結体を構成する多孔質体の母材を形成するもので、微細な細孔Aを有している。この細孔Aを有する無機質吸着材として、多孔質粘土鉱物を用いることができる。多孔質粘土鉱物としては、例えば天然ゼオライト、合成ゼオライト、シリカゲル、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、シリカアルミナ、珪藻土、含水ケイ酸マグネシウム質粘土鉱物、活性ベントナイト、アルミノケイ酸塩などの内から選択された1種又は2種以上の混合物を用いることができる。特に、天然ゼオライト又は合成ゼオライト(以下、単にゼオライトという)を用いることが好ましい。ゼオライトは通常直径0.2nm〜1.0nmの細孔Aを有する多孔質構造であり、吸着能やイオン交換能などを有するという特性を持っている。ゼオライトの粒径としては25μm〜300μmが好ましく、50μm〜150μmがより好ましい。
セラミックス焼結体の製造に当たり、成形材料として上記無機質吸着材にリチウム塩が混合される。従って、セラミックス焼結体を構成する多孔質体には、無機質吸着材に混合されたリチウム塩が存在している。本実施形態に用いるリチウム塩として、炭酸リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、塩化リチウム、クエン酸リチウムなどが挙げられるが、炭酸リチウムを用いることが好ましい。リチウム塩は多孔質体に不規則に分散して存在している。
多孔質体は、無機質吸着材の多孔質構造内に形成されている無数の微細な細孔Aを有すると共に、焼成時の造孔材の消失により形成される空隙孔Bを多数有している。セラミックス焼結体の製造に当たり、成形材料として上記無機質吸着材にリチウム塩及び造孔材が混合される。焼成工程時に造孔材が分解又は燃焼して消失することにより、その消失した部位に空隙孔Bが形成される。多孔質体に形成された多数の空隙孔Bは多孔質体に不規則に分散して存在している。
空隙孔Bの大きさは無機質吸着材が有している細孔Aの大きさより大きい。空隙孔Bの形状、大きさは造孔材の形状、大きさによって定まる。例えば、造孔材が球状であれば、空隙孔Bは円形状の孔形状となり、造孔材が多角形状であれば、空隙孔Bは非円形状の孔形状となる。また空隙孔Bの孔径については、焼成時の無機質吸着材の収縮の度合いを考慮して適宜大きさ(例えば粒径)の造孔材を選定することにより、所定の空隙孔B孔径とすることができる。本実施形態において、空隙孔Bの孔径は、無機質吸着材の有する細孔Aの孔径よりも大きく形成され、空隙孔Bが円形状である場合、空隙孔Bの孔径(直径)は、2.5μm〜10μmが好ましい。空隙孔Bが非円形状である場合、空隙孔Bの最大孔径(直径)が2.5μm〜10μmであり、最小孔径(直径)が2.5μm〜5μmであることが好ましい。無機質吸着材がゼオライトである場合、ゼオライトの細孔Aの孔径(直径)は0.2nm〜1.0nmであるから、前記した空隙孔Bの孔径(直径)とゼオライトの細孔Aの孔径(直径)とを比較すると、空隙孔Bの孔径はゼオライトの細孔Aの孔径よりもはるかに大きい数値となる。
空隙孔Bを形成するためには、焼成工程時の焼成温度まで加熱温度を上げた場合に、造孔材が分解又は燃焼して消失する必要がある。以下、無機質吸着材としてゼオライトを用い、またリチウム塩として炭酸リチウムを用いた場合を例にとり空隙孔形成手段について説明する。ゼオライトと炭酸リチウムと造孔材をスラリー状態で混合し、脱水して造粒し、造粒により得られた成形体を250℃〜700℃で焼成する。この焼成温度で造孔材は分解又は燃焼して消失する。造孔材が消失した部位には、空隙孔Bが形成されるが、造孔材の体積に見合う容積の空隙孔Bが形成される訳ではない。焼成工程でゼオライトは収縮するため、形成される空隙孔Bの容積もその分小さくなる。通常、10分の1程度に縮小される。造孔材の種類、材質によっては分解・燃焼残渣が空隙孔B内に生じる場合があるが、できれば分解・燃焼残渣を生じないか、或いは分解・燃焼残渣が生じてもその残渣量が少ない造孔材を選択することが好ましい。前記焼成工程における焼成により焼成体が得られ、この焼成体がセラミックス焼結体を構成する。
本明細書において、「造孔材が消失する」とは、焼成時の熱で造孔材が分解又は燃焼して原形が無くなることを意味する。従って、焼成により分解・燃焼残渣が生じても、或いは生じなくても、ここにいう「造孔材が消失する」に該当する。
造孔材は焼成工程時の焼成温度で分解又は燃焼して消失するものであればいかなる材料のものでもよい。本実施形態において造孔材として、例えばマイクロビーズ、竹炭、木炭、米ぬか、おが屑、天然繊維・化学繊維などの繊維、澱粉などを用いることができ、なかでもマイクロビーズを用いることが好ましい。マイクロビーズとはマイクロプラスチックとも称され、微小粒径の球状プラスチックをいう。マイクロビーズの粒径は10μm〜500μmが好ましい。マイクロビーズの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを用いることができる。
マイクロビーズは溶融状の樹脂を小滴状に噴霧して球状の樹脂粒子を製造する方法により得ることができる。粒径の大きさの異なるマイクロビーズを複数種類用意しておけば、それらの中から任意の粒径のものを選択して用いることにより、その粒径に対応した空隙孔Bを多孔質体に形成することができる。このように、マイクロビーズは人工的に所定の粒径のものを製造することができるので、造孔材として均一粒径のものを得ることができ、また粒径の大きさの異なるものを揃えることが可能となる。
造孔材としてマイクロビーズを用いた場合は、多孔質体に形成される空隙孔Bを均一にできる利点がある。しかしながら、本実施形態において、多孔質体の空隙孔Bを均一に形成することに限定されるものではない。即ち、空隙孔Bの大きさの異なる複数の空隙孔Bが形成されていてもよい。このような大きさの異なる空隙孔Bを形成するには、それに対応した粒径の異なる複数のマイクロビーズを混合し、この混合物を造孔材として用いればよい。
無機質吸着材がゼオライトである場合、上記したようにゼオライトの細孔Aの孔径(直径)は0.2nm〜1.0nmであり、このような微細多孔質構造により、例えば、ホルムアルデヒド、トルエン、アセトン、エタノール、プロパン、ブタン、塩化メチルなどの揮発性有機化合物(VOC)を吸着除去することができると共に、一酸化窒素、二酸化窒素、亜酸化窒素などの窒素酸化物(NOx)を吸着除去することができる。
また多孔質体に形成される空隙孔Bが円形状である場合、空隙孔Bの孔径(直径)は、2.5μm〜10μmであり、空隙孔Bが非円形状である場合、空隙孔Bの最大孔径(直径)が2.5μm〜10μmであり、最小孔径(直径)が2.5μm〜5μmであるから、このような空隙孔構造により、微小粒子状物質(PM2.5)を的確に捕捉し吸着除去できる。このように本実施形態におけるセラミックス焼結体によれば、揮発性有機化合物(VOC)、窒素酸化物(NOx)のみならず微小粒子状物質(PM2.5)をも同時に吸着除去できるものである。
ここで、無機質吸着材がゼオライトであり、リチウム塩が炭酸リチウムであり、また造孔材がマイクロビーズである場合の本実施形態について説明すると、多孔質体(セラミックス焼結体)の母材はゼオライトであり、ゼオライト(母材)には多数の空隙孔Bが形成されている。多数の空隙孔Bは前述したように造孔材の消失により孔構造として形成されたものである。造孔材がマイクロビーズであるので、その球状形状に対応して、空隙孔Bも円形の孔構造となる。多数の空隙孔Bは多孔質体に不規則状に分散し且つ空隙孔B相互は連通している。また多孔質体には炭酸リチウムが不規則に分散した状態で含有されている。即ち、炭酸リチウムはゼオライトと混和状態で且つ不均一分布状態で含有されている。後述するように、炭酸リチウムは空隙孔Bの孔内壁面にも存在している。
炭酸リチウムが空隙孔Bの孔内壁面にも存在していることによって、空隙孔Bはリチウムイオンによる吸着能を有しているものと考えられる。即ち、空隙孔Bの孔内壁面に含有されている炭酸リチウムによってリチウムイオンの作用が生じ、リチウムイオンによる吸着能が発揮されるものと考えられる。ゼオライトはその多孔質構造により吸着能を有しており、従って、ゼオライトに形成された空隙孔Bも吸着能を有するため微小粒子状物質(PM2.5)を吸着する能力があるが、炭酸リチウムの存在によってその能力が増大する。即ち、空隙孔Bの孔内壁に存在している炭酸リチウムリチウムはイオン性化合物であるから、リチウムイオンが吸着能に関与する作用が発揮されると考えられ、それにより、空隙孔Bにおける微小粒子状物質(PM2.5)に対する吸着能力が向上し、微小粒子状物質(PM2.5)の吸着除去量を大幅に増大できるものである。
従って、本実施形態によるセラミックス焼結体によれば、空隙孔Bにより効率よく微小粒子状物質(PM2.5)を吸着除去でき、微小粒子状物質(PM2.5)に対する除去能力が大きい。また微小粒子状物質(PM2.5)に対する空隙孔B内への捕捉能力が大きいため、一旦捕捉された微小粒子状物質(PM2.5)が空隙孔Bから離脱してセラミックス焼結体外方に逃げてしまうということもない。
炭酸リチウムはゼオライトと混和状態で含有されているので、ゼオライトの多孔質構造(細孔A)により揮発性有機化合物(VOC)および窒素酸化物(NOx)を吸着除去する場合にも上記と同様のことがいえ、ゼオライトがその多孔質構造により有している吸着能は、炭酸リチウムの働きでより増大される。即ち、リチウムイオンが吸着能に関与する作用が発揮され、細孔Aにおける揮発性有機化合物(VOC)および窒素酸化物(NOx)に対する吸着能力が向上し、前記VOCおよびNOxの吸着除去量を大幅に増大できるものである。
本実施形態において、セラミックス焼結体の内部に存在する空隙孔Bの孔径よりも、表面に存在する空隙孔Bの孔径を大きくすることが好ましい。このように構成することで微小粒子状物質(PM2.5)の空隙孔Bへの導入を容易にすることができ、入り口段階で微小粒子状物質(PM2.5)が逃げてしまうのを極力防止できる。この場合、大きな孔径の空隙孔Bに続いて、内部に行くにしたがって次第に孔径が小さくなる空隙孔Bが順次配置されるように構成することが好ましい。このように構成することで、微小粒子状物質(PM2.5)が吸着されるための経路が規則的に形成され、効率の良い吸着が可能となる。
本実施形態によるセラミックス焼結体により吸着除去する有害物質は、揮発性有機化合物(VOC)、窒素酸化物(NOx)および微小粒子状物質(PM2.5)に限定されるものではなく、VOC、NOx以外の有機質、無機質の有害物質や、PM2.5以外の粒子状物質に対しても同様に吸着除去できるものであり、いずれの場合も大きな除去能力を発揮できるものである。
本実施形態において、成形原料中のリチウム塩の配合量、即ち、無機質吸着材と、リチウム塩と、造孔材との混合物の全体重量(いずれも固形分としての重量)に対する配合量は、0.1重量%〜10重量%が好ましい。セラミックス焼結体中におけるリチウム塩の含有量も同様に、0.1重量%〜10重量%が好ましい。リチウム塩の含有量が0.1重量%未満だと有機質、無機質の有害物質や、粒子状物質に対する吸着能が十分でなく、また10重量%を超えると成形性が低下する。更に、セラミックス焼結体の全体積中に占める空隙孔Bの比率、即ち空隙率は、40%〜80%が好ましい。空隙率が40%未満だと粒子状物質に対する吸着能が十分でなく、また80%を超えると成形性が低下する上、強度が低下する。
次に、本実施形態におけるセラミックス焼結体の製造方法を説明する。以下、無機質吸着材としてゼオライトを用い、リチウム塩として炭酸リチウムを用い、また造孔材としてマイクロビーズを用いた場合の製造方法について説明する。
まず、粉末状のゼオライトに水を加えてスラリー状とする。この場合、成形原料に可塑性を付与して成形性を良好にするためバインダー材料として可塑性粘土を混合することが好ましい。可塑性粘土として、例えば、珪藻土、カオリン、ハロイサイト、ベントナイト、酸性白土、セピオライト、アタパルジャイトなどの内の1種又は2種以上の混合物を適用することができる。
一方、所定粒径に分級したマイクロビーズを用意し、所定量のマイクロビーズに粉末状の炭酸リチウムを添加混合し、この混合物に水を加えてスラリー状とする。前記ゼオライトのスラリーと、前記マイクロビーズ・炭酸リチウム混合スラリーとを均一に混合し、次いでこの混合物スラリーを脱水する。ここにおいて各成形材料の配合量(固形分としての重量)は、ゼオライト30重量%〜80重量%、マイクロビーズ1重量%〜50重量%、炭酸リチウム0.1重量%〜10重量%、可塑性粘土1重量%〜50重量%が好ましい。尚、成形材料の混合形態は上記に限定されず、ゼオライト、マイクロビーズ、炭酸リチウムおよび可塑性粘土を一度に混合し、この混合物に水を加えて混合物のスラリーを作るようにしてもよい。
脱水した粘土状の混合物を押出機に供給して押出機内で混練し、細径のダイス孔から押し出す。この押出したものを切断工程に送り、ここで長尺な押出物を所定寸法に小さく切断してペレットを得る。これによりペレット状の成形体が得られる。得られた成形体を乾燥した後、加熱炉にて加熱して焼成する。焼成温度は250℃〜700℃である。焼成後、炉冷して焼成体(セラミックス焼結体)を得る。焼成体の粒径は1mm〜100mmが好ましい。前記焼成時にマイクロビーズは熱により分解して消失し、それにより空隙孔Bが生じる。このように成形体に分散状で分布しているマイクロビーズが消失することにより、多数の空隙孔Bが焼成体(セラミックス焼結体)に形成される。尚、炭酸リチウムは上記焼成温度では分解しない。上記焼成により、母材であるゼオライトに炭酸リチウムが混在した形で含有されているセラミックス焼結体が得られる。また、焼成によりマイクロビーズが消失して空隙孔Bが形成されると、マイクロビーズの粒子表面に付着していた炭酸リチウムは空隙孔B内に残留するので、炭酸リチウムが空隙孔Bの孔内壁に含有されている状態となる。このことにより、空隙孔Bの孔内壁において、母材であるゼオライトに炭酸リチウムが混在した形で含有されている焼結体が得られる。
以下、本実施形態に係るセラミックス焼結体の実施例について説明する。
(実施例1)
下記組成の成形材料を用意した。
成形材料の組成:
ゼオライト 55重量%
マイクロビーズ 10重量%
炭酸リチウム 5重量%
ハロイサイト 30重量%

上記成形材料に水を加えてスラリーを作った。マイクロビーズとしてポリエチレン製のマイクロビーズであって、粒度分布が粒径60μm〜85μmのものを用いた。次いで脱水して型に入れて立方体形状の成形体を作製し乾燥させた。この成形体を加熱炉で加熱温度400℃で加熱して焼成した。これにより図1に示す如き縦4.0mm、横4.0mm、長さ(L)4.0mmの立方体形状の焼成体1を得た。この焼成体1を試料1として用いた(実施例1)。試料1の断面積(A)は、16.0mm(縦4.0mm×横4.0mm)である。
前記試料1の両端面にそれぞれに銀ペーストを塗り電極2、3を形成した。電極2、3間に、電場10V/mmを印加して電気抵抗を測定した。電気抵抗の測定には、ADVANTEST社製R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METERを使用し、非接地抵抗測定(VSRM)のモードで測定を行った。測定方法として、電圧(V)を印加して60秒後に電気抵抗の測定を行った。測定された電気抵抗値と試料1の長さ(L)及び断面積(A)とから電気抵抗率(Ωm)及び電気伝導率(1/Ωm)を求めた。結果を表1に示す。
比較のため、上記成形材料に炭酸リチウムを配合しない組成、即ち、ゼオライト55重量%、マイクロビーズ15重量%、ハロイサイト30重量%の組成で成形体を作り、これを上記と同じ方法、条件により焼成して上記と同一寸法の立方体形状の焼成体を得た。この焼成体を試料2とし(比較例1)、上記と同様の方法により電気抵抗を測定し、電気抵抗率(Ωm)及び電気伝導率(1/Ωm)を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2018203591
上記表1の結果から、ゼオライトに炭酸リチウムを配合することにより(試料1)、炭酸リチウム無配合の場合(試料2)に比べて、電気抵抗率(Ωm)は小さい数値となり、従ってまた電気伝導率(1/Ωm)は大きい数値となることが判る。このように、試料1は、炭酸リチウム無配合のもの(試料2)に比較して電気伝導率(1/Ωm)が増大しているところから、焼成体に含有している炭酸リチウムは溶融イオン性化合物の状態になっているものと思われる。このことから、炭酸リチウムはイオン性化合物であり、結晶格子中にリチウムイオンが配列していることが判る。このようなリチウムイオンの存在によって、リチウムイオンが吸着能に関与する作用が発揮されるものと考えられる。その結果、セラミックス焼結体はリチウムイオンによる吸着能を有しているものといえ、このリチウムイオンによる吸着能が加わることによって、ゼオライトの多孔質構造による吸着除去能力は更に一段と増大するものと考えられる。
(実施例2)
下記組成の成形材料を用意した。
成形材料の組成:
ゼオライト 55重量%
マイクロビーズ 10重量%
炭酸リチウム 5重量%
ハロイサイト 30重量%

ゼオライトとハロイサイトを混合し、水を加えてスラリー(ゼオライト・ハロイサイト混合スラリー)を作った。マイクロビーズとしてポリエチレン製のマイクロビーズであって、粒度分布が粒径60μm〜85μmのものを用いた。マイクロビーズに炭酸リチウムを添加混合し、この混合物に水を加えてスラリー(マイクロビーズ・炭酸リチウム混合スラリー)を作った。ゼオライト・ハロイサイト混合スラリーに、マイクロビーズ・炭酸リチウム混合スラリーを混合し、この混合物スラリーを脱水した。脱水後の混合物を押出機に供給して押出機内で混練し、細径のダイス孔から押し出し、次いでこの押出物を切断工程に送り、ここで長尺な押出物を所定寸法に小さく切断してペレットを得、これを乾燥させた。得られたペレット状の成形体を加熱炉にて加熱して焼成温度400℃で焼成し、焼成体(セラミックス焼結体)を得た。
得られた焼成体を外気と流通する容器内に充填してフィルターを作製した。図2に示すように、フィルター4を測定室5に設置し、集じん性能試験を行った。この集じん性能試験は、日本電機工業会規格JEM1467「家庭用空気清浄機8.11集じん性能試験付属書B.2〜B.2.1粉じん減衰試験」に準拠して行った。測定対象粉じんは、たばこ煙とした。測定室5に設置した吸煙機6にたばこを取り付けて、攪拌機7を用いて室内に煙を拡散させ、室内を所定の粉じん濃度とする。粉じん濃度は、光散乱式粉じん計を使用して測定した。測定室5は、容積23m(縦3.2m×横3.3m×高さ2.2m)の密閉性の良い部屋とした。試験方法は、吸煙機6でたばこを1mg〜5mg/mの質量濃度に発煙させた後、攪拌機7を停止し、自然減衰の濃度を測定することにより行った。試験開始時の測定室5内における0.1μ〜2.5μの範囲の微小粒子の質量濃度を測定し、次いで試験開始後30分、60分、90分、100分の各経過時間ごとに微小粒子の質量濃度を測定した。結果を表2に示す。
(比較例2)
下記組成の成形材料を用意した。
成形材料の組成:
ゼオライト 55重量%
マイクロビーズ 15重量%
ハロイサイト 30重量%

ゼオライトとハロイサイトを混合し、水を加えてスラリー(ゼオライト・ハロイサイト混合スラリー)を作った。マイクロビーズとしてポリエチレン製のマイクロビーズであって、粒度分布が粒径60μm〜85μmのものを用いた。マイクロビーズに水を加えてスラリー(マイクロビーズスラリー)を作った。ゼオライト・ハロイサイト混合スラリーに、マイクロビーズスラリーを混合し、この混合物スラリーを脱水した。脱水後の混合物を押出機に供給して押出機内で混練し、細径のダイス孔から押し出し、次いでこの押出物を切断工程に送り、ここで長尺な押出物を所定寸法に小さく切断してペレットを得、これを乾燥させた。得られたペレット状の成形体を加熱炉にて加熱して焼成温度400℃で焼成し、焼成体(セラミックス焼結体)を得た。得られた焼成体を容器内に充填して実施例2と同様のフィルターを作製し、このフィルターを測定室5に設置し、実施例2に示したと同様の方法により集じん性能試験を行い、微小粒子の質量濃度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2018203591
上記表2の結果によれば、試験開始30分経過後の微小粒子の吸着除去率は、実施例2の場合、60.9%であるに対し、比較例2の場合は36.6%にとどまっている。また試験開始100分経過後の微小粒子の吸着除去率は、実施例2の場合、90.6%であるに対し、比較例2の場合は64.9%にとどまっている。このことから、ゼオライトに炭酸リチウムを配合することにより、微小粒子に対する吸着除去率が顕著に増大することが判る。
1 焼成体
2,3 電極
4 フィルター
5 測定室
6 吸煙機
7 撹拌機

Claims (7)

  1. 細孔を有する無機質吸着材と、前記無機質吸着材に混合されたリチウム塩と、前記無機質吸着材に混合された造孔材が焼成時に消失して形成された空隙孔とを有する多孔質体からなることを特徴とするセラミックス焼結体。
  2. 前記リチウム塩と前記空隙孔は前記多孔質体に不規則に分散して存在している請求項1に記載のセラミックス焼結体。
  3. 前記空隙孔の孔内壁にリチウム塩が含有されている請求項1又は2に記載のセラミックス焼結体。
  4. 前記細孔を有する無機質吸着材がゼオライトである請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックス焼結体。
  5. 前記リチウム塩が炭酸リチウムである請求項1〜4のいずれかに記載のセラミックス焼結体。
  6. 前記造孔材がマイクロビーズである請求項1〜5のいずれかに記載のセラミックス焼結体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のセラミックス焼結体を製造するに当たり、無機質吸着材と、リチウム塩と、造孔材とを混合して混合物のスラリーを作り、この混合物スラリーを脱水して造粒し、造粒により得られた成形体を焼成して造孔材が消失した焼成体を得ることを特徴とするセラミックス焼結体の製造方法。
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