JP2018203584A - 機能膜付き基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】成膜用基板の薄型化および製造効率の向上を両立することが可能な機能膜付き基板の製造方法を提供する。【解決手段】 本発明に係る機能膜付き基板の製造方法は、保護ステップ、片面エッチングステップ、および剥離ステップを少なくとも含む。保護ステップにおいては、複数の電気製品用積層型機能膜が成膜されている成膜用ガラス基板10の被成膜面側を耐エッチング性材料によって保護する。片面エッチングステップにおいては、成膜用ガラス基板10における被成膜面側の反対側のみをエッチング処理することによって成膜用ガラス基板10を薄型化する。剥離ステップにおいては、薄型化された成膜用ガラス基板10から耐エッチング性材料を剥離する。【選択図】図4
Description
本発明は、リチウム電池用素子積層体、有機ELディスプレイ用素子積層体、太陽電池用素子積層体等の積層型機能膜を備えた機能膜付き基板の製造方法に関する。
近年、成膜技術は、リチウム電池の製造工程、太陽電池用パネルの製造工程、有機ELディスプレイパネルの製造工程、半導体製造工程等を含む電気製品の製造にかかわる様々な分野において広く利用されている。このような電気製品の成膜工程においては、通常、処理温度が高温になることが多く、成膜用基板として用いる素材に対して高い耐熱性が要求されることが多かった。
このため、成膜用基板として、ガラス、セラミックス、ケイ酸塩鉱物(雲母類等)等の耐熱性を備えた絶縁性基板が用いられることがあった。例えば、リチウム電池においては、ガラス製の成膜用基板に対して電極層を含む複数の素子複合体を成膜する手法が採用されることがあった(例えば、特許文献1参照。)。また、有機ELディスプレイパネルにおいても成膜工程における有機樹脂膜の取扱いを容易にするためにガラス製の成膜用基板を用いるものがあった(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、従来の機能膜付き基板の製造方法においては、さらなる基板の薄型化や製造効率の向上が求められているが、これまでのところ、製造効率の向上の要求に十分応えられている状況とは言えなかった。例えば、製造工程における取扱い上の制限から、成膜用基板が薄い場合には、単個の成膜用基板のそれぞれに対して単一の積層型機能膜を成膜しているケースがほとんどである。一方で、比較的大きなサイズの成膜用基板に複数の電気製品用積層型機能膜を成膜した上で、機能膜付き基板を多面取りするような場合には、成膜用基板として厚板の材料を使用することが余儀なくされていることが多かった。
本発明の目的は、成膜用基板の薄型化および製造効率の向上を両立することが可能な機能膜付き基板の製造方法を提供することである。
本発明に係る機能膜付き基板の製造方法は、リチウム電池用素子積層体、有機ELディスプレイ用素子積層体、太陽電池用素子積層体等の積層型機能膜を含む積層型機能膜(例えば、電気製品用積層型機能膜)を備えた機能膜付き基板を製造するものである。機能膜付き基板の素材の代表例はガラスであるが、ガラス以外の無機材料(セラミックス、ケイ酸塩鉱物等)を採用することも可能である。この製造方法は、保護ステップ、片面エッチングステップ、および剥離ステップを少なくとも含む。
保護ステップにおいては、複数の積層型機能膜が成膜されている成膜用絶縁性基板の被成膜面側を耐エッチング性材料によって保護する。耐エッチング性材料としては、耐エッチング性フィルム、耐エッチング性封止剤、耐エッチング性補助板、耐エッチング性テープ等が挙げられる。これらの耐エッチング性材料を適宜組み合わせることによって、あらゆるエッチング処理態様にも対応可能な保護処理を行うことが可能である。
片面エッチングステップにおいては、成膜用絶縁性基板における被成膜面側の反対側のみをエッチング処理することによって成膜用絶縁性基板を薄型化する。片面エッチングステップにおいては、成膜用絶縁性基板を溶解可能なエッチング液が適宜採用される。成膜用絶縁性基板がガラスの場合には、片面エッチング処理にはフッ酸を含むエッチング液が用いられる。
剥離ステップにおいては、薄型化された成膜用絶縁性基板から耐エッチング性材料を剥離する。耐エッチング性材料の中には、お湯等で加温することにより容易に剥離可能なものがあるため、剥離性を考慮して耐エッチング性材料を選択することにより剥離ステップを容易に実行することが可能になる。
上述の機能膜付き基板の製造方法においては、複数の積層型機能膜を同時に保護しつつ、複数の積層型機能膜を有する成膜用絶縁性基板を薄型化している。このため、一度に複数の機能膜付き基板を製造することが可能になり、しかも機能膜付き基板の薄型化も実現することが可能になる。
上述の機能膜付き基板の製造方法において、剥離ステップの後に、薄型化された成膜用絶縁性基板を分断する分断ステップをさらに含むことが好ましい。薄型化された成膜用絶縁性基板を分断することにより、分断された各基板を薄型化するよりも作業効率が向上する。また、薄型化されている方がレーザ加工等によって分断し易くなるため、分断ステップの作業効率も向上する。
また、上述の機能膜付き基板の製造方法において、積層型機能膜がリチウム電池用素子の複合体であることが好ましい。上述の機能膜付き基板の製造方法をリチウム電池の製造に利用することによって、リチウム電池の薄型化および製造効率の向上の両方を実現することが可能になる。
この発明によれば、リチウム電池用素子積層体、有機ELディスプレイ用素子積層体、太陽電池用素子積層体等の積層型機能膜を備えた機能膜付き基板の製造において、成膜用基板の薄型化および製造効率の向上を両立することが可能になる。
以下、図を用いて、本発明に係る機能膜付き基板の製造方法の一実施形態を説明する。ここでは、本発明に係る機能膜付き基板の製造方法の一例として、リチウム電池用素子複合体からなる積層型機能膜が付けられた基板を製造する方法を説明する。
図1(A)〜図1(C)は、機能膜付き基板の一実施形態に係るリチウム電池の製造工程における成膜用ガラス基板10の概略構成を示している。この実施形態においては、機能膜付き基板の素材としてガラスが採用されているがガラス以外にも絶縁性基板シリコン(Si)、二酸化ケイ素(SiO2 )、セラミックス、ケイ酸塩鉱物(雲母類等)等のように、耐熱性を備えた絶縁性基板であってフッ酸を含むエッチング液等によって溶解可能な基板であれば、適宜これを成膜用基板として採用することが可能である。
成膜用ガラス基板10には、リチウム電池用素子複合体12が複数形成されている。この実施形態では、リチウム電池用素子複合体12を4行×4列のマトリクス状に配置して16個のリチウム電池用複合体12を形成する例を示しているが、リチウム電池用素子複合体12の配置はこれに限定されるものではない。
個々のリチウム電池用素子複合体12は、成膜用ガラス基板10上に形成された、集電体層122および複合酸化物層124を含む正極層、電解質層126、ならびに負極層128を備えている。集電体層122は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、もしくはスパッタリング等の乾式成膜法、または電解めっき法もしくは無電解めっき法等の湿式成膜法によって、成膜用ガラス基板10上に形成される。複合酸化物層124は、スパッタリング等によって集電体層122の上に形成される。その後、同様にして、電解質層126および負極層128がこの順に成膜される。
この実施形態に係る機能膜付き基板の製造方法は、保護ステップ、片面エッチングステップ、および剥離ステップを少なくとも含んでいる。まず、図2および図3を用いて、保護ステップを説明する。保護ステップにおいては、リチウム電池用素子複合体12が成膜されている成膜用ガラス基板10の被成膜面側が、耐エッチング性材料によって保護される。
具体的には、まず、図2(A)および図2(B)に示すように、成膜用ガラス基板10における被成膜面の辺縁部に環状の接着層14が形成され、この接着層14を介して成膜用ガラス基板10にキャリアガラス16が貼り付けられる。
キャリアガラス16が貼り付けられた成膜用ガラス基板10は、図3(A)〜図3(C)に示すように、キャリアガラス16側に耐エッチング性フィルム18が貼り付けられるとともに、端面の全域に耐エッチング性封止剤20が塗布される。ここでは、耐エッチング性フィルム18として、株式会社スミロン製の各種エレクトロニクス用フィルム(例:ECシリーズ)を用いているが、これに限定されるものではない。また、耐エッチング性封止剤20として、デンカ株式会社製の接着剤ソリューション(例:テンプロック)を用いているが、他の封止剤を採用することも可能である。
耐エッチング性フィルム18の貼付および耐エッチング性封止剤20の塗布が終わると、図3(B)および図3(C)に示すように、耐エッチング性補助板22に貼り付けられる。
耐エッチング性補助板22に貼り付けられると、成膜用ガラス基板10は、被成膜面側が耐エッチング性の各部材によって保護された状態になるため、次工程である片面エッチングステップに移行することが可能になる。片面エッチングステップにおいては、図4(A)に示すように、成膜用ガラス基板10における被成膜面側の反対側のみをエッチング処理することによって、この成膜用ガラス基板10が薄型化される。
この実施形態では、16個のリチウム電池用素子複合体12が成膜されている成膜用ガラス基板10を、片面エッチング処理によって、0.50〜1.00mm程度から0.03〜0.10mm程度まで薄型化する。ガラス部材であっても0.10mm以下まで薄型化することによって湾曲可能になる。このため、フレキシブル性が要求される製品に対して成膜用ガラス基板10を用いることが可能になる。
片面エッチング処理においては、図5に示すように、成膜用ガラス基板10は、エッチング装置50に導入され、フッ酸および塩酸等を含むエッチング液によってエッチング処理が施される。エッチング装置50では、搬送ローラによって成膜用ガラス基板10を搬送しつつ、エッチングチャンバ52内で成膜用ガラス基板10の片面にエッチング液を接触させることによって、成膜用ガラス基板10に対する片面エッチング処理が行われる。
なお、エッチング装置50におけるエッチングチャンバ52の後段には、成膜用ガラス基板10に付着したエッチング液を洗い流すための洗浄チャンバが設けられているため、成膜用ガラス基板10はエッチング液が取り除かれた状態でエッチング装置50から排出される。
成膜用ガラス基板10にエッチング液を接触させる手法の一例として、図5(A)に示すように、エッチング装置50の各エッチングチャンバ52において、成膜用ガラス基板10に対してエッチング液をスプレイするスプレイエッチングが挙げられる。
図5(A)においては、上下からエッチング液をスプレイする様子を図示しているが、エッチングすべき側のみからスプレイするようにエッチング装置50を設定しても良い。また、通常は、耐エッチング性補助板22が成膜用ガラス基板10を下側から支持して円滑な搬送を実現させているが、これの天地を反転させて下側からスプレイされるエッチング液によって成膜用ガラス基板10に対して片面エッチング処理を行うようにしても良い。
また、スプレイエッチングに代えて、図5(B)に示すように、オーバーフロー型のエッチングチャンバ54において、オーバーフローしたエッチング液に接触しながら成膜用ガラス基板10が搬送される構成を採用することも可能である。
さらには、図5(C)に示すように、エッチング液が収納されたエッチング槽56に、キャリアに収納された単数または複数の成膜用ガラス基板10を浸漬されるディップ式のエッチングを採用することも可能である。
いずれの場合であっても、エッチング液に含まれるフッ酸の濃度に応じてエッチングレートが増減するため、エッチング量に応じてフッ酸濃度を1重量%〜15重量%程度の範囲で最適な濃度に設定することが重要である。成膜用ガラス基板10がエッチング装置50を通過すると、成膜用ガラス基板10が片面エッチング処理されて薄型化する。
片面エッチングステップの後の剥離ステップにおいては、図4(B)に示すように、薄型化された成膜用ガラス基板10から耐エッチング性材料が剥離される。具体的には、成膜用ガラス基板10の端面から耐エッチング性封止剤20が除去され、キャリアガラス16から耐エッチング性フィルム18が剥離される。
また、必要に応じて、この時点でキャリアガラス16および接着層14も剥離することが可能であるが、キャリアガラス16を付けた状態で成膜用ガラス基板10の分断が可能な場合(例:レーザによる分断処理等を採用する場合)にはキャリアガラス16を剥離しなくても良い。
通常、剥離ステップに引き続いて、薄型化された成膜用ガラス基板10を分断する分断ステップが実行される。分断ステップにおいては、図6(A)および図6(B)に示すように、成膜用ガラス基板10に形成された複数のリチウム電池用素子複合体12が単個に分離されるように成膜用ガラス基板10が分断される。成膜用ガラス基板10は薄型化されているため、レーザビームを照射してアブレーション処理またはフィラメンテーション処理等を行うことによって分断することが可能である。レーザ加工以外にも、スクレイブブレーク処理やエッチング処理等によっても分断することが可能である。
上述の実施形態においては、耐エッチング性補助板22に単一の成膜用ガラス基板10を貼り付けて片面エッチング処理を行う例を示したが、耐エッチング性補助板22のサイズを大きくすれば、図7(A)に示すように、一度に複数枚の成膜用ガラス基板10を処理することが可能になる。
また、キャリアガラス16もしくは耐エッチング性フィルム18のいずれか一方、またはこれらの両方を用いずに片面エッチング処理することも可能である。この場合、成膜用ガラス基板10における被成膜面がエッチング液に接触しないように被成膜面を耐エッチング性補助板22に密着させつつ、成膜用ガラス基板10の端部の全域を耐エッチング性テープ24によって耐エッチング性補助板22に貼り付けると良い。
この場合、耐エッチング性テープ24の貼り付け位置がエッチングされずに額縁状の厚板部が形成されるが、この厚板部の内側を適宜切断することによって問題なくリチウム電池用素子複合体12が付いた成膜用ガラス基板10を得ることができる。なお、額縁状の厚板部は、薄型化された成膜用ガラス基板10のコシの強さを維持することに貢献するため、成膜用ガラス基板10の取扱いが容易になるというメリットもある。
上述の機能膜付き基板の製造方法においては、積層型機能膜がリチウム電池用素子の複合体である例のみを説明したが、リチウム電池用素子積層体以外の有機ELディスプレイ用素子積層体や太陽電池用素子積層体等の積層型機能膜であっても上述と同様の方法によって処理することが可能である。
上述の実施形態によれば、単一の機能膜付き基板の製造するのではなく、複数の機能膜付き基板を同時に製造することが可能になるため、機能膜付き基板の製造効率を向上させることが可能になる。しかも、複数の積層型機能膜が付いている基板を適正に薄型化することが可能になるため、成膜用基板の薄型化および製造効率の向上を両方同時に実現することが可能になる
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10−成膜用基板
12−リチウム電池用素子複合体
14−接着層
16−キャリアガラス
18−耐エッチング性フィルム
20−耐エッチング性封止剤
22−耐エッチング性補助板
24−耐エッチング性テープ
12−リチウム電池用素子複合体
14−接着層
16−キャリアガラス
18−耐エッチング性フィルム
20−耐エッチング性封止剤
22−耐エッチング性補助板
24−耐エッチング性テープ
Claims (3)
- リチウム電池用素子積層体、有機ELディスプレイ用素子積層体、太陽電池用素子積層体等の積層型機能膜を備えた機能膜付き基板の製造方法であって、
複数の積層型機能膜が成膜されている成膜用絶縁性基板の被成膜面側を耐エッチング性材料によって保護する保護ステップと、
前記成膜用絶縁性基板における前記被成膜面側の反対側のみをエッチング処理することによって前記成膜用絶縁性基板を薄型化する片面エッチングステップと、
薄型化された前記成膜用絶縁性基板から前記耐エッチング性材料を剥離する剥離ステップと、
を少なくとも含む機能膜付き基板の製造方法。 - 前記剥離ステップの後に、薄型化された前記成膜用絶縁性基板を分断する分断ステップをさらに含む請求項1に記載の機能膜付き基板の製造方法。
- 前記積層型機能膜がリチウム電池用素子の複合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の機能膜付き基板の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2017112810A JP2018203584A (ja) | 2017-06-07 | 2017-06-07 | 機能膜付き基板の製造方法 |
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