JP2018203138A - 鉄道車両 - Google Patents

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【課題】軽量で気密荷重に対する高い剛性を備えるとともに空力騒音を抑制できる鉄道車両を提供すること【解決手段】上記の課題は、中空押出形材からなる屋根構体(30)と、屋根構体に備えられる特高ケーブル(70)を有する鉄道車両(1)であって、この鉄道車両が中空押出形材の内部に備えられる特高ケーブルを有することを特徴とする鉄道車両によって解決できる。また、中空押出形材の内側縦リブによって形成される、特高ケーブルを載置する空間の断面形状を、略逆台形にすることにより、特高ケーブルを安定して保持することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、特高ケーブルを備える鉄道車両に関する。
近年、鉄道車両には、車内音の低減による高品質化や部品点数の削減による低コスト化が求められている。このため鉄道車両を、アルミニウム合金製の中空押出形材で製造する場合がある。アルミニウム合金製の中空押出形材は、対向する2枚の面板とこれら面板を接続する接続板からなる部材を押出成形によって製造される。鉄道車両の車体を製造する場合、まず、複数の中空押出形材を定盤上に並べて接合し、床面をなす台枠、側面をなす側構体、屋根をなす屋根構体等のパネルを製造する。この後、これらパネルを6面体に組み立てることによって鉄道車両を製造する。特許文献1には、中空押出形材を用いて車体(構体)を構成する例が開示されている。
特開2004−130872号公報
鉄道車両が走行する時に生じる騒音は、車輪が軌道(レール)上を転動することによって生じる機械的な転動音と、鉄道車両の周囲を流れる空気の乱れや摩擦等によって生じる空力騒音に大別される。一般に、鉄道車両の速度が200km/hを越えると、鉄道車両から生じる騒音の内、空力騒音が占める割合が支配的になるとされる。
空力騒音の音源としては、集電装置、集電装置の前後に配置して集電装置から生じる騒音を抑制するための風防カバー、鉄道車両の屋根に配設される特高ケーブルなどがある。
このため、鉄道車両としては、軽量で気密荷重に対する高い剛性を備えると同時に、空力騒音を抑制できるものが求められている。
上記の課題を解決するために、代表的な本発明の鉄道車両の一つは、中空押出形材からなる屋根構体と、屋根構体に備えられる特高ケーブルを有する鉄道車両であって、
特高ケーブルを、屋根構体を構成する中空押出形材の内部に備えることにより達成される。
本発明によれば、軽量で気密荷重に対する高い剛性を備えるとともに空力騒音を抑制できる鉄道車両を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
図1は、本発明の鉄道車両の幅方向中央部の長手方向に沿う垂直断面図である。 図2は、鉄道車両の長手方向に交差する断面図(図1A−A断面図)である。 図3は、気密荷重が作用する鉄道車両の屋根構体のせん断力図(SFD)の模式図である。 図4は、図3に示す屋根構体の幅方向中央部(図3のB部相当)の拡大断面図である。 図5は、図3に示すその他の例の屋根構体の幅方向中央部(図3のB部相当)の拡大断面図である。 図6は、屋根構体をなす押出中空形材の内部に挿入される特高ケーブルの挿入部の部分断面図(図1のC部相当)である。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。まず、以下の説明に供する鉄道車両に関係する各方向を、鉄道車両1(以下、車両1と記す)の長手方向(レール方向)100と、車両1の幅方向(枕木方向)110と、長手方向100および幅方向110に直交する車両1の高さ方向120と定義する。以下、単に長手方向100、幅方向110、高さ方向120と記す。
(実施例1)
図1は本発明の実施の形態に係る鉄道車両の幅方向中央部の長手方向に沿う垂直断面図であり、図2は鉄道車両の長手方向に交差する断面図(図1のA−A断面図)である。図2に示されるように、車両1は、床面をなす台枠10と、台枠10の幅方向110の端部に立設される側構体20と、台枠10の長手方向100の両端部に立設される妻構体40と、側構体20および妻構体40の上端部に載置される屋根構体30などから構成される。
台枠10は、長手方向100に交差する断面形状がT字状の複数のリブ(図示なし)を備える平板状の押出形材と、その下面に長手方向100に沿って離散的に備えられる複数の横梁14と、横梁14の幅方向110の両端に長手方向100に沿って備えられる一対の側梁12などから構成される。
側構体20および屋根構体30は、対向する2枚の面板とこれら面板を接続する複数の接続板からなる中空押出形材から構成されており、これら中空押出形材は長手方向100に沿う方向に押出成形されるアルミニウム合金製である。
側構体20および屋根構体30の車内側には、車内外の熱の出入りを抑制する断熱材50が備えられる。側構体20の車内側に備えられる断熱材50は側パネル53で覆われ、屋根構体30の車内側に備えられる断熱材50は天井パネル52で覆われる。台枠10の上面には台枠10の下方に備えられる空調装置(図示なし)で調和される調和空気を車内へ供給したり、車内から空調装置への再循環空気等を導いたりする空調ダクト59が備えられる。空調ダクト59の上方に備えられる上床58には、座席56などが固定される。
また、図1に示されるように、屋根構体30の上面の幅方向110の中央部にはその長手方向100に沿って特高ケーブル70が備えられている。一般的に、複数の鉄道車両によって編成が構成される場合、一つの編成には、複数の主回路に対応して複数の集電装置が存在することとなる。特高ケーブル70は、これらの複数の主回路に対応する各集電装置同士を接続して、複数の集電装置を同電位に保つ機能を有する。このため、一つの集電装置が架線から離線した場合でも、他の集電装置が離線していなければ、集電装置と架線との間に生じるアークの発生を抑制することができる。したがって、特高ケーブル70は、電波障害や集電装置のすり板の異常な摩耗を抑制する機能を有する。
従来、特高ケーブル70は、屋根構体30の長手方向100の全長に渡って屋根構体30の上面に、長手方向100に沿って離散的に備えられる複数の固定具(図示なし)によって固定されていた。このため、これら固定具は、車両1が高速で走行する際には、集電装置等と同様に空力騒音の音源にもなっていた。さらに、複数の固定具で特高ケーブル70を屋根構体30の上面に敷設する作業は、部品点数が多くなり、車体の製作工数と重量を押し上げる課題があった。
本発明の実施例1においては、図1に示すように、ジョイント72から車両1の長手方向100の中央部に向けて延伸する特高ケーブル70は、屋根構体30をなす中空押出形材の対向する2枚の面板の間の空間に配設される。
以上の構成によって、特高ケーブル70を屋根構体30の上面に固定具で固定する製作工数とその重量を削減することができるとともに、固定具による空力騒音の発生を効果的に抑制できる鉄道車両を提供することができる。
(実施例2)
本実施例は、特高ケーブル70を挿入する、中空押出形材の構造に関するものである。
まず、車体の変形に関連する気密加重について、図3を用いて説明する。図3は、気密荷重が作用する鉄道車両の屋根構体のせん断力図(SFD)の模式図である。車両1が高速でトンネルを通過する際、トンネル内壁と車両1の外面との空間の圧力(以下、車外圧力と記す)が大気圧を基準としてプラス側とマイナス側に大きく変動する。これに対して、車両1は車内外の空気の出入りが基本的に少ない気密性を備えているので、車内圧力はほぼ大気圧に維持される。
車外圧力がプラス側に変動する時、車外から車内へ押す方向(収縮)の気密荷重が車両1に作用し、車外圧力がマイナス側に変動する時、車外圧力が車内から車外へ押す方向(膨張)の気密荷重が車両1に作用する。
車外圧力がマイナス側に変動した時の気密荷重90が車両1の屋根構体30に作用する時、屋根構体30はその幅方向110の両端部が側構体20の上端部に拘束されるため、屋根構体30の幅方向110の両端部に最も大きなせん断力が作用し、屋根構体30の幅方向110の中央部(図3のB部)にはせん断力がほとんど作用しない。
従来、屋根構体30は、気密荷重90に起因するせん断力に抗するため、第1面板(車外側の面板32)と第2面板(車内側の面板34)とこれら面板を接続する斜めリブ33からなる中空押出形材で構成されていた。特に、第1面板32と第2面板34とを45°前後の傾斜角で接続する斜めリブ33を、屋根構体30の幅方向110の全体に渡って備えることによって、気密荷重に起因するせん断力に抗して、屋根構体30の変形を抑制していた。
図4は、実施例2を詳しく説明するための図であり、図3に示す屋根構体の幅方向中央部(図3のB部相当)の拡大断面図である。実施例2で開示する屋根構体30は、気密荷重90に起因するせん断力がほとんど作用しない屋根構体30の幅方向110の中央部に配設される。
屋根構体30の中央部に備えられる中空押出形材は、車外側の第1面板32と、車内側の第2面板34と、両面板を大きく傾斜して接続する複数の斜めリブ33と、両面板を斜めリブ33より大きい角度で接続する縦リブ35a(外側縦リブ)および縦リブ35b(内側縦リブ)を備える。
こうした構成によって、実施例2で開示する車両1は、屋根構体30の一対の縦リブ35bと第1面板32および第2面板34とで囲まれる空間に、特高ケーブル70を備えることができる。このため、特高ケーブル70を屋根構体30の上面に固定具で固定する製作工数とその重量を削減することができるとともに、固定具による空力騒音の発生を効果的に抑制することができる。
このような、第1面板32、第2面板34、縦リブ35a(外側縦リブ)、縦リブ35b(内側縦リブ)との関係をさらに詳しく説明すると、次のようになる。縦リブ35aは、第1面板32の第1接続部36aからほほ垂下する態様で、第2面板34の第2接続部36bに接続する。縦リブ35bは、縦リブ35aより屋根構体30の中央部寄りの第3接続部37aから屋根構体30の中央部寄りに傾斜する態様で、第2面板34の第4接続部37bに接続する。
第1面板32と第2面板34と一対の縦リブ35b(内側縦リブ)とで囲まれる空間75は、第1面板32の側の幅寸法W1(第3接続部37a同士の間隔)が第2面板34の側の幅寸法W2(第4接続部37b同士の間隔)より大きい逆台形状である。
また、空間75の形状を幅寸法W1が幅寸法W2より大きい逆台形状とすることによって、縦リブ35bが傾斜する態様で第1面板32と第2面板34とを接続している。
このため、第1面板32に接続する一対の縦リブ35b(内側縦リブ)の幅方向の第1間隔(W1)が、第2面板34に接続する一対の縦リブ35b(内側縦リブ)の幅方向の第2間隔(W2)より大きく設定された略逆台形であることにより、屋根構体30の幅方向110の中央部に少なからず作用するせん断力に効果的に抗することができる。
さらに、斜めリブ33に第2接続部36bから下方に、第2面板34等と一体に押出成形される断面L字状の補強リブ34Lを備えることができ、この補強リブ34Lによって、屋根構体30の幅方向110の中央部の剛性が高められるとともに、補強リブ34Lに天井パネル52を固定することもできる。
さらに、空間75の形状を幅寸法W1が幅寸法W2より大きい略逆台形状とし、開口部32aの幅方向寸法を特高ケーブル70の外径Dより大きくすることで、特高ケーブル70を開口部32aを経由して空間75に挿入することができる。これにより、特高ケーブル70の屋根構体30内への設置に係る製造工数を削減できるので、製造コストの小さい鉄道車両を提供できる。
さらに、実施例2の変形例として、幅寸法W2を特高ケーブル70の外径Dより若干小さく設定し、この空間75の内部に特高ケーブル70を備える時、特高ケーブル70は第2面板34と一対の縦リブ35bの下端部に緩やかに拘束されるので、特高ケーブル70は車両1の振動等によって空間75の内部で縦リブ35b等に衝突することを防止できる。このため、特高ケーブル70を覆う外被等が損傷して品質が劣化することを抑制できる。
(実施例3)
本実施例は、特高ケーブル70を挿入する、中空押出形材の構造であって、実施例2とは異なる構造に関するものである。図5は、実施例3を詳しく説明するための図であり、図3に示す屋根構体の幅方向中央部(図3のB部相当)の拡大断面図である。
縦リブ35c(図5参照)を縦リブ35a(外側縦リブ)に略平行に配置するとともに、一対の縦リブ35cの間隔W3を特高ケーブル70の外径Dより大きく設定しても、特高ケーブル70を簡単に屋根構体30の内部に設置することができる。
(実施例4)
本実施例は、特高ケーブル70を押出中空形材の内部に挿入する挿入部の構造に関する。図1において、特高ケーブル70の終端部には、特高ケーブル70を接続するジョイント72が備えられる。ジョイント72は、略流線形状のジョイントカバー74で覆われており、ジョイント72の空力騒音の発生を抑制している。
図6は、屋根構体をなす押出中空形材の内部に挿入される特高ケーブルの挿入部の部分断面図(図1のC部相当)である。特高ケーブル70は、屋根構体30をなす中空押出形材の第1面板32に設けられる開口部32aから中空押出形材の内部に挿入される。
蓋76は、蓋76の上面に特高ケーブル70を中空押出形材の内部に挿入するための筒77を備える。筒77は、その軸が蓋76に対して30°前後の緩やかな角度で交差する態様で蓋76に固定される。筒77および筒77から屋根構体30の上方に備えられる特高ケーブル70およびジョイント72は、略流線形状のジョイントカバー74に覆われており、ジョイント72および特高ケーブル70などから生じる空力騒音の発生を抑制する。
以上の構成によって、特高ケーブル70を屋根構体30の上面に固定具で固定する製作工数とその重量を削減することができるとともに、固定具による空力騒音の発生を効果的に抑制できる鉄道車両を提供することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。さらに、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
1…車両 10…台枠
14…横梁 20…側構体
30…屋根構体
32…第1面板(車外側面板) 34…第2面板(車内側面板)
33…斜めリブ 34L…補強リブ(天井パネル受)
35a…縦リブ(外側縦リブ) 35b…縦リブ(内側縦リブ)
36a…第1接続部 36b…第2接続部
37a…第3接続部 37b…第4接続部
40…妻構体 50…断熱材
52…天井パネル 53…側パネル
54…荷棚 56…座席
58…上床 59…空調ダクト
70…特高ケーブル 72…ジョイント
74…ジョイントカバー 75…空間
76…蓋 77…筒
90…気密荷重 100…長手方向
110…幅方向 120…高さ方向

Claims (6)

  1. 中空押出形材からなる屋根構体と、
    前記屋根構体に備えられる特高ケーブルと、
    を有する鉄道車両において、
    前記特高ケーブルが前記屋根構体を構成する前記中空押出形材の内部に備えられることを特徴とする鉄道車両。
  2. 請求項1に記載される鉄道車両において、
    前記中空押出形材は、
    前記鉄道車両の車外側に配設される第1面板と、
    前記第1面板に略平行に配設されるとともに前記鉄道車両の車内側に配設される第2面板と、
    前記第1面板と前記第2面板とを接続する複数の斜めリブと、
    前記第1面板と前記第2面板とを接続する複数の内側縦リブと、
    を備えており、
    前記鉄道車両は、
    前記中空押出形材の前記第1面板と、前記第2面板と、一対の前記内側縦リブと、で囲まれる空間に備えられる前記特高ケーブルを有すること
    を特徴とする鉄道車両。
  3. 請求項2に記載される鉄道車両において、
    前記特高ケーブルは前記屋根構体の幅方向の中央部に配設される前記中空押出形材の前記空間に備えられており、
    前記空間は、
    前記第1面板に接続する一対の前記内側縦リブの前記幅方向の第1間隔が、前記第2面板に接続する一対の前記内側縦リブの前記幅方向の第2間隔より大きく設定された略逆台形であること
    を特徴とする鉄道車両。
  4. 請求項3に記載された鉄道車両において、
    前記第2間隔は、前記特高ケーブルの外径より小さく、
    前記第1間隔は、前記特高ケーブルの外径より大きく、設定されること
    を特徴とする鉄道車両。
  5. 請求項4に記載された鉄道車両において、
    前記特高ケーブルは、
    前記屋根構体の長手方向の端部の第1面板に設けられた開口部を経由して、前記空間に設置されていること
    を特徴とする鉄道車両。
  6. 請求項5に記載された鉄道車両において、
    前記鉄道車両は、
    前記特高ケーブルが通される筒と、
    前記筒が傾斜する態様で固定されるとともに前記開口部を覆う蓋と、
    を有すること
    を特徴とする鉄道車両。
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