JP2018203052A - 更生タイヤ - Google Patents

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Junichi Ishikawa
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Abstract

【課題】トレッドゴムの加硫不足となる領域が発生することを抑制することのできる更生タイヤを提供すること。
【解決手段】台タイヤ20と、台タイヤ20のバフ部40に配設される更生トレッド2と、更生トレッド2と台タイヤ20との間に配設される熱伝導層50と、を備え、更生トレッド2における、タイヤ接地端Tからタイヤ接地幅Twの25%の位置を境としてタイヤ幅方向における中央に位置する領域をセンター領域Tcとし、センター領域Tcの両側に位置する領域をショルダー領域Tsとする場合に、更生トレッド2は、センター領域Tcのゴム体積Vcとショルダー領域Tsのゴム体積Vsとが(Vs/Vc)≦0.85の関係になっており、熱伝導層50は、熱伝導率が更生トレッド2を構成するトレッドゴム4の熱伝導率よりも高くなっており、タイヤ幅方向においてセンター領域Tcが位置する範囲の0.7倍以上1.2倍以下の範囲内に配置される。
【選択図】図1

Description

本発明は、更生タイヤに関する。
従来の空気入りタイヤの中には、トレッドに形成される溝の溝深さが所定の深さより浅くなることによってトレッドが使用寿命に達した際に、トレッドゴムを貼り替えて再利用することができる、いわゆる更生タイヤがある。更生タイヤは、一次寿命が終了してトレッドゴムを除去した台タイヤのタイヤ径方向外側に、ベースゴム及びキャップゴムからなるトレッドゴムを新たに設けた構造になっている。このように、一次寿命終了後にトレッドゴムを貼り替えることによって再利用される空気入りタイヤである更生タイヤの中には、トレッドゴムのみでなく、トレッドゴムと共にベルトの更生も行っているものがある。例えば、特許文献1〜4に記載された更生タイヤでは、トレッドゴムをバフなどで除去する際に、損傷したベルトも除去し、トレッドゴムと共に一部のベルトも貼り替えることにより、ベルトの更生も行っている。
実開昭58−82910号公報 特開平3−120033号公報 特開平8−230071号公報 特開平9−267411号公報
ここで、トレッドゴムの更生には、リモールド方式とプレキュア方式とがある。リモールド方式は、未加硫のトレッドゴムを台タイヤに貼り付け、パターンを彫刻した金型(モールド)に入れて加硫する方式である。プレキュア方式は、予め加硫されたトレッドゴムを台タイヤに貼り付け、加硫する方式である。このうち、リモールド方式では、未加硫のトレッドゴムの加硫を行うため、トレッドゴムの位置ごとの加硫速度の差に起因して、加硫不足、或いは加硫過多の部位が発生する虞がある。加硫時における加硫不足や加硫過多は、台タイヤに対するトレッドゴムの更生の界面での剥がれや、台タイヤのベルトエッジセパレーション等の不具合の原因となる。
これらの加硫不足や加硫過多は、傾向としては、新たなトレッドゴムのうち、相対的に体積が大きい領域では加硫不足が発生し易く、相対的に体積が小さい領域で加硫過多が発生し易くなる。つまり、相対的にトレッドゴムの体積が大きい領域では、加硫時の熱が伝わり難いため加硫不足が発生し易くなり、相対的にトレッドゴムの体積が小さい領域では、加硫時の熱が伝わり易いため加硫過多が発生し易くなる。
例えば、金型によって新たなトレッドゴムの表面に施す溝の面積が、タイヤ幅方向におけるセンター領域よりもショルダー領域の方が大きい場合は、センター領域のトレッドゴムの体積が、ショルダー領域のトレッドゴムの体積よりも大きくなるため、センター領域で加硫不足が発生し易くなる。一方で、新たなトレッドゴムに施すトレッドパターンが、センター領域よりもショルダー領域の方が溝面積が大きくなるパターンである場合は、トレッドゴムの体積は、必然的にショルダー領域よりもセンター領域の方が大きくなる。このように、トレッドパターンに基づいて溝面積がタイヤ幅方向における領域によって異なる場合は、必然的にトレッドゴムの体積もタイヤ幅方向における領域によって異なってしまう。
また、リモールド方式でトレッドゴムの更生を行う際における加硫不足を防ぐための従来の技術としては、加硫速度が比較的速いゴムをベースゴムに使用する手法があるが、ベースゴムとキャップゴムとで物性が大きく異なるゴムを使用する場合、トレッド踏面の摩耗途中でベースゴムがトレッド表面に現れた際に、偏摩耗が発生する等、タイヤ性能に変化が出る虞がある。このため、ベースゴムとキャップゴムとで物性が大きく異なるゴムを使用する手法も、好ましい手法とはいえないものとなっている。これらのため、タイヤ幅方向における領域ごとにトレッドゴムの体積が異なることに起因する加硫不良を抑制するのは、大変困難なものとなっていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、トレッドゴムの加硫不足となる領域が発生することを抑制することのできる更生タイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る更生タイヤは、複数のベルトを有する台タイヤと、前記台タイヤのバフ部に配設される更生トレッドと、前記更生トレッドと前記台タイヤとの間に配設される熱伝導層と、を備え、前記更生トレッドにおける、タイヤ接地端からタイヤ接地幅の25%の位置を境としてタイヤ幅方向における中央に位置する領域をセンター領域とし、前記センター領域のタイヤ幅方向における両側に位置する領域をショルダー領域とする場合に、前記更生トレッドは、前記センター領域のゴム体積Vcと前記ショルダー領域のゴム体積Vsとが(Vs/Vc)≦0.85の関係になっており、前記熱伝導層は、熱伝導率が前記更生トレッドを構成するゴムの熱伝導率よりも高くなっており、タイヤ幅方向において前記センター領域が位置する範囲の0.7倍以上1.2倍以下の範囲内に配置されることを特徴とする。
上記更生タイヤにおいて、前記熱伝導層は、複数の前記ベルトのうちタイヤ径方向において最も外側に位置する最外層ベルトが配置されるタイヤ幅方向における範囲内に配置され、且つ、タイヤ幅方向における幅が、前記最外層ベルトのタイヤ幅方向における幅に対して5mm以上狭くなっていることが好ましい。
上記更生タイヤにおいて、前記熱伝導層は、金属製のワイヤがコートゴムに被覆されることにより構成され、且つ、前記更生タイヤの子午断面における前記熱伝導層の断面積に対する前記ワイヤの断面積の比率が、0.05以上0.85以下の範囲内であることが好ましい。
上記更生タイヤにおいて、前記熱伝導層は、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向への前記ワイヤの傾斜角度が50°以上70°以下の範囲内であることが好ましい。
上記更生タイヤにおいて、前記コートゴムは、23℃でのJIS硬度が68以上78以下の範囲内で、100%伸張時の引っ張り応力が5MPa以上8MPa以下の範囲内であることが好ましい。
上記更生タイヤにおいて、前記熱伝導層は、前記ベルトに対する剥離力が120N/25mm以上で前記ベルトに接着されることが好ましい。
上記更生タイヤにおいて、前記更生トレッドには、トレッド踏面に複数の溝が形成され、前記更生トレッドは、前記溝の溝底と前記バフ部の表面との距離が5.0mm以下で形成され、前記熱伝導層は、前記溝の溝底との距離が1.0mm以上であることが好ましい。
本発明に係る更生タイヤは、トレッドゴムの加硫不足となる領域が発生することを抑制することができる、という効果を奏する。
図1は、実施形態に係る更生タイヤの要部を示す子午断面図である。 図2は、図1に示すトレッド踏面の平面図である。 図3は、図1のA部詳細図である。 図4は、図1のB−B方向における熱伝導層の平面図であり、熱伝導層のワイヤについての説明図である。 図5Aは、更生タイヤの性能試験の結果を示す図表である。 図5Bは、更生タイヤの性能試験の結果を示す図表である。
以下に、本発明に係る更生タイヤの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
以下の説明において、タイヤ幅方向とは、更生タイヤの回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面に向かう方向、タイヤ幅方向外側とは、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面に向かう方向の反対方向をいう。また、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向においてタイヤ回転軸に向かう方向、タイヤ径方向外側とは、タイヤ径方向においてタイヤ回転軸から離れる方向をいう。また、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸を中心として回転する方向をいう。
図1は、実施形態に係る更生タイヤ1の要部を示す子午断面図である。図1に示す更生タイヤ1は、更生前の空気入りタイヤ(図示省略)のトレッド踏面(図示省略)が摩耗してトレッド(図示省略)に形成される溝の溝深さが所定の深さより浅くなることにより、トレッドが使用寿命に達した際に、トレッドゴム(図示省略)を貼り替えて空気入りタイヤとして再利用可能な状態にしたものになっている。本実施形態に係る更生タイヤ1は、いわゆるリモールド方式によりトレッドゴムの貼り替えが行われ、例えば、トラック、バス等に装着される重荷重用更生タイヤや、小型トラック等に装着される商用車用更生タイヤ等に適用される。更生タイヤ1は、子午断面図で見た場合、タイヤ径方向の最も外側となる部分に更生後のトレッドである更生トレッド2が配設されており、更生トレッド2の表面、即ち、当該更生タイヤ1を装着する車両(図示省略)の走行時に路面と接触する部分は、トレッド踏面3として形成されている。
更生トレッド2は、更生前の空気入りタイヤからトレッドを取り除いた台タイヤ20の外周面、及び台タイヤ20のタイヤ幅方向の両側面における外周面近傍の位置に配置されている。詳しくは、空気入りタイヤからトレッドを除去する際には、トレッドが設けられている位置に対してバフかけ作業を行うことによって除去するため、このバフかけ作業が行われた部分が、台タイヤ20においてはバフ部40として形成される。更生トレッド2は、このように形成される台タイヤ20のバフ部40に貼り付けられることにより、バフ部40に配設される。
更生トレッド2のタイヤ幅方向における両端は、ショルダー部5として形成されており、ショルダー部5から、タイヤ径方向内側の所定の位置までは、サイドウォール部23が配設されている。サイドウォール部23は、台タイヤ20が有しており、タイヤ幅方向における更生タイヤ1の両側2箇所に配設されている。さらに、それぞれのサイドウォール部23のタイヤ径方向内側には、ビードコア(図示省略)を有するビード部(図示省略)が位置している。
台タイヤ20は、複数のベルトからなるベルト層30を有しており、ベルト層30は、更生トレッド2のタイヤ径方向内側に設けられている。詳しくは、台タイヤ20における、外周面にバフ部40が形成されて更生トレッド2が配設される部分は、トレッド部21として構成されており、ベルト層30は、このトレッド部21に設けられている。ベルト層30は、例えば、4層のベルト31,32,33,34を積層した多層構造をなし、スチール、またはポリエステルやレーヨンやナイロン等の有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成される。また、ベルト31,32,33,34は、タイヤ周方向に対するベルトコードの長手方向の傾斜角として定義されるベルトコードの傾斜角が互いに異なっており、タイヤ周方向に対するベルトコードの長手方向を相互に交差させて積層される、いわゆるクロスプライ構造として構成される。
ベルト層30のタイヤ径方向内側、及びサイドウォール部23のタイヤ赤道面CL側には、ラジアルプライのコードを内包するカーカス25が連続して設けられている。このカーカス25は、1枚のカーカスプライから成る単層構造、或いは複数のカーカスプライを積層して成る多層構造を有し、タイヤの骨格を構成する。詳しくは、カーカス25は、タイヤ幅方向における両側に位置する一対のビード部のうち、一方のビード部から他方のビード部にかけて配設されている。また、カーカス25のカーカスプライは、スチール、或いはアラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨン等の有機繊維材から成る複数のカーカスコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成されている。
また、カーカス25の内側、或いは、当該カーカス25の、更生タイヤ1における内部側には、インナーライナ26がカーカス25に沿って形成されている。
図2は、図1に示すトレッド踏面3の平面図である。トレッド踏面3には、複数の溝10が形成されている。溝10としては、タイヤ周方向に延びる周方向溝11と、タイヤ幅方向に延びる幅方向溝12とが設けられている。このうち周方向溝11は、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面CLの両側に1本ずつ、合計2本が設けられている。2本の周方向溝11は、それぞれタイヤ周方向に延びつつ、タイヤ幅方向に振幅するジグザグ状に形成されている。
また、幅方向溝12は、トレッド踏面3のタイヤ幅方向における端部からタイヤ幅方向内側に向かってタイヤ幅方向に延びており、周方向溝11よりもタイヤ幅方向外側の所定の位置まで形成されている。即ち、幅方向溝12と周方向溝11とは、交差せずに形成されている。また、幅方向溝12は、複数がタイヤ周方向に並んで形成されており、幅方向溝12の溝幅は、周方向溝11の溝幅よりも広くなっている。このため、複数の幅方向溝12の合計の体積は、2本の周方向溝11の体積の合計よりも大きくなっている。トレッド踏面3には、これらの複数の溝10によって複数の陸部15が画成されている。
なお、周方向溝11の形状や本数、幅方向溝12の間隔、幅方向溝12の長さや角度、各溝10の溝幅や溝深さ等は、適宜設定されるのが好ましい。即ち、トレッド踏面3に形成される、いわゆるトレッドパターンは、適宜設定されるのが好ましい。
本実施形態に係る更生タイヤ1は、更生トレッド2のタイヤ幅方向におけるセンター領域Tcとショルダー領域Tsとで、更生トレッド2を構成するゴムであるトレッドゴム4の体積が異なっている。これらのセンター領域Tcとショルダー領域Tsとは、更生トレッド2における、タイヤ接地端Tからタイヤ接地幅Twの25%の位置を境として、タイヤ幅方向における中央に位置する領域をセンター領域Tcとし、センター領域Tcのタイヤ幅方向における両側に位置する領域をショルダー領域Tsとして定義される領域になっている。つまり、センター領域Tcのタイヤ幅方向における幅Tcwは、タイヤ接地幅Twの50%になっており、2箇所のショルダー領域Tsのタイヤ幅方向における幅Tswは、それぞれタイヤ接地幅Twの25%になっている。
ここでいうタイヤ接地端Tは、トレッド踏面3のタイヤ幅方向における端部になっている。つまり、本実施形態に係る更生タイヤ1は、ショルダー部5がいわゆるスクエアショルダーになっているため、トレッド踏面3のタイヤ幅方向における端部とタイヤ接地端Tとが同じ位置になっている。また、タイヤ接地幅Twは、更生タイヤ1を規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を付与した時の更生タイヤ1と平板との接触面におけるタイヤ回転軸方向の最大直線距離として測定される。
この場合における規定リムとは、JATMAで規定する「適用リム」、TRAで規定する「Design Rim」、或いはETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、規定内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、或いはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。また、規定荷重とは、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、或いはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。
更生トレッド2は、これらのように規定されるセンター領域Tcのゴム体積Vcとショルダー領域Tsのゴム体積Vsとが、(Vs/Vc)≦0.85の関係になっている。つまり、更生トレッド2は、トレッド踏面3に形成される複数の溝10のうち、センター領域Tcに位置する溝10の体積の合計の値よりも、ショルダー領域Tsに位置する溝10の体積の合計の値の方が大きくなっている。更生トレッド2を構成するトレッドゴム4は、溝10が形成される位置には存在しないため、溝10の体積が大きい領域では、その領域に配設されるトレッドゴム4の実際の体積は小さくなる。
このため、更生トレッド2を構成するトレッドゴム4の実際の体積は、ショルダー領域Tsに位置するトレッドゴム4の実際の体積Vsよりも、センター領域Tcに位置するトレッドゴム4の実際の体積Vcの方が大きくなっており、ショルダー領域Tsのゴム体積Vsは、センター領域Tcのゴム体積Vcに対して0.85倍以下になっている。なお、センター領域Tcのゴム体積Vcに対するショルダー領域Tsのゴム体積Vsの比率は、0.10≦(Vs/Vc)≦0.85の範囲内であるのが好ましい。
また、本実施形態に係る更生タイヤ1には、更生トレッド2と台タイヤ20との間に熱伝導層50が配設されている。熱伝導層50は、バフ部40の表面であるバフ面41と更生トレッド2との間に配設されている。詳しくは、台タイヤ20に形成されるバフ部40のバフ面41は、トレッド側バフ面42とバットレス部側バフ面43とを有している。このうち、トレッド側バフ面42は、台タイヤ20の外周面に位置し、つまり、台タイヤ20が有するトレッド部21の外周面に位置しており、タイヤ径方向外側に面している。また、バットレス部側バフ面43は、トレッド側バフ面42のタイヤ幅方向における両側の端部からタイヤ径方向内側の所定の位置まで、タイヤ径方向内側に延在しており、タイヤ幅方向外側に面している。つまり、バットレス部側バフ面43は、サイドウォール部23におけるタイヤ径方向外側端寄りの部分であるバットレス部22に設けられている。
熱伝導層50は、ベルト状の形状で形成され、トレッド側バフ面42に対してタイヤ周方向に巻き回されている。これにより、熱伝導層50は、トレッド側バフ面42と更生トレッド2との間に配設されている。また、熱伝導層50は、タイヤ幅方向において、更生トレッド2のセンター領域Tcが位置する範囲の0.7倍以上1.2倍以下の範囲内に配置されている。つまり、熱伝導層50のタイヤ幅方向における幅BW1は、センター領域Tcのタイヤ幅方向における幅Tcwとの関係が、0.7≦(BW1/Tcw)≦1.2の範囲内になっている。
また、熱伝導層50は、ベルト層30が有する複数のベルト31,32,33,34のうち、タイヤ径方向において最も外側に位置する最外層ベルト35が配置されるタイヤ幅方向における範囲内に配置されている。詳しくは、熱伝導層50は、トレッド側バフ面42上に配設されるが、トレッド側バフ面42は、ベルト層30のタイヤ径方向外側におけるベルト層30に近接する位置に形成される面になっており、換言すると、ベルト層30は、トレッド側バフ面42の直下に配設されている。このため、最外層ベルト35は、トレッド側バフ面42の直下に位置するベルトになっており、トレッド側バフ面42に配設される熱伝導層50は、最外層ベルト35に近接する位置に配設されている。熱伝導層50は、熱伝導層50に近接する最外層ベルト35のタイヤ幅方向における幅BW0に対して、5mm以上狭くなっている。
このように、熱伝導層50は、タイヤ幅方向における幅BW1が、最外層ベルト35のタイヤ幅方向における幅BW0よりも5mm以上狭い幅で形成され、且つ、更生トレッド2のセンター領域Tcのタイヤ幅方向における幅Tcwに対して、0.7≦(BW1/Tcw)≦1.2の範囲内となって配設されている。
図3は、図1のA部詳細図である。図4は、図1のB−B方向における熱伝導層50の平面図であり、熱伝導層50のワイヤ51についての説明図である。熱伝導層50は、金属製のワイヤ51が複数並設され、コートゴム52に被覆されることにより構成されている。ワイヤ51には、例えば、スチールや銅、アルミニウム等の金属材料が用いられ、金属材料であれば、ワイヤ51を構成する材料は問わない。本実施形態では、金属材料の一例として、ワイヤ51を構成する材料にはスチールが用いられる。また、コートゴム52は、23℃でのJIS硬度が68以上78以下の範囲内で、100%伸張時のモジュラス、即ち、100%伸張時の引っ張り応力が、5MPa以上8MPa以下の範囲内のゴムにより構成されている。
なお、本実施形態において、23℃でのJIS硬度は、23℃の条件下で測定される、JIS K6253に準拠したJIS−A硬度により示されるゴム硬さをいう。また、100%伸張時のモジュラスは、JIS K6251(3号ダンベル使用)に準拠した23℃での引張試験により測定される。
これらのように、ワイヤ51とコートゴム52とを有する熱伝導層50は、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向へのワイヤ51の傾斜角度θが、50°以上70°以下の範囲内になっている。また、熱伝導層50は、更生タイヤ1の子午断面における熱伝導層50の断面積に対するワイヤ51の断面積の比率が、0.05以上0.85以下の範囲内になっている。つまり、熱伝導層50は、更生タイヤ1の子午断面において、ワイヤ51の断面積とコートゴム52の断面積とを合わせた熱伝導層50の断面積に対する、ワイヤ51の断面積の比率である断面ワイヤ比率が、0.05以上0.85以下の範囲内になっている。
また、熱伝導層50は、熱伝導率が、更生トレッド2を構成するトレッドゴム4の熱伝導率よりも高くなっている。詳しくは、熱伝導層50は、ワイヤ51の熱伝導率と、コートゴム52の熱伝導率とを合わせた熱伝導層50全体の熱伝導率が、トレッドゴム4の熱伝導率よりも高くなっている。つまり、金属材料は、ゴム材料よりも熱伝導率が高いため、金属材料からなるワイヤ51をコートゴム52よって被覆して構成されることにより金属材料とゴム材料とからなる熱伝導層50の全体の熱伝導率は、ゴム材料からなるトレッドゴム4の熱伝導率よりも高くなっている。
熱伝導層50は、バフ面41に配設され、バフ面41と更生トレッド2とに挟まれて設けられているが、熱伝導層50は、バフ面41に配設された状態において、熱伝導層50におけるタイヤ径方向外側の面と溝10の溝底13との距離dが、1.0mm以上になっている。また、バフ面41に配設される更生トレッド2は、溝10の溝底13とバフ面41との距離Dが、5.0mm以下で形成されている。つまり、更生トレッド2は、溝10の溝底13とトレッド側バフ面42との距離Dが、5.0mm以下となるように、更生トレッド2のタイヤ径方向における厚さと溝10の溝深さとが決められる。
なお、この場合における溝10は、図3では周方向溝11を用いて説明しているが、幅方向溝12と熱伝導層50とがタイヤ径方向に重なる場合には、幅方向溝12に対しても適用される。熱伝導層50は、更生トレッド2に形成される溝10の溝底13との距離dが1.0mm以上となり、且つ、溝底13とトレッド側バフ面42との距離Dが5.0mm以下となることを満たす厚さで形成される。
熱伝導層50は、最外層ベルト35が近接するトレッド側バフ面42に配設されており、換言すると、熱伝導層50は、最外層ベルト35に接着されている。最外層ベルト35に接着される熱伝導層50は、最外層ベルト35に対する剥離力が120N/25mm以上で、最外層ベルト35に接着されている。なお、この場合における剥離力は、JIS K6329「更生タイヤ」に準拠した剥離試験により測定される。
次に、これらのように構成される更生タイヤ1の製造方法について説明する。更生タイヤ1を製造する際には、まず、トレッドの使用寿命に達した空気入りタイヤのトレッドを、バフかけ作業用の装置を用いてバフかけ作業を行うことによって取り除く。これにより、台タイヤ20を製造する。バフかけ作業は、空気入りタイヤにおいてトレッドが位置していた部分に行うため、台タイヤ20のバフ部40は、トレッドが位置していた部分に形成する。つまり、バフ部40として、台タイヤ20の外周面に位置するトレッド側バフ面42と、トレッド側バフ面42のタイヤ幅方向における両側に位置し、バットレス部22に位置するバットレス部側バフ面43とを形成する。
バフ部40を形成したら、台タイヤ20のバフ部40に対して接着剤によって熱伝導層50を貼り付ける。熱伝導層50は、タイヤ幅方向における幅BW1が、台タイヤ20に残存する最外層ベルト35のタイヤ幅方向における幅BW0の5mm以下になるようにして、バフ部40のトレッド側バフ面42に貼り付ける。即ち、熱伝導層50は、タイヤ幅方向における幅BW1が、最外層ベルト35の幅BW0に対して5mm以上狭くなるようにして、トレッド側バフ面42に貼り付ける。その際に、熱伝導層50は、タイヤ幅方向における位置が、製造後の更生タイヤ1における、更生トレッド2のセンター領域Tcが位置するタイヤ幅方向における範囲の0.7倍以上1.2倍以下の範囲内に位置するように配置する。
トレッド側バフ面42に熱伝導層50を貼り付けたら、加硫していないトレッドゴム4を台タイヤ20のバフ面41に貼り付けて加硫しつつ、トレッドゴム4のトレッド踏面3に溝10を形成する。即ち、本実施形態に係る更生タイヤ1は、リモールド方式によって更生トレッド2を形成する。
リモールド方式によって更生トレッド2を形成する際には、加硫していないトレッドゴム4を接着剤によってバフ面41に貼り付けた後、トレッドゴム4が貼り付けられたタイヤを、トレッドゴム4に溝10を形成すると共にトレッドゴム4を加硫することができる金型(図示省略)に入れて加硫を行う。その際に、台タイヤ20の内側にブラダー(図示省略)を挿入し、台タイヤ20の内側からブラダーによって外側方向、即ち、トレッドゴム4を金型に押し付ける方向に加圧しながら加硫を行う。これにより、未加硫のトレッドゴム4に対して加硫と溝10の形成とを行い、更生トレッド2を形成する。
その際に、本実施形態では、更生トレッド2のセンター領域Tcのゴム体積Vcとショルダー領域Tsのゴム体積Vsとが、(Vs/Vc)≦0.85の関係になるように溝10を形成する。換言すると、加硫成形時に金型によって更生トレッド2に形成される溝10は、センター領域Tcのゴム体積Vcとショルダー領域Tsのゴム体積Vsとが、(Vs/Vc)≦0.85の関係になる溝体積で、更生トレッド2に形成される。
加硫成形は、金型からトレッドゴム4に対して熱を伝えつつ、更生トレッド2を加圧して更生トレッド2の形状を金型の成形面の形状に沿った形状に成形することにより行われるが、金型からの熱は、いわゆる熱伝導によってトレッドゴム4の各部に伝えられる。その際に、台タイヤ20と金型との間の領域において、トレッドゴム4の量が多い領域では、トレッドゴム4の量が少ない領域と比較して、金型から伝えられる熱の量に対するゴムの量が多くなる。このため、トレッドゴム4における、ゴムの量が多い領域と少ない領域とでは、ゴムの量に対する熱の伝達量が異なることになり、ゴムの量が多い領域では、ゴムの量が少ない領域と比較して、ゴムの量に対する熱の伝達量が少なくなる。加硫時に、ゴムに伝えられる熱の伝達量が少ない場合は、熱が不足することに起因して加硫不足になり、例えば、加硫後のゴムにポーラスが発生する等の不具合が生じる可能性がある。
本実施形態に係る更生タイヤ1では、更生トレッド2は、センター領域Tcのゴム体積Vcとショルダー領域Tsのゴム体積Vsとが、(Vs/Vc)≦0.85の関係になっており、ショルダー領域Tsに位置するトレッドゴム4の量よりも、センター領域Tcに位置するトレッドゴム4の量の方が多くなっている。このため、センター領域Tcに位置するトレッドゴム4の量に対する熱の伝達量は、センター領域Tcに位置するトレッドゴム4の量に対する熱の伝達量よりも少なくなっているが、更生トレッド2と台タイヤ20との間には、タイヤ幅方向における位置がセンター領域Tcが位置する範囲の0.7倍以上1.2倍以下の範囲内となる位置に、熱伝導層50が配置されている。
熱伝導層50は、熱伝導率がトレッドゴム4の熱伝導率よりも高くなっているため、金型からトレッドゴム4を介して伝えられた熱を、熱伝導層50に接するトレッドゴム4における温度が低い部分に伝えることができる。熱伝導層50は、タイヤ幅方向における配置範囲が、タイヤ幅方向におけるセンター領域Tcの範囲と近いものになっているため、熱伝導層50に伝えられた熱を、センター領域Tcに位置するトレッドゴム4における、温度が低い領域に対して伝えることができる。
これにより、トレッドゴム4の量に対する熱の伝達量が少なくなり易いセンター領域Tcのトレッドゴム4に対して熱を伝え易くすることができ、トレッドゴム4の量に対する熱の伝達量が少なくなり易いセンター領域Tcにおいても、この熱によって適切な加硫を行うことができる。一方で、トレッドゴム4の量に対する熱の伝達量が多くなり易いショルダー領域Tsには、熱伝導層50を極力配置しないことにより、ショルダー領域Tsのトレッドゴム4に熱が伝わり過ぎることを抑制でき、ショルダー領域Tsの過加硫を抑制することができる。換言すると、トレッドゴム4の量に対する熱の伝達量が多くなり易いショルダー領域Tsと、トレッドゴム4の量に対する熱の伝達量が少なくなり易いセンター領域Tcとで、加硫時に適切な加硫が完了するまでの時間を合わせることができ、ショルダー領域Tsとセンター領域Tcとの加硫時間の差を低減することができる。この結果、トレッドゴム4の加硫不足となる領域が発生することを抑制することができる。
なお、センター領域Tcのゴム体積Vcに対するショルダー領域Tsのゴム体積Vsの比率が、0.10≦(Vs/Vc)≦0.85の範囲内である場合は、ショルダー領域Tsの接地面積が小さくなり過ぎることを抑制しつつ、熱伝導層50を配置することによる効果を、より確実に発揮することができる。つまり、センター領域Tcのゴム体積Vcに対するショルダー領域Tsのゴム体積Vsの比率が、(Vs/Vc)<0.10である場合は、更生トレッド2のショルダー領域Tsに位置する溝10の体積が大き過ぎるため、更生トレッド2のトレッド踏面3におけるショルダー領域Tsの接地面積が小さくなり過ぎる虞がある。この場合、ショルダー領域Tsに位置する陸部15の剛性が不足し、偏摩耗を招く虞がある。また、センター領域Tcのゴム体積Vcに対するショルダー領域Tsのゴム体積Vsの比率が、(Vs/Vc)>0.85である場合は、センター領域Tcのゴム体積Vcとショルダー領域Tsのゴム体積Vsとで差が大きくないため、加硫速度の差が発生し難いものとなり、熱伝導層50を配置することによる効果を得難くなる。
これに対し、センター領域Tcのゴム体積Vcに対するショルダー領域Tsのゴム体積Vsの比率が、0.10≦(Vs/Vc)≦0.85の範囲内である場合は、ショルダー領域Tsの接地面積が小さくなり過ぎることを抑制しつつ、熱伝導層50を配置することによる効果を、より確実に発揮することができる。この結果、トレッドゴム4の加硫不足となる領域が発生することを効果的に抑制すると共に、偏摩耗の発生を抑制することができる。
また、熱伝導層50は、最外層ベルト35が配置されるタイヤ幅方向における範囲内に配置され、且つ、タイヤ幅方向における幅BW1が、最外層ベルト35のタイヤ幅方向における幅BW0に対して5mm以上狭くなっているため、センター領域Tcに対する熱の伝達性を熱伝導層50によって確保しつつ、熱伝導層50が台タイヤ20から剥離することを抑制することができる。つまり、熱伝導層50を、タイヤ幅方向において最外層ベルト35が配置される範囲内に確実に配置することにより、トレッド側バフ面42における、当該トレッド側バフ面42に近接する最外層ベルト35が配置されている範囲に熱伝導層50を配置することができ、トレッド側バフ面42に対して熱伝導層50を安定して接着することができる。この結果、トレッドゴム4の加硫不足となる領域が発生することを抑制すると共に、加硫不足となる領域の発生を抑制する熱伝導層50の剥離を抑制することができる。
また、熱伝導層50は、金属製のワイヤ51がコートゴム52に被覆されることにより構成され、且つ、断面ワイヤ比率が0.05以上0.85以下であるため、熱伝導層50の熱伝導率がトレッドゴム4の熱伝導率よりも高くなることを確保しつつ、熱伝導層50の剥離を抑制することができる。つまり、熱伝導層50の断面ワイヤ比率が0.05未満である場合は、熱伝導層50におけるワイヤ51の割合が少な過ぎるため、熱伝導層50の熱伝導率を、トレッドゴム4の熱伝導率に対して効果的に高め難くなる可能性がある。また、熱伝導層50の断面ワイヤ比率が0.85を超える場合は、熱伝導層50におけるワイヤ51の割合が多くなり過ぎ、コートゴム52の割合が少なくなり過ぎるため、台タイヤ20のバフ面41やトレッドゴム4と、熱伝導層50との接着性が低下する可能性がある。この場合、台タイヤ20やトレッドゴム4と、熱伝導層50との間で剥離が生じ、走行性能が低下する可能性がある。
これに対し、熱伝導層50の断面ワイヤ比率が0.05以上0.85以下の範囲内である場合は、熱伝導層50の熱伝導率を、トレッドゴム4の熱伝導率に対してより確実に高めつつ、熱伝導層50の剥離を抑制することができる。この結果、トレッドゴム4の加硫不足となる領域が発生することをより確実に抑制しつつ、熱伝導層50の剥離を抑制することができる。
また、熱伝導層50は、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向へのワイヤ51の傾斜角度θが50°以上70°以下の範囲内であるため、熱伝導層50を配設することに起因する走行性能の低下や偏摩耗を抑制することができる。つまり、熱伝導層50のワイヤ51の傾斜角度θが50°未満である場合は、ワイヤ51の傾斜角度θが小さ過ぎるため、熱伝導層50の、タイヤ径方向への拘束力が大きくなり過ぎる可能性がある。この場合、加硫成形時に、台タイヤ20の内側からタイヤ径方向外側及びタイヤ幅方向外側に向かってブラダーによって加圧した際に、タイヤ径方向外側への台タイヤ20の膨張が、熱伝導層50によって制限される可能性がある。この場合、加硫成形時に、トレッドゴム4を金型に押し付ける力が弱くなる可能性があり、トレッドゴム4への圧力が低下するため、適切な加硫が行われ難くなる可能性がある。また、更生後の更生タイヤ1においても、更生タイヤ1の回転時に、タイヤ幅方向において熱伝導層50が配設されている範囲における径成長が熱伝導層50によって制限されるため、走行性能が低下したり、偏摩耗が発生したりする可能性がある。また、熱伝導層50のワイヤ51の傾斜角度θが70°を超える場合は、ワイヤ51の傾斜角度θが大き過ぎるため、更生後の更生タイヤ1の回転時に、タイヤ幅方向における熱伝導層50が配設されている範囲の径成長が大きくなり過ぎ、走行性能が低下したり、偏摩耗が発生したりする可能性がある。つまり、更生タイヤ1は、更生前の空気入りタイヤに対して熱伝導層50を新たに追加する分、熱伝導層50が配設される範囲の重量が増加するため、更生タイヤ1の回転時は、遠心力によって、熱伝導層50が配設される範囲の径成長が大きくなり易くなる。この場合、トレッド踏面3の径成長が局所的に大きくなるため、局所的に接地圧が高くなり、走行性能が低下したり、偏摩耗が発生したりする可能性がある。
これに対し、熱伝導層50のワイヤ51の傾斜角度θが、50°以上70°以下の範囲内である場合は、熱伝導層50の、台タイヤ20に対するタイヤ径方向への拘束力を適度な大きさにすることができ、加硫成形時にトレッドゴム4に付与する圧力を確保することができる。これにより、より確実に適切な加硫を行うことができる。また、更生後の更生タイヤ1の回転時に、熱伝導層50が配設されている範囲の径成長を抑え過ぎることを抑制しつつ、熱伝導層50の分の重量増加に伴う局所的な径成長についても抑制することができる。この結果、トレッドゴム4の加硫不足となる領域が発生することを抑制しつつ、熱伝導層50を配設することに起因する走行性能の低下や偏摩耗を抑制することができる。
また、熱伝導層50のコートゴム52は、23℃でのJIS硬度が68以上78以下の範囲内で、100%伸張時の引っ張り応力が5MPa以上8MPa以下の範囲内であるため、熱伝導層50の弾性率を、適切な大きさにすることができる。つまり、ワイヤ51を被覆するコートゴム52に、これらの物性値を有するゴムを用いることにより、熱伝導層50による、台タイヤ20のタイヤ径方向への拘束力を、適度な大きさにすることができる。この結果、熱伝導層50を配設することに起因する走行性能の低下や偏摩耗を、より確実に抑制することができる。
また、熱伝導層50は、最外層ベルト35に対する剥離力が120N/25mm以上で最外層ベルト35に接着されるため、台タイヤ20への熱伝導層50の接着性を確保することができ、熱伝導層50が台タイヤ20から剥離することを抑制することができる。この結果、トレッドゴム4の加硫不足となる領域が発生することを抑制しつつ、熱伝導層50を配設した際における耐久性を確保することができる。
また、熱伝導層50は、溝10の溝底13との距離dが1.0mm以上であるため、溝10と熱伝導層50との間のトレッドゴム4の厚さが薄過ぎることに起因して溝10と熱伝導層50との間でクラックが入ることを抑制することができる。これにより、熱伝導層50を配設することに起因して耐久性が低下することを抑制することができる。また、更生トレッド2は、溝10の溝底13とバフ面41との距離Dが5.0mm以下で形成されるため、溝底13とバフ面41との距離Dが大きくなり過ぎることを抑制でき、熱伝導層50の厚さが厚くなり過ぎることを抑制することができる。これにより、熱伝導層50が重くなり過ぎること抑制でき、熱伝導層50が重くなり過ぎることに起因して発生する局所的な径成長を抑制することができる。これらの結果、熱伝導層50を配設することに起因する耐久性や走行性能の低下、偏摩耗を抑制することができる。
また、上述した実施形態に係る更生タイヤ1では、更生トレッド2に形成される溝10は、2本の周方向溝11と、周方向溝11のタイヤ幅方向外側に形成される幅方向溝12とを有しているが、更生トレッド2に形成される溝10は、これ以外によって構成されていてもよい。即ち、トレッド踏面3に形成されるトレッドパターンは、実施形態に示したパターン以外でもよい。更生トレッド2に形成される溝10は、更生トレッド2におけるセンター領域Tcのゴム体積Vcとショルダー領域Tsのゴム体積Vsとが、(Vs/Vc)≦0.85の関係になっていれば、トレッド踏面3に形成されるトレッドパターンは問わない。
〔実施例〕
図5A、図5Bは、更生タイヤ1の性能試験の結果を示す図表である。以下、上記の更生タイヤ1について、従来例及び比較例の更生タイヤ1と、本発明に係る更生タイヤ1とについて行なった性能の評価試験について説明する。性能評価試験は、更生トレッド2へのポーラスの発生の有無と、走行性能、偏摩耗性への影響とについての試験を行った。
これらの評価試験は、JATMAで規定されるタイヤの呼びが11R22.5 16PRサイズの更生タイヤ1を用いて行った。評価試験は、ポーラスの発生の有無については、更生後の更生タイヤ1の更生トレッド2を切断し、更生トレッド2にポーラスが発生しているか否かを目視によって確認した。また、走行性能への影響については、更生タイヤ1を試験用の車両に装着して走行した際におけるドライバーの官能評価により、走行性能への影響についての有無を判断した。また、偏摩耗性への影響については、更生タイヤ1を装着した試験用の車両で10,000km走行した後の、トレッド踏面3の偏摩耗を、目視によって判断した。
評価試験は、従来の更生タイヤ1の一例である従来例と、本発明に係る更生タイヤ1である実施例1〜10と、本発明に係る更生タイヤ1と比較する更生タイヤ1である比較例1、2の13種類の更生タイヤ1について行った。これらの更生タイヤ1は、全て更生トレッド2のセンター領域Tcのゴム体積Vcに対するショルダー領域Tsのゴム体積Vsの比率が0.80になっており、タイヤ接地幅Twが214mmで、センター領域Tcの幅Tcwが107mmになっており、熱伝導層50のワイヤ51がスチールワイヤになっており、台タイヤ20のベルト層30のうち最大のベルト幅が195mmになっており、最外層ベルト35の幅BW0が、88mm、90mm、133mm、135mmのいずれかになっている。
これらの更生タイヤ1のうち、従来例の更生タイヤ1は、熱伝導層50が設けられていない。また、比較例1、2の更生タイヤ1は、熱伝導層50は設けられているものの、熱伝導層50のタイヤ幅方向における幅BW1が、更生トレッド2のセンター領域Tcのタイヤ幅方向における幅Tcwに対して0.7倍以上1.2倍以下の範囲内になっていない。
これに対し、本発明に係る更生タイヤ1の一例である実施例1〜10は、全て熱伝導層50が設けられており、熱伝導層50のタイヤ幅方向における幅BW1が、更生トレッド2のセンター領域Tcのタイヤ幅方向における幅Tcwに対して0.7倍以上1.2倍以下の範囲内になっている。また、実施例1〜10に係る更生タイヤ1は、熱伝導層50の断面ワイヤ比率や、最外層ベルト35の幅BW0と熱伝導層50の幅BW1との差、熱伝導層50のワイヤ51の傾斜角度θ、更生トレッド2の溝10の溝底13と熱伝導層50との距離d、更生トレッド2の溝10の溝底13と台タイヤ20のバフ面41との距離Dが、それぞれ異なっている。
これらの更生タイヤ1を用いて評価試験を行った結果、図5A、図5Bに示すように、実施例1〜10に係る更生タイヤ1は、更生トレッド2にポーラスを発生させないようにすることができることが分かった。つまり、実施例1〜10に係る更生タイヤ1は、加硫時にトレッドゴム4の加硫不足となる領域が発生することを抑制することができる。また、図5A、図5Bに示すように、熱伝導層50の幅BW1やワイヤ51の傾斜角度θ、更生トレッド2の溝10の溝底13と熱伝導層50との距離d、溝底13とバフ面41との距離Dを、それぞれ適切な大きさにすることにより、走行性能や偏摩耗性に影響を与えることなく、熱伝導層50を配設することができる。
1 更生タイヤ
2 更生トレッド
3 トレッド踏面
4 トレッドゴム
5 ショルダー部
10 溝
11 周方向溝
12 幅方向溝
13 溝底
15 陸部
20 台タイヤ
21 トレッド部
22 バットレス部
23 サイドウォール部
25 カーカス
26 インナーライナ
30 ベルト層
31,32,33,34 ベルト
35 最外層ベルト
40 バフ部
41 バフ面
42 トレッド側バフ面
43 バットレス部側バフ面
50 熱伝導層
51 ワイヤ
52 コートゴム

Claims (7)

  1. 複数のベルトを有する台タイヤと、前記台タイヤのバフ部に配設される更生トレッドと、前記更生トレッドと前記台タイヤとの間に配設される熱伝導層と、を備え、
    前記更生トレッドにおける、タイヤ接地端からタイヤ接地幅の25%の位置を境としてタイヤ幅方向における中央に位置する領域をセンター領域とし、前記センター領域のタイヤ幅方向における両側に位置する領域をショルダー領域とする場合に、
    前記更生トレッドは、前記センター領域のゴム体積Vcと前記ショルダー領域のゴム体積Vsとが(Vs/Vc)≦0.85の関係になっており、
    前記熱伝導層は、熱伝導率が前記更生トレッドを構成するゴムの熱伝導率よりも高くなっており、タイヤ幅方向において前記センター領域が位置する範囲の0.7倍以上1.2倍以下の範囲内に配置されることを特徴とする更生タイヤ。
  2. 前記熱伝導層は、複数の前記ベルトのうちタイヤ径方向において最も外側に位置する最外層ベルトが配置されるタイヤ幅方向における範囲内に配置され、且つ、タイヤ幅方向における幅が、前記最外層ベルトのタイヤ幅方向における幅に対して5mm以上狭くなっている請求項1に記載の更生タイヤ。
  3. 前記熱伝導層は、金属製のワイヤがコートゴムに被覆されることにより構成され、且つ、前記更生タイヤの子午断面における前記熱伝導層の断面積に対する前記ワイヤの断面積の比率が、0.05以上0.85以下の範囲内である請求項1または2に記載の更生タイヤ。
  4. 前記熱伝導層は、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向への前記ワイヤの傾斜角度が50°以上70°以下の範囲内である請求項3に記載の更生タイヤ。
  5. 前記コートゴムは、23℃でのJIS硬度が68以上78以下の範囲内で、100%伸張時の引っ張り応力が5MPa以上8MPa以下の範囲内である請求項3または4に記載の更生タイヤ。
  6. 前記熱伝導層は、前記ベルトに対する剥離力が120N/25mm以上で前記ベルトに接着される請求項1〜5に記載の更生タイヤ。
  7. 前記更生トレッドには、トレッド踏面に複数の溝が形成され、
    前記更生トレッドは、前記溝の溝底と前記バフ部の表面との距離が5.0mm以下で形成され、
    前記熱伝導層は、前記溝の溝底との距離が1.0mm以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載の更生タイヤ。
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