JP2018202954A - 船舶、及び船舶の操船方法 - Google Patents

船舶、及び船舶の操船方法 Download PDF

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行久 藤原
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Abstract

【課題】停船時の波浪衝撃の緩和と、船体の姿勢(トリム)の変化による推進性能の悪化の抑制を図ることができる船舶及び船舶の操船方法を提供する。【解決手段】船舶1の船尾端2と、船尾端2から前方に船舶1の全長LOAの15%の位置との間の第1領域R1の全体を含む範囲において、船尾船底部3の横断面で中央部が下に凸な曲面形状をしている船舶において、第1領域R1の一部であり、かつ、第1領域R1の範囲の25%〜100%の範囲の第2領域R2にわたって両舷の船側部5のそれぞれに、板状部材6を船側部5よりも船体左右方向外側に展開可能に設ける。そして、船舶1が高速航行するときには、板状部材6を船側部5よりも船体左右方向外側に展開させた状態とし、船舶1を停船若しくは低速航行するときには、板状部材6を船側部5の内側に収納した状態にする。【選択図】図1

Description

本発明は、船舶及び船舶の操船方法に関し、より詳細には、停船時の波浪衝撃の緩和と、船体の姿勢(トリム)の変化による推進性能の悪化の抑制を図ることができる船舶及び船舶の操船方法に関する。
旅客船やフェリーなどの高速で航行する一般的な船舶では、航海速力領域で航行するときには、船底を流れる水流の流速が速くなるため、船底での圧力が小さくなるが、この圧力変化の影響は、船底部分が比較的細い船首側よりも船底部分が比較的広い船尾側の船底の方が大きいので、船尾側の沈下量が大きくなる。そのため、航行速度が高くなると、船体の姿勢が船首側が上方となり船尾側が下方になる船尾トリムになり、船体抵抗が大幅に増加し、推進効率が低下する。この傾向は、フルード数Fnが0.3以上となる高速船において、特に顕著である。
このような問題に対して従来、種々の提案がされている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1に記載の発明では、船尾部の船体中心線における船底面形状において、船尾端から一定距離前方に変曲点を設け、この変曲点を境に前方に流速を遅くする領域(上方傾斜面)を形成すると共に、変曲点から後方へ流れを加速させる領域(下方傾斜面)を形成した構成としている。特許文献2に記載の発明では、特許文献1の変曲点から後方へ流れを加速させる領域を計画喫水に平行な船底としている。これらの特許文献1、2では、船舶を船体左右方向に横断する横断面視で見たプロファイルで船尾船底部がほぼ平坦な船舶が例示されている。
このような船尾船底形状にすると、図10に示すように、高速航行時には、船尾船底前部4bに沿って上昇してくる水流により、船尾船底後部4dの圧力を高めることができる。これにより、船尾を上向きに押し上げる力を増大することができ、船体の姿勢を推進抵抗の少ない姿勢になるようにして推進性能の悪化を抑制することができる。
一方で、旅客船やフェリーのように停船時に業務を行う高速船では、停船時の波浪衝撃の緩和の観点から、船体中央から舷側側にかけて、ある程度のデットライズ(船底勾配)を設けた船形にすることが望まれている。即ち、図11に示す船舶1Zのように、船尾船底部3の横断面で中央部3aが下に凸な曲面形状を有するような所謂ラウンドボトムやアークボトム等のデットライズを設けた船底形状にすることが好ましい。
また、停船時の波浪衝撃の緩和の観点から、図12に示すように、船尾部分における水線面の形状は、船首側から船尾側に向うにつれて船体左右方向の幅が狭まるような船形、即ち、平面視で船尾側の角を落としたような船形にすることが望まれている。
しかしながら、デットライズを設けるとともに、船尾側の角を落としたような船形は、高速航行時に船尾船底前部4bに沿って上昇してくる水流が中央部3aから船側部5側に向って船尾船底部3の外部に逃げ易く、船尾船底後部4dの圧力を高めるには不向きである。そのため、船尾船底後部4dの圧力上昇による船体の姿勢の調整により高速航行時の推進性能の悪化を抑制する効果は、非常に小さくなってしまう。このように、従来技術では、高速航行時と停船時の要求を両立することが難しく、改善の余地があった。
特開2002−154475号公報 特開2012−116401号公報
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、停船時の波浪衝撃を緩和する船底及び水線面形状を維持しつつ、高速航行時において、船尾船底後部における水圧を大きくして、船尾を上向きに押し上げる力を増大することにより、船体の姿勢を推進抵抗の少ない姿勢になるようにして推進性能の悪化を抑制することができる船舶及び船舶の操船方法を提供することにある。
上記の目的を達成するため本発明の船舶は、当該船舶の船尾端と、船尾端から前方に当該船舶の全長の15%の位置との間の第1領域の全体を含む範囲において、船尾船底部の横断面で中央部が下に凸な曲面形状をしている船舶において、前記第1領域の一部であり、かつ、前記第1領域の範囲の25%〜100%の範囲の第2領域にわたって両舷の船側部のそれぞれに、板状部材を船側部よりも船体左右方向外側に展開可能に設けていることを特徴とする。
この構成によれば、停船若しくは低速航行するときには、板状部材を船側部の内側に格納した状態にすることで、中央部が下に凸な曲面形状を有した船尾船底形状を活かして、波浪の水流を船側部から船尾船底部の外部に流して、波浪衝撃を緩和することができる。
その一方で、高速航行するときには、両舷の船側部に設けた板状部材を船側部よりも船体左右方向外側に展開した状態にして、船底に沿って上昇してくる水流の上向きの力を板状部材によって受けることで、船尾を上向きに押し上げる力を増大することができる。また、板状部材により、船底に沿って上昇してくる水流が船側部側から外部に流出し難くなるので、船尾船底部の圧力を高めるにも有利になる。これにより、中央部が下に凸な曲面形状を有した船底形状であっても、この板状部材によって、船尾を上向きに押し上げる力を増大することにより、船体の姿勢を推進抵抗の少ない姿勢に維持して推進性能の悪化を効果的に抑制することができる。
上記の船舶において、前記第1領域における船体中心線を含む側断面形状が、キール船底部から船尾側に向って上方に傾斜する船尾船底前部と、変曲面部若しくは変曲点と、キール船底部と平行又は船尾側に向って下方に傾斜する船尾船底後部とを順番に連続させている形状をしていると、船尾船底後部の圧力を高めて、船尾を上向きに押し上げる力を増大することにより、船体の姿勢を推進抵抗の少ない姿勢に維持して推進性能の悪化を抑制する効果をより大きくできる。
上記の船舶において、前記第1領域の設定喫水線における水線面形状が、船首側から船尾側に向うにつれて船体左右方向の幅が連続的に狭まるような船体形状である構成にすると、ピッチングなどの船体運動により大きく上下する部分の水線面の面積が小さくなると共に、船体に当たる水を後方に逃がし易くなるので、停船若しくは低速航行するときに波浪衝撃を緩和するには有利になる。
上記の船舶において、展開時の前記板状部材が当該船舶の最大幅における船側位置よりも船体左右方向外側へ突出する構成にすると、船底に沿って上昇してくる水流の上向きの力を板状部材によってより広い範囲で受けることができるので、船尾を上向きに押し上げる力を増大するには有利になる。また、板状部材により、船底に沿って上昇してくる水流が船側部側から外部により流出し難くなるので、船尾船底部の圧力を高めるにも有利になる。
上記の船舶において、横断面視において、展開時の前記板状部材が船体中心線側から船側側にかけて下方に傾斜するように配置されている構成にすると、板状部材により、船底に沿って上昇してくる水流が船側部側から外部にさらに流出し難くなるので、船尾船底部の圧力を高めるには有利になる。
上記の船舶において、前記板状部材の展開時において、船側部よりも船体左右方向外側への前記板状部材の突出量を変更する突出量変更機構を備えている構成にすると、板状部材による抵抗増加と板状部材による船体姿勢維持の効果による抵抗減少のバランスを見ながら最適な板状部材の突出量にすることができるようになる。これにより、推進効率を高めるには有利になる。
上記の船舶において、前記板状部材の展開時において、前記突出量変更機構により当該船舶の船速に応じて前記板状部材の突出量を変更する制御装置を備えている構成にすると次のような効果を発揮できる。この構成にすると、制御装置によって突出量変更機構を制御し、船舶の船速に応じて板状部材の船側部よりも船体左右方向外側への突出長さを変更することで、船尾を上向きに押し上げる力の大きさを制御することが可能になる。これにより、船速が変化する場合にも、船体の姿勢を推進抵抗の少ない最適な姿勢に維持することが可能となり、推進性能の悪化を抑制するには益々有利になる。例えば、船速が比較的速い場合には板状部材の突出長さを長くすることで、船尾を上向きに押し上げる力を増加させることができる。船速が比較的遅い場合には、板状部材の突出長さを短くすることで、船体が過度な前傾姿勢になることを防ぐことができる。
上記の目的を達成するため本発明の船舶の操船方法は、上記の船舶を操船する船舶の操船方法において、当該船舶が予め設定された設定航行速度より高速で航行するときには、前記板状部材を前記船側部よりも船体左右方向外側に展開させた状態とし、前記船舶を停船若しくは前記設定航行速度より低速で走行するときには、前記板状部材を前記船側部の内側に収納した状態にすることを特徴とする。
この方法によれば、停船若しくは低速航行するときには、板状部材を前記船側部の内側に格納した状態にすることで、中央部が下に凸な曲面形状を有した船尾船底形状を活かして、波浪衝撃を緩和することができる。
一方、高速航行するときには、両舷の船側部に設けた板状部材を船側部よりも船体左右方向外側に展開させた状態にすることで、船底に沿って上昇してくる水流の上向きの力を板状部材によって受けることで、船尾を上向きに押し上げる力を増大することができる。これにより、中央部が下に凸な曲面形状を有した船底形状であっても、この板状部材によって、船尾を上向きに押し上げる力を増大することにより、船体の姿勢を推進抵抗の少ない姿勢に維持して推進性能の悪化を効果的に抑制することができる。
本発明の船舶及び船舶の操船方法によれば、船尾船底部における両舷の船側部にそれぞれ、船側部よりも船体左右方向外側に展開可能な板状部材を設けることで、停船時や低速航行時の波浪衝撃を緩和する船底形状を維持しつつ、高速航行時において、この板状部材によって、船尾を上向きに押し上げる力を増大することにより、船体の姿勢を推進抵抗の少ない姿勢に維持して推進性能の悪化を抑制することができる。
本発明に係る第1の実施の形態の船舶を側面視で模式的に示す説明図である。 図1の船舶において、板状部材を展開した状況を平面視で模式的に示す説明図である。 図2のA−A断面図である。 図1の船舶の板状部材を収納した状況を平面視で模式的に示す説明図である。 図4のB−B断面図である。 本発明に係る第2の実施の形態の船舶において、板状部材を展開した状況を平面視で模式的に示す説明図である。 本発明に係る第3の実施の形態の船舶において、板状部材を展開した状況を平面視で模式的に示す説明図である。 本発明に係る第4の実施の形態の船舶において、板状部材を展開した状況を平面視で模式的に示す説明図である。 本発明に係る第5の実施の形態の船舶において、板状部材を展開した状況を横断面視で模式的に示す説明図である。 従来の船舶を側面視で模式的に示す説明図である。 従来の船舶を横断面視で模式的に示す説明図である。 従来の船舶を平面視で模式的に示す説明図である。
以下、本発明に係る実施の形態の船舶を図面を参照しながら説明する。図中のX軸は船舶の船体前後方向(船長方向)を示し、Y軸は船舶の船体左右方向(船幅方向)を示し、Z軸は船舶の高さ方向(深さ方向)を示している。尚、図1〜図12では、推進器(プロペラ等)や舵等は省略している。
図1〜図5に例示する本発明に係る第1の実施の形態の船舶1は、船尾端2(位置X0)と、船尾端2から前方に船舶1の全長LOAの15%の位置X1との間の第1領域R1の全体を含む範囲において、船尾船底部3の横断面で中央部3aが下に凸な曲面形状をしている。言い換えると、船舶1は第1領域R1の少なくとも一部が所謂ラウンドボトムやアークボトム等のデットライズを設けた船底形状となっている。
ここでいう船尾端2とは、予め設定した設定喫水線W.L.における船尾部の最後端の位置を示している。予め設定された設定喫水線W.L.とは、推進性能を改善したい載荷状態の喫水線のことを言い、例えば、満載喫水線、軽荷喫水線(バラスト状態喫水線)、スキャントリング喫水線、常備状態喫水線、基準状態喫水線、消費状態喫水線、航行時の喫水線、軽荷から満載状態までの特定の載荷状態の喫水線、計画喫水線などである。
図1に示すように、この実施の形態では、第1領域R1における船体中心線C.L.を含む側断面形状S1が、キールラインK.L.と平行なキール船底部4aから船尾側に向って上方に傾斜する船尾船底前部4bと、変曲面部4cと、キール船底部4aと平行な船尾船底後部4dとを順番に連続させている形状をしている。尚、船尾船底後部4dは船尾側に向って下方に傾斜する構成にすることもできる。また、船尾船底後部4dは、船尾船底前部4bよりも緩い傾斜角度であれば、船尾側に向って上方に傾斜する構成にすることもできる。ただし、船尾船底後部4dの水圧を高めるには、船尾船底後部4dをキール船底部4aと平行又は船尾側に向って下方に傾斜する構成にすることが好ましい。
ここでいう変曲面部4cは、船尾船底前部4bと船尾船底後部4dとの間において、傾斜角度の変化量が最も大きい位置を示している。船舶1のように、船尾船底前部4bと船尾船底後部4dとが滑らかな曲線状に連続している場合には、その境を変曲面部4cといい、船尾船底前部4bと船尾船底後部4dとが直線的に折れ曲がるように連続している場合には、その境を変曲点という。
この実施の形態では、側面視で見た船側部5における側面形状S2も同様に、船首側から船尾側に向って上方に傾斜する船尾船側前部と、変曲面部と、キールラインK.L.と平行な船尾船側後部とを順番に連続させている形状をしている。なお、船側部5における側面形状S2はこの実施の形態に限定されず、他にも様々な形状にすることができる。
図2に示すように、船舶1は、第1領域R1の設定喫水線W.L.における水線面形状が、船首側から船尾側に向うにつれて船体左右方向の幅が連続的に狭まるような船体形状となっている。第1領域R1における船首側の船側部5は、平面部(サイドフラット)5aで構成されており、第1領域R1における船尾側の船側部5が船首側から船尾側に向うにつれて船体左右方向の幅が連続的に狭まる曲面部5bで構成されている。
船舶1には、両舷の船側部5のそれぞれに船側部5よりも船体左右方向外側に展開可能な板状部材6が備えられている。この板状部材6は、第1領域R1の一部であり、かつ、第1領域R1の範囲の25%〜100%の範囲の第2領域R2にわたって設けられている。
この実施の形態では、板状部材6の前端部6aに設けられた回転軸7aを回転中心にして板状部材6を水平方向に回動させる回動機構7が備えられている。回動機構7によって板状部材6を水平方向に回動させることで、板状部材6の展開と収納が行われる。それぞれの回動機構7には、板状部材6の展開時において、船側部5よりも船体左右方向外側への板状部材6の突出量(突出長さL)を変更する突出量変更機構9と、突出量変更機構9により船舶1の船速に応じて板状部材6の突出量を変更する制御装置10が備えられている。この実施形態では、展開時における回動機構7による板状部材6の回動量(回動角度)を突出量変更機構9によって変更する。制御装置10には、船舶1の船速が逐次入力されるようになっている。
図2に示すように、この船舶1では、板状部材6を最大限に展開させた状態にすると、平面視で板状部材6の船側側の先端部6cが、船側部5の平面部5aの延長線上に直線状に位置した状態となる。そして、船尾側の船側部5が曲面部5bで構成される範囲に板状部材6が継ぎ目なく延在配置された状態となる。船体前後方向において、板状部材6の前端部6aが曲面部5bの前端部に配置され、板状部材6の後端部6bは船尾端2と同じ位置X0に配置された状態となる。このように、この船舶1では板状部材6を、船舶1の最大幅Beにおける船側位置(平面部5a)と同じ位置、又は、船舶1の最大幅Beにおける船側位置よりも船体左右方向内側に展開させる。板状部材6の突出長さLに注目すると、板状部材6の突出長さLが板状部材6の前端部6aから後端部6bにかけて連続的に増加するように構成されている。
図3に示すように、この実施の形態の板状部材6は、水平方向に延在配置された平板部材で構成されている。板状部材6の厚さは、例えば15mm〜50mm程度である。板状部材6は、平板形状に限定されず、例えば、流線形状や翼形状の部材で構成することもできる。この実施の形態では、板状部材6を一枚の部材で構成しているが、板状部材6を複数の分割された部材で構成することもできる。
船舶1の船体内には、板状部材6を収納できる収納部12が設けられている。図4及び図5に示すように、板状部材6を船体中心線C.L.側に向って回動させることで板状部材6が収納部12に収納され、板状部材6の先端部6cを船側部5よりも内側に配置できる構成になっている。さらに、この実施の形態では、収納部12の船側側の開口に蓋部材11aと蓋部材11aを上下動させるアクチュエータとからなる開閉機構11が備えられている。板状部材6を船体外側に展開させるときには、図3に示すように、アクチュエータによって蓋部材11aを移動させることで、板状部材6を展開できる状態となる。図5に示すように、板状部材6を船体内側に収納しているときには、蓋部材11aによって収納部12の開口を塞ぐことで船側部5が塞がれた状態となる。
次に、船舶1の操船方法を説明する。
船舶1を停船若しくは設定航行速度より低速で走行するときには、図4及び図5に示すように、板状部材6を船側部5の内側に収納した状態にする。一方、船舶1が予め設定された設定航行速度より高速で航行するときには、図1〜図3に示すように、板状部材6を船側部5よりも船体左右方向外側に展開させた状態にする。
この実施の形態では、さらに、予め設定された設定航行速度より高速で航行するときには、制御装置10によって船舶1の船速に応じて突出量変更機構9を制御することにより、船舶1の船速に応じて板状部材6の突出量を変更する。具体的な制御方法としては、例えば、船舶1の船速に対応させて板状部材6の突出量を逐次変更する制御方法や、予め段階的に設定した船速範囲に応じて板状部材6の突出量を段階的に変更する制御方法にする。
このように本発明では、船舶1が停船若しくは低速航行するときには、板状部材6を船側部5の内側に収納した状態にすることで、中央部3aが下に凸な曲面形状を有した船底形状を活かして、波浪の水流を船側部5から船底の外部に流して、波浪衝撃を緩和することができる。
その一方で、高速航行するときには、両舷の船側部5に設けた板状部材6を船側部5よりも船体左右方向外側に展開した状態にして、船底に沿って上昇してくる水流の上向きの力を板状部材6によって受けることで、船尾を上向きに押し上げる力を増大することができる。また、板状部材6により、船底に沿って上昇してくる水流が船側部5側から外部に流出し難くなるので、船尾船底部の圧力を高めるにも有利になる。これにより、中央部3aが下に凸な曲面形状を有した船底形状であっても、板状部材6によって、船尾を上向きに押し上げる力を増大することにより、船体の姿勢を推進抵抗の少ない姿勢に維持して推進性能の悪化を効果的に抑制することができる。本発明の構成は特に、フルード数Fnが0.3以上となる高速船にとって有効である。
また、第1領域における船体中心線C.L.を含む側断面形状S1が、キール船底部4aから船尾側に向って上方に傾斜する船尾船底前部4bと、曲面部4c若しくは変曲点と、キール船底部4aと平行又は船尾側に向って下方に傾斜する船尾船底後部4dとを順番に連続させている形状をしていると、船尾船底後部4dの圧力を高めて、船尾を上向きに押し上げる力を増大することにより、船体の姿勢を推進抵抗の少ない姿勢に維持して推進性能の悪化を抑制する効果をより大きくできる。
この実施の形態のように、第1領域R1の設定喫水線W.L.における水線面形状が、船首側から船尾側に向うにつれて船体左右方向の幅が連続的に狭まるような船体形状である構成にすると、ピッチングなどの船体運動により大きく上下する部分の水線面の面積が小さくなると共に、船体に当たる水を後方に逃がし易くなるので、停船若しくは低速航行するときに波浪衝撃を緩和するには有利になる。
この実施の形態のように、板状部材6を、船舶1の最大幅Beにおける船側位置と同じ位置、又は、船舶1の最大幅Beにおける船側位置よりも船体左右方向内側に展開させた状態にすると、板状部材6の前方面に水流が直接当たらない状態になるので、板状部材6によって、船尾を上向きに押し上げる力を増大しつつ、高速航行時における板状部材6による船舶推進方向の抵抗を小さくできる。
船体前後方向において、板状部材6を船舶1の船尾端2まで延在配置させた構成にすると、船長方向における船体中心から船尾側の遠い位置に、平面視における板状部材6の表面積を広く確保することができるので、船尾を上向きに押し上げるモーメントを増大するには有利になる。なお、板状部材6の後端部6bを船尾端2よりも前側に配置しても、板状部材6を船尾端2よりも後側まで延ばしてもよいが、板状部材6の後端部6bを船尾端2又は船尾端2よりも前側に配置すると、板状部材6の保持部分の強度の確保が、板状部材6の後端部6bを船尾端2よりも後側に配置した場合よりも容易となる。
突出量変更機構9を備えた構成にすると、板状部材6による抵抗増加と板状部材6による船体姿勢維持の効果による抵抗減少のバランスを見ながら最適な板状部材6の突出量とすることができるようになる。これにより、推進効率を高めるにはより有利になる。
さらに、制御装置10を備えた構成にすると、制御装置10によって突出量変更機構9を制御し、船舶1の船速に応じて板状部材6の船側部5よりも船体左右方向外側への突出長さLを変更することで、船尾を上向きに押し上げる力の大きさを制御することが可能になる。これにより、船速が変化する場合にも、船体の姿勢を推進抵抗の少ない最適な姿勢に維持することが可能となり、推進性能の悪化を抑制するには益々有利になる。
例えば、船舶1の船速が比較的速い場合には板状部材6の突出長さLを長くすることで、船尾を上向きに押し上げる力を増加させることができる。船舶1の船速が比較的遅い場合には、板状部材6の突出長さLを短くすることで、船体が過度な前傾姿勢になることを防ぐことができる。また、突出量変更機構9を人為的に操作する構成にもできるが、制御装置10によって突出量変更機構9を自動制御することで、操船作業の軽労化を図ることができる。
図6に、本発明に係る第2の実施の形態の船舶1Aを示す。この船舶1Aは、先に示した第1の実施の形態の船舶1と板状部材6の構成が異なっている。その他の構成は船舶1と同じである。
この実施の形態では、板状部材6を船舶1Aの最大幅Beにおける船側位置よりも船体左右方向外側へ突出させることができる構成となっている。このように、展開時の板状部材6が船舶1Aの最大幅Beにおける船側位置よりも船体左右方向外側へ突出する構成にすると、船底に沿って上昇してくる水流の上向きの力を板状部材6によってより広い範囲で受けることができるので、船尾を上向きに押し上げる力を増大するには有利になる。また、板状部材6により、船底に沿って上昇してくる水流が船側部5側から外部により流出し難くなるので、船尾船底部の圧力を高めるにも有利になる。この船舶1Aの操船方法は先に示した実施の形態と同じである。
図7に、本発明に係る第3の実施の形態の船舶1Bを示す。この船舶1Bでは、平面視における板状部材6の先端部6cの形状が船側部5(曲面部5b)の形状と同じ形状となっている。即ち、板状部材6を船体内側に収納した状態にすると、板状部材6の前端部6aから後端部6bにかけて板状部材6の先端部6cの位置と船側部5とが一致するようになっている。このように、平面視における板状部材6の先端部6cの形状が船側部5の形状と同じ形状である構成にすると、開閉機構11を設けずに板状部材6の先端部6cによって収納部12の開口を塞ぐことができるので、船舶1Bの構成を非常に簡易にすることができる。その他の構成と操船方法は先に示した実施の形態と同じである。
図8に、本発明に係る第4の実施の形態の船舶1Cを示す。この船舶1Cでは、板状部材6を船体左右方向にスライド移動させて板状部材6の展開および収納を行うスライド機構8が備えられている。この実施形態では、スライド機構8による板状部材6のスライド量を突出量変更機構9によって変更する。
また、この船舶1Cでは、板状部材6を最大限に展開させた状態にすると、船体前後方向において、板状部材6の前端部6aが船側部5の曲面部5bの前端部(平面部5aの後端部)よりも前側に配置され、板状部材6の後端部6bが船尾端2と同じ位置X0に配置された状態となる。即ち、この船舶1Cでは、船側部5の平面部5aの船体左右方向外側に板状部材6を突出させることができる。その他の構成と操船方法は先に示した実施の形態と同じである。
このように、板状部材6の前端部6aが船側部5の曲面部5bの前端部よりも前側に配置可能な構成にすると、船底に沿って上昇してくる水流の上向きの力を板状部材によってより広い範囲で受けることができるので、船尾を上向きに押し上げるモーメントを増大するには有利になる。
図9に、本発明に係る第5の実施の形態の船舶1Dを示す。この船舶1Dでは、横断面視において、展開時の板状部材6が船体中心線C.L.側から船側側にかけて下方に傾斜するように配置されている。その他の構成と操船方法は先に示した実施の形態と同じである。
この実施の形態のように、横断面視において、展開時の板状部材6が船体中心線C.L.側から船側側にかけて下方に傾斜するように配置されている構成にすると、板状部材6により、船底に沿って上昇してくる水流が船側部5側から外部にさらに流出し難くなるので、船尾船底部の圧力を高めるには有利になる。
板状部材6の水平に対する上下方向の傾斜角度θは、例えば、10°以上45°以下に設定するとよい。傾斜角度θを10°以上にすることで、船底に沿って上昇してくる水流が船側部5側から外部に流出し難くなるので、船尾船底部の圧力を高めるには有利になる。さらに、傾斜角度θを45°以下にすることで、船底に沿って上昇してくる水流の上向きの力を板状部材6によって船尾を上向きに押し上げる力に効果的に変換することができる。
なお、上記で示した第1〜第5の実施の形態では、第1領域R1における船首側の船側部5が平面部5aで構成され、第1領域R1における船尾側の船側部5が曲面部5bで構成された船舶1、1A〜1Dを例示しているが、例えば、本発明では、第1領域R1における船尾側の船側部5が船尾端2まで平面部5aで構成されている船舶にすることもできる。また、突出量変更機構9や制御装置10を備えずに、板状部材6の展開と収納のみを操作する構成にすることもできる。
1、1A〜1D 船舶
1Z 従来の船舶
2 船尾端
3 船尾船底部
3a (船尾船底部の)中央部
4a キール船底部
4b 船尾船底前部
4c 変曲面部(変曲点)
4d 船尾船底後部
5 船側部
5a 平面部(サイドフラットライン)
5b 曲面部
6 板状部材
6a (板状部材の)前端部
6b (板状部材の)後端部
6c (板状部材の船側側の)先端部
7 回動機構
7a 回転軸
8 スライド機構
9 突出量変更機構
10 制御装置
11 開閉機構
11a 蓋部材
12 収納部
C.L. 船体中心線
W.L. 設定喫水線
K.L. キールライン
S1 船体中心線を含む側断面形状
S2 船側部における側面形状
X0 船尾端の位置
X1 船尾端から前方に船舶の全長の15%の位置
R1 第1領域
R2 第2領域

Claims (8)

  1. 当該船舶の船尾端と、船尾端から前方に当該船舶の全長の15%の位置との間の第1領域の全体を含む範囲において、船尾船底部の横断面で中央部が下に凸な曲面形状をしている船舶において、
    前記第1領域の一部であり、かつ、前記第1領域の範囲の25%〜100%の範囲の第2領域にわたって両舷の船側部のそれぞれに、板状部材を船側部よりも船体左右方向外側に展開可能に設けていることを特徴とする船舶。
  2. 前記第1領域における船体中心線を含む側断面形状が、キール船底部から船尾側に向って上方に傾斜する船尾船底前部と、変曲面部若しくは変曲点と、キール船底部と平行又は船尾側に向って下方に傾斜する船尾船底後部とを順番に連続させている形状をしている請求項1に記載の船舶。
  3. 前記第1領域の設定喫水線における水線面形状が、船首側から船尾側に向うにつれて船体左右方向の幅が連続的に狭まるような船体形状である請求項1または2に記載の船舶。
  4. 展開時の前記板状部材が当該船舶の最大幅における船側位置よりも船体左右方向外側へ突出する請求項1〜3のいずれか1項に記載の船舶。
  5. 横断面視において、展開時の前記板状部材が船体中心線側から船側側にかけて下方に傾斜するように配置されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の船舶。
  6. 前記板状部材の展開時において、船側部よりも船体左右方向外側への前記板状部材の突出量を変更する突出量変更機構を備えている請求項1〜5のいずれか1項に記載の船舶。
  7. 前記板状部材の展開時において、前記突出量変更機構により当該船舶の船速に応じて前記板状部材の突出量を変更する制御装置を備えている請求項1〜6のいずれか一項に記載の船舶。
  8. 請求項1〜7に記載の船舶を操船する船舶の操船方法において、
    当該船舶が予め設定された設定航行速度より高速で航行するときには、前記板状部材を前記船側部よりも船体左右方向外側に展開させた状態とし、前記船舶を停船若しくは前記設定航行速度より低速で走行するときには、前記板状部材を前記船側部の内側に収納した状態にすることを特徴とする船舶の操船方法。
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