JP2018201445A - 食品材料の高電圧処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】牛乳や豆乳などに連続的に高電圧を印加して殺菌等の処理を行うにあたり、電極表面でのスケールの発生、付着、さらには電極表面の焼き付きを防止し得るようにし、これによって長時間安定して運転することが可能な食品材料の高電圧処理装置を提供する。【解決手段】流動性を有する食品材料を、一対の電極間の流路内を連続的に通過させながら、前記一対の電極間に高電圧パルス等の高電圧を加えることによって、食品材料の殺菌等を行う高電圧パ処理装置において、前記一対の電極間に高電圧を供給するための一対の出力端子を備えた高電圧発生部と、前記一対の電極を備えた高電圧印加部と、高電圧発生部の一対の出力端子のうち、いずれか一方の出力端子と、高電圧印加部の一対の電極のうちいずれか一方の電極との間に介挿された電気抵抗体とを有することを特徴とする高電圧処理装置。【選択図】図5

Description

本発明は、牛乳や乳飲料、豆乳、ジュースなどの各種飲料、あるいはスープ、ゲル状食品材料、固液混合食品材料など、流動性を有する食品材料に高電圧を加えて殺菌等の処理を行うための高電圧処理装置に関するものである。
最近に至り、飲料などの流動性食品材料を殺菌するための方法として、食品材料に交流高電界を加える方式、すなわち交流高電界殺菌方式が提案されている(例えば特許文献1)。この交流高電界殺菌方式は、狭い電極間の間隙に流動性食品材料を連続的に流すとともに、その電極間に交流高電圧を印加して、交流高電界を生成し、細菌の細胞に対する高電界による破壊効果により、食品材料中の菌を死滅させようとするものである。
さらに、上記の交流高電界殺菌方式を発展させた殺菌方式として、高電圧パルス殺菌方式が、例えば特許文献2、特許文献3などによって提案されている。
高電圧パルス殺菌方式は、食品材料に印加する交流高電圧波形として、特に矩形波(パルス波)を用い、そのパルス電圧の急峻な立ち上がり、立下りによって菌の細胞膜を穿孔して細胞を、より効果的に破壊して、菌を死滅させようとするものであり、断続的に電圧を印加するため、正弦波交流を用いた場合よりも小さい電力投入量で殺菌可能であり、殺菌効果も高いことが知られている。またこの場合、殺菌対象である牛乳などの流動性食品材料自体、ある程度のインピーダンスを有するため、温度上昇して、この温度上昇による殺菌効果も期待される。
上記のような交流高電界殺菌や高電圧パルス殺菌を行うための高電圧処理装置において、流動性食品材料にパルス等の高電圧を加えるための電極として、平面電極(平板状電極を)用いた装置が開発されている(例えば特許文献4)。
平板状電極を用いた高電圧パルス殺菌装置における、流動性食品材料に高電圧パルスを印加するための部位(高電圧印加部)1の一例を図1〜図3に概略的に示す。
図1〜図3において、チタンなどの耐食性、耐熱性が優れた導電性の金属からなる一対の平板状の電極(平面電極)2A、2Bが、間隔を置いて平行に対向するように配設されている。これらの電極2A、2Bの相互間の周辺部分には、樹脂などの絶縁材料からなるスペーサ3が介在され、このスペーサ3によって電極2A、2B間の隙間に流路4が区画されている。一方の電極2Aにおける流路4の一端部に相当する箇所には、電極2Aをその厚み方向に貫通して流入口5が形成され、他方の電極2Bにおける流路4の他端部に相当する箇所には、電極2Bをその厚み方向に貫通して流出口6が形成されている。流入口5には、外部から流動性食品材料を供給するための供給管7が接続され、流出口6には、外部へ流動性食品材料を導くための排出管8が接続されている。
供給管7には、図示しない流動性食品材料供給源から、ポンプなどの加圧手段によって、
流動性食品材料が連続的に供給されるようになっている。また排出管8は、流動性食品材料を冷却するための冷却管や熱交換器などからなる図示しない冷却部に接続されている。一方、電極2A、2B間には、交流高電圧パルスが印加されるようになっている。
図1〜図3に示す高電圧処理装置の高電圧印加部1において、電極2A、2B間の隙間の流路4を流動性食品材料が通過する際には、電極2A、2B間で食品材料に高電圧のパルスが加えられ、その高電圧パルスによって食品材料中に含まれる菌の細胞膜が穿孔され、菌が死滅して殺菌がなされる。また同時に、電極2A、2B間で食品材料が加熱されて温度上昇し、その温度の効果によって、殺菌効果が助長される。
ここで、一対の電極2A、2B間の隙間の間隔Gは、一般には1〜10mm程度とされ、また電極間の印加電圧は、50〜10,000V程度とされ、したがって電極間の距離1mmあたりの印加電圧は。50〜1,000V/mm程度となる。
この種の高電圧処理装置、特に高電圧パルス殺菌装置に使用される電源装置としては、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)などのスイッチング素子を用いたものが開発されている(例えば前述の特許文献4)。このようなスイッチング素子を用いた電源装置(高電圧発生部)10の概要を図4に示す。
図4において、高電圧発生部10は、外部の3相交流商用電源11からの商用3相交流12を、サイリスタ(SCR)などからなる整流回路13によって整流し、得られた直流電流14を、IGBT素子などからなるスイッチング回路15によって、例えば20kHzの周波数の高周波信号を発生する自励発振器などの高周波発振器16からの高周波信号17によってチョッピングし、例えば20kHzの矩形波交流(高電圧パルス)18とし、その矩形波交流18を、出力トランス19の一次側巻線19Aに導き、二次側巻線19Bから、所定の電圧、例えば数百V程度に昇圧された電極印加用矩形波交流20として取り出し、高電圧パルス殺菌装置1の一対の電極2A、2Bに導くように構成される。
特許第2964037号公報 特開2007−229319号公報 特開2009−142768号公報 特開2015−92866号公報
前述のような高電圧パルス殺菌装置などの高電圧処理装置を、牛乳や乳飲料、豆乳などの殺菌のために使用した場合、次のような問題がある。
すなわち、高電圧処理装置を長時間連続して運転しているうちに、電極表面にスケールが生成、付着していく。このスケールは、牛乳や乳飲料、豆乳などの殺菌対象飲料に含まれるCaなどの成分の酸化物や、変性して凝固した蛋白質等に由来するものと思われるが、電極表面のスケールが成長すれば、その箇所で電極間の間隙が小さくなって、電極間で短絡が生じやすくなる。そして電極間の短絡が発生すれば、電源回路のIGBT素子等の回路素子に急激に過大な電流が流れるため、回路素子を破壊してしまうおそれがある。また短絡によって激しいスパークが発生すれば、電極表面に焼き付きが発生して、安定して電流を流すことができなくなり、操業が不安定となる。またスパークの発生には至らない場合でも、スケールの発生、付着によって電極間距離が狭くなり、安定した運転が困難となる。
したがって、牛乳などのスケールが発生しやすい流動性食品材料を対象とする場合は、長時間にわたって安定して連続運転することは困難であった。そこで、この種の流動性食品材料を対象とする場合、短時間で運転を停止して、電極表面の清掃(スケール除去)を頻繁に行ったり、また焼き付きが発生した電極を頻繁に交換したりすることが必要となる。そのため従来は、牛乳などのスケールが発生しやすい流動性食品材料については、高電圧パルス殺菌を適用することは、実際上困難と思われていた。
なお一般にこの種の電源装置では、短絡検出回路を設けておき、短絡が検出された際に過大電流がIGBTなどの回路素子に流れないように設計することが多いが、大量の流動性食品材料を連続処理するための高電圧パルス殺菌装置の場合のような、高出力レベルでの急激な過大電流発生には対応することができず、回路素子の破壊を招いてしまいやすい。そのため、実際上は短絡検出回路を設けておくだけでは、回路素子の保護は充分ではなく、また電極表面の焼き付き防止については有効ではなかった。
本発明は以上の事情を背景としてなされたもので、高電圧パルス殺菌装置などの食品材料の高電圧処理装置として、電極表面でのスケールの発生、付着、さらには電極表面の焼き付きを防止し得るようにし、これによって長時間安定して運転することが可能な食品材料の高電圧処理装置を提供することを課題としている。
上述の課題を解決するため、本発明者等が鋭意実験、検討を重ねたところ、電源装置(高電圧発生部)の一対の出力端子うちの一方の出力端子と、高電圧印加部の一対の電極のうちの一方の電極との間に、電気抵抗体を介在させることによって、牛乳や乳飲料、豆乳などの流動性食品に高電圧を印加して殺菌する場合でも、電極表面でのスケールの発生・付着、電極表面の焼き付きを大幅に軽減し得ることを見出し、本発明をなすに至った。
具体的には、本発明の基本的な態様(第1の態様)の食品材料の高電圧処理装置は、
流動性を有する食品材料を、一対の電極間の流路内を連続的に通過させながら、前記一対の電極間に高電圧を加える食品材料の高電圧処理装置において、
前記一対の電極間に高電圧を供給するための一対の出力端子を備えた高電圧発生部と、
前記一対の電極を備えた高電圧印加部と、
前記高電圧発生部の一対の出力端子のうち、いずれか一方の出力端子と、前記高電圧印加部の一対の電極のうちいずれか一方の電極との間に介挿された電気抵抗体と、
を有することを特徴とするものである。
また本発明の第2の態様の食品材料の高電圧処理装置は、前記第1の態様の食品材料の高電圧処理装置において、
前記電気抵抗体の電気抵抗値が、0.5Ω以上であることを特徴とするものである。
さらに本発明の第3の態様の食品材料の高電圧処理装置は、前記第1もしくは第2の態様の食品材料の高電圧処理装置において、
前記電極間に加える高電圧の周波数が15kHz以上であることを特徴とするものである。
また本発明の第4の態様の食品材料の高電圧処理装置は、前記第1〜第3のいずれかの態様の食品材料の高電圧処理装置において、
前記電極間に加える高電圧が、交流パルスもしくは正弦波交流であることを特徴とするものである。
さらに本発明の第5の態様の食品材料の高電圧処理装置は、前記第1〜第4のいずれかの態様の食品材料の高電圧処理装置において、
前記一対の電極として、平行に配置された一対の平面電極が用いられて、その一対の平面電極間に前記流路が形成されていることを特徴とするものである。
さらに本発明の第6の態様の食品材料の高電圧処理装置は、前記第5の態様の食品材料の高電圧処理装置において、
前記一対の平面電極のうち、一方の平面電極における一端部に、その平面電極を厚み方向に貫通して流路内に開口する流入口が形成され、その流入口に対して反対側の端部に対応する他方の平面電極における端部に、その他方の平面電極を厚み方向に貫通して流路内に開口する流出口が形成され、前記前記電気抵抗体が、前記一対の出力端子のうちの一方の出力端子と、前記流入口が形成された側の電極との間に介挿されていることを特徴とするものである。
さらに本発明の第7の態様の食品材料の高電圧処理装置は、前記第1〜第6のいずれかの態様の食品材料の高電圧処理装置において、
前記食品材料が牛乳もしくは乳飲料、又は豆乳であることを特徴とするものである。
本発明の食品材料高電圧処理装置によれば、牛乳や乳飲料、豆乳などを殺菌などのために高電圧処理するにあたっても、電極表面にスケールが生成、付着されにくく、またスパークも発生しにくく、そのため長時間安定して連続運転することができ、そのためスケール除去作業の負担を軽減することができ、また電極交換の頻度も少なくて済み、さらには電源のIGBT等の回路素子が破壊されるおそれも少なくなる等の効果が得られる。
平面電極を使用した高電圧処理装置における電圧印加部の一例を原理的に示す略解的な縦断面図である。 図1のII−II線における断面図である。 図1のIII−III線における断面図である。 従来の高電圧処理装置の全体構成の一例を示す略解図である。 本発明の第1の実施形態の高電圧処理装置の全体構成を原理的に示す略解図である。 図5に示される第1の実施形態の高電圧処理装置における高電圧印加部の一例を原理的に示す略解的な縦断面図である。 本発明の高電圧処理装置の高電圧印加部において電極間に印加する高電圧波形の例としてのパルスを示す波形図である。 本発明の第2の実施形態の高電圧処理装置を原理的に示す略解図である。 本発明の第3の実施形態の高電圧処理装置における高電圧印加部の例を原理的に示す略解的な縦断面図である。 本発明の第4の実施形態の高電圧処理装置における高電圧印加部の例を原理的に示す略解的な縦断面図である。 本発明の第5の実施形態の高電圧処理装置の要部を原理的に示す略解的な縦断面図である。 実験例の試験No.4、No.9で用いた高電圧処理装置を原理的に示す略解図である。 実施例で用いた平面電極の電極対向面の寸法を示す略解図である。
以下に、本発明の各実施形態の高電圧処理装置について、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図5には、本発明の高電圧処理装置の第1の実施形態として、高電圧パルス殺菌装置に適用した一例の全体構成を示し、図6には第1の実施形態の高電圧パルス殺菌装置の要部(高電圧印加部1と電気抵抗体22の部分)を示す。なお図5、図6において、図1〜図3、図4に示した要素と同一の要素については図1〜図3、図4と同一の符号を付し、その詳細は省略する、また図4のII−II線における断面、III−III線における断面は、図1の場合と同様に、図2、図3に示した通りである。
図5中に示される高電圧発生部(電源装置)10は、図4に示した高電圧発生部10と同様な構成によって高電圧パルスを発生するものである。但し、本実施形態では、高電圧発生部10で発生する高電圧パルスの周波数は、15kHz以上、好ましくは40kHz以上とされる。なお高電圧発生部10で発生する高電圧パルスの電圧(出力端子21A、21B間の電圧は、50〜10,000V程度とされる。
以下では、高電圧発生部10の一対の出力端子(出力トランス19の二次側巻線19Bの端子に相当する)21A、21Bのうち、一方の出力端子21Aを正側出力端子と称し、他方の出力端子21Bを負側出力端子と称することとする。但し、二次側巻線19Bに生じるパルスは交流であるから、上記の各端子についての正側、負側は、あくまで出力端子を区別するために便宜的に名づけたに過ぎず、各出力端子における電圧の正負を表すものではない。
図5、図6に示される高電圧印加部1も、図1〜図3に示される高電圧印加部1と同様な構成とされている。すなわち高電圧発生部1は、所定間隔Gを置いて平行に対向する一対の平面電極(平板状電極)2A、2Bを有していてこれらの電極間に流路4が形成されており、一方の平面電極2Aの端部近くに流入口5が、他方の平面電極2Bの端部近くに流出口5が形成されている。そこで以下では、一対の平面電極2A、2Bを区別する必要がある場合は、注入口7が形成されている平面電極2Aを、入り口側電極と称し、流出口8が形成されている平面電極2Bを、出口側電極と称することとする。なお一対の電極2A、2B間の隙間の間隔Gは、1〜10mm程度の範囲内とされる。
さらに本実施形態では、高電圧発生部10の一対の出力端子(出力トランス19の二次側巻線19Bの端子に相当する)21A、21Bのうち、いずれか一方の出力端子と、高電圧印加部1の一対の電極2A、2Bのうちのいずれか一方の電極との間に、電気抵抗値が好ましくは0.5以上、より好ましくは2.0Ω以上の電気抵抗体22が介挿されている。ここで、本実施形態では、出力端子21A、21Bのうちの負側出力端子21Bと高電圧印加部1の入り口側電極2Aとの間に上記の電気抵抗体22が介挿されている。なお負側出力端子21Bと電気抵抗体22との間及び電気抵抗体22と入り口側電極2Aとの間(言い換えれば電気抵抗体22の前後)は、銅などの良導体からなる一般的な導体配線23A、23Bによって接続されている。また正側出力端子21Aと高電圧印加部1の出口側電極2Bとの間は、同じく銅などの良導体からなる一般的な導体配線23Cによって直接に接続されている。
電気抵抗体22の具体的種類は特に限定しないが、高電圧や、大電流等に耐え得る抵抗器、例えばセラミック質抵抗器、とりわけ冷却機能付きのセラミック質抵抗器を用いることができる。この種の抵抗器としては、例えば東海高熱工業株式会社製「エレマ抵抗器(商標)」の間接水冷抵抗器がある。
なお、電気抵抗体22は、所定の抵抗値の抵抗器を複数本用い、それらを直列接続もしくは並列接続することによって、電気抵抗体全体として、所望の抵抗値となるように調整してもよいことはもちろんである。
ここで、正側出力端子21Aと高電圧印加部1の出口側電極2Bとの間の導体配線23Cは、導体径及び長さによって異なるが、一般には、1×10−7Ω〜1×10−8Ω程度である。一方、負側出力端子21Bと高電圧パルス印加部1の入り口側電極2Aとの間に介挿されている電気抵抗体22の抵抗値は、0.5Ω以上、好ましくは2.0Ω以上であるから、負側出力端子21Bと高電圧印加部1の入り口側電極2Aとの間の電気抵抗は、電気抵抗体22の前後の導体配線23A、23Bの電気抵抗を考慮しても、入り口側電極2Aの側の電気抵抗の10倍以上の値となる。なお、図示はしていないが、実際には配線中間や配線端末にコネクタが存在するのが通常であり、厳密に言えば、これらのコネクタ部分の電気抵抗も勘案する必要があるが、これらのコネクタ部分の電気抵抗は無視できる程度に小さいのが通常である。
以上のような実施形態の高電圧処理装置において、高電圧発生部10は、外部の3相交流商用電源11からの商用3相交流12を、サイリスタ(SCR)などからなる整流回路13によって整流し、得られた直流電流14を、IGBT素子などからなるスイッチング回路15によって、高周波信号を発生する自励発振器などの高周波発振器16からの高周波信号17によってチョッピングし、高周波の矩形波交流(高電圧パルス)18とし、その矩形波交流18を、出力トランス19の一次側巻線19Aに導く。出力トランス19の二次側巻線19Bの正側出力端子21Aと負側出力端子21Bとの間には、所要の高電圧、例えば数百V程度に変圧された電極印加用の矩形波交流出力30が生じる。
矩形波交流出力(高周波パルス出力)30の電圧波形の一例を図7に模式的に示す。
図7において、矩形波交流出力30は、印加電圧幅をVとし、基準電位Vから正側への半波分の立ち上がり(V+V/2)側のパルスPと、それに続く基準電位Vから負側への半波分の立ち下がり(V−V/2)側のパルスPとを1サイクルのパルス、すなわち一つの単位パルスPとし、その単位パルスPが所定の周波数Mで繰り返されるものである。但し、図7の例では、立ち上がり側の半波分のパルスPと次の立下り側の半波分のパルスPとの間、及び立下り側の半波分のパルスPと次の立ち上がり側の半波分のパルスPとの間のそれぞれに、基準電位Vを数μm程度の短時間(例えば2μm)だけ保つ微小休止期間Tを置き、基準電位Vから正側への立ち上がりタイミングから次の基準電位Vから正側への立ち上がりタイミングまでを一つの単位パルスPとし、その単位パルスPが連続して繰り返される波形としている。このように立ち上がり側半波分パルスPと立下り側半波分パルスPとの間に微小休止期間Tを置くことによって、高電圧発生部(電源装置)10に急激な負荷が加わることを防止して、高電圧発生部10のIGBT素子などの保護を図ることができる。但しこのような微小休止期間Tは、必ずしも必須ではない。
出力トランス19の二次側巻線19Bの出力端子21A、21B間に生じた上記のような矩形波交流出力(高電圧パルス)30は、高電圧印加部1の一対の平面電極2A、2Bに導かれる。すなわち正側出力端子21Aは、導体配線23Cを通じて高電圧印加部1の出口側電極2Bに通電され、負側出力端子21Bは、導体配線23A、電気抵抗体22、導体配線23Bを通じて高電圧印加部1の入り口側電極2Bに通電される。
そして平面電極2A、2B間の隙間の流路4を牛乳などの流動性食品材料が通過する際には、電極2A、2B間で食品材料に高電圧のパルスが加えられ、既に述べたように殺菌がなされる。
なお、電極間を流れる流動性食品材料自体は、例えば高電圧印加部1の出側の配管の金属部分等によって接地された状態となるのが通常である。
ここで、従来の高電圧パルス殺菌装置などの高電圧処理装置では、パルスなどの高電圧が加えられながら流動性食品材料、特に牛乳や乳飲料、豆乳などが電極2A、2B間通過する間に、流動性食品材料中のCa等の成分の酸化物や蛋白質凝固物などが生成されて、平面電極2A、2Bの表面にスケールとして付着する傾向が強い。また電極表面でのスケールの成長によってスパークが発生しやすくなる。しかしながら、本実施形態の高電圧処理装置では、電極表面へのスケールの付着を防止し、さらにスパークの発生を抑制することが可能となった。
すなわち、従来の高電圧パルス殺菌装置などの高電圧処理装置では、高電圧印加部1の出力端子21A、21Bは、電気抵抗体を介在させることなく、銅などの良導体(導体配線や節軸端子)によって直接に電極に接続されており、また印加される高電圧パルスなどの周波数も15kHz未満とするのが通常であった。これに対して本実施形態では、高電圧発生部10の出力端子21A、21Bのうちのいずれか一方(本実施形態では負側出力端子21B)と、高電圧印加部1の電極2A、2Bとのいずれか一方(本実施形態では入り口側電極2A)との間に、好ましくは0.5Ω以上、好ましくは2.0Ω以上の抵抗値の電気抵抗体22を介挿させ、且つ印加するパルスなどの周波数を好ましくは15kHz以上、より好ましくは40kHz以上とすることによって、電極表面へのスケールの付着を防止し、さらにスパークの発生を抑制しうることを、本発明者等の詳細な実験により見出したのである。
ここで、電気抵抗体22の抵抗値が0.5Ω未満では、電極表面へのスケールの付着防止、スパークの発生の防止の効果が充分に得られなくなるおそれがある。したがって電気抵抗体22の抵抗値は0.5Ω以上とすることが好ましい。そして特に抵抗値を2.0Ω以上とすることによって、これらの効果を確実かつ充分に発揮することが可能となる。なお電気抵抗体22の抵抗値の上限は特に規定しないが、抵抗値が大きすぎれば電力ロスが大きくなり、そこで通常は10Ω以下とすることが好ましい。
また印加する高電圧パルスの周波数が15kHz未満では、電気抵抗体22の抵抗値を0.5Ω以上としても、電極表面へのスケールの付着防止、スパークの発生の防止の効果が充分に得られなくなるおそれがある。したがって印加する高電圧の周波数は15kHzとすることが好ましい。そして特に40kHz以上とすれば、これらの効果を確実かつ充分に発揮することが可能となる。なお印加する高電圧パルスの周波数の上限は特に規定しないが、電力効率等の観点から、1000kHz以下とすることが好ましい。
なお平板状電極(平面電極)を用いた図6に示す高電圧印加装置10の場合、一対の平板状電極2A、2Bの間隔Gは、1〜10mmの範囲内とすることが望ましい。その間隔Gが1mm未満では、電極間の流路抵抗が大きすぎて圧力損失が大きすぎ、また電極間で放電(スパーク)が発生してしまうことが懸念される。一方間隔Gが10mmを越えれば、電極間の電界密度が小さくなり、昇温速度が遅くなってしまうおそれがある。
また一対の平板状電極2A、2Bによって挟まれる流路25の長さは特に規定しないが、例えばパルスを使用する場合、電極間でのパルス電圧印加時間が適切な時間となるように、電極間での流速に応じて適切に定めればよい。
なお、高電圧パルスなどの高電圧印加による殺菌時において、電極表面付近の局部的な過度の温度上昇を回避し、これにより過度の局部的温度上昇による加熱対象の品質の低下を防止するためには、電極間の流れが層流ではなく、乱流となることが望ましく、また電極表面でのスケールの付着、成長を抑制するとともに焼き付きの発生を防止するためにも、電極間での流れが乱流となることが望ましい。
一般に流路における層流/乱流は、レイノズル数Reを指標として評価することができることが知られている。レイノズル数Reは、ρを流体の密度、μを流体の粘度、Uを代表流速、Lを代表長さ(特性長さ)とすれば、次の(1)式によって定義される。
Re=ρUL/μ・・・(1)
ここで、平行2平板間(幅は2平板間スペースよりはるかに大きい)での流れにおいては、特性長さLは、平板間距離の2倍と置けることが知られている。図6に示した高電圧印加部1では、一対の平行平板状の電極2A、2Bの間に流路4を形成しており、また流路の幅(電極の幅)は、間隙Gの数倍以上とするのが通常であるから、上記の特性長さLは、近似的に電極間の間隔Gの2倍と置くことができる。
牛乳や豆乳の場合、その密度は1000kg/m程度、粘度は2〜50mPa・s程度で、ほぼ一定の値である。そこで、対象となる流動性食品材料の密度および粘度に応じ、間隙Gと流速Uのいずれか一方、又は双方を調整することによって、レイノズル数Reを調整することが望ましい。一般には、レイノズル数が2,300以上では乱流が生じると言われているが、本発明では、充分に乱流を生起させるため、電極間流路のレイノズル数Reが20,000以上、好ましくは50,000以上となるように設定することが好ましい。
このようにレイノズル数Reを20,000以上、好ましくは50,000以上に調整することによって、電極間の流路を流れる牛乳などの流動性食品材料に充分に乱流を生起させることができ、これによって流路の断面内で流動性食品材料を均一に温度上昇させて、電極表面付近での局部的な過度の温度上昇を防止し、殺菌対象物の品質の低下を防止することができる。また乱流によって、電極表面へのスケールの付着を抑制することができ、また前述のように電極表面付近での過度の温度上昇を防止することができるため、電極表面での焼き付きの発生の危険を減じることも可能となる。
<第2の実施形態>
電気抵抗体22は、要は高電圧発生部10のいずれか一方の出力端子21A、21Bと高電圧印加部1のいずれか一方の電極2A、2Bとの間に介在させればよく、必ずしも負側出力端子21Bと入り口側電極2Aとの間に介挿する必要はない。そこで図8に示す第2の実施形態では、高電圧発生部10の正側出力端子21Aと高電圧印加部1の出口側電極2Bとの間に電気抵抗体22を介挿した構成としている。このように出口側電極2Bの側に電気抵抗体22を介挿した場合でも、いずれの電極の側にも電気抵抗体を介挿しない場合に比較すれば、スケールの付着防止、スパークの発生防止を図ることができる。
但し、本発明者等の実験によれば、電気抵抗体22を出口側電極2Aの側に介挿するよりも、入り口側電極2Aの側に介挿した場合の方が、より確実にスケールの付着防止、スパークの発生防止を図り得ることが判明している。したがって一般には、第1の実施形態として図4〜図5に示したように、電気抵抗体22を入り口側電極2Aの側に介挿することが望ましい。
<第3の実施形態>
以上の平面電極を用いた第1、第2の実施形態では、高電圧印加部1の一方の平面電極(入り口側電極)2Aを貫通するように流入口5を形成するとともに他方の平面電極(出口側電極)2Bを貫通するように流出口6を形成して、流入口5から流出口6までの流路4が全体として略Z字状をなすように高電圧印加部1を構成している。したがってこの場合は、一対の電極2A、2Bの一方を入り口側、他方を出口側と区別することができる。しかしながら、場合によっては、第3の実施形態として図9に示しているように、流入口5から流出口6までの流路4の全体を、ストレートに構成してもよい。すなわち図9の例では、一対の平面電極2A、2Bの一端側に、これらの平面電極2A、2Bに連続するように絶縁材からなる入り口部材25を設けるとともに、一対の平面電極2A、2Bの他端側に、これらの平面電極2A、2Bに連続するように絶縁材からなる出口部材26を設けた構成としている。このような構成では、平面電極2A、2Bは、特に入り口側、出口側に区別されないから、電気抵抗体22は、高電圧発生部10のいずれか一方の出力端子21A、21Bと高電圧印加部1のいずれか一方の電極2A、2Bとの間に、任意に介在させればよい。
<第4の実施形態>
以上の各実施形態では、高電圧印加部1として、電極に平面電極(板状電極)を用いた例を示しているが、平面電極に限らず、例えば環状電極を用いて構成した高電圧印加部を使用してもよい。その場合の例を、第4の実施形態の高電圧印加部1として図10に示す。
図10に示す高電圧印加部1においては、樹脂もしくはセラミックス等の絶縁材料からなる中空管体30内に流路31が形成されている。そして流路30の流れ方向に沿った方向に間隔G´を置いて、チタンなどの耐食性、耐熱性が優れた導電性の金属からなる複数、例えば一対の環状電極(リング状電極)33A、33Bが、流路31を取り囲むように配設されている。各環状電極33A、33Bの相互の間及び両側は、それぞれ絶縁材からなる筒状の中空部材34によって絶縁されて、全体として中空管体30を形成している。そして中空管体30の一端側には、流入口35Aが形成され、他端側には流出口35Bが形成されている。
そして高電圧発生部10の一対の出力端子(出力トランス19の二次側巻線19Bの端子に相当する)21A、21Bのうち、いずれか一方の出力端子と、高電圧印加部1の一対の環状電極2A、2Bのうちのいずれか一方の電極との間に、電気抵抗値が好ましくは1.0Ω以上、より好ましくは2.0Ω以上の電気抵抗体22が介挿されている。
ここで、図10に示す第4の実施形態では、高電圧発生部10の一対の出力端子21A、21Bに打ち負側出力端子21Bと、高電圧印加部1の一対の環状電極33A、33Bのうち、流入口35Aに近い側の環状電極(入り口側環状電極)33Aとの間に上記の電気抵抗体22が介挿されている。なお負側出力端子21Bと電気抵抗体22との間及び電気抵抗体22と入り口側環状電極33Aとの間(言い換えれば電気抵抗体22の前後)は、銅などの良導体からなる一般的な導体配線23A、23Bによって接続されている。また正側出力端子21Aと高電圧パルス印加部1の出口に近い側の環状電極(出口側環状電極)33Bとの間は、同じく銅などの良導体からなる一般的な導体配線23Cによって直接に接続されている。
このような環状電極33A、33Bを用いた第4の実施形態の場合でも、印加するパルスなどの高電圧の周波数は15kHz以上が好ましく、さらに好ましくは40kHz以上とする。このような第4の実施形態でも、環状電極33A、33Bの表面にスケールが付着することを防止でき、また焼き付きが発生することを防止することができる。
なお環状電極を用いた図9に示す高電圧処理装置の場合、一対の環状電極33A、33Bの間隔G´は、3〜50mmの範囲内とすることが望ましい。その間隔G´を3mm未満とすることは、実際上製作することが困難であり、方間隔G´が50mmを越えれば、電極間の電界密度が小さくなり、昇温速度が遅くなってしまうおそれがある。
また環状電極33A、33Bの間の印加電圧は、電極間距離1mmあたり、30〜1000Vとすることが好ましい。
環状電極33A、337Bの内径は特に限定しないが、流速に応じて、乱流を充分に生起させ得るようなレイノルズ数が確保できる径とすればよい。
すなわち、平面電極を用いた第1〜第3の実施形態の場合と同様に、流路に沿う乱流を生起させることが望ましく、そのためには流路のレイノズル数Reが、20,000以上、好ましくは50,000以上となるように設定することが好ましいのであり、このようなレイノルズ数が確保できるように、流速に応じて内径を設定すればよい。
なお、本発明の食品材料の高電圧処理装置は、2以上の高電圧印加部を直列に連結して、処理対象の流動性食品材料が、順次各高電圧印加部を通過するように構成してもよい。その場合にも、各高電圧印加部の一方の電極と高電圧発生部の一方の出力端子との間に電気抵抗体を介挿することが望ましい。
そして、複数の高電圧印加部が、それぞれ入り口側電極と出口側電極とを区別できるように構成されている場合、すなわち例えば第1、第2の実施形態として図5、図6、図8に示したように電極間にZ字状の流路を形成した複数の高電圧印加部、あるいは第4の実施形態として図10に示したような環状電極を用いた複数野高電圧印加部を、直列に結合したような場合は、前段の高電圧印加部の出口側電極と後段の高電圧印加部の入り口側電極とが電気的に同相となるように、各高電圧発生部(電源装置)に接続することが望ましい。
その具体例として、第1、第2の実施形態として図5、図6、図8に示したようなZ字状の流路を形成した高電圧印加部を2基直列に結合した実施形態(第5野実施形態)として、図11に示す。
図11に示す第5の実施形態において、前段用の高電圧発生部10Aと後段用の高電圧発生部10Bとは、発生するパルスが同期されるように構成される。そして前段側の高電圧印加部1Aの入り口側電極2Aは、前段用の高電圧発生部10Aの負側出力端子23Bに、電気抵抗体23Aを介して接続され、前段側の高電圧印加部1Aの出口側電極2Bは、前段用の高電圧発生部10Aの正側出力端子23Bに直接接続されている。一方、後段側の高電圧印加部1Bの入り口側電極2Aは、後段用の高電圧発生部10Bの負側出力端子23Bに直接接続され、後段側の高電圧印加部1Bの出口側電極2Bは、後段用の高電圧発生部10Bの正側出力端子23Bに、電気抵抗体22Bを介して接続されている。
以上のような各実施形態の高電圧処理装置によれば、流動性食品材料の連続殺菌装置として、牛乳や乳飲料、豆乳などを殺菌するにあたっても、電極表面でスケールが生成、付着することを抑制することができる。そのため、スケールの発生、付着によって電極間距離が狭くなって安定した運転が困難となるおそれが少ない。また電極表面でのスケールの成長によって電極間で短絡が生じたり、さらにはスパークが発生して、電極表面が焼付いてしまう(焦げ付いてしまう)ことを防止でき、そのため電源のIGBT素子等の回路素子に急激に過大な電流が流れることを防止して、急激な過大電流による回路素子の破壊を未然に防止することができる。
そして、このようにスケールの生成、付着、さらにはスパークの発生を抑えることができる結果、電極表面の清掃(スケール除去)の頻度を少なくするとともに、焼き付きが発生した電極の交換の頻度を少なくすることができるから、生産性の向上を図ることができ、また電極交換等に要するコストを低減して、経済性を高めることができる。
なお前述の各実施形態では、電極間に印加する高電圧として、パルス(矩形波)を用いることとしているが、交流であれば特にパルスに限定されるものではなく、一般的な正弦波交流であってもよい。したがって例えば既に述べたような交流高電界殺菌方式に適用することもできる。
また高電圧処理する目的も、殺菌に限らず、調理などのために流動性食品材料を加熱するための高電圧処理にも適用することができる。
本発明の高電圧処理装置は、牛乳やその他の乳飲料、あるいは豆乳について殺菌等の処理を行う場合に最適であるが、そのほかスケールや電極の焼き付きが生じやすい飲料、流動性食品材料に適用して、電極表面のスケール発生・付着の防止を図り得ることはもちろんである。
以下に、本発明の高電圧処理装置による効果を実証するために行った実施例を、比較例とともに以下に示す。
<実施例1>
試験対象として牛乳を用い、次のように高電圧パルス印加処理実験を行った。
すなわち、電極としては、図1もしくは図6に召すような平面電極(入り口側電極2A、出口側電極2B)を用い、表1の試験No.1〜No.9に示す条件で、印加する高電圧パルスの周波数、電気抵抗体の電気抵抗値、電気抵抗体の挿入位置をそれぞれ変化させ、試験液として牛乳を電極間に連続的に流しながら、高電圧パルスを加える運転実験をそれぞれ所定時間行った。そして実験終了後、電極を取り外して、入り口側電極および出口側電極表面のスケール発生状況、焦げ付き(焼き付き)の発生状況を調べた。
電気抵抗体としては、セラミック抵抗器(東海高熱工業株式会社製:エレマ電気抵抗器(商標)の間接水冷抵抗器)の1.25Ωのものを、直列もしくは並列に接続することによって、2.5Ω、0.42Ωの2段階に抵抗値を異ならせた。
なお電気抵抗体の挿入位置については、表1において「出口側」と記載した試験例(No.1、No.3、No.6、No.8)では、図8に示すように、正側出力端子2Aと出口側電極2Bとの間に電気抵抗体を介挿させた。また「入口側」と記載した試験例(No.2、No.7では、図5、図6に示すように、負側出力端子2Bと入り口側電極2Bとの間に電気抵抗体を介挿させた。さらに「両側」と記載した試験例(No.4、No.9)では、図12示すように、正側出力端子2Aと出口側電極2Bとの間、及び負側出力端子2Bと入り口側電極2Bとの間のそれぞれに電気抵抗体を介挿させた。
平面電極としてはチタン製のものを用いた。また平面電極2A,2Bの対向面の寸法は、図13を参照すれば、流入口5、流出口&の直径Dは6mm、流入口5の中心軸線Oから流出口6の中心軸線Oまでの距離(平面電極2A、2Bの流路方向の実質的な長さ)Lは38mm、幅Wは6mmである。したがって電極対向面の面積は、約200mmである。
また一対の平面電極間の距離G(図6参照)は2mm、印加電圧は250Vで、したがって電極間の単位長さ当たりの電圧は125V/mmである。さらに、電極間の流路のレイノズル数Reは、約6900である。
またここで、電気抵抗体を介在させない側の高電圧パルス発生部の出力端子から電極までの導体部分(配線及びコネクタ等)の抵抗値は、約1×10−7Ωであって、電気抵抗体の抵抗値よりも充分に小さい。
試験No,1〜4では、入り口での試験液(牛乳)の温度は15℃であり、電極間を通過した試験液の温度は28℃で、その間の温度上昇量(Δt)は13℃であった。また試験No,5〜9では、入り口での試験液(牛乳)の温度は15℃であり、電極間を通過した試験液の温度は31,5℃で、その間の温度上昇量(Δt)は16.5℃であった。
連続運転時間は50分としたが、試験No.3、試験No.8では、中途でスパークの発生が認められため、その時点で試験を中断した。
実験終了後、電極を取り外して、入り口側電極および出口側電極表面のスケール発生状況、焦げ付き(焼き付き)の発生状況を調べてそれぞれの評価を行い、さらに各電極についてのスケール発生状況評価及び焦げ付き(焼き付き)発生状況評価に基づいて、総合評価を行ったので、その結果を表1中に示す。ここで、スケール発生状況評価、焦げ付き(焼き付き)発生状況評価、及び総合評価は、次のような基準によって行った。
<スケール発生状況の評価基準>
◎印:スケールの発生が全く認められなかったケース。
〇印:スケールの発生が若干認められたが、スケール発生個所が、面積率で電極表面の約30%以下であったケース。
△印:スケールの発生がやや多く、スケール発生個所が、面積率で電極表面の約30%を超え、約70%以下であったケース。
×印:スケールの発生が多く、スケール発生個所が、面積率で電極表面の約70%を超えたケース。
<焦げ付き発生状況の評価基準>
◎印:焦げ付きの発生が全く認められなかったケース。
〇印:焦げ付きの発生がわずかにあったが、焦げ付きの程度が小さく、スパーク発生の危険性が少ないと認められるケース。
△印:焦げ付きの発生がやや多く、場合によってはスパークが発生すると判断されるケース。
×印:焦げ付きの発生が激しく、それ以上使用すればスパークが発生する危険性が高いと判断されるケース。
<総合評価基準>
入り口側電極、出口側電極についての、スケール発生状況評価と焦げ付き発生状況評価において、ほとんどが◎印であった場合を最良(合格)として◎を付し、一つでも×印があった場合を不良(不合格)として×印を付し、それらの中間を○印(ほぼ良好)、△印(やや不良)の2段階で評価した。
Figure 2018201445
表1から、電気抵抗体を介挿させることによって、介挿させない場合と比較して、総合評価値が小さくなること、すなわちスケールの付着、スパークの発生の傾向が小さくなることが分かる。
そして、同じ周波数、同じ抵抗値では、入り口側に電気抵抗体を介挿させることによって、両側に介挿させた場合及び出口側に介挿させた場合よりも、総合評価が良好で、スケールの付着、スパークの発生を抑制し得ることが確認された。
また、同じ周波数、同じ抵抗体設置位置では、抵抗体の抵抗値が0.42Ωの場合よりも2.5Ωの場合の方が総合評価が良好で、スケールの付着、スパークの発生を抑制し得ることが分かる。
さらに、同じ抵抗体設置位置、同じ抵抗値では、周波数が20kHzの場合よりも60kHzの場合の方が、総合評価が良好で、スケールの付着、スパークの発生を抑制し得ることが分かる。
<実施例2>
実施例1と同様に試験対象として牛乳を用い、実施例1に準じて、高電圧パルス印加による殺菌実験運転を行った。
この実施例2では、試験液(牛乳)の温度を実施例1の場合よりも高温とした。すなわち、試験液の入り口温度は108.5℃と高温とし、電極間を通過した試験液の温度は115℃で、その間の温度上昇量(Δt)は6.5℃とした。またこの実施例2では、周波数の影響をより詳細に確認するため、2.5Ωの電気抵抗体を入り口側に介挿した場合について、周波数を60kHz途44kHzの2段階に変化させた。運転時間は90分とした。
この実施例2の条件及び評価を、表2の試験No.21,No.22に示す。なお上記以外の条件は、実施例1の場合と同じである。
Figure 2018201445
表2に示すように、周波数以外の条件が同じであれば、周波数が44kHzの場合よりも60kHzの場合の方が、より確実にスケール、焼き付きを防止し得ることが分かる。
以上、本発明の好ましい実施態様、実施例について説明したが、前述の実施態様、実施例は、あくまで本発明の要旨の範囲内の一つの例に過ぎず、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。すなわち本発明は、前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲内で適宜変更可能であることはもちろんである。
1・・・高電圧印加部
2A・・・平面電極(入り口側電極)
2B・・・平面電極(出口側電極)
4・・・流路
5・・・流入口
6・・・流出口
10・・・高電圧発生部(電源装置)
22・・・電気抵抗体
31・・・流路
33A、33B・・・環状電極
35A・・・流入口
35B・・・流出口
G、G´・・・電極間の間隔

Claims (7)

  1. 流動性を有する食品材料を、一対の電極間の流路内を連続的に通過させながら、前記一対の電極間に高電圧を加える食品材料の高電圧処理装置において、
    前記一対の電極間に高電圧を供給するための一対の出力端子を備えた高電圧発生部と、
    前記一対の電極を備えた高電圧印加部と、
    前記高電圧発生部の一対の出力端子のうち、いずれか一方の出力端子と、前記高電圧印加部の一対の電極のうちいずれか一方の電極との間に介挿された電気抵抗体と、
    を有することを特徴とする食品材料の高電圧処理装置。
  2. 前記電気抵抗体の電気抵抗値が、0.5Ω以上であることを特徴とする請求項1に記載の食品材料の高電圧処理装置。
  3. 前記電極間に加える高電圧の周波数が15kHz以上であることを特徴とする請求項1、請求項2のいずれかの請求項に記載の食品材料の高電圧処理装置。
  4. 前記電極間に加える高電圧が、交流パルスもしくは正弦波交流であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの請求項に記載の食品材料の高電圧処理装置。
  5. 前記一対の電極として、平行に配置された一対の平面電極が用いられて、その一対の平面電極間に前記流路が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかの請求項に記載の食品材料の高電圧処理装置。
  6. 前記一対の平面電極のうち、一方の平面電極における一端部に、その平面電極を厚み方向に貫通して流路内に開口する流入口が形成され、その流入口に対して反対側の端部に対応する他方の平面電極における端部に、その他方の平面電極を厚み方向に貫通して流路内に開口する流出口が形成され、前記電気抵抗体が、前記一対の出力端子のうちの一方の出力端子と、前記流入口が形成された側の電極との間に介挿されていることを特徴とする請求項5に記載の食品材料の高電圧処理装置。
  7. 前記食品材料が牛乳もしくは乳飲料、又は豆乳であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの請求項に記載の食品材料の高電圧処理装置。
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