JP2015159734A - 流動性食品材料の交流高電界殺菌方法 - Google Patents

流動性食品材料の交流高電界殺菌方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電気伝導度や粘度によらずに種々の流動性食品材料に広く適用可能とし、かつ対象となる食品材料や殺菌すべき菌の種類などに応じて最適な殺菌条件を設定することが可能な交流高電界殺菌方法を提供する。
【解決手段】流動性食品材料を、一対の電極が対向配置された流路内を連続的に通過させながら、電極間に交流高電圧を加えることによって、流動性食品材料を殺菌する交流高電界殺菌方法において、前記電極間に加える交流高電圧として矩形波交流を用い、かつその矩形波交流として、ある1サイクルの矩形波パルスと次の1サイクルの矩形波パルスとの間に、前記1サイクルの矩形波パルスの時間幅Tよりも大きい時間幅の休止期間(パルス間休止期間)Tを置いた矩形波交流を用いる。
【選択図】図2

Description

本発明は、飲料や液体食品材料、あるいはゲル状食品材料、固液混合食品材料など、流動性を有する食品材料に交流高電圧を加えて、食品材料中の菌を殺菌するための交流高電界殺菌方法に関するものである。
最近では、ポンプなどによる加圧もしくは吸引によって流路内を連続的に移動させ得る程度の流動性食品材料、例えばジュースや乳飲料、あるいはスープ、その他、固体食品と液体とが混合した固液混合食品などを、流路内において電気的に殺菌するための方法が、種々提案、開発され、その一部は既に実用化されている。
例えば食品材料に直接通電して、食品材料の有する電気抵抗により発熱させる通電加熱(ジュール加熱)方式を利用し、殺菌や調理などのために食品材料を加熱する方法が実用化され、さらに管路内に流動性食品材料を連続的に流しながらその管路内の流動性食品材料を通電加熱により連続的に加熱する装置が、例えば特許文献1、特許文献2などにおいて提案され、実用化されている。
このようなジュール加熱方式における殺菌は、食品材料中の菌が高温で死滅しやすいという、温度による殺菌作用を利用したものである。したがって、確実な殺菌効果を得ようとすれば、対象とする菌が確実に死滅するような温度に加熱保持する必要がある。例えば大腸菌の場合は75℃×1分と同等以上の条件で加熱保持する必要があり、また枯草菌の場合は125℃×8分同等以上に条件で加熱保持する必要があり、そのため電力消費量もある程度大きくならざるを得ず、また加熱流路の長さをある程度長くせざるを得ない。加えて、上記のような温度による殺菌効果を確実に得るためには、高温にある程度の時間保持しなければならず、そのためライン長が長くなって、装置の大型化を招く問題もある。
そこで、ジュール加熱方式に代えて、あるいはジュール加熱方式と組み合わせて殺菌を行う方式として、食品材料に高電界を加える方式、すなわち交流高電界殺菌方式が提案されている(例えば特許文献3)。この交流高電界殺菌方式は、狭い電極間の間隙に流動性食品材料を連続的に流すとともに、その電極間に交流高電圧、例えば電極間の間隔に対して、400V/cm〜3000V/cm程度の交流電圧を印加して、交流高電界を生成し、細菌の細胞に対する高電界による破壊効果により、食品材料中の菌を死滅させようとするものである。
図1には、交流高電界殺菌方法を実施するための装置の構成の一例、とりわけ流動性食品材料に交流高電界を加える部分の構成の一例を概略的に示す。
図1において、チタンなどの耐食性、耐熱性が優れた導電性の金属からなる一対の平板状の電極21A、21Bが、間隔を置いて平行に対向するように配設されている。これらの電極21A、21Bの相互間の周辺部分には、樹脂などの絶縁材料からなるスペーサ23が介在され、このスペーサ23によって電極21A、21B間の隙間の流路25が区画されている。一方の電極21Aにおける流路25の一端部に相当する箇所には、流入口27Aが形成され、他方の電極21Bにおける流路25の他端部に相当する箇所には、流出口27Bが形成されている。流入口27Aには、外部から流動性食品材料を供給するための供給管29Aが接続され、流出口27Bには、外部へ流動性食品材料を導くための排出管29Bが接続されている。
供給管29Aには、図示しない流動性食品材料供給源から、ポンプなどの加圧手段によって、流動性食品材料が連続的に供給されるようになっている。
一方、電極21A、21Bは、電源装置33に接続されており、この電源装置33から電極間距離1cmあたり10kV程度以上、望ましくは数十kV以上の交流高電圧が加えられるようになっている。
図1に示す交流高電界殺菌装置20において、電極21A、21B間の隙間の流路25を流動性食品材料が通過する際には、電極21A、21B間で食品材料に高電圧のパルスが加えられ、その高電圧パルスによって食品材料中に含まれる菌の細胞膜が穿孔され、菌が死滅して殺菌がなされる。
なお図1に示す例では、電極としては、互いに対向する一対の電極21A、21Bのみが設けられているが、実際の交流高電界殺菌装置では、二対以上の電極を直列状に配列して、流動性食品材料が順次各対の電極間を通過するように構成されることが多い。
ところで前述のような交流高電界による殺菌効果を得るためには、ある程度以上の高い電圧を食品材料に加えなければならないが、電気伝導度が高い(電気抵抗が小さい)食品材料に高電圧を加えれば、過度の温度上昇を招くとともに、無駄に電力を消費する問題がある。
すなわち電気伝導度が高い食品材料に高電圧を加えれば、電圧が一定であれば、E=I・Rの関係から、食品材料に相対的に大きな電流が流れ、そのため食品材料に与えられる電力(W=I・E)も大きくなり、その結果、熱エネルギ発生量(Q)も大きくなって、として食品材料の温度を大きく上昇させ、過度の温度上昇を招く。
ここで、過度の温度上昇は、食品材料にも悪影響を与える。すなわち、食品材料の温度が過度に高くなれば、栄養成分や風味成分が破壊されたり、変性したりして、食品としての品質や香りが大きく損なわれてしまうおそれが強い。また過度の温度上昇によって電極表面に対する焦げつき(凝着)が生じやすくなり、電極表面が荒れて食品材料の円滑な流れが阻害されたり、電極寿命が短くなったりすることが多くなる。また流動性食品材料が過度に温度上昇した場合に沸騰が生じないようにするためには、流動性食品材料に加える圧力を大きくしなければならず、そのため装置的な問題も生じてしまう。
しかるに、実際の食品材料は、塩分などのイオン成分を多く含み、イオン濃度が高いものが多い。そのため交流高電界殺菌に付す食品材料としても、電気伝導度が高い(電気抵抗が小さい)ものが多い。とりわけ、醤油あるいは各種出し汁、マヨネーズ、味噌、ドレッシングなどは電気伝導度(シーメンス毎メートル)が10S/m以上に達するのが通常であり、このような食品材料には、前述のような問題から、実際上は交流高電界殺菌を適用することは困難と考えられる。
また交流高電界による殺菌効果を確実に得るためには、食品材料がある程度の温度域、例えば50〜100℃程度、更に菌種によっては100〜150℃程度に達している状態で高電圧が加えられることが望ましい。そのため実際に交流高電界殺菌方法を実施するに当たっては、交流高電圧を加える前の段階で、通電加熱(ジュール加熱)や熱交換加熱(二重管などを用いた高温蒸気などの熱媒体による加熱)などによって、上記の温度域に達するまで予熱し、それに引き続いて交流高電圧を加えることが考えられている。このように予熱を行えば、交流高電圧を加える前の段階で温度による効果で対象の菌を弱らせておき、その弱らせた菌に高電界を加えることによって、菌を確実に死滅させることが可能となり、その結果、殺菌効果がよりいっそう確実に得られると考えられる。
しかしながら、予熱してから交流高電圧を加えた場合、予熱温度から交流高電界による温度上昇が加わるため、食品材料の温度が著しく高くなってしまう。そのため、ジュース類や茶飲料などの比較的電気伝導度が低い流動性食品材料の場合、過熱によって食品材料の変質あるいは劣化が生じやすいため、実際上は交流高電界殺菌を適用することは不適切であると考えられている。
結局、電気伝導度が極めて低い特殊な食品材料を除き、市場に出回る多くの食品材料については、交流高電界殺菌を適用することができないか、または仮に適用できたとしても、種々の問題が生じざるを得ず、そのため実際の食品製造産業においては、交流高電界殺菌方法はほとんど実用化されていないのが実情である。
前述のような問題を解決する方法としては、殺菌対象となる食品材料の電気伝導度を低下させて交流高電界殺菌を施す方法が考えられる。すなわち、殺菌対象となる食品材料を予め希釈しておくなどの方法によって、電気伝導度を低下させた状態で交流高電界を加えれば、温度上昇を抑えることは可能である。しかしながら、実際の食品材料では、食味などの点から、希釈するにも限界があり、したがって電気伝導度を下げて温度上昇を抑える方法は、実用的ではない。
また一方、高電界を加える電極間を通過する食品材料の流速を高速化して、高電界に曝される時間を短くすることにより、温度上昇を抑えることは可能である。しかしながら、各種食品材料のうちでも、マヨネーズや味噌などの粘度の高い食品材料においては、流速を高めるためには著しく高い圧力を加えなければならず、装置的な問題が生じるから、実際上、ある程度以上は流速を高めて高電界に曝される時間を短くすることが困難である。またマヨネーズや味噌などの粘度の高い食品材料については、高い圧力を加えて流速を高めようとしても、流路の壁面(電極の表面)に対しての食品材料の粘性抵抗により、いわゆる層流が生じて電極表面における食品材料の流速が小さくなり、そのため電極表面付近の流速は高くならないのが通常である。そのため、電極表面付近では、過度に温度上昇が生じて、前述のような問題が生じてしまう。したがって食品材材料に高い圧力を加えて流速を高める手法も、根本的な解決とはならない。
ここで、マヨネーズや味噌ほど高粘度ではなくても、ある程度の粘性を有していれば、流路の壁面(電極の表面)に対しての食品材料の粘性抵抗によって層流が必然的に生じるから、高圧力を加えても、電極表面付近の流速は流路中心部に比較して遅くなり、そのため、電極表面付近では、過度に温度上昇が生じてしまう傾向が大きい。したがって、交流高電界殺菌方法が適用可能な流動性食品材料は、電気伝導度が小さくしかも層流が生じない程度に粘度が低い食品材料に限られ、したがって食品製造産業における実用上の適用も制約されざるを得なかったのである。
なお交流高電界殺菌方式を発展させた殺菌方式としては、高電圧パルス殺菌方式がある(例えば特許文献4、特許文献5など参照)。
高電圧パルス殺菌方式は、食品材料に印加する電圧波形として、特に高電圧のパルス波形を用い、高電界による殺菌効果に加え、そのパルス電圧の急峻な立ち上がり、立下りによって菌の細胞膜を穿孔して細胞を効果的に破壊して、菌を死滅させようとするものである。このような高電圧パルス殺菌方式においても、前述の交流高電界殺菌方式と同様に、電気伝導度の大きい食品材料では温度上昇が過度に大きくなるという問題や、高粘度の食品材料には適用し難いなどの問題があり、そのため、交流高電界殺菌方式と同様に、実用化は進んでいない。
またこの種の高電圧パルス殺菌方式を実施する場合の電源としては、食品材料に印加するパルスを発生するために大容量のコンデンサ(キャパシタ)を用い、コンデンサに電荷をチャージして、放電する過程を繰り返すことによってパルスを得ることが考えられている(例えば特許文献5参照)。しかしながら、コンデンサを使用した電源装置は、実際上は実験室的な規模での実施に限られ、飲料メーカ、食品メーカなどにおいて産業用量産規模で、実際に大量の流動性食品材料を効率的に処理することは困難であり、また電気伝導度や熱容量、粘度、あるいは含まれると予想される菌種などが異なる種々の食品材料を処理するラインには適していないとされ、このことも実用化が遅れる一因となっている。
すなわち、コンデンサによってパルスを発生する場合、コンデンサに対するチャージ時間によってパルスの周波数が決まってしまうから、パルス周波数を自由にコントロールすることができず、またコンデンサの容量とチャージ時間によってコンデンサに蓄えられる電力量も決まってしまい、放電時に出力される電圧も決まってしまうため、殺菌のために与える電力量、電圧を自由に調整することができないなどの問題があり、そのため対象となる食品材料や殺菌すべき菌の種類などに応じて最適な条件を設定することが困難であると考えられる。
特開2006−320402号公報 特開2001−169733号公報 特許第2964037号公報 特開2007−229319号公報 特開2009−142768号公報
本発明は以上の事情を背景としてなされたもので、従来の交流高電界殺菌方式や高電圧パルス殺菌方式における基本的な問題点、すなわち電気伝導度が大きい食品材料の場合に温度上昇が過度に大きくなるという問題、また粘度が高い食品材料には適用しがたいという問題を解決し、電気伝導度や粘度によらずに種々の食品材料に広く適用可能とし、かつ対象となる食品材料や殺菌すべき菌の種類などに応じて最適な殺菌条件を設定することが可能な交流高電界殺菌方法を提供することを課題としている。
上述の課題を解決するため、本発明者等は、交流高電界殺菌のために流動性食品材料に加える高周波交流として、矩形波交流を用い、かつその矩形波交流として、特に、ある1サイクルの矩形パルスと次の1サイクルの矩形パルスとの間に、前記1サイクルの矩形パルスの時間幅よりも大きい時間幅の休止期間を置いた矩形波交流を用いることによって、流動性食品材料の電気伝導度が大きい場合でも、充分な殺菌効果を得ながら流動性食品材料の過度の温度上昇を抑制することが可能であり、また高粘度の流動性食品材料についても、適用可能となること、さらに、上記の休止期間の時間幅や1サイクルの矩形パルスの時間幅を調整することによって、流動性食品材料の種類に応じた(すなわち電気伝導度や粘度等に応じた)、また殺菌対象となる菌の種類に応じた最適な殺菌を行い得ることを見い出し、本発明をなすに至った。
すなわち、交流高電界殺菌のために加える高周波交流として、矩形波交流を用いて、高電圧パルス殺菌方式を適用しようとする場合の電源装置としては、前述のようなコンデンサへのチャージ/放電を繰り返す電源装置に代えて、高周波発振器からの高周波信号によって整流回路からの直流をインバータ回路によってチョッピングして連続パルス状の矩形波交流を得ることが考えられる。このような矩形波交流をそのまま用いただけでは、既に述べたような諸問題、例えば電気伝導度の大きい流動性食品材料における過度の温度上昇の問題や高粘度の流動性食品材料の場合の問題点等を解決することはできない。
しかるに、高周波発振器からの高周波信号によって整流回路からの直流をインバータ回路によってそのままチョッピングするなどして(すなわち高周波発振器からの高周波信号の周期にしたがってそのままチョッピングして)、高周波信号の周波数、周期のままの矩形波交流を得るのではなく、矩形波交流の単位パルス(1サイクルのパルス)を、数サイクルずつ周期的に間引くなどの手法により、1サイクルの矩形単位パルスの間に、1サイクルの単位パルスの時間幅よりも格段に長い休止期間を設けた矩形波交流を生じさせ、その休止期間を有する矩形波交流(断続パルス波形の矩形波交流)を流動性食品材料に加えることによって、前述の問題を招くことなく、殺菌を行い得ることを見い出し、本発明をなすに至った。
具体的には、本発明の基本的な態様(第1の態様)の交流高電界殺菌方法は、
流動性食品材料を、一対の電極が対向配置された流路内を連続的に通過させながら、電極間に交流高電圧を加えることによって、流動性食品材料を殺菌する交流高電界殺菌方法において、
前記電極間に加える交流高電圧として矩形波交流を用い、かつその矩形波交流として、ある1サイクルの矩形波パルスと次の1サイクルの矩形波パルスとの間に、前記1サイクルの矩形波パルスの時間幅よりも大きい時間幅の休止期間(パルス間休止期間T)を置いた矩形波交流を用いることを特徴とするものである。
このような第1の態様の交流高電界殺菌方法においては、流動性食品材料に加える矩形波交流として、連続パルス状のものではなく、各1サイクルの矩形波パルス(単位パルス)の間に、1サイクルの矩形波パルスの時間幅Tよりも大きい時間幅の休止期間Tを置いた波形のものを用いることによって、休止期間を置かない連続パルス状の矩形波交流を用いる場合と比較し、同じ電力量でも高いパルス電圧を容易に稼いで、高い殺菌効果を得ることができる。これは、逆に言えば、与える電力量を小さくしても、実用上充分な殺菌効果が得られる程度の電圧が得られることを意味する。食品材料に与えられる電力量が小さくなれば、それに伴って食品材料の発熱量も小さくなるから、食品材料の過度の温度上昇を抑制することが可能となる。そのため、過度の温度上昇を防止するために流動性食品材料の電気伝導度を下げるという、実用上好ましくない手法を適用する必要がなくなり、醤油などの電気伝導度の高い流動性食品材料についても、電気伝導度を下げるための希釈等を行うことなく、そのまま交流高電界殺菌を適用することが可能となる。また過度の温度上昇を抑制するために、高電圧を印加するための一対の電極間の流速を大きくする必要もなくなる。その結果、マヨネーズや味噌などの高粘度の食品材料の場合でも、大きな圧力を加える必要がなくなり、高圧を加えるための設備的な制約も解消される。また、高粘度の食品材料について流速を大きくしたに発生しやすい層流に起因する電極表面付近での食品材料の過熱も回避することができる。したがってこれらの結果として、高粘度の食品材料についても適用可能となった。
さらに、上記の休止期間を設けた矩形波交流における休止期間Tの時間幅を調整することによって、流動性食品材料が電極間を通過する間(流路の入側から出側までの間)に、食品材料に加える単位パルスの数を調整することができる。電極間を通過する間に流動性食品材料に与えられる電力量は、加えられる単位パルスの数に比例するから、加えられる単位パルスの数を調整することは、電極間を通過する流動性食品材料の発熱量を調整することを意味し、ひいては電極間を通過する間に上昇する温度の幅を調整することを意味する。結局、矩形波交流における休止期間の時間幅を調整することによって、温度上昇幅を調整することができるのである。換言すれば、休止期間の調整によって、殺菌に必要な電圧を確保しながら、過剰な温度上昇を招かないように、温度上昇幅を小さく抑えることが可能となる。
また、上記の矩形波交流における各単位パルスの時間幅(T)も、電極間を通過する流動性食品材料に加える電力量に比例する。したがって、矩形波交流における各単位パルスの時間幅Tを調整することによっても、温度上昇幅を調整することができ、したがって殺菌に必要な電圧を確保しながら、過剰な温度上昇を招かないように、温度上昇幅を小さく抑えることが可能となる。
また本発明の第2の態様の交流高電界殺菌方法は、前記第1の態様の交流高電界殺菌方法において、
流動性食品材料が前記電極間を通過する時間に応じて、前記矩形波交流における前記休止期間の時間幅Tと、1サイクルの矩形パルス(単位パルス)の時間幅Tとのうち、少なくとも一方を調整することを特徴とするものである。
流動性食品材料が電極間を通過する時間に応じて、電極間に加えられる矩形波交流における休止期間の時間幅Tを調整することによって、流動性食品材料が電極間を通過する間に、食品材料に加える単位パルスの数を調整することができる。前記第1の態様に関して説明したように、電極間を通過する間に流動性食品材料に与えられる電力量は、その間に加えられる単位パルスの数に比例するから、加えられる単位パルスの数を調整すれば、矩形波交流の印加による流動性食品材料の発熱量を調整することができ、ひいては電極間を通過する間に上昇する温度の幅を調整することができる。また1サイクルの矩形パルス(単位パルス)の時間幅(長さ)Tによっても、電極間を通過する間に流動性食品材料に与えられる電力量は変化するから、単位パルスの時間幅Tを調整すれば、矩形波交流の印加による流動性食品材料の発熱量を調整することができ、ひいては電極間を通過する間に上昇する温度の幅を調整することができる。
したがって休止期間の時間幅Tと、単位パルスの時間幅Tとのうちの少なくとも一方を調整することによって、温度上昇幅を調整することができるのである。そこで、例えば、休止期間及び/又は単位パルスの時間幅の調整によって、確実な殺菌を実現できるような程度の十分な電圧を確保しながら、過剰な温度上昇を招かないように、温度上昇幅を小さく抑えることが可能となる。
さらに本発明の第3の態様の交流高電界殺菌方法は、前記第2の態様の交流高電界殺菌方法において、
流動性食品材料が前記電極間を通過する時間のほか、更に電極間の間隔の単位長さ当たりの印加電圧と、食品材料の電気伝導度と、交流高電圧が印加される直前の食品材料の温度とに応じて、前記矩形波交流における前記休止期間の時間幅(T)と1サイクルの矩形パルス(単位パルス)の時間幅(T)とのうちの少なくとも一方を調整することを特徴とするものである。
このような第3の態様の交流高電界殺菌方法では、対象となる流動性食品材料の種類、電気伝導度、粘度、あるいは殺菌すべき菌種などに応じて、最適な殺菌条件を設定することができる。
さらに本発明の第4の態様の交流高電界殺菌方法は、前記第1〜第3のいずれかの態様の交流高電界殺菌方法において、
流動性食品材料が前記電極間を通過する時間と、電極間の間隔の単位長さ当たりの印加電圧と、食品材料の電気伝導度と、交流高電圧が印加される直前の食品材料の温度とに応じて、温度上昇幅が予め定めた範囲を超えないように、前記矩形波交流における前記休止期間の時間幅Tpと、前記矩形波交流における1サイクルの矩形パルス(単位パルス)の時間幅Tを決定することを特徴とするものである。
さらに本発明の第5の態様の交流高電界殺菌方法は、前記第1〜第4のいずれかの態様の交流高電界殺菌方法において、
25℃での電気伝導度が、0.01S/cm以上の流動性食品材料を殺菌対象とすることを特徴とするものである。
さらに本発明の第6の態様の交流高電界殺菌方法は、前記第1〜第5のいずれかの態様の交流高電界殺菌方法において、
前記一対の電極が対向配置された流路内に流動性食品材料を導入する前の段階で、流動性食品材料を予め予熱しておくことを特徴とするものである。
このような第6の態様の交流高電界殺菌方法によれば、予熱によって食品材料中の菌を、予めある程度弱らせておくことができるため、矩形波交流印加による交流高電界殺菌の効果を高めて、確実かつ安定した殺菌が可能となる。また同時に、矩形波交流印加による流動性食品材料の温度上昇幅を小さい幅に抑えて、過度の温度上昇を確実に防止することができる。
さらに本発明の第7の態様の交流高電界殺菌方法は、前記第6の態様の交流高電界殺菌方法において、
前記一対の電極が対向配置された流路内に流動性食品材料を導入する際の流動性食品材料の温度が40〜70℃の範囲内となるように予熱しておくことを特徴とするものである。
このように、予め動性食品材料の温度が40〜70℃の範囲内となるように予熱しておくことによって、交流高電界による殺菌効果を充分に発揮させることができる。
さらに本発明の第8の態様の交流高電界殺菌方法は、前記第6もしくは第7の態様の交流高電界殺菌方法において、
前記予熱を通電加熱によって行うことを特徴とするものである。
本発明の交流高電界殺菌方法によれば、流動性食品材料を交流高電界殺菌するにあたり、食品材料に加える高周波交流として、連続パルス状のものではなく、各1サイクルの矩形波パルス(単位パルス)の間に、1サイクルの矩形波パルスの時間幅よりも大きい時間幅の休止期間を置いた波形のものを用いることによって、休止期間を置かない連続パルス状の矩形波交流を用いる場合と比較し、同じ電力量でも高いパルス電圧を容易に稼いで、高い殺菌効果を得ることができ、また同時に、食品材料に与える電力量を小さくしても、実用上充分な殺菌効果が得られる程度の電圧が得られことから、食品材料に与える電力量を小さくすることによって、食品材料の過度の温度上昇を抑制することが可能となる。そのため、電気伝導度が大きい食品材料についても、交流高電界殺菌をおこなうことが可能となり、また電極間を通過する際の食品材料の流速を大きくする必要もないため、高粘度の食品材料についても、層流に起因して電極表面で過度の温度上昇を招くこともないため、高粘度の食品材料についても交流高電界殺菌を適用することができる。したがって、食品メーカや飲料メーカなどにおいて、電気伝導度や粘度によって制約されることなく、広く種々の流動性料について交流高電界殺菌を実際的に適用可能となるという、顕著な効果が得られる。
また、矩形波交流における休止期間の時間幅や各単位パルスの時間幅を調整することによって、食品材料に与える電力量、ひいては食品材料の温度上昇幅を調整することができ、そのため食品材料の種類や殺菌すべき菌種等に応じて、適切に温度上昇幅を抑えながら、充分な殺菌効果を得ることができる。
交流高電界殺菌方法を実施するための装置の設備的な構成の一例を原理的に示す略解図である。 本発明の交流高電界殺菌方法を実施する際に使用される矩形波交流SAの電圧波形の一例を模式的に示す波形図である。 本発明の交流高電界殺菌方法を実施する際に使用される矩形波交流SBの電圧波形の別の例を模式的に示す波形図である。 従来、交流高電界殺菌方法を実施する際に使用することが考えられている矩形波交流SCの電圧波形の一例を模式的に示す波形図である。 従来、交流高電界殺菌方法を実施する際に使用することが考えられている矩形波交流SDの電圧波形の一例を模式的に示す波形図である。 図2に示す矩形波交流SAについて、図4に示す矩形波交流SCとの関係を示す模式図である。 図3に示す矩形波交流SBについて、図5に示す矩形波交流SDとの関係を示す模式図である。 本発明の交流高電界殺菌方法を実施する際に使用される電源装置の一例を示すブロック図である。 図8に示される電源装置における基準高周波信号及び出力電圧の一例を模式的に示す波形図である。 図8に示される電源装置におけるゲート信号発生回路(インバータ制御信号発生回路)の一例を示すブロック図である。 ジュール加熱装置と交流高電界殺菌装置とを組み合わせた殺菌装置に、図8に示される電源装置を適用した例を示す略解図である。 各実施例及び各比較例による殺菌効果を示すためのグラフである。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の交流高電界殺菌方法は、原理的には、例えば前述の図1に示した装置20を用いて実施される。
すなわち、図示しない流動性食品材料供給源から、加圧バルブやポンプなどの加圧手段によって、供給管29Aを経て醤油などの流動性食品材料が流路25内に連続的に供給され、一対の平板状の電極21A、21B間において、流動性食品材料に電源装置33から交流高電圧が印加される。なお流路25に導入される流動性食品材料は、予め通電加熱(ジュール加熱)方式や、高温水蒸気などの加熱媒体を用いた例えば二重管加熱方式などの外部加熱(熱交換加熱)方式などによって、予め所定温度まで予熱されていることが望ましいが、その予熱に関しては、後に改めて説明する。
ここで、上記の交流高電圧としては、本発明では矩形波交流を用い、かつその矩形波交流として、ある1サイクルの矩形パルスと次の1サイクルの矩形パルスとの間に、前記1サイクルの矩形パルスの時間幅よりも大きい時間幅の休止期間を置いた矩形波交流を用いる。その矩形波交流の電圧波形の一例を、矩形波交流SAとして図2に模式的に示し、別の例を、矩形波交流SBとして図3に模式的に示す。また比較のため、従来交流高電界殺菌に矩形波交流を適用する場合に考えられている一般的な矩形波交流の電圧波形の一例を、図4に矩形波交流SCとして模式的に示し、同様に従来交流高電界殺菌に矩形波交流を適用する場合に考えられている矩形波交流の電圧波形の別の例を、図5に矩形波交流SDとして模式的に示す。
従来の一般的な矩形波交流SCは、図4に示しているように、所定の周波数の高周波のパルス(単位パルス)が連続して繰り返されるものである。すなわちこの矩形波交流SCは、印加電圧幅をVとし、基準電位Vから正側への半波分の立ち上がり(V+V/2)側のパルスPとそれに続く基準電位Vから負側への半波分の立ち下がり(V−V/2)側のパルスPとを1サイクルのパルス、すなわち一つの単位パルスPとすれば、その単位パルスPが連続して繰り返されるものである。
また、図5に示した従来の別の矩形波交流SDは、立ち上がり側の半波分のパルスPと次の立下り側の半波分のパルスPとの間、及び立下り側の半波分のパルスPと次の立ち上がり側の半波分のパルスPとの間のそれぞれに、短時間の微小休止期間Tを置き、基準電位Vから正側への立ち上がりタイミングから次の基準電位Vから正側への立ち上がりタイミングまでを一つの単位パルスPとし、その単位パルスPが連続して繰り返されるものである。
なおここで、矩形波交流SDにおける一つの単位パルスP内における微小休止期間Tは、高周波高電圧パルスを発生するためのIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などの半導体素子(スイッチング素子)の安全性を確保するために設けられるものであり、必ずしも必要ないが、高電圧の全波パルスを発生するために一対のIGBTなどのスイッチング素子を組み合わせて用いる場合には、このような微小休止期間(以下この休止期間を“単位パルス内微小休止期間”と称する)Tを設けて、IGBTなどのスイッチング素子の破壊を防止する設計とされることが通常である。なおまた、この場合の単位パルス内微小休止期間Tの長さ(時間幅)は、通常は2μmから5μm程度であって、一つの単位パルス(1サイクルのパルス)Pの時間幅Tよりも格段に短い。
一方、本発明で使用する矩形波交流SAは、例えば図2に示しているように、印加電圧幅をVとし、基準電位Vから正側への半波分の立ち上がり(V+V/2)側のパルスPとそれに続く基準電位Vから負側への半波分の立ち下がり(V−V/2)側のパルスPとを1サイクルのパルス、すなわち一つの単位パルスPとすれば、各単位パルスPの間に、単位パルスPの時間幅Tよりも格段に長い休止期間Tを置いた波形とされている。この休止期間Tについては、前述の単位パルス内微小休止期間Tと区別するため、以下では、パルス間休止期間Tと称することがある。
この場合、各単位パルスPの間(パルス間休止期間T)においては、基準電位Vに維持される。したがってこのパルス間休止期間Tでは、流動性食品材料を挟む一対の電極間の電位差はゼロになる。
ここで、図2では単位パルス内微小休止期間Tを設けていない矩形波交流SAの例について示したが、前述のように高電圧の全波パルスを発生するために一対のIGBTを組み合わせて用いる場合には、IGBTなどのスイッチング素子の破壊を防止するため、各単位パルスP内に微小休止期間(単位パルス内微小休止期間)Tを設けることが望ましく、その場合の例が図3に示した矩形波交流SBである。なおこの場合、各単位パルス(1サイクルのパルス)Pには、立ち上がり側の半波分のパルスPと立下り側の半波分のパルスPとの間の微小休止期間Tのみならず、立下り側の半波分のパルスPが基準電位Vに到達した後の微小期間Tm´(=m)をも含めることとしている。したがって図3の例における各単位パルス(1サイクルのパルス)Pの時間幅Tは、正側への半波分の立ち上がり側パルスPの時間幅Tと、負側への半波分の立ち下がり側パルスPの時間幅T(=T)と、単位パルス内微小休止期間Tの2倍との合計となっている。
ここで、図2もしくは図3に示すような矩形波交流SA又は矩形波交流SBを生成させるためには、後に改めて図8を参照して説明するように、高周波発振器からの高周波信号によって整流回路からの直流をインバータ回路によってそのままチョッピング(すなわち高周波発振器からの高周波信号の周期にしたがってそのままチョッピング)するのではなく、周期的に複数サイクルを間引きながらチョッピングすることによって、前述のようなパルス間休止期間Tを周期的に設けた矩形波交流を得ることが望ましい。
この場合、パルス間休止期間Tの時間幅が、ベースとなる高周波信号の1サイクルの時間幅のn倍であるとすれば、パルス間休止期間Tを設けた矩形波交流の周波数は、ベースとなる高周波信号の周波数fに対して、f/(n+1)となる。言い換えれば、間引かずに高周波発振器からの高周波信号の周期にしたがってそのままチョッピングして形成した矩形波交流(図4の矩形波交流SCもしくは図5の矩形波交流SD)に対して、連続するn個の単位パルスPを間引いて一つのパルス間休止期間Tを形成すると仮定すれば、図4の矩形波交流SCもしくは図5の矩形波交流SDの周波数fに対して、f/(n+1)の周波数の矩形波交流が得られることになる。
その関係を、図6もしくは図7に示す。なお図6、図7において鎖線は間引いた単位パルスを示す。また実線が間引いた状態での矩形波交流を示す。
図6もしくは図7に示しているように、連続する(n+1)個の単位パルスP、P〜Pにおける2番目以降のn個の単位パルスP〜Pを間引けば、単位パルスPの時間幅Tのn倍の時間幅のパルス間休止期間Tを有する矩形波交流、すなわちベースの高周波信号の周波数fに対してf/(n+1)の周波数の矩形波交流が得られることになる。
ここで、図6もしくは図7から明らかなように、電圧(単位パルスの波高値)が一定であれば、間引いた単位パルスP〜Pの分だけ、電力量は少なくなる。すなわち、同じ電圧を確保するための電力が、間引いた単位パルスP〜Pの分だけ少なくなり、食品材料に加えられる電力も少なくなって、その分、食品材料の温度上昇が抑えられることになる。また逆に言えば、少ない電力量で、電圧(単位パルスの波高値)を高くし、これによって、消費電力の増大や大きな温度上昇を招くことなく、交流高電界殺菌の効果を高めることができる。
上述のようにパルス間休止期間Tを設けている場合、そのパルス間休止期間Tの長さによって、流動性食品材料が電極間を通過する間(流路の入側から出側までの間)に、食品材料に加える単位パルスの数が変化するから、流動性食品材料が電極間を通過する時間の長さに応じて、最適な数だけパルスが与えられるように、パルス間休止期間Tの長さを設定することが望ましい。ここで、流動性食品材料が電極間を通過する時間の長さは、電極間を通過する流動性食品材料の流速と、電極における食品材料流れ方向の長さ(電極間流路長さ)によって決まるから、実際上は、流速と電極間流路長さとに応じて、パルス間休止期間Tの長さを決定すればよい。
結局、流速と電極間流路長さとに応じてパルス間休止期間Tの長さを調整することによって、流動性食品材料が電極間を通過する間において食品材料に印加される単位パルスの数が調整され、ひいては流動性食品材料が電極間を通過する間に食品材料に与えられる電力量が調整されるから、温度上昇幅を適切に調整(抑制)して、過度な温度上昇が生じないように設定することができる。
またここで、単位パルスの時間幅も、その単位パルスが食品材料に加えられた際の、食品材料に与えられる電力量に比例するから、パルス間休止期間Tの長さの調整(流動性食品材料が電極間を通過する間に食品材料に印加される単位パルスの数の調整)と併せて、あるいはパルス間休止期間Tの長さの調整とは別に、単位パルスの時間幅を調整することによって、流動性食品材料の温度の上昇幅を調整することができ、ひいては温度上昇幅を適切に調整(抑制)して、過度な温度上昇が生じないように設定することができる。
ここで、食品材料に与えられる電力量には、食品材料の電気伝導度、及び印加電圧(矩形波交流の電圧)も関係(比例)するから、実際上は、電気伝導度及び矩形波交流の電圧を考慮に入れて、パルス間休止期間Tの長さ及び/又は単位パルスの時間幅を調整することによって温度上昇幅を適切に設定(抑制)する。また温度上昇幅が同じであっても、食品材料の初期温度(矩形波交流印加用の電極間の入り口)によって矩形波交流印加直後の到達温度は異なるから、実際上は、初期温度を調整することによって、到達温度を調整することが望ましい。そのためには、矩形波交流印加前に流動性食品材料を所定温度まで予熱し、その予熱温度を初期温度(矩形波交流印加のための電極間の入り口温度)として矩形波交流の印加を開始すればよい。またこのように、矩形波交流印加前に流動性食品材料を所定温度まで予熱しておけば、既に述べたように、矩形波交流印加前に予め温度により効果によって菌を弱らせておくができるから、矩形波交流印加による殺菌効果を確実化することができる。
このように予熱する場合の予熱手段としては、食品材料に直接電流を流して、食品材料の電気抵抗によって発熱(ジュール発熱)させる通電加熱(ジュール加熱)方式や、高温水蒸気などの加熱媒体と熱交換させて食品材料を温度上昇させる例えば二重管加熱方式などの外部加熱(熱交換加熱)方式など、任意の手段を適用することができる。また予熱を行う場合、流動性食品材料の予熱と矩形波交流印加による交流高電界殺菌を、連続して一連続で行い得るように、予熱段階でも流動性食品を所定の流路内を流しながら加熱し、引き続いて流動性食品材料を矩形波交流印加のための電極間の流路に連続的に導くようにすることが望まれ、通電加熱、熱交換加熱のいずれでも、そのような連続加熱を行うことができる。
上記のように予熱手段は、基本的には限定されないが、次に述べるように、通電加熱方式を適用することが最も好ましい。
すなわち、本発明の交流高電界殺菌方法を実施するに当たって、所期の殺菌効果を確実に得るためには、矩形波交流印加開始の初期温度(したがって予熱する場合の予熱到達温度)を正確に制御することが望まれる。その観点からすれば、熱交換方式の予熱では、到達温度を正確に制御することが困難であることが多く、これに対して通電加熱方式では、熱交換方式よりも容易かつ正確に到達温度を制御することができる。また通電加熱方式では、熱交換加熱よりも短時間で食品材料を昇温させることができるから、流動性食品材料を連続的に流しながら予熱する場合においては、熱交換加熱方式よりもライン長(加熱のための流路長さ)を短くして、設備の小型化、能率向上を図ることができる。したがって本発明の交流高電界殺菌方法を実施するに当たっての予熱方式としては、通電加熱が最適である。
本発明の交流高電界殺菌方法を実施するにあたって、実際に適用される矩形波交流における単位パルスの時間幅の具体的な値は特に限定されないが、通常は、1〜50μsec程度とすることが好ましく、またパルス間休止期間Tの長さは、要は単位パルスの時間幅よりも長ければよく、特に限定されないが、通常は400〜6400μsec程度とすることが好ましい。さらに、単位パルスの時間幅に対するパルス間休止期間Tの長さ(時間幅)の比は1以上であればよいが、通常は8〜400倍程度とすることが好ましい。
矩形波交流の印加にあたっての目標とする温度上昇幅は、初期温度および菌種によって異なるが、例えば大腸菌を殺菌対象とする場合、予熱により初期温度を40〜60℃程度℃として、温度上昇幅を5〜35℃程度とし、また例えば枯草菌を殺菌対象とする場合、予熱により初期温度を40〜70℃程度℃として、温度上昇幅を50〜80℃程度とすることが好ましい。
本発明の方法が適用される流動性食品材料の電気伝導度は特に限定されないが、本発明の殺菌方法は、電気伝導度が高い流動性食品材料に対して特に有効である。逆に言えば、電気伝導度が極端に低い流動性食品材料に対しては効果が小さい。したがってその観点から、本発明の方法は、電気伝導度が0.01S/m以上の流動性食品材料に対して適用すること、より好ましくは電気伝導度が0.1S/m以上の流動性食品材料に対して適用することが好適である。
適用される流動性食品材料の粘度に関しては、本発明の方法では、粘度の低い流動性食品材料に対して有効であることはもちろん、高粘度の流動性食品材料についても適用可能である。すなわち、既に述べたように、温度上昇幅には矩形波交流印加のための電極間での流速も関係し、流速が小さければ、電極間を通過する間に加えられる電力も大きくなって、温度上昇幅も大きくなり、過度の温度上昇を招く恐れが強い。一方、マヨネーズや味噌、ジャムなどの高粘度の流動性食品材料の場合、高圧力を加えなければ、流速を確保することが困難であるが、このような高粘度の流動性食品材料では、高圧力を加えれば、層流が顕著に生じてしまって電極表面付近の流速は、大きくならずに極端に小さいままとなり、その結果電極表面付近で食品材料が過加熱されてしまう。しかしながら、パルス休止期間を設けた矩形波交流を用いれば、そのパルス休止期間の長さの調整によって電極間通過時に与えられる単位パルスの数を調整することによって食品材料に加える電力量を抑制することができるため、特に食品材料の圧力を高める必要性は少なく、そのため上述のような層流の発生の問題を回避しつつ、温度上昇幅を小さく抑制することができる。したがって例えば粘度が1〜10mPa/s程度の比較的低粘度の流動性食品材料(醤油、清涼飲料など)ばかりでなく、粘度が10〜1000mPa/s程度の中粘度の流動性食品材料(トマトジュース、中農ソースなど)、更には粘度が1000〜10000mPa/s以上の高粘度の食品材料(マヨネーズ、味噌、ジャム等)についても適用することができる。
矩形波交流として印加する電圧(パルス電圧)は、単位電極間距離当たり、通常は3〜20kV/cm程度、代表的には10kV/cm程度とすればよいが、本発明の場合、パルス内休止期間を設けることによって、与える電力量は同じでも電圧を高くすることができるから、少ない電力量で高電圧を加えて、温度上昇幅を抑えつつ、高い殺菌効果を得ることができる。
矩形波交流の周波数については、前述のように周波数fの連続パルスの矩形波交流の単位パルスを、連続してn個間引いて、パルス間休止期間を生成する場合、すなわちパルス間休止期間を有するf/(n+1)の周波数の矩形波を得る場合には、ベースの周波数fが、10〜400kHz程度であることが好ましい。
なお、以上の説明では、本発明の方法について、流動性食品材料を通電加熱や熱交換加熱などによって予め予熱して菌を弱らせておき、その状態で矩形波交流を印加することによって、交流高電界による殺菌効果により滅菌するか、又は予熱せずに直接矩形波交流を印加して、交流高電界の殺菌効果により滅菌するものとして説明したが、場合によっては、他の殺菌方法、例えば温度による殺菌効果を狙った殺菌方法によって一旦殺菌処理を施した食品材料について、更に殺菌の安全率を高めるために本発明の方法を適用することもできる。すなわち、流動性食品材料を通電加熱や熱交換加熱によって、菌が死滅すると考えられる条件(温度及び時間)で加熱し(したがって温度による殺菌効果を狙った殺菌方法を実施し)、その後に、殺菌をより確実化して食品の安全性をより高めるために本発明の方法を適用(すなわち休止期間を有する矩形波交流を印可)することもできる。その場合には、矩形波交流の印加は、ごく短時間だけ(言い換えれば1個もしくは数個の単位パルスの印加だけ)行って、矩形波交流の印加による温度上昇幅を1℃あるいは数℃以下のごくわずかの温度幅とすればよい。
本発明の方法を実施するに当たって使用される電源装置、即ちパルス間休止期間を有する矩形波交流を発生するための電源装置の構成は特に限定されないが、基本的には、次の(1)〜(5)のいずれかの態様を有する構成とすることが好ましい。
(1) 商用交流を整流して直流とするための整流器と、
整流器によって得られた直流電流をチョッピングして、高周波矩形パルス電流を発生させるインバータ回路と、
前記発振器からの基準高周波信号が加えられてその基準高周波信号をベースとして前記インバータ回路の動作を制御するためのインバータ制御信号を発生するインバータ制御信号発生回路と、
前記インバータ回路の出力の高周波矩形パルス電流の電圧を変圧して、前記電極間に加える高電圧パルスを得るための出力トランスと
を有し、
前記インバータ回路が、前記基準高周波信号の1サイクルに対応する1サイクルの矩形パルスに引き続き、所定の休止期間を置いてから次の1サイクルの矩形パルスが発生するという断続パルス電流を出力するように、前記インバータ制御信号発生回路によって制御されるように構成された電源装置。
このような(1)の態様の電源装置においては、高周波発振器からの高周波信号によって整流回路からの直流をインバータ回路によってそのままチョッピングして(すなわち高周波発振器からの高周波信号の周期にしたがってそのままチョッピングして)、高周波信号の周波数、周期のままの矩形波交流を得るのではなく、数パルスずつ間引いた矩形波パルス、すなわち単位パルス間にパルス幅よりも格段に長いパルス間休止期間を設けた断続パルスを生成させることができる。なおこの場合、コンデンサのチャージ・放電よって交流高電圧を生成させる場合と比較すれば、一つの単位パルスによって与えられる電力量を格段に大きく設定し得ること、また電力量、電圧、周波数の調整が容易となること、さらに波形もパルス殺菌に適したものとなる。
(2) 前記(1)の電源装置において、前記インバータ回路が、前記休止期間の長さが調整可能となるように、前記インバータ制御信号発生回路によって制御される構成された電源装置。
このような(2)の態様による電源装置では、処理すべき流動性食品材料の種類や、温度、流速などに応じて、断続パルスのパルス間休止期間を適切に制御することが可能となる。
(3) 前記(2)の電源装置において、前記休止期間の長さを、外部からの操作によって調整し得るように構成した電源装置。
このような(3)の態様の電源装置では、外部からの手指による操作によって、簡単かつ容易に断続パルスのパルス間休止期間を調整することができる。
(4) 前記(1)〜(3)のいずれかの電源装置において、前記インバータ回路を、休止期間を設けずに基準高周波信号の周期にしたがって連続パルス電流を出力する第1の状態と、前記休止期間を設けながら断続パルス電流を出力する第2の状態とに切り替え可能となるように、前記インバータ制御信号発生回路によって制御される構成した電源装置。
このような(4)の態様の電源装置では、連続パルスを出力する第1の状態と、パルス休止期間を設けながら断続パルスを出力する第2の状態とに切り替えることができるため、同じ電源装置を、交流高電界殺菌装置と、ジュール加熱装置とに使い分けすることができる。すなわち、断続パルスを出力する第2の状態では、交流高電界殺菌装置の電源として好適に使用することができ、一方、連続パルスを出力する第1の状態では、ジュール加熱装置の電源として好適に使用することができる。
(5) 前記(4)の電源装置において、前記第1の状態と第2の状態を、外部からの操作によって切り替え得るように構成した電源装置。
このような(5)の態様の電源装置では、外部からの手指による操作によって、簡単かつ容易に断続パルス発生状態(第2の状態)と、連続パルス発生状態(第1の状態)とに切り替えることができる。
上述のような(1)〜(5)の構成を備えた具体的な電源装置33の一例を、図8に示す。なおこの図8に示す電源装置33は、交流高電界殺菌装置の電源として使用し得るだけではなく、通電加熱装置(ジュール加熱装置)の電源としても使用可能な装置として構成している。すなわち、外部からの簡単な操作によって、交流高電界殺菌装置の電源として使用する場合と、通電加熱装置の電源として使用する場合とに切り替えられる構成とした電源装置の例である。
図8において、電源装置33は、外部の商用交流から、交流高電界殺菌装置20における電極21A、21B間に印加するための高周波パルス電圧を発生するための電源ユニット35と、その電源ユニット35を制御するための制御ユニット37と、その制御ユニット37を外部から操作するための操作ユニット39とからなる構成とされている。
そこでまず前記電源ユニット35について説明すれば、電源ユニット35は、商用交流電流を整流するための整流器として、例えばサイリスタ(SCR)を有するサイリスタスタック43を備えている。このサイリスタスタック43の入力側には、商用交流電源端子41が、メインブレーカ45及びコンダクタ(電磁接触器)47を介して接続されている。コンダクタ47は、制御ユニット37内の後述するプログラマブルコントローラ49からの開閉信号S1にしたがって開閉されるように構成されている。
サイリスタスタック43は、制御ユニット37内の後述するサイリスタ制御部50からのサイリスタ制御信号S2によって制御されるようになっている。またサイリスタスタック43の出力側には、直流電流をチョッピングし、高周波パルス電流(高周波パルス電圧)を生起させるためのインバータユニット51内のインバータ回路53が接続されている。
インバータ回路53は、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)で代表される、高速で直流大電流をチョッピング可能なスイッチング素子を備えたものである。このインバータ回路53は、IGBTなどのスイッチング素子のゲートに加えられる電圧(ゲート電圧)が、ゲート駆動回路55によって制御されて、直流電流入力に対するスイッチング(チョッピング)が制御される。そして、パルス間休止期間Tを有しかつ単位パルス間休止期間に時間幅が可変の矩形波交流(以下これを便宜上、断続パルスと記す)、もしくは単位パルス間休止期間Tを持たずに単位パルスが連続する矩形波交流(これを便宜上、連続パルスと記す)を発生する。
なおゲート駆動回路55は、制御ユニット37内の後述するインバータ制御部57のインバータ制御信号発生回路、例えばゲート信号発生回路58からのゲート制御信号(インバータ制御信号に相当する)S3によって制御される。
さらにインバータユニット51内のインバータ回路53の出力側は、出力トランス59の一次側巻線59Aに接続されている。またインバータ回路53と出力トランス59の一次側巻線59Aとの間の電流経路には、その間を流れる電流を検出するための電流センサ60が介挿されている。そして出力トランス59の二次側巻線59Bは、高電圧パルス殺菌装置20における電極21A、21Bに接続されている。
次に制御ユニット37及び操作ユニット39について説明する。
制御ユニット37は、基本的には、プログラマブルコントローラ49と、サイリスタ制御部50と、インバータ制御部57を有している。また操作ユニット39は、主操作部61と、パルス制御操作部63を有している。
操作ユニット39の主操作部61は、ダイヤルやテンキー、押しボタンスイッチなどの入力手段やタイマー、更には各種表示手段、警報手段などを備えたものであって、電源装置33全体のON/OFFや、出力電流及び/または出力などの設定、あるいはそれらの表示などを行うものである。また操作ユニット39のパルス制御操作部63は、電源装置33から出力される高電圧矩形パルスの状態の設定(連続パルス/断続パルスの切り替え、および断続パルスの場合の休止期間の長さの調整)を行うためのものである。
制御ユニット37のプログラマブルコントローラ49は、主操作部61からの信号を受けて、主として、サイリスタ制御部50の動作を制御してサイリスタスタック43の出力電流値(直流)を制御するとともに、電源ユニット35のコンダクタ47をON/OFF制御するためのものである。なおこのプログラマブルコントローラ49には、外部センサ75、例えば高電圧パルス殺菌装置の本体における食品材料流路の出側温度を検出するための温度センサ75なども接続されており、このような温度センサからの信号によっても、サイリスタスタック43の出力電流値を制御し得るように構成されている。
一方、インバータ制御部57は、高周波発振器65と、インバータ制御信号発生回路としてのゲート信号発生回路58と、過電流検出器67と、インターロック回路69とを有している。
高周波発振器65は、例えば5kHz〜50kHz程度の高周波信号を発生するためのものであり、本例では発振周波数が可変となるように、自励発振器が使用されている。もちろん場合によっては、水晶振動子などを用いた他励発振器を使用することも可能である。
ゲート信号発生回路(インバータ制御信号発生回路)58は、高周波発振器65からの高周波信号を利用して、IGBTなどのスイッチング素子のスイッチング動作を制御するためのインバータ制御信号としてのゲート制御信号S3を発生するためのものである。ここで、ゲート信号発生回路58は、後に改めて詳細に説明するように、高周波発振器65からの高周波信号の周波数で連続するゲート制御信号を発生する第1の状態と、高周波発振器65からの高周波信号を間引きして休止期間を設けた断続的なゲート制御信号を発生する第2の状態とに切り替えられるように構成されている。さらに、休止期間を設けた断続的ゲート制御信号を発生する第2の状態において、その休止期間の長さを調整可能に構成されている。
そしてゲート信号発生回路58からは、上記の第1の状態と第2の状態に切り替えるための切り替え操作手段として、例えばON/OFFスイッチ71が引き出されて、そのON/OFFスイッチ71が、前述の操作ユニット39内のパルス制御操作部63に配設されている。ここで、ON/OFFスイッチ71は、例えばON状態では、休止期間を設ける第2の状態(断続パルス状態)となり、OFF状態では休止期間を設けない第1の状態(連続パルス状態)となるように設定される。
また同じくゲート信号発生回路58からは、上記の第2の状態における休止期間の長さを調整するための休止期間調整操作手段として、例えば可変抵抗器73が引き出されて、その可変抵抗器73が、前述の操作ユニット39内のパルス制御操作部63に配設されている。なおここでは休止期間調整操作手段を可変抵抗器73としているが、ゲート信号発生回路58の回路構成によっては、可変インダクタンス、あるいは可変キャパシタンスなどを用いることもある。またここでは、休止期間を連続的に変化させるものとしているが、段階的に変化させる構成としてもよいことはもちろんである。
過電流検出器67は、前述の電源ユニット35における電流センサ60で検出したインバータ回路53の出力電流が、予め定めたレベルを超える過電流となった時にこれを検出するためのものである。インターロック回路69は、インバータ回路53の動作を停止させて、矩形パルスを発生しない状態に制御するためのもので、過電流検出器67によって過電流が検出されたときに、停止信号S4をゲート信号発生回路58に送り、ゲート信号を発生させない状態となるように制御して、インバータ回路53の動作を停止させるように構成されている。
以上のような構成の電源装置33において、主操作部61の図示しない電源スイッチをON状態とすれば、プログラマブルコントローラ49からコンダクタ(電磁接触器)47に電源ON信号(S1)が与えられ、コンダクタ47がON状態となり、商用交流電源端子41からの例えば3相200Vの商用交流電流が、メインブレーカ45およびコンダクタ47を経て、サイリスタスタック43に与えられる。
サイリスタスタック43では、商用交流電流を整流して直流電流とする。ここで、サイリスタスタック43は、その出力電流値が、主操作部61において設定した値に制御される。すなわち、主操作部61に設定した電流値にしたがってプログラマブルコントローラ49からサイリスタ制御部50に電流設定値信号が送られ、その電流設定値信号によってサイリスタ制御部50がサイリスタスタック43を制御する。
サイリスタスタック43から出力された直流電流は、インバータユニット51のインバータ回路53に供給される。このインバータ回路53では、IGBTなどのスイッチング素子に、ゲート駆動回路55からゲート電圧が与えられ、そのゲート電圧に応じてサイリスタスタック43の直流電流をスイッチング(チョッピング)し、これによって矩形波パルス出力電流が得られる。インバータ回路53からの矩形波パルス出力電流は、電流センサ60を経て出力トランス59の一次側巻線59Aに送られる。そしてこの出力トランス59において昇圧されて、二次側巻線59Bから、所要の高電圧の矩形波パルス出力が得られ、その高電圧矩形波パルスが、交流高電界殺菌装置20の電極21A、21B間に与えられる。
ここで、インバータユニット51のゲート駆動回路55は、インバータ制御部57のゲート信号発生回路58からのゲート信号によって制御されて、IGBTなどのスイッチング素子に対するゲート電圧を発生する。ゲート信号発生回路58は、基本的には、高周波発振器65から与えられる基準高周波信号によって制御されるが、それだけではなく、操作ユニット71のパルス制御操作部63に設定したパルス状態制御(連続パルス発生の第1の状態と断続パルス発生の第2の状態との切り替え、及び断続パルス発生の第2の状態における休止期間の設定)に応じて、ゲート信号発生状態が制御される。
例えばパルス制御操作部63のON/OFFスイッチ71がOFF状態では、ゲート信号発生回路58は、休止期間を設けない連続パルスのゲート信号を発生する第1の状態となる。この場合は、ゲート駆動回路55は、高周波発振器65からの基準高周波信号に従った周波数、周期で連続的に変化するゲート電圧を発生し、これによって、インバータユニット51のIGBTなどのスイッチング素子は、サイリスタスタック43からの直流電流を、高周波発振器65からの基準高周波信号に従った周波数、周期で連続的にスイッチングし、連続矩形波電流(矩形波交流)を出力させる。そしてこの連続矩形波電流が出力トランス59によって昇圧されて、出力トランス59から、基準高周波信号に従った周波数、周期の高電圧矩形波交流が出力される。
例えば高周波発振器65からの基準高周波信号Saを、図9の(a)に示し、上述のような第1の状態における出力トランス59からの出力Sbを、図9の(b)に示す。この場合、出力トランス59からの出力Sbは、基準高周波信号Saと同一の周波数で連続的に変化する矩形波となる。なお、このような連続矩形波(矩形波交流)を発生する状態(第1の状態)は、高電圧パルス殺菌装置ではなく、ジュール加熱装置に好適である。
一方、例えばパルス制御操作部63のON/OFFスイッチ71がON状態では、ゲート信号発生回路58は、休止期間を設けた断続パルスのゲート信号を発生する第2の状態となる。すなわち、高周波発振器65から供給される基準高周波信号Saを間引きして、例えば基準高周波信号の1サイクルのパルス発生期間の後、数サイクル分の休止期間が続き、その後に再び1サイクル分のパルス発生期間が続き、さらに数サイクル分の休止期間が続く、という断続パルスのゲート信号を発生する状態となる。これによって、インバータユニット51のIGBTなどのスイッチング素子は、サイリスタスタック43からの直流電流を、断続パルスのゲート信号に従ってスイッチングし、断続矩形波パルス電流を出力させる。そしてこの断続矩形波パルス電流が出力トランス59によって昇圧されて、出力トランス59から、高電圧断続矩形波パルスが出力される。
上述のような第2の状態における出力トランス59からの出力Scを、図9の(c)に示す。この場合、出力トランス59からの出力Scは、図9の(a)に示される基準高周波信号Saの周波数、周期のままではなく、例えば基準高周波信号Saの1サイクルのパルス発生期間TA(単位パルスPの時間幅Tに相当の後、数サイクル分(図示の例では2パルス分)の休止期間TB(パルス間休止期間Tに相当)が続き、その後に再び1サイクル分のパルス発生期間TAが続き、さらに数サイクル分の休止期間TBが続く、という断続パルスとなる。言い換えれば、図9の(b)に示される連続矩形波Sbの単位パルスを、数パルス分(数サイクル分)間引きした断続パルスとなる。
このような断続パルスを発生する状態(第2の状態)は、交流高電界殺菌に好適である。
ここで、上記のような第2の状態(断続パルス出力状態)では、パルス制御操作部63の休止期間調整操作手段、例えば可変抵抗器73を調整することによって、パルス休止期間Tの長さを調整することができる。したがって、例えば、高電圧パルス殺菌装置の電極間を流れる流動性食品材料の種類やその流動性食品材料に含まれると予想される菌の種類、更には流速、あるいは流動性食品材料の初期温度(電極間への入り口温度)などに応じて、適切なパルス休止期間Tの長さを設定することができる。一方、断続パルス(休止期間を設けた矩形波交流)における単位パルスPの時間幅Tは、高周波発振器65からの基準高周波信号の周波数fと反比例関係にあるから、高周波発振器65の発振周波数を変えることによって、単位パルスPの時間幅Tを調整することができる。したがって、上述のようなパルス休止期間Tの設定と同時、又は別に単位パルスPの時間幅Tを適切な値に設定することができる。
なお上述のように休止期間を設けた断続パルスを発生する場合(第2の状態)、サイリスタスタック43へ供給される直流電流の実効値を小さくしても、サイリスタスタック43の出力としては、休止期間を設けない連続パルス出力状態(第1の状態)と比較して、高い電圧値(パルス電圧高さ;パルス電圧波高値)を設定することができる。そのため、出力トランス59からの出力Scとしても、そのパルス電圧高さを高くすることができる。
そしてまた、休止期間Tの長さの調整によって、出力トランス59からの出力Scのパルス電圧高さを調整することができる。
なお、上記の第1の状態、第2の状態のいずれの場合においても、電流センサ60によってインバータ回路53の出力電流が検出され、その出力電流値が異常に大きくなった場合、すなわち過電流となった場合には、過電流検出器67からの過電流検出信号がインターロック回路69に加えられる。そしてインターロック回路69からゲート信号発生回路58にゲート信号停止信号S4が送られ、ゲート信号発生回路58がゲート信号を発生しない状態となり、インバータ駆動回路55も動作しなくなる。その結果、インバータ回路53のIGBTなどのスイッチング素子にゲート電圧が与えられなくなり、インバータ回路53の出力が停止される。
図10にはインバータ制御部57のゲート信号発生回路58をより具体化した例を示す。
図10において、ゲート信号発生回路58は、高周波発振器65からの基準高周波信号を波形整形して、高周波パルス信号とするための波形整形回路77と、その波形整形回路77から出力される高周波パルス信号のパルスを間引くための間引き回路79とを備えている。そして間引き回路79には、その間引き動作をON/OFF制御するためのON/OFF制御回路81と、間引き動作の間引き間隔(間引き幅)を制御するための間引き幅制御回路83とが接続されている。上記のON/OFF制御回路81には、パルス制御操作部63のON/OFFスイッチ71が接続され、また間引き幅制御回路83には、パルス制御操作部63の休止期間調整操作手段としての可変抵抗器73が接続されている。
図10に示すゲート信号発生回路58においては、高周波発振器65からの基準高周波信号が、波形整形回路77によって波形整形されて、パルス信号とされる。そしてON/OFFスイッチ71のOFF時においては、そのパルス信号(連続パルス)がそのまま間引き回路79を通過して、ゲート信号S3としてゲート駆動回路55に送られる。
一方、ON/OFFスイッチ71のON時においては、波形整形回路77によって波形整形されたパルス信号(連続パルス)が、間引き回路79によって間引きされて、断続パルス信号となり、その断続パルス信号がゲート信号S3としてゲート駆動回路55に送られる。このとき、休止期間調整操作手段としての可変抵抗器73によって間引き幅制御回路83に設定した間引き幅でパルスの間引き幅(パルス間休止期間Tpに相当)が制御される。また高周波発振器65の発振周波数を調整することによって、単位パルスPの時間幅Tが制御される。
以上のように構成された実施例の電源装置33は、既に述べたように、パルス制御操作部63のON/OFFスイッチ71をONとした状態では、交流高電界殺菌装置の電源として好適に使用することができ、一方、パルス制御操作部63のON/OFFスイッチ71をOFFとした状態では、ジュール加熱装置(通電加熱装置)の電源として好適に使用することができる。
ところで、既に述べたように、本発明の交流高電界殺菌方法を実施するに当たっては、パルス間休止期間Tpを有する矩形波交流(断続パルス)を流動性食品材料に加える前に、食品材料を所定の温度まで予熱しておくことが望ましい。その場合の予熱方法としては、通電加熱(ジュール加熱)や、熱交換方式など、任意の加熱方式を適用することができるが、前述のように通電加熱方式が最適である。そして図8に示した電源装置は、パルス間休止期間を有する矩形波交流(断続パルス)を発生する状態(交流高電界殺菌に好適な波形を発生する状態)と、パルス間休止期間を持たない矩形波交流(連続パルス)を発生する状態(通電加熱に好適な波形を発生する状態)とに簡単に切り替えることができるため、同じ構成の二つの電源装置を、一方は予熱のための通電加熱装置の電源として、また他方を交流高電界殺菌装置の電源として使用可能である。
このように流動性食品材料を通電加熱によって予熱し、引き続いてパルス休止期間を有する矩形波交流を加えて交流高電界殺菌を行う場合において、予熱用の通電加熱装置の電源、及び交流高電界殺菌装置の電源として、それぞれ図8に示した電源装置33を用いた場合の全体的な殺菌装置の一例を図11に示す。なお図11では、同じ構成の二つの電源装置33として、一方には33Aの符号を付し、他方には33Bの符号を付している。
図11において、ジュール加熱装置91は、全体として、流動性食品材料が流れる流路92を有する中空の管路(通電加熱用管路)93を形成している。通電加熱用管路93は、チタンなどの導電性材料からなる複数(図示の例では7個)の環状電極94〜94を、間隔を置いて配列するとともに、各環状電極94〜94の相互間、および両端側の環状電極94、94の外側に、樹脂などの電気絶縁性材料からなる中空円筒状の絶縁管体95〜95を配置し、さらに両端側の絶縁管体95、95の外側に、それぞれ環状のアース電極96を配置し、それらの全体を図示しない結合手段によって結合してなるものである。
そしてこのようなジュール加熱装置91における環状電極94〜94は、その一つ置きに電源装置33Bの一方の出力端子、他方の出力端子に接続されている。ここで、電源装置33Bとしては、前述の図8に示した電源装置33と同様な構成のものが使用されている。但し、その電源装置33Bは、パルス制御操作部63のON/OFFスイッチ71がOFFとされた状態で使用される。
ジュール加熱装置91の通電加熱用管路93の出口側は、適宜の配管を介して、交流高電界殺菌装置20の入り口側に接続されている。
交流高電界殺菌装置20は、既に図1を参照して説明したように、チタンなどからなる一対の平板状の電極21A、21Bが、間隔を置いて平行に対向するように配設して、電極21A、21B間の隙間に、流動性食品材料流通用の流路25を形成したものである。そしてこの交流高電界殺菌装置20の電極21A、21Bは、電源装置33Aの一方の出力端子、他方の出力端子に接続されている。ここで、電源装置33Aとしては、前述の図8に示した電源装置33と同様な構成のものが使用されている。但し、その電源装置33Aは、パルス制御操作部63のON/OFFスイッチ71がONとされた状態で使用される。
このようなジュール加熱装置91と交流高電界殺菌装置20とを組み合わせた殺菌装置において、図示しない流動性食品材料供給源から、ポンプなどの加圧手段によって、ジュースなどの流動性食品材料がジュール加熱装置91に連続的に供給され、その通電加熱用管路93を食品材料が通過する間に、隣り合う環状電極94〜94間で食品材料に高周波矩形波交流の電流(連続パルス)が流れ、抵抗発熱(ジュール発熱)によって、食品材料が温度上昇する。そしてある程度温度上昇した流動性食品材料は、ジュール加熱装置91の出口側から交流高電界殺菌装置20に送り込まれ、交流高電界殺菌装置20における電極21A、21B間の隙間の流路25において、パルス間休止期間Tpを有する矩形波交流(断続パルス)が印加され、交流高電界殺菌がなされる。
このようにジュール加熱装置91によって食品材料をある程度温度上昇させてから、交流高電界殺菌装置20によって高電圧パルス殺菌を行うことによって、既に述べたように、殺菌効果を高めることができると同時に、食品材料の過度の温度上昇を回避することができる。またこの場合、ジュール加熱装置91の電源と交流高電界殺菌装置20の電源に、同じ構成の電源装置を使用することができるため、電源装置に要するコストを低減することができる。
なお、図8に示した電源装置33においては、交流高電界殺菌と、ジュール加熱のいずれにも使用可能となるように、パルス制御操作部63にON/OFFスイッチ71を設けて、ゲート信号発生回路58を、連続パルス発生状態(第1の状態)と断続パルス発生状態(第2の状態)とに切り替える構成としている。しかしながら、ジュール加熱殺菌装置に使用することは想定せず、交流高電界殺菌装置専用の電源とする場合には、パルス制御操作部63にON/OFFスイッチ71を設けなくてもよい。すなわちその場合には、ゲート信号発生回路58を、上記のON/OFFスイッチ71が常にON状態となっている場合と等価的な回路構成(すなわち断続パルス発生の第2の状態を維持する回路構成)として、ON/OFFスイッチ71を省くことができる。
次に、本発明の交流高電界殺菌方法によって殺菌対象の温度上昇を抑え得る効果について、実験及びモデル計算によって調べた結果を、実験例1及び比較計算例として示す。
〔実験例1〕
流動性食品材料に相当する試験液として、電気伝導度(ジーメンス毎メートル;S/m)を調整したリン酸バッファー液を使用し、図1に示すような装置を用いて、交流高電界殺菌方法を実施した。実験条件は次の通りである。
<試験液条件>
試験液:リン酸バッファー液
電気伝導度(25℃での基準電気伝導度):0.1S/m(下記の電極間流路入り口温度70℃に換算すれば0.19S/mに相当)
粘度(25℃での粘度):1mPa/s
初期温度(電極間流路入り口温度):70℃
流量:60L/h
<電極条件>
電極間距離:4mm
流路に沿った電極長さ:4mm
電極幅:6mm
電極間通過時間:5.76ミリ秒
流量:60L/h
<矩形波交流印加条件>
印加電圧:3000V(単位距離当たり電界強度:750V/cm)
電圧波形:図3に模式的に示したように、単位パルスP間にパルス間休止期間Tを有し、かつ単位パルス内微小休止期間T、T´を有する矩形波交流
但し、
単位パルス(1サイクルのパルス)Pの時間幅T:50μsec
単位パルス内微小休止期間T、T´:2μsec
パルス間休止期間T:3200μsec
(単位パルスP内の半波パルスの時間幅T、T:23μsec)
このような条件で試験液に交流高電界を加える実験を行ったところ、流路の出口温度は約75℃となることが判明した。すなわち、温度上昇幅は約5℃であった。
〔比較計算例〕
一方、印加する矩形波交流の電圧波形を、パルス間休止期間Tの無い連続パルス状の矩形波交流に代えた場合の温度上昇幅を、計算によって求めた。矩形波交流印加条件は次の通りである。
印加電圧:3000V(単位距離当たり電界強度:700V/cm)
電圧波形:図5に模式的に示したように、単位パルスP間にパルス間休止期間を持たず、単位パルス内微小休止期間T、T´を有する矩形波交流
但し、
単位パルス(1サイクルのパルス)Pの時間幅T:50μsec
単位パルス内微小休止期間T、T´:2μsec
パルス間休止期間T:3200μsec
(単位パルスP内の半波パルスの時間幅T、T:23μsec
ここで、パルス間休止期間を置かない点以外は、実験例1と同じ条件であり、上記のパルス間休止期間を持たない矩形波交流によって与えられる電力量から、温度上昇幅を計算によって求めた。
すなわち、流路入り口温度70℃における電気伝導度0.19S/mは、電気抵抗値にして877.2Ωに相当する。そこでI=E/Rの関係から、3000Vの印加電圧では電流値は3.42Aと推定される。さらに電力量P=I/Eの関係から、与えられた電力量は、10.26kWと推定される。さらにその電力が与えられた時の発熱量Qは、Q(kcal)=P(kW)・860の関係から、8823.6kcalと推定される。そして試験液の比熱を1.0と置き、また試験液の比重を1.0と置けば、このときの昇温幅は、約147℃と推定される。したがって、試験液は初期温度(70℃)から約147℃温度上昇して、217℃になると推定される。
上記の計算例では、本発明実験例1と流速が同じであれば、本発明実験例1の場合の出口温度(約75℃)よりも著しく高い温度となってしまうことが推測される。もちろん実際のラインにおいては、217℃という高温で試験液が沸騰しないようにするためには、極端に圧力を高くしなければならず、したがって比較計算例で示したような条件での操業は、実際上不可能である。
このような結果から、パルス間休止期間Tpを設けた矩形波交流を用いることによって、温度上昇幅を小さく抑制して、過度な温度上昇を防止できることが確認された。
さらに上記のような実験結果を踏まえて、本発明の交流高電界殺菌方法による効果を実証するために行った実施例、及び比較例を以下に示す。
なお以下の各実施例では、電気伝導度を調整した試験液に大腸菌を投入して原液とし、その原液を、図11に示したように、連続的に流路内を流しながら、先ず通電加熱(ジュール加熱)によって所定温度まで予熱し、続いて、交流高電界殺菌として、パルス間休止期間を有する矩形波交流を印加し、所定時間保持後、冷却し、直ちに大腸菌を培養し、菌数を測定した。
また各比較例では、実施例と同様に、電気伝導度を調整した試験液に大腸菌を投入して原液とし、その原液を、連続的に流しながら通電加熱(ジュール加熱)により所定温度まで加熱して、所定時間保持することによって殺菌を行い、冷却後、直ちに大腸菌を培養して、菌数を測定した。すなわち各比較例は、いずれも交流高電界殺菌によらず、温度による殺菌効果のみを狙った例である。
なおここで、比較例として、パルス間休止期間を設けない矩形波交流(図4の矩形波交流SCもしくは図5の矩形波交流SC)を印加する実験を行わなかったのは、前述の比較計算例に示したように、パルス休止期間を設けない矩形波交流では温度上昇が著しく大きくなって、実質的に実験が困難となるからである。
〔実施例1〕
前述のように、試験液を通電加熱(ジュール加熱)によって所定温度まで予熱し、続いて、交流高電界殺菌として、パルス間休止期間を有する矩形波交流を印加し、保持、冷却後、培養して大腸菌の菌数を測定する実験を行った。その具体的条件は次の通りである。
<試験液条件>
試験液:リン酸バッファー液
電気伝導度(25℃での基準電気伝導度):0.1S/m
粘度(25℃での粘度):1mPa/s
初期温度:15℃
流量:60L/h
<通電加熱による加熱条件(交流高電界殺菌前の余熱条件)>
目標加熱温度:55℃
保持:55℃到達後、交流高電界印加まで3秒
<交流高電界殺菌の電極条件>
電極間距離:4mm
流路に沿った電極長さ:4mm
電極幅:6mm
電極間通過時間:5.76ミリ秒
<交流高電界殺菌の矩形波交流印加条件>
電極間入り口温度(交流高電界殺菌の初期温度):55℃
電極間通過時間:5.76msec
印加電圧:3000V(単位距離当たり電界強度:750V/cm)
電圧波形:図3に模式的に示したように、単位パルスP間にパルス間休止期間Tを有し、かつ単位パルス内微小休止期間T、T´を有する矩形波交流
但し、
単位パルス(1サイクルのパルス)Pの時間幅T:50μsec
単位パルス内微小休止期間T、T´:50μsec
パルス間休止期間T:3200μsec
(単位パルスP内の半波パルスの時間幅T、T:23μsec)
<矩形波交流印加後の冷却条件>
印加後(電極間通過後)、4秒で冷却開始
<菌数測定条件>
市販の大腸菌簡易検査キットを使用して、×1、×10、×100、×1000、更に必要に応じて×10000の希釈率で希釈したサンプルを培養し、各希釈サンプルの1mL当たりの菌数を測定した。
以上のような条件で実験を行った実施例1において、矩形波交流印加直後(電極間通過直後)の試験液温度(到達温度)は、約60℃となっていることが確認された。したがってこの実施例1における矩形波交流印加による温度上昇幅は、約5℃であった。なおこの実施例1では、矩形波交流印加後、4秒で冷却を開始しているから、60℃での保持時間は約4秒である。
〔実施例2〕
予熱のための通電加熱温度(したがって矩形波交流印加のための電極間入り口温度)を60℃とした以外は、実施例1と同じプロセス、条件で実験を行った。
この実施例2において、矩形波交流印加直後(電極間通過直後)の試験液温度は、約65℃となっていることが確認された。したがってこの実施例2における矩形波交流印加による温度上昇幅も、実施例1と同様に、約5℃であった。なおこの実施例2でも、矩形波交流印加後、4秒で冷却を開始しているから、65℃での保持時間は約4秒である。
〔実施例3〕
予熱のための通電加熱温度(したがって矩形波交流印加のための電極間入り口温度)を65℃とした以外は、実施例1と同じプロセス、条件で実験を行った。
この実施例3において、矩形波交流印加直後(電極間通過直後)の試験液温度は、約70℃となっていることが確認された。したがってこの実施例2における矩形波交流印加による温度上昇幅も、実施例1と同様に、約5℃であった。なおこの実施例3でも、矩形波交流印加後、4秒で冷却を開始しているから、70℃での保持時間は約4秒である。
〔比較例1〕
この比較例1では、各実施例と同様に電気伝導度(25℃での基準電気伝導度)を0.1S/mに調整した15℃の試験液(リン酸バッファー液)について、通電加熱の目標加熱温度を60℃として、通電加熱のみにより殺菌を行ない、その後15℃に冷却して、各実施例と同様にサンプルを希釈し、大腸菌の菌数の測定を行った。
なおこの比較例1において、通電加熱により60℃に到達してから冷却を開始するまでの時間は約5秒である。したがってこの場合の60℃での保持時間は約5秒である。
〔比較例2〕
この比較例2では、通電加熱の目標加熱温度を65℃とした点以外は、比較例1と同様に通電加熱のみによって殺菌を行った。
この比較例2において、通電加熱により65℃に到達してから冷却を開始するまでの時間は約5秒である。したがってこの場合の65℃での保持時間は約5秒である。
〔比較例3〕
この比較例3では、通電加熱の目標加熱温度を70℃とした点以外は、比較例1と同様に通電加熱のみによって殺菌を行った。
この比較例3において、通電加熱により70℃に到達してから冷却を開始するまでの時間は約5秒である。したがってこの場合の70℃での保持時間は約5秒である。
以上のような実施例1〜3、及び比較例1〜3における、各希釈倍率での菌数測定結果を表1中に示す。また、殺菌前の原液についても菌数測定を行ったので、その結果も表1中に示す。さらに実施例1,2、及び比較例1,2の結果を、図12にプロットして示す。
Figure 2015159734
表1、図12から明らかなように、同じ到達温度で比較すれば、通電加熱のみによって加熱殺菌した場合(比較例1、比較例2)よりも、通電加熱により予熱してパルス間休止期間を有する矩形波交流による交流高電界殺菌を行った場合(実施例1〜3)には、格段に菌数が減少していることが明らかである。
すなわち比較例1は通電加熱により60℃に加熱して5秒保持して殺菌した例であり、一方実施例1は、通電加熱により55℃まで予熱してパルス間休止期間を有する矩形波交流による交流高電界殺菌を行ない、60℃に到達して4秒保持した例であるが、実施例1では、比較例1と比べて菌数が格段に減少していることが確認された。
また比較例2は通電加熱により65℃に加熱して5秒保持して殺菌した例であり、一方実施例1は、通電加熱により60℃まで予熱してパルス間休止期間を有する矩形波交流による交流高電界殺菌を行ない、65℃に到達して4秒保持した例であるが、実施例2では、比較例2と比べて菌数が格段に減少していることが確認された。
なおここで、各温度(到達温度;60℃又は65℃)での保持時間は、各比較例では5秒であるのに対して各実施例では4秒と短く、このことから各比較例よりも各実施例で菌数が減少した原因は、高温での保持による殺菌効果(温度による殺菌効果)ではなく、交流高電界印加による殺菌効果が充分に作用していると理解することができる。
さらに、実験条件を変更して実施した実施例を以下に示す。
〔実施例4〕
実施例4は、交流高電界殺菌の矩形波交流として、単位パルスP間のパルス間休止期間Tの条件を、実施例1〜3の場合よりも短くし、また通電加熱による加熱条件(予熱条件)を、目標加熱温度(したがって交流高電界殺菌の初期温度)を3段階に異ならせて実施した実施例である。各条件は次の通りである。
<試験液条件>
実施例1と同じ。
<通電加熱による加熱条件(交流高電界殺菌前の余熱条件)>
目標加熱温度:40℃、45℃、50℃の3段階の異なる温度で実施した。
保持:上記の到達後、交流高電界印加まで3秒保持した。
<交流高電界殺菌の電極条件>
実施例1と同じ。
<交流高電界殺菌の矩形波交流印加条件>
電極間入り口温度(交流高電界殺菌の初期温度):40℃、45℃、50℃の3段階で実施した。
電極間通過時間:5.76msec
印加電圧:3000V(単位距離当たり電界強度:750V/cm)
電圧波形:図3に模式的に示したように、単位パルスP間にパルス間休止期間Tを有し、かつ単位パルス内微小休止期間T、T´を有する矩形波交流。但し、パルス間休止期間TPは、実施例1よりも短い800μmとした。単位パルス(1サイクルのパルス)Pの時間幅T、単位パルス内微小休止期間T、T´は実施例1と同じ。
<矩形波交流印加後の冷却条件>
実施例1と同じ。
<菌数測定条件>
実施例1と同じ。
この実施例4では、矩形波交流印加前の予熱温度が40℃、45℃、50℃の場合、矩形波交流印加直後(電極間通過直後)の試験液温度(到達温度)は、それぞれ60℃、65℃、70℃となっていることが確認された。したがってこの実施例4における矩形波交流印加による温度上昇幅は、いずれの予熱温度でも約20℃であった。このように温度上昇幅が実施例1〜3の場合よりも大きくなったのは、単位パルスP間のパルス間休止期間Tの条件を、実施例1〜3よりも短く設定することによって、電極間を通過する簡易おいて食品材料に加えられる単位パルスの数が増加することになったことに起因する。なお、実施例1と同様に菌数を調べた結果、実施例2もしくは実施例3とほぼ同様な結果が得られた。
〔実施例5〕
実施例5は、交流高電界殺菌の矩形波交流として、単位パルスPの時間幅Tの条件を、実施例1とは変えた実施例である。すなわち、単位パルスPの時間幅Tを、実施例1〜3の50μsecよりも短い25μsecに変更した。そのほかの条件は、実施例2と同じである。
この実施例5では、矩形波交流印加直後(電極間通過直後)の試験液温度は、約62.5℃となっていることが確認された。したがってこの実施例5における矩形波交流印加による温度上昇幅は、約2.5℃であった。ここで、実施例5では、単位パルスPの時間幅Tを、実施例1〜3の50μsecよりも短い25μsecに変更することによって、電極間を通過する間に食品材料に加えられる電力量がほぼ半分となり、そのため温度上昇幅もほぼ半減されたと言える。なおまた実施例1と同様に菌数を調べた結果、実施例3とほぼ同様な結果が得られた。
〔実施例6〕
実施例6は、試験液としてその電気伝導度を、実施例1の場合よりも高い0.2S/mに調整したものを用いた例である。そのほかの条件は、実施例1と同じである。
この実施例6では、矩形波交流印加直後(電極間通過直後)の試験液温度は、約65℃となっていることが確認された。したがってこの実施例6における矩形波交流印加による温度上昇幅は、約10℃と実施例1よりも大きくなった。すなわち、電気伝導度が大きいため、同じ電圧でも食品材料に加えられる電力量が大きくなり、その結果温度上昇幅も大きくなった。なおまた、実施例1と同様に菌数を調べた結果、実施例2とほぼ同様な結果が得られた。
〔実施例7〕
実施例7は、試験液として、その粘度が、実施例1の場合よりも高い102.5mPa/sに調整されたフルーツソースを用いた例である。なお電気伝導度は0.2S/mである。また流速は実施例1と同じとした。そのほかの条件も、実施例1と同じである。
この実施例7では、矩形波交流印加直後(電極間通過直後)の試験液温度は、約65℃となっていることが確認された。したがってこの実施例7における矩形波交流印加による温度上昇幅は、約10℃であった。また実施例1と同様に菌数を調べた結果、実施例2とほぼ同様な結果が得られた。さらに、この実施例7では、実施例1よりも高粘度の試験液を用いているが、層流に起因する電極表面付近での過熱が特に生じないことが確認された。
〔実施例8〕
実施例8は、通電加熱(ジュール加熱)による予熱を行わず、初期温度15℃の試験液に直接矩形波交流を印加して、交流高電界殺菌を行った実施例である。すなわち、交流高電界殺菌の矩形波交流印加条件のうち、電極間入り口温度は15℃である。なお試験液の流量は、実施例1の場合の1/10の6L/hとした。その他の条件は実施例1と同じとした。
この実施例8の場合、矩形波交流印加直後(電極間通過直後)の試験液温度は、約65℃となっていることが確認された。したがってこの実施例8における矩形波交流印加による温度上昇幅は、約50℃であった。また実施例1と同様に菌数を調べた結果、実施例1とほぼ同様な結果が得られた。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、前述の実施例は、あくまで本発明の要旨の範囲内の一つの例に過ぎず、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。すなわち本発明は、前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲内で適宜変更可能であることはもちろんである。
20・・・交流高電界殺菌装置
21A、21B・・・電極
25・・・流路
SA、SB・・・矩形波交流
・・・単位パルス(1サイクルの矩形波パルス)
・・・単位パルスの時間幅
・・・休止期間(の時間幅)

Claims (8)

  1. 流動性食品材料を、一対の電極が対向配置された流路内を連続的に通過させながら、電極間に交流高電圧を加えることによって、流動性食品材料を殺菌する交流高電界殺菌方法において、
    前記電極間に加える交流高電圧として矩形波交流を用い、かつその矩形波交流として、ある1サイクルの矩形波パルスと次の1サイクルの矩形波パルスとの間に、前記1サイクルの矩形波パルスの時間幅Tよりも大きい時間幅Tの休止期間を置いた矩形波交流を用いることを特徴とすることを特徴とする流動性食品材料の交流高電界殺菌方法。
  2. 請求項1に記載の流動性食品材料の交流高電界殺菌方法において、
    流動性食品材料が前記電極間を通過する時間に応じて、前記矩形波交流における前記休止期間の時間幅Tと、1サイクルの矩形パルス(単位パルス)の時間幅Tとのうち、少なくとも一方を調整することを特徴とする流動性食品材料の交流高電界殺菌方法。
  3. 請求項2に記載の流動性食品材料の交流高電界殺菌方法において、
    流動性食品材料が前記電極間を通過する時間のほか、更に電極間の間隔の単位長さ当たりの印加電圧と、食品材料の電気伝導度と、交流高電圧が印加される直前の食品材料の温度とに応じて、前記矩形波交流における前記休止期間の時間幅Tと1サイクルの矩形パルス(単位パルス)の時間幅Tとのうちの少なくとも一方を調整することを特徴とすることを特徴とする流動性食品材料の交流高電界殺菌方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかの請求項に記載の流動性食品材料の交流高電界殺菌方法において、
    流動性食品材料が前記電極間を通過する時間と、電極間の間隔の単位長さ当たりの印加電圧と、食品材料の電気伝導度と、交流高電圧が印加される直前の食品材料の温度とに応じて、温度上昇幅が予め定めた範囲を超えないように、前記矩形波交流における前記休止期間の時間幅Tと、前記矩形波交流における1サイクルの矩形パルスの時間幅Tとを決定することを特徴とする流動性食品材料の交流高電界殺菌方法。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかの請求項に記載の流動性食品材料の交流高電界殺菌方法において、
    25℃での電気伝導度が、0.01S/cm以上の流動性食品材料を殺菌対象とすることを特徴とする流動性食品材料の交流高電界殺菌方法。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかの請求項に記載の流動性食品材料の交流高電界殺菌方法において、
    前記一対の電極が対向配置された流路内に流動性食品材料を導入する前の段階で、流動性食品材料を予め予熱しておくことを特徴とする流動性食品材料の交流高電界殺菌方法。
  7. 請求項6に記載の流動性食品材料の交流高電界殺菌方法において、
    前記一対の電極が対向配置された流路内に流動性食品材料を導入する際の流動性食品材料の温度が40〜70℃の範囲内となるように予熱しておくことを特徴とする流動性食品材料の交流高電界殺菌方法。
  8. 請求項6もしくは請求項7に記載の流動性食品材料の交流高電界殺菌方法において、
    前記予熱を通電加熱によって行うことを特徴とする流動性食品材料の交流高電界殺菌方法。
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