JP2018200901A - 電線およびケーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】撓み性および低温曲げ特性を向上させた電線およびケーブルを提供する。【解決手段】断面積が225mm2以上275mm2以下である導体と、前記導体の外周を覆うように設けられた絶縁体と、前記絶縁体の外周を覆うように設けられた電線シースと、を有する電線であって、前記導体は、直径が0.46mm以下の素線を42本以上撚り合せた子撚り線と、前記子撚り線を37本以上撚り合せた親撚り線と、を有し、前記導体の外径は、21.2mm以上26.0mm以下であり、前記絶縁体および前記電線シースは、塩素量が30%以上45%以下である20重量部以上40重量部以下の塩素化ポリエチレンと、60重量部以上80重量部以下のエチレン・酢酸ビニル共重合体と、を合計で100重量部含むベース樹脂及び難燃剤を含む樹脂組成物からなり、前記難燃剤は三酸化アンチモンを含み、前記ベース樹脂100重量部に対して1重量部以上5重量部以下含有する電線。【選択図】図1

Description

本発明は、電線およびケーブルに関する。
建築物の屋内外配線や、分電盤、動力制御盤等の幹線として、例えば、架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(以下、CV)が使用されている。CVは、電気特性に優れ、軽量で取り扱いが容易であることから、電力用ケーブルとして幅広く普及している。
例えば、特許文献1のようなCVが開発されている。
特開平11−329101号公報
電線・ケーブルは、太くなるほど、硬くなり、曲げることが困難となる。このため、電線・ケーブルの許容曲げ半径が大きくなる。許容曲げ半径の大きい電線・ケーブルは、配線スペースを広くとることが必要となるため、狭所での配線が困難となる可能性がある。また、硬い電線・ケーブルを極端に屈曲させた場合、屈曲箇所に欠陥が生じ、ケーブル性能を劣化させてしまう可能性がある。このような傾向は、電線・ケーブルが太くなるほど、また使用環境が低温であるほど、顕著となる。
本発明の目的は、撓み性および低温曲げ特性を向上させた電線およびケーブルを提供することである。
本発明の一態様によれば、
断面積が225mm2以上275mm2以下である導体と、
前記導体の外周を覆うように設けられた絶縁体と、
前記絶縁体の外周を覆うように設けられた電線シースと、
を有する電線であって、
前記導体は、
直径が0.46mm以下の素線を42本以上撚り合せた子撚り線と、
前記子撚り線を37本以上撚り合せた親撚り線と、
を有し、
前記導体の外径は、21.2mm以上26.0mm以下であり、
前記絶縁体および前記電線シースは、
塩素量が30%以上45%以下である20重量部以上40重量部以下の塩素化ポリエチレンと、60重量部以上80重量部以下のエチレン・酢酸ビニル共重合体と、を合計で100重量部含むベース樹脂及び難燃剤を含む樹脂組成物からなり、
前記難燃剤は三酸化アンチモンを含み、前記ベース樹脂100重量部に対して1重量部以上5重量部以下含有する電線が提供される。
本発明の他の態様によれば、
上記態様に記載の電線を複数本撚り合せた
ケーブルが提供される。
本発明によれば、撓み性および低温曲げ特性を向上させた電線およびケーブルを提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る電線の軸方向と直交する断面図である。 (a)および(b)は、撓み試験を示す概略側面図である。 本発明の第2実施形態に係るケーブルの軸方向と直交する断面図である。 本発明の第3実施形態に係る電線の軸方向と直交する断面図である。
<本発明の第1実施形態>
(1)電線
本発明の第1実施形態にかかる電線について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る電線の軸方向と直交する断面図である。
図1に示されているように、本実施形態に係る電線10は、導体110と、導体110の外周を覆うように設けられた絶縁体120と、絶縁体120の外周を覆うように設けられた電線シース130と、を有する。導体110の断面積は、例えば、250mm2の±10%以内であり、すなわち、225mm2以上275mm2以下である。
ここで、本発明者等の鋭意検討により、導体110の断面積が225mm2以上275mm2以下である場合に、以下のように撓み試験および低温曲げ試験において所定の特性を有する電線10が初めて実現された。
図2を用い、本実施形態に係る撓み試験について説明する。図2(a)および(b)は、撓み試験を示す概略側面図である。図2(a)に示されているように、撓み試験では、室温(23℃)の条件下で、まず電線10の一端側を固定台520に固定し、電線10の他端を固定台520(の支点)から水平に400mm突出させる。次に、図2(b)に示されているように、電線10の他端に2kgの錘540を取り付け、その後30秒経過したときの撓み量(d)を計測する。撓み量(d)は、固定台520上の電線10の中心軸の位置から、撓んだ電線10の他端の中心軸の位置までの鉛直方向の距離として求められる。
本実施形態の電線10では、当該撓み試験における撓み量が、例えば130mm以上である。
次に、本実施形態に係る低温曲げ試験について説明する。低温曲げ試験では、−40℃の条件下で、電線10の直径の3倍の曲げ直径に電線10を巻回させる。例えば、電線10の直径の3倍の直径を有する円柱に、電線10を1ターン巻き付ける。次に、電線10にひびや割れが発生していないかを目視で観察する。このとき、目視で屈曲部にひびや割れが確認された場合を不合格とし、目視で屈曲部と正常部分との区別が出来ない場合を合格とする。なお、低温曲げ試験が不合格である場合、屈曲部に例えば5mm以上のひびや割れが発生する可能性がある。
本実施形態の電線10では、当該低温曲げ試験において、ひびや割れが生じない。
(電線の構成)
以上の撓み試験および低温曲げ試験において所定の特性を有する電線10は、例えば以下のように構成される。
(導体)
導体110は、複数の素線を有する。素線は、無酸素銅、銅合金、銅被覆線等からなり、好ましくは無酸素銅からなる。素線の表面は、錫、銀、ニッケル等により、めっきされていてもよい。本実施形態では、素線は、例えば、錫めっき軟銅線である。
素線の直径は、0.46mm以下である。素線の直径が0.46mmを超える場合、電線の撓み量が不十分となり、電線の許容曲げ半径が大きくなってしまう可能性がある。これに対して、素線の直径が0.46mm以下であることにより、電線10の撓み性を向上させることができ、電線10の許容曲げ半径を小さくすることができる。本実施形態では、素線の直径は、例えば、0.45mmである。なお、素線の直径が0.45mmである場合、素線の直径の公差は、JIS規格では、例えば0.45±0.01mmである。
導体110は、素線を42本以上撚り合せた子撚り線(一次撚り線)と、子撚り線を37本以上撚り合せた親撚り線(二次撚り線)と、を有する。この親撚り線が導体110となっている。本実施形態では、例えば、子撚り線における素線の本数は42本であり、親撚り線における子撚り線の本数は37本であることが好ましい。
また、本実施形態では、例えば、子撚り線は、集合撚りであり、親撚り線は、同心撚りである。ここでいう集合撚りとは、複数本の素線(または撚り線)を一括して同方向に撚り合わせる撚り方であり、一方、同心撚りとは、1本または複数本の素線(または撚り線)を中心として、その周囲に同心状に複数本の素線(または撚り線)を撚り合わせる撚り方である。集合撚りした撚り線は、可とう性に優れるが、素線(または撚り線)のばらけ等が発生し、電線の電気特性に影響を与える可能性がある。そこで、本実施形態では、子撚り線を集合撚りとし、親撚り線を同心撚りとすることにより、子撚り線内の素線のばらけを親撚り線の同心撚りによって抑制することができる。したがって、導体110の可とう性と電線10の電気特性とを両立することができる。
このように構成される導体110の断面積は、上述のように、225mm2以上275mm2以下である。このとき、導体110の外径(導体仕上外径)は、例えば23.6mmの±10%以内であり、すなわち、21.2mm以上26.0mm以下である。本実施形態では、導体110の外径は、例えば、23.6mmである。
(絶縁体および電線シース)
本実施形態の絶縁体120および電線シース130は、所定の硬さを有するように構成されている。具体的には、絶縁体120および電線シース130のショアA硬度は、例えば、88以下である。導体110が上記構成を有するとともに、絶縁体120および電線シース130が上記硬さを有することにより、撓み試験および低温曲げ試験において所定の特性を有する電線10を実現することができる。
ショアA硬度が88以下である絶縁体120および電線シース130は、例えば以下のように構成される。また、絶縁体120および電線シース130が以下の構成を有することにより、本実施形態の電線10は、上記した撓み試験および低温曲げ試験において所定の特性を有するだけでなく、優れた難燃性、耐熱性、および伸び特性を兼ね備えることが可能となる。
(ベース樹脂)
絶縁体120および電線シース130は、塩素化ポリエチレン(CPE)と、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)と、を含むベース樹脂を含む樹脂組成物からなる。
ベース樹脂に含まれるCPE中の塩素量は、30%以上45%以下であり、好ましくは、35%以上40%以下である。CPE中の塩素量が30%未満である場合、絶縁体および電線シースが所定の硬さよりも硬くなるとともに、電線の難燃性が低下する可能性がある。これに対して、本実施形態では、CPE中の塩素量が30%以上であることにより、絶縁体120および電線シース130を所定の硬さ以下となるように柔らかくすることができるとともに、電線10の難燃性を向上させることができる。さらに、CPE中の塩素量が35%以上であることにより、電線10の柔軟性および難燃性をさらに向上させることができる。一方、CPE中の塩素量が45%を超える場合、電線の耐熱性が不十分となる可能性がある。これに対して、本実施形態では、CPE中の塩素量が45%以下であることにより、電線10の耐熱性を向上させることができる。さらに、CPE中の塩素量が40%以下であることにより、電線10の耐熱性をさらに向上させることができる。
ベース樹脂におけるCPEの含有量は、ベース樹脂の全体を100重量部としたとき、20重量部以上60重量部以下である。CPEの含有量が20重量部未満である場合、電線の伸び特性(可とう性)が低下する傾向があり、また電線の難燃性が不十分となる可能性がある。これに対して、本実施形態では、CPEの含有量が20重量部以上であることにより、電線10の伸び特性を向上させるとともに、電線10の難燃性を向上させることができる。さらに、CPEの含有量は30重量部以上であることが好ましい。これにより、電線10の伸び特性および難燃性をさらに向上させることができる。一方、CPEの含有量が60重量部を超える場合、電線の耐熱性が不十分となる可能性がある。これに対して、本実施形態では、CPEの含有量が60重量部以下であることにより、電線10の耐熱性を向上させることができる。さらに、CPEの含有量は40重量部以下であることが好ましい。これにより、電線10の耐熱性をさらに向上させることができる。
ベース樹脂のCPEとしては、単独のCPE、または2種以上混合したCPEを用いることができる。また、ベース樹脂のCPEとして、非晶性、反結晶性、または結晶性のいずれのCPEが用いられても良い。
ベース樹脂は、上記した20重量部以上60重量部以下のCPEと、エチレン・酢酸ビニル共重合体と、を合計で100重量部含む。すなわち、エチレン・ビニル共重合体(EVA)の含有量は、40重量部以上80重量部以下である。
EVAは結晶性の低いポリマであるため、電線10を柔らかくすることができる。さらに好ましくは、ポリオレフィン系樹脂は、VA量が25%以上35%以下のEVAである。EVA中のVA量が25%未満である場合、EVAが結晶性のポリエチレンに近づき、絶縁体および電線シースが所定の硬さよりも硬くなる可能性がある。これに対して、本実施形態では、EVA中のVA量が25%以上であることにより、EVAの結晶性を低下させ、絶縁体120および電線シース130を所定の硬さ以下となるように柔らかくすることができる。一方、EVA中のVA量が35%を超える場合、電線の強度および耐熱性が低下する可能性がある。これに対して、本実施形態では、EVA中のVA量が35%以下であることにより、電線10の強度および耐熱性が低下することを抑制することができる。
(安定剤)
絶縁体120および電線シース130を構成する樹脂組成物は、例えば、ハイドロタルサイトからなる安定剤を含む。安定剤のハイドロタルサイトは、受酸剤として機能する。本実施形態のハイドロタルサイトは、例えば、Mg6Al2(CO3)(OH)16・4(H2O)である。ハイドロタルサイトの平均粒子径は、例えば合成品で1μm以上5μm以下である。なお、本実施形態での平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
安定剤としてのハイドロタルサイトの含有量は、例えば、ベース樹脂を100重量部としたとき、3重量部以上30重量部以下である。ハイドロタルサイトの含有量が3重量部未満である場合、電線の耐熱性が低下する可能性がある。これに対して、本実施形態では、ハイドロタルサイトの含有量が3重量部以上であることにより、電線10の耐熱性を向上させることができる。一方、ハイドロタルサイトの含有量が30重量部を超える場合、電線の伸び特性が低下する可能性がある。これに対して、ハイドロタルサイトの含有量が30重量部以下であることにより、電線10の伸び特性を向上させることができる。
(難燃剤)
また、絶縁体120および電線シース130を構成する樹脂組成物は、例えば、難燃剤を含む。難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモンが挙げられる。三酸化アンチモンの平均粒子径は、例えば、1μm以上5μm以下である。
樹脂組成物が難燃剤として三酸化アンチモンを含む場合、三酸化アンチモンの含有量は、例えば、ベース樹脂を100重量部としたとき、1重量部以上5重量部以下である。三酸化アンチモンの含有量が1重量部未満である場合、難燃剤として難燃性を向上させる効果を得ることが出来ない可能性がある。これに対して、本実施形態では、三酸化アンチモンの含有量が1重量部以上であることにより、難燃性を向上させる効果を発現させることができる。一方、三酸化アンチモンの含有量が5重量部を超える場合、絶縁体および電線シースが所定の硬さよりも硬くなる可能性がある。これに対して、三酸化アンチモンの含有量が5重量部以下であることにより、絶縁体120および電線シース130を所定の硬さ以下となるように柔らかくすることができる。
その他の難燃剤としては、水酸化マグネシウムと、水酸化アルミニウムと、水酸化カルシウムと、非晶質シリカと、ヒドロキシスズ酸亜鉛、ホウ酸亜鉛および酸化亜鉛等の亜鉛化合物と、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウムおよびメタホウ酸バリウム等のホウ酸化合物と、リン系難燃剤と、燃焼時に発泡する成分と固化する成分の混合物からなるインテュメッセント系難燃剤と、臭素系難燃剤と、塩素系難燃剤と、が挙げられる。難燃剤として、これらの難燃剤は、1種類を単独で、または2種類以上を混合して用いることができる。
(その他の添加剤)
絶縁体120および電線シース130を構成する樹脂組成物には、上記の材料以外にも、必要に応じて、酸化防止剤、金属不活性剤、架橋剤、架橋助剤、滑剤、無機充填剤、相溶化剤、着色剤等の添加剤を加えることができる。更に、樹脂組成物は、電子線などの放射線により架橋してもよい。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。好ましくは、フェノール系酸化星材は、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]である。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジドデシル3,3'−チオジプロピオネート、ジトリデシル3,3'−チオジプロピオネート、ジオクタデシル3,3'−チオジプロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(ドデシルチオ)プロピオネート]メタン等が挙げられる。好ましくは、硫黄系酸化防止剤は、テトラキス[メチレン−3−(ドデシルチオ)プロピオネート]メタンである。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン、フェニル−1−ナフチレン、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4'−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N,N'−ジ−2−ナフチル−p−フェニルジアミン、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N'−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N'−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、1,3−ベンゼンジカルボン酸ビス[2−(1−オキソ−2−フェノキシプロピル)ヒドラジド]、2',3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド、3−(N−サリチロイルアミノ)−1H−1,2,4−トリアゾール、ドデカン二酸ビス[N2−(2−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラド]等が挙げられる。
金属不活性剤は、金属イオンをキレート形成により安定化し、酸化劣化を抑制する効果を有する。金属不活性剤としては、例えば、N−(2H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)サリチルアミド、ドデカン二酸ビス[N2−(2−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジド]、2',3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド等が挙げられる。好ましくは、金属不活性剤は、2',3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジドである。
架橋剤としては、有機過酸化物が挙げられ、具体的には、例えば、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル等が挙げられる。好ましくは、架橋剤は、ジアルキルパーオキサイドである。架橋剤の含有量は、例えば、ベース樹脂を100重量部としたとき、0.1重量部以上3重量部以下であり、好ましくは、0.5重量部以上1重量部以下である。
架橋助剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)等が挙げられる。
滑剤としては、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸アマイド等が挙げられる。具体的には、滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛が挙げられる。これらの滑剤は、1種類を単独で、または2種類以上を混合して用いることができる。
無機充填剤としては、例えば、クレー、タルク、シリカ、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらの無機充填剤には、脂肪酸、シラン等の表面処理材により表面処理が施されていても良い。また、これらの無機充填剤は、1種類を単独で、または2種類以上を混合して用いることができる。
着色剤としては、例えば、カーボンブラックが挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ゴム用カーボンブラック(N900−N100:ASTM D1765−01)が挙げられる。
その他の着色剤としては、例えば、カラーマスターバッチ等が挙げられる。
以上のような樹脂組成物により、絶縁体120および電線シース130が構成される。例えば、絶縁体120を構成する樹脂組成物はカーボンブラック等の着色剤を含まず、電線シース130を構成する樹脂組成物はカーボンブラック等の着色剤を含む。本実施形態では、例えば、電線シース130を構成する樹脂組成物の組成は、カーボンブラック等の着色剤を除いて、絶縁体120を構成する樹脂組成物と同様の組成である。
上記のように構成される絶縁体120の厚さは、例えば、1.5mm以上3.5mm以下である。本実施形態では、絶縁体120の厚さは、例えば、2.5mmである。また、上記のように構成される電線シース130の厚さは、例えば、1mm以上3mm以下である。本実施形態では、電線シース130の厚さは、例えば、2.0mmである。
以上のように構成される本実施形態の電線10の許容曲げ半径は、例えば、90mm以上160mm以下である。一方で、架橋ポリエチレンからなる絶縁体とポリ塩化ビニルからなる電線シースとを有するこれまでのCVと比較すると、これまでのCVが、導体の構成と絶縁体および電線シースの材料とが異なる点を除いて本実施形態の電線10と同一の形状を有する場合には、CVの許容曲げ半径は224mm以上となる。したがって、本実施形態の電線10では、これまでのCVよりも許容曲げ半径を小さくすることができる。
(2)電線の製造方法
次に、本実施形態にかかる電線の製造方法について説明する。
(導体形成工程)
まず、直径が0.46mm以下の素線を所定本数準備する。次に、42本以上の素線を集合撚りによって撚り合せ、子撚り線を形成する。次に、37本以上の子撚り線を同心撚りによって撚り合せ、親撚り線を形成する。この親撚り線が導体110となる。
(混練工程)
それぞれ所定量の塩素化ポリエチレンと、エチレン−酢酸ビニル共重合体と、を含むベース樹脂と、ハイドロタルサイトからなる安定剤と、三酸化アンチモン等の難燃剤と、架橋剤を除くその他の添加剤と、を配合し、加圧ニーダによって、所定温度にて混練する。次に、架橋剤を添加し、所定温度で所定時間混練する。次に、当該混練物をペレット形状またはベルト形状に成形する。以上により、絶縁体120用の混練物を形成する。また、絶縁体120用の混練物と同様の方法により、カーボンブラック等の着色剤を追加して、電線シース130用の混練物を形成する。
(押出工程)
例えば115mm押出機を用い、上記した絶縁体120用の混練物および電線シース130用の混練物を導体110の外周に押出被覆する。導体110の外周を覆うように、所定の厚さを有する絶縁体120および電線シース130を形成する。これにより、電線10の中間体を形成する。
(架橋工程)
次に、電線10の中間体を所定の蒸気圧を有する蒸気管に所定時間投入する。これにより、絶縁体120および電線シース130を架橋させる。以上により、電線10が形成される。
(3)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態によれば、本発明者等の鋭意検討により、導体の断面積が225mm2以上275mm2以下である場合に、所定の撓み試験における撓み量が130mm以上であり、所定の低温曲げ試験においてひびや割れが生じない電線10が初めて実現された。電線10の撓み量が130mm以上であることにより、電線10の許容曲げ半径を小さくすることができ、狭所であっても電線10を屈曲させて布設することができる。また、低温曲げ試験においてひびや割れが生じないことにより、電線10の使用環境が低温であっても、電線10の性能を劣化させるような局所的な欠陥が生じることを抑制することができる。このように、本実施形態によれば、撓み性および低温曲げ特性を向上させた電線10を提供することができる。
(b)本実施形態によれば、導体110は、直径が0.46mm以下の素線を42本以上撚り合せた子撚り線と、子撚り線を37本以上撚り合せた親撚り線と、を有し、導体110の外径は21.2mm以上26.0mm以下である。また、絶縁体120および電線シース130のショアA硬度は88以下である。導体110が上記構成を有するとともに、絶縁体120および電線シース130が上記硬さを有することにより、撓み試験および低温曲げ試験において所定の特性を満たすことができる。
(c)本実施形態によれば、絶縁体120および電線シース130は、塩素量が30%以上45%以下である20重量部以上60重量部以下の塩素化ポリエチレン(CPE)と、エチレン・酢酸ビニル共重合体と、を合計で100重量部含むベース樹脂を含む樹脂組成物からなる。
ここで、架橋ポリエチレンからなる絶縁体とポリ塩化ビニルからなるシースとを有するこれまでのCVと比較すると、これまでのCVでは、上記した撓み試験および低温曲げ試験において所定の特性を満たすことは困難であり、同時に所望の難燃性、耐熱性、および伸び特性を満たすことはさらに困難となっていた。仮にCVにおける絶縁体および電線シースの組成を変えてCVを柔らかくさせた場合であっても、同時に難燃性、耐熱性および伸び特性を向上させることは困難であった。
これに対して、本実施形態によれば、絶縁体120および電線シース130が上記したベース樹脂を含む樹脂組成物からなることにより、絶縁体120および電線シース130のショアA硬度を88以下とすることが可能となる。これにより、上記した導体110の構成と組み合わせることで、撓み試験および低温曲げ試験において所定の特性を満たすことができる。また、絶縁体120および電線シース130が上記したベース樹脂を含む樹脂組成物からなることにより、撓み性および低温曲げ特性を向上させるとともに、難燃性、耐熱性、および伸び特性をバランス良く向上させることができる。
(d)本実施形態によれば、ベース樹脂に含まれるエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)は結晶性の低いポリマであるため、電線10を柔らかくすることができる。
(e)本実施形態によれば、安定剤としてのハイドロタルサイトの含有量は、例えば、ベース樹脂を100重量部としたとき、3重量部以上30重量部以下である。ハイドロタルサイトの含有量が3重量部以上であることにより、電線10の耐熱性を向上させることができる。ハイドロタルサイトの含有量が30重量部以下であることにより、電線10の伸び特性を向上させることができる。
(f)本実施形態によれば、導体110の子撚り線は、集合撚りであり、導体110の親撚り線は、同心撚りである。これにより、子撚り線内の素線のばらけを親撚り線の同心撚りによって抑制することができる。したがって、導体110の可とう性と電線10の電気特性とを両立することができる。
<本発明の第2実施形態>
図3を用い、本発明の第2実施形態について説明する。図3は、本実施形態に係るケーブルの軸方向と直交する断面図である。
本実施形態は、複数の電線によってケーブルが構成される点が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と異なる要素についてのみ説明し、第1実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
図3に示されているように、ケーブル20は、第1の実施形態と同様の構成を有する複数の電線12を有する。本実施形態の導体110は第1実施形態と同様の構成を有し、本実施形態の絶縁体120および電線シース130は第1実施形態と同様の樹脂組成物からなる。したがって、ケーブル20に用いられるそれぞれの電線12では、撓み試験における撓み量が130mm以上であり、低温曲げ試験においてひびおよび割れが生じない。
本実施形態では、ケーブル20は、例えば、3本の電線12を有する。3本の電線12は、互いに撚り合わせられる。
複数の電線12の外周を覆うように、介在240が設けられる。介在240は、例えば、電線12とともに撚り合わせられる紙等である。
介在240の外周を覆うように、押え巻きテープ250が巻回される。押え巻きテープ250は、例えば、PET、ポリエチレン、布等からなる。なお、介在240および押さえ巻きテープ250は、使用しなくても良い。
また、押え巻きテープ250の外周を覆うように、ケーブルシース260が設けられる。なお、本実施形態のケーブルシース260は、例えば、電線シース130と同様の樹脂組成物からなる。
本実施形態によれば、ケーブル20が第1実施形態と同様の構成を有する複数の電線12を有することにより、撓み性および低温曲げ特性を向上させたケーブル20を提供することができる。
<本発明の第3実施形態>
図4を用い、本発明の第3実施形態について説明する。図4は、本実施形態に係る電線の軸方向と直交する断面図である。
本実施形態は、セパレータが設けられる点が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と異なる要素についてのみ説明し、第1実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
図4に示されているように、電線14は、断面積が225mm2以上275mm2以下である導体110と、導体110の外周を覆うように設けられたセパレータ160と、セパレータ160の外周を覆うように設けられた絶縁体120と、絶縁体120の外周を覆うように設けられた電線シース130と、を有する。本実施形態の導体110は第1実施形態と同様の構成を有し、本実施形態の絶縁体120および電線シース130は第1実施形態と同様の樹脂組成物からなる。
セパレータ160は、例えば、ポリエステル製のテープやナイロン製のテープからなる。導体110と絶縁体120との間にセパレータ160が介在することにより、電線14の端末において、絶縁体120および電線シース130を剥離し易くすることができる。
本実施形態の電線14においても、第1実施形態と同様に、撓み試験における撓み量が130mm以上であり、低温曲げ試験においてひびおよび割れが生じない。
本実施形態によれば、電線14がセパレータ160を有していても、第1実施形態の電線10と同様の撓み性および低温曲げ特性を実現することができる。
(本発明の他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上述の第3実施形態では、電線14がセパレータ160を有する場合について説明したが、第2実施形態と同様のケーブルにおいて、導体と絶縁体との間にセパレータが介在していてもよい。
次に、本発明に係る実施例を説明する。
以下のように、試料1〜14(試料5は参考例)を作製し、各試料について所定の評価を行った。
<試料の作製>
(試料1〜5)
試料1では、以下の表1および表2に示されているようにして電線サンプルおよびシートサンプルを形成した。まず、直径が0.45mmであり錫めっき軟銅線からなる素線を42本準備した。次に、42本の素線を集合撚りによって撚り合せ、子撚り線を形成した。次に、37本の子撚り線を同心撚りによって撚り合せ、親撚り線を形成した。これにより、断面積が250mm2であり外径が23.6mmである導体を形成した。なお、以下の表1〜表3において、「子撚り線本数」とは、子撚り線における素線の本数のことであり、「親撚り線本数」とは、親撚り線における子撚り線の本数のことである。
次に、以下の表1および表2に示されているように、架橋剤を除く各材料を配合し、加圧ニーダによって、開始温度40℃終了温度120℃で混練した。次に、架橋剤を添加し、100℃で5分混練した。次に、当該混練物をペレット形状またはベルト形状に成形した。以上により、絶縁体用の混練物を形成した。また、絶縁体用の混練物と同様の方法により、着色剤として所定量のカーボンブラックを追加して、電線シース用の混練物を形成した。
試料1の電線サンプルの作製では、115mm押出機を用い、上記した絶縁体用の混練物および電線シース用の混練物を導体の外周に押出被覆した。導体の外周を覆うように、2.5mmの厚さを有する絶縁体と、2.0mmの厚さを有する電線シースと、を形成した。これにより、電線サンプルの中間体を形成した。次に、電線サンプルの中間体を蒸気圧15kg/cm2の蒸気管に投入し、絶縁体および電線シースを架橋させた。以上により、試料1の電線サンプルを作製した。
また、試料1のシートサンプルの作製では、上記した絶縁体用の混練物および電線シース用の混練物のそれぞれを、6インチオープンロールを用いてシート状にした。次に、シート状にした混練物を、プレス成形機を用いて、180℃で1分、所定の厚さとなるように、プレス成形した。これにより、試料1の絶縁体および電線シースのシートサンプルを作製した。
なお、試料2〜5の電線サンプルでは、以下の表1および表2に示されているように、導体の構成と、絶縁体および電線シースを構成する樹脂組成物の組成とを、試料1の電線サンプルから所定の範囲内で変更した。また、試料2〜5のシートサンプルでは、電線サンプルと同様にして、絶縁体および電線シースを構成する樹脂組成物の組成を、試料1のシートサンプルから所定の範囲内で変更した。
(試料6〜9)
試料6〜9の電線サンプルでは、以下の表1および表2に示されているように、導体の構成を試料1の電線サンプルと同等としつつ、絶縁体および電線シースを構成する樹脂組成物の組成を試料1の電線サンプルから所定の範囲外に変更した。また、試料6〜9のシートサンプルでは、電線サンプルと同様にして、絶縁体および電線シースを構成する樹脂組成物の組成を、試料1のシートサンプルから所定の範囲外で変更した。
(試料10〜14)
試料10および11の電線サンプルでは、以下の表3に示されているように、絶縁体および電線シースを構成する樹脂組成物の組成を試料1の電線サンプルと同等としつつ、導体の構成を試料1の電線サンプルから所定の範囲外に変更した。なお、試料10および11のシートサンプルでは、絶縁体および電線シースを構成する樹脂組成物の組成を試料1のシートサンプルと同等とした。
試料12〜14の電線サンプルでは、以下の表3に示されているように、導体の構成を試料1の電線サンプルと同等としつつ、絶縁体および電線シースを構成する樹脂組成物の組成を試料1の電線サンプルから変更した。具体的には、樹脂組成物中のEVAを試料1の電線サンプルにおけるEVAと異なる材料に変更した。また、試料12〜14のシートサンプルでは、電線サンプルと同様にして、絶縁体および電線シースを構成する樹脂組成物の組成を、試料1のシートサンプルから変更した。
<評価>
試料1〜14に対して、以下のように評価を行った。
(撓み試験)
試料1〜14の電線サンプルに対して、上記したように、撓み試験を行った。当該撓み試験において、撓み量が130mm未満である場合を×(不合格)とし、撓み量が130mm以上である場合を○(合格)とした。
(低温曲げ試験)
試料1〜14の電線サンプルに対して、上記したように、低温曲げ試験を行った。当該低温曲げ試験において、目視で屈曲部にひびや割れが確認された場合を×(不合格)とし、目視で屈曲部と正常部分との区別が出来ない場合を○(合格)とした。
(硬さ試験)
試料1〜14において、絶縁体のシートサンプルと電線シースのシートサンプルとを重ねた状態で、JIS K6253に準拠して硬さ試験を行うことにより、ショアA硬度を求めた。
(引張試験)
試料1〜14のそれぞれの電線サンプルから導体を引き抜いた試験片を用い、当該試験片に対してJIS C3005に準拠して引張試験を行った。引張強さが10MPa未満である場合を×(不合格)とし、引張強さが10MPa以上13MPa未満である場合を○(合格)とし、引張強さが13MPa以上である場合を◎(二重丸、裕度を持った合格)とした。また、当該引張り試験での伸びが350%未満である場合を×(不合格)とし、伸びが350%以上400%未満である場合を○(合格)とし、伸びが400%以上である場合を◎(二重丸、裕度を持った合格)とした。
(難燃性試験)
試料1〜14の絶縁体および電線シースの両方のシートサンプルに対して、JIS K6269に準拠して酸素指数(OI)測定を行った。OIが26未満である場合を×(不合格)とし、OIが26以上である場合を○(合格)とした。
(耐熱性試験)
試料1〜14の電線サンプルに対して、以下のようにして耐熱性試験を行った。具体的には、JIS K6257に準拠したギヤー式老化試験機を用いて、160℃で30日間老化させ、その後、老化後の電線サンプルから導体を引き抜いた試験片に対して引張り試験を行い、電線サンプルの試験片の伸びを測定した。このときの電線サンプルの試験片の伸びの絶対値が50%未満である場合を×(不合格)とし、電線サンプルの試験片の伸びの絶対値が50%以上である場合を○(合格)とした。
Figure 2018200901
Figure 2018200901
Figure 2018200901
<評価結果>
まず、表1および表3において、基本特性としての撓み性および低温曲げ特性の結果に関して説明する。
表1に示されているように、試料1〜9では、導体の素線の直径を0.46mm以下とし、42本以上の素線を撚り合わせて子撚り線とし、37本以上の子撚り線を撚り合わせて親撚り線とした。また、絶縁体および電線シースを構成する樹脂組成物が所定の組成を有することにより、絶縁体および電線シースのショアA硬度は88以下であった。その結果、試料1〜9の電線サンプルでは、撓み試験において撓み量が130mm以上であり、低温曲げ試験においてひびおよび割れが生じなかった。したがって、試料1〜9では、撓み性および低温曲げ特性が向上したことが確認された。
ここで、表1および表3において、導体の構成について、試料1〜9、および試料10,11を比較する。導体の素線の直径を0.46mm超とし、導体の撚り構成を変更した試料10および11では、撓み試験における撓み量が130mm未満であった。導体の素線が太かったため、電線サンプルが撓みにくくなった(硬くなった)と考えられる。したがって、導体の素線の直径を0.46mm以下とし、42本以上の素線を撚り合わせて子撚り線とし、37本以上の子撚り線を撚り合わせて親撚り線とすることが好ましいことが確認された。
表1および表3において、絶縁体および電線シースの硬さについて、試料1〜9、および試料12〜14を比較する。絶縁体および電線シースのショアA硬度が88を超えていた試料12〜14では、撓み試験における撓み量が130mm未満であった。絶縁体および電線シースを構成する樹脂組成物におけるEVA中のVA量が25%未満であったため、絶縁体および電線シースのショアA硬度が88を超え、電線サンプルが撓みにくくなった(硬くなった)と考えられる。したがって、絶縁体および電線シースのショアA硬度は88以下であることが好ましいことが確認された。
次に、表2において、難燃性、耐熱性および伸び特性の結果に関して説明する。
表2に示されているように、試料1〜5では、塩素量が30%以上45%以下である20重量部以上60重量部以下の塩素化ポリエチレンと、エチレン・酢酸ビニル共重合体と、を合計で100重量部含むベース樹脂と、3重量部以上30重量部以下のハイドロタルサイトを含む安定剤と、1重量部以上5重量部以下の三酸化アンチモンを含む難燃剤と、を含む樹脂組成物を用いた。その結果、試料1〜5の電線サンプルでは、難燃性試験、耐熱性試験、および引張試験の結果が合格であった。したがって、試料1〜5では、難燃性、耐熱性、および伸び特性が向上したことが確認された。
表2において、CPEの含有量について、試料1〜5、および試料6,7を比較する。CPEの含有量を60重量部超とした試料6では、耐熱性が不合格であった。一方、CPEの含有量を20重量部未満とした試料7では、伸び特性が低下する傾向を示し、また難燃性が不合格であった。したがって、CPEの含有量は20重量部以上60重量部以下であることが好ましいことが確認された。
表2において、安定剤としてのハイドロタルサイトの含有量について、試料1〜5、および試料8,9を比較する。ハイドロタルサイトの含有量を3重量部未満とした試料8では、耐熱性が不合格であった。一方、ハイドロタルサイトの含有量を30重量部超とした試料9では、伸び特性が不合格であった。したがって、ハイドロタルサイトの含有量は3重量部以上30重量部以下であることが好ましいことが確認された。
以上の結果により、本実施例によれば、撓み性および低温曲げ特性を向上させるとともに、難燃性、耐熱性、および伸び特性を向上させた電線およびケーブルを提供することができることが確認された。
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
[付記1]
本発明の一態様によれば、
断面積が225mm2以上275mm2以下である導体と、
前記導体の外周を覆うように設けられた絶縁体と、
前記絶縁体の外周を覆うように設けられた電線シースと、
を有する電線であって、
前記導体は、
直径が0.46mm以下の素線を42本以上撚り合せた子撚り線と、
前記子撚り線を37本以上撚り合せた親撚り線と、
を有し、
前記導体の外径は、21.2mm以上26.0mm以下であり、
前記絶縁体および前記電線シースは、
塩素量が30%以上45%以下である20重量部以上40重量部以下の塩素化ポリエチレンと、60重量部以上80重量部以下のエチレン・酢酸ビニル共重合体と、を合計で100重量部含むベース樹脂及び難燃剤を含む樹脂組成物からなり、
前記難燃剤は三酸化アンチモンを含み、前記ベース樹脂100重量部に対して1重量部以上5重量部以下含有する電線が提供される。
[付記2]
付記1に記載の電線であって、好ましくは、
前記絶縁体および前記電線シースのショアA硬度は、88以下である。
[付記3]
付記1に記載の電線であって、好ましくは、
前記樹脂組成物は、ハイドロタルサイトを含む安定剤と、を含む。
[付記4]
付記3に記載の電線であって、好ましくは、
前記樹脂組成物は、前記ベース樹脂100重量部に対して、前記ハイドロタルサイトからなる安定剤を3重量部以上30重量部以下含む。
[付記5]
付記1〜4に記載の電線であって、好ましくは、
JIS K6269に準拠した難燃性試験での酸素指数は、26以上であり、
JIS K6257に準拠したギヤー式老化試験機を用いて160℃で30日間老化させた後の引張り試験での伸びは、50%以上であり、
JIS C3005に準拠した引張り試験での伸びは、350%以上である。
[付記6]
付記1に記載の電線であって、好ましくは、
前記子撚り線は、集合撚りであり、
前記親撚り線は、同心撚りである。
[付記7]
本発明の一態様によれば、
付記1〜6に記載の電線を複数本撚り合せ、その外周にケーブルシースを設けたケーブルが提供される。
10,12,14 電線
20 ケーブル
110 導体
120 絶縁体
130 電線シース
160 セパレータ
240 介在
250 押え巻きテープ
260 ケーブルシース
520 固定台
540 錘

Claims (7)

  1. 断面積が225mm2以上275mm2以下である導体と、
    前記導体の外周を覆うように設けられた絶縁体と、
    前記絶縁体の外周を覆うように設けられた電線シースと、
    を有する電線であって、
    前記導体は、
    直径が0.46mm以下の素線を42本以上撚り合せた子撚り線と、
    前記子撚り線を37本以上撚り合せた親撚り線と、
    を有し、
    前記導体の外径は、21.2mm以上26.0mm以下であり、
    前記絶縁体および前記電線シースは、
    塩素量が30%以上45%以下である20重量部以上40重量部以下の塩素化ポリエチレンと、60重量部以上80重量部以下のエチレン・酢酸ビニル共重合体と、を合計で100重量部含むベース樹脂及び難燃剤を含む樹脂組成物からなり、
    前記難燃剤は三酸化アンチモンを含み、前記ベース樹脂100重量部に対して1重量部以上5重量部以下含有する電線。
  2. 記絶縁体および前記電線シースのショアA硬度は、88以下である
    請求項1に記載の電線。
  3. 前記樹脂組成物は、ハイドロタルサイトを含む安定剤を含む
    請求項1に記載の電線。
  4. 前記樹脂組成物は、前記ベース樹脂100重量部に対して、前記ハイドロタルサイトからなる安定剤を3重量部以上30重量部以下含む
    請求項3に記載の電線。
  5. JIS K6269に準拠した難燃性試験での酸素指数は、26以上であり、
    JIS K6257に準拠したギヤー式老化試験機を用いて160℃で30日間老化させた後の引張り試験での伸びは、50%以上であり、
    JIS C3005に準拠した引張り試験での伸びは、350%以上である
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の電線。
  6. 前記子撚り線は、集合撚りであり、
    前記親撚り線は、同心撚りである
    請求項1に記載の電線。
  7. 請求項1〜6に記載の電線を複数本撚り合せ、その外周にケーブルシースを設けてなるケーブル。
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