JP2018200786A - リチウムイオン二次電池用セパレータ - Google Patents

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貴史 三竿
石井 義行
Yoshiyuki Ishii
義行 石井
真也 浜崎
Shinya Hamazaki
真也 浜崎
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Abstract

【課題】二次電池に組み込まれた時の微小短絡現象を抑制することができるリチウムイオン二次電池用セパレータ、並びにその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】リチウムイオン二次電池用セパレータが、ポリオレフィン樹脂(A)と、樹脂(B)とを含み、樹脂(B)は、ポリオレフィン樹脂(A)で形成された微多孔性フィルムの少なくとも表面に存在し、かつ非導電性粒子又はコアシェル構造を有する重合体の粒子であり、曲率半径0.5mmの針先端部を有する半球状針で該セパレータをZ軸方向に2mm/秒の速度で押圧したときに該セパレータの裂けた最大長さ(mm)が、式(1)を満たす。W1/W2≦0.5・・・式(1){式中、W1は、前記セパレータで評価したときの裂けた最大長さ(mm)であり、かつW2は、前記ポリオレフィン樹脂(A)のみからなる微多孔性フィルムで評価したときの裂けた最大長さ(mm)である。}【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用セパレータに関する。
微多孔性樹脂フィルムは、電気絶縁性又はイオン透過性を示すことから、電池用セパレータ、コンデンサー用セパレータ、燃料電池用材料、精密濾過膜、透湿防水膜等に使用されており、特にリチウムイオン二次電池用セパレータとして使用されている。
近年、リチウムイオン二次電池は、携帯電話、ノート型パソコン等の小型電子機器だけでなく、電気自動車、小型電動バイク等の電動車両への応用も図られている。リチウムイオン二次電池用セパレータには、強度、透気性、イオン透過性、電池に組み込まれた時の安全性等が要求される。
一般に、樹脂フィルムは、樹脂の溶融押出、その後の延伸等により形成される。樹脂フィルムの多孔化は、乾式法と湿式法に大別される。
乾式法としては、無機粒子などの非相溶性粒子とポリオレフィンを含む未延伸シートを延伸及び抽出に供することにより異種素材界面を剥離させて孔を形成する方法、ラメラ開孔法、β晶開孔法等がある。
ラメラ開孔法は、樹脂の溶融押出によるシート化時に溶融結晶化条件を制御することにより結晶ラメラ構造を有する未延伸シートを得て、得られた未延伸シートを延伸することによりラメラ界面を開裂させて孔を形成する方法である。
β晶開孔法は、ポリプロピレン(PP)の溶融押出時に比較的結晶密度の低いβ晶を有する未延伸シートを作製し、作製された未延伸シートを延伸することにより比較的結晶密度の高いα晶に結晶転移させ、両者の結晶密度差により孔を形成する方法である。
湿式法としては、ポリオレフィンに、可塑剤などの孔形成材(被抽出物)を添加し、分散させ、シート化した後に被抽出物を溶媒などにより抽出して孔を形成し、必要に応じて抽出前及び/又は後に延伸加工を行う方法などがある。
乾式法により製造される微多孔性フィルムを二次電池用セパレータとして使用するために、微多孔性フィルムの強度が検討されている(特許文献1〜5)。
特許文献1には、β晶開孔法に従って、第一のPP、第一のPPに対して非相溶性の第二のPP又はエチレン−オクテンコポリマー、及びβ晶核剤を含むシートを二軸延伸することが記述されている。得られた微多孔性フィルムは、縦方向(MD)強度が40MPa以上でありながら、空孔率が70%以上であり、かつ平均孔径が40〜400nmであることが記述されている。
特許文献2には、β晶開孔法に従って、互いにメルトフローレート(MFR)が異なる2種類のPPを溶融押出及び二軸延伸に供することが記述されている。
特許文献3には、β晶開孔法に従って、PPとスチレン−ブタジエンエラストマーの混合物を逐次二軸延伸に供することが記述されている。
特許文献4には、β晶開孔法に従って二軸延伸により得られる微多孔性PPフィルムについて、10〜30μmの厚み、55〜85%の空孔率、70〜300秒/100mlの透気抵抗、0.18〜0.50N/1μm厚の突刺強度、12%以下の幅方向(TD)熱収縮率(135℃で60分間)、及び60〜200MPaの引張強度が記述されている。
特許文献5には、強度及び透気度を制御するために、β晶開孔法に従って、PPペレットと、ポリエチレン(PE)及びスチレン系エラストマーから成るペレットとを共押出し、二軸延伸して多孔性積層フィルムを調製することが記述されている。
また、湿式法により製造される微多孔性フィルムを二次電池用セパレータとして使用するために、微多孔性フィルムの強度が検討されている(特許文献6)。特許文献6には、破断強度と突刺強度の両方の観点から、膜厚方向に配向度が変化しており、かつ2.2〜2.4mmの突刺伸度を有する微多孔性ポリオレフィンフィルムが記述されている。
国際公開第2007/46226号 特開2012−7156号公報 特開2012−131990号公報 国際公開第2013/54929号 特開2014−4771号公報 特開平7−188440号公報
近年、リチウムイオン二次電池は、小型電子機器又は電動車両に組み込まれ、過酷な環境下でさえも使用されていた。これに関連して、微多孔性フィルムを含むセパレータについても、二次電池に組み込まれた時に、強度、短絡特性、安全性等の更なる向上が求められていた。
しかしながら、特許文献1〜5に記述されている微多孔性フィルムについては、二次電池に組み込まれた時に、無放電状態において短絡に比べて僅かな自己放電により端子電圧が徐々に低下する現象(以下、「微小短絡現象」という)を抑制する余地が未だにある。
上記の事情に鑑みて、本発明は、二次電池に組み込まれた時の微小短絡現象を抑制することができるリチウムイオン二次電池用セパレータを提供することを目的とする。
本発明者らは、微多孔性ポリオレフィンフィルムに特定の条件下でバインダを担持させることにより上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
ポリオレフィン樹脂(A)と、前記ポリオレフィン樹脂(A)とは異なる樹脂(B)とを含むリチウムイオン二次電池用セパレータであって、
前記樹脂(B)は、少なくとも前記ポリオレフィン樹脂(A)で形成された微多孔性フィルムの表面に存在し、かつ非導電性粒子又はコアシェル構造を有する重合体の粒子からなる群から選択される少なくとも1つであり、
曲率半径0.5mmの針先端部を有する半球状針で前記セパレータをZ軸方向に2mm/秒の速度で押圧したときに前記セパレータの裂けた最大長さ(mm)が、下記式(1):
W1/W2≦0.5・・・式(1)
{式中、
W1は、前記セパレータで評価したときの裂けた最大長さ(mm)であり、かつ
W2は、前記ポリオレフィン樹脂(A)のみからなる微多孔性フィルムで評価したときの裂けた最大長さ(mm)である。}
を満たすことを特徴とする、リチウムイオン二次電池用セパレータ。
[2]
前記ポリオレフィン樹脂(A)で形成された微多孔性フィルムは、
前記ポリオレフィン樹脂(A)を含む前駆体を縦方向(MD)方向に延伸して多孔化してなる乾式微多孔性フィルム、
前記ポリオレフィン樹脂(A)を含む前駆体を横方向(TD)方向に延伸して多孔化してなる乾式微多孔性フィルム、及び
前記ポリオレフィン樹脂(A)を含む前駆体の横方向(TD)延伸後にカレンダー処理をして多孔化してなる乾式微多孔性フィルム
から成る群から選択される少なくとも1つである、[1]に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
[3]
前記微多孔性フィルムは、前記ポリオレフィン樹脂(A)及び前記樹脂(B)とは異なる樹脂(C)をさらに含み、かつ前記ポリオレフィン樹脂(A)を含む前駆体を少なくとも縦方向(MD)又は横方向(TD)に延伸し、延伸された成形物に前記樹脂(C)を含浸させることにより得られる、[2]に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
本発明によれば、二次電池に組み込まれた時に微小短絡現象を抑制することができるリチウムイオン二次電池用セパレータを提供することができる。
図1は、微多孔膜又はセパレータの裂けた最大長さを測定する試験を説明するための概略図であり、(a)は、突刺試験開始時の針と評価サンプルと保持プレートの関係を表す側面図及びプレート上面図であり、(b)は、針と評価サンプルの接触時の位置関係を表す側面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<リチウムイオン二次電池用セパレータ>
本発明の一態様は、リチウムイオン二次電池用セパレータである。本明細書では、セパレータとは、リチウムイオン二次電池において複数の電極の間に配置され、かつリチウムイオン透過性及び必要に応じてシャットダウン特性を有する部材をいう。
本発明の第一の実施形態に係るリチウムイオン二次電池用セパレータは、微多孔性フィルムを備え、かつ微多孔性フィルムは、主成分としてのポリオレフィン樹脂(A)に特定の樹脂(B)が担持されているリチウムイオン二次電池用セパレータであり、第一の実施形態では、樹脂(B)は、ポリオレフィン樹脂(A)と異なるものである。
第一の実施形態に係る蓄電デバイス用セパレータは、微多孔性フィルムのみから成っていてもよいし、微多孔性フィルム以外のフィラー多孔層を更に有していてもよい。本発明の蓄電デバイス用セパレータがフィラー多孔層を有する場合、ポリオレフィン樹脂(A)及び樹脂(B)から成る面の少なくとも一部分が露出する限り、フィラー多孔層は、微多孔性フィルムの片面若しくは両面に配置されるか、又は積層された多孔性基材層の中間層として配置されることができる。
微多孔性フィルムの微多孔部は、ポリオレフィン樹脂(A)から成る網目構造に基づくものである。微多孔部の少なくとも1つが、ポリオレフィン樹脂(A)から成る網目構造の最小単位(以下、「フィブリル」という。)により画定される。
第一の実施形態では、前記樹脂(B)は、少なくとも前記ポリオレフィン樹脂(A)で形成された微多孔膜の表面に存在し、かつ非導電性粒子又はコアシェル構造を有する重合体の粒子からなる群から選択される少なくとも1つである。
第一の実施形態では、曲率半径0.5mmの針先端部を有する半球状針でセパレータをZ軸方向に2mm/秒の速度で押圧したときにセパレータの裂けた最大長さ(mm)が、下記式(1):
W1/W2≦0.5・・・式(1)
{式中、
W1は、セパレータで評価したときの裂けた最大長さ(mm)であり、かつ
W2は、ポリオレフィン樹脂(A)のみからなる微多孔性フィルムで評価したときの裂けた最大長さ(mm)である。}
で表される関係を満たす。
ポリオレフィン樹脂(A)を含む前駆体から従来の乾式法で形成された微多孔性フィルムに対して、式(1)で表される関係を満たすように樹脂(B)を担持させたところ、セパレータの裂けた最大長さ(mm)が著しく抑制された。これは、Z軸方向への押圧力に対して生じる電圧降下が抑制されていることを意味する。電圧降下は、例えば正極及び負極の活物質同士が膨潤して互いに距離が狭まることで生じる。本発明によりこのような微小短絡現象を抑制していると推察される。
ここで、樹脂(B)は、非導電性粒子又はコアシェル構造を有する重合体である。樹脂(B)がコアシェル構造を有する重合体である場合、剛直なコア部と軟質なシェル部が同地点に共存することで正極活物質と負極活物質の位置ずれを防ぎ、かつ正極活物質と負極活物質の距離を一定に保つことができ、セパレータの微小短絡現象を抑制することができる。
式1で表されるW1/W2は、セパレータが二次電池に組み込まれた時に微小短絡現象をさらに抑制するという観点から、好ましくは、0.49以下、0.48以下、0.47以下、0.46以下、又は0.45以下である。
式1で表されるW1/W2の測定方法は、実施例において説明される。式1で表されるW1/W2は、ポリオレフィン樹脂(A)の種類、微多孔性フィルムの製造条件、樹脂(B)の種類、微多孔性フィルムへの樹脂(B)の担持量などを最適化することにより調整されることができる。
上記で説明された実施形態における各構成要素について以下に説明する。
<微多孔性フィルム>
本実施形態に係る微多孔性フィルムは、ポリオレフィン樹脂(A)を主成分として含み、かつポリオレフィン樹脂(A)とは異なる樹脂(B)が担持されている。微多孔性フィルムは、電子伝導性が小さく、イオン伝導性を有し、有機溶媒に対する耐性が高く、孔径が微細であることが好ましい。所望により、ポリオレフィン樹脂(A)のフィブリルにより形成される微多孔の表面は、樹脂(B)により、又はポリオレフィン樹脂(A)及び樹脂(B)とは異なる樹脂(C)により、さらにコーティングされていてよい。
[ポリオレフィン樹脂(A)]
微多孔性フィルムがポリオレフィン樹脂(A)を主成分として含むことは、微多孔性フィルム中のポリオレフィン樹脂(A)の割合が、微多孔性フィルムの質量に対して50質量%以上であることを意味する。微多孔性フィルム中のポリオレフィン樹脂(A)の割合は、フィルムの濡れ性、厚み及びシャットダウン特性の観点から、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは55質量%以上99質量%以下、特に好ましくは60質量%以上98質量%以下である。
ポリオレフィン樹脂(A)は、フィルムの主成分として、微多孔を有するようにポリマー網目を形成し、かつポリオレフィン樹脂(A)とは異なる樹脂(B)が担持されている。ポリオレフィン樹脂(A)は、フィルムのポリマー網目を維持するという観点から、オクタン又はヘキサンに対して室温で非溶解性であることが好ましい。つまり、オクタン又はヘキサンでフィルムから抽出される抽出物には、ポリオレフィン樹脂(A)由来の成分が含まれないことが好ましい。
ポリオレフィン樹脂(A)としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−オクテン等をモノマーとして用いて得られるホモポリマー、コポリマー、又は多段重合ポリマー等が挙げられる。これらのポリオレフィン樹脂(A)は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、シャットダウン特性の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びこれらの共重合体、並びにこれらの混合物が好ましく、シャットダウン特性、オクタン非溶解性及びヘキサン非溶解性の観点から、単数又は複数のポリプロピレンがより好ましい。
ポリエチレンの具体例としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等が挙げられる。本明細書では、高密度ポリエチレンとは密度0.942〜0.970g/cmのポリエチレンをいう。ポリエチレンの密度とは、JIS K7112(1999)に記載のD)密度勾配管法に従って測定した値をいう。
ポリプロピレンの具体例としては、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン等が挙げられる。
エチレン−プロピレンコポリマーは、ランダム若しくはブロック構造、又はエチレンプロピレンラバーの形態でよい。
ポリオレフィン樹脂(A)を主成分として含む微多孔性フィルムは、単層型又は積層型でよい。単層型フィルムは、透気度、強度及びオクタン非溶解性の観点から、ポリオレフィン樹脂(A)としてポリプロピレンを含む1つの層で形成されることが好ましい。積層型フィルムは、透気度、強度の観点から、ポリオレフィン樹脂(A)としてポリプロピレンを含む外層を有し、かつポリオレフィン樹脂(A)としてポリエチレンを含む内層を有することが好ましい。
[樹脂(B)]
樹脂(B)は、非導電性粒子又はコアシェル構造を有する重合体の粒子からなる群から選択される少なくとも1つである。非導電性粒子又はコアシェル構造を有する重合体の粒子は、単独で、又は有機溶媒中の分散質、水中の分散質、有機溶媒と水の混合物中の分散質として、使用されることができる。
樹脂(B)が、ポリオレフィン樹脂(A)で形成された微多孔性フィルムの表面に存在するとき、樹脂(B)は、ポリオレフィン樹脂(A)に担持されており、好ましくは、微多孔性フィルムにコーティングされているか、かつ/又は微多孔性フィルムの微多孔内に含浸している。
非導電性粒子又はコアシェル構造を有する重合体の粒子は、下記(b1)〜(b4)に大別される樹脂を含む:
(b1)ニトリル系樹脂
(b2)アクリル系樹脂
(b3)脂肪族共役ジエン系樹脂
(b4)上記(b1)〜(b3)とは異なる樹脂
(b1)ニトリル系樹脂
ニトリル系樹脂は、ニトリル基を有する重合単位を主成分として含む樹脂である。本明細書では、重合単位を主成分として含むことは、重合時に仕込まれる全単量体の合計モルに対して50モル%以上であることを意味する。ニトリル系樹脂は、所望により、ニトリル基を有する重合単位に加えて、炭素数4以上の直鎖アルキレン重合単位、芳香族ビニル重合単位、親水性基を有する重合単位、及び熱架橋性基を有する重合単位から成る群から選択される少なくとも1つを含んでよい。親水性基としては、例えば、カルボン酸基、水酸基、スルホン酸基などが挙げられる。熱架橋性基としては、例えば、エポキシ基、N−メチロールアミド基、オキサゾリン基などが挙げられる。
ニトリル系樹脂のヨウ素価は、3〜10mg/100mg、4〜9mg/100mg、又は5〜8mg/100mgであることが好ましい。
ニトリル系樹脂は、ニトリル基を有する単量体の重合、又はニトリル基を有する単量体と他の単量体との共重合により得られることができる。ニトリル基を有する単量体は、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどである。(メタ)アクリロニトリルは、アクリロニトリル又はメタクリロニトリルを意味する。他の単量体は、エチレン性不飽和化合物、例えば(メタ)アクリル酸エステル、炭素数4以上の不飽和炭化水素などである。(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを意味し、例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどである。炭素数4以上の不飽和炭化水素は、例えば、1,3−ブタジエンなどである。
ニトリル系樹脂は、具体的には、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート共重合体、又はそれらの水素添加物などである。
(b2)アクリル系樹脂
アクリル系樹脂は、アクリル化合物を主な単量体として使用して得られる樹脂である。主な単量体として使用することは、重合時に仕込まれる全単量体の合計モルに対して50モル%以上であることを意味する。アクリル化合物は、アクリロイル基又はメタクリロイル基である(メタ)アクリロイル基を有する単量体である。
アクリル系樹脂は、所望により、アクリル化合物に由来する重合単位に加えて、ニトリル基を有する重合単位、直鎖アルキレン重合単位、芳香族ビニル重合単位、親水性基を有する重合単位、及び熱架橋性基を有する重合単位から成る群から選択される少なくとも1つを含んでよい。親水性基としては、例えば、カルボン酸基、水酸基、スルホン酸基などが挙げられる。熱架橋性基としては、例えば、エポキシ基、N−メチロールアミド基、オキサゾリン基などが挙げられる。
アクリル系樹脂は、アクリル化合物の重合、又はアクリル化合物と他の単量体との共重合により得られることができる。
アクリル化合物としては、以下の単量体を使用してよい:
(メタ)アクリル酸、例えば、アクリル酸、2−メタクリル酸、2−ペンテン酸、2,3−ジメチルアクリル酸、3,3−ジメチルアクリル酸、イタコン酸、及びそれらのアルカリ金属塩;
(メタ)アクリル酸エステル;
含フッ素アクリル酸エステル;
アミド基含有(メタ)アクリル酸又はアミド基含有(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル官能性ケイ素含有単量体;
(メタ)アクリル系多官能単量体、例えばジアクリレート化合物、トリアクリレート化合物、テトラアクリレート化合物、ジメタクリレート化合物、及びトリメタクリレート化合物。
他の単量体としては、以下の単量体を使用してよい:
酸基含有単量体単位、例えば、3−ブテン酸、トランス−ブテンジオン酸、シス−ブテンジオン酸、マレイン酸及びマレイン酸誘導体などのエチレン性不飽和カルボン酸単量体、エチレン性不飽和スルホン酸単量体、エチレン性不飽和リン酸単量体、並びに酸成分を有するビニルモノマー;
マレイミド;
α,β−不飽和ニトリル単量体;
酸成分を含まないビニルモノマー、例えば、酢酸ビニル、脂肪族共役ジエン単量体などの脂肪族ビニル単量体、及びスチレンなどの芳香族ビニル単量体;
不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体;
エチレン官能性ケイ素含有単量体;
イソチアゾリン系化合物;
キレート化合物;
フッ素含有単量体、例えば、
反応性界面活性剤、例えば、スルホン酸基含有単量体など;
重合体に水溶性を付与する単量体、例えば、トリフルオロメチルメタクリレート、トリフルオロメチルアクリレート、パーフルオロオクチルメタクリレート、モノメチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェートなど。
アクリル系樹脂は、具体的には、アクリル軟質重合体、アクリル硬質重合体、アクリル−スチレン共重合体、スルホン化アクリル重合体、又はそれらのシード重合体、水素添加物若しくはグラフト体などである。
アクリル系樹脂は、非導電性有機粒子の形態でよい。アクリル系樹脂は、アクリル化合物とケイ素含有単量体から形成されるときに、水溶性でよい。アクリル系樹脂は、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを含んでよい。
(b3)脂肪族共役ジエン系樹脂
脂肪族共役ジエン系樹脂は、共役ジエンを有する脂肪族単量体を主成分として使用して得られる樹脂である。本明細書では、主成分として使用することは、重合時に仕込まれる全単量体の合計モルに対して50モル%以上であることを意味する。
共役ジエンを有する脂肪族単量体は、置換又は非置換の鎖状ジエンであり、かつ直鎖又は分岐鎖でよい。共役ジエンを有する脂肪族単量体は、具体的には、1,3−ブタジエン、1,3−イソプレン、1、4−ジメチル−1,3−ブタジエン、1、2−ジメチル−1,3−ブタジエン、1、3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,2,3−トリメチル−1,3−ブタジエン、1,3,5−ヘキサトリエン、アロオシメンなどである。
脂肪族共役ジエン系樹脂は、共役ジエンを有する脂肪族単量体の重合、又は共役ジエンを有する脂肪族単量体と他の単量体との共重合により得られることができる。
他の単量体としては、エチレン系不飽和カルボン酸、スルホン酸基含有単量体、ニトリル基含有単量体、芳香族ビニル単量体、架橋性単量体、芳香族ビニル化合物などを使用してよい。
脂肪族共役ジエン系樹脂は、具体的には、1,3−ブタジエン重合体、ジエン系ゴム、熱可塑性エラストマー、又はそれらのランダム共重合体、ブロック共重合体、水素化物若しくは酸変性物でよい。脂肪族共役ジエン系樹脂は、所望により、フェノール系とチオエーテル系との組み合わせ、又はフェノール系化合物と亜リン酸エステル系化合物との組み合わせなどの老化防止剤を含んでよい。
(b4)樹脂(b1)〜(b3)とは異なる樹脂
樹脂(b1)〜(b3)とは異なる樹脂(b4)は、例えば、熱可塑性フッ素樹脂、スルホン酸基含有樹脂、セルロース系樹脂等である。樹脂(b4)は、有機重合体の粒子、グラフトポリマー、ポリマーラテックス等の形態でよい。
熱可塑性フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体などが挙げられる。
スルホン酸基含有樹脂としては、スルホン化ポリマー、例えば、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリサルフォンなどが挙げられる。
セルロース系樹脂としては、例えば、セルロース系半合成高分子、及びそのナトリウム塩又はアンモニウム塩などが挙げられる。セルロース系樹脂は、硫黄原子、カチオン性基、酸基、プロパルギル基等を有してよい。
[コアシェル構造を有する重合体の粒子]
コアシェル構造を有する重合体の粒子は、重合体を含むコア部と、重合体を含むシェル部とを有する。また、コアシェル構造を有する樹脂は、電解液に対する相溶性を示すセグメントと示さないセグメントを有することが好ましい。コア部又はシェル部の重合体としては、上記で説明された樹脂(b1)〜(b4)を使用することができる。
コアシェル構造を有する重合体の粒子は、例えば、コア部を形成する重合体のモノマーとシェル部を形成する重合体のモノマーとを用い、経時的にそれらのモノマーの比率を変えて段階的に重合することにより、製造されることができる。具体的には、先ず、コア部を形成する重合体のモノマーを重合してシードポリマー粒子を製造する。このシードポリマー粒子は、粒子のコア部となる。その後、シードポリマー粒子を含む重合系において、シェル部を形成する重合体のモノマーを重合する。これにより、コア部の表面にシェル部が形成されるので、コアシェル構造を有する重合体の粒子が得られる。この際、必要に応じて、例えば反応媒、重合開始剤、界面活性剤などを用いてもよい。
(コア部)
粒子のコア部は、一般に175℃以上、好ましくは220℃以上、より好ましくは225℃以上に、軟化開始点又は分解点を有する。175℃以上の温度範囲に軟化開始点又は分解点を有するコア部は、二次電池の使用環境及びヒートプレス時に変形し難く、微多孔性フィルムの孔の閉塞を抑制できる。また、微多孔性フィルムの剛性が低下することを抑制できるので、セパレータの収縮も抑制することができる。したがって、高温環境における短絡を安定して防止することが可能である。また、コア部の軟化開始点又は分解点の上限に制限は無いが、通常450℃以下である。
軟化開始点の測定法を以下に説明する。
先ず、測定試料10mgをアルミパンに計量し、示差熱分析測定装置にて、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲−100℃〜500℃の間で、昇温速度10℃/分で、常温常湿下で、DSC曲線を測定する。この昇温過程で、微分信号(DDSC)が0.05mW/分/mg以上となるDSC曲線の吸熱ピークが出る直前のベースラインと、吸熱ピーク後に最初に現れる変曲点でのDSC曲線の接線との交点を、ガラス転移点(Tg)とする。さらに、そのガラス転移点より25℃高い温度を、軟化開始点とする。
なお、非導電性粒子のコア部の軟化開始点より分解点の方が低いときには、分解により軟化開始点が観測されないことがある。
分解点の測定法を以下に説明する。
窒素雰囲気下において、測定試料を、示差熱熱重量同時測定装置により30℃から昇温速度10℃/分で加熱する。この際、減量割合が10重量%に達する温度を、分解点とする。
なお、粒子のコア部の軟化開始点及び分解点の両方が観測されるときには、より低い温度の方をコア部の軟化開始点と見なす。
コア部を形成する重合体としては、例えば、樹脂(b1)〜(b4)の高度に架橋された重合体が挙げられる。高度な架橋により、重合体のガラス転移点以上の温度においても重合体の分子運動が抑制されるので、コア部は形状を維持することができる。
コア部を形成する重合体は、好ましくは、架橋性ビニルモノマーを重合することにより得られる。架橋性ビニルモノマーとしては、例えば、通常2個以上、好ましくは2個の共重合性二重結合を有する化合物が挙げられる。また、架橋性ビニルモノマーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
好適な架橋性ビニルモノマーとしては、例えば、非共役ジビニル化合物、多価アクリレート化合物などが挙げられる。
非共役ジビニル化合物の例としては、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
多価アクリレートの例としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジアクリレート化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等のトリアクリレート化合物;テトラメチロールメタンテトラアクリレート等のテトラアクリレート化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジメタクリレート化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトミメタクリレート化合物;などが挙げられる。
架橋性ビニルモノマーの割合は、コア部を形成する重合体の全モノマーに対して、20重量%以上、好ましくは25重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上である。架橋性ビニルモノマーの割合を20重量%以上とすることにより、コア部の硬度、耐熱性及び耐溶剤性を向上させることができる。また、上限は、通常100重量%以下、好ましくは98重量%以下、さらに好ましくは95重量%以下である。ここで、架橋性ビニルモノマーの量は、例えば希釈剤及び不純物などを除いた純品換算による。
(シェル部)
粒子のシェル部は、85℃以上、好ましくは87℃以上、より好ましくは89℃以上、また、145℃以下、好ましくは125℃以下、より好ましくは115℃以下の温度範囲に、軟化開始点を有する。軟化開始点が85℃以上であることにより、微多孔性フィルムの耐ブロッキング性を向上させることができる。また、二次電池の使用温度においてシェル部が融解し難くなるので、セパレータの孔の閉塞を抑制でき、それにより、二次電池のレート特性を向上させることができる。また、軟化開始点が145℃以下であることにより、ヒートプレスの際にシェル部を容易に融解させることができるので、セパレータの接着性を向上させ、それにより、二次電池のサイクル特性を向上させることができる。
シェル部を形成する重合体としては、(メタ)アクリレート単位を含む重合体を用いることが好ましい。(メタ)アクリレート単位を含む重合体によってシェル部を形成することにより、多孔膜の電気的安定性を向上させることができる。アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルエチルアクリレート等が挙げられる。メタクリレートとしては、例えば、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられる。
シェル部を形成する重合体における(メタ)アクリレート単位の比率は、電気的安定性の観点から、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上であり、100重量%以下である。
(非導電性粒子又はコアシェル構造を有する重合体の粒子の大きさ)
非導電性粒子の個数平均粒子径は、100nm以上、好ましくは200nm以上、より好ましくは300nm以上であり、また、1500nm以下、好ましくは1200nm以下、より好ましくは1000nm以下である。粒子の個数平均粒径をこのような範囲とすることにより、粒子同士が接触部を有しつつ、イオンの移動が阻害されない程度に、粒子同士の隙間を形成できる。したがって、微多孔性フィルムの強度が向上し、且つ電池の短絡を防止することができ、かつ二次電池のサイクル特性を向上させることができる。
粒子の個数平均粒子径は、以下のようにして測定しうる。電界放出形走査電子顕微鏡にて25000倍の倍率で撮影した写真から、200個の粒子を任意に選択する。その粒子像の最長辺をLa、最短辺をLbとしたとき、(La+Lb)/2を粒径とする。200個の粒子の粒径の平均を、平均粒径として求める。
シェル部の厚みは、粒子の個数平均粒子径に対して、3%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは7%以上であり、また、18%以下、好ましくは16%以下、より好ましくは14%以下である。シェル部の厚み個数平均粒子径に対して3%以上であると、セパレータの接着性を高めて二次電池のサイクル特性を向上させることができる。また、シェル部の厚みが個数平均粒子径に対して18%以下であると、セパレータの孔径を、イオンの移動を妨げない程度に大きくでき、それにより二次電池のレート特性を向上させることができる。また、シェル部を薄くすることで相対的にコア部を大きくできるので、粒子の剛性を高めることができる。このため、微多孔性フィルムの剛性を高めて、セパレータの収縮を抑制することができる。
シェル部の厚み(S)は、例えば、シェル部を形成する前のシードポリマー粒子の個数平均粒子径(D1)およびシェル部を形成した後の非導電性粒子の個数平均粒子径(D2)から、以下の式により算出しうる。
(D2−D1)/2=S
(非導電性粒子又はコアシェル構造を有する重合体の粒子の量)
第一の実施形態では、多孔膜における非導電性粒子又はコアシェル構造を有する重合体の粒子の含有割合は、通常70重量%以上、好ましくは75重量%以上、より好ましくは80重量%以上であり、通常98重量%以下、好ましくは96重量%以下、より好ましくは94重量%以下である。粒子の含有割合が上記範囲内であると、粒子同士が接触部を有しつつ、イオンの移動が阻害されない程度に、粒子同士の隙間を形成でき、それにより、セパレータ強度を向上させ、電池の短絡を安定して防止することができる。
ポリオレフィン樹脂(A)に対する樹脂(B)の割合については、樹脂(A)と(B)で形成された微多孔性フィルムの気孔率が、樹脂(A)のみで形成された微多孔性フィルムの気孔率の30%〜85%であるように、樹脂(A)に対して樹脂(B)を適用することが好ましい。
[樹脂(C)]
ポリオレフィン樹脂(A)及び樹脂(B)とは異なる樹脂(C)は、微多孔性フィルムの微多孔部の表面の少なくとも一部を覆うように、好ましくは微多孔部を構成するフィブリルの外周部を覆うように、配置されてよい。
比較的柔らかい樹脂(C)を多数の微多孔部に送達し、微多孔部のマイクロクラックへの応力集中を防いでセパレータの突刺強度を向上させるために、樹脂(C)の25℃での弾性率は、好ましくは50〜700MPa、より好ましくは80〜700MPa、さらに好ましくは100〜700MPa、よりさらに好ましくは110〜650MPaである。
樹脂(C)の融点は、ポリオレフィン樹脂(A)への濡れ性及び微多孔性フィルムの生産性の観点から、好ましくは130℃以下、より好ましくは50〜125℃である。本明細書では、ポリマーの融点とは、ポリマーの示差走査熱量測定(DSC)で得られるDSC曲線において、結晶性ポリマーの融解に伴う吸熱ピークと対応する温度(℃)をいう。なお、DSC曲線において2つの吸熱ピークが観察された場合には、より高温側の吸熱ピークと対応する温度を融点とする。
樹脂(C)は、微多孔性フィルムの透気度、突刺強度及び突刺深度の観点から、疎水性樹脂であることが好ましい。本明細書では、疎水性樹脂とは、水に全く溶解しないか、又は25℃での水への溶解度が1g/kg未満である樹脂を意味する。
樹脂(C)は、微多孔性フィルムの透気度及び強度の観点から、好ましくは、ヘキサン又はオクタンに対して溶解性であり、より好ましくは、樹脂(C)の25℃でのオクタンへの溶解度が、20g/kg以上である。同様の観点から、微多孔性フィルムの原料として使用された樹脂(C)の弾性率は、形成された微多孔性フィルムからヘキサン又はオクタンで抽出された抽出物の弾性率と概ね等しいことが好ましい。
樹脂(C)は、微多孔性フィルムの樹脂含有量、厚み、透気度及び強度の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンに代表されるポリオレフィン樹脂およびその共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアラミド、ポリビニルジフルオライド、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、もしくはこれらの共重合体が好ましく挙げられる。より好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンに代表されるポリオレフィン樹脂およびその共重合体、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、又はこれらの共重合体、並びにポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアラミド、ポリシクロオレフィン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂が挙げられ、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンに代表されるポリオレフィン樹脂およびその共重合体である。樹脂(C)は、より好ましくは、25℃での弾性率が700MPa以下のポリオレフィン樹脂、さらに好ましくは、110〜520MPaの25℃での弾性率と130℃以下の融点を有する低融点ポリオレフィン樹脂である。
樹脂(C)としては、例えば、重量平均分子量140,000以下の低分子量ポリプロピレン、炭素数3のモノマーと炭素数4のモノマーの共重合体(例えば、主成分C4/副成分C3のαオレフィンコポリマー、主成分C3/副成分C4のαオレフィンコポリマーなど)、立体規則性の低いポリプロピレンなどを使用することができる。
樹脂(C)は、微多孔性フィルムの最表面(外面)に局在化せずに、微多孔性フィルム内の微多孔の表面に配置されていることが好ましく、微多孔の表面の全部又は一部をコーティングしていることがより好ましい。理論に拘束されることを望まないが、微多孔性フィルムの透気度を実用可能な水準で維持できる程度に樹脂(C)が微多孔表面に存在すると、微多孔性フィルムの欠陥等、応力集中部位に対する応力集中を樹脂(C)が緩和・回避し、微多孔性フィルムの破断深度及び破断強度が改良されることが考えられる。
ポリオレフィン樹脂(A)に対する樹脂(C)の割合については、樹脂(A)と(C)で形成された微多孔性フィルムの気孔率が、樹脂(A)のみで形成された微多孔性フィルムの気孔率の30%〜85%であるように、樹脂(A)に対して樹脂(C)を適用することが好ましい。
[その他の構成要素]
微多孔性フィルムは、樹脂(A)〜(C)以外の構成要素を含んでよい。そのような構成要素としては、例えば、無機フィラー、樹脂繊維の織布又は不織布、紙、絶縁性物質粒子の集合体などが挙げられる。
中でも、微多孔性フィルムは、セパレータの耐熱性、内部短絡の抑制等の安全性を向上させるという観点から、樹脂(A)〜(C)以外に無機フィラーを含むことが好ましい。微多孔性フィルムに含有される無機フィラーは、後述されるフィラー多孔層を形成する無機フィラーと同じでよい。
[微多孔性フィルムの詳細]
微多孔性フィルムの気孔率は、好ましくは30%以上、より好ましく30%超95%以下、更に好ましくは35%以上75%以下、特に好ましくは35%以上、55%以下である。イオン伝導性向上の観点から30%以上が好ましく、強度の観点から95%以下が好ましい。気孔率は、樹脂組成、樹脂と可塑剤の混合比率、延伸条件、熱固定条件などを制御することによって調整されることができる。
微多孔性フィルムの突刺強度は、セパレータの生産性及び二次電池の安全性の観点から、好ましくは0.25kgf以上、より好ましくは0.25〜0.60kgfの範囲内である。微多孔性フィルムの突刺深度は、突刺強度、非水系溶媒への濡れ性及び耐電圧性の観点から、好ましくは2.5mm以上、より好ましくは、2.5mm超4.5mm以下であり、さらに好ましくは、2.6mm以上4.5mm以下、特に好ましくは、2.7mm以上4.5mm以下である。
微多孔性フィルムの膜厚は、0.1μm以上100μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以上50μm以下、さらに好ましくは3μm以上25μm以下、特に好ましくは5μm以上20μm以下である。機械的強度の観点から0.1μm以上が好ましく、電池の高容量化の観点から100μm以下が好ましい。膜厚は、ダイリップ間隔、延伸条件などを制御することによって調整されることができる。
微多孔性フィルムの平均孔径は、0.03μm以上0.80μm以下が好ましく、より好ましくは0.04μm以上0.70μm以下である。イオン伝導性と耐電圧性の観点から、0.03μm以上0.80μm以下が好ましい。平均孔径は、樹脂組成、押出条件、延伸条件、熱固定条件などを制御することにより調整されることができる。
微多孔性フィルムの粘度平均分子量は、30,000以上12,000,000以下であることが好ましく、より好ましくは50,000以上4,000,000未満、さらに好ましくは100,000以上1,000,000未満である。粘度平均分子量が30,000以上であると、溶融成形の際のメルトテンションが大きくなり成形性が良好になると共に、重合体同士の絡み合いにより高強度となる傾向にあるため好ましい。粘度平均分子量が12,000,000以下であると、均一に溶融混練をすることが容易となり、シートの成形性、特に厚み安定性に優れる傾向にあるため好ましい。
<フィラー多孔層>
フィラー多孔層は、無機フィラー及び樹脂バインダを含む。
(無機フィラー)
フィラー多孔層に使用する無機フィラーとしては、特に限定されないが、200℃以上の融点を持ち、電気絶縁性が高く、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定であるものが好ましい。
無機フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄等の酸化物系セラミックス;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス;シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス;ガラス繊維等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。
これらの中でも、電気化学的安定性及びセパレータの耐熱特性を向上させる観点から、
アルミナ、水酸化酸化アルミニウム等の酸化アルミニウム化合物;及び
カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト等の、イオン交換能を持たないケイ酸アルミニウム化合物が好ましい。
酸化アルミニウム化合物としては、水酸化酸化アルミニウム(AlO(OH))が特に好ましい。イオン交換能を持たないケイ酸アルミニウム化合物としては、安価で入手も容易なため、主としてカオリン鉱物から構成されているカオリンがより好ましい。カオリンには、湿式カオリン及びこれを焼成処理して成る焼成カオリンが知られている。本発明においては、焼成カオリンが特に好ましい。焼成カオリンは、焼成処理の際に、結晶水が放出されており、更に不純物も除去されていることから、電気化学的安定性の点で特に好ましい。
無機フィラーの平均粒径は、0.01μmを超えて4.0μm以下であることが好ましく、0.2μmを超えて3.5μm以下であることがより好ましく、0.4μmを超えて3.0μm以下であることが更に好ましい。無機フィラーの平均粒径を上記範囲に調整することは、フィラー多孔層の厚さが薄い場合(例えば、7μm以下)であっても、高温における熱収縮を抑制する観点から好ましい。無機フィラーの粒径及びその分布を調整する方法としては、例えば、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル等の適宜の粉砕装置を用いて無機フィラーを粉砕して粒径を小さくする方法等を挙げることができる。
無機フィラーの形状としては、例えば、板状、鱗片状、針状、柱状、球状、多面体状、塊状等が挙げられる。これらの形状を有する無機フィラーの複数種を組み合わせて用いてもよい。
無機フィラーが、フィラー多孔層中に占める割合は、無機フィラーの結着性、セパレータの透過性、及び耐熱性等の観点から適宜決定されることができる。フィラー多孔層中の無機フィラーの割合は、20質量%以上100質量%未満であることが好ましく、より好ましくは50質量%以上99.99質量%以下、更に好ましくは80質量%以上99.9質量%以下、特に好ましくは90質量%以上99質量%以下である。
(樹脂バインダ)
フィラー多孔層に含有される樹脂バインダの種類としては、特に限定されないが、リチウムイオン二次電池の電解液に対して不溶であり、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲において電気化学的に安定な樹脂バインダを用いることが好ましい。
このような樹脂バインダの具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の含フッ素樹脂;フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等の含フッ素ゴム;スチレン−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体及びその水素化物、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のゴム類;エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル等の、融点及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂等が挙げられる。
フィラー多孔層のイオン抵抗を低減させるために、後述されるポリアルキレングリコール基含有熱可塑性ポリマーを樹脂バインダとしてフィラー多孔層に含有させることも好ましい。
樹脂バインダとしては、樹脂ラテックスバインダを用いることが好ましい。樹脂バインダとして樹脂ラテックスバインダを用いた場合、該バインダと無機フィラーとを含むフィラー多孔層を具備するセパレータは、樹脂バインダ溶液を基材上に塗布する工程を経て樹脂バインダを多孔膜上に結着させたセパレータと比較して、イオン透過性が低下し難く、出力特性の高い蓄電デバイスを与える傾向にある。更に、該セパレータを有する蓄電デバイスは、異常発熱時の温度上昇が速い場合においても、円滑なシャットダウン特性を示し、高い安全性が得られ易い傾向にある。
樹脂ラテックスバインダとしては、電気化学的安定性及び結着性を向上させる観点から、脂肪族共役ジエン系モノマー及び不飽和カルボン酸モノマー、並びにこれらと共重合可能な他のモノマーを共重合して得られるものが好ましい。この場合の重合方法に特に制限はないが、乳化重合が好ましい。乳化重合の方法としては、特に制限はなく、既知の方法を用いることができる。モノマー及びその他の成分の添加方法については、特に制限されるものではなく、一括添加方法、分割添加方法、及び連続添加方法の何れも採用することができ、重合方法は、一段重合、二段重合、又は三段階以上の多段階重合の何れも採用することができる。
樹脂バインダの平均粒径は、50〜500nmであることが好ましく、より好ましくは60〜460nm、更に好ましくは80〜250nmである。樹脂バインダの平均粒径が50nm以上である場合、該バインダと無機フィラーとを含むフィラー多孔層を具備するセパレータは、イオン透過性が低下し難く、高い出力特性の蓄電デバイスを与え易い。更に、異常発熱時の温度上昇が速い場合においても、円滑なシャットダウン特性を示し、高い安全性を有する蓄電デバイスが得られ易い。樹脂バインダの平均粒径が500nm以下である場合、良好な結着性を発現し、多層多孔膜とした場合に熱収縮が良好となり、安全性に優れる傾向にある。
樹脂バインダの平均粒径は、重合時間、重合温度、原料組成比、原料投入順序、pHなどを調整することで制御することが可能である。
フィラー多孔層の層厚は、耐熱性及び絶縁性を向上させる観点から、0.5μm以上であることが好ましく、電池の高容量化と透過性を向上させる観点から50μm以下であることが好ましい。
フィラー多孔層の層密度は、0.5〜3.0g/cmであることが好ましく、0.7〜2.0cmであることがより好ましい。フィラー多孔層の層密度が0.5g/cm以上であると、高温での熱収縮率が良好となる傾向にあり、3.0g/cm以下であると、透気度が低下する傾向にある。
<リチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法>
本発明の別の態様は、上記で説明された微多孔性フィルムを用いてリチウムイオン二次電池用セパレータを製造する方法である。
本発明の第二の実施形態に係るリチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法の一例は、以下の:
ポリオレフィン樹脂組成物の溶融混練物又は成形シートを乾式法又は湿式法により多孔化することにより微多孔性フィルムを製造する工程;及び
ニトリル系樹脂、アクリル系樹脂、及び脂肪族共役ジエン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの樹脂(B)と微多孔性フィルムとを複合化する工程;
を含む。
リチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法は、所望により、無機フィラーを含むフィラー多孔層を微多孔性フィルム上に積層する工程をさらに含んでよい。
[微多孔性フィルムの製造]
微多孔性フィルムは、ポリオレフィン樹脂組成物の溶融混練物又は成形シートを乾式法又は湿式法により多孔化することにより製造されることができる。
乾式法としては、ポリオレフィン樹脂組成物を溶融混練して押出した後、熱処理と延伸によってポリオレフィン結晶界面を剥離させる方法、ポリオレフィン樹脂組成物と無機充填材とを溶融混練してシート上に成形した後、延伸によってポリオレフィンと無機充填材との界面を剥離させる方法などが挙げられる。
湿式法としては、ポリオレフィン樹脂組成物と孔形成材とを溶融混練してシート状に成形し、必要に応じて延伸した後、孔形成材を抽出する方法、ポリオレフィン樹脂組成物の溶解後、ポリオレフィンに対する貧溶媒に浸漬させてポリオレフィンを凝固させると同時に溶剤を除去する方法などが挙げられる。
ポリオレフィン樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(A)を好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上100質量%以下含む。
ポリオレフィン樹脂組成物には、ポリオレフィン樹脂(A)以外の樹脂、任意の添加剤などを含有させることができる。添加剤としては、例えば、無機フィラー、酸化防止剤、金属石鹸類、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、防曇剤、着色顔料等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂組成物の溶融混練は、例えば、押出機、ニーダー、ラボプラストミル、混練ロール、バンバリーミキサー等により行なわれることができる。
孔形成材としては、可塑剤、無機充填材又はそれらの組み合わせが挙げられる。
可塑剤としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス等の炭化水素類;フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル等のエステル類;オレイルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコールなどが挙げられる。
無機充填材としては、例えば、アルミナ、シリカ(珪素酸化物)、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄などの酸化物系セラミックス;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス;シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリンクレー、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス;ガラス繊維が挙げられる。
シート成形は、例えば、Tダイ、金属製ロールなどを用いて行なわれることができる。成形シートをダブルベルトプレス機等で圧延してもよい。
孔形成工程は、既知の乾式法及び/又は湿式法により行なわれることができる。孔形成工程中、又は孔形成工程の前若しくは後に、延伸工程も行ってよい。延伸処理としては、一軸延伸又は二軸延伸のいずれも用いることができるが、得られる微多孔性フィルムの強度等を向上させる観点から二軸延伸が好ましい。シート状成形体を二軸方向に高倍率延伸すると、分子が面方向に配向し、最終生成物が裂け難くなり、高い突刺強度を有するものとなる。延伸方法としては、例えば、同時二軸延伸、逐次二軸延伸、多段延伸、多数回延伸等の方法を挙げることができる。突刺強度の向上、延伸の均一性、シャットダウン性の観点からは同時二軸延伸が好ましい。また面配向の制御容易性の観点からは遂次二軸延伸が好ましい。
同時二軸延伸とは、MD(微多孔膜連続成形の機械方向)の延伸とTD(微多孔膜のMDを90°の角度で横切る方向)の延伸が同時に施される延伸方法をいい、各方向の延伸倍率は異なってもよい。逐次二軸延伸とは、MD及びTDの延伸が独立して施される延伸方法をいい、MD又はTDに延伸がなされているときは、他方向は非拘束状態又は定長に固定されている状態とする。
微多孔性フィルムの収縮を抑制するために、延伸後又は孔形成後に熱固定を目的として熱処理を行ってよい。熱処理としては、物性の調整を目的として、所定の温度雰囲気及び所定の延伸率で行う延伸操作、及び/又は、延伸応力低減を目的として、所定の温度雰囲気及び所定の緩和率で行う緩和操作が挙げられる。延伸操作を行った後に緩和操作を行ってもよい。これらの熱処理は、テンター又はロール延伸機を用いて行うことができる。
一例として、乾式ラメラ開孔法による微多孔性フィルムの製造方法を説明する。乾式ラメラ開孔法は、水、有機溶剤等の溶媒を用いずに、ラメラ構造を有する複数の球晶同士が非晶質ポリマーを介して結合されている前駆体を延伸することにより、ラメラ界面を開裂させて孔を形成する方法である。
乾式ラメラ開孔法は、(i)ポリオレフィン樹脂(A)を含む前駆体を押し出す工程、及び(ii)押し出された前駆体を一軸延伸する工程を含むことが好ましい。ここで、ポリオレフィン樹脂(A)を含む前駆体は、機械方向(MD)又は横方向(TD)の少なくとも1回の延伸に供されるものであり、例えば、溶融樹脂、樹脂組成物、樹脂成形体等でよい。工程(i)で押出成形された前駆体は、例えば、押出成形体、原反シート、原反フィルム等である。工程(i)及び(ii)を含む乾式ラメラ開孔法により得られる微多孔性フィルムは、樹脂(B)による担持、コーティング、浸漬、又は含浸へ好適に供される。
工程(i)は、従来の押出法により行なわれることができる。押出機は、細長い孔を有するTダイや環状ダイを備えることができる。
工程(ii)の一軸延伸は、上記で説明されたとおりに行なわれることができる。一軸延伸は、機械方向(MD)又は横方向(TD)に行なわれることができる。また、一軸延伸後に前駆体を横方向(TD)に延伸し、二軸延伸をすることが好ましい。二軸延伸では、機械方向(MD)延伸及び同時制御されたMD方向緩和を伴う横方向(TD)延伸をすることができる。ここでMD延伸は、冷延伸と熱延伸の両方を含むことができる。工程(ii)の延伸により得られる微多孔性フィルムは、樹脂(B)による担持、コーティング、浸漬又は含浸へ好適に供される。
前駆体の内部歪みを抑制する観点から、前駆体は、工程(i)中、工程(ii)後、又は工程(ii)の延伸前に、アニールすることが出来る。アニーリングは、ポリオレフィン樹脂(A)の融点よりも50℃低い温度とポリオレフィン樹脂(A)の融点よりも10℃低い温度の間の範囲内で、又はポリオレフィン樹脂(A)の融点よりも50℃低い温度とポリオレフィン樹脂(A)の融点よりも15℃低い温度の間の範囲内で、行なわれることができる。
工程(ii)中又は工程(ii)後に、MD及び/又はTD方向へ延伸された成形物をカレンダー処理することが好ましい。カレンダー処理された成形物は、樹脂(B)による担持、コーティング、浸漬又は含浸へ好適に供される。カレンダー処理は、延伸された成形物を少なくとも一対のカレンダーロールに通すことにより行なわれることができる。一対のカレンダーロールは、例えば、スチールロールと弾性ロールのセット、又は2つのスチールロールのセットを備えてよい。カレンダー処理時、一対のカレンダーロールは、加熱又は冷却されることができる。
微多孔性フィルムの強度の観点から、上記で説明された乾式ラメラ開孔法において、ポリオレフィン樹脂(A)を含む前駆体を、MD及びTD方向へ逐次又は同時延伸し、カレンダー処理に供する方法(以下、「MD/TD/カレンダープロセス」という)も好ましい。強度向上の観点から、MD/TD/カレンダープロセスでは、MD延伸後にTD延伸を行う逐次延伸がさらに好ましい。
乾式ラメラ開孔法により得られた微多孔性フィルムの微多孔部の表面の少なくとも一部を、ポリオレフィン樹脂(A)とは異なるコーティング樹脂(C)でコーティングして、コーティングされた微多孔性フィルムを形成することが好ましい。ポリオレフィン樹脂(A)、及びポリオレフィン樹脂(A)とは異なるコーティング樹脂(C)は、上記で説明されたとおりである。
微多孔性フィルムの微多孔部の表面の一部分又は全てを樹脂(C)で覆うことによって、微多孔性フィルムの最外面(すなわち、フィルムの表面)に全ての樹脂(C)が定着することなく、樹脂(C)はポリオレフィン樹脂(A)で形成される微多孔性フィルムの微多孔中の網目に浸入し、微多孔の表面に送達され、それにより微多孔性フィルムの透気度を維持しながら突刺深度を向上させることができる。セパレータの耐電圧性の観点からは、微多孔部を構成するフィブリルを樹脂(C)で覆うことが好ましい。
より多くのフィブリルを樹脂(C)で覆うという観点から、樹脂(C)を溶解又は分散させた溶液を用いて微多孔性フィルムの微多孔部をコーティングすることが好ましい。同様の観点から、樹脂(C)を溶解させた溶液は、樹脂(C)をヘキサン、オクタン、塩化メチレン等の有機溶媒に溶解させた溶液であることがより好ましい。樹脂(C)を分散させた溶液は、樹脂(C)とイソプロピルアルコール(IPA)および/または界面活性剤と水を含む水系ラテックスであることがより好ましい。
セパレータの強度と非水系電解液への濡れ性の観点から、樹脂(C)による微多孔性フィルムの微多孔部のコーティングは、樹脂(C)を溶解又は分散させた溶液に微多孔性フィルムを含浸させることにより行なわれることが好ましい。樹脂(C)による微多孔性フィルムの微多孔部のコーティングは、セパレータの強度の観点から、ポリオレフィン樹脂(A)から成るフィブリルに対して、樹脂(C)の構成単位であるモノマーを電子線によりグラフト重合することを含まないことがより好ましい。
樹脂(C)を溶解又は分散させた溶液への微多孔性フィルムの含浸は、樹脂(C)を分散若しくは溶解させた溶液の槽に微多孔性フィルムをディッピングするか、又は樹脂(C)を分散若しくは溶解させた溶液を微多孔性フィルムの外表面に塗工して樹脂(C)を微多孔性フィルム内部の微多孔に浸透させることにより行なわれることができる。
樹脂(C)を分散若しくは溶解させた溶液の槽への微多孔性フィルムのディッピングは、20〜60℃で0.5〜15分間に亘って行われることが好ましい。
樹脂(C)を分散若しくは溶解させた溶液の微多孔性フィルム外表面への塗工は、印刷機、コーター、手動での塗布、樹脂(C)溶液又は樹脂(C)分散液のフィルムへの滴加などにより行なわれることができる。
樹脂(C)により微多孔部がコーティングされた微多孔性フィルムを少なくとも一対のカレンダーロールに通してよい。一対のカレンダーロールは、上記で説明された乾式ラメラ開孔法に使用されるとおりである。
微多孔表面に樹脂(C)を定着させるという観点から、微多孔表面に樹脂(C)をコーティングした後に、大気雰囲気下または不活性ガス雰囲気下で20〜100℃の温度で、コーティングされた微多孔性フィルムを乾燥させることが好ましい。
[樹脂(B)と微多孔性フィルムの複合化]
樹脂(B)と微多孔性フィルムの複合化は、微多孔性フィルム面に対する樹脂(B)の滴下、微多孔性フィルムへの樹脂(B)の塗工、微多孔性フィルム上での樹脂(B)含有塗料の印刷、樹脂(B)中での微多孔性フィルムの含浸、樹脂(B)への微多孔性フィルムのディッピングなどの方法により行なわれることができる。樹脂(B)は、上記で説明されたとおりである。
第二の実施形態において、微多孔性フィルムに対する樹脂(B)の塗工量又は塗工面積は、例えば、樹脂(B)の濃度、樹脂(B)を含む塗布液の塗布量、塗布方法及び塗布条件を変更することにより調整することができる。
樹脂(B)を微多孔性フィルム又はフィラー多孔層の面の一部にのみ配置する場合、樹脂(B)の配置パターンとしては、例えば、ドット状、斜線状、ストライプ状、格子状、縞状、亀甲状、ランダム状等、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
樹脂(B)中での微多孔性フィルムの含浸及び樹脂(B)への微多孔性フィルムのディッピングは、上記で説明された樹脂(C)による微多孔性フィルムのコーティングと同様に行なわれることができる。
[フィラー多孔層の形成]
フィラー多孔層の形成方法としては、例えば、基材の少なくとも片面に、無機フィラーと樹脂バインダとを含む塗工液を塗工する方法を挙げることができる。この場合の塗工液は、分散安定性及び塗工性の向上のために、溶剤、分散剤等を含んでいてもよい。
塗工液を基材に塗工する方法は、必要とする層厚及び塗工面積を実現できる限り特に限定されない。樹脂バインダを含んだフィラー原料と、ポリマー基材原料と、を共押出法により積層して押出してもよいし、基材とフィラー多孔膜とを個別に作製した後に貼り合せてもよい。
なお、上述した各種物性の測定値は、特に断りの無い限り、後述する実施例における測定法に準じて測定される値である。
実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、用いた原材料及び各種特性の評価方法は下記のとおりである。
メルトフローレート(MFR)は、JIS K 7210に準拠し、ポリプロピレン樹脂は210℃及び2.16kgの条件下で、ポリエチレン樹脂は190℃及び2.16kgの条件下でそれぞれ測定した値で示した(単位はg/10分)。測定される樹脂の密度はいずれもJIS K 7112に準拠して測定した値で示した(単位kg/m)。
各種フィルムの特性は下記のようにして測定した。
(1)厚み(μm)
ミツトヨ社製のデジマチックインジケータIDC112を用いて室温23±2℃で多孔性フィルムの厚さを測定した。
(2)気孔率(%)
多孔性フィルムから5cm×5cm角のサンプルを切り出し、そのサンプルの体積と質量から下記式を用いて気孔率を算出した。
気孔率(%)=(体積(cm)−質量(g)/樹脂組成物の密度(g/cm))/体積(cm)×100
(3)透気度(秒/100cc)
JIS P−8117に準拠したガーレー式透気度計にて多孔性フィルムの透気度を測定した。
(4)最大裂け長さ
微多孔膜又はセパレータの裂けた最大長さを測定する試験を説明するための概略図を図1に示す。この試験を行う時に、先端が曲率半径0.5mmの半球状である針(1)を用意し、直径(dia.)11mmの開口部を有するプレート2つ(3,3)の間に試験フィルム(2)を挟み、図1(a)に示される位置関係に従って、針(1)、試験フィルム(2)及びプレート(3,3)をセットした。株式会社イマダ製「MX2−50N」を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、試験フィルム保持プレートの開口部直径11mm及び突刺速度2mm/秒の条件下で突刺試験を行い、針(1)と評価フィルム(2)を接触させ(図1(b))、測定後の評価フィルムのMD方向又はTD方向のいずれかについて、裂けた最大長さ(mm)を測定した。
評価フィルムがセパレータであるときの裂けた最大長さ(mm)をW1として測定した。
評価フィルムがポリオレフィン樹脂(A)のみからなる微多孔性フィルムであるときの裂けた最大長さ(mm)をW2として測定した。
(5)微小短絡試験
正極の作製
正極活物質として数平均粒子径11μmのリチウムのニッケル、マンガン及びコバルト混合酸化物と、導電助剤として数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末及び数平均粒子径48nmのアセチレンブラック粉末と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、混合酸化物:グラファイト炭素粉末:アセチレンブラック粉末:PVDF=100:4.2:1.8:4.6の質量比で混合した。得られた混合物にN−メチル−2−ピロリドンを固形分68質量%となるように投入して更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延して正極とした。圧延後のものをタブ部を除き30mm×50mmの長方形状に打ち抜いて正極を得た。
負極の作製
負極活物質として数平均粒子径12.7μmのグラファイト炭素粉末(III)及び数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末(IV)と、バインダーとしてカルボキシメチルセルロース溶液(固形分濃度1.83質量%)と、ジエン系ゴム(ガラス転移温度:−5℃、乾燥時の数平均粒子径:120nm、分散媒:水、固形分濃度40質量%)とを、グラファイト炭素粉末(III):グラファイト炭素粉末(IV):カルボキシメチルセルロース溶液:ジエン系ゴム=90:10:1.44:1.76の固形分質量比で全体の固形分濃度が45質量%になるように混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のものをタブ部を除き32mm×52mmの長方形状に打ち抜いて負極を得た。
電解液の調製
エチレンカーボネート(表中では「EC」とも表記する)とエチルメチルカーボネート(表中では「MEC」とも表記する)とを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPF塩を1mol/L含有させて電解液Aを得た。
電池の作製
上述のようにして作製した正極と負極とを、実施例又は比較例で得られたセパレータの両側に重ね合わせた積層体を、アルミニウム箔(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正負極の端子を突設させながら挿入した後、電解液Aを0.5mL袋内に注入し、−90kPaに減圧後、−30kPaに戻す操作を2回実施した後、−95kPaで5分間保持した。常圧に戻した後、−85kPaに減圧後、仮封止を行って、シート状ラミネートリチウムイオン二次電池を作製した。減圧、仮封止に際しては、株式会社テクニー製の減圧シール装置(型式:M−3295)を用いた。
リチウムイオン二次電池の充電及び放電
測定用のリチウムイオン二次電池として、1C=15mAとなる小型電池を作製して用いた。リチウムイオン二次電池の充電及び放電容量の測定は、アスカ電子(株)製充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製恒温槽PLM−63S(商品名)を用いて行った。
得られたリチウムイオン二次電池を、25℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、商品名「PLM−73S」)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、商品名「ACD−01」)に接続し、20時間静置した。次いで、その電池を0.2Cの定電流で4.2Vまで充電し、4.2Vを保持するようにして、充電電流が0.02Cに収束するまで初回充電を行った。その後、10分間の休止を経て、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。この充放電を3回行い、コンディショニングを完了させた。
微小短絡現象の確認
コンディショニングを終え、再度4.2Vに充電したラミネートセルと、25℃恒温槽内に設置した試料台との間に1mmの段差を設けた状態でセルをセットし、セルの両端を把持した。直径15.8mmのSUS製丸棒で、セルを圧壊速度0.2mm/s、1.95tonの力で押し潰し、電圧が4.1Vから4.0Vに到達するまで圧壊試験を行い、電圧が4.1Vから4.0Vに到達するまでの時間を測定した。
[実施例1]
ポリオレフィン樹脂(A)としてポリプロピレン樹脂(MFR2.0、密度0.91)を、孔径30mm、L/D(L:押出機の原料供給口から排出口までの距離(m)、D:押出機の内径(m)。以下、同じ。)=30、及び温度200℃に設定した単軸押出機にフィーダーを介して投入し、押出機先端に設置したリップ厚2.5mmのTダイ(200℃)から押し出した。その後直ちに、溶融した樹脂にエアナイフを用いて25℃の冷風を当て、95℃に設定したキャストロールでドロー比200及び巻き取り速度20m/分の条件下で巻き取り、フィルムを成形した。
得られたフィルムを、145℃に加熱された熱風循環オーブン中で1時間アニールを施した。次に、アニール後のフィルムを25℃の温度で縦方向に1.2倍で一軸延伸して、冷延伸フィルムを得た。次いで、冷延伸フィルムを140℃の温度で縦方向に2.5倍で一軸延伸して、150℃で熱固定し一軸延伸フィルムを得た。さらに、一軸延伸フィルムを145℃の温度で横方向に4.0倍で一軸延伸して、145℃で熱固定し、微多孔性フィルム(C1)を得た。
メタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルを87:13(質量比率)で共重合して、樹脂(B)としての非導電性粒子Aを得た。
微多孔性フィルム(C1)に非導電性粒子Aを塗工して担持させ、セパレータを得た。
[実施例2]
表1に示されるPP/PE/PPの三層構造を有する微多孔性フィルム(C2)を、実施例1と同じ乾式多孔化法により得た。微多孔性フィルム(C2)に、表1に示されるコアシェル構造を有する重合体の粒子Bを塗工して担持させ、セパレータを得た。
[比較例1]
微多孔性フィルム(C1)をセパレータとして使用した。
[比較例2]
微多孔性フィルム(C2)をセパレータとして使用した。
実施例1〜2及び比較例1〜2について、使用された樹脂と、微多孔膜及びセパレータの評価結果とを表1に示す。
Figure 2018200786
1 先端が曲率半径0.5mmの半球状である針
2 評価フィルム
3 評価フィルムを保持するプレート
dia. プレート開口部の直径(11mm)

Claims (3)

  1. ポリオレフィン樹脂(A)と、前記ポリオレフィン樹脂(A)とは異なる樹脂(B)とを含むリチウムイオン二次電池用セパレータであって、
    前記樹脂(B)は、少なくとも前記ポリオレフィン樹脂(A)で形成された微多孔性フィルムの表面に存在し、かつ非導電性粒子又はコアシェル構造を有する重合体の粒子からなる群から選択される少なくとも1つであり、
    曲率半径0.5mmの針先端部を有する半球状針で前記セパレータをZ軸方向に2mm/秒の速度で押圧したときに前記セパレータの裂けた最大長さ(mm)が、下記式(1):
    W1/W2≦0.5・・・式(1)
    {式中、
    W1は、前記セパレータで評価したときの裂けた最大長さ(mm)であり、かつ
    W2は、前記ポリオレフィン樹脂(A)のみからなる微多孔性フィルムで評価したときの裂けた最大長さ(mm)である。}
    を満たすことを特徴とする、リチウムイオン二次電池用セパレータ。
  2. 前記ポリオレフィン樹脂(A)で形成された微多孔性フィルムは、
    前記ポリオレフィン樹脂(A)を含む前駆体を縦方向(MD)方向に延伸して多孔化してなる乾式微多孔性フィルム、
    前記ポリオレフィン樹脂(A)を含む前駆体を横方向(TD)方向に延伸して多孔化してなる乾式微多孔性フィルム、及び
    前記ポリオレフィン樹脂(A)を含む前駆体の横方向(TD)延伸後にカレンダー処理をして多孔化してなる乾式微多孔性フィルム
    から成る群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  3. 前記微多孔性フィルムは、前記ポリオレフィン樹脂(A)及び前記樹脂(B)とは異なる樹脂(C)をさらに含み、かつ前記ポリオレフィン樹脂(A)を含む前駆体を少なくとも縦方向(MD)又は横方向(TD)に延伸し、延伸された成形物に前記樹脂(C)を含浸させることにより得られる、請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
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