JP2016172426A - 合成樹脂微多孔フィルム、非水電解液二次電池用セパレータ、及び非水電解液二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、非水電解液二次電池のセパレータとして用いることができ、非水電解液二次電池の充電終止電圧を高く設定した場合にあっても酸化劣化が生じにくい合成樹脂微多孔フィルムを提供する。【解決手段】 本発明の合成樹脂微多孔フィルムは、微小孔部を有する合成樹脂微多孔基材フィルムと、上記合成樹脂微多孔基材フィルムの表面及び上記微小孔部の壁面上に形成され且つポリアミドイミドを含む皮膜層とを含むことを特徴とし、合成樹脂微多孔フィルムは優れた耐高電位性を有しており、合成樹脂微多孔フィルムに高い電位が加わったとしても酸化劣化することが抑制されている。【選択図】なし
Description
本発明は、リチウムイオン電池などの二次電池のセパレータに用いられる合成樹脂微多孔フィルム、非水電解液二次電池用セパレータ及び非水電解液二次電池に関する。
従来から携帯用電子機器の電源としてリチウムイオン二次電池が用いられており、現在も更に高い電流密度で充放電が可能なリチウムイオン二次電池の開発が進められている。
リチウムイオン二次電池は、一般的に正極と、負極と、セパレータとを電解液中に配設することによって構成されている。正極は、アルミニウム箔の表面にコバルト酸リチウム又はマンガン酸リチウムが塗布されることで形成される。負極は、銅箔の表面にカーボンが塗布されることで形成される。そして、セパレータは、正極と負極とを仕切るように配設され、電極間の電気的な短絡を防止している。
リチウムイオン二次電池として、特許文献1には、正極と、負極と、非水電解質と、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータとを備え、前記セパレータは、ポリオレフィン層と、耐酸化層とを含み、前記耐酸化層は、耐酸化性高分子を含み、前記耐酸化性高分子は、主鎖に−CH2−基を含まず、かつ、−CH (CH3)−基を含まず、前記耐酸化層は、正極と対面している、リチウムイオン二次電池が開示されている。
上記セパレータは、ポリオレフィン層と耐酸化層とを含んでいる。この耐酸化層は、特許文献1の段落番号〔0018〕に記載の通り、1〜16μmの厚みを有している一方、ポリオレフィン層に形成されている微小孔部の大きさは通常、1μm以下である。
上記セパレータにおいて、耐酸化層がポリオレフィン層の内部、即ち、微小孔部の壁面にも形成されているとすると、ポリオレフィン層の微小孔部が耐酸化層によって閉塞されてしまい、リチウムイオン二次電池のセパレータとして機能しない。従って、上記セパレータは、微多孔質膜(ポリオレフィン層)の片面にのみ耐酸化層が形成されているに過ぎない。
上記セパレータは、ポリオレフィン層の片面にのみ耐酸化層が形成されているに過ぎないことから、ポリオレフィン層の内部及び耐酸化層が形成されていない面において、耐高電位性に劣る。従って、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を向上する目的で充電終止電圧を高くすると、セパレータが酸化劣化して機械的強度が容易に低下してしまうという問題点を生じる。
本発明は、非水電解液二次電池のセパレータとして用いることができ、非水電解液二次電池の充電終止電圧を高く設定した場合にあっても酸化劣化が生じにくい合成樹脂微多孔フィルム、並びに、これを用いた非水電解液二次電池用セパレータ及び非水電解液二次電池を提供する。
本発明の合成樹脂微多孔フィルムは、微小孔部を有する合成樹脂微多孔基材フィルムと、上記合成樹脂微多孔基材フィルムの表面及び上記微小孔部の壁面上に形成され且つポリアミドイミドを含む皮膜層とを含むことを特徴とする。
合成樹脂微多孔基材フィルムは、フィルムの厚み方向に貫通する微小孔部を含んでいる。微小孔部によって、合成樹脂微多孔フィルムに優れたイオン透過性を付与することができる。これにより合成樹脂微多孔フィルムはその厚み方向にリチウムイオンなどのイオンを透過させることが可能となる。
合成樹脂微多孔基材フィルムは、合成樹脂を含んでおり、熱可塑性樹脂を含んでいることが好ましく、オレフィン系樹脂を含有していることがより好ましい。オレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂などが挙げられ、プロピレン系樹脂を含有していることが好ましく、プロピレン系樹脂を50質量%以上含有していることがより好ましく、プロピレン系樹脂を100質量%含有していることが特に好ましい。
プロピレン系樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが挙げられ、ホモポリプロピレンが好ましい。プロピレン系樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。又、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体の何れであってもよい。
なお、プロピレンと共重合されるオレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィンなどが挙げられ、エチレンが好ましい。
ホモポリプロピレンの結晶性を示す指標として13C−NMR法で測定したアイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が挙げられる。ホモポリプロピレンの13C−NMR法で測定したアイソタクチックペンタッド分率は、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成された炭素−炭素結合により形成された主鎖に対して側鎖である5つのメチル基が全て同方向に位置している立体構造がホモポリプロピレンの分子鎖全体において占める割合をいう。
ホモポリプロピレンの13C−NMR法で測定したアイソタクチックペンタッド分率は、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。アイソタクチックペンタッド分率を90%以上とすることにより、合成樹脂微多孔基材フィルムは、均一に形成された微小孔部を有する。
プロピレン系樹脂の重量平均分子量は、25万〜50万が好ましく、28万〜48万がより好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であるプロピレン系樹脂によれば、合成樹脂微多孔基材フィルムは、均一に形成された微小孔部を有する。
プロピレン系樹脂の分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、7.5〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。分子量分布が上記範囲内であるプロピレン系樹脂によれば、合成樹脂微多孔基材フィルムは、高い表面開口率を有し、イオン透過性に優れていると共に、機械的強度にも優れている。
ここで、プロピレン系樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値である。具体的には、プロピレン系樹脂6〜7mgを採取し、採取したプロピレン系樹脂を試験管に供給した上で、試験管に0.05重量%のBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)のo−DCB(オルトジクロロベンゼン)溶液を加えてプロピレン系樹脂濃度が1mg/mLとなるように希釈して希釈液を作製する。
溶解濾過装置を用いて145℃にて回転数25rpmにて1時間に亘って上記希釈液を振とうさせてプロピレン系樹脂をBHTのo−DCB溶液に溶解させて測定試料とする。この測定試料を用いてGPC法によってプロピレン系樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量を測定することができる。
プロピレン系樹脂における重量平均分子量及び数平均分子量は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置 TOSOH社製 商品名「HLC−8121GPC/HT」
測定条件 カラム:TSKgelGMHHR−H(20)HT×3本
TSKguardcolumn−HHR(30)HT×1本
移動相:o−DCB 1.0mL/分
サンプル濃度:1mg/mL
検出器:ブライス型屈折計
標準物質:ポリスチレン(TOSOH社製 分子量:500〜8420000)
溶出条件:145℃
SEC温度:145℃
測定装置 TOSOH社製 商品名「HLC−8121GPC/HT」
測定条件 カラム:TSKgelGMHHR−H(20)HT×3本
TSKguardcolumn−HHR(30)HT×1本
移動相:o−DCB 1.0mL/分
サンプル濃度:1mg/mL
検出器:ブライス型屈折計
標準物質:ポリスチレン(TOSOH社製 分子量:500〜8420000)
溶出条件:145℃
SEC温度:145℃
プロピレン系樹脂の融点は、160〜170℃が好ましく、160〜165℃がより好ましい。融点が上記範囲内であるプロピレン系樹脂によれば、高温下における機械的強度の低下が抑制されている合成樹脂微多孔基材フィルムを得ることができる。
なお、本発明において、合成樹脂の融点は、示差走査熱量計(例えば、セイコーインスツル社 装置名「DSC220C」など)を用い、下記手順に従って測定することができる。先ず、合成樹脂10mgを25℃から昇温速度10℃/分にて250℃まで加熱し、250℃にて3分間に亘って保持する。次に、合成樹脂を250℃から降温速度10℃/分にて25℃まで冷却して25℃にて3分間に亘って保持する。続いて、合成樹脂を25℃から昇温速度10℃/分にて250℃まで再加熱し、この再加熱工程における吸熱ピークの頂点の温度を、合成樹脂の融点とする。
合成樹脂微多孔基材フィルムの製造方法としては、特に制限されず、従来公知の湿式法又は延伸法が用いられる。湿式法は、例えば、合成樹脂と充填剤や可塑剤とを含んでいる樹脂組成物を成形することにより合成樹脂フィルムを得る工程と、この合成樹脂フィルムから充填剤や可塑剤を抽出することにより微小孔部が形成されてなる合成樹脂微多孔基材フィルムを得る工程とを有している。一方、延伸法は、合成樹脂フィルムを一軸延伸又は二軸延伸させることにより微小孔部が形成されてなる合成樹脂微多孔基材フィルムを得る工程を有している。
合成樹脂微多孔基材フィルムとしては、延伸法によって製造された合成樹脂微多孔基材フィルムは、その微小孔部の壁面に皮膜層を形成し易く、耐高電位性に優れた合成樹脂微多孔フィルムを得ることができる。
合成樹脂微多孔基材フィルムを延伸法により製造する方法として、具体的には、
(1)合成樹脂を押し出すことにより合成樹脂フィルムを得る工程と、この合成樹脂フィルム中にラメラ結晶を発生及び成長させる工程と、合成樹脂フィルムを延伸してラメラ結晶間を離間させることにより微小孔部が形成されてなる合成樹脂微多孔基材フィルムを得る工程とを有する方法;
(2)合成樹脂と充填剤とを含んでいる合成樹脂組成物を押し出すことにより合成樹脂フィルムを得る工程と、この合成樹脂フィルムを一軸延伸又は二軸延伸して合成樹脂と充填剤との界面を剥離させることにより微小孔部が形成されてなる合成樹脂微多孔基材フィルムを得る工程とを有する方法;及び
(3)合成樹脂と抽出可能物(例えば、充填剤や可塑剤など)とを含んでいる合成樹脂組成物を押し出すことにより合成樹脂フィルムを得る工程と、合成樹脂フィルムから抽出可能物を溶剤によって抽出することにより微小孔部を形成する工程と、微小孔部を形成した合成樹脂フィルムを延伸することにより合成樹脂微多孔基材フィルムを得る工程とを有する方法などが挙げられる。
(1)合成樹脂を押し出すことにより合成樹脂フィルムを得る工程と、この合成樹脂フィルム中にラメラ結晶を発生及び成長させる工程と、合成樹脂フィルムを延伸してラメラ結晶間を離間させることにより微小孔部が形成されてなる合成樹脂微多孔基材フィルムを得る工程とを有する方法;
(2)合成樹脂と充填剤とを含んでいる合成樹脂組成物を押し出すことにより合成樹脂フィルムを得る工程と、この合成樹脂フィルムを一軸延伸又は二軸延伸して合成樹脂と充填剤との界面を剥離させることにより微小孔部が形成されてなる合成樹脂微多孔基材フィルムを得る工程とを有する方法;及び
(3)合成樹脂と抽出可能物(例えば、充填剤や可塑剤など)とを含んでいる合成樹脂組成物を押し出すことにより合成樹脂フィルムを得る工程と、合成樹脂フィルムから抽出可能物を溶剤によって抽出することにより微小孔部を形成する工程と、微小孔部を形成した合成樹脂フィルムを延伸することにより合成樹脂微多孔基材フィルムを得る工程とを有する方法などが挙げられる。
なかでも、本発明による効果を特に発揮することができることから、(1)の方法によるラメラ延伸法が好ましい。
合成樹脂微多孔基材フィルムの作製方法として、好ましくは、下記工程、
合成樹脂を、押出機中で溶融混練して押出すことにより、合成樹脂フィルムを得る押出工程と、
上記合成樹脂フィルムを養生する養生工程と、
上記養生工程後の上記合成樹脂フィルムを一軸延伸する延伸工程と、
上記延伸工程後の上記合成樹脂フィルムをアニーリングするアニーリング工程と、
を有する方法が用いられる。
合成樹脂を、押出機中で溶融混練して押出すことにより、合成樹脂フィルムを得る押出工程と、
上記合成樹脂フィルムを養生する養生工程と、
上記養生工程後の上記合成樹脂フィルムを一軸延伸する延伸工程と、
上記延伸工程後の上記合成樹脂フィルムをアニーリングするアニーリング工程と、
を有する方法が用いられる。
先ず、押出工程では、合成樹脂を押出機に供給して溶融混練し、上記押出機の先端に取り付けたTダイから押出すことにより、好ましくは長尺状の合成樹脂フィルムを得る。
次に、養生工程では、上述した押出工程により得られた合成樹脂フィルムを養生する。この養生工程は、押出工程において合成樹脂フィルム中に生成させたラメラ結晶を成長させるために行う。このことにより、合成樹脂フィルムの押出方向に結晶化部分(ラメラ)と非結晶部分とが交互に配列してなる積層ラメラ構造の形成を促進させることができ、後述する延伸工程において、ラメラ結晶内ではなく、ラメラ結晶間の非結晶部分において亀裂を発生させ、この亀裂を起点として微小な貫通孔(微小孔部)を形成することができる。
養生工程は、押出工程により得られた合成樹脂フィルムを、(Tm−30)〜(Tm−5)℃にて、1分以上養生することにより行うことが好ましい。なお、上記Tmは、合成樹脂の融点とする。
次に、延伸工程では、養生工程後の合成樹脂フィルムを一軸延伸する。一軸延伸は、合成樹脂フィルムの押出方向に行われることが好ましい。延伸工程において、合成樹脂フィルム中のラメラ結晶部は殆ど溶融しておらず、延伸によってラメラ結晶同士を離間させることによって、非結晶部が延伸されてミクロフィブリルを形成しながら微小孔部を形成することができる。ミクロフィブリルは、隣接するラメラ結晶部同士を連結するようにして形成される。これにより、微小孔部は、フィルムの押出方向(延伸方向)に相互に隣接するラメラ結晶部と、フィルムの幅方向に相互に隣接するミクロフィブリルとによって隔てられて形成されている。
延伸工程は、下記工程、
養生工程後の合成樹脂フィルムを、その表面温度が−20℃以上100℃未満にて延伸倍率1.2〜1.6倍に一軸延伸する第一延伸工程と、
上記第一延伸工程において延伸が施された上記合成樹脂フィルムを、その表面温度が100〜150℃にて延伸倍率1.2〜3.0倍に一軸延伸する第二延伸工程と、
を有する方法により行われることが好ましい。なお、第一延伸工程及び第二延伸工程において、合成樹脂フィルムの押出方向に一軸延伸が行われることが好ましい。
養生工程後の合成樹脂フィルムを、その表面温度が−20℃以上100℃未満にて延伸倍率1.2〜1.6倍に一軸延伸する第一延伸工程と、
上記第一延伸工程において延伸が施された上記合成樹脂フィルムを、その表面温度が100〜150℃にて延伸倍率1.2〜3.0倍に一軸延伸する第二延伸工程と、
を有する方法により行われることが好ましい。なお、第一延伸工程及び第二延伸工程において、合成樹脂フィルムの押出方向に一軸延伸が行われることが好ましい。
なお、本発明において、合成樹脂フィルムの延伸倍率とは、延伸後の延伸方向の合成樹脂フィルムの長さを、延伸前の上記延伸方向と同一方向の合成樹脂フィルムの長さで除した値をいう。
次に、アニーリング工程では、延伸工程後、好ましくは第二延伸工程後の合成樹脂フィルムをアニーリングする。アニーリング工程によれば、上述した延伸工程において加えられた延伸によって合成樹脂フィルムに生じた残存歪みを緩和することができ、これにより合成樹脂微多孔基材フィルムの熱収縮を低減することができる。
アニーリング工程は、延伸工程後、好ましくは第二延伸工程後の合成樹脂フィルムを、その表面温度が(Tm−35)℃以上で且つ上記合成樹脂の融点以下にて加熱しながら、押出方向に5〜25%の収縮率で収縮させることにより行うことが好ましい。
なお、合成樹脂フィルムの収縮率とは、アニーリング工程後における延伸方向における合成樹脂フィルムの収縮長さを、延伸工程後、好ましくは第二延伸工程後の延伸方向における合成樹脂フィルムの長さで除して100を乗じた値をいう。
合成樹脂微多孔フィルムは、合成樹脂微多孔基材フィルムの表面及び微小孔部の壁面に形成された皮膜層を有する。合成樹脂微多孔フィルムは皮膜層を有することによって、優れた耐高電位性を有する。即ち、合成樹脂微多孔フィルムに高い電位が加わった場合にあっても、皮膜層によって合成樹脂微多孔フィルムが酸化劣化するのが抑制されており、充電終止電圧を高く設定することができる非水電解液二次電池を構成することができる。なお、合成樹脂微多孔基材フィルムの表面とは、微小孔部が中実であると仮定したときの合成樹脂微多孔基材フィルムの両面全面から微小孔部の開口端に相当する部分を除外した部分をいう。合成樹脂微多孔基材フィルムの両面とは、最も大きな面積を有する面と、この面の反対側の面をいう。
合成樹脂微多孔基材フィルムの表面及び微小孔部の壁面に形成された皮膜層は、下記の要領で確認することができる。合成樹脂微多孔フィルムの試料にFIB(Focused Ion Beam)加工を行い、合成樹脂微多孔フィルムの断面を露出させ、FE−TEM/EDSにより元素分析を行う。FIB加工によって新しくできた表面を除いた面において、ポリアミドイミド由来の酸素と窒素が均一に分布しているか否かによって、合成樹脂微多孔基材フィルムの表面及び微小孔部の壁面に皮膜層が形成されているか否かの確認ができる。
FE−TEMの観察条件は、例えば、以下の通りである。
FE−TEM:JEM−ARM200F
加速電圧:200kV
STEM−HAADF観察
EDS元素マップ測定
FE−TEMの観察条件は、例えば、以下の通りである。
FE−TEM:JEM−ARM200F
加速電圧:200kV
STEM−HAADF観察
EDS元素マップ測定
皮膜層は、ポリアミドイミドを含有する。ポリアミドイミドは、主鎖に−CH2−構造を含まないことが好ましい。合成樹脂微多孔フィルムに高い電位が加わった場合にあっても、合成樹脂微多孔フィルムの酸化劣化をより抑制することができる。
ポリアミドイミドの数平均分子量は、5000〜40000が好ましく、5000〜35000がより好ましく、6000〜30000が特に好ましい。ポリアミドイミドの数平均分子量が5000以上であると、合成樹脂微多孔フィルムの耐高電位性が向上する。ポリアミドイミドの数平均分子量が40000以下であると、合成樹脂微多孔基材フィルムの微小孔部の壁面に皮膜層を均一に形成することができる。
ポリアミドイミドの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定されたポリエチレンオキシド(PEO)換算した値である。例えば、下記の条件で測定することができる。
GPC装置:製品名「HLC−8120GPC」(東ソー製)
カラム:「TSKgel superAWM−H」+「TSKgel super
AW4000」+「TSKgel superAW2500」(東ソー
製)
流量:0.4ml/min
濃度:1.0g/L
注入量:20μL
カラム温度:40℃
溶離液:10mM−LiBr+NMP
GPC装置:製品名「HLC−8120GPC」(東ソー製)
カラム:「TSKgel superAWM−H」+「TSKgel super
AW4000」+「TSKgel superAW2500」(東ソー
製)
流量:0.4ml/min
濃度:1.0g/L
注入量:20μL
カラム温度:40℃
溶離液:10mM−LiBr+NMP
合成樹脂微多孔基材フィルムの片面に無機微粒子を有することが好ましい。詳細には、合成樹脂微多孔基材フィルムの表面のうちの少なくとも一方の面に形成された皮膜層に無機微粒子が含有されていることが好ましく、合成樹脂微多孔フィルムの表面のうちの双方の面に形成された皮膜層に無機微粒子が含有されていることがより好ましい。合成樹脂微多孔基材フィルムの表面のうちの少なくとも一方の面に形成された皮膜層に無機微粒子が含有されていることによって、合成樹脂微多孔フィルムの耐熱性を向上させることができ、電池内部が高温となった場合であっても電極間の電気的な短絡を抑制することができる非水電解液二次電池を提供することができる。
一方、合成樹脂微多孔基材フィルムの微小孔部の壁面には無機微粒子が含有されていないことが好ましい。微小孔部の壁面に無機微粒子を含有させないことによって、合成樹脂微多孔フィルムのイオン透過性を向上させることができる。
無機微粒子としては、特に限定されないが、酸化アルミニウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及びチタン酸バリウムからなる群から選ばれた一種以上の無機微粒子が好ましい。なお、無機微粒子は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
無機微粒子の平均粒子径は、0.05〜2.0μmが好ましく、0.2〜1.0μmがより好ましい。無機微粒子の平均粒子径が0.05μm以上であると、合成樹脂微多孔フィルムの耐熱性が向上し、電池内部が高温となった場合であっても電極間の電気的な短絡をより抑制することができる非水電解液二次電池を提供することができる。無機微粒子の平均粒子径が2.0μm以下であると、皮膜層中に無機微粒子を微分散させることができ、皮膜層の機械的強度、ひいては、合成樹脂微多孔フィルムの機械的強度が向上し、電極間の電気的な短絡をより防止することができる。なお、無機微粒子の平均粒子径は、JIS Z8825:2013にしたがって測定された値をいう。
合成樹脂微多孔基材フィルムの表面のうちの少なくとも一方の面に形成された皮膜層中における無機微粒子の含有量は、ポリアミドイミド100重量部に対して100〜900質量部が好ましく、200〜800質量部がより好ましく、300〜700質量部が特に好ましい。無機微粒子の含有量が100〜900質量部であると、合成樹脂微多孔フィルムの耐熱性及び機械的強度が向上し、電極間の電気的な短絡をより抑制することができる非水電解液二次電池を提供することができる。
皮膜層の厚みは、1〜100nmが好ましく、5〜50nmがより好ましい。厚みが上記範囲内である皮膜層であれば、合成樹脂微多孔フィルムの高いイオン透過性を維持しながら、合成樹脂微多孔フィルムの表面及び微小孔部の壁面を均一に被覆して、合成樹脂微多孔フィルムに高い電位が加わった場合にあっても、合成樹脂微多孔フィルムの酸化劣化をより抑制することができる。なお、皮膜層の厚みは、合成樹脂微多孔フィルムの断面をFE−TEM元素分布マッピング方法を用いて測定した値をいう。
合成樹脂微多孔基材フィルムの表面及び微小孔部に皮膜層を形成する方法としては、特に限定されず、例えば、ポリアミドイミドを含有するポリアミドイミド溶液を合成樹脂微多孔基材フィルムの表面に塗布し、ポリアミドイミド溶液を合成樹脂微多孔基材フィルムの微小孔部に含浸させて微小孔部の壁面にも塗布した後、ポリアミドイミド溶液中に含まれている溶媒を除去することによって皮膜層を形成する方法が挙げられる。
ポリアミドイミド溶液は、ポリアミドイミドを溶媒に溶解させてなる。溶媒としては、ポリアミドイミドを溶解させることができれば、特に限定されないが、ポリアミドイミド溶液を合成樹脂微多孔基材フィルムの微小孔部の壁面に均一に塗布することができるので、合成樹脂微多孔基材フィルムに含まれている合成樹脂に対して親和性の高い溶媒を用いることが好ましい。合成樹脂微多孔基材フィルムにオレフィン系樹脂が含有されている場合、合成樹脂に対して親和性の高い溶媒としては、酢酸エチル、キシレン及びトルエンからなる群から選ばれた一種以上の溶媒が好ましい。なお、溶媒は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。合成樹脂に対して親和性が高いか否かは、溶解性パラメーター(Solubility parameter)を基準にして判断されればよい。
ポリアミドイミド溶液を構成している溶媒中において、合成樹脂微多孔基材フィルムに含まれている合成樹脂に対して親和性の高い溶媒の含有量は10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上が特に好ましい。
ポリアミドイミド溶液を構成している溶媒中において、合成樹脂微多孔基材フィルムに含まれている合成樹脂に対して親和性の高い溶媒以外の溶媒が含有されていてもよい。このような溶媒としては、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
ポリアミドイミド溶液中におけるポリアミドイミドの含有量は、ポリアミドイミド及び溶剤の合計量を100質量%としたとき、1〜5質量%が好ましく、1〜4質量%がより好ましく、2〜3質量%が特に好ましい。ポリアミドイミド溶液中におけるポリアミドイミドの含有量を上記範囲とすることによって、合成樹脂微多孔基材フィルムの表面及び微小孔部の壁面に、微小孔部のイオン透過性を良好に維持しながら、皮膜層を均一に形成することができる。よって、合成樹脂微多孔フィルムは、優れた耐高電位性及びイオン透過性に優れている。
無機微粒子が含有された皮膜層を形成する方法としては、特に限定されないが、無機微粒子を含有するポリアミドイミド溶液を製造し、このポリアミドイミド溶液を合成樹脂微多孔基材フィルムの表面に塗布し、ポリアミドイミド溶液を合成樹脂微多孔基材フィルムの微小孔部に含浸させてポリアミドイミド溶液を微小孔部の壁面にも塗布した後、ポリアミドイミド溶液中に含まれている溶媒を除去することによって、無機微粒子を含有する皮膜層を形成する方法が好ましい。この方法によれば、合成樹脂微多孔基材フィルムの表面に塗布されたポリアミドイミド溶液に含まれている無機微粒子の殆どは、合成樹脂微多孔基材フィルムの微小孔部内に移動せず、合成樹脂微多孔基材フィルムの表面に滞留する。従って、合成樹脂微多孔基材フィルムの表面に形成された皮膜層中に、無機微粒子の殆どを含有させることができ、合成樹脂微多孔フィルムの耐熱性及び透気性をより向上させることができる。
ポリアミドイミド溶液中における無機微粒子の含有量は、ポリアミドイミド100質量部に対して100〜900質量部が好ましく、200〜800質量部がより好ましく、300〜700質量部が特に好ましい。無機微粒子の含有量が上記範囲内であると、合成樹脂微多孔フィルムの耐熱性及び機械的強度が向上し、電極間の電気的な短絡をより抑制することができる非水電解液二次電池を提供することができる。
合成樹脂微多孔フィルムの厚さは、5〜40μmが好ましく、5〜30μmがより好ましい。
なお、本発明において、合成樹脂微多孔フィルムの厚みの測定は、次の要領に従って行うことができる。すなわち、合成樹脂微多孔フィルムの任意の10箇所をダイヤルゲージを用いて測定し、その相加平均値を合成樹脂微多孔フィルムの厚みとする。
合成樹脂微多孔フィルムの透気度は、50〜600sec/100mLが好ましく、80〜600sec/100mLがより好ましく、100〜300sec/100mLが特に好ましい。透気度が上記範囲内である合成樹脂微多孔フィルムは、機械的強度とイオン透過性の双方に優れている。
なお、合成樹脂微多孔フィルムの透気度は、温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下でJIS P8117に準拠して、合成樹脂微多孔フィルムの任意の箇所10箇所の透気度を測定し、その相加平均値を算出することにより得られた値とする。
合成樹脂微多孔フィルムの表面開口率は、30〜55%が好ましく、30〜50%がより好ましい。表面開口率が上記範囲内である合成樹脂微多孔フィルムは、機械的強度とイオン透過性の双方に優れている。
なお、合成樹脂微多孔フィルムの表面開口率は下記の要領で測定することができる。先ず、合成樹脂微多孔フィルム表面の任意の部分において、縦9.6μm×横12.8μmの平面長方形状の測定部分を定め、この測定部分を倍率1万倍にて写真撮影する。
次いで、測定部分内に形成された各微小孔部を、長辺と短辺の何れか一方が押出方向に平行となる長方形で囲む。この長方形は、長辺及び短辺が共に最小寸法となるように調整する。上記長方形の面積を各微小孔部の開口面積とする。各微小孔部の開口面積を合計して微小孔部の総開口面積S(μm2)を算出する。この微小孔部の総開口面積S(μm2)を122.88μm2(9.6μm×12.8μm)で除して100を乗じた値を表面開口率(%)とする。なお、測定部分と、測定部分でない部分とに跨がって存在している微小孔部については、微小孔部のうち、測定部分内に存在している部分のみを測定対象とする。
合成樹脂微多孔フィルムにおける微小孔部の開口端の最大長径は、1μm以下が好ましく、100nm〜800nmがより好ましい。微小孔部の開口端の最大長径が1μm以下である合成樹脂微多孔フィルムは、機械的強度に優れていると共に、均一なイオン透過性を有している。このような合成樹脂微多孔フィルムは、デンドライト(樹枝状結晶)の成長による微小な内部短絡(デンドライトショート)の発生を低減することができる。
合成樹脂微多孔フィルムにおける微小孔部の開口端の平均長径は、500nm以下が好ましく、200nm〜500nmがより好ましい。微小孔部の開口端の平均長径が500nm以下である合成樹脂微多孔フィルムは均一なイオン透過性を有しており、これにより微小な内部短絡(デンドライトショート)の発生を低減することができる。
なお、合成樹脂微多孔フィルムにおける微小孔部の開口端の最大長径及び平均長径は次のようにして測定される。先ず、合成樹脂微多孔フィルムの表面をカーボンコーティングする。次に、合成樹脂微多孔フィルムの表面における任意の10個所を走査型電子顕微鏡を用いて倍率1万にて撮影する。なお、撮影範囲は、合成樹脂微多孔フィルムの表面において縦9.6μm×横12.8μmの平面長方形の範囲とする。
得られた写真に現れている各微小孔部の開口端の長径を測定する。微小孔部における開口端の長径のうち、最大の長径を微小孔部の開口端の最大長径とする。各微小孔部における開口端の長径の相加平均値を微小孔部の開口端の平均長径とする。なお、微小孔部の開口端の長径とは、この微小孔部の開口端を包囲し得る最小径の真円の直径とする。撮影範囲と、撮影範囲でない部分とに跨がって存在している微小孔部については、測定対象から除外する。
合成樹脂微多孔フィルムの空孔率は、35〜65%が好ましく、40〜60%がより好ましい。空孔率が上記範囲内である合成樹脂微多孔フィルムは、機械的強度とイオン透過性の双方に優れている。
なお、合成樹脂微多孔フィルムの空孔率は下記の要領で測定することができる。先ず、合成樹脂微多孔フィルムを裁断することにより縦10cm×横10cmの平面正方形状の試験片を得る。次に、試験片の重量W(g)及び厚みT(cm)を想定し、下記式(1)により見掛け密度ρ(g/cm3)を算出する。なお、試験片の厚みは、ダイヤルゲージ(例えば、株式会社ミツトヨ製 シグナルABSデジマチックインジケータ)を用いて、試験片の厚みを15箇所測定し、その相加平均値とする。そして、この見掛け密度ρ(g/cm3)及び合成樹脂自体の密度ρ0(g/cm3)を用いて下記式(2)に基づいて合成樹脂微多孔フィルムの空孔率P(%)を算出することができる。
見掛け密度ρ(g/cm3)=W/(100×T) (1)
空孔率P[%]=100×[(ρ0−ρ)/ρ0] (2)
合成樹脂自体の密度ρ0(g/cm3)は、ピクノメータを用いて求めた試料の体積(10回測定結果の相加平均値)と重量を用いて算出した値である。合成樹脂自体の密度ρ0(g/cm3)は、例えば、下記の条件にて測定することができる。
装置名:M−Ultrapyc 1200e
使用ガス:He
パージ方式(時間):Flow (3分)
圧力:17.0psig
測定温度:25℃
測定回数:10回
見掛け密度ρ(g/cm3)=W/(100×T) (1)
空孔率P[%]=100×[(ρ0−ρ)/ρ0] (2)
合成樹脂自体の密度ρ0(g/cm3)は、ピクノメータを用いて求めた試料の体積(10回測定結果の相加平均値)と重量を用いて算出した値である。合成樹脂自体の密度ρ0(g/cm3)は、例えば、下記の条件にて測定することができる。
装置名:M−Ultrapyc 1200e
使用ガス:He
パージ方式(時間):Flow (3分)
圧力:17.0psig
測定温度:25℃
測定回数:10回
合成樹脂微多孔フィルムの孔密度は、15個/μm2以上が好ましく、17個/μm2以上がより好ましい。孔密度が15個/μm2以上である合成樹脂微多孔フィルムは、イオン透過性に優れている。
なお、合成樹脂微多孔フィルムの孔密度は、下記の要領で測定する。先ず、合成樹脂微多孔フィルム表面の任意の部分において、縦9.6μm×横12.8μmの平面長方形状の測定部分を定め、この測定部分を倍率1万倍にて写真撮影する。そして、測定部分において微小孔部の個数を測定し、この個数を122.88μm2(9.6μm×12.8μm)で除すことによって孔密度を算出することができる。
合成樹脂微多孔フィルムは、リチウムイオン二次電池などの非水電解液二次電池、リチウム一次電池などの非水電解液一次電池、電気二重層キャパシタなどの非水電解液を用いた電気化学素子に用いることができるが、非水電解液二次電池用セパレータとして好適に用いられ、リチウムイオン二次電池用セパレータとしてより好適に用いられる。合成樹脂微多孔フィルムは優れた耐高電位性を有していることから、非水電解液二次電池の充電終止電圧を高く設定した場合にあっても酸化劣化が生じにくい。よって、得られる非水電解液二次電池は、高電流密度で充放電を行うことが可能である。
更に、合成樹脂微多孔フィルムの皮膜層に無機微粒子が含有されている場合には、合成樹脂微多孔フィルムは優れた耐熱性を有しており、このような合成樹脂微多孔フィルムをセパレータとして用いることによって、電池内部が高温となった場合であっても電極間の電気的な短絡が抑制された非水電解液二次電池を提供することができる。
非水電解液とは、水を含まない溶媒に電解質塩を溶解させた電解液である。リチウムイオン二次電池に用いられる非水電解液としては、例えば、非プロトン性有機溶媒に、リチウム塩を溶解した非水電解液が挙げられる。非プロトン性有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、及びエチレンカーボネートなどの環状カーボネートと、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、及びジメチルカーボネートなどの鎖状カーボネートとの混合溶媒などが挙げられる。また、リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、及びLiN(SO2CF3)2などが挙げられる。
本発明の合成樹脂微多孔フィルムは、合成樹脂微多孔基材フィルムの表面及び微小孔部に、ポリアミドイミドを含有する皮膜層が形成されていることから、合成樹脂微多孔フィルムは優れた耐高電位性を有しており、合成樹脂微多孔フィルムに高い電位が加わったとしても酸化劣化することが抑制されている。従って、合成樹脂微多孔フィルムは、非水電解液二次電池用セパレータとして好適に用いることができ、非水電解液二次電池の充電終止電圧を高く設定した場合にあっても酸化劣化が生じにくく、得られる非水電解液二次電池は、高電流密度で充放電を行うことが可能である。
上記合成樹脂微多孔フィルムにおいて、合成樹脂微多孔基材フィルムの表面のうちの少なくとも一方の面に形成された皮膜層は無機微粒子を含有している場合には、合成樹脂微多孔フィルムは優れた耐熱性を有している。この合成樹脂微多孔フィルムによれば、電池内部が高温となった場合であっても電極間の電気的な短絡を抑制することができる非水電解液電池を提供することができる。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(実施例1)
1.ホモポリプロピレン微多孔フィルムの作製
(押出工程)
ホモポリプロピレン(重量平均分子量413000、数平均分子量44300、融点163℃、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)97%)を押出機に供給して、樹脂温度200℃にて溶融混練した後、押出機の先端に取り付けられたTダイからフィルム状に押出し、表面温度が30℃となるまで冷却して、長尺状のホモポリプロピレンフィルム(厚み30μm、幅200mm)を得た。なお、押出量は12kg/時間、製膜速度は22m/分、ドロー比は70であった。
1.ホモポリプロピレン微多孔フィルムの作製
(押出工程)
ホモポリプロピレン(重量平均分子量413000、数平均分子量44300、融点163℃、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)97%)を押出機に供給して、樹脂温度200℃にて溶融混練した後、押出機の先端に取り付けられたTダイからフィルム状に押出し、表面温度が30℃となるまで冷却して、長尺状のホモポリプロピレンフィルム(厚み30μm、幅200mm)を得た。なお、押出量は12kg/時間、製膜速度は22m/分、ドロー比は70であった。
(養生工程)
次に、長尺状のホモポリプロピレンフィルムを芯体にロール状に巻取ることによりホモポリプロピレンフィルムロールを得た。このホモポリプロピレンフィルムロールを、その軸芯方向が水平となるように保持した状態で、芯体の軸芯を中心として周方向に回転数0.1rpmで回転させながら、ホモポリプロピレンフィルムロールを設置している場所の雰囲気温度が155℃である熱風炉中で24時間に亘って放置して養生した。
次に、長尺状のホモポリプロピレンフィルムを芯体にロール状に巻取ることによりホモポリプロピレンフィルムロールを得た。このホモポリプロピレンフィルムロールを、その軸芯方向が水平となるように保持した状態で、芯体の軸芯を中心として周方向に回転数0.1rpmで回転させながら、ホモポリプロピレンフィルムロールを設置している場所の雰囲気温度が155℃である熱風炉中で24時間に亘って放置して養生した。
(第一延伸工程)
次に、養生を施したホモポリプロピレンフィルムロールからホモポリプロピレンフィルムを0.5m/分の巻出速度で連続的に巻き出し、ホモポリプロピレンフィルムの表面温度が23℃となるようにして50%/分の延伸速度にて延伸倍率1.2倍に押出方向にのみ一軸延伸装置を用いて一軸延伸した。
次に、養生を施したホモポリプロピレンフィルムロールからホモポリプロピレンフィルムを0.5m/分の巻出速度で連続的に巻き出し、ホモポリプロピレンフィルムの表面温度が23℃となるようにして50%/分の延伸速度にて延伸倍率1.2倍に押出方向にのみ一軸延伸装置を用いて一軸延伸した。
(第二延伸工程)
続いて、ホモポリプロピレンフィルムを一軸延伸装置を用いて表面温度が120℃となるようにして42%/分の延伸速度にて延伸倍率2倍に押出方向にのみ一軸延伸した(第二延伸工程)。
続いて、ホモポリプロピレンフィルムを一軸延伸装置を用いて表面温度が120℃となるようにして42%/分の延伸速度にて延伸倍率2倍に押出方向にのみ一軸延伸した(第二延伸工程)。
(アニーリング工程)
しかる後、ホモポリプロピレンフィルムを熱風炉に供給し、ホモポリプロピレンフィルムをその表面温度が130℃となるように且つホモポリプロピレンフィルムに張力が加わらないようにして1分間に亘って走行させて、ホモポリプロピレンフィルムにアニールを施すことにより、長尺状で且つ微小孔部を有するホモプロピレン微多孔基材フィルム(厚み25μm)を得た。なお、アニーリング工程におけるホモポリプロピレンフィルムの収縮率は5%とした。
しかる後、ホモポリプロピレンフィルムを熱風炉に供給し、ホモポリプロピレンフィルムをその表面温度が130℃となるように且つホモポリプロピレンフィルムに張力が加わらないようにして1分間に亘って走行させて、ホモポリプロピレンフィルムにアニールを施すことにより、長尺状で且つ微小孔部を有するホモプロピレン微多孔基材フィルム(厚み25μm)を得た。なお、アニーリング工程におけるホモポリプロピレンフィルムの収縮率は5%とした。
ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムにおける微小孔部の開口端は、最大長径が610nmで且つ平均長径が360nmであった。ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムは、表面開口率が38%であり、孔密度が15個/μm2であった。
2.皮膜層の作製
エタノール50質量%及びトルエン50質量%を含有する溶媒に、ポリアミドイミド(東洋紡社製 商品名「バイロマックスHR15ET」、数平均分子量:6000)を固形分濃度が3質量%となるように添加して溶解させ、更に、酢酸エチルを添加してポリアミドイミド溶液を作製した。ポリアミドイミド溶液中のポリアミドの含有量は2.4質量%であった。ポリアミドイミド溶液の溶媒は、エタノール40質量%、トルエン40質量%及び酢酸エチル20質量%から構成されていた。なお、ポリアミドイミドは、その主鎖に−CH2−構造は含まれていなかった。
エタノール50質量%及びトルエン50質量%を含有する溶媒に、ポリアミドイミド(東洋紡社製 商品名「バイロマックスHR15ET」、数平均分子量:6000)を固形分濃度が3質量%となるように添加して溶解させ、更に、酢酸エチルを添加してポリアミドイミド溶液を作製した。ポリアミドイミド溶液中のポリアミドの含有量は2.4質量%であった。ポリアミドイミド溶液の溶媒は、エタノール40質量%、トルエン40質量%及び酢酸エチル20質量%から構成されていた。なお、ポリアミドイミドは、その主鎖に−CH2−構造は含まれていなかった。
ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの一面全面にワイヤバーコーター(番線番号No.8)を用いてポリアミドイミド溶液を塗布した。ポリアミドイミド溶液は、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの微小孔部に含浸し、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの他面全面に滲出した。その結果、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの表面及び微小孔部の壁面の全面にポリアミドイミド溶液が均一に塗布された。
しかる後、ポリアミドイミド溶液中の溶媒を80℃の真空環境下にて蒸発、除去することによって、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの表面及び微小孔部の壁面の全面に、ポリアミドイミドから構成された皮膜層を形成し、ホモポリプロピレン微多孔フィルムを得た。
(実施例2)
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に、ポリアミドイミド(東洋紡社製 商品名「バイロマックスHR16NN」、数平均分子量:30000)を固形分濃度が3質量部となるように添加し、更に、酢酸エチル20質量部を添加してポリアミドイミド溶液を作製した。ポリアミドイミド溶液中のポリアミドの含有量は2.5質量%であった。ポリアミドイミド溶液の溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン83質量%及び酢酸エチル17質量%から構成されていた。なお、ポリアミドイミドは、その主鎖に−CH2−構造は含まれていなかった。
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に、ポリアミドイミド(東洋紡社製 商品名「バイロマックスHR16NN」、数平均分子量:30000)を固形分濃度が3質量部となるように添加し、更に、酢酸エチル20質量部を添加してポリアミドイミド溶液を作製した。ポリアミドイミド溶液中のポリアミドの含有量は2.5質量%であった。ポリアミドイミド溶液の溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン83質量%及び酢酸エチル17質量%から構成されていた。なお、ポリアミドイミドは、その主鎖に−CH2−構造は含まれていなかった。
実施例1と同様の要領で、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの表面及び微小孔部の壁面の全面にポリアミドイミド溶液を均一に塗布した。しかる後、ポリアミドイミド溶液中の溶媒を80℃の真空環境下にて蒸発、除去することによって、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの表面及び微小孔部の壁面の全面に、ポリアミドイミドから構成された皮膜層を形成し、ホモポリプロピレン微多孔フィルムを得た。
(実施例3)
実施例1で作製したポリアミドイミド溶液中に、ポリアミドイミド100質量部に対して酸化アルミニウム微粒子(平均粒子径:0.5μm)900質量部を添加し攪拌して均一に混合した。
実施例1で作製したポリアミドイミド溶液中に、ポリアミドイミド100質量部に対して酸化アルミニウム微粒子(平均粒子径:0.5μm)900質量部を添加し攪拌して均一に混合した。
ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの一面全面に、ワイヤバーコーター(番線番号No.8)を用いて、酸化アルミニウム微粒子が混合されたポリアミドイミド溶液を塗布した。ポリアミドイミド溶液は、これに含まれている酸化アルミニウム微粒子を除いてホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの微小孔部に含浸し、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの他面全面に滲出した。その結果、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの表面及び微小孔部の壁面の全面に、ポリアミドイミド及び溶媒が均一に塗布された。しかし、酸化アルミニウム微粒子は、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの微小孔部内に進入することができず、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの一面に留まっていた。
しかる後、ポリアミドイミド溶液中の溶媒を80℃真空環境下で蒸発、除去することによって、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの表面及び微小孔部の壁面の全面に、ポリアミドイミドから構成された皮膜層が形成された。ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの一面全面に形成された皮膜層には酸化アルミニウム微粒子が含有されていた。一方、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの一面以外に形成された皮膜層には酸化アルミニウム微粒子は含有されていなかった。
(実施例4)
実施例3と同様の要領でホモポリプロピレン微多孔フィルムを作製した。次に、ホモポリプロピレン微多孔フィルムの他面全面に、ワイヤバーコーター(番線番号No.8)を用いて、実施例3で用いられた酸化アルミニウム微粒子が混合されたポリアミドイミド溶液を塗布した。ポリアミドイミド溶液は、これに含まれている酸化アルミニウム微粒子を除いてホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの微小孔部に含浸し、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの一面全面に滲出した。その結果、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの表面及び微小孔部の壁面の全面に、ポリアミドイミド及び溶媒が均一に塗布された。しかし、酸化アルミニウム微粒子は、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの微小孔部内に進入することができず、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの他面に留まっていた。
実施例3と同様の要領でホモポリプロピレン微多孔フィルムを作製した。次に、ホモポリプロピレン微多孔フィルムの他面全面に、ワイヤバーコーター(番線番号No.8)を用いて、実施例3で用いられた酸化アルミニウム微粒子が混合されたポリアミドイミド溶液を塗布した。ポリアミドイミド溶液は、これに含まれている酸化アルミニウム微粒子を除いてホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの微小孔部に含浸し、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの一面全面に滲出した。その結果、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの表面及び微小孔部の壁面の全面に、ポリアミドイミド及び溶媒が均一に塗布された。しかし、酸化アルミニウム微粒子は、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの微小孔部内に進入することができず、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの他面に留まっていた。
しかる後、ポリアミドイミド溶液中の溶媒を80℃真空環境下で蒸発、除去することによって、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの表面及び微小孔部の壁面の全面に、ポリアミドイミドから構成された皮膜層が形成された。ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの両面の全面に形成された皮膜層には酸化アルミニウム微粒子が含有されていた。一方、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの両面以外に形成された皮膜層には酸化アルミニウム微粒子は含有されていなかった。
(実施例5)
ポリアミドイミド溶液中に、ポリアミドイミド100質量部に対して酸化アルミニウム微粒子(平均粒子径:0.5μm)700質量部を添加し攪拌して均一に混合したこと以外は、実施例3と同様にしてホモポリプロピレン微多孔フィルムを得た。
ポリアミドイミド溶液中に、ポリアミドイミド100質量部に対して酸化アルミニウム微粒子(平均粒子径:0.5μm)700質量部を添加し攪拌して均一に混合したこと以外は、実施例3と同様にしてホモポリプロピレン微多孔フィルムを得た。
(実施例6)
実施例5で作製したホモポリプロピレン微多孔フィルムを用いたこと、実施例5で作製した、酸化アルミニウム微粒子を含むポリアミドイミド溶液を用いたこと以外は、実施例4と同様の要領で、ホモポリプロピレン微多孔フィルムを得た。
実施例5で作製したホモポリプロピレン微多孔フィルムを用いたこと、実施例5で作製した、酸化アルミニウム微粒子を含むポリアミドイミド溶液を用いたこと以外は、実施例4と同様の要領で、ホモポリプロピレン微多孔フィルムを得た。
(実施例7)
ポリアミドイミドとして、東洋紡社から商品名「バイロマックスHR16NN」で市販されているポリアミドイミド(数平均分子量:30000)を用いたこと以外は実施例3と同様の要領でホモポリプロピレン微多孔フィルムを得た。ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの表面及び微小孔部の壁面の全面には、ポリアミドイミドから構成された皮膜層が形成されていた。ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの一面全面に形成された皮膜層には酸化アルミニウム微粒子が含有されていた。一方、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの一面以外に形成された皮膜層には酸化アルミニウム微粒子は含有されていなかった。
ポリアミドイミドとして、東洋紡社から商品名「バイロマックスHR16NN」で市販されているポリアミドイミド(数平均分子量:30000)を用いたこと以外は実施例3と同様の要領でホモポリプロピレン微多孔フィルムを得た。ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの表面及び微小孔部の壁面の全面には、ポリアミドイミドから構成された皮膜層が形成されていた。ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの一面全面に形成された皮膜層には酸化アルミニウム微粒子が含有されていた。一方、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの一面以外に形成された皮膜層には酸化アルミニウム微粒子は含有されていなかった。
(実施例8)
ポリアミドイミドとして、東洋紡社から商品名「バイロマックスHR16NN」で市販されているポリアミドイミド(数平均分子量:30000)を用いたこと以外は実施例4と同様の要領でホモポリプロピレン微多孔フィルムを得た。ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの両面の全面に形成された皮膜層には酸化アルミニウム微粒子が含有されていた。一方、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの両面以外に形成された皮膜層には酸化アルミニウム微粒子は含有されていなかった。
ポリアミドイミドとして、東洋紡社から商品名「バイロマックスHR16NN」で市販されているポリアミドイミド(数平均分子量:30000)を用いたこと以外は実施例4と同様の要領でホモポリプロピレン微多孔フィルムを得た。ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの両面の全面に形成された皮膜層には酸化アルミニウム微粒子が含有されていた。一方、ホモポリプロピレン微多孔基材フィルムの両面以外に形成された皮膜層には酸化アルミニウム微粒子は含有されていなかった。
(比較例1)
実施例1で得られたホモポリプロピレン微多孔基材フィルムをホモポリプロピレン微多孔フィルムとした。
実施例1で得られたホモポリプロピレン微多孔基材フィルムをホモポリプロピレン微多孔フィルムとした。
得られたホモポリプロピレン微多孔フィルムについて、透気度、厚さ、空孔率、孔密度、及び、皮膜層の厚みを上記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
得られたホモポリプロピレン微多孔フィルムについて、耐高電位性(突き刺し強度維持率)及び熱収縮率を下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
〔耐高電位性(突き刺し強度維持率)〕
1)正極の作製
正極活物質として高電位系正極(LiNi0.5Mn1.5O4、田中化学社製)粉末、アセチレンブラック及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。スラリー中において、高電位系正極(LiNi0.5Mn1.5O4、田中化学社製)粉末は90質量%、アセチレンブラックは5質量%、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)は5質量%含有されていた。得られたスラリーを厚さ20μmのアルミ箔上に塗工し、温度140℃で30分間乾燥した後にプレスして正極シートを得た。その後、正極活物質層が一面に形成されている正極シートを打ち抜くことにより縦50mm×横100mmの平面長方形状の正極を得た。
1)正極の作製
正極活物質として高電位系正極(LiNi0.5Mn1.5O4、田中化学社製)粉末、アセチレンブラック及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。スラリー中において、高電位系正極(LiNi0.5Mn1.5O4、田中化学社製)粉末は90質量%、アセチレンブラックは5質量%、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)は5質量%含有されていた。得られたスラリーを厚さ20μmのアルミ箔上に塗工し、温度140℃で30分間乾燥した後にプレスして正極シートを得た。その後、正極活物質層が一面に形成されている正極シートを打ち抜くことにより縦50mm×横100mmの平面長方形状の正極を得た。
2)負極の作製
負極活物質として天然黒鉛粉末92質量%及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)8質量%をN−メチル−2−ピロリドン中に分散させてスラリーを調製した。スラリー中において、天然黒鉛粉末は92質量%及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)は8質量%含有されていた。得られたスラリーを厚さ15μmの銅箔上に塗工し、温度80℃で30分間減圧乾燥した後にプレスして負極シートを得た。その後、負極活物質層が一面に形成されている負極シートを打ち抜くことにより縦55mm×横105mmの平面長方形状の負極を得た。
負極活物質として天然黒鉛粉末92質量%及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)8質量%をN−メチル−2−ピロリドン中に分散させてスラリーを調製した。スラリー中において、天然黒鉛粉末は92質量%及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)は8質量%含有されていた。得られたスラリーを厚さ15μmの銅箔上に塗工し、温度80℃で30分間減圧乾燥した後にプレスして負極シートを得た。その後、負極活物質層が一面に形成されている負極シートを打ち抜くことにより縦55mm×横105mmの平面長方形状の負極を得た。
3)セパレータの作製
実施例及び比較例で作製された合成樹脂微多孔フィルムを打ち抜くことによって、縦60mm×横110mmの平面長方形状のセパレータを得た。
実施例及び比較例で作製された合成樹脂微多孔フィルムを打ち抜くことによって、縦60mm×横110mmの平面長方形状のセパレータを得た。
4)セル作製
正極と負極とをセパレータを介して積層することにより積層体を得た。その後、各電極にタブリードを超音波溶接により接合した。積層体をアルミラミネート箔からなる外装材に収納した後、外装材をヒートシールして積層体素子を得た。
正極と負極とをセパレータを介して積層することにより積層体を得た。その後、各電極にタブリードを超音波溶接により接合した。積層体をアルミラミネート箔からなる外装材に収納した後、外装材をヒートシールして積層体素子を得た。
次に、積層体素子を、減圧下、60℃で24時間に亘って乾燥した後、Arガスが充満されたグローブボックス(露点−70℃以下)内にて電解液を常温常圧下で注液した。電解液は、溶媒としてエチレンカーボネート(E)とジメチルカーボネート(D)とを3:7の体積比(E:D)で含むLiPF6溶液(1mol/L)を用いた。積層体素子に電解液を注液した後、減圧シールを行い、評価用のリチウムイオン二次電池を作製した。
5)電池評価
上記の要領で作製されたリチウムイオン二次電池を4.0−4.9Vの電圧範囲で、正極中の活物質量から見積もった容量を基準として求めた0.2Cの定電流で充放電を5回実施し、リチウムイオン二次電池が正常に作動することを確認した。その後、4.9Vで900時間定電圧充電を継続した。
上記の要領で作製されたリチウムイオン二次電池を4.0−4.9Vの電圧範囲で、正極中の活物質量から見積もった容量を基準として求めた0.2Cの定電流で充放電を5回実施し、リチウムイオン二次電池が正常に作動することを確認した。その後、4.9Vで900時間定電圧充電を継続した。
定電圧充電後、リチウムイオン二次電池からセパレータを取り出してジメチルカーボネート(DMC)溶媒で洗浄した。洗浄後のセパレータを25℃で3時間に亘って自然乾燥した。
6)耐高電位性の判断
乾燥後のセパレータから、一辺が2.5cmの平面正方形状の試験片を5枚切り出した。次に、JIS Z1707:1998に準拠して、電池試験後の突き刺し強度を測定した。リチウムイオン二次電池のセパレータとして用いられる前の合成樹脂微多孔フィルムから一辺が2.5cmの平面正方形状の試験片を5枚切り出し、上記と同様の要領で、電池試験前の突き刺し強度を測定した。下記式に基づいて突き刺し強度維持率を算出し、突き刺し強度維持率が50%を超えるものを、耐高電位性を有すると判断した。
突き刺し強度維持率(%)=100×電池試験後の突き刺し強度
/電池試験前の突き刺し強度
乾燥後のセパレータから、一辺が2.5cmの平面正方形状の試験片を5枚切り出した。次に、JIS Z1707:1998に準拠して、電池試験後の突き刺し強度を測定した。リチウムイオン二次電池のセパレータとして用いられる前の合成樹脂微多孔フィルムから一辺が2.5cmの平面正方形状の試験片を5枚切り出し、上記と同様の要領で、電池試験前の突き刺し強度を測定した。下記式に基づいて突き刺し強度維持率を算出し、突き刺し強度維持率が50%を超えるものを、耐高電位性を有すると判断した。
突き刺し強度維持率(%)=100×電池試験後の突き刺し強度
/電池試験前の突き刺し強度
〔熱収縮率〕
ホモポリプロピレン微多孔フィルムから、縦2cm×横10cmの平面長方形状の試験片を5枚切り出した。この時、試験片の横方向がホモポリプロピレン微多孔フィルムの長さ方向(押出方向)と平行となるようにした。次に、試験片の横方向に長さ8cm(L0)の標線を引き、試験片を130℃で1時間加熱し、室温にて30分間放置した後、標線の長さ(L1)を測定した。そして、下記式に基づいて加熱熱収縮率を算出し5枚のサンプルの相加平均値を熱収縮率とした。
熱収縮率(%)=100×(L0−L1)/L0
ホモポリプロピレン微多孔フィルムから、縦2cm×横10cmの平面長方形状の試験片を5枚切り出した。この時、試験片の横方向がホモポリプロピレン微多孔フィルムの長さ方向(押出方向)と平行となるようにした。次に、試験片の横方向に長さ8cm(L0)の標線を引き、試験片を130℃で1時間加熱し、室温にて30分間放置した後、標線の長さ(L1)を測定した。そして、下記式に基づいて加熱熱収縮率を算出し5枚のサンプルの相加平均値を熱収縮率とした。
熱収縮率(%)=100×(L0−L1)/L0
Claims (13)
- 微小孔部を有する合成樹脂微多孔基材フィルムと、
上記合成樹脂微多孔基材フィルムの表面及び上記微小孔部の壁面上に形成された皮膜層と、を含み、
上記皮膜層が、ポリアミドイミドを含む皮膜層を含むことを特徴とする合成樹脂微多孔フィルム。 - ポリアミドイミドは、主鎖に−CH2−構造を含まないことを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂微多孔フィルム。
- ポリアミドイミドの数平均分子量が5000〜40000であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の合成樹脂微多孔フィルム。
- 合成樹脂微多孔基材フィルムがオレフィン系樹脂を含有していることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の合成樹脂微多孔フィルム。
- 皮膜層は、ポリアミドイミド及び溶媒を含み且つ上記溶媒中に酢酸エチル、キシレン及びトルエンからなる群から選ばれた一種以上を10質量%以上含有するポリアミドイミド溶液を合成樹脂微多孔基材フィルムに塗布、含浸させて形成されたものであることを特徴とする請求項4に記載の合成樹脂微多孔フィルム。
- 合成樹脂微多孔基材フィルムの片面に無機微粒子を有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の合成樹脂微多孔フィルム。
- 無機微粒子の平均粒子径が0.05〜2.0μmであることを特徴とする請求項6に記載の合成樹脂微多孔フィルム。
- 無機微粒子が、酸化アルミニウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及びチタン酸バリウムからなる群から選ばれた一種以上を含有していることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の合成樹脂微多孔フィルム。
- 透気度が50〜600sec/100mLであることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の合成樹脂微多孔フィルム。
- 表面開口率が30〜55%であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の合成樹脂微多孔フィルム。
- 厚さが5〜40μmで且つ空孔率が35〜65%であることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の合成樹脂微多孔フィルム。
- 請求項1〜11の何れか1項に記載の合成樹脂微多孔フィルムを含んでいることを特徴とする非水電解液二次電池用セパレータ。
- 請求項12に記載の非水電解液二次電池用セパレータを用いていることを特徴とする非水電解液二次電池。
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JP2015054501A JP2016172426A (ja) | 2015-03-18 | 2015-03-18 | 合成樹脂微多孔フィルム、非水電解液二次電池用セパレータ、及び非水電解液二次電池 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018155287A1 (ja) * | 2017-02-23 | 2018-08-30 | 東レ株式会社 | 多孔性フィルム、二次電池用セパレータおよび二次電池 |
JP2018200786A (ja) * | 2017-05-26 | 2018-12-20 | 旭化成株式会社 | リチウムイオン二次電池用セパレータ |
JP2018200796A (ja) * | 2017-05-26 | 2018-12-20 | 旭化成株式会社 | リチウムイオン二次電池用セパレータ |
CN110603661A (zh) * | 2017-04-06 | 2019-12-20 | 旭化成株式会社 | 用于锂离子二次电池的隔板 |
-
2015
- 2015-03-18 JP JP2015054501A patent/JP2016172426A/ja not_active Withdrawn
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