JP2018199793A - 水系接着用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ホルムアルデヒドを含むフェノール樹脂組成物と比較しても、成形材の強度や弾性率等の力学的特性の向上に寄与できる、ホルムアルデヒドを含まない水系接着用組成物を提供する。更に、その水系接着用組成物を用いて得られる成形材を提供する。
【解決手段】(a)糖類及び(b)ラジカル開始剤との生成物である(A)変性糖を含む、水系接着用組成物である。更に、(c)アミン類に由来する構造を有する、水系接着用組成物が好ましい。更に、(B)無機酸塩を含む、水系接着用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、水系接着剤を製造可能な水系接着用組成物、及びそのような水系接着用組成物を用いて製造される成形体に関する。
従来、グラスウール、ロックウール及びセラミックファイバー等の無機繊維を用いた断熱材、防音材及び木材ボード製品等の成形体の製造に用いられる組成物として、機械的強度等の性能に優れ、低コストであることからフェノール樹脂組成物が利用されている。
無機繊維を用いた成形体を製造する際、無機繊維に組成物を付着させ、目的とする成形体の形状に、組成物が付着した無機繊維を成形した後、加熱により組成物を硬化させて、目的の成形体を得る。
従来、組成物として、ホルムアルデヒドを含むフェノール樹脂組成物が広く用いられていたが、近年、環境基準が厳しくなり、ホルムアルデヒドを使用しない組成物が望まれている。
特許文献1〜3には、ホルムアルデヒドを使用しない組成物として、糖類を主成分とし、ポリカルボン酸のアンモニウム塩又は無機酸アンモニウム塩等を配合した組成物が開示されている。
特許文献1は、少なくとも1種の非還元糖、少なくとも1種の無機酸アンモニウム塩と添加剤、および水から成る、鉱物繊維用のホルムアルデヒドを含まないサイズ剤組成物を開示する(特許文献1請求項1等参照)。
特許文献2は、ファイバーマット上に、ホルムアルデヒドを含まない水性バインダー溶液を吹き付ける工程を含む断熱又は防音繊維ガラス製品を作製する方法を開示し、水性バインダー溶液は、メイラード反応物を含み、メイラード反応物は、(i)ポリカルボン酸のアンモニウム塩等からなるアミン反応物及び(ii)1つ以上の還元糖を有する1つ以上の炭水化物反応物等から選択される(引用文献2請求項1〜5等参照)。
特許文献3は、非還元糖と、不飽和モノカルボン酸塩と、無機酸アンモニウム塩とを含むバインダー組成物を開示する(特許文献3請求項1等参照)。特許文献3は、このバインダー組成物を無機繊維に付着させ、無機繊維を集積して集積体を得、集積体を所望の成形体に対応する所定の形状に成形し、バインダー組成物を加熱硬化させ、その後、バインダー組成物を冷却して、成形体を得ることを開示する(特許文献3請求項10、[0057]〜[0067]等参照)。
特許第5931901号公報 特許第5628889号公報 特許第6062099号公報
従来のホルムアルデヒドを使用しない組成物を、成形体の製造に用いた場合、ホルムアルデヒドを含むフェノール樹脂組成物と比べ、熱硬化後の強度や弾性率が劣っていることがあった。
特許文献1〜3の組成物は、ホルムアルデヒドを含まないので環境面では好ましいが、無機繊維成形材や木質成形材の力学的特性(例えば引張弾性率及び引張強度)を十分に向上させることが難しい。
さらに、特許文献1〜3の組成物は、硬化速度が遅いので、無機繊維成形材や木質成形材の生産効率を低下させることがある。製造された成形材が空気中の水分を吸収し易くなることがあるので、耐水性の向上が必要であった。
本発明は、このような事情を鑑みなされたものであり、ホルムアルデヒドを含むフェノール樹脂組成物と比較しても、成形材の強度や弾性率等の力学的特性の向上に寄与できる、ホルムアルデヒドを含まない水系接着用組成物、及びその水系接着用組成物を用いて得られる成形材を提供することを目的とする。
本研究者らは、鋭意研究を続けた結果、ラジカル開始剤によって糖類を変性させることで、ホルムアルデヒドを含まなくても、成形材の力学的特性向上に寄与する水系接着用組成物が得られることを見い出した。更に、アミン類存在下、ラジカル開始剤によって、糖類を変性させると、水系接着用組成物の硬化速度が速くなり、成形材の効率的な製造に有用であり、成形材の力学的特性をより向上させるだけでなく、耐水性についてもより高いレベルまで向上させることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は一の要旨において、(a)糖類及び(b)ラジカル開始剤との生成物である(A)変性糖を含む、水系接着用組成物を提供する。
本発明は、一の態様において、(a)糖類が(b)ラジカル開始剤で処理された(A)変性糖を含む、水系接着用組成物を提供する。
本発明は、他の態様において、更に、(c)アミン類に由来する構造を有する、水系接着用組成物を提供する。
本発明は、好ましい態様において、更に、(B)無機酸塩を含む、水系接着用組成物を提供する。
本発明は、更なる態様において、(b)ラジカル開始剤が過酸化物を含む、水系接着用組成物を提供する。
本発明は、他の好ましい態様において、(c)アミン類がアンモニアを含む、水系接着用組成物を提供する。
本発明は、他の更なる態様において、(B)無機酸塩が無機酸アンモニウム塩を含む、水系接着用組成物を提供する。
本発明は、他の要旨において、下記工程(i):
(i)(a)糖類及び(b)ラジカル開始剤を反応させ、(A)変性糖を製造する工程
を含む、水系接着用組成物の製造方法を提供する。
本発明は、好ましい態様において、下記工程(ii):
(ii)(c)アミン類の存在下、(a)糖類及び(b)ラジカル開始剤を反応させ、(A)変性糖を製造する工程
を含む、水系接着用組成物の製造方法を提供する。
本発明は、更なる態様において、更に、下記工程(iii):
(iii)変性糖と、無機酸塩とを混合する工程
を含む、水系接着用組成物の製造方法を提供する。
本発明は、好ましい要旨において、水系接着用組成物の硬化物を有する、成形材(成形体又は成形品)を提供する。
本発明の形態の水系接着用組成物は、(a)糖類及び(b)ラジカル開始剤との生成物である(A)変性糖を含むので、硬化速度が速くなり、塗布又は散布された材料の効率良い生産に貢献することができる。更に、(c)アミン類の存在下で、(a)糖類及び(b)ラジカル開始剤で(A)変性糖を生成すると、本発明の水系接着用組成物は、硬化速度がより速くなる。
本発明の水系接着用組成物が塗布又は散布された材料を加工、成形及び硬化すると、得られる成形材(成形体又は成形品)の引張強度及び引張弾性率が向上し、成形材の耐水性が向上し、空気中の水分を成形材が吸収し難くなる。
硬化物を含む成形材の性質を考慮すると、本発明の水系接着用組成物は、様々な成形材を製造するために有用であるが、無機繊維を含む成形材及び木質材料を含む成形材の製造に最適である。
本発明の水系接着用組成物に含まれる(A−11)変性糖及び(a−1)スクロースの赤外線吸収スペクトル(IR)を示す。 本発明の水系接着用組成物に含まれる(A−13)変性糖及び(a−2)グルコースのIRを示す。 本発明の水系接着用組成物に含まれる(A−7)変性糖及び(a−3)フルクトースのIRを示す。 本発明の水系接着用組成物に含まれる(A−11)変性糖及び(a−1)スクロースのゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)のRIチャートを示す。 本発明の水系接着用組成物に含まれる(A−13)変性糖及び(a−2)グルコースのGPCのRIチャートを示す。 本発明の水系接着用組成物に含まれる(A−7)変性糖及び(a−3)フルクトースのGPCのRIチャートを示す。 本発明の水系接着用組成物に含まれる(A−11)変性糖及び(a−1)スクロースのGPCのUVチャートを示す。 本発明の水系接着用組成物に含まれる(A−13)変性糖及び(a−2)グルコースのGPCのUVチャートを示す。 本発明の水系接着用組成物に含まれる(A−7)変性糖及び(a−3)フルクトースのGPCのUVチャートを示す。
本発明の水系接着用組成物は、(A)変性糖を含む。
(A)変性糖は、(必要であれば、水性媒体中で、)(a)糖類の化学構造が(b)ラジカル開始剤によって変化した生成物である。
一般的に、(a)糖類は、ヒドロキシ基とカルボニル基(アルデヒドまたはケトン)をもつ直鎖(open chain) 構造と、自己のヒドロキシ基を巻き込んで環状アセタール(ないしはケタール)の環構造の二つの構造をとることができる。(A)変性糖は、(a)糖類の環状アセタール構造が(b)ラジカル開始剤によって開環して直鎖構造に変化し、さらに高分子量化した化合物を含むと推察される。
本明細書において、「(a)糖類」とは、一般に糖類と呼ばれ、本発明が目的とする水系接着用組成物を得られる限り特に制限されることはない。(a)糖類は、例えば、単糖類、二糖類、三糖類、四糖類、多糖類、及びその他オリゴ糖を含む。
「単糖類」として、具体的に以下のものを例示できる。
グルコース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、フコース、フクロース及びラムノース等のヘキソース;
ケトトリオース(ジヒドロキシアセトン)及びアルドトリオース(グリセルアルデヒド)等のトリオース;
エリトリロース、エリトロース及びトレオース等のテトロース;及び
リブロース、キシルロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース及びデオキシリボース等のペントース。
「二糖類」として、例えば、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、ツラノース及びセロビオースを例示できる。
「三糖類」として、例えば、ラフィノース、メレジトース、マルトトリオース及び1−ケストース(GF2)を例示できる。
「四糖類」として、例えば、アカルボース、スタキオース及びニストース(GF3)を例示できる。
「多糖類」として、例えば、グリコーゲン、デンプン(アミロース、アミロペクチン)、セルロース、デキストリン、グルカン、N-アセチルグルコサミン、キチン質及びイヌリン(フラクトフラノシルニストース:GF4を含む)を例示できる。
「その他のオリゴ糖」として、例えば、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖及びマンナンオリゴ糖を例示できる。
これらの「糖類」は、単独で又は組み合わせて用いることができる。
「(a)糖類」は、スクロースに由来する構造を含むことが好ましい。スクロースは、グルコースとフルクトースが結合した糖であり、加水分解するとグルコースとフルクトースを生じる。
本発明の水系接着用組成物は、スクロースが(a)糖類に含まれることで、引張強度及び引張弾性率等の力学的特性により優れたものとなる。
(a)糖類は、更に、例えば、糖蜜を含むことができる。「糖蜜」とは、サトウキビ、テンサイ、サトウカエデ及びオウギヤシ等の砂糖原料から得られる繊維質および不純物を取り除いた糖液(シロップ)であるか、又は、砂糖を原料から精製するときに得られ、糖分以外の成分も含む粘性のある液体(モラッセス)をいう。
糖蜜は、例えば、廃糖蜜、氷糖蜜、白蜜、カラメル、粗糖、砂糖溶液、及び砂糖原料(サトウキビ、テンサイ、サトウカエデ及びオウギヤシ等)の絞り汁を含む。
糖蜜は、廃糖蜜、氷糖蜜及び粗糖から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
本明細書において、(b)ラジカル開始剤とは、ラジカル反応を進めるために穏和な反応条件でラジカルを発生させる化合物をいう。ラジカルとは、不対電子を持つ原子や分子、あるいはイオンのことをさす。一般的に、フリーラジカル又は遊離基と称される。
ラジカル開始剤は、本発明の目的を損なわない限り、特に制限されることはなく、例えば、アゾ化合物及び過酸化物等が該当する。
アゾ化合物は、熱および光によって分解し、炭素ラジカルを発生するアゾ基(R−N=N−R’)をもつ化合物である。具体的には、2,2’−アゾビスブチロニトリル(AIBN)が挙げられる。
過酸化物は、有機過酸化物、無機過酸化物、過酸化水素に大別される。
有機過酸化物は、ペルオキシド構造(−O−O−)を含む化合物であり、例えば、過酸化ベンゾイルが代表的である。
無機過酸化物は、過酸化物イオン(O 2-)を含む化合物であり、具体的には、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等が挙げられる。
過酸化水素とは、化学式Hで表される化合物である。
水性媒体への溶解性や、(a)糖類との相溶性を考慮すると、本発明では、(b)ラジカル開始剤は、過酸化物を含むことが好ましい。
本明細書では、(c)アミン類は、アンモニア及びアミンを含む総称とする。
アンモニアとは、分子式がNHで表される無機化合物であり、常温常圧で無色の気体である。
アミンとは、アンモニアの水素原子が炭化水素基及び芳香族原子団等の置換基で置換さた化合物の総称であり、置換された水素の数が1つであれば第一級アミン、2つであれば第二級アミン、3つであれば第三級アミンである。更に置換基が第三級アミンに結合して第四級アンモニウムカチオンとなる。
アミンは、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミンに大別される。
脂肪族アミンとしては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、アニリン、フェネチルアミン、トルイジン、カテコールアミン等が挙げられる。
複素環式アミンとしては、ピロリジン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、オキサゾール、チアゾール等が挙げられる。
本発明の水系接着用組成物は、(c)アミン類がアンモニアを含むことが好ましい。(c)アミン類がアンモニアを含む場合、水系接着用組成物の硬化物を含む成形材料の力学的特性(引張強度、引張弾性率)が向上する。
本発明の水系接着用組成物は、(B)無機酸塩を含むことが好ましい。(B)無機酸塩を含む場合、本発明の水系接着用組成物は、硬化速度が速くなり、成形材の引張強度や引張弾性率等の力学的特性を向上させることができる。
本明細書において、(B)無機酸塩とは、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されることはないが、アンモニウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩及びマグネシウム塩から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、特に、無機酸アンモニウム塩を含むことが最も望ましい。無機酸アンモニウム塩を含む場合、本発明の水系接着用組成物は、硬化速度がより優れ、成形材の引張強度及び引張弾性率等の力学的特性をより向上させることができる。
無機酸アンモニウム塩とは、一般に、無機酸のアンモニウム塩と呼ばれるものであって、本発明が目的とする水系接着用組成物を得ることができる限り、特に制限されることはない。
「無機酸アンモニウム塩」として、例えば、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、ハロゲン化アンモニウム塩(例えば、塩化アンモニウム、フッ化アンモニウム、臭化アンモニウム及びヨウ化アンモニウム)、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム及びリン酸二水素アンモニウムを例示することができる。
「無機酸アンモニウム塩」として、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸水素アンモニウム及びリン酸二水素アンモニウムから選択される少なくとも一種が好ましい。
「(B)無機酸アンモニウム塩」が、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸水素アンモニウム及びリン酸二水素アンモニウムから選択される一種である場合、本発明の水系接着用組成物は、より優れた硬化性を有し、成形材の物性(引張強度及び引張弾性率等の力学的特性)をより向上させることができる。
「無機酸アンモニウム塩」は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
「無機酸アンモニウム塩」として、市販品を使用することができる。
本発明では、(B)無機酸塩は、「無機酸アンモニウム塩」の他に、無機酸金属塩を含むことができ、例えば、カリウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩及びマグネシウム塩から選択される少なくとも1種を含むことができる。
「無機酸金属塩」として、具体的には、
硫酸カリウム、硫酸水素カリウム、ハロゲン化カリウム(例えば、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム及びヨウ化カリウム)、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム及びリン酸二水素カリウム等のカリウム塩;
硫酸カルシウム、硫酸水素カルシウム、ハロゲン化カルシウム(例えば、フッ化カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム及びヨウ化カルシウム)、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム及びリン酸二水素カルシウム等のカルシウム塩;
硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、ハロゲン化ナトリウム(例えば、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム及びヨウ化ナトリウム)、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム及びリン酸二水素ナトリウム等のナトリウム塩;及び
硫酸マグネシウム、硫酸水素マグネシウム、ハロゲン化マグネシウム(例えば、フッ化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム及びヨウ化マグネシウム)、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム及びリン酸二水素マグネシウム等のマグネシウム塩
などを例示できる。
本発明では、「無機酸金属塩」は、硫酸カリウム、塩化カリウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム及び塩化マグネシウムから選択される少なくとも一種を含むことが特に好ましい。
「無機酸金属塩」は、硫酸カリウム、塩化カリウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム及び塩化マグネシウムから選択される少なくとも一種を含む場合、本発明の水系接着用組成物を用いて製造された成形材は、より低温で、かつより短時間、加熱及び加圧することで硬化し、引張強度及び引張弾性率がより高くなりえる。
「無機酸金属塩」は、塩化マグネシウムを含むことが最も好ましく、塩化マグネシウムを含む場合、本発明の成形材は、より低温で、かつより短時間、加熱及び加圧することで硬化し、引張強度及び引張弾性率がさらに高くなりえる。
本発明の水系接着用組成物が(A)変性糖及び(B)無機酸塩を含む場合、(A)と(B)との総重量100重量部(固形分換算)に対し、(B)無機酸塩が1.5〜15.0重量部であるのが好ましく、1.5〜4.5重量部であるのが特に好ましい。成分(A)及び(B)が上記範囲内にある場合、本発明の水系接着用組成物は硬化速度と耐水性のバランスにより優れ、本発明の成形材は引張強度及び引張弾性率が向上し、耐水性も向上し、空気中の水分を吸収し難くなり得る。
本発明に係る水系接着用組成物は、上述の成分(A)及び(B)、及びその他の成分が水に溶解若しくは分散した形態(溶液、懸濁液又は分散液の形態)を有し、様々な材料(例えば、無機繊維、木質材料)、基材、被着体等に塗布され、成形され、硬化する。
本明細書において「水」とは、一般的に「水」と呼ばれ、本発明が目的の水系接着用組成物を得ることができる限り、特に制限されることはないが、例えば、蒸留水、イオン交換水、純水、水道水及び工業用水等を例示することができる。
本発明の形態の水系接着用組成物に含まれる水の量は、本発明が目的とする水系接着用組成物を得ることができる限り特に制限されることはなく、使用される(A)〜(B)及び任意成分や添加剤などによって、適宜選択される。
本発明に係る水系接着用組成物は、水溶液、懸濁液、又は水分散液の形態を有するので、様々な材料(例えば、無機繊維、木質材料)、基材、被着体等への塗布及び散布が容易である。更に、本発明に係る水系接着用組成物は、有機溶媒を好ましくは使用せず、地球環境の保護、及び作業者の作業環境の保護に優れる。
本発明の形態の水系接着用組成物は、その他の成分を含むことができる。そのような成分として、例えば、貯蔵安定剤、力学特性改良剤、増粘剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤及び分散安定化剤等を例示できる。
貯蔵安定剤として、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、エルソルビン酸等の多価カルボン酸を例示できる。
力学特性改良剤として、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸アミド、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、フルフリルアルコール、(メタ)アクリル酸グリシジル等の側鎖に反応性を有するビニル系重合性モノマーを例示できる。
増粘剤とは、組成物を加圧し加熱する際に、その粘度が低下することを防止するために使用し、本発明が目的とする水系接着用組成物を得ることができる限り特に制限されることはない。そのような増粘剤は、例えば、有機系増粘剤と無機系増粘剤に分類される。
無機系増粘剤として、例えば、クレイ、タルク及びシリカなどを例示できる。
有機系増粘剤として、例えば、カルボキシメチルセルロース、植物粉末の小麦粉、コーンスターチ、上新粉、クルミ粉及びヤシ粉等の天然系増粘剤、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の合成系増粘剤を例示できる。
これらの増粘剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
本発明の水系接着用組成物の製造方法は、工程(i):
(i)(a)糖類及び(b)ラジカル開始剤を反応させ、(A)変性糖を製造する工程を含む。
(A)変性糖を製造する際に(c)アミン類を用いる場合、本発明の水系接着用組成物の製造方法は、工程(ii):
(ii)(c)アミン類の存在下、(a)糖類及び(b)ラジカル開始剤を反応させ、(A)変性糖を製造する工程
を含む。
本発明の水系接着用組成物の製造方法は、工程(iii):
(iii)(A)変性糖と、無機酸塩とを混合する工程
を更に含む。
本発明の水系接着用組成物の製造方法は、工程(iii)を含む場合、成形材の引張強度及び引張弾性率はより向上し得る。
本発明の形態の水系接着用組成物は、上述の(A)〜(B)成分、水及び必要に応じてその他の成分などを加えて、攪拌して製造することができる。(A)〜(B)の各成分、水及びその他の成分を加える順序、各成分及び水を加える方法及び攪拌方法などは、本発明が目的とする水系接着用組成物を得ることができる限り、特に限定されることはない。
本発明の水系接着用組成物を用いて得られる材料として、無機繊維、珪酸カルシウム、石膏、ロックウール、コンクリート、セメント、モルタル及びスレート等の材料が種々の形態(板、ブロック等)で得られた成形材が挙げられる。
無機繊維としては、例えばロックウール、ストーンウール、ミネラルウール、グラスウール、ミネラルグラスウール等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明では、これら無機繊維のいずれか1種を単独で用いるか、2種以上を組み合わせて用いて、無機繊維成形材を製造することが好ましい。無機繊維としては、汎用性、断熱性、防音性等の観点から、グラスウール又はロックウールを用いることが好ましい。
本発明では、無機繊維成形材以外にも、本実施形態に係る水系接着用組成物で木材(木材チップ、木材繊維等)、鋳物砂等を成形することで、木質材、鋳型等の成形材を提供することができる。
本発明に係る木質材は、本発明の形態の水系接着用組成物と木質要素(原料)(例えば、木質又は草本植物の繊維、小片及び単板など)との混合物である。水系接着用組成物が木質要素に塗布又は散布され、木質要素が加熱され、結合(接着)され、成形されて木質材が製造される。
木質要素(原料)として、木材から切削等して得られる、例えば、挽き板、単板、木質ストランド、木質チップ、木質繊維及び植物繊維などを例示することができる。
木質材として、例えば、木質要素が接着剤によって接着されて得られる、集成材、合板、パーティクルボード、繊維板及び中密度繊維板(MDF)等を例示できる。
本発明の形態の水系接着用組成物は、種々の被着体(例えば、無機繊維、紙、木質繊維及び合板等を接着するために使用することができる。
本発明の成形材を製造する場合、水系接着用組成物の塗布量、塗布方法、成形圧力、成形温度及び成形時間などの製造条件は、成形材の種類、形状及び寸法などによって、適宜選択され、本発明が目的とする成形材を得ることができる限り、特に制限されることはない。成形材の製造効率を考慮すると、無機繊維を水系接着用組成物に含浸する方法や、水系接着用組成物をスプレー等で無機繊維や木質要素へ散布する方法、ロール等で水系接着用組成物を塗布する方法が好ましい。
成形圧力は、0.5〜6.0MPaであることが好ましい。成形圧力が、6.0MPa以下の場合、圧力が大きすぎないので、成形材に痛みを生じにくい。成形圧力が、0.5MPa以上の場合、成形材の構成要素を十分に接着することができる。
成形温度は、140〜230℃であることが好ましく、140〜200℃であることがより好ましく、140〜180℃であることが特に好ましい。成形温度が、230℃以下の場合、温度が高すぎず、エネルギーの消費が小さく、成形材も痛みにくい。成形温度が、140℃以上の場合、接着が適度の時間で進行し得る。
成形時間は、3〜10分であることが好ましく、3〜9分であることがより好ましく、3〜7分であることが特に好ましい。成形時間が、10分以下の場合、時間が長くかかりすぎないので、エネルギーの消費が小さく、成形材も痛みにくい。成形時間が、3分以上の場合、適度の接着時間が確保され、適度の接着強度を確保できる。
上述のようにして得られる成形材は、従来と同様に、例えば、建築資材及び家具等、種々の用途に使用することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の一態様にすぎず、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
尚、実施例の記載において、特に記載がない限り、溶媒を考慮しない部分を、重量部及び重量%の基準としている。
水系接着用組成剤の成分として、以下の成分を準備した。尚、本明細書に記載された部数は重量部を意味する。
(a)糖類
(a−1)スクロース(和光純薬(株)社製)
(a−2)グルコース(和光純薬(株)社製)
(a−3)フルクトース(和光純薬(株)社製)
(b)ラジカル開始剤
(b−1)過硫酸アンモニウム(三菱ガス化学(株)社製
(b−2)過硫酸ナトリウム(三菱ガス化学(株)社製
(b−3)32.5%過酸化水素水(和光純薬(株)社製)
(c)アミン類
(c−1)25重量%アンモニア水(和光純薬(株)社製)
(c−2)ヘキサメチレンジアミン(和光純薬(株)社製)
(c−3)ピペラジン6水和物(和光純薬(株)社製)
(B)無機酸アンモニウム塩
(B−1)リン酸水素二アンモニウム(和光純薬工業(株))
(B−2)リン酸二水素アンモニウム(和光純薬工業(株))
(B−3)硫酸アンモニウム(和光純薬工業(株))
(B'−4)クエン酸アンモニウム(和光純薬工業(株))
(B'−5)オレイン酸(和光純薬工業(株))
<(A)変性糖の製造>
(A−1)変性糖の製造
409gの水、962gの(a−1)スクロースを2リットルの反応容器に入れた。
攪拌翼、還流管及び温度計等を反応容器へ取り付けた後、同反応容器を95℃の温浴につけ、混合物を加熱しながら攪拌し、(a−1)スクロースを溶解させた。
次に38gの(b−1)過硫酸アンモニウムと62gの水を別の容器中で溶解させ、ラジカル開始剤溶液(38重量%)を調製した。ラジカル開始剤溶液を滴下漏斗に入れ、この滴下漏斗を反応容器に取り付けた。
反応容器内のスクロース水溶液を攪拌しながら、このスクロース溶液が90℃以上に到達したことを確認後、滴下漏斗よりラジカル開始剤溶液100gを4時間かけてスクロース溶液に滴下した。滴下後、90℃以上で、反応容器内の調製液をさらに1時間攪拌後、40℃以下に冷却し、変性糖水溶液を得た。
変性糖の水溶液は、ラジカル開始剤を含み、固形分濃度が68.0重量%であった。尚、固形分濃度とは、水溶液中に溶解している(A−1)変性糖)と(b−1)過硫酸アンモニウムの総量から算出される。
(A−2)〜(A−5)及び(A−7)変性糖の製造
表1に示される組成に基づき、ラジカル開始剤溶液(38重量%)を調製したことを除き、(A−1)変性糖の製造方法と同様の方法で各変性糖を製造した。
(A−6)変性糖の製造
表1に示される組成に基づき、33%過酸化水素水を用いてラジカル開始剤溶液を調製したことを除き、(A−1)変性糖の製造方法と同様の方法で変性糖を製造した。
(A−8)〜(A−14)変性糖の製造
表2に示される組成に基づき、水、(a)糖類、(b)ラジカル開始剤と(c)アミン類を攪拌して溶解させた。(A−8)〜(A−12)及び(A−14)は、(A−1)の製造方法と同様の方法を用いて製造した。(A−13)は、(A−6)の製造方法と同様の方法を用いて製造した。
尚、(A)変性糖と(a)糖類との構造の相違を分析機器で立証した。
具体的には、(A−11)と(a−1)スクロース、(A−13)と(a−2)グルコース、(A−7)と(a−3)フルクトースについて、赤外吸収スペクトル(IR)、分子量分布曲線(RIチャート、UVチャート)を測定することで、(A)変性糖と(a)糖類の化学構造の相違を立証した。
<IR測定について>
(A)変性糖と(a)糖類の赤外吸収スペクトル(IR)は、赤外分光光度計(Thermo 社製 モデル名 Nicolet380)を用い、反射法(ダイアモンドクリスタルセル)で測定された。
2930cm−1 付近のピーク(メチレン基のC−H伸縮振動)の強度は、変性によって影響を受けにくいので、このピークを基準とした。
図1〜3に示されるように、(A)変性糖の赤外吸収スペクトル(IR)では、1720cm−1付近と1200cm−1付近にカルボニル基と推察されるピークが見られた。このピークは、(a)糖類の赤外吸収スペクトル(IR)では見られなかった。
<GPCによる分子量分布曲線測定>
(A)変性糖と(a)糖類の分子量分布曲線は、GPC装置(Waters社製 モデル名 Alliance e2695)で測定された。検出器として、RI(Waters2417)及びUV(Waters2487)を使用し、GPCカラムとして、Waters社製 Ultra hydrogel 500と、Ultra hydrogel 250との連結カラムを用いた。
移動相は、0.67mol/L、pH7.0のリン酸2ナトリウム、リン酸カリウム緩衝液を用い、各試料((A)変性糖及び(a)糖類の各々)を緩衝液に溶解し、温度40℃のカラム内に、流速0.8ml/min、で緩衝液を流し、分子量分布曲線を測定した(RI検出器を使用して得た分子量分布曲線をRIチャート、UV検出器を使用して得た分子量分布曲線をUVチャートという)。
図4〜6に示されるように、(a)糖類のGPCのRIチャートでは、各々糖類の分子量((a−1)スクロース:342、(a−2)グルコース:180、(a−3)フルクトース:180)に対応する鋭い1つのピークが観察された。
これに対し(A)変性糖のRIチャートでは、いずれも、高分子量側に肩のピークが認められ、より分子量の大きな化合物が生成していることが観察された。それらの肩のピークの重量平均分子量は、500〜900と考えられる。
尚、(a−1)スクロースと比較すると、(A−11)変性糖では、ピークトップの位置が低分子側に移動した。この(A−11)変性糖のピークトップの位置は、(a−2)グルコース及び(a−3)フルクトースのピークトップの位置とほぼ対応するので、(A−11)変性糖は、多くのスクロースが二つに分かれながら、再結合してより高分子量化した化合物を含むと考えられる。
図7〜9に示されるように、(a)糖類のGPCのUVチャートでは、全くピークが観察されなかった。これは、(a)糖類には、UVを吸収する官能基が存在しないから、UV検出器では(a)糖類が検出されなかったと考えられる。
これに対し(A)変性糖のUVチャートでは、ブロードなピークが確認された。これらは、カルボニル基、ビニル基及び共役構造等のUVを吸収する化学構造の存在を意味し、それらが存在する(A)変性糖の分子量の幅も広いことを意味する。元の(a)糖類のRIチャートのピークトップの位置と比較すると、いずれのピークトップの位置も高分子量側に存在するので、より高分子量の化合物が存在することを示す。これらの高分子量化合物は、(a)糖類の水酸基、アセタール及びケタールが酸化等された、例えばアルデヒド基及びカルボニル基等の化学構造を有すると考えられる。
以上の検討から、(a)糖類に含まれない構造、特にUVを吸収する構造が(A)変性糖に含まれ、更に分子量が変化し、高分子量化していることが立証された。
<水系接着用組成物の製造>
[実施例1]
142gの(A-1)変性糖(固形分68重量%)と3.6gの(B-1)リン酸水素二アンモニウム(和光純薬工業(株))を蒸留水に加え、常温で攪拌して溶解し、アンモニア水でpHを6.0〜9.0に調整し、水系接着用組成物を得た。
実施例1の水系接着用組成物は、表3に示されるように、(A-1)及び(B-1)の固形分の総量100重量部、水100重量部であった。
表3に記載された(A-1)の数値は固形分のみを示す。
[実施例2〜20]及び[比較例1〜7]水系接着用組成物の製造
実施例2〜20及び比較例1〜7の水系接着用組成物の組成を表3〜5に示す。
表3〜5に示された組成に基づき、実施例1と同様の方法を用い、実施例2〜20及び比較例1〜7の水系接着用組成物を製造した。
実施例及び比較例の水系接着用組成物について、その性能を評価した。評価項目及び評価基準は、以下のとおりである。
<硬化速度:ゲルタイム測定>
JIS6910 B法に準じ、160℃のゲルタイムと、180℃のゲルタイムを測定した。評価基準を以下に示す。
ゲルタイムの評価基準(160℃)
◎:150秒未満
○:150秒以上180秒未満
△:180秒以上210秒未満
×:210秒以上
ゲルタイムの評価基準(180℃)
◎:70秒未満
○:70秒以上80秒未満
△:80秒以上90秒未満
×:90秒以上
<耐水性:溶出率試験>
水系接着用組成物に水を添加して、固形分濃度が33重量%になるよう調製した、評価用のサンプル組成物を得た。
30mm×30mmの正方形にカットしたガラス繊維フィルター(ワットマン社 製品名GF/A)重量約0.05gに、サンプル組成物0.5mlを均一に塗布した。
ガラス繊維フィルター上のサンプル組成物を105℃で30分間乾燥させた後、190℃のオーブン内に15分間放置し、試験片(190℃処理後)を得た。
試験片(190℃処理後)を常温水50mlに24時間浸漬した後、130℃で1時間乾燥して、試験片(水に浸漬処理後)を得た。水に浸漬後、試験片に存する接着剤の割合(数式1)を求め、更に、浸漬した水への接着剤の溶出率(数式2)を求めて、耐水性を評価した。
(数式1)
試験片に存する接着剤の割合=[試験片(水に浸漬処理後)−ガラス繊維フィルターの重量]/[試験片(190℃処理後)−ガラス繊維フィルターの重量]
(数式2)
溶出率(%)=(1−試験片に残存する接着剤の割合)×100
溶出率に基づく耐水性の評価基準を以下に示す。
◎:2.0%未満
○:2.0%以上4.5%未満
△:4.5%以上6.0%未満
×:6.0%以上
<力学的特性:引張強度及び引張弾性率の測定>
水系接着用組成物に水を添加して、固形分濃度が33重量%になるよう調製した、評価用のサンプル組成物を得た。
20mm×100mmの長方形にカットしたガラス繊維フィルター(ワットマン社 製品名GF/A)重量約0.10gに、サンプル組成物1.0mlを均一に塗布した。
ガラス繊維フィルター上のサンプル組成物を105℃で30分間乾燥させた後、190℃のオーブン内に15分間放置し、試験片を得た。
試験片を恒温恒湿器(23℃、湿度50%)に入れ、2時間放置後、引張試験を行った。引張試験機としてインストロン社製モデル5585を用い、引張速度25.4mm/分で引張強度と引張弾性率を測定した。引張強度は破断強度(最大強度)値とした。
引張強度(23℃、湿度50%)の評価基準は以下の通りである。
◎:強度が15MPa以上
○:強度が14MPa以上15MPa未満
△:強度が12MPa以上14MPa未満
×:強度が12MPa未満
引張弾性率は、試験片のたるみを除く、歪量0.1%の傾きから求めた。
引張弾性率(23℃、湿度50%)の評価基準は下記の通りである。
◎:弾性率が1100MPa以上
○:弾性率が1000MPa以上1100MPa未満
△:弾性率が900MPa以上1000MPa未満
×:弾性率が900MPa未満
表3及び4に示されるように、実施例1〜20の水系接着用組成物は、(A)変性糖を含んでいるため、硬化速度が速い。特に実施例11〜20の水系接着用組成物は、(c)アミン類の存在下で(A)変性糖を生成したので、硬化速度がより速くなっているのが実証された。さらに、実施例1〜20のガラス繊維成形材は、引張強度、引張弾性率及び耐水性のいずれもが良好である。特に、実施例11〜20のガラス繊維成形材は、溶出率が低く、耐水性に極めて優れている。
これに対し、表5に示されるように、比較例1〜7の水系接着用組成物は、(A)変性糖を含まないので、硬化速度が著しく遅く、成形材料の生産効率を低下させることが実証された。比較例1〜7のガラス繊維成形材も、実施例の成形材と比べると、引張強度、引張弾性率、耐水性のいずれもが劣っている。
本発明は、水系接着用組成物を提供する。本発明に係る水系接着用組成物は、ガラス繊維等の無機繊維や、木質要素を成形する際に用いられる。

Claims (5)

  1. (a)糖類及び(b)ラジカル開始剤との生成物である(A)変性糖を含む、水系接着用組成物。
  2. 更に、(c)アミン類に由来する構造を有する、請求項1に記載の水系接着用組成物。
  3. 更に、(B)無機酸塩を含む、請求項1又は2に記載の水系接着用組成物。
  4. (B)無機酸塩が無機酸アンモニウム塩を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の水系接着用組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の水系接着用組成物の硬化物を有する、成形材。
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