JP2018199093A - 光触媒チタンアパタイト混合組成物の調製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い光触媒活性を得ることができる光触媒チタンアパタイト混合組成物の調製方法を提供する。【解決手段】光触媒チタンアパタイト混合組成物の調製方法は、20℃の水に対する溶解度が20g/100g−H2O以下の無機物の溶液と、チタン置換水酸アパタイトとを混合する混合ステップを含む。溶液の溶媒は、水である、こととしてもよい。また、無機物の溶液は、無機物を分散させた水の上澄み液である、こととしてもよい。【選択図】図5

Description

本発明は、光触媒チタンアパタイト混合組成物の調製方法に関する。
シックハウス症候群及び防臭の対策として注目されている技術の一つに光触媒がある。光触媒は化石燃料等のエネルギーを利用しないで、光の照射、すなわち光エネルギーのみを用いて有害物質を分解できる。
光触媒として最も広く利用されているものに酸化チタンがある。酸化チタンは安定性が高く、かつ光触媒としての酸化分解機能を有している。しかし、酸化チタンには吸着能がない。
吸着能を有する光触媒として、水酸アパタイト(以下、単に「HAp」とする)が様々な分野で利用されている。HApはCa10(PO(OH)で示されるリン酸カルシウム化合物である。HApは化学的に不活性であるが、比表面積が大きく、蛋白質及び脂質等の有機物に対する吸着能に優れる。光触媒としてのHApには、表面を不活性化して医療に利用できること、及び光触媒反応の影響を受けやすい材料と複合利用が可能であること等の利点がある。
比表面積が大きく、有機物へのさらに高い吸着能を示す光触媒を開発するために、HApの改良が進められている。例えば、特許文献1には、HAp中の一部のCa2+イオンをTi4+イオンに置換したチタンアパタイト(以下、単に「TiHAp」とする)が開示されている。TiHApは、吸着質であるHAp自体が光触媒であるため、吸着した物質のほとんどを分解することができる。このため、TiHApは、空気清浄機のフィルター、抗菌まな板及びウイルス対策のマスク等、様々な用途に利用可能である。
特開2000−327315号公報
TiHApの用途拡大に伴い、TiHApの消費量の増大が予想される。TiHApを用いた光触媒の光触媒活性が向上すれば、TiHApの節約に貢献できる。このため、少量のTiHApでも十分な光触媒活性が得られるのが望ましい。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、高い光触媒活性を得ることができる光触媒チタンアパタイト混合組成物の調製方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点に係る光触媒チタンアパタイト混合組成物の調製方法は、
20℃の水に対する溶解度が20g/100g−HO以下の無機物の溶液と、チタン置換水酸アパタイトとを混合する混合ステップを含む。
この場合、前記溶液の溶媒は、
水である、
こととしてもよい。
また、前記無機物の溶液は、
前記無機物を分散させた水の上澄み液である、
こととしてもよい。
また、前記無機物は、
硫酸カルシウム二水和物である、
こととしてもよい。
また、前記チタン置換水酸アパタイト3質量部に対する前記硫酸カルシウム二水和物の質量部が、1.8〜2.2である、
こととしてもよい。
本発明によれば、高い光触媒活性を得ることができる。
無機物を混合していない試験体1及び各種無機物を含む試験体2〜8をそれぞれ封入したテドラーバッグ内のアセトアルデヒド濃度の経時変化を示す図である。 図1に示すアセトアルデヒド濃度から算出した試験体1〜8によるアセトアルデヒドの最大分解速度を示す図である。 試験体1及び各種無機物を含む試験体9〜15をそれぞれ封入したテドラーバッグ内のアセトアルデヒド濃度の経時変化を示す図である。 試験体1並びに異なる分散媒を用いた試験体2、2E及び2Mをそれぞれ封入したテドラーバッグ内のアセトアルデヒド濃度の経時変化を示す図である。 試験体2とは無機物の混合方法が異なる試験体A、及び試験体1、2をそれぞれ封入したテドラーバッグ内のアセトアルデヒド濃度の経時変化を示す図である。
本発明に係る実施の形態について説明する。なお、本発明は下記の実施の形態によって限定されるものではない。
(実施の形態)
本実施の形態に係る光触媒TiHAp混合組成物は、TiHApと、20℃の水に対する溶解度が20g/100g−HO以下の無機物とを、含む。TiHApは、カルシウム・チタンハイドロキシアパタイト又はチタン置換水酸アパタイトとも称される。TiHApとしては、例えば、CaTi(PO(OH)、及びCaTi(PO(OH)等が挙げられる。
上記無機物は、20℃の水に対する溶解度が20g/100g−HO以下であれば特に限定されない。20℃の水に対する無機物の溶解度は、好ましくは0.0001〜19.5g/100g−HO、より好ましくは0.0001〜0.5g/100g−HO又は0.1〜0.3g/100g−HO、特に好ましくは0.2〜0.3g/100g−HOである。例えば、無機物は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、アルミニウム族の硫酸塩、水酸化物及び炭酸塩である。具体的には、無機物は、硫酸カルシウム二水和物、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウム及び硫酸ナトリウム等である。
溶解度は、溶質が一定量の溶媒に溶ける限界量をいい、飽和溶液の濃度でもある。溶解度は、カラム溶出法、フラスコ法及びジェネレーターカラム法等の公知の溶解度測定法で測定することができる。簡便には、溶解度は、20℃の水100gに飽和に達するまで溶解した無機物を定量することで求められる。
本実施の形態に係る光触媒TiHAp混合組成物に好適な調製方法は、上記無機物の溶液と、TiHApとを混合する混合ステップを含む。混合ステップでTiHApと混合される無機物は、溶媒にあらかじめ溶解されている。好適には、無機物の溶液は、当該無機物を水に分散させた後の上澄み液である。上澄み液を得るには、例えば、無機物を蒸留水に分散した後、所定の時間静置して上澄みを採取すればよい。得られた上澄み液には、無機物が溶解している。分散の方法は、特に限定されず、例えば撹拌によって、あるいは超音波を照射することで分散すればよい。
好ましくは、上澄み液にTiHApを分散させて乾燥させることで光触媒TiHAp混合組成物が得られる。乾燥温度は特に限定されず、例えば50〜90℃、好ましくは60〜80℃、より好ましくは65〜75℃、特に好ましくは70℃である。乾燥時間は、乾燥温度に応じて設定される。例えば、乾燥時間は、8〜24時間、好ましくは9〜16時間、より好ましくは10〜14時間、特に好ましくは12時間である。
TiHApと無機物との混合比は、特に限定されない。好ましくは、3質量部のTiHApに対する無機物の質量部は、0.1〜3、好ましくは0.5〜2.8、より好ましくは1.0〜2.6、特に好ましくは1.5〜2.4である。例えば、無機物として硫酸カルシウム二水和物を用いる場合、TiHApと硫酸カルシウム二水和物との混合比は、好ましくは1.8〜2.2である。好適には、TiHApと硫酸カルシウム二水和物との混合比は、TiHApが3質量部に対して硫酸カルシウム二水和物が2質量部である。
TiHAp及び無機物は、市販のものを用いてもよいし、製造してもよい。TiHApの製造方法は特に限定されず、例えば共沈法である。共沈法では、カルシウム(Ca)イオンと、チタン(Ti)イオンとを含有する溶液からCa及びTiを共沈させることでTiHApを合成する。
TiHApの製造では、まず、カルシウム含有物質、チタン含有物質及びリン酸含有物質を混合した混合物を調製する。カルシウム含有物質は、特に限定されず、例えば、硝酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム及び硫酸カルシウム等が挙げられる。カルシウム含有物質は、水等の溶媒に溶解した溶液であってもよいし、粉体であってもよいし、顆粒であってもよい。なお、カルシウム含有物質は、カルシウムイオンを含有する物質も包含する。
チタン含有物質は、特に限定されず、例えば、硫酸チタン及び四塩化チタン等が挙げられる。チタン含有物質は、水、硫酸等の溶媒に溶解した溶液であってもよいし、粉体であってもよいし、顆粒であってもよい。なお、チタン含有物質は、チタンイオンを含有する物質も包含する。
リン酸含有物質は、特に限定されず、例えば、リン酸溶液等が挙げられる。好適には、上記混合物の調製では、カルシウム含有物質、チタン含有物質及びリン酸含有物質を水等の溶媒に混合することで溶液が調製される。なお、混合物の調製では、カルシウム含有物質及びチタン含有物質を水等の溶媒に混合して得られる溶液に、リン酸溶液を添加してもよい。リン酸溶液を添加する場合、当該溶液を100〜500rpmで撹拌しながら、リン酸溶液を0.5〜5ml/分又は1〜4ml/分、好ましくは2ml/分の滴下速度でリン酸溶液を滴下してもよい。
カルシウム含有物質、チタン含有物質及びリン酸含有物質の混合比は任意であるが、例えば、カルシウムとチタンとの合計mol数に対するチタンのmol数の比が0.05〜0.5、0.08〜0.4、好ましくは0.1〜0.3となるようにカルシウム含有物質及びチタン含有物質を混合すればよい。リン酸含有物質は、例えばカルシウムとチタンとの合計mol数0.05molに対して、リン酸が0.01〜0.05mol又は0.02〜0.04mol、好ましくは0.03molになるように混合すればよい。
続いて、TiHApの製造では、上記混合物を反応させ、TiHApを合成する。合成は、公知の方法で行われる。合成では、上記混合物のpHを調整し、混合物を熟成させてもよい。
pHの調整では、例えば、上記混合物に塩基を添加すればよい。塩基は、特に限定されず、例えばアンモニア水である。塩基を混合物に添加する場合、混合物を撹拌するのが好ましく、撹拌速度は、例えば、300rpmである。混合物のpHは、好ましくは8.0以上、より好ましくは8.0〜11.0、特に好ましくは9.0〜10.0である。
混合物の熟成では、例えば、pHを調整した混合物、特には懸濁液を加熱する。混合物は、例えば、80〜250℃、好ましくは100〜230℃、より好ましくは120〜200℃、特に好ましくは190℃で、1〜10時間、好ましくは5〜9時間、より好ましくは8時間加熱される。混合物の熟成は、還流装置で撹拌を行う熱水処理熟成でもよいし、マイクロ波を混合物に照射するマイクロ波照射熟成でもよい。
上述の懸濁液を濾過することで、懸濁液からTiHApを回収することができる。TiHApの製造方法は、さらに、TiHApを洗浄する洗浄ステップ、洗浄したTiHApを乾燥する乾燥ステップ、及び乾燥したTiHApを粉砕する粉砕ステップを含んでもよい。洗浄ステップは、例えば、水でTiHApを洗浄すればよい。乾燥ステップでは、TiHApを、例えば60℃〜120℃で1時間〜24時間乾燥すればよい。粉砕ステップでは、例えば、乳鉢等を用いてTiHApを粉砕すればよい。
無機物の製造方法は特に限定されず公知の任意の製造方法を採用すればよい。例えば、硫酸カルシウム二水和物を製造する場合、カルシウム塩の水溶液に希硫酸又は硫酸塩水溶液を室温で加えればよい。これにより、硫酸カルシウム二水和物が沈殿として析出する。析出した沈殿を回収し、乾燥することによって、固体の硫酸カルシウム二水和物が得られる。
本実施の形態に係る光触媒TiHAp混合組成物の形状、構造及び大きさは、特に限定されず、用途等に応じて適宜選択することができる。光触媒TiHAp混合組成物の形状としては、例えば、粉状、粒状、タブレット状、ロッド状、プレート状、ブロック状、シート状、及びフィルム状等が挙げられる。光触媒TiHAp混合組成物の構造としては、例えば、単層構造、積層構造、多孔質構造、中核及び外殻構造等が挙げられる。上記光触媒TiHAp混合組成物の同定又は形態等の観察は、例えば、TEM(透過型電子顕微鏡)、XRD(X線回析装置)、XPS(X線光電子分光装置)、FT−IR(フーリエ変換赤外分光装置)、及びICP発光分光分析装置(ICP−AES)等を用いて行うことができる。
本実施の形態に係る光触媒TiHAp混合組成物は、単独で使用してもよいし、他の物質等と併用してもよい。上記光触媒TiHAp混合組成物は、粉砕し、他の組成物等に混合して混合組成物として使用してもよいし、あるいは基材等に付着、塗布及び蒸着等で膜化させて使用してもよい。
上記光触媒TiHAp混合組成物は、各種の分解対象に対する吸着特性を有する。分解対象物としては、微生物、蛋白質、アミノ酸、脂質、及び糖質等が挙げられる。より具体的には、分解対象物は、人間の皮膚に由来する汚れ成分、ゴミ、埃、汚泥、廃液成分、土壌中又は空気中のアセトアルデヒド等の有害物質、ウイルス、カビ及び細菌等である。なお、分解対象物は、固体、液体及び気体のいずれの態様で存在していてもよい。
上記光触媒TiHAp混合組成物は、光触媒活性を有するうえ、吸着特性に優れるため、光触媒活性を有する公知の金属酸化物よりも、分解対象物に対する吸着特性に優れる。これにより、上記光触媒は、優れた分解作用、抗菌作用、防汚作用及び微生物並びに細菌等の増殖抑制作用等を有する。
上記光触媒TiHAp混合組成物は、太陽光の照射条件下で使用される各種製品、紫外光の照射条件下で使用される各種製品等に好適に使用される。例えば、OA機器、電子機器、電気製品、携帯端末、フィルター、壁紙、食品容器、医療機器、衛生用品、服飾品、靴、塗料、及び汚水処理材等に好適に使用できる。
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係る光触媒TiHAp混合組成物は、水に対する溶解度が所定の範囲の無機物の溶液と、TiHApとを混合することで調製される。こうすることで、下記実施例に示すように、無機物を溶解させずに混合する方法で製造した、同量のTiHApを含む光触媒よりも高い光触媒活性を得ることができる。
また、本実施の形態では、無機物の溶液は、無機物を分散させた水の上澄み液であってもよいこととした。上澄み液は、無機物の懸濁液を静置すれば得られるため、簡便に無機物の溶液を得ることができる。また、無機物は、硫酸カルシウム二水和物であってもよいこととした。TiHApと溶解した硫酸カルシウム二水和物とを混合することで、良好な光触媒活性が得られる。
なお、上記混合ステップで用いる無機物の溶液は、無機物の溶解度を向上させる添加物を含んでもよい。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例1〜3では、TiHApとして市販品(PCAP−100、太平化学産業社製)を用いた。
(実施例1:種々の無機物混合による光触媒活性の比較)
TiHApと無機物とを0.06gずつ測りとり、重量比1:1になるように混合した試料0.12gをシャーレに入れ、20mLの蒸留水で分散させた。当該試料を70℃で12時間程度乾燥させ、試験体を得た。以下のいずれの試験体の調製においても、薬さじで撹拌することで試料が全体に均一になるように分散させた。なお、比較のため、0.06gのTiHApからなる試料についても、同様に試験体を調製した。各試験体の組成、使用した無機物及び無機物の20℃の水に対する公知の溶解度を表1に示す。
各試験体をそれぞれ分散したシャーレを容量5Lのテドラーバッグ内に封入し、試験体表面の有機物を分解するための前処理として、8Wのブラックライトによって照射強度0.82mW/cmで紫外線をテドラーバッグに対して3時間照射した。続いて、真空引き後、アセトアルデヒドガスが90ppmで残りのガスが窒素97.1%、酸素2.9%程度の混合ガスをテドラーバッグ内に封入した。封入した混合ガスの体積は936mLとした。
光触媒活性をより正確に評価するために、アセトアルデヒドの試験体への吸着が平衡に達してから光照射を開始する必要がある。そこで、テドラーバッグを暗室に24時間静置してアセトアルデヒドを試料表面に吸着させた。続いて、ブラックライトを用いて照射強度0.82mW/cmで紫外線をテドラーバッグに対して照射することで気相光触媒分解反応を起こし、アセトアルデヒドを分解させた。テドラーバッグ内のアセトアルデヒドの濃度を、ガスクロマトグラフ(GC−2014、島津製作所製)を用いて定期的に測定した。
ガスクロマトグラフの分析条件は以下の通りである。
検出器 FID
カラム 60m×0.25mm DB−1
定量成分 アセトアルデヒド
カラム温度 260℃
キャリア N2
圧力 300kPa
全流量 19.8mL/分
カラム流量 2.46mL/分
線速度 39.9cm/秒
パージ流量 5.0mL/分
スプリット比 5.0
気化室温度 260℃
検出器温度 260℃
各試験体を入れたテドラーバッグ内のアセトアルデヒド濃度の実測値を、次の式1に表す関数を用いてフィッティングした。
y=c(arctan(−a(x−b)+π/2)) (式1)
式1において、x及びyは、それぞれUV照射時間[h]及びセトアルデヒド濃度[ppm]を示し、a[1/h]、b[h]及びc[ppm]は、フィッティングパラメータである。
(結果)
図1は、試験体1〜8をそれぞれ入れたテドラーバッグ内のアセトアルデヒド濃度の経時変化を示す。無機物を混合しなかった試料から得られた試験体1と比較して、無機物を混合した試料から得られた試験体2〜8はいずれも、TiHApの光触媒活性を向上させた。無機物として硫酸カルシウム二水和物を混合した試料から調製した試験体2において、光触媒活性が特に増加した。なお、光触媒活性を有する二酸化チタンと硫酸カルシウム二水和物とを混合した試料から得られた試験体について同様の実験を行ったところ、二酸化チタンの光触媒活性はわずかに低下した。
図1に示す試験体1〜8について上記式1のフィッティングに基づいて算出したアセトアルデヒドの最大分解速度を図2に示す。試験体2〜8では、無機物を混合することでTiHApのアセトアルデヒド分解速度が大きくなった。特に、試験体2では、TiHApのアセトアルデヒド分解速度が顕著に大きくなった。
試験体1、9〜15をそれぞれ入れたテドラーバッグ内のアセトアルデヒド濃度の経時変化を図3に示す。試験体1と比較して、無機物を混合した試料から得られた試験体9〜15はいずれも、TiHApの光触媒活性が低下した。
以上の結果から、水に対する溶解度が比較的小さい(20g/100g−HO以下)無機物をTiHApに混合することで、TiHApの光触媒活性が向上することが示された。
(実施例2:分散媒の種類の影響)
蒸留水ではなくエタノール又はメタノールを分散媒(溶媒)とすることを除いて上記実施例1と同様に試験体を調製した。TiHApに混合する無機物としては硫酸カルシウム二水和物を用いた。エタノールを分散媒として調製した試験体2E及びメタノールを分散媒として調製した試験体2Mについて、実施例1と同様に紫外線照射によるアセトアルデヒドの除去能を評価した。
(結果)
図4は、試験体1、2、2E、2Mをそれぞれ入れたテドラーバッグ内のアセトアルデヒド濃度の経時変化を示す。エタノールを分散媒として用いた試験体2Eの光触媒活性は、試験体1よりも低いことが分かった。分散媒が蒸留水である試験体2の光触媒活性は、試験体2E及び2Mのいずれよりも高かった。硫酸カルシウム二水和物は、エタノール及びメタノールにほとんど溶解しない。この結果から、硫酸カルシウム二水和物が溶解過程を経ずにTiHApと混合された場合は光触媒活性の向上が見込めないことが示された。
(実施例3:無機物の混合方法の影響)
硫酸カルシウム二水和物0.06gを20mLの蒸留水中に分散させ、30分間常温で撹拌後、1時間静置した。静置後に得られる上澄み液を、0.06gのTiHApを分散したシャーレ内に添加し、乾燥させることで試験体Aを調製した。試験体Aの重量は0.10gであったため、上澄み液を添加する前のTiHApの重量との差から上澄み液(20mL)に含まれていた硫酸カルシウム二水和物の量が0.04gと推定された。したがって、上澄み液における硫酸カルシウム二水和物の溶解度は、0.2g/100mLであって、表1に示す硫酸カルシウム二水和物の公知の溶解度と同程度であることを確認した。試験体Aについて、実施例1と同様に紫外線照射によるアセトアルデヒドの除去能を評価した。
(結果)
試験体1、2、Aをそれぞれ入れたテドラーバッグ内のアセトアルデヒド濃度の経時変化を図5に示す。TiHApと硫酸カルシウム二水和物とをそれぞれ固体の状態であらかじめ混合した試料を蒸留水に分散させて調製した試験体2と比較して、硫酸カルシウム二水和物の懸濁液を静置して得られる上澄み液にTiHApを分散させて調製した試験体Aは、さらに迅速にアセトアルデヒドを分解した。これにより、硫酸カルシウム二水和物を事前に水に溶解する工程を踏むことで、硫酸カルシウム二水和物の使用量を3分の2に減らしても、さらに高い光触媒活性が得られることが示された。
上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
本発明は、光触媒の製造に好適である。

Claims (5)

  1. 20℃の水に対する溶解度が20g/100g−HO以下の無機物の溶液と、チタン置換水酸アパタイトとを混合する混合ステップを含む、
    光触媒チタンアパタイト混合組成物の調製方法。
  2. 前記溶液の溶媒は、
    水である、
    請求項1に記載の光触媒チタンアパタイト混合組成物の調製方法。
  3. 前記無機物の溶液は、
    前記無機物を分散させた水の上澄み液である、
    請求項1又は2に記載の光触媒チタンアパタイト混合組成物の調製方法。
  4. 前記無機物は、
    硫酸カルシウム二水和物である、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の光触媒チタンアパタイト混合組成物の調製方法。
  5. 前記チタン置換水酸アパタイト3質量部に対する前記硫酸カルシウム二水和物の質量部が、1.8〜2.2である、
    請求項4に記載の光触媒チタンアパタイト混合組成物の調製方法。
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