以下、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例に挙げて図面に基づき説明する。なお、説明の便宜上、パチンコ遊技機に対して遊技者側を「前」または「表」と称し、パチンコ遊技機を挟んで遊技者とは反対側を「後」または「裏」と称す。
パチンコ遊技機1は、図1に示すように、矩形状の機枠(外枠)2の一側(図1中、左側)に前面枠(内枠)3を開閉可能な状態で軸着し、該前面枠3内には、発射装置(図示せず)により発射された遊技球が流下可能な遊技領域5が表面に区画形成された矩形状の遊技盤6(図2参照)を収納可能としている。また、前面枠3の表面のうち機枠2への軸着側(図1中、左側)には透明部材保持枠8を開閉可能に設け、該透明部材保持枠8に透視可能な透明部材9を保持し、透明部材9を通して遊技領域5をパチンコ遊技機1の前方から透視できるように構成している。さらに、透明部材保持枠8の上部の左右両側には、効果音を発する上スピーカ11を備え、透明部材保持枠8の下部には上皿ユニット13を備え、透明部材保持枠8の下方には下皿ユニット14を配置している。そして、透明部材保持枠8の一側縁(図1中、右側縁)には、パチンコ遊技機1の機種名やメーカー名を表記する等して装飾を施した保持枠突出部8aを前方へ突設し、隣の席から当該パチンコ遊技機1の遊技進行が覗き見られることを保持枠突出部8aにより抑制するように構成されている。また、下皿ユニット14の一側方(図1中、右側方)には、発射装置を操作するための発射操作ユニット(発射操作ハンドル)15を備え、下皿ユニット14の左右両側方には、効果音を発する下スピーカ16を備え、上皿ユニット13の前側には、遊技中に遊技者が操作するための遊技演出ボタン17を備えている。
遊技盤6は、図2および図3に示すように、遊技板19の表面に複数のサイドケース20を枠状に連結した状態で止着して遊技領域5を区画形成した遊技ベースユニット21を基部とし、遊技領域5の上寄りには、中央部分が開口されたセンターケース23を配設している。そして、該センターケース23の左右両側には、遊技球が通過可能なケース球流下路(右側に位置する第1ケース球流下路26,左側に位置する第2ケース球流下路27)を備え、第1ケース球流下路26の下流側には普図始動ゲート28を配設し、普図始動ゲート28に入賞(通過)した遊技球をゲートスイッチ29により検出可能としている。そして、遊技球の普図始動ゲート28への入賞(詳しくは、ゲートスイッチ29による遊技球の検出)を始動条件(普図始動条件)として普図変動表示ゲームを実行可能としている。さらに、第1ケース球流下路26の下流部のうち普図始動ゲート28よりも上流側に位置する箇所の側方には大入賞口31を配設し、第1ケース球流下路26の上流部には一般入賞口32を配設している。
また、センターケース23の中央部分の下方には、左側の第1始動入賞口36と右側の第2始動入賞口37とが左右に並んで備えられた始動入賞ユニット38を配設し、当該始動入賞ユニット38の上部に開設された球受入口38aから遊技球が進入すると、始動入賞ユニット38内で揺動する振分部材が遊技球を振り分けて第1始動入賞口36または第2始動入賞口37のいずれかに入賞させるように構成されている。さらに、始動入賞ユニット38の一側方(図2中、右側方)には、普通電動役物(開閉部材)41aが備えられた第2始動入賞装置41を配設し、他側方(図2中、左側方)には一般入賞口42を配設している。また、第1始動入賞口36には、当該第1始動入賞口36に入賞した遊技球を検出可能な第1始動口スイッチ46を備え、第2始動入賞口37には、当該第2始動入賞口37に入賞した遊技球を検出可能な第2始動口スイッチ47を備え、第2始動入賞装置41には、当該第2始動入賞装置41に入賞した遊技球を検出可能な第2始動装置スイッチ48を備えている。そして、第1始動入賞口36への遊技球の入賞(詳しくは、第1始動口スイッチ46による遊技球の検出)を始動条件として特図1変動表示ゲームを実行可能とし、第2始動入賞口37または第2始動入賞装置41への遊技球の入賞(詳しくは、第2始動口スイッチ47または第2始動装置スイッチ48による遊技球の検出)を始動条件として特図2変動表示ゲームを実行可能としている。さらに、特図1変動表示ゲームの実行中に遊技球が第1始動入賞口36へ入賞した場合には、この入賞に基づく新たな特図1変動表示ゲームの実行を特図1始動記憶として予め設定された上限数(本実施形態では2つ)まで記憶して保留する。また、特図2変動表示ゲームの実行中に遊技球が第2始動入賞口37または第2始動入賞装置41へ入賞した場合には、この入賞に基づく新たな特図2変動表示ゲームの実行を特図2始動記憶として予め設定された上限数(本実施形態では2つ)まで記憶して保留する。なお、保留された始動記憶の数を表示する構成については、後で詳細に説明する。
さらに、始動入賞ユニット38の下方に位置する遊技領域5の下端には、入賞せずに流下してきた遊技球を回収するアウト口49を開設し、遊技領域5のうち、センターケース23や始動入賞ユニット38等の遊技用部材の取付部分を除いた箇所には風車や複数の障害釘(いずれも図示せず)を植設している。そして、サイドケース20の一側の下部(図2中、右下部)には一括表示装置51を備え、該一括表示装置51において普図変動表示ゲーム、特図変動表示ゲーム(特図1変動表示ゲーム,特図2変動表示ゲーム)、遊技状態の表示等を行うように構成されている。さらに、一括表示装置51の下方にはシール貼付部52を設けて、パチンコ遊技機1の機種情報が表示された証紙シール53を貼付している。
また、遊技ベースユニット21の裏面側には、図3に示すように、中央部が透光性を有する制御ユニット(裏面構成体)54を装着し、該制御ユニット54の裏側には表示装置55を装着して制御ユニット54の中央部(透光部)およびセンターケース23の中央部から表示装置55の表示部55aを前方へ臨ませ、複数の識別情報を変動表示させる飾り特図変動表示ゲーム(第1特図変動表示ゲームや第2特図変動表示ゲームに対応する演出表示)を表示部55aで表示可能としている。そして、制御ユニット54の下部には入賞球流路56を備え、該入賞球流路56を始動入賞ユニット38等の入賞装置の後部へ接続し、遊技領域5を流下して入賞装置に入賞した遊技球(入賞球)を入賞球流路56へ回収可能としている。さらに、制御ユニット54の裏側のうち表示装置55の下方には、遊技を統括的に制御する遊技制御装置58を装着し、表示装置55の裏側には、遊技における演出動作を制御する演出制御装置59を装着し、演出制御装置59の全体および遊技制御装置58の上部を制御ユニットカバー60により後方から被覆している(図4参照)。
次に、センターケース23について説明する。
センターケース23は、図5に示すように、透光性を有する枠状のケースベース61を当該センターケース23の基部として備え、該ケースベース61の中央部分には、表示装置55を視認可能とするケース窓部62を開設している。また、ケースベース61の上辺部の前面には、センターケース23の前方へ向けて突出した庇状の鎧部63をセンターケース23の左右両側へ向けて下り傾斜した円弧状態で配置し、該鎧部63とケース窓部62との間には、発光により装飾演出を実行可能な発光装飾部64を配置している。
さらに、鎧部63の傾斜下端に左右両側のケース球流下路26,27の上流開口をそれぞれ臨ませ、ケース窓部62と各ケース球流下路26,27との間には、遊技球がケース球流下路26,27からケース窓部62への侵入を阻止する球侵入阻止壁66を前方へ向けてそれぞれ突設している。そして、第1ケース球流下路26を左右方向へ蛇行する状態に形成し、該第1ケース球流下路26の下流開口をセンターケース23の下方へ開放している。また、第2ケース球流下路27の下流部には、上下方向に離間した一対の球転動棚67を配置して当該下流部を横向き姿勢で上下に分岐し、各分岐路をセンターケース23の下方へ開放している。
そして、下側の球転動棚67の下方には保留表示部70を備え、該保留表示部70内に特図1保留数表示部71、特図2保留数表示部72、特図1第4図柄表示部73、特図2第4図柄表示部74をそれぞれLED等の発光部材により構成して配設している。具体的には、保留表示部70の上部に2つの特図2保留数表示部72を横に並べて配設し、保留表示部70の上下方向の中間部に2つの特図1保留数表示部71を横に並べて配設し、保留表示部70の下部においては、一側(図2中、左側)に特図1第4図柄表示部73を配設し、他側(図2中、右側)に特図2第4図柄表示部74を配設している。特図1保留数表示部71では特図1変動表示ゲームの実行保留数を発光数により表示し、特図2保留数表示部72では特図2変動表示ゲームの実行保留数を発光数により表示する。また、特図1第4図柄表示部73では、変動図柄の停止態様と合わせて特図1変動表示ゲームの結果を報知するための特図1第4図柄を発光により表示し、特図2第4図柄表示部74では、変動図柄の停止態様と合わせて特図2変動表示ゲームの結果を報知するための特図2第4図柄を発光により表示する。なお、保留表示部70の下部に配設された2つの発光部材を用いて、特図1変動表示ゲームの結果、あるいは特図2変動表示ゲームの結果を報知するための第4図柄を発光により表示するように構成してもよい。また、保留表示部70に保留表示や図柄を表示せず、その代わりに表示装置55の表示部55aに保留表示や図柄を表示してもよい。さらに、遊技者に所謂右打ち(遊技球をセンターケース23の上方を通過させて第1ケース球流下路26へ流下させるように発射操作を行うこと)を指示する機種である場合には、遊技者への右打ち指示を報知する報知部を保留表示部70に設けてもよい。
また、ケースベース61の下辺部には、遊技球が横方向(前後方向および左右方向)へ転動可能なステージ部76を配置している。さらに、ステージ部76の左右方向の中央部には、遊技球をステージ部76上からステージ部76の前方および下方へ案内する案内溝77を備えている(図2参照)。また、ステージ部76の後方には、ステージ部76上の遊技球が後方の表示装置55側へ進入することを規制する透光性の進入規制壁78を立設し、ステージ部76の一側端(図2中、左側端)には、遊技球が流下可能な球導入路(ワープ流路)79を設けている。そして、球導入路79の入口を第2ケース球流下路27の中流部へ開放し、球導入路79の出口をステージ部76へ向けて開放し、遊技球が第2ケース球流下路27から球導入路79を通ってステージ部76上へ到達できるように構成されている。さらに、ケースベース61のうちステージ部76を挟んで球導入路79とは反対側(図6中、右側)には、遊技の進行(具体的には、大当り状態の発生)に伴って発光による遊技状態の報知を実行可能な発光報知部80を備えている。
第1ケース球流下路26の側方に設けられた大入賞口31は、図5に示すように、ケースベース61のうち普図始動ゲート28の上方からステージ部76側(図5中、左側)へずれた位置に開設された大入賞開口83と、遊技球が第1ケース球流下路26から大入賞開口83へ流下することを許容したり阻止したりする羽根状の大入賞開閉部材84と、該大入賞開閉部材84に開閉動作を行わせる大入賞口ソレノイド(図示せず)と、大入賞開口83を通過した遊技球(入賞球)を検出可能なカウントスイッチ(大入賞口スイッチ)86とを備えて構成されている。さらに、遊技球の大入賞口31への入賞を阻止する閉状態においては、大入賞開閉部材84が縦向き姿勢となり(図2参照)、遊技球の大入賞口31への入賞を許容する開状態において、大入賞開閉部材84が下端部を回動中心として回動して上端部を第1ケース球流下路26側へ移動するように構成されている(図5参照)。
そして、図5に示すように、ケースベース61のうち大入賞開口83および球侵入阻止壁66を挟んで大入賞開閉部材84とは反対側(言い換えると、球侵入阻止壁66よりもケース窓部62側)には、大入賞開閉部材84と対をなす装飾開閉部材94を回動可能な状態で備え、該装飾開閉部材94を装飾開閉ソレノイド(図示せず)により開閉動作を行わせるように構成されている。具体的には、装飾演出を実行していない常態においては、装飾開閉部材94が縦向きの閉姿勢となり(図2参照)、装飾演出を実行した状態においては、装飾開閉部材94が下端部を回動中心として回動して上端部をケース窓部62側へ移動するように構成されている(図5参照)。さらに、大入賞口31の前側のうち、大入賞開閉部材84と装飾開閉部材94との間に位置する箇所には、大入賞口31を装飾する大入賞装飾パネル98を配置している。なお、大入賞装飾パネル98の構成については、後で詳細に説明する。
次に、制御ユニット54について説明する。
制御ユニット54は、図3および図6に示すように、遊技ベースユニット21の裏面に止着されるユニットケース100を前側が開放した状態で備え、該ユニットケース100の後部には矩形状の表示開口窓100aを前後方向へ貫通して開設し、ユニットケース100の後方に装着された表示装置55の表示部55aを表示開口窓100aに臨ませている(図3参照)。さらに、ユニットケース100の前側開放部には、遊技の進行に伴って動作可能な可動役物ユニット(可動演出装置)を複数個(本実施形態では5つ)組み合わせて収納している。具体的に説明すると、ユニットケース100のうち表示開口窓100aの前方に位置する箇所には、中央部が透光性を有する矩形状の中央役物ユニット(第1役物ユニット)101を配置し、該中央役物ユニット101の前側の下部には横長な下側役物フロントユニット(第2役物ユニット)102を装着し、該下側役物フロントユニット102の下部の前方に入賞球流路56を配置している(図6および図7参照)。また、中央役物ユニット101の前側のうち上部から第2ケース球流下路27側の側縁部(図7中、左側縁部)に亘る箇所には倒L字状を呈する上側役物ユニット(第3役物ユニット)103を装着し、中央役物ユニット101の前側のうち第1ケース球流下路26側の側縁部(図7中、右側縁部)には縦長な側縁役物ユニット(第4役物ユニット)104を装着している。さらに、中央役物ユニット101の後側の下部には横長な下側役物リアユニット(第5役物ユニット)105を装着している。そして、下側役物フロントユニット102、上側役物ユニット103、側縁役物ユニット104がセンターケース23の後方においてケース窓部62の開口縁に沿って枠状に位置し、ケースベース61、進入規制壁78、ケース窓部62を通して遊技盤6の前方から視認できるように構成されている(図2参照)。
中央役物ユニット101は、図8に示すように、中央部分が矩形状に開口されて当該中央役物ユニット101の基部となる額縁状の中央ユニットベース(演出ベース)110と、該中央ユニットベース110の上辺部に係合する中央可動機構111と、中央ユニットベース110の表側に装着される矩形状の導光演出機構112とを備えて構成されている。中央可動機構111は、図8から図10に示すように、中央ユニットベース110の上辺部および左右両側辺部の後方に離間した状態で配置される倒コ字状の可動機構ベース115を備え、該可動機構ベース115の上辺部の前面には、左右方向に離間した一対の中央可動アーム116の各上端部をそれぞれ回動可能な状態で軸着し、各中央可動アーム116のうち上端部(軸着部)から下方へずれた箇所には、円弧状の中央アームガイド溝116aを開設し、可動機構ベース115から前方に延設された中央アームガイド突起115aを中央アームガイド溝116aに摺動可能な状態でそれぞれ係合している。さらに、各中央可動アーム116の下端部を互いに左右方向へ離間し、この状態で横長な中央役物部材(可動部材)117へそれぞれ軸着して、各中央可動アーム116により中央役物部材117を昇降可能な状態で支持している。
さらに、各中央可動アーム116の軸着部には、中央可動アーム116と共回りする中央アームギア118をそれぞれ備え、該中央アームギア118同士を複数(本実施形態では3枚)の中央伝達ギア119を介して噛合している。また、可動機構ベース115の上辺部の前面の一側(図9(a)中、右側)には、中央可動機構111の駆動源である中央役物駆動モータ120を備え、該中央役物駆動モータ120の出力軸と共回りする中央駆動ギア121(図9(b)参照)を一側(図9(b)中、左側)の中央アームギア118に噛合している。そして、中央役物駆動モータ120を駆動して回動力を出力すると、この回動力が中央駆動ギア121および中央伝達ギア119を介して各中央アームギア118に伝達されて各中央可動アーム116が同位相で上下方向に回動し、中央可動アーム116同士の間に装着された中央役物部材117が横向き姿勢を維持した状態で上下方向へ移動するように構成されている。
中央可動アーム116の動作により移動可能な中央役物部材117は、図8に示すように、透光性を有する前側カバー部124と、中央可動アーム116が軸着される後側ベース部125との間に中央役物発光基板126を収容し、中央役物発光基板126に実装されたLED等の中央役物発光部材126aが光を発生すると、この光が前側カバー部124を通って遊技盤6の前方へ照射されるように構成されている。また、中央役物部材117の上部には中央役物ガイド突起127を備え、中央ユニットベース110の上辺部に開設された縦向き円弧状の中央可動ガイド溝110aに中央役物ガイド突起127を摺動可能な状態で係合している。言い換えると、中央役物部材117は、中央可動ガイド溝110aおよび中央役物ガイド突起127を介して中央ユニットベース110に動作可能な状態で装着されている。さらに、中央役物部材117の側端部(図9(a)中、左側端部)には中央役物位置検出片128を突設し、可動機構ベース115に設けられた中央役物位置検出センサ129により中央役物位置検出片128を検出可能としている。
このような構成を備えた中央可動機構111においては、中央役物駆動モータ120を駆動して各中央可動アーム116を回動することにより中央役物部材117を昇降し、中央役物ガイド突起127を中央可動ガイド溝110aの上端部へ係合して中央役物部材117を演出非実行位置(上死位置)に配置すると(図9参照)、中央役物部材117が中央ユニットベース110の上辺部と可動機構ベース115の上辺部との間に収容されて上側役物ユニット103および発光装飾部64の後方に隠れ、遊技盤6の前方から視認不能となる(図2参照)。このとき、中央役物位置検出センサ129が中央役物部材117の中央役物位置検出片128を検出して、中央役物部材117が演出非実行位置に配置されていることを把握することができる。また、中央役物ガイド突起127を中央可動ガイド溝110aの下端部へ係合して中央役物部材117を演出実行位置(下死位置)に配置すると(図10参照)、中央役物部材117が中央ユニットベース110の上辺部と可動機構ベース115の上辺部との間から下方へずれて表示装置55の表示部55aの上部の前方に重なり、遊技盤6の前方から視認可能となる(図6参照)。
導光演出機構112は、図8に示すように、表示装置55の表示部55aの前方に重なって配置される透明な導光板131と、該導光板131を左右両側から保持する導光ホルダー132と、導光板131の外方(詳しくは、図8中、右側方)に配置された導光演出発光基板133とを備えて構成されている。そして、導光ホルダー132を中央ユニットベース110の左右両側縁に止着して、導光板131を中央ユニットベース110の中央開口の前方に配置している。また、一側(図8中、右側)の導光ホルダー132と可動機構ベース115との間に縦長な導光演出発光基板133を挟持し、該導光演出発光基板133の上部を基板ブラケット134により可動機構ベース115へ係止して、導光演出発光基板133に実装されるフルカラーLED等の導光演出発光部材135を導光板131の側方(図11(a)中、左側方)に配置している。
導光板131は、透明樹脂や透明ガラスなどの透光性部材で形成された平板であり、遊技者が当該導光板131および中央ユニットベース110の中央開口を通して表示装置55の表示部55aを視認できるように構成されている。また、表示部55a側を向いた裏面には、半球粒状の微細な透明突起137(例えば、粒径が数十μmの半球状突起(図11(a)参照))を複数突設して、キャラクターの描画等を表現するドットパターンDPを施し、演導光演出発光部材135から光を発生させて導光板131の側方から進入させると、この光が各透明突起137内で屈曲して導光板131の前方へ拡散して、遊技者側から目視するとドットパターンDPが発光した状態で見えるように構成されている(図11(b)参照)。
ここで、複数の透明突起137で構成されるドットパターンDPは、例えば、液状の透明樹脂を吐出可能な液体吐出装置(例えば、インクジェットプリンター)を用いて導光板131に施工されている。また、ドットパターンDPを構成する透明突起137においては、図11(b)に示すように、導光演出発光基板133から遠ざかるにつれて透明突起137の粒径を次第に小さくして、透明突起137の配置数の密度(言い換えると、光が屈曲する箇所の密度)が次第に高くなる状態に設定している。これにより、導光演出発光基板133から遠い場所と近い場所とで、ドットパターンDPの発光の明暗が極端に異なる不都合を抑制するように構成されている。
なお、図11(c)に示すように、導光板131の裏面に透明なコーティング剤等を用いて保護層138を形成して透明突起137を保護すれば、微細な透明突起137が不用意に導光板131から脱落する不都合を避けようとすることができて好適である。また、透明突起137から導光板131の裏側に進行しようとする光を保護層138により反射させて透明突起137の前方へ進行させ易くなり、ドットパターンDPの発光効果を高めようとすることができる。
次に、下側役物フロントユニット102について説明する。
下側役物フロントユニット102は、図12に示すように、当該下側役物フロントユニット102の前面部に、LED等の下側役物発光部材145と、花の形状を模した下側役物回転体150とを備えている。詳しくは、下側役物フロントユニット102の前面部の左右方向の中央部に下側役物回転体150を回転可能な状態で備え、該下側役物回転体150の左右両側方に複数個の下側役物発光部材145を横に並べた状態でそれぞれ配置している。
さらに、下側役物フロントユニット102の前面部の左右両側には、左右方向にスライドして開閉可能な下側役物スライドパネル152をそれぞれ備え、各下側役物スライドパネル152の下部には縦長なパネル駆動係合溝153をそれぞれ開設している。また、下側役物フロントユニット102の下部にはパネル駆動モータ154を備えて出力軸にパネル駆動ギア155を共回り状態で軸着し、該パネル駆動ギア155の左右両側にはスライド伝達ギア156をそれぞれ噛合している。そして、各スライド伝達ギア156のうち回転中心から外れた位置からスライド係合突起157を突設してパネル駆動係合溝153へそれぞれ係合し、この状態でパネル駆動モータ154を駆動してスライド伝達ギア156と共にスライド係合突起157を回転させると、下側役物スライドパネル152同士が横並びで当接する閉成状態(図12(a)参照)、下側役物スライドパネル152同士が左右方向に離間する開放状態(図12(b)参照)とに変換するように構成されている。
さらに、各下側役物スライドパネル152の中央部分には、横長なパネル透光開口152aをそれぞれ開設して後方の下側役物発光部材145を臨ませ、各下側役物スライドパネル152のうち下側役物回転体150側の側縁部には、半円状のパネル切欠き部152bをそれぞれ開設している。そして、各下側役物スライドパネル152を閉成状態に変換すると、パネル切欠き部152b同士が隣り合って単一の円形の開口を形成し、この開口から下側役物回転体150の中央部分のみが前方へ露出し、下側役物回転体150の外周部が開口の縁部の後方に隠れるように構成されている(図12(a)参照)。
次に、上側役物ユニット103および側縁役物ユニット104について説明する。
上側役物ユニット103は、図7に示すように、該上側役物ユニット103の基部となる倒L字状の上側ユニットベース161に複数種類の上側役物回転体162(本実施形態では、互いに大きさが異なる第1上側回転体162aおよび第2上側回転体162bの2種類)を備えて構成されている。そして、上側ユニットベース161の裏面側に設けられた上側役物駆動モータ(図示せず)の出力により各上側役物回転体162を回転するように構成されている。また、側縁役物ユニット104は、図6に示すように、該側縁役物ユニット104の基部となる縦長な側縁ユニットベース181に、複数種類の側縁役物回転体182(本実施形態では、互いに大きさが異なる第1側縁回転体182aおよび第2側縁回転体182bの2種類)と、第1ケース球流下路26の一般入賞口32に入賞した遊技球(入賞球)を回収する縦長な入賞球回収樋183とを備えて構成されている。そして、側縁ユニットベース181の裏面側に設けられた側縁役物駆動モータ189の出力により各側縁役物回転体182を回転するように構成されている。なお、入賞球回収樋183は、側縁ユニットベース181の裏側に装着された縦長な回収樋であり、当該入賞球回収樋183の上流開口を一般入賞口32に連通し、当該入賞球回収樋183の下流開口を入賞球流路56の上部の一側(図6中、右側)へ連通している。
次に、下側役物リアユニット105について説明する。
下側役物リアユニット105は、図13に示すように、横長なリアユニットベース201を備え、該リアユニットベース201の前側には、傾倒姿勢の三日月形状を呈する下側役物部材202を備え、該下側役物部材202の裏面側から突設した下側役物ガイド突起203をリアユニットベース201に開設された縦長なリアガイド溝201aに摺動可能な状態で係合して、下側役物部材202を上下方向へ移動可能としている。さらに、下側役物部材202の側部(図13(a)中、左側部)には下側役物位置検出片209を突設し、リアユニットベース201に設けられた下側役物位置検出センサ210により下側役物位置検出片209を検出可能としている。
また、リアユニットベース201のうちリアガイド溝201aの側方(図13(a)中、右側方)には、下側役物部材202の駆動源となる下側役物昇降駆動モータ215を備え、下側役物部材202の下方には、下側役物昇降駆動モータ215側へ向けて横向きに延在する下側役物アーム216を備えて一端部(図13(a)中、下側役物昇降駆動モータ215側である右端部)をリアユニットベース201へ回動可能な状態で軸着している。そして、下側役物アーム216の軸着部には下側アームギア217を備え、該下側アームギア217を下側役物昇降駆動モータ215の出力軸と共回りする下側役物駆動ギア(図示せず)に下側アームギア217を噛合している。さらに、下側役物アーム216の他端部(図13(a)中、リアガイド溝201a側である左端部)を下側役物部材202の下部に係合するとともに、リアユニットベース201に開設された下側アームガイド溝(詳しくは、リアガイド溝201aと平行な下側アームガイド溝)219へ摺動可能な状態で係合している。
このような構成を備えた下側役物リアユニット105においては、下側役物昇降駆動モータ215を駆動して下側役物アーム216を回動することにより下側役物部材202を昇降し、図13(a)に示すように、下側役物ガイド突起203をリアガイド溝201aの下端部へ係合して下側役物部材202を演出非実行位置(下死位置)に配置すると、下側役物部材202が側縁役物ユニット104および下側役物フロントユニット102の後方に隠れて遊技盤6の前方から視認不能となる(図2参照)。このとき、下側役物位置検出センサ210が下側役物位置検出片209を検出して、下側役物部材202が演出非実行位置に配置されていることを把握することができる。また、図13(b)に示すように、下側役物ガイド突起203をリアガイド溝201aの上端部へ係合して下側役物部材202を演出実行位置(上死位置)に配置すると、下側役物部材202が側縁役物ユニット104および下側役物フロントユニット102の後方から表示装置55の表示部55aの中央寄りにずれて位置し、遊技盤6の前方から視認可能となる(図6参照)。
次に、大入賞口31を装飾する大入賞装飾パネル98について説明する。
大入賞装飾パネル98は、図14(a)に示すように、当該大入賞装飾パネル98の基部となる縦向き平板状の貼付ベース部221と、該貼付ベース部221よりもひと回り小さいシールである貼付部材222とを備え、貼付ベース部221の前面に貼付部材222を貼付して構成されている。貼付ベース部221は、当該貼付ベース部221の前面に縦向きの被貼付面225を設定して貼付部材222を貼付可能とし、貼付ベース部221のうち被貼付面225から下方へ外れた位置には、貼付部材222の下部を係合可能なベース係合受部226を備えている。そして、図15に示すように、該ベース係合受部226には、被貼付面225と同一平面上に位置する係合受基部227を備え、該係合受基部227から断面円形状の係合軸228を貼付ベース部221の前方へ向けて突設している。また、貼付ベース部221の前面のうちベース係合受部226から外れた側部(図14(a)中、右側部)には、貼付部材222の縁部が当接する位置決め当接部229を備えている。
貼付部材222は、図14(b)および(c)に示すように、透明フィルムを当該貼付部材222の基材231とし、該基材231の裏面にインクを用いて印刷する等して装飾層232を形成し、該装飾層232の裏面に粘着剤を塗布する等して粘着層233を形成している。また、貼付部材222の下部(言い換えると、貼付ベース部221のベース係合受部226に重なる部分)には、ベース係合受部226に係合される貼付係合部236を備えている。そして、該貼付係合部236には、貼付部材222の裏面の下部に粘着層233が形成されない部分を設定して非貼付領域237とし、該非貼付領域237内に円形状の貫通孔238を開設している。さらに、図15に示すように、貫通孔238に係合軸228を挿通するとともに非貼付領域237を係合受基部227へ重ねて貼付係合部236をベース係合受部226へ係合するように構成されている。
このような構成の大入賞装飾パネル98においては、次のような手順を経て貼付部材222を貼付ベース部221へ貼付することができる。まず、図14(a)中にて二点鎖線で示すように、貼付部材222を被貼付面225への貼付姿勢(図14(a)中、実線で示す姿勢)とは異なる貼付準備姿勢に設定する。詳しくは、貫通孔238を回動中心として貼付姿勢から位置決め当接部229と離れる方向へ位相がずれた姿勢(貼付準備姿勢)に設定する。そして、図15に示すように、貼付部材222を貼付ベース部221へ近づけて貼付係合部236をベース係合受部226へ係合する。この係合状態では、非貼付領域237と係合受基部227とが重なっても、非貼付領域237が係合受基部227(ベース係合受部226)に貼付されないため、貼付係合部236の前記ベース係合受部226に対する摺動、滑動、離間等の動作が許容される。さらに、貼付部材222を反らして貼付部材222(詳しくは粘着層233)と被貼付面225とを離間した非貼付状態に設定する。この非貼付状態では、貼付部材222が貼付係合部236およびベース係合受部226を中心として、被貼付面225の延在方向に沿って回動し得る。貼付係合部236をベース係合受部226へ係合したならば、貼付係合部236およびベース係合受部226を回動中心として貼付部材222を被貼付面225の延在方向に沿って回動して位置決め当接部229へ近づける。貼付部材222を回動すると、貼付部材222の縁部が位置決め当接部229に当接して貼付部材222が貼付姿勢に位置決めされ、この位置決め状態で貼付部材222の反りを解いて粘着層233を被貼付面225へ押圧すると、貼付部材222が貼付ベース部221へ貼付される。
このように、貼付前では貼付部材222を回動することができるように構成したので、貼付部材222を設計通りの位置に配置して貼付する作業を容易に行うことができ、貼付部材222を貼付する作業の負担軽減を図ることができる。また、貼付ベース部221には、貼付部材222の縁部が当接する位置決め当接部229をベース係合受部226から外れた位置に備えたので、貼付部材222の位置決めを簡単に行うことができる。さらに、貫通孔238に係合軸228を挿通して貼付係合部236をベース係合受部226へ係合する構成を採用したので、貼付部材222の回動を簡単な構成で実現することができる。なお、貼付部材222の回動中心位置(言い換えると、貼付係合部236の位置)は、貼付部材222が周辺の構造にぶつからずに支障なく回動できれば何処に設定してもよい。しかしながら、貼付部材222の側縁部や隅部に回動中心を設定すれば、貼付準備姿勢の貼付部材222が被貼付面225の大部分を覆い隠すことを避けることができ、被貼付面225の大きさや被貼付面225の縁部(言い換えると、貼付部材222の位置合わせの目印となる縁部)を確認しながら貼付部材222を慎重に回動および貼付することができて好適である。また、貫通孔238が開設される非貼付領域237に装飾層232を形成しないで透明にすれば(言い換えると、基材(透明フィルム)231のみの透明な箇所を非貼付領域237に設定して貫通孔238を開設すれば)、貫通孔238が目立ち難くなって好適である。
次に、パチンコ遊技機1の作用、特に大当り状態における遊技盤6の演出動作について説明する。
遊技領域5を流下する遊技球が始動入賞ユニット38(第1始動入賞口36,第2始動入賞口37)や第2始動入賞装置41へ入賞したことに基づいて特図変動表示ゲーム(特図1変動表示ゲーム,特図2変動表示ゲーム)が実行され、この特図変動表示ゲームの結果が大当り(特別結果態様)であった場合には、遊技制御装置58が特別遊技状態(大当り状態)を発生させるコマンドを送信し、演出制御装置59が遊技制御装置58からのコマンドに基づいてファンファーレ処理を行ってスピーカ11,16からの効果音の出力等を実行し、ファンファーレ処理の終了後に、大当り状態における動作処理(複数回のラウンドの進行に伴う大入賞口31の開閉処理)を実行する。
大当り状態における動作処理では、図16に示すように、大入賞口ソレノイドとともに装飾開閉ソレノイドを駆動して、大入賞開閉部材84と装飾開閉部材94とを同時に開閉動作させる。そして、遊技球が大入賞口31に入賞してカウントスイッチ86に検出されると、このカウントスイッチ86の検出信号に基づいて演出制御装置59が表示装置55の演出表示制御を実行し、表示装置55の表示部55aのうち開状態の装飾開閉部材94の上方に位置する箇所に、装飾開閉部材94に向かって流下する遊技球の動画を表示する。したがって、遊技者は、大入賞口31への遊技球の入賞に伴って、装飾開閉部材94が遊技球を大入賞口31へ誘導するかのような演出を見て楽しむことができる。なお、遊技球の動画の表示は、遊技球の大入賞口31への入賞(カウントスイッチ86の検出)の有無に拘らず、装飾開閉部材94の開動作(装飾開閉ソレノイドの駆動)のタイミングに合わせて実行してもよい。また、装飾開閉部材94が演出制御装置59によって制御されるように設定してもよく、ラウンドによって開かない場合、大入賞開閉部材84の開放パターンが短開放であった場合は動作しないなど、装飾開閉部材94と大入賞開閉部材84とを非同期(独立して)動作可能としてもよい。
また、図17に示すように、ファンファーレ処理の開始に伴って、上側役物ユニット103の上側役物駆動モータおよび側縁役物ユニット104の側縁役物駆動モータ189をそれぞれ駆動して、上側役物回転体162および殆どの側縁役物回転体182(詳しくは、側縁役物ユニット104の上部に位置する第1側縁回転体182aを除く側縁役物回転体182)を遊技盤6の前方から見て時計方向へ回転する。この回転動作により、上側役物回転体162が鎧部63側となる上縁部を遊技盤6の左側から右側へ移動させるとともに、殆どの側縁役物回転体182が第1ケース球流下路26側となる側縁部(図17中、右側部)を遊技盤6の上側から下側へ移動させて、遊技者に所謂右打ち(遊技球をセンターケース23の上方を通過させて第1ケース球流下路26へ流下させるように発射操作を行うこと)を指示し、遊技球の大入賞口31への入賞を促す。また、表示装置55の表示部55aには「右打ち」の文字を表示する。なお、「右打ち」の文字の近傍に位置する第1側縁回転体182aは、他の回転体162,182とは逆回転するため、遊技者がこの逆回転動作に気づいて視線を向け易くなり、さらには「右打ち」の文字を視界に入れ易い。したがって、パチンコ遊技機1から「右打ち」の指示が出ていることを把握し易い。
大当り状態が終了すると、演出制御装置59は、上側役物駆動モータおよび側縁役物駆動モータ189の駆動を停止して右打ち指示の演出を終了し、エンディング処理を実行して表示装置55の表示部55aにエンディング画像を表示する等の処理を行う。そして、大当り状態の終了後に遊技状態が所謂電サポ状態(普図変動表示ゲームにおける当りの確率を高くするとともに、普図変動表示ゲームの変動表示時間を短縮することにより、普通電動役物41aの開閉動作を頻発させて第2始動入賞装置41に遊技球を入賞し易くした普電サポート状態)に設定されると、上側役物駆動モータおよび側縁役物駆動モータ189を再び駆動して上側役物回転体162および側縁役物回転体182を遊技盤6の前方から見て時計方向へ回転する。この回転動作により、遊技者に所謂右打ちを指示し、遊技球を第1ケース球流下路26へ流下させて第2始動入賞装置41へ入賞させることを促す。
なお、大当り状態における上側役物駆動モータおよび側縁役物駆動モータ189の制御を、駆動と停止とを交互に繰り返して実行する態様に設定してもよい。例えば、上側役物駆動モータおよび側縁役物駆動モータ189を予め定められた条件(第1上側回転体162aおよび第1側縁回転体182aの1回転または2回転の動作完了、または、設定時間の経過)が成立するまで駆動し、その後に一定期間に亘って一時停止するように設定し、この駆動と一時停止とを交互に繰り返して実行してもよい。また、上側役物駆動モータと側縁役物駆動モータ189とを互いに異なる周期で駆動と停止とを交互に実行するように設定してもよい。
ところで、上記実施形態では、貼付部材222に貫通孔238を開設して貼付ベース部221に対して回動可能としたが、本発明はこれに限定されない。要は、貼付前の貼付部材222が回動できれば、どのような構成で貼付部材222と貼付ベース部221とを係合してもよい。例えば、図18(a)に示す変形例では、貼付ベース部221のベース係合受部226′を、係合受基部227と、該係合受基部227の一部を突出して形成されたベース係合凸部241とを備えて構成し、貼付部材222の貼付係合部236′を、非貼付領域237と、該非貼付領域237の一部を凹ませて形成された貼付係合凹部242とを備えて構成している。そして、ベース係合凸部241と貼付係合凹部242とを係合して貼付部材222が貼付ベース部221に回動可能な状態で係合するように構成している。
また、図18(b)に示す変形例では、貼付ベース部221のベース係合受部226″を、係合受基部227と、該係合受基部227の一部を凹ませて形成されたベース係合凹部246とを備えて構成し、貼付部材222の貼付係合部236″を、非貼付領域237と、該非貼付領域237の一部を突出して形成された貼付係合凸部247とを備えて構成している。そして、ベース係合凹部246と貼付係合凸部247とを係合して貼付部材222が貼付ベース部221に回動可能な状態で係合するように構成している。これらの変形例のように、貼付部材222への貫通孔の開設を避けて貼付部材222と貼付ベース部221との係合を実現すれば、貼付部材222の装飾の一部が貫通孔によって欠損する不都合を避けることができる。また、貼付部材222が薄肉なシート状である場合には、貼付係合部を型押し等の加工で簡単に作成することができる。なお、ベース係合凹部246は、係合受基部227に開設されたビス挿通穴(例えば、貼付ベース部221をセンターケース23へ止着するビス(止着部材)を挿し入れる穴)の開放口で構成されてもよい。このようにしてビス挿通穴を利用して貼付部材222を回動可能とすれば、ベース係合凹部246とビス挿通穴とを別個に設ける必要がなく、しかも、貼付部材222によりビス挿通穴を覆い隠すことができて美観を損なうことがない。
また、上記実施形態および変形例では、貼付部材222において、粘着層233の非積層箇所を設けて非貼付領域237を構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、粘着層233の一部を剥離紙等の保護材で被覆して非貼付領域237を設定してもよい。そして、貼付部材222を被貼付面225へ貼付した後に、保護材を貼付部材222から外して貼付係合部236を係合受基部227に貼付するように構成してもよい。このようにして貼付部材222が全体に亘って貼付ベース部221に貼付されるように構成すれば、貼付係合部236が中途半端にめくれる不都合、ひいては貼付部材222の美観がめくれによって損なわれる不都合を避けることができて好適である。なお、パチンコ遊技機1のリサイクルの際に、貼付部材222を剥がして貼付ベース部221を再利用し得る場合には、貼付部材222の貼付係合部236(非貼付領域237)を係合受基部227へ貼付しないままにしておけば、貼付部材222の剥がし作業時に作業員が貼付係合部236をつまんで貼付部材222を剥がし易い。したがって、貼付係合部236は、貼付部材222を貼付ベース部221に対して回動可能とする機能、貼付部材222を貼付ベース部221へ係合する機能を有することに加えて、貼付部材222を剥がす時に便利なタブ(つまみ)の機能をも有する。なお、貼付部材222の剥がし易さを考慮して、粘着層233のうち非貼付領域237との境目の部分を他の部分よりも薄くする等して粘着層の強度(粘着層の変形し難さ)を弱めてもよい。あるいは、貼付部材222が不用意に剥がれる不都合を抑制するために、粘着層233のうち非貼付領域237との境目の部分を他の部分よりも厚くする等して粘着層の強度(粘着層の変形し難さ)を強めてもよい。
また、図19に示すように、貼付部材222のうち非貼付領域237の境界部分に位置する箇所には、当該貼付部材222の他の部分よりも強度が低い脆弱部(図19に示す変形例では、ミシン目状のスリット)249を形成してもよい。そして、貼付部材222を貼付ベース部221へ貼付した後に、脆弱部249を破断して貼付部材222から貼付係合部236を切り離し可能としてもよい。このようにして用済みの貼付係合部236を除去すれば、貼付係合部236がめくれること、ひいては貼付部材222の美観が損なわれる不都合をなくすことができる。また、貼付された貼付部材222の表面に別個の貼付部材222を重ねて貼付する場合(例えば、貼付部材222を保護する保護シールを重ねて貼付する場合や、遊技盤1のリサイクルの際に、リサイクル後の機種の仕様に基づいて新たな貼付部材222を重ねて貼付する場合)には、ベース係合受部226を貼付部材222で覆わずに露出した状態にして、重ね貼りされる貼付部材222の貼付係合部236を直に係合することができる。したがって、重ねて貼付される貼付部材222の位置決め作業(回動)を滞りなく行うことができる。
なお、脆弱部は、ミシン目状のスリットで構成されることに限らない。要は、貼付部材222の他の部分よりも強度が低ければ、どのような態様の脆弱部を構成してもよい。例えば、複数の小さな孔を貫通して脆弱部を構成してもよいし、非貼付領域237の境界に沿って溝を延設して脆弱部を構成してもよい。また、貼付ベース部の被貼付面のうち脆弱部が重なり得る箇所に、脆弱部が引っ掛かる突起を備え、脆弱部を突起に引っ掛けた状態で貼付係合部を引けば、脆弱部の破断(貼付係合部の切り離し)が容易になって好適である。
ところで、上記実施形態および変形例においては、本発明における貼付部材および貼付ベース部の適用例として大入賞装飾パネル98を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、遊技制御装置や演出制御装置等の制御装置の封印シールと、該封印シールを貼付する基板ボックスとに本発明を適用してもよい。具体例として遊技制御装置58を挙げて説明すると、図20に示す遊技制御装置58は、ベース部材251と蓋部材252とを前後に重ねて構成される基板ボックス253内に制御基板254を収容し、基板ボックス253の側部(図20中、右側部)には、貼付ベース部256をベース部材251と蓋部材252とに跨る状態で備えている。また、貼付ベース部256には、貼付部材である矩形状の封印シール(電子タグシール)257を貼付し、該封印シール257を保護カバー部材258で被覆している。さらに、貼付ベース部256のうち蓋部材252側の部分にベース係合受部261と位置決め当接部262とを備え、封印シール257の隅部に、非貼付領域を有する貼付係合部263を備えている。このような構成を備えた遊技制御装置58の封印作業(封印シール257の貼付作業)においては、封印シール257の粘着層を貼付ベース部256から離間した状態で貼付係合部263をベース係合受部261に係合する。さらに、この状態で封印シール257を回動し、封印シール257の縁部が位置決め当接部262に当接したら、封印シール257の粘着層を貼付ベース部256へ押し付けて、封印シール257を貼付ベース部256へ貼付する。このようにして封印シール257を回動して位置決めした後に貼付するように構成すれば、封印シール257の貼付作業(封印作業)を簡単に行うことができる。さらに、貼付係合部263を切り離し可能とする脆弱部を封印シール257に備えれば、封印シール257の脆弱部が破断しているか否かを見て制御装置の開封履歴を確認することができて好適である。なお、遊技制御装置や演出制御装置等の制御装置においては、封印シールに対して本発明を適用することに限らない。例えば、基板ボックス内の制御基板における基板管理番号シール(二次元コード付き)や、遊技機に関する情報(機種名、スペック、製造番号等の情報)を記録した二次元コードのシール、制御装置の取り扱い上の注意事項(例えば、高温になる旨の注意事項)を記載したシールに本発明の貼付係合部を適用し、図4において二点鎖線で例示した制御装置58,59上の貼付箇所(言い換えると、本発明の貼付ベース部となる箇所)SAに本発明のベース係合受部を適用してもよい。
また、図21に示すように、一括表示装置51の前面に設定された貼付ベース部266にベース係合受部267と位置決め当接部268とを備え、一括表示装置51の前面に貼付される装飾シール(貼付部材)271に貼付係合部272を備えて、装飾シール271を回動して位置決めした後に貼付するように構成してもよい。さらに、一括表示装置51の下方に配置されたシール貼付部(貼付ベース部)52にベース係合受部276と位置決め当接部277とを備え、証紙シール(貼付部材)53に貼付係合部278を備えて、証紙シール53を回動して位置決めした後に貼付するように構成してもよい。そして、図22に示すように、保留表示部70の前面に設定された貼付ベース部281にベース係合受部282と位置決め当接部283とを備え、保留表示部70の前面に貼付される装飾シール(貼付部材)285に貼付係合部286を備えて、装飾シール285を回動して位置決めした後に貼付するように構成してもよい。なお、一括表示装置51および保留表示部70においては、パチンコ遊技機1のリサイクルの際に、リサイクル後の機種の仕様に基づいて一部の表示箇所(発光部)を不使用に設定することがある。この場合には、既存の装飾シールをリサイクル後の機種に合わせた別個の装飾シールに交換し、この交換した装飾シールの不透光箇所により不使用設定の表示箇所を覆い隠して遊技者から見えないように設定してもよい。
例えば、保留報知部70において、リサイクル前の機種の仕様では、遊技者に所謂右打ち(遊技球をセンターケース23の上方を通過させて第1ケース球流下路26へ流下させるように発射操作を行うこと)を指示する報知部(右打ち報知部)を備えていたが、リサイクル後の機種の仕様では、右打ちの指示を行わず、その代わりに遊技者に所謂左打ち(遊技球を第2ケース球流下路27へ流下させるように発射操作を行うこと)を指示するように設定されることがある。そして、この指示を表示装置55の表示部55aに表示することがある。この場合、リサイクル後には右打ち報知部を不使用に設定するので、右打ち報知部を装飾シールの不透明箇所で覆い隠してもよい。また、一括表示装置51において、リサイクル前の仕様では、特図変動表示ゲームの大当たり図柄の種類を点状LEDの発光数の違いで表示するように設定されているが、リサイクル後の仕様では、表示に用いられる点状LEDの数がリサイクル前よりも少なく設定されたり、あるいは、複数個の点状LEDの代わりに7セグ表示器を用いて数字や記号の違いで図柄種類を示すように設定されたりすることがある。この場合、リサイクル後には大当たり図柄表示用の点状LEDの一部または全部を不使用に設定するので、該当する点状LEDを装飾シールの不透明箇所で覆い隠してもよい。
また、図21に示す証紙シール53を回動可能とする構成(ベース係合受部276,貼付係合部278)や、装飾シール271を回動可能とする構成(ベース係合受部267,貼付係合部272)を、遊技盤6の前方(言い換えると、遊技者側)に位置する透明部材保持枠8の一部(不透光部分)で被覆すれば、ベース係合受部や貼付係合部を遊技者に見せずに済むので好適である。
さらに、本発明における貼付部材および貼付ベース部の構成は、上記実施形態や変形例で挙げた箇所に限らず、他の箇所にも適用してよい。例えば、始動口、一般入賞口、ロゴ部材、ランプ、普図始動ゲート、装飾部材(センターケース)、遊技領域において遊技球の流下の障害となる障害部材(例えば樹脂製の障害部材)、その他の役物等、それぞれの表面にシール等の貼付部材を貼付する場合には、貼付部材に本発明の貼付係合部を適用し、貼付部材が貼付される箇所には本発明のベース係合受部を適用してもよい。また、遊技盤6のサイドケース20の隅部の前面に装飾シール(例えば、機種名や機種スペック等が記載された装飾シール)を貼付するパチンコ遊技機1においては、この装飾シールに本発明の貼付係合部を適用し、装飾シールが貼付されるサイドケース20の前面に本発明のベース係合受部を適用してもよい。
そして、遊技盤上に備えられた凹み部分を本発明のベース係合受部として利用し、この凹み部分に貼付部材の一部を係合して回動可能としてもよい。例えば、図23に示すように、センターケース23の第1ケース球流下路26内(詳しくは、第1ケース球流下路26のうち、遊技者側を向いた流路区画面)に貼付部材290を貼付する場合には、第1ケース球流下路26の側部区画壁のうち側方へ凹んだ凹み部をベース係合受部291とし、このベース係合受部(凹み部)291に貼付部材290を係合して回動するようにしてもよい。また、遊技盤上に備えられた突出部分を本発明のベース係合受部として利用し、この突出部分に貼付部材の一部を係合して回動可能としてもよい。例えば、図24に示すように、遊技盤に装着される貼付ベース部292の被貼付面293上に「花」の文字形状を呈する意匠部295を突設し、この意匠部295の端部(草かんむり部分の一側上端部)をベース係合受部296に設定し、意匠部295のうちベース係合受部296とは別個の端部(草かんむり部分の他側上端部)を位置決め当接部297に設定する。そして、意匠部295の外方に貼付部材(例えば、枠状の貼付部材)300を貼付する場合には、貼付部材300のうち意匠部295に臨ませる縁の一部(図24においては隅部)を貼付係合部302に設定してベース係合受部296に係合し、この係合状態で貼付部材300を回動する。さらに、貼付部材300の内縁を位置決め当接部297に当接して貼付部材300の位置決めを行う。なお、意匠部295の上記した2つの端部をいずれも位置決め当接部に設定し、上記した2つの端部とは異なる端部(意匠部295の側端部や下端部等)をベース係合受部に設定してもよい。また、意匠部295が呈する形状を「V」の文字形状に設定して左右の上端部をベース係合受部または位置決め当接部とし、入賞口(V入賞口)の周辺を装飾してもよい。さらに、図25に示すように、貼付ベース部310上に、縁部が円弧状に形成された突出部を突設してベース係合受部311とし、貼付部材315においては、縁部を円弧状に切り欠いて貼付係合部316を備え、貼付係合部316をベース係合受部311に係合して貼付部材315を上記円弧部分に沿って回動可能としてもよい。
そして、遊技板19を透明樹脂等の透光性部材で構成した遊技盤6において、この遊技盤6の裏面側に演出役物を初期位置(演出非実行位置)から演出実行位置まで移動可能な状態で配置し、演出役物の前面(遊技者側)には、装飾シール等の貼付部材を本発明の技術的思想(貼付係合部およびベース係合受部の構成)を適用して貼付する場合には、貼付係合部およびベース係合受部が遊技者側から見て目立たなくなるように工夫してもよい。例えば、演出役物が初期位置に設定されている状態では、遊技盤上に配置された不透光部材(複数本の遊技釘等)の後方に貼付係合部およびベース係合受部が位置するように設定して、遊技者が貼付係合部およびベース係合受部の存在を把握し難いように構成してもよい。
また、本発明における貼付部材は、薄いシート状を呈するシールであることに限定されない。要は、貼付ベース部に貼付される貼付部材であれば、どのような態様であってもよい。例えば、薄板状を呈する貼付部材(貼付プレート)であってもよい。さらに、本発明における貼付係合部およびベース係合受部を、不透光性を有するカバー部材で被覆して、貼付部材を回動可能とする構成を外方から視認不能としてもよい。また、上記実施形態や変形例で例示した位置決め当接部は、いずれも直線状の突条で構成されているが、本発明はこれに限定されない。要は、貼付部材に当接して貼付部材の位置決めを行うことができれば、どのような態様の位置決め当接部であってもよい。さらに、位置決め当接部を設けず、その代わりに貼付部材の位置決めの目印となる構成を適用して貼付部材を位置決めし易いようにしてもよい。例えば、ビス等の止着部材により貼付ベース部を遊技盤等へ止着する場合には、貼付ベース部に複数の止着穴を開設して止着部材を挿通するが、隣り合う止着穴(止着部材)同士の間を位置決めの目印とし、この目印に貼付部材を合わせて位置決めするように構成してもよい。このような構成により貼付部材の位置決めを行うようにすれば、位置決め当接部を設ける必要がなく、位置決め当接部によって貼付部材の美観が損なわれることがない。なお、隣り合う止着穴同士の間に位置決め当接部を突設し、止着穴による目印と位置決め当接部とを併用すれば、貼付部材の位置決めを一層十分に行うことができて好適である。
ところで、上記実施形態に記載の内容から次の構成要件を本発明に採用してもよい。
第1に、前記貼付係合部は、前記非貼付領域内に貼付係合凹部を凹ませて構成され、
前記ベース係合受部は、前記被貼付面にベース係合凸部を突設して構成され、
前記貼付係合凹部に前記ベース係合凸部を嵌合して前記貼付係合部を前記ベース係合受部へ係合することを本発明の構成要件に採用してもよい。
この第1の構成要件を採用すれば、貼付部材の装飾の一部が貫通孔によって欠損する不都合を避けることができる。また、貼付部材が薄肉なシート状である場合には、貼付係合部を型押し等の加工で簡単に作成することができる。
第2に、前記貼付ベース部には、前記貼付部材の縁部が当接する位置決め当接部を前記ベース係合受部から外れた位置に備えたことを本発明の構成要件に採用してもよい。
この第2の構成要件を採用すれば、貼付部材の位置決めを簡単に行うことができる。
第3に、前記貼付部材のうち前記非貼付領域の境界部分に位置する箇所には、当該貼付部材の他の部分よりも強度が低い脆弱部を形成し、該脆弱部を破断して当該貼付部材から前記貼付係合部を切り離し可能としたことを本発明の構成要件に採用してもよい。
この第3の構成要件を採用すれば、用済みの貼付係合部を除去することができ、貼付係合部がめくれること、ひいては貼付部材の美観が損なわれる不都合をなくすことができる。
そして、上記実施形態毎や変形例毎に構成を異ならせて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、一の実施形態や一の変形例の構成内容の全部または一部を、他の実施形態や他の変形例に適用してパチンコ遊技機を構成してもよい。
さらに、上記実施形態では、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例にして説明したが、本発明はこれに限らずどのような遊技機でもよい。例えば、封入球式パチンコ機、アレンジボール式遊技機、雀球式遊技機、スロットマシン等の遊技機であってもよい。
なお、前記した実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、上記した説明に限らず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれるものである。