<第1の実施形態>
第1の実施形態の通信システム1について、図面を参照して説明する。図1は、第1の実施形態の通信システム1の構成例を示すブロック図である。通信システム1は、子局装置100と、親局装置200とを含む。
子局装置100と、親局装置200とは、互いの間で通信するために互いに接続可能である。例えば、親局装置200は、子局装置100から送信された信号を受信する。例えば、親局装置200は、子局装置100から、センサデバイス300によって取得された情報(以下、センサ情報ともいう)に応じた信号を受信する。なお、センサデバイス300は、例えば、温度センサ等のセンサを含む通信装置である。また、センサ情報は、例えば、温度等を含む情報である。また、例えば、子局装置100と、親局装置200とは、無線伝送路を介して互いの間で通信する。
また、例えば、子局装置100と、親局装置200とは、無線LAN(Local Area Network)または無線PAN(Personal Area Network)において、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11aの仕様に従った5GHz帯、IEEE802.11gの仕様に従った2.4GHz帯およびIEEE802.15.4gの920MHz帯を使用し、TDD(Time Division Duplex)方式に従って、互いの間で通信する。また、子局装置100と親局装置200とは、無線LANまたは無線PANにおけるMAC(Media Access Control)層のアクセス方式であるCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)に従って、互いの間で通信しているものとする。また、以下の説明では、周波数帯という用語は、各周波数帯に複数存在する周波数チャンネルも意味している。
子局装置100と、センサデバイス300とは、互いの間で通信するために互いに接続可能である。例えば、子局装置100は、センサデバイス300から送信された信号を受信する。具体的には、例えば、子局装置100は、センサデバイス300から、センサ情報に応じたデータで変調された搬送波を受信する。また、例えば、子局装置100と、センサデバイス300とは、有線伝送路を介して互いの間で通信する。
親局装置200と、サーバ400とは、互いの間で通信するために互いに接続可能である。例えば、親局装置200と、サーバ400とは、インターネット500を介して互いの間で通信する。また、例えば、サーバ400は、親局装置200から送信された信号を受信する。具体的には、例えば、サーバ400は、親局装置200から、センサ情報に応じたデータで変調された搬送波を受信する。また、例えば、親局装置200と、サーバ400とは、有線伝送路を介して互いの間で通信する。なお、インターネット500に替えて、親局装置200と、サーバ400とは、ローカルネットワークまたはプライベートネットワークを介して、互いの間で通信するように構成されていてもよい。
親局装置200と、サーバ600とは、互いの間で通信するために互いに接続可能である。例えば、親局装置200と、サーバ600とは、インターネット500を介して互いの間で通信する。また、例えば、サーバ600は、親局装置200から送信された信号を受信する。具体的には、例えば、サーバ600は、親局装置200から、センサ情報に応じたデータで変調された搬送波を受信する。また、例えば、親局装置200と、サーバ600とは、有線伝送路を介して互いの間で通信する。
図2は、子局装置100の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、子局装置100は、有線通信部110と、経路切替部120と、制御部130と、無線通信部140と、無線通信部150と、無線通信部160とを含む。
有線通信部110は、センサデバイス300から送信された信号を受信する。具体的には、例えば、有線通信部110は、センサデバイス300からセンサ情報に応じた信号を受信する。また、例えば、有線通信部110は、センサデバイス300から、センサ情報に応じたデータで変調された搬送波を受信する。
有線通信部110は、経路切替部120にセンサ情報を入力する。具体的には、例えば、有線通信部110は、センサ情報に応じたデータで変調された搬送波を復調し、センサ情報を取得して、経路切替部120に取得したセンサ情報を入力する。
経路切替部120は、制御部130の指示に基づき、無線通信部140、無線通信部150または無線通信部160に、センサ情報を入力する。例えば、無線通信部140を用いて信号を送信することが制御部130の指示によって示されている場合に、経路切替部120は、無線通信部140にセンサ情報を入力する。
制御部130は、経路切替部120に、指示を示す指示情報を入力する。指示情報は、例えば、無線通信部140を用いて信号を送信することを示す情報である。
無線通信部140には、アンテナ141が接続されている。
無線通信部140は、例えば、IEEE802.11aの仕様に従って親局装置200と通信する。具体的には、例えば、無線通信部140は、IEEE802.11aの仕様に従って、5GHz帯を用いて、親局装置200と通信する。
無線通信部140は、経路切替部120から入力されたセンサ情報を、無線通信部140に対応した無線規格に従って無線信号に変換し、親局装置200に当該無線信号を送信する。具体的には、例えば、無線通信部140は、IEEE802.11aの仕様に従って、センサ情報に応じたデータで搬送波を変調し、親局装置200に、アンテナ141を介して当該搬送波を送信する。
また、無線通信部140は、親局装置200から無線信号を受信する。
無線通信部150には、アンテナ151が接続されている。
無線通信部150は、例えば、IEEE802.11gの仕様に従って親局装置200と通信する。具体的には、例えば、無線通信部150は、IEEE802.11gの仕様に従って、2.4GHz帯を用いて、親局装置200と通信する。
無線通信部150は、IEEE802.11aの仕様ではなく、IEEE802.11gの仕様に従って親局装置200と通信すること以外は、無線通信部140と同様な機能を有する。具体的には、例えば、無線通信部150は、IEEE802.11gの仕様に従って、センサ情報に応じたデータで搬送波を変調し、親局装置200に、アンテナ151を介して当該搬送波を送信する。
無線通信部160には、アンテナ161が接続されている。
無線通信部160は、例えば、IEEE802.15.4gの仕様に従って親局装置200と通信する。具体的には、例えば、無線通信部160は、IEEE802.15.4gの仕様に従って、920MHz帯を用いて、親局装置200と通信する。
無線通信部160は、IEEE802.11aの仕様ではなく、IEEE802.15.4gの仕様に従って親局装置200と通信すること以外は、無線通信部140と同様な機能を有する。具体的には、例えば、無線通信部160は、IEEE802.15.4gの仕様に従って、センサ情報に応じたデータで搬送波を変調し、親局装置200に、アンテナ161を介して当該搬送波を送信する。
なお、有線通信部110は、例えば、送信回路、および受信回路等によって実現される。経路切替部120は、例えば、プログラム制御に従って処理を実行するCPU(Central Processing Unit)や複数の回路等によって実現される。制御部130は、例えば、プログラム制御に従って処理を実行するCPUや複数の回路等によって実現される。無線通信部140は、例えば、送信回路、および受信回路等によって実現される。無線通信部150は、例えば、送信回路、および受信回路等によって実現される。無線通信部160は、例えば、送信回路、および受信回路等によって実現される。
図3は、親局装置200の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、親局装置200は、無線通信部210と、無線通信部220と、無線通信部230と、経路切替部240と、有線通信部250と、通信性能推定部260と、品質推定部270と、制御部280とを含む。
無線通信部210には、アンテナ211が接続されている。
無線通信部210は、例えば、IEEE802.11aの仕様に従って子局装置100と通信する。具体的には、例えば、無線通信部210は、IEEE802.11aの仕様に従って、5GHz帯を用いて、子局装置100と通信する。
無線通信部210は、子局装置100から送信された信号を受信する。具体的には、例えば、無線通信部210は、子局装置100から、センサ情報に応じた信号を受信する。また、例えば、無線通信部210は、子局装置100から、アンテナ211を介して、センサ情報に応じたデータで変調された搬送波を受信する。
無線通信部210は、例えば、センサ情報に応じたデータで変調された搬送波を復調し、センサ情報を取得して、経路切替部240に取得したセンサ情報を入力する。また、無線通信部210は、例えば、センサ情報に応じたデータにヘッダ処理等を行い、経路切替部240に処理後のデータを入力する。
無線通信部210は、受信信号を用いて、SNR(Signal to Noise Ratio、信号電力対雑音電力比)を測定し、通信性能推定部260に、測定したSNRを示す値を入力する。具体的には、例えば、無線通信部210は、子局装置100から受信した搬送波を用いて、SNRを測定して、通信性能推定部260に測定したSNRを示す値を入力する。
無線通信部210は、アンテナ211を介して、子局装置100に無線信号を送信する。具体的には、例えば、無線通信部210は、経路切替部240から入力されたデータ(以下、下りデータともいう)で搬送波を変調し、子局装置100に当該搬送波を送信する。下りデータは、例えば、インターネット500を介して親局装置200と通信可能に接続されている他の通信装置から送信された搬送波を復調して取得されるデータである。
無線通信部220には、アンテナ221が接続されている。
無線通信部220は、例えば、IEEE802.11gの仕様に従って子局装置100と通信する。具体的には、例えば、無線通信部220は、IEEE802.11gの仕様に従って、2.4GHz帯を用いて、子局装置100と通信する。
無線通信部220は、IEEE802.11aの仕様ではなく、IEEE802.11gの仕様に従って子局装置100と通信すること以外は、無線通信部210と同様な機能を有する。
無線通信部230には、アンテナ231が接続されている。
無線通信部230は、例えば、IEEE802.15.4gの仕様に従って通信する。具体的には、例えば、無線通信部230は、IEEE802.15.4gの仕様に従って、920MHz帯を用いて、子局装置100と通信する。
無線通信部230は、IEEE802.11aの仕様ではなく、IEEE802.15.4gの仕様に従って子局装置100と通信すること以外は、無線通信部210と同様な機能を有する。
経路切替部240は、無線通信部210、無線通信部220および無線通信部230から入力されたセンサ情報を有線通信部250に入力する。例えば、経路切替部240は、無線通信部210から入力されたセンサ情報を有線通信部250に入力する。また、例えば、経路切替部240は、無線通信部210から入力されたセンサ情報と、無線通信部220から入力されたセンサ情報とを集約して、有線通信部250に集約したセンサ情報を入力する。
切替情報が入力された場合に、経路切替部240は、当該切替情報に基づき、無線通信部を切り替える、または、無線通信部を併用するように無線通信部を制御する。切替情報は、現在子局装置100との通信に用いられている無線通信部を切り替える、または他の無線通信部と現在子局装置100との通信に用いられている無線通信部とを併用することを指示することを示す情報である。
具体的には、例えば、親局装置200が無線通信部210を用いて子局装置100と通信しており、切替情報によって無線通信部220に切り替えることが示されている場合に、経路切替部240は、無線通信部210に下りデータを入力せず、無線通信部220に下りデータを入力する。
また、例えば、親局装置200が無線通信部210を用いて子局装置100と通信しており、切替情報によって無線通信部210と無線通信部220とを併用することが示されている場合に、経路切替部240は、無線通信部210および無線通信部220に下りデータを入力する。
有線通信部250は、例えば、経路切替部240から入力されたセンサ情報に応じたデータで搬送波を変調し、サーバ400およびサーバ600に、当該搬送波を送信する。具体的には、例えば、有線通信部250は、インターネット500を介して、センサ情報に応じたデータで変調された搬送波をサーバ400に送信する。
有線通信部250は、経路切替部240に、下りデータを入力する。具体的には、例えば、有線通信部250は、インターネット500を介して通信可能に接続されている他の通信装置から送信された搬送波を受信し、当該搬送波を復調して下りデータを取得する。そして、有線通信部250は、例えば、経路切替部240に下りデータを入力する。
通信性能推定部260は、品質推定部270を含む。
品質推定部270は、無線通信部210、無線通信部220または無線通信部230から入力されたSNRを示す値を用いて、現在子局装置100との通信に用いられていない周波数帯におけるSNRを示す値を推定する。具体的には、例えば、親局装置200が、無線通信部210を用いて子局装置100と通信している場合(すなわち、IEEE802.11aの仕様に従って、5GHz帯を用いて、子局装置100と通信している場合)に、品質推定部270は、無線通信部210から入力されたSNRを示す値を用いて、IEEE802.11gの仕様に従った2.4GHz帯におけるSNRを示す値を推定する。また、例えば、品質推定部270は、無線通信部210から入力されたSNRを用いて、IEEE802.15.4gの仕様に従った920MHz帯におけるSNRを示す値を推定するように構成されていてもよい。
現在子局装置100との通信に用いられていない周波数帯におけるSNRを示す値の推定方法の詳細については、後述する。
通信性能推定部260は、品質推定部270によって推定されたSNRを示す値を用いて、現在子局装置100との通信に用いられていない周波数帯における、達成可能なスループットの上限値(以下、スループット上限値ともいう)を推定する。なお、スループットは、単位時間あたりのデータ転送量を示す情報を含む。
通信性能推定部260は、制御部280に推定したスループット上限値を入力する。スループット上限値の推定方法の詳細については、後述する。
制御部280は、通信制御が必要であるか否かを判断する。具体的には、例えば、制御部280は、親局装置200によって送信される下りデータの量が所定の閾値以上になったか否かを判定する。そして、制御部280は、送信される下りデータの量が所定の閾値以上になったと判定した場合に、通信制御が必要であると判断する。また、例えば、制御部280は、優先度の高い下りデータが他の通信装置からインターネット500を介して親局装置200に到着したと判断した場合に、通信制御が必要であると判断する。また、制御部280は、計時手段等を用いて、通信制御が必要であるかの判断を周期的に開始するように構成されていてもよい。なお、通信制御は、経路切替部240による、無線通信部を切り替える処理、または、無線通信部を併用するように無線通信部を制御する処理を含む。
制御部280は、通信制御が必要であると判断した場合に、通信制御対象となる周波数帯、すなわち、SNRを示す値等を推定する周波数帯を選択する。具体的には、例えば、親局装置200が、無線通信部210を用いて、子局装置100と通信している場合に、制御部280は、推定する周波数帯として、IEEE802.11gの仕様に従った2.4GHz帯を選択する。なお、制御部280は、所定のポリシに従って、推定する周波数帯を選択するように構成されていてもよい。
制御部280は、通信性能推定部260から入力されたスループット上限値が所定の条件を満たすか否かを判定する。
スループット上限値が所定の条件を満たすと判定した場合に、制御部280は、経路切替部240に、切替情報を入力する。なお、所定の条件は、例えば、スループット上限値が、時間的に不変であるスループット閾値以上であるか否かを示す条件である。また、所定の条件は、例えば、スループット上限値が、トラフィックの状況等に合わせて時間的に変動するスループット閾値以上であるか否かを示す条件である。
なお、無線通信部210は、例えば、送信回路、および受信回路等によって実現される。無線通信部220は、例えば、送信回路、および受信回路等によって実現される。無線通信部230は、例えば、送信回路、および受信回路等によって実現される。経路切替部240は、例えば、プログラム制御に従って処理を実行するCPUや複数の回路等によって実現される。有線通信部250は、例えば、送信回路、および受信回路等によって実現される。通信性能推定部260は、例えば、プログラム制御に従って処理を実行するCPUや複数の回路等によって実現される。品質推定部270は、例えば、プログラム制御に従って処理を実行するCPUや複数の回路等によって実現される。制御部280は、例えば、プログラム制御に従って処理を実行するCPUや複数の回路等によって実現される。
図4は、センサデバイス300の構成例を示すブロック図である。図4に示すように、センサデバイス300は、情報取得部310と、有線通信部320とを含む。
情報取得部310は、センサ情報を取得し、有線通信部320にセンサ情報を入力する。情報取得部310は、例えば、温度センサである。また、情報取得部310は、例えば、有線通信部320に温度を示すセンサ情報を入力する。
有線通信部320は、情報取得部310から入力されたセンサ情報に応じたデータで搬送波を変調して、子局装置100に当該搬送波を送信する。
なお、情報取得部310は、例えば、プログラム制御に従って処理を実行するCPUや複数の回路等によって実現される。有線通信部320は、例えば、送信回路等によって実現される。
図5は、サーバ400の構成例を示すブロック図である。図5に示すように、サーバ400は、有線通信部410を含む。
有線通信部410は、親局装置200から、インターネット500を介して送信された信号を受信する。具体的には、例えば、有線通信部410は、親局装置200から、インターネット500を介して、センサ情報に応じたデータで変調された搬送波を受信する。
なお、有線通信部410は、例えば、受信回路等によって実現される。
図6は、サーバ600の構成例を示すブロック図である。図6に示すように、サーバ600は、有線通信部610を含む。
有線通信部610は、図5に示すサーバ400の有線通信部410と同様な機能を有する。
なお、有線通信部610は、例えば、受信回路等によって実現される。
図7は、親局装置200が実行する通信制御処理を示すフローチャートである。本例では、親局装置200は、無線通信部220を用いて、現在子局装置100と通信しているとする。
制御部280は、通信制御が必要であるか否かを判断する(ステップS101)。本例では、制御部280は、通信制御が必要であると判断したとする。
制御部280は、通信制御が必要であると判断した場合に(ステップS101、Y)、SNRを示す値等を推定する周波数帯を選択する(ステップS102)。本例では、制御部280は、推定対象の周波数帯として、IEEE802.11aの仕様に従った5GHz帯を選択したとする。
次に、品質推定部270は、ステップS102で選択された周波数帯におけるSNRを示す値を推定する(ステップS103)。本例では、品質推定部270は、IEEE802.11aの仕様に従った5GHz帯におけるSNRを示す値を推定したとする。
次に、通信性能推定部260は、ステップS103で推定されたSNRを示す値を用いて、選択された周波数帯における、達成可能なスループット上限値を推定する(ステップS104)。本例では、通信性能推定部260は、IEEE802.11aの仕様に従った5GHz帯におけるスループット上限値を推定したとする。
次に、制御部280は、ステップS104で推定されたスループット上限値が通信制御を実施する所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS105)。例えば、制御部280は、ステップS104で推定されたスループット上限値が時間的に不変であるスループット閾値以上となった場合や、トラフィックの状況等に合わせて時間的に変動するスループット閾値以上となった場合等に、スループット上限値が所定の条件を満たすと判定する。本例では、制御部280は、スループット上限値が所定の条件を満たすと判定したとする。
制御部280は、スループット上限値が所定の条件を満たすと判定した場合に(ステップS105、Y)、経路切替部240に、切替情報を入力する(ステップS106)。そして、経路切替部240は、当該切替情報に基づき、無線通信部を切り替える、または、無線通信部を併用するように無線通信部を制御する(ステップS106)。
制御部280が、通信制御が必要でないと判断した場合(ステップS101、N)、または、スループット上限値が所定の条件を満たさないと判定した場合に(ステップS105、N)、通信制御を実施せずに処理を終了する。
なお、制御部280は、スループット上限値が所定の条件を満たさないと判定した場合に、ステップS102の処理に移行し、推定する周波数帯を選択するように構成されていてもよい。
次に、図8を用いて、子局装置100と親局装置200とが通信に使用している周波数帯、推定対象の周波数帯、SNRを示す値の推定方法の例、およびスループット上限値の推定方法の例を説明する。
図8に示すように、本例では、子局装置100と親局装置200とが、2.4GHz帯における1チャンネル(中心周波数2.412GHz)を用いて、IEEE802.11gの仕様に従って、信号の送受信を行っているものとする。
そして、図8に示すように、本例では、親局装置200が、現在、子局装置100との通信で使用されていない5GHz帯における52チャンネル(中心周波数5.26GHz)を用いてIEEE802.11aの仕様に従って子局装置100と通信した場合のスループット上限値を推定するものとする。
はじめに、無線通信部220は、子局装置100との通信に用いている2.4GHz帯における1チャンネルのSNRを示す値を測定する。本例では、測定したSNRを示す値が30dBであったとする。
次に、品質推定部270は、無線伝搬環境に合わせたパスロスの式に基づいて、5GHz帯の52チャンネルのSNRを示す値を推定する。例えば、室内におけるパスロスPL(dB)は以下の式でモデル化できることが知られている(“Guidelines for evaluation of radio interface technologies for IMT−Advanced”、ITU−R、2009年12月、M.2135−1,p.30−32)。
PL = 16.9 × log10(d) + 32.8 + 20×log10(fc)
ここで、dは伝搬距離(m)、つまり子局装置100と親局装置200との間の距離であり、fcは搬送波の中心周波数(GHz)である。
ここで、子局装置100と親局装置200とは移動しないものとすると、中心周波数2.412GHzと中心周波数5.26GHzとのパスロスの差PLd(dB)は以下のように計算される。
PLd = 20×log10(2.412) − 20×log10(5.26) =−6.77
つまり、5GHz帯の52チャンネルにおける信号は、2.4GHz帯の1チャンネルにおける信号よりも、6.77dBだけ低い電力で受信されることが予想される。
ここで、2.4GHz帯における信号の送信電力と5GHz帯における信号の送信電力とが同一であり、2.4GHz帯に対応した無線通信部と5GHz帯に対応した無線通信部から発生する雑音電力も同一であるとすると、2.4GHz帯における1チャンネルのSNRを示す値=30dBに対し、品質推定部270は、5GHz帯における52チャンネルのSNRを示す値が23.23dBであると推定する。
なお、2.4GHz帯および5GHz帯における伝搬特性の変動、送信電力、雑音電力が異なる場合には、品質推定部270は、想定される差だけ、SNRの推定値を補正するように構成されていてもよい。また、親局装置200は、fcの入力値として、各チャンネルの中心周波数を使用したが、各周波数帯の周波数の代表値を使用するように構成されていてもよい。
続いて、通信性能推定部260は、推定したSNRを示す値に基づいて、5GHz帯の52チャンネルにおけるスループット上限値を推定する。スループット上限値TPmaxの推定式は、例えば、以下の式で与えられる。
TPmax = F(SNR,B) × α
ここで、F(SNR,B)は、SNRを示す値と周波数帯域幅Bとから周波数利用効率を求める関数である。αは、補正項であり、各通信レイヤの方式による送信効率の劣化度合や、F(SNR,B)の理論スループットからの実効的なスループットの劣化度合などを補正するための項である。本例では、F(SNR,B)が、SNRを示す値から周波数利用効率を求める関数としてよく知られているシャノン・ハートレーの定理式とすると、F(SNR,B)は以下の式で与えられる。
F(SNR,B) = B × log2(1+SNR)
なお、上記の式のSNRを示す値は、デシベル表記を真値に変換した値である。また、本例では、5GHz帯における52チャンネル(チャンネルの帯域幅20MHz)でIEEE802.11aの仕様に従って、親局装置200が子局装置100と通信する場合の実効的な帯域幅を15MHzとする。
上記の式に、推定したSNRを示す値(23.23dB)を真値に変換した値と、B=15MHzとを代入すると、F(SNR,B)=115.9Mbpsと計算される。
ここで、MAC層におけるスループット上限値を求めるものとすると、CSMA/CAによる待ち時間による効率損失、チャネル符号化による効率損失、シャノン・ハートレーの定理式による理論値からの劣化分等を考慮し、αを0.2とすると、スループット上限値TPmax=23.2Mbpsと推定される。
その後、制御部280は、推定したTPmax=23.2Mbpsが上述した所定の条件を満たすかを判定し、推定したTPmaxが所定の条件を満たすと判定した場合には、親局装置200は、例えば、5GHz帯における52チャンネルを使用して、子局装置100との通信を開始する。
本実施形態によれば、親局装置200は、子局装置100との通信に用いている一の周波数帯における無線通信品質(例えば、SNR)を測定し、その測定結果を用いて、現在、子局装置100との通信に用いていない他の周波数帯における、達成可能なスループット上限値を推定する。そして、親局装置200は、推定したスループット上限値が所定の条件を満たすと判定した場合に、上述した他の周波数帯を用いて、子局装置100と通信する。
したがって、親局装置200は、一の周波数帯における無線通信品質を用いて、他の周波数帯の通信性能を予測することができる。すなわち、親局装置200は、複数の周波数帯を利用して子局装置100と通信する場合に、当該他の周波数帯において、当該他の周波数帯の通信性能を予測するためのパイロット信号や無線品質を示すフィードバック信号等を送受信することがなくなるので、無線リソースの圧迫を良好に抑制し、効率よく無線リソースを使用することができる。
例えば、親局装置200は、子局装置100との通信において、一の周波数帯と、当該一の周波数帯と異なる他の周波数帯とを切り替えて使用したり、当該一の周波数帯と当該他の周波数帯とを併用したりする場合に、無線リソースの圧迫を良好に抑制し、効率よく無線リソースを使用することができる。
なお、親局装置200は、子局装置100に、スループット上限値に基づいて決定した通信制御に関する情報を通知し、子局装置100が当該情報に基づいて通信制御を実施するように構成されていてもよい。例えば、スループット上限値が所定の条件を満たすと制御部280が判定した場合に、親局装置200は、切替情報に応じたデータで搬送波を変調し、子局装置100に当該搬送波を送信する。そして、子局装置100は、例えば、親局装置200から送信された搬送波を復調し、切替情報を取得する。経路切替部120は、当該切替情報に基づき、無線通信部を切り替える、または、無線通信部を併用するように無線通信部を制御する。
また、子局装置100がスループット上限値を推定し、当該スループット上限値に基づいて通信制御を実行するように構成されていてもよい。この場合に、子局装置100は、例えば、図3に示す無線通信部210、無線通信部220、無線通信部230、経路切替部240、通信性能推定部260、品質推定部270および制御部280の機能を備えるように構成されていてもよい。
スループットは、干渉電力による影響を受けることが知られているが、本実施形態では、CSMA/CAを用いる無線LAN等を想定しており、CSMA/CAにおけるキャリアセンスにより、他の通信装置が通信している場合には、信号の送受信を待つという性質があるので、干渉電力による影響をほぼ無視することができる。したがって、本実施形態では、スループット上限値が推定される場合に、SINR(Signal to Interference plus Noise Ratio、信号電力対干渉雑音比)ではなく、SNRが使用されたとしても、スループット上限値の推定精度が著しく劣化することはない。なお、親局装置200は、例えば、SNRを示す値の代わりに、SINRを示す値やRSSI(Received Signal Strength Indicator、受信信号強度)を示す値等を用いて、スループット上限値を推定するように構成されていてもよい。また、親局装置200は、例えば、SNRを示す値、SINRを示す値およびRSSIを示す値等を用いて、スループット上限値を推定するように構成されていてもよい。
また、本実施形態では、親局装置200は、パスロスの式やシャノン・ハートレーの定理式等の数式に基づいて、スループット上限値等を推定したが、数式を使用せずにスループット上限値等を推定するように構成されていてもよい。例えば、親局装置200のメモリ等の記憶手段に、各周波数帯間の無線品質の関係性や、SNRとスループットとの関係性等の情報(例えば、事前に計測した実験データや計算機シミュレーションによる評価データ等に基づいて取得された当該関係性を示す情報等)を予め格納しておき、親局装置200は当該情報を用いて、スループット上限値等を推定するように構成されていてもよい。
また、本実施形態では、子局装置100および親局装置200は、3つの無線通信規格の仕様に従って通信する例を示したが、4つ以上の無線通信規格の仕様に従って通信するように構成されていてもよい。
また、本実施形態では、1つの子局装置100と、1つの親局装置200とが、互いの間で通信するために互いに接続可能である例を示したが、複数の子局装置と、1つの親局装置とが、互いの間で通信するために互いに接続可能であるように構成されていてもよい。
また、本実施形態では、子局装置100および親局装置200がIEEE802.11aおよびIEEE802.11g(Wi−Fi(Wireless Fidelity、登録商標))と、IEEE802.15.4g(WiSun(Wireless Smart Utility Network、登録商標)等)との仕様に従って通信する例を示したが、IEEE802.11b、IEEE802.11n、IEEE802.11ac、IEEE802.11ad(WiGig(Wireless Gigabit、登録商標))、IEEE802.15.4(Zigbee(登録商標)、Bluetooth(登録商標))、LoRaWAN(Long Range Wide Area Network)、SigFox(登録商標)等のLPWA(Low Power Wide Area Network)、Wi−Fi HaLow、およびセンサネットワークに特化した独自プロトコル等の仕様に従って、互いの間で通信するように構成されていてもよい。
また、子局装置100および親局装置200は、LTE(Long Term Evolution、登録商標)、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)、CDMA(Code Division Multiple Access)、1xCDMA(Single Carrier CDMA)、1xRTT(Single Carrier Radio Transmission Technology)、HRPD(High Rate Packet Data)、およびWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access、登録商標)等の仕様に従って、互いの間で通信するように構成されていてもよい。
また、本実施形態では、親局装置200は、スループット上限値を推定したが、例えば、通信における遅延(以下、通信遅延ともいう)に関する指標、パケットの誤り率等の通信における誤り率(以下、パケットエラー率、通信誤り率ともいう)に関する指標を推定するように構成されていてもよい。例えば、親局装置200のメモリ等の記憶手段に、無線品質に関する指標と、通信遅延に関する指標またはパケットエラー率に関する指標との関係性を示す情報を予め格納しておき、親局装置200は当該情報を用いて通信遅延に関する指標またはパケットエラー率に関する指標を推定するように構成されていてもよい。そして、親局装置200は、推定した通信遅延に関する指標またはパケットエラー率に関する指標に基づいて、通信制御を行うように構成されていてもよい。なお、無線品質に関する指標と、通信遅延に関する指標またはパケットエラー率に関する指標との関係性を示す情報は、例えば、実験または計算機シミュレーションによって取得される。
例えば、親局装置200は、測定したSNRを示す値に基づき、通信遅延に関する指標またはパケットエラー率に関する指標を推定する。そして、親局装置200は、例えば、推定した通信遅延に関する指標またはパケットエラー率に関する指標が所定の条件を満たすか否かを判定し、当該指標が所定の条件を満たすと判定した場合に、通信制御を行うように構成されていてもよい。
なお、親局装置200は、推定したスループット上限値、通信遅延に関する指標、パケットエラー率に関する指標の少なくともいずれか1つに基づいて、通信制御を行うように構成されていてもよい。
また、本実施形態では、通信制御の例として、経路切替部240による、無線通信部を切り替える処理、または、無線通信部を併用するように無線通信部を制御する処理を示したが、各周波数帯における無線リソースのスケジューリング処理、各周波数帯における送信電力の制御処理、各周波数帯に対応した通信機能のオン/オフ制御処理等を含んでいてもよい。
また、近年、あらゆるものがインターネットに接続されることを想定した技術(Internet of Things、IoTともいう)が考案されている。IoTによって、多くのデータが取得され、当該データを活用した新たな価値が創出され、社会的な変化が起こることが期待されている。
IoTでは、様々な通信装置がインターネットに接続されるので、インターネット等のネットワークは、ネットワークの容量やネットワークの信頼性等の様々な要件に対応する必要がある。
上記要件に対応するために、通信装置が複数の周波数帯を切り替えて使用したり、複数の周波数帯を併用したりすることが考案されている。
周波数帯を効率的かつ安定的に使用するためには、通信装置が各周波数帯における無線伝搬環境を認識する必要があるので、通信装置は、無線品質測定用のパイロット信号や無線品質を示すフィードバック信号を送受信する必要がある。これらパイロット信号やフィードバック信号は、データ信号を送るための無線リソースを圧迫するので、出来る限り削減されることが好ましい。
上述したように、本実施形態によれば、無線リソースの圧迫が良好に抑制され、効率よく無線リソースが使用されるので、上述したような様々な要件を満たすような子局装置および親局装置を提供することができる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態の通信システム2について、図面を参照して説明する。図9は、第2の実施形態の通信システム2の構成例を示すブロック図である。通信システム2は、子局装置101と、親局装置201とを含む。
通信システム2と、第1の実施形態の通信システム1との相違点は、通信システム2は、親局装置201が新たな機能を有している点等である。この相違点について、詳細に説明する。
子局装置101と、子局装置102とは、図1に示す子局装置100と同様な機能を有する。子局装置101および子局装置102と、親局装置201とは、互いの間で通信するために互いに接続可能である。
図10は、親局装置201の構成例を示すブロック図である。図10に示すように、親局装置201は、無線通信部212と、無線通信部222と、無線通信部232と、経路切替部241と、有線通信部251と、通信性能推定部261と、品質推定部271と、制御部281と、通信情報管理部290とを含む。経路切替部241、有線通信部251および品質推定部271は、図3に示す親局装置200の経路切替部240、有線通信部250、および品質推定部270とそれぞれ同様な機能を有する。
無線通信部212は、図3に示す無線通信部210と同様な機能に加え、IEEE802.11aの仕様に従った5GHz帯における無線リソース使用率を測定する機能を有する。無線リソース使用率は、例えば、周波数帯が使用されている時間率を示す。具体的には、例えば、無線通信部212は、キャリアセンスを行い、IEEE802.11aの仕様に従った5GHz帯において送受信されている信号に基づき、受信電力を測定し、所定値以上の受信電力を検知できた時間率として、無線リソース使用率を測定する。
無線通信部212は、通信情報管理部290に測定した無線リソース使用率を入力する。
無線通信部222は、図3に示す無線通信部220と同様な機能に加え、IEEE802.11gの仕様に従った2.4GHz帯における無線リソース使用率を測定する機能を有する。具体的には、例えば、無線通信部222は、キャリアセンスを行い、IEEE802.11gの仕様に従った2.4GHz帯において送受信されている信号に基づき、受信電力を測定し、所定値以上の受信電力を検知できた時間率として、無線リソース使用率を測定する。
無線通信部222は、通信情報管理部290に測定した無線リソース使用率を入力する。
無線通信部232は、図3に示す無線通信部230と同様な機能に加え、IEEE802.15.4gの仕様に従った920MHz帯における無線リソース使用率を測定する機能を有する。具体的には、例えば、無線通信部232は、キャリアセンスを行い、IEEE802.15.4gの仕様に従った920MHz帯において送受信されている信号に基づき、受信電力を測定し、所定値以上の受信電力を検知できた時間率として、無線リソース使用率を測定する。
無線通信部232は、通信情報管理部290に測定した無線リソース使用率を入力する。
通信性能推定部261は、品質推定部271および通信情報管理部290を含む。
通信性能推定部261は、品質推定部271によって推定されたSNRを示す値および通信情報管理部290に記憶されている無線リソース使用率の値を用いて、現在子局装置101との通信に用いられていない周波数帯における、スループットの実効値(以下、スループット実効値ともいう)を推定する。スループット実効値の推定方法の詳細については、後述する。
通信性能推定部261は、制御部281に推定したスループット実効値を入力する。
制御部281は、図3に示す第1の実施形態における制御部280と同様に、通信制御が必要であるか否かを判断したり、通信制御対象となる周波数帯を選択したりする。
制御部281は、通信性能推定部261から入力されたスループット実効値が所定の条件を満たすか否かを判定する。スループット実効値が所定の条件を満たすと判定した場合に、制御部281は、経路切替部241に、切替情報を入力する。なお、所定の条件は、例えば、スループット実効値が、時間的に不変であるスループット閾値以上であるか否かを示す条件である。また、所定の条件は、例えば、スループット実効値が、トラフィックの状況等に合わせて時間的に変動するスループット閾値以上であるか否かを示す条件である。
通信情報管理部290には、無線通信部212、無線通信部222および無線通信部232から入力された無線リソース使用率を示す情報が記憶される。
なお、無線通信部212は、例えば、送信回路、および受信回路等によって実現される。無線通信部222は、例えば、送信回路、および受信回路等によって実現される。無線通信部232は、例えば、送信回路、および受信回路等によって実現される。通信性能推定部261は、例えば、プログラム制御に従って処理を実行するCPUや複数の回路等によって実現される。通信情報管理部290は、例えば、メモリやハードディスク等の記憶手段によって実現される。制御部281は、例えば、プログラム制御に従って処理を実行するCPUや複数の回路等によって実現される。
図11は、親局装置201が実行する通信制御処理を示すフローチャートである。本例では、親局装置201は、無線通信部212を用いて、現在子局装置100と通信しているものとする。図11に示すステップS201からステップS203の処理は、図7に示すステップS101からステップS103の処理と同様なため、説明を省略する。そして、図7に示す処理と異なるステップS204からステップS206の処理について説明する。
通信性能推定部261は、ステップS203で推定されたSNRを示す値と、通信情報管理部290に記憶されている無線リソース使用率の値とを用いて、ステップS202で選択された周波数帯における、スループット実効値を推定する(ステップS204)。本例では、通信性能推定部261は、IEEE802.11aの仕様に従った5GHz帯におけるスループット実効値を推定したとする。
次に、制御部281は、ステップS204で推定されたスループット実効値が通信制御を実施する所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS205)。例えば、制御部281は、ステップS204で推定されたスループット実効値が時間的に不変であるスループット閾値以上となった場合や、トラフィックの状況等に合わせて時間的に変動するスループット閾値以上となった場合等に、スループット実効値が所定の条件を満たすと判定する。本例では、制御部281は、スループット実効値が所定の条件を満たすと判定したとする。
スループット実効値が所定の条件を満たすと判定した場合に(ステップS205、Y)、制御部281は、経路切替部241に、切替情報を入力する(ステップS206)。そして、経路切替部241は、当該切替情報に基づき、無線通信部を切り替える、または、無線通信部を併用するように無線通信部を制御する(ステップS206)。
制御部281が、通信制御が必要でないと判断した場合(ステップS201、N)、または、スループット実効値が所定の条件を満たさないと判定した場合に(ステップS205、N)、通信制御を実施せずに処理を終了する。
なお、制御部281は、スループット実効値が所定の条件を満たさないと判定した場合に、ステップS202の処理に移行し、推定する周波数帯を選択するように構成されていてもよい。
次に、図8および図12を用いて、子局装置101および子局装置102と、親局装置201とが通信に使用している周波数帯、推定対象の周波数帯、およびスループット実効値の推定方法の例を説明する。
本例では、図8に示すように、子局装置101と親局装置201とが、2.4GHz帯における1チャンネル(中心周波数2.412GHz)を用いて、IEEE802.11gの仕様に従って、信号の送受信を行っているものとする。
また、本例では、図12に示すように、子局装置102と親局装置201とが、5GHz帯の52チャンネル(中心周波数5.26GHz)を用いて、IEEE802.11aの仕様に従って、信号の送受信を行っているものとする。
そして、本例では、親局装置201が、現在、子局装置101との通信で使用されていない5GHz帯における52チャンネル(中心周波数5.26GHz)を用いてIEEE802.11aの仕様に従って子局装置101と通信した場合のスループット実効値を推定するものとする。
まず、親局装置201は、5GHz帯の52チャンネルにおけるSNRを示す値を推定する。第1の実施形態と同様に、本例では、親局装置201は、5GHz帯における52チャンネルのSNRを示す値が23.23dBであると推定する。
続いて、親局装置201は、推定したSNRを示す値に基づいて、5GHz帯の52チャンネルにおけるスループット実効値を推定する。スループット実効値TPeffの推定式は、例えば、以下の式で与えられる。
TPeff = F(SNR,B) × α × R
上記F(SNR,B)およびαは、第1の実施形態のF(SNR,B)およびαとそれぞれ同様である。Rは、無線リソース空き率を示す値である。無線リソース空き率Rは、例えば、R=1−無線リソース使用率で計算される。本例では、親局装置201は、5GHz帯の52チャンネル(中心周波数5.26GHz)を用いて、IEEE802.11aの仕様に従って、子局装置102と通信している。したがって、無線通信部212は、IEEE802.11aの仕様に従った5GHz帯における無線リソース使用率を測定することができる。本例では、IEEE802.11aの仕様に従った5GHz帯における無線リソース使用率を0.5とする。
そして、本例では、通信性能推定部261は、IEEE802.11aの仕様に従った5GHz帯における無線リソース空き率として、0.5を算出する。
第1の実施形態と同様に、F(SNR,B)=115.9Mbps、α=0.2とすると、本例では、通信性能推定部261は、上記TPeffの推定式に基づき、TPeff=11.6Mbpsと推定する。
その後、制御部281は、推定したTPeff=11.6Mbpsが上述した所定の条件を満たすかを判定し、推定したTPeffが所定の条件を満たすと判定した場合には、親局装置201は、例えば、5GHz帯における52チャンネルを使用して、子局装置101との通信を開始する。
本実施形態によれば、親局装置201は、子局装置101との通信に用いている一の周波数帯における無線通信品質(例えば、SNR)を測定し、その測定結果と、子局装置102との通信に用いている他の周波数帯における無線リソース使用率とを用いて、現在、子局装置101との通信に用いていない他の周波数帯におけるスループット実効値を推定する。そして、親局装置201は、推定したスループット実効値が所定の条件を満たすと判定した場合に、上述した他の周波数帯を用いて、子局装置101と通信する。
したがって、親局装置201は、一の周波数帯における無線通信品質および他の周波数帯における無線リソース使用率を用いて、当該他の周波数帯の通信性能を予測することができる。すなわち、親局装置201は、複数の周波数帯を利用して子局装置101と通信する場合に、当該他の周波数帯において、当該他の周波数帯の通信性能を予測するためのパイロット信号や無線品質を示すフィードバック信号等を送受信することがなくなるので、無線リソースの圧迫を良好に抑制し、効率よく無線リソースを使用することができる。
例えば、親局装置201は、子局装置101との通信において、一の周波数帯と、当該一の周波数帯と異なる他の周波数帯とを切り替えて使用したり、当該一の周波数帯と当該他の周波数帯とを併用したりする場合に、無線リソースの圧迫を良好に抑制し、効率よく無線リソースを使用することができる。
なお、親局装置201は、子局装置101に、スループット実効値に基づいて決定した通信制御に関する情報を通知し、子局装置101が当該情報に基づいて通信制御を実施するように構成されていてもよい。例えば、スループット実効値が所定の条件を満たすと制御部281が判定した場合に、親局装置201は、切替情報に応じたデータで搬送波を変調し、子局装置101に当該搬送波を送信する。そして、子局装置101は、親局装置201から送信された搬送波を復調し、切替情報を取得する。子局装置101は、当該切替情報に基づき、無線通信部を切り替える、または、無線通信部を併用するように無線通信部を制御する。
また、子局装置101がスループット実効値を推定し、当該スループット実効値に基づいて通信制御を実行するように構成されていてもよい。この場合に、子局装置101は、例えば、図10に示す無線通信部212、無線通信部222、無線通信部232、経路切替部241、通信性能推定部261、品質推定部271、制御部281および通信情報管理部290の機能を備えるように構成されていてもよい。
また、第1の実施形態と同様に、本実施形態でも、スループット実効値が推定される場合に、SINRではなく、SNRが使用されたとしても、スループット実効値の推定精度が著しく劣化することはない。なお、親局装置201は、SNRを示す値の代わりに、SINRを示す値やRSSIを示す値等を用いて、スループット実効値を推定するように構成されていてもよい。
また、第1の実施形態と同様に、本実施形態でも、例えば、親局装置201のメモリ等の記憶手段に、各周波数帯間の無線品質の関係性や、SNRとスループットとの関係性等の情報(例えば、事前に計測した実験データや計算機シミュレーションによる評価データ等に基づいて取得された当該関係性を示す情報等)を予め格納しておき、親局装置201は当該情報を用いて、スループット実効値等を推定するように構成されていてもよい。
また、本実施形態では、子局装置101、子局装置102および親局装置201は、3つの無線通信規格の仕様に従って通信する例を示したが、4つ以上の無線通信規格の仕様に従って通信するように構成されていてもよい。
また、本実施形態では、2つの子局装置(子局装置100および子局装置101)と、1つの親局装置(親局装置201)とが、互いの間で通信するために互いに接続可能である例を示したが、3つ以上の子局装置と、1つの親局装置とが、互いの間で通信するために互いに接続可能であるように構成されていてもよい。
また、本実施形態では、子局装置101、子局装置102および親局装置201がIEEE802.11aおよびIEEE802.11g(Wi−Fi)と、IEEE802.15.4g(WiSun等)との仕様に従って通信する例を示したが、IEEE802.11b、IEEE802.11n、IEEE802.11ac、IEEE802.11ad(WiGig)、IEEE802.15.4(Zigbee、Bluetooth)、LoRaWAN、SigFox等のLPWA、Wi−Fi HaLow、およびセンサネットワークに特化した独自プロトコル等の仕様に従って、互いの間で通信するように構成されていてもよい。
また、子局装置101および子局装置102と、親局装置201とは、LTE、UMTS、CDMA、1xCDMA、1xRTT、HRPD、およびWiMAX等の仕様に従って、互いの間で通信するように構成されていてもよい。
また、本実施形態では、親局装置201は、スループット実効値を推定したが、例えば、通信遅延に関する指標またはパケットエラー率に関する指標を推定するように構成されていてもよい。例えば、親局装置201のメモリ等の記憶手段に、無線品質に関する指標と、通信遅延に関する指標またはパケットエラー率に関する指標との関係性を示す情報を予め格納しておき、親局装置201は当該情報を用いて通信遅延に関する指標またはパケットエラー率に関する指標を推定するように構成されていてもよい。そして、親局装置201は、推定した通信遅延に関する指標またはパケットエラー率に関する指標に基づいて、通信制御を行うように構成されていてもよい。なお、無線品質に関する指標と通信遅延に関する指標またはパケットエラー率に関する指標との関係性を示す情報は、例えば、実験または計算機シミュレーションによって取得される。
また、本実施形態では、通信制御の例として、経路切替部241による、無線通信部を切り替える処理、または、無線通信部を併用するように無線通信部を制御する処理を示したが、各周波数帯における無線リソースのスケジューリング処理、各周波数帯における送信電力の制御処理、各周波数帯に対応した通信機能のオン/オフ制御処理等を含んでいてもよい。
<第3の実施形態>
第3の実施形態の通信システム3について、図面を参照して説明する。図13は、第3の実施形態の通信システム3の構成例を示すブロック図である。通信システム3は、親局装置202と、制御サーバ700を含む。
通信システム3と、第1の実施形態の通信システム1との相違点は、通信システム3は、新たに制御サーバ700を有している点である。また、図3に示す親局装置200が有する一部の機能を、制御サーバ700が有している点等である。これらの相違点について、詳細に説明する。
子局装置103と、親局装置202とは、互いの間で通信するために互いに接続可能である。また、子局装置103と、制御サーバ700とは、親局装置202およびインターネット500を介して互いの間で通信するために互いに接続可能である。
親局装置202と、制御サーバ700とは、インターネット500を介して互いの間で通信するために互いに接続可能である。
図14は、子局装置103の構成例を示すブロック図である。図14に示すように、子局装置103は、有線通信部111と、経路切替部121と、制御部131と、無線通信部142と、無線通信部152と、無線通信部162とを含む。
有線通信部111、経路切替部121、および制御部131は、図2に示す第1の実施形態における子局装置100の有線通信部110、経路切替部120、および制御部130とそれぞれ同様な機能を有する。
無線通信部142、無線通信部152または無線通信部162は、例えば、親局装置202から、切替情報に応じたデータで変調された搬送波を受信し、当該搬送波を復調して切替情報を取得する。切替情報は、現在子局装置103と親局装置202とが通信に用いている無線通信部を切り替える、または併用することを指示することを示す情報である。
また、無線通信部142、無線通信部152または無線通信部162は、例えば、親局装置202から、SNRを示す値に応じたデータで変調された搬送波を受信し、当該搬送波を復調してSNRを示す値を取得する。
図15は、親局装置202の構成例を示すブロック図である。図15に示すように、親局装置202は、無線通信部214と、無線通信部224と、無線通信部234と、経路切替部242と、有線通信部252とを含む。
無線通信部214、無線通信部224、および無線通信部234は、図3に示す第1の実施形態における親局装置200の無線通信部210、無線通信部220、および無線通信部230とそれぞれ同様な機能を有する。
無線通信部214、無線通信部224および無線通信部234は、経路切替部242から入力された切替情報に応じたデータで搬送波を変調し、子局装置103に当該搬送波を送信する。また、例えば、無線通信部214、無線通信部224および無線通信部234は、SNRを示す値に応じたデータで搬送波を変調し、子局装置103に当該搬送波を送信する。
経路切替部242は、図3に示す第1の実施形態における経路切替部240と同様な機能に加え、無線通信部214、無線通信部224または無線通信部234に切替情報を入力する機能を有する。
有線通信部252は、図3に示す第1の実施形態における有線通信部250と同様な機能に加え、制御サーバ700に信号を送信する機能を有する。具体的には、例えば、有線通信部252は、無線通信部214、無線通信部224または無線通信部234が測定したSNRを示す値に応じたデータで搬送波を変調し、制御サーバ700に当該搬送波を送信する。
有線通信部252は、制御サーバ700から信号を受信する。具体的には、例えば、有線通信部252は、制御サーバ700から切替情報に応じたデータで変調された搬送波を受信する。
有線通信部252は、経路切替部242に切替情報を入力する。具体的には、例えば、有線通信部252は、切替情報に応じたデータで変調された搬送波を復調して、切替情報を取得し、経路切替部242に当該切替情報を入力する。
図16は、制御サーバ700の構成例を示すブロック図である。図16に示すように、制御サーバ700は、有線通信部710と、通信性能推定部720と、品質推定部730と、制御部740とを含む。
有線通信部710は、親局装置202から送信された信号を受信する。具体的には、例えば、有線通信部710は、親局装置202から、SNRを示す値に応じたデータ変調された搬送波を受信する。当該SNRを示す値は、親局装置202によって測定される。
有線通信部710は、通信性能推定部720にSNRを示す値を入力する。具体的には、例えば、有線通信部710は、SNRを示す値に応じたデータで変調された搬送波を復調し、SNRを示す値を取得して、通信性能推定部720に当該取得したSNRを示す値を入力する。
有線通信部710は、制御部740から入力された切替情報に応じたデータで搬送波を変調して、親局装置202に当該搬送波を送信する。
通信性能推定部720は、品質推定部730を含む。
品質推定部730は、有線通信部710から入力されたSNRを示す値を用いて、現在子局装置103と親局装置202とが通信に用いていない周波数帯におけるSNRを示す値を推定する。具体的には、例えば、子局装置103と親局装置202とが、IEEE802.11aの仕様に従って、5GHz帯を用いて通信している場合に、品質推定部730は、有線通信部710から入力されたSNRを示す値を用いて、IEEE802.11gの仕様に従った2.4GHz帯におけるSNRを示す値を推定する。また、例えば、品質推定部730は、有線通信部710から入力されたSNRを用いて、IEEE802.15.4gの仕様に従った920MHz帯におけるSNRを示す値を推定するように構成されていてもよい。
品質推定部730によるSNRを示す値の推定方法は、図3に示す第1の実施形態の品質推定部270による推定方法と同様である。
通信性能推定部720は、品質推定部730によって推定されたSNRを示す値を用いて、現在子局装置103と親局装置202とが通信に用いていない周波数帯における、達成可能なスループット上限値を推定する。
通信性能推定部720によるスループット上限値の推定方法は、図3に示す第1の実施形態の通信性能推定部260による推定方法と同様である。
通信性能推定部720は、制御部740に推定したスループット上限値を入力する。
制御部740は、通信制御が必要であるか否かを判断する。具体的には、例えば、制御部740は、親局装置202によって送信される下りデータの量が所定の閾値以上になったか否かを判定する。そして、制御部740は、送信される下りデータの量が所定の閾値以上になったと判定した場合に、通信制御が必要であると判断する。また、例えば、制御部740は、優先度の高い下りデータが他の通信装置からインターネット500を介して親局装置202に到着したと判断した場合に、通信制御が必要であると判断する。また、制御部740は、計時手段等を用いて、通信制御が必要であるかの判断を周期的に開始するように構成されていてもよい。なお、例えば、親局装置202は、制御サーバ700に下りデータの量を示す情報に応じたデータで変調された搬送波を送信するように構成されていてもよい。また、親局装置202は、制御サーバ700に下りデータの優先度を示す情報に応じたデータで変調された搬送波を送信するように構成されていてもよい。
なお、通信制御は、親局装置202の経路切替部242による、無線通信部を切り替える処理、または、無線通信部を併用するように無線通信部を制御する処理を含む。
制御部740は、通信制御が必要であると判断した場合に、通信制御対象となる周波数帯、すなわち、SNRを示す値等を推定する周波数帯を選択する。具体的には、例えば、親局装置202が、無線通信部214を用いて、子局装置103と通信している場合に、制御部740は、推定する周波数帯として、IEEE802.11gの仕様に従った2.4GHz帯を選択する。なお、制御部740は、所定のポリシに従って、推定する周波数帯を選択するように構成されていてもよい。
制御部740は、通信性能推定部720から入力されたスループット上限値が所定の条件を満たすか否かを判定する。
スループット上限値が所定の条件を満たすと判定した場合に、制御部740は、有線通信部710に切替情報を入力する。所定の条件は、例えば、第1の実施形態における所定の条件と同様である。
なお、有線通信部710は、例えば、送信回路、および受信回路等によって実現される。通信性能推定部720は、例えば、プログラム制御に従って処理を実行するCPUや複数の回路等によって実現される。品質推定部730は、例えば、プログラム制御に従って処理を実行するCPUや複数の回路等によって実現される。制御部740は、例えば、プログラム制御に従って処理を実行するCPUや複数の回路等によって実現される。
図17は、制御サーバ700が実行する通信制御処理を示すフローチャートである。本例では、親局装置202は、無線通信部214を用いて、現在子局装置103と通信しているものとする。
制御部740は、通信制御が必要であるか否かを判断する(ステップS301)。本例では、制御部740は、通信制御が必要であると判断したとする。
制御部740は、通信制御が必要であると判断した場合に(ステップS301、Y)、SNRを示す値等を推定する周波数帯を選択する(ステップS302)。本例では、制御部740は、推定対象の周波数帯として、IEEE802.11gの仕様に従った2.4GHz帯を選択したとする。
次に、品質推定部730は、ステップS302で選択された周波数帯におけるSNRを示す値を推定する(ステップS303)。本例では、品質推定部730は、IEEE802.11gの仕様に従った2.4GHz帯におけるSNRを示す値を推定したとする。
次に、通信性能推定部720は、ステップS303で推定されたSNRを示す値を用いて、選択された周波数帯における、達成可能なスループット上限値を推定する(ステップS304)。本例では、通信性能推定部720は、IEEE802.11gの仕様に従った2.4GHz帯におけるスループット上限値を推定したとする。
次に、制御部740は、ステップS304で推定されたスループット上限値が通信制御を実施する所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS305)。例えば、制御部740は、ステップS304で推定されたスループット上限値が時間的に不変であるスループット閾値以上となった場合や、トラフィックの状況等に合わせて時間的に変動するスループット閾値以上となった場合等に、スループット上限値が所定の条件を満たすと判定する。本例では、制御部740は、スループット上限値が所定の条件を満たすと判定したとする。
制御部740は、スループット上限値が所定の条件を満たすと判定した場合に(ステップS305、Y)、有線通信部710に、切替情報を入力する(ステップS306)。そして、有線通信部710は、親局装置202に当該切替情報に応じたデータで変調された搬送波を送信する(ステップS306)。また、当該搬送波を受信した親局装置202は、子局装置103に当該搬送波を送信する。
制御部740が、通信制御が必要でないと判断した場合(ステップS301、N)、または、スループット上限値が所定の条件を満たさないと判定した場合に(ステップS305、N)、通信制御を実施せずに処理を終了する。
なお、制御部740は、スループット上限値が所定の条件を満たさないと判定した場合に、ステップS302の処理に移行し、推定する周波数帯を選択するように構成されていてもよい。
本実施形態によれば、制御サーバ700は、子局装置103と親局装置202とが通信に用いている一の周波数帯における無線通信品質(例えば、SNR)を示す情報を用いて、現在、子局装置103と親局装置202とが通信に用いていない他の周波数帯における、達成可能なスループット上限値を推定する。制御サーバ700は、推定したスループット上限値が所定の条件を満たすと判定した場合に、親局装置202に切替情報を送信する。そして、親局装置202は、切替情報で指定される他の周波数帯を用いて、子局装置103と通信する。また、子局装置103、親局装置202および制御サーバ700は、無線通信品質を示す情報および切替情報を互いに共有する。
したがって、制御サーバ700は、一の周波数帯における無線通信品質を用いて、他の周波数帯の通信性能を予測することができるので、親局装置202と、子局装置103との間で複数の周波数帯を利用した通信が行われる場合に、当該他の周波数帯において、当該他の周波数帯の通信性能を予測するためのパイロット信号や無線品質を示すフィードバック信号等が送受信されることがなくなり、無線リソースの圧迫が良好に抑制され、効率よく無線リソースが使用されることとなる。
例えば、親局装置202は、子局装置103との通信において、一の周波数帯と、当該一の周波数帯と異なる他の周波数帯とを切り替えて使用したり、当該一の周波数帯と当該他の周波数帯とを併用したりする場合に、無線リソースの圧迫を良好に抑制し、効率よく無線リソースを使用することができる。
なお、制御サーバ700は、子局装置103に、スループット上限値に基づいて決定した通信制御に関する情報を通知し、子局装置103が当該情報に基づいて通信制御を実施するように構成されていてもよい。例えば、スループット上限値が所定の条件を満たすと制御部740が判定した場合に、制御サーバ700は、切替情報に応じたデータで搬送波を変調し、インターネット500および親局装置202を介して子局装置103に当該搬送波を送信する。そして、子局装置103は、制御サーバ700から送信された搬送波を復調し、切替情報を取得する。子局装置103は、当該切替情報に基づき、無線通信部を切り替える、または、無線通信部を併用するように無線通信部を制御する。
また、制御サーバ700は、第2の実施形態の親局装置201と同様に、子局装置103と親局装置202とが通信に用いている一の周波数帯における無線通信品質(例えば、SNR)を示す情報と、子局装置103と異なる他の子局装置と親局装置202とが通信に用いている他の周波数帯における無線リソース使用率とを用いて、現在、当該他の周波数帯における、スループット実効値を推定するように構成されていてもよい。そして、制御サーバ700は、推定したスループット実効値が所定の条件を満たすと判定した場合に、子局装置103と親局装置202とが上述した他の周波数帯を用いて通信するように制御する。
このような構成によれば、制御サーバ700は、一の周波数帯における無線通信品質と無線リソース使用率とを用いて、他の周波数帯の通信性能を予測することができるので、当該他の周波数帯において、当該他の周波数帯の通信性能を予測するためのパイロット信号や無線品質を示すフィードバック信号等が送信されることがなくなり、無線リソースの圧迫が良好に抑制され、子局装置103と親局装置202とにおける無線リソースが効率よく使用されることとなる。
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態の通信装置10について、図面を参照して説明する。
図18は、第4の実施形態の通信装置10の構成例を示すブロック図である。図18に示すように、通信装置10は、通信部11と、取得部12と、推定部13と、制御部14とを含む。
通信装置10は、例えば、図1に示す第1の実施形態における子局装置100、親局装置200、図9に示す第2の実施形態における子局装置101、または親局装置201に相当する。
通信部11および取得部12は、例えば、図3に示す第1の実施形態における無線通信部210、無線通信部220、無線通信部230、図10に示す第2の実施形態における無線通信部212、無線通信部222、または無線通信部232に相当する。
推定部13は、例えば、図3に示す第1の実施形態における通信性能推定部260、品質推定部270、図10に示す第2の実施形態における通信性能推定部261または品質推定部271に相当する。
制御部14は、例えば、図3に示す第1の実施形態における経路切替部240、制御部280、図10に示す第2の実施形態における経路切替部241、制御部281に相当する。
通信部11は、複数の周波数帯を用いて、他の通信装置と通信する。なお、複数の周波数帯は、例えば、第1の実施形態におけるIEEE802.11aの仕様に従った5GHz帯、IEEE802.11gの仕様に従った2.4GHz帯およびIEEE802.15.4gの仕様に従った920MHz帯に相当する。また、他の通信装置は、例えば、図1に示す第1の実施形態における子局装置100、親局装置200、図9に示す第2の実施形態における子局装置101、または親局装置201に相当する。
取得部12は、一の周波数帯における無線通信品質に関する情報を含む無線通信情報を取得する。なお、一の周波数帯は、例えば、第1の実施形態におけるIEEE802.11gの仕様に従った2.4GHz帯に相当する。また、無線通信品質に関する情報を含む無線通信情報は、例えば、第1の実施形態におけるSNRを示す値に相当する。
推定部13は、無線通信情報に基づき、一の周波数帯と異なる他の周波数帯における通信性能に関する情報を推定する。なお、他の周波数帯は、例えば、第1の実施形態におけるIEEE802.11aの仕様に従った5GHz帯に相当する。また、通信性能に関する情報は、例えば、第1の実施形態におけるスループット上限値または第2の実施形態におけるスループット実効値に相当する。
制御部14は、通信性能に関する情報に基づき、他の周波数帯を用いて他の通信装置と通信するための通信制御を実行する。なお、通信制御は、例えば、第1の実施形態における無線通信部を切り替える処理、無線通信部を併用するように無線通信部を制御する処理、第2の実施形態における無線通信部を切り替える処理、または無線通信部を併用するように無線通信部を制御する処理に相当する。
本実施形態によれば、通信装置10は、複数の周波数帯を用いて、他の通信装置と通信する。また、通信装置10は、一の周波数帯における無線通信品質に関する情報を含む無線通信情報を取得する。通信装置10は、無線通信情報に基づき、一の周波数帯と異なる他の周波数帯における通信性能に関する情報を推定する。そして、通信装置10は、通信性能に関する情報に基づき、他の周波数帯を用いて他の通信装置と通信するための通信制御を実行する。
したがって、複数の周波数帯を利用した通信が行われる場合に、通信装置10は、無線リソースの圧迫を良好に抑制することができる。
<第5の実施形態>
次に、第5の実施形態の制御装置15について、図面を参照して説明する。
図19は、第5の実施形態の制御装置15の構成例を示すブロック図である。図19に示すように、制御装置15は、取得部16と、推定部17と、通信部18とを含む。
制御装置15は、例えば、図13に示す第3の実施形態における制御サーバ700に相当する。
取得部16は、例えば、図16に示す第3の実施形態における有線通信部710に相当する。
推定部17は、例えば、図16に示す第3の実施形態における通信性能推定部720、および品質推定部730に相当する。
通信部18は、例えば、図16に示す第3の実施形態における有線通信部710および制御部740に相当する。
取得部16は、複数の周波数帯のうち一の周波数帯における無線通信品質に関する情報を含む無線通信情報を取得する。なお、複数の周波数帯は、例えば、第3の実施形態におけるIEEE802.11aの仕様に従った5GHz帯、IEEE802.11gの仕様に従った2.4GHz帯およびIEEE802.15.4gの仕様に従った920MHz帯に相当する。また、一の周波数帯は、例えば、第3の実施形態におけるIEEE802.11gの仕様に従った2.4GHz帯に相当する。また、無線通信品質に関する情報を含む無線通信情報は、例えば、第3の実施形態におけるSNRを示す値に相当する。
推定部17は、無線通信情報に基づき、一の周波数帯と異なる他の周波数帯における通信性能に関する情報を推定する。なお、他の周波数帯は、例えば、第3の実施形態におけるIEEE802.11aの仕様に従った5GHz帯に相当する。また、通信性能に関する情報は、例えば、第3の実施形態におけるスループット上限値またはスループット実効値に相当する。
通信部18は、他の周波数帯を用いて通信するための通信制御に関する情報を、通信性能に関する情報に基づき、他の通信装置に送信する。なお、他の通信装置は、例えば、図13に示す第3の実施形態における親局装置202に相当する。また、通信制御に関する情報は、例えば、第3の実施形態における切替情報に相当する。
本実施形態によれば、制御装置15は、複数の周波数帯のうち一の周波数帯における無線通信品質に関する情報を含む無線通信情報を取得する。また、制御装置15は、無線通信情報に基づき、一の周波数帯と異なる他の周波数帯における通信性能に関する情報を推定する。そして、制御装置15は、他の周波数帯を用いて通信するための通信制御に関する情報を、通信性能に関する情報に基づき、他の通信装置に送信する。
したがって、複数の周波数帯を利用した通信が行われる場合に、制御装置15は、無線リソースの圧迫を良好に抑制することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記したそれぞれの実施形態に限定されるものではない。本発明は、各実施形態の変形、置換および調整に基づいて実施できる。また、本発明は、各実施形態を任意に組合せて実施することもできる。すなわち、本発明は、本明細書の全ての開示内容、技術的思想に従って実現できる各種変形、修正を含む。なお、各図面に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、図面中の矢印の向きは、一例を示すものであり、ブロック間の信号の向きを限定するものではない。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
複数の周波数帯を用いて、他の通信装置と通信する通信手段と、
一の周波数帯における無線通信品質に関する情報を含む無線通信情報を取得する取得手段と、
前記無線通信情報に基づき、前記一の周波数帯と異なる他の周波数帯における通信性能に関する情報を推定する推定手段と、
前記通信性能に関する情報に基づき、前記他の周波数帯を用いて前記他の通信装置と通信するための通信制御を実行する制御手段と
を備える通信装置。
(付記2)
前記制御手段は、前記通信性能に関する情報が前記他の周波数帯を用いて通信するための条件を満たすか否かを判断し、
前記無線通信品質を示す情報が前記条件を満たすと判断した場合に、前記制御手段は、前記通信制御を実行する
ことを特徴とする付記1に記載の通信装置。
(付記3)
前記制御手段が前記通信性能に関する情報が前記条件を満たさないと判断した場合に、前記推定手段は、前記一の周波数帯および前記他の周波数帯と異なる周波数帯における通信性能に関する情報を推定し、
前記制御手段は、前記通信性能に関する情報に基づき、前記周波数帯を用いて前記他の通信装置と通信するための通信制御を実行する
ことを特徴とする付記2に記載の通信装置。
(付記4)
前記無線通信情報は、信号電力対雑音電力比(Signal to Noise Ratio)を示す情報、信号電力対干渉雑音比(Signal to Interference plus Noise Ratio)を示す情報、受信信号強度(Received Signal Strength Indicator)を示す情報および前記他の周波数帯における通信状況に関する情報のうち、少なくともいずれか1つを含む
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の通信装置。
(付記5)
前記通信状況に関する情報は、無線リソースの使用率を含む
ことを特徴とする付記4に記載の通信装置。
(付記6)
前記通信性能に関する情報は、データの転送量の上限値を示すスループット上限値、データの転送量の実効値を示すスループット実効値、通信誤り率、および通信における遅延を示す情報のうち、少なくともいずれか1つを含む
ことを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載の通信装置。
(付記7)
前記通信手段は、前記他の通信装置に前記通信制御に関する情報を送信する
ことを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載の通信装置。
(付記8)
複数の周波数帯のうち一の周波数帯における無線通信品質に関する情報を含む無線通信情報を取得する取得手段と、
前記無線通信情報に基づき、前記一の周波数帯と異なる他の周波数帯における通信性能に関する情報を推定する推定手段と、
前記他の周波数帯を用いて通信するための通信制御に関する情報を、前記通信性能に関する情報に基づき、他の通信装置に送信する通信手段と
を備える制御装置。
(付記9)
付記1乃至7のいずれか1項に記載の通信装置と、
前記通信装置と通信する前記他の通信装置と
を備える通信システム。
(付記10)
複数の周波数帯のうち一の周波数帯における無線通信品質に関する情報を含む無線通信情報を取得し、
前記無線通信情報に基づき、前記一の周波数帯と異なる他の周波数帯における通信性能に関する情報を推定し、
前記通信性能に関する情報に基づき、前記他の周波数帯を用いて他の通信装置と通信するための通信制御を実行する
通信方法。
(付記11)
コンピュータに
複数の周波数帯のうち一の周波数帯における無線通信品質に関する情報を含む無線通信情報を取得する取得処理と、
前記無線通信情報に基づき、前記一の周波数帯と異なる他の周波数帯における通信性能に関する情報を推定する推定処理と、
前記通信性能に関する情報に基づき、前記他の周波数帯を用いて他の通信装置と通信するための通信制御を実行する制御処理と
を実行させる通信制御用プログラム。