JP2018197576A - 止め輪、固定構造、及び、ステアリング装置 - Google Patents

止め輪、固定構造、及び、ステアリング装置 Download PDF

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賢治 長尾
Kenji Nagao
賢治 長尾
松永 裕之
Hiroyuki Matsunaga
裕之 松永
貴之 南
Takayuki Minami
貴之 南
敏之 大皿
Toshiyuki Osara
敏之 大皿
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Abstract

【課題】構造の簡略化及び製造コストの低減を達成することができる止め輪、固定構造及びステアリング装置を提供する。
【解決手段】本体部18aの両端部18a2,18a2を連結する懸架部18bを有する止め輪18と、内周部22b1に本体部18aが係止される環状係止溝22cを有して止め輪18が装着される筒状のピニオン軸収容部22bと、を備え、本体部18aにより、ピニオン軸収容部22bに収容されたボール軸受17をピニオン軸収容部22bに固定する固定構造であって、環状係止溝22cは、ピニオン軸収容部22bに対するボール軸受17の固定位置に対応して内周部22b1に設けられており、本体部18aとボール軸受17とが当接した状態で、且つ、懸架部18bが両端部18a2,18a2を周方向にて互いに離間する方向に押圧した状態で、止め輪18がピニオン軸収容部22bに装着される。
【選択図】図6

Description

本発明は、被装着部材に装着される止め輪、この止め輪を用いて被装着部材に対して被固定部材を固定する固定構造、及び、この固定構造を用いたステアリング装置に関する。
従来から、例えば、下記特許文献1に開示されたラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニットが知られている。この従来のステアリングギヤユニットは、ラック軸を収容するケーシングを構成する筒状の副収納部にピニオン軸が回転可能となるように収容されるようになっている。副収納部の内周面開口寄り部分には、全周に渡り係止溝が形成されており、この係止溝に対して略C字状の止め輪が係止される。そして、従来のステアリングギヤユニットにおいては、略C字状の止め輪の不連続部分に対して、副収納部から脱落することを防止されたクリップが挿入されるようになっており、挿入されたクリップが止め輪の縮径を防止するようになっている。これにより、従来のステアリングギヤユニットにおいては、係止された止め輪が副収納部に収容されるピニオン軸を回転可能に支持する玉軸受を固定し、玉軸受が軸方向に変位することを防止するようになっている(例えば、特許文献1の図2を参照)。
又、従来から、例えば、下記特許文献2に開示された手動変速機も知られている。この従来の手動変速機は、支持部に挿通されてセレクトレバーを支持する支持軸を備えている。支持軸は、この支持軸に形成されたフランジ部と外周面に装着される止め輪(スナップリング)とによって支持部を挟持して固定することにより、支持部から抜けないようになっている(例えば、特許文献2の図4を参照)。
特開2014−139053号公報 特開2017−15122号公報
上記従来のラックアンドピニオン式ギヤユニット及び上記従来の手動変速機における止め輪は、被装着部材である副収納部及び支持軸に形成された環状係止溝に係止されることにより、被固定部材である玉軸受及び支持部を固定する。この場合、止め輪が縮径したり、拡径したりすると、被装着部材(環状係止溝)に対する止め輪の装着位置がずれる可能性がある。このように、止め輪の装着位置がずれると、止め輪による被固定部材の固定状態が悪化し、その結果、被固定部材に無用なガタツキが生じる場合がある。このため、上記従来のラックアンドピニオン式ギヤユニットでは、止め輪の不連続部分に対してクリップを挿入し、止め輪が縮径することを防止する。
しかしながら、上記従来のラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニットにおいては、別途クリップを追加して設ける必要がある。そして、クリップが脱落しないように、副筒部(ハウジング)に対して脱落防止機構を追加して設ける必要がある。これらにより、上記従来のラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニットでは、構造が複雑になるとともに製造コストが増大する。
本発明は、構造の簡略化及び製造コストの低減を達成することができる止め輪、固定構造及びステアリング装置を提供することを目的とする。
(止め輪)
本発明に係る止め輪は、板状且つ両端部の間が不連続部分となる円環状に形成された本体部と、帯状に形成されて本体部の両端部の間を不連続部分にて連結する懸架部と、を備え、本体部は、この本体部に対して外力を加えることにより縮径及び拡径が可能な弾性力を有し、懸架部は、外力が作用した場合、両端部が周方向にて相対的に移動することを阻害する、ように構成される。
これによれば、止め輪は、両端部の間を不連続部分にて連結する帯状の懸架部を備えることができる。懸架部は、本体部が被装着部材に装着された状態において、本体部の両端部が周方向にて相対的に移動する、即ち、本体部を縮径させるように両端部が接近したり、本体部を拡径させるように両端部が離間したりすることを阻害することができる。
従って、被装着部材が筒状であり、止め輪が被装着部材の内周部に形成された環状係止溝に係止される場合では、懸架部が本体部の縮径を阻害することができる。このため、本体部の環状係止溝に対する位置がずれることを防止することができ、その結果、止め輪が筒状の被装着部材に装着された状態を良好に維持することができる。又、被装着部材が棒状であり、止め輪が被装着部材の外周部に形成された環状係止溝に係止される場合では、懸架部が本体部の拡径を阻害することができる。このため、この場合においても、本体部の環状係止溝に対する位置がずれることを防止することができ、その結果、止め輪が棒状の被装着部材に装着された状態を良好に維持することができる。
従って、懸架部を設けることにより、止め輪の縮径及び拡径を極めて簡単な構造により防止することができる。又、懸架部を本体部に一体に設けることにより、別途縮径又は拡径を防止する部材を設ける必要がなく、例えば、止め輪が装着される被装着部材の構造を簡略化することができて製造コストを低減することができる。
(固定構造)
本発明に係る固定構造は、上記止め輪と、筒状に形成され、内周部に止め輪の本体部が係止される環状係止溝を有して止め輪が装着される被装着部材と、被装着部材に収容された被固定部材と、を備え、環状係止溝に係止される止め輪の本体部により被固定部材を被装着部材に固定する固定構造であって、環状係止溝は、被装着部材に対する被固定部材の固定位置に対応して内周部に設けられており、止め輪の本体部と被固定部材とが当接した状態で、止め輪が被装着部材に装着される。
これによれば、被装着部材に収容された被固定部材は、環状係止溝に装着された止め輪により、常に当接した(押圧された)状態が維持される。従って、被固定部材が、例えば、被装着部材の軸線の方向にて移動(変位)する、所謂、ガタツキを生じることを防止することができる。又、環状係止溝に止め輪の本体部を係止することのみで、懸架部が止め輪の縮径を防止することができる。従って、被装着部材に対して止め輪の縮径を防止するための部材を組み付けるための機構を設ける必要がなく、構造を簡略化することができるとともに製造コストを低減することができる。
(ステアリング装置)
本発明に係るステアリング装置は、ステアリングホイールと、ステアリングホイールが固定されるステアリングシャフトと、ステアリングホイールに加えられる操舵トルクがステアリングシャフトを介して伝達されて車両の転舵輪を転舵するラックアンドピニオン機構と、上記固定構造と、を備え、ステアリングシャフトを構成するピニオン軸がボール軸受によってラックアンドピニオン機構を構成するハウジングに対して回転可能に支持されるステアリング装置であって、ハウジングが被装着部材であり、ボール軸受が被固定部材である。
これによれば、止め輪の本体部とハウジングに収容されたボール軸受とが当接した状態で、且つ、止め輪の懸架部が本体部の両端部を互いに離間させる方向に押圧した状態で、止め輪をハウジングに設けられた環状係止溝に装着することができる。これにより、ボール軸受は、ガタツキを生じることなくハウジングに固定される。その結果、例えば、ステアリング装置に対する逆入力によりピニオン軸が軸線の方向に変位した場合であっても、ボール軸受のガタツキに起因する異音の発生を効果的に防止することができる。
本発明の実施形態に係る止め輪及び固定構造が適用されるステアリング装置の概略図である。 図1のII−II断面における転舵機構(ラックアンドピニオン機構)の構成を示す断面図である。 図2のラックハウジングを構成するピニオン軸収容部の構成を示す断面図である。 図2の止め輪を示す平面図である。 図4の止め輪を示す側面図である。 図4及び図5の止め輪の図3のピニオン軸収容部への組み付けを説明するための一部断面図である。 図6の懸架部を押圧したときの拡径力及び押圧力を説明するための一部断面拡大図である。 本発明の実施形態の第一変形例に係る止め輪を示す平面図である。 図8の止め輪を示す側面図である。 本発明の実施形態の第二変形例に係る止め輪を示す側面図である。 本発明の実施形態の第三変形例に係る止め輪を示す側面図である。 本発明の実施形態の第四変形例に係り、止め輪のピニオン軸収容部への組み付け(止め輪の装着前)を説明するための一部断面図である。 本発明の実施形態の第四変形例に係り、止め輪のピニオン軸収容部への組み付け(止め輪の装着後)を説明するための一部断面図である。 本発明の実施形態のその他の変形例を説明するための図である。 本発明の実施形態のその他の変形例を説明するための図である。 本発明の実施形態のその他の変形例を説明するための図である。 本発明の実施形態のその他の変形例を説明するための図である。 本発明の実施形態のその他の変形例を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態に係る止め輪、固定構造及びステアリング装置について図面を参照しながら説明する。尚、以下の実施形態及び各変形例の相互において、互いに同一又は均等である部分には、図中、同一符号を付してある。又、説明に用いる各図は、概略図であり、各部の形状は必ずしも厳密なものではない場合がある。
(ステアリング装置)
本実施形態に係るステアリング装置Aの構成について説明する。図1に示すように、ステアリング装置Aは、操舵機構10及び転舵機構20を備えている。
操舵機構10は、転舵輪26を転舵するためにステアリングホイール11に加えられる操舵トルクを伝達するステアリングシャフト12を備える。ステアリングホイール11が固定されるステアリングシャフト12は、コラム軸13、中間軸14及びピニオン軸15を、それぞれ自在継手16を介して連結して構成される。
ピニオン軸15は、図2に示すように、一端側に中間軸14と自在継手16を介して連結されるセレーション溝15aが形成されるとともに、他端側に転舵機構20の後述するラックハウジング22に設けられるニードル軸受23によって回転可能に支持される小径段部15bが形成される。又、ピニオン軸15は、セレーション溝15aと小径段部15bとの間にピニオン歯15cが形成される。更に、ピニオン軸15の外周部15dには、後述するボール軸受17を固定するために、周溝15d1が形成されるとともに周溝15d1よりもピニオン歯15c側に大径段部15d2が形成される。
再び図1に戻り、転舵機構20は、ラックアンドピニオン機構を構成しており、ラック軸21及び略円筒状に形成されたラックハウジング22を備えている。ラック軸21は、軸線の方向に沿って直線往復移動可能にラックハウジング22に支持される。ラック軸21は、図2に示すように、ピニオン軸15に形成されたピニオン歯15cと噛合するラック歯21aが形成されている。ラックハウジング22は、ラック軸21を収容するラック軸収容部22a及びピニオン軸15を収容する、「ハウジング」としてのピニオン軸収容部22bから構成される。ピニオン軸収容部22bには、ラック軸21のラック歯21aをピニオン軸15のピニオン歯15cに向けて押圧する押圧機構24が収容されている。
ピニオン軸収容部22bは、図2に示すように、有底筒状の「被装着部材」であり、ラック軸21の軸線の方向に対して角度を有して、ピニオン軸15を回転可能に収容する(図1を参照)。ピニオン軸収容部22bの底部には、ニードル軸受23が組み付けられている。又、ピニオン軸収容部22bの開口部には、ピニオン軸15を回転可能に収容した状態で、開口を塞ぐダストシール25が設けられる。
再び図1に戻り、転舵機構20のラック軸21の両端部には、図示を省略するタイロッド及びナックルを介して転舵輪26が連結される。これにより、操舵機構10のステアリングホイール11が操舵されると、この操舵に伴う操舵トルクがコラム軸13及び中間軸14を介してピニオン軸15に伝達され、ピニオン軸15が回転される。ピニオン軸15の回転は、ピニオン歯15cに噛合するラック歯21aによって、ラック軸21の直線往復移動に変換され、ラック軸21の軸線の方向に沿った移動がタイロッド及びナックルを介して転舵輪26に伝達される。これにより、転舵輪26が転舵されて、車両の進行方向が変更される。
尚、図示を省略するが、ステアリング装置Aにおいては、ステアリングホイール11から転舵輪26までのトルク伝達経路上に操舵補助機構を設けても良い。操舵補助機構は、油圧ポンプ又は電動モータ等を駆動源とし、トルク検出装置が検出するトルク伝達経路に入力された操舵トルクに応じて、操舵補助トルクを付与するようになっている。これにより、ステアリング装置Aは、油圧式パワーステアリング装置、又は、電動パワーステアリング装置として構成することができる。
(止め輪及び固定構造)
図2に示すように、ピニオン軸15は、転舵機構20のピニオン軸収容部22bに収容された状態において、「被固定部材」としてのボール軸受17により、ピニオン軸収容部22bに対して回転可能に支持される。ピニオン軸収容部22bは、図3に示すように、内周部22b1に対して、内周段部22b2が形成されている。又、ピニオン軸収容部22bは、内周部22b1に対して、環状係止溝22cが形成されている。環状係止溝22c及び内周段部22b2は、ボール軸受17をピニオン軸収容部22bに対して固定するように設けられる。このため、環状係止溝22cは、図2に示すように、内周段部22b2に対して当接したボール軸受17に対応して設けられる。より具体的に、環状係止溝22cは、後述するように係止される止め輪18がボール軸受17をピニオン軸収容部22bの軸線Jhの方向にて内周段部22b2に向けて押圧可能となるように設けられる。以下、ピニオン軸収容部22bに対してボール軸受17が固定される位置を「固定位置」と称する。
又、環状係止溝22cは、図3に示すように、一対の側面22c1及び側面22c2を有している。一対の側面22c1,22c2のうち、固定位置に固定されるボール軸受17から軸線Jhの方向にて離れた一方の側面22c1は、軸線Jhに直交する径方向Shにて外方に向かうに従って、他方の側面22c2に徐々に近づくように傾斜を有する傾斜側面22c1である。尚、側面22c2は、径方向Shに平行になるように形成されている。
ボール軸受17は、図2に示すように、ピニオン軸15の外周部15dに対して、セレーション溝15aとピニオン歯15cとの間に配置されて、ピニオン軸収容部22b内に収容される。ボール軸受17は、インナーレース17aとアウターレース17cとの間に複数のボール17bが配置されることにより、インナーレース17aとアウターレース17cとの相対回転を可能としている。
ボール軸受17のインナーレース17aは、図2に示すように、ピニオン軸15の外周部15dに嵌合される。そして、インナーレース17aは、外周部15dに形成された周溝15d1にかしめられたかしめリング15eにより、ピニオン軸15の大径段部15d2に向けて押圧されて固定されている。アウターレース17cは、ピニオン軸収容部22bの内周部22b1に形成された環状係止溝22cに係止された止め輪18により、ピニオン軸収容部22bの内周段部22b2に向けて押圧されて固定されている。
止め輪18は、図4及び図5に示すように、板状且つ円環状に形成されて一部に不連続部分を有する略C字状の本体部18aを有している。本体部の外径は、ピニオン軸収容部22bに形成された環状係止溝22cの内径(より具体的には、ピニオン軸収容部22bの内周部22b1の内径)に比べて、大きくなるように設定されている。このため、本体部18aは、後述するように、止め輪18がピニオン軸収容部22bの環状係止溝22cに装着されたとき、縮径された状態になっており、軸線Jrに直交する径方向Srにて外方(拡径方向)に弾性力であるばね力を発生させる。
本体部18aの軸線Jrの方向にて一面側の外周部には、図5に示すように、径方向Srにて外方に向かうに従って板厚が徐々に小さくなるように傾斜を有し、後述するように、環状係止溝22cの傾斜側面22c1と摺接する傾斜面18a1を有している。尚、本体部18aにおいて、傾斜面18a1の形成されない他面側、即ち、ボール軸受17のアウターレース17cに対向する面は、径方向Srに平行になるように形成されている。
又、止め輪18は、図4及び図5に示すように、軸線Jrの周りに沿った周方向にて互いに対向して本体部18aにおける不連続部分を形成する端部18a2,18a2と、両端部18a2,18a2の間(不連続部分)を連結する帯状の懸架部18bを有している。懸架部18bは、図4に示すように、環状の本体部18aよりも径方向Srにて内側に設けられている。又、懸架部18bは、図5に示すように、止め輪18(本体部18a)の軸線Jrの方向に凸状となるように湾曲して設けられる。尚、本実施形態においては、止め輪18がピニオン軸収容部22bの環状係止溝22cに装着されたときに、ボール軸受17から離間する方向に凸状となるように設けられる(図2及び図6を参照)。ここで、軸線Jrの方向に凸状となる懸架部18bは、図5に示すように、軸線Jrに直交する径方向Srに対して角度θを有して両端部18a2,18a2に接続されるように形成される。角度θについては、90°未満に設定され、より好ましくは45°未満、更により好ましくは30°程度に設定される。
本実施形態における懸架部18bは、止め輪18が未だピニオン軸収容部22bの環状係止溝22cに係止されていない状態、即ち、本体部18aが径方向Srにて縮径も拡径もされていない自由状態において、軸線Jrの方向に凸状となっている。このため、図5に示すように、懸架部18bの周方向に沿った方向の長さ(長手方向の延長長さ)Lは、自由状態において、本体部18aの互いに対向する両端部18a2,18a2間の距離であって周方向における距離L0よりも大きくなるようになっている。
更に、止め輪18には、図4に示すように、本体部18aの両端部18a2,18a2に、止め輪18を環状係止溝22cに装着する際に、本体部18aの外径を縮径するための専用工具(図示省略)が挿入される一対の作業孔18cが設けられている。これにより、本実施形態においては、止め輪18をピニオン軸収容部22b(環状係止溝22c)に装着する場合には、本体部18aを縮径させるとともに懸架部18bを軸線Jrの方向に撓ませて止め輪18を装着するようになっている。
ここで、止め輪18は、例えば、金属薄板からの打ち抜き(プレス加工)により、本体部18a及び懸架部18bが一体に成形される。これにより、懸架部18bを有しない従来の止め輪と同等の加工方法及び製造コストによって成形することができる。
次に、止め輪18をピニオン軸収容部22bの環状係止溝22cに装着してボール軸受17を固定する固定構造を説明する。本実施形態における固定構造は、図6に示すように、軸線Jh(軸線Jr)の方向に凸状となるように湾曲した懸架部18bを有するとともに本体部18aが傾斜面18a1を有する止め輪18と、内周部22b1に止め輪18が係止される環状係止溝22cを有する筒状のピニオン軸収容部22bと、を備え、ボール軸受17をピニオン軸収容部22bに固定する構造である。
先ず、ボール軸受17は、インナーレース17aが、ピニオン軸収容部22bに収容されたピニオン軸15の大径段部15d2に当接した状態で、周溝15d1にかしめられたかしめリング15eによりピニオン軸15の外周部15dに嵌合されている。そして、止め輪18の本体部18aに対して専用工具により径方向Srにて縮径するように外力が加えられてピニオン軸収容部22b内に挿入され、ボール軸受17に当接する固定位置にて専用工具が取り外される。これにより、止め輪18の本体部18aは、ばね力(弾性力)によって径方向Srにて拡径するものの、後述するように、本体部18aは自由状態にまで拡径しない状態で、ピニオン軸収容部22bの環状係止溝22cに係止される。尚、上述したように、懸架部18bは本体部18aよりも径方向Srにて内側、即ち、環状係止溝22cとは反対側に設けられている。従って、止め輪18の本体部18aが環状係止溝22cの係止された状態においては、懸架部18bは環状係止溝22cに係入しない。
ところで、専用工具を用いて止め輪18をピニオン軸収容部22bに対して装着したのみの状態では、ピニオン軸収容部22bの軸線Jhに対して止め輪18の軸線Jrが角度を有して傾いている場合がある。その結果、止め輪18の本体部18aには、周方向にてボール軸受17のアウターレース17cに当接していない部分が生じる場合がある。この場合、ボール軸受17のアウターレース17cが止め輪18によって適切に押圧されていない部分が生じる。このため、例えば、車両の走行時において転舵輪26からピニオン軸15に逆入力が生じると、アウターレース17cと内周段部22b2とが繰り返し当接して異音を発生させる可能性がある。
本実施形態においては、専用工具を用いて止め輪18を装着した状態で、図6にて太矢印により示すように、例えば作業者が止め輪18の懸架部18bを軸線Jh(軸線Jr)の方向に沿って外力を加えて押圧する。具体的には、作業者が懸架部18bを凸方向とは反対の方向となるボール軸受17に向けて外力を加えて押圧する。これにより、止め輪18全体がボール軸受17に向けて押し下げられる。又、懸架部18bに対して外力が加えられることにより、懸架部18bがばね力を発生し、本体部18aの両端部18a1,18a1を互いに離間させる方向に押圧する。これにより、止め輪18の本体部18aが周方向に渡って均一に環状係止溝22cに進入して係止され、本体部18aが全周でボール軸受17のアウターレース17cに接触した状態になる。
懸架部18bを押圧して本体部18aを環状係止溝22cに係止した状態、即ち、止め輪18の装着状態では、本体部18aはアウターレース17cを軸線Jrの方向にて押圧する。このことを具体的に説明する。本体部18aの外径は、止め輪18の装着前の自由状態に比べて、縮径されている。このため、本体部18aの両端部18a2,18a2の間の距離L0は、止め輪18の装着前の状態に比べて小さくなる。懸架部18bの延長長さLは両端部18a2,18a2間の距離L0よりも大きく設定されているので、懸架部18bは、図6にて一点鎖線により止め輪18の装着前の自由状態を示すように、軸線Jrの方向に向けた撓みが大きくなる。
このように、懸架部18bの撓みが大きくなると、本体部18aの両端部18a2,18a2は、懸架部18bによって互いに離間する方向に押圧される。これにより、本体部18aには、径方向Srの方向にて外方に向けて拡径させるばね力(弾性力)に加えて、図7に示すように、懸架部18bによる拡径力Fr(ばね力)が発生する。本体部18aには傾斜面18a1が設けられており、環状係止溝22cには傾斜側面22c1が設けられており、傾斜面18a1と傾斜側面22c1とは互いに摺接する。その結果、拡径力Frは、傾斜面18a1及び傾斜側面22c1の傾斜により、軸線Jh(軸線Jr)の方向に分力Fn(以下、この分力Fnを「押圧力Fn」とも称呼する。)を生じさせる。本体部18aに生じた押圧力Fnは、ボール軸受17のアウターレース17cを押圧するように作用する。これにより、ボール軸受17のアウターレース17cは、全周に渡り、止め輪18によって押圧されて固定される。
ここで、止め輪18の本体部18aは、縮径された状態で環状係止溝22cに係止される。これにより、本体部18aは、常に拡径する方向に弾性力(ばね力)を発生させている。加えて、本体部18aの一面側に設けられた傾斜面18a1と環状係止溝22cの傾斜側面22c1とは、摺接に際して摩擦力を発生させる。従って、作業者によって止め輪18の懸架部18bが押圧されて外力が加えられた状態、及び、本体部18aが拡径した状態は、本体部18aが発生させるばね力と傾斜面18a1及び傾斜側面22c1の間に生じる摩擦力とによって維持される。即ち、作業者が懸架部18bの押圧を止めた(外力が加えられない)場合であっても、止め輪18においては、懸架部18bが押圧された形態が維持される。
ステアリング装置Aにおいて逆入力等によりピニオン軸15がボール軸受17とともに軸線Jhの方向にてピニオン軸収容部22bの開口に向けて変位すると、止め輪18の本体部18aには、傾斜面18a1及び傾斜側面22c1の摺接によって縮径させる方向の力が作用する。この縮径させる方向の外力によって本体部18aの両端部18a2,18a2が相対的に移動して接近する場合、押圧された状態の懸架部18bは突っ張ることにより抵抗となり、本体部18aの縮径を防止する。従って、止め輪18は、本体部18aの縮径が懸架部18bによって阻害され、アウターレース17cを押圧して軸線Jhの方向への変位を防止する。その結果、アウターレース17cの軸線Jhの方向への変位、即ち、ガタツキが防止され、アウターレース17cと内周段部22b2との当接に伴う異音の発生を防止する。
以上の説明からも理解できるように、上記実施形態における止め輪18を用いた固定構造は、ステアリングホイール11と、ステアリングホイール11が固定されるステアリングシャフト12と、ステアリングホイール11に加えられる操舵トルクがステアリングシャフト12を介して伝達されて車両の転舵輪26を転舵するラックアンドピニオン機構である転舵機構20と、を備え、ステアリングシャフト12を構成するピニオン軸15がボール軸受17によって転舵機構20を構成するピニオン軸収容部22bに対して回転可能に支持されるステアリング装置Aに適用される。
本実施形態の固定構造は、被装着部材であるピニオン軸収容部22bに形成された環状係止溝22cに装着される止め輪であって、板状且つ両端部18a2,18a2の間が不連続部分となる円環状に形成された本体部18aと、帯状に形成されて本体部18aの両端部18a2,18a2の間を不連続部分にて連結する懸架部18bと、を備え、本体部18aは、この本体部18aに対して外力を加えることにより縮径及び拡径が可能な弾性力(ばね力)を有し、懸架部18bは、本体部18aに外力が作用した場合、両端部18a2,18a2が周方向にて相対的に移動することを阻害するように構成された止め輪18と、筒状に形成され、内周部22b1に環状係止溝22cを有して止め輪18が装着されるピニオン軸収容部22bと、環状係止溝22cに止め輪18の本体部18aが係止されるピニオン軸収容部22bに収容された被固定部材としてのボール軸受17と、を備え、環状係止溝22cに係止される止め輪18の本体部18aによりボール軸受17をピニオン軸収容部22bに固定する固定構造であって、環状係止溝22cは、ピニオン軸収容部22bに対するボール軸受17の固定位置に対応して内周部22b1に設けられており、止め輪18の本体部18aとボール軸受17とが当接した状態で、止め輪18がピニオン軸収容部22bに装着される。
これによれば、懸架部18bは、本体部18aが環状係止溝22cに係止された状態において、本体部18aの両端部18a2,18a2が周方向にて相対的に移動する、即ち、本体部18aを縮径させるように両端部18a2,18a2が互いに接近することを阻害することができる。従って、懸架部18bを設けることにより、ピニオン軸収容部22bに装着された止め輪18の縮径を極めて簡単な構造により防止することができるとともに、製造コストを低減することができる。
又、止め輪18の本体部18aが縮径することを効果的に防止することができ、本体部18aをピニオン軸収容部22bの内周部22b1に形成された環状係止溝22cに強固に係止することができる。このため、本体部18aがボール軸受17(より具体的には、アウターレース17c)に当接した状態を維持することができ、ピニオン軸収容部22bに対して装着された止め輪18は、ボール軸受17を良好に固定することができる。
従って、ステアリング装置Aにおいては、ボール軸受17(アウターレース17c)はピニオン軸収容部22bに対する相対的な変位(ガタツキ)を生じることなく固定される。その結果、ステアリング装置Aにおいては、ボール軸受17(アウターレース17c)のガタツキに起因する異音の発生を効果的に防止することができる。又、懸架部18bを本体部18aに一体に設けることにより止め輪18の縮径を防止するために別部材(例えば、クリップ)を用いる必要がない。従って、別部材を組み付けるための機構等を設ける必要がなく、ピニオン軸収容部22bの構造を簡略化することができる。
この場合、本体部18aが軸線Jrに直交する径方向Srにて縮径及び拡径されていない自由状態から本体部18aを径方向Srにて縮径させる外力が作用している場合、懸架部18bは、両端部18a2,18a2を周方向にて互いに離間する拡径力Fr(ばね力)を発生する。
これによれば、懸架部18bは、本体部18aが環状係止溝22cに係止された状態において、常に本体部18aを拡径させる方向に作用する拡径力Frを発生させることができる。換言すれば、懸架部18bは、常に両端部18a2,18a2を周方向にて互いに離間する方向に押圧することができる。従って、本体部18aをより強固に(より適切に)環状係止溝22cに係止させることができる。
この場合、懸架部18bは、本体部18aの軸線Jrの方向に凸状に設けられており、凸状の凸方向と反対の方向に外力を加えることにより、両端部18a2,18a2を周方向にて互いに離間させる形態に変形する。
これによれば、本体部18aを環状係止溝22cに係止する際、凸状の懸架部18bが押圧された状態(形態)が維持されることにより、確実に本体部18aを拡径させる拡径力Frを発生させることができる。従って、本体部18aを環状係止溝22cに対して確実に且つ強固に係止させることができる。又、本体部18aを環状係止溝22cに係止する際、凸状の懸架部18bが押圧されることにより、本体部18aを全周に渡りボール軸受17(より詳しくは、アウターレース17c)に確実に当接させることができる。従って、本体部18aはボール軸受17のガタツキの発生をより確実に防止することができる。又、本体部18aを環状係止溝22cに係止させた後において、懸架部18bは押圧された状態に維持されるので、止め輪18がピニオン軸収容部22bに対して適切に装着されているか否かを、例えば、目視して確認することができる。
これらの場合、懸架部18bは、径方向Srにて本体部18aが縮径及び拡径されていない状態において、両端部18a2,18a2の間の周方向における距離L0に比べて、懸架部18bの周方向に沿った方向の延長長さLが大きくなる。
これによれば、止め輪18がピニオン軸収容部22bに対して装着された状態において、即ち、本体部18aが縮径されて環状係止溝22cに係止された状態において、懸架部18bを確実に撓ませることができる。これにより、懸架部18bは両端部18a2,18a2を確実に押圧して拡径力Frを発生させることができ、両端部18a2,18a2が互いに接近する、即ち、本体部18aが縮径することを確実に防止することができる。
又、これらの場合、本体部18aは、外周部にて、径方向Srにて外方に向かうに従って板厚が徐々に小さくなるように傾斜を有して環状係止溝22cの内周面である傾斜側面22c1と摺接する傾斜面18a1を有する。又、傾斜側面22c1は、環状係止溝22cの一対の側面22c1,22c2のうち、固定位置にて固定されるボール軸受17からピニオン軸収容部22bの軸線Jhの方向にて離れた一方であり、軸線Jhに直交する径方向Shにて外方に向かうに従って他方の側面22c2に徐々に近づくように傾斜を有して止め輪18の本体部18aの外周部である傾斜面18a1と摺接する。
これらによれば、止め輪18の傾斜面18a1と環状係止溝22cの傾斜側面22c1とが互いに摺接することにより、懸架部18bによって本体部18aに生じた拡径力Frからボール軸受17を押圧する押圧力Fnを発生させることができる。これにより、より強固にボール軸受17を固定位置にて固定することができる。従って、ボール軸受17のガタツキの発生を確実に防止することができ、その結果、ガタツキに起因する異音の発生を防止することができる。
(上記実施形態の第一変形例)
上記実施形態においては、止め輪18が軸線Jrの方向にて凸状となる懸架部18bを備えるようにした。これに代えて、図8及び図9に示すように、止め輪18が径方向Srにて凸状となる懸架部18dを備えることも可能である。即ち、この第一変形例においては、図9に示すように、懸架部18dは、軸線Jrの方向にて凸状にならない。又、懸架部18dも、上記実施形態の懸架部18bと同様に、本体部18aが径方向Srにて縮径も拡径もされていない自由状態において、懸架部18dの周方向に沿った方向の長さ(長手方向の延長長さ)L1は、本体部18aの両端部18a2,18a2間の距離L0よりも大きくなるようになっている。
この場合においても、上記実施形態と同様に、止め輪18の本体部18aが専用工具により径方向Srにて縮径されてピニオン軸収容部22b内に挿入され、ボール軸受17に当接する位置にて専用工具が取り外される。これにより、止め輪18の本体部18aは、弾性力(ばね力)によって径方向Srにて拡径し、ピニオン軸収容部22bの環状係止溝22cに係止される。
そして、第一変形例においては、専用工具を用いて止め輪18を環状係止溝22cに係止した状態で、図8にて太矢印により示すように、作業者が止め輪18の懸架部18dを径方向Srに沿って押圧して外力を作用させる。これにより、止め輪18の本体部18aには、上記実施形態において説明した拡径力Frが発生する。従って、本体部18aは、傾斜面18a1及び傾斜側面22c1との摺接により発生する押圧力Fnにより、全周でボール軸受17のアウターレース17cに接触した状態となり、上記実施形態と同様に、ボール軸受17を適切に押圧して固定することができる。
又、懸架部18dも、押圧された状態(形態)が維持されることにより、本体部18aに常に拡径力Frを発生させている。これにより、押圧された状態の懸架部18dは、縮径させる方向の力によって本体部18aの両端部18a2,18a2が接近する場合において良好な抵抗となり、本体部18aの縮径を防止することができる。従って、この第一変形例に係る止め輪18も、懸架部18dによって本体部18aの縮径が阻害されるので、アウターレース17cを押圧して軸線Jhの方向への変位を防止することができる。その結果、アウターレース17cの軸線Jhの方向への変位が防止され、アウターレース17cと内周段部22b2との当接に起因する異音の発生を効果的に防止することができる。従って、この第一変形例においても、上記実施形態と同等の効果が得られる。
(実施形態の第二変形例)
上記実施形態においては、止め輪18が軸線Jrの一方向にて凸状となる懸架部18bを備えるようにした。これに代えて、図10に示すように、止め輪18が軸線Jrの両方向にて凸状となる懸架部18eを備えることも可能である。懸架部18eを備えた止め輪18においても、本体部18aが環状係止溝22cに縮径されて係止されることにより、拡径力Fr及び押圧力Fnを発生させることができる。又、懸架部18eを備えた止め輪18においても、本体部18aが環状係止溝22cに縮径されて係止されることにより、懸架部18eが両端部18a2,18a2の間を押圧して本体部18aの縮径を防止することができる。
(上記実施形態の第三変形例)
上記実施形態においては、止め輪18が、本体部18aの両端部18a2,18a2から角度θで立ち上がり、軸線Jrの方向にて凸状となる懸架部18bを備えるようにした。これに代えて、図11に示すように、止め輪18が、本体部18aの両端部18a2,18a2から径方向Srに沿って延設され、中央部分にて凸状の突部18f1を有する懸架部18fを備えることも可能である。懸架部18fを備えた止め輪18においても、本体部18aが環状係止溝22cに縮径されて係止されることにより、拡径力Fr及び押圧力Fnを発生させることができる。又、懸架部18fを備えた止め輪18においても、本体部18aが環状係止溝22cに縮径されて係止されることにより、懸架部18fが両端部18a2,18a2の間を押圧して本体部18aの縮径を防止することができる。
(実施形態の第四変形例)
上記実施形態においては、止め輪18に作業孔18cを設け、専用工具を作業孔18cに挿入して本体部18aを縮径させるとともに懸架部18bを撓ませるようにした。ところで、上記実施形態においては、環状係止溝22c(ピニオン軸収容部22bの内周部22b1)の内径よりも大きな外径を有する本体部18aに懸架部18bを設けるようにした。これに対して、図12に示すように、外径が環状係止溝22c(ピニオン軸収容部22bの内周部22b1)の内径に比べて小さい(予め縮径させた状態の)本体部18aに懸架部18bを設けることができる。尚、以下の説明においては、上記第一実施形態の懸架部18bを備えた止め輪18を例示して説明するが、上記第一変形例の場合においても、外径が環状係止溝22cの内径に比べて小さい(予め縮径させた状態)の本体部18aに懸架部18dを設けることができる。
この第四変形例の場合においては、図12に示すように、ピニオン軸収容部22bに対して外径の小さい止め輪18を挿入する。その後、図13にて太矢印により示すように、懸架部18bを凸方向とは反対の方向に外力を加えて押圧することにより、本体部18aを拡径させて環状係止溝22cに係止させる。尚、上記第一変形例の場合には、懸架部18dを凸方向とは反対の方向に押圧する(外力を加える)ことにより、本体部18aを拡径させて環状係止溝22cに係止させる。そして、この第四変形例の場合においては、図13に示すように、懸架部18bが軸線Jrの方向にて僅かに凸状となるまで押圧された状態(形態)で維持される。
従って、この第四変形例の止め輪18は、本体部18aの外径が筒状のピニオン軸収容部22bの内周部22b1に形成された環状係止溝22cの内径よりも小さく設定されており、本体部18aを環状係止溝22cに係止する場合、懸架部18b(懸架部18d)は、外力が加えられることにより、両端部18a2,18a2を周方向にて互いに離間する方向に押圧して本体部18aを径方向Srにて拡径し、本体部18aを環状係止溝22cに係止することができる。又、この場合、懸架部18b(懸架部18d)は、本体部18aの軸線Jrの方向(又は本体部18aの径方向Sr)に凸状に設けられており、凸状の凸方向と反対の方向に押圧された状態により、両端部18a2,18a2を周方向にて互いに離間する方向に押圧することができる。これらによれば、専用工具を用いることなく、例えば、単純な棒状の工具を用いて止め輪18をピニオン軸収容部22bに対して装着することができるので、組み付け作業性を改善することが可能となる。
本発明の実施にあたっては、上記実施形態及び上記各変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態及び上記各変形例においては、「被装着部材」として筒状のピニオン軸収容部22bとした。これに代えて、図14に示すように、「被装着部材」として棒状の軸体30とすることも可能である。この場合には、軸体30の外周部に対して環状係止溝31が設けられるとともに、大径段部32が設けられる。これにより、「被固定部材」として、例えば、ギヤ33等を大径段部32に当接させた状態で、環状係止溝31に、例えば、上記実施形態の止め輪18を装着することができる。
この場合、懸架部18bは、本体部18aの両端部18a2,18a2を連結しているので、例えば、ギヤ33の変位に伴って本体部18aを拡径させる力が作用した場合であっても、懸架部18bは本体部18aの拡径を阻害することができる。その結果、本体部18aの環状係止溝31に対する装着位置がずれることを防止することができ、軸体30に対してギヤ33等を良好に固定することができる。尚、この場合、図14にて破線により示すように、本体部18aの内周部に、径方向Srにて内方に向かうに従って板厚が徐々に小さくなるように傾斜を有し、環状係止溝31の内周面と摺接する傾斜面18a3を設けることができる。
又、上記実施形態及び上記各変形例においては、止め輪18の本体部18aが傾斜面18a1を有するとともに、環状係止溝22cが傾斜側面22c1を有するようにした。これに代えて、例えば、図15に示すように、止め輪18の本体部18aが傾斜面18a1を有しておらず、環状係止溝22cが傾斜側面22c1を有するようにすることも可能である。又、例えば、図16に示すように、止め輪18の本体部18aが傾斜面18a1を有し、環状係止溝22cが傾斜側面22c1を有さないようにすることも可能である。このように、止め輪18及び環状係止溝22cの何れか一方に傾斜した面を設ける場合であっても、上記実施形態及び上記各変形例と同様に、拡径力Frが作用した際に押圧力Fnを発生させることができ、上記実施形態及び上記各変形例と同様の効果が期待できる。
尚、図17に示すように、固定構造に関しては、止め輪18及び環状係止溝22cがともに傾斜面18a1及び傾斜側面22c1を有していない場合であってもよい。この場合には、懸架部18b等により拡径力Frが発生するが押圧力Fnは発生しない。しかしながら、少なくとも懸架部18b等が拡径力Frを発生させることによって止め輪18がピニオン軸収容部22bから脱落することを防止でき、ボール軸受17を固定することができる。
又、上記実施形態及び上記各実施形態においては、懸架部18b等の周方向の長さLが両端部18a2,18a2の間の距離L0よりも長くなるようにした。これに代えて、図18に示すように、懸架部18gの周方向長さが本体部18aの両端部18a2,18a2の間の距離L0と略等しくなるように設けることも可能である。この場合には、例えば、本体部18aを縮径して環状係止溝22cに係止する際、懸架部18gを弾性変形させ、本体部18aが環状係止溝22cに係止した後に懸架部18gの弾性変形が復元されることにより、止め輪18をピニオン軸収容部22bに装着することができる。そして、この場合においても、復元した懸架部18gは、本体部18aの両端部18a2,18a2が周方向にて相対的に移動することを阻害することができる。従って、極めて簡単な構造により、本体部18aの縮径又は拡径を防止することができる。
更に、上記実施形態及び各変形例においては、止め輪18及び止め輪18を用いた固定構造をステアリング装置Aに適用するようにした。止め輪18及び止め輪18を用いた固定構造の適用に関しては、ステアリング装置Aに限定されず、例えば、車両のデファレンシャル装置や、トランスミッション装置、クラッチ装置、ハブベアリング等に適用することも可能である。
10…操舵機構、11…ステアリングホイール、12…ステアリングシャフト、13…コラム軸、14…中間軸、15…ピニオン軸、15a…セレーション溝、15b…小径段部、15c…ピニオン歯、15d…外周部、15d1…周溝、15d2…大径段部、15e…かしめリング、16…自在継手、17…ボール軸受(被固定部材)、17a…インナーレース、17b…ボール、17c…アウターレース、18…止め輪、18a…本体部、18a1…傾斜面、18a2,18a2…端部、18a3…傾斜面、18b…懸架部、18c…作業孔、18d…懸架部、18e…懸架部、18f…懸架部、18g…懸架部、20…転舵機構、21…ラック軸、21a…ラック歯、22…ラックハウジング、22a…ラック軸収容部、22b…ピニオン軸収容部(被装着部材(ハウジング))、22b1…内周部、22b2…内周段部、22c…環状係止溝、22c1…側面(傾斜側面)、22c2…側面、23…ニードル軸受、24…押圧機構、25…ダストシール、26…転舵輪、30…軸体、31…環状係止溝、32…大径段部、33…ギヤ、A…ステアリング装置、Fn…押圧力、Fr…拡径力、Jh…軸線、Jr…軸線、L0…距離、L,L1…長さ、Sh…径方向、Sr…径方向、θ…角度

Claims (9)

  1. 板状且つ両端部の間が不連続部分となる円環状に形成された本体部と、
    帯状に形成されて前記本体部の前記両端部の間を前記不連続部分にて連結する懸架部と、を備え、
    前記本体部は、この本体部に対して外力を加えることにより縮径及び拡径が可能な弾性力を有し、
    前記懸架部は、前記外力が作用した場合、前記両端部が周方向にて相対的に移動することを阻害する、
    ように構成された、止め輪。
  2. 前記本体部を縮径させる前記外力が作用している場合、
    前記懸架部は、
    前記両端部を前記周方向にて互いに離間させるばね力を発生する、
    ように構成された、請求項1に記載の止め輪。
  3. 前記懸架部は、
    この懸架部に対して外力を加えることにより、前記両端部を前記周方向にて互いに離間させる形態に変形する、
    ように構成された、請求項1に記載の止め輪。
  4. 前記懸架部は、
    前記本体部の軸線の方向又は径方向に凸状に設けられている、請求項2に記載の止め輪。
  5. 前記懸架部は、
    前記本体部の軸線の方向又は径方向に凸状に設けられており、
    前記凸状の凸方向と反対の方向に押圧する前記外力を加えることにより、前記両端部を前記周方向にて互いに離間する方向に押圧する、
    ように構成された、請求項3に記載の止め輪。
  6. 前記懸架部は、
    前記本体部が前記縮径及び前記拡径されていない状態において、前記両端部の間の前記周方向における距離に比べて、前記懸架部の前記周方向に沿った方向の延長長さが大きくなる、請求項1乃至請求項4のうちの何れか一項に記載の止め輪。
  7. 請求項1乃至請求項6のうちの何れか一項に記載の止め輪と、
    筒状に形成され、内周部に前記止め輪の前記本体部が係止される環状係止溝を有して前記止め輪が装着される被装着部材と、
    前記被装着部材に収容された被固定部材と、を備え、
    前記環状係止溝に係止される前記止め輪の前記本体部により前記被固定部材を前記被装着部材に固定する固定構造であって、
    前記環状係止溝は、前記被装着部材に対する前記被固定部材の固定位置に対応して前記内周部に設けられており、
    前記止め輪の前記本体部と前記被固定部材とが当接した状態で、前記止め輪が前記被装着部材に装着される、固定構造。
  8. 前記止め輪の前記本体部は、
    軸線の方向の一面側の外周部において、径方向にて外方に向かうに従って、板厚が徐々に小さくなるように傾斜する傾斜面を有し、
    前記被装着部材の前記環状係止溝は、
    前記被装着部材の軸線の方向における一対の側面のうち、前記固定位置にて固定される前記被固定部材から前記被装着部材の軸線の方向にて離れた一方の側面が前記被装着部材の径方向にて外方に向かうに従って他方の側面に徐々に近づくように傾斜を有して前記止め輪の前記本体部の傾斜面と摺接する傾斜側面を有する、請求項7に記載の固定構造。
  9. ステアリングホイールと、
    前記ステアリングホイールが固定されるステアリングシャフトと、
    前記ステアリングホイールに加えられる操舵トルクが前記ステアリングシャフトを介して伝達されて車両の転舵輪を転舵するラックアンドピニオン機構と、
    請求項7又は請求項8に記載の固定構造と、を備え、
    前記ステアリングシャフトを構成するピニオン軸がボール軸受によって前記ラックアンドピニオン機構を構成するハウジングに対して回転可能に支持されるステアリング装置であって、
    前記ハウジングが前記被装着部材であり、前記ボール軸受が前記被固定部材である、ステアリング装置。
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