JP2018197368A - 塩素浸出方法、電気ニッケルの製造方法 - Google Patents

塩素浸出方法、電気ニッケルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】銅を含有するニッケル硫化物を塩素浸出するにあたり、安定して高い浸出率でニッケル等を浸出させることができ、浸出残渣中に移行するニッケル量を有効に低減することができる方法を提供する。【解決手段】本発明に係る塩素浸出方法は、銅を含有するニッケル硫化物を塩素浸出して含銅塩化ニッケル溶液を得る方法であって、銅を含有するニッケル硫化物として、銅とニッケルとの重量比率(銅/ニッケル)が0.28以上0.45以下であるものを用いる。【選択図】図1

Description

本発明は、銅を含有するニッケル硫化物の塩素浸出方法、及びその塩素浸出方法を用いた工程を含む電気ニッケルの製造方法に関する。
ニッケル、コバルト等を含む金属硫化物からニッケル、コバルト等の金属を回収する湿式製錬方法としては、ニッケル、コバルト、銅、及び硫黄を含む金属硫化物から、金属を浸出させ、得られた浸出液から不純物を除去した後、電解採取により金属を回収する方法が実用化されている。
金属硫化物から金属を浸出させる方法としては、例えば特許文献1に記載の技術のように、銅イオンを含む塩化物溶液中で塩素浸出する金属硫化物の塩素浸出方法であって、塩化物溶液中の銅イオン濃度を30g/L以上とし、かつ、塩濃度を270g/L以上350g/L以下として塩素浸出する方法がある。このような方法によれば、高い浸出率で金属成分を浸出させることができる。
また、例えば特許文献2に記載の技術のように、塩素浸出工程における塩素ガス吹き込み量を算出し、算出された吹き込み量に基づき浸出処理を施すニッケルコバルト混合硫化物(MS)処理量を決定して反応槽にMSを供給し、また、反応槽中の酸化還元電位(Ag/AgCl基準:ORP)を測定し、測定したORP値に基づいて塩素浸出工程に対するセメンテーション残渣(CMR)の添加量を決定してCMRを添加し、浸出率の安定化を図る方法がある。
なお、銅は、塩素浸出工程における目的金属の浸出を進行させる機能を有しており、セメンテーション残渣中では硫化物として固定(銅の固定)され、その後に塩素浸出工程に装入されて浸出反応に関与して銅イオンとなって塩素浸出液(CPL)に含まれ、再びセメンテーション工程に送られるというように、セメンテーション工程と塩素浸出工程とを循環している。
しかしながら、銅が操業に伴って蓄積されると、上述した工程間での循環を外れて後工程に移送されるセメンテーション終液(CML)中に含まれ、次第にCML中の銅濃度が上昇する。銅は、例えばその後の電解採取工程においては、不純物として働くことから、CPLの一部を脱銅処理の工程(脱銅工程)に導いて系外に排出している(銅の除去)。
上述したような従来の方法では、いずれの場合も、MS及びCMRを塩素浸出工程に、ニッケルマットをセメンテーション工程に装入する方法であるが、特にCMR中の銅及びニッケル品位は、MSやニッケルマットの原料事情及び操業条件により変動するため調整が難しい。例えば、ニッケルマット中の銅品位が5質量%程度から10質量%以上に変動した場合には、安定して高い浸出率を維持するための調整が非常に困難となり、結果として塩素浸出工程における浸出率の平均値が低下する。
そして、塩素浸出率の平均値は低くなると、塩素浸出工程で溶解しきれずに残渣(塩素浸出残渣:CPR)中にロスするニッケルは、CPR中のニッケル品位で5質量%〜10質量%程度と高くなる。
特開2013−067838号公報 特開2016−121370号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、銅を含有するニッケル硫化物を塩素浸出するにあたり、安定して高い浸出率でニッケル等を浸出させることができ、浸出残渣中に移行するニッケル量を有効に低減することができる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、塩素浸出処理の対象である含銅ニッケル硫化物に含まれる銅とニッケルとの重量の比率(Cu/Ni)と、塩素浸出残渣中のNi品位とに相関があることを見出し、Cu/Ni重量比が特定の範囲である含銅ニッケル硫化物を用いることで、上述した課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、銅を含有するニッケル硫化物を塩素浸出して含銅塩化ニッケル溶液を得る塩素浸出方法であって、前記銅を含有するニッケル硫化物として、銅とニッケルとの重量比率(銅/ニッケル)が0.28以上0.45以下であるものを用いる、塩素浸出方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記銅を含有するニッケル硫化物は、前記含銅塩化ニッケル溶液に対してニッケル硫化物とニッケルマットとを添加することによって該含銅塩化ニッケル溶液中の銅イオンを硫化物として固定化するセメンテーション処理を経て得られるセメンテーション残渣のみにより構成されている、塩素浸出方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第2の発明において、前記セメンテーション処理は、前記含銅塩化ニッケル溶液にニッケル硫化物を添加し、少なくとも、該含銅塩化ニッケル溶液中の2価銅イオンを1価銅イオンに還元する第1の工程と、前記第1の工程を経て得られたスラリーに、ニッケルマット及び当該塩素浸出方法により得られた塩素浸出残渣を添加し、該スラリーに含まれる1価銅イオンを硫化物として固定化する第2の工程と、を有する、塩素浸出方法である。
(4)本発明の第4の発明は、銅を含有するニッケル硫化物を塩素浸出して得られる含銅塩化ニッケル溶液から銅を除去し、電解採取法により電気ニッケルを製造する電気ニッケルの製造方法であって、前記銅を含有するニッケル硫化物として、銅とニッケルとの重量比率(銅/ニッケル)が0.28以上0.45以下であるものを用いて塩素浸出する塩素浸出工程を含む、電気ニッケルの製造方法である。
本発明によれば、銅を含有するニッケル硫化物を塩素浸出するにあたり、安定して高い浸出率でニッケル等を浸出させることができ、浸出残渣中に移行するニッケル量を有効に低減することができる。
塩素浸出処理の原料中のCu/Ni重量比とし、生成する塩素浸出残渣中のNi品位との関係を示すグラフ図である。 電気ニッケルの製造プロセスの流れの一例を示す工程図である。 実施例及び比較例の結果を示すグラフ図である。
以下、本発明について具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
≪1.塩素浸出方法≫
本発明に係る塩素浸出方法は、銅を含有するニッケル硫化物に対して塩素を用いた浸出処理を施すことによって、そのニッケル硫化物に含まれるニッケルや銅の金属成分を浸出して含銅塩化ニッケル溶液を得る方法である。
銅を含有するニッケル硫化物(以下、「含銅ニッケル硫化物」ともいう)としては、例えば、電気ニッケルの製造プロセスにおいて、含銅塩化ニッケル溶液に対してニッケル硫化物とニッケルマットとを添加することによってその含銅塩化ニッケル溶液中の銅イオンを硫化物として固定化するセメンテーション処理を経て得られるセメンテーション残渣を用いることができる。なお、このようなセメンテーション残渣等から構成される含銅ニッケル硫化物においては、銅は、主として硫化銅の形態として存在する。
塩素浸出処理においては、原料の含銅ニッケル硫化物をレパルプする等してスラリーの状態とし、その含銅ニッケル硫化物を含むスラリーに塩素ガスを吹き込むことによって行うことができる。具体的に、含銅ニッケル硫化物の塩素浸出処理では、例えば下記の反応式(1)〜(3)に示す反応が生じる。
Cl+2Cu→2Cl+2Cu2+ ・・・(1)
NiS+2Cu2+→Ni2++S+2Cu ・・・(2)
CuS+2Cu2+→4Cu+S ・・・(3)
上記反応式に示されるように、塩素浸出処理においては、原料である含銅ニッケル硫化物のスラリーが送液されると、その含銅ニッケル硫化物中に含まれる硫化ニッケル及び硫化銅等の金属成分が、塩素ガスにより酸化された2価銅イオンによって酸化浸出され、塩素浸出液としての含銅塩化ニッケル溶液が生成する。より具体的には、2価銅イオンが還元される過程で、ニッケルが酸化浸出されることにより、含銅塩化ニッケル水溶液が生成する。なお、固相(塩素浸出残渣)としては、大部分が硫黄であるが、一部は硫化物から未浸出のニッケルが混入する。
ここで、本発明者は、塩素浸出の原料となる含銅ニッケル硫化物と、その原料を用いた塩素浸出処理により生成する浸出残渣中のニッケル品位(Ni品位)について研究したところ、含銅ニッケル硫化物に含まれる銅とニッケルとの重量の比率(Cu/Ni)と、塩素浸出残渣中のNi品位とに相関があることを見出した。
具体的に、図1は、横軸を原料中のCu/Ni重量比とし、縦軸を塩素浸出残渣中のNi品位としたときに関係を示すグラフである。図1から分かるように、原料の含銅ニッケル硫化物に含まれる銅の重量割合が大きくなるほど、生成する塩素浸出残渣中のNi品位が小さくなり、その浸出残渣中に混入してロスとなるNiが減少することを確認した。
例えば、Cu/Ni重量比が0.28以上であると、ほとんどの場合、塩素浸出残渣中のNi品位が5質量%以下となることが分かる。なお、このように、浸出残渣中のNi品位を減少させるためにはCu/Ni≧0.28とすれば十分であるが、Cu/Ni重量比が0.45を超えると、原料選定が困難となることがある。
このようなことから、本発明に係る塩素浸出方法においては、塩素浸出処理の対象原料である銅を含有するニッケル硫化物として、銅とニッケルとの重量比率(Cu/Ni)が0.28以上0.45以下であるものを用いることを特徴とする。このような塩素浸出方法によれば、浸出残渣中に混入してロスとなるニッケル量を減らすことができ、塩素浸出液である含銅塩化ニッケル溶液のニッケル濃度を高めることができる。
以下では、本発明に係る塩素浸出方法を電気ニッケル製造プロセスに適用した実施形態(以下、「本実施の形態」という)を示して、より具体的に説明する。
≪2.電気ニッケルの製造プロセス≫
図2は、電気ニッケルの製造プロセスの流れの一例を示す工程図である。図2に示すように、電気ニッケル製造プロセスは、銅を含有するニッケル硫化物(含銅ニッケル硫化物)を原料としてニッケルや銅の金属成分を塩素浸出し、塩素浸出液である含銅塩化ニッケル溶液を生成する塩素浸出工程S1と、得られた含銅塩化ニッケル溶液にニッケル硫化物を原料として添加し、少なくとも2価銅イオンを1価銅イオンに還元する第1のセメンテーション工程S2と、第1のセメンテーション工程S2後のスラリーに、ニッケルマット及び塩素浸出残渣を添加して1価銅イオンを固定化する第2のセメンテーション工程S3と、セメンテーション終液からニッケル以外の不純物を除去する浄液工程S4と、不純物を除去した塩化ニッケル溶液から電解採取法により電気ニッケルを得る電解工程S5とを有する。以下、各工程について順に説明する。
(1)塩素浸出工程
塩素浸出工程S1では、銅を含有するニッケル硫化物を原料に対して塩素を用いた浸出処理を施し、その含銅ニッケル硫化物に含まれるニッケルや銅の金属成分を浸出する。
具体的には、浸出処理対象である含銅ニッケル硫化物は、後述するセメンテーション工程(第2のセメンテーション工程S3)を経て得られるセメンテーション残渣16である。塩素浸出工程S1では、含銅ニッケル硫化物により構成されるセメンテーション残渣16と共に、電解工程S5で回収された塩素ガス18等によって塩素浸出処理を行う。そして、この塩素浸出処理により、含銅ニッケル硫化物(セメンテーション残渣16)中のニッケルや銅を浸出し、塩素浸出液11としての含銅塩化ニッケル溶液11’を生成する。
なお、含銅ニッケル硫化物により構成されるセメンテーション残渣16は、レパルプされてスラリー化したものが用いられる。レパルプ液としては、特に限定されず、例えば電解工程S5にて得られる塩化ニッケル溶液17を好適に用いることができる。
塩素浸出工程S1における塩素浸出処理では、含銅ニッケル硫化物中に含まれる硫化ニッケル及び硫化銅等の金属成分が、塩素ガス18により酸化された2価銅イオンによって酸化浸出され、塩素浸出液11としての含銅塩化ニッケル溶液11’を生成する。一方で、硫黄を主成分とした塩素浸出残渣13は固相に残存する。塩素浸出工程S1にて生成された塩素浸出液11は、後述する第1のセメンテーション工程S2及び続く第2のセメンテーション工程S3に送液されて銅が固定除去された後、電気ニッケルを製造するための電解液となる。一方で、塩素浸出残渣13は、硫黄を回収するための原料、あるいは後述するセメンテーション工程(第2のセメンテーション工程S3)にて銅イオンを固定するための硫黄源となる。したがって、塩素浸出残渣13中に混入することになったニッケルは、電気ニッケルとしてのニッケルの回収においてロスとなる。
ここで、本実施の形態においては、浸出処理対象の含銅ニッケル硫化物として、銅とニッケルとの重量比率(Cu/Ni)が0.28以上0.45以下であるものを用いることを特徴としている。また、好ましくはCu/Ni重量比が0.30以上0.45以下、より好ましくはCu/Ni重量比が0.35以上0.45以下であるものを用いる。
このように、特定の範囲のCu/Ni重量比の含銅ニッケル硫化物を用い、その含銅ニッケル硫化物に対して塩素浸出処理を施すことによって、塩素浸出残渣13中に混入してロスとなるニッケル量を減らすことができ、塩素浸出液11である含銅塩化ニッケル溶液11’中のニッケル濃度を高めることができる。
Cu/Ni重量比が0.28未満であると、浸出残渣中に混入してロスとなるニッケル量が増加する。一方で、Cu/Ni重量比が0.45を超えると、浸出残渣中のニッケル量は減少するものの、原料調整が困難となり、効率的な操業を行うことができない。
上述したように、浸出処理対象の含銅ニッケル硫化物は、セメンテーション工程(第2のセメンテーション工程S3)を経て得られるセメンテーション残渣16である。特に、この含銅ニッケル硫化物として、セメンテーション残渣16のみから構成されるものであれば、そのCu/Ni重量比は0.28以上0.45以下となり、上述したように塩素浸出処理の原料として好適に用いることができる。
従来、塩素浸出工程S1においては、セメンテーション工程を経て得られるセメンテーション残渣と共に、例えばニッケル酸化鉱石を原料とする湿式製錬プロセスを経て得られるニッケル硫化物(ニッケルコバルト混合硫化物(MS)、図2中の符号10で示すものと同じ)を混合し、それらを原料として塩素浸出処理を施すようにしていた。しかしながら、そのような従来の方法では、塩素浸出処理を経て得られる浸出残渣中のニッケル品位が増加して、ロスが大きかった。このことは、セメンテーション残渣と共にニッケル硫化物を混合したことにより、その硫化物中に含まれるニッケル量が増加し、Cu/Ni重量比が小さくなりすぎたためであると考えられる。
(2)第1のセメンテーション工程
第1のセメンテーション工程S2では、塩素浸出工程S1にて得られた塩素浸出液11である含銅塩化ニッケル溶液11’が送液され、この含銅塩化ニッケル溶液11’にニッケル硫化物10を添加する。これにより、主として、含銅塩化ニッケル溶液11’中の2価銅イオンを1価銅イオンに還元する。
第1のセメンテーション工程S2において添加するニッケル硫化物10は、例えば、電気ニッケル製造プロセスにおける後工程で得られる塩化ニッケル溶液17と共にレパルプされて生成したスラリーとして添加される。このニッケル硫化物10は、例えば、ニッケル酸化鉱から湿式製錬により製造されたニッケル硫化物等が用いられる。
具体的に、第1のセメンテーション工程S2では、例えば下記の(4)及び(5)式に示す反応が生じる。
4NiS+2Cu2+→Ni2++Ni+2Cu ・・・(4)
NiS+2Cu→Ni2++CuS ・・・(5)
すなわち、塩素浸出工程S1から送液された含銅塩化ニッケル溶液11’に対してニッケル硫化物10を添加することにより、ニッケル硫化物10中の主形態である硫化ニッケル(NiS)が、含銅塩化ニッケル溶液11’中の2価銅イオンを1価銅イオンに還元する(上記式(4))。また、主形態であるNiSが、1価銅イオンを硫化銅(CuS)として固定化する(上記式(5))。
ただし、ニッケル硫化物10中の主形態であるNiSの還元力は弱く、1価銅イオンを硫化銅として固定する効果は弱い。したがって、第1のセメンテーション工程S2では、主として、含銅塩化ニッケル溶液11’中の2価銅イオンを1価銅イオンに還元する反応(上記式(4))が進行する。そして、還元された1価銅イオンは、後述するように第2のセメンテーション工程S3において硫黄源により硫化銅として固定化される。
第1のセメンテーション工程S2においても、上記(5)式の反応により1価銅イオンを硫化銅等の硫化物として固定化されることが好ましく、ニッケル硫化物10の添加により、2価銅イオンを1価銅イオンに還元するとともに、1価銅イオンを硫化物として固定化させ、第1のセメンテーション工程S2の反応終了時における含銅塩化ニッケル溶液11’に含まれる銅濃度(1価銅換算)を30g/L以下とすることが好ましい。このように、第1のセメンテーション工程S2後の終液の銅濃度を30g/Lとすることにより、後工程の第2のセメンテーション工程S3を経て含銅塩化ニッケル溶液11’中の銅濃度を0.1g/L以下まで効率的に除去することができる。なお、第1のセメンテーション工程S2にて生成した硫化銅等の硫化物は、第2のセメンテーション工程S3を経てセメンテーション残渣16として塩素浸出工程S1に送られる。
第1のセメンテーション工程S2で用いる含銅塩化ニッケル溶液11’と塩素浸出工程S1から送液される塩素浸出液11としては、特に限定されず、如何なる組成状態のものであっても適用可能である。例えば、ニッケル濃度が150g/L〜270g/L、銅濃度が20g/L〜40g/L、pH0.5〜2.0であるものを用いることができる。
特に、本実施の形態では、上述した塩素浸出工程S1における塩素浸出処理に際して、Cu/Ni重量比が0.28以上0.45以下の含銅ニッケル硫化物を原料として用いて処理していることから、生成する浸出残渣中に移行するニッケル量を減少させ、塩素浸出液11(含銅塩化ニッケル溶液11’)中のニッケル濃度を増加させることができる。そのため、高濃度にニッケルを含有する含銅塩化ニッケル溶液11’をセメンテーション処理の処理対象として用いることができる。
なお、含銅塩化ニッケル溶液11’中における銅イオンの形態としては、特に限定されず、例えば2価銅イオン比率が60%〜90%であり、1価銅イオン比率が10%〜40%であるものを用いることができる。
第1のセメンテーション工程S2において用いるニッケル硫化物10は、上述のように、例えば低品位ニッケル酸化鉱石を湿式製錬することによって得られ、ニッケル及びコバルトを含有する。このように、ニッケル酸化鉱石を湿式製錬により得られたニッケル硫化物10を含銅塩化ニッケル溶液11’に添加することにより、そのニッケル硫化物に含有される硫化ニッケル及び硫化コバルトの還元力によって2価銅イオンを効率的に1価銅イオンに還元することができる。
ニッケル硫化物10の添加量としては、含銅塩化ニッケル溶液11’中の濃度が60g/L〜110g/Lとなるように添加することが好ましい。添加量が60g/L未満であると、十分に2価銅イオンを1価銅イオンに還元することができず、効率的に脱銅することができない可能性がある。一方、添加量が110g/Lを超えると、それ以上還元処理する効果が得られず操業上非効率となる。
また、ニッケル硫化物10としては、例えばタワーミルやビーズミル等により湿式粉砕されたものを用いることが好ましい。具体的には、湿式粉砕することによって、平均粒径(D50)を80μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下としたものを用いることが好ましい。これにより、含銅塩化ニッケル溶液11’に含まれる1価銅イオンを効率的に還元することができ、銅イオンの除去効率を向上させることができる。特に、ニッケル硫化物10の粒径を、平均粒径(D50)で20μm以下、より好ましくは10μm以下とすることにより、効果的に含銅塩化ニッケル溶液11’中の銅濃度(1価銅換算)を30g/L以下とすることができ、第2のセメンテーション工程S3を経て、含銅塩化ニッケル溶液11’中の銅を0.1g/L以下まで効率的に除去することができる。なお、平均粒径(D50)とは、レーザー粒度分布測定により累積体積が50%となる粒子径である。
第1のセメンテーション工程S2における反応温度条件としては、80℃〜110℃とすることが好ましく、特に90℃〜95℃とすることがより好ましい。温度条件を80℃以上とすることにより、効率的に含銅塩化ニッケル溶液11’中の銅イオンの還元処理を進行させることができ、後述する第2のセメンテーション工程S3において銅イオンの除去効率を向上させることができる。なお、温度条件を110℃より高くした場合、含銅塩化ニッケル溶液11’からの脱銅効率は向上するものの、耐熱仕様による設備コストや蒸気量増加による操業コストがかかり、効率的な操業ができなくなる。
(3)第2のセメンテーション工程
第2のセメンテーション工程S3では、第1のセメンテーション工程S2を経て得られた含銅塩化ニッケル溶液11’を含むスラリーに、ニッケルマット12及び塩素浸出残渣13を添加し、2価銅イオンを1価銅イオンに還元するとともに、1価銅イオンを硫化銅等の硫化物として固定化する。
具体的に、第2のセメンテーション工程S3では、例えば下記の(6)〜(9)に示す反応が生じる。
Ni+Cu2+→Ni2++Cu ・・・(6)
Ni+2Cu2+→Ni2++2NiS+2Cu ・・・(7)
Ni+2Cu+S→Ni2++CuS ・・・(8)
Ni+2Cu+S→Ni2++2NiS+CuS ・・・(9)
第2のセメンテーション工程S3では、上記(6)及び(7)式に示すように、添加したニッケルマット12に含まれるニッケルメタル(Ni)や亜硫化ニッケル(Ni)により、含銅塩化ニッケル溶液11’に残存している2価銅イオンが1価銅イオンに還元される。このように、第1のセメンテーション工程S2では還元されずに残存した2価銅イオンが、第2のセメンテーション工程S3にてニッケルマットにより還元される。
また、第2のセメンテーション工程S3では、第1のセメンテーション工程S2及びこの第2のセメンテーション工程S3で還元された1価銅イオンを、ニッケルマット12中に含まれるNiやNiにより、硫黄源として添加した塩素浸出残渣13を用いて硫化物として固定化する反応が生じる((8)及び(9)式)。これにより、含銅塩化ニッケル溶液11’に含まれる銅を固定化して除去する。
第2のセメンテーション工程S3において添加するニッケルマット12は、例えば乾式製錬によって得られたニッケルマットを用い、主形態であるニッケルメタル及び亜硫化ニッケルの還元力を利用して、2価銅イオンを1価銅イオンに還元する。一方で、ニッケルマット12におけるニッケルメタル等は、2価銅イオンの酸化力によってニッケルイオンに浸出される。なお、ニッケルマット12としては、粉砕処理されて、例えば後工程の電解工程S5から生成した塩化ニッケル溶液17によってレパルプしてスラリー化されたものを用いることができる。
また、第2のセメンテーション工程S3において添加する塩素浸出残渣13は、塩素浸出工程S1において副産物として固相に残存した残渣であり、銅イオンを固定化するための硫黄源として添加する。塩素浸出残渣13は、ニッケルマット12と共に、主形態である硫黄によって1価銅イオンを硫化銅等の硫化物として固定化する。
第2のセメンテーション工程S3における反応温度条件としては、70℃〜100℃とすることが好ましく、80℃〜90℃とすることがより好ましい。温度条件を70℃以上とすることにより、残存する2価銅イオンを1価銅イオンに還元し、1価銅イオンを硫黄によって効率的に固定化する反応を進行させることができる。なお、温度条件を100℃より高くした場合、それ以上に含銅塩化ニッケル溶液11’からの脱銅効率は向上せず、操業効率の観点から100℃以下とすることが好ましい。
以上のように、先ず、第1のセメンテーション工程S2において含銅塩化ニッケル溶液11’に対してニッケル硫化物10を添加し、ニッケル硫化物10によって2価銅イオンを1価銅イオンに還元する。そして、生成したスラリーに対して第2のセメンテーション工程S3において、ニッケルマット12及び塩素浸出残渣13を添加し、ニッケルマット12によって2価銅イオンを1価銅イオンに還元するとともに、硫黄源としての塩素浸出残渣13を用いて1価銅イオンを硫化銅等の硫化物として固定化し、含銅塩化ニッケル溶液11’中の銅を除去する。
このように、ニッケルマット12及び塩素浸出残渣13に含まれるニッケルメタル及び亜硫化ニッケルのみによって2価銅イオンを還元して固定化するのではなく、先ずニッケル硫化物10の還元力を最大限生かして含銅塩化ニッケル溶液11’中の2価銅イオンを1価銅イオンに還元し、その後にニッケルマット12及び塩素浸出残渣13により1価銅イオンを硫化物として固定化する。これにより、系内に循環する銅に対して、従来と同様のニッケルマット量で効率的に脱銅処理を行うことができ、含銅塩化ニッケル溶液11’から確実に銅を除去することができる。
なお、第2のセメンテーション工程S3を経て得られたスラリーに対しては、固液分離処理を施すことによって、セメンテーション終液14とセメンテーション残渣16とに分離することができる。固液分離処理としては、特に限定されず、例えば遠心分離機やフィルタープレス等の周知の方法によって行うことができ、セメンテーション残渣である硫化銅等の沈殿物を効率的に分離除去することができる。
さて、第2のセメンテーション工程S3を経て固定化された硫化銅は、セメンテーション残渣16として除去され、塩素浸出工程S1に戻される。ここで、生成したセメンテーション残渣16には、固定化された硫化銅と共に、含銅塩化ニッケル溶液中のニッケルに由来する硫化ニッケルも含まれている。この硫化ニッケルは、上記反応式(9)に示すように銅イオンの固定化反応により生成する副産物である。本実施の形態においては、上述したように塩素浸出工程S1での塩素浸出処理対象として、銅とニッケルを含む硫化物(含銅ニッケル硫化物)である当該セメンテーション残渣16を用いる。このようなセメンテーション残渣16のみからなる含銅ニッケル硫化物では、Cu/Ni重量比が0.28以上0.45以下の範囲となり、好適に用いることができる。
従来、塩素浸出工程S1においては、第1のセメンテーション工程S2において添加したニッケル硫化物10と同様のニッケル硫化物を主原料として添加し、加えてもセメンテーション工程を経て得られたセメンテーション残渣16を添加するようにしていた。しかしながら、そのような原料を対象として浸出処理を行った場合、塩素浸出残渣に移行するニッケル量が多くなりロスとなっていた。これに対し、上述したように、セメンテーション残渣16のみを塩素浸出工程S1に移送させるようにし、そのセメンテーション残渣16のみから構成される含銅ニッケル硫化物を浸出処理対象とすることで、浸出残渣に含まれることになるニッケル量を減らすことができる。
なお、従来のように、ニッケル硫化物10とセメンテーション残渣16とを併せて原料として浸出処理を行おうとした場合、その原料中の銅とニッケルの重量比を特定の範囲に調整するには、セメンテーション工程の操業状況の変動に伴って生成されるセメンテーション残渣16と、原料事情によって銅濃度が変動するニッケル硫化物(MS)との2つの量を調整することが必要となり、特定の重量比に合致する量となるように調整することは非常に困難となる。
(4)浄液工程
浄液工程S4では、第2のセメンテーション工程S3を経て得られたセメンテーション終液(ニッケル浸出液)14からニッケル以外の不純物を除去し、電解採取するための塩化ニッケル溶液を得る。
浄液工程S4は、主な工程として、脱鉄工程と、脱コバルト工程と、脱鉛工程と、脱亜鉛工程とがある。これらの工程では、セメンテーション終液14であるニッケル浸出液から不純物を除去する方法として、例えば酸化剤としての塩素ガスとアルカリ剤としての炭酸塩を用いる酸化中和法を用いることができる。酸化中和法は、コバルトや鉄等の重金属が高次の酸化イオンになると、低いpH領域で水酸化物になりやすい性質を利用したものであり、湿式製錬における浄液工程をはじめ、重金属を含む排水処理等に汎用されている方法である。
例えば、浄液工程S4では、下記(10)式に示す反応により不純物を除去する。
2M2++Cl+3NiCO+3HO→
2M(OH)+3Ni2++2Cl+3CO ・・・(10)
(ただし、Mは、コバルト又は鉄である。)
上記(10)式に示すように、浄液工程S4では、塩素ガスを用いてニッケル浸出液から、対象とする不純物の水酸化物沈殿を形成させ、不純物を除去した塩化ニッケル溶液を生成させる。
一般に、酸化中和法に用いられる薬剤は、酸化剤としては、塩素ガスの他に次亜塩素酸、酸素、空気等を用いることができる。また、アルカリ剤としては、炭酸塩の他に苛性ソーダ等の水酸化物、アンモニア等を用いることができる。これらの薬剤はプロセス条件に適合した組み合わせで使用されるが、ニッケルの湿式製錬プロセスにおいては、酸化剤として塩素ガス、アルカリ剤として炭酸塩を用いることが好ましい。酸化剤として塩素ガスを用いる理由は、塩素ガスは工程内で発生する強酸化剤であって利用し易いためである。また、アルカリ剤として炭酸塩を用いる理由は、プロセス全体のニッケル、ナトリウム、硫酸等のイオン濃度を制御できるとともに、酸化中和の際の反応性に優れるためである。
(5)電解工程
電解工程S5では、上述の浄液工程S4を経て浄液された塩化ニッケル溶液から電解採取法により電気ニッケル15を得る。
具体的に、電解工程S5では、カソード及びアノードにおいて、それぞれ下記(11)及び(12)に示す反応が生じる。
(カソード側)Ni2++2e→Ni ・・・(11)
(アノード側)2Cl→Cl+2e ・・・(12)
すなわち、カソード側では、上記(11)式に示すように、塩化ニッケル溶液中のニッケルイオンがメタル(電気ニッケル15)として析出する。また、アノード側では、上記(12)式に示すように、塩化ニッケル溶液中の塩素イオンが塩素ガス18として発生する。発生した塩素ガス18は、回収塩素ガスとして塩素浸出工程S1等で用いられる。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、下記の実施例及び比較例で得られた塩素浸出残渣中のニッケル品位の測定は化学分析により行った。
[実施例1]
電気ニッケル製造プロセスにおける、銅を含有するニッケル硫化物(含銅ニッケル硫化物)を塩素浸出して含銅塩化ニッケル溶液を得る塩素浸出処理(塩素浸出工程)に際して、その含銅ニッケル硫化物として、銅とニッケルとの重量比率(Cu/Ni)が0.28となるものを用いた。なお、この含銅ニッケル硫化物は、電気ニッケル製造プロセスにおけるセメンテーション工程を経て得られたセメンテーション残渣のみにより構成されるものを用いた。
その結果、得られた浸出残渣中のニッケル品位は2.58質量%であった。
[実施例2]
含銅ニッケル硫化物として、銅とニッケルとの重量比率(Cu/Ni)が0.30となるものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして処理した。なお、この含銅ニッケル硫化物は、電気ニッケル製造プロセスにおけるセメンテーション工程を経て得られたセメンテーション残渣のみにより構成されるものを用いた。
その結果、得られた浸出残渣中のニッケル品位は2.99質量%であった。
[実施例3]
含銅ニッケル硫化物として、銅とニッケルとの重量比率(Cu/Ni)が0.37となるものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして処理した。なお、この含銅ニッケル硫化物は、電気ニッケル製造プロセスにおけるセメンテーション工程を経て得られたセメンテーション残渣のみにより構成されるものを用いた。
その結果、得られた浸出残渣中のニッケル品位は2.42質量%であった。
[実施例4]
含銅ニッケル硫化物として、銅とニッケルとの重量比率(Cu/Ni)が0.45となるものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして処理した。なお、この含銅ニッケル硫化物は、電気ニッケル製造プロセスにおけるセメンテーション工程を経て得られたセメンテーション残渣のみにより構成されるものを用いた。
その結果、得られた浸出残渣中のニッケル品位は0.38質量%であった。
[比較例1]
含銅ニッケル硫化物として、銅とニッケルとの重量比率(Cu/Ni)が0.16となるものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして処理した。なお、この含銅ニッケル硫化物は、電気ニッケル製造プロセスにおけるセメンテーション工程を経て得られたセメンテーション残渣と、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法により得られたニッケル硫化物(ニッケルコバルト混合硫化物)とを混合して用いた。
その結果、得られた浸出残渣中のニッケル品位は6.46質量%となり、実施例に比べても非常に多くのニッケルが含まれるようになった。
[比較例2]
含銅ニッケル硫化物として、銅とニッケルとの重量比率(Cu/Ni)が0.19となるものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして処理した。なお、この含銅ニッケル硫化物は、電気ニッケル製造プロセスにおけるセメンテーション工程を経て得られたセメンテーション残渣と、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法により得られたニッケル硫化物(ニッケルコバルト混合硫化物)とを混合して用いた。
その結果、得られた浸出残渣中のニッケル品位は9.14質量%となり、実施例に比べても非常に多くのニッケルが含まれるようになった。
[比較例3]
含銅ニッケル硫化物として、銅とニッケルとの重量比率(Cu/Ni)が0.21となるものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして処理した。なお、この含銅ニッケル硫化物は、電気ニッケル製造プロセスにおけるセメンテーション工程を経て得られたセメンテーション残渣と、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法により得られたニッケル硫化物(ニッケルコバルト混合硫化物)とを混合して用いた。
その結果、得られた浸出残渣中のニッケル品位は5.86質量%となり、実施例に比べても非常に多くのニッケルが含まれるようになった。
[比較例3]
含銅ニッケル硫化物として、銅とニッケルとの重量比率(Cu/Ni)が0.22となるものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして処理した。なお、この含銅ニッケル硫化物は、電気ニッケル製造プロセスにおけるセメンテーション工程を経て得られたセメンテーション残渣と、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法により得られたニッケル硫化物(ニッケルコバルト混合硫化物)とを混合して用いた。
その結果、得られた浸出残渣中のニッケル品位は7.36質量%となり、実施例に比べても非常に多くのニッケルが含まれるようになった。
図3に、実施例及び比較例の結果をプロットした。図3からも明らかなように、実施例では、含銅ニッケル硫化物としてCu/Ni重量比が0.28以上0.45以下のものを用いて浸出処理を施したことにより、生成する塩素浸出残渣中のニッケル品位を有効に低減させることができ、目標値を下回る満足できる結果となった。
これに対し、Cu/Ni重量比が0.28以上0.45以下の範囲外の原料を用いた比較例では、塩素浸出残渣中のニッケル品が非常に高くなり、電気ニッケル製造プロセスにおいてニッケルロスが増加した。

Claims (4)

  1. 銅を含有するニッケル硫化物を塩素浸出して含銅塩化ニッケル溶液を得る塩素浸出方法であって、
    前記銅を含有するニッケル硫化物として、銅とニッケルとの重量比率(銅/ニッケル)が0.28以上0.45以下であるものを用いる
    塩素浸出方法。
  2. 前記銅を含有するニッケル硫化物は、
    前記含銅塩化ニッケル溶液に対してニッケル硫化物とニッケルマットとを添加することによって該含銅塩化ニッケル溶液中の銅イオンを硫化物として固定化するセメンテーション処理を経て得られるセメンテーション残渣のみにより構成されている
    請求項1に記載の塩素浸出方法。
  3. 前記セメンテーション処理は、
    前記含銅塩化ニッケル溶液にニッケル硫化物を添加し、少なくとも、該含銅塩化ニッケル溶液中の2価銅イオンを1価銅イオンに還元する第1の工程と、
    前記第1の工程を経て得られたスラリーに、ニッケルマット及び当該塩素浸出方法により得られた塩素浸出残渣を添加し、該スラリーに含まれる1価銅イオンを硫化物として固定化する第2の工程と、を有する
    請求項2に記載の塩素浸出方法。
  4. 銅を含有するニッケル硫化物を塩素浸出して得られる含銅塩化ニッケル溶液から銅を除去し、電解採取法により電気ニッケルを製造する電気ニッケルの製造方法であって、
    前記銅を含有するニッケル硫化物として、銅とニッケルとの重量比率(銅/ニッケル)が0.28以上0.45以下であるものを用いて塩素浸出する塩素浸出工程を含む
    電気ニッケルの製造方法。
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