JP2018197275A - レチノイド代替物およびオプシンアゴニスト、ならびにそれらの使用法 - Google Patents

レチノイド代替物およびオプシンアゴニスト、ならびにそれらの使用法 Download PDF

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Abstract

【課題】レチノイド補充物およびオプシンアゴニストとしての合成レチノイド組成物およびその使用法を提供すること。【解決手段】本発明は脊椎動物視覚系の光受容体機能を回復または安定化する方法を提供する。この方法は、有効量の合成レチノイドをヒトまたは非ヒト脊椎動物に投与して光受容体機能を回復または安定化させ、および/またはレチノイドレベル不足の影響を改善する。この合成レチノイドは脊椎動物の眼のオプシンに結合し、機能性オプシン/合成レチノイド複合体を形成する。【選択図】なし

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は2003年3月14日出願の米国仮特許出願第60/455,182号の利益を主張する。この開示は参考として本明細書に組み込まれる。
(連邦政府が後援する研究または開発の下で行われる発明の権利に関する陳述)
本研究は米国公衆衛生総局基金、およびNEI、ナショナル・インスティチュート・オブ・ヘルス基金からのEY01730、EY02048、EY08061、EY09339、EY11850、EY13385およびからのEY66388の後援を受けた。政府は本発明にある権利を有する。
(発明の背景)
視力の低下または完全失明は、眼の前方領域および/または眼の後方領域の組織または構造の機能異常によって生ずる多くの眼疾患または眼病によって起きる。眼は解剖学的に前部および後部に分けられる。前部は角膜、前眼房、虹彩および毛様体(前脈絡膜)、後眼房および水晶体を含む。後部は視神経を有する網膜、脈絡膜(後脈絡膜)および硝子体を含む。眼球の後部分は網膜、脈絡膜および関連組織を支持している。
眼の前部構造の病変に起因する眼疾患は例えばドライアイ症候群、角膜炎または角膜ジストロフィー、白内障および緑内障である。眼の後部の疾患または病気は一般に網膜または脈絡膜血管の病気またはレーバー先天性黒内障である。加齢性黄斑変性(AMD)は眼球の後部に関連する特異的疾患の一つであり、高齢者の失明の主な原因である。AMDは網膜の中心にある小さい円形領域である黄斑を損傷する。黄斑は人が細部を識別したり読んだり運転することのできる領域であるから、その変質は視力低下をもたらし、失明を引き起こすことさえある。網膜は2種類の光受容細胞、杆体および錐体を含む。それらは光を電気シグナルに変える。その後、脳はこれらのシグナルを画像に変える。黄斑には錐体細胞が豊富にあり、それらが中心視力をもたらす。AMD患者では中心視力は低下するが末梢視は維持される。
AMDには幾つかのタイプがある。「ドライ」(非滲出性)型がAMD症例の約90%を占める。「ウェット」(滲出性)型はAMD患者の約10%に過ぎない。しかし、ウェット型はドライ型より深刻であり、この症例の約90%がこの病気に起因して重症の視力喪失をおこす。ウェット型AMDは、黄斑のすぐ下にCNV(脈絡膜新生血管)と呼ばれる小さい異常な漏出性血管の発生を伴って突然発症するのが普通である。大部分の患者ではこれは瘢痕となり、ゆがみ、盲点および機能性盲目を含む重症中心視力喪失をおこす。
網膜下の異常な黄色沈着物である結晶腔などのAMDの兆候は、正常視力の患者にも存在することがある。結晶腔は網膜下の黄色物質の小斑点のように見える。それらは網膜色素上皮(RPE)とブルーフ膜との間に蓄積する細胞外物質の付着物である。RPEは杆体および錐体細胞の消耗された先端を取り込み、それらに必要な栄養(ビタミンA誘導体など)を与える特殊な細胞層である。ブルーフ膜はRPEを下の脈絡膜循環から隔てる非細胞性構造(大部分がコラーゲンからなる)である。上記脈絡膜循環は杆体、錐体およびRPE細胞に血液を供給する。通常40歳以上のヒトの眼には普通、小さい結晶腔がごくわずかに形成される。これに対してAMDではほとんど常に結晶腔が次から次へと形成されている。結晶腔には2種類ある。硬結晶腔は小さい固体の沈着物であり、少数存在する場合には無害であると思われる。軟結晶腔はより大きく、不明瞭な境界を有するようである。軟結晶腔がRPEとブルーフ膜との間に生成すると、それらはRPEを持ち上げ、これら二つの層を分離させる。
結晶腔はウェット型AMDの異常血管の遥か以前に発生する。軟結晶腔の次の3つの特徴はCNV発生のリスク因子である:5個以上の結晶腔沈着物;63マイクロメータより大きい結晶腔(人の毛髪の太さとほぼ同じ);および結晶腔沈着物の凝集。ある証拠によれば軟結晶腔が異常血管の広がりを促す手段であることが示唆されているが、それらが血管伸長(血管新生)を刺激するのか、または単にRPEを持ち上げることによって血管が伸長するための空間を形成するだけなのかは明らかでない。
血管の2網目構造が網膜に栄養を供給する。一つは網膜表面にあり、他の一つは網膜の深部、ブルーフ膜の外側にある。AMDの異常血管は脈絡膜循環と呼ばれる下方血管網目構造から発生する。これらの血管はブルーフ膜を通過して、RPEの下に広がる。血液および体液はこれらから漏出し、光受容体細胞を変性させ、黄斑をその下にある細胞から剥離させる。
視野がわずかにぼやけ、またはよじれるのがAMDの最も一般的な症状である。ドライ型AMDを伴う視力喪失は徐々に進行するのが普通であり、ウェット型AMDによる視力喪失はより速く進行し、数日または数週間で発生する。片方の眼がウェット型AMDになった患者はもう片方の眼にCNVが発生するリスクが増大する。そのリスクの大きさは第二の眼の状態によって種々様々である。多数の大きい結晶腔を有する眼、黄斑に異常な色素変化がある眼、および高血圧の病歴を有する患者ではそのリスクは大きい。
今ではAMDは西欧諸国における法的盲の主因である。RPEにおいて進む反応は酸化生成物を作り出し、続いてこれが細胞死および新生血管形成をもたらす。この過剰な代謝はRPE下に結晶腔を形成させる。
その他の眼疾患も眼の光受容体機能に影響を与える。また、多くの異なる遺伝子の欠陥によって生ずる病気に色素性網膜炎がある。それらは全て、最終的に同じ経過を辿る。まず夜盲症および周辺視野の喪失にはじまり、視野狭窄が進行し、結局は完全盲目になる患者が多い。主に杆体光受容体が侵されるのが普通であるが、この病気を起こす遺伝子欠陥の大部分は、杆体細胞に発現する遺伝子に起きるのがほとんどで、その遺伝子にしか起きないこともある。
色素性網膜炎の一つの常染色体優性型はオプシンのアミノ酸置換を含み、言いかえるとアミノ酸23のプロリンのヒスチジン置換を含む。この欠陥は全ての色素性網膜炎症例の10−20%の原因である。この異常オプシン蛋白が蛋白凝集物を形成し、それが結局は細胞死を起こす。
レーバー先天性黒内障は出生時または生後間もなく小児を冒す非常にまれな小児疾患である。それは杆体も錐体も冒す。この病気に関連する二、三の異なる遺伝子欠陥がある。これらにはRP65およびLRAT蛋白をコードする遺伝子が含まれる。いずれの場合も、ヒトは11−シス−レチナールを十分量作ることが不可能になる。RP65欠損のヒトではRPEにレチニルエステルが形成される。LRAT欠損患者はエステル類を作ることができず、したがって余分なレチノイド類を分泌することができない。
白点状網膜炎は杆体に11−シス−レチナール欠乏を示すもう一つの型の色素性網膜炎である。加齢は11−シス−レチナールの不足により、夜の視野低下やコントラスト感度の喪失も起こす。過剰の非結合オプシンは視覚変換系を無作為に刺激すると考えられる。これは上記系にノイズを生成し、そのため、さらによく見えるようになるには、多量の光とさらに大きいコントラストが必要になる。
先天性停在性夜盲(CSNB)および白点眼底は夜盲症としてあらわれる疾患の一群であるが、色素性網膜炎におけるような進行性の視力低下はない。CSNBの幾つかの型は11−シス−レチナールの再循環の遅れが原因である。白点眼底は最近までCSNBの特殊な症例と考えられていた。その際網膜の外観が異常で、網膜に小さい白点が無数にあらわれる。最近、色素性網膜炎より遥かに遅いとはいえ、これも進行性疾患であることが示された。これは11−シス−レチナールの循環の遅れにつながる遺伝子欠陥によっておきる。
現在のところ、レチノイド欠乏のための治療法はほとんどない。抗酸化性ビタミンと亜鉛とを組み合わせる一方法は、低い回復効果をもたらすに過ぎない。そこで、光受容体機能を回復または安定化し、不十分な内因性レチノイドレベルの影響を改善する組成物および方法が必要である。
(発明の簡単な概要)
本発明は脊椎動物視覚系の光受容体機能を回復または安定化する方法を提供する。合成レチノイドをヒトまたは非ヒト脊椎動物に投与して光受容体機能を回復または安定化し、および/またはレチノイドレベル不足の影響を改善することができる。
一局面において、脊椎動物の眼の光受容体機能を回復する方法が提供される。一般にこの方法は、眼に内因性欠乏症を有する脊椎動物に有効量の合成レチノイドを薬学的に受容可能なビヒクルと共に投与する工程を包含する。合成レチノイドは脊椎動物の眼のオプシンに結合し、機能性オプシン/合成レチノイド複合体を形成する。合成レチノイドは例えば式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XIIまたはXIIIの合成レチノイドでよい。ある実施形態において、合成レチノイドは9−シス−レチナールである。この合成レチノイドは点眼、眼内注射または眼周囲注射などによって眼に局所投与することができる。合成レチノイドを脊椎動物に経口投与することもできる。
また別の局面において、脊椎動物の眼の内因性レチノイドの需要をへらす方法も提供される。一般にこの方法は薬学的に受容され得るビヒクル中の合成レチノイドを眼に投与する工程を包含し、その際合成レチノイドは脊椎動物の眼の中でオプシンと結合し、機能性オプシン/合成レチノイド複合体を形成する。合成レチノイドは例えば式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XIIまたはXIIIの合成レチノイドでよい。ある種の実施形態において、合成レチノイドは9−シス−レチナールである。欠乏している内因性レチノイドは例えば11−シス−レチナールであり得る。
また別の局面において、脊椎動物の眼の光受容体機能の喪失を改善する方法が提供される。その方法は一般に、薬学的に受容可能なビヒクル中の有効量の合成レチノイドを脊椎動物の眼に予防的に投与する工程を包含する。この合成物は、オプシン蛋白に結合して機能性オプシン/合成レチノイド複合体を形成する。合成レチノイドは例えば経口投与または局所投与することができる。合成レチノイドは例えば式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XIIまたはXIIIの合成レチノイドでよい。ある実施形態において、合成レチノイドは9−シス−レチナールである。
その他の局面において、視力低下を起こした、または視力低下の発生リスクのある被験体のための処置を選択する方法が提供される。その方法は一般的にその被験体が標準的被験体に比較して内因性レチノイドレベルの低下を示すかどうかを確認し、その被験体に薬学的に受容可能なビヒクル中の有効量の合成レチノイドを投与する工程を包含する。合成レチノイドは被験体の眼の中でオプシンに結合する。被験体は例えばレーバー先天性黒内症、白点状網膜炎、先天性停在性夜盲、白点眼底または加齢性黄斑変性を有するヒトであり得る。ある実施形態において、欠乏している内因性レチノイドは11−シス−レチナールである。
合成レチノイドは、脊椎動物の眼に局所投与するなど、経口的または局所的に脊椎動物に投与できる。合成レチノイドは例えば式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XIIまたはXIIIの合成レチノイドでよい。ある実施形態において、合成レチノイドは9−シス−レチナールである。
もう一つの局面において、薬学的に受容可能なビヒクル中の合成レチノイドを含む眼科用組成物が提供される。合成レチノイドは例えば式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XIIまたはXIIIの合成レチノイドでよい。ある実施形態において、合成レチノイドは9−シス−レチナールである。眼科用組成物は例えば点眼剤、眼内注射溶液または眼周囲注射溶液でよい。
その他の関連する局面において、薬学的に受容可能なビヒクル中のオプシン結合合成レチノイドを含む経口投与形態が提供される。この合成レチノイドは例えば式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XIIまたはXIIIの合成レチノイドでよい。ある実施形態において、上記合成レチノイドは9−シス−レチナールである。
また別の局面において、脊椎動物のレーバー先天性黒内障を処置する方法が提供される。この方法は一般に被験体に、薬学的に受容可能なビヒクル中の有効量の合成レチノイドを投与する工程を包含する。合成レチノイドは脊椎動物の眼の中でオプシンに結合し、機能性オプシン/合成レチノイド複合体を形成する。合成レチノイドは例えば式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XIIまたはXIIIの合成レチノイドでよい。その他の実施形態においては、合成レチノイドが9−シスレチナールでないという条件で、その合成レチノイドは例えば式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XIIまたはXIIIの合成レチノイドでよい。その他の実施形態においては、合成レチノイドは9−シス−レチナールである。
合成レチノイドは例えば眼に局所投与できる。ある実施形態において、合成レチノイドは点眼、眼内注射、眼周囲注射などによって局所投与できる。合成レチノイドは被験体に経口投与することもできる。
また別の局面において、脊椎動物被験体の白点状網膜炎(Retinitis Punctata Albescens)、先天性停在性夜盲(Congenital Stationary Night Blindness)または白点眼底(Fundus Albipunctatus)を処置する方法を提供する。一般的にその方法は被験体に薬学的に受容可能なビヒクル中の有効量の合成レチノイドを投与する工程を包含する。合成レチノイドは脊椎動物の眼においてオプシンに結合し、機能性オプシン/合成レチノイド複合体を形成する。その合成レチノイドは例えば式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XIIまたはXIIIの合成レチノイドでよい。ある実施形態において、合成レチノイドは9−シス−レチナールである。
合成レチノイドは例えば眼に局所投与できる。合成レチノイドは例えば点眼、眼内注射または眼周囲注射によって局所投与できる。合成レチノイドを被験体に経口投与することもできる。
もう一つの局面において、脊椎動物被験体の加齢性黄斑変性を処置する方法が提供される。その方法は一般にその被験体に薬学的に受容可能なビヒクル中の有効量の合成レチノイドを投与する工程を包含する。合成レチノイドは脊椎動物の眼においてオプシンに結合し、機能性オプシン/合成レチノイド複合体を形成する。例えば合成レチノイドはその眼のなかの遊離オプシンに結合することができる。
合成レチノイドは例えば式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XIIまたはXIIIの合成レチノイドでよい。幾つかの実施形態において、合成レチノイドは9−シス−レチナールである。その合成レチノイドは例えば眼に局所適投与され得る。その合成レチノイドは例えば点眼、眼内注射または眼周囲注射によって局所投与できる。その合成レチノイドは上記被験体に経口投与することもできる。
もう一つの局面において、加齢脊椎動物被験体における夜間視力またはコントラスト感度の喪失を処置または予防する方法が提供される。その方法は一般に、薬学的に受容可能なビヒクル中の有効量の合成レチノイドを上記被験体に投与する工程を包含する。合成レチノイドは上記脊椎動物の眼においてオプシンに結合し、オプシン/合成レチノイド複合体を形成する。例えば合成レチノイドは眼のなかの遊離オプシンに結合することができる。
上記合成レチノイドは例えば式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XIIまたはXIIIの合成レチノイドでよい。ある実施形態において、合成レチノイドは9−シス−レチナールである。上記合成レチノイドは例えば眼に局所投与され得る。局所投与の適切な方法は例えば点眼剤、眼内注射または眼周囲注射などを含む。合成レチノイドは被験体に経口投与することもできる。ある実施形態において、合成レチノイドは被験体に予防的に投与される。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
脊椎動物の眼の光受容体機能を回復させる方法であって、内因性異常を有する脊椎動物に薬学的に受容可能なビヒクル中の有効量の合成レチノイドを投与する工程を包含し、ここで、該合成レチノイドは、該脊椎動物の眼の中のオプシンに結合し、機能性オプシン/合成レチノイド複合体を形成する、方法。
(項目2)
前記合成レチノイドが、9−シス−レチナールである、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記合成レチノイドが、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XIIまたはXIIIの合成レチノイドを含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記内因性レチノイド異常が、加齢性黄斑変性、レーバー先天性黒内障、白点状網膜炎、先天性停在性夜盲または白点眼底に関連する、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記合成レチノイドが、前記眼に局所投与される、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記合成レチノイドが、点眼、眼内注射または眼周囲注射によって局所投与される、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記合成レチノイドが、前記脊椎動物に経口投与される、項目1に記載の方法。
(項目8)
脊椎動物の眼における、内因性レチノイドに対する要求をへらす方法であって、以下:
該眼に、薬学的に受容可能なビヒクル中の合成レチノイドを投与する工程であって、ここで、該合成レチノイドは該脊椎動物の眼のオプシンに結合し、機能性オプシン/合成レチノイド複合体を形成する、工程、
を包含する、方法。
(項目9)
前記合成レチノイドが、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XIIまたはXIIIの合成レチノイドを含む、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記合成レチノイドが、9−シス−レチナールである、項目8に記載の方法。
(項目11)
前記内因性レチノイドが、11−シス−レチナールである、項目8に記載の方法。
(項目12)
脊椎動物の眼の光受容体機能の喪失を回復させる方法であって、以下:
薬学的に受容可能なビヒクル中の有効量の合成レチノイドを該脊椎動物の眼に予防的に投与する工程であって、ここで、該合成レチノイドがオプシン蛋白に結合して、機能性オプシン/合成レチノイド複合体を形成する、工程、
を包含する、方法。
(項目13)
前記合成レチノイドが、前記眼を備える脊椎動物に経口投与される、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記合成レチノイドが、前記脊椎動物の眼に局所投与される、項目12に記載の方法。
(項目15)
前記合成レチノイドが、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XIIまたはXIIIの合成レチノイドを含む、項目12に記載の方法。
(項目16)
前記合成レチノイドが、9−シス−レチナールである、項目12に記載の方法。
(項目17)
低下した視力を有する被験体のための処置を選択する方法であって、以下:
該被験体が、標準被験体と比較した場合に内因性レチノイドレベルの欠乏を示しているか否かを決定する工程;および、
薬学的に受容可能なビヒクル中の有効量の合成レチノイドを該被験体に投与する工程であって、ここで、該合成レチノイドは、該被験体の眼のオプシンに結合する、工程、
を包含する、方法。
(項目18)
前記被験体が、レーバー先天性黒内障、白点状網膜症、先天性定常的夜盲、白点眼底または加齢性黄斑変性を有する、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記内因性レチノイドが、11−シス−レチナールである、項目17に記載の方法。
(項目20)
前記眼を備える前記脊椎動物に合成レチノイドが経口投与される、項目17に記載の方法。
(項目21)
前記合成レチノイドが、前記脊椎動物の眼に局所投与される、項目17に記載の方法。
(項目22)
前記合成レチノイドが式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XIIまたはXIIIの合成レチノイドを含む、項目17に記載の方法。
(項目23)
前記合成レチノイドが、9−シス−レチナールである、項目17に記載の方法。
(項目24)
薬学的に受容可能なビヒクル中の合成レチノイドを含む、眼科用組成物。
(項目25)
前記合成レチノイドが、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XIIまたはXIIIの合成レチノイドを含む、項目24に記載の組成物。
(項目26)
前記合成レチノイドが、9−シス−レチナールである、項目24に記載の組成物。
(項目27)
前記眼科用組成物が、点眼剤、眼内注射溶液または眼周囲注射溶液を含む、項目24に記載の組成物。
(項目28)
薬学的に受容可能なビヒクル中にオプシン結合性合成レチノイドを含む、経口投与形態。
(項目29)
前記オプシン結合性合成レチノイドが、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XIIまたはXIIIの合成レチノイドを含む、項目28に記載の組成物。
(項目30)
前記合成レチノイドが、9−シス−レチナールである、項目28に記載の組成物。
(項目31)
脊椎動物被験体のレーバー先天性黒内障を処置する方法であって、以下:
薬学的に受容可能なビヒクル中の有効量の合成レチノイドを該被験体に投与する工程であって、ここで、該合成レチノイドは、該脊椎動物の眼のオプシンに結合し、機能性オプシン/合成レチノイド複合体を形成する、工程、
を包含する、方法。
(項目32)
前記合成レチノイドが、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XIIまたはXIIIの合成レチノイドを含む、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記合成レチノイドが、9−シス−レチナールである、項目31に記載の方法。
(項目34)
前記合成レチナールが、前記眼に局所投与される、項目31に記載の方法。
(項目35)
前記合成レチノイドが、点眼、眼内注射または眼周囲注射によって局所投与される、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記合成レチノイドが、前記被験体に経口投与される、項目31に記載の方法。
(項目37)
脊椎動物被験体の白点状網膜炎、先天性停在性夜盲または白点眼底を処置する方法であって、以下:、
薬学的に受容可能なビヒクル中の有効量の合成レチノイドを該被験体に投与する工程であって、ここで、該合成レチノイドは、該脊椎動物の眼のオプシンに結合し、機能性オプシン/合成レチノイド複合体を形成する、工程、
を包含する、方法。
(項目38)
前記合成レチノイドが、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XIIまたはXIIIの合成レチノイドを含む、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記合成レチノイドが、9−シス−レチナールである、項目37に記載の方法。
(項目40)
前記合成レチノイドが、前記眼に局所投与される、項目37に記載の方法。
(項目41)
前記合成レチノイドが、点眼、眼内注射または眼周囲注射によって局所投与される、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記合成レチノイドが、前記被験体に経口投与される、項目37に記載の方法。
(項目43)
脊椎動物被験体の加齢性黄斑変性を処置する方法であって、以下:
薬学的に受容可能なビヒクル中の有効量の合成レチノイドを該被験体に投与する工程であって、ここで、該合成レチノイドは該脊椎動物の眼のオプシンに結合し、オプシン/合成レチノイド複合体を形成する、工程、
を包含する、方法。
(項目44)
前記合成レチノイドが、前記眼の遊離オプシンに結合する、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記合成レチノイドが、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XIIまたはXIIIの合成レチノイドを含む、項目43に記載の方法。
(項目46)
前記合成レチノイドが、9−シス−レチナールである、項目43に記載の方法。
(項目47)
前記合成レチノイドが、前記眼に局所投与される、項目43に記載の方法。
(項目48)
前記合成レチノイドが、点眼、眼内注射または眼周囲注射によって局所投与される、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記合成レチノイドが、前記被験体に経口投与される、項目43に記載の方法。
(項目50)
加齢脊椎動物被験体における夜間視力またはコントラスト感度の喪失を処置または予防する方法であって、以下:
薬学的に受容可能なビヒクル中の有効量の合成レチノイドを該被験体に投与する工程であって、ここで、該合成レチノイドは該脊椎動物の眼のオプシンに結合し、オプシン/合成レチノイド複合体を形成する、工程、
を包含する、方法。
(項目51)
前記合成レチノイドが、前記眼の遊離オプシンに結合する、項目50に記載の方法。
(項目52)
前記合成レチノイドが、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XIIまたはXIIIの合成レチノイドを含む、項目50に記載の方法。
(項目53)
前記合成レチノイドが、9−シス−レチナールである、項目50に記載の方法。
(項目54)
前記合成レチノイドが、前記眼に局所投与される、項目50に記載の方法。
(項目55)
前記合成レチノイドが、点眼、眼内注射または眼周囲注射によって局所投与される、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記合成レチノイドが、前記被験体に経口投与される、項目50に記載の方法。
(項目57)
前記合成レチノイドが、前記被験体に予防的に投与される、項目50に記載の方法。
(項目58)
前記被験体がヒトである、項目50に記載の方法。
9−シス−レチナールを胃管栄養法により投与したRpe65−/−マウスにおけるレチノイドレベルの変化およびRPEとROSとの界面の変化。図1A、Rpe65−/−マウスの全トランス−レチニルエステルレベル(白丸)と比較したRpe65+/+の全トランス−レチニルエステル(黒丸)および11−シス−レチナール(黒四角)のレベル(年齢の関数として)。図1B、9−シス−レチナール処置および未処置Rpe65−/−マウスのエステル分析。Rpe65−/−マウスをPND7日目から開始して1日おきに、齢1カ月になるまで9−シス−レチナール25μgで処置した。y軸の目盛りに注意されたい。図1C、Rpe65−/−マウス(黒色のデータ点を有する灰色の線)における全トランス−レチニルエステルの齢に関連した蓄積と、9−シス−レチナールをPND7日目から(左パネル)(1日おきに25μg、そしてPND30日後に9−シス−レチナールを1週間に1回胃管栄養法により投与(250μg))またはPND30日目から(右パネル)9−シス−レチナール(250μg)を1週間に1回胃管栄養法により投与した動物のエステルレベル(丸)とを比較。処置Rpe65−/−マウスのイソ−ロドプシンレベルが、11−シス−レチニルオキシムとして測定され、三角形によって示される。図1D、9−シス−レチナールで処置したRpe65マウスにおけるRPE−ROS界面の変化。Rpe65−/−マウスをPND7、11および15に9−シス−レチナール(各200μg)で処置し、それらがPND30(パネルcおよびd)およびPND90(パネルeおよびf)になったときに分析した。Rpe65マウス−/−をPND30において9−シス−レチナール(各200μg)で処置し、それらがPND120になったときに分析した(パネルgおよびh)。PND7およびPND30の未処置Rpe65−/−マウスからの対照網膜を最上部に示す(それぞれパネルaおよびb)。早期に処置したマウスでは一部にだけ詰まった脂質様小滴があり(左側、パネルcの矢印)、全ての処置マウスではRPE−ROSプロセスのかなりの改善が認められた(右側)。スケール、1μm。 9−シス−レチナールを胃管栄養法により投与したRpe65−/−マウスにおけるイソ−ロドプシンレベルに与える光曝露の影響、および9−シス−レチナールでの長期処置後のERGの反応。図2A、齢1カ月のRpe65−/−マウスに9−シス−レチナールの単回用量(2.5mg)を胃管栄養法により投与し、12時間 明/暗サイクル下に、または一定の暗所に37日間保持し、イソ−ロドプシンレベルを比較した(n=4)。図2B、齢6カ月のRpe65−/−マウスのロドプシンまたはイソ−ロドプシンのレベル。野生型マウスのロドプシンレベル(カラムa)を、齢1カ月で4日間隔で2回、9−シス−レチナール(各2.5mg)で処置したRpe65−/−マウス(カラムc)、および3カ月間隔(カラムd)または4カ月間隔(カラムe)で2回処置したRpe65−/−マウスのイソ−ロドプシンと比較した。未処置Rpe65−/−マウスではロドプシン、イソロドプシンは検出されなかった(カラムb)(n=4)。図2C、Rpe65+/+マウス、Rpe65−/−マウス、9−シス−レチナールで処置したRpe65−/−マウス、およびRpe65−/−Rgr−/−マウスにおけるフリッカーERGの強度依存性反応。フリッカー記録は固定周波数(10Hz)で0.00040−41cd・s/mの強度範囲で得られた。左パネル:Rpe65+/+マウス;右パネル:処置した、または処置しない(それぞれ白丸および黒丸)Rpe65−/−、および処置しないRpe65−/−Rgr−/−マウス(黒三角形)。 Rpe65+/+マウス(四角形)、および2.5(黒丸)、1.25(白丸)、0.25(黒三角形)、および0mg(黒三角形と同じ線上の黒丸)の9−シス−レチナールで処置したRpe65−/−マウスの平均刺激反応曲線(n=5)。光感受性の差は、平均データを指数関数的飽和の方程式にフィットさせて得られるフラッシュ強度(I0)の半飽和を比較することによって評価した。
Figure 2018197275

上記式中、Rは反応のピーク振幅、Rmaxは最大反応の振幅、iはフラッシュ強度をフォトン/μmであらわしたものである。実線はI0を有するデータにフィットさせた指数的飽和関数である(等価な500nmフォトン/μm):25(Rpe65+/+)、164(2.5)、1995(1.25)、3929(0.25)、および3714(0mgの9−シス−レチナール)。挿入図は、Rpe65+/+杆体における定常的バックグラウンド照明(336等価的500nmフォトン/μm/s、黒色曲線)による反応速度、および9−シス−レチナール1.25mgで処置したRpe65−/−マウスからの杆体において暗光による(遊離オプシン)反応速度を示す。いずれも同程度(約4倍)順応している。各曲線は単一杆体からのものであり、10−20フラッシュの平均値、6.25(野生型)または910(Rpe65−/−1.25mg9−シス−レチナール)である(500nmフォトン/μm2/フラッシュ)。
11−シス−7−環−レチナール異性体の光感受性および眼特異的RDHの基質特異性。図4A、11−シス−7−環−レチナール類および11−シス−7−環−ロドプシンの光感受性。退色研究は「方法および材料」に記載したように行われた(実施例2(下記))。各異性体からのオキシム形成の条件は、以下に図4Cについて記載される。11−シス−RDH(界面活性剤で精製したヒト組換え11−シス−RDH−His6)および全トランス−RDH(Sf9細胞に発現するprRDH)の活性を、「方法および材料」の部(実施例2(下記))に記載したように、11−シス−環−レチナール異性体の還元による対応[15−H]レチノール同族体の生成およびプロ−S−[4−H]NADH(11−シス−RDHに関連)またはプロ−S−[4−H]NADPH(prRDHに関連)(31)をモニターすることによって測定した。生成物を標準相HPLCによって分析し、集め、シンチレーション計数によって定量した。図4B、11−シス−環−ロドプシン異性体の精製を各工程においてUV分光法によってモニターした。曲線a、11−シス−環−ロドプシン異性体3(10mM n−ドデシル−β−D−マルトシドにより溶解)の71,700×g上清;曲線b、上記上清をコンカナバリンA−セファロース4Bカラムを通過させた後の素通りフラクション(「方法および材料」、実施例2を参照(下記));曲線c、コンカナバリンA−セファロース4Bをよく洗浄した後のフラクション:曲線d、精製した11−シス−7−環−ロドプシン異性体3;曲線e、光により退色した11−シス−7−環−ロドプシン異性体3。図4C、溶液中の11−シス−7−環−レチナール異性体1−4のオキシム誘導体の標準相HPLC分析(HPLC曲線i−viii、1’および1”:11−シス−7−環−レチナール異性体1オキシム、それぞれsynおよびanti;2’および2”:11−シス−7−環−レチナール異性体2オキシム、それぞれsynおよびanti;3’および3”:11−シス−7−環−レチナール異性体3オキシム、それぞれsynおよびanti;および4’および4”:11−シス−7−環−レチナール異性体4オキシム、それぞれsynおよびanti)およびロドプシン3の標準相HPLC分析(HPLC曲線ixおよびx)。これらは光退色を伴わずに(i、iii、v、vii、およびix)、または光退色を伴って(ii、iv、vi、viiiおよびx)行われた。11−シス−7−環−ロドプシンをn−ドデシル−β−D−マルトシドで可溶化し、コンカナバリンA−セファロース4Bカラム上で精製した。精製フラクションを光退色し、発色団(1つまたは複数)をヒドロキシルアミンで誘導体化し、「方法および材料」(実施例2、下記)に記載のようにHPLCで分析した。対照として、異性体1−4も同じ溶出緩衝液中で、光退色と共にまたは光退色せずに誘導体化した。*は少量の化合物2を含む(化合物2と化合物3との間に分離されていないピークがあるため);mAU、ミリ吸収単位。 異なるレチノイド類に向かうLRAT活性。4種類の11−シス−環−7−環−レチノール異性体に関するLART活性の時間的経過、独立的2実験の平均。下方の図はLARTの天然基質である全トランス−レチノールに関するLART活性である。アッセイは「方法および材料」(実施例2(下記))に記載のように行われた。 光散乱法を用いて測定した、GTPの存在下におけるGtの解離。図6A、薄暗いフラッシュ(dim flash)(Rh/Rh=2.4×10−4)によって発生させた、pH7.4および6.4の天然サンプルの解離シグナル。これらのデータは周知のpH/速度プロフィールによって、pH7.4において、pH6.4と比較して受容体のより高い活性が認められることを示す。図6Bおよび6C、明るいフラッシュ(Aと比較して1350倍の強度)によって発生させた、pH6.4および7.4における11−シス−7−環(異性体1)(B)または11−シス−6−環(C)同族体でそれぞれ再生したRh光生成物の解離シグナル。図6D、11−シス−6−環−Rhの、pH7.4におけるNHOH(2.5mM)に対する感受性。
(発明の詳細な説明)
本発明は脊椎動物の視覚系における光受容体機能を回復または安定化する方法を提供する。合成レチノイド類を投与して光受容体機能を回復または安定化し、および/またはレチノイドレベル不足の影響を改善することができる。例えば合成レチノイドを11−シス−レチノイド代替物および/またはオプシンアゴニストとして作用させることによって、光受容体機能を回復または安定化することができる。合成レチノイドは脊椎動物視覚系に対するレチノイド不足の影響を改善することもできる。合成レチノイドを脊椎動物に予防的または治療的に投与することができる。適切な脊椎動物としては例えばヒトおよび非ヒト脊椎動物が含まれる。適切な非ヒト脊椎動物としてはイヌ、ネコ、ウマおよびその他の家畜が含まれる。
合成レチノイド類は11−シス−レチナールまたは9−シス−レチナールから誘導されるレチナール類であり、または9−シス−レチナールである。幾つかの実施形態において、「合成レチノイド」は「合成シス−レチノイド」である。その他の実施形態において、合成レチノイドは、これら合成レチノイドが9−シス−レチナールでない場合は、11−シス−レチナールか9−シス−レチナールの誘導体である。また別の実施形態において、合成レチノイドはビタミンAではない。幾つかの実施形態において、合成レチノイドは例えば内因性レチノイドのレベル度を補充するレチノイド代替物であり得る。その他の実施形態において、合成レチノイドはオプシンに結合し、オプシンアゴニストとして機能し得る。ここに使用する用語「アゴニスト」とはオプシンに結合し、オプシン/合成レチノイド複合体の光反応能力を助長する合成レチノイドをいう。合成レチノイドはオプシンアゴニストとして内因性レチノイドの需要をへらすことができる。合成レチノイドはオプシンに結合し、機能性オプシン/合成レチノイド複合体を形成するというやり方でオプシンに機能(例えば光受容)を回復させることもできる。その際オプシン/合成レチノイド複合体は杆体また錐体膜の部分にある光子に反応することができる。
合成レチノイドは例えば次のような11−シス−レチナール誘導体または9−シス−レチナール誘導体を含む;非環式化合物;ポリエチレン鎖長が改変されたレチナール類、例えばトリエン−またはテトラエン−レチナールなど;アルキル、ハロゲンまたはヘテロ原子置換ポリエン鎖などの置換ポリエン鎖を有するレチナール類;トランス−またはシス−固定されたポリエチレン鎖のような修飾ポリエン鎖を有するレチナール類、またはアレンまたはアルキレン修飾を有するレチナール類;および複素環、複素芳香環または置換シクロアルカンまたはシクロアルケン環などの環修飾を有するレチナール類。
幾つかの実施形態において、合成レチノイドは下記の式Iであらわされるレチナールであり得る:
Figure 2018197275

上記式中、RおよびR1は線状、iso−、sec−、tert−、およびその他の枝分かれアルキル基ならびに置換アルキル基、置換枝分かれアルキル、ヒドロキシル、ヒドロアルキル、アミン、アミドなどから独立的に選択され得る。RおよびR1は独立的に低級アルキルでよい;これは、1−6炭素原子を有する直鎖または枝分かれアルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどを意味する。適切な置換アルキルおよび置換枝分かれアルキルとしては、例えば酸素、ヒドロキシル、窒素アミド、アミンハロゲン、ヘテロ原子またはその他の基で置換されたアルキル類、枝分かれアルキル類およびシクロアルキル類が含まれる。適切なヘテロ原子としては例えば硫黄、珪素、およびフルオロまたはブロモ置換基がある。
その他の実施形態において、RまたはR1は例えばヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼンならびに置換シクロアルキルなどのシクロアルキルでよい。適切な置換シクロアルキルとしては例えば酸素、ヒドロキシ、窒素、アミド、アミン、ハロゲン、ヘテロ原子またはその他の基で置換されたシクロアルキル類が挙げられる。適切なヘテロ原子としては例えば硫黄、珪素、およびフルオロ−またはブロモ−置換基が挙げられる。
合成レチノイドは下記の式IIの改変されたポリエン鎖長を有する11−シス−レチナールまたは9−シス−レチナールでもよい:
Figure 2018197275

ポリエン鎖長は1、2、または3つのアルキル、アルケンまたはアルキレン基によって伸長できる。式(II)により、各nおよびnは、nとnとの合計が少なくとも1であるという条件で、1、2、または3つのアルキル、アルケンまたはアルキレン基から独立的に選択できる。
合成レチノイドは下記の式IIIの置換ポリエン鎖を有する11−シス−レチナールまたは9−シス−レチナールの誘導体でもよい:
Figure 2018197275

R1ないしR9の各々は水素、アルキル、枝分かれアルキル、シクロアルキル、ハロゲン、ヘテロ原子などから独立的に選択され得る。適切なアルキルとしては例えばメチル、エチル、プロピル、置換アルキル(例えばヒドロキシル、ヒドロアルキル、アミン、アミドを有するアルキル)などが挙げられる。適切な枝分かれアルキルは例えばイソプロピル、イソブチル、置換枝分かれアルキルなどであり得る。適切なシクロアルキルとして例えばシクロヘキサン、シクロヘプタンおよびその他の環状アルカン類、ならびに置換環状アルカン類、例えば置換シクロヘキサンまたは置換シクロヘプタンなどが挙げられ得る。適切なハロゲンとしては例えば臭素、塩素、フッ素などが挙げられる。適切なヘテロ原子としては例えば硫黄、珪素およびフルオロ−またはブロモ−置換基が挙げられる。適切な置換アルキル、適切な枝分かれアルキルおよび置換シクロアルキルとしては例えば酸素、ヒドロキシル、窒素、アミド、アミン、ハロゲン、ヘテロ原子またはその他の基で置換されたアルキル類、枝分かれアルキル類およびシクロアルキル類が挙げられる。典型的実施形態において、合成レチノイドは9−エチル−11−シス−レチナール、7−メチル−11−シス−レチナール、13−デスメチル−11−シス−レチナール、11−シス−10−F−レチナール、11−シス−10−Cl−レチナール、11−シス−10−メチル−レチナール、11−シス−10−エチル−レチナール、9−シス−10−F−レチナール、9−シス−10−Cl−レチナール、9−シス−10−メチル−レチナール、9−シス−10−エチル−レチナール、11−シス−12−F−レチナール、11−シス−12−Cl−レチナール、11−シス−12−メチル−レチナール、11−シス−10−エチル−レチナール、9−シス−12−F−レチナール、9−シス−12−Cl−レチナール、9−シス−12−メチル−レチナール、11−シス−14−F−レチナール、11−シス−14−メチル−レチナール、11−シス−14−エチル−レチナール、9−シス−14−F−レチナール、9−シス−14−メチル−レチナール、9−シス−14−エチル−レチナールなどである。
合成レチノイドはその他に修飾された環状構造を有する11−シス−レチナールまたは9−シス−レチナールの誘導体でもよい。適切な例は、例えば、下記の式IV、VおよびVIそれぞれであらわされる、環修飾を含む誘導体、芳香族同族体およびヘテロ芳香族同族体を含む。
Figure 2018197275

適用される場合、R1ないしR5の各々またはR6は、水素、アルキル、置換アルキル、ヒドロキシル、ヒドロアルキル、アミン、アミド、ハロゲン、ヘテロ原子などから独立的に選択され得る。適切なアルキルとしては例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルなどが挙げられる。適切なハロゲンとしては例えば臭素、塩素、フッ素などが含まれる。適切なヘテロ原子は例えば硫黄、珪素または窒素などである。式VIにおいて、Xは例えば硫黄、珪素、窒素、フルオロ−またはブロモ置換基でよい。
合成レチノイドはその他に、修飾ポリエン鎖を有する11−シス−レチナールまたは9−シス−レチナールの誘導体でよい。適切な誘導体としては例えば、ポリエン鎖にトランス/シス−固定構造、6s−固定同族体、ならびに修飾アレン、アルケン、アルキンまたはアルキレン基を有するものが含まれる。一実施形態において、誘導体は下記の式VIIの11−cis−固定同族体である:
Figure 2018197275

Rは例えば水素、メチルまたはその他の低級アルカンまたは枝分かれアルカンであり得る。nは0ないし4であり得る。m+1は1、2または3である。
特定の実施形態において、合成レチノイドは下記の式VIIIの11−シス−固定同族体である:
Figure 2018197275

nは1ないし4でよい。
幾つかの典型的実施形態において、合成レチノイドは9,11,13−トリ−シス−7−環レチナール、11,13−ジ−シス−7−環レチナール、11−シス−7−環レチナールまたは9,11−ジ−シス−7−環レチナールである。
また別の例において、合成レチノイドは式IXの6s−固定同族体である。R1およびR2は水素、メチルおよびその他の低級アルキルおよび置換低級アルキルから独立的に選択することができる。R3は指示されたいずれかの位置のアルケン基から独立的に選択できる。
Figure 2018197275

その他の実施形態において、合成レチノイドは例えば式X−XIIに示されるような9−シス−環縮合誘導体でよい。
また別の実施形態において、合成レチノイドは下記の式XIIIであらわされる。
Figure 2018197275

R1ないしR15の各々は水素、アルキル、枝分かれアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロアルキル、アミン、アミド、ヘテロ原子などから独立的に選択され得る。適切なアルキルとしては例えばメチル、エチル、プロピル、置換アルキル(ヒドロキシル、ヒドロアルキル、アミン、アミドを有するアルキルなど)が挙げられる。適切な枝分かれアルキルは例えばイソプロピル、イソブチル、置換枝分かれアルキルなどでよい。適切なハロゲンとしては例えば臭素、塩素、フッ素などが挙げられる。適切なヘテロ原子は例えば硫黄、珪素、およびフルオロ−またはブロモ置換基が挙げられる。適切な置換アルキルおよび置換枝分かれアルキルとしては例えば酸素、ヒドロキシル、窒素、アミド、アミン、ハロゲン、ヘテロ原子またはその他の基で置換されたアルキル類および枝分かれアルキル類が含まれる。nおよびnの各々は、nとnとの合計が少なくとも1であるという条件で、1、2、または3つのアルキル、アルケンまたはアルキレン基から独立的に選択され得る。その他に、R11−R12および/またはR13−R14は環状炭素環にアルケン基を含むことができる。ある実施形態において、R5およびR7は一緒になって、例えば式VII、VIII、X、XIおよびXIIに示されるような、例えば5、6、7または8員環のシクロアルキルまたは置換シクロアルキルなどのシクロアルキルを形成することができる。
その他の実施形態において、合成レチノイドは9−シス−レチナールでもよい。この代わりに11−シス−レチナールを使用することができる。
合成レチノイドの製法は例えば下記の文献に開示されている:Anal.Biochem.272:232−42(1999);Angew.Chem.36:2089−93(1997);Biochemistry 14:3933−41(1975);Biochemistry 21:384−93(1982);Biochemistry 28:2732−39(1989);Biochemistry 33:408−16(1994);Biochemistry 35:6257−62(1996);Bioorganic Chemistry 27:372−82(1999):Biophys.Chem.56:31−39(1995);Biophys.J.56:1259−65(1989);Biophys.J.83:3460−69(2002);Chemistry 7:4198−204(2001);Chemistry(Europe)5:1172−75(1999);FEBS 158:1(1983);J.American Chem.Soc.104:3214−16(1982);J.Am.Chem.Soc.108:6077−78(1986);J.Am.Chem.Soc.109:6163(1987);J.Am.Chem.Soc.112:7779−82(1990);J.Am.Chem.Soc.119:5758−59(1997);J.Am.Chem.Soc.121−5803−04(1999);J.Am.Chem.Soc.123:10024−29(2001);J.American Chem.Soc.124:7294−302(2002);J.Biol.Chem.276:26148−53(2001);J.Biol.Chem.277:42315−24(2004);J.Chem.Soc.−Perkin T.1:1773−77(1997);J.Chem.Soc.−Perkin T.1:2430−39(2001);J.Org.Chem.49:649−52(1984);J.Org.Chem.58:3533−37(1993);J.Physical Chemistry B 102:2787−806(1998);Lipids 8:558−65;Photochem.Photobiol.13:259−83(1986);Photochem.Photobiol.44:803−07(1986);Photochem.Photobiol.54:969−76(1991);Photochem.Photobiol.60:64−68(1994);Photochem.Photobiol.65:1047−55(1991);Photochem.Photobiol.70:111−15(2002);Photochem.Photobiol.76:606−615(2002);Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:9412−16(1991);Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:4072−76(1993);Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:13442−47(1997);およびProc.R.Soc.Lond.Series B,Biol.Sci.233(1270):55−76 1988)(これらの開示は参考として本明細書に組み込まれる)。
オプシン蛋白については、例えばオプシン蛋白を発現する発現系によって合成レチノイドを確認できる。適切な動物モデルとしては例えばRPE65−/−マウスが含まれる(下記参照)。適切な非ヒト動物モデルはその他にラット、マウス、霊長類の系を含む。このような動物モデルは例えば、染色体内の、オプシンをコードする核酸と、突然変異オプシンをコードする外因性核酸との相同組換えを促進することによって作製され得る。一局面において、相同組換えは次のように行われる;胚幹(ES)細胞を相同組換えが起きるようにオプシン遺伝子を含むベクターで形質転換し、その後そのES細胞を胚盤胞に注入し、その胚盤胞をフォスターマザーに移植すると、その後キメラ動物が誕生する(Capecchi,Science 244:1288−92(1989))。このキメラ動物を繁殖させ、その他のトランスジェニック動物を生成することができる。
適切な発現系としては例えばインビトロまたはインビボ系が挙げられ得る。適切なインビトロ系には例えば組み合わせ転写−翻訳系が含まれる。適切なインビボ系には例えばオプシン蛋白を発現する細胞が含まれる。例えば脊椎動物の視覚系の細胞をインビトロ培養のために適合させることができ、或いはオプシン蛋白を発現する組換え細胞系を使用できる。これら細胞系はオプシン蛋白を発現する一般的に安定な細胞系である。合成レチノイドを細胞培養培地に加えて適当な期間培養した細胞によってオプシン/ロドプシンを産生することができる。オプシンおよび/またはロドプシンは分離できる(例えばイムノアフィニティによって)。分離した蛋白サンプルを試験し、形成された色素の量および最大吸収を確認することができる。核酸を脊椎動物に導入する方法は例えばSambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press(Cold Spring Harbor,New York,2001)に開示されている。
オプシン蛋白を発現する組換え細胞系は例えば、オプシン蛋白をコードする発現構成物を適切な細胞系に導入することによって作製され得る。発現構成物は一般的には、オプシン蛋白をコードする核酸に操作可能に結合したプロモータおよび任意に終止シグナルを含む。オプシンをコードする核酸は例えば、データベース(ゲノムまたはcDNAライブラリーなど)からの情報の使用によって、ポリメラーゼ連鎖反応法によって、またはその他の方法によって得ることができる。例えばオプシンをコードする核酸はハイブリダイゼーションによって得ることができる。(一般的にはSambrook et al.(上記)を参照されたい)。特殊な実施形態において、オプシンをコードする核酸は低、中程度または高度のストリンジェンシー条件下でハイブリダイゼーションによって得ることができる。
ある実施形態において、オプシンをコードする核酸は高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下で得られ得る。制限するものではないが、例として、高ストリンジェンシー条件を用いる操作法は次のようである:DNAを含むフィルタのプレハイブリダイゼーションを、6×SSC、50mM トリス−HCl(pH7.5)、1mM EDTA、0.02%PVP、0.02%フィコール、0.02%BSA、および500μg/ml変性サケ精子DNAからなる緩衝液中で65℃で8時間ないし一晩行う。フィルタを、100μg/ml変性サーモン精子DNAおよび5−20×10cpmの32P標識プローブを含むプレハイブリダイゼーション混合液中で65℃で48時間ハイブリダイズする。フィルタの洗浄を2×SSC、0.01%PVP、0.01%フィコール、および0.01%BSAを含む溶液中で65℃で1時間行う。続いて0.1×SSC中で50℃にて45分間の洗浄を行い、その後オートラジオグラフィーを行う。使用できる高ストリンジェンシーのその他の条件は当業者には公知である。(一般的にSambrook et al.(上記)を参照されたい)。
発現構成物は任意に1つ以上の複製起点および/または選択可能マーカーを含むことができる(例:抗生物質耐性遺伝子)。適切な選択可能マーカーは、例えばアンピシリン、テトラサイクリン、ネオマイシン、G418などに対する耐性を与えるものなどを含む。適切な細胞系は例えば、HEK293細胞、T−RExTM−293細胞、CHO細胞およびその他の細胞または細胞系を含む。
ロドプシン(オプシンおよび合成レチノイドを含む)のUV−可視スペクトルをモニターし、合成レチノイドがオプシン蛋白とシッフ塩基を形成したかどうかを決定し得る。例えば酸変性、精製蛋白を分析し、約440nmの最大吸収が存在するかどうかを決定し、合成レチノイドがオプシン蛋白と共にシッフ塩基を形成するという証拠を与えることができる。その他の実施形態において、ヒドロキシルアミン処理し、そのシッフ塩基が外部環境から隔離されることを確認することができる(下記)。
適切な合成レチノイドはロドプシンの分子モデル化によって選択することもできる。ロドプシン結晶構造の座標は蛋白質データバンク(1HZX)(Teller et al.Biochemistry 40:776−72(2001))から入手できる。ある実施形態において、ロドプシンの構造に与えるアミノ酸置換の影響、およびオプシンと11−シス−レチナール、または合成レチノイドとの接触に与えるアミノ酸置換の影響は分子モデル化によって決定できる。
例証的実施形態において、蛋白質データバンク(1HZX)(Teller et al.Biochemistry 40:776−72(2001))からのロドプシン結晶構造のための座標を使用してコンピューターモデルを作成する。例えばInsightII(InsightII release 2000,Accelrys,Unc.,San Diego,CA)を使用して水素原子の付加および最適化を行うことができる。結晶水を除去し、細胞外領域における接近可能の隙間に水分子を導入することができる。一般的に水の添加前には最小化は行われない。水層(例えば厚さ5Å)を使用して、ロドプシンの細胞外部分、ならびに極性燐脂質ヘッドと接触している残基を被覆することができる。水分子の全ては、ロドプシンの細胞外半分と同様に、レチナールと共に自由に動くことができる。水のキャップがロドプシンの細胞質部分に置かれない場合は、分子のこの部分を凍結してそのモデルの分解を防ぐことができる。
ある実施形態において、水キャップはロドプシンの細胞外部分に置かれる(燐脂質の極性ヘッドと接触する膜に埋め込まれた部分と共に)。水およびロドプシンの細胞外部分を動けるようにすることができ、その動きは任意の適切な頻度でモデル化される。例えばそのモデル化ロドプシンの動きは100ps刺激でモデル化され得る。
合成レチノイドを適切な条件下で、オプシン蛋白/合成レチノイド複合体を形成するのに十分な時間、オプシン蛋白と接触させることができる。オプシン/合成レチノイド複合体の安定性は、本明細書に記載の、または当業者に公知の方法によって測定できる。それが安定性の増加を示すときにはオプシン/合成レチノイド複合体中のオプシンは安定する(例えば、合成レチノイドに結合した場合、遊離オプシン(すなわちレチノイドに結合していない)に比較して、半減期は増加し、ヒドロキシルアミンに対する感受性はより低くなり、アグレソーム蓄積はより少なくなる、など)。
合成レチノイドはインビトロまたはインビボでオプシン蛋白と接触することができる。例えば、オプシン蛋白をインビトロ翻訳系において合成し(例えば小麦胚芽または網状赤血球溶解物の発現系)、合成レチノイドをその発現系に加える。その他の実施形態において、オプシン蛋白を生体外でオプシン蛋白と接触させ、その複合体を脊椎動物の眼に投与することができる。
合成レチノイドをレチノイド欠乏(例えば11−シス−レチナールの欠乏)、遊離オプシンの過剰、全トランス−レチナールの再循環におけるレチノイド老廃物(下記を参照)または中間物質の過剰などを示す脊椎動物の眼に投与することができる。脊椎動物の眼は野生型オプシン蛋白を含むのが普通である。脊椎動物の眼の内因性レチノイドレベルおよびそのようなレチノイド類の不足を決定する方法は、例えば米国暫定特許出願第60/538,051号(2004年2月12日出願)に開示されている(この開示は参考として本明細書に組み込まれる)。脊椎動物の眼の内因性レチノイドレベルおよびこのようなレチノイド類の不足を決定する他の方法としては、被験体からのサンプル中のレチノイドの高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)分析などが挙げられる。例えば、レチノイドレベルまたはレチノイドレベルの欠乏は被験体からの血液サンプルから決定できる。
典型的実施形態において、血液サンプルは被験体から得られ、サンプル中のレチノイドの型およびレベルは分離され、標準相高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)(例えばHP1100HPLCおよびベックマン、ウルトラスフェア−Si、4.6mm×250mmカラムで、10%酢酸エチル/90%ヘキサンを用い、流速1.4ml/min.)によって分析することができる。これらレチノイドは例えばダイオード−アレー検出器およびHP Chemstation A.03.03ソフトウェアによる325nmでの検出により検出できる。レチノイドの欠乏は例えばサンプル中のレチノイドのプロフィールを正常被験体からのサンプルと比較することによって決定できる。
ここに使用する、例えば11−シス−レチナールなどの内因性レチノイドのレベルの喪失、欠乏または消耗とは、同種の脊椎動物の健康な眼に見いだされるレベルより低い内因性レチノイドレベルをいう。合成レチノイドは内因性レチノイドの需要をへらすことができる。
本明細書に使用する「予防的な」および「予防的に」は合成レチノイドを投与されない匹敵する脊椎動物視覚系と比較して、脊椎動物視覚系の悪化または悪化の進行を阻止するために合成レチノイドを投与することを意味する。用語「回復する」は脊椎動物の視覚系の光受容体機能が、合成レチノイドを投与されない匹敵する脊椎動物視覚系に比較して長期的に(例えば数週間または数カ月にわたって測定して)改善することをいう。用語「安定化する」は、合成レチノイドを投与されない匹敵する脊椎動物視覚系と比較して脊椎動物視覚系の付加的分解が最小になることをいう。
一局面において、脊椎動物の眼はレーバー先天性黒内障(「LCA」)を有することが特徴である。この疾患は出生時またはその後間もなくの小児を冒す非常に稀な小児疾患である。それは眼の杆体も錐体も両方冒す。例えばRP65およびLRAT蛋白をコードする遺伝子の幾つかの突然変異がLCAに関係している。両遺伝子の突然変異により、人は11−シス−レチナールを十分量作ることができなくなる。その結果、11−シス−レチナールは全くまたは少量しか存在しない。RP65欠陥患者では、レチニルエステルがRPEに形成される。LRAT欠陥患者はエステル類を作ることができず、したがって過剰のレチノイドを分泌する。LCAの場合、合成シスレチノイドを使用して、存在しない、または枯渇した11−シス−レチナールを補充することができる。
また別の局面において、脊椎動物の眼は白点状網膜炎を有することが特徴である。この疾患は杆体中の11−シス−レチナールの不足を示す色素性網膜炎の一つの型である。合成シス−レチノイドを使用して、存在しないまたは枯渇した11−シスレチナールを補充することができる。
また別の局面において、脊椎動物の眼は先天性停在性夜盲(「CSNB」)または白点眼底を有することが特徴である。この疾患群は夜盲という症状を示すが、色素性網膜炎の場合のような進行性視力低下はない。CSNBの幾つかの型は11−シス−レチナールの再循環の遅れによる。白点眼底は最近までCSNBの特殊な症例と考えられていた。すなわち網膜の外観が異常で、網膜に小さい白点が無数にあらわれる。最近これも、色素性網膜炎に比べて進行は遥かに遅いとはいえ、やはり進行性疾患であることが示された。これは11−シス−レチナールの循環の遅れに導く遺伝子欠陥によって起きる。こうして、合成レチノイドを投与し、レチノイド補充によって光受容体機能を回復することができる。
また別の局面において、脊椎動物の眼は加齢性黄斑変性(「AMD」)を有することが特徴である。種々の実施形態において、AMDはウェット型かドライ型である。AMDにおいては、疾患後期の合併症が新生血管を網膜下に増殖させるか、または網膜萎縮をおこすかどちらかによって視力喪失が起きる。特定の理論によって縛られるものではないが、光受容体からの老廃物の過剰生産がRPEに過負荷をかけるのかも知れない。これはオプシンに結合するために使用できる11−シス−レチナールの欠乏による。遊離オプシンは安定な化合物ではなく、光が与えられなくても視カスケードの生化学反応の開始を自発的に起こすことができる。
脊椎動物の眼に合成レチノイドを投与すると、11−シス−レチナールの欠乏およびオプシンの自発的誤開始を抑制することができる。ある実施形態において、合成レチノイドの投与は老廃物の生成を低減しおよび/またはドルーゼ腔形成を減少させ、視力喪失(例えば脈絡膜血管新生および/または脈絡網膜萎縮など)を軽減し、または遅らせることができる。
また別の局面において、合成レチノイドは中高年者に投与される。本明細書に使用する中高年者被験体とは一般的に最低45、または最低50、または最低60または最低65歳の人である。被験体は、低下した夜間視力および/または低下したコントラスト感度をもつことを特徴とする加齢眼を有する。過剰の未結合オプシンは視覚伝達系をランダムに励起する。これはその系にノイズを作り出し、その結果、よく見るためにより多い光およびより多いコントラストが必要になる。これらの遊離オプシン分子を合成レチノイドで抑制すると、自発的誤開始が減少し、シグナル対ノイズ比は高まり、それによって夜間視力およびコントラスト感度は改善する。
合成レチノイドはヒトまたはその他の非ヒト脊椎動物に投与できる。合成レチノイドは任意の適切な手段、例えば経口又は局所的投与によって眼に供給することができる。局所的投与の仕方としては点眼、眼内注射または眼周囲注射などが挙げられ得る。眼周囲注射は一般的には合成レチノイドを結膜または腱(眼を覆っている線維組織)に注射することを含む。眼内注射は一般的には合成レチノイドを硝子体に注射することを含む。幾つかの実施形態において、投与は非侵襲的で、点眼または経口投与型によって行われる。
合成レチノイドは薬学的に受容可能なビヒクルならびに当業者にとって日常的な方法を用いて投与するように処方できる。ビヒクルは合成レチノイドの溶解度によって選択される。適切な眼科的組成物は点眼や注射などによって眼に局所的に投与するものを含む。点眼の場合は、処方物は任意に、例えば、塩化ナトリウム、濃グリセリンなどの等張化剤;燐酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどの緩衝剤;ポリオキシエチレンソルビタン・モノオレエート(ポリソルベート80ともいう)、ポリオキシステアレート40、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油などの界面活性剤;クエン酸ナトリウム、エデンテートナトリウムなどの安定剤;塩化ベンザルコニウム、パラベン類などの保存料;およびその他の諸成分を含むこともできる。保存料は例えば約0.001ないし約1.0%重量/容量のレベルで用いられる。処方物のpHは、通常、眼科的処方に容認できる範囲内、例えば約pH4ないし8の範囲内である。
注射の場合、合成レチノイドは、注射用リポソーム溶液などの形で、注射用食塩溶液として提供できる。眼内および眼周囲注射は当業者には知られており、例えばOphthalmic Surgery:Principles of Practice,Ed.,G.L.Spaeth,W.B.Sanders Co.,Phyladelphia,Pa.,U.S.A.,p.85−87(1990)など多くの出版物に記載されている。
適切な経口投与型には例えば硬または軟ゼラチン、メチルセルロースまたは消化管で溶解し易いその他の適切な材料からなる、錠剤、丸薬、サチェット、またはカプセルが含まれる。適切な無毒性固体賦形薬を使用することができ、それらには例えば医薬品級のマンニット、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどがある。(例えばRemington 「Pharmaceutical Sciences」,17Ed,Gennaro(ed.),Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania(1985)を参照されたい)。
合成レチノイドの投与量は被験体の臨床的状態、症状および年齢、投与型などに応じて適切に選択できる。点眼の場合、合成レチノイドは単回量として約0.01mgから、約0.1mgから、または約1mgから、約25mgまで、約50mgまで、または約90mgまで投与できる。点眼剤は必要に応じて1日に1回以上投与することができる。注射の場合、適切な量は例えば約0.0001mg、約0.001mg、約0.01mg、または約0.1mgから約10mgまで、約25mgまで、約50mgまでまたは約90mgまでの合成レチノイドを週に1ないし4回投与できる。その他の実施形態において、約1.0ないし約30mgの合成レチノイドを週に1ないし3回投与できる。
経口投与量は一般的に約1.0ないし約1000mgを1日1ないし4回以上投与できる。経口投与の典型的投与量は約10mgから約250mgを1日1ないし3回の範囲である。
下記の実施例は単に本発明の種々の局面の説明に過ぎず、本発明を制限するものではない。
(実施例1:)
視プロセスは11−シス−レチナールの全トランスーレチナールへの光異性化によって開始する。持続的視力を得るためには11−シス−発色団が全トランス−レチナールから再生しなければならない。これには主要な網膜色素上皮蛋白であるRPE65が必要である。RPE65遺伝子の破壊は網膜色素上皮における全トランス−レチニルエステルの大量蓄積、11−シス−レチナールの欠乏、したがってロドプシンの欠乏、および究極的には失明を起こす。Rpe65−/−マウスにおいて、9−シス−レチナールの経口投与はイソロドプシン(杆体の光色素)を生成し、エレクトロレチノグラムにおいて光感受性を回復することが以前報告された(Van Hooser et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:8623−28(2000))。この研究において、9−シス−レチナール投与による早期介入は、レチナールエステル蓄積を著しく減少し、処置後6カ月より長く、杆体網膜機能を維持した。単一細胞の記録において、杆体の光感受性は再生したイソロドプシン量の関数であることが示された;多量は正常な感受性および動態を有する杆体反応を回復した。未処置Rpe65−/−マウスでは残留杆体機能の著しい低下が認められた。この杆体機能は、レチノイド分析によって示されるように、網膜における全トランス−レチナールの光変換による11−シス−レチナールの生産が低効率であるためらしい。これらの研究は、薬学的介入により、暗所で飼育されたRpe65−/−マウスの視機能の長期持続的保持が引き起こされ、遺伝的早発性盲目および網膜変性の一群であるRPE65遺伝子の突然変異による、レーバー先天性黒内障と診断されたヒトの視力を回復させる有用な治療法が得られることを示す。
(序論)
レーバー先天性黒内障(LCA)は、出生時からの盲目または重度視覚障害を起こす一群の疾患である。全ては杆体および錐体両方の機能異常、微弱な(記録不能の)エレクトロレチノグラム(ERG)、および眼振を示す。彼らは早発性網膜萎縮を起こし、時が経つにつれて網膜の色素性変化、したがって「黒内障」を伴い得る。LCAは種々の異なる細胞機能を破壊する少なくとも5つの異なる遺伝子の欠陥によって起きる。
全LCA症例の約12%において、網膜色素上皮細胞(RPE)の65−kDa蛋白(RPE65)遺伝子が無能力である。RPE65はRPE細胞において顕著に発現し、そこでレチノイドサイクルに重要な役割を演ずる。これは光受容体およびRPE細胞の両方を含む、密接に関連し合う一組の事象である。視物質の発色団(11−シス−レチナール)の光異性化は全トランス−レチナールを生成する。それは光受容体において還元され、RPEに運搬され、再び11−シス−レチナールに変換され、その後光受容体に戻され、元の視物質を再生する。レチノイド・プロセッシングにおけるRPE65の正確な機能は知られていない。
Rpe65のための遺伝子を除去した(Rpe65−/−)遺伝子工学的マウスは、網膜の形態、機能および生化学に変化を示し、それはヒトLCA患者に見られる変化に酷似している。Rpe65−/−マウスでは杆体および錐体両方の機能はひどく破壊され、ERGは非常に弱まる。全トランス−レチニルエステルがRPE細胞に脂質様滴となって劇的過剰に蓄積し、網膜の変性もある。このため、Rpe65−/−マウスはLCAの細胞レベルおよび分子レベルでの起源および結果を洞察する機会を与え、種々の治療法を試験する手段をも与える。
本研究はRpe65−/−マウスに起きる生化学および機能の変化の周到な研究の結果を記載し、9−シス−レチナールの供給によってこの疾患の進行を止め、機能的効果を逆転させ得る方法を示すものである。目標は:1)この疾患の進行に対するおよび光受容体機能に対する9−シス−レチナール処置の有益な効果を調べること;2)単一細胞電気生理学およびERG記録を用いて、9−シス−レチナール処置が網膜の杆体機能および光駆動シグナルに影響を与える仕方を評価すること;および3)LCA患者にもRpe65−/−マウスにも存続する低レベルの残留視力の生化学的基礎を研究することである。
9−シス−レチナールをRpe65−/−マウスに投与すると、杆体の光色素が生成し、暗所で6カ月よりも長く持続した。9−シス−レチナールによる早期介入は正常な杆体生理機能を回復させ、RPEにおけるエステル蓄積を著しく減少させる。だが、ERGによって測定される網膜機能は一部分改善するに過ぎない。これらの研究は、薬理学的介入は暗所に維持されたRpe65−/−マウスの視機能の長期持続的保持を生じ、LCA患者の視力の回復のための有用な治療であることを証明するものである。
(材料および方法)
動物:動物試験の全ては、ワシントン大学動物保護委員会によって承認され、米国獣医学会安楽死委員会の勧告にしたがう手順を使用した。動物は完全な暗所で飼育され、全操作は全てコダックNo.1セーフライト・フィルタ(透過率、>560nm)を用いて、暗赤色光のもとで行われた。一般的に全研究に齢2−3カ月のマウスが使用された。RPE65欠乏マウスはDr.M.Redmond(NEI、ナショナル・インスチチュート・オブ・ヘルス(National Institute of Health))から入手し、既述(Redmond et al.,Nat.Genet.20:344−51(1998);Redmond et al.,Methods Enzymol.316:705−24(2000))のように遺伝子型を決定した。網膜G蛋白共役受容体−欠乏マウスを生成し、既述(Chen et al.,Nat.Genet.28:256−60(2001))のように遺伝子型を決定した。一重Rpe65−/−マウスと一重Rgr−/−マウスとを遺伝的に均質になるまで交雑育種させることによって、二重ノックアウト・マウスRpe65−/−Rgr−/−を作成した。
レチノイドおよび視物質の分析:全ての手順は既述(Van Hooser et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:8623−28(2000);Jang et al.,J.Biol.Chem.276:32456−65(2001);Palczewski et al.,Biochemistry 38:12012−19(1999))のように暗赤色光のもとで行われた。既述の方法に加えて、レチノイド分析が、ダイオード・アレー・検出器およびHP Chemstation A.07.01ソフトウエアを備えたHP1100シリーズ高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)上で行われ、それらの特異な保持時間および最大吸収によって、レチノイド異性体を同定することができた。標準相カラム(ベックマン・ウルトラスフェア(Beckman Ultrasphere) Si 5μ、4.6×250mm)を用い、ヘキサン中0.5%酢酸エチル(v/v)のアイソクラチック溶媒系で15分間、その後ヘキサン中4%酢酸エチルで60分間、流速1.4ml/分、20℃(合計75分)で操作し、325nmで検出した結果、11−シス−、13−シス−および全トランス−レチニルエステルを分離できた。それに加えて、解剖マウス眼の分析、レチノイド類の誘導体化および分離に関する研究操作の全ては既に詳細に記載されている。(Van Hooser et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:8623−28(2000))。ロドプシンおよびイソ−ロドプシンの測定を既述のように行った(Palczewski et al.,Biochemistry 38:12012−19(1999))。一般的にはアッセイごとに2つのマウス眼を使用し、アッセイを3ないし6回繰り返した。データはS.E.M.と共に示される。
光および電子顕微鏡検査:前部および硝子体を除去することによってアイキャップを作成した。それらの眼はPND1−28において週単位で氷上に集められた。「薄い」切片(1.0μm)をリチャードソン青色溶液(1%)で染色し、光顕微鏡検査を行った。「超薄」切片(0.05μm)を酢酸ウラニル/クエン酸鉛で染色し、電子顕微鏡検査を行った。
マウスRPEミクロソームの調製:頸部転位またはCOによる窒息の直後に、新鮮なマウス眼を摘出した。前部、硝子体および網膜を顕微解剖鏡下で注意深く除去した。代表的には、各調製につき30−40の眼を切開した。12の切開アイキャップを、1μMロイペプチンおよび1mMジチオスレイトールを含む10mM MOPS、pH7.0、400μl中に入れ、20分間激しく撹拌するという方法でRPE細胞を分離した。それらのアイキャップを細いブラシでしずかにブラッシングし、さらにRPE細胞を除去した。細胞懸濁液を取り出し、MOPS緩衝液をさらに400μl部分加え、アイキャップを再び20分間振盪した。細胞懸濁液を合一し、ガラス−ガラス−ホモジナイゼーションを行った。ホモジネートを10,000×gで10分間遠心分離し、その後上清を275,000×gで1時間遠心分離した。そのペレットをMOPS緩衝液200μlにおいて再構成し、再びガラス−ガラス−ホモジナイゼーションにかけた。総蛋白濃度(典型的には0.5−1mg/ml)をブラッドフォード法によって測定した。(例えばBradford,Anal.Biochem.72:248−54(1976)を参照されたい)。
マウスRPEミクロソームを使用した全トランス−レチノールの11−シス−レチノールへの異性化:11−シス−レチノールへの異性化を決定するために使用するアッセイは以前(McBee et al.,Biochemistry 39:11370−70(2000))報告されたものである。手短に述べると、20μlのウシ血清アルブミン(最終濃度1%)、125μlの50mM 1,3−ビス[トリス(ヒドロキシメチル)−メチルアミノ]プロパン、pH7.5、10μlのATP(最終濃度1mM)、25μMアポ組換え体CRALBP、40μlのRPEミクロソーム(一般には総蛋白25−50μg)、および0.5μlの4mM 全トランス−レチノール(ジメチルホルムアミド中)。上記反応物を37℃で2時間インキュベートした。300μlのMeOHを使用して反応を停止し、レチノイド類を200μlのヘキサンで抽出した。混合物を2分間激しく振盪し、その後14,000rpmで4分間遠心分離し、相分離した。上の有機層を取り、100μl部分を分離し、HP Chemstationソフトウエア(バージョンA.07.01)を備え付けたHP1100HPLCを使用して分析した(ベックマン・ウルトラスフェアSi、4.6mm×250mm、ヘキサン中10%酢酸エチルを使用、流速1.4ml/分)。
プロ−S−[4−H]NADHおよびプロ−S−[4−H]NADPHの調製:プロ−S−[4−H]NADHおよびプロ−S−[4−H]NADPHの合成は既述(Jang et al.,J.Biol.Chem.276:32456−65(2001);Jang et al.,J.Biol.Chem.275:28128−38(2000))のように、L−グルタミン脱水素酵素、NAD(P)、およびL−[2,3−H]グルタミン酸(パーキンエルマー・ライフ・サイエンシス社(PerkinElmer Life Sciences))で行われた。
RDHアッセイ:これらのアッセイはNADHの存在下または不在下でジヌクレオチド基質として11−シス−レチナールおよびプロ−S−[4−H]NAD(P)Hを用い、[15−H]レチノールの生成(レチナールの還元)をモニターすることによって行われた(例えばMcBee et al.,Prog.Retin.Eye Res.20:469−529(2001)を参照されたい)。
経口的胃管栄養法による投与:経口的胃管栄養法による投与は既述(Van Hooser et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA97:8623−28(2000))のように行われた。
レチノイド類の静脈内投与:化学物質類は別途記載がない限り、シグマ/アルドリッヒ社(Sigma/Aldrich)から購入した。溶液Aは、ラクテート加リンゲル溶液(バクスター社(Baxter)1mlに懸濁した10mgの9−シス−レチナール、75mgのクレモフォアEL、1mgのα−トコフェロール、および0.6mgの安息香酸を含んでいた。この混合物を10分間渦巻き状に撹拌し、20,000×gで10分間遠心分離し、9−シス−レチナール濃度(7.7mM)を分光光学的に測定した。溶液Bは、ラクテート加リンゲル溶液(バクスター)1ml中に懸濁した13mgの9−シス−レチナール、50mgのクレモフォアEL、10mgのジパルミトイルホスファチジルコリン、および40mgの2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを含んでいた。この混合物を10分間渦巻き状に撹拌し、20,000×gで10分間遠心分離し、9−シス−レチナール濃度(10mM)を分光光度法で測定した。溶液AおよびB(一般には100μl)は27ゲージ針および拘束管を備え付けた1ml注射器を用いてマウス外側尾静脈内に送達された。
単一細胞の記録:マウスを出生時から暗所で飼育し、頸部転位によって殺し、眼を取り出した。網膜を分離し、氷上でHEPES緩衝エイムス溶液(10mM HEPES。pHをNaOHで7.4に調節)中で12時間まで保存した。単離杆体は、溶液の160μl滴中で細い針で網膜の小片(大体1mm)を切り裂くという方法で得た。その滴を、赤外ビデオ視聴システムを備えた倒立顕微鏡(ニコン・エクリプス(Nikon Eclipse))の台上の記録室に注入し、37℃に温めた炭酸水素塩緩衝エイムス溶液(5%CO2、95%Oで平衡化した際、pH7.4)を2−3ml/分で連続的に注いだ。全切開は赤外−可視画像変換器を備えた解剖顕微鏡を用いて赤外線照明下で行われた。
単離した杆体を、直径1.2−1.5μmの開口を有する、熱で磨いたシラン化硼珪酸電極に吸引によって引きつけた。その電極はHEPES緩衝エイムス溶液で満たされていた。浴および吸引電極への電気的接続はカロメル半電池に接触したNaCl充満−寒天架橋によって行った。浴電圧はアクティブクランプ回路によって接地されていた(Baylor et al.,J.Physiol.354:203−23(1984))。吸引電極によって集められた膜電流をアキソパッチ(Axopatch)200Aパッチクランプ増幅器(アキソン・インスツルメント社(Axon Instruments),Foster City,CA)によって増幅し、30Hz(3dBポイント)で8極ベッセル低周波フィルタを通し、1kHzでディジタル化した。
470、570および640nmに最大出力を有する発光ダイオードからの光を三叉ファイバーオプチックを使用して合一し、顕微鏡コンデンサーの代わりに水浸レンズを用いて標本上に焦点を合わせた。光刺激は三次元的に均質であり、記録された細胞上に中心をもつ直径0.57mmの円形領域を照らした。光の強度を上記標本で測定し、ロドプシンの吸収スペクトルおよび測定した発光ダイオードスペクトルを使用して等価的500−nm光子(杆体感度に関して最大)に変換した。
マウスのエレクトロレチノグラム:マウスは出生時から暗所で飼育し、麻酔し(ケタジェクト/キシラジェクト、65mg/kg腹腔内)、トロピカミド(1%)で瞳孔を拡大した。コンタクトレンズ電極を1滴のメチルセルロースと共に眼の中に置き、接地電極を耳の中に置いた。ERGを記録し、ユニバーサル試験および電気生理学的装置3000(UTAS E−3000)(LKCテクノロジー社(LKC Technologies Inc.)、Gaithersburg、MD)で分析した。マウスをガンツフィールド・チェンバ(Ganzfield chamber)に入れ、1つの眼のフリッカーを記録した。フリッカー刺激は固定周波数(10Hz)である範囲の強度(0.00040−41cd・s/m)を有した。
免疫細胞学:Rpe65マウスを5群に分けた:Rpe65−/−、9−シス−レチナールを胃管栄養法によって投与し、暗所に維持したRpe65−/−;9−シス−レチナールを胃管栄養法によって投与し、フラッシュに曝露し、暗所に15分間保持したRpe−/−;暗所に保持したRpe+/+;およびフラッシュに曝露し、暗所に15分間保持したRpe+/+。フラッシュ研究では、暗順応したマウスは2cmの距離からフラッシュ(サンパク(Sunpak)433D、1ms)に曝露された。網膜を0.13M燐酸ナトリウム(pH7.4)中4%パラホルムアルデヒド中、4℃で15分間固定し、その組織を0.13M燐酸ナトリウム(pH7.4)中5、10または15%スクロースに30分間ずつ移し、同じ緩衝液中20%スクロース中、4℃で一晩保存した。組織をその後最適切断温度凍結包埋合成物に移し、10μmの切片を作製した。凍結切片を、1:10に希釈したマウスモノクローナル抗燐酸化Rh A11−82P抗体中で4℃で一晩インキュベートした。トリトンX−100(0.1%)を全ての燐酸緩衝食塩溶液に加え、抗体を透過し易くした。対照は、インキュベーション緩衝液から一次抗体を削除することによって処理した。一次抗体中でのインキュベーション後、切片を燐酸緩衝食塩液ですすぎ、その後インドカルボシアニン(Cy3)−結合ヤギ抗マウスIgGと共に(1:200)インキュベートした。切片を燐酸緩衝食塩液ですすぎ、グリセロール中5%n−プロピルガレートにおいて載せ、カバースリップをかぶせた。
(結果)
9−シス−レチナールによる早期処置はRpe65−/−マウスの油様構造を除去する;ROSとRPEとの間の界面異常である光受容体の喪失に加えて、Rpe65−/−マウスのRPE細胞は多数の脂質様小滴を含んでいた。若い動物では、Rpe65−/−マウスからのRPEの固定電子顕微鏡切片に空の小胞が認められたが、対照には認められなかった。加齢につれて(>PND21)、それらには光回折物質が充満した。それらの物質は電子顕微鏡切片作製中保持された。この考察はRpe65−/−マウスにおける全トランス−レチニルエステルの過剰蓄積に関連する(図1A、白丸)。Rpe65−/−マウスより低レベルであったとはいえ、レチニルエステルは加齢につれて、Rpe65+/+マウスにも蓄積した。PND21までに、眼1つにレチニルエステル約800pmolが蓄積していた。これに対しRpe65+/+マウスでは約40pmolであった。Rpe65+/+マウスにおいては、ロドプシンレベルは、最初はレチニルエステル量の数倍を超えていた。
PND7マウスを9−シス−レチナール(10mg/ml)の0.25mgの投与量で1日おきに、齢30日になるまで処置した場合、エステル蓄積の劇的変化が観察された(図1B)。年齢の増加、および1週間1回の投与(1.25mg)の継続で、全トランス−レチニルエステル量はRpe65+/+マウスと同様に増加したが、エステル類の全体的量はイソロドプシンの同時増加と共に伴って著しく抑制された(図1C、左パネル)。ひとたび沈着すると、齢1カ月より後に処置を開始しても、RPEに蓄積したエステル類は除去されなかった(図1C、右パネル)。若い動物または若い成動物を9−シス−レチナール処置した場合、RPEとROSとの界面の接触は改善し(図1D、パネルd、f、h)、空胞は本研究の数カ月間にわたって一部分だけが詰まっているようにみえた(図1D、パネルcおよびe)。これらの観察は、再生色素の形成がエステル類の蓄積を著しく緩徐にするが、眼に蓄積した全トランス−レチニルエステルの完全除去は促進されないことを示唆する。
9−シス−レチナール処置の長期効果:マウスを9−シス−レチナールで処置すると、光色素レベルの長期持続的増加および全トランス−レチニルエステルの蓄積の減少が起きた。Rpe65−/−マウス(齢1カ月)を9−シス−レチナールで1回(2.5mg)処置し、その後12時間明/暗サイクル、または24時間暗所いずれかに37日間保持した。いずれの条件下でも顕著なレチナール減少は認められなかった(図2A)。これらの結果は、9−シス−レチナールの単回投与が通常の実験室的条件下でこれらの動物のイソ−ロドプシンを維持することを示唆する。
研究のもう一つの組において、ロドプシンまたはイソ−ロドプシンレベルを齢6カ月のRpe65−/−マウスで測定した(図2B)。これらの動物では、イソ−ロドプシンレベルは3群のRpe65−/−マウスで匹敵していた:PND30および34に9−シス−レチナールで2回処置したマウス(1回の投与量2.5mg)、PND30および120の2回処置したマウス、およびPND30およびPND150の2回処置したマウス。Rpe65−/−におけるイソ−ロドプシンの50%減少(図2、BとAとを比較)は、齢の関数としての、Rpe65+/+におけるロドプシンの同様な減少と一致する。エステルレベルは50%減少し(未処置動物と比較して)、9−シス−レチナールの投与頻度および投与量には影響されなかった。ロドプシンまたはイソ−ロドプシンは未処置−暗順応Rpe65−/−マウスには検出されなかった。
9−シス−レチナールは9−シス−レチノールに還元され、眼および肝臓に9−シス−レチニルエステルの形で貯蔵され得る。必要なときに9−シス−レチノールがレチニルヒドロラーゼによって遊離される。眼および肝臓における9−シス−レチノイドの貯蔵庫の大きさを調べるために、1群のマウスを9−シス−レチナール(2.5mg)で処置し、48時間後に1時間間隔で複数回フラッシュに曝露した;1回のフラッシュはロドプシンの約30−35%を退色させた。イソ−ロドプシンおよび9−シス−レチニルエステルは3回より多くの強力なフラッシュ後に有意に減少した。肝臓およびRPEのレチニルエステルは24時間間隔の5回のフラッシュ後に完全に枯渇した。ロドプシン含有ROSディスクの連続的流出および再合成は視物質の長期保存に影響を与えない。そのため、9−シス−レチナールは大部分、食作用を受けたイソ−ロドプシンから新たに生成したオプシン分子へと長期間にわたって再循環されるようである。
9−シス−レチナール処置の生理的影響:Rpe65−/−マウスの9−シス−レチナール処置は網膜機能の長期改善ももたらした。9−シス−レチナール処置の長期生理的影響を、Rpe65+/+およびRpe65−/−マウスにおける種々強度の単回フラッシュ反応およびフリッカーERG測定から決定した。これまでの研究は、経口9−シス−レチナール投与の48時間後にERG感度が一部分回復することを示した。この部分的回復はPND30に1回処置したRpe65−/−マウスで12週より長く持続した。
Rpe65+/+マウスにおけるフリッカーERGは、0.015cd・s/mの光レベルではピーク振幅254.9±41.5μV、7.5cd・s/mではピーク振幅95.1±8.9μVに達した(図2C、左パネル)。これらのデータは、それぞれ、杆体および錐体の優勢なERG応答に似ている。処置をしないRpe65−/−マウスでは、フリッカーERGは7.5cd・s/mの光レベルで有意に小さいピーク振幅、76.0±12.0μVに達した(図2C、右パネル)。2.5mgの9−シス−レチナールで1回処置した後8週間目には、フリッカーERGは0.059cd・s/mで137.3±24.4μVのピーク振幅に、13cd・s/mでは40.0±7.1μVのピーク振幅に達した(図2C、右パネル)。これらのピークはRpe65+/+マウスにおけるよりも小さく、より高い光レベルで発生した;しかし、処置Rpe65−/−マウスの反応は未処置マウスのそれに比べて2.1対数単位だけより敏感で、より大きい振幅を有した。このように、9−シス−レチナールの投与はERGの長期間の部分的回復をもたらした。
9−シス−レチナール処置は、構成性オプシンの燐酸化を排除した:Rpe65マウスの酵素プロセスをさらに考察するため、関連酵素活性の数種の直接的測定を行った。オプシンはあるシグナリング能力を有することが一般に認められている。燐酸化オプシンに対するモノクローナル抗体を使用してRpe65マウスからの網膜切片を免疫標識化すると、この活性をうまく評価することができるが、9−シス−レチナール処置はこの活性を阻害することが予想される。
Rpe65+/+マウスおよびRpe65−/−マウスからの網膜を一定の暗所で固定した。Rpe65+/+マウスのROSは標識化を示さず、未処置Rpe65−/−マウスからのROSは燐酸化オプシンに対するモノクローナル抗体によって標識化された。この標識化は9−シス−レチナール処置をしたRpe65−/−マウス(PND30に1回胃管栄養法によって投与し、その処置の48時間後に分析した)では完全に阻止された。この9−シス−処置はオプシンの燐酸化を正常杆体におけるそれらと同等レベルまで減少させた。単回フラッシュの15分後に暗所で固定したROSは9−シス−レチナールで処置したRpe65+/+マウスおよびRpe65−/−マウス両方において、免疫標識を示した。これらのデータは、オプシンがRpe65−/−マウスにおいて構成的に燐酸化されることを示唆する。これらの研究は、全トランス−レチノールの11−シス−レチノールへの変換および構成性オプシン燐酸化に特異的欠陥があるが、11−シス−レチノールから11−シス−レチナールへの酸化には欠陥はないことを示した。構成性オプシン燐酸化はLCAの病因における重要な要素であり得る。
イソメラーゼ活性を直接測定するために、新規の手順を使用してRpe65マウスからRPEミクロソームを分離した。Rpe65+/+マウスからのRPEミクロソームを用いた対照試験において、RPEミクロソームおよびCRALBPが存在する場合にのみ、外部から加えた全トランス−レチノールから11−シス−レチノールが生成した。CRALBPを削除した場合、ならびにRPEミクロソームまたはCRALBPが熱で変性した場合には11−シス−レチノールは存在しなかった。11−シス−レチノールはRpe65−/−マウスからのRPEミクロソームには検出されなかった。
11−シス−レチノール脱水素酵素(11−シス−RDH)はRPE65蛋白との複合体として精製されたので、11−シス−レチノールの酸化をRpe65マウスからのRPEミクロソーム中で研究した。NADPHおよびNADHをジヌクレオチド補因子として用い、Rpe65+/+マウスおよびRpe65−/−マウスに強い活性が検出された。NADPH依存性活性とNADH依存性活性とを区別するために、脱水素酵素活性の試験を非放射性NADHおよび[H]NADPHの存在下で行った。このような条件において、NADPH依存性脱水素酵素活性だけが容易に検出され得る。Rpe65+/+とRpe65−/−との差は些細であった;なぜならばこの活性は、11−シス−Rdh/マウスによって決定したところ、正常なレチノイド流のために必要な活性に比べて遥かに高いからである(Jang et al.,J.Biol.Chem.276:32456−65(2001))。これらのデータは、Rpe65−/−マウスからのRPEミクロソームが高いNADPH依存性およびNADH依存性脱水素酵素活性を含むことを示唆する。Rpe65マウスのRPEにおける11−シス−RDHの免疫学的局在に差は認められなかったことを付け加える。
9−シス−レチナール処置は正常杆体機能を回復する:ERGは主として二極性反応を反映するから、9−シス−レチナールが完全回復を提供できないということは、光受容体の残留性欠陥または杆体から二極性細胞へのシグナル伝達における問題に帰せられ得る。9−シスレチナール処置が正常な光受容体機能を回復できるかどうかを決定するために、吸引電極を用いてRpe65+/+マウスおよび未処置および処置Rpe65−/−マウス(PND30に1回胃管栄養法によって投与し、その処置の48時間後に分析した)からの単一杆体の反応を記録した。
循環暗電流の光誘起性変化を、0、0.25、1.25、または2.5mgの9−シス−レチナールを胃管栄養法によって投与した(試験に先立って1日1回、連続2日間)Rpe65+/+マウスまたはRpe65−/−マウスからの単一杆体の外側部分から記録した。レチノイド分析は、2.5mg投与量の9−シス−レチナールで300±25pmolのイソ−ロドプシン/眼 が形成され、1.25mg投与量では109.8pmolのイソ−ロドプシン/眼、0.25mg量では85.6±6.2pmol/眼 が形成されることを明らかにした。9−シス−レチナール投与量とイソ−ロドプシン濃度との非直線性関係は肝臓およびその他の組織における蓄積を反映するものと考えられる。表に記載された全ての杆体型は光反応を支持し、光反応はフラッシュ強度の増加につれて増加し、光が全てのcGMPチャンネルを閉鎖し、細胞の光感受性暗電流を完全に抑制するのに十分な明るさになったときに最大(飽和)振幅に達する。各型の杆体から出る反応群は、飽和反応の振幅が9−シス−レチナールの用量の増加と共に増加することを示す。各群の杆体の平均暗電流と9−シス−レチナール用量との間の関係をプロットする。補充的9−シス−レチナールを受けなかったRpe65−/−杆体における光感受性暗電流は2.1±0.3pAで、9−シス−レチナール0.25mgを受けたRpe65−/−杆体(3.6±0.9pA)とは有意差はなかった。マウスに2.5mgの9−シス−レチナールを与えたとき、杆体暗電流は発色団の投与量が多くなるにつれて増加し、Rpe65+/+マウスと本質的に同じ数値に達した。
Rpe65−/−フラッシュ反応のその他の2特性、反応動力学および光感受性、は補充的9−シス−レチナールの量と共に変化した。動力学的差を説明するために平均の薄暗い・フラッシュ反応(細胞内直線範囲)を各杆体型で測定した。5種類のセットの杆体からの平均反応を同じピーク振幅に目盛り、比較した。2.5mgの9−シス−レチナールで処置したマウスからのRpe65+/+およびRpe65−/−杆体で記録した反応は本質的に同じ反応速度を有する。直線範囲の反応を重ね合わせると、2種類の杆体型のディムフラッシュ反応は同じ時間対ピークおよび回復時間を有することが示される。1.25または0.25mgの9−シス−レチナールを胃管栄養法によって投与したRpe65−/−マウスからの杆体で記録された反応も実質的に同じで、同様な時間対ピークおよび回復時間を示した;両方共Rpe65+/+のそれらより実質的に速い。補充的9−シス−レチナールを受けなかったRpe65−/−マウスからの杆体反応の薄暗いフラッシュ反応速度は中間であった;それらはRpe65+/+よりは速かったが1.25または0.25mgの9−シス−レチナールで処置したマウスからの杆体よりは遅かった。
Rpe65+/+杆体と、Rpe65−/−マウスからの杆体との光感受性の差を図3に示す。この図は、5種類の試験条件の各々について(Rpe65+/+および、2.5、1.25、0.25または0mgの9−シス−レチナールを投与したRpe65−/−マウス)刺激反応曲線をプロットしたものである。フラッシュ強度の半飽和はRpe65+/+杆体において最も低く(約30フォトン/μm)、2.5、1.25、および0.25mgの9−シス−レチナールを投与したマウスからの杆体ではそれぞれ6倍、66倍および131倍増加した。9−シス−レチナールを受けなかったマウスからの杆体の光感受性は最小量(0.25mg)を受けたマウスからの杆体と同じであった。
9−シス−レチナール処置をしない場合、光異性化によって11−シス−レチナールがRpe65−/−マウスに生成する:光に全くさらされなかったRpe65−/−マウスはレチノイドの従来の顕微分析では検出レベル以下の11−シス−レチナール(オキシムと同定された)を有する。しかし、これらのマウスはERG研究および単一細胞記録では強い照明に反応する。明るい光への曝露によって11−シス−レチナールが生成するかどうかを確認するために、2つの眼の代わりに4または8つの眼を使用してレチノイド分析を行った。Rpe65−/−では、暗順応動物に目立った量の11−シス−レチナールは検出されなかった。より多い眼を分析に用いると、一般的クロマトグラムに0.2pmol未満/眼の11−シス−レチナールオキシムが検出された。全トランス−レチナール(4.2±1.1pmol/眼、n=8)が存在し、強いフラッシュがこのアルデヒドを2.1±0.6pmol/眼の11−シス−レチナールに変換した。レチノイド類が真の標準の保持時間によって同定され、クロマトグラフィー試験中にそれらのUVスペクトルを測定した。次に、光異性化が「フォトイソメラーゼ」網膜G蛋白共役受容体蛋白の作用に起因するかどうかを確認することが重要であった。二重ノックアウトRpe65−/−Rgr−/−マウスを作成し、レチノイド分析を行った。遊離全トランス−レチナールの顕著な減少が観察されたが(2.2±0.2pmol/眼)、光フラッシュが同様のフラクション(約50%)を11−シス−レチナールに光変換した。RPEまたは網膜にこれらのレチナールが存在するかどうかを確認するために、網膜およびRPEを分離し、個々に分析した(8つの眼を使用したことに注意)。大多数の全トランス−レチナールが網膜で観察されたのに対し、11−シス−レチナールはほとんどがRPEに存在した。退色は全トランス−レチナールを11−シス−レチナール(これも網膜に存在した)に変換した。11−シス−レチナールがひとたび形成されると、そのレベルは暗所では15、30、または120分後に変化しない。
Rpe65−/−Rgr−/−マウスのERG分析はRpe65−/−マウスから得た反応と比べて定性的には差がなかった(図2C、右パネル)。それと共にこれらの結果は、退色前の動物には、11−シス−レチナールを生成し、ロドプシンを再生するレチナール光異性化経路があることを示す。
9−シス−レチナールの種々の送達法:重要な点はイソロドプシンを再生するだけでなく、シスレチノイド類の貯蔵庫も形成するという目的で、9−シス−レチノイド類の種々の送達法を比較することであった。二方法を試験した:胃管栄養法による投与(既述されている(Van Hooser et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:8623−28(2000))および静脈注射。静脈注射はレチノイドを送達する効率的方法であり、シス−レチノイド類のアルデヒドおよびアルコール型またはそれらの異性体組成物(11−シス−対9−シス−)間に重要な差はなかった。9−シス−レチナールの静脈注射は、シクロデキストリンと共に供給した際もこれを伴わずに供給した際も、イソロドプシンを生成した。レチナールは血中から速やかに除去されたが、シクロデキストリンの存在下ではより長時間循環中で安定であり得た(t1/2=12時間対23時間)。シクロデキストリンの添加は、肝臓またはRPEへの9−シス−レチニルエステル類の蓄積もより高める。これは循環時間の延長によるものと考えられる。血流からの9−シス−レチナールの速やかな排泄により、イソ−Rhを十分再生するためには静脈注射を複数回行うことが必要になる。これは胃管栄養法の場合にはあてはまらない。なぜならば胃管栄養法の場合はレチナールが血流中に48時間よりも長く存在し続けるからである。胃管栄養法による投与および静脈注射は共に、Rpe65−/−マウスにイソロドプシンを効果的に生成した。両方法の利点および欠点は「考察」の部(下記)に記載される。
(考察)
RPE65の役割およびLCA:LCAの動物モデルであるRpe65−/−マウスを病的状態に導く事象の因果的連鎖は確立されていないとはいえ、その主な欠陥はレチノイドサイクルの中断であると考えられる。このサイクルは、RPEにおいて全トランス−レチナールが11−シス−レチナールへと酵素的に変換されることおよび光受容体細胞へとそれが戻ることによって視物質を再生させる。RPEと光受容体との間の正常なレチノイド流の破壊が、RPEにおけるレチナールエステル類の過剰蓄積を説明し得る。さらに、ロドプシン再生の失敗は杆体および錐体の光感受性の低下を説明し得る。11−シス−レチナールの欠如は光受容体中の遊離オプシンも増加させる。高レベルの遊離オプシンは連続的光曝露の影響に似た光変換カスケードの実質的活性化をもたらす。こうして高まった活性は、ROS層の厚さの減少および光受容体の変性を起こし得る。これらは連続的光にさらされた動物にも起こる効果である。この一連の事象は遊離オプシンの燐酸化によってさらに悪化するかも知れない。これは網膜変性に導くことが他の諸研究において証明されている。
9−シス−レチナールによるRpe65−/−マウスの早期処置は全トランス−レチナールの蓄積を阻止し、RPEプロセスとROSとの間の付着接触を改善し、オプシンの脱燐酸化に導き、網膜変性のさらなる進行を防止した。これらの観察は、RPEにおけるエステル蓄積および光受容体における高レベル活性オプシンの存在がRpe65−/−マウスの網膜変性の主因であり得ることを示唆する。
回復した杆体機能:Rpe65−/−マウスからの杆体の光感受性は9−シス−レチナールの食事性補充によって用量依存的に回復した。最大用量は正常な感受性および反応速度を示す杆体反応を支持した。より少用量の9−シス−レチナールによる処置は、感度は低下しているが、より速い反応速度を有する杆体反応を生成した。この反応は野生型杆体における定常的バックグラウンド照明下で起きる感受性および反応速度の変化によく似ている。より少量の9−シス−レチナールを投与したマウスから記録される杆体反応の光感受性の変化は2因子の組み合わせによって説明できる。感受性低下の一つの原因は、視物質の量およびその量子効率の両方の低下によって起きる杆体の有効収集面積の減少であった;イソ−ロドプシンの量子効率はロドプシンのそれの約3分の1である。感受性のその他の減少は、遊離オプシンによる変換カスケードの定常的活性化によって説明できる;これは野生型杆体における定常的バックグラウンド照明によって起きるものに匹敵する効果をもたらす。
9−シス−レチナールで処置しなかったRpe65−/−マウスからの杆体も強く減感された光反応を生成した。未処置Rpe65−/−マウスに残留する杆体反応が存在するということは、LCAの小児において光反応が低下はしたが存在するという以前の報告と一致する。これらの結果から、それらの条件下では強い光のフラッシュによる光反応の生成は十中、八、九、網膜における全トランス−レチナールの光変換による11−シス−レチナールの生成によることが判明する。全トランス−レチナールが遊離しているか、オプシンに結合(共有結合または非共有結合)しているかどうかは議論の余地がある。発色団とオプシンとがあらかじめ結合していれば、その後、短い(10ms)光フラッシュの時間内に十分に速くそれが光異性化され、変換がトリガーされて、光感受性11−シス−レチナール複合体(すなわちロドプシン)が形成される。
Rpe65マウスの杆体における光変換:処置Rpe65マウスおよび未処置Rpe65マウスからの光感受性杆体の変化は、それだけで作用する(2.5mgの9−シス−レチナール)または「等価的バックグラウンド」による減感と共に作用する杆体の有効収集面積の減少(遊離オプシンによる変換カスケードの定常的活性化が低レベルであるため)に帰することができる。
有効収集面積(ECA)は、杆体の幾何学的収集面積(A)、色素の量子効率(QE)、および色素密度(α)に依存する。
Figure 2018197275

上記式中、1は経路の長さである。9−シス−レチナールを使用して生成する色素はイソ−ロドプシンであり、それはRhの量子効率の約1/3(0.22対0.67)である。生化学的測定値は、2.5mgの9−シス−レチナールを胃管栄養法により投与したマウスでは色素の全てがイソ−ロドプシンであり(遊離オプシンなし±10%)、Rpe65+/+杆体中のロドプシン量の約57%である(すなわち300pMイソ−ロドプシン対525pMロドプシン)。量子効率および軸方向の色素密度の減少は、9−シス−レチナールを2.5mg与えたマウスから得られる杆体の有効収集面積の約5倍の減少を起こすと予想される。これは、Rpe65p+/+の杆体と比較して、9−シス−レチナールを2.5mg与えたRpe65−/−マウスから得られる杆体のフラッシュ強度の半飽和の6倍の増加と一致する。9−シス−レチナール1.25および0.25mgで処置したマウスからの杆体において、イソ−ロドプシンの軸方向密度はRpe65p+/+杆体におけるロドプシン量の、それぞれ21および16%であった。上と同じ理由によって、これらの変化は、Rpe65p+/+と比較してフラッシュ強度の半飽和を14.5−および19倍増加すると予想される。これは観察された感受性の変化を説明するには不十分である;1.25および0.25mgの9−シス−レチナールを胃管栄養法により投与したマウスからの杆体はその後それぞれ4.5倍および6.8倍減感される。
付加的減感は、「暗光」のように作用してカスケードの定常的活性化をおこす等価なバックグラウンドに帰することができる。Rpe65p+/+杆体に関する独立的諸研究において、バックグラウンド照明によるフラッシュ感受性の変化はウエーバー−フェヒナー(Weber−Fechner)関係式によって説明された:
Figure 2018197275

上記式中、Sは定常光におけるフラッシュ感度、Sは暗所におけるフラッシュ感度、Iはバックグラウンド光強度、そしてIはフラッシュ感度をその暗数値の半分だけ減少させるバックグラウンド強度(10光子/μm/s)である。したがって、378および648光子/μm/sのバックグラウンド強度はフラッシュ感度の4.5および7倍の変化を起こすことが期待される。有効収集面積0.5μmおよび積分時間0.3秒では、これらのバックグラウンド強度はRpe65p+/+杆体の等価的活性化、57および97Rh/sに相当する。
処置Rpe65−/−杆体において、残留遊離オプシンの等価なバックグラウンドを、遊離オプシン濃度の生化学的測定値と生理学的減感推定値との組み合わせによって決定した。Rpe65p+/+杆体のRh分子数は約2×10(すなわち、0.02pl中3mMロドプシン)と推定される。Rpe65−/−マウスからの杆体における生化学的測定値から、処置後48時間目にはそれらがRpe65p+/+より約40%少ない色素を作ることが示される。従って、2.5mgの9−シス−レチナールを胃管栄養法により投与したRpe65−/−マウスからの杆体中のイソ−ロドプシン分子数は約1.2×10である。より少ない用量の9−シス−レチナールは、イソ−ロドプシンを形成するために使用できる色素を全ては再生せず、そこは遊離オプシンのプールとなる。レチノイド分析により、1.25および0.25mgの9−シス−レチナールを胃管栄養法により投与したRpe65−/−マウスからの杆体中の遊離オプシン量は使用できる色素(すなわち7.5−8.6×10分子)の総量の63および72%であることが示唆される。この量の遊離オプシンで、57および97Rh*/sを退色させる定常光によって起きるRpe65+/+杆体の減感に匹敵する減感をRpe65−/−マウスからの杆体に起こすためには、約1×10オプシンがそのカスケードならびに1Rhを活性化しなければならない(1.3−0.9×10オプシン:Rh)。この数値は遊離オプシン:Rhの活性化比のこれまでの推定値(すなわち10:1)と広く一致する。図3の挿入図は、バックグラウンド明順応およびフラッシュ反応を同様な量だけ減感した等価な(遊離オプシン)バックグラウンドによる順応が、薄暗いフラッシュ反応速度に対して同様な効果を有することを示す。これは、順応がバックグラウンド光によるものであれ、暗順応と関連する等価なバックグラウンドによるものであれ、薄暗いフラッシュ反応の反応速度における順応変化は同様であることを示したこれまでの研究とも概ね一致する。
未処置Rpe65−/−マウスから記録される高度に減感された杆体反応は、処置マウスの杆体に見られるような反応速度の促進を示さなかった。この相違についてはいくつかの説明が可能である。一つの可能性は、遊離オプシンの活性が未処置Rpe65−/−マウスからの杆体では処置マウスのそれより低いことである。これは、おそらく、未処置杆体ではオプシンの燐酸化があるためと考えられる。この説明は、少用量の9−シス−レチナールによる処置が、残っている遊離オプシンの大部分または全てを多分脱燐酸化によってより高い活性状態に変えることを必要とする。もう一つの可能性は、未処置マウスでは光色素の活性化および脱活性化が変化することである。例えば、光変換によって作りだされる光色素が正常ロドプシンと一致するということは明らかでない;例えばオプシンがまだ燐酸化されているかも知れない。
9−シス−レチナール処置後の正常杆体機能の完全またはほぼ完全な回復は、エレクトロレチノグラムの感度の部分的回復と対照的であった。エレクトロレチノグラムは主として二極性細胞の活性を反映するので、この差は、杆体における反応が杆体−二極性シナプスを経て正しく伝達されないことを示す。Rpe65−/−マウスでは、視シグナルの欠乏のためにこのシナプスが正しく生成しないことが考えられる。出生時から連続的9−シス−レチナール処置を行うとこの問題の改善に役立つかも知れない。
9−シス−レチナール処置の利点および欠点:レチナールは次の二方法の一つ(または組み合わせ)によって効果的に眼に送達され得る:胃管栄養法による投与および静脈注射。最も効果的な送達系は胃管栄養法である。それは1−2日以内に視物質を回復し、肝臓およびRPEミクロソーム内の9−シス−レチニルエステルの蓄積をも起こす。それは非常に再現性のある方法である。48時間にわたって血中レチノイドの一過性上昇があり、その後正常レベルに戻る。唯一の目立った欠点は、レチノイドの多くが貯蔵されるよりむしろ分泌され、そのためその他の送達法より多量を必要とすることである。
静脈注射もレチノイドを眼に送達する効果的方法であるが、この方法はレチノイドが腎臓によって血流から速やかに排泄されるという欠点を有する。これはレチナールをシクロデキストリン・ネットに「閉じ込める」ことによってある程度防ぐことができる。十分に再生するためには多数回または多用量を注射しなければならないが、これは局所的感染と関連する潜在的問題を生ずる。循環する全トランス−レチノイドの量を減らすために、肝臓カルボキルエステラーゼを阻害して、全トランス−レチナールの血流への放出を阻止することが有用かも知れない。このような阻害剤は、それらが強力であれば、非常に有毒である。なぜならばそれらはヒドロラーゼ活性を必要とするその他のプロセスを阻害するからである。ビタミンKおよびEのような一般的なおよび弱い阻害剤はある程度有効であるが、血流中のシス−レチノイドレベルを高めるにはより特異的阻害剤が必要である。眼内注射は同様な症例に選択できることを付け加えておく。
肝臓およびRPEにはシス−レチノイドの大きい貯蔵庫はない。これは十中、八、九、遊離レチナールまたはレチノールが全トランス異性体に非酵素的に変換するためである。しかし、哺乳動物の視力の効率はすぐれており、シス−レチノイド治療を念頭に置いて考慮する価値がある。例えば、哺乳動物の網膜は約10の光受容体を含む。もしも各光受容体が平均1−2×10フォトン/sを量子効率0.65(または9−シス−レチナールでは0.3)で吸収するならば、11−シス−レチナールの1日必要量は1μg未満に過ぎず、この量はたとえレチノイドの大部分が肝臓に保持され、または分泌されるとしても、食事性補充によって容易に供給できる量である。ビタミンAの推奨摂取量は男性で0.8mg/日、女性で0.7mg/日であり、3mg/日という安全性の上限は、データ不足のため、推定値に過ぎない。
複数回の胃管栄養法による投与は眼のレチニルエステル量を増やさない。これに対して、早期介入は全トランス−レチニルエステルの蓄積を顕著に低減する(図1)。これは網膜疾患のシス−レチノイド治療の成功する必要条件の一つであり得る。RPEにおける全トランス−レチニルエステルのレベルは介入の時期によってあらかじめ決まる。もしも治療が出生後非常に早期に開始されるならば、エステルは野生型マウスにおけるように、年齢と共に徐々に増加するに過ぎない。その処置は眼からエステルを除去はしないが、エステルの蓄積を阻止する。考えられる一つの説明は、オプシンが再生しないというシグナルを網膜が送り、これが血液循環からのレチノール捕獲をおこし、レチニルエステルとしてRPEに貯えるというものである。レチニルエステルが11−シス−レチナールに変換できない場合、「オプシンシグナル」がオンになり、これら二つの要因が最後にはエステル蓄積に導く。このような連絡のメカニズムは分子レベルでは知られていない。
つまり、この研究は、9−シス−レチナールの投与が杆体光色素および杆体網膜機能を6カ月間よりも長く回復し、早期介入がエステル蓄積を著しく低減することを証明するものである。Rpe65−/−マウスのオプシンはRpe65−/−マウスの杆体において構成的に燐酸化される。視物質のこの改変はLCAの病理生理学に関係し得る;幸いなことに、9−シス−レチナール処置後、オプシンは脱燐酸化される。Rpe65−/−マウスの11−シス−レチナールのソースは網膜に存在する全トランス−レチナールの光異性化から生じ、二重Rpe65−/−Rgr−/−ノックアウトマウスに示されるように、網膜G蛋白共役受容体のフォトイソメラーゼに加えて、その他の作用機序がこのプロセスに関係するという証拠も提供されている。単一細胞の記録を使用する電子生理学的データは、11−シス−レチナールが現場で杆体外側部分に形成されることを示唆する。これらの研究はLCAの病因に関する分子レベルでの情報を提供し、薬理的介入が暗所で飼育されたRpe65−/−マウスの視機能の長期保存をもたらすことを証明している。
(実施例2)
光変換はロドプシン(Rh)発色団11−シス−レチニリデンの、全トランス−レチニリデンへの光異性化によって開始する。ここで、異なる環サイズを有するレチナール同族体で再生したロドプシン(これはC11=C12二重結合の周りの異性化を阻止する)を使用して、このG−蛋白共役受容体の活性化メカニズムを研究した。11−シス−7−環−ロドプシンはインビボでもインビトロでもG−蛋白を活性化しないし、その他の二重結合に沿って異性化しない;これはそれがオプシンの結合部位にきっちりとフィットしていることを示唆する。これに対して、退色11−シス−6−環−ロドプシンはインビボで、および低pH、インビトロで光変換を軽度に活性化する。これらの結果は、より硬い6位固定(6−locked)レチナール異性体ではその他の二重結合に沿った異性化によって、および11−シス−6−環−ロドプシンではpHを低くすることによって鍵となる残基のフォトン化によって部分的活性化が起きることを明らかにする。完全な活性化は得られない、なぜならば異性化はロドプシンのコンホメーション再配列の完全な1組を誘発しないからである。6−および7−環−束縛−レチノイドに関するこれらの結果はロドプシン活性化への新しい洞察を与え、固定されたレチナール類、特に11−シス−7−環−レチナールの利用を示す。
脊椎動物の網膜光受容体細胞において、視物質発色団の異性化、11−シス−レチナールの全トランス−レチナールへの異性化が、総合的に光変換カスケードと称される1組の反応をトリガーする。光変換事象は活性化ロドプシン(Rh)によって開始し、究極的にはニューロンのシグナリングに導く典型的G−蛋白カスケードに沿って進行する。ロドプシン発色団の光異性化によって生成する触媒的活性な中間体であるメタロドプシンII(またはMetaII、Rh)は、オプシンのLys296に脱プロトン化したシッフ塩基を介して共有結合した全トランス−レチナールを含む。それに続いて、MetaIIは再プロトン化を受け、光分解した発色団は加水分解され、オプシンから遊離する。光異性化した発色団によるロドプシン活性化の正確なメカニズムは知られていない。
ロドプシンの光退色プロセスは、レチナールが11−シス−二重結合の周囲で異性化できないようにする余分の環をC10とC13との間に含むレチナール同族体を使用して研究された。C9−C11の動きが制限されている人工的視物質は正常な光分解中間体を形成する。これはロドプシンの活性化にC11=C12結合異性化が重要であることを示唆する。より最近になって、光異性化後、発色団のβ−イオノン環がMetaIIに移行中に新しい位置に動くことが報告された(Borham et al.,Science 288:2209−12(2000))。Jang et al.(J.Biol.Chem.276:26148−53(2001))は、6−環−束縛レチナール異性体および基底状態のロドプシンの結晶構造を使用して、この移動が制限される場合に残留活性だけが認められることを示した。固定されたレチナール同族体を用いてビタミンA−欠落ラットにおけるインビボ視伝達も研究された。これらの動物はロドプシンの正常補体の約半分を有した。固定されたレチナールの注射は光受容体に同族体色素を出現させたが、ラット眼から記録されたエレクトロレチノグラフィーb−波の応答には顕著な影響を与えなかった。野生型ロドプシンからの妨害のため、結果を十分に説明することができなかった。
光受容体において光でトリガーされる諸事象は二細胞系、すなわち光受容体細胞及び網膜色素上皮細胞(RPE)を含む再生反応と相互に綿密に関係する。フォトンの吸収によって生ずるあらゆる光異性化はロドプシンの再生によって、新たに合成された11−シス−レチナールと釣り合う。Rhから遊離した光異性化生成物、全トランス−レチナールは光受容体において全トランス−レチノールに還元され、その後、RPEにおいて視サイクルまたはレチノイドサイクルと呼ばれる酵素的過程において11−シス−レチナールに戻る(McBee et al.,Prog.Retin.Eye Res.20:469−529(2001))。レチノイドサイクルの数種の成分が確認されているが、主な酵素的および化学的変換はよくわかっていない。
レチノイドサイクルに含まれる蛋白の一つはRPE65である。これは分子量65kDaを有する高度に発現される膜結合型RPE蛋白である。この蛋白は11−シス−レチノール脱水素酵素(11−シス−RDH)と複合体を形成するようにみえる。RPE65の機能は知られていないが、レチノイドプロセッシングと関係すると考えられている。95%より多くのRPE65を除去する高濃度塩で洗ったRPEミクロソームはまだ大部分の異性化活性を保有していた。しかし予想外に、Rpe65−/−マウスはRPE中に全トランス−レチニルエステルを脂質様滴の形で過剰蓄積していた。その後のレチノイド分析では、エステルまたはアルコール型のいずれの11−シス−生成物も検出されなかった。Rpe65−/−マウスのエレクトロレチノグラム(ERG)測定は、杆体および錐体機能がひどく衰退していることを明らかにした。少量の11−シス−レチナールが光受容体細胞において現場で光化学的反応によって生成する。シス−レチノイドによる早期介入がレチニルエステル蓄積を著しく減らすことが証明された(実施例1を参照)。この動物モデルは、11−シス−レチナールとは異なる、光活性化プロセスを受けた合成レチナール同族体で再生したロドプシンのインビボ特性を野生型ロドプシンからの妨害なしに研究するのに非常に有用である。
本研究において、環−束縛11−シス−レチナール異性体で再生され、C11−C12二重結合周囲の異性化を阻止するC10とC13との間の3−炭素架橋を含むロドプシンは、インビボでもインビトロでも顕著な異性化および活性化を受けない。これに対して、11−シス−6−環−ロドプシンの退色(2−炭素架橋)はその他の二重結合に沿って異性化を起こし、低pHでロドプシンの活性種を生成する;それはFTIR分光光度分析によって証明されたように、インビボおよびインビトロの両方において光変換事象をトリガーする。これらの結果はロドプシン活性化への新たな洞察をもたらすものであり、同時に、6−および7−環−束縛レチノイドが網膜病変のレチノイド治療において有用であることを示すものである。
(方法および材料)
11−シス−7−環−レチナールの合成:11−シス−7−環−レチナールを公表された手順によって合成した(Akita et al.,J.Am.Chem.Soc.102:6372−6376(1980);Fujimoto et al.,Chirality 14:340−46(2002):Caldwell et al.,J.Org.Chem.58:3533−37(1993))。(異性体1−4(化合物1−4としても記載されている)の同定には図4Aを参照されたい。)
11−シス−7−環−レチナールで再生されたロドプシンの光異性化:杆体外側部分、オプシンの調製、レチナールによるロドプシン再生、およびコンカナバリンA−セファローズ4Bカラム上でのロドプシンの精製を既述(Jang et al.,J.Biol.Chem.276:26148−53(2001))のように行った。
11−シス−レチナールおよび11−シス−7−環−レチナール類で再生したロドプシンの燐酸化:再生したロドプシン(2mg/ml)を、5mM MgCl、0.5mM[32P]ATP(約35,000ないし約50,000cpm/nmol)および精製ロドプシンキナーゼ(約5μgの蛋白)を含む100mM燐酸ナトリウム緩衝液、pH7.2、100μlに混合し、既述(Palczewski et al.,J.Biol.Chem.266:1294955(1991))のようにアッセイを行った。試験は3回行われた。
11−シス−7−環−レチナール異性体を用いるRDHのHPLC活性アッセイ:11−シス−RDH(レチノール脱水素酵素)および光受容体全トランス−レチナールー特異的RDH(prRDH)または全トランス−RDHの活性を、[15−H]レチノール異性体の生成(レチナール異性体の還元)をモニターすることによって分析試験した(Jang et al.,J.Biol.Chem.275:21128−38(2000))。反応混合物(100μl)はMES(最終的濃度、66mM、pH5.5)、1mM DTT、精製11−シス−RDH−His6(0.31μg)のためのプロ−S−[4−H]NADH(16μM)(Jang et al.,J.Biol.Chem.275:21128−38(2000))またはprRDHのためのプロ−S−[4−H]NADPH(12μM)(Sf9細胞に発現され、20mM BTP、1mM ジチオスレイトール、1μM ロイペプチンに細胞ペレット/緩衝液比1:49で懸濁された)、および反応を開始するために最後に添加される2μlの11−シス−7−環−レチナール異性体(120μM)サブストレート・ストックを含んでいた。反応液を33℃で10−20分間インキュベートした。
レシチン:レチノール アシルトランスフェラーゼ(LRAT)アッセイ:新鮮ウシ眼をシェンク・パッキング社(Schenk Packing Co.,Inc.)(Stanwood,WA)から入手した。ウシRPEミクロソームの調製は既に記載された(Stecher et al.,J.Biol.Chem.274:8577−85(1999))。このミクロソームを10mM MOPS、1μM ロイペプチン、および1mM ジチオスレイトールに再懸濁した。その際光熱量計によって測定して総蛋白濃度が約5mg/mlになるようにした(Bradford,Anal.Biochem.72:248−54(1976))。部分を80℃で保存し、調製1カ月以内に使用した。内因性レチノイドを破壊するために、RPEミクロソームの部分、200μl、を石英キュベットに入れ、クロマトUVE−トランスイルミネータ(TM−15型、UVP社)を用いて0℃で5分間照射した。全研究は暗赤色光の条件下で行われた。全トランス−レチノール、11−シス−レチノール、および11−シス−7−環レチノールは、分光光度分析によって測定して1mM濃度になるようにジメチルホルムアミドに溶解した。130μlの10mM BTP、pH7.4、20μlの10%ウシ血清アルブミン、および10μlの10mM ATP(10mM BTP(1,3−ビス[トリス(ヒドロキシメチル)−メチルアミノ]プロパン)、pH7.4、中)を含む1.5mlのポリプロピレンチューブに、20μlのUV処理ウシRPEミクロソーム(約100μgの総蛋白)を加えた。その後11−シス−7−環−レチノールの1mMジメチルホルムアミド溶液(2μl)をその混合物に加え、指定された時間、37℃でインキュベートした。300μlのMeOHおよび300μlのヘキサンの添加によって反応を停止した。レチノイドを抽出するために、渦撹拌器上で5分間激しく撹拌し、14,000rpmで4分間遠心分離し、ヘキサン層と水層とを分離した。ヘキサン抽出物(100μl)を標準相HPLC(4%酢酸エチル/ヘキサン)によって分析した。研究は2回ずつ行った。レチノイドの量は標準化された。
LRAT阻害アッセイ:アッセイは上記のように行われたが、11−シス−7−環−レチノールと共に37℃で15分間プレインキュベーションした後、全トランス−レチノールまたは11−シス−レチノールの1mM溶液2μlを加え、反応液をさらに10分間インキュベートした。対照として、11−シス−7−環−レチノールを加えずに、反応液をジメチルホルムアミド2μlと共にプレインキュベートした。
FTIR分光光度測定:オプシン膜(24μM)(Sachs et al.,J.Biol.Chem.275:6189−94(2000))をBTP緩衝液(1mM MgClおよび130mM NaClを含む20mM BTP、pH7.5)中で、240μMの11−シス−レチナールと共に、または11−シス−6−環−または11−シス−7−環−レチナール異性体類いずれかの混合物と共に一晩インキュベートした。膜懸濁液を100,000×gで25分間遠心分離し、BTP緩衝液に再懸濁すると2.2mMロドプシンが得られた(500nmの吸収から)。トランスデューシンの高親和性同族体(Gt−340−350)で測定するために、8mM VLEDLKSCGLF(配列番号:1)を使用した。HO/DO交換のためにペレットをジューテリウム化緩衝液に3回再懸濁した。緩衝溶液を除去し、ペレットを2つのBaF窓と、3μmポリテトラフルオロエチレン・ガスケットとを有する30−mm直径の温度制御−トランスミッション・セルに移した。ブルーカ(Bruker)ifs 66−Vスペクトロメータを用いてスペクトルを記録した(Bartl et al.,FEBS Lett.473:259−64(2000))。全てのサンプルで、MetaIIからロドプシンを差し引いた差スペクトルを作成した。
動力学的光散乱:光散乱の変化を既述(Heck et al.,Methods Enzymol.315:32947(2000))のように測定した。測定は300μl容積を有する10mm−パスキュベットで、等張性緩衝液(20mM BTP、130mM NaCl、および1mM MgCl、pH6.4(図6に説明されている))中で、22℃、A/D変換器(ニコレット400、マジソン、WI)を用い、ドエル・タイム5−msで行われた。膜懸濁液を含むサンプル(3μM ロドプシン)を精製Gt(0.8μM)および1mM GTPで再構成した。適切なニュートラル濃度フィルタによって減衰させた緑色(500±20nm)フラッシュによるロドプシンのフラッシュ光分解によって反応をトリガーした。フラッシュ強度は、退色し、光励起ロドプシンのモル分率(Rh/Rh)としてあらわされるロドプシンの量によって、測光的に定量された。
動物:全ての動物試験はワシントン大学動物ケア委員会によって承認され、米国獣医学会安楽死委員会の勧告にしたがった手順を使用した。全動物は完全な暗所に置かれ、全ての操作はコダックNo.1安全光フィルタ(透過>560nm)を用いて暗赤色光のもとで行われた。一般的に、齢2−3カ月のマウスを全ての試験に使用した。RPE65−欠乏マウスはM.Redmond(ナショナル・アイ・インスチチュート、ナショナル・インスチチュート・オブ・ヘルス、Bethesda,MD)から入手し、既述(Redmond et al.,Nat.Genet.20:344−51(1998);Redmond et al.,Methods Enzymol.316:705−24(2000))のように遺伝子型を決定した。
レチノイドおよび視物質の分析:全ての手順は既述(Van Hooser et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:862328(2000);Jang.et al.,J.Biol.Chem.276:3245665(2001);Palczewski et al.,Biochemistry 38:12012−19(1999))のように暗赤色光のもとで行われた。
ERG:マウスを麻酔するために、100mM NaClを含む10mM燐酸緩衝液、pH7.2、で希釈した6mg/mlケタミンおよび0.44mg/mlキシラジンの15μl/g体重を腹腔内注射した。1%トロピカミドで瞳孔を拡大した。コンタクトレンズ電極をメチルセルロースの1滴と共に眼の上に置き、接地電極(照合電極)を耳の中に置いた。ERGをユニバーサル試験および電気生理学的装置3000(ユニバーサル・テスティング・アンド・エレクトロフィジオロジック・システム3000(universal testing and electrophysiologic system 3000))(UTAS E−3000)(LKC テクノロジー社(LKC Technologies,Inc.))で記録した。マウスをガンツフィールド・チェンバに入れ、フラッシュ刺激に対する反応を両眼から同時に得た。フラッシュ刺激は強度範囲(0.00020−41candela s/m)を有し、白色光フラッシュ持続時間は10msであった。2回から4回の記録を10秒よりも長い間隔で行った。全条件における各点の記録には一般的に4−8匹の動物を使用した。全てのERG測定は麻酔後10−40分以内に行われた。
イムノサイトケミストリー:切片の作成、および抗燐酸化ロドプシン抗体、A1182P(P.Hargrave からの贈り物)を用いる免疫標識を既述のように行った(Van Hooser et al.,J.Biol.Chem.277:19173−82(2002))。
モデリング:ウシ・ロドプシンのためのコーディネートは蛋白データバンクから得た(1HZX)。水素原子の付加および全ての最適化はInsightIIで(InsightII release 2000、Accelrys Inc,Sandiego,CA)既述のように行われた(Jang.et al.,J.Biol.Chem.276:26148−53(2001))。
(結果)
11−シス−7−環−レチナールの合成およびロドプシンの活性部位のモデリング:7員環を組み込んだ11−シス−固定−レチナール同族体の全体的合成が最近報告された(Fujimoto et al.,Chirality 14:340−46(2002))。この方法は11−シス−7−環−レチナールを合成する変法で行われた。化合物は4種類の異性体の混合物として製造された。これらの異性体は標準相HPLCによってよく分離され、前に「方法および材料」の部分(上記)に記載されたものと一致するUV−可視およびH NMRスペクトルを有する(Caldwell et al.,J.Org.Chem.58:3533−37(1993);Akito et al.,J.Am.Chem.Soc.102:6370−72(1980))。異性体3,11−シス−7−環−レチナールのコンホメーションは11−シス−レチナールと高度に重なる。全ての異性体はロドプシンのX線構造を使用する分子モデリング(Palczewski et al.,Science 289:739−45(2000);Teller et al.,Biochemistry 40:7761−72(2001))およびエネルギー最小化アルゴリズムによって示されるように、ロドプシンの結合部位にフィットする。
異性化、還元およびエステル化に対する11−シス−7−固定−ロドプシンの感受性:11−シス−7−環−レチナールは6−環−異性体に比べて熱による異性化にはより安定である。溶液中でこれらの7−環−レチノイドを退色させると、最少量の異性体が9,11,13−トリシス−レチナール1である異性体混合物が生成する(図4A)。これらの異性体で再生したロドプシンをコンカナバリンAカラムクロマトグラフィーを使用して精製した(図4B)。オプシンに結合した際、11−シス−7−環−レチナール(異性体3)が異性化に対して最も安定であるようにみえる(図4C)、他方、11,13−ジシス−異性体2は暗所においてさえ容易に異性体3に変換し、オプシンがこの異性化を促進することが示唆される。全体的に、7−環−含有レチノイドは6−環−含有レチナールに比較して全ての条件においてより安定で、より低い程度に相互変換を受けるようにみえる。トリ−シス異性体1を除いて、それらは11−シス−RDHのためには貧弱な基質である。それらは異なる異性体間の区別なしにprRDHによって利用される。これらのデータはまたしても6−環−レチノイドのデータとは異なる。最良の基質に対する両方の脱水素酵素の活性は天然レチナールの約10分の1に過ぎず、これらの基質が視覚系に内生する脱水素酵素によってあまり利用されないことを示唆する。これらのレチノイドはLRATにとっても貧弱な基質であり、一部だけがエステル化され得るに過ぎない(図5)。全トランス−レチノールまたは11−シス−レチノールが基質として存在する際に分析試験すると、11−シス−7−環−レチナール類は効果のないLRATインヒビタである。
11−シス−7−環−ロドプシンのインビトロ活性:11−シス−7−環−レチナールで再生したロドプシンにおける光誘発性形質転換を評価するために、FTIR分光測定法を用い、オプシンの異なる領域に特異的なスペクトルの変化をモニターした。光活性化すると、異性体1および4で再生したロドプシンは野生型ロドプシンに比較して差スペクトルにわずかな変化をもたらしたが、異性体2および3は不活性であった。11−シス−結合は固定されているため、これらの変化は固定されたC11=C12二重結合を除いたその他の二重結合の周囲の異性化を反映する。これらのスペクトルの全てはpH非感受性であった。FTIRによると、退色で発色団はその幾何学構造を変化しつつあるが、発色団の移動はロドプシンの水素結合にもカルボン酸のプロトン化状態にも顕著な変化を起こさないことが明らかである。スペクトルデータと一致し、Gt活性化のモニターとしての光散乱変化は、非常に低いが測定可能のpH非依存性活性を与えた。
6−および7−環−異性体によるロドプシンのインビボ再生:インビボ研究のためにレチノイド同族体で再生されるロドプシンを生成するために、Rpe65マウスをレドモンド(Redmond)らの方法(24)によって作成した。これらのマウスは11−シス−レチナールの実質的量を産生することができない(Van Hooser et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:8623−28(2000))。Rpe65+/+マウスのロドプシンは光感受性の発色団を有する。しかし、Rpe65−/−マウスを使用してインビボで11−シス−7−固定−レチナールで再生したロドプシンは、光不感性ロドプシンを生成した。これは1%SDSの添加によって差スペクトルにおいて検出することができた。レチノイド分析は、予想される量の視物質の存在を明らかにした。7−環異性体類の混合物の注射が唯一の異性体生成物(11−シス−7−環−レチナール、異性体3)を与えたとはいえ、6−環−含有レチナールの混合物は、これまでの研究(Jang.et al.,J.Biol.Chem.276:26148−53(2001))から予想され得るように3種類の異性体を生成した。これらの結果は、11−シス−レチナールの構造に酷似した11−シス−7−環−レチナールで、オプシンがインビボで容易かつ優先的に再生されることを示唆する。
インビボにおける11−シス−7−環−ロドプシンの活性の欠如:アッセイの感度を高めるため、およびインビボで7−固定−異性体で再生するロドプシンの特性を評価するために、Rpe65−/−マウスを異性体3で処置した。活性(a−およびb−波)はMeSOのみで処置したサンプルに比べてこの処置による影響を受けなかった。これに対して、陽性対照において9−シス−レチナールは、強度の低い光であっても処置マウスの感受性を有意に高めた。さらに、11−シス−7−環−ロドプシンは精製ロドプシンキナーゼを使用するインビトロ燐酸化アッセイにおいて不活性であった。
つまり、これらの結果は、7−環−レチナールは、全ての試験条件においてほとんど不活性であるロドプシンを生成することを示す。この知見はインビボおよびインビトロにおける異なる感度を有する相補的方法、例えばFTIR、ERG、Gt活性化、および燐酸化などを検出アッセイとして使用することによって確認された。
11−シス−6−環−Rhはインビボおよびインビトロにおいて活性である:驚いたことに、6−環−含有レチナールでインビボ再生したロドプシンは、より強い退色において活性である。a−およびb−波はMeSO対照と比べて明らかに高まった。この結果は、以前に測定したロドプシンの低活性と一致する(Bhattacharaya et al.,J.Biol.Chem.267:6763−69(1992);Ridge et al.,J.Biol.Chem.267:6770−75(1992);Jang.et al.,276:26148−53(2001))。ロドプシンおよび固定同族体を有する色素の相対的活性は次のようである。6−固定同族体で再生したロドプシンを含む膜では、野生型ロドプシンに匹敵するGt活性化速度を誘発するためには1350倍強度の活性化光フラッシュが必要である。FTIRスペクトルに見られるpH依存性と一致し、この活性は酸性pHでは上昇する。これは天然ロドプシンの周知のpH/速度プロフィール(pH7.4における活性がpH6.4に比べて高い)とは対照的である。その上、この結果の作用機序関係(「考察」(下記)を参照されたい)と並んで、これらのデータは固定された同族体の活性が単に内因性11−シス−レチナールの痕跡量に起因するという考え方を排除することができる。さらに、6−固定同族体で再生したロドプシンの活性はヒドロキシルアミンに感受性を有し、光活性化光生成物が天然Rhと同様な「開いた」コンホメーションを有することを示している。インビボでの知見と一致して、11−シス−6−環−ロドプシンの活性は7−固定色素の活性より著しく高い。
FTIRスペクトルは、11−シス−6−環−ロドプシンの基礎状態の蛋白−発色団相互作用が退色サンプルとは異なることを示す。pH7.5では1206cm−1のバンドによって示される発色団−蛋白相互作用の変化は、蛋白の顕著な変化には導かれず、残留活性だけが検出され得た(14)。しかし、pH4.5では、同じ変化が水素結合の再配向および二次構造の変化に導き、Gt−(340−350)−由来のペプチドに結合できるMetaII様生成物を形成した。この知見は、pHがオプシンの構造変化を誘発し、それが発色団と結合部位の蛋白環境との相互作用を可能にすることを示唆する。この変化のためのpKは5.4であり、MetaII様構造は、11−シス−レチナールで再生したMetaIIに匹敵する半値幅時間で崩壊する。Glu113のプロトン化に帰せられるRho/MetaII差スペクトルにおける1713cm−1のバンドはpH4.5で11−シス−6−環−異性体で再生するMetaII様生成物においては1708cm−1にシフトするようにみえる。1713cm−1のMetaIIバンドとは対照的に、サンプルをDOで処理した際にこのバンドは顕著にはシフトしないが、結合の形がわずかに変化した。興味深いことに、このバンドは11−シス−6−環−異性体で再生したロドプシンのE113Q突然変異体のMetaII様光生成物にも認められる。
(考察)
本研究の結果から、異なる、ただし関連する2つの論題、すなわちロドプシンの活性化メカニズムおよびレチノイド同族体のインビボ利用、に関する結論が導かれる。
ロドプシンの活性化:レチノイド同族体の研究から得られた新しい教訓:本研究は活性化プロセスに関する新しい重要な情報を明らかにした。明らかに異なる3種類の発色団−蛋白相互作用が11−シス−7−環−および11−シス−6−環−含有レチナールおよび11−シス−レチナールで見いだされた。1)11−シス−7−環−異性体で再生したロドプシンは野生型活性の0.1%を有するに過ぎない;これは感度の高いERGおよびFTIR研究のいずれにおいても不活性である。この低活性は存在する遊離オプシンが少量である結果であり得、遊離オプシン:Rhの推定活性化比率、すなわち10:1と一致し得る。こうして11−シス−7−環−レチナールはオプシン結合ポケットによって安定化され、安定な11−シス−環−ロドプシンを形成するようにみえる。9,11−ジシスおよび9,11,13−トリシスが退色すると最も安定な異性体である異性体3に変換し、Gt活性化の欠如と一致するFTIRスペクトルを生成する。2)これに対して、11−シス−6−環−レチナールのC9=C10およびC13=C14二重結合に沿って起こり得る移動は、ロドプシンの活性化におけるトリガーバリヤを十分に克服する。この活性はインビボにおいて、およびヌクレオチド取り込みおよび燐酸化アッセイを使用するこれまでの測定に比べて進歩した光散乱アッセイにおいて、明らかに検出できる。この活性状態はヒドロキシルアミンに対する感受性、FTIRスペクトルの形、およびGtペプチドとの相互作用においてMetaIIに似ている。しかし11−シス−6−環−Rhの退色はpH依存性のGt活性化に導き、一方MetaIIはpHの広範囲にわたる広い高活性を有する。この結果は、C9−C10およびC13−C14に沿った異性化がロドプシンの発色団周囲を十分に弛緩させ、発色団−遊離オプシンで認められたような活性化が可能になることを示唆する。しかしロドプシンの活性化は鍵となる残基の正しい「強制」プロトン化では達成されない。完全な活性化が起きるのは、全トランス−レチニリデンが最も伸展したコンホメーションをとり、発色団のβ−イオノン環がその蛋白環境に作用し得る場合だけである。活性化メカニズムはまだ明らかでないとはいえ、もう一つの驚くべき考察との深い関係、すなわちFTIRスペクトルが活性種を示す一方、対イオンGlu113のプロトン化および塩架橋破壊を示すスペクトルモチーフのスペクトル特性が変化するということが推測される。
pH依存性活性の最も明快な説明は、H+が、部分的に光で活性化され、野生型ロドプシンの光活性化中に発生する状態に類似する仕方で、レチナール結合部位に適合するというものである。もう一つの矛盾しない説明は、6−環−レチナールの制限された光化学が、重要な残基(類)(Glu113を含む)のプロトン化および活性コンホメーション(オプシン/オプシン平衡に類似している)の形成を最後には可能にするような仕方で、それら(6−環−レチナール)の逆アゴニスト様特性を一部分除去するのに十分である、というものである。3)天然MetaIIでは、エネルギー量は、中性pHにおいても塩基性pH値においてさえも受容体を活性コンホメーションにすることができる程十分大きい。11−シス−6−環−Rhの光誘発性活性種の見かけpKは5.4で、1pH単位だけより低く、遊離Glu残基のpKから約1.5kcal離れる。その一方、MetaIIのプロトン化種は6.7のpKを有する。天然ロドプシンおよび11−シス−6−環−レチナール再生−ロドプシンにおいて観察された活性種のある残基を、天然pKaより高いpHにおいてプロトン化するにはエネルギーが必要である。
結論として、天然または6−固定−レチナールのロドプシン結合ポケットにおけるレチナール異性化は、Gtとのカップリングを可能にするような蛋白のコンホメーション変化を起こすようである。興味深いことに、この特性は特異的であり、しかも非常に類似している6−環−および7−環−含有レチナールを区別する。この相違はおそらく、活性部位における両レチナールのコンホメーション、環によって与えられる固定性、および6−環−含有レチナールの容易な異性化に起因する。
レーバー先天性黒内障における6−および7−環−含有同族体の使用:RPE65遺伝子の突然変異が確認されているのは、レーバー先天性黒内障(LCA)と診断された患者(Leber,Arch.Ophthalmol.(Paris)15:1−25(1869;Marlhens er al.,Nat.Genet.17:194−97(1997)))、および常染色体劣性小児期発生性重症網膜ジストロフィー患者(Gu et al.,Nat.Genet.17:194−97(1997))、および常染色体劣性色素性網膜炎患者(Morimura et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:3088−93(1998))である。LCAの特徴は、先天性盲目、または貧弱な中心視力、軽度の眼底変化、ほとんど存在しないエレクトロレチノグラム・シグナル、眼振、乳頭反応の低下、時には光恐怖症(Schappert−Kimmijser et al.,Ophthalmologica 137:420−22(1949))、場合によっては網膜の色素性変性、杆体光受容体の欠如、錐体のレムナント、RPEにおける色素の凝集、および網脈絡膜接着の欠如(Leber,Arch.Ophthalmol.(Paris)15:1−25(1869);Kroll et al.,Arch.Ophthalmol.71:683−690(1964))である。LCAの遺伝的異常は、種々の生理学的経路からの遺伝子に関連し(Cremers et al.,Hum.Mol.Genet.11:1169−76(2002))、RPE65遺伝子の突然変異が全てのLCA症例の約12%を占める(Thompson et al.,Invest.Ophthal.Vis.Sci.41:4293−99(2000))。
LCAを治療するための数種類の治療アプローチが提案されている。これらの方法としては、RPE移植、遺伝子代替治療、および薬理的介入が挙げられる。今日まで、動物における遺伝的変性の大部分の実験的治療介入は変性の進行を遅らせることを目的にしている。RPE65遺伝子の突然変異によって起きるレチノイドサイクルのブロックは、有望なことに、9−シス−レチナールの経口添加、およびそれによるイソ−ロドプシンの形成によって薬理的に克服されるらしい。シス−レチノイド投与後48時間以内に杆体光色素が形成され、杆体の生理的状態は劇的に改善され、RPE65が存在しない場合薬理的介入が視力を回復する可能性が示された。視機能の回復に関する9−シス−レチナール介入の効果に関するこの長期研究は、この考え方をさらに支持するものである。
これまでの実施例は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。本発明のその他の変形は当業者には容易に理解されるものであり、添付の請求項に包含される。全ての公報、特許、特許出願およびここに記載されるその他の参考文献は参考として本明細書に組み込まれる。
(配列表)
Figure 2018197275

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  1. 本願明細書に記載のレチノイド代替物およびオプシンアゴニスト、ならびにそれらの使用法。
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