JP2018196974A - 気密シール構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属構造体と気密シール部材との積層構造体からなり、気密耐久性に優れた気密シール構造体を提供すること。【解決手段】表面に凹凸が存在する金属構造体1と、前記金属構造体1の表面の凸部の頂点を含む領域を覆っており、かつ、接合されている、第1の樹脂からなる微細樹脂膜2と、前記金属構造体1の前記表面と前記微細樹脂膜2とを気密状態で被覆している、第2の樹脂からなる気密シール部材3とを備えており、前記第1の樹脂の破壊エネルギーGIC1と前記第2の樹脂の破壊エネルギーGIC2とが下記式(1):GIC1/GIC2>1 (1)で表される条件を満たすことを特徴とする気密シール構造体。【選択図】図1
Description
本発明は、金属構造体と気密シール部材とを積層した気密シール構造体に関する。
センサーの電極、太陽電池セル、パワー半導体素子、発光素子、ディスプレイパネル等の電子部品のパッケージは、金属構造体と樹脂からなる気密シール部材との積層構造体により構成されている。このようなパッケージが高圧ガスや液体に曝されると、金属構造体と気密シール部材との界面から高圧ガスや液体が侵入して電子部品の電極等が腐食、破損するという問題があった。このため、従来は、パッケージの外側にO−リングやかしめを装着して、金属構造体と気密シール部材との界面が高圧ガスや液体に直接曝されないように保護していた。しかしながら、これらの部品を装着すると、部品コストが高くなったり、パッケージのサイズが大きくなるという問題があった。
また、金属構造体と気密シール部材との積層構造体においては、金属構造体と気密シール部材との接合強度を向上させ、金属構造体と気密シール部材との界面の気密性を保持することによって、金属構造体と気密シール部材との界面からの高圧ガスや液体の侵入を抑制することが可能であると考えられる。金属構造体と気密シール部材との接合強度を向上させる方法としては、例えば、金属構造体の表面を粗化する方法(例えば、特開2016−65267号公報(特許文献1)、特開2016−132131号公報(特許文献2))が知られている。また、国際公開第2008/075533号(特許文献3)には、飽和ポリエステル樹脂と非結晶性ポリオレフィン系樹脂とを含有する飽和ポリエステル系樹脂組成物を接着剤として用いて金属部材と樹脂部材とを接着することによって、金属部材と樹脂部材との接着強度が向上することが記載されている。
しかしながら、金属構造体と気密シール部材は線膨張係数が異なるため、外部の温度変化等により、これらの界面には応力が発生する。この応力が前記界面近傍の気密シール部材中に存在するクラックの端部に集中すると、前記界面近傍の気密シール部材中でクラックが進展する。さらに、隣接したクラック同士が連結してパッケージ全体にクラックが進展すると、前記界面近傍の気密シール部材中にリークパスが形成され、気密シール部材の気密性が低下する。このような気密シール部材中にリークパスが形成されたパッケージが高圧ガスや液体に曝されると、リークパスを通して気密シール部材の内部に高圧ガスや液体が侵入し、電子部品の電極等が腐食、破損するという問題があった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、金属構造体と気密シール部材との積層構造体からなり、気密耐久性に優れた気密シール構造体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、金属構造体と気密シール部材との積層構造体において、前記金属構造体として表面に凹凸が存在するものを用い、この金属構造体の表面の凸部の頂点を含む領域を、前記気密シール部材を構成する樹脂よりも破壊エネルギーGICが大きい樹脂からなる微細樹脂膜で覆い、前記金属構造体の前記表面と前記微細樹脂膜とを前記気密シール部材で気密状態に被覆することによって、気密耐久性に優れた気密シール構造体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の気密シール構造体は、表面に凹凸が存在する金属構造体と、
前記金属構造体の表面の凸部の頂点を含む領域を覆っており、かつ、接合されている、第1の樹脂からなる微細樹脂膜と、
前記金属構造体の前記表面と前記微細樹脂膜とを気密状態で被覆している、第2の樹脂からなる気密シール部材とを備えており、
前記第1の樹脂の破壊エネルギーGIC 1と前記第2の樹脂の破壊エネルギーGIC 2とが下記式(1):
GIC 1/GIC 2>1 (1)
で表される条件を満たすことを特徴とするものである。
前記金属構造体の表面の凸部の頂点を含む領域を覆っており、かつ、接合されている、第1の樹脂からなる微細樹脂膜と、
前記金属構造体の前記表面と前記微細樹脂膜とを気密状態で被覆している、第2の樹脂からなる気密シール部材とを備えており、
前記第1の樹脂の破壊エネルギーGIC 1と前記第2の樹脂の破壊エネルギーGIC 2とが下記式(1):
GIC 1/GIC 2>1 (1)
で表される条件を満たすことを特徴とするものである。
本発明の気密シール構造体において、前記第1の樹脂が非晶性樹脂であり、前記第2の樹脂が結晶性樹脂であることが好ましい。前記第1の樹脂と前記第2の樹脂との組合せとしては、前記第1の樹脂が、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、及び変性ポリフェニレンエーテル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の非晶性樹脂であり、前記第2の樹脂が、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、結晶性の成分を含むエポキシ系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、及びポリプロピレン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の結晶性樹脂である、組合せが好ましい。
また、本発明の気密シール構造体においては、前記金属構造体の凹凸が存在する表面の二乗平均粗さが0.005〜200μmであることが好ましい。
なお、本発明の気密シール構造体が優れた気密耐久性を有する理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の気密シール構造体は、図1に示すように、表面に凹凸が存在する金属構造体1と、この金属構造体1の表面の凸部の頂点を含む領域を覆っており、かつ、接合されている第1の樹脂からなる微細樹脂膜2と、金属構造体1の凹凸が存在する表面と微細樹脂膜2とを気密状態で被覆している第2の樹脂からなる気密シール部材3とを備えている。このような本発明の気密シール構造体においては、図2Aに示すように、クラックの進展に必要な破壊エネルギーGICが第2の樹脂に比べて大きく、クラックが進展しにくい第1の樹脂からなる微細樹脂膜2が気密シール部材3内部の金属構造体1との界面近傍に存在するため、金属構造体1と気密シール部材3との界面で応力が発生しても、気密シール部材3内部に存在するクラック4の進展は微細樹脂膜2によって抑制される。その結果、図2Bに示すように、気密シール部材3の内部全体にわたるリークパスの形成が防止され、本発明の気密シール構造体は優れた気密耐久性を示す。
一方、表面に凹凸が存在する金属構造体と気密シール部材とからなる従来の気密シール構造体には、本発明にかかる微細樹脂膜が存在しないため、金属構造体と気密シール部材との界面で応力が発生すると、図3Aに示すように、気密シール部材3内部に存在するクラック4が進展し、隣接するクラック4と連結する。その結果、図3Bに示すように、気密シール部材3の内部全体にわたってリークパス5が形成され、気密耐久性が低下する。
本発明によれば、金属構造体と気密シール部材との積層構造体からなり、気密耐久性に優れた気密シール構造体を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の気密シール構造体は、
表面に凹凸が存在する金属構造体と、
前記金属構造体の表面の凸部の頂点を含む領域を覆っており、かつ、接合されている第1の樹脂からなる微細樹脂膜と、
前記金属構造体の前記表面と前記微細樹脂膜とを気密状態で被覆している第2の樹脂からなる気密シール部材とを備えており、
前記第1の樹脂の破壊エネルギーGIC 1と前記第2の樹脂の破壊エネルギーGIC 2とが下記式(1):
GIC 1/GIC 2>1 (1)
で表される条件を満たすものである。
表面に凹凸が存在する金属構造体と、
前記金属構造体の表面の凸部の頂点を含む領域を覆っており、かつ、接合されている第1の樹脂からなる微細樹脂膜と、
前記金属構造体の前記表面と前記微細樹脂膜とを気密状態で被覆している第2の樹脂からなる気密シール部材とを備えており、
前記第1の樹脂の破壊エネルギーGIC 1と前記第2の樹脂の破壊エネルギーGIC 2とが下記式(1):
GIC 1/GIC 2>1 (1)
で表される条件を満たすものである。
(金属構造体)
本発明に用いられる金属構造体は、表面に凹凸が存在するものであり、前記凹凸構造としては、金属部材と樹脂部材とを接合する際に接合強度を向上させるために形成される公知の凹凸構造を採用することができる。このような凹凸構造は公知のドライプロセス(例えば、プラズマ処理、レーザー処理、火炎処理、UV処理、オゾン処理)又はウェットプロセス(例えば、ウェットエッチング処理、粗化めっき処理)によって形成することができる。
本発明に用いられる金属構造体は、表面に凹凸が存在するものであり、前記凹凸構造としては、金属部材と樹脂部材とを接合する際に接合強度を向上させるために形成される公知の凹凸構造を採用することができる。このような凹凸構造は公知のドライプロセス(例えば、プラズマ処理、レーザー処理、火炎処理、UV処理、オゾン処理)又はウェットプロセス(例えば、ウェットエッチング処理、粗化めっき処理)によって形成することができる。
このような金属構造体の凹凸が存在する表面の二乗平均粗さとしては、金属構造体と気密シール部材との接合強度が向上するという観点から、0.005〜200μmが好ましく、0.01〜200μmがより好ましく、0.05〜100μmが更に好ましく、0.05〜50μmが特に好ましい。
また、前記凹凸構造において、凸部の上面の平均直径としては0.001〜200μmが好ましく、0.002〜180μmがより好ましい。さらに、隣接する凸部の平均中心間距離としては0.001〜500μmが好ましく、0.005〜300μmがより好ましい。このような大きさの凸部を形成したり、前記間隔で凸部を形成することによって、金属構造体と気密シール部材との接合強度が向上する傾向にある。
本発明に用いられる金属構造体の材質としては特に制限はなく、銅、アルミニウム、鉄、錫、又はこれらの合金(例えば、黄銅、ステンレス鋼)等の電子部品などに用いられる金属を採用することができる。また、本発明においては、表面に凹凸構造を形成できるものであれば、前記材質の金属部材を本発明にかかる金属構造体としてそのまま使用してもよいし、また、表面に凹凸構造を形成できるか否かに関わらず、前記材質の金属部材の表面にニッケル、銅、銀等の金属でめっき処理を施して表面に凹凸構造を形成して使用してもよい。
(微細樹脂膜及び気密シール部材)
本発明にかかる微細樹脂膜は、前記金属構造体の表面の凸部の頂点を含む領域を覆っており、かつ、接合されている、第1の樹脂からなるものである。したがって、前記微細樹脂膜は、前記金属構造体の凹凸が存在する表面の一部を覆っており、前記金属構造体の凹凸が存在する表面には微細樹脂膜で覆われていない領域(例えば、凹部の底面)が存在する(すなわち、前記微細樹脂膜は、前記金属構造体の凹凸が存在する表面に島状に分布している)。前記金属構造体の凹凸が存在する表面のすべてが前記第1の樹脂からなる膜で覆われていると、リークパスが形成され、気密シール性が保持できなくなるという不具合が発生する。
本発明にかかる微細樹脂膜は、前記金属構造体の表面の凸部の頂点を含む領域を覆っており、かつ、接合されている、第1の樹脂からなるものである。したがって、前記微細樹脂膜は、前記金属構造体の凹凸が存在する表面の一部を覆っており、前記金属構造体の凹凸が存在する表面には微細樹脂膜で覆われていない領域(例えば、凹部の底面)が存在する(すなわち、前記微細樹脂膜は、前記金属構造体の凹凸が存在する表面に島状に分布している)。前記金属構造体の凹凸が存在する表面のすべてが前記第1の樹脂からなる膜で覆われていると、リークパスが形成され、気密シール性が保持できなくなるという不具合が発生する。
また、本発明にかかる気密シール部材は、前記金属構造体の凹凸が存在する表面と前記微細樹脂膜とを気密状態で被覆している、第2の樹脂からなるものである。したがって、前記金属構造体の凹凸が存在する表面には、気密シール部材が前記微細樹脂膜を介して被覆している領域(前記凸部の頂点を含む領域)と直接被覆している領域(例えば、凹部の底面)とが存在する。前記第2の樹脂としては、一般的に電子部品の封止材料として用いられる気密性に優れた樹脂を用いることができる。
(第1及び第2の樹脂)
本発明にかかる微細樹脂膜を構成する第1の樹脂及び本発明にかかる気密シール部材を構成する第2の樹脂は、破壊エネルギーGICが下記式(1):
GIC 1/GIC 2>1 (1)
〔式中、GIC 1は第1の樹脂の破壊エネルギーを表し、GIC 2は第2の樹脂の破壊エネルギーを表す。〕
で表される条件を満たすものであることが必要である。これにより、第2の樹脂により構成される気密シール部材の内部に存在するクラックの進展が、第2の樹脂に比べて破壊エネルギーGICが大きい第1の樹脂により構成される微細樹脂膜によって抑制される。その結果、リークパスの形成が防止され、気密耐久性に優れた気密シール構造体を得ることが可能となる。
本発明にかかる微細樹脂膜を構成する第1の樹脂及び本発明にかかる気密シール部材を構成する第2の樹脂は、破壊エネルギーGICが下記式(1):
GIC 1/GIC 2>1 (1)
〔式中、GIC 1は第1の樹脂の破壊エネルギーを表し、GIC 2は第2の樹脂の破壊エネルギーを表す。〕
で表される条件を満たすものであることが必要である。これにより、第2の樹脂により構成される気密シール部材の内部に存在するクラックの進展が、第2の樹脂に比べて破壊エネルギーGICが大きい第1の樹脂により構成される微細樹脂膜によって抑制される。その結果、リークパスの形成が防止され、気密耐久性に優れた気密シール構造体を得ることが可能となる。
また、クラックの進展が確実に抑制され、リークパスの形成を確実に防止でき、更に気密耐久性に優れた気密シール構造体を得ることができるという観点から、前記第1及び第2の樹脂は、破壊エネルギーGICが下記式(1a):
GIC 1/GIC 2≧3 (1a)
で表される条件を満たすものであることが好ましく、
GIC 1/GIC 2≧5 (1b)
で表される条件を満たすものであることがより好ましい。
GIC 1/GIC 2≧3 (1a)
で表される条件を満たすものであることが好ましく、
GIC 1/GIC 2≧5 (1b)
で表される条件を満たすものであることがより好ましい。
なお、破壊エネルギーGICが大きいほど、クラックが進展しにくくなる理由は以下のように推察される。すなわち、破壊エネルギーGICはクラックが進展するために必要なエネルギーであり、力学的破壊靭性値KICの二乗を弾性率Eで割った値に比例する〔GIC∝KIC 2/E〕(W.Brostow、Physical Properties of Polymers Handbook,2nd Ed.,J.E.Mark Ed.、Springer、2007年、427ページ)。
KICはクラックの長さ2aとクラックが進展する際に外部から印加された応力(限界破壊応力σcr)に比例する〔KIC∝σcr(πa)1/2〕。この式は、KICが大きい樹脂は外部から応力を印加しても破壊されにくいことを意味しており、前記式から、破壊エネルギーGICが大きい樹脂は、KICが大きく、外部から応力を印加しても破壊されにくいため、クラックが進展しにくくなる。
また、クラックの端部にかかる応力σ’は、外部から印加された応力σに応力集中係数α(円孔の場合、3)を掛けたものである〔σ’=ασ〕(Timoshenko、Theory of Elasticity、McGraw−Hill、1934年)。前記式から、破壊エネルギーGICが大きい樹脂は弾性率Eが小さく、このような樹脂がクラックの先端に存在すると、クラックの先端が変形して先端の半径Rが大きくなり、応力集中係数αが小さくなるため、クラックの端部にかかる応力σ’も小さくなる。その結果、破壊エネルギーGICが大きい樹脂においてはクラックが進展しにくくなる。
本発明に用いられる第1の樹脂と第2の樹脂との組合せとしては、破壊エネルギーGICが前記式(1)(好ましくは前記式(1a)、より好ましくは前記式(1b))で表される条件を満たす組合せであれば特に制限はないが、樹脂の結晶化度が低いほど、破壊エネルギーGICが高くなることから、例えば、前記第1の樹脂が非晶性樹脂であり、前記第2の樹脂が結晶性樹脂である組合せが好ましい。
更に具体的には、以下の第1の樹脂と第2の樹脂との組合せが挙げられる。
第1の樹脂(非晶性樹脂):
ポリカーボネート(PC)系樹脂、ポリアミドイミド(PAI)系樹脂、ポリスルホン(PSU)系樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)系樹脂、非晶性ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリスチレン系(PS)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂、及び変性ポリフェニレンエーテル(PPE+PS)系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の非晶性樹脂。
第2の樹脂(結晶性樹脂):
ポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂、結晶性の成分を含むエポキシ系樹脂、結晶性ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド(PA)系樹脂、ポリアセタール(POM)系樹脂、ジアリルフタレート(PDAP)系樹脂(例えば、フタル酸ジアリル系樹脂、アリル系樹脂)、芳香族ポリアミド(APA)系樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、PFA、EPA)、ポリイミド(PI)系樹脂、及びポリプロピレン(PP)系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の結晶性樹脂。
第1の樹脂(非晶性樹脂):
ポリカーボネート(PC)系樹脂、ポリアミドイミド(PAI)系樹脂、ポリスルホン(PSU)系樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)系樹脂、非晶性ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリスチレン系(PS)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂、及び変性ポリフェニレンエーテル(PPE+PS)系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の非晶性樹脂。
第2の樹脂(結晶性樹脂):
ポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂、結晶性の成分を含むエポキシ系樹脂、結晶性ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド(PA)系樹脂、ポリアセタール(POM)系樹脂、ジアリルフタレート(PDAP)系樹脂(例えば、フタル酸ジアリル系樹脂、アリル系樹脂)、芳香族ポリアミド(APA)系樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、PFA、EPA)、ポリイミド(PI)系樹脂、及びポリプロピレン(PP)系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の結晶性樹脂。
これらの組合せの中でも、クラックの進展が確実に抑制され、リークパスの形成を確実に防止でき、更に気密耐久性に優れた気密シール構造体を得ることができるという観点から、前記第1の樹脂が、PC系樹脂、PES系樹脂、非晶性PET系樹脂、PS系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の非晶性樹脂であり、前記第2の樹脂が、PPS系樹脂、結晶性の成分を含むエポキシ樹脂、PBT系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の結晶性樹脂である組合せが好ましく、前記第1の樹脂が、PC系樹脂、PES系樹脂、及び非晶性PET系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の非晶性樹脂であり、前記第2の樹脂が、PPS系樹脂及びPBT系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の結晶性樹脂である組合せがより好ましく、前記第1の樹脂が、非晶性PET系樹脂であり、前記第2の樹脂がPPS系樹脂及びPBT系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の結晶性樹脂である組合せが更に好ましい。
また、本発明に気密シール構造体においては、第1の樹脂が軟質ゴムを含むものであり、第2の樹脂が軟質ゴムを含まないものである組合せも採用することができる。樹脂に軟質ゴムを添加することによって破壊エネルギーGICを増大させることができ、軟質ゴムを添加した第1の樹脂と軟質ゴムを添加していない第2の樹脂との組合せは、破壊エネルギーGICが前記式(1)(好ましくは前記式(1a)、より好ましくは前記式(1b))で表される条件を満たす組合せとなる。したがって、この場合、第1の樹脂及び第2の樹脂として同じ樹脂を使用することも可能である。
具体的には、以下の第1の樹脂と第2の樹脂との組合せが挙げられる。
第1の樹脂:
ポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド(PA)系樹脂、ポリアセタール(POM)系樹脂、ジアリルフタレート(PDAP)系樹脂(例えば、フタル酸ジアリル系樹脂、アリル系樹脂)、芳香族ポリアミド(APA)系樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、PFA、EPA)、ポリイミド(PI)系樹脂、及びポリプロピレン(PP)系樹脂、フェノール(PF)系樹脂、不飽和ポリエステル(UP)系樹脂、ポリウレタン(PUR)系樹脂、メラミン(MF)系樹脂、芳香族ポリエステル(APES)系樹脂、ポリカーボネート(PC)系樹脂、ポリアミドイミド(PAI)系樹脂、ポリスルホン(PSU)系樹脂、ポリスチレン(PS)系樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)系樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂、及び変性ポリフェニレンエーテル(PPE+PS)系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と軟質ゴムとの混合物。
第2の樹脂:
ポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド(PA)系樹脂、ポリアセタール(POM)系樹脂、ジアリルフタレート(PDAP)系樹脂(例えば、フタル酸ジアリル系樹脂、アリル系樹脂)、芳香族ポリアミド(APA)系樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、PFA、EPA)、ポリイミド(PI)系樹脂、及びポリプロピレン(PP)系樹脂、フェノール(PF)系樹脂、不飽和ポリエステル(UP)系樹脂、ポリウレタン(PUR)系樹脂、メラミン(MF)系樹脂、芳香族ポリエステル(APES)系樹脂、ポリカーボネート(PC)系樹脂、ポリアミドイミド(PAI)系樹脂、ポリスルホン(PSU)系樹脂、ポリスチレン(PS)系樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)系樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂、及び変性ポリフェニレンエーテル(PPE+PS)系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂。
第1の樹脂:
ポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド(PA)系樹脂、ポリアセタール(POM)系樹脂、ジアリルフタレート(PDAP)系樹脂(例えば、フタル酸ジアリル系樹脂、アリル系樹脂)、芳香族ポリアミド(APA)系樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、PFA、EPA)、ポリイミド(PI)系樹脂、及びポリプロピレン(PP)系樹脂、フェノール(PF)系樹脂、不飽和ポリエステル(UP)系樹脂、ポリウレタン(PUR)系樹脂、メラミン(MF)系樹脂、芳香族ポリエステル(APES)系樹脂、ポリカーボネート(PC)系樹脂、ポリアミドイミド(PAI)系樹脂、ポリスルホン(PSU)系樹脂、ポリスチレン(PS)系樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)系樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂、及び変性ポリフェニレンエーテル(PPE+PS)系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と軟質ゴムとの混合物。
第2の樹脂:
ポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド(PA)系樹脂、ポリアセタール(POM)系樹脂、ジアリルフタレート(PDAP)系樹脂(例えば、フタル酸ジアリル系樹脂、アリル系樹脂)、芳香族ポリアミド(APA)系樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、PFA、EPA)、ポリイミド(PI)系樹脂、及びポリプロピレン(PP)系樹脂、フェノール(PF)系樹脂、不飽和ポリエステル(UP)系樹脂、ポリウレタン(PUR)系樹脂、メラミン(MF)系樹脂、芳香族ポリエステル(APES)系樹脂、ポリカーボネート(PC)系樹脂、ポリアミドイミド(PAI)系樹脂、ポリスルホン(PSU)系樹脂、ポリスチレン(PS)系樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)系樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂、及び変性ポリフェニレンエーテル(PPE+PS)系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂。
これらの組合せの中でも、クラックの進展が確実に抑制され、リークパスの形成を確実に防止でき、更に気密耐久性に優れた気密シール構造体を得ることができるという観点から、前記第1の樹脂が、PPS系樹脂、エポキシ系樹脂、PET系樹脂、PBT系樹脂、PC系樹脂、PS系樹脂、及びPES系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と軟質ゴムとの混合物であり、前記第2の樹脂が、PPS系樹脂、エポキシ系樹脂、及びPBT系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である組合せが好ましい。
前記軟質ゴムとしては、シリコーンゴム、架橋アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリル系ゴム、架橋オレフィンゴムが挙げられる。これらの軟質ゴムは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
さらに、本発明においては、前記第1及び第2の樹脂に、一般的に電子部品の封止材料に添加されるフィラー等の各種添加剤を添加してもよい。フィラーを添加することによって、金属構造体と気密シール部材との界面の気密性が向上し、ガス及び水分の透過を抑制することができる。
このような本発明の気密シール構造体は、例えば、以下のようにして製造することができる。すなわち、先ず、表面に凹凸が存在する金属構造体の凸部の頂点を含む領域に、第1の樹脂からなる微細樹脂膜を形成する。微細樹脂膜を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、前記金属構造体の凹凸が存在する表面に第1の樹脂からなるシートを押し当て、凸部の頂点を含む領域に前記シートを接合させ、前記金属構造体の凹凸が存在する表面に島状に微細樹脂膜を形成するスタンプ加工方法;ナノインプリント法;凸部の頂点を含む領域に第1の樹脂を選択的に滴下するプローブ法等が挙げられる。
次に、凸部の頂点を含む領域に微細樹脂膜を形成した前記金属構造体の凹凸が存在する表面に第2の樹脂からなる気密シール部材を形成する。気密シール部材を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、射出成形、ポッティング等の一般的に電子部品を封止する際に使用される成形方法を採用することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた第1及び第2の樹脂の破壊エネルギーは以下の方法により測定した。
<破壊エネルギー>
先ず、各樹脂の力学的破壊靭性値KICを、ASTM D5045−93「プラスチック材料の平面歪み破壊靭性及び歪みエネルギー解放率」(≒ISO13586)に準拠して求めた。なお、試験片は、前記ASTM D5045−93により規定される3点曲げ或いはシングルノッチベンディング試験片(幅W=10mm)を用いた。また、KICの算出に必要な降伏応力σyは、ISO527−1及びISO527−2(≡JIS K7161及びJIS K7162)「プラスチック−引張特性の試験方法 第1部:通則」及び「プラスチック−引張特性の試験方法 第2部:型成形、押出成形及び注型プラスチックの試験条件」に準拠して測定した引張降伏応力を用いた。
先ず、各樹脂の力学的破壊靭性値KICを、ASTM D5045−93「プラスチック材料の平面歪み破壊靭性及び歪みエネルギー解放率」(≒ISO13586)に準拠して求めた。なお、試験片は、前記ASTM D5045−93により規定される3点曲げ或いはシングルノッチベンディング試験片(幅W=10mm)を用いた。また、KICの算出に必要な降伏応力σyは、ISO527−1及びISO527−2(≡JIS K7161及びJIS K7162)「プラスチック−引張特性の試験方法 第1部:通則」及び「プラスチック−引張特性の試験方法 第2部:型成形、押出成形及び注型プラスチックの試験条件」に準拠して測定した引張降伏応力を用いた。
また、各樹脂の弾性率Eを、ISO527−2(≡JIS K7162)「プラスチック−引張特性の試験方法 第2部:型成形、押出成形及び注型プラスチックの試験条件」に準拠して求めた。なお、試験片は、前記ISO527−2により規定される標準試験片(1A形試験片)を用いた。
得られた力学的破壊靭性値KIC及び弾性率Eを用いて下記式:
GIC=KIC 2/E
により、各樹脂の破壊エネルギーGICを算出した。
GIC=KIC 2/E
により、各樹脂の破壊エネルギーGICを算出した。
(実施例1)
ホットプレート上にガラス基板(松浪硝子工業株式会社製「S9213」)を配置し、このガラス基板上に第1の樹脂としてポリカーボネート(PC)シート(三菱ガス化学株式会社製「ユーピロン・シートNF−2000」、破壊エネルギー:2.1kPa・m)を配置した。PCシートを120℃に加熱して軟化させた後、表面の粘着性が低くなるまでPCシートを空冷し、PCシート付ガラス基板を作製した。その後、ガラス基板のPCシートを配置した面と反対側の面に汎用のゴム栓を取り付けた。
ホットプレート上にガラス基板(松浪硝子工業株式会社製「S9213」)を配置し、このガラス基板上に第1の樹脂としてポリカーボネート(PC)シート(三菱ガス化学株式会社製「ユーピロン・シートNF−2000」、破壊エネルギー:2.1kPa・m)を配置した。PCシートを120℃に加熱して軟化させた後、表面の粘着性が低くなるまでPCシートを空冷し、PCシート付ガラス基板を作製した。その後、ガラス基板のPCシートを配置した面と反対側の面に汎用のゴム栓を取り付けた。
表面に粗化ニッケルめっきを施した銅板(上田鍍金株式会社製、サイズ:20mm×20mm×3mm、粗化ニッケルK型、Niめっき厚:5μm、レーザー測定顕微鏡(株式会社キーエンス製「VK−8700」)により測定した表面二乗平均粗さ:0.38μm)に前記PCシート付ガラス基板を、前記銅板の粗化Niめっき表面(微細凹凸表面)とPCシートとが当接するように押し付けてスタンプ加工を行なった。
スタンプ加工後の前記銅板の微細凹凸表面を、走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製「SU3500」)の反射電子検出器を用いて観察するとともに、エネルギー分散型X線分光法(EDX)により、観察視野内の炭素の分布を測定した。図4(a)にはスタンプ加工後の前記銅板の微細凹凸表面の反射電子像を、図4(b)にはEDXマッピング図を示す。図4(a)中の明部は前記微細凹凸表面の凸部であり、図4(b)中の明部は炭素の存在を示している。これらの図から明らかなように、前記微細凹凸表面の凸部にPCシート由来の炭素が存在しており、前記銅板の微細凹凸表面の凸部は微細PC膜で覆われていることが確認された。
次に、第2の樹脂としてポリフェニレンサルファイド(PPS、東レ株式会社製「トレリナA900」、破壊エネルギー:0.6kPa・m)を5mm×5mm×4mmの大きさに成形した。このPPS成形体を280℃に加熱して軟化させた後、前記銅板の微細凹凸表面上に配置して加圧成形し、凸部が微細PC膜で覆われている銅板の微細凹凸表面上にPPS部材を備える構造体を得た。
(実施例2)
前記第2の樹脂としてエポキシ樹脂(三菱化学株式会社製「基本固形タイプ1001」、破壊エネルギー:0.1kPa・m)を用い、エポキシ樹脂成形体を軟化させる際の加熱温度を60℃に変更した以外は実施例1と同様にして、凸部が微細PC膜で覆われている銅板の微細凹凸表面上にエポキシ樹脂部材を備える構造体を得た。
前記第2の樹脂としてエポキシ樹脂(三菱化学株式会社製「基本固形タイプ1001」、破壊エネルギー:0.1kPa・m)を用い、エポキシ樹脂成形体を軟化させる際の加熱温度を60℃に変更した以外は実施例1と同様にして、凸部が微細PC膜で覆われている銅板の微細凹凸表面上にエポキシ樹脂部材を備える構造体を得た。
(実施例3)
前記第1の樹脂としてポリエーテルスルホン(PES)シート(八十島プロシード株式会社製、住友化学株式会社製「スミカエクセルPES」をシート状にしたもの、破壊エネルギー:0.5kPa・m)を用い、前記第2の樹脂としてエポキシ樹脂(三菱化学株式会社製「基本固形タイプ1001」)を用い、エポキシ樹脂成形体を軟化させる際の加熱温度を60℃に変更した以外は実施例1と同様にして、凸部が微細PES膜で覆われている銅板の微細凹凸表面上にエポキシ樹脂部材を備える構造体を得た。
前記第1の樹脂としてポリエーテルスルホン(PES)シート(八十島プロシード株式会社製、住友化学株式会社製「スミカエクセルPES」をシート状にしたもの、破壊エネルギー:0.5kPa・m)を用い、前記第2の樹脂としてエポキシ樹脂(三菱化学株式会社製「基本固形タイプ1001」)を用い、エポキシ樹脂成形体を軟化させる際の加熱温度を60℃に変更した以外は実施例1と同様にして、凸部が微細PES膜で覆われている銅板の微細凹凸表面上にエポキシ樹脂部材を備える構造体を得た。
(比較例1)
ポリフェニレンサルファイド(PPS、東レ株式会社製「トレリナA900」)を5mm×5mm×4mmの大きさに成形した。このPPS成形体を280℃に加熱して軟化させた後、表面に粗化ニッケルめっきを施した銅板(上田鍍金株式会社製、サイズ:20mm×20mm×3mm、粗化ニッケルK型、Niめっき厚:5μm、レーザー測定顕微鏡(株式会社キーエンス製「VK−8700」)により測定した表面二乗平均粗さ:0.38μm)の粗化Niめっき表面(微細凹凸表面)上に配置して加圧成形し、銅板の微細凹凸表面上にPPS部材を備える構造体を得た。
ポリフェニレンサルファイド(PPS、東レ株式会社製「トレリナA900」)を5mm×5mm×4mmの大きさに成形した。このPPS成形体を280℃に加熱して軟化させた後、表面に粗化ニッケルめっきを施した銅板(上田鍍金株式会社製、サイズ:20mm×20mm×3mm、粗化ニッケルK型、Niめっき厚:5μm、レーザー測定顕微鏡(株式会社キーエンス製「VK−8700」)により測定した表面二乗平均粗さ:0.38μm)の粗化Niめっき表面(微細凹凸表面)上に配置して加圧成形し、銅板の微細凹凸表面上にPPS部材を備える構造体を得た。
(比較例2)
前記第1の樹脂としてポリエーテルスルホン(PES)シート(八十島プロシード株式会社製。住友化学株式会社製「スミカエクセルPES」をシート状にしたもの)を用いた以外は、実施例1と同様にして、凸部が微細PES膜で覆われている銅板の微細凹凸表面上にPPS部材を備える構造体を得た。
前記第1の樹脂としてポリエーテルスルホン(PES)シート(八十島プロシード株式会社製。住友化学株式会社製「スミカエクセルPES」をシート状にしたもの)を用いた以外は、実施例1と同様にして、凸部が微細PES膜で覆われている銅板の微細凹凸表面上にPPS部材を備える構造体を得た。
(比較例3)
ポリフェニレンサルファイドの代わりにエポキシ樹脂(三菱化学株式会社製「基本固形タイプ1001」)を用い、エポキシ樹脂成形体を軟化させる際の加熱温度を60℃に変更した以外は比較例1と同様にして、銅板の微細凹凸表面上にエポキシ樹脂部材を備える構造体を得た。
ポリフェニレンサルファイドの代わりにエポキシ樹脂(三菱化学株式会社製「基本固形タイプ1001」)を用い、エポキシ樹脂成形体を軟化させる際の加熱温度を60℃に変更した以外は比較例1と同様にして、銅板の微細凹凸表面上にエポキシ樹脂部材を備える構造体を得た。
<接合強度測定>
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた構造体における銅板と第2の樹脂からなる気密シール部材との間の接合強度をダイシェアテスト測定法(準拠規格Department of Defence,Test method standard microcircuits,MIL STD−883E,Dec.31,1996.,METHOD 2019.5,May 29,1987)により測定した。具体的には、図5に示すように、シェアツール6を、その先端と金属構造体(銅板)1の微細凹凸表面との距離が50μmとなるように設置し、シェアツール6を速度50μm/秒で移動しながら、第2の樹脂からなる気密シール部材3を金属構造体(銅板)1の微細凹凸表面と平行な方向に押し、金属構造体(銅板)1と気密シール部材3との接合部が破断したときの荷重(せん断抵抗力)をロードセルで測定した。得られたせん断抵抗力を気密シール部材3の接合面の面積(25×10−6m2)で割り、接合強度を求めた。その結果を表1に示す。
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた構造体における銅板と第2の樹脂からなる気密シール部材との間の接合強度をダイシェアテスト測定法(準拠規格Department of Defence,Test method standard microcircuits,MIL STD−883E,Dec.31,1996.,METHOD 2019.5,May 29,1987)により測定した。具体的には、図5に示すように、シェアツール6を、その先端と金属構造体(銅板)1の微細凹凸表面との距離が50μmとなるように設置し、シェアツール6を速度50μm/秒で移動しながら、第2の樹脂からなる気密シール部材3を金属構造体(銅板)1の微細凹凸表面と平行な方向に押し、金属構造体(銅板)1と気密シール部材3との接合部が破断したときの荷重(せん断抵抗力)をロードセルで測定した。得られたせん断抵抗力を気密シール部材3の接合面の面積(25×10−6m2)で割り、接合強度を求めた。その結果を表1に示す。
また、接合強度測定後の気密シール部材3の接合部の破断面(気密シール部材3の接合面)の顕微鏡観察を行なった。図6及び図7には、それぞれ実施例1及び比較例1で得られた構造体の接合強度測定後のPPS部材の接合部の破断面の顕微鏡写真を示す。
表1に示した結果から明らかなように、表面に凹凸が存在する金属構造体(表面に粗化ニッケンめっきを施した銅板)と、前記金属構造体の表面の凸部の頂点を含む領域を覆っており、かつ、接合されている第1の樹脂(PC又はPES)からなる微細樹脂膜と、前記金属構造体の前記表面と前記微細樹脂膜とを気密状態で被覆している第2の樹脂(PPS又はエポキシ樹脂)からなる気密シール部材とを備えており、前記第1の樹脂の破壊エネルギーGIC 1が前記第2の樹脂の破壊エネルギーGIC 2よりも大きい構造体(実施例1〜3)は、前記金属構造体の表面の凸部の頂点を含む領域が第1の樹脂(PC又はPES)からなる微細樹脂膜で覆われていない構造体(比較例1、3)及び前記第1の樹脂の破壊エネルギーGIC 1が前記第2の樹脂の破壊エネルギーGIC 2よりも小さい構造体(比較例2)に比べて、前記金属構造体と前記気密シール部材との接合強度が大きく、気密耐久性に優れていることが確認された。これは、本発明の気密シール構造体(実施例1)においては、図6に示したように、気密シール部材内部のクラックの進展が微細樹脂膜の近傍で抑制されたのに対して、例えば、第1の樹脂からなる微細樹脂膜を備えていない構造体(比較例1)においては、図7に示したように、PPS部材全体にクラックが進展し、PPS部材内部にリークパスが形成されたことによるものと考えられる。
以上説明したように、本発明によれば、表面に凹凸が存在する金属構造体と気密シール部材との積層構造体からなり、前記気密シール部材内部に存在するクラックの進展が抑制され、気密シール部材の内部におけるリークパスの形成が防止された気密シール構造体を得ることが可能となる。
したがって、本発明の気密シール構造体は、気密耐久性に優れており、高圧ガスや液体に曝された場合であっても、内部に高圧ガスや液体が侵入しないため、センサーの電極、太陽電池セル、パワー半導体素子、発光素子、ディスプレイパネルといった電子部品のインサート部品を樹脂封止する際のパッケージ等として有用である。
1:金属構造体
2:微細樹脂膜
3:気密シール部材
4:クラック
5:リークパス
6:シェアツール
2:微細樹脂膜
3:気密シール部材
4:クラック
5:リークパス
6:シェアツール
Claims (4)
- 表面に凹凸が存在する金属構造体と、
前記金属構造体の表面の凸部の頂点を含む領域を覆っており、かつ、接合されている、第1の樹脂からなる微細樹脂膜と、
前記金属構造体の前記表面と前記微細樹脂膜とを気密状態で被覆している、第2の樹脂からなる気密シール部材とを備えており、
前記第1の樹脂の破壊エネルギーGIC 1と前記第2の樹脂の破壊エネルギーGIC 2とが下記式(1):
GIC 1/GIC 2>1 (1)
で表される条件を満たすことを特徴とする気密シール構造体。 - 前記第1の樹脂が非晶性樹脂であり、前記第2の樹脂が結晶性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の気密シール構造体。
- 前記第1の樹脂が、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、及び変性ポリフェニレンエーテル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の非晶性樹脂であり、
前記第2の樹脂が、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、及びポリプロピレン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の結晶性樹脂である、
ことを特徴とする請求項2に記載の気密シール構造体。 - 前記金属構造体の凹凸が存在する表面の二乗平均粗さが0.005〜200μmであることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の気密シール構造体。
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JP2017103353A JP2018196974A (ja) | 2017-05-25 | 2017-05-25 | 気密シール構造体 |
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CN114388991A (zh) * | 2020-10-20 | 2022-04-22 | 泰星能源解决方案有限公司 | 二次电池 |
WO2022230803A1 (ja) * | 2021-04-30 | 2022-11-03 | Rimtec株式会社 | 金属樹脂積層体及び金属樹脂積層体の製造方法 |
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2017
- 2017-05-25 JP JP2017103353A patent/JP2018196974A/ja active Pending
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Legal Events
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