JP2018196946A - 複合材料及びその成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、これらの複合材料は、いずれも、樹脂等の接着剤のみを媒介とした接着により得られるものであるため、木質系材料と繊維材料の層間の接着力が不十分であり、優れた層間せん断強さを有する複合材料を得ることは困難であった。
これは、熱圧プレス時に、同じく第1シート層に含まれる樹脂の軟化により、木質系繊維は容易に軟化・流動させることができるため、繊維材料間に存在する隙間に侵入させることができる。また、その状態で樹脂を硬化させることにより、木質系繊維と繊維材料の機械的な絡まりにより層間が強固に補強された複合材料を提供することができる。
すなわち、前記複合材料は、切断、切削、除去加工、接着、塑性加工等で所定の形状に加工されることにより成形品が得られる。また、所定の形状の金型を用いて熱圧プレス等により複合材料を作製することにより、一段階の加工で複合材料の成形品を作製することもできる。
図1は、複合材料の積層パターンの例を示す説明図である。
図1に示すように、本発明の複合材料は、第1シート層と第2シート層が積層された構造になっている。そして、前記第1シート層は、木質系材料(木材単板Wv又は木質系繊維Wf)を含み、前記第2シート層は、繊維材料Fを含むようにされている。
このうち、前記第2シート層は、少なくとも一方の面が、木質系繊維Wfを含む第1シート層と接するように配置される。
最表面層には、図1(b)のように木質系繊維Wfを含む第1シート層を配置してもよいが、木質調の外観が必要な場合は、図1(c)、(e)、(f)のように木材単板Wvを含む第1シート層又は塊状の木質系材料を配するようにする。
また、木質系繊維Wfとしては、木材繊維、竹繊維、麻繊維、ケナフ繊維等が用いられる。
木質系繊維Wf、チップ、木粉等の微細化された木質系材料は、そのままシート状に配してもよいが、不織布、織物、編物等のいずれであってもよい。
ただし、繊維材料Fとの界面接着力を強化するためには、繊維材料Fの隙間に木質系材料を侵入させることが効果的であり、この場合は木質系材料として木質系繊維Wfを用いることが好ましい。
この方法は、前記植物系材料に、加熱密閉空間において圧縮・せん断力によるひずみを加えて細胞間層でのすべり変形に起因する流動現象を生じさせることによって、植物系材料が本来有する繊維状細胞の破損を低減した状態で繊維配向度をランダムに均質化することができる。
これを使用すると、繊維材料Fと木質系繊維Wfの層間における機械的な絡まりが強化され、より強固に層間を補強することができる。
この樹脂としては、木質系材料の流動性を向上させるとともに、木質系材料間及び繊維材料Fに対して接着剤の機能を発揮する熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を用いることができる。
無機系繊維としてはガラス繊維、炭素繊維、セピオライト、セラミックス、ロックウール、ウォラストナイト、チタン酸カリウム繊維、銅等の金属繊維等の各種繊維を用いることができる。
また、有機系繊維としては、綿、麻、竹等の天然繊維や、アラミド、ポリアミド、ポリビニル系、ポリエステル系、アクリル、レーヨン等の合成繊維を用いることができる。
これらは、繊維材料Fは、単独で用いても、2種類以上を混合してもよい。
繊維材料Fの形状は、特に限定されないが、長さ0.1〜1000mm、好ましくは、8〜50mm、直径8〜100μm、好ましくは、10〜50μmが、繊維材料Fの隙間に木質系材料が侵入しやすいため好適である。
また、前記第1シート層と第2シート層を一体化させる工程においては、加熱した金型で1〜300MPaの圧力範囲で加圧する。木質系材料を十分に流動させ、かつ繊維材料の破損を防ぐために、より望ましくは5〜200MPaで加圧することが望ましい。
木質系材料としては、スギの単板を用いた。これに、水溶性フェノール樹脂(固形分濃度30%)を減圧、加圧することによって含浸させ、35℃以下で風乾により乾燥させることで、木材単板Wvとして調整した。この結果、木材単板Wvの全体重量に対して、50%の樹脂が含まれた第1シート層原料が作製された。
木質系繊維Wfは、前記の木質流動成形用前駆体の製造方法により作製した。具体的には、前記フェノール樹脂が含まれた木材単板Wv(第1シート層原料)を荷重(又は位置)制御可能な下パンチを設置した加温コンテナ内に投入し、多重構造のパンチにより一旦所定の荷重(又は位置)まで圧縮する。一定の圧縮荷重を保持した状態で多重構造の個々のパンチが位置変化することにより、植物系材料には、圧縮状態においてせん断力によるひずみが導入され、木質系繊維Wfが作製される。
繊維材料Fとしては、ガラス繊維の不織布(長さ0.1〜50mm、直径約12μm)、ガラス繊維の織物(綾織、直径約10μm)、炭素繊維の不織布(PAN系、綾織、長さ0.1〜10mm、直径約8μm)をそれぞれ用いた。
そして、作製された、前記木材単板Wv、前記木質系繊維Wf、前記繊維材料Fを、図1(d)又は(e)のパターンで積層し、上下の平板からなる金型間に設置し、金型を外部から加熱(約145℃)しながら、単軸プレスによって約24MPaで加圧することにより一体化し、比較例2−1(繊維材料F:ガラス繊維の織物、図1(d)パターン)、比較例2−2(繊維材料F:炭素繊維の不織布、図1(d)パターン)、実施例3−1(繊維材料F:ガラス繊維の織物、図1(e)パターン)、実施例3−2(繊維材料F:炭素繊維の不織布、図1(e)パターン)の4つの複合材料を成形した。また、木材単板Wvのみを直交させて3枚積層させた比較例3も作製した。
比較例2−1(図2(b))の木材単板Wvとガラス繊維の層間は、明確に区切られた状態であるのに対して、実施例3−1(図2(a))の木質系繊維Wfとガラス繊維の層間は、ガラス繊維間の隙間に木質系繊維Wfが侵入した状態であり、木質系繊維Wfとガラス繊維の絡まりが生じていることを確認した。
その結果を、表1に示す。
この結果から、作製された複合材料は、木材単板Wvのみの積層材(比較例3)に比べて高い層間せん断強さを有した。さらに、本発明により作製された複合材料(実施例3−1、3−2)は、従来の複合材料(比較例2−1、2−2)よりも高い層間せん断強さを有することから、本発明により木質系材料と繊維材料Fの層間が補強されたことを確認した。
Wv 木材単板(木質系材料)(第1シート層)
F 繊維材料(第2シート層)
Claims (5)
- 木質系材料及び樹脂を含んだ第1シート層と、繊維材料を含んだ第2シート層とが積層された状態で、前記第2シート層の繊維材料間に存在する隙間に、前記第1シート層の木質系材料が侵入して、前記第1シート層及び前記第2シート層が接合し一体化されていることを特徴とする複合材料。
- 前記第2シート層は単一の層又は複数の層で存在し、少なくともその1層は、前記繊維材料が不織布状、織物状、編物状又は単一方向性状とされた繊維シート層とされ、前記繊維シート層は、その両側で前記第1シート層に挟まれており、両側で挟む前記第1シート層は、それぞれ、木材単板、又は、微細化された木質系繊維を含んだシートのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
- 前記第1シート層は複数存在し、そのうち、前記第2シート層の片側又は両側に接する前記第1シート層として、微細化された木質系繊維が用いられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合材料。
- 最表面層には、塊状木質系材料が配置され、木質調の外観を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合材料。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合材料が所定の形状に加工されている成形品。
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