JP2018195662A - 電子装置及び電子装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子装置に生じる熱応力を抑制し、その性能及び信頼性の低下を抑制する。
【解決手段】電子装置1は、電子部品20と、電子部品20上に設けられた接着層31と、接着層31上に設けられた熱伝導層41と、熱伝導層41上に設けられた熱伝導層42と、熱伝導層42上に設けられた接着層32と、接着層32上に設けられた放熱体50とを含む。熱伝導層41及び熱伝導層42には、熱伝導層42の線膨張係数αとヤング率Eとの積が、熱伝導層41の線膨張係数αとヤング率Eとの積よりも小さくなる材料を用いる。これにより、電子部品20と放熱体50との間に生じる熱応力の抑制を図り、熱応力に起因した性能及び信頼性の低下を抑制する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子装置及び電子装置の製造方法に関する。
発熱性の半導体素子等の電子部品を備える電子装置に関し、電子部品で生じた熱を、放熱体を用いて外部に放熱する技術が知られている。例えば、半導体素子上に金属又はセラミックを用いた高熱伝導性を有するリッドを高熱伝導性樹脂で接着し、その上に放熱フィンを接着剤で接着して、半導体素子で生じた熱を、リッド等を介して放熱フィンに伝熱し、外部に放熱する構造が知られている。
特開2001−102475号公報
電子部品と放熱体との間に、接着層と共に金属又はセラミックを用いた熱伝導層が介在される電子装置では、電子部品の発熱によりその熱伝導層に生じる熱応力が大きくなると、接着層との界面の剥離等の破損、それによる熱抵抗の増大を招く恐れがある。このような破損や熱抵抗の増大は、電子部品の過熱、過熱による電子部品の性能劣化や破損を招き、電子部品を備える電子装置の性能及び信頼性の低下を招く恐れがある。
一観点によれば、第1電子部品と、前記第1電子部品上に設けられた第1接着層と、前記第1接着層上に設けられた第1熱伝導層と、前記第1熱伝導層上に設けられた第2熱伝導層と、前記第2熱伝導層上に設けられた第2接着層と、前記第2接着層上に設けられた放熱体とを含み、前記第2熱伝導層の線膨張係数とヤング率との積が、前記第1熱伝導層の線膨張係数とヤング率との積よりも小さい電子装置が提供される。
また、一観点によれば、第1電子部品と、前記第1電子部品上に設けられた第1接着層と、前記第1接着層上に設けられた第1熱伝導層と、前記第1熱伝導層上に設けられた第2熱伝導層とを有する積層体の、前記第2熱伝導層上に、第2接着層を介して放熱体を設ける工程を含み、前記積層体は、前記第2熱伝導層の線膨張係数とヤング率との積が、前記第1熱伝導層の線膨張係数とヤング率との積よりも小さい電子装置の製造方法が提供される。
電子部品と放熱体との間に生じる熱応力が抑制される、性能及び信頼性に優れた電子装置が実現される。
第1の実施の形態に係る電子装置の一例を示す図である。 電子装置の一例を示す図である。 第2の実施の形態に係る電子装置の一例を示す図である。 第2の実施の形態に係る電子装置の形成方法の一例を示す図(その1)である。 第2の実施の形態に係る電子装置の形成方法の一例を示す図(その2)である。 第2の実施の形態に係る電子装置の形成方法の一例を示す図(その3)である。 第2の実施の形態に係る熱応力の解析に用いたモデルを示す図である。 第2の実施の形態に係る熱応力の計算結果の一例を示す図である。 第2の実施の形態に係る熱応力の計算結果の別例を示す図である。 第3の実施の形態に係る電子装置の一例を示す図である。 第3の実施の形態に係る熱応力の計算結果の一例を示す図である。 第4の実施の形態に係る電子装置の一例を示す図である。 第5の実施の形態に係る電子装置の一例を示す図である。 第5の実施の形態に係る電子装置の搭載工程の一例を示す図である。 第6の実施の形態に係る電子機器の説明図である。
まず、電子装置の一例について、図2を参照して説明する。
図2は電子装置の一例を示す図である。図2には、電子装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図2に示す電子装置100は、基板110、電子部品120、接着層131、熱伝導層140、接着層132及び放熱体150を含む。
基板110は、例えば、配線、スルーホールビア、電極等の導体部(図示せず)が設けられたプリント基板である。電子部品120は、発熱性の半導体素子等であり、基板110上に搭載され、端子121を通じて基板110(その導体部)と電気的に接続される。このように基板110上に搭載された電子部品120の上方に、金属等が用いられた放熱体150が設けられる。
電子部品120と放熱体150との間には、接着層131、熱伝導層140及び接着層132が介在される。熱伝導層140は、金属又はセラミックが用いられた、厚みT3の単層とされる。尚、熱伝導層140の厚みT3については後述する。熱伝導層140の下面は、接着層131で電子部品120の上面に接着され、熱伝導層140の上面は、接着層132で放熱体150の下面に接着される。接着層131及び接着層132には、樹脂、又は金属等が用いられた熱伝導性のフィラーを含有する樹脂(熱伝導性ペースト)が用いられる。
上記のような構成を有する電子装置100では、その動作に伴い電子部品120が発熱する。電子部品120で生じた熱は、接着層131を介して熱伝導層140に伝熱され、熱伝導層140から接着層132を介して放熱体150に伝熱されて、外部へと放熱される。熱伝導層140に、熱伝導性の高い金属又はセラミックを用いると、電子部品120で生じた熱を放熱体150まで伝熱する際の伝熱効率を高めることができる。
電子部品120と放熱体150との間に介在される接着層131、熱伝導層140及び接着層132には、電子部品120から放熱体150への伝熱時に、それぞれ熱応力が生じる。接着層131、熱伝導層140及び接着層132の各層に生じる熱応力はそれぞれ、次式(1)に従って求めることができる。
σ=α×E×ΔT ・・・(1)
式(1)において、σは熱応力、αは線膨張係数、Eはヤング率、ΔTは温度変化を表す。
電子装置100では、熱伝導層140の材料として、電子部品120側から放熱体150側への伝熱効率を高める観点から、熱伝導率λの高い金属又はセラミックが用いられる。しかし、このような熱伝導率λの高い材料は、線膨張係数αとヤング率Eとの積が比較的大きくなる傾向があるため、熱伝導層140には、高温になって温度変化ΔTが大きくなると、比較的大きな熱応力σが生じ易くなる。
一方、熱伝導層140の上下面に設けられる接着層132及び接着層131の材料には、樹脂又は熱伝導性ペーストが用いられる。このような樹脂を用いた材料は、線膨張係数αとヤング率Eとの積が比較的小さくなる傾向があるため、接着層132及び接着層131では、温度変化ΔTによって生じる熱応力σが、熱伝導層140に比べて、比較的小さくなる。
用いられる材料の物性に起因して、熱伝導層140に生じる熱応力σと、接着層132及び接着層131に生じる熱応力σとの差が大きくなると、熱伝導層140と接着層132又は接着層131との界面に剥離やクラック等の破損が生じる恐れがある。このような界面の破損は、電子部品120と放熱体150との間の熱抵抗の増大、それによる伝熱効率の低下を招き、電子部品120の冷却不足による過熱、それによる電子部品120の性能劣化や破損を招く恐れがある。電子部品120の性能劣化や破損は、その電子部品120を備える電子装置100の性能及び信頼性の低下に繋がる。
接着層132及び接着層131に生じる熱応力σとの差を小さくするため、熱伝導層140の材料を、大きな熱応力σが生じ難い材料に替えると、熱伝導率λが小さくなり、伝熱効率が低下して、電子部品120の過熱、それによる性能劣化や破損を招く恐れがある。また、伝熱効率が低下することで、熱伝導層140が高温になり、結果的に大きな熱応力σが生じ、接着層132又は接着層131との界面の破損、それによる更なる伝熱効率の低下、電子部品120の過熱、それによる性能劣化や破損を招く恐れがある。
以上のような点に鑑み、ここでは以下に実施の形態として示すような構成を採用し、電子部品と放熱体との間に生じる熱応力が抑制される電子装置を実現する。
まず、第1の実施の形態について説明する。
図1は第1の実施の形態に係る電子装置の一例を示す図である。図1には、第1の実施の形態に係る電子装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図1に示す電子装置1は、基板10、電子部品20、接着層31、介在層40、接着層32及び放熱体50を含む。
基板10は、例えば、配線、スルーホールビア、電極等の導体部(図示せず)が設けられたプリント基板等の回路基板である。電子部品20は、発熱性の半導体素子等の電子部品である。電子部品20は、端子21を有し、基板10上に搭載され、端子21を通じて基板10(その導体部)と電気的に接続される。基板10上に搭載された電子部品20の上方に、銅(Cu)とモリブデン(Mo)とを含有する合金(CuMo)等を用いた放熱体50が設けられる。尚、放熱体50は、平板状のものに限らず、ベースとなる基板上に柱状や板状のフィンを設けたもの等でもよい。
電子部品20と放熱体50との間には、接着層31、介在層40及び接着層32が介在される。介在層40は、例えば、電子部品20に近い下側の熱伝導層41、及び電子部品20から遠い上側の熱伝導層42を含む。下側の熱伝導層41は、その下面が、接着層31で電子部品20の上面に接着され、上側の熱伝導層42は、その上面が、接着層32で放熱体50の下面に接着される。
電子装置1では、その動作に伴い電子部品20が発熱する。電子部品20で生じた熱は、接着層31を介して介在層40(熱伝導層41及び熱伝導層42)に伝熱され、介在層40から接着層32を介して放熱体50に伝熱されて、外部へと放熱される。
介在層40の、電子部品20に近い下側の熱伝導層41、及び電子部品20から遠い上側の熱伝導層42には、互いに異種の材料が用いられる。
電子部品20に近い下側の熱伝導層41には、電子部品20で生じた熱を迅速に熱伝導層41側に伝熱して電子部品20の過熱を抑制する観点から、熱伝導率λの高い材料が用いられる。例えば、下側の熱伝導層41には、Cuや銀(Ag)等の金属材料、カーボンナノチューブやグラフェン等の炭素材料が用いられる。
電子部品20から遠い上側の熱伝導層42には、上側の熱伝導層42の線膨張係数αとヤング率Eとの積が、下側の熱伝導層41の線膨張係数αとヤング率Eとの積よりも小さくなる材料が用いられる。この場合、上側の熱伝導層42には、下側の熱伝導層41の熱を効率的に放熱体50側へ伝熱する観点から、熱伝導率λの高い材料が用いられることが好ましい。尚、上側の熱伝導層42の熱伝導率λは、下側の熱伝導層41の熱伝導率λよりも低くなる場合もあり、高くなる場合もある。
電子部品20に近い下側の熱伝導層41に用いることのできる材料の例を、線膨張係数α[ppm/K]、ヤング率E[GPa]及び熱伝導率λ[W/(m・K)]の各物性値と共に、表1に示す。
Figure 2018195662
電子部品20から遠い上側の熱伝導層42に用いることのできる材料の例を、線膨張係数α[ppm/K]、ヤング率E[GPa]及び熱伝導率λ[W/(m・K)]の各物性値と共に、表2に示す。
Figure 2018195662
表1に示すように、電子部品20に近い下側の熱伝導層41には、例えば、Cu若しくはAg、又はカーボンナノチューブを用いることができる。
表2に示すように、電子部品20から遠い上側の熱伝導層42には、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、カルシウム(Ca)、インジウム(In)、マグネシウム(Mg)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、タングステン(W)、シリコン(Si)、ガリウムヒ素(GaAs)、炭化シリコン(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、又はCuMoを用いることができる。上側の熱伝導層42には、これらのうちの2種以上を含む材料を用いることもできる。
例えば、下側の熱伝導層41が、表1に示すCu又はAgの時、上側の熱伝導層42に、表2に示すAlN、Al、Au、Ca、In、Mg、Mo、Pd、Pt、W、Si、GaAs、SiC、及びGaNのうちの1種又は2種以上を用いる。下側の熱伝導層41が、表1に示すカーボンナノチューブの時、上側の熱伝導層42に、AlN、Ag、Al、Au、Ca、In、Mg、Pd、Si、GaAs、SiC、GaN、及びCuMoのうちの1種又は2種以上を用いる。このような材料を用いる場合、上側の熱伝導層42の線膨張係数αとヤング率Eとの積が、下側の熱伝導層41の線膨張係数αとヤング率Eとの積よりも小さくなる。
下側の熱伝導層41と上側の熱伝導層42とは、直接接するように接合され、或いは熱伝導性の接合材を介して接合される。下側の熱伝導層41と上側の熱伝導層42とが熱伝導性の接合材を介して接合される場合、その接合材には、樹脂、熱伝導性ペースト、半田、サーマルシート、サーマルグリース等の各種熱界面材料(Thermal Interface Material;TIM)が用いられる。
下側の熱伝導層41と電子部品20とを接着する下側の接着層31、及び上側の熱伝導層42と放熱体50とを接着する接着層32には、互いに同種又は異種の材料が用いられる。
下側の接着層31及び上側の接着層32には、例えば、樹脂、又は樹脂に熱伝導性のフィラーを含有させた熱伝導性ペーストが用いられる。樹脂、及び熱伝導性ペーストの樹脂には、各種樹脂材料、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等が用いられる。熱伝導性ペーストに含有させるフィラーとしては、例えば、Ag、Au、Cu、スズ(Sn)等を含む金属の粒子、又はこのような金属でコア粒子をコーティングした粒子等が用いられる。
電子部品20で生じた熱を迅速に下側の熱伝導層41側に伝熱し、下側の熱伝導層41から上側の熱伝導層42に伝熱された熱を迅速に放熱体50に伝熱する観点から、下側の接着層31及び上側の接着層32のいずれにも、熱伝導率λの高い材料が用いられる。発熱源である電子部品20に近い下側の接着層31には、電子部品20の過熱を抑制する観点から、電子部品20から遠い上側の接着層32に用いられる材料よりも更に熱伝導率λの高い材料が用いられてもよい。
上側の熱伝導層42と放熱体50とを接着する上側の接着層32には、伝熱時に生じる上側の熱伝導層42との間の熱応力差が比較的小さくなる材料を用いると、熱応力差に起因した熱伝導層42と接着層32との間の界面の破損が抑制される。
下側の接着層31及び上側の接着層32として用いることのできる材料の一例として、エポキシ樹脂にAg粒子を含有させた熱伝導性ペースト(Agペースト)の線膨張係数α[ppm/K]、ヤング率E[GPa]及び熱伝導率λ[W/(m・K)]の各物性値を、表3に示す。
Figure 2018195662
表3に示すAgペーストaは、比較的コストの低い、平均粒径がミクロンサイズのAg粒子をフィラーとして含有する熱伝導性ペーストである。表3に示すAgペーストbは、比較的コストの高い、平均粒径がナノサイズのAg粒子をフィラーとして含有する熱伝導性ペーストである。熱伝導率λは、Agペーストbの方が、Agペーストaよりも高くなる。また、熱応力のパラメータとなる、線膨張係数αとヤング率Eとの積は、Agペーストaの方が、Agペーストbよりも大きくなる。
下側の接着層31及び上側の接着層32の双方に、線膨張係数αとヤング率Eとの積が比較的大きい表3のAgペーストaを用いると、下側の熱伝導層41と接着層31との間の熱応力差、及び上側の熱伝導層42と接着層32との間の熱応力差が抑制される。
下側の接着層31及び上側の接着層32の双方に、熱伝導率λが比較的高い表3のAgペーストbを用いると、上層への伝熱効率を高め、接着層31自体及び接着層32自体に生じる熱応力を抑制することができる。
下側の接着層31に表3のAgペーストbを用い、上側の接着層32に表3のAgペーストaを用いてもよい。このようにすると、電子部品20から下側の熱伝導層41への伝熱効率を高めて接着層31自体に生じる熱応力を抑制することができ、且つ、上側の熱伝導層42と接着層32との間の熱応力差を抑制することができる。
Agペーストa及びAgペーストbについてのこれら3通りの組み合わせでは、下側の接着層31の線膨張係数αとヤング率Eとの積が、上側の接着層32の線膨張係数αとヤング率Eとの積と同じか又はそれよりも小さくなる。
電子装置1では、例えば、上側の熱伝導層42の線膨張係数αとヤング率Eとの積が、下側の熱伝導層41の線膨張係数αとヤング率Eとの積よりも小さく、上側の接着層32の線膨張係数αとヤング率Eとの積よりも大きくなるように、各層の材料が選択される。
上記電子装置100(図2)と比較すると、図1に示す電子装置1では、その介在層40の厚みが、上記電子装置100の熱伝導層140と同じ或いは同等の厚みT3とされる。即ち、下側の熱伝導層41の厚みT1と、上側の熱伝導層42の厚みT2との和が、上記電子装置100の熱伝導層140の厚みT3に相当する。尚、電子装置1の接着層31及び接着層32の厚みは、上記電子装置100の接着層131及び接着層132と同じ或いは同等の厚みとされる。
このような厚みT1の下側の熱伝導層41と、厚みT2の上側の熱伝導層42とを含む電子装置1では、それらの厚みの和に相当する厚みT3の熱伝導層140を含む上記電子装置100に比べて、伝熱時に生じる熱応力を抑制することが可能になる。
即ち、電子装置1では、上側の熱伝導層42の線膨張係数αとヤング率Eとの積が、下側の熱伝導層41の線膨張係数αとヤング率Eとの積よりも小さくなる材料が用いられる。このような上側の熱伝導層42を、全体の厚みT3のうち、厚みT2を占めるように設けることで、下側の熱伝導層41を厚みT3で設けた時(換言すれば熱伝導層41と同じ材料の上記熱伝導層140)に比べて、熱応力が抑制される。また、下側の熱伝導層41を、全体の厚みT3のうち、厚みT1を占めるように設けることで、上側の熱伝導層42を厚みT3で設けた時(換言すれば熱伝導層42と同じ材料の上記熱伝導層140)に比べて、伝熱効率の低下が抑制され、或いは熱応力が抑制される。
以上のように、電子装置1では、電子部品20と放熱体50との間に、線膨張係数αとヤング率Eとの積が所定の関係を満たす、厚さT1の熱伝導層41と、厚さT2の熱伝導層42とを設ける。また、それらを電子部品20及び放熱体50とそれぞれ接着する接着層31及び接着層32の材料として、熱伝導率λ、又は線膨張係数αとヤング率Eとの積が、所定の関係を満たすものを選択する。このような構成を有する電子装置1によれば、電子部品20から放熱体50への伝熱時に生じる熱応力の抑制を図ることが可能になる。これにより、電子部品20と放熱体50との間の、各層間の界面の破損、破損界面での熱抵抗の増大による伝熱効率の低下、それによる電子部品20の過熱、過熱による電子部品20の性能劣化や破損が抑制され、性能及び信頼性に優れた電子装置1が実現される。
尚、以上の説明では、電子部品20と放熱体50との間に、介在層40として、熱伝導層41及び熱伝導層42の2層を備えた構成を一例として示したが、3層以上の構成を有する介在層40を設けてもよい。その場合は、下側(電子部品20側)から上側(放熱体50側)に向かって線膨張係数αとヤング率Eとの積が大きくなる構成、或いは更に、上側(放熱体50側)から下側(電子部品20側)に向かって熱伝導率λが高くなる構成等を採用することができる。尚、3層以上とする場合の各層間は、直接接するように、或いはTIM等の熱伝導性の接合材を介して、接合することができる。3層以上とすることで、1層とした場合に比べて、伝熱時に生じる熱応力の抑制を図ることができる、或いは伝熱効率の低下を抑制しつつ熱応力の抑制を図ることができるものであれば、各種構成を採用し得る。
次に、第2の実施の形態について説明する。
図3は第2の実施の形態に係る電子装置の一例を示す図である。図3には、第2の実施の形態に係る電子装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図3に示す電子装置1Aは、基板10、電子部品20、接着層31、介在層40、接着層32、電子部品60、絶縁体70及び放熱体50を含む。
電子装置1Aでは、基板10上に、電子部品20と、電子部品20よりも厚い電子部品60とが搭載される。電子部品20は、発熱性の半導体素子等の電子部品であり、電子部品60も同様に、発熱性の半導体素子等の電子部品である。例えば、電子部品20は、GaAs等の化合物半導体材料を用いた高周波半導体素子であり、電子部品60は、Siを用いたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のロジック部或いは更にメモリ部を含む半導体素子である。電子部品20及び電子部品60はそれぞれ、端子21及び端子61を通じて基板10(その導体部)と電気的に接続される。
電子部品20及び電子部品60のうち、比較的薄い一方の電子部品20上には、接着層31を介して介在層40が設けられる。電子部品20、接着層31及び介在層40の厚みの和が、比較的厚いもう一方の電子部品60の厚みに相当する。電子部品60との厚みの差を補償するように、電子部品20上に設けられる接着層31及び介在層40の厚みが設定される。
電子部品20、接着層31及び介在層40の積層体2と、電子部品60との間には、例えば、アルミナ(Al23)等の絶縁体70が設けられる。尚、絶縁体70は、必ずしも設けることを要せず、積層体2と電子部品60との間は空隙としてもよい。絶縁体70を設ける場合、絶縁体70は、電子部品20と電子部品60との間のほか、電子部品20及び電子部品60を取り囲むように設けられてもよい。この場合、電子部品20上の介在層40(上側の熱伝導層42)の上面、電子部品60の上面、及び絶縁体70の上面に、接着層32で放熱体50が接着される。
電子装置1Aでは、その動作に伴い電子部品20及び電子部品60が発熱する。一方の電子部品20で生じた熱は、接着層31を介して介在層40(熱伝導層41及び熱伝導層42)に伝熱され、介在層40から接着層32を介して放熱体50に伝熱される。もう一方の電子部品60で生じた熱は、接着層32を介して放熱体50に伝熱される。このようにして放熱体50まで伝熱された熱が、放熱体50から外部へと放熱される。
電子装置1Aにおける、電子部品20と放熱体50との間の介在層40には、下側(電子部品20側)の熱伝導層41、及び上側(放熱体50側)の熱伝導層42が含まれる。電子装置1Aの下側の熱伝導層41及び上側の熱伝導層42には、それらの材料(熱伝導率λ、線膨張係数αとヤング率Eとの積)について、上記第1の実施の形態で述べたような関係を有するものが採用される。例えば、電子装置1Aの熱伝導層41及び熱伝導層42には、上側の熱伝導層42の方が、下側の熱伝導層41よりも、線膨張係数αとヤング率Eとの積が小さくなる材料が用いられる。
また、電子装置1Aの下側の接着層31及び上側の接着層32には、それらの材料(熱伝導率λ、線膨張係数αとヤング率Eとの積)について、上記第1の実施の形態で述べたような関係を有するものが採用される。例えば、電子装置1Aの接着層31及び接着層32には、上記表3のAgペーストaが用いられる。
続いて、上記のような構成を有する電子装置1Aの形成方法の一例について説明する。
図4〜図6は第2の実施の形態に係る電子装置の形成方法の一例を示す図である。図4(A)〜図4(C)並びに図5(A)及び図5(B)には、第2の実施の形態に係る電子装置の形成における各工程の要部断面図を模式的に示している。また、図6(A)及び図6(B)には、第2の実施の形態に係る電子装置の形成における一工程の要部平面図を模式的に示している。
まず、図4(A)に示すような基板10が準備される。ここでは図示を省略するが、基板10は、配線、スルーホールビア、電極等の導体部を有する。
次いで、図4(B)に示すように、準備された基板10上に、端子11が形成される。例えば、端子11として、Cu等を用いたピラー電極が形成される。尚、端子11としては、このようなピラー電極のほか、半田バンプやスタッドバンプ等、各種端子が形成されてもよい。
次いで、図4(C)に示すように、端子11が形成された基板10上に、電子部品20、接着層31及び介在層40の積層体2、電子部品60、並びに絶縁体70が搭載され、電子部品20及び電子部品60が基板10と電気的に接続される。
積層体2の基板10上への搭載は、例えば、予め電子部品20上に接着層31を介して熱伝導層41及び熱伝導層42が積層されたものを準備し、それを基板10上に搭載することで、行われる。或いは、積層体2の基板10上への搭載は、まず電子部品20を基板10上に搭載し、その後、その搭載された電子部品20上に接着層31を介して熱伝導層41及び熱伝導層42を積層することで、行われる。基板10上に搭載された電子部品20は、その端子21が、基板10に形成された端子11と接合され、基板10と電気的に接続される。電子部品20の端子21と、基板10の端子11との接合は、半田接合や固相接合等によって行われる。
電子部品60は、基板10上に搭載され、その端子61が、基板10に形成された端子11と接合され、基板10と電気的に接続される。電子部品60の端子61と、基板10の端子11との接合は、半田接合や固相接合等によって行われる。
電子部品20又はそれを含む積層体2、及び電子部品60の、基板10上への搭載及び基板10との電気的な接続は、絶縁体70を基板10上に搭載した後、又は搭載する前の、いずれの段階で行われてもよい。
ここで、図6(A)及び図6(B)には、電子部品20又は積層体2、電子部品60、及び絶縁体70の、基板10上への搭載工程の要部平面図を模式的に示している。絶縁体70は、例えば、図6(A)に示すように、電子部品20又は積層体2と、電子部品60との間に設けられる。或いは、絶縁体70は、例えば、図6(B)に示すように、電子部品20又は積層体2を取り囲み、且つ、電子部品60を取り囲むように、設けられる。尚、図4(C)並びに図5(A)及び図5(B)では、図6(A)に示すような絶縁体70を設ける場合を例にしている。
このような絶縁体70の、基板10上への搭載後又は搭載前に、電子部品20又は積層体2、及び電子部品60の、基板10上への搭載、並びに電子部品20及び電子部品60の基板10との電気的な接続が行われる。
電子部品20を含む積層体2、電子部品60及び絶縁体70の、基板10上への搭載及び電気的な接続後は、図5(A)に示すように、積層体2、電子部品60及び絶縁体70と、基板10との隙間に、アンダーフィル樹脂80が充填される。アンダーフィル樹脂80により、基板10の端子11が覆われ、積層体2(その電子部品20)及び電子部品60が基板10に接着され、これらの接続強度の向上が図られる。
次いで、図5(B)に示すように、積層体2(その熱伝導層42)の上面、電子部品60の上面、及び絶縁体70の上面に、接着層32で放熱体50が接着される。
以上のような工程により、電子装置1Aが得られる。尚、図3では、基板10の端子11及びアンダーフィル樹脂80の図示を省略している。
続いて、上記のような構成を有する電子装置1Aの熱応力の解析結果について説明する。
図7は第2の実施の形態に係る熱応力の解析に用いたモデルを示す図である。
図7(A)には、第2の実施の形態に係る電子装置1Aのモデル1Aaを示し、図7(B)には、比較のため、電子装置1Aの介在層40を単層の熱伝導層41に替えた場合のモデル100aを示している。
図7(A)に示すモデル1Aa、及び図7(B)に示すモデル100aでは、上記電子部品20として、平面サイズが4mm×4mmで厚みが0.05mmのGaAsチップ20aを用いている。また、上記電子部品60としては、平面サイズが6mm×6mmで厚みが0.18mmのSiチップ60aを用いている。
更に、モデル1Aa及びモデル100aでは、上記絶縁体70として、GaAsチップ20aとSiチップ60aとの間の平面サイズが2mm×4mmで厚みが0.18mmのAl23層70aを用いている。上記放熱体50としては、平面サイズが20mm×20mmで厚さが1.4mmのCuMo放熱板50aを用いている。上記接着層31及び接着層32としては、Agペースト、一例として上記表3のAgペーストaを焼成して得られる、厚みが10μmのAg接着層30aを用いている。
モデル1Aa及びモデル100aに共通の上記熱伝導層41としては、Cu層41aを用いている。モデル1Aaの、熱伝導層41上に設けられる上記熱伝導層42としては、AlN層42aを用いている。
このようなモデル1Aa及びモデル100aを用い、GaAsチップ20a及びSiチップ60aの発熱量を1Wとし、CuMo放熱板50a周りの大気温度を23℃とし、大気の熱伝導率を20W/(m・K)として、熱応力を計算している。この計算では、モデル1Aa及びモデル100aのGaAsチップ20a、Siチップ60a、Al23層70a、CuMo放熱板50a、Ag接着層30a、Cu層41a、及びモデル1AaのAlN層42aに、表4に示すような物性値を用いている。
Figure 2018195662
熱応力の計算では、モデル100aのCu層41aの厚みT3を0.12mmとし、モデル1AaのCu層41aの厚みT1とAlN層42aの厚みT2との和が0.12mmとなるようにして各々の厚みT1及び厚みT2を変化させ、計算を行っている。
図8は第2の実施の形態に係る熱応力の計算結果の一例を示す図である。
図8には、上記モデル1AaのAlN層42aの厚みT2と、計算により得られた最大相当応力との関係を示している。図8において、横軸はAlN層42aの厚みT2[mm]を表し、縦軸は最大相当応力[GPa]を表している。
図8において、AlN層42aの厚みT2が0mmの時の最大相当応力は、上下のAg接着層30a間にCu層41aが単層で介在される場合、即ちモデル100aの場合の最大相当応力である。また、AlN層42aの厚みT2が0.12mmの時の最大相当応力は、上下のAg接着層30a間にAlN層42aが単層で介在される場合の最大相当応力である。
図8に示すように、モデル1Aaでは、AlN層42aの厚みT2が0mmから0.04mmまでの範囲では、厚みT2の増加に伴い、最大相当応力が減少していく傾向が認められる。熱伝導率λが比較的高いものの線膨張係数αとヤング率Eとの積が比較的大きいCu層41a上に、熱伝導率λが比較的低いものの線膨張係数αとヤング率Eとの積が比較的小さいAlN層42aが設けられることで、最大相当応力の低減が図られる。
例えば、AlN層42aの厚みT2を0mmとした時(AlN層42aを設けないモデル100a)の最大相当応力が0.45GPa程度であるのに対し、AlN層42aの厚みT2を0.02mmとした時の最大相当応力は0.37GPa程度である。また、AlN層42aの厚みT2を0.04mmとした時には、厚みT2を0mmとした時(AlN層42aを設けないモデル100a)に比べて、約30%の最大相当応力の低減効果を得ることができる。
一方、AlN層42aの厚みT2が0.04mmを上回る範囲では、厚みT2の増加に伴い、最大相当応力が増加していく傾向が認められる。熱伝導率λが比較的低いAlN層42aが厚くなり、その分、熱伝導率λが比較的高いCu層41aが薄くなることで、GaAsチップ20aの熱が逃げ難くなり、結果的にGaAsチップ20aとその上層部分の温度が高くなり、最大相当応力が増加すると考えられる。
ここで、図9は第2の実施の形態に係る熱応力の計算結果の別例を示す図である。
図9には、上記モデル1AaのAlN層42aの厚みT2と、計算により得られた最大相当応力箇所の温度との関係を示している。図9において、横軸はAlN層42aの厚みT2[mm]を表し、縦軸は最大相当応力箇所の温度[℃]を表している。
図9に示すように、モデル1Aaでは、AlN層42aの厚みT2の増加(即ちCu層41aの厚みT1の減少)に伴い、最大相当応力箇所の温度が増加していく傾向が認められる。
このように、線膨張係数αとヤング率Eとの積が比較的小さいものの熱伝導率λが比較的低いAlN層42aの厚みT2を増加させることで、温度が上昇し、その温度の上昇に起因して、結果的に最大相当応力が増加することも起こる。
但し、図8に示すように、AlN層42aの厚みT2が0.04mmを上回っても、Cu層41aと組み合わせることで、AlN層42aを単層で設ける場合よりも、最大相当応力の低減効果は得られる。
また、図8に示すように、AlN層42aの厚みT2が0.04mmを上回っても、或る厚みT2までの範囲では、Cu層41aを単層で設ける場合(T2=0mm)よりも、最大相当応力の低減効果は得られる。図8の例では、AlN層42aの厚みT2が、Cu層41aの厚みT1の2.3倍までは、Cu層41aを単層で設ける場合よりも、最大相当応力の低減が図られる。
以上のように、電子装置1Aでは、比較的厚い電子部品60と共に基板10上に搭載される、比較的薄い電子部品20と放熱体50との間に、介在層40として、熱伝導層41の厚みT1に対して所定の厚みT2を有する熱伝導層42を設ける。このような電子装置1Aによれば、電子部品20から放熱体50への伝熱時に生じる熱応力の抑制を図ることが可能になる。これにより、電子部品20と放熱体50との間の、各層間の界面の破損、破損界面での熱抵抗の増大による伝熱効率の低下、それによる電子部品20の過熱、過熱による電子部品20の性能劣化や破損が抑制され、性能及び信頼性に優れた電子装置1Aが実現される。
次に、第3の実施の形態について説明する。
図10は第3の実施の形態に係る電子装置の一例を示す図である。図10には、第3の実施の形態に係る電子装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図10に示す電子装置1Bでは、例えば、接着層31及び接着層32のうち、下側の接着層31に、上側の接着層32よりも、熱伝導率λが高く、且つ、線膨張係数αとヤング率Eとの積が小さい材料が用いられる。電子装置1Bは、このような点で、上記第2の実施の形態で述べた電子装置1Aと相違する。電子装置1Bのその他の構成については、上記第2の実施の形態で述べた電子装置1Aと同様とすることができる。
下側の接着層31は、電子部品20と下側の熱伝導層41とを接着するものであり、熱伝導層42と放熱体50とを接着する上側の接着層32よりも、発熱源である電子部品20の近くに設けられ、電子部品20の熱の影響を大きく受ける。従って、下側の接着層31で生じる熱応力が大きくなると、それに起因して、電子部品20と放熱体50との間の熱応力が増加する可能性がある。
そこで、電子装置1Bでは、下側の接着層31に、熱伝導率λが高く、且つ、線膨張係数αとヤング率Eとの積が小さい材料を用いる。具体的には、例えば、下側の接着層31に、上記表3のAgペーストbを用い、上側の接着層32に、上記表3のAgペーストaを用いる。
下側の接着層31に、熱伝導率λの高い材料を用いると、電子部品20で生じた熱を、迅速に熱伝導層41に伝熱することができ、接着層31に生じる熱応力を抑制することができる。下側の接着層31に、線膨張係数αとヤング率Eとの積が小さい材料を用いると、電子部品20で生じた熱が伝熱されても、それによって接着層31に生じる熱応力を抑制することができる。熱伝導率λが高く、且つ、線膨張係数αとヤング率Eとの積が小さい材料を用いることで、これらの効果を共に得ることができ、接着層31に生じる熱応力を効果的に抑制することが可能になる。
ここでは、接着層31及び接着層32のうち、下側の接着層31に、上記表3のAgペーストbのような、熱伝導率λが高く、且つ、線膨張係数αとヤング率Eとの積が小さい材料を用いる例について述べた。このほか、下側の接着層31と共に、上側の接着層32にも、上記表3のAgペーストbのような、熱伝導率λが高く、且つ、線膨張係数αとヤング率Eとの積が小さい材料を用いてもよい。
図11は第3の実施の形態に係る熱応力の計算結果の一例を示す図である。
図11には、上記モデル1Aaの上下のAg接着層30aに、上記表3のAgペーストbを用いたとした場合の、AlN層42aの厚みT2と、計算により得られた最大相当応力との関係を示している。尚、GaAsチップ20a、Siチップ60a、Al23層70a、CuMo放熱板50a、Ag接着層30a、Cu層41aの各々の平面サイズ及び厚み、並びにCu層41aとAlN層42aとの合計の厚みT3は、上記モデル1Aaと同じとしている。図11において、横軸はAlN層42aの厚みT2[mm]を表し、縦軸は最大相当応力[GPa]を表している。図11には比較のため、上記モデル1Aaの上下のAg接着層30aに、上記表3のAgペーストaを用いたとした場合の、AlN層42aの厚みT2と、計算により得られた最大相当応力との関係を、点線で示している。
図11より、上下のAg接着層30aに、熱伝導率λが高く、且つ、線膨張係数αとヤング率Eとの積が小さい材料を用いると、AlN層42aの厚みT2が比較的薄い範囲、この例では0.04mm以下の範囲で、最大相当応力の低減効果が認められる。また、ここでは図示を省略するが、上下のAg接着層30aのうち下側のみに、熱伝導率λが高く、且つ、線膨張係数αとヤング率Eとの積が小さい材料を用いた場合も同様に、AlN層42aの厚みT2が比較的薄い範囲で、最大相当応力の低減効果が得られる。
例えば、AlN層42aの厚みT2を0mmとした時(AlN層42aを設けないモデル100a)の最大相当応力は0.45GPa程度である。これに対し、AlN層42aの厚みT2が0.02mmの時、下側のAg接着層30aのみ、或いは上下のAg接着層30aの双方を、熱伝導率λが高く、且つ、線膨張係数αとヤング率Eとの積が小さい材料とすると、最大相当応力を0.35GPa〜0.36GPa程度に低減することができる。
電子装置1Bでは、上記のように、下側の接着層31に、或いは下側の接着層31と上側の接着層32の双方に、熱伝導率λが高く、且つ、線膨張係数αとヤング率Eとの積が小さい材料を用いる。このような材料を用いることで、電子部品20と放熱体50との間の領域における温度上昇の抑制、電子部品20から放熱体50への伝熱時に生じる熱応力の抑制を図ることが可能になる。これにより、電子部品20と放熱体50との間の、各層間の界面の破損、破損界面での熱抵抗の増大による伝熱効率の低下、それによる電子部品20の過熱、過熱による電子部品20の性能劣化や破損が抑制され、性能及び信頼性に優れた電子装置1Bが実現される。
次に、第4の実施の形態について説明する。
図12は第4の実施の形態に係る電子装置の一例を示す図である。図12には、第4の実施の形態に係る電子装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図12に示す電子装置1Cは、電子部品20と下側の接着層31との間に、金属層90が設けられた構成を有する。電子装置1Cは、このような点で、上記第3の実施の形態で述べた電子装置1Bと相違する。電子装置1Cのその他の構成については、上記第3の実施の形態で述べた電子装置1Bと同様とすることができる。
電子部品20と下側の接着層31との間に設けられる金属層90には、Au、Ag、Cu等、熱伝導率λの高い材料が用いられる。金属層90は、例えば、接着層31による熱伝導層41との接着前に、予め電子部品20の上面に、メッキ法やスパッタ法等を用いて形成することができる。
電子部品20と下側の接着層31との間に金属層90が設けられることで、電子部品20と下側の接着層31とが直接接着される場合に比べて、電子部品20と下側の接着層31との間の接着強度が高められる。また、金属層90が設けられることで、電子部品20で生じた熱が、熱伝導率λの高い金属層90を介して、効率的に接着層31、更にその上の熱伝導層41へと伝熱される。
例えば、上記モデル1Aaの上下のAg接着層30aにそれぞれ上記表3のAgペーストa,bを用い、更に、GaAsチップ20aと、厚みが9μmの下側のAg接着層30aとの間に、金属層90として厚みが1μmのAu層を設けたモデルを考える。尚、GaAsチップ20a、Siチップ60a、Al23層70a、CuMo放熱板50a、上側のAg接着層30a、Cu層41aの各々の平面サイズ及び厚み、並びにCu層41aとAlN層42aとの合計の厚みT3は、上記モデル1Aaと同じとする。
このようなモデルについて熱応力を計算すると、AlN層42aの厚みT2が0.02mmの時、最大相当応力は0.32GPa程度となる。これに対し、上記第3の実施の形態で述べたように、上下のAg接着層30aにそれぞれAgペーストa,bを用い、金属層90であるAu層を設けていない場合の最大相当応力は、0.35GPa〜0.36GPa程度である。従って、Au層を設けることで、Au層を設けない場合に比べて、更に10%程度の最大相当応力の低減効果が得られる。
ここでは金属層90の一例として、厚みが1μmのAu層を設ける例を示したが、このAu層のような金属層90の厚みを増加させ、その分、接着層31の厚みを減少させると、伝熱効率が高められる一方、生じる熱応力は大きくなり得る点に留意する。伝熱効率及び熱応力を考慮し、設ける金属層90の材料及び厚み、並びに接着層31の材料及び厚みを選択することが好ましい。
電子装置1Cでは、上記のように、電子部品20と下側の接着層31との間に、金属層90を設ける。金属層90を設けることで、電子部品20と下側の接着層31との間の接着強度の向上、電子部品20から放熱体50への伝熱効率の向上、伝熱時に生じる熱応力の抑制を図ることが可能になる。これにより、電子部品20と放熱体50との間の、各層間の界面の破損、破損界面での熱抵抗の増大による伝熱効率の低下、それによる電子部品20の過熱、過熱による電子部品20の性能劣化や破損が抑制され、性能及び信頼性に優れた電子装置1Cが実現される。
次に、第5の実施の形態について説明する。
図13は第5の実施の形態に係る電子装置の一例を示す図である。図13には、第5の実施の形態に係る電子装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図13に示す電子装置1Dは、電子部品20、接着層31、介在層40(熱伝導層41及び熱伝導層42)、接着層32、電子部品60、絶縁体70及び放熱体50を含む。この電子装置1Dは、電子部品20及び電子部品60が電気的に接続される上記基板10を有していない点で、上記第2の実施の形態で述べた電子装置1Aと相違する。
このような電子装置1Dは、例えば、放熱体50をベース基板として、その上に、接着層32を介して、介在層40(熱伝導層42及び熱伝導層41)、接着層31及び電子部品20を含む積層体2、並びに、電子部品60及び絶縁体70を搭載することで得られる。電子装置1Dは、電子部品20の端子21、及び電子部品60の端子61を用いて、他の各種電子部品、例えば、上記基板10と、電気的に接続される。
電子装置1Dの、電子部品20の端子21上、及び電子部品60の端子61上には、更に外部接続用の端子、例えば、半田等のバンプが設けられてもよい。
図14は第5の実施の形態に係る電子装置の搭載工程の一例を示す図である。図14(A)には、第5の実施の形態に係る電子装置の搭載前の要部断面図を模式的に示し、図14(B)には、第5の実施の形態に係る電子装置の搭載後の要部断面図を模式的に示している。
例えば、図14(A)に示すように、電子装置1Dと、それが接続される基板10とが準備される。電子装置1Dと基板10とは、電子装置1Dの、電子部品20の端子21、及び電子部品60の端子61が設けられている面側と、基板10の端子11が設けられている面側とが、対向するように配置される。
そして、電子装置1D及び基板10に対して加熱及び加圧が行われ、図14(B)に示すように、電子装置1Dの端子21及び端子61と、基板10の端子11とが接合(半田接合や固相接合等)され、電子装置1Dと基板10とが電気的に接続される。電子部品20、電子部品60及び絶縁体70と、基板10との隙間には、アンダーフィル樹脂80が充填される。
これにより、基板10とその上に搭載された電子装置1Dとを含む電子装置1Eが得られる。
電子装置1Dは、基板10のような回路基板に限らず、半導体素子や半導体装置等、各種電子部品上に搭載することができる。このように、基板10等の各種電子部品に搭載可能な電子装置1Dを得ることもできる。
尚、ここでは、上記第2の実施の形態で述べた電子装置1Aを例に、その基板10を有しないものを、各種電子部品に搭載可能な電子装置1Dとして説明した。このほか、上記第3及び第4の実施の形態で述べた電子装置1B及び電子装置1Cについても同様に、その基板10を有しないものを、各種電子部品に搭載可能な電子装置として得ることが可能である。
次に、第6の実施の形態について説明する。
上記第1〜第5の実施の形態で述べたような電子装置1,1A,1B,1C,1D,1E等は、各種電子機器に搭載することができる。例えば、コンピュータ(パーソナルコンピュータ、スーパーコンピュータ、サーバ等)、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、センサ、カメラ、オーディオ機器、測定装置、検査装置、製造装置といった、各種電子機器に搭載することができる。
図15は第6の実施の形態に係る電子機器の説明図である。図15には、電子機器の一例を模式的に示している。
図15に示すように、例えば上記第2の実施の形態で述べたような電子装置1A(図3)が各種電子機器200に搭載(内蔵)される。
電子装置1Aでは、電子部品20と放熱体50との間に、介在層40として、熱伝導層41の厚みT1に対して所定の厚みT2を有する熱伝導層42を設けることで、電子部品20から放熱体50への伝熱時に生じる熱応力の抑制が図られる。これにより、電子部品20と放熱体50との間の、各層間の界面の破損、破損界面での熱抵抗の増大による伝熱効率の低下、それによる電子部品20の過熱、過熱による電子部品20の性能劣化や破損が抑制され、性能及び信頼性に優れた電子装置1Aが実現される。このような電子装置1Aが搭載され、性能及び信頼性に優れた各種電子機器200が実現される。
ここでは、上記第2の実施の形態で述べた電子装置1Aを搭載した電子機器200を一例として示したが、このほか、上記第1及び第3〜第5の実施の形態で述べた電子装置1,1B〜1E等の各種電子装置を、各種電子機器に搭載することが可能である。
1,1A,1B,1C,1D,1E,100 電子装置
1Aa,100a モデル
2 積層体
10,110 基板
11,21,61,121 端子
20,60,120 電子部品
20a GaAsチップ
30a Ag接着層
31,32,131,132 接着層
40 介在層
41,42,140 熱伝導層
41a Cu層
42a AlN層
50,150 放熱体
50a CuMo放熱板
60a Siチップ
70 絶縁体
70a Al23
80 アンダーフィル樹脂
90 金属層
200 電子機器
T1,T2,T3 厚み

Claims (10)

  1. 第1電子部品と、
    前記第1電子部品上に設けられた第1接着層と、
    前記第1接着層上に設けられた第1熱伝導層と、
    前記第1熱伝導層上に設けられた第2熱伝導層と、
    前記第2熱伝導層上に設けられた第2接着層と、
    前記第2接着層上に設けられた放熱体と
    を含み、
    前記第2熱伝導層の線膨張係数とヤング率との積が、前記第1熱伝導層の線膨張係数とヤング率との積よりも小さいことを特徴とする電子装置。
  2. 前記第1熱伝導層及び前記第2熱伝導層は、それぞれ第1厚み及び第2厚みを有し、
    前記第1電子部品と前記放熱体との間における最大相当応力は、前記第1熱伝導層を、前記第1接着層と前記第2接着層との間に、前記第1厚みと前記第2厚みとの和である第3厚みで設けたとした時の最大相当応力よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
  3. 前記第1熱伝導層及び前記第2熱伝導層は、それぞれ第1厚み及び第2厚みを有し、
    前記第1電子部品と前記放熱体との間における最大相当応力は、前記第2熱伝導層を、前記第1接着層と前記第2接着層との間に、前記第1厚みと前記第2厚みとの和である第3厚みで設けたとした時の最大相当応力よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子装置。
  4. 前記第1熱伝導層の熱伝導率が、前記第2熱伝導層の熱伝導率よりも高いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子装置。
  5. 前記第1接着層の線膨張係数とヤング率との積が、前記第2接着層の線膨張係数とヤング率との積と同じか又はそれよりも小さいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子装置。
  6. 前記第1接着層の熱伝導率が、前記第2接着層の熱伝導率よりも高いことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子装置。
  7. 前記第1電子部品と前記第1接着層との間に設けられた金属層を更に含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子装置。
  8. 前記第1電子部品とは異なる厚みを有する第2電子部品を更に含み、
    前記第2接着層は、前記第2熱伝導層上及び前記第2電子部品上に設けられることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電子装置。
  9. 第1電子部品と、前記第1電子部品上に設けられた第1接着層と、前記第1接着層上に設けられた第1熱伝導層と、前記第1熱伝導層上に設けられた第2熱伝導層とを有する積層体の、前記第2熱伝導層上に、第2接着層を介して放熱体を設ける工程を含み、
    前記積層体は、前記第2熱伝導層の線膨張係数とヤング率との積が、前記第1熱伝導層の線膨張係数とヤング率との積よりも小さいことを特徴とする電子装置の製造方法。
  10. 前記積層体とは異なる位置に、前記第1電子部品とは異なる厚みを有する第2電子部品を設ける工程を更に含み、
    前記放熱体を設ける工程では、前記積層体の前記第2熱伝導層上、及び前記第2電子部品上に、前記第2接着層を介して前記放熱体を設けることを特徴とする請求項9に記載の電子装置の製造方法。
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