JP2018195617A - R−t−b系永久磁石の製造方法およびr−t−b系永久磁石 - Google Patents

R−t−b系永久磁石の製造方法およびr−t−b系永久磁石 Download PDF

Info

Publication number
JP2018195617A
JP2018195617A JP2017095638A JP2017095638A JP2018195617A JP 2018195617 A JP2018195617 A JP 2018195617A JP 2017095638 A JP2017095638 A JP 2017095638A JP 2017095638 A JP2017095638 A JP 2017095638A JP 2018195617 A JP2018195617 A JP 2018195617A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
billet
permanent magnet
rtb
cylindrical
hot working
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017095638A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6668289B2 (ja
Inventor
遊 大河原
Yu Ogawara
遊 大河原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
MinebeaMitsumi Inc
Original Assignee
MinebeaMitsumi Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by MinebeaMitsumi Inc filed Critical MinebeaMitsumi Inc
Priority to JP2017095638A priority Critical patent/JP6668289B2/ja
Publication of JP2018195617A publication Critical patent/JP2018195617A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6668289B2 publication Critical patent/JP6668289B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Hard Magnetic Materials (AREA)
  • Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)

Abstract

【課題】簡便にR−T−B系永久磁石の製造方法を提供すること。【解決手段】本実施の形態に係るR−T−B系永久磁石の製造方法は、R−T−B系磁石粉末を成形して、多角柱状のビレットを製造するビレット成形工程と、円筒状のダイスに、前記ビレット成形工程で得られた前記多角柱状のビレットを入れ、該ビレットに対して前記開口側から圧力を印加するとともに、該ビレットを加熱して、前記多角柱状のビレットから円柱状のR−T−B系永久磁石を製造する熱間加工工程とを含み、前記ビレット成形工程において、前記多角柱状のビレットは、前記円筒状のダイスに該ビレットを入れたときに、該ビレットの底面が、該ダイスの内周円を等分する点に頂点を有する多角形となるように成形され、前記熱間加工工程において、前記円柱状のR−T−B系永久磁石は、該R−T−B系永久磁石の底面が、前記円筒状のダイスの内周円に接する円となるように熱間加工される。【選択図】なし

Description

本発明は、R−T−B系永久磁石の製造方法およびR−T−B系永久磁石に関する。
従来、機器の小型化、薄型化を実現するための手段として、アキシャルギャップ型のモータがある。特許文献1には、このアキシャルギャップ型のモータに利用される永久磁石およびその製造方法が記載されている。特許文献1に記載された永久磁石の製造方法では、まず、磁石粉末とバインダーとを混合してコンパウンドを生成する。次いで、コンパウンドをシート状に成形してグリーンシートを作製する。このグリーンシートに磁場配向を行い、磁場配向されたグリーンシートを変形させて製品形状に成形する。次いで、これを焼結して永久磁石を製造する。この製造方法で得られる円環状の永久磁石では、磁化容易軸を軸方向に配向させており、軸方向の表面の周方向における磁束密度分布の波形を正弦波形状に近づけている。これにより、トルクリップルを減少させ、回転電機の静音化や低振動化を試みている。
特開2016−32023号公報
しかしながら、特許文献1に記載された永久磁石の製造方法は、簡便ではなかった。
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、簡便に、円柱状であって、円柱の側面の磁束密度が円周方向に沿って連続的に変化するR−T−B系永久磁石を製造できる方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係るR−T−B系永久磁石の製造方法は、R−T−B系磁石粉末(Rは、Ndおよび/またはPrを含む希土類元素を表し、Tは、Fe、またはFeおよびCoを表す。)を成形して、多角柱状のビレットを製造するビレット成形工程と、一端に開口を有し他端が閉塞している円筒状のダイスに、前記ビレット成形工程で得られた前記多角柱状のビレットを入れ、該ビレットに対して前記開口側から圧力を印加するとともに、該ビレットを加熱して、前記多角柱状のビレットから円柱状のR−T−B系永久磁石を製造する熱間加工工程とを含み、前記ビレット成形工程において、前記多角柱状のビレットは、該ビレットの底面が多角形となるように成形され、前記熱間加工工程において、前記円柱状のR−T−B系永久磁石は、該R−T−B系永久磁石の底面が円となるように熱間加工される。
本発明の一態様によれば、簡便に、円柱状であって、円柱の側面の磁束密度が円周方向に沿って連続的に変化するR−T−B系永久磁石を製造できる。
図1は、実施の形態に係るR−T−B系永久磁石の製造方法の概略を示すフロー図である。 図2は、図1のフロー図をさらに説明するための図である。 図3は、実施の形態に係るR−T−B系永久磁石の製造方法で得られたR−T−B系永久磁石を説明するための図である。 図4は、ビレットの底面の形状を説明するための図である。 図5は、実施例を説明するための図である。 図6は、実施例を説明するための図である。 図7は、実施例を説明するための図である。 図8は、実施例で作製したR−T−B系永久磁石(着磁後)について、表面磁束密度の測定結果を示す図である。 図9は、実施例で作製したR−T−B系永久磁石(着磁後)について、表面磁束密度の測定結果を示す図である。 図10は、実施例5で作製したR−T−B系永久磁石(着磁後)について、磁束密度の測定結果を示す図である。 図11は、実施例で作製したR−T−B系永久磁石について、減磁曲線の測定結果を示す図である。 図12は、実施例で作製したR−T−B系永久磁石について、熱間加工時間と保磁力との関係を示す図である。
以下、実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により何ら限定されるものではない。
<R−T−B系永久磁石の製造方法>
実施の形態に係るR−T−B系永久磁石の製造方法について詳細に説明する。図1は、実施の形態に係るR−T−B系永久磁石の製造方法の概略を示すフロー図である。図2は、図1のフロー図をさらに説明するための図である。図3は、実施の形態に係るR−T−B系永久磁石の製造方法で得られたR−T−B系永久磁石を説明するための図である。
実施の形態に係るR−T−B系永久磁石の製造方法は、図1に示すように、磁石粉末調製工程(ST1)、ビレット成形工程(ST2)、熱間加工工程(ST3)および後処理工程(ST4)を含む。
実施の形態に係るR−T−B系永久磁石の製造方法は、磁場配向を行う一般的な焼結磁石の製造方法とは異なる。実施の形態に係るR−T−B系永久磁石の製造方法では、熱間加工工程(ST3)における熱間塑性加工によって、磁化容易軸を配向させる。
具体的には、熱間塑性加工では、正四角柱(直角柱)の形状を有するビレットについて、一方の底面から圧力を印加し、円柱(直円柱)の形状を有する永久磁石とする。熱間塑性加工において、正四角柱の高さが低くなるとともに、底面が押し広げられて円柱が形成される。図3は、熱間塑性加工で得られた円柱状のR−T−B系永久磁石を表している。底面上の破線で示した正方形は、熱間塑性加工前の正四角柱状のビレットの断面を表している。
図3から分かるように、上記正四角柱の高さ方向の辺部では塑性変形はほとんど生じない。一方、上記正四角柱の側面部で塑性変形が生ずる。高さ方向の辺部から側面部の中央へ向かって塑性変形の量は大きくなり、側面部の中央で塑性変形の量は最大となる。たとえばR2Fe14B結晶(R=Nd、Prなど)の場合は、塑性変形に伴って、該結晶のc軸と垂直方向に結晶粒が異方成長し、扁平形状の結晶粒となる。扁平形状の結晶粒は、c軸方向に積み重なっていく。塑性変形の量が大きい部分ほど、c軸方向の積み重なりの度合は大きくなると考えられる。また、R2Fe14B結晶(R=Nd、Prなど)では、c軸方向は磁化容易軸の方向に一致する。したがって、塑性変形の量が大きい部分ほど、磁化容易軸の配向度合も大きくなると考えられる。また、塑性変形の方向と、磁化容易軸の方向とは対応すると考えられる。
ここで、熱間塑性加工で得られた円柱状のR−T−B系永久磁石(具体的には永久磁石における円柱の外周縁部)について、磁化容易軸の配向度合および磁化容易軸の方向を矢印で表すと、たとえば図3の矢印のようになると考えられる。具体的には、上記正四角柱の側面部の中央が塑性変形した部分では、磁化容易軸の配向度合が最も大きくなる。また、この部分では、圧力を印加した方向に磁化容易軸が配向する。さらに、円柱状のR−T−B系永久磁石において、熱間塑性加工前に上記正四角柱の高さ方向の辺部であった部分に向かって、磁化容易軸の配向度合は連続的に小さくなる。
また、熱間塑性加工で得られた円柱状のR−T−B系永久磁石では、円柱の側面(具体的には円柱の外周縁部)の磁束密度を測定すると、磁束密度は、円周方向に沿って連続的に変化する。この連続的な変化は、磁化容易軸の配向度合に対応していると考えられる。このような永久磁石は、アキシャルギャップ型のモータに適用可能である。磁束密度が円周方向に沿って連続的に変化するため、低コギング化および低トルクリップル化を実現しうる。
このように、熱間塑性加工を利用することにより、特許文献1の製造方法よりも、簡便に、低コストで、円柱状であって、円柱の側面の磁束密度が円周方向に沿って連続的に変化するR−T−B系永久磁石を製造できる。
なお、特開平2−276210号公報には、Nd-Fe-B系磁石粉末を予備成形した後、熱間加工(熱間押出し成形)を行う希土類永久磁石の製造方法が記載されている。この製造方法により、ラジアル方向に異方性を有する異方性リング磁石が得られる。また、特開平7−161523号公報には、希土類磁石粉末を円柱状カプセルに入れ、熱間押出し成形した後、円弧状形状に加工して着磁する希土類永久磁石の製造方法が記載されている。この製造方法により、ラジアル方向に正弦波形状の表面磁束密度波形を有する円弧状磁石が得られる。このように、上記特許文献の希土類永久磁石の製造方法では、ラジアル方向に異方性を有する希土類永久磁石が得られる。これら希土類永久磁石は通常ラジアルギャップ型のモータに利用され、アキシャルギャップ型のモータには利用されない。
〔磁石粉末調製工程(ST1)〕
磁石粉末調製工程(ST1)では、ビレット成形工程(ST2)で用いるR−T−B系磁石粉末(Rは、Ndおよび/またはPrを含む希土類元素を表し、Tは、Fe、またはFeおよびCoを表す。)を調製する。なお、R−T−B系磁石粉末を構成するR−T−B系磁石については、ビレット成形工程(ST2)において詳述する。
磁石粉末調製工程(ST1)では、図2に示すように、まず、原料を秤量し(ST1−1)、減圧下またはアルゴン雰囲気中で、高周波誘導溶解させる(ST1−2)。次に、溶解させた原料を回転ロール上に注いで急冷し、薄帯とする。次いで、この薄帯を粉砕する(ST1−3)。たとえば、薄帯を数mmから数十mm程度に破断した後、粉砕機などで粉砕することが好ましい。この磁石粉末調製工程(ST1)により、フレーク状の形状を有し、かつ磁気的等方性を示すR−T−B系磁石粉末(薄帯片)が得られる。
〔ビレット成形工程(ST2)〕
ビレット成形工程(ST2)では、R−T−B系磁石粉末(Rは、Ndおよび/またはPrを含む希土類元素を表し、Tは、Fe、またはFeおよびCoを表す。)を成形して、正四角柱(直角柱)状のビレットを製造する。具体的には、磁石粉末調製工程(ST1)で得られたR−T−B系磁石粉末を用いる。
ここで、R−T−B系磁石粉末を構成するR−T−B(ホウ素)系磁石について説明する。R−T−B系磁石は、三元系正方晶化合物であるR214B相(たとえばNd2Fe14B型化合物相)を主相として含む。また、R−T−B系磁石は、通常Rリッチ相などをさらに含む。
Rは、Ndおよび/またはPrを含む希土類元素を表す。いいかえると、Rは、Ndおよび/またはPrを必須成分として含む。希土類元素としては、ネオジム(Nd)およびプラセオジム(Pr)の他、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)およびルテチウム(Lu)が挙げられる。NdおよびPr以外の希土類元素は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
具体的には、Rとしては、Ndのみを用いてもよく、Prのみを用いてもよく、NdおよびPrのみを用いてもよい。また、Ndと、NdおよびPr以外の希土類元素を用いてもよく、Prと、NdおよびPr以外の希土類元素を用いてもよく、NdおよびPrと、NdおよびPr以外の希土類元素とを用いてもよい。Rとして、少なくともNdを用いることが好ましい。
Tは、Fe、またはFeおよびCoを表す。このように、Tは、Feのみであってもよく、一部がCoで置換されていてもよい。Tの合計量を100原子%としたときに、Feを50原子%以上の量で含むことが好ましい。
R−T−B系磁石は、その他の元素を含んでいてもよい。その他の元素としては、チタン、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)が挙げられる。その他の元素は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
R−T−B系磁石において、Rは、12原子%以上15原子%以下の量で含まれることが好ましい。Bは、6原子%以上8原子%以下の量で含まれることが好ましい。また、上述したその他の元素を含むときは、その他の元素は、合計で0原子%を超え3原子%以下の量で含まれることが好ましい。なお、ここで、残部は、Tと、不可避的に含まれる元素との合計量である。
R−T−B系磁石粉末としては、より具体的には、商品名:MQP−C、MQP−14−12、MQP−AA14−12、MQP−14−13、MQP−AA14−13、MQP−13−14(マグネクエンチ社製)が好適に用いられる。これらのR−T−B系磁石粉末は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビレット成形工程(ST2)では、図2のように、R−T−B系磁石粉末を放電プラズマ焼結(SPS:Spark Plasma Sintering)装置で成形して、正四角柱(直角柱)状のビレットを製造する(ST2−1)。なお、得られた正四角柱状のビレットは、立方体であってもよい。成形は、ビレットとして形が保持できる状態になる条件で行えばよい。成形は、たとえば10MPa以上100MPa以下の圧力を印加して行うことが好ましい。また、成形は、たとえば500℃以上800℃以下に加熱しながら行ってもよい。
ビレット成形工程(ST2)において、正四角柱状のビレットは、熱間加工工程(ST3)に用いる円筒状のダイスに該ビレットを入れたときに、該ビレットの底面が、該ダイスの内周円を等分する点に頂点を有する正方形となるように成形されている。正四角柱状のビレットの底面を上記大きさに成形しておくと、熱間塑性加工後に、円柱の側面の磁束密度が円周方向に沿って連続的に変化するR−T−B系永久磁石を製造できる。また、ダイスの内周円を等分する点に頂点を有すると、円柱の側面の磁束密度の波形が調整しやすい利点がある。
ここで、上記ビレットは直角柱であり、上記ダイスの空間は直円柱である。このため、上記ビレットでは、いずれの横断面(角柱の高さと垂直な断面)も、該ダイスの内周円を等分する点に頂点を有する正方形となるように成形されている。また、本明細書において、「内周円を等分する点に頂点を有する」とは、上記等分する点と頂点とが一致している場合に限らず、実質的に一致している場合も含む。また、本明細書において、「直角柱」とは、実質的に直角柱である場合も含む。
〔熱間加工工程(ST3)〕
熱間加工工程(ST3)では、一端に開口を有し他端が閉塞している円筒状のダイスに、ビレット成形工程(ST2)で得られた正四角柱(直角柱)状のビレットを入れ、該ビレットに対して上記開口側から圧力を印加するとともに、該ビレットを加熱して、正四角柱状のビレットから円柱(直円柱)状のR−T−B系永久磁石を製造する。
熱間加工工程(ST3)では、具体的には、正四角柱状のビレットを入れた円筒状のダイスをSPS装置にセットする。上記ビレットに対して上記開口側から圧力を印加する。この際、正四角柱状のビレットの上面(上側の底面)に均等に圧力をかけることが好ましい。熱間加工は、たとえば1MPa以上90MPa以下の圧力を印加して行うことが好ましい。熱間加工は、圧力を印加した後、加熱を開始し、たとえば600℃以上700℃以下に加熱しながら行う。加熱の際には、具体的には、正四角柱状のビレットに対してON−OFF直流パルス通電を行う。電流密度は、たとえば100A/cm2以上1000A/cm2以下に設定する。室温から上記加熱温度まで、たとえば昇温速度10℃/min以上100℃/min以下で加熱する。熱間加工中は、熱間加工速度が大きくならないよう、好ましくは熱間加工速度が一定になるよう、圧力を調整することが望ましい。また、熱間加工は、減圧下またはアルゴン雰囲気中で行うことも好ましい。
熱間加工は、変位をモニターしながら、変位が始まってから変位が完了するまで行うことが好ましい。通常100秒以上500秒以下行う。ここで、変位のモニターについては、通常、圧力制御しているサーボモータの、変位量をモニタリングしている。
熱間加工工程(ST3)によって、図2のように、正四角柱状のビレットが塑性変形して円柱(直円柱)状のR−T−B系永久磁石が得られる(ST3−1)。熱間加工工程(ST3)において、得られた円柱状のR−T−B系永久磁石は、該R−T−B系永久磁石の底面が、上記円筒状のダイスの内周円に接する円となるように熱間加工されている。R−T−B系永久磁石の底面が上記大きさに塑性変形されると、円柱の側面の磁束密度が円周方向に沿って連続的に変化する。このようなR−T−B系永久磁石は、アキシャルギャップ型のモータに好適に用いられる。なお、得られたR−T−B系永久磁石は、磁気的等方性を示す。
ここで、上記R−T−B系永久磁石は直円柱であり、上記ダイスの空間は直円柱である。このため、上記永久磁石では、いずれの横断面(円柱の高さと垂直な断面)も、該該ダイスの内周円に接する円となるように塑性変形されている。また、本明細書において、「内周円に接する円」とは、上記内周円と上記円とが接している場合に限らず、実質的に接している場合も含む。また、本明細書において、「直円柱」とは、実質的に直円柱である場合も含む。
なお、R−T−B系永久磁石の組成は、R−T−B系磁石粉末を構成するR−T−B系磁石の組成が維持されていると考えられる。
熱間加工工程(ST3)において、下記式(1)で定義される熱間加工速度は0.00310(1/s)以上0.00328(1/s)以下であることが好ましい。
熱間加工速度(1/s)=(円柱状のR−T−B系永久磁石の底面積(mm2))/(正四角柱状のビレットの底面積(mm2))/(正四角柱状のビレットが変位を開始してから、円柱状のR−T−B系永久磁石となって変位が終了するまでの変位時間(s)) (1)
熱間加工速度が上記範囲にあると、円柱の側面において、c軸の配向度合が、円周方向に沿って正弦波形状に近い形状で変化するため好ましい。また、保磁力の観点からも好ましい。したがって、円柱の側面の磁束密度が円周方向に沿って正弦波形状に近い形状で変化するため好ましい。具体的には、円周方向に沿って1周する間に、4つの山と4つの谷とを有する形状となる。適切に着磁すれば、高出力、低コギングおよび低トルクリップルを実現しうる4極のR−T−B系永久磁石が得られる。
〔後処理工程(ST4)〕
後処理工程(ST4)では、熱間加工工程(ST3)で得られたR−T−B系永久磁石に対して、後処理を行う。たとえば、図2に示すように、表面処理(ST4−1)、検査(ST4−2)、着磁(ST4−3)を行う。具体的には、表面処理では、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)などのめっき処理、アルミ(Al)蒸着および樹脂塗装などが行われる。
上述した実施の形態に係るR−T−B系永久磁石の製造方法において、磁石粉末調製工程(ST1)は、上記工程に限らない。上記組成を有するR−T−B系磁石粉末が得られれば、他の調製工程であってもよい。
ビレット成形工程(ST2)において、ビレットの形状は、正四角柱状に限らない。図4は、ビレットの底面の形状を説明するための図である。ビレットの形状は、図4(a)〜(e)に示す底面を有する多角柱状などであってもよい。具体的には、上述した実施の形態に係るR−T−B系永久磁石の製造方法において、正四角柱状を多角柱状と、正方形を多角形とそれぞれ読み替えた場合である。すなわち、この場合の実施の形態は、R−T−B系磁石粉末(Rは、Ndおよび/またはPrを含む希土類元素を表し、Tは、Fe、またはFeおよびCoを表す。)を成形して、多角柱状のビレットを製造するビレット成形工程と、一端に開口を有し他端が閉塞している円筒状のダイスに、上記ビレット成形工程で得られた上記多角柱状のビレットを入れ、該ビレットに対して上記開口側から圧力を印加するとともに、該ビレットを加熱して、上記多角柱状のビレットから円柱状のR−T−B系永久磁石を製造する熱間加工工程とを含み、上記ビレット成形工程において、上記多角柱状のビレットは、上記円筒状のダイスに該ビレットを入れたときに、該ビレットの底面が、該ダイスの内周円を等分する点に頂点を有する多角形となるように成形され、上記熱間加工工程において、上記円柱状のR−T−B系永久磁石は、該R−T−B系永久磁石の底面が、上記円筒状のダイスの内周円に接する円となるように熱間加工される。
なお、図4(a)、(b)、(d)のように、ビレットの底面は、上記ダイスの内周円を等分する点に頂点を有する正多角形に限らない。たとえば、図4(c)、(e)のように、ビレットの底面が、上記ダイスの内周円を等分する点に頂点を有する多角形であって、上記ダイスの内周円を等分する点の間にも頂点を有する多角形であってもよい。ここで、三角形など頂点が奇数の多角形であってもよい。頂点が奇数の多角形の場合も、着磁を適切に行うことにより、アキシャルギャップ型のモータに適用可能な永久磁石が得られる。
さらに、実施の形態に係るR−T−B系永久磁石の製造方法は、R−T−B系磁石粉末(Rは、Ndおよび/またはPrを含む希土類元素を表し、Tは、Fe、またはFeおよびCoを表す。)を成形して、多角柱状のビレットを製造するビレット成形工程と、一端に開口を有し他端が閉塞している円筒状のダイスに、上記ビレット成形工程で得られた上記多角柱状のビレットを入れ、該ビレットに対して上記開口側から圧力を印加するとともに、該ビレットを加熱して、上記多角柱状のビレットから円柱状のR−T−B系永久磁石を製造する熱間加工工程とを含み、上記ビレット成形工程において、上記多角柱状のビレットは、該ビレットの底面が多角形となるように成形され、上記熱間加工工程において、上記円柱状のR−T−B系永久磁石は、該R−T−B系永久磁石の底面が円となるように熱間加工される実施の形態であってもよい。上記熱間加工工程においては、上記ビレットの高さ方向に沿って圧力を印加することが好ましい。この場合も、得られた円柱状のR−T−B系永久磁石では、塑性変形の量に対応して、磁化容易軸の配向度合が変化すると考えられる。また、得られた円柱状のR−T−B系永久磁石では、磁化容易軸の配向度合に対応して、円柱の側面の磁束密度は、円周方向に沿って連続的に変化する。
ビレット成形工程(ST2)では、SPS装置以外の装置によってビレットの成形を行ってもよい。ビレットとして形が保持できるビレットが得られれば、他の装置を用いてもよい。
熱間加工工程(ST3)では、SPS装置以外の装置によって熱間加工を行ってもよい。塑性変形によって、上述したR−T−B系永久磁石が得られれば、他の装置を用いてもよい。速やかに加熱できる観点から、SPS装置が好適に用いられる。また、熱間加工工程(ST3)は、圧力を印加した後加熱を開始する場合に限らない。圧力の印加と加熱を同時に開始する場合であってもよく、加熱を開始した後圧力を印加する場合であってもよい。
<実施の形態に係るR−T−B系永久磁石>
実施の形態に係るR−T−B系永久磁石は、円柱状のR−T−B系永久磁石(Rは、Ndおよび/またはPrを含む希土類元素を表し、Tは、Fe、またはFeおよびCoを表す。)である。R−T−B系永久磁石の組成については、実施の形態に係るR−T−B系永久磁石の製造方法での説明と同様である。このR−T−B系永久磁石は、磁気的等方性を示す。
実施の形態に係るR−T−B系永久磁石は、円柱の側面の磁束密度が円周方向に沿って連続的に変化している。円柱の側面において、c軸の配向度合が、円周方向に沿って連続的に変化していることに対応している。
実施の形態に係るR−T−B系永久磁石は、扁平形状の結晶粒を含み、該結晶粒の大きさが200nm以上500nm以下である。結晶粒の大きさは、走査型電子顕微鏡を用いて観察できる。扁平形状の結晶粒が積み重なっている部分は、c軸の配向度合が大きいと考えられる。
なお、R−T−B系永久磁石は、紛体粉末冶金的な製造方法により焼結磁石として得られることが多い。この焼結磁石においては、結晶粒は通常1μm以上2μm以下の破砕形状である。
実施の形態に係るR−T−B系永久磁石は、円柱の側面の磁束密度が円周方向に沿って正弦波形状に変化していることが好ましい。この場合は、c軸の配向度合が、円周方向に沿って正弦波形状に変化していることに対応している。なお、円周方向に沿って1周する間に、4つの山と4つの谷とを有する形状となっていることが好ましい。適切に着磁すれば、高出力、低コギングおよび低トルクリップルを実現しうる4極のR−T−B系永久磁石が得られる。
実施の形態に係るR−T−B系永久磁石は、円柱の側面の磁束密度が円周方向に沿って1周する間に、4つの山と4つの谷とを有する形状以外であってもよい。3つの山と3つの谷とを有する形状、6つの山と6つの谷とを有する形状、8つの山と8つの谷とを有する形状などであってもよい。
実施の形態に係るR−T−B系永久磁石は、上述した製造方法によって得られる。ビレットの形状、熱間加工速度などを適宜変更することで、所望の磁束密度を有するR−T−B系永久磁石が得られる。なお、実施の形態に係るR−T−B系永久磁石の組成は、製造の際に用いるR−T−B系磁石粉末を構成するR−T−B系磁石の組成が維持されていると考えられる。
以下、上記実施の形態による効果を明確にするために行った実施例に基づいて上記実施の形態をより詳細に説明する。なお、上記実施の形態は、以下の実施例および比較例によって何ら制限されない。なお、図5、図6および7は、実施例を説明するための図である。
[実施例1]
等方性のNd-Fe-B系磁石粉末(MQP−C:マグネクエンチ社製)をホットプレスして、正四角柱状のビレット1を作製した(図6)。ホットプレスは、具体的には、30MPaで加圧しながら、室温から700℃まで加熱して行った。ビレット1は、表1(図5)に示すように、縦7.07mm、横7.07mm、高さ10.42mmの正四角柱であり、重量は3.99gであった。また、表1(図5)には、ビレット1の断面積(S)、体積(V)、密度(D)および相対密度(RD)も合わせて示す。
図7に示すように、中空円筒状のダイス2の中に、ビレット1を配置した。このダイス2をSPS装置にセットした。次いで、パンチで軸方向からビレット1(正方形の底面)に対して90.0MPaで加圧した。次いで、加圧しながら、室温から700℃まで通電加熱した。加圧および通電中、ビレット1の変位量をモニターした。変位が見られ始めたときを熱間加工開始時とし、変位が見られなくなって終了したときを熱間加工終了時とした。熱間加工開始時から熱間加工終了時までの時間(熱間加工時間)は120.00sであった(表1(図5))。この熱間塑性加工後、SPS装置から得られた焼結磁石を取り出した。熱間塑性加工により、Nd-Fe-B系磁石粉末で構成されるビレット1は、円柱状のNd-Fe-B系永久磁石となっていた。円柱状のNd-Fe-B系永久磁石は、表1(図5)に示す物性を有していた。
この円柱状のNd-Fe-B系永久磁石について、アキシャル方向(円柱の高さ方向)に着磁した。
[実施例2]
等方性のNd-Fe-B系磁石粉末(MQP−C:マグネクエンチ社製)をホットプレスして、正四角柱状のビレット1を作製した(図6)。ホットプレスは、具体的には、30MPaで加圧しながら、室温から600℃まで加熱して行った。ビレット1は、表1(図5)に示すように、縦7.14mm、横7.14mm、高さ13.39mmの正四角柱であり、重量は4.00gであった。また、表1(図5)には、ビレット1の断面積(S)、体積(V)、密度(D)および相対密度(RD)も合わせて示す。
図7に示すように、中空円筒状のダイス2の中に、ビレット1を配置した。このダイス2をSPS装置にセットした。次いで、パンチで軸方向からビレット1(正方形の底面)に対して50.0MPaで加圧した。次いで、加圧しながら、室温から680℃まで通電加熱した。加圧および通電中、ビレット1の変位量をモニターした。変位が見られ始めたときを熱間加工開始時とし、変位が見られなくなって終了したときを熱間加工終了時とした。熱間加工開始時から熱間加工終了時までの時間(熱間加工時間)は174.00sであった(表1(図5))。この熱間塑性加工後、SPS装置から得られた焼結磁石を取り出した。熱間塑性加工により、Nd-Fe-B系磁石粉末で構成されるビレット1は、円柱状のNd-Fe-B系永久磁石となっていた。円柱状のNd-Fe-B系永久磁石は、表1(図5)に示す物性を有していた。
この円柱状のNd-Fe-B系永久磁石をアキシャル方向(円柱の高さ方向)に着磁した。
[実施例3]
等方性のNd-Fe-B系磁石粉末(MQP−C:マグネクエンチ社製)をホットプレスして、正四角柱状のビレット1を作製した(図6)。ホットプレスは、具体的には、30MPaで加圧しながら、室温から700℃まで加熱して行った。ビレット1は、表1(図5)に示すように、縦7.07mm、横7.07mm、高さ10.35mmの正四角柱であり、重量は3.99gであった。また、表1(図5)には、ビレット1の断面積(S)、体積(V)、密度(D)および相対密度(RD)も合わせて示す。
図7に示すように、中空円筒状のダイス2の中に、ビレット1を配置した。このダイス2をSPS装置にセットした。次いで、パンチで軸方向からビレット1(正方形の底面)に対して30.0MPaで加圧した。次いで、加圧しながら、室温から680℃まで通電加熱した。加圧および通電中、ビレット1の変位量をモニターした。変位が見られ始めたときを熱間加工開始時とし、変位が見られなくなって終了したときを熱間加工終了時とした。熱間加工開始時から熱間加工終了時までの時間(熱間加工時間)は395.00sであった(表1(図5))。この熱間塑性加工後、SPS装置から得られた焼結磁石を取り出した。熱間塑性加工により、Nd-Fe-B系磁石粉末で構成されるビレット1は、円柱状のNd-Fe-B系永久磁石となっていた。円柱状のNd-Fe-B系永久磁石は、表1(図5)に示す物性を有していた。
この円柱状のNd-Fe-B系永久磁石をアキシャル方向(円柱の高さ方向)に着磁した。
[実施例4]
等方性のNd-Fe-B系磁石粉末(MQP−C:マグネクエンチ社製)をホットプレスして、正四角柱状のビレット1を作製した(図6)。ホットプレスは、具体的には、30MPaで加圧しながら、室温から600℃まで加熱して行った。ビレット1は、表1(図5)に示すように、縦7.14mm、横7.14mm、高さ13.39mmの正四角柱であり、重量は4.00gであった。また、表1(図5)には、ビレット1の断面積(S)、体積(V)、密度(D)および相対密度(RD)も合わせて示す。
図7に示すように、中空円筒状のダイス2の中に、ビレット1を配置した。このダイス2をSPS装置にセットした。次いで、パンチで軸方向からビレット1(正方形の底面)に対して20.0MPaで加圧した。次いで、加圧しながら、室温から680℃まで通電加熱した。加圧および通電中、ビレット1の変位量をモニターした。変位が見られ始めたときを熱間加工開始時とし、変位が見られなくなって終了したときを熱間加工終了時とした。熱間加工開始時から熱間加工終了時までの時間(熱間加工時間)は468.00sであった(表1(図5))。この熱間塑性加工後、SPS装置から得られた焼結磁石を取り出した。熱間塑性加工により、Nd-Fe-B系磁石粉末で構成されるビレット1は、円柱状のNd-Fe-B系永久磁石となっていた。円柱状のNd-Fe-B系永久磁石は、表1(図5)に示す物性を有していた。
この円柱状のNd-Fe-B系永久磁石をアキシャル方向(円柱の高さ方向)に着磁した。
[実施例5]
等方性のNd-Fe-B系磁石粉末(MQP−C:マグネクエンチ社製)をホットプレスして、正四角柱状のビレット1を作製した(図6)。ホットプレスは、具体的には、30MPaで加圧しながら、室温から600℃まで加熱して行った。ビレット1は、表1(図5)に示すように、縦7.14mm、横7.14mm、高さ13.42mmの正四角柱であり、重量は3.99gであった。また、表1(図5)には、ビレット1の断面積(S)、体積(V)、密度(D)および相対密度(RD)も合わせて示す。
図7に示すように、中空円筒状のダイス2の中に、ビレット1を配置した。このダイス2をSPS装置にセットした。次いで、パンチで軸方向からビレット1(正方形の底面)に対して10.0MPaで加圧した。次いで、加圧しながら、室温から680℃まで通電加熱した。加圧および通電中、ビレット1の変位量をモニターした。変位が見られ始めたときを熱間加工開始時とし、変位が見られなくなって終了したときを熱間加工終了時とした。熱間加工開始時から熱間加工終了時までの時間(熱間加工時間)は495.00sであった(表1(図5))。この熱間塑性加工後、SPS装置から得られた焼結磁石を取り出した。熱間塑性加工により、Nd-Fe-B系磁石粉末で構成されるビレット1は、円柱状のNd-Fe-B系永久磁石となっていた。円柱状のNd-Fe-B系永久磁石は、表1(図5)に示す物性を有していた。
この円柱状のNd-Fe-B系永久磁石をアキシャル方向(円柱の高さ方向)に着磁した。
[比較例1]
実施例1において、ビレットの作製まで行った。
[評価]
(熱間加工速度)
熱間加工速度(1/s)は、下記式(1)より求めた。表1(図5)に、実施例1〜5について求めた熱間加工速度(1/s)を示す。
熱間加工速度(1/s)=(円柱状のR−T−B系永久磁石の底面積(mm2))/(正四角柱状のビレットの底面積(mm2))/(正四角柱状のビレットが変位を開始してから、円柱状のR−T−B系永久磁石となって変位が終了するまでの変位時間(s)) (1)
なお、「(円柱状のR−T−B系永久磁石の底面積(mm2))/(正四角柱状のビレットの底面積(mm2))」は、表1(図5)に示した加工度と同じである。「(正四角柱状のビレットが変位を開始してから、円柱状のR−T−B系永久磁石となって変位が終了するまでの変位時間(s))」は、上述した熱間加工開始時から熱間加工終了時までの時間(表1(図5)に示した熱間加工時間)と同じである。
(磁束密度)
アキシャル方向に着磁した円柱状のNd-Fe-B系永久磁石について、表面磁束密度を測定した。なお、本明細書において、表面磁束密度とは、円柱の側面について円周方向に沿って測定した磁束密度である。具体的には、円柱の外周縁部(半径r=4〜5mm)について、円周方向に沿って360°測定した。
実施例5で得られた円柱状のNd-Fe-B系永久磁石(着磁後)については、磁石の中心部(半径r=0〜1mm)についても磁束密度の測定を行った。
ここで、磁束密度の測定においては、測定素子の厚みが1mm弱であるため、磁束密度は、測定素子の厚みの範囲(すなわち1mm弱の範囲)で測定できる。このため、表面磁束密度は、表面から1mm弱の範囲について測定した値であり、中心部の磁束密度は、中心から1mm弱の範囲について測定した値である。
(保磁力および減磁曲線)
円柱状のNd-Fe-B系永久磁石について、保磁力および減磁曲線はBHトレーサーを用いて求めた。表1(図5)に、実施例1〜5について求めた保磁力を示す。保磁力については、比較例1のビレットについても測定を行った。
(結果)
図8および図9は、実施例で作製したR−T−B系永久磁石(着磁後)について、表面磁束密度の測定結果を示す図である。より好ましい四極の正弦波波形を得るためには、実施例4の熱間加工速度以下とすることが望ましい。熱間加工速度が正弦波波形発現に関係する理由は、熱間加工速度と配向の乱れ度合とが比例するためと考えられる。配向の乱れが大きいと、熱間加工度合を機械的に制御しがたくなる。したがって、実施例4の熱間加工速度以下とすることが望ましい。
図10は、実施例5で作製したR−T−B系永久磁石(着磁後)について、磁束密度の測定結果を示す図である。中心部は回転によって表面磁束密度の値が変わらない。一方、外周縁部では、熱間塑性加工による塑性変形量によって表面磁束密度に違いが見られる。すなわち、正弦波形状の表面磁束密度波形が得られている。これは、横断面が正方形のビレットを熱間塑性加工した場合、4つの頂点部の塑性変形量は小さく、4つの辺部の塑性変形量が大きくなり、異方化の度合に相違が生じるためと考えられる。4つの辺部の中央の塑性変形量が最も大きく、異方化の度合も最も大きい。4つの頂点部に近づくにつれて塑性変形量が減少し、異方化の度合も小さくなる。これにより、ほぼ4極の正弦波形状の表面磁束密度波形が得られている。なお、熱間加工速度等の条件調整により、配向の乱れをさらに抑制しうると考えられる。
図11は、実施例で作製したR−T−B系永久磁石について、減磁曲線の測定結果を示す図である。図12は、実施例で作製したR−T−B系永久磁石について、熱間加工時間と保磁力との関係を示す図である。図11から熱間加工速度が小さい程、保磁力が小さくなっていることが分かる。これは熱の印加時間が長い程、粒成長を引き起こし、磁石内の微細組織が乱れるためと考えられる。熱間加工時間は熱印加時間とほぼ等しいため、熱間加工時間が長い程、保磁力が小さくなると考えられる。図12には、その相関が示されている。保磁力は磁石の耐熱性を示す指標であるため、犠牲にしがたい。したがって、実施例5の熱間加工速度以上とすることが望ましい。
なお、表1(図5)において、「ダイアプセット後」は、円柱状のNd-Fe-B系永久磁石についての物性である。長さは、ビレット1においては底面である正方形の1辺の長さ(縦および横の長さ)であり、ダイアプセット後においては底面である円の直径である。また、「熱間加工開始」および「熱間加工終了」の欄において、長さ[mm]の数値は、モニターに表示される変位値を示している。「熱間加工量」は、熱間加工終了および熱間加工開始の変位値の差から求めた値である。
1 ビレット
2 ダイス

Claims (5)

  1. R−T−B系磁石粉末(Rは、Ndおよび/またはPrを含む希土類元素を表し、Tは、Fe、またはFeおよびCoを表す。)を成形して、多角柱状のビレットを製造するビレット成形工程と、
    一端に開口を有し他端が閉塞している円筒状のダイスに、前記ビレット成形工程で得られた前記多角柱状のビレットを入れ、該ビレットに対して前記開口側から圧力を印加するとともに、該ビレットを加熱して、前記多角柱状のビレットから円柱状のR−T−B系永久磁石を製造する熱間加工工程とを含み、
    前記ビレット成形工程において、前記多角柱状のビレットは、該ビレットの底面が多角形となるように成形され、
    前記熱間加工工程において、前記円柱状のR−T−B系永久磁石は、該R−T−B系永久磁石の底面が円となるように熱間加工される、
    R−T−B系永久磁石の製造方法。
  2. 前記ビレット成形工程において、前記多角柱状のビレットは、前記円筒状のダイスに該ビレットを入れたときに、該ビレットの底面が、該ダイスの内周円を等分する点に頂点を有する正方形となるように成形され、
    前記熱間加工工程において、前記円柱状のR−T−B系永久磁石は、該R−T−B系永久磁石の底面が、前記円筒状のダイスの内周円に接する円となるように熱間加工される、
    請求項1に記載のR−T−B系永久磁石の製造方法。
  3. 下記式(1)で求められる熱間加工速度が0.00310(1/s)以上0.00328(1/s)以下である、
    請求項2に記載のR−T−B系永久磁石の製造方法。
    熱間加工速度(1/s)=(円柱状のR−T−B系永久磁石の底面積(mm2))/(多角柱状のビレットの底面積(mm2))/(多角柱状のビレットが変位を開始してから、円柱状のR−T−B系永久磁石となって変位が終了するまでの変位時間(s)) (1)
  4. 円柱状のR−T−B系永久磁石(Rは、Ndおよび/またはPrを含む希土類元素を表し、Tは、Fe、またはFeおよびCoを表す。)であって、
    円柱の側面の磁束密度が円周方向に沿って連続的に変化しており、
    扁平形状の結晶粒を含み、該結晶粒の大きさが200nm以上500nm以下である、
    R−T−B系永久磁石。
  5. 前記円柱の側面の磁束密度が円周方向に沿って正弦波形状に変化している、
    請求項4に記載のR−T−B系永久磁石。
JP2017095638A 2017-05-12 2017-05-12 R−t−b系永久磁石の製造方法およびr−t−b系永久磁石 Active JP6668289B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017095638A JP6668289B2 (ja) 2017-05-12 2017-05-12 R−t−b系永久磁石の製造方法およびr−t−b系永久磁石

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017095638A JP6668289B2 (ja) 2017-05-12 2017-05-12 R−t−b系永久磁石の製造方法およびr−t−b系永久磁石

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018195617A true JP2018195617A (ja) 2018-12-06
JP6668289B2 JP6668289B2 (ja) 2020-03-18

Family

ID=64569152

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017095638A Active JP6668289B2 (ja) 2017-05-12 2017-05-12 R−t−b系永久磁石の製造方法およびr−t−b系永久磁石

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6668289B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3822991A1 (de) * 2019-11-12 2021-05-19 Wilo Se Verfahren und vorrichtung zur herstellung rotationssymmetrischer permanentmagnete

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61166957A (ja) * 1985-01-21 1986-07-28 Matsushita Electric Ind Co Ltd マンガン−アルミニウム−炭素系合金磁石の製造方法
JPS6210257A (ja) * 1985-07-05 1987-01-19 Matsushita Electric Ind Co Ltd マンガン−アルミニウム−炭素系合金磁石の製造法
JPH01139738A (ja) * 1987-11-27 1989-06-01 Hitachi Metals Ltd 磁気異方性磁石材料の製造方法及びその装置
JPH01257308A (ja) * 1987-09-09 1989-10-13 Hitachi Metals Ltd ボイスコイルモーター用磁石
JPH03290906A (ja) * 1990-04-06 1991-12-20 Hitachi Metals Ltd 温間加工磁石及びその製造方法
JPH0463403A (ja) * 1990-07-03 1992-02-28 Matsushita Electric Ind Co Ltd 希土類―鉄系磁石
US20100172783A1 (en) * 2008-02-29 2010-07-08 Daido Steel Co., Ltd. Material for Anisotropic Magnet and Method of Manufacturing the same
JP2011042837A (ja) * 2009-08-21 2011-03-03 Daido Steel Co Ltd 磁気異方性磁石素材及びその製造方法

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61166957A (ja) * 1985-01-21 1986-07-28 Matsushita Electric Ind Co Ltd マンガン−アルミニウム−炭素系合金磁石の製造方法
JPS6210257A (ja) * 1985-07-05 1987-01-19 Matsushita Electric Ind Co Ltd マンガン−アルミニウム−炭素系合金磁石の製造法
JPH01257308A (ja) * 1987-09-09 1989-10-13 Hitachi Metals Ltd ボイスコイルモーター用磁石
JPH01139738A (ja) * 1987-11-27 1989-06-01 Hitachi Metals Ltd 磁気異方性磁石材料の製造方法及びその装置
US4960469A (en) * 1987-11-27 1990-10-02 Hitachi Metals, Ltd. Method of manufacturing magnetically anisotropic magnet materials and device for same
JPH03290906A (ja) * 1990-04-06 1991-12-20 Hitachi Metals Ltd 温間加工磁石及びその製造方法
JPH0463403A (ja) * 1990-07-03 1992-02-28 Matsushita Electric Ind Co Ltd 希土類―鉄系磁石
US20100172783A1 (en) * 2008-02-29 2010-07-08 Daido Steel Co., Ltd. Material for Anisotropic Magnet and Method of Manufacturing the same
JP2011042837A (ja) * 2009-08-21 2011-03-03 Daido Steel Co Ltd 磁気異方性磁石素材及びその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3822991A1 (de) * 2019-11-12 2021-05-19 Wilo Se Verfahren und vorrichtung zur herstellung rotationssymmetrischer permanentmagnete

Also Published As

Publication number Publication date
JP6668289B2 (ja) 2020-03-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6330813B2 (ja) R−t−b系焼結磁石、および、モータ
US10304600B2 (en) Permanent magnet, and motor and generator using the same
US10770208B2 (en) Permanent magnet, motor, and generator
JP5089979B2 (ja) ラジアル異方性円筒焼結磁石、その製造方法及び永久磁石モータ
EP1717828A1 (en) Methods of producing radial anisotropic cylinder sintered magnet and permanent magnet motor-use cylinder multi-pole magnet
JPH01139738A (ja) 磁気異方性磁石材料の製造方法及びその装置
TW200407919A (en) Radial anisotropic ring magnet and its manufacturing method
JP6613730B2 (ja) 希土類磁石の製造方法
EP3333859A1 (en) Permanent magnet, rotary electric machine, and vehicle
CN107077936A (zh) 永磁体、电动机及发电机
JP6105046B2 (ja) 永久磁石、モータ、発電機、車、および永久磁石の製造方法
JP2018186134A (ja) Re−t−b系磁石粉末、等方性バルク磁石および等方性バルク磁石の製造方法
JP6668289B2 (ja) R−t−b系永久磁石の製造方法およびr−t−b系永久磁石
JP2008282909A (ja) リング状磁石の製造方法
WO2017104788A1 (ja) 異方性焼結磁石の解析方法及びそれを用いた異方性焼結磁石の製造方法
EP3352180A1 (en) Permanent magnet and dynamo electric machine
JPH02308512A (ja) 偏倚異方性を有するR―Fe―B系永久磁石及びその製造方法
KR20160041790A (ko) 희토류 자석의 제조 방법
EP2099039A1 (en) Material for magnetic anisotropic magnet
EP3276640A1 (en) Permanent magnet, motor and dynamo
WO2024004332A1 (ja) 希土類磁石
JP2020092167A (ja) 円弧状永久磁石およびその製造方法
JP2020035845A (ja) Nd−Fe−B系の加圧焼結磁石およびその製造方法
JP2006019386A (ja) 磁場中成形方法、ラジアル異方性リング磁石の製造方法及び磁場中成形装置
KR20070023644A (ko) 레이디얼 이방성 원통 소결 자석 및 영구 자석 모터용 원통다극 자석의 제조 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181213

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190822

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190903

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191008

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200218

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200226

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6668289

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150