JP2018193634A - 不織布ワイパー、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
更に、不織布ワイパーの坪量については20〜200g/m2とすることが可能であることについても記載がある。
ところが、実際、市場でユーザに提供されている不織布ワイパーは坪量50g/m2を超えるものである。そして、特許文献1中にて開示している多数の実験例(実施例)による不織布についても、その坪量は約80〜90g/m2である。このように実際に製造されて市場に供給されている不織布ワイパーは坪量が50g/m2以上であって、100g/m2超えて例えば坪量が125g/m2であるというのが実情である。このように坪量が異なる不織布ワイパーが存在し、そして、その用途に適している坪量のものが使用されているということになる。
しかしながら、複合型の不織布ワイパーについて、単に、坪量を下げると、製造工程での水流交絡処理時にパルプ繊維の地合い形成が困難となり繊維ムラが発生した。また、パルプ繊維の歩留りが低くなり、製造コスト面で劣る製品となってしまった。
パルプ繊維ウエブと合成繊維ウエブとの水流交絡処理を水圧1〜20MPaのウオータジェットを用いて実行することを特徴とする不織布ワイパーの製造方法ことによっても達成される。
そして、前記水流交絡処理は多段で実行され、前段部の水圧を2〜10MPaで斬増し、後段部の水圧を10〜18MPaにしてあると共に、前記ウオータジェットのノズル径が0.16mm以下で、ノズル間隔が1.0mm以下であるように設定してもよい。
本発明に係る不織布ワイパーは、パルプ繊維ウエブと合成繊維ウエブとによる複合型のワイパーであり、従来公知の製造法と同様に、合成繊維ウエブの上にパルプ繊維ウエブを配置して、上方から所定圧の水流(ウオータジェット流)を噴射して水流交絡処理される。これによりパルプ繊維ウエブの繊維が合成繊維ウエブ側に入り込んで繊維同士が絡み合う状態(交絡)が形成されて、一体的に積層された不織布が得られる。
そして、これらの問題に対処する構成が、下記に説明する相対的に長いパルプ繊維により形成したパルプ繊維ウエブを用いることと、そしてパルプ繊維ウエブの構成比を所定範囲に設定することが好ましいことを確認して、本発明の不織布ワイパー到達したものである。
例えば、パルプ平均繊維長1.0〜5.0mmであるパルプを用いて、パルプ繊維ウエブを形成するのが好ましい。具体的には、パルプ繊維ウエブをラジアータパイン、スラッシュパイン、サザンパイン、ロッジポールパイン、スプルースおよびダグラスファーからなる群から選択された針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)の繊維を用いて形成するのが好ましい。いずれか1つのパルプ繊維によるパルプ繊維ウエブとしてもよいし、2つ以上を混合して形成したパルプ繊維ウエブとしてもよい。従来よりも相対的に長い繊維長のパルプ繊維を採用することで、繊維の脱落を防止しつつ、均一な地合い形成を実現できるようになる。
そして、本発明の不織布ワイパーでは、70〜50質量%をパルプ繊維で構成し、残りの30〜50質量%を合成繊維ウエブで構成してある。
ここで、得られる不織布ワイパーは薄手で風合いが良いので使い勝手がよく、軽微な汚れを、手軽に拭取るのに便利なワイパーとなる。
ここで、前記水流交絡処理に用いるウオータジェットのノズル径は好ましくは0.16mm以下、より好ましくは0.12mm以下とし、またノズル間隔は好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.5mm以下とするのがよい。
更に、ウオータジェットを多段に配置して水流交絡処理するようにしてもよい。この場合に、例えば、前段部のウオータジェットを1〜4段に構成して、その水圧を2〜10MPaで斬増してゆき、続く下流の後段部のウオータジェットでは水圧を10〜18MPaとする交絡処理を行うと、繊維の抜け落ちをより確実に抑制しつつ、強固な結合を有する不織布ワイパーを製造できる。
以下、更に本発明に係る不織布ワイパーの実施例について説明する。実施例1はサザンパインのパルプ繊維を用いて形成したパルプ繊維ウエブと、ポリプロピレン製スパンボンドによる合成繊維ウエブとにより複合型の不織布ワイパーを形成した。
実施例1の不織布ワイパーはパルプ繊維ウエブの平均繊維長は2.5mmであり、不織布ワイパーとしての坪量30.0g/m2であって、パルプ繊維ウエブの坪量は20.0g/m2で構成比66.7質量%、合成繊維ウエブの坪量は10.0g/m2で構成比33.3質量%であった。
なお、坪量はJIS P8124に記載の方法に準拠して測定した。また繊維長は、カヤニ繊維長測定装置(KAJJANI 社、FS-100)を用い測定した。長さの平均繊維長(mm)を求めた。
試験方法は以下の通りである。
・厚み: ピーコック紙厚計にて、37.85g/cm2加重下で測定した。
・強度: JISP8113に基づく乾燥時の引張強さとして測定した。
・繊維歩留り: パルプ繊維ウエブと合成繊維ウエブの供給量の合計と仕上がりとの差(繊維の歩留り)を測定した。歩留り○:85%以上 △:85〜70% ×:70%以下
・地合い: モニタ10名による官能評価を行った。7名以上が良いとした場合を優れる○、4〜6名が良いとした場合を普通△、そして良いとしたものが3名以下の場合を悪い×とした。
・湿潤テーバ値:JIS L 1096に規定されたテーバ試験機を用いて、回転する水平円盤に水で湿潤させた試料を取り付けて、砥粒結合体で成形された一対の摩擦輪(H−18)を規定荷重(4.9N)のもとに加えて、耐摩耗性を調べた。これによりワイパー使用中の交絡繊維の脱落の程度を確認することができる。判定は、摩耗によるシートの穴が13mmとなるまでの円盤の回転数で判定した。15回以上の場合を合格○とし、15回未満を不合格×とした。
・吸水性:JIS S 3104に規定された吸水速度試験に準拠し、滴下水量を0.5mLに変更し、水滴が試験片の表面に達したときから、試験片の鏡面反射が消えるまでの時間(秒)を測定し、評価した。ここでは、4.0秒以下の場合に十分な吸水性を備えているとして○、4.0秒を超える場合は×とした。
・総合判断:全て○の場合を優、×を含む場合を不可とした。
実施例1、2および比較例1の結果を纏めたものが下記の(表1)である。
また、製造時にパルプ繊維の歩留りも確保されているので、製造コストを抑制して複合型の不織布ワイパーを製造することができる。
Claims (5)
- パルプ繊維ウエブと合成繊維ウエブとを水流交絡処理して得られる不織布ワイパーであって、前記パルプ繊維ウエブに含まれるパルプ繊維の平均繊維長が1.0〜5.0mmであり、当該不織布ワイパーの坪量が20〜42g/m2であり、構成比がパルプ繊維ウエブ70〜50質量%、前記合成繊維ウエブ30〜50質量%である、ことを特徴とする不織布ワイパー。
- 前記パルプ繊維ウエブは、ラジアータパイン、スラッシュパイン、サザンパイン、ロッジポールパイン、スプルースおよびダグラスファーからなる群から選択された針葉樹晒クラフトパルプの繊維から成る、ことを特徴とする請求項1に記載の不織布ワイパー。
- JIS L 1096に規定の織物及び編物の生地試験方法に記載のテーバ形法に準拠したテーバ試験機で摩擦輪H−18を用い、湿潤状態の不織布を試験したときのテーバ値が15回以上である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の不織布ワイパー。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の不織布ワイパーを製造する方法であって、
パルプ繊維ウエブと合成繊維ウエブとの水流交絡処理を水圧1〜20MPaのウオータジェットを用いて実行する、ことを特徴とする不織布ワイパーの製造方法。 - 前記水流交絡処理は多段で実行され、前段部の水圧を2〜10MPaで斬増し、後段部の水圧を10〜18MPaにしてあると共に、
前記ウオータジェットのノズル径が0.16mm以下で、ノズル間隔が1.0mm以下である、ことを特徴とする請求項4に記載の不織布ワイパーの製造方法。
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