JP2018191914A - 衣服用ハンガー - Google Patents

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尚也 田島
Hisaya Tajima
尚也 田島
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Abstract

【課題】、木製のハンガーよりも安価であり、かつ、木製のハンガーに劣らない高級感のある衣服用ハンガーを提供すること。【解決手段】衣服用ハンガー1は、吊り下げ部2と本体部4とを備え、本体部4は、樹脂をブロー成型することによって内部が中空に形成され、本体部4の内部には、吊り下げ部2を固定するための固定部材10が配置され、固定部材10は、本体部4を形成する樹脂と同一の材料で形成され、ブロー成型の過程で本体部4の内側に溶着して固定される。【選択図】図10

Description

本発明は、衣服用ハンガーに関する。
従来、百貨店などで使用される高級なハンガーは木製であるが、安価なハンガーとして、樹脂製のハンガーが使用されている(例えば、特許文献1)。
特許5544590号公報
ハンガーの基本的な機能は、衣類を効率的に保管したり、衣類のしわや型崩れを防ぐことであるが、衣服を展示販売するブティックや百貨店などにおいては、衣服をハンガーに吊るしたときの全体としての外観が、買い物客を惹きつけ、販売に影響を与える重要な要素である。一般的に、ハンガーの外観について、一枚の板からハンガー全体を削り出して製造する、いわゆる「一本物」が最も高級感があると言われている。ところが、「一本物」は、極めて高価であるうえに、材料を効率的に使用することができない。このため、最高級品以外の木製のハンガーの製造においては、ハンガーの本体を構成する左右の肩支持部を別々に切り出して成形した後に、中央部で貼り合わせることによって、木材を効率的に使用するようになっている。しかし、この製法の場合、中央部に合わせ目が残り、その合わせ目の上に塗料を塗布しても、時間が経過すると、やはり、その合わせ目が表面化し、外観を害する。上記文献の樹脂製のハンガーは、上記の合わせ目が存在しないように成形することができるが、扁平な構造であり、その外観は高級感を欠く。
本発明はかかる問題の解決を試みたものであり、木製のハンガーよりも安価であり、かつ、木製のハンガーに劣らない高級感のある衣服用ハンガーを提供することを目的とする。
第一の発明は、吊り下げ部と本体部とを備える衣服用ハンガーであって、前記本体部は、樹脂をブロー成型することによって内部が中空に形成され、前記本体部の内部には、前記吊り下げ部を固定するための固定部材が配置され、前記固定部材は、前記樹脂と同一の材料で形成され、前記ブロー成型の過程で前記本体部の内側に溶着して固定される、衣服用ハンガーである。
本発明の発明者は、衣服を展示販売するブティックや百貨店における買い物客(以下、「需要者」という。)の行動を研究した。需要者は、ハンガーに吊り下げられた状態の衣服を見て、気になるものがあれば、肌触りなどを確認するために、衣服に触れる。このとき、衣服に触れると同時に、直接的または間接的にハンガーにも触れることがある事実を見いだした。すなわち、ハンガーは、それに吊り下げられた衣服と一体のものとして需要者に視認されること、及び、直接的、または、衣服を介して間接的に、需要者に触れられるという事実を発見した。これは、ハンガーが、需要者に対して、視覚的効果及び皮膚感覚的効果(触覚、痛覚、温度覚など、主に皮膚に存在する受容細胞によって受容され、体表面に生起すると知覚される感覚)を生じさせることを意味する。これを踏まえて、本発明の発明者は、需要者に与える視覚的効果、及び、皮膚感覚的効果において優れたハンガーの構成を研究し、第一の発明の構成に想到した。第一の発明の構成によれば、ハンガーの本体部が樹脂をブロー成型することで形成されるから、ハンガー中央部の合わせ目がない。また、樹脂の肉厚を調整することによって、一本物のハンガーと同様の重量に調整することができる。さらに、吊り下げ部を固定するための固定部材を本体部の内側に溶着したから、吊り下げ部が抜け落ちることもない。これにより、木製のハンガーよりも安価であり、かつ、木製のハンガーに劣らない高級感のある衣服用ハンガーを提供することができる。
第二の発明は、第一の発明の構成において、前記樹脂は、ABS(acrylonitrile butadiene styrene)である衣服用ハンガーである。
第三の発明は、第一の発明または第二の発明のいずれかの構成において、前記吊り下げ部は、金属で形成されており、前記吊り下げ部の軸部が前記固定部材に挿入された後、前記固定部材から抜け出ることを防止するための返し部が形成されている衣服用ハンガーである。
第四の発明は、第三の発明の構成において、前記固定部材の貫通孔の孔の断面形状は、前記固定部材が前記本体部に溶着して固定された段階において、前記吊り下げ部の前記軸部の断面形状よりも小さくなるように形成されており、
前記軸部は、加熱された状態で、前記固定部材を溶融しつつ前記固定部材に挿入され、その後、溶融された前記固定部材が冷却しつつ収縮することによって、前記固定部材に強固に固定されるようになっている衣服ハンガーである。ここで、前記固定部材の貫通孔の孔の断面形状とは、前記貫通孔の長さ方向に直交する方向の断面の形状である。そして、前記軸部の断面形状とは、前記軸部の長さ方向に直交する方向の断面の形状である。
第五の発明は、第一の発明乃至第四の発明のいずれかの構成において、前記本体部の底面には補強用の溝が形成されている衣服用ハンガーである。
本発明によれば、木製のハンガーよりも安価であり、かつ、木製のハンガーに劣らない高級感のある衣服用ハンガーを提供することができる。
本発明の第一の実施形態に係る衣服用ハンガーの概略正面図である。 衣服用ハンガーの概略平面図である。 衣服用ハンガーの概略正面図である。 衣服用ハンガーの本体部の概略平面図である。 衣服用ハンガーの本体部の概略正面図である。 衣服用ハンガーの本体部の中央部近傍の断面を示す概略図である。 固定部材の概略斜視図である。 吊り下げ部の概略図である。 ブロー成型方法の概略を示す図である。 吊り下げ部が固定部材に固定される状態を示す概略図である。 本発明の第二の実施形態に係る衣服用ハンガーの概略底面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以下の説明においては、同様の構成には同じ符号を付し、その説明を省略又は簡略する。なお、当業者が適宜実施できる構成については説明を省略し、本発明の基本的な構成についてのみ説明する。
<第一の実施形態>
図1乃至図6は、本発明の第一の実施形態に係る衣服用ハンガー1(以下、「ハンガー1」という。)を示す図である。図1及び図2に示すように、ハンガー1は、フック部2と本体部4で構成されている。フック部2は吊り下げ部の一例である。フック部2は、金属で形成され、本体部4は樹脂をブロー成型することによって、中空に形成されている。樹脂は、例えば、ブロー成型用のABS(acrylonitrile butadiene styrene)樹脂である。ブロー成型の条件を調整することによって、本体部4の肉厚を調整し、重量を調整することができる。これにより、例えば、一本物の木製のハンガーと同様の重量を有するハンガー1を形成することができる。本体部4の表面は、表面加工され、コーティング部材(図示せず)で覆われている。表面加工は、例えば、水圧転写であり、木目の模様が印刷されている。これにより、重量だけではなく、視覚的にも一本物の木製のハンガーと同様の重量を有するハンガー1を形成することができる。
図2に示すように、ハンガー1の平面視において、本体部4の幅w2及びw3は、フック部2の幅w1よりも大きい。また、本体部4の中央部の幅w2は、末端部の幅w3よりも小さい。本体部4の一方の側面4xは平面であるが、他方の側面4yは末端部近傍が幅広に形成されている。フック部2の軸部2bの位置は、側面4y側に偏って配置されている。軸部2bの位置が偏っている理由は、本体4の重心が側面4y側に偏っているからである。
図3、図4及び5に示すように、本体部4の中央部には、その内側に、フック部2を保持するための固定部材10が、本体部4と一体に形成されている。図6は、図5に示す本体部4のA―A線断面図である。図6の断面図に示すように、固定部材10は、本体部4の内側において、一方の側面4yと天井部4zに溶着して固定されている。
図7(a)は、本体部4に溶着される前の固定部材10を示す。固定部材10は、円筒状の形状に形成されており、周壁部10aと直径d1の孔部10bを有する。固定部材10は、本体部4と同一の材料で形成されている。固定部材10は、本体部4をブロー成型する際に、本体部4を形成するためのパリソン4pre(図9参照)の空気導入部に配置され、孔部10bにブロー成型機のエアピン(図示せず)が挿入され、圧縮空気が本体部4の内部に導入される。固定部材10は、ブロー成型の工程で、本体部4に溶着されて固定される。固定部材10は、本体部4と一体になる過程において、変形し、例えば、図7(b)に示すように、孔部10bの上方部分10baの直径は当初の直径d1を維持するが、下方部分10bcの直径d2は、当初の直径d1よりも小さくなっている。本体部4と固定部材10が一体として形成された後に、加熱されたフック部2が固定部材10の孔部10bに挿入される。
図8に示すように、フック部2は、湾曲部2aと直径d3の軸部2bで構成されている。軸部2bには、複数の返し部2cが形成されている。各返し部2cの直径は軸部2bの直径d3よりも大きく、最下部の返し部2cは、他の返し部2cよりも直径がわずかに大きく、直径d4を有する。各返し部2cの下側面2caは中央に向かって縮径(傾斜)しており、上側面2cbは平坦である。下側面2caが中央に向かって縮径(傾斜)するように形成されていることによって、加熱されたフック部2の軸部2bが固定部材10に矢印Z1方向に挿入されることは容易である。そして、返し部2cの周囲に固定部材10を形成する樹脂が位置して冷却して固化すると、上側面2cbが平坦に形成されていることによって、軸部2bは固定部材10から矢印Z2方向に抜け出ることはない。
図9に示すように、本体部4のパリソン4Preの空気導入部に固定部材10が配置され、金型(図示せず)に配置される。固定部材10の孔部10bが圧縮空気の通路となる。矢印A1に示すように、孔部10bからブロー成型用の圧縮空気がパリソン4Pre内に供給され、矢印A2に示すようにパリソン4Pre内を流れ、パリソン4Preの外面を金型に押し付けることでブロー成型が実施される。ブロー成型の工程で、固定部材10は本体部4の内側に溶着して固定される。
本体部4が成形され、同時に、固定部材10が本体部4の内側に溶着して固定された段階において、孔部10bの下方部分10bcの直径d2は、フック部2の軸部2bの直径d3及び最下部の返し部2cの直径d4よりも小さい(図7(b)及び図8参照)。図10(a)に示すように、フック部2の軸部2bが加熱された状態で、矢印Z1方向に、孔部10bに挿入される。加熱されたフック部2の軸部2bは、軸部2bと接する固定部材10の部分を溶融しつつ、固定部材10を矢印X1方向に押し広げながら、孔部10bに挿入される。
軸部2bの孔部10bへの挿入が完了すると、軸部2bの周囲の樹脂は、軸部2b及び返し部2cを覆い、かつ、時間の経過と共に孔部10bを形成する樹脂が冷却され、矢印X2に示すように、孔部10bは収縮して固化する。これにより、フック部2が固定部材10に強固に固定される。その後、一度、軸部2bを回転させることによって、軸部2bに固着していた固定部材10を形成する樹脂は軸部2bから剥離し、以後、フック部2は固定部材10に回転可能な状態で固定される。
<第二の実施形態>
図11を参照して、第二の実施形態を説明する。なお、第一の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図11に示すように、第二の実施形態のハンガー1Aは、本体部4の底面(フック部2が配置されている面とは反対側の面)に溝部4aが形成されている。ハンガー1Aの本体部4の肉厚は、第一の実施形態のハンガー1の本体部4の肉厚よりも薄く形成されており、ハンガー1Aの重量はハンガー1の重量よりも軽い。ハンガー1Aの本体部4は、溝部4aを形成することによって、肉厚が薄くても強度を確保するようになっている。
百貨店を訪れた需要者は、ハンガーから衣服を外さずに、ハンガーに吊るした状態で衣服の重量を確認する場合がある。この場合、需要者にとって、ハンガーの重量と衣服の重量とは混然一体となって区別できないから、衣服の重量は実際よりも重く感じられる。そこで、衣服本来の重量を需要者に体感させるために、ハンガー自体の重量は軽い方がよい場合がある。その点、第二の実施形態によれば、ハンガー1Aの本体部4は比較的肉薄で、軽量に形成されているから、ハンガー1Aの重量は比較的軽い。また、強度を確保するための溝部4aは、需要者が視認しにくいように底面に形成されているから、外観を害することもない。
なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
1,1A 衣服用ハンガー
2 フック部
4 本体部
10 固定部材

Claims (5)

  1. 吊り下げ部と本体部とを備える衣服用ハンガーであって、
    前記本体部は、樹脂をブロー成型することによって内部が中空に形成され、
    前記本体部の内部には、前記吊り下げ部を固定するための固定部材が配置され、
    前記固定部材は、前記樹脂と同一の材料で形成され、前記ブロー成型の過程で前記本体部の内側に溶着して固定される、
    衣服用ハンガー。
  2. 前記樹脂は、ABS(acrylonitrile butadiene styrene)である請求項1に記載の衣服用ハンガー。
  3. 前記吊り下げ部は、金属で形成されており、
    前記吊り下げ部の軸部が前記固定部材に挿入された後、前記固定部材から抜け出ることを防止するための返し部が形成されている請求項1または請求項2のいずれかに記載の衣服用ハンガー。
  4. 前記固定部材の貫通孔の孔の断面形状は、前記固定部材が前記本体部に溶着して固定された段階において、前記吊り下げ部の前記軸部の断面形状よりも小さくなるように形成されており、
    前記軸部は、加熱された状態で、前記固定部材を溶融しつつ前記固定部材に挿入され、その後、溶融された前記固定部材が冷却しつつ収縮することによって、前記固定部材に強固に固定されるようになっている請求項3に記載の衣服用ハンガー。
  5. 前記本体部の底面には補強用の溝が形成されている請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の衣服用ハンガー。
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