JP2018191613A - 細胞捕捉フィルターの製造方法および細胞捕捉フィルター - Google Patents
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Abstract
【課題】耐水溶性に優れた細胞非接着層を有し、圧力損失が低く、簡便に細胞を貫通孔に捕捉できる細胞捕捉フィルターを提供することを目的とする。
【解決手段】特定の官能基を有するシランカップリング剤と、前記官能基と反応する反応性基を有する重合開始剤と、側鎖に生体親和性基を有する非フッ素系モノマーとを用いて、ガラス基板10の貫通孔12の内壁面12aの少なくとも一部に前記シランカップリング剤が有する加水分解性シリル基を反応させてシロキサン結合を形成し、前記シランカップリング剤が有する前記官能基と前記重合開始剤が有する前記反応性基とを反応させ、前記重合開始剤から生じるラジカル部を起点に前記非フッ素系モノマーを重合させて、細胞非接着層14を形成する、細胞捕捉フィルター1の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】特定の官能基を有するシランカップリング剤と、前記官能基と反応する反応性基を有する重合開始剤と、側鎖に生体親和性基を有する非フッ素系モノマーとを用いて、ガラス基板10の貫通孔12の内壁面12aの少なくとも一部に前記シランカップリング剤が有する加水分解性シリル基を反応させてシロキサン結合を形成し、前記シランカップリング剤が有する前記官能基と前記重合開始剤が有する前記反応性基とを反応させ、前記重合開始剤から生じるラジカル部を起点に前記非フッ素系モノマーを重合させて、細胞非接着層14を形成する、細胞捕捉フィルター1の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、細胞捕捉フィルターの製造方法および細胞捕捉フィルターに関する。
従来、多数の貫通孔を有する基板を使用し、前記貫通孔で単一細胞を捕捉し、大きさにより単一細胞を分離する方法や、捕捉した単一細胞を解析する方法が知られている(特許文献1、2)。また、親水性の高分子材料で基板の表面や貫通孔の内壁面を被覆して親水化処理を行う方法や(特許文献3)、非イオン性界面活性をもつ高分子材料で基板の表面や貫通孔の内壁面を被覆する方法(特許文献4)が知られている。これらの方法によれば、捕捉した細胞が貫通孔の内壁面に接着しにくく、容易に分取できる。
しかし、特許文献3、4のような従来の方法では、高分子材料が水溶性であるため、該高分子材料単独で基板上に被覆層を形成すると、使用中に被覆層から高分子材料が溶出しやすい。該高分子材料が溶出すると、細胞毒になったり、その後の分析において不純物となったりする問題を引き起こすおそれがある。また、基板が有する貫通孔に細胞を含む細胞液を供給した際の圧力損失が高い。そのため、細胞液中の細胞以外の成分を貫通孔の反対側へと通過させるには、貫通孔における細胞液の供給側から加圧するか、供給側と反対側から減圧する必要があり、作業が煩雑となる。
本発明は、耐水溶性に優れた細胞非接着層を有し、圧力損失が低く、簡便に細胞を貫通孔に捕捉できる細胞捕捉フィルターが得られる細胞捕捉フィルターの製造方法、および、耐水溶性に優れた細胞非接着層を有し、圧力損失が低く、簡便に細胞を貫通孔に捕捉できる細胞捕捉フィルターを提供することを目的とする。
本発明の構成は以下の構成を有する。
[1]アミノ基、水酸基、イソシアネート基、ビニル基、エポキシ基、チオール基および(メタ)アクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するシランカップリング剤と、前記官能基と反応する反応性基を有する重合開始剤と、側鎖に生体親和性基を有する非フッ素系モノマーとを用いて、貫通孔を有するガラス基板の該貫通孔の内壁面の少なくとも一部に細胞非接着層を形成する細胞捕捉フィルターの製造方法であって、
前記内壁面の少なくとも一部に前記シランカップリング剤が有する加水分解性シリル基を反応させてシロキサン結合を形成し、前記シランカップリング剤が有する前記官能基と前記重合開始剤が有する前記反応性基とを反応させ、前記重合開始剤から生じるラジカル部を起点に前記非フッ素系モノマーを重合させて、前記細胞非接着層を形成する、細胞捕捉フィルターの製造方法。
[2]前記生体親和性基が、下式(1)で表される基、下式(2)で表される基および下式(3)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]に記載の細胞捕捉フィルターの製造方法。
[1]アミノ基、水酸基、イソシアネート基、ビニル基、エポキシ基、チオール基および(メタ)アクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するシランカップリング剤と、前記官能基と反応する反応性基を有する重合開始剤と、側鎖に生体親和性基を有する非フッ素系モノマーとを用いて、貫通孔を有するガラス基板の該貫通孔の内壁面の少なくとも一部に細胞非接着層を形成する細胞捕捉フィルターの製造方法であって、
前記内壁面の少なくとも一部に前記シランカップリング剤が有する加水分解性シリル基を反応させてシロキサン結合を形成し、前記シランカップリング剤が有する前記官能基と前記重合開始剤が有する前記反応性基とを反応させ、前記重合開始剤から生じるラジカル部を起点に前記非フッ素系モノマーを重合させて、前記細胞非接着層を形成する、細胞捕捉フィルターの製造方法。
[2]前記生体親和性基が、下式(1)で表される基、下式(2)で表される基および下式(3)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]に記載の細胞捕捉フィルターの製造方法。
(前記式中、nは1〜10の整数であり、mは1〜100の整数であり、R1〜R3は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基であり、aは1〜5の整数であり、bは1〜5の整数であり、R4およびR5は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基であり、X−は下式(3−1)で表される基または下式(3−2)で表される基であり、cは1〜20の整数であり、dは1〜5の整数である。)
[3]前記官能基と前記反応性基との組み合わせが、アミノ基とハロゲン化アシル基との組み合わせ、イソシアネート基と水酸基との組み合わせ、チオール基とビニル基との組み合わせ、または、(メタ)アクリル基とメタクリル基との組み合わせである、[1]または[2]に記載の細胞捕捉フィルターの製造方法。
[4]前記内壁面の少なくとも一部に前記シランカップリング剤が有する加水分解性シリル基を反応させてから、前記シランカップリング剤が有する前記官能基と前記重合開始剤が有する前記反応性基とを反応させた後、前記重合開始剤から生じるラジカル部を起点に前記非フッ素系モノマーを重合させる、[1]〜[3]のいずれかに記載の細胞捕捉フィルターの製造方法。
[5]貫通孔を有するガラス基板と、側鎖に生体親和性基を有する非フッ素系ポリマーを含有する細胞非接着層とを備え、
少なくとも前記貫通孔の内壁面の一部に前記細胞非接着層を有し、
前記非フッ素系ポリマーと前記ガラス基板とがシロキサン結合を介して結合されている細胞捕捉フィルター。
[6]前記生体親和性基が、下式(1)で表される基、下式(2)で表される基および下式(3)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、[5]に記載の細胞捕捉フィルター。
[4]前記内壁面の少なくとも一部に前記シランカップリング剤が有する加水分解性シリル基を反応させてから、前記シランカップリング剤が有する前記官能基と前記重合開始剤が有する前記反応性基とを反応させた後、前記重合開始剤から生じるラジカル部を起点に前記非フッ素系モノマーを重合させる、[1]〜[3]のいずれかに記載の細胞捕捉フィルターの製造方法。
[5]貫通孔を有するガラス基板と、側鎖に生体親和性基を有する非フッ素系ポリマーを含有する細胞非接着層とを備え、
少なくとも前記貫通孔の内壁面の一部に前記細胞非接着層を有し、
前記非フッ素系ポリマーと前記ガラス基板とがシロキサン結合を介して結合されている細胞捕捉フィルター。
[6]前記生体親和性基が、下式(1)で表される基、下式(2)で表される基および下式(3)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、[5]に記載の細胞捕捉フィルター。
(前記式中、nは1〜10の整数であり、mは1〜100の整数であり、R1〜R3は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基であり、aは1〜5の整数であり、bは1〜5の整数であり、R4およびR5は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基であり、X−は下式(3−1)で表される基または下式(3−2)で表される基であり、cは1〜20の整数であり、dは1〜5の整数である。)
本発明の細胞捕捉フィルターの製造方法によれば、耐水溶性に優れた細胞非接着層を有し、圧力損失が低く、簡便に細胞を貫通孔に捕捉できる細胞捕捉フィルターが得られる。
本発明の細胞捕捉フィルターは、耐水溶性に優れた細胞非接着層を有し、圧力損失が低く、簡便に細胞を貫通孔に捕捉できる。
本発明の細胞捕捉フィルターは、耐水溶性に優れた細胞非接着層を有し、圧力損失が低く、簡便に細胞を貫通孔に捕捉できる。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「モノマー」とは、重合性不飽和基を有する化合物を意味する。
「非フッ素系モノマー」とは、分子中にフッ素原子を有しないモノマーを意味する。
「ポリマー」とは、モノマーの重合により生じる単位を有し、主鎖の末端に重合開始剤由来の部分を有する高分子化合物を意味する。
「非フッ素系ポリマー」とは、分子中にフッ素原子を有しないポリマーを意味する。
「単位」とは、ポリマー中に存在してポリマーを構成する、モノマーに由来する部分を意味する。炭素−炭素不飽和二重結合を有するモノマーの付加重合により生じる、該モノマーに由来する単位は、該不飽和二重結合が開裂して生じた2価の単位である。また、ある単位の構造をポリマー形成後に化学的に変換したものも単位という。
「(メタ)アクリル基」とは、アクリル基およびメタクリル基の総称である。
「生体親和性基」とは、細胞等のタンパク質がポリマーに吸着または接着して動きにくくなることを抑制する性質を有する基を意味する。
「モノマー」とは、重合性不飽和基を有する化合物を意味する。
「非フッ素系モノマー」とは、分子中にフッ素原子を有しないモノマーを意味する。
「ポリマー」とは、モノマーの重合により生じる単位を有し、主鎖の末端に重合開始剤由来の部分を有する高分子化合物を意味する。
「非フッ素系ポリマー」とは、分子中にフッ素原子を有しないポリマーを意味する。
「単位」とは、ポリマー中に存在してポリマーを構成する、モノマーに由来する部分を意味する。炭素−炭素不飽和二重結合を有するモノマーの付加重合により生じる、該モノマーに由来する単位は、該不飽和二重結合が開裂して生じた2価の単位である。また、ある単位の構造をポリマー形成後に化学的に変換したものも単位という。
「(メタ)アクリル基」とは、アクリル基およびメタクリル基の総称である。
「生体親和性基」とは、細胞等のタンパク質がポリマーに吸着または接着して動きにくくなることを抑制する性質を有する基を意味する。
「細胞」とは、生体を構成する最も基本的な単位であり、細胞膜の内部に細胞質と各種の細胞小器官をもつものを意味する。DNAを内包する核は、細胞内部に含まれても含まれなくてもよい。
動物由来の細胞には、生殖細胞(精子、卵子等)、生体を構成する体細胞、幹細胞、前駆細胞、生体から分離された癌細胞、生体から分離され不死化能を獲得して体外で安定して維持される細胞(細胞株)、生体から分離され人為的に遺伝子改変された細胞、生体から分離され人為的に核が交換された細胞等が含まれる。
生体を構成する体細胞には、線維芽細胞、骨髄細胞、Bリンパ球、Tリンパ球、好中球、赤血球、血小板、マクロファージ、単球、骨細胞、骨髄細胞、周皮細胞、樹枝状細胞、ケラチノサイト、脂肪細胞、間葉細胞、上皮細胞、表皮細胞、内皮細胞、血管内皮細胞、肝実質細胞、軟骨細胞、卵丘細胞、神経系細胞、グリア細胞、ニューロン、オリゴデンドロサイト、マイクログリア、星状膠細胞、心臓細胞、食道細胞、筋肉細胞(例えば、平滑筋細胞、骨格筋細胞)、膵臓ベータ細胞、メラニン細胞、造血前駆細胞、単核細胞等が含まれる。
動物由来の細胞には、生殖細胞(精子、卵子等)、生体を構成する体細胞、幹細胞、前駆細胞、生体から分離された癌細胞、生体から分離され不死化能を獲得して体外で安定して維持される細胞(細胞株)、生体から分離され人為的に遺伝子改変された細胞、生体から分離され人為的に核が交換された細胞等が含まれる。
生体を構成する体細胞には、線維芽細胞、骨髄細胞、Bリンパ球、Tリンパ球、好中球、赤血球、血小板、マクロファージ、単球、骨細胞、骨髄細胞、周皮細胞、樹枝状細胞、ケラチノサイト、脂肪細胞、間葉細胞、上皮細胞、表皮細胞、内皮細胞、血管内皮細胞、肝実質細胞、軟骨細胞、卵丘細胞、神経系細胞、グリア細胞、ニューロン、オリゴデンドロサイト、マイクログリア、星状膠細胞、心臓細胞、食道細胞、筋肉細胞(例えば、平滑筋細胞、骨格筋細胞)、膵臓ベータ細胞、メラニン細胞、造血前駆細胞、単核細胞等が含まれる。
幹細胞とは、自分自身を複製する能力と他の複数系統の細胞に分化する能力を兼ね備えた細胞であり、胚性幹細胞(ES細胞)、胚性腫瘍細胞、胚性生殖幹細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、神経幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、肝幹細胞、膵幹細胞、筋幹細胞、生殖幹細胞、腸幹細胞、癌幹細胞、毛包幹細胞等が含まれる。
前駆細胞とは、前記幹細胞から特定の体細胞または生殖細胞に分化する途中の段階にある細胞である。
癌細胞とは、体細胞から派生して無限の増殖能を獲得した細胞である。
細胞株とは、生体外での人為的な操作により無限の増殖能を獲得した細胞であり、HCT116、Huh7、HEK293(ヒト胎児腎細胞)、HeLa(ヒト子宮頸癌細胞株)、HepG2(ヒト肝癌細胞株)、UT7/TPO(ヒト白血病細胞株)、CHO(チャイニーズハムスター卵巣細胞株)、MDCK、MDBK、BHK、C−33A、HT−29、AE−1、3D9、Ns0/1、Jurkat、NIH3T3、PC12、S2、Sf9、Sf21、High Five、Vero等が含まれる。
血中循環癌細胞CTC(Circulating Turnor Cell)とは、癌患者の血液中に存在する癌細胞である。CAMLs(Circulating Cancer Associated Macrophage−like Cells)とは、癌患者の血液中に存在するマクロファージ様細胞である。
前駆細胞とは、前記幹細胞から特定の体細胞または生殖細胞に分化する途中の段階にある細胞である。
癌細胞とは、体細胞から派生して無限の増殖能を獲得した細胞である。
細胞株とは、生体外での人為的な操作により無限の増殖能を獲得した細胞であり、HCT116、Huh7、HEK293(ヒト胎児腎細胞)、HeLa(ヒト子宮頸癌細胞株)、HepG2(ヒト肝癌細胞株)、UT7/TPO(ヒト白血病細胞株)、CHO(チャイニーズハムスター卵巣細胞株)、MDCK、MDBK、BHK、C−33A、HT−29、AE−1、3D9、Ns0/1、Jurkat、NIH3T3、PC12、S2、Sf9、Sf21、High Five、Vero等が含まれる。
血中循環癌細胞CTC(Circulating Turnor Cell)とは、癌患者の血液中に存在する癌細胞である。CAMLs(Circulating Cancer Associated Macrophage−like Cells)とは、癌患者の血液中に存在するマクロファージ様細胞である。
本明細書においては、式(1)で表される基を基(1)と記す。他の式で表される基もこれに準じて記す。
アミノ基、水酸基、イソシアネート基、ビニル基、エポキシ基、チオール基および(メタ)アクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を官能基(a)と記す。
官能基(a)を有するシランカップリング剤をシランカップリング剤(A)と記す。
官能基(a)と反応する反応性基を反応性基(b)と記す。
反応性基(b)を有する重合開始剤を重合開始剤(B)と記す。
側鎖に生体親和性基を有する非フッ素系モノマーをポリマー(P)と記す。
側鎖に生体親和性基を有する非フッ素系モノマーを非フッ素系モノマー(m)と記す。
アミノ基、水酸基、イソシアネート基、ビニル基、エポキシ基、チオール基および(メタ)アクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を官能基(a)と記す。
官能基(a)を有するシランカップリング剤をシランカップリング剤(A)と記す。
官能基(a)と反応する反応性基を反応性基(b)と記す。
反応性基(b)を有する重合開始剤を重合開始剤(B)と記す。
側鎖に生体親和性基を有する非フッ素系モノマーをポリマー(P)と記す。
側鎖に生体親和性基を有する非フッ素系モノマーを非フッ素系モノマー(m)と記す。
[細胞捕捉フィルター]
本発明の細胞捕捉フィルターは、細胞を含む細胞液から細胞を捕捉して分離するためのフィルターである。本発明の細胞捕捉フィルターは、貫通孔を有するガラス基板と、ポリマー(P)を含有する細胞非接着層とを備えている。
本発明の細胞捕捉フィルターは、細胞を含む細胞液から細胞を捕捉して分離するためのフィルターである。本発明の細胞捕捉フィルターは、貫通孔を有するガラス基板と、ポリマー(P)を含有する細胞非接着層とを備えている。
ガラス基板の平面視形状は、特に限定されず、適宜設定できる。
ガラス基板の厚さは、50μm〜2mmが好ましく、80μm〜1mmがより好ましい。
ガラス基板の厚さは、50μm〜2mmが好ましく、80μm〜1mmがより好ましい。
貫通孔をガラス基板の厚さ方向に垂直な方向に切断したときの断面形状は、細胞を捕捉しながら並べる用途では円形状が好ましい。少ない面積で効率的に希少細胞を捕捉する際には、長方形、三角形、正方形、楕円形等の形状であってもよい。
貫通孔をガラス基板の厚さ方向に切断したときの断面形状は、例えば、細胞が供給される側の第1面から反対側の第2面まで幅が同じ形状(ストレート形状)が挙げられる。また、第1面から第2面まで徐々に幅が狭まる先細りのテーパー形状、第1面から第2面まで徐々に幅が広がる先太りのテーパー形状、第1面から第2面に向かって途中まで徐々に幅が狭まり、途中から徐々に幅が広がる形状等でもよい。
貫通孔をガラス基板の厚さ方向に切断したときの断面形状は、例えば、細胞が供給される側の第1面から反対側の第2面まで幅が同じ形状(ストレート形状)が挙げられる。また、第1面から第2面まで徐々に幅が狭まる先細りのテーパー形状、第1面から第2面まで徐々に幅が広がる先太りのテーパー形状、第1面から第2面に向かって途中まで徐々に幅が狭まり、途中から徐々に幅が広がる形状等でもよい。
貫通孔をガラス基板の厚さ方向に垂直な方向に切断したときの断面形状が円形状の場合、貫通孔の平均直径は、捕捉したい細胞の大きさによって適宜決定でき、500nm〜100μmが好ましく、600nm〜30μmがより好ましい。貫通孔の平均直径が前記範囲の下限値以上であれば、細胞を捕捉する際の圧力損失を低くしやすく、加圧や吸引を利用しなくても細胞を捕捉することが容易になる。貫通孔の平均直径が前記範囲の上限値以下であれば、細胞をより効率良く捕捉しやすくなる。
血中の循環癌細胞等の希少細胞を捕捉する場合は、貫通孔の平均直径は4〜12μmが好ましく、4〜10μmがより好ましい。貫通孔の平均直径が前記範囲内であれば、血中細胞を透過させ、循環癌細胞等の希少細胞を効率良く捕捉することが容易になる。
血中の循環癌細胞等の希少細胞を捕捉する場合は、貫通孔の平均直径は4〜12μmが好ましく、4〜10μmがより好ましい。貫通孔の平均直径が前記範囲内であれば、血中細胞を透過させ、循環癌細胞等の希少細胞を効率良く捕捉することが容易になる。
貫通孔をガラス基板の厚さ方向に垂直な方向に切断したときの断面形状が長方形または楕円形である場合、該貫通孔の平均短幅は0.5〜100μmが好ましい。また、血中の循環癌細胞等の希少細胞を捕捉する場合は、貫通孔の平均短幅は4〜10μmが好ましい。貫通孔の平均短幅が前記範囲内であれば、血中細胞は貫通孔を透過させ、希少細胞を効率良く捕捉することが容易になる。
なお、短幅とは、貫通孔をガラス基板の厚さ方向に垂直な方向に切断したときの断面形状が長方形の場合、その短辺を意味し、該断面形状が楕円形の場合、該楕円形に接し、かつ最も幅が狭くなる一組の平行線の幅を意味する。
なお、短幅とは、貫通孔をガラス基板の厚さ方向に垂直な方向に切断したときの断面形状が長方形の場合、その短辺を意味し、該断面形状が楕円形の場合、該楕円形に接し、かつ最も幅が狭くなる一組の平行線の幅を意味する。
貫通孔がストレート形状以外の場合の直径および短幅は、ガラス基板の厚さ方向において貫通孔が最も狭くなっている部分の直径および短幅である。
貫通孔の断面形状、および平均直径や平均短幅の測定は、光学顕微鏡、レーザー顕微鏡、または電子顕微鏡による測長により行われる。
貫通孔の断面形状、および平均直径や平均短幅の測定は、光学顕微鏡、レーザー顕微鏡、または電子顕微鏡による測長により行われる。
ガラス基板が有する貫通孔の数は、適宜設定でき、例えば、1mm2あたり25〜70000個とすることができる。
ガラス基板における隣り合う貫通孔の間隔(ピッチ)は、形成可能な貫通孔の数、フィルター強度および捕捉後の細胞の観察の観点から、4〜200μmが好ましく、7〜30μmがより好ましい。
ガラス基板における隣り合う貫通孔の間隔(ピッチ)は、形成可能な貫通孔の数、フィルター強度および捕捉後の細胞の観察の観点から、4〜200μmが好ましく、7〜30μmがより好ましい。
ガラス基板の開口率は、細胞捕捉フィルターの厚さ方向の上下に生ずる圧力差を低減する観点から、5〜70%が好ましく、15〜65%がより好ましい。
なお、ガラス基板の開口率は、「SB/SA×100(ただし、SAはガラス基板の細胞が供給される側の表面における任意の領域の面積であり、SBは前記領域における前記表面での開口面積である。)」で定義され、以下のようにして測定される。光学顕微鏡やレーザー顕微鏡を用いて撮影したある領域の面積をSAとし、当該領域に含まれる開口の面積をコントラストに基づく画像処理によって算出してSBとする。
なお、ガラス基板の開口率は、「SB/SA×100(ただし、SAはガラス基板の細胞が供給される側の表面における任意の領域の面積であり、SBは前記領域における前記表面での開口面積である。)」で定義され、以下のようにして測定される。光学顕微鏡やレーザー顕微鏡を用いて撮影したある領域の面積をSAとし、当該領域に含まれる開口の面積をコントラストに基づく画像処理によって算出してSBとする。
本発明の細胞捕捉フィルターは、ガラス基板における少なくとも貫通孔の内壁面の一部に細胞非接着層を有している。本発明においては、少なくとも貫通孔の内壁面における細胞が供給される側に細胞非接着層を有していることが好ましい。本発明の細胞捕捉フィルターにおいては、貫通孔の内壁面における、捕捉された細胞が接しない部分にも細胞非接着層を有していてもよい。
本発明の細胞捕捉フィルターにおいては、ガラス基板の厚さ方向の両方の表面のうち、細胞が供給される側の表面に細胞非接着層を有していることが好ましい。これにより、ガラス基板における細胞が供給される側の表面に目的の細胞が接着することを抑制できるため、該細胞の捕捉および分取が容易になる。なお、本発明の細胞捕捉フィルターにおいては、ガラス基板の厚さ方向の両面に細胞非接着層を有していてもよい。
細胞非接着層は、ポリマー(P)を含有する層である。細胞非接着層に含有されるポリマー(P)は、ガラス基板とシロキサン結合を介して結合している。具体的には、ポリマー(P)は、非フッ素系モノマー(m)に由来する単位を有し、主鎖の末端に重合開始剤(B)に由来する部分を有し、分子内にフッ素原子を有している。シランカップリング剤(A)が有する官能基(a)と、ポリマー(P)の末端に導入された重合開始剤(B)由来の部分が有する反応性基(b)とが結合されており、かつシランカップリング剤(A)の加水分解性シリル基とガラス基板の表面の水酸基とが結合されてシロキサン結合が形成されていることで、ポリマー(P)がガラス基板と結合している。これにより、優れた耐水溶性を有する細胞非接着層となり、細胞非接着層を形成する成分が細胞液中に溶出することが抑制される。
シランカップリング剤(A)は、官能基(a)を有するシランカップリング剤である。
官能基(a)は、アミノ基、水酸基、イソシアネート基、ビニル基、エポキシ基、チオール基および(メタ)アクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基である。1分子のシランカップリング剤(A)が有する官能基(a)は、1つであることが好ましい。
官能基(a)は、アミノ基、水酸基、イソシアネート基、ビニル基、エポキシ基、チオール基および(メタ)アクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基である。1分子のシランカップリング剤(A)が有する官能基(a)は、1つであることが好ましい。
シランカップリング剤(A)の具体例としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。シランカップリング剤(A)としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリマー(P)は、生体親和性基を有している。これにより、細胞非接着層の表面にタンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくくなる。また、該細胞非接着層は水接触角が小さく、細胞を貫通孔に捕捉して細胞液から分離する際の圧力損失が低い。
生体親和性基としては、タンパク質の吸着および細胞の接着を抑制する効果が高く、細胞を貫通孔に捕捉して細胞液から分離する際の圧力損失が低い細胞非接着層を形成しやすい点から、前述した基(1)、基(2)および基(3)からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。生体親和性基としては、タンパク質の吸着および細胞の接着を抑制する効果が得られやすい点から、基(1)のみ、または、基(2)および基(3)のいずれか一方もしくは両方が好ましく、基(1)、基(2)または基(3)のいずれか1つが特に好ましい。
生体親和性基としては、タンパク質の吸着および細胞の接着を抑制する効果が高く、細胞を貫通孔に捕捉して細胞液から分離する際の圧力損失が低い細胞非接着層を形成しやすい点から、前述した基(1)、基(2)および基(3)からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。生体親和性基としては、タンパク質の吸着および細胞の接着を抑制する効果が得られやすい点から、基(1)のみ、または、基(2)および基(3)のいずれか一方もしくは両方が好ましく、基(1)、基(2)または基(3)のいずれか1つが特に好ましい。
基(1):
基(1)は、血液中等で運動性が高く、細胞非接着層の表面にタンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくくなる。
基(1)におけるnは、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、1〜6の整数が好ましく、1〜4の整数が特に好ましい。基(1)は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。タンパク質の吸着抑制効果および細胞の接着抑制効果がより高い点から、基(1)は直鎖状であることが好ましい。
基(1)におけるmは、1〜40が好ましく、1〜20が特に好ましい。
基(1)は、血液中等で運動性が高く、細胞非接着層の表面にタンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくくなる。
基(1)におけるnは、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、1〜6の整数が好ましく、1〜4の整数が特に好ましい。基(1)は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。タンパク質の吸着抑制効果および細胞の接着抑制効果がより高い点から、基(1)は直鎖状であることが好ましい。
基(1)におけるmは、1〜40が好ましく、1〜20が特に好ましい。
mが2以上の場合、基(1)における(CnH2nO)は1種であってもよく、2種以上であってもよい。また、2種以上の場合、その並び方はランダム、ブロック、交互のいずれであってもよい。nが3以上の場合、直鎖構造であってもよく、分岐構造であってもよい。ポリマー(P)が基(1)を有する場合、ポリマー(P)が有する基(1)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
基(2):
基(2)は、血液中のリン脂質に対して強い親和性を持つ一方、血漿タンパク質に対する相互作用力は弱い。そのため、基(2)を有するポリマー(P)を用いることで、例えば、血液中では細胞非吸着層上にリン脂質が優先して吸着し、該リン脂質が自己組織化して吸着層が形成されると考えられる。その結果、表面が血管内皮表面に類似した構造となるために、フィブリノーゲン等のタンパク質の吸着が抑制され、細胞の接着も抑制される。
基(2)は、血液中のリン脂質に対して強い親和性を持つ一方、血漿タンパク質に対する相互作用力は弱い。そのため、基(2)を有するポリマー(P)を用いることで、例えば、血液中では細胞非吸着層上にリン脂質が優先して吸着し、該リン脂質が自己組織化して吸着層が形成されると考えられる。その結果、表面が血管内皮表面に類似した構造となるために、フィブリノーゲン等のタンパク質の吸着が抑制され、細胞の接着も抑制される。
基(2)におけるR1〜R3は、原料の入手容易性の点から、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。基(2)におけるaは、原料の入手容易性の点から、2〜5の整数が好ましく、2が特に好ましい。基(2)におけるbは、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、1〜4の整数が好ましく、2が特に好ましい。
ポリマー(P)が基(2)を有する場合、ポリマー(P)が有する基(2)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
ポリマー(P)が基(2)を有する場合、ポリマー(P)が有する基(2)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
基(3):
基(3)を有するポリマー(P)を用いることで、基(2)を有するポリマー(P)を用いる場合と同様の理由から、タンパク質の吸着が抑制され、細胞の接着が抑制される。
基(3)におけるR4およびR5は、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。基(3)におけるcは、ポリマー(P)が柔軟性に優れる点から、1〜15の整数が好ましく、1〜10の整数がより好ましく、2が特に好ましい。基(3)におけるdは、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、1〜4の整数が好ましく、1が特に好ましい。
基(3)を有するポリマー(P)を用いることで、基(2)を有するポリマー(P)を用いる場合と同様の理由から、タンパク質の吸着が抑制され、細胞の接着が抑制される。
基(3)におけるR4およびR5は、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。基(3)におけるcは、ポリマー(P)が柔軟性に優れる点から、1〜15の整数が好ましく、1〜10の整数がより好ましく、2が特に好ましい。基(3)におけるdは、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、1〜4の整数が好ましく、1が特に好ましい。
ポリマー(P)が基(3)を有する場合、ポリマー(P)が有する基(3)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
また、ポリマー(P)が基(3)を有する場合、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、ポリマー(P)は、X−が基(3−1)である基(3)を有するか、またはX−が基(3−2)である基(3)を有するかのいずれかであることが好ましい。
また、ポリマー(P)が基(3)を有する場合、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、ポリマー(P)は、X−が基(3−1)である基(3)を有するか、またはX−が基(3−2)である基(3)を有するかのいずれかであることが好ましい。
ポリマー(P)の数平均分子量(Mn)は、2,000〜1,000,000が好ましく、2,000〜800,000が特に好ましい。ポリマー(P)の数平均分子量が前記下限値以上であれば、耐久性に優れ、前記上限値以下であれば、加工性に優れる。
ポリマー(P)の質量平均分子量(Mw)は、2,000〜2,000,000が好ましく、2,000〜1,000,000が特に好ましい。ポリマー(P)の質量平均分子量が前記下限値以上であれば、耐久性に優れ、前記上限値以下であれば、加工性に優れる。
ポリマー(P)の分子量分布(Mw/Mn)は、1〜10が好ましく、1.1〜5が特に好ましい。ポリマー(P)の分子量分布が前記範囲内であれば、耐水溶性に優れ、かつタンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい。
ポリマー(P)の質量平均分子量(Mw)は、2,000〜2,000,000が好ましく、2,000〜1,000,000が特に好ましい。ポリマー(P)の質量平均分子量が前記下限値以上であれば、耐久性に優れ、前記上限値以下であれば、加工性に優れる。
ポリマー(P)の分子量分布(Mw/Mn)は、1〜10が好ましく、1.1〜5が特に好ましい。ポリマー(P)の分子量分布が前記範囲内であれば、耐水溶性に優れ、かつタンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい。
ポリマー(P)としては、耐水溶性に優れ、細胞液中に溶出しにくく、細胞が接着しにくく、また細胞を貫通孔に捕捉して細胞液から分離する際の圧力損失が低い細胞非接着層を簡便に形成できる点から、後述のポリマー(P1)およびポリマー(P2)が好ましい。
ポリマー(P1)は、モノマー(m1)に由来する単位(以下、単位(m1)とも記す。)およびモノマー(m2)に由来する単位(以下、単位(m2)とも記す。)からなる群から選ばれる少なくとも1種を有するポリマーである。
ただし、R6は水素原子、塩素原子またはメチル基であり、Q1は−C(=O)−O−または−C(=O)−NH−であり、R7は水素原子、塩素原子またはメチル基であり、Q2は−C(=O)−O−または−C(=O)−NH−であり、その他の符号は式(2)または式(3)と同じである。
モノマー(m1)は、基(2)を有する非フッ素系モノマー(m)である。
式(m1)中、R6は、重合しやすい点から、水素原子またはメチル基が好ましい。
Q1は、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、−C(=O)−O−が好ましい。R1〜R3は、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。aは、ポリマー(P)の柔軟性に優れる点から、1〜4の整数が好ましく、2が特に好ましい。bは、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、1〜4の整数が好ましく、2が特に好ましい。
式(m1)中、R6は、重合しやすい点から、水素原子またはメチル基が好ましい。
Q1は、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、−C(=O)−O−が好ましい。R1〜R3は、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。aは、ポリマー(P)の柔軟性に優れる点から、1〜4の整数が好ましく、2が特に好ましい。bは、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、1〜4の整数が好ましく、2が特に好ましい。
モノマー(m1)の具体例としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2−アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等が挙げられる。
ポリマー(P1)が単位(m1)を有する場合、単位(m1)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
ポリマー(P1)が単位(m1)を有する場合、単位(m1)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
モノマー(m2)は、基(3)を有する非フッ素系モノマー(m)である。
式(m2)中、R7は、重合しやすい点から、水素原子またはメチル基が好ましい。
Q2は、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、−C(=O)−O−が好ましい。R4およびR5は、原料が入手容易な点から、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。cは、原料が入手容易な点から、1〜15の整数が好ましく、1〜10の整数がより好ましく、2が特に好ましい。dは、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、1〜4の整数が好ましく、1が特に好ましい。
式(m2)中、R7は、重合しやすい点から、水素原子またはメチル基が好ましい。
Q2は、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、−C(=O)−O−が好ましい。R4およびR5は、原料が入手容易な点から、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。cは、原料が入手容易な点から、1〜15の整数が好ましく、1〜10の整数がより好ましく、2が特に好ましい。dは、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、1〜4の整数が好ましく、1が特に好ましい。
モノマー(m2)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、N−アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−プロピルスルホキシベタイン、N−メタクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−プロピルスルホキシベタイン等。
N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、N−アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−プロピルスルホキシベタイン、N−メタクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−プロピルスルホキシベタイン等。
モノマー(m2)としては、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、またはN−アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタインが好ましい。ポリマー(P1)が単位(m2)を有する場合、単位(m2)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
ポリマー(P1)においては、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、生体親和性基を有する単位として、単位(m1)または単位(m2)のいずれか1つを有していることが特に好ましい。なお、ポリマー(P1)は、単位(m1)および単位(m2)の両方を有していてもよい。
ポリマー(P1)は、単位(m1)および単位(m2)から選ばれる少なくとも1種に加えて、単位(m1)および単位(m2)以外の他のモノマーに由来する単位を有していてもよい。
ポリマー(P1)は、単位(m1)および単位(m2)から選ばれる少なくとも1種に加えて、単位(m1)および単位(m2)以外の他のモノマーに由来する単位を有していてもよい。
他のモノマーとしては、例えば、CH2=C(CH3)COO(CH2)7CH3、CH2=CHCOO(CH2)7CH3、CH2=C(CH3)COOCH2CH3、CH2=CHCOOCH2CF3等が挙げられる。また、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルペピリジン、N,N−ジメチルアミノオキシドエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノオキシドエチル(メタ)アクリレート、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレートの3,5−ジメチルピラゾール付加体、3−イソシアネートプロピル(メタ)アクリレート、4−イソシアネートブチル(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレングリコールモノグリシジルエーテル(メタ)アクリレート等を用いてもよい。
ポリマー(P1)の全単位に対する単位(m1)と単位(m2)との合計の割合は、10モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましく、100モル%が特に好ましい。単位(m1)と単位(m2)との合計の割合が前記下限値以上であれば、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい。
ポリマー(P2)は、上記のモノマー(m3)に由来する単位(以下、単位(m3)とも記す。)を有するポリマーである。
ただし、式中、R8は水素原子、塩素原子またはメチル基であり、Q3は−COO−または−COO(CH2)f−NHCOO−(ただし、fは1〜4の整数である。)であり、R9は水素原子または−(CH2)g−R10(ただし、R10は炭素数1〜8のアルコキシ基、水素原子、フッ素原子またはシアノ基であり、gは1〜25の整数である。)であり、eは1〜10の整数であり、mは1〜100の整数である。
モノマー(m3)は、基(1)を有する非フッ素系モノマー(m)である。式(m3)中、R8は、重合しやすい点から、水素原子またはメチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。Q3は、−COO−が好ましい。R9は、水素原子が好ましい。
mが2以上の場合、複数存在する(CeH2eO)の種類が同じであっても異なっていてもよい。異なる場合には、その並び方はランダム、ブロック、交互(例えば(CH2CH2O−CH2CH2CH2CH2O)等)のいずれであってもよい。eが3以上の場合には、直鎖構造でも分岐構造でもよい。(CeH2eO)としては(CH2O)、(CH2CH2O)、(CH2CH2CH2O)、(CH(CH3)CH2O)、(CH2CH2CH2CH2O)等が挙げられる。eは、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、1〜6の整数が好ましく、1〜4の整数が特に好ましい。mは、排除体積効果が高く、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、1〜50の整数が好ましく、1〜30の整数がより好ましく、1〜20の整数が特に好ましい。gは、ポリマー(P1)の柔軟性に優れる点から、1〜4の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
R10は、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、アルコキシ基が好ましい。
mが2以上の場合、複数存在する(CeH2eO)の種類が同じであっても異なっていてもよい。異なる場合には、その並び方はランダム、ブロック、交互(例えば(CH2CH2O−CH2CH2CH2CH2O)等)のいずれであってもよい。eが3以上の場合には、直鎖構造でも分岐構造でもよい。(CeH2eO)としては(CH2O)、(CH2CH2O)、(CH2CH2CH2O)、(CH(CH3)CH2O)、(CH2CH2CH2CH2O)等が挙げられる。eは、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、1〜6の整数が好ましく、1〜4の整数が特に好ましい。mは、排除体積効果が高く、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、1〜50の整数が好ましく、1〜30の整数がより好ましく、1〜20の整数が特に好ましい。gは、ポリマー(P1)の柔軟性に優れる点から、1〜4の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
R10は、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、アルコキシ基が好ましい。
モノマー(m3)としては、下式(m31)で表されるモノマー(m31)が好ましい。
モノマー(m31)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
CH2=CH−COO−(C2H4O)9−H、
CH2=CH−COO−(C2H4O)4−H、
CH2=CH−COO−(C2H4O)5−H、
CH2=CH−COO−(C2H4O)9−CH3、
CH2=C(CH3)−COO−(C2H4O)9−H、
CH2=C(CH3)−COO−(C2H4O)4−H、
CH2=C(CH3)−COO−(C2H4O)5−H、
CH2=C(CH3)−COO−(C2H4O)9−CH3、
CH2=CH−COO−(CH2O)−(C2H4O)m1−(CH2O)−H、
CH2=CH−COO−(C2H4O)m2−(C4H8O)m3−H、
CH2=C(CH3)−COO−(C2H4O)m2−(C4H8O)m3−H、
CH2=CH−COO−(C2H4O)m2−(C4H8O)m3−CH3、
CH2=C(CH3)−COO−(C2H4O)m2−(C4H8O)m3−CH3等。
上式において、m1は1〜20の整数であり、m2およびm3は、それぞれ独立に、1〜50の整数である。
CH2=CH−COO−(C2H4O)9−H、
CH2=CH−COO−(C2H4O)4−H、
CH2=CH−COO−(C2H4O)5−H、
CH2=CH−COO−(C2H4O)9−CH3、
CH2=C(CH3)−COO−(C2H4O)9−H、
CH2=C(CH3)−COO−(C2H4O)4−H、
CH2=C(CH3)−COO−(C2H4O)5−H、
CH2=C(CH3)−COO−(C2H4O)9−CH3、
CH2=CH−COO−(CH2O)−(C2H4O)m1−(CH2O)−H、
CH2=CH−COO−(C2H4O)m2−(C4H8O)m3−H、
CH2=C(CH3)−COO−(C2H4O)m2−(C4H8O)m3−H、
CH2=CH−COO−(C2H4O)m2−(C4H8O)m3−CH3、
CH2=C(CH3)−COO−(C2H4O)m2−(C4H8O)m3−CH3等。
上式において、m1は1〜20の整数であり、m2およびm3は、それぞれ独立に、1〜50の整数である。
モノマー(m31)としては、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい点から、以下の化合物が好ましい。
CH2=CH−COO−(C2H4O)9−H、
CH2=CH−COO−(C2H4O)4−H、
CH2=CH−COO−(C2H4O)5−H、
CH2=C(CH3)−COO−(C2H4O)9−H、
CH2=CH−COO−(CH2O)−(C2H4O)m1−(CH2O)−H、
CH2=C(CH3)−COO−(C2H4O)m2−(C4H8O)m3−H。
CH2=CH−COO−(C2H4O)9−H、
CH2=CH−COO−(C2H4O)4−H、
CH2=CH−COO−(C2H4O)5−H、
CH2=C(CH3)−COO−(C2H4O)9−H、
CH2=CH−COO−(CH2O)−(C2H4O)m1−(CH2O)−H、
CH2=C(CH3)−COO−(C2H4O)m2−(C4H8O)m3−H。
ポリマー(P2)は、モノマー(m3)以外の他のモノマーに由来する単位を有していてもよい。他のモノマーとしては、例えば、ポリマー(P1)で挙げたものと同じものが挙げられる。
ポリマー(P2)の全単位に対する単位(m3)の割合は、10モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましく、100モル%が特に好ましい。単位(m3)の割合が前記下限値以上であれば、タンパク質が吸着しにくく、細胞が接着しにくい。
本発明の細胞捕捉フィルターにおける細胞非接着層は、ポリマー(P)として、ポリマー(P1)とポリマー(P2)のうちのいずれか1つのみを含有してもよく、ポリマー(P1)とポリマー(P2)の両方を含有してもよい。
なお、ポリマー(P)は、前記したポリマー(P1)およびポリマー(P2)には限定されない。
なお、ポリマー(P)は、前記したポリマー(P1)およびポリマー(P2)には限定されない。
ポリマー(P)は、主鎖の末端に重合開始剤(B)由来の部分を有する。重合開始剤(B)は、シランカップリング剤(A)が有する官能基(a)と反応する反応性基(b)を有する。
反応性基(b)としては、例えば、ハロゲン化アシル基、水酸基、チオール基、アミノ基、ビニル基、メタクリル基等が挙げられる。反応性基(b)は、シランカップリング剤(A)が有する官能基(a)の種類に応じて、官能基(a)と反応性基(b)とが反応して結合するものを選択すればよい。ハロゲン化アシル基のハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、臭素原子が好ましい。
反応性基(b)としては、例えば、ハロゲン化アシル基、水酸基、チオール基、アミノ基、ビニル基、メタクリル基等が挙げられる。反応性基(b)は、シランカップリング剤(A)が有する官能基(a)の種類に応じて、官能基(a)と反応性基(b)とが反応して結合するものを選択すればよい。ハロゲン化アシル基のハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、臭素原子が好ましい。
シランカップリング剤(A)が有する官能基(a)と重合開始剤(B)が有する反応性基(b)の組み合わせとしては、表1に示す組み合わせ1〜7が挙げられる。なかでも、官能基(a)と反応性基(b)の組み合わせとしては、組み合わせ1、組み合わせ3、組み合わせ6または組み合わせ7が好ましく、組み合わせ1、組み合わせ3または組み合わせ6がより好ましい。
重合開始剤(B)としては、反応性基(b)を有し、かつ原子移動ラジカル重合(ATRP)が可能な重合開始剤が特に好ましい。
重合開始剤(B)の具体例としては、例えば、2−(2−ブロモイソブチリロキシ)エチルメタクリレート(反応性基(b):メタクリル基)、α−ブロモイソブチリルブロマイド(反応性基(b):臭化アシル基)、10−ウンデセニル−2−ブロモイソブチレート(反応性基(b):ビニル基)、2−ヒドロキシエチル−2−ブロモイソブチレート(反応性基(b):水酸基)等が挙げられる。重合開始剤(B)としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤(B)の具体例としては、例えば、2−(2−ブロモイソブチリロキシ)エチルメタクリレート(反応性基(b):メタクリル基)、α−ブロモイソブチリルブロマイド(反応性基(b):臭化アシル基)、10−ウンデセニル−2−ブロモイソブチレート(反応性基(b):ビニル基)、2−ヒドロキシエチル−2−ブロモイソブチレート(反応性基(b):水酸基)等が挙げられる。重合開始剤(B)としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤(A)と重合開始剤(B)の好ましい組み合わせとしては、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランまたは3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランと2−(2−ブロモイソブチリロキシ)エチルメタクリレートとの組み合わせ、3−アミノプロピルトリエトキシシランとα−ブロモイソブチリルブロマイドとの組み合わせ、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランと10−ウンデセニル−2−ブロモイソブチレートとの組み合わせ、イソシアネートプロピルトリエトキシシランと2−ヒドロキシエチル−2−ブロモイソブチレートとの組み合わせが挙げられる。なかでも、室温で反応が可能なことから、3−アミノプロピルトリエトキシシランとα−ブロモイソブチリルブロマイドとの組み合わせ、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランと10−ウンデセニル−2−ブロモイソブチレートとの組み合わせ、イソシアネートプロピルトリエトキシシランと2−ヒドロキシエチル−2−ブロモイソブチレートとの組み合わせがより好ましい。
細胞非接着層は、ガラス基板と結合されたポリマー(P)以外の成分を含まないことが好ましい。なお、細胞非接着層は、ポリマー(P)以外の他の成分を含んでもよい。他の成分としては、例えば、生体親和性基を有しない非フッ素系ポリマーが挙げられる。細胞非接着層が生体親和性基を有しない非フッ素系ポリマーを含有する場合、該非フッ素系ポリマーはポリマー(P)と同様にガラス基板とシロキサン結合を介して結合させることが好ましい。
細胞非接着層の厚さは、タンパク質が吸着しにくく、接着が接着しにくい点から、1nm以上が好ましい。細胞非接着層の厚さの上限値は特に限定されず、現実的には10μm以下、好ましくは1μm以下である。
本発明の細胞捕捉フィルターの具体例としては、例えば、図1に例示した細胞捕捉フィルター1が挙げられる。細胞捕捉フィルター1は、貫通孔12を有するガラス基板10と、細胞非接着層14と、を備えている。細胞非接着層14は、ガラス基板10の厚さ方向の第1面10aおよび第2面10bと、貫通孔12の内壁面12aの全面に形成されている。細胞非接着層14はポリマー(P)を含有しており、ポリマー(P)はガラス基板10とシロキサン結合を介して結合されている。
ガラス基板10の第1面10a側から貫通孔12に細胞液を供給することで、細胞が貫通孔12に捕捉され、細胞液から分離できる。
ガラス基板10の第1面10a側から貫通孔12に細胞液を供給することで、細胞が貫通孔12に捕捉され、細胞液から分離できる。
以上説明したように、本発明の細胞捕捉フィルターにおいては、少なくとも貫通孔の内壁面の一部に、ポリマー(P)を含有する細胞非接着層を有している。生体親和性基を有するポリマー(P)を含有する細胞非接着層を有していることで、タンパク質の吸着や細胞の接着が抑制される。また、ポリマー(P)を含有する細胞非接着層は水接触角が小さいため、基板との濡れ性が向上し、細胞を捕捉する際の圧力損失が小さい。そのため、細胞を捕捉する際に、貫通孔における細胞液の供給側から加圧したり、供給側と反対側から吸引したりしなくても、容易に細胞を捕捉して細胞液から分離できる。
また、本発明の細胞捕捉フィルターにおいては、細胞非接着層に含有されるポリマー(P)はガラス基板とシロキサン結合を介して結合されているため、耐水溶性に優れ、細胞液に溶出しにくい。
また、本発明の細胞捕捉フィルターにおいては、細胞非接着層に含有されるポリマー(P)はガラス基板とシロキサン結合を介して結合されているため、耐水溶性に優れ、細胞液に溶出しにくい。
[細胞捕捉フィルターの製造方法]
本発明の細胞捕捉フィルターの製造方法は、シランカップリング剤(A)、重合開始剤(B)、および非フッ素系モノマー(m)を用いて、貫通孔を有するガラス基板の該貫通孔の内壁面の少なくとも一部に細胞非接着層を有する細胞捕捉フィルターを製造する方法である。本発明の細胞捕捉フィルターの製造方法により、前記した本発明の細胞捕捉フィルターを製造することができる。
本発明の細胞捕捉フィルターの製造方法は、シランカップリング剤(A)、重合開始剤(B)、および非フッ素系モノマー(m)を用いて、貫通孔を有するガラス基板の該貫通孔の内壁面の少なくとも一部に細胞非接着層を有する細胞捕捉フィルターを製造する方法である。本発明の細胞捕捉フィルターの製造方法により、前記した本発明の細胞捕捉フィルターを製造することができる。
本発明の細胞捕捉フィルターの製造方法は、下記の工程(α)〜(γ)を有する。
(α)ガラス基板における貫通孔の内壁面の少なくとも一部に、シランカップリング剤(A)が有する加水分解性シリル基を反応させてシロキサン結合を形成させる。
(β)シランカップリング剤(A)が有する官能基(a)と重合開始剤(B)が有する反応性基(b)とを反応させる。
(γ)重合開始剤(B)から生じるラジカル部を起点に非フッ素系モノマー(m)を重合させる。
(α)ガラス基板における貫通孔の内壁面の少なくとも一部に、シランカップリング剤(A)が有する加水分解性シリル基を反応させてシロキサン結合を形成させる。
(β)シランカップリング剤(A)が有する官能基(a)と重合開始剤(B)が有する反応性基(b)とを反応させる。
(γ)重合開始剤(B)から生じるラジカル部を起点に非フッ素系モノマー(m)を重合させる。
工程(α):
ガラス基板における貫通孔の内壁面の少なくとも一部において、シランカップリング剤(A)が有する加水分解性シリル基を基板表面の水酸基と反応させ、シロキサン結合を形成させる。これにより、ガラス基板における貫通孔の内壁面の少なくとも一部にシランカップリング剤(A)が固定化される。
シランカップリング剤(A)の加水分解性シリル基を反応させた後には、必要に応じてアルコール等でガラス基板を洗浄し、乾燥する。
ガラス基板における貫通孔の内壁面の少なくとも一部において、シランカップリング剤(A)が有する加水分解性シリル基を基板表面の水酸基と反応させ、シロキサン結合を形成させる。これにより、ガラス基板における貫通孔の内壁面の少なくとも一部にシランカップリング剤(A)が固定化される。
シランカップリング剤(A)の加水分解性シリル基を反応させた後には、必要に応じてアルコール等でガラス基板を洗浄し、乾燥する。
ガラス基板におけるシランカップリング剤(A)を反応させる領域は、貫通孔の内壁面における細胞が供給される部分が含まれていればよい。本発明では、ガラス基板の厚さ方向の両方の表面のうち、細胞が供給される側の表面にもシランカップリング剤(A)の加水分解性シリル基を反応させて固定化を行うことが好ましい。ガラス基板の厚さ方向の両側の表面と貫通孔の内壁面の全体にシランカップリング剤(A)の加水分解性シリル基を反応させて固定化を行ってもよい。
シランカップリング剤(A)の加水分解性シリル基を反応させる方法としては、特に限定されず、例えば、貫通孔を有するガラス基板を、シランカップリング剤(A)と溶媒を含む液に浸漬して撹拌する方法(α1)、ガラス基板における貫通孔の内壁面の少なくとも一部に、シランカップリング剤(A)と溶媒を含む液を塗布する方法(α2)等が挙げられる。
溶媒としては、シランカップリング剤(A)を溶解でき、加水分解性シリル基と水酸基との反応を阻害しないものであればよく、例えば、水、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等)、非プロトン性極性有機溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、炭化水素(n−ヘキサン、ヘプタン等)、およびそれらの混合物等が挙げられる。
工程(β):
貫通孔の内壁面の少なくとも一部に固定化したシランカップリング剤(A)が有する官能基(a)と、重合開始剤(B)が有する反応性基(b)とを反応させ、それらを結合することで重合開始剤(B)を基板に固定化する。
重合開始剤(B)を反応させた後には、必要に応じてアルコール等でガラス基板を洗浄し、乾燥する。
貫通孔の内壁面の少なくとも一部に固定化したシランカップリング剤(A)が有する官能基(a)と、重合開始剤(B)が有する反応性基(b)とを反応させ、それらを結合することで重合開始剤(B)を基板に固定化する。
重合開始剤(B)を反応させた後には、必要に応じてアルコール等でガラス基板を洗浄し、乾燥する。
シランカップリング剤(A)と重合開始剤(B)を反応させる方法としては、特に限定されず、例えば、アミン塩を含む脱水溶媒中でシランカップリング剤(A)と重合開始剤(B)を反応させる方法が挙げられる。具体的には、例えば、シランカップリング剤(A)を固定化したガラス基板を、重合開始剤(B)とアミン塩基と脱水溶媒とを含む液に浸漬して撹拌する方法(β1)、ガラス基板におけるシランカップリング剤(A)を固定化した部分に、重合開始剤(B)とアミン塩基と脱水溶媒とを含む液を塗布する方法(β2)等が挙げられる。
アミン塩としては、特に限定されず、例えば、トリエチルアミン、トリメチルアミン等が挙げられる。
脱水溶媒としては、特に限定されず、例えば、工程(α)で挙げた非プロトン性極性有機溶媒や炭化水素に公知の方法で脱水処理を施したものが挙げられる。
脱水溶媒としては、特に限定されず、例えば、工程(α)で挙げた非プロトン性極性有機溶媒や炭化水素に公知の方法で脱水処理を施したものが挙げられる。
工程(γ):
重合開始剤(B)から生じるラジカル部を起点に非フッ素系モノマー(m)を重合させ、シロキサン結合を介してガラス基板と結合されたポリマー(P)を形成することで、細胞非接着層を形成する。これにより、細胞捕捉フィルターが得られる。
工程(γ)の重合は、公知の原子移動ラジカル重合(ATRP)により行える。工程(γ)の重合は、脱酸素環境下で行うことが好ましい。
重合開始剤(B)から生じるラジカル部を起点に非フッ素系モノマー(m)を重合させ、シロキサン結合を介してガラス基板と結合されたポリマー(P)を形成することで、細胞非接着層を形成する。これにより、細胞捕捉フィルターが得られる。
工程(γ)の重合は、公知の原子移動ラジカル重合(ATRP)により行える。工程(γ)の重合は、脱酸素環境下で行うことが好ましい。
重合溶媒としては、特に限定されず、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、アルコール類(メタノール、2−プロピルアルコール等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、グリコールエーテル類(エチレングリコール、プロピレングリコール、またはジプロピレングリコールのエチルエーテルまたはメチルエーテル等)およびその誘導体、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類(パークロロエチレン、トリクロロ−1,1,1−エタン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロペンタフルオロプロパン等)、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ブチロアセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。
ポリマー(P)を得る重合反応における反応液中のすべてのモノマーの合計濃度は、5〜60質量%が好ましく、10〜40質量%が特に好ましい。
ポリマー(P)を得る重合反応においては、重合開始剤(B)以外の重合開始剤を添加することが好ましい。該重合開始剤としては、2,2’−アゾイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2、4−ジメチルバレロニトリル)、1、1’−アゾビス(2シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)、1、1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、ジメチルアゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。
重合開始剤の添加量は、モノマーの合計量100質量部に対して、0.1〜10.0が好ましく、0.1〜5.0質量部がより好ましい。
ポリマー(P)を得る重合反応においては、重合開始剤(B)以外の重合開始剤を添加することが好ましい。該重合開始剤としては、2,2’−アゾイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2、4−ジメチルバレロニトリル)、1、1’−アゾビス(2シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)、1、1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、ジメチルアゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。
重合開始剤の添加量は、モノマーの合計量100質量部に対して、0.1〜10.0が好ましく、0.1〜5.0質量部がより好ましい。
重合温度は、室温から反応液の沸点までの範囲が好ましく、30〜90℃がより好ましく、40〜80℃がより好ましい。
重合後には、必要に応じてアルコール等でガラス基板を洗浄し、乾燥する。
重合後には、必要に応じてアルコール等でガラス基板を洗浄し、乾燥する。
本発明の細胞捕捉フィルターの製造方法の一例としては、例えば、以下の方法が挙げられる。図2に示すように、ガラス基板10における貫通孔12の内壁面12aの少なくとも一部に、シランカップリング剤(A)としてアミノプロピルトリメトキシシランを反応させる。これにより、アミノ基を有するシランカップリング剤(A)がガラス基板に固定化される。次いで、重合開始剤(B)として、2−ブロモイソブチリルブロミドを反応させる。これにより、2−ブロモイソブチリルブロミドの臭化アシル基がシランカップリング剤(A)のアミノ基と反応し、重合開始剤(B)が固定化される。次いで、2−ブロモイソブチリルブロミドから生じるラジカル部を起点に重合を行い、ポリマー(P)を形成することで、細胞非接着層を形成する。
本発明の細胞捕捉フィルターの製造方法においては、工程(α)、工程(β)、工程(γ)の順序は、前記した工程(α)、工程(β)、工程(γ)の順には限定されない。例えば、工程(β)、工程(α)、工程(γ)の順に行ってもよく、工程(γ)、工程(α)、工程(β)の順に行ってもよい。均一な細胞非接着層を形成しやすい点では、工程(α)、工程(β)、工程(γ)の順、または工程(β)、工程(α)、工程(γ)の順が好ましく、工程(α)、工程(β)、工程(γ)の順が特に好ましい。
以上説明したように、本発明の細胞捕捉フィルターの製造方法によれば、貫通孔の内壁面の少なくとも一部に、ガラス基板とシロキサン結合を介して結合されたポリマー(P)を含有する細胞非接着層が形成される。細胞非接着層が形成されることで、タンパク質のタンパク質の吸着や細胞の接着が抑制される。また、ポリマー(P)を含有する細胞非接着層は水接触角が小さく、細胞を捕捉する際の圧力損失が小さいため、細胞を捕捉する際に加圧や吸引を行わなくても容易に細胞を捕捉して細胞液から分離できる。また、ポリマー(P)がガラス基板とシロキサン結合を介して結合されているため、細胞非接着層は耐水溶性に優れ、細胞液に溶出しにくい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。例1は実施例であり、例2〜7は比較例である。
[評価方法]
本実施例における評価方法を以下に示す。
(水接触角)
30℃、30%RHの環境下、細胞捕捉フィルターの細胞非接着層の表面にイオン交換水の約2μLを滴下して、接触角計(協和界面科学社製DM−500)で接触角(水接触角)を測定した。
[評価方法]
本実施例における評価方法を以下に示す。
(水接触角)
30℃、30%RHの環境下、細胞捕捉フィルターの細胞非接着層の表面にイオン交換水の約2μLを滴下して、接触角計(協和界面科学社製DM−500)で接触角(水接触角)を測定した。
(タンパク質吸着率)
(1)発色液、およびタンパク質溶液の準備
発色液は、ペルオキシダーゼ発色液(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMBZ)、KPL社製)50mLとTMB Peroxidase Substrate(KPL社製)50mLとを混合したものを使用した。
タンパク質溶液として、タンパク質(POD−goat anti mouse IgG、Biorad社製)を、リン酸緩衝溶液(D−PBS、Sigma社製)で16,000倍に希釈したものを使用した。
(2)タンパク質吸着
各例の細胞捕捉フィルターにおける3つの貫通孔に、タンパク質溶液の2mLを分注し(貫通孔毎に2mLを使用)、室温で1時間放置した。
ブランクとして、タンパク質溶液を96ウェルマイクロプレートにおける3ウェルに、2μL分注(1ウェル毎に2μLを使用)した。
(3)貫通孔の洗浄
次いで、細胞捕捉フィルターを、界面活性剤(Tween20、和光純薬工業社製)を0.05質量%含ませたリン酸緩衝溶液(D−PBS、Sigma社製)の4mLで4回洗浄した(貫通孔毎に4mLを使用)。
(4)発色液分注
次いで、洗浄を終えた細胞捕捉フィルターに、発色液の2mLを分注し(貫通孔毎に2mLを使用)、7分間発色反応を行った。2N硫酸の1mLを加えることで(貫通孔毎に1mLを使用)発色反応を停止させた。
ブランクは、細胞捕捉フィルターに、発色液の100μLを分注し(1ウェル毎に100μLを使用)、7分間発色反応を行い、2N硫酸の50μLを加えることで(1ウェル毎に50μLを使用)発色反応を停止させた。
(5)吸光度測定準備
次いで、細胞捕捉フィルターの各貫通孔から150μLの液を取り、96ウェルマイクロプレートに移した。
(6)吸光度測定およびタンパク質吸着率Q
吸光度は、MTP−810Lab(コロナ電気社製)により、450nmの吸光度を測定した。ここで、ブランクの吸光度(N=3)の平均値をA0とした。細胞捕捉フィルターから96ウェルマイクロプレートに移動させた液の吸光度をA1とした。タンパク質吸着率Q1(%)を下式により求め、その平均値を求めた。
Q1(%)=100×A1/{A0×(100/ブランクのタンパク質溶液の分注量)}=100×A1/{A0×(100/2μL)}
(1)発色液、およびタンパク質溶液の準備
発色液は、ペルオキシダーゼ発色液(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMBZ)、KPL社製)50mLとTMB Peroxidase Substrate(KPL社製)50mLとを混合したものを使用した。
タンパク質溶液として、タンパク質(POD−goat anti mouse IgG、Biorad社製)を、リン酸緩衝溶液(D−PBS、Sigma社製)で16,000倍に希釈したものを使用した。
(2)タンパク質吸着
各例の細胞捕捉フィルターにおける3つの貫通孔に、タンパク質溶液の2mLを分注し(貫通孔毎に2mLを使用)、室温で1時間放置した。
ブランクとして、タンパク質溶液を96ウェルマイクロプレートにおける3ウェルに、2μL分注(1ウェル毎に2μLを使用)した。
(3)貫通孔の洗浄
次いで、細胞捕捉フィルターを、界面活性剤(Tween20、和光純薬工業社製)を0.05質量%含ませたリン酸緩衝溶液(D−PBS、Sigma社製)の4mLで4回洗浄した(貫通孔毎に4mLを使用)。
(4)発色液分注
次いで、洗浄を終えた細胞捕捉フィルターに、発色液の2mLを分注し(貫通孔毎に2mLを使用)、7分間発色反応を行った。2N硫酸の1mLを加えることで(貫通孔毎に1mLを使用)発色反応を停止させた。
ブランクは、細胞捕捉フィルターに、発色液の100μLを分注し(1ウェル毎に100μLを使用)、7分間発色反応を行い、2N硫酸の50μLを加えることで(1ウェル毎に50μLを使用)発色反応を停止させた。
(5)吸光度測定準備
次いで、細胞捕捉フィルターの各貫通孔から150μLの液を取り、96ウェルマイクロプレートに移した。
(6)吸光度測定およびタンパク質吸着率Q
吸光度は、MTP−810Lab(コロナ電気社製)により、450nmの吸光度を測定した。ここで、ブランクの吸光度(N=3)の平均値をA0とした。細胞捕捉フィルターから96ウェルマイクロプレートに移動させた液の吸光度をA1とした。タンパク質吸着率Q1(%)を下式により求め、その平均値を求めた。
Q1(%)=100×A1/{A0×(100/ブランクのタンパク質溶液の分注量)}=100×A1/{A0×(100/2μL)}
(耐水溶性)
各例の細胞捕捉フィルターと、水の3gとをサンプル管に入れ、室温で1時間撹拌した後に、前述した方法と同じ方法でタンパク質吸着率を測定し、耐水溶性を以下の基準で評価した。
○(良好):タンパク質吸着率の低下率が10%以下である。
×(不良):タンパク質吸着率の低下率が10%を超える。
各例の細胞捕捉フィルターと、水の3gとをサンプル管に入れ、室温で1時間撹拌した後に、前述した方法と同じ方法でタンパク質吸着率を測定し、耐水溶性を以下の基準で評価した。
○(良好):タンパク質吸着率の低下率が10%以下である。
×(不良):タンパク質吸着率の低下率が10%を超える。
[ポリマーの分子量]
各例で得た細胞捕捉フィルターの一部を10モル%のフッ化水素溶液中に6時間浸漬し、細胞捕捉フィルターにおけるガラス基板を溶かし、ポリマーブラシを形成しているポリマーを単離した。次いで、東ソー社製HLC−8220を用い、テトラヒドロフランを溶離液とし、該ポリマーの数平均分子量をポリスチレン換算として測定した。
各例で得た細胞捕捉フィルターの一部を10モル%のフッ化水素溶液中に6時間浸漬し、細胞捕捉フィルターにおけるガラス基板を溶かし、ポリマーブラシを形成しているポリマーを単離した。次いで、東ソー社製HLC−8220を用い、テトラヒドロフランを溶離液とし、該ポリマーの数平均分子量をポリスチレン換算として測定した。
[使用原料]
本実施例で使用したシランカップリング剤(A)、重合開始剤(B)およびモノマー(C)と、それらの比較対象の化合物を以下に示す。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤(A−1):アミノプロピルトリメトキシシラン。
シランカップリング剤(X−1):2−[METHOXY(POLYETHYLENEOXY)9−12PROPYL]TRIMETHOXYSILANE(Gelest社製)。
シランカップリング剤(X−2):ヘキシルトリメトキシシラン。
(重合開始剤)
重合開始剤(B−1):2−ブロモイソブチリルブロミド(東京化成工業社製)。
(非フッ素系モノマー)
モノマー(m1−1):2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)。
MMA:メチルメタクリレート。
本実施例で使用したシランカップリング剤(A)、重合開始剤(B)およびモノマー(C)と、それらの比較対象の化合物を以下に示す。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤(A−1):アミノプロピルトリメトキシシラン。
シランカップリング剤(X−1):2−[METHOXY(POLYETHYLENEOXY)9−12PROPYL]TRIMETHOXYSILANE(Gelest社製)。
シランカップリング剤(X−2):ヘキシルトリメトキシシラン。
(重合開始剤)
重合開始剤(B−1):2−ブロモイソブチリルブロミド(東京化成工業社製)。
(非フッ素系モノマー)
モノマー(m1−1):2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)。
MMA:メチルメタクリレート。
[例1]
(工程(α))
平面視形状が円形状で平均直径7μmのストレート形状の貫通孔を開口率15%で有する孔空きガラス基板を100mLサンプル管に入れ、サンプル管中にシランカップリング剤(A−1)を0.1g、イソプロピルアルコール(IPA)を8g、トリエチルアミンを0.9g、蒸留水を1g加えた。ミックスローターを用いて、サンプル管内の混合液を50℃で16時間撹拌した。その後、サンプル管内から孔空きガラス基板を取り出し、メタノールを用いて洗浄した後、窒素気流にて乾燥を行い、アミノ基を有するシランカップリング剤が基板表面および貫通孔の内壁面に固定化された孔空きガラス基板(i)を得た。
(工程(α))
平面視形状が円形状で平均直径7μmのストレート形状の貫通孔を開口率15%で有する孔空きガラス基板を100mLサンプル管に入れ、サンプル管中にシランカップリング剤(A−1)を0.1g、イソプロピルアルコール(IPA)を8g、トリエチルアミンを0.9g、蒸留水を1g加えた。ミックスローターを用いて、サンプル管内の混合液を50℃で16時間撹拌した。その後、サンプル管内から孔空きガラス基板を取り出し、メタノールを用いて洗浄した後、窒素気流にて乾燥を行い、アミノ基を有するシランカップリング剤が基板表面および貫通孔の内壁面に固定化された孔空きガラス基板(i)を得た。
(工程(β))
孔空きガラス基板(i)を100mLサンプル管に入れ、そこへ脱水テトラヒドロフラン(THF、関東化学社製)を70mL、重合開始剤(B−1)を1.82mL、トリエチルアミン(関東化学社製)を3.15mLを加えた。ミックスローターを用いて、サンプル管内の混合液を室温(約25℃)で1時間撹拌した。その後、サンプル管内から孔空きガラス基板を取り出し、メタノールおよびTHFを用いて洗浄した後、窒素気流にて乾燥を行い、重合開始剤(B)が基板表面および貫通孔の内壁面に固定化された孔空きガラス(ii)を得た。
孔空きガラス基板(i)を100mLサンプル管に入れ、そこへ脱水テトラヒドロフラン(THF、関東化学社製)を70mL、重合開始剤(B−1)を1.82mL、トリエチルアミン(関東化学社製)を3.15mLを加えた。ミックスローターを用いて、サンプル管内の混合液を室温(約25℃)で1時間撹拌した。その後、サンプル管内から孔空きガラス基板を取り出し、メタノールおよびTHFを用いて洗浄した後、窒素気流にて乾燥を行い、重合開始剤(B)が基板表面および貫通孔の内壁面に固定化された孔空きガラス(ii)を得た。
(工程(γ))
100mLサンプル管に孔空きガラス基板(ii)と撹拌子とを入れ、そこへ2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.033g、脱酸素エタノールを70mL、モノマー(m1−1)であるMPCを5.02g加えた。さらに、臭化銅(II)の0.0022gと、トリス(2−ピリジルメチル)アミン(TPMA)の0.0029gを、脱酸素ジメチルホルムアミド(DMF)の0.4mLに溶解させた溶液を、サンプル管内に滴下した。次いで、オイルバス中で50℃に保温した状態で16時間にわたってサンプル管内の混合液を撹拌した。次いで、サンプル管内から孔空きガラス基板を取り出し、メタノールで洗浄した後、窒素気流で乾燥を行い、細胞非接着層であるMPCのポリマーブラシが基板表面および貫通孔の内壁面に固定化された細胞捕捉フィルターを得た。該MPCのポリマーブラシを形成しているポリマーの分子量を測定したところ、数平均分子量は10,000であった。
なお、DMF、脱酸素エタノール、AIBN、TPMA、臭化銅(II)は購入したものをそのまま用いた。
100mLサンプル管に孔空きガラス基板(ii)と撹拌子とを入れ、そこへ2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.033g、脱酸素エタノールを70mL、モノマー(m1−1)であるMPCを5.02g加えた。さらに、臭化銅(II)の0.0022gと、トリス(2−ピリジルメチル)アミン(TPMA)の0.0029gを、脱酸素ジメチルホルムアミド(DMF)の0.4mLに溶解させた溶液を、サンプル管内に滴下した。次いで、オイルバス中で50℃に保温した状態で16時間にわたってサンプル管内の混合液を撹拌した。次いで、サンプル管内から孔空きガラス基板を取り出し、メタノールで洗浄した後、窒素気流で乾燥を行い、細胞非接着層であるMPCのポリマーブラシが基板表面および貫通孔の内壁面に固定化された細胞捕捉フィルターを得た。該MPCのポリマーブラシを形成しているポリマーの分子量を測定したところ、数平均分子量は10,000であった。
なお、DMF、脱酸素エタノール、AIBN、TPMA、臭化銅(II)は購入したものをそのまま用いた。
[例2]
平面視形状が円形状で平均直径7μmのストレート形状の貫通孔を開口率15%で有する孔空きガラス基板を100mLサンプル管に入れ、サンプル管中にシランカップリング剤(X−1)を0.1g、イソプロピルアルコール(IPA)を8g、トリエチルアミンを0.9g、蒸留水を1g加えた。ミックスローターを用いて、サンプル管内の混合液を50℃で16時間撹拌した。次いで、サンプル管内から孔空きガラス基板を取り出し、メタノールを用いて洗浄した後、窒素気流にて乾燥して、シランカップリング剤(X−1)が基板表面および貫通孔の内壁面に固定化された細胞捕捉フィルターを得た。
平面視形状が円形状で平均直径7μmのストレート形状の貫通孔を開口率15%で有する孔空きガラス基板を100mLサンプル管に入れ、サンプル管中にシランカップリング剤(X−1)を0.1g、イソプロピルアルコール(IPA)を8g、トリエチルアミンを0.9g、蒸留水を1g加えた。ミックスローターを用いて、サンプル管内の混合液を50℃で16時間撹拌した。次いで、サンプル管内から孔空きガラス基板を取り出し、メタノールを用いて洗浄した後、窒素気流にて乾燥して、シランカップリング剤(X−1)が基板表面および貫通孔の内壁面に固定化された細胞捕捉フィルターを得た。
[例3]
シランカップリング剤(X−1)の代わりにシランカップリング剤(X−2)を用いた以外は、例2と同様にして、シランカップリング剤(X−2)が基板表面および貫通孔の内壁面に固定化された細胞捕捉フィルターを得た。
シランカップリング剤(X−1)の代わりにシランカップリング剤(X−2)を用いた以外は、例2と同様にして、シランカップリング剤(X−2)が基板表面および貫通孔の内壁面に固定化された細胞捕捉フィルターを得た。
[例4]
例1と同様にして、アミノ基を有するシランカップリング剤が基板表面および貫通孔の内壁面に固定化された孔空きガラス基板(i)を得て、それを細胞捕捉フィルターとした。
例1と同様にして、アミノ基を有するシランカップリング剤が基板表面および貫通孔の内壁面に固定化された孔空きガラス基板(i)を得て、それを細胞捕捉フィルターとした。
[例5]
例1と同様にして、重合開始剤(B)が基板表面および貫通孔の内壁面に固定化された孔空きガラス(ii)を得て、それを細胞捕捉フィルターとした。
例1と同様にして、重合開始剤(B)が基板表面および貫通孔の内壁面に固定化された孔空きガラス(ii)を得て、それを細胞捕捉フィルターとした。
[例6]
例1と同様にして、重合開始剤(B)が基板表面および貫通孔の内壁面に固定化された孔空きガラス(ii)を得た。次いで、モノマー(m1−1)の5.02gの代わりに、MMAの1.70gを用いた以外は、例1と同様にして、MMAのポリマーブラシが基板表面および貫通孔の内壁面に固定化された細胞捕捉フィルターを得た。該細胞捕捉フィルターにおけるMMAのポリマーブラシの分子量を測定したところ、数平均分子量は10,000であった。
例1と同様にして、重合開始剤(B)が基板表面および貫通孔の内壁面に固定化された孔空きガラス(ii)を得た。次いで、モノマー(m1−1)の5.02gの代わりに、MMAの1.70gを用いた以外は、例1と同様にして、MMAのポリマーブラシが基板表面および貫通孔の内壁面に固定化された細胞捕捉フィルターを得た。該細胞捕捉フィルターにおけるMMAのポリマーブラシの分子量を測定したところ、数平均分子量は10,000であった。
[例7]
工程(α)〜(γ)を行っていない孔空きガラス基板を細胞捕捉フィルターとした。
工程(α)〜(γ)を行っていない孔空きガラス基板を細胞捕捉フィルターとした。
各例における製造条件および評価結果を表2に示す。
表2に示すように、本発明の製造方法で製造した例1の細胞捕捉フィルターは、細胞の捕捉率が高いうえ、タンパク質吸着率が低く、細胞が接着しにくいため、捕捉した細胞を容易に分取できる。また、例1の細胞捕捉フィルターは、水接触角が小さく、細胞非接着層を形成していない例7の細胞捕捉フィルターの水接触角と同等であり、細胞を捕捉する際の圧力損失が低いものであった。
一方、基(1)を有するシランカップリング剤を反応させただけの例2の細胞捕捉フィルターは、捕捉した細胞を分取できるものの、水接触角が大きく、細胞を捕捉する際の圧力損失が高いものであった。シランカップリング剤(A−1)を反応させただけの例4、官能基(a)および生体親和性基を有しないシランカップリング剤を反応させただけの例3の細胞捕捉フィルターは、細胞の接着が充分に抑制できず、捕捉した細胞を分取できないうえ、水接触角が大きく、細胞を捕捉する際の圧力損失が高いものであった。
非フッ素系モノマー(m)の重合を行わなかった例5の細胞捕捉フィルターは、細胞の接着が充分に抑制できず、捕捉した細胞を分取できないうえ、水接触角が大きく、細胞を捕捉する際の圧力損失が高いものであった。非フッ素系モノマー(m)の代わりに、生体親和性基を有しないモノマーを用いた例6の細胞捕捉フィルターも、細胞の接着が充分に抑制できず、捕捉した細胞を分取できないうえ、水接触角が大きく、細胞を捕捉する際の圧力損失が高いものであった。
一方、基(1)を有するシランカップリング剤を反応させただけの例2の細胞捕捉フィルターは、捕捉した細胞を分取できるものの、水接触角が大きく、細胞を捕捉する際の圧力損失が高いものであった。シランカップリング剤(A−1)を反応させただけの例4、官能基(a)および生体親和性基を有しないシランカップリング剤を反応させただけの例3の細胞捕捉フィルターは、細胞の接着が充分に抑制できず、捕捉した細胞を分取できないうえ、水接触角が大きく、細胞を捕捉する際の圧力損失が高いものであった。
非フッ素系モノマー(m)の重合を行わなかった例5の細胞捕捉フィルターは、細胞の接着が充分に抑制できず、捕捉した細胞を分取できないうえ、水接触角が大きく、細胞を捕捉する際の圧力損失が高いものであった。非フッ素系モノマー(m)の代わりに、生体親和性基を有しないモノマーを用いた例6の細胞捕捉フィルターも、細胞の接着が充分に抑制できず、捕捉した細胞を分取できないうえ、水接触角が大きく、細胞を捕捉する際の圧力損失が高いものであった。
本発明の細胞捕捉フィルターは、種々の細胞を捕捉するのに有用である。血液中のCTC数をカウントすることで、癌の早期診断、転移の可能性、治療効果の判定の指標およびCTCの遺伝子解析、CTC表面のタンパク質やmRNA解析をすることで治療選択をすることが検討されているが、本発明の細胞捕捉フィルターは、このCTCの捕捉に有用である。
また、本発明の細胞捕捉フィルターは、貫通孔を利用して透過する物質と透過しない物質を効果的に分けることができる。例えば、細胞培養液中の細胞と培養液の分離、血液中の血清成分と赤血球、白血球の分離、血液中の血球成分と希少細胞(CTCやCAMLs等)の分離に使用できる。
また、本発明の細胞捕捉フィルターは、貫通孔を利用して透過する物質と透過しない物質を効果的に分けることができる。例えば、細胞培養液中の細胞と培養液の分離、血液中の血清成分と赤血球、白血球の分離、血液中の血球成分と希少細胞(CTCやCAMLs等)の分離に使用できる。
1…細胞捕捉フィルター、10…ガラス基板、12…貫通孔、12a…内壁面、14…細胞非接着層。
Claims (6)
- アミノ基、水酸基、イソシアネート基、ビニル基、エポキシ基、チオール基および(メタ)アクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するシランカップリング剤と、前記官能基と反応する反応性基を有する重合開始剤と、側鎖に生体親和性基を有する非フッ素系モノマーとを用いて、貫通孔を有するガラス基板の該貫通孔の内壁面の少なくとも一部に細胞非接着層を形成する細胞捕捉フィルターの製造方法であって、
前記内壁面の少なくとも一部に前記シランカップリング剤が有する加水分解性シリル基を反応させてシロキサン結合を形成し、前記シランカップリング剤が有する前記官能基と前記重合開始剤が有する前記反応性基とを反応させ、前記重合開始剤から生じるラジカル部を起点に前記非フッ素系モノマーを重合させて、前記細胞非接着層を形成する、細胞捕捉フィルターの製造方法。 - 前記生体親和性基が、下式(1)で表される基、下式(2)で表される基および下式(3)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の細胞捕捉フィルターの製造方法。
- 前記官能基と前記反応性基との組み合わせが、アミノ基とハロゲン化アシル基との組み合わせ、イソシアネート基と水酸基との組み合わせ、チオール基とビニル基との組み合わせ、または、(メタ)アクリル基とメタクリル基との組み合わせである、請求項1または2に記載の細胞捕捉フィルターの製造方法。
- 前記内壁面の少なくとも一部に前記シランカップリング剤が有する加水分解性シリル基を反応させてから、前記シランカップリング剤が有する前記官能基と前記重合開始剤が有する前記反応性基とを反応させた後、前記重合開始剤から生じるラジカル部を起点に前記非フッ素系モノマーを重合させる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の細胞捕捉フィルターの製造方法。
- 貫通孔を有するガラス基板と、側鎖に生体親和性基を有する非フッ素系ポリマーを含有する細胞非接着層とを備え、
少なくとも前記貫通孔の内壁面の一部に前記細胞非接着層を有し、
前記非フッ素系ポリマーと前記ガラス基板とがシロキサン結合を介して結合されている細胞捕捉フィルター。 - 前記生体親和性基が、下式(1)で表される基、下式(2)で表される基および下式(3)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載の細胞捕捉フィルター。
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---|---|---|---|
JP2017100085A JP2018191613A (ja) | 2017-05-19 | 2017-05-19 | 細胞捕捉フィルターの製造方法および細胞捕捉フィルター |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2022113604A1 (ja) * | 2020-11-26 | 2022-06-02 | Agc株式会社 | 液体分離膜及びその製造方法 |
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2017
- 2017-05-19 JP JP2017100085A patent/JP2018191613A/ja active Pending
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WO2022113604A1 (ja) * | 2020-11-26 | 2022-06-02 | Agc株式会社 | 液体分離膜及びその製造方法 |
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