JP2018191576A - 密閉パック入り玄米飯の製造方法及び密閉パック入り玄米飯 - Google Patents

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【課題】旨みがきわだち、栄養価が高く、長期保存が可能であり、また調理不要ですぐに食用に供せるようにした密閉パック入り玄米飯を製造することができるようにする。【解決手段】玄米と、玄米を炊き上げるのに必要量の水と、玄米の含有酵素に分解作用を起こさせるのに必要量の空気と、をパックに入れ、パックを内容物が排出されない状態に密閉し、玄米の発芽条件に適合する温度及び処理時間に設定した発芽環境下で密閉後のパックを静置させ、予め求めておいた玄米の発芽直前の見極め時機に合わせてパックを発芽環境から取り出し、発芽環境から取り出し後のパックを玄米における含有酵素の失活及び雑菌類の殺菌条件を満たす加熱環境へ移行させ、パック内の玄米が加熱環境によって炊き上がり且つF値が4を超えるタイミングで前記パックを加熱環境から取り出すようにする。【選択図】図1

Description

本発明は、旨みがきわだち、栄養価が高く、長期保存が可能であり、また調理不要ですぐに食用に供せるようにした密閉パック入り玄米飯を製造する方法及びこの製造方法によって製造した密閉パック入り玄米飯に関する。
従来、炊飯米に対し、澱粉分解産物の水溶液や水に浸した米等を混ぜ合わせた後、包装容器に入れ、密封後に加圧加熱殺菌した包装容器入り即席粥が知られている(特許文献1)。
ここにおいて加圧加熱殺菌は、1.2〜1.6kg/cm2の加圧下で約105〜135℃の加熱状態を約10〜60分間行うものとされている。そして、食用前には更に、約100℃に加熱された熱水中に約5〜10分間浸漬させるものとしてある。
この包装容器入り即席粥には、製造中における米粒のくずれや味が悪くなるのを防止できる効果があるとされている。
また、玄米に対し、酸発酵乳で発酵させた発酵茶材から得た抽出水や調味料等を混ぜ合わせて炊き上げたお粥が、加熱殺菌状態で容器に密封されて成る密封容器入り米飯食品が知られている(特許文献2)。
ここにおいて加熱殺菌は、玄米等を密封容器へ入れた後、118〜122℃の加熱状態を50〜80分間行うものとして、この際に玄米の炊き上げをも行う方法が例示されている。ただ、容器へ入れる前の玄米を、予め100℃で15分程度加熱沸騰させてから、その後に加熱殺菌を行う方法でもよいとされている。食用前には、一般のレトルト食品の場合と同じように加熱するが、加熱しなくてもよいとの記載がある。
この密封容器入り米飯商品には、煮くずれが少なく、良好な風味と食感が得られ、玄米の糠臭を低減できる効果があるとされている。
なお、一般的な発酵食品として、例えば、煮沸した発芽玄米に酵素成分を加えて糖化させ、これを発酵対象食材(例えば甘酒)へ混ぜ合わせるもの等が知られている(特許文献3)。
ここにおいて玄米を発芽させるには、玄米を20〜35℃の温水に浸漬後、温水から取り出し、胚の部分が膨らむのを目視することで確認するものとされている。また、このような発芽玄米を発酵対象食材に対して混ぜ過ぎると食味や香味が低下するために、発酵対象食材に対して10重量%程度の混合量に抑えることや、混合後には袋詰め等して加熱し、殺菌と酵素の失活とを行わせることが記載されている。
特公昭56−17888号公報 特許第3610059号公報 特開2005−137318号公報
特許文献1に記載された包装容器入り即席粥は、炊飯済みの米を容器に入れて加圧加熱殺菌したものと要約することができ、特許文献2に記載された密封容器入り米飯食品(お粥)は、炊飯前又は中途な炊き上がり状態にした玄米等を容器に入れた後、炊飯を兼ねて加熱殺菌したものと要約することができる。
いずれにせよ、完成品として容器内に密封されているお粥は、殺菌加熱が施された段階で酵素の働きが失活されているので、それ以降に発酵が進むことはない。また、容器へ各種食材等を入れる密封前の段階に、何らかの特別な工程を設定しているわけではないので、お粥自体が発酵などの作用を受けているということもないと言える。
なお、特許文献2では発酵茶材(文献内では「熟成茶材」と記載しているが茶材の外から加えた酸発酵乳による発酵を利用するものであるから「発酵茶材」と記載すべきである
)を用いているが、その発酵による作用は茶材自体に留まるものと推察される。
尤も、発酵によって生じるのは主にアルコールや二酸化炭素などであって、刺激のある臭いや酸っぱさ等、ひとによって嗜好の分かれるような特性であるので、発酵茶材による発酵が、仮に炊飯前の玄米等へも波及したとしても、炊飯後のお粥としての旨みを高めるのは難しいと思われる(寧ろ逆効果とも言え、この点でも「発酵」と「熟成」は異なると指摘することができる)。
もとより、γ―アミノ絡酸(以下、「GABA(=ギャバ)」と言うこともある)に代表されるような健康に役立つ成分が作られることは殆どない。
一方、特許文献3では、玄米に酵素成分を加えており、また玄米を混ぜ合わせる発酵対象食材も発酵過程を経ているので、玄米の発酵が行われていることは理解できる。しかし、玄米にはわざわざ発芽させたものを使用するので、そのことによる苦味が出てしまう問題がある。また、前記したように発酵はアルコールや二酸化炭素などを多く生じさせるものである。そもそも、この特許文献3の開示技術は玄米自体を食するためのものではないので当然とは言えるが、このような開示技術は、玄米自体の旨みを引き出したり栄養価を高めたりするうえで、何らの参考にはならない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、旨みがきわだち、栄養価が高く、長期保存が可能であり、また調理不要ですぐに食用に供せるようにした密閉パック入り玄米飯を製造する「密封パック入り玄米飯の製造方法」及びこの製造方法によって製造した「密閉パック入り玄米飯」を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る密閉パック入り玄米飯の製造方法では、玄米と、玄米を炊き上げるのに必要量の水と、玄米の含有酵素に分解作用を起こさせるのに必要量の空気と、をパックに入れ、前記パックを内容物が排出されない状態に密閉し、玄米の発芽条件に適合する温度及び処理時間に設定した発芽環境下で密閉後の前記パックを静置させ、予め求めておいた玄米の発芽直前の見極め時機に合わせて前記パックを前記発芽環境から取り出し、前記発芽環境から取り出し後の前記パックを玄米における含有酵素の失活及び雑菌類の殺菌条件を満たす加熱環境へ移行させ、前記パック内の玄米が前記加熱環境によって炊き上がり且つF値が4を超えるタイミングで前記パックを前記加熱環境から取り出すことを特徴とする。
前記パックに玄米、水、空気を入れるときに添加物として塩分を加えることもできる。
前記発芽環境は、0℃を超え10℃未満の温度と、3日を超える処理時間との組み合わせとするのがよい。
前記加熱環境は、120℃を超える加熱温度と、4分を超える加熱時間との組み合わせとするのがよい。
一方、本発明に係る密閉パック入り玄米飯は、口部を密着させた非通水性及び非通気性を有するパック内に炊き上げ後の玄米飯が封入されて成り、玄米飯に含まれるγ―アミノ絡酸が3mgを超え10mg未満であることを特徴とする。
本発明に係る密閉パック入り玄米飯の製造方法では、旨みがきわだち、栄養価が高く、長期保存が可能であり、また調理不要ですぐに食用に供せるようにした密閉パック入り玄米飯を製造することができる。また本発明に係る製造方法によって製造した「密閉パック入り玄米飯」では、豊富なγ―アミノ絡酸を含有しており、旨みがきわだち、栄養価が高いものとなっている。
本発明に係る密閉パック入り玄米飯の製造方法を示したフローチャートである。 玄米の断面図である。 玄米の状態とGABAの含有量との相関を示した棒グラフである。 本発明に係る製造方法の加熱環境で使用する保持器の一例を示した側断面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る密封パック入り玄米飯の製造方法を示したフローチャートである。この図1から明らかなように、本発明に係る密閉パック入り玄米飯の製造方法では、パック1に対して玄米等の食材を入れて密封した後(ステップ101〜102)に、パック1を特定の環境下で静置状態に保持させ(ステップ103〜104)、続けてパック1をまた別の特定環境下で加熱処理させる(ステップ105〜106)という手順をとるところに特徴がある。
またこの手順のなかで、パック1の静置後に次の加熱処理へ移行させる際(ステップ104からステップ105への移行時)に、速やかに移行させる(何時間も保留させるような無駄なことをしない)点も重要とされる。換言すれば、パック1の静置を終えるタイミングを見極めることが重要であるということになる。以下、各ステップについて詳説する。
まず、使用するパック1は、非通水性及び非通気性を有しており、口部を密着させたときに、パック内を密封状態に保持できるものであれば、特にその形成素材や形体が限定されるわけではない。したがって例えば、樹脂製の袋をはじめとして、箱形や筒形等を呈する樹脂製又は金属製の容器等を採用すればよい。
パック1への仕込み(ステップ101)において、パック1に入れる食材には、玄米と水と空気とが必須とされる。
水は、玄米を炊き上げるために必要とされるものである。また空気は、玄米に含まれる酵素に分解作用を起こさせるのに必要とされるものである。一方で、これら水と空気は、玄米を発芽可能な状態に保持させておくうえでも重要な役割を果たすものであって、一般的な言い方をすれば「玄米を生かした」状態に維持させておくうえで必要ということになる。
玄米の量は、例えば成人の一食分を目安として設定するパック容量に対し、その1/4〜1/3程度とするのがよい。具体的には、パック1を300mlとする場合、玄米は100g前後(95g等)とする。
ただ、これらはあくまで一例であって、パック容量を成人一食分の半分や1/3食分等としたり複数人分にしたりすることも可能であり、玄米の量もパック容量とは相関させずに適宜設定したりすることが可能である。
これに対し、水の量は玄米の炊き上がり硬さをどの程度にするかによって適宜変更可能である。例えば、一般的に好まれる硬さとする場合(“通常の硬さ”とされる大凡の目安)では、玄米と同等量(100〜110ml等)とすればよく、これを基準にして、硬めとする場合は水量を減らし、軟らかめとする場合は水量を増やせばよい。
空気の量に関しては、要は、パック1内を真空にさせないことを基本にして考慮すればよく、量的に具体的なものは特に制限されない。但し、パック1が加熱環境下で破裂しない程度の空気量に抑えることは言うまでもない。
なお、パック1には、必要に応じて塩分を添加物として加えることもできる。塩分としては、食塩や粗塩、岩塩などでもよいし、藻塩などを用いてもよい。その他、好みに応じて適量の小豆や黒米(古代米)などを入れてもよい。適宜、具材や調味料、野菜などを足すことも排除されるわけではない。
玄米、水、空気等を入れた後のパック1を密封するには(ステップ102)、パック1の形体にそれぞれ応じた密閉方法を採用すればよい。例えば、樹脂製袋の形体を呈するパック1の場合は、パック1の口部を超音波接着や溶着等によって内容物(玄米、水、空気等)が排出されない程度まで密着状態が得られるようにする。
要するに、これらステップ101〜102は、玄米2を炊き上げるための下準備でありながら、炊き上げ前の玄米2に対して、発芽へ向けた活動を準備させるための工程と言える。
パック1の静置(ステップ103)は、パック1内の玄米が発芽するのに適した環境温
度に管理しつつ、この温度との組み合わせが最適となる処理時間の経過を待つことで行う。厳密には、パック1の素材種や素材厚などにより影響する熱伝導率や光の透過性等も管理対象とするのが理想である。静置場所には、冷蔵庫や保温庫などを利用するとよい。
図2は玄米2(発芽前)の断面図である。この図2に示すように、玄米2は、胚芽3を除いた胚乳4全体が、糊粉層5、種皮6、果皮7により成る糠層8によって覆われている。この糠層8に多く含まれるアブシジン酸(以下、ABA」と言う)やフィチン酸は、胚芽3に発芽を促す重要な成分の一つとされる。すなわち、この糠層8を必要としていることが、本発明において玄米2を使用することの理由である。
ただ、ABAには毒性があって食用には向かないとの研究結果が知られている。しかし、玄米2が発芽することによってABAによる毒性は消えるか又は人体には悪影響しない程度まで減少することや、フィチン酸がビタミンBの発現要素となること、更にはフィチン酸が変化することで玄米2に含まれるミネラル分が栄養素として身体に取り込みやすくなること、等も知られている。
一方で、玄米2を発芽させると、γ―アミノ絡酸(GABA)が増加して、甘味の向上と共に、近年では健康に頗る役立つ成分となるのではないかとの報告もなされている。
図3に示すように、玄米2のGABAは3mgであるのに対し、発芽玄米ではじつに10mgにも増えることが判る。なお、糠層8を取り除いた胚芽米のGABAは2.5mgであり、更に精白を進めて胚芽3をも取り除いた白米では、GABAは僅か1mgしか含まれていない。
GABAの増加は、玄米2自体に含まれる酵素の働きによるものである。加えて、玄米2に含まれる酵素は、玄米2のたんぱく質を分解して他のアミノ酸へも変化する作用を奏することになる。これらのことから、これらステップ103〜104で実施する静置工程は、いわゆる「熟成」のための工程であると言うことができる。
であるならば、ステップ104では玄米2が発芽するのを待てばよいのかと言えば、そうではなく、発芽した玄米2は苦味が増えてしまい、それによって食味が低下してしまうということがある。
そこで本発明では、これらの複雑な事情に鑑みて、玄米2に発芽させる環境を与えておきながら、発芽直前となるタイミングを見極め、このタイミングで玄米2を発芽環境から取り出すようにするものである。
玄米2を静置させる際の環境温度については、0℃を超え10℃未満とするのが好適である。好ましくは3℃〜7℃とする。より好ましくは5℃前後である。
0℃以下では玄米に含まれる酵素が十分に働かず、発芽が進行し難い。また10℃を超えると、パック1内の雑菌類が累乗のペースで増殖することになり、その後の殺菌が極めて難しくなるという事情がある。
また、玄米2を静置させる際の処理時間(静置時間)については、3日を超える期間とするのが好適である。好ましくは7日前後とする。3日に満たない場合は、玄米2内において発芽へ向けた変化が起こり難く、またGABAの増加量も十分ではないためである。
なお、処理時間が7日を超えると、玄米2が実質的に発芽を生じる可能性が高くなるので注意が必要である。
因みに、処理時間が14日にも及ぶと、温度との組み合わせもあるが玄米2は殆どの場合発芽しているので、処理時間としては長すぎると言える(温度を低く設定することで処理時間を14日以上とすることが可能な場合は絶対に無いとは言えないが、稀である)。
玄米2が発芽直前の段階にあるか否かの見極めは、胚芽3等を目視することで行ってもよいが、環境温度と処理時間(静置時間)との組み合わせについて事前に試験を行っておき、この試験から玄米2の発芽直前の見極め時期を求め、この見極め時期に基づくものとしておくのが好適である。
このようなパック1の静置を終えた後は次ステップのパック1の加熱へと移行するが、この移行は速やかに行うのがよい。理由は、折角、玄米2が発芽直前となるタイミングを見極めて静置(熟成工程)を解除しているためであって、この移行を数時間も保留するようなことは、再び玄米2の発芽を進めさせてしまうからである。
パック1の加熱(ステップ105)は、玄米2を炊き上げると共に他の食材の調理を行うためのものである。この際、玄米2の炊き上げに必要とされる温度は、玄米2に含まれる酵素による働きを失活させる温度(水のpHや塩濃度、他の食材に含まれる酵素などとの相関にもよるが、大凡70℃程度とされる)には十分であるので、玄米2の炊き上げと同時に酵素の働きも必然的に停止する(過度の熟成が阻止される)ことになる。
また、パック1の加熱は、パック1内の雑菌類を殺菌する目的をも含んでいる。そのために、所定の条件(加熱時間や加熱温度)が必要とされる。
具体的には、レトルト食品の殺菌強度を規定するためのF値を基準に設定するのがよい。F値は、120℃(121℃とする場合もある)の加熱温度で1分加熱した場合を[1]とおき、日本国の食品衛生法では、レトルト食品に対してこのF値が4以上の殺菌強度を要求している。
そこで、本発明では120℃超える加熱温度と、4分を超える加熱時間との組み合わせとするものとして自主的に規定している。但し、パック1内で加熱昇温した玄米2等の実際の温度と、パック1の外部温度とには誤差があるため、安全率を見込んで、実際にはパック1の外部温度が122℃以上に達する加熱環境で、5〜10分を保持できるようにするものとした。
パック1内の玄米2が炊き上がり、加熱殺菌が十分に達成されたタイミングでパック1を加熱環境から取り出せば、本発明に係る製造方法による「密閉パック入り玄米飯」の完成となる。
なお、パック1の加熱は、所定温度を一定に保つように制御した貯槽(図示略)内へパック1を浸漬させつつ、時間をかけて通過搬送させる方法を採用するのが最も好適と言える。貯槽内には、コンベヤを設けておき、このコンベヤに対して、送り方向に一定間隔で図4に例示するようなホルダー10を取り付けておけばよい。
このホルダー10は、透水性を有してパック1を収容可能な箱形を呈する容器本体11と、この容器本体11の開口を閉鎖する蓋体12と、容器本体11を蓋体12で閉鎖したときに蓋体12を容器本体11へ向けて押し付け付勢するようにした締め付け具13とを備えている。
容器本体11と蓋体12とは、それらの片側同士が蝶番15によって連結されて、蓋体12が揺動開閉を行うようになっている。
締め付け具13は、容器本体11側に揺動結合された容器側フック具17と、蓋体12側に揺動結合された蓋側フック具18とを有しており、これら両フック具17,18を係合させつつ蓋側フック具18に連結したレバー19を蓋体12上の耐力突起20に引っ掛けることで、トグル機構(倍力機構)の原理によって蓋体12が容器本体11へ圧接されるようになっている。
このようなホルダー10に対し、容器本体11内へパック1を収容させ、蓋体12を閉鎖してこのホルダー10ごと、パック1を貯槽内(貯液中)へ浸漬させるようにする。これにより、パック1内が加熱昇温して内圧が高まった状態になっても、パック1が破裂するようなことはなく、恰も圧力鍋で調理されたときのように玄米2の芯(胚乳4)までしっかりと軟らかくなる。
貯槽内の温度制御は、例えば、特許第5134572号で開示された「貯液温度の管理システム及び貯液温度の管理方法」を採用すればよい。
この公報開示の温度管理方法は、制御目標とする設定温度(例えば122℃)に沸騰温度を一致させるように、水和性の有機物(例えばグリセリン)と水とを混合させた加熱用溶液を準備し、この加熱用溶液を貯槽に溜めて沸騰させ続ける。そして、貯液温度が設定温度を超えて上昇する時には、貯槽へ水を加え、加熱用溶液における有機物と水との混合割合を初期の準備時における状態に戻すように行う方法である。
もっとも、この温度制御の採用が限定されるものではなく、ごく一般的に採用されているような、ガス等による熱源で貯水の加熱を行いつつ過熱分を冷却水で抑える方法や、加熱室内へ水蒸気などの熱気を送り込む方法などを採用してもよい。
パック1には、パック容量300mlの樹脂製の袋を用いた。
パック1には、玄米95g、水100〜110ml、空気少量、更に小豆、黒米、藻塩をそれぞれ適量加えた。
パック1の静置は、5℃一定に調節した冷蔵庫内で7日間にわたり行った。
パック1の加熱は、ホルダー10(図4に例示のもの)付きコンベヤを備えた貯槽に対し、124℃の貯液(加熱用溶液)を溜め、この貯槽の貯液中にパック1が10分以上浸漬するようにして通過搬送させる方法により、実施した。
貯槽内の温度制御は、特許第5134572号の「貯液温度の管理システム及び貯液温度の管理方法」を採用した。
実際には、パック1が貯液に浸かり始めて直ちに規定の加熱温度に達するわけではないので、124℃の状態が10分以上継続することを目安として、その前後に必要な時間(昇温時間と加熱後の冷却時間)を見込んで、全体で30分の加熱工程を設定した。
このようにして製造された密閉パック入り玄米飯は、F値4を遙かに超える殺菌強度(F値10以上)を達成させているので、パック1内に残存する雑菌類は略ゼロであると言うことができ、その結果、常温下でおおよそ1年間にわたる保存が可能なものであった。これにより、この密閉パック入り玄米飯は、保存食として好適であると言える。
また本発明者らは、この密閉パック入り玄米飯において成分分析を行った。その結果を表1に示す。
この表1から明らかなように、多くの遊離アミノ酸(遊離アルギニン、遊離リジン、遊離ヒスチジン、遊離フェニルアラニン、遊離チロシン、遊離ロイシン、遊離イソロイシン、遊離バリン、遊離アラニン、遊離グリシン、遊離プロリン、遊離グルタミン酸、遊離セリン、遊離スレオニン、遊離アスパラギン酸)が検出されている。
また、これらとは別のアミノ酸として、じつに7mgにも及ぶGABAが検出されている。このように多量のGABAが検出されていることから、血圧の降下作用、中性脂肪の抑制作用(肥満や糖尿病の予防等)、肝臓や腎臓などのはたらきを高める作用、精真作用(イライラ、睡眠障害、自律神経失調、更年期の抗うつに対する抑制等)といった効果を期待することができる。
このことから、パック1の静置を解除するにあたり、玄米2の発芽直前を見極めるという工程(図1のステップ104を参照)は、まさに図3に関して前記したように、玄米2が発芽に向かうことでGABAが多量に増加するという利点を最大限に活かしながら、玄米2が発芽に至ることによって発生する種々様々な不具合は完全に回避する、という画期的な工程の組み合わせによってもたらされたものと言える。
Figure 2018191576
以上、詳説したところから明らかなように、本発明に係る密閉パック入り玄米飯の製造方法では、旨みがきわだち、栄養価が高く、長期保存が可能であり、また調理不要ですぐに食用に供せるようにした密閉パック入り玄米飯を製造することができる。また本発明に係る製造方法によって製造した密閉パック入り玄米飯では、豊富なγ―アミノ絡酸を含有しており、旨みがきわだち、栄養価が高いものとなっている。
ところで、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、パック1に対し、玄米、水、空気を入れるものであれば、食味、食感などを工夫することに関してはその他に何をパック1に入れてもよい。
パック1において、密閉ができるものであればその素材や形体は何ら限定されない。
パック1を加熱する方法は、前記実施形態で例示したものに何ら限定されるものではない。
1 パック
2 玄米
3 胚芽
4 胚乳
5 糊粉層
6 種皮
7 果皮
8 糠層
10 ホルダー
11 容器本体
12 蓋体
13 締め付け具
15 蝶番
17 容器側フック具
18 蓋側フック具
19 レバー
20 耐力突起

Claims (5)

  1. 玄米と、玄米を炊き上げるのに必要量の水と、玄米の含有酵素に分解作用を起こさせるのに必要量の空気と、をパックに入れ、
    前記パックを内容物が排出されない状態に密閉し、
    玄米の発芽条件に適合する温度及び処理時間に設定した発芽環境下で密閉後の前記パックを静置させ、
    予め求めておいた玄米の発芽直前の見極め時機に合わせて前記パックを前記発芽環境から取り出し、
    前記発芽環境から取り出し後の前記パックを玄米における含有酵素の失活及び雑菌類の殺菌条件を満たす加熱環境へ移行させ、
    前記パック内の玄米が前記加熱環境によって炊き上がり且つF値が4を超えるタイミングで前記パックを前記加熱環境から取り出す
    ことを特徴とする密閉パック入り玄米飯の製造方法。
  2. 前記パックに玄米、水、空気を入れるときに添加物として塩分を加えることを特徴とする請求項1記載の密閉パック入り玄米飯の製造方法。
  3. 前記発芽環境は、0℃を超え10℃未満の温度と、3日を超える処理時間との組み合わせとすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の密閉パック入り玄米飯の製造方法。
  4. 前記加熱環境は、120℃を超える加熱温度と、4分を超える加熱時間との組み合わせとすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の密閉パック入り玄米飯の製造方法。
  5. 口部を密着させた非通水性及び非通気性を有するパック内に炊き上げ後の玄米飯が封入されて成り、玄米飯に含まれるγ―アミノ絡酸が3mgを超え10mg未満であることを特徴とする密閉パック入り玄米飯。
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