JP2018191576A - 密閉パック入り玄米飯の製造方法及び密閉パック入り玄米飯 - Google Patents
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Abstract
Description
ここにおいて加圧加熱殺菌は、1.2〜1.6kg/cm2の加圧下で約105〜135℃の加熱状態を約10〜60分間行うものとされている。そして、食用前には更に、約100℃に加熱された熱水中に約5〜10分間浸漬させるものとしてある。
また、玄米に対し、酸発酵乳で発酵させた発酵茶材から得た抽出水や調味料等を混ぜ合わせて炊き上げたお粥が、加熱殺菌状態で容器に密封されて成る密封容器入り米飯食品が知られている(特許文献2)。
なお、一般的な発酵食品として、例えば、煮沸した発芽玄米に酵素成分を加えて糖化させ、これを発酵対象食材(例えば甘酒)へ混ぜ合わせるもの等が知られている(特許文献3)。
いずれにせよ、完成品として容器内に密封されているお粥は、殺菌加熱が施された段階で酵素の働きが失活されているので、それ以降に発酵が進むことはない。また、容器へ各種食材等を入れる密封前の段階に、何らかの特別な工程を設定しているわけではないので、お粥自体が発酵などの作用を受けているということもないと言える。
)を用いているが、その発酵による作用は茶材自体に留まるものと推察される。
尤も、発酵によって生じるのは主にアルコールや二酸化炭素などであって、刺激のある臭いや酸っぱさ等、ひとによって嗜好の分かれるような特性であるので、発酵茶材による発酵が、仮に炊飯前の玄米等へも波及したとしても、炊飯後のお粥としての旨みを高めるのは難しいと思われる(寧ろ逆効果とも言え、この点でも「発酵」と「熟成」は異なると指摘することができる)。
一方、特許文献3では、玄米に酵素成分を加えており、また玄米を混ぜ合わせる発酵対象食材も発酵過程を経ているので、玄米の発酵が行われていることは理解できる。しかし、玄米にはわざわざ発芽させたものを使用するので、そのことによる苦味が出てしまう問題がある。また、前記したように発酵はアルコールや二酸化炭素などを多く生じさせるものである。そもそも、この特許文献3の開示技術は玄米自体を食するためのものではないので当然とは言えるが、このような開示技術は、玄米自体の旨みを引き出したり栄養価を高めたりするうえで、何らの参考にはならない。
即ち、本発明に係る密閉パック入り玄米飯の製造方法では、玄米と、玄米を炊き上げるのに必要量の水と、玄米の含有酵素に分解作用を起こさせるのに必要量の空気と、をパックに入れ、前記パックを内容物が排出されない状態に密閉し、玄米の発芽条件に適合する温度及び処理時間に設定した発芽環境下で密閉後の前記パックを静置させ、予め求めておいた玄米の発芽直前の見極め時機に合わせて前記パックを前記発芽環境から取り出し、前記発芽環境から取り出し後の前記パックを玄米における含有酵素の失活及び雑菌類の殺菌条件を満たす加熱環境へ移行させ、前記パック内の玄米が前記加熱環境によって炊き上がり且つF値が4を超えるタイミングで前記パックを前記加熱環境から取り出すことを特徴とする。
前記発芽環境は、0℃を超え10℃未満の温度と、3日を超える処理時間との組み合わせとするのがよい。
前記加熱環境は、120℃を超える加熱温度と、4分を超える加熱時間との組み合わせとするのがよい。
図1は、本発明に係る密封パック入り玄米飯の製造方法を示したフローチャートである。この図1から明らかなように、本発明に係る密閉パック入り玄米飯の製造方法では、パック1に対して玄米等の食材を入れて密封した後(ステップ101〜102)に、パック1を特定の環境下で静置状態に保持させ(ステップ103〜104)、続けてパック1をまた別の特定環境下で加熱処理させる(ステップ105〜106)という手順をとるところに特徴がある。
パック1への仕込み(ステップ101)において、パック1に入れる食材には、玄米と水と空気とが必須とされる。
ただ、これらはあくまで一例であって、パック容量を成人一食分の半分や1/3食分等としたり複数人分にしたりすることも可能であり、玄米の量もパック容量とは相関させずに適宜設定したりすることが可能である。
空気の量に関しては、要は、パック1内を真空にさせないことを基本にして考慮すればよく、量的に具体的なものは特に制限されない。但し、パック1が加熱環境下で破裂しない程度の空気量に抑えることは言うまでもない。
玄米、水、空気等を入れた後のパック1を密封するには(ステップ102)、パック1の形体にそれぞれ応じた密閉方法を採用すればよい。例えば、樹脂製袋の形体を呈するパック1の場合は、パック1の口部を超音波接着や溶着等によって内容物(玄米、水、空気等)が排出されない程度まで密着状態が得られるようにする。
パック1の静置(ステップ103)は、パック1内の玄米が発芽するのに適した環境温
度に管理しつつ、この温度との組み合わせが最適となる処理時間の経過を待つことで行う。厳密には、パック1の素材種や素材厚などにより影響する熱伝導率や光の透過性等も管理対象とするのが理想である。静置場所には、冷蔵庫や保温庫などを利用するとよい。
図3に示すように、玄米2のGABAは3mgであるのに対し、発芽玄米ではじつに10mgにも増えることが判る。なお、糠層8を取り除いた胚芽米のGABAは2.5mgであり、更に精白を進めて胚芽3をも取り除いた白米では、GABAは僅か1mgしか含まれていない。
であるならば、ステップ104では玄米2が発芽するのを待てばよいのかと言えば、そうではなく、発芽した玄米2は苦味が増えてしまい、それによって食味が低下してしまうということがある。
玄米2を静置させる際の環境温度については、0℃を超え10℃未満とするのが好適である。好ましくは3℃〜7℃とする。より好ましくは5℃前後である。
また、玄米2を静置させる際の処理時間(静置時間)については、3日を超える期間とするのが好適である。好ましくは7日前後とする。3日に満たない場合は、玄米2内において発芽へ向けた変化が起こり難く、またGABAの増加量も十分ではないためである。
因みに、処理時間が14日にも及ぶと、温度との組み合わせもあるが玄米2は殆どの場合発芽しているので、処理時間としては長すぎると言える(温度を低く設定することで処理時間を14日以上とすることが可能な場合は絶対に無いとは言えないが、稀である)。
このようなパック1の静置を終えた後は次ステップのパック1の加熱へと移行するが、この移行は速やかに行うのがよい。理由は、折角、玄米2が発芽直前となるタイミングを見極めて静置(熟成工程)を解除しているためであって、この移行を数時間も保留するようなことは、再び玄米2の発芽を進めさせてしまうからである。
具体的には、レトルト食品の殺菌強度を規定するためのF値を基準に設定するのがよい。F値は、120℃(121℃とする場合もある)の加熱温度で1分加熱した場合を[1]とおき、日本国の食品衛生法では、レトルト食品に対してこのF値が4以上の殺菌強度を要求している。
なお、パック1の加熱は、所定温度を一定に保つように制御した貯槽(図示略)内へパック1を浸漬させつつ、時間をかけて通過搬送させる方法を採用するのが最も好適と言える。貯槽内には、コンベヤを設けておき、このコンベヤに対して、送り方向に一定間隔で図4に例示するようなホルダー10を取り付けておけばよい。
容器本体11と蓋体12とは、それらの片側同士が蝶番15によって連結されて、蓋体12が揺動開閉を行うようになっている。
この公報開示の温度管理方法は、制御目標とする設定温度(例えば122℃)に沸騰温度を一致させるように、水和性の有機物(例えばグリセリン)と水とを混合させた加熱用溶液を準備し、この加熱用溶液を貯槽に溜めて沸騰させ続ける。そして、貯液温度が設定温度を超えて上昇する時には、貯槽へ水を加え、加熱用溶液における有機物と水との混合割合を初期の準備時における状態に戻すように行う方法である。
パック1には、玄米95g、水100〜110ml、空気少量、更に小豆、黒米、藻塩をそれぞれ適量加えた。
パック1の静置は、5℃一定に調節した冷蔵庫内で7日間にわたり行った。
パック1の加熱は、ホルダー10(図4に例示のもの)付きコンベヤを備えた貯槽に対し、124℃の貯液(加熱用溶液)を溜め、この貯槽の貯液中にパック1が10分以上浸漬するようにして通過搬送させる方法により、実施した。
実際には、パック1が貯液に浸かり始めて直ちに規定の加熱温度に達するわけではないので、124℃の状態が10分以上継続することを目安として、その前後に必要な時間(昇温時間と加熱後の冷却時間)を見込んで、全体で30分の加熱工程を設定した。
また本発明者らは、この密閉パック入り玄米飯において成分分析を行った。その結果を表1に示す。
また、これらとは別のアミノ酸として、じつに7mgにも及ぶGABAが検出されている。このように多量のGABAが検出されていることから、血圧の降下作用、中性脂肪の抑制作用(肥満や糖尿病の予防等)、肝臓や腎臓などのはたらきを高める作用、精真作用(イライラ、睡眠障害、自律神経失調、更年期の抗うつに対する抑制等)といった効果を期待することができる。
例えば、パック1に対し、玄米、水、空気を入れるものであれば、食味、食感などを工夫することに関してはその他に何をパック1に入れてもよい。
パック1において、密閉ができるものであればその素材や形体は何ら限定されない。
2 玄米
3 胚芽
4 胚乳
5 糊粉層
6 種皮
7 果皮
8 糠層
10 ホルダー
11 容器本体
12 蓋体
13 締め付け具
15 蝶番
17 容器側フック具
18 蓋側フック具
19 レバー
20 耐力突起
Claims (5)
- 玄米と、玄米を炊き上げるのに必要量の水と、玄米の含有酵素に分解作用を起こさせるのに必要量の空気と、をパックに入れ、
前記パックを内容物が排出されない状態に密閉し、
玄米の発芽条件に適合する温度及び処理時間に設定した発芽環境下で密閉後の前記パックを静置させ、
予め求めておいた玄米の発芽直前の見極め時機に合わせて前記パックを前記発芽環境から取り出し、
前記発芽環境から取り出し後の前記パックを玄米における含有酵素の失活及び雑菌類の殺菌条件を満たす加熱環境へ移行させ、
前記パック内の玄米が前記加熱環境によって炊き上がり且つF値が4を超えるタイミングで前記パックを前記加熱環境から取り出す
ことを特徴とする密閉パック入り玄米飯の製造方法。 - 前記パックに玄米、水、空気を入れるときに添加物として塩分を加えることを特徴とする請求項1記載の密閉パック入り玄米飯の製造方法。
- 前記発芽環境は、0℃を超え10℃未満の温度と、3日を超える処理時間との組み合わせとすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の密閉パック入り玄米飯の製造方法。
- 前記加熱環境は、120℃を超える加熱温度と、4分を超える加熱時間との組み合わせとすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の密閉パック入り玄米飯の製造方法。
- 口部を密着させた非通水性及び非通気性を有するパック内に炊き上げ後の玄米飯が封入されて成り、玄米飯に含まれるγ―アミノ絡酸が3mgを超え10mg未満であることを特徴とする密閉パック入り玄米飯。
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