以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態等は、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
(実施の形態)
実施の形態に係る照明器具1について、図1〜図4を用いて説明する。図1は、実施の形態に係る照明器具1の斜視図である。図2は、拡散パネル500を外した状態における同照明器具1の斜視図である。図3は、同照明器具1の断面図である。図4は、同照明器具1の拡大断面図であり、図3の破線で囲まれる領域IVの拡大図を示している。
照明器具1は、建築材に組み込まれた照明器具である。具体的には、照明器具1は、建物の天井等の造営材の開口孔に埋め込み配設される。図4に示すように、本実施の形態において、照明器具1は、天井2の開口孔2aに埋め込み配設される天井埋込型照明器具の一種である。
このような照明器具1は、例えば、ホテルのロビー又は病院の待合室等の天井に設置されるが、一般住宅又は店舗等の建物の天井に設置されていてもよい。なお、照明器具1は、天井2に限らず、壁等の天井以外の造営材に設置されてもよい。
図1〜図4に示すように、照明器具1は、導光式の天井埋込型照明器具であって、器具本体100と、器具本体100に配置された発光モジュール200と、発光モジュール200から出射した光が入射する導光パネル400と、導光パネル400から出射した光が入射する拡散パネル500とを備える。さらに、照明器具1は、発光モジュール200から出射した光を導光パネル400に入射させるミラー300と、反射板600と備える。以下、照明器具1の各構成部材について、図1〜図4を参照しながら説明する。
[器具本体]
図3及び図4に示すように、器具本体100は、発光モジュール200、ミラー300、導光パネル400、拡散パネル500及び反射板600を収容する筐体である。具体的には、器具本体100は、開口部100a及び底部100bを有する扁平状かつ有底筒状の筐体である。発光モジュール200、ミラー300、導光パネル400、拡散パネル500及び反射板600は、器具本体100に保持されている。
器具本体100は、光を遮光する遮光性材料又は光を透過しない非透光性材料によって構成されている。例えば、器具本体100は、アルミニウムや鉄等の金属材料又は硬質の樹脂材料によって構成されている。
なお、器具本体100の側壁部の内面は、光反射面であるとよい。この場合、器具本体100の表面を金属表面にすることで光反射性を持たせることもできるが、器具本体100の側壁部の内面に白色塗料を塗膜する等して光反射膜を形成することで、器具本体100の側壁部の内面の光反射性をさらに高くすることもできる。このように、器具本体100の側壁部の内面を光反射面にすることによって拡散パネル500の周辺部に入射する光束を高くできるので、拡散パネル500の周辺部での発光輝度を容易に高くすることができる。
器具本体100は、光源支持部110と、枠部120と、フランジ部130と、底部140とを有する。光源支持部110、枠部120、フランジ部130及び底部140は、器具本体100の一部であり、本実施の形態では、器具本体100として一体に構成されている。
光源支持部110は、器具本体100において発光モジュール200を支持する部分である。本実施の形態において、光源支持部110は、器具本体100の胴体部をなす側壁部である。具体的には、光源支持部110は、肉厚が一定で枠状に形成されている。光源支持部110における発光モジュール200が載置される光源載置面は、拡散パネル500側とは反対側の面である。つまり、光源支持部110の光源載置面は、底部140の底面に対面している。
枠部120は、拡散パネル500の光出射側に位置し、器具本体100の開口部100aの内周に沿って設けられている。したがって、枠部120は、外部に露出する部分であって、ユーザが視認することができる。具体的には、枠部120は、器具本体100のうち拡散パネル500よりも下方側(つまり床側)の部分である。
また、枠部120の一部は、拡散パネル500の端縁全周を覆っている。つまり、枠部120の内面の少なくとも一部は、拡散パネル500の側面よりも内側に位置している。このように、枠部120が拡散パネル500の端縁全周を覆っているので、枠部120の内面の拡散パネル500側の端縁は、拡散パネル500の光出射領域を規定することになる。本実施の形態において、枠部120の内面の拡散パネル500側の端縁によって構成される枠部120の開口径φ1は、例えば約800mmである。この場合、器具本体100の直径φ2は、例えば、約900mmである。
枠部120は、天井2の開口孔2aに対応する位置に配置されている。つまり、枠部120は、開口孔2aの内側に位置している。したがって、枠部120の内面は、天井2の天井面2bからの立ち上がり部分として機能する。つまり、枠部120の内面を、天井面2bから連続する部分として機能させることができる。これにより、ユーザが天井2を見上げて照明器具1を見たときに、枠部120を、天井2を建築造作したかのような建築構造体の一部として認識させることができる。
フランジ部130は、器具本体100の開口部100aの開口端縁に設けられている。フランジ部130は、外方に突出するように鍔状に設けられている。本実施の形態において、フランジ部130は、薄板状かつリング状に形成されている。フランジ部130は、枠部120の先端部から連続して形成されている。
図4に示すように、フランジ部130は、天井2の天井面2bに配置される。具体的には、フランジ部130は、天井2の開口孔2aの天井面2b側の端縁に係止される。器具本体100を天井2の開口孔2aに嵌め込む際に、フランジ部130が天井面2bに係止される。
底部140の底面と反射板600との間の空間領域には、図示しないが、発光モジュール200を発光させるための電力を生成する電源装置(電源回路)が配置されていてもよい。電源装置は、例えば、端子台を通じて商用電源からの交流電力を受電し、受電した交流電力を直流電力に変換する。電源装置で生成された直流電力は、リード線等を介して発光モジュール200に供給される。これにより、発光モジュール200が発光する。
なお、電源装置は、照明器具1に内蔵されていてもよいし、照明器具1に内蔵されておらず、照明器具1の外部に別途配置されていてもよい。
このように構成される器具本体100の色は、白色、黒色及び有色のいずれでもよいが、少なくとも外部に露出する枠部120及びフランジ部130は、天井2に馴染むように天井面2bと同一系統の色であるとよい。例えば、天井面2bが白色系である場合、枠部120及びフランジ部130を含めて器具本体100の全体の色を白色系にするとよい。これにより、枠部120を天井2の一部として認識させやすくでき、枠部120を天井2と同化させて枠部120の内周面を天井2と一体的に感じさせることができる。
また、フランジ部130を目立たなくするためには、フランジ部130の幅Wは、できるだけ狭い方がよい。フランジ部130の幅Wは、例えば、15mm程度である。
また、器具本体100は、天井2の開口孔2aに嵌め込まれることで天井2に固定される。本実施の形態において、器具本体100は、照明器具1の外郭を構成する外郭部材である。したがって、器具本体100の外面は、天井2の天井裏に露出している。本実施の形態において、器具本体100の高さは、照明器具1の器具高さとなっている。具体的には、器具本体100の天井面2bから器具本体100の底部140の外面までの長さD2は、100mm以下であり、例えば、80mmである。
[発光モジュール]
発光モジュール200は、照明器具1の光源であり、例えば白色光を発する。本実施の形態において、発光モジュール200は、LEDによって構成されたLEDモジュールである。なお、発光モジュール200の発光色は、白色光に限るものではない。
図3及び図4に示すように、発光モジュール200は、器具本体100に配置される。具体的には、発光モジュール200は、器具本体100の環状の光源支持部110に配置されている。したがって、発光モジュール200は、環状に配置されている。具体的には、発光モジュール200は、器具本体100の中心を中心として円環状に配置されている。また、発光モジュール200は、導光パネル400の配置に沿って配置されている。
本実施の形態において、発光モジュール200は、図2に示される導光パネル400の数と同数(本実施の形態では8つ)用いられている。各発光モジュール200は円弧状であり、複数の発光モジュール200を周方向に配置することで、全体として円環状になっている。なお、発光モジュール200は、複数に限らず、1つであってもよい。
図3及び図4に示すように、発光モジュール200は、基板210と、基板210に配置された発光素子220とを有する。
基板210は、器具本体100の光源支持部110に載置される。基板210の主面が拡散パネル500の主面に対して直交していると、基板210の幅の分だけ器具本体100の高さが高くなってしまうが、本実施の形態では、基板210の主面が拡散パネル500の主面に対して略平行であるので、基板210の幅によって器具本体100の器具高さが高くなることを抑制できる。これにより、より薄型の照明器具1を実現できる。
基板210は、例えば、樹脂基板、セラミック基板、又は、メタルベース基板等である。基板210は、リジッド基板に限るものではなく、フレキシブル基板又はフィルム基板であってもよい。なお、本実施の形態において、基板210は複数であり、各基板210は同一幅の円弧状に形成されている。
基板210には、複数の発光素子220が配置されている。複数の発光素子220は、基板210の長手方向に沿って線状に一列に配置されている。本実施の形態において、複数の発光素子220は、円弧状に一列で配列されている。
発光素子220は、LEDによって構成されたLED光源である。具体的には、発光素子220は、LEDチップがパッケージ化されたSMD型LED素子であり、凹部を有する樹脂製又はセラミック製の白色の容器と、容器の凹部の底面に一次実装された1つ以上のLEDチップと、容器の凹部内に封入された封止部材とを有する。封止部材は、例えばシリコーン樹脂等の透光性樹脂材料で構成されている。封止部材は、蛍光体等の波長変換材が含有された蛍光体含有樹脂であってもよい。
LEDチップは、所定の直流電力により発光する半導体発光素子の一例であって、単色の可視光を発するベアチップである。LEDチップは、例えば、通電されれば青色光を発する青色LEDチップである。この場合、白色光を得るために、封止部材には、青色LEDチップからの青色光を励起光として蛍光発光するYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)等の黄色蛍光体が含有される。
このように、本実施の形態における発光素子220は、青色LEDチップと黄色蛍光体とによって構成された白色LED光源である。具体的には、黄色蛍光体は青色LEDチップが発した青色光の一部を吸収して励起されて黄色光を放出し、この黄色光と黄色蛍光体に吸収されなかった青色光とが混ざって白色光となる。なお、封止部材には、黄色蛍光体だけに限らず、赤色蛍光体及び緑色蛍光体が含まれていてもよい。
このように構成される発光モジュール200は、器具本体100の周辺部に寄せて配置されている。本実施の形態において、発光モジュール200は、器具本体100の側壁部に隣接して配置されている。
発光モジュール200は、導光パネル400の側面(端面)に光を入射させるように配置されている。つまり、発光モジュール200と導光パネル400とはエッジライト構造となっている。
具体的には、発光モジュール200は、導光パネル400の第1側面410付近に配置されており、発光モジュール200から出射した光(つまり、発光素子220から出射した光)は、導光パネル400の第1側面410に入射する。本実施の形態において、発光モジュール200は、発光モジュール200から出射した光を導光パネル400の第1側面410に向けて反射させるミラー300で覆われている。これにより、発光モジュール200から出射した光は、ミラー300で反射して導光パネル400の第1側面410に入射する。ミラー300は、例えば白色樹脂材料によって構成することができる。
[導光パネル]
図2〜図4に示される導光パネル400は、発光モジュール200からの光を導光させる光学部材である。導光パネル400は、透光性を有する部材であり、例えば、アクリルやポリカーボネート等の透光性樹脂材料又はガラス材料からなる。本実施の形態における導光パネル400は、向こうが透けて見える程度に透過率が高い透明樹脂材料を用いて形成されている。
導光パネル400は、平板状の導光板であり、図4に示すように、発光モジュール200から出射する光が入射する光入射面である第1側面410(第1端面)と、第1主面420と、第1主面420とは反対側の第2主面430と、第1側面410に対向する第2側面440(第2端面)とを有する。
導光パネル400の第1主面420は、導光パネル400の第1側面410から入射した光が導光パネル400から出射する光出射面である。つまり、第1主面420は、導光パネル400から光を取り出すための光取り出し面である。導光パネル400は、第1主面420が拡散パネル500に対面するように配置されている。これにより、導光パネル400の第1主面420から出射した光は、拡散パネル500に向かって進行し、拡散パネル500に直接入射する。
第1主面420から効果的に光を取り出すために、第1主面420及び第2主面430の少なくとも一方には、光取り出し構造が設けられているとよい。光取り出し構造は、例えば、第2主面430に形成された複数のマイクロプリズムである。第2主面430に形成されたマイクロプリズムは、例えば円錐状又は角錐状等の凹プリズムであり、第1側面410から導光パネル400内に入射した光を導光パネル400の外に取り出すために、導光パネル400内を進行する光を第1主面420側に向けて反射させる機能を有する。また、第2主面430に形成するマイクロプリズムの形状を領域に応じて変更することで、第1主面420から出射する光の配光を制御することができる。
なお、光取り出し構造は、凹形状に限らず、凸形状(凸プリズム)であってもよい。また、第2主面430ではなく光出射面である第1主面420に微小凹凸構造を形成することでも、導光パネル400内を進行する光を第1主面420から取り出すこともできる。また、第1主面420だけではなく第1主面420とは反対側の第2主面430からも光を取り出してもよいが、取り出す光の量は第2主面430よりも第1主面420の方を大きくするとよい。
導光パネル400は、環状に配置されている。具体的には、導光パネル400は、全体として開口を有する環状体であり、器具本体100の中心を中心として円環状である。
本実施の形態において、導光パネル400は、発光モジュール200の数と同数(本実施の形態では8つ)用いられている。図2に示すように、各導光パネル400は幅が一定の円弧形状であり、複数の導光パネル400を周方向に配置することで、全体として円環状になっている。なお、導光パネル400は、複数に分割することなく、1つであってもよい。
[拡散パネル]
図1及び図3に示される拡散パネル500は、透光性及び光拡散性を有する光学部材である。拡散パネル500は、例えば、アクリルやポリカーボネート等の透光性樹脂材料又はガラス材料等をベースにして形成される。一例として、拡散パネル500は、光拡散材(光散乱材)が樹脂材料内部に分散された乳白色の拡散板である。このような拡散パネル500は、例えば、光拡散材を混合した透光性樹脂材料を所定形状に樹脂成型することによって作製することができる。
具体的には、拡散パネル500は、全光線透過率が40%〜70%のものを用いることができる。本実施の形態では、拡散パネル500として、全光線透過率が60%のものを用いた。
なお、拡散パネル500は、内部に光拡散材を分散させるのではなく、透明パネルの表面(内面又は外面)に光拡散材等を含む乳白色の光拡散膜を形成することによって構成されていてもよい。また、拡散パネル500は、光拡散材を用いるのではなく、拡散加工を施すことによって拡散性を有するように構成されていてもよい。例えば、シボ加工又はレーザ加工等の表面処理を施すことによって透明パネルの表面に微小凹凸(シボ、マイクロプリズム等)を形成したり、透明パネルの表面にドットパターンを印刷したりすることによって、光拡散性を有するように構成してもよい。
本実施の形態において、拡散パネル500は、平板状のフラットパネルである。具体的には、拡散パネル500は、板厚が一定の円板である。拡散パネル500の厚みは、例えば、2mm〜5mmである。本実施の形態では、拡散パネル500として、厚みが2mmで、直径が860mmの円板状の乳白のアクリル板を用いた。なお、拡散パネル500は、平板状に限らず、発光モジュール200側に膨出する(つまり奥側に凹んだ)ドーム状であってもよい。
このように拡散パネル500を用いることで、拡散パネル500に入射した光は、拡散パネル500によって拡散されながら拡散パネル500内を透過して拡散パネル500から出射する。つまり、拡散パネル500は、導光パネル400からの光を拡散させて疑似発光する面発光部として機能する。
図3及び図4に示すように、拡散パネル500は、導光パネル400を覆うように配置されている。本実施の形態において、拡散パネル500は、拡散カバーであり、器具本体100を塞ぐように器具本体100に固定されている。この場合、拡散パネル500の中心を器具本体100の中心と一致させて、拡散パネル500を器具本体100に保持させている。
光出射面である拡散パネル500の発光面は、器具本体100の開口部100aの開口面よりも発光モジュール200側に後退した位置に配置されている。本実施の形態において、拡散パネル500の発光面は、天井2の天井面2bよりも天井裏側に位置している。器具本体100の開口部100aの開口面から拡散パネル500の光出射面までの距離D1(つまり、拡散パネル500の開口部100aの開口面からの後退量)は、例えば、30mm〜50mmである。つまり、器具本体100の枠部120の高さも30mm〜50mmとなる。距離D1を30mm〜50mmにすることで、枠部120の内面が、間接照明用途で天井2を加工した際の建築構造体(例えば天井)の立ち上がり部分として感じやすくなる。
[反射板]
反射板600は、導光パネル400の第2主面側に配置されている。具体的には、反射板600は、導光パネル400を覆うとともに、拡散パネル500を覆っている。これにより、導光パネル400から出射した光のうち拡散パネル500を透過せずに戻ってくる光を反射板600で反射させて、拡散パネル500に再入射させることができる。この結果、光の取り出し効率を向上させることができるとともに、光の多重反射によって拡散パネル500における発光輝度の輝度分布を滑らかにすることができる。
反射板600は、例えば、薄板状の円板であり、アルミニウム板や鋼板等の金属平板又は硬質の樹脂材料からなる樹脂平板によって構成されている。なお、反射板600の光反射性を高めるために、反射板600の表面には、白色塗料が塗膜されていてもよいし、高い光反射性を有する金属材料が蒸着されていてもよい。また、反射板600として、白色樹脂シートを用いてもよい。
[作用効果]
次に、実施の形態に係る照明器具1の作用効果について、図5及び図6を用いて説明する。図5は、実施の形態に係る照明器具1の拡散パネル500の発光面における輝度分布を示す図である。図6は、同照明器具1を天井2に設置した場合の明かりの雰囲気を示す図である。
照明器具1では、発光モジュール200を発光させた場合に、拡散パネル500の発光輝度は、図5に示すような分布を示す。つまり、拡散パネル500の中央部の発光輝度が拡散パネル500の周辺部の発光輝度よりも低くなっている。
例えば、図5に示すように、拡散パネル500の中心を基準(図5の位置が0の箇所)に拡散パネル500の直径の1/2未満の領域を拡散パネル500の中央部(内周部)とし、拡散パネル500の中心を基準に拡散パネル500の直径の1/2以上の領域を拡散パネル500の周辺部(外周部)とすると、拡散パネル500の発光輝度は、周辺部よりも中央部の方が低くなっている。これにより、図6に示すように、器具本体100の枠部120の周辺部分を明るく感じさせることができ、従来の間接照明のような空間演出を行うことができる。
また、本実施の形態では、図5に示すように、拡散パネル500の発光輝度は、拡散パネル500の外周端部をピークにして、拡散パネル500の中心に向かうにつれてグラデーション状に低下している。具体的には、拡散パネル500の周辺部では、発光輝度が拡散パネル500の中心に近づくほど低くなっている。さらに、拡散パネル500の周辺部内においても、拡散パネル500の中心に近づくにつれて、拡散パネル500の周辺部中央あたりから急激に発光輝度が低くなっている。一方、発光輝度が低い拡散パネル500の中央部においては、発光輝度はほぼ変化していない。
拡散パネル500の発光面の発光輝度を図5に示すような輝度分布にすることで、従来の間接照明のような柔らかい間接光による照明演出効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、導光パネル400を用いて、図5に示すような輝度分布を実現している。このように導光パネル400を用いることで、導光パネル400によって拡散パネル500に入射させる光の配光を制御することができる。これにより、拡散パネル500の発光面の発光輝度のグラデーションを容易に実現することができる。
なお、本実施の形態では、拡散パネル500の外縁から中心にかけて発光輝度のグラデーションが連続的かつ自然となるように、導光パネル400の配光を調節している。これにより、より自然な間接照明の明かりの雰囲気を実現することができる。導光パネル400の配光は、例えば、導光パネル400に形成する光取り出し構造を調整することで制御することができる。
このように、拡散パネル500の発光輝度を図5に示すように中央部よりも周辺部を高くして中央部の発光輝度を周辺部の発光輝度よりも低くすることで、図6に示すように、拡散パネル500を備える照明器具1でありながらも、照明器具1であることに気付かれることなく(つまり、拡散パネル500の存在を感じさせることなく)、従来の間接照明のような空間演出を疑似的に行うことができる。
以上説明したように、本実施の形態における照明器具1は、天井2の開口孔2aに埋め込み配設されるものであり、器具本体100と、器具本体100に配置された発光モジュール200と、発光モジュール200から出射した光が入射する導光パネル400と、導光パネル400から出射した光が入射する拡散パネル500とを備えている。そして、発光モジュール200の発光時において、拡散パネル500の中央部の発光輝度が拡散パネル500の周辺部の発光輝度よりも低くなっている。
これにより、特別な建築造作を伴うことなく、間接照明であるかのような空間演出を行うことができる薄型の照明器具を実現できる。
つまり、従来の間接照明では、天井等の建築構造物を加工する等の特別な建築造作が必要であり、しかも、天井裏には天井面から300mm〜500mm程度の空間領域を確保しなければならなかった。
これに対して、本実施の形態における照明器具1では、一般的な照明器具と同様に、電気工事のみで簡単に天井2の開口孔2aに取り付けることができるので、天井2を加工する等の特別な建築造作が不要であり、省施工かつ安価に間接照明のような空間演出を行うことができる。しかも、拡散パネル500の輝度分布のみで間接光のような照明光を実現できるので、照明器具1の内部構造が複雑化せず、薄型の照明器具1を実現できる。特に、本実施の形態では、導光パネル400を用いているので、拡散パネル500が大面積であっても導光パネル400により広い領域に光を配光させることができ、極めて薄型の照明器具1を容易に実現できる。このため、照明器具1の天井裏の設置スペースとしては、天井面2bから100mm以下の空間領域で十分である。
さらに、本実施の形態における照明器具1によれば、内部構造が複雑化しないので外観をシンプルにすることができ、意匠性に優れた照明器具を実現できる。また、従来の間接照明と比べて効率良く照明光を取り出すことができ、間接光のような照明光でありながら、照度を高くすることができる。このため、病院又はホテル等のように天井高の空間であっても、間接照明のような空間演出を簡単に実現することができる。
また、本実施の形態における照明器具1において、導光パネル400は、発光モジュール200の光が入射する第1側面410と、第1側面410から入射した光が導光パネル400から出射する第1主面420とを有する。そして、導光パネル400は、第1主面420が拡散パネル500に対面するように配置されている。
これにより、エッジライト型の導光パネル400によって第1主面420を発光面として光を出射させることができるので、導光パネル400の配光制御によって拡散パネル500の発光面の所望の輝度分布を容易に実現することができる。
また、本実施の形態における照明器具1では、発光モジュール200から出射した光を導光パネル400の第1側面410(光入射面)に向けて反射させるミラー300を用いている。
これにより、発光モジュール200から出射した光を効率良く導光パネル400の第1側面410に入射させることができる。
また、本実施の形態における照明器具1において、導光パネル400は、環状に配置されている。
これにより、図6に示すような環状の照明光を容易に得ることができるので、間接照明のような空間演出を容易に行うことができる。
また、本実施の形態における照明器具1において、発光モジュール200は、導光パネル400の配置に沿って環状に配置されている。
これにより、環状の導光パネル400に効率良く光を入射させることができるので、さらに環状の照明光を容易に得ることができる。したがって、間接照明のような空間演出を一層容易に行うことができる。
また、本実施の形態における照明器具1において、発光モジュール200は、器具本体100の周辺部に寄せて配置されている。
これにより、図5に示すように、拡散パネル500の中央部の発光輝度が拡散パネル500の周辺部の発光輝度よりも低くなるような輝度分布を拡散パネル500のみで容易に実現することが可能である。
また、本実施の形態における照明器具1において、器具本体100は、開口部100aを有し、拡散パネル500の発光面は、開口部100aの開口面よりも発光モジュール200側に後退した位置に配置されている。
このように、拡散パネル500を開口部100aの開口面から後退させることで、開口部100aの内面を天井面2bから連続する天井2の立ち上がり部分として感じさせることができる。その結果、拡散パネル500の存在を一層感じさせにくくできる。つまり、照明器具1の存在を一層気付かれにくくできる。
さらに、本実施の形態における照明器具1では、拡散パネル500の発光面は、天井2の天井面2bよりも天井裏側に位置している。
このように、拡散パネル500を天井面2bから奥側に後退させることで、開口部100aの内面が天井2の立ち上がり部分であるとの印象をさらに深めることができる。これにより、拡散パネル500の存在をより一層感じさせにくくできる。
また、本実施の形態における照明器具1では、拡散パネル500の光出射側に位置し、開口部100aの内周に沿って設けられた枠部120が設けられている。そして、枠部120の内面は、拡散パネル500の側面よりも内側に位置している。
これにより、枠部120の内面によって拡散パネル500の光出射領域を規定することができるので、拡散パネル500の外周縁付近の発光輝度を容易に高く設定することができる。したがって、間接照明のような明かりの雰囲気を容易に実現することができる。
また、本実施の形態における照明器具1において、枠部120は、器具本体100の一部である。
これにより、枠部120と器具本体100とを別体にする場合と比べて、部品間の隙間を無くすことができるので、光漏れ等による光の違和感を無くすことができる。したがって、さらに間接照明のような明かりの雰囲気に近づけることができる。
また、本実施の形態における照明器具1において、拡散パネル500は、平板状である。
これにより、拡散パネル500の存在をより気付きにくくすることができる。また、平板状の拡散パネル500を用いることで、拡散パネル500の輝度分布(グラデーション分布)の設計がしやすくなるので、滑らかな輝度分布の疑似発光面を容易に得ることができる。したがって、間接照明のような明かりの雰囲気にさらに近づけることができる。
(変形例)
以上、本発明に係る照明器具について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、図7に示される照明器具1Aのように、第2側面440の高さが第1側面410の高さよりも小さい先細りのテーパ形状の導光パネル400Aを用いてもよい。これにより、第2側面440から出射した光が輝線となって現れることを抑制できるので、拡散パネル500における発光輝度の輝度分布をより滑らかにすることができる。
また、上記実施の形態では、ミラー300を用いて発光モジュール200の光を反射させて導光パネル400に入射させたが、これに限らない。つまり、ミラー300を用いずに、発光モジュール200の光を導光パネル400の第1側面410に直接入射させてもよい。この場合、例えば発光素子220の発光面が導光パネル400の第1側面410に対面するように発光素子220を配置すればよい。
また、上記実施の形態において、照明器具1は、平面視形状の外形が円形である丸形の照明器具としたが、これに限らない。例えば、照明器具1は、平面視形状の外形が矩形であるスクエア形の照明器具であってもよい。また、照明器具1の平面視形状の外形は、円形又は矩形以外に、楕円形又は三角形等のその他の形状であってもよい。
また、上記実施の形態では、器具本体100を天井2の開口孔2aに直接取り付けたが、これに限らず、器具本体100を収納する取付補助体を用いて器具本体100を天井2に設置してもよいし、その他の部品を介して器具本体100を天井2に設置してもよい。
また、上記実施の形態において、発光素子220は、青色LEDチップと黄色蛍光体とによって白色光を放出するB−Yタイプの白色LED光源としたが、これに限らない。例えば、赤色蛍光体と緑色蛍光体とを用いて、これと青色LEDチップと組み合わせることによって白色光を放出するように構成してもよい。また、演色性を高める目的で、黄色蛍光体に加えて、さらに赤色蛍光体や緑色蛍光体を混ぜても構わない。また、青色以外の色を発光するLEDチップを用いてもよく、例えば、紫外光を放出するLEDチップを用いて、この紫外光を励起されて蛍光発光するRGB各色蛍光体(青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体)によって白色光を放出するように構成してもよい。また、蛍光体を用いずに、赤色光を発する赤色LEDチップ、緑色光を発する緑色LEDチップ及び青色光を発する青色LEDチップによって白色光を放出するように構成してもよい。
また、上記実施の形態において、発光素子220は、白色LED光源のみとしたが、これに限るものではない。例えば、赤色光を発する赤色LED光源、緑色光を発する緑色LED光源及び青色光を発する青色LED光源を用いて、発光モジュール200を構成してもよい。あるいは、赤色LED光源と緑色LED光源と青色LED光源と白色LED光源とを用いて発光モジュール200を構成してもよい。このように光の三原色を発する光源を用いることで、RGB制御による調色制御を行うことができる照明器具を実現できる。また、色温度の異なる複数の白色LED光源を用いて発光モジュール200を構成してもよい。これにより、色温度を変えることができる照明器具を実現できる。
また、上記実施の形態において、発光素子220は、LEDによって構成したが、これに限らない。例えば、発光素子220は、半導体レーザ等の半導体発光素子、有機EL(Electro Luminescence)又は無機EL等の固体発光素子を用いて構成されていてもよい。
なお、その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。